JP2018035284A - ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂およびポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂およびポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境負荷が小さい材料で、柔軟性に優れ、耐熱性が良好なポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を提供する。【解決手段】特定の一般式で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物と、特定の一般式で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してなるポリヒドロキシウレタンウレア樹脂、及び、前記化合物(1)と、ポリアミン化合物とを、官能基当量比0.95〜0.5で反応させてアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得、その後に、該プレポリマーと、前記ポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得る製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、原料の一部に二酸化炭素を用いて製造される塗料、接着剤、人工皮革、合成皮革、インキ用ワニス、コーティング剤及びこれらの改質剤、樹脂、エラストマーの改質剤として有用な、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂、該樹脂溶液及びポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法に関する。
近年、地球環境温暖化が深刻な問題となっており、その対応が急務となっている。地球環境温暖化は、化石燃料などの利用により、大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇していることが原因の一つとされている。このため、地球温暖化問題を解決するには、大気中の二酸化炭素を低減することが有効であり、具体的には、二酸化炭素の排出量を削減する取り組みが行われている。また、二酸化炭素を工業的に利用し、各種製品の原料として利用する試みも行われている。
二酸化炭素を原料の一つとして用いて合成される樹脂として、二酸化炭素とエポキシドの交互重合によって製造される脂肪族ポリカーボネートが知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、この場合に得られる脂肪族ポリカーボネートはゴム状物質であり、ポリプロピレン等の汎用樹脂に置き換えられるものではなかった。そこで、他の樹脂とブレンドしたブレンドポリマーとすることや、得られた樹脂中に無機フィラーを分散させることなどが検討されている(特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、これら方法では、相対的に、製造された樹脂中の二酸化炭素に由来する構造部分の含有量が低下するといった課題があった。
一方、二酸化炭素を原料の一つとして用いて合成される樹脂として、ポリヒドロキシウレタン樹脂が知られている(非特許文献2及び非特許文献3参照)。このポリヒドロキシウレタン樹脂は、五員環環状構造を有するカーボネート化合物と、アミン化合物とを用いて合成される。五員環環状を有するカーボネート化合物は、二酸化炭素を使用して合成できるため、製造されるポリヒドロキシウレタンはその構造中に二酸化炭素を固定化した材料となる。
しかし、二酸化炭素を原料の一つとして合成されるポリヒドロキシウレタン樹脂は、その側鎖に有する水酸基が水素結合を結ぶことにより、凝集力が高く、硬くて脆い特性を有しており、その用途が限定されるといった課題があった。
これに対し、原料のアミン化合物に、エーテル結合をもつ化合物を使用することで、柔軟性を持つポリヒドロキシウレタン樹脂にできるとした提案がされている(特許文献3参照)。また、長鎖の有機基を有する五員環環状構造を有するカーボネート化合物を原料として用いることについての提案もある(特許文献4参照)。
米国特許第4912149号明細書 国際公開第2010/053110号 特許第3840347号公報 特許第5277233号公報
S.Inoue,H.koinuma,T.Tsuruta,J.Polym.Sci,Polym.Lett.Ed.7,287(1969) N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polymer Chem.,31(11),2765(1993)
しかしながら、上記した従来技術の手法で使用されるエーテルを含むジアミンは、いずれも市場での入手が困難な物質であり、工業的なスケールでの使用は難しいという課題がある。また、上記した従来技術の長鎖の有機基を有する五員環環状構造を有するカーボネート化合物を原料として用いる製造方法は、エーテル結合を持った化合物に限定されている。
また、上述した特許文献3及び4で提案された方法によって得られるポリヒドロキシウレタン樹脂は、熱軟化温度が低いなどの熱特性を有し、押出成形や射出成型において固化するのに、時間と低い温度が必要であり、成形物は、常温でブロッキングが生じるといった課題がある。また、上記した従来技術で得たポリヒドロキシウレタン樹脂溶液を、ペットフィルムなどの基材に塗布し、熱などで乾燥したフィルムにおいても、タックが生じて巻き取ることができない、或いは、別にイソシアネート架橋剤などを加えて熱硬化しなくてはならない、といった加工性が低いという問題があった。
従って、本発明の目的は、環境負荷が小さい材料でありながら、柔軟性に優れ、耐熱性が良好な、従来にない構成のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を提供することである。また、本発明の目的は、上記樹脂の製造に際し、基材や要求性能などに応じて、樹脂を構成するソフトセグメントを自由に選択することが可能で、多様な特性の樹脂を設計することが可能な新たなポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法を提供することにある。
上記課題は本発明によって解決される。
[1]下記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物と、下記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してなることを特徴とするポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
Figure 2018035284
(一般式(1)中、Aは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。)
Figure 2018035284
(一般式(2)中、Bは、炭素数1〜400の脂肪族炭化水素基であり、その構造中に、環状構造、芳香環、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、カーボネート基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。また、Xは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、これらの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。nは、1〜10のいずれかの数である。)
本発明の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。
[2]前記化合物(1)が、エポキシ化合物と二酸化炭素の反応によって形成された反応物であり、前記二酸化炭素由来の構造部分を含み、前記反応物中における前記二酸化炭素由来の構造部分の含有量が、前記反応物全体を基準として2〜20質量%である上記[1]に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
