JP2018034179A - タンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法 - Google Patents

タンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法 Download PDF

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Abstract

【課題】通電不良の発生を抑制して安定して溶鋼の加熱ができ、アノード電極の劣化を抑制するとともにメンテナンス作業を容易に行うことが可能なタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供する。【解決手段】タンディッシュ5内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュプラズマ加熱装置10であって、タンディッシュ5内の溶鋼中に浸漬配置されるアノード電極20と、タンディッシュ5内の溶鋼面に近接配置され、前記溶鋼面との間に前記プラズマアークを発生させるカソード電極30と、これらアノード電極20及びカソード電極30に対して電力を印加する電源装置18と、アノード電極20を昇降するアノード電極昇降装置27と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、タンディッシュ内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法に関するものである。
一般に、鋼の連続鋳造設備においては、取鍋と鋳型との間にタンディッシュが配置されており、取鍋内の溶鋼をタンディッシュに受け、タンディッシュから鋳型内へと供給する構成とされている。ここで、鋳型内へ供給される溶鋼の温度は、操業の安定性や鋳片の品質に大きな影響を与え、連続鋳造において非常に重要な因子である。
鋳型内へ供給される溶鋼の温度は、通常、タンディッシュ内温度としてスーパーヒートで管理することができる。スーパーヒートには、適正温度域が存在し、それよりも高温域であっても、低温域であっても、操業の安定性や鋳片の品質に問題が生じる。
以下に、スーパーヒートを、図5に示す通り、高温域、適正温度域、低温域に分類して説明する。
図5に示す高温域ではブレークアウトが発生し易いことから、これを防止するためには、スループットを低下させる必要があり、生産性が低下する。一方、図5に示す低温域では、浸漬ノズル閉塞や鋳型内で温度不足による皮張り発生、鍋を返送しなければならない等、操業、品質上大きな影響がある。
また、タンディッシュ内温度は、加熱しないと、時間経過に従って、溶鋼温度が下がるため、チャージ終了時点でも適正温度域となるように、チャージ開始時点の温度を適正温度域内で適切に設定する必要がある。例えば、図5の上側の点線で示す様に、チャージ開始時点で、適正温度域の上限に設定できれば、チャージ終了時点でも、適正温度域内とすることができる。
しかし、チャージ開始時点の温度は、鋼種による転炉、二次精錬の操業条件のほか、溶鋼鍋や工程間のマッチングに依存するものであり、溶鋼温度はそれらの操業条件及び要因により常に変動することから、常時、チャージ開始時点の温度を適正温度域内で適切に設定することは困難である。例えば、図5の下側の点線で示す様に、チャージ開始時点で、適正温度域の中程度の温度となった場合は、鋳造時間がZの時点でノズルが閉塞して、鋳造が中止されるという事態になることがある。そこで、上述のタンディッシュには、通過する溶鋼を加熱する手段として、プラズマ加熱装置が配設されている。
このようなプラズマ加熱装置は、プラズマトーチを被加熱物に近接させ、被加熱物とプラズマトーチとの間にプラズマアークを発生させることによって、被加熱物を加熱する構成とされている。プラズマトーチとしては、黒鉛製の消耗電極(黒鉛電極)や水冷式の金属製トーチ(例えば特許文献1参照)が用いられている。
ここで、上述のプラズマ加熱装置としては、非特許文献1に示すように、1本のプラズマトーチを用いたシングルトーチ方式と、2本のプラズマトーチを用いたツイントーチ方式のものが提供されている。
シングルトーチ方式のプラズマ加熱装置においては、タンディッシュ内に埋設された固定電極と、溶鋼面に近接配置したプラズマトーチと、の間に電力を印加することで、プラズマトーチと溶鋼面との間にプラズマアークを発生させて、前記溶鋼を加熱する構成とされている。
ツイントーチ方式のプラズマ加熱装置においては、一方のプラズマトーチと他方のプラズマトーチとの間に電力を印加することで、これらのプラズマトーチと溶鋼面との間にプラズマアークを発生させて、前記溶鋼を加熱する構成とされている。
