JP2018033410A - 細胞観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】培養された複数個の細胞について分裂間時間と分裂時間を調べる細胞観察装置の提供。【解決手段】細胞を培養器22中で培養する培養手段21と、培養器22を移動させる移動手段25と、を有するステージ部20と、励起光をステージ23に照射する光照射手段11と培養器22中の細胞からの光を受光する受光手段12と、を有する顕微鏡部10と移動手段25の移動量を制御するステージ位置制御手段33と、受光手段12が受光した画像データを取得するデータ取得手段34と、前記画像データから細胞の分裂時間と分裂間時間を求めるデータ解析手段35とを有する制御部30を有し、データ取得手段34は、1つの視野に対して焦点深度の異なる深度画像データを取得し、データ解析手段35は、前記深度画像データから、前記画像データに映っている個々の細胞のジャストフォーカス画像を得る細胞観察装置1。【選択図】図1

Description

本発明は生きた状態のまま細胞を一定時間ごとに観察し、分裂による継代状態を自動的に記録する細胞観察装置に係るものである。
細胞を生きたまま長期間観察する技術がすでに開示されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、顕微鏡下での細胞を特定し、追跡するための装置が開示されている。また、生きた細胞は分裂するため、親子関係の特定も重要である。
一方、本出願の発明者は、生きたまま細胞を長期間観察できることを利用し、細胞毒性検査方法を提案した。この細胞毒性検査方法では、被検査対象となる薬剤を細胞に付与し、細胞の活動を調べることで、その薬剤の毒性を調べる。特に、細胞が分裂してから次に分裂するまでの時間(分裂間時間)と、細胞が分裂するのに有する時間(分裂時間)を調べ、薬剤が添加されなかった場合と比較する。
図10には、細胞が分裂する系譜を調べた例を示す。それぞれの代の細胞には、最初の親をC1とし、その後C2、C3・・、と番号を付与した。同じ世代の細胞には、C3a、C3bなどのように数字の後にアルファベットを付与して区別する。
図中丸で囲んだ数字は、これらの細胞の分裂の回数を表す。また、世代間をつなぐ線の長さは、大まかに分裂間時間の長さを反映させている。この系譜図を見ると、最初の細胞C1が分裂して2つのC2(C2a、C2b)ができ、それぞれの細胞からさらに分裂してC3(C3a、C3b、C3c、C3d)を生んでいることを順次観察できていることが分かる。なお、図10中で、「OUT」は顕微鏡の視野から外れ、観察出来なくなったことを示す。
細胞が薬剤で影響を受ける受け方として、分裂してから次に分裂するまでの時間が延びるだけでなく、分裂の過程でなんらかの影響を受けている場合もある。したがって、分裂を安定に繰り返す細胞の増殖の過程を調べて、薬剤の効果を調べるのは、きわめて有効な手法と考えられる。
このような細胞の観察は、細胞の親子関係を特定するのはもとより、いつ分裂期に入ったかを判定する必要があるため容易ではない。また、たった1つの細胞を追っただけでは、毒性の判断として適切ではないので、ある程度の数の細胞の親子関係および、いつ分裂期に入ったかという点を調べる必要がある。
特開2006−209698号公報 特開2012−039927号公報 特開2012−029675号公報:特許第5728201号
特許文献1、2では、観察する細胞毎に親子関係を特定しているので、分裂間時間の計測は、行えると考えられる。しかし、細胞が分裂するのにどの程度の時間がかかっているか(分裂時間)を測定することはできない。
また、複数個の細胞について分裂間時間と分裂時間を調べるには、膨大な量の写真を撮影し、どの細胞が分裂期に入っていたか、分裂が完了したのはいつか、といった点について目視で追跡しなければならず、非常に多くの時間と手間がかかっていた。
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたもので、個々の細胞の分裂時間および分裂間時間をも測定することができる細胞観察装置を提供するものである。