[3]前記一般式(1)中のAが、下記式で表されるいずれかである上記[1]又は[2]に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
Figure 2018035284
(式中のRは、水素原子又はメチル基を示す。)
[4]形成した50μmのフィルムについての、25℃における引張破断強度が30MPa以上、破断伸度が200%以上であり、且つ、熱軟化温度が100℃以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
[5]その数平均分子量が、15000〜50000である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
また、本発明は、別の実施形態として、下記のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法を提供する。
[6]下記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物を、下記式で定義される官能基当量比0.95〜0.5で重付加反応させてアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得、得られたアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーと、下記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応させてポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得ることを特徴とするポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法。
Figure 2018035284
(一般式(1)中、Aは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。)
Figure 2018035284
(一般式(2)中、Bは、炭素数1〜400の脂肪族炭化水素基であり、その構造中に、環状構造、芳香環、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、カーボネート基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。また、Xは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、これらの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。nは、1〜10のいずれかの数である。)

Figure 2018035284

(式中の官能基とは、前記ポリカーボネート化合物と前記ポリアミン化合物が、それぞれの1分子中に有する、シクロカーボネート基又は1級アミノ基の個数である。)
上記ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法の好ましい形態としては、[7]10〜260mgKOH/gであり、前記ポリイソシアネート化合物(2)の分子量が、500〜5000であることが挙げられる。
本発明によれば、二酸化炭素を原料の一つとして使用することができるため、省資源であり、環境負荷が小さい環境対応型の材料であり、さらに、従来のポリヒドロキシウレタン樹脂では達成できなかった、柔軟性と耐熱性を有する成形材料として使用可能な、新たなポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を提供することが可能になる。また、本発明によれば、基材や要求性能などに応じて、樹脂を構成するソフトセグメントを自由に選択することが可能であることから、多様な特性の樹脂を設計し、得ることができる新たなポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法を提供することが可能になる。
次に、発明を実施するための好ましい形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
[ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂]
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、前記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物と、前記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してなる熱可塑性を有する反応物であることを特徴とする。
上記したように、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、特定の構造を有する環状のポリカーボネート化合物と、ポリアミン化合物と、特定の構造を有するポリイソシアネート化合物との重付加反応によって得られる、上記特定の3種の化合物を反応させてなる重合体(ポリマー)であり、物の発明としての特定を、「重付加反応」という樹脂を得るためのプロセス(製法)でしている。
ここで、重合体(ポリマー)が、分子量の異なる種々のポリマー分子の集合体(混合物)であり、上記したような3種の化合物の重付加反応物は、その構造が複雑になりすぎて一般式(構造)で表すことは到底できないのが現状であり、このことは当業者の技術常識である。本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、所望の特性のものを安定して得るためには、例えば、中間体となる、特定の構造を有するポリカーボネート化合物と、ポリアミン化合物とを重付加反応してなる反応生成物であるアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂を得、その後に、この中間体と、特定の構造を有するポリイソシアネート化合物とを重付加反応してなる。このように反応を2段階に分けて行ったとしても、上記中間体の時点で、既に分子量の異なる種々のポリマー分子の複雑な集合体(混合物)であり、このような中間体と、特定のポリイソシアネート化合物とを重付加反応してなる本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、分子量だけでなく、分子構造も相違する様々なポリマー分子の、中間体よりもさらに複雑な集合体になる。このように、本発明の請求項1で規定するポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、その構造又は特性により直接特定することが不可能であり、その特定は、重合体を得るためのプロセス(製法)によって初めて可能である。上記したように、「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定すること」が不可能又はおよそ非実際的である事情が存在することから、本発明では、本発明の請求項1で規定するポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を、当該樹脂を得るためのプロセス(製法)によって特定している。
〔反応概略〕
ここで、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、例えば、以下に示すようなスキームにしたがって、2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物と、2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、の3種の化合物を重付加反応することで製造することができる。
Figure 2018035284
これに対し、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂では、ポリカーボネート化合物として、前記した一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有する特有のポリカーボネート化合物(1)(以下、単に「化合物(1)」と記載する場合がある)を用い、ポリイソシアネート化合物として、前記した一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有する特有のポリイソシアネート化合物(2)(以下、単に「化合物(2)」と記載する場合がある)とを用い、さらに、これらの化合物と、2以上のアミノ基を有する化合物(以下、ポリアミン化合物と呼ぶ)、の3種の化合物を重付加反応してなることを特徴としている。
