JP2018035011A - 単結晶の製造方法及びその装置 - Google Patents

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栄三郎 神田
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Abstract

【課題】回転引上げ法にて単結晶を製造するに当たり、単結晶原料が完全に融解した時点を正確に判定する。【解決手段】ルツボ1に収容された単結晶原料Qを完全に融解して原料融液10とする原料融液作製工程と、原料融液作製工程を経た後、ルツボ1内の原料融液10に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて単結晶Zを育成する育成工程と、を備え、原料融液作製工程は、ルツボ1を加熱して単結晶原料Qを融解する原料融解工程Aと、原料融解工程Aにて単結晶原料Qを融解する過程で原料融液10の表面若しくは表面付近からの輻射光強度FPを測定する測定工程Bと、測定工程Bにて測定された輻射光強度FPが極大Mになる時点tmを単結晶原料Qが完全に融解した時点として判定する判定工程Cと、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、弾性表面波素子や振動子に使用されるニオブ酸リチウム 、ニオブ酸タンタル等の単結晶を回転引上げ法により製造する単結晶の製造方法に係り、特に、単結晶原料が完全に融解したことを正確に把握することが可能な単結晶の製造方法及びその装置に関する。
従来、ニオブ酸リチウム 、ニオブ酸タンタル等の高融点酸化物単結晶材料の大型結晶は、通常、回転引上げ(CZ)法により製造されている。この回転引上げ法は、高融点の白金やイリジウム製のルツボに原料を入れ、高周波加熱によって、融点以上まで温度を上げて原料を完全融解し、その後、適切な温度に保ち、原料融液上部から種結晶を回転させながら原料融液に種付けし、続いて回転引上げして単結晶を育成する方法である。
この際、温度上昇させ過ぎずに単結晶原料を完全融解させること、および、その後すみやかに所定の温度に制御することが、製造時間の短縮になるので、完全融解を正確に把握することが重要である。
特許文献1では、この点に鑑み、ルツボ底に設置した熱電対温度計の時間微分を測定することで、この課題に一つの解決を提示している。それによれば、熱電対温度の時間微分値から、融解開始温度と終了すなわち完全融解を検知し、この情報を基に加熱パワーを適切に制御することで、種付けまでの時間を短縮できることが示されている。
一方、特許文献2では、シリコン単結晶引上げにおいて、多結晶原料が融液中にある場合の測定温度のバラツキと、原料が完全に溶け終わりシリコン融液の温度がある程度安定した時の検出温度のバラツキの違いを検出することにより、多結晶シリコン原料が溶け終わったことを検出する方法が開示されている。これは、多結晶シリコンが周囲の高温部からの輻射を反射することを利用している。
特許第3832527号(発明の実施の形態,図1) 国際公開WO2002−010486号(発明を実施するための最良の形態,図1)
特許文献1における原料融液の融解終了判定は、温度の時間に対する二階微分値が負から正になること、あるいは、同条件かつその温度変化速度が0.1℃/min以上になる点で与えられている。しかし、この温度二階微分値は、当然のことであるが、炉の大きさや構造、あるいは原料の重量によって異なることになる。すなわち、引上げ条件毎にその値を事前に調べる実験を行うことが必要であり、測定したとしても、経時変化のありえることは否めない。一方、熱電対はルツボの外側になるので、原料の完全融解が伝わるには若干の時間遅れが原理的に発生する。従って、実際上は、ルツボ底温度の変化やカメラで見た画像を基にして、作業者が完全融解点を判断せざるを得ないのが現状である。
また、特許文献2あっては、多結晶シリコンに代えて本発明が主に対象とする酸化物単結晶を用いて測定してみると、特許文献2に示すような検出温度のバラツキの顕著な変化は観測されない。これは、酸化物単結晶が多結晶シリコンとは形態や光学特性が異なるためと推測される。
本発明が解決しようとする技術的課題は、回転引上げ法にて単結晶を製造するに当たり、単結晶原料が完全に融解した時点を正確に判定することにある。
発明者らは、引上げ機構にてルツボに単結晶原料を入れて、一定電力で加熱しながら、(1)ルツボ底の温度測定、(2)原料融液の表面状態を撮像素子で撮影して原料融液の流れを観察すること、(3)原料融液の表面からの輻射光を分光測定することを含む実験を、繰り返し行った。その結果、(2)の情報から完全融解であろうと推定される時点で、いずれの実験でも(3)の測定値が大きく変化することを見出し、本発明を案出するに至った。
本発明の第1の技術的特徴は、原料融液を収容するルツボと、前記ルツボを加熱する加熱手段とを用い、回転引き上げ法にて単結晶を製造するに際し、前記ルツボに収容された単結晶原料を完全に融解して原料融液とする原料融液作製工程と、前記原料融液作製工程を経た後、前記ルツボ内の原料融液に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて単結晶を育成する育成工程と、を備え、前記原料融液作製工程は、前記ルツボを加熱して前記単結晶原料を融解する原料融解工程と、前記原料融解工程にて単結晶原料を融解する過程で前記原料融液の表面若しくは表面付近からの輻射光強度を測定する測定工程と、前記測定工程にて測定された前記輻射光強度が極大になる時点を前記単結晶原料が完全に融解した時点として判定する判定工程と、を含むことを特徴とする単結晶の製造方法である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた単結晶の製造方法において、前記原料融液作製工程は、前記判定工程にて前記単結晶原料が完全に融解した時点と判定されたとき、前記原料融解工程のルツボの加熱条件を前記単結晶原料が完全に融解する前の加熱条件から変化させ、完全に融解した原料融液を予め決められた目標温度に保持する加熱制御工程を備えることを特徴とする単結晶の製造方法である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた単結晶の製造方法において、前記判定工程は、前記単結晶原料が融解する過程において、前記単結晶原料が完全に融解する可能性のある前記輻射光強度の下限値を予め決められた閾値とし、当該閾値以上の温度域において前記単結晶原料が完全に融解した時点の判定処理を実施することを特徴とする単結晶の製造方法である。