本発明では、多数の細胞写真を効率的に撮影するために、1つの視野に対して焦点深度方向に複数の画像を撮影しておき、個々の細胞については、その中からジャストフォーカスの画像を選ぶ。
また、本発明では分裂期に入ったか否かを細胞核の形状を楕円近似し、その長軸長aと短軸長bの比(b/a:いわゆる楕円比)が所定の値以下になったら分裂期に入ったと判断し、分裂が終了するまでの時間を分裂時間とすることで上記の課題を解決する。
より具体的に本発明に係る細胞観察装置は、
少なくとも細胞核の外形を識別可能に色分けした細胞を培養器中で培養する培養手段と、
前記培養器をX,Y,Z方向に移動させる移動手段と、
を有するステージ部と、
励起光を前記ステージに照射する光照射手段と
前記培養器中の細胞からの光を受光する受光手段と、
を有する顕微鏡部と
前記移動手段の移動量を制御するステージ位置制御手段と、
前記受光手段が受光した画像データを取得するデータ取得手段と、
前記画像データから細胞の分裂時間と分裂間時間を求めるデータ解析手段と
を有する制御部を有し、
前記データ取得手段は、1つの視野に対して焦点深度の異なる複数の画像データである深度画像データを取得し、
前記データ解析手段は、前記深度画像データから、前記画像データに映っている個々の細胞のジャストフォーカス画像を得ることを特徴とする。
本発明に係る細胞観察装置は、1つの視野に対して焦点深度方向に複数の画像を撮影しておき、視野中の個々の細胞については、その画像の中からジャストフォーカスの画像を選ぶので、1つの視野中に複数の細胞があっても、短時間で観察することができる。
また、この細胞装置は、細胞核の形状の変化でその細胞が分裂期に入ったと認識するため、細胞の分裂時間を測定することができる。したがって、薬剤が添加された細胞が継代的にどのように変化するかだけでなく、細胞分裂の周期に及ぼす影響も調べることができる。
また、本発明に係る細胞観察装置は、膨大な画像データを自動的に処理することができるので、特許第5728201号に示した細胞毒性検査をきわめて容易に行うことができる。
本発明に係る細胞観察装置の構成を示す図である。 細胞観察装置の全体処理のフローを示す図である。 細胞観察装置において、細胞の撮影を行う処理のフローを示す図である。 細胞観察によって得られるデータの概要を示す図である。 ジャストフォーカス画像を得る処理のフローを示す図である。 細胞を楕円近似する様子を示す図である。 細胞リストLを例示する図である。 細胞観察装置でデータ解析を行う処理のフローを示す図である。 データ解析の処理において、現在観察対象として細胞pCjに対応する細胞が細胞リストLになかった場合の処理のフローを示す図である。 細胞の系譜を例示した図である。
以下に本発明に係る細胞観察装置について図面を参照しながら説明を行う。以下の説明は、本発明の一実施形態を例示するものであって、本発明に係る細胞観察装置は、以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態は改変することができる。
本発明に係る細胞観察装置は、試薬の細胞に対する効果を確認するために、試薬を添加した細胞を培養し、その分裂時間と分裂間時間を観察する。これは試薬を添加された細胞の継代情報を測定することで求められる。
図1は、本発明に係る細胞観察装置1の構成を示す図である。図1を参照し、細胞観察装置1は、顕微鏡部10とステージ部20と制御部30で構成される。ステージ部20は、細胞を培養する部分である。本発明に係る細胞観察装置1は、蛍光遺伝子を組み込んだ細胞を複数の培養器22で培養し、一部の培養器22には効果を調べるための試薬などを添加する。
ステージ部20には、培養手段21と、移動手段25を有する。培養手段21は、複数の培養器22を細胞培養が可能な環境に維持する。例えば培養器22を37℃、5%のCO環境に維持する。培養器22には細胞が培養される。培養された細胞は、顕微鏡部10を介して観察される。したがって、培養器22は少なくとも透過性を有する。
培養器22は、少なくともコントロール(何も試薬をいれないもの)と、試薬を入れたものの2種類が用意される。図1では、培養器22aと培養器22bが用意されている状態を示している。これらの培養器22は、観察が継続される間、上記の環境条件に維持される。