前記一般式(1)で示される化合物(1)は、その構造中のA部分に芳香族炭化水素基(芳香環)を有しており、該化合物(1)とアミン化合物とが反応し得られるセグメントは、分子間力による凝集力を持ったヒドロキシウレタンセグメントとなる。一方、柔軟成分を有する一般式(2)で示されるポリイソシアネート化合物(2)は、アミン化合物のアミノ基と反応し、ウレア結合により共重合されたものは、柔軟な特性を持ったセグメントとなる。このため、化合物(1)と、ポリアミン化合物と、化合物(2)とを重付加反応してなる本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、十分な凝集力と、優れた柔軟性を併せ持つものとなる。以下、化合物(1)及び(2)、アミン化合物について、さらに詳細に説明する。
〔化合物(1)〕
化合物(1)は、下記一般式(1)で表され、式中のAは、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。Aの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。なお、上記芳香族炭化水素基は、アルキル基や環状炭化水素基などの置換基を有してもよく、このような置換基を有する場合、上記炭素数は、これらの置換基の炭素を含む値である。また、上記炭素数は、エステル基の炭素を含まない値である。
Figure 2018035284
上記一般式(1)中のAは、例えば、下記式で表される構造のいずれかであることが好ましい。下記式中のRは、水素原子又はメチル基を示す。
Figure 2018035284
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す)
本発明を構成する化合物(1)は、例えば、下記式のように、エポキシ化合物と二酸化炭素とを反応させることによって合成することができる。具体的には、原材料であるエポキシ化合物を、触媒の存在下、0〜160℃、大気圧〜1MPa程度に加圧した二酸化炭素雰囲気下で4〜24時間反応させることにより、化合物(1)を得ることができる。
Figure 2018035284
上記のエポキシ化合物と二酸化炭素との反応の際に用いられる触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウムなどの塩類や、4級アンモニウム塩などを挙げることができる。触媒の使用量は、エポキシ化合物100質量部に対して、1〜50質量部とすることが好ましく、1〜20質量部とすることがさらに好ましい。また、触媒として用いる塩類の溶解性を向上させるべく、トリフェニルホスフィンなどを併用してもよい。
エポキシ化合物と二酸化炭素は、有機溶剤の存在下で反応させることもできる。有機溶剤としては、触媒を溶解しうるものであればよい。このような有機溶剤の具体例として、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤を挙げることができる。
化合物(1)は、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂のハードセグメントを構成するための化合物である。このため、化合物(1)は、その構造中のAとして、特定の芳香族炭化水素基をもつものであることを要する。具体的には、先に挙げたように、芳香族炭化水素基Aは、例えば、ベンゼン環骨格、非縮合ベンゼン環を2個以上有する芳香族多環骨格、及び、2個以上のベンゼン環を有する縮合多環骨格のいずれかである。このような骨格を有する化合物(1)の好適な具体例としては、下記式(1−1)〜(1−7)で表される化合物を挙げることができる。なお、式中のRは、水素原子或いはメチル基を表す。
Figure 2018035284
〔化合物(2)〕
化合物(2)は、下記一般式(2)で表され、式中のBは、炭素数1〜400の脂肪族炭化水素基である。該Bの構造中には、環状構造、芳香環、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、カーボネート基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。また、式中のXは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、これらの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。式中のnは、1〜10のいずれかの数である。なお、上記B及びXにおいて、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、いずれも置換基を有してもよく、置換基を有する場合、上記炭素数はその置換基の炭素を含む値である。また、上記炭素数は、エステル結合、カーボネート基の炭素を含まない値である。
Figure 2018035284
化合物(2)は、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネート化合物とを反応させることによって合成することができる。具体的には、ポリオールと、ジイソシアネート化合物とを、イソシアネート基が水酸基に対して過剰となる配合比で混合し、20〜150℃の温度で理論イソシアネート%になるまで反応させる。この結果、ポリオールの両末端にイソシアネート化合物が結合した、主鎖の両末端にイソシアネート基を有する化合物(2)を得ることができる。
上記ポリオールとポリイソシアネート化合物の反応は、官能基比(NCO/OH比)が1.2〜2.0程度となるようにすることが好ましい。(NCO/OH比)が、1.5〜2.0程度となるようにすることがより好ましい。すなわち、上記した官能基比となる程度にイソシアネート基が水酸基に対して過剰であれば、目的とする主鎖の両末端にイソシアネート基を有する化合物(2)をより確実に得ることができるため好ましい。
化合物(2)を得る際に使用可能なポリオールとしては、分子量が500〜3000の従来公知のポリオールを用いることができる。具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを用いることができる。
上記ポリエーテルポリオールは、2価のアルコール類に、アルキレンオキシドを付加することにより得られる。2価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4ブタンジオールなどが使用できる。また、アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドなどが挙げられる。これらのアルキレンオキシドは、2種類以上併用してもよい。
上記ポリエステルポリオールは、2価のアルコール類と、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体とを重合させることにより得ることができる。2価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4ブタンジオールなどが使用できる。また、ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸などの脂肪族系ジカルボン酸や、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族系ジカルボン酸などを使用することができる。2価アルコール類とジカルボン酸は、それぞれ2種類以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールを得るための別の重合方法としては、2価のアルコール類を開始剤としたラクトンの開環重合が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールの具体例としては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
上記したいずれのポリオールも、市場から入手したポリオールを用いてもよい。また、上記したポリオールは、2種類以上を併用してもよい。