特開2001−179426号公報
新日鉄技報 第382号(2005),p.16−20
ところで、ツイントーチ方式のプラズマ加熱装置においては、アノード側のプラズマトーチの損傷が激しいため、特許文献1に示すように、アノード側のプラズマトーチを耐久性に優れた金属等で構成する必要があった。また、プラズマトーチを黒鉛電極で構成した場合には、カソード側の黒鉛電極と比較してアノード側の黒鉛電極の損耗が激しいため、溶鋼面と黒鉛電極との距離がアノード側とカソード側とで大きく異なってしまい、プラズマアークの発生が安定しないといった問題があった。
一方、シングルトーチ方式のプラズマ加熱装置においては、プラズマトーチをカソード電極として使用することにより、プラズマトーチの損傷や損耗を抑制することが可能となる。従来のシングルトーチ方式のプラズマ加熱装置の一例を図4に示す。図4に示すシングルトーチ方式のプラズマ加熱装置110においては、タンディッシュ5の壁面内に埋設された固定電極120(アノード電極)と、溶鋼と近接配置されたプラズマトーチ130(カソード電極)と、これらと固定電極120(アノード電極)及びプラズマトーチ130(カソード電極)に電力を印加する電源装置118と、を備えている。
上述のシングルトーチ方式のプラズマ加熱装置においては、固定電極120は、タンディッシュ5の壁面内に埋設され、この固定電極120(アノード電極)の一部がタンディッシュ5の壁面から溶鋼へと露出された構成とされている。なお、固定電極120(アノード電極)のうち溶鋼に露出した部分近傍が溶融した場合には、溶鋼がタンディッシュ5の壁面内に侵入することで、溶鋼と固定電極(アノード電極)とが接触して通電することになる。
ここで、溶鋼中には、絶縁体からなる異物が混入することがあり、この異物が固定電極(アノード電極)と溶鋼との間に介在した場合には、通電不良が発生してしまい、タンディッシュ内の溶鋼の加熱ができなくなるおそれがあった。
また、タンディッシュ内の溶鋼の加熱は、常時行うものではなくタンディッシュ内の溶鋼温度に応じて適宜行われるものであるが、タンディッシュ内に埋設された固定電極(アノード電極)は、加熱時以外の状態でも常に溶鋼と接触していることから、固定電極(アノード電極)が早期に劣化してしまうといった問題があった。
さらに、固定電極(アノード電極)を交換する場合には、タンディッシュを解体する必要があるため、固定電極(アノード電極)のメンテナンス作業に多くの労力と時間を要するといった問題があった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、通電不良の発生を抑制して安定して溶鋼の加熱ができ、アノード電極の早期劣化を抑制するとともにメンテナンス作業を容易に行うことが可能なタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るタンディッシュプラズマ加熱装置は、タンディッシュ内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュプラズマ加熱装置であって、前記タンディッシュ内の溶鋼中に浸漬配置されるアノード電極と、前記タンディッシュ内の溶鋼面に近接配置され、前記溶鋼面との間に前記プラズマアークを発生させるカソード電極と、これらアノード電極及びカソード電極に対して電力を印加する電源装置と、前記アノード電極を昇降するアノード電極昇降装置と、を備えていることを特徴としている。
この構成のタンディッシュプラズマ加熱装置によれば、アノード電極が溶鋼中に浸漬配置され、カソード電極が溶鋼面に近接配置されているので、電源装置によってこれらアノード電極及びカソード電極に対して電力を印加することにより、カソード電極と溶鋼面との間にプラズマアークを発生させ、溶鋼の加熱を行うことができる。
また、アノード電極を昇降させるアノード電極昇降装置を備えているので、溶鋼の加熱を行うときにのみ、アノード電極を溶鋼中に浸漬することができ、アノード電極の早期劣化を抑制することができる。
さらに、アノード電極と溶鋼との接触が不安定になった場合であっても、アノード電極を昇降させることで溶鋼との接触を確保することが可能となる。よって、アノード電極近傍での通電不良の発生を抑制でき、タンディッシュ内の溶鋼を安定して加熱することができる。
また、アノード電極がタンディッシュの壁面等に埋設されていないことから、アノード電極のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
ここで、本発明のタンディッシュプラズマ加熱装置においては、前記アノード電極は、耐火物からなる保護筒部と、この保護筒部内に挿入された電極部と、を有する構造とされていることが好ましい。