移動手段25は、培養器22を顕微鏡部10の視野内に移動させる。移動手段25は、X,Y方向だけでなく、Z方向(顕微鏡部10の光学系13の光軸方向とする)にも移動可能なものであるのが望ましい。細胞をジャストフォーカスするためである。移動手段25は、ステージ23と、ステージ23をX,Y,Z方向に移動できる駆動装置24で構成される。
ステージ部20では、少なくとも移動手段25は後述する制御部30によって移動量および移動方向が制御できるように構成されている。
顕微鏡部10は、光照射手段11と、受光手段12を有する。光照射手段11は各蛍光タンパク質に対する励起光を出力する。励起光の種類は複数あってよい。受光手段12は、蛍光タンパクを発現している細胞に充てられた励起光によって発生する蛍光を受光する。なお、受光手段12は受光した映像を受光素子上に結像させ、画像データ化することができる。つまり、受光手段12は画像データを生成すると言ってよい。
光照射手段11と受光手段12は、同一の光軸を有する顕微鏡部10の光学系13に組み込まれる。光照射手段11がどの波長の励起光を、どの程度の出力で、いつ出力するかは後述する制御部30によって制御される。また、受光手段12が生成した画像データも後述する制御部30によって取得される。
なお、図1の説明では、顕微鏡部10がステージ部20より上にあるようにしたが、顕微鏡部10は倒立顕微鏡を用いてもよく、顕微鏡部10はステージ部20の下側に配置されてもよい。また、移動手段25は、ステージ部20を移動させるようにしたが、顕微鏡部10を移動させるようにしてもよい。
制御部30は、MPU(Micro Processor Unit)31とメモリ32で構成されるコンピュータで構成される。メモリ32上には、細胞観察装置1全体を制御するためのプログラムが記憶されている。以下のステージ位置制御手段33、データ取得手段34およびデータ解析手段35は、このプログラムの実行によってソフト的に実現される。なお、制御部30には、ディスプレイ31aおよび入出力装置31bが接続されているのが望ましい。画像データに基づいた解析や結果表示をするのに必要となるからである。
ステージ位置制御手段33は、ステージ部20のステージ23を顕微鏡部10に対して移動させる。つまり、ステージ位置制御手段33は、ステージ部20の移動手段25を制御する。データ取得手段34は、現在光学系13の下にある培養器22を光学系13を通して得た視野に対して励起光を照射させ、細胞が発現している蛍光タンパク質が発生する蛍光を受光し、生成される画像データを取得する。
データ解析手段35は、画像データを時系列に連続的に表示させ、細胞の分裂が始まる時刻(分裂開始時刻Tb)と分裂が終了した時刻(分裂完了時刻Tf)を特定し、そこから分裂時間Tdと分裂間時間Twを決定する。
以上の構成を有する細胞観察装置1の使用について詳説する。細胞観察装置1は、細胞に対する薬剤の効果を、細胞の継代的な状態を観察することで調べる。したがって、使用する細胞は、培養液中で培養し、増殖できる細胞が望ましい。例えば、特許第5728201号に開示されているm5Sという細胞は好適に利用することができる。もちろんこれ以外の細胞を用いることもできる。
細胞には、公知の方法によって蛍光タンパク質の遺伝子が導入される。細胞を観察するためである。導入される部位は所望の部位であってよい。ただし、本発明に係る細胞観察装置1では、細胞の分裂が開始された時刻を特定するために、細胞核の形状を判断する必要がある。
したがって、細胞核の外形が分かるように蛍光タンパク質を導入する。なお、細胞核の外形が分かるのであれば、特に蛍光タンパク質を使わなくてもよい。すなわち、蛍光タンパク質以外の方法でも細胞核を識別できればよい。このように蛍光タンパク質などを用いて細胞を発色若しくは発色可能にすることを「細胞を色分けする」と呼ぶ。
細胞は培養器22中で培養される。培養液は使用する細胞に好適なものを用いることができる。ただし、培養液は透明であることが望ましい。顕微鏡部10を通じて培養されている細胞を観察するからである。
培養器22中を培養に必要な状態に維持するための装置は培養手段21として適宜使用される。少なくとも培養液の温度と培養器22内の空気のCO濃度は所定の範囲に維持する必要がある。これらの装置は、制御部30が制御してもよいが、人手によって維持されていてもよい。