化合物(2)の合成に使用可能なイソシアネート化合物としては、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、下記に挙げるような芳香族ジイソシアネートや、脂肪族ジイソシアネートや、脂環式ジイソシアネートや、さらに、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどが使用できる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDIなどが挙げられる。また、上記に挙げたジイソシアネートと、低分子量のポリオール又はポリアミンとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを使用することができる。
化合物(2)を製造する反応の際には、必要に応じて触媒を加えてもよい。触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネートなどの、金属と有機酸又は無機酸との塩;有機金属誘導体;トリエチルアミンなどの有機アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒などを挙げることができる。
化合物(2)を製造する際は、溶剤を用いずに合成してもよいし、有機溶剤を用いて合成してもよい。合成に使用する有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤や、イソシアネート基に対して反応成分よりも低活性な有機溶剤を用いることができる。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
〔ポリアミン化合物〕
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、ポリカーボネート化合物(1)と、ポリイソシアネート化合物(2)と、ポリアミン化合物とを重付加反応してなる、熱可塑性を有する反応物である。ポリアミン化合物としては、2つ以上のアミノ基を有するものであれば、従来公知のいずれの化合物であっても用いることができる。このようなアミン化合物の好適例としては、下記のものが挙げられる。例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノへキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの鎖状脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,6−シクロヘキサンジアミン、ピペラジンなどの環状脂肪族ポリアミン;キシリレンジアミンなどの芳香環を持つ脂肪族ポリアミン;2,5−ジアミノピリジン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンなどを挙げることができる。これらのポリアミン化合物は、目的とする本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の機械物性に合わせて適宜選択して用いることができ、また、2種類以上の化合物を併用してもよい。
〔その他のカーボネート化合物〕
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、上記したように、化合物(1)と、化合物(2)と、ポリアミン化合物とを重付加反応してなる反応物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上述の化合物(1)以外の、シクロカーボネート基を有するカーボネート化合物(以下、「その他のカーボネート化合物」と記載)を併用してなる反応物であってもよい。その他のカーボネート化合物としては、脂肪族又は脂環族のシクロカーボネート基を有するカーボネート化合物を用いることができる。このような、その他のカーボネート化合物の具体例としては、下記式(2−1)〜(2−8)で表される化合物を挙げることができる。なお、式中のRは、水素原子或いはメチル基である。
Figure 2018035284
〔ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の物性〕
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、その数平均分子量が、15000〜50000の範囲であることが好ましい。平均分子量が上記範囲よりも小さい場合は、塗膜やフィルムを成形した際に十分な強度が得られない場合があるので好ましくない。一方、平均分子量が上記範囲よりも大きい場合は、塗料にした場合の塗工性や作業性に劣り、また、溶融して成形するときには、成形性に劣る傾向があるので好ましくない。
通常、ウレタン樹脂を一般的なプラスチックの代替材料として使用するためには、優れた機械的強度及び柔軟性を有することが要求される。従って、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、形成した50μmのフィルムを測定試料とした場合、25℃における破断強度が30MPa以上であり、破断伸度が200%以上であることが好ましい。さらに、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の熱軟化温度は、100℃以上であることが好ましい。
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、該樹脂の原材料である、前記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)を、エポキシ化合物と二酸化炭素の反応によって形成された反応物で構成することができる。このため、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、二酸化炭素由来の構造部分の含有量を高い水準に維持しながらも、機械強度および柔軟性を高い自由度で変化させることができるものとなる。
[ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法]
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、特有のポリカーボネート化合物(1)と、特有のポリイソシアネート化合物(2)と、ポリアミン化合物とを、重付加反応してなる熱可塑性を有する反応物である。このため、その製造方法は、前述のポリカーボネート化合物(1)と、ポリアミン化合物と、前述のポリイソシアネート化合物を重付加反応させる工程を有すればよい。しかし、本発明者らの検討によれば、ポリアミン化合物と、ポリイソシアネート化合物(2)の繰り返し単位(ブロック)は、ウレア結合の水素結合が強く、ブロックが大きくなると、軟化温度が非常に高くなったり、機械的物性に影響が大きく、調整が困難になる。
上記の理由から、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法では、まず、前述のポリカーボネート化合物(1)と、ポリアミン化合物とを、下記式で定義される官能基当量比0.95〜0.5で反応させてアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得、その後に、得られたアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーと、前述のポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得ることとしている。

Figure 2018035284

上記式中の官能基とは、その製造に用いた本発明で規定するポリカーボネート化合物(1)と、ポリアミン化合物が、それぞれの1分子中に有する、シクロカーボネート基又は1級アミノ基の個数である。