本発明の第4の技術的特徴は、原料融液が収容されるルツボと、前記ルツボを加熱する加熱手段と、前記ルツボ内の原料融液に浸漬した種結晶を引き上げて単結晶を育成する引上げ機構と、前記ルツボの温度を測定する第1の測定器と、前記単結晶原料が融解する過程において原料融液の表面若しくは表面付近からの輻射光強度を測定する第2の測定器と、前記第1及び第2の測定器の測定信号に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記ルツボに収容された単結晶原料を完全に融解して原料融液とする原料融液作製制御部を有し、前記原料融液作製制御部は、前記加熱手段の出力を予め決められたレベルに設定することで前記ルツボを加熱して前記単結晶原料の融解を開始する第1の加熱制御部と、前記第2の測定器による測定動作を継続的に実施し、前記第2の測定器による測定結果が極大になったときに前記単結晶原料が完全に融解したと判定する判定部と、前記判定部により前記単結晶原料が完全に融解して原料融液に至ったと判定されたときに前記加熱手段の出力を前記単結晶原料が完全に融解する前の出力よりも低く設定し、前記第1の測定器による測定結果に基づいて前記原料融液を予め決められた目標温度に保持する第2の加熱制御部と、を有することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記第2の測定器は、可視域に感度を有する光学センサであることを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記第2の測定器は、可視域に感度を有する分光光度計であって、前記輻射光強度を測定するときに前記可視域の予め決められた波長域範囲の積分値を使用することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第7の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記第2の測定器は、可視域に感度を有する分光光度計であって、前記輻射光強度を測定するときに前記可視域内で選定された少なくとも2波長に依存する測定値に基づく演算値を使用することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第8の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記第2の測定器は400nm乃至800nmの波長帯域を利用することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第9の技術的特徴は、第5の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記原料融液作製制御部は、前記第2の測定器による前記輻射光強度が予め決められた許容範囲を超えるときに、前記輻射光強度を前記許容範囲内に収めるように前記第2の測定器である光学センサの感度を補正することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第10の技術的特徴は、第6又は7の技術的特徴を備えた単結晶の製造装置において、前記原料融液作製制御部は、前記第2の測定器による前記輻射光強度が予め決められた許容範囲を超えるときに、前記輻射光強度を前記許容範囲内に収めるように前記第2の測定器である分光光度計の露光時間を補正することを特徴とする単結晶の製造装置である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、回転引上げ法にて単結晶を製造するに当たり、単結晶原料が完全に融解した時点を正確に判定することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、回転引上げ法にて単結晶を製造するに当たり、単結晶原料が完全に融解した時点で、完全融解した原料融液に適合する加熱条件を迅速に選択することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、本構成を有さない態様に比べて、単結晶原料の完全融解に対する判定精度を向上させることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、回転引上げ法にて単結晶を製造するに当たり、単結晶原料が完全に融解した時点を正確に判定することが可能な単結晶の製造方法を装置として具現化することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、第2の測定器による輻射光強度を安価に捕捉することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、第2の測定器による輻射光強度を予め決められた波長域範囲の積分値を用いて正確に捕捉することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、第2の測定器による輻射光強度を少なくとも2波長に依存する測定値を用いて正確に捕捉することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、第2の測定器による輻射光強度の測定にあたり、周囲からの輻射が相対的に少ない可視光を用い、原料融液からの輻射光強度を正確に捕捉することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、第2の測定器による測定経路の一部が汚れたとしても、第2の測定器としての光学センサの感度を補正することで、第2の測定器による輻射光強度の測定精度を良好に保つことができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、第2の測定器による測定経路の一部が汚れたとしても、第2の測定器としての分光光度計の露光時間を補正することで、第2の測定器による輻射光強度の測定精度を良好に保つことができる。