培養器22はステージ部20のステージ23上に固定される。なお、培養器22は複数の培養器22が用意される。
まず、細胞観察装置1の大まかな使用について説明する。上記のように細胞が用意された培養器22がステージ部20に固定されたら、観察が開始される。観察が開始されたら、顕微鏡部10は培養器22の所定の箇所で観察を行う。ここで観察を行うとは、細胞の画像データを得ることである。観察を行う場所は、培養器22の大きさと、顕微鏡部10の視野Wの広さで決めてよい。
観察を行う箇所は複数設定する。観察を行った箇所で、顕微鏡部10を通じて見える範囲が視野Wである。視野Wの中には少なくとも1つ以上の細胞があるようにするのが望ましい。以後、観察が継続する限り、この視野Wは巡回的に観察される。したがって、全ての視野Wを撮影し終わると、最初の視野Wに戻ってくる。つまり、全ての視野Wを撮影する時間が、1つの視野Wの観察間隔となる。
細胞観察は細胞を観察して画像データを得る処理と、得られた画像データを分析する処理で構成される。
図2には、処理の大まかな流れを示す。細胞がセットされたら細胞観察装置1をスタートさせる(ステップS100)。次に各視野Wに対して撮影を行う(ステップS102)。ステップS102は、各視野W毎に巡回的に、かつ継続的に行われる。次に画像データがある程度蓄積されたところで、データ解析を行う(ステップS104)。
このデータ解析によって、細胞毎の分裂時間Tdや分裂間時間Twが算出される。これらの情報は細胞リストLに記録される。この細胞リストLを用いれば、継代図を作成することもできる。なお、データ解析(ステップS104)の間も、ステップS102の撮影は継続して行われていてよい。
データ解析(ステップS104)が終了したら終了判定を行う(ステップS106)。終了判定は人の判断であって構わない。終了しない場合(ステップS106のN判定)は、再び撮影処理をおこなってもよい(ステップS102)。終了する場合(ステップS106のY分岐)は、停止する(ステップS108)。
図3には、ステップS102の撮影処理をより詳しく示した。撮影処理(ステップS120)では、まず、移動手段25で視野Wに移動する(ステップS122)。次に所定の色で深度方向に複数(例えば10枚)の画像データを取得する(ステップS124)。ある色についての1枚の画像データを色画像データVdと呼ぶ。そして、焦点深度方向に撮影した複数の色画像データVdを深度画像データΣVdと呼ぶ。
通常1つの視野Wには複数の細胞がいると考えられる。これらの細胞毎にジャストフォーカスされた画像データを得るのは時間がかかる。そこで、焦点深度方向に10枚の深度画像データΣVdを取得しておき、後から各細胞についてのジャストフォーカスの画像データを選択する。なお、ここでは焦点深度方向に10枚の画像データ(色画像データVd)を得ることとしたが、枚数については、10枚に限定されるものではない。
そして、同じ視野Wで色画像データVdを取得していない色があるかを判断する(ステップS126)。未取得の色がある場合(ステップS126のY分岐)は、励起光の波長を変えて再び深度方向に複数の深度画像データΣVdを得る(ステップS124)。
全ての色について撮影が終了した場合(ステップS126のN分岐)は、撮影を終了するか否かを判断する(ステップS128)。終了判断の基準は、特に限定されない。人為的に停止してもよいし、一定時間の経過を判断の基準としてもよい。撮影を終了しない場合(ステップS128のN分岐)は再びステップS122に処理を戻し、ステージ部20を移動させ新たな視野Wに向かう。なお、複数の色を同時に取得できてもよい。その場合深度画像データΣVdは、1枚に複数の色が撮影された色画像データVdで構成される。
撮影を終了する場合(ステップS128のY分岐)は、次のデータ解析(ステップS130)に処理を移す。なお、ステップS128でN分岐に進んだ場合でも、ステップS122に戻り、巡回的に撮影を継続するようにしてもよい。
図4には、このようにして取得される画像データのイメージと取得のタイミングを示す。図4(a)を参照して、培養器22をn個の視野Wに分け、順に撮影を行う。なお、ここでは簡単のために、色は「色1」と「色2」の2色で発光させたとする。もちろん、3色以上で発光させてもよい。ある視野Wi(1≦i≦n)での「色1」についての1枚の画像データが色画像データVdである。「色1」の色画像データを符号「Vd1」で表す。