上記した本発明の製造方法の最初の工程で得られるアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーは、前記した一般式(1)中のAの部分に、芳香族炭化水素基(芳香環)を有するポリカーボネート化合物(1)と、ポリアミン化合物の重付加反応により得られるブロックであるため、芳香環とウレタン結合と水酸基により、凝集力を有するセグメントとなる。本発明の製造方法では、上記した最初の工程で、ポリカーボネート化合物(1)とポリアミン化合物とをブロック化してアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーとし、次に、このプレポリマーと、特有の構造を有するポリイソシアネート化合物(2)とを共重合させることを特徴とする。このようにして共重合させると、上記ヒドロキシウレタンブロックにウレア結合が生成し、凝集力が増す。本発明の製造方法では、上記したように、重付加反応を2段階にしたことで、プレポリマー法によりブロックの大きさを一定にすることを可能としており、この結果、得られるポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を利用することで、耐熱性、機械的強度、伸びなどの性能が安定した製品が得られる樹脂材料を安定して製造することができるようになる。
本発明の製造方法において、上記アミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーの官能基当量比が0.5よりも小さいと、製造されるポリヒドロキシウレタンウレア樹脂中の二酸化炭素に由来する構造部分の含有量が低下し、環境への負荷低減効果が小さくなるので好ましくない。一方、官能基当量比が0.95よりも大きいと、凝集力が大きなヒドロキシウレタンブロックの割合が大きくなりすぎ、その後に反応させる化合物(2)の含有量が相対的に少なくなることから、柔軟性、耐熱性の効果が十分に発揮されるものとならないので好ましくない。
本発明の製造方法における具体的な工程としては、下記の方法が挙げられる。上記のアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得る第1の重付加反応工程では、例えば、溶剤の存在下又は非存在下、前記一般式(1)で表されるシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、ポリアミン化合物とを、先述した式より算出される官能基当量比が0.95〜0.5になるように、例えば、40〜200℃で、1〜24時間反応させる。これにより、中間体となるアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得ることができる。本発明の製造方法では、次の第2の重付加反応工程で、上記のようにして得た中間体のアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーと、本発明で規定する一般式(2)で表されるポリイソシアネート化合物(2)とを、例えば、10〜170℃で、0.5〜3時間反応させることで、所望する特性の本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得る。
先述したように、本発明の製造方法における第1の工程では、前記化合物(1)と、ポリアミン化合物とを、前記式で定義される官能基当量比が0.95〜0.5となるように重付加反応させてアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得る。先に述べたように、本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、本発明で規定する化合物(1)以外に、その他のシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物を使用して重付加反応してなるものであってもよい。この場合、本発明で規定する官能基当量比は、それぞれのポリカーボネート化合物について、前記式で定義される官能基当量比を算出し、これらの算出値を合算した値とする。
また、本発明の製造方法の第2の重付加反応工程では、下記のように構成することが好ましい。すなわち、第1の重付加反応工程で得られるアミノ基末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミノ基に対する、両末端にイソシアネート基を有する構造の化合物(2)のポリイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、NCO/NH2比が0.8〜1.2となるようにすることが好ましい。より好ましくは、NCO/NH2比が0.9〜1.1となるようにして反応させることが好ましい。前記した第1の重付加反応工程で、アミン価が10〜260mgKOH/g程度であるアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得、分子量が500〜5000である、前記したポリイソシアネート化合物(2)と重付加反応させることが好ましい。
本発明の製造方法において、反応を溶剤下で行う場合、使用可能な有機溶剤としては、使用する原料や、得られるポリヒドロキシウレタンウレア樹脂に対して、不活性な有機溶剤であればいずれを用いてもよい。このような有機溶剤としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテルなどを挙げることができる。
上記の各工程においては、反応を促進させるべく、触媒の存在下で反応を行うことも好ましい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジンなどの塩基性触媒;テトラブチル錫及びジブチル錫ジラウリレートなどのルイス酸触媒などを用いることができる。また、触媒の使用量は、反応させる化合物の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部程度とすることが好ましい。
有機溶剤の存在下で製造された本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、そのままの状態で用いることもできる。また、貧溶媒を添加してポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を沈殿させて回収したり、加熱して溶剤を揮発させた後、用途に適した溶剤に再溶解して使用することもできる。
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、必要に応じて下記に挙げるような添加剤を加えて使用してもよい。例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、加水分解防止剤(カルボジイミドなど)、金属不活性剤などの添加剤を使用することができる。これらは2種類以上を併用してもよい。
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、必要に応じて他の樹脂とブレンドして用いてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フェノール樹脂、ロジンやテルペンなどの樹脂などが挙げられる。
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を溶液の形で、コーティング剤として使用する際には、架橋剤を加えてもよい。架橋剤としては、水酸基と反応するものであればいずれも使用できる。具体的には、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート、酸無水物、シランカップリング剤などが好ましいものとして例示される。
上記した架橋剤の中でも特に好ましくはポリイソシアネートであり、具体的には、MDI、TDI、HDI、IPDI、並びにこれらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体;ポリメリックMDI、末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<カーボネート化合物(1)の製造>
(製造例1:化合物(I))
撹拌機、温度計、ガス導入管、及び、還流冷却器を備えた反応容器に、エポキシ当量190g/eqのビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名「YD−128」、新日鉄住金化学社製)を100部、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を100部、及びヨウ化ナトリウム(和光純薬製)20部を入れて、均一に溶解した。撹拌下、炭酸ガスを0.5L/minの速度で導入しながら、100℃で10時間反応した。反応後、イソプロピルアルコール2000部を加えて、析出した白色沈殿をろ取し、乾燥機で乾燥して白色の粉末を得た。