この場合、溶鋼中に浸漬されるアノード電極が、耐火物からなる保護筒部と、この保護筒部内に挿入された電極部と、を有する構造とされていることから、電極部が溶湯と接する部分が少なく、電極部が早期に劣化することを抑制できる。
また、保護筒内に電極部が挿入されており、その先端面で電極部が露出する構成とされていることから、溶鋼中の異物が電極部と溶鋼との間に介在するおそれが少なく、万が一、電極部と溶鋼との間に異物が介在した場合であっても、アノード電極を昇降させることで、異物を除去することができる。さらに、電極部の一部が溶融した場合であっても、アノード昇降装置によってアノード電極を降下させることで、溶鋼と電極部との接触を確保することができる。よって、通電不良の発生を抑制することができ、タンディッシュ内の溶鋼の加熱を安定して行うことができる。
また、本発明のタンディッシュプラズマ加熱装置においては、前記カソード電極を昇降するカソード電極昇降装置を備えていることが好ましい。
この場合、カソード電極が消耗して溶鋼面との距離が変化した場合であっても、カソード電極昇降装置によってカソード電極を昇降することで、溶鋼面とカソード電極との間の距離を調整することができ、プラズマアークを安定して発生させることができる。
本発明に係るタンディッシュ内溶鋼の加熱方法は、タンディッシュ内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュ内溶鋼の加熱方法であって、前記溶鋼の加熱を開始する際に、アノード電極を前記溶鋼内に浸漬配置するとともに、カソード電極を溶鋼面に近接配置し、これらアノード電極及びカソード電極に電力を印加することにより、前記カソード電極と前記溶鋼との間に前記プラズマアークを発生させて直列回路を形成して、前記溶鋼を加熱し、前記溶鋼の加熱を終了した際に、前記アノード電極を前記溶鋼中から抜き出すとともに、前記溶鋼の加熱時において、前記溶鋼と前記アノード電極との通電状況に応じて、前記アノード電極を昇降させることを特徴としている。
このタンディッシュ内溶鋼の加熱方法によれば、前記溶鋼の加熱を開始する際に、アノード電極を前記溶鋼内に浸漬配置し、前記溶鋼の加熱を終了した際に、前記アノード電極を前記溶鋼中から抜き出すので、アノード電極が溶鋼と接触する時間を短くすることができ、アノード電極の寿命を大幅に延長することができる。
また、前記溶鋼と前記アノード電極との通電状況に応じて、前記アノード電極を昇降させる構成としているので、前記溶鋼と前記アノード電極とを確実に接触させて通電不良の発生を抑制でき、安定して溶鋼の加熱を行うことができる。
ここで、本発明のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法においては、前前記溶鋼の加熱時において、前記プラズマアークの発生状況に応じて、前記カソード電極を昇降させることが好ましい。
この場合、カソード電極が消耗して溶鋼面との距離が変化した場合であっても、カソード電極を昇降することで、溶鋼面とカソード電極との間の距離を一定に保持することができ、プラズマアークを安定して発生させることができる。
上述のように、本発明によれば、通電不良の発生を抑制して安定して溶鋼の加熱ができ、アノード電極の劣化を抑制するとともにメンテナンス作業を容易に行うことが可能なタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置を示す説明図である。 図1のタンディッシュプラズマ加熱装置に用いられるアノード電極の説明図であって、(a)が先端側から見た正面説明図、(b)が断面図である。 本発明の実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を示すフロー図である。 従来のシングルトーチ方式のタンディッシュプラズマ加熱装置を示す説明図である。 鋳造時間とスーパーヒートとの関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置10及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置10及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法は、図1に示すように、鋼の連続鋳造設備1において、取鍋2と鋳型3との間に配設されたタンディッシュ5内の溶鋼を加熱するものである。ここで、タンディッシュ5においては、取鍋2から供給された溶鋼を所定の温度にまで加熱し、加熱した溶鋼を鋳型3へと注入する。