(a)は本発明に係る単結晶の製造方法の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中の原料融液作製工程の概要を示す説明図である。 本発明に係る単結晶の製造装置の実施の形態の概要を示す説明図である。 実施の形態1に係る単結晶の製造装置の全体構成を示す説明図である。 実施の形態1に係る単結晶の製造装置による単結晶の製造処理過程の一例を示すフローチャートである。 (a)は実施の形態1に係る単結晶の製造装置における原料融液の完全融解判定例を示す説明図、(b)は同製造装置における分光器の感度補正例を示す説明図である。 (a)は実施の形態1に係る単結晶の製造装置の変形の形態を示す要部説明図、(b)は(a)に示す変形の形態に係る単結晶の製造装置における光学センサの感度補正例を示すフローチャートである。 実施例1に係る単結晶の製造装置における原料融液作製工程の原料融液の状態変化を示す説明図である。 実施例1に係る単結晶の製造装置における分光器で取得されたスペクトラムの一例を示す説明図である。 実施例2に係る単結晶の製造装置における原料融液作製工程の原料融液の状態変化を示す説明図である。 実施例3に係る単結晶の製造装置における原料融液作製工程の原料融液の状態変化を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明に係る単結晶の製造方法の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は同単結晶の製造方法における原料融液作製工程の一例を示す説明図である。
単結晶の製造方法は、図1(a)に示すように、原料融液10を収容するルツボ1と、ルツボ1を加熱する加熱手段2とを用い、回転引き上げ法にて単結晶Zを製造するに際し、ルツボ1に収容された単結晶原料Qを完全に融解して原料融液10とする原料融液作製工程と、原料融液作製工程を経た後、ルツボ1内の原料融液10に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて単結晶Zを育成する育成工程と、を備えたものである。
そして、本例では、原料融液作製工程は、図1(b)に示すように、ルツボ1を加熱して単結晶原料Qを融解する原料融解工程Aと、原料融解工程Aにて単結晶原料Qを融解する過程で原料融液10の表面若しくは表面付近からの輻射光強度FPを測定する測定工程Bと、測定工程Bにて測定された輻射光強度FPが極大Mになる時点tmを単結晶原料Qが完全に融解した時点として判定する判定工程Cと、を含むものである。
このような技術的手段において、本実施の形態の製造対象としては例えばLT(タンタル酸リチウム)単結晶が挙げられるが、これに限定されるものではなく、LT以外のガーネット等の単結晶をも広く含む。
また、本例は、単結晶の製造方法として単結晶Zの育成工程の前に実施される原料融液作製工程に着目し、単結晶原料Qが融解する過程を解析し、単結晶原料Qが完全に融解した時点を正確に判定することが可能であることを見出したものである。
本例において、単結晶原料Qの融解過程を解析すると、単結晶原料Qはルツボ1を加熱すると、次第に融解していくが、完全融解に達するまでには、原料粉状態(固定状態)、固液共存状態、融液状態の三段階を経る。
ここで、単結晶原料QとしてLTを例に挙げると、原料融解する前では、原料は粉末状であるため光を通さず、原料が満たされていないルツボ1側面上部の発光のみが輻射光強度に現れ、原料表面からの発光もない。
次いで、固液共存状態では、ルツボ1周辺の耐火物の構成や加熱手段2(例えば高周波加熱コイル)の設定により、原料粉はルツボ1の上部から融解する場合と、ルツボ1の下部から融解する場合とに分けられるが、前者では、ルツボ1上部の原料粉が蓋となり、ルツボ1側面下部とルツボ1底部の発光を遮るため、ルツボ1側面上部の発光のみが輻射光強度として現れる。後者では、ルツボ1底に残った原料粉がルツボ1底の発光を遮るため、ルツボ1側面上部とルツボ1側面下部の発光が輻射光強度として現れる。
また、ルツボ1内の単結晶原料Qの融解状態を図示外のカメラにて観察したところ、完全融解前では、周辺から中心に向かう液流れ(自然対流)が見られるが、液流れに未融解の原料固体が混在しており、この固体は自然対流速度を弱める傾向にあると推測され、完全融解後は自然対流速度が急激に早まる傾向が見られる。
更に、加熱手段2にて加熱されるルツボ1の原料融液10の表面に接する付近の温度は原料融液10よりも高温になっている。原料融液10表面と接するルツボ1部分の温度は、加熱手段2の出力(パワー)と、自然対流や輻射熱によって奪われる放熱とのバランスで成立している。完全融解前は、加熱手段2による加熱により一定の速度で温度上昇していくが、完全融解と同時に増大する自然対流によってそれまでよりも多くの熱が奪われることから、完全融解後に急激に温度が降下する。このため、図1(b)に示すように、原料融液10の表面又は表面付近からの輻射光強度FPは一時的に減少し、完全に融解した時点tmで極大Mになるものと推測される。
すなわち、単結晶原料Qの完全融解を判定するには、原料融液10表面又は表面付近からの輻射光強度FPの時間変化を測定することが有効であり、その測定値が極大値を持つ時点にて単結晶原料Qが完全融解状態に至ったものと推測可能であることが判明した。
このように、本例では、原料融液10表面又は表面付近の輻射光強度FPの変化から、単結晶原料Qの完全融解時点を推測することが可能であることを見出し、原料融液作製工程として、原料融解工程A、測定工程B及び判定工程Cを含むようにしたのである。
次に、本実施の形態に係る単結晶の製造方法の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