赤外分光光度計(商品名「FT−720」、堀場製作所社製)を使用して得られた粉末をIR分析したところ、910cm-1付近の原材料のエポキシ基由来の吸収ピークが消失し、新たに1800cm-1付近にカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが生じていることが分かった。このため、得られた粉末は、エポキシ基と二酸化炭素との反応により形成された環状構造のカーボネート基を有する、下記式(I)で表される化合物(化合物(I)と称す)と確認された。下記式(I)の構造から算出される、化合物(I)中の二酸化炭素由来の構造部分の割合(以下、二酸化炭素含有率と記載)は、20.6%であった。他の例においてもIR分析は上記した装置を用いて行った。
Figure 2018035284
後述する実施例では、上記で得たポリカーボネート化合物を、ポリアミン化合物と反応させたが、その場合に、本発明で規定する式で定義される官能基当量比の範囲内となるように設計した。上記の構造式の式量は428であるが、官能基当量比を調整する際に使用した化合物(I)の分子量には、実測値の448を使用した。式量と実測値が異なる理由は、合成した化合物(I)には2量体等の副生物が含まれることによる。なお、以下の化合物の分子量も、官能基当量比を設計する際に使用した分子量を示した。
(製造例2:化合物(II))
製造例1で使用したビスフェノールAジグリシジルエーテルに替えて、エポキシ当量が115g/eqの、ハイドロキノンジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX203」、ナガセケムテックス社製)を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、下記式(II)で表される化合物(化合物(II)と称す)を得た。化合物(II)の分子量は320である。下記式(II)の構造から算出される二酸化炭素含有率は、28.4%であった。なお、下記の構造であることは、製造例1と同様の方法で確認した。
Figure 2018035284
(製造例3:化合物(III))
製造例1で使用したビスフェノールAジグリシジルエーテルに替えて、エポキシ当量が135g/eqの、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名「デナコールEX212L」、ナガセケムテックス社製)を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、下記式(III)で表される化合物(化合物(III)と称す)を得た。下記式(III)の構造から算出される二酸化炭素含有率は、27.7%であった。化合物(II)の分子量は320である。なお、下記の構造であることは、製造例1と同様の方法で確認した。化合物(III)は、前記した一般式(1)中のAが炭素数6の脂肪族炭化水素基である構造のものであり、本発明で規定する一般式(1)に含まれるものではない。
Figure 2018035284
(製造例4:化合物(IV))
製造例1で使用したビスフェノールAジグリシジルエーテルに替えて、エポキシ当量が435g/eqの、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名「エポゴーセーPT」、四日市合成社製)を用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、下記式(IV)で表される化合物(化合物(IV)と称す)を得た。下記式(IV)の構造から算出される二酸化炭素含有率は、9.2%であった。化合物(IV)は、前記した一般式(1)中のAが、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基である構造のものであり、本発明で規定する一般式(1)に含まれるものではない。なお、下記式(IV)中のnは、分子量が958となる値である。
Figure 2018035284
<ポリイソシアネート化合物の製造例>
(製造例5:化合物(V))
撹拌機、温度計、及び、還流冷却器を備えた反応容器に、水酸基価173mgKOH/gのポリテトラメチレングリコール(商品名「ポリTHF650S」BASF社製)を100部と、水添加XDI(キシリレンジイソシアネート)を58.2部入れた。そして、固形分が30%になるように、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)を入れて均一に溶解した後、60℃で7時間反応した。NCO%が2.32%となったことを確認し、下記式(V)で表される化合物(以下、化合物(V)と称す)を得た。化合物(V)は、下記式(V)で表される構造を有し、分子量は1087である。具体的には、下記式(V)中のmは、平均値が8.8となる数であり、化合物(V)は、本発明で規定する一般式(2)に含まれるものである。すなわち、前記一般式(2)に照らすと、一般式(2)中のnが1.06であり、Xが、水添加XDI由来のシクロヘキサンを含む炭素数8の脂環式炭化水素基であり、Bが、ポリテトラメチレングリコール由来の、平均の炭素数が35のエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基である。
Figure 2018035284
(製造例6:化合物(VI))
製造例5で使用したポリテトラメチレングリコールの代わりに、水酸基価112mgKOH/gのポリプロピレングリコール100部を用い、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)32.8部にした以外は、前述の製造例5同様にして、下記式(VI)で表される化合物(以下、化合物(VI)と称す)を得た。その際、溶液のNCO%が1.81%となったことを確認して、化合物(VI)を得た。得られた化合物(VI)は、下記式(VI)で表される構造を有し、分子量は1395である。具体的には、下記式(VI)中のmは、平均値が17となる数であり、化合物(VI)は、本発明で規定する一般式(2)に含まれるものである。すなわち、前記一般式(2)に照らすと、一般式(2)中のnが1.05であり、Xが、ヘキサメチレンジイソシアネート由来の、炭素数6の脂肪族炭化水素基であり、Bが、ポリプロピレングリコール由来の、平均の炭素数が51のエーテル結合を有する脂肪族炭化水素基である。
Figure 2018035284
<ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造>
(実施例1)
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して内部を窒素置換した後、製造例1で得た化合物(I)を44.8部と、ポリアミン化合物として、ヘキサメチレンジアミン(HMD、分子量116)17.4部を入れた。そして、固形分が30%となるようにDMFを入れて均一に溶解させた後、撹拌しながら80℃で8時間反応させてアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られた樹脂の一部をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが分かった。また、得られた樹脂のアミン価は、90.2mgKOH/gであった。上記したアミン価は、固形分換算値であり、以下の実施例も同様である。
次に、上記の反応容器中に、製造例5で得たイソシアネート化合物(V)の固形分30%DMF溶液を171.3部加え、30℃で2時間反応させることにより、本実施例のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液を得た。そして該溶液からポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。得られた樹脂の一部をIR分析したところ、2270cm-1付近のイソシアネート基の吸収ピークが消失し、1650cm-1付近にウレア結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが分かった。また、得られた樹脂の数平均分子量は43500であった。