この視野Wiでの色画像データVd1は焦点深度方向に複数枚撮影される。これが深度画像データΣVdである。「色1」に関する深度画像データを符号「ΣVd1」で表す。ここでは色が2色としたので、視野Wiでは、色1と色2で発色させた場合の深度画像データΣVd1と深度画像データΣVd2の2つの画像データの集合ができる。
このような深度画像データΣVdを撮影時刻に従って並べたのが図4(b)である。横方向に時刻が進む。縦方向は色の違いを表す。図4(b)を参照して、最初に時刻t11に視野W1を得る。次に時刻t21に視野W2というように、次々に深度画像データΣVdを取得する。視野はn個あるとしているので、時刻tn1に視野Wnの深度画像データΣVdを取得する。そして次の時刻t12には、再び視野W1の深度画像データΣVdを取得する。そして一般的に時刻timの時に視野Wiの深度画像データΣVdを取得する。つまり、時刻timは、視野Wiのm回目の撮影をした時刻である。
例えば、細胞を発光させる色が1色で、視野Wiが10か所あり、6分で全視野を撮影できるとする。すると6分毎に、100枚の色画像データVd(画像データ)を得る。観察を72時間行ったとすると、72,000枚の画像データが得られる。色が2色だと144,000枚にもなる。これらの画像データに映っている細胞の1つ1つについて人手だけで追跡するのは、容易ではない。
各時刻の間には、図4(a)で示したように、各視野Wについて各色毎に深度画像データΣVdを取得している。したがって、各視野W毎の撮影時間と、視野W間を移動する時間が、各時刻(例えばt11とt21)の間隔となる。また、同じ視野Wiはtim−ti(m−1)の時間間隔毎に撮影が行われる。図4(b)では、視野W2において、t21とt22の間Tsmが視野W2の撮影間隔となる。
以上のように、細胞観察装置1は、培養器22中に細胞を培養しながら、決められた視野Wについて細胞に蛍光発光させながら撮影を行っていく。撮影が進めば、培養されている細胞が映っている視野Wの時系列の変化が深度画像データΣVdとしてメモリ32(図1参照)に蓄積されていく。
一定数以上の深度画像データΣVdが蓄積したら、データ解析手段35で画像データを解析する。まず、データ解析を説明するにあたって、ジャストフォーカス画像処理(以後「JFP処理」と呼ぶ。)と分裂の判断、および細胞リストLについて説明する。
<JFP処理>
JFP(Just Focus Picture)処理とは、ある視野Wiにおける各細胞に関してジャストフォーカス画像を得る処理をいう。培養器22中の細胞は、幾分浮遊しているので、深度方向に細胞毎に位置が違う。視野Wi中にある複数個の細胞についてそれぞれ焦点を合わせながら色画像データVdを撮影すると、時間がかかる。
そこで、視野Wi毎に深度方向に複数枚の色画像データVdを撮影しておく。そして、あとから映っている個々の細胞につい焦点が最もよくあっている1枚の色画像データVdを選び、その細胞のジャストフォーカス画像(以後「JFP」という。)とする。
図5(a)にはこの処理のフローを示す。また、図5(b)乃至図5(d)にはこの処理の概念図を示す。なお、後述するデータ解析のフロー中では、JFPの処理はステップS204に相当する。また、JFP処理の入力は、ある観察時刻timにおける視野Wiの色画像データVdの全部である。言い換えると、全ての色についての細胞の深度画像データΣVdである。そして、出力は、細胞毎のジャストフォーカス画像である。これは細胞毎に1枚ある。
処理が始まる(ステップS400)と、深度画像データΣVdを読み込む(ステップS402)。ここで読み込む深度画像データΣVdは、時刻timの視野Wiについてのものである。また、視野Wi中の全ての色についての深度画像データΣVdである。図4のΣVd1およびΣVd2に相当する。次にこの深度画像データΣVd中の細胞を特定する(ステップS404)。細胞を特定するとは、深度画像データΣVd中に映っているどれかの細胞を部分的な領域に切り出し、抽出するとしてもよい。