本実施の形態において、原料融液作製工程の代表的態様としては、図1(b)に示すように、判定工程Cにて単結晶原料Qが完全に融解した時点tmと判定されたとき、原料融解工程Aのルツボ1の加熱条件を単結晶原料Qが完全に融解する前の加熱条件から変化させ、完全に融解した原料融液10を予め決められた目標温度に保持する加熱制御工程Dを備える態様が挙げられる。本例は、判定工程Cにて単結晶原料Qが完全に融解した後、完全融解した原料融液10に適した加熱条件を選定するようにしたものである。ここで、原料融液10は、完全融解すると、対流が激しくなり、自然対流による放熱が増加することを踏まえ、加熱制御工程Dは、原料融液10を予め決められた目標温度(完全融解前の加熱手段2の出力PWよりも低い出力を選定)に保持するように加熱条件を制御する。尚、図1(b)中、符号tcは加熱手段2の出力PWを低下する切替え時点を示すが、通常は判定工程Cにおける輻射光強度FPが極大Mに至った時点tmから予め決められた経過時間後の時点が用いられる。
また、原料融液作製工程の好ましい態様としては、図1(b)に示すように、判定工程Cは、単結晶原料Qが融解する過程において、単結晶原料Qが完全に融解する可能性のある輻射光強度FPの下限値を予め決められた閾値とし、当該閾値以上の温度域において単結晶原料Qが完全に融解した時点の判定処理を実施する態様が挙げられる。本例は、単結晶原料Qが完全に融解する可能性のある輻射光強度FPが所定の温度域以上の傾向にある例では、当該温度域の下限値未満で単結晶原料Qが完全に融解することは起こらないことから、ノイズなどの影響で、輻射光強度FPが所定の温度域未満で極大を示す状況に至ったとしても、それをノイズとして除去することが可能である。
更に、本実施の形態において、単結晶の製造装置は、図2に示すように、原料融液10が収容されるルツボ1と、ルツボ1を加熱する加熱手段2と、ルツボ1内の原料融液10に浸漬した種結晶を引き上げて単結晶Z(図1(a)参照)を育成する引上げ機構3と、ルツボ1の温度を測定する第1の測定器4と、単結晶原料Q(図1(a)参照)が融解する過程において原料融液10の表面若しくは表面付近からの輻射光強度FPを測定する第2の測定器5と、第1及び第2の測定器4,5の測定信号に基づいて加熱手段2を制御する制御手段6と、を備え、制御手段6は、ルツボ1に収容された単結晶原料Qを完全に融解して原料融液10とする原料融液作製制御部7を有し、原料融液作製制御部7は、加熱手段2の出力を予め決められたレベルに設定することでルツボ1を加熱して単結晶原料Qの融解を開始する第1の加熱制御部7aと、第2の測定器5による測定動作を継続的に実施し、第2の測定器5による測定結果が極大Mになったときに単結晶原料Qが完全に融解したと判定する判定部7bと、判定部7bにより単結晶原料Qが完全に融解して原料融液10に至ったと判定されたときに加熱手段2の出力を単結晶原料Qが完全に融解する前の出力よりも低く設定し、第1の測定器4による測定結果に基づいて原料融液10を予め決められた目標温度に保持する第2の加熱制御部7cと、を有するものである。
このような技術的手段において、ルツボ1は原料融液10を収容可能であれば適宜選定して差し支えないが、高融点酸化物単結晶を製造するには白金やイリジウム等の貴金属製のルツボを使用することが好ましい。
また、加熱手段2の代表的態様としては、ルツボ1の周囲に設けられ、ルツボ1を高周波誘導加熱する加熱コイルが挙げられるが、ルツボ1全体を加熱可能であれば適宜選定して差し支えない。
更に、引上げ機構3としては原料融液10から単結晶Z(図1(a)参照)を回転しながら引き上げて育成するものであれば公知のものを広く含み、適宜選定して差し支えない。尚、引上げ機構3はルツボ1内に単結晶原料Qを搬入する際に通常用いられる。
更にまた、第1の測定器4はルツボ1の温度を測定できるものであれば熱電対など適宜選定して差し支えなく、例えばルツボ1の底部中央や側壁の一部の温度を測定し、ルツボ1内の単結晶原料Qに対する加熱条件を制御するために用いられる。
また、第2の測定器5はルツボ1内の単結晶原料Qが融解していく過程で原料融液10の表面からの輻射光強度FPを測定するものであれば、分光光度計、フォトダイオード等の光学センサを適宜選定して差し支えない。尚、原料融液10の表面付近からも同様な輻射光が生じているので、測定ポイントとしては原料融液10の表面付近でもよい。
また、制御手段6は、第1、第2の測定器4,5の測定信号に基づいて加熱手段2を制御するものであればよく、本例では、主として原料融液10を作製するための制御部に着目したものである。ここで、原料融液作製制御部7は、第1の加熱制御部7a、判定部7b、及び、第2の加熱制御部7cを有し、判定部7bによる原料融液10の完全融解の判定を境に、第1の加熱制御部7aと第2の加熱制御部7cとを切り替えるようにすればよい。
次に、本実施の形態に係る単結晶の製造装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
第2の測定器5の代表的態様としては例えば以下のものが挙げられる。
(1)可視域に感度を有するフォトダイオード等の光学センサ。
(2)可視域に感度を有する分光光度計であって、輻射光強度FPを測定するときに可視域の予め決められた波長域範囲の積分値を使用する態様。本例は、分光光度計の予め決められた波長域範囲の積分値を使用し、輻射光強度FPの測定値としたものである。
(3)可視域に感度を有する分光光度計であって、輻射光強度FPを測定するときに可視域内で選定された少なくとも2波長に依存する測定値に基づく演算値を使用する態様。本例は、分光光度計の少なくとも2波長に依存した測定値を使用し、例えば両者の傾きを輻射光強度FPの測定値としたものである。
(4)400nmから800nmの波長帯域を利用する態様。本例は、周囲からの輻射が相対的に少ない可視光の波長帯域として、400nmから800nmを利用し、原料融液10からの輻射光強度FPを主として捕捉可能としたものである。