(実施例2)
製造例1で得た化合物(I)を89.6部、ヘキサメチレンジアミン(HMD)29.0部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、アミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液、及び、本実施例のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。得られたアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミン価は47.2mgKOH/gであった。また、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の数平均分子量は38000であった。
(実施例3)
実施例1で用いた化合物(I)の替わりに、製造例2で得た化合物(II)を32.0部用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、アミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液、及び、本実施例のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。得られたアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミン価は113.6mgKOH/gであった。また、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の数平均分子量は35200であった。
(実施例4)
製造例1で得た化合物(I)を89.6部、ポリアミン化合物として、エチレンジアミン(EDA、分子量60)を15.0部用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、アミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液、及び、本実施例のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。得られたアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミン価は53.6mgKOH/gであった。また、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の数平均分子量は27900であった。
(実施例5)
ポリイソシアネート化合物として、実施例1で用いた化合物(V)の替わりに、製造例6で得た化合物(VI)を221.3部用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、アミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液、及び、本実施例のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。得られたアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミン価は90.2mgKOH/gであった。また、ポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の数平均分子量は40000であった。
(比較例1)
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して内部を窒素置換した後、製造例1で得た化合物(I)を44.8部と、ヘキサメチレンジアミン(HMD)11.6部とを入れた。そして、固形分が30%となるようにDMFを入れて、均一に溶解させた後、撹拌しながら80℃で12時間反応させてポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。そして、該溶液からポリヒドロキシウレタン樹脂を得た。得られた樹脂の一部をIR分析したところ、1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが分かった。
(比較例2)
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を備えた反応容器を用意して内部を窒素置換した後、製造例1で得た化合物(I)を44.8部、及びヘキサメチレンジアミン(HMD)17.4部を入れた。そして、固形分が30%となるようにDMFを入れて均一に溶解させた後、撹拌しながら80℃で8時間反応させてアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。得られたアミン末端ポリヒドロキシウレタン樹脂のアミン価は90.2mgKOH/gであった。
次いで、製造例4で得た化合物(IV)の30%DMF溶液159.6部を加え、80℃で5時間反応し、ポリヒドロキシウレタン樹脂の溶液を得た。そして該溶液からポリヒドロキシウレタン樹脂を得た。得られた樹脂の一部をIR分析したところ1800cm-1付近のカーボネート基(カルボニル基)由来の吸収ピークが消失しており、新たに1760cm-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収ピークが生じていることが分かった。
(比較例3)
製造例3で得た比較用の化合物(III)32.0部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の溶液、及びポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得た。
表1に、実施例及び比較例の各樹脂の合成に用いた、化合物の種類と、本発明の請求項6で規定する官能基当量比を示した。実施例1〜5と比較例3では、先述した製造例5又は6で製造した、本発明で規定する一般式(2)で表される構造のポリイソシアネート化合物を用いた。表2に、実施例及び比較例の各樹脂の物性値と、その評価を示した。その際の評価方法は、後述する方法にて試験し、記載の方法で評価した。
Figure 2018035284
Figure 2018035284
<評価>
実施例及び比較例の各樹脂或いは樹脂溶液について、下記のような方法及び評価基準で評価した。
(二酸化炭素(CO2)含有率)
実施例及び比較例の各樹脂の化学構造中における、原料としたカーボネート化合物中の二酸化炭素に由来する構造部分(セグメント)の占める割合を二酸化炭素(CO2)含有率(質量%)として算出した。具体的には、樹脂を製造する際に使用したモノマー中の二酸化炭素の理論量を二酸化炭素含有率として算出した。
実施例1で得た樹脂を例に挙げると、化合物(I)中の二酸化炭素由来の構造部分は20.6%であるため、実施例1で得た樹脂の二酸化炭素含有率は、(44.8部×20.6%)/113.6部=8.1%となる。同様にして実施例2〜5及び比較例1〜3で得た樹脂の二酸化炭素含有率を算出した。結果を表2に示した。
(破断強度及び破断伸度)
実施例及び比較例の樹脂溶液を離型紙上に塗布した後、乾燥して溶媒を除去することで厚さ約50μmのフィルム(試験片)を作製した。作製した試験片につき、オートグラフ(商品名「AGS−J」、島津製作所社製)を使用し、JIS K−6251に準拠した測定方法によって室温(25℃)における破断強度(MPa)及び破断伸度(%)を測定した。結果を表2に示した。
(熱軟化温度)
実施例及び比較例の樹脂溶液を離型紙上に塗布した後、乾燥して溶媒を除去することで厚さ約50μmのフィルム(試験片)を作製した。作製した試験片を、ガラス窓付の回転式ギアの付帯したオーブン中に、フィルムの断面積に対しての重さが450g/cm2になるように下部に重りを付けて固定した。そして、2℃/分の速度で昇温を行い、フィルムが軟化して急激に伸びるもしくは破断する温度を測定した。結果を表2に示した。
(耐ブロッキング性)
実施例及び比較例の樹脂溶液を100μmのPETフィルム上に塗布し、乾燥して溶媒を除去することで厚さ約50μmのコートフィルムを作成した。作成した試験片につき、塗布面同士を重ね合わせて40℃のオーブン中に、60g/cm2になるように荷重をかけて1時間静置した。そして、常温に冷却した後、塗布面同士を剥離して、その様子を目視で観察し、以下の規準で評価した。結果を表2に示した。