この抽出した領域で焦点の合った画像を探すためである。そして、その細胞について最も輝度の高い色画像データVdを選択する(ステップS406)。言い換えると、抽出した領域で輝度が最も高くなる色画像データVdを選択する。焦点が合った画像の輝度が最も高くなると考えられるからである。なお、最初にJFP処理を行う場合は、細胞核を映した深度画像データΣVdについて処理をするのが望ましい。細胞核の色画像データVdが細胞を位置で区別する場合わかりやすいからである。
そして他の色に関する深度画像データΣVdがあるか否かを判断する(ステップS408)。他の色がある場合(ステップS408のY分岐)は、ステップS406に戻り、他の色の深度画像データΣVd中で最高輝度の色画像データVdを選ぶ。なお、この時ステップS404で使った切り出し領域を用いてよい。色が変わってもこの領域内に特定された細胞があるからである。
他の色がなければ(ステップS408のN分岐)、色毎の色画像データVdを合成する(ステップS410)。合成された画像データは、時刻timの時の視野Wiに映っているある細胞のジャストフォーカス画像(JFP)である。
次に読み込んだ深度画像データΣVd中の全ての細胞について処理を行ったかを判断する(ステップS412)。処理を行っていない場合(ステップS412のN分岐)は、再びステップS404に処理を移し、細胞特定から処理を繰り返す。読み込んだ深度画像データΣVd中の全ての細胞について処理が終わった場合(ステップS412のY分岐)は、細胞毎のJFPを出力(ステップS414)し処理を終える(ステップS418)。
次に図5(b)乃至図5(d)を用いて、このフローの動作を説明する。図5(b)を参照して、色1の深度画像データΣVd1の中に細胞が2つ映っている場合を示している。それぞれC1、C2とする。また、細胞は2つの色で発光することができるとする。言い換えると、細胞は2つの色で色分けされている。
今、「色1」について細胞C1を部分的な領域Vcで切り出すことで特定した(ステップS404)。そして、深度画像データΣVd1の中から、領域Vcの輝度が最も高いものを選ぶ(ステップS406)。これが細胞C1の「色1」についてのジャストフォーカス画像(「JFP1」とする。)である。つまり、細胞C1に焦点があった画像データ(色画像データVd1)である。
図5(c)を参照して、細胞C1は他の色もあるので(ステップS408のY分岐)、色2についての深度画像データΣVd2に対して、再び細胞特定を行う(ステップS404)。ここで使う部分的な領域Vcは、色1の場合に用いた領域と同じ領域を使ってよい。次に深度画像データΣVd2において、部分的な領域Vcの輝度が最も高い画像データを選択する(ステップS406)。これが細胞C1につていのジャストフォーカス画像(「JFP2」とする。)である。つまり、細胞C2に焦点があった画像データ(色画像データVd2)である。
JFP1とJFP2を合成したものが、この視野Wにおける細胞C1のジャストフォーカス画像である(図5(d))。符号JFPC1として示した。この視野Wには、他の細胞C2もあるので、細胞C1の場合同様に、ジャストフォーカス画像(JFPC2)を得る。
以上のようにJFP処理は、ある時刻の視野Wについて撮影された深度画像データΣVdを読み込んで、そこに映っている各細胞のジャストフォーカス画像JFPを出力する。
<分裂の判断>
次に分裂の判断について説明する。図6には、細胞が分裂する様子を概念的に示す。細胞の外膜はさまざまな形状を示すが、細胞核に注目すると、通常はほぼ円状態にある。しかし、分裂が始まると楕円形になり、真ん中がくびれ、やがてほぼ円状態の2つの細胞核に分かれる。本発明に係る細胞観察装置1では、細胞核を楕円近似する。図6では、図6(a)の変化が実際の核の変化であり、図6(b)の実線が楕円近似した状態である。
細胞核の形状を楕円近似し、楕円の長軸aと短軸bの比(b/a:楕円率Ro)によって分裂開始を判断する。つまり、楕円率Roが所定の値以下であれば(細長くなれば)、分裂を開始したと判断する。この時の時刻が分裂開始時刻Tbである。
また、分裂が完了すると、元の細胞核の付近に新たなほぼ円形の細胞核が出現する。この時をもって細胞分裂は完了したと判断する。この時の時刻が分裂完了時刻Tfである。また、分裂完了時刻Tfは新たな細胞の誕生時刻Tsでもある。