また、第2の測定器5としては例えば光学センサ、分光光度計が用いられるが、自動的に感度補正することが好ましい。
ここで、第2の測定器5として光学センサを用いる態様にあっては、原料融液作製制御部7は、第2の測定器5による輻射光強度FPが予め決められた許容範囲を超えるときに、輻射光強度FPを許容範囲内に収めるように第2の測定器5である光学センサの感度を補正するようにすればよい。本例は、例えば輻射光強度=測定強度/感度の演算式につき、感度を補正することで輻射光強度FPを求めるものである。
また、第2の測定器5として分光光度計を用いる態様にあっては、原料融液作製制御部7は、第2の測定器5による輻射光強度FPが予め決められた許容範囲を超えるときに、輻射光強度FPを許容範囲内に収めるように第2の測定器5である分光光度計の露光時間を補正するようにすればよい。本例では、例えば輻射光強度=測定分光強度*露光時間補正係数の演算式につき、露光時間補正係数を補正することで輻射光強度FPを求めるものである。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−単結晶の製造装置の構成例−
図3は実施の形態1に係る単結晶の製造装置の全体構成を示す説明図である。
本実施の形態において、単結晶の製造装置20は、LT(LiTaO)単結晶を製造対象とするものであって、図示外の単結晶原料を収容するインジウム等からなるルツボ21と、ルツボ21の外周及び上部を取り囲んで保温、断熱可能な製造炉とする保温・断熱材23と、ルツボ21の保温・断熱材23の周囲を取り囲むように設置され、ルツボ21を高周波誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル24と、この加熱コイル24へ高周波電流を印加することで、ルツボ21及び収容された単結晶原料を加熱し、単結晶原料を高温状態に保持して原料融液22とする高周波電源25と、昇降可能な引上げ軸27を有し、引上げ軸27の先端に保持された種結晶(図示せず)を原料融液22の表面に接触させてから、引上げ軸27を回転させながら徐々に引き上げて単結晶を成長させる引上げ機構26と、を備えている。
本例において、ルツボ21の底部中央にはルツボ21の温度を測定するための第1の測定器31が設けられ、また、ルツボ21内に収容された単結晶原料を融解する過程において原料融液22の表面又は表面付近からの輻射光強度を測定するための第2の測定器32が設けられている。
本例では、第1の測定器31としては例えば熱電対が用いられ、また、第2の測定器32としては、分光光度計からなる分光器33と、原料融液22の表面又は表面付近からの輻射光を捕捉し、分光器33に入力する光ファイバ34とを含むものが用いられている。
本例において、ルツボ21、保温・断熱材23からなる製造炉及び加熱コイル24は処理チャンバ28内に設置されており、処理チャンバ28の上部の一部には、ルツボ21に収容された単結晶原料の融解状態を観察する観察窓(例えば石英窓)29が設けられており、この観察窓29の外側近傍に第2の測定器32の光ファイバ34の受光部が配置されると共に、単結晶原料の融解状態を撮像するカメラ35が設置されている。
ここで、分光器33としては、例えば光ファイバ34にて入力された光を分光してCCDアレイで測定する方式が採用されており、可視域あるいは赤外域に感度を有するものであれば適宜選定して差し支えないが、本例では、可視域に感度を有するものが採用されている。その理由は、可視域の波長帯域としては任意に選定してもよいが、周囲からの輻射が相対的に少ない波長帯域、例えば400nmから800nmの範囲を利用することが好ましい。
また、分光器33による輻射光強度の測定データの代表的ケースとしては例えば以下のものが挙げられる。
イ.輻射光強度の測定データにつき予め決められた波長範囲(400nmから800nm)での積分値を使用するケース
ロ.輻射光強度の測定データにつき予め決められた2波長(例えば500nm,800nm)に依存する数値から演算された傾き(比)を使用するケース
ハ.イのケースを主として用い、ロのケースを補助的に使用するケース
更に、本実施の形態では、高周波電源25には例えばPLC(Programmable Logic Controller)からなる温度コントローラ41が接続されており、この温度コントローラ41には第1の測定器31にて測定された信号が入力され、温度コントローラ41は第1の測定器31による測定信号に基づいて当該測定信号が予め決められた目標温度になるように高周波電源25の出力を調整するものである。
また、引上げ機構26には駆動コントローラ45が接続されており、駆動コントローラ45は引上げ機構26の引上げ軸27の昇降速度や回転速度を調整するものである。
更にまた、第2の測定器32からの測定信号は制御装置50に入力され、制御装置50は単結晶の製造処理プログラム(図4参照)を実行して所定の制御信号を出力し、DA変換器51を介して温度コントローラ41、駆動コントローラ45に送出する。
−単結晶の製造処理−
次に、本実施の形態に係る単結晶の製造装置では、図4に示すように、以下の手順で単結晶の製造処理が行われる。
本例では、単結晶の製造処理は、ルツボ21内に図示外の単結晶原料を搬入し、ルツボ21に収容された単結晶原料を完全に融解して原料融液とする原料融液作製処理と、原料融液作製処理を経た後に、ルツボ21内の原料融液に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて単結晶を育成する育成処理と、を含むが、以下においては主として原料融液作製処理を中心に説明する。
(a)先ず、単結晶の製造処理を開始するに当たり、例えば引上げ機構26の引上げ軸27に固形状の単結晶原料(図示せず)を保持させ、これをルツボ21に向けて降下させ、ルツボ21内に単結晶原料を搬入する。
(b)単結晶原料の搬入後、高周波電源25をオンすることで加熱コイル24に通電し、ルツボ21の高周波誘導加熱を開始し、これと同時あるいは所定時間経過した後、第1、第2の測定器31,32による測定を開始する。