<評価基準>
○:完全に剥がれる
△:一部剥がれない
×:全面剥がれない
表2に示したように、実施例1〜5の樹脂は、二酸化炭素含有率が高く維持されながらも強度及び柔軟性に優れていることが分かる。これは、前記一般式(1)で表されるポリカーボネート化合物(1)と、2以上のアミノ基を有するポリアミン化合物とが反応してなるポリヒドロキシウレタンセグメントの凝集力による強度と、前記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物による柔軟性付与によると考えられる。また、実施例1〜5の樹脂は、本発明で規定する芳香環を含んだポリカーボネート化合物(1)を用いて誘導されるポリヒドロキシウレタンセグメントの耐熱性と適度なウレア結合の導入で熱軟化温度が上昇し、耐ブロッキング性も良好になったと考えられる。さらに、表2に示したように、実施例1〜5の樹脂は、従来のポリヒドロキシウレタン樹脂である比較例1の樹脂に比して、強度はほぼ同等でありながら、柔軟性に優れたものであることが分かる。
一方、従来のポリヒドロキシウレタン樹脂である比較例1の樹脂は、二酸化炭素含有率は高いが、前記一般式(2)で表される、2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)を使用していないため、柔軟性に劣り、破断伸度の値が小さく、固く脆い樹脂であることが分かる。また、比較例2の樹脂は、比較例1と同様、前記一般式(2)で表される、2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)を使用していないものの、ポリカーボネート化合物として、本発明で規定する前記一般式(1)に含まれる化合物(I)に、本発明で規定する前記一般式(1)に含まれない、具体的には、Aが芳香族炭化水素基でなく、Aが、柔軟性が付与できる構造の、脂肪族炭化水素基あるポリカーボネート化合物(IV)を併用しているため、破断伸度の値は高く、柔軟性は優れている。しかし、比較例2の樹脂は、破断強度が十分ではなく、熱軟化点も低くなっており、耐ブロッキング性に劣ることが分かる。また、比較例3の樹脂は、ポリカーボネート化合物として、本発明で規定する前記一般式(1)に含まれない、具体的には、式(1)中のAが芳香族炭化水素基でなく、炭素数6の脂肪族炭化水素基である構造の、芳香環を含まない化合物(III)を用いており、このことが原因して、実施例1や3の樹脂と異なり、ポリヒドロキシウレタンのセグメントの凝集力が弱く、柔軟性を有するが、強度が低く熱軟化温度も低くなったものと考えられる。
本発明のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂は、環境対応性に優れているとともに、十分な強度及び柔軟性を有し、且つ、高い熱軟化温度を有していることから、例えば、成形材料、塗料、コーティング剤などに用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物と、下記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応してなることを特徴とするポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
    Figure 2018035284
    (一般式(1)中、Aは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。)
    Figure 2018035284
    (一般式(2)中、Bは、炭素数1〜400の脂肪族炭化水素基であり、その構造中に、環状構造、芳香環、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、カーボネート基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。また、Xは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、これらの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。nは、1〜10のいずれかの数である。)
  2. 前記化合物(1)が、エポキシ化合物と二酸化炭素の反応によって形成された反応物であり、前記二酸化炭素由来の構造部分を含み、前記反応物中における前記二酸化炭素由来の構造部分の含有量が、前記反応物全体を基準として2〜20質量%である請求項1に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
  3. 前記一般式(1)中のAが、下記式で表されるいずれかである請求項1又は2に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
    Figure 2018035284
    (式中のRは、水素原子又はメチル基を示す。)
  4. 形成した50μmのフィルムについての、25℃における引張破断強度が30MPa以上、破断伸度が200%以上であり、且つ、熱軟化温度が100℃以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
  5. その数平均分子量が、15000〜50000である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂。
  6. 下記一般式(1)で表される2つのシクロカーボネート基を有するポリカーボネート化合物(1)と、2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物を、下記式で定義される官能基当量比0.95〜0.5で重付加反応させてアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーを得、得られたアミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーと、下記一般式(2)で表される2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(2)とを重付加反応させてポリヒドロキシウレタンウレア樹脂を得ることを特徴とするポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法。
    Figure 2018035284
    (一般式(1)中、Aは炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であり、その構造中に、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。)
    Figure 2018035284
    (一般式(2)中、Bは、炭素数1〜400の脂肪族炭化水素基であり、その構造中に、環状構造、芳香環、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、カーボネート基、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。また、Xは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜40の芳香族炭化水素基のいずれかであり、これらの構造中には、エーテル結合、アミノ結合、スルホニル結合、エステル結合、水酸基及びハロゲン原子のいずれかを含んでいてもよい。nは、1〜10のいずれかの数である。)

    Figure 2018035284

    (式中の官能基とは、前記ポリカーボネート化合物と前記ポリアミン化合物が、それぞれの1分子中に有する、シクロカーボネート基又は1級アミノ基の個数である。)
  7. 前記アミノ基末端ポリヒドロキシウレタンプレポリマーのアミン価が、10〜260mgKOH/gであり、前記ポリイソシアネート化合物(2)の分子量が、500〜5000である請求項6に記載のポリヒドロキシウレタンウレア樹脂の製造方法。
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