このタンディッシュプラズマ加熱装置10は、タンディッシュ5の上部開口部を覆うように配設された蓋部11と、タンディッシュ5内の溶鋼面の上方に配設されたアノード電極20及びカソード電極30と、これらアノード電極20及びカソード電極30に電力を印加する直流電源装置18と、アノード電極20を上下動させるアノード電極昇降装置27と、カソード電極30を上下動させるカソード電極昇降装置37と、を備えている。
蓋部11は、下方に向けて延在する側壁部12を備え、この側壁部12の下端部分がタンディッシュ5内の溶鋼中に浸漬されている。これにより、図1に示すように、加熱室13が画成されている。
カソード電極30は、その先端が加熱室13内に配設されており、カソード電極昇降装置37によって溶鋼面に対して近接配置されている。
アノード電極20は、加熱室13の外側に配設されており、アノード電極昇降装置27によって溶鋼中に浸漬配置されている。
直流電源装置18は、上述のカソード電極30とアノード電極20と、の間に配設されている。
ここで、溶鋼面に近接配置されるカソード電極30は、概略円筒状をなしており、Ar、N、CO等のガスが供給されるガス供給路31が設けられている。
このカソード電極30を構成する材料としては、例えば、Cu、タングステン、特殊合金(Cu−W等)、黒鉛等が挙げられる。本実施形態においては、カソード電極30は黒鉛で構成されている。なお、黒鉛製の場合、カソード電極30を冷却する必要がないことから、金属製に比べて着熱効率が向上することになる。また、カソード電極30の外径は、例えば、100mm以上200mm以下の範囲内とされ、カソード電極30の内径(ガス供給路31の直径)は、例えば、10mm以上20mm以下の範囲内とされている。
そして、溶鋼中に浸漬配置されるアノード電極20は、図2に示すように、概略円柱状をなしており、耐火物からなる保護筒部21と、この保護筒部21内に挿入された電極部22と、を備えている。すなわち、このアノード電極20においては、その先端面に電極部22が露出されており、溶鋼と電極部22とが接触する構成とされている。
本実施形態においては、保護筒部21は、アルミナ(Al)を主体とした耐火物で構成されており、電極部22は、SS400等の金属材料で構成されている。また、アノード電極20の外径(保護筒部21の外径)Dは、例えば、70mm以上100mm以下の範囲内とされ、電極部22の外径(保護筒部21の内径)dは、例えば、50mm以上80mm以下の範囲内とされている。
以下に、図1に示すタンディッシュプラズマ加熱装置10を用いた本実施形態であるタンディッシュ内溶鋼の加熱方法について、図3に示すフロー図を参照して説明する。
まず、タンディッシュ5の上方に、アノード電極20及びカソード電極30を配置する(アノード電極及びカソード電極配置工程S01)。このとき、カソード電極30の先端を加熱室13の内側に配設し、アノード電極20を加熱室13の外側に配設する。
次に、アノード電極昇降装置27を動作させて、アノード電極20の先端を溶鋼中に浸漬する(アノード電極浸漬工程S02)。これにより、アノード電極20の先端面に露出された電極部22と溶鋼とが接触する。
次に、カソード電極昇降装置37を動作させて、カソード電極30を溶鋼面に近接配置する(カソード電極近接工程S03)。このとき、カソード電極30のガス供給路31よりガスを供給する。
そして、直流電源装置18により、アノード電極20とカソード電極30とに電力を印加する(電力印加工程S04)。このとき、カソード電極30と溶鋼面との間で火花が飛び、ガス供給路31から供給されるガスに着火し、プラズマアークが発生する。これにより、アノード電極20とカソード電極30との間に直列回路が形成され、このプラズマアークによってタンディッシュ5内の溶鋼が加熱されることになる。
なお、カソード電極30と溶鋼面との近接配置は特に規定されるものではなく、着火可能な距離Lを設定すれば良い。すなわち、距離Lによっては、ガスに着火せずにプラズマアークが発生しないこともある。この場合には、カソード電極近接工程S03と電力印加工程S04とを繰り返し実施して、カソード電極30と溶鋼面との距離Lを調整して着火することにより、プラズマアークを発生させる。
ここで、先端部を溶鋼中に浸漬配置したアノード電極20においては、先端面に露出した電極部22が溶融した場合には、溶鋼との接触が不十分となって通電不良が発生することがある。また、溶鋼中に浮遊する絶縁体からなる異物によって、溶鋼と電極部22との接触が阻害され、通電不良が発生することもある。このように通電不良が発生した場合には、アノード電極昇降装置27によってアノード電極20を昇降させる(アノード電極昇降工程S05)。すなわち、溶鋼と電極部22との間に異物が介在した場合には、アノード電極20の昇降によって異物を除去する。また、電極部22の先端が溶融した場合には、アノード電極20を降下させることによって、溶鋼を保護筒部21内に導入して電極部22との接触を促進する。このようにして、電極部22と溶鋼とを接触させ、通電不良を解消する。