(c)制御装置50は、単結晶原料を完全に融解する上で十分な温度をルツボ21の目標温度とし、温度コントローラ41に初期設定する。このため、第1の測定器31による測定が開始すると、温度コントローラ41は、第1の測定器31からの測定値が予め設定された目標温度を保つように、第1の測定器31からの測定値に基づいて高周波電源25の出力PWを逐次調整する。
(d)温度コントローラ41による高周波電源25の出力制御が行われると、ルツボ21内の単結晶原料は次第に融解していき、これに伴って、ルツボ21の温度(原料融液22の温度に対応)も次第に上昇していく。
これに伴って、ルツボ21の表面又は表面付近からは輻射光が発生し、第2の測定器32の分光器33は発生した輻射光強度FPを捕捉する。このとき、制御装置50は分光器33による輻射光の分光スペクトルを測定し、指定波長における積分値や2波長における傾きを輻射光強度FPとしてリアルタイムで表示部に表示し、輻射光強度FPの時系列変化をモニタすることが可能である。この状態において、第2の測定器32による輻射光強度FPは単結晶原料が完全に融解するまでの間次第に上昇する傾向にある(図5(a)参照)。
(e)本例では、単結晶原料が完全に融解する条件としては、単結晶原料が完全に融解する可能性のある下限値(単結晶原料の種類によって異なる)以上であることが確認されている。
そこで、本例では、前述した下限値を予め決められた閾値THとし、この閾値TH以上の温度域において単結晶原料が完全に融解した時点の判定処理を実施する手法が採用されている。
つまり、制御装置50は、第2の測定器32による測定値が閾値THに到達したか否かを判別し、閾値TH以上の温度域にて単結晶原料が完全に融解した時点に到達したか否かを判別する。尚、閾値TH未満の温度域では仮にノイズ等に起因して単結晶原料が完全に融解した時点の傾向が現れたとしても、前述した判定処理は行わない。
(f)本例では、単結晶原料が完全に融解したとする判定原理は、図5(a)に示すように、単結晶原料が完全融解する前までは、原料融液22の表面又は表面付近からの輻射光強度FPが次第に上昇するが、完全融解後に至ると、原料融液22内の自然対流速度が早くなり、その分、原料融液22から多くの熱が奪われ、前述した輻射光強度FPが減少傾向に変化することから、前述した輻射光強度FPが原料融液22の完全融解時点では極大Mになることが理解される。このため、図5(a)に示すように、輻射光強度FPが時間経過において極大Mの時点tmに到達すると、制御装置50はこの時点tmを単結晶原料の完全融解時点として判定する。
(g)制御装置50は、図5(a)に示すように、単結晶原料の完全融解時点を判定すると、その直後あるいは予め決められた所定時間経過した時点tc(tc>tm)において、温度コントローラ41の目標温度を下げ、高周波電源25の出力PWを低下方向に切り替える。このときの高周波電源25の出力PWレベルは完全融解した原料融液22を育成処理で必要な温度に保温するものであれば適宜選定して差し支えない。
そして、温度コントローラ41は、第1の測定器31からの測定値が切替設定された目標温度を保つように、第1の測定器31からの測定値に基づいて高周波電源25の出力PWを逐次調整する。
本実施の形態では、上記に示したように、単結晶原料の完全融解時点を作業者の判断によらずに自動的に判定することが可能となった。これにより、チョクラルスキー法による単結晶の製造処理において、単結晶の育成処理前の原料融液作製処理における温度制御のアルゴリズムに、単結晶の明確な完全融解判定条件をセットすることができるようになり、単結晶の育成処理開始までの時間短縮や、原料融液の完全融解状態に対する再現性向上の効果が見込まれる。
−分光器の感度補正例−
単結晶の製造処理は処理チャンバ28内を高温環境に保って行われることが多く、長く使っていると、処理チャンバ28の観察窓29が汚れてしまう。これは、高温部の炉材(保温・断熱材23)や単結晶原料の一部が高温で気化し、温度の低い観察窓29に付着するためである。
量産で単結晶の製造装置20を連続して使用する際には、観察窓29の汚れによる輻射光強度FPの減少を補正することが好ましい。
本例では、第2の測定器32の分光器33の特性に着目した。つまり、分光器33は強い光が入ると測定値が飽和し、弱い光だとノイズに埋もれるという特性がある。そこで、これを避けるために、分光器33のCCDアレイに光を取り込む時間=露光時間を変更する手法を採用した。
この手法は、図5(b)の条件1に示すように、測定分光強度Xが測定可能な値Xのk%(例えばk=70%)からk%の範囲(例えばk=90%)にあるときには、I式(FP=A*X)にて輻射光強度FPが算出される。
このとき、露光時間補正係数A=1/(露光時間ts+定数α)で予め決められた分光器33に固有の値が使用される。
これに対し、図5(b)の条件2に示すように、測定分光強度Xがk・X未満に至るときには、Xがk・Xになるように、Aの露光時間tsを補正すればよい。
一方、図5(b)の条件3に示すように、測定分光強度Xがk・Xを超えるときには、Xがk・Xになるように、Aの露光時間tsを補正すればよい。
◎変形の形態1
本実施の形態では、第2の測定器32は、分光器33及び光ファイバ34にて構成されているが、これに限られるものではなく、例えば図6(a)に示すように、フォトダイオード等の光学センサ61及びこれの出力を増幅するアンプ62を用いるようにしてもよい。
このとき、光学センサ61としては可視域あるいは赤外域に感度を有するものであれば適宜選定して差し支えないが、本例では、周囲からの輻射が相対的に少ない可視域の波長帯域に感度を有するものが採用されている。
本例においても、光学センサ61にて原料融液22の表面又は表面付近からの輻射光を捕捉するため、制御装置50によって輻射光強度FPの時系列変化をモニタすることが可能である。
−光学センサの感度補正例−
量産で単結晶の製造装置20を連続して使用する際には、第2の測定器32として光学センサ61を使用する場合であっても、観察窓29の汚れによる輻射光強度FPの減少を補正することが好ましい。
図6(b)は光学センサ61の感度補正例のフローチャートを示す。
本例には、光学センサ61は、デジタルIOにて相対感度を例えば1倍、10倍、100倍の3段階に調整可能である。今、第2の測定器32としての光学センサ61による測定を開始するとき、通常処理チャンバ28内の雰囲気温度が低いことから、光学センサ61の相対感度を高感度(本例では100倍)に初期設定する。この後、光学センサ61の測定値が予め決められた許容範囲(例えば許容最大値の95%)内か否かを判断し、許容範囲内であれば感度補正を不実施とし、許容範囲外に至れば感度補正を実施するようにすればよい。例えば処理チャンバ28内の雰囲気温度が上昇してくると、光学センサ61の測定値が次第に大きくなるので、光学センサ61の測定値が許容範囲外に至ると、制御装置50は、光学センサ61の感度レベルを例えば10倍に下げるという感度補正を実施する。
◎実施例1
本実施例は実施の形態1に係る単結晶の製造装置を用い、直径150mmφ 、高さ150mm 、厚さ3mmのイリジウム製ルツボ21を使用し、約5kgのLT原料粉末をルツボ21内に充填した。また、第2の測定器32の分光器33としては、オーシャンオプティクス(Ocean Optics)社製のUSB200のように、ファイバ入力された光を分光してCCDアレイで測定する方式を採用した。そして、例えば高周波電源25による高周波加熱パワーを一定にして、LT原料の融解状態の温度変化を測定した結果、図7に示す結果が得られた。
図7において、横軸は経過時間、左側縦軸はルツボ底温度、右側縦軸は輻射スペクトルから演算された輻射光強度積分値(波長範囲400〜800nm)、同じく演算された500nmと800nmの2波長の輻射光強度比である。尚、図7中、温度1階微分(細線で示す)はルツボ底温度から演算で求めた温度変化速度を示す。
同図において、ルツボ21底温度は、加熱とともに一定速度で上昇するが、LT原料の融解温度に近づくと、図中A点で温度上昇カーブが緩やかになり、その後、B点で温度上昇速度が上昇している。ここで、C点以降で温度が一定になるのは、図のC点で高周波加熱パワーを下げているからである。また、カメラ35で観察していると、B点付近で、原料融液の表面に固形物が見える状態から見えない状態に移行するので、図7のB点付近が完全融解時点tmと考えられる。
一方、第二の測定器32による測定結果に基づいて輻射光強度積分値あるいは輻射光強度比を演算してプロットしたところ、図7に示すように、いずれもB点付近の時点tmで極大Mを示していることが理解される。尚、本例では、高周波加熱パワーは単結晶原料の完全融解時点tmの直後の時点tcにおいて低減するようにした。
また、図8は分光器33による分光スペクトル例を示す。
同図において、横軸は分光スペクトルの波長を示し、縦軸は分光スペクトルの測定強度を示す。
同図において、実線で示す分光スペクトル線は、図7における輻射光強度が極大Mとなる時点tm(単結晶原料の完全融解時点に相当)の測定結果Tmを示し、また、点線で示す分光スペクトル線は、図7における輻射光強度が極大Mとなる前の時点tm−Δtの測定結果Taを示し、更に、二点鎖線で示す分光スペクトル線は、図7における輻射光強度が極大Mとなる後の時点tm+Δtの測定結果Tbを示す。
同図によれば、分光スペクトルは、可視域の例えば500nmから800nmの波長帯域において、完全融解時点tmでスペクトル全体が極大値を示すことが理解される。尚、長波長や短波長で強度が低いのは、分光器33の感度が低いことによるものである。
本例では、輻射光強度が極大Mを持つ時点tmの直後に、高周波電源25の温度制御を完全融解前から完全融解後に切り替えることができた。図7に示すグラフの温度変化からわかるように、本実施例では、輻射光強度が極大Mになる時点tmを単結晶原料の完全融解時点として判定する方式であるため、従前の判定方式(例えば第1の測定器31による温度変化から単結晶原料の完全融解時点を判定する方式)に比べて、あいまいさが低減された。具体的には、図7において、ルツボ底温度の1階微分が極大になるのは、完全融解から1分程度遅れており、1階微分値に基づいて完全融解を判定する場合にはある程度のあいまいさが生ずるのに比べて、本実施例では完全融解の直後10秒程度以内で完全融解に至ったことを判定することができた。
また、本実施例では、図5(b)に示すアルゴリズムによる分光器33の感度補正を行い、分光スペクトルは、図8に示すように、700nm付近の極大値が、測定強度9,000〜13,000の範囲内に入るように、自動的に露光時間を変更するようにした。尚、これらの感度補正演算はいずれも制御装置50で行い、その結果をDA変換器51にてDA変換し、温度コントローラ41による温度制御に反映させた。
◎実施例2
実施例1と同様な構成の単結晶の製造装置を用い、ルツボ位置を意図的にずらして実施例1と同様な測定を行った。
この場合の測定結果を図9に示す。
同図において、温度変化の挙動が、実施例1とは大きく異なっていることが分かる。
カメラ35で観察していると、原料融液22の表面に固形物が見える状態から見えない状態に移行するのは、図中一点鎖線で示す輻射光強度(例えば積分値)が極大Mになる時点tmである。
このため、本実施例にあっても、実施例1と同様に、輻射光強度が極大Mを持つ時点をもって完全融解時点と判定することが可能である。但し、この例では意図的に高周波加熱パワーを変化させる時刻を輻射光強度の極大位置より少し遅らせて、輻射光強度FPが極大Mになる現象が高周波加熱パワー変化の影響ではないことを示した。
◎実施例3
実施例1と略同様な単結晶の製造装置を用い、第2の測定器32を変更した例を示す。
本例では、第2の測定器32は、分光器33を用いた方式に代えて、図6(a)の変形の形態に示すように、光学センサ61としてフォトダイオードを使用した。具体的には、可視域の波長帯域にのみ感度を持ち、温度係数が小さく、感度が変更可能なICタイプの照度センサ(Rohm社製BH1603FVC)を用いた。
実施例1と同様に、例えば高周波電源25による高周波加熱パワーを一定にして、LT原料の融解状態の温度変化を測定した結果、図10に示す結果が得られた。
同図によれば、実施例1と同様に、単結晶原料が完全融解した時点tmにて、光学センサ61による輻射光強度が極大Mになることが確認された。