タンディッシュ5内の溶鋼が十分に加熱されて所定の温度にまで達した後には、アノード電極昇降装置27によってアノード電極20を溶鋼中から抜き出す(アノード電極抜出工程S06)。
そして、アノード電極20及びカソード電極30をタンディッシュ5の上方から移動して、タンディッシュ5内の溶鋼の加熱を終了する。
以上のような構成とされた本実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置10及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法によれば、アノード電極20が溶鋼中に浸漬配置され、カソード電極30が溶鋼面に近接配置されているので、直流電源装置18によってこれらアノード電極20及びカソード電極30に対して電力を印加することにより、カソード電極30と溶鋼面との間にプラズマアークを発生させ、溶鋼の加熱を行うことが可能となる。
また、本実施形態においては、アノード電極20を昇降させるアノード電極昇降装置27を備えており、タンディッシュ5内の溶鋼の加熱を開始する際に、アノード電極20を浸漬配置するアノード電極浸漬工程S02と、タンディッシュ5内の溶鋼の加熱を終了した際に、アノード電極20を溶鋼中から抜き出すアノード電極抜出工程S06と、を備えているので、溶鋼の加熱を行うときにのみアノード電極20(電極部22)を溶鋼と接触させることが可能となり、アノード電極20(電極部22)の早期劣化を抑制することができる。これにより、アノード電極20(電極部22)の寿命を大幅に延長することができる。
さらに、本実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置10においては、アノード電極20がタンディッシュ5の壁面等に埋設されていないことから、アノード電極20のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
また、本実施形態では、アノード電極20と溶鋼との接触が不安定となって通電不良が発生した場合に、アノード電極昇降装置27によってアノード電極20を昇降させるアノード電極昇降工程S05を備えているので、電極部22と溶鋼とを確実に接触させることができ、通電不良を解消することが可能となる。よって、タンディッシュ5内の溶鋼の加熱を安定して行うことができる。
本実施形態では、アノード電極20が、耐火物からなる保護筒部21と、この保護筒部21内に挿入された電極部22と、を有する構造とされており、アノード電極20の先端面に電極部22が露出されているので、電極部22の先端部が溶融して接触が不安定になった場合には、アノード電極20をさらに降下させることで、溶鋼を保護筒部21内に導入して溶鋼と電極部22とを確実に接触させることが可能となる。
また、電極部22が露出した先端面が下方側を向いていることから、アノード電極20と溶鋼との間に絶縁体からなる異物が介在するおそれが少なく、万が一、異物が介在した場合でも、アノード電極昇降装置27によってアノード電極20を昇降させることで、異物を除去して溶鋼と電極部22とを容易に接触させることが可能となる。
また、本実施形態では、上述のように、アノード電極20が、耐火物からなる保護筒部21と、この保護筒部21内に挿入された電極部22と、を有する構造とされているので、電極部22と溶鋼とが接触する部分を少なくすることができ、電極部22が早期に劣化することを抑制できる。
さらに、本実施形態においては、プラズマアークの発生が不安定な場合には、カソード電極昇降装置37を動作させて、カソード電極30と溶鋼面との距離Lを調整する構成とされているので、プラズマアークを安定して発生させて、溶鋼の加熱を確実に行うことができる。
特に、本実施形態においては、カソード電極30が黒鉛で構成されていることから、使用によってカソード電極30が損耗してカソード電極30と溶鋼面との距離Lが大きく変化することがあるが、上述のように、カソード電極30を昇降させることで、カソード電極30と溶鋼面との距離Lを所定の範囲に調整することができる。
以上、本発明の実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、カソード電極を黒鉛で構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、銅やタングステン等の金属材料で構成したものを採用してもよい。
また、本実施形態においては、アノード電極の保護筒部を構成する耐火材としてAlを例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、他の耐火材で構成したものであってもよい。さらに、アノード電極の電極部を構成する金属材料としてSS400を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、導電性に優れた他の物質で構成してもよい。
さらに、タンディッシュや蓋部の構成については、本実施形態で例示したものに限定されることはなく、他の構造のものであってもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
図1に示す本発明の実施形態であるタンディッシュプラズマ加熱装置(本発明例)と、図4に示す従来のシングルトーチ方式のタンディッシュプラズマ加熱装置(従来例)と、を使用して、タンディッシュ内の溶鋼の加熱を実施した。なお、カソード電極は、本発明例及び従来例ともに同様の構成のものを使用した。
(通電不良の回数)
本発明例と従来例とで、1チャージ当たり30分のプラズマ加熱を行い、これを累積50チャージ実施した。そのときに発生した通電不良回数を比較した。評価結果を表1に示す。
(アノード電極の交換作業)
本発明例と従来例とで、アノード電極の交換作業に要した時間を比較した。評価結果を表1に示す。
Figure 2018034179
従来例では通電不良が2回発生したが、本発明例では通電不良の発生は認められなかった。アノード電極を昇降することによって、溶鋼と電極部とを確実に接触させることができたためと推測される。
また、従来例では、タンディッシュを解体する必要があることからアノード電極の交換に24時間を要した。これに対して、本発明例では、アノード電極の交換作業が1時間で終了しており、メンテナンス性が大幅に向上していることが確認された。
以上の確認実験の結果から、本発明によれば、通電不良の発生を抑制して安定して溶鋼の加熱ができ、アノード電極の劣化を抑制するとともにメンテナンス作業を容易に行うことが可能なタンディッシュプラズマ加熱装置及びタンディッシュ内溶鋼の加熱方法を提供可能であることが確認された。
5 タンディッシュ
10 タンディッシュプラズマ加熱装置
18 直流電源装置
20 アノード電極
21 保護筒部
22 電極部
27 アノード電極昇降装置
30 カソード電極
37 カソード電極昇降装置

Claims (5)

  1. タンディッシュ内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュプラズマ加熱装置であって、
    前記タンディッシュ内の溶鋼中に浸漬配置されるアノード電極と、前記タンディッシュ内の溶鋼面に近接配置され、前記溶鋼面との間に前記プラズマアークを発生させるカソード電極と、これらアノード電極及びカソード電極に対して電力を印加する電源装置と、前記アノード電極を昇降するアノード電極昇降装置と、を備えていることを特徴とするタンディッシュプラズマ加熱装置。
  2. 前記アノード電極は、耐火物からなる保護筒部と、この保護筒部内に挿入された電極部と、を有する構造とされていることを特徴とする請求項1に記載のタンディッシュプラズマ加熱装置。
  3. 前記カソード電極を昇降するカソード電極昇降装置を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタンディッシュプラズマ加熱装置。
  4. タンディッシュ内の溶鋼をプラズマアークによって加熱するタンディッシュ内溶鋼の加熱方法であって、
    前記溶鋼の加熱を開始する際に、アノード電極を前記溶鋼内に浸漬配置するとともに、カソード電極を溶鋼面に近接配置し、これらアノード電極及びカソード電極に電力を印加することにより、前記カソード電極と前記溶鋼との間に前記プラズマアークを発生させて直列回路を形成して、前記溶鋼を加熱し、
    前記溶鋼の加熱を終了した際に、前記アノード電極を前記溶鋼中から抜き出すとともに、
    前記溶鋼の加熱時において、前記溶鋼と前記アノード電極との通電状況に応じて、前記アノード電極を昇降させることを特徴とするタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
  5. 前記溶鋼の加熱時において、前記プラズマアークの発生状況に応じて、前記カソード電極を昇降させることを特徴とする請求項4に記載のタンディッシュ内溶鋼の加熱方法。
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