更に、本例では、光学センサ61はデジタルIOで感度変更可能であるので、図6(b)に示すようなアルゴリズムによる光学センサ61の感度補正を実施し、制御装置50にて光学センサ61の測定値が許容範囲内か否かを判別し、許容範囲外に至った場合には光学センサ61の感度補正を行い、光学センサ61による測定可能な輻射光強度の範囲を広く確保するようにした。
1 ルツボ
2 加熱手段
3 引上げ機構
4 第1の測定器
5 第2の測定器
6 制御手段
7 原料融液作製制御部
7a 第1の加熱制御部
7b 判定部
7c 第2の加熱制御部
10 原料融液
20 単結晶の製造装置
21 ルツボ
22 原料融液
23 保温・断熱材
24 加熱コイル
25 高周波電源
26 引上げ機構
27 引上げ軸
28 処理チャンバ
29 観察窓
31 第1の測定器
32 第2の測定器
33 分光器
34 光ファイバ
35 カメラ
41 温度コントローラ
45 駆動コントローラ
50 制御装置
51 DA変換器
61 光学センサ
62 アンプ
A 原料融解工程
B 測定工程
C 判定工程
D 加熱制御工程
FP 輻射光強度
M 輻射光強度の極大
PW 加熱手段の出力
Q 単結晶原料
Z 単結晶
tm 輻射光強度が極大になる時点
tc 加熱手段の出力の切替時点

Claims (10)

  1. 原料融液を収容するルツボと、前記ルツボを加熱する加熱手段とを用い、回転引き上げ法にて単結晶を製造するに際し、
    前記ルツボに収容された単結晶原料を完全に融解して原料融液とする原料融液作製工程と、
    前記原料融液作製工程を経た後、前記ルツボ内の原料融液に浸漬した種結晶を回転しながら引き上げて単結晶を育成する育成工程と、を備え、
    前記原料融液作製工程は、
    前記ルツボを加熱して前記単結晶原料を融解する原料融解工程と、
    前記原料融解工程にて単結晶原料を融解する過程で前記原料融液の表面若しくは表面付近からの輻射光強度を測定する測定工程と、
    前記測定工程にて測定された前記輻射光強度が極大になる時点を前記単結晶原料が完全に融解した時点として判定する判定工程と、を含むことを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記原料融液作製工程は、
    前記判定工程にて前記単結晶原料が完全に融解した時点と判定されたとき、前記原料融解工程のルツボの加熱条件を前記単結晶原料が完全に融解する前の加熱条件から変化させ、完全に融解した原料融液を予め決められた目標温度に保持する加熱制御工程を備えることを特徴とする単結晶の製造方法。
  3. 請求項1に記載の単結晶の製造方法において、
    前記判定工程は、前記単結晶原料が融解する過程において、前記単結晶原料が完全に融解する可能性のある前記輻射光強度の下限値を予め決められた閾値とし、当該閾値以上の温度域において前記単結晶原料が完全に融解した時点の判定処理を実施することを特徴とする単結晶の製造方法。
  4. 原料融液が収容されるルツボと、
    前記ルツボを加熱する加熱手段と、
    前記ルツボ内の原料融液に浸漬した種結晶を引き上げて単結晶を育成する引上げ機構と、
    前記ルツボの温度を測定する第1の測定器と、
    前記単結晶原料が融解する過程において原料融液の表面若しくは表面付近からの輻射光強度を測定する第2の測定器と、
    前記第1及び第2の測定器の測定信号に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記ルツボに収容された単結晶原料を完全に融解して原料融液とする原料融液作製制御部を有し、
    前記原料融液作製制御部は、前記加熱手段の出力を予め決められたレベルに設定することで前記ルツボを加熱して前記単結晶原料の融解を開始する第1の加熱制御部と、
    前記第2の測定器による測定動作を継続的に実施し、前記第2の測定器による測定結果が極大になったときに前記単結晶原料が完全に融解したと判定する判定部と、
    前記判定部により前記単結晶原料が完全に融解して原料融液に至ったと判定されたときに前記加熱手段の出力を前記単結晶原料が完全に融解する前の出力よりも低く設定し、前記第1の測定器による測定結果に基づいて前記原料融液を予め決められた目標温度に保持する第2の加熱制御部と、を有することを特徴とする単結晶の製造装置。
  5. 請求項4に記載の単結晶の製造装置において、
    前記第2の測定器は、可視域に感度を有する光学センサであることを特徴とする単結晶の製造装置。
  6. 請求項4に記載の単結晶の製造装置において、
    前記第2の測定器は、可視域に感度を有する分光光度計であって、前記輻射光強度を測定するときに前記可視域の予め決められた波長域範囲の積分値を使用することを特徴とする単結晶の製造装置。
  7. 請求項4に記載の単結晶の製造装置において、
    前記第2の測定器は、可視域に感度を有する分光光度計であって、前記輻射光強度を測定するときに前記可視域内で選定された少なくとも2波長に依存する測定値に基づく演算値を使用することを特徴とする単結晶の製造装置。
  8. 請求項4に記載の単結晶の製造装置において、
    前記第2の測定器は400nm乃至800nmの波長帯域を利用することを特徴とする単結晶の製造装置。
  9. 請求項5に記載の単結晶の製造装置において、
    前記原料融液作製制御部は、前記第2の測定器による前記輻射光強度が予め決められた許容範囲を超えるときに、前記輻射光強度を前記許容範囲内に収めるように前記第2の測定器である光学センサの感度を補正することを特徴とする単結晶の製造装置。
  10. 請求項6又は7に記載の単結晶の製造装置において、
    前記原料融液作製制御部は、前記第2の測定器による前記輻射光強度が予め決められた許容範囲を超えるときに、前記輻射光強度を前記許容範囲内に収めるように前記第2の測定器である分光光度計の露光時間を補正することを特徴とする単結晶の製造装置。
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