なお、分裂開始時刻Tbから分裂完了時刻Tfまでの時間が分裂時間Tdであり、分裂完了時刻Tf(=新たな細胞の誕生時刻Ts)からその細胞が分裂を開始するまでの時間が分裂間時間Twである。
<細胞リストL>
画像データ中に撮影された全ての細胞についての記録が細胞リストLである。個々の細胞について時間的な状態の変化を記録できれば、特に限定されるものではない。図7にはその一例を示す。図7を参照して、縦方向には細胞番号、横方向には観察時刻が配置されている。なお、視野Wはn個あるとしている。
ここでは視野W1に2つの細胞があり、それぞれC1、C2という番号が付与されたとする。時刻t11の時の細胞C1の状態をC1S11とする。これを状態情報と呼ぶ。なお、状態情報は符号Sであらわし、特定の細胞についての状態情報をいう場合は、細胞番号を先頭につける。状態情報C1S11には、視野W、観察時刻、視野中の位置座標(x、y)、長軸長(a)、短軸長(b)、楕円率Ro、分裂開始時刻Tb、分裂完了時刻Tf、誕生時刻Ts、ジャストフォーカス画像(JFP)等が記録される。細胞C2についても同様である。
視野W1の次の観察は、時刻t12であるので、それまでの時刻に細胞C1、細胞C2についての情報が記録されることはない。このように1つの視野はTsm毎に観察される。
視野W2には細胞C3、細胞C4があるとした。これらの細胞についても、細胞C1、細胞C2と同じように記録される。ただし、これらの細胞は視野Wが異なるので、観察時刻は異なる。
視野Wkには、細胞Ckがあるとする。この細胞Ckは時刻tk1に観察されている。したがって、状態情報CkSk1が記録される。視野Wkは次の観察時刻がtk2である。そして、この時細胞Ckは分裂していたとする。このような場合、状態情報CkSk2には、分裂完了時刻Tfが記録される。分裂完了時刻Tfが記録されたら、細胞Ckは存在しなくなったことを意味する。
細胞Ckの分裂によって、新たな細胞が生まれている。それらを細胞Ck1、細胞Ck2とする。細胞番号には、親子関係が分かるようにしておくのが便利である。細胞Ck1が分裂したら細胞Ck11と細胞Ck12が生まれるといったように、番号を付与すると便利である。
細胞Ck1および細胞Ck2は、時刻tk2に生まれたと判断されるので、状態情報Ck1Sk2と状態情報Ck2Sk2には、誕生時刻Tsがその他の情報に加えて記録される。
以下に説明するデータ解析手段35(図1参照)は、撮影された全ての画像データを解析し、この細胞リストLを作成するのが、目的である。なお、本発明において、細胞リストLを更新するとは、従前の情報を残したまま新たに観察データを記録する意味である。細胞リストLから、系譜図を得るためには、全ての経過情報が必要だからである。
<データ解析>
以上のように、JFP処理、細胞分裂の開始の判断、細胞リストLを用意してから、データ解析手段35が行う処理に関して説明する。データ解析のフローを図8に示す。データ解析処理は図2の全体フローのステップS104に示した処理である。すでに説明したように、この処理は、画像データ(深度画像データΣVd)が蓄積すればいつでも行うことができる。
図8を参照して、データ処理が開始されたら(ステップS200)、解析を行う深度画像データΣVdを読み込む(ステップS202)。この深度画像データΣVdは、時刻timの視野Wiの全ての色についてのものである。従って、図8では「timWi」と示した。なお、図への記載は省略したが、処理が開示されたら初期設定を行い、変数i、m、jは1に初期化されているものとする。変数iは、視野Wの番号を示し、変数mはその視野Wの観察回数を示し、変数jはその視野内での細胞の仮番号を示す。
全ての色の深度画像データΣVdを読み込んだら、JFP処理を行う(ステップS204)。このJFP処理の詳細は、図5に示した通りである。このJFP処理によって、視野Wiに映っている細胞毎のジャストフォーカス画像(JFP)が得られる。
次にこのJFP上の細胞について仮番号を付与する(ステップS206)。仮番号は今解析を行おうとしている視野にある細胞(ステップS204で得たJFPに映っている細胞)にだけ有効な細胞番号である。ここでは、仮番号をpCj(j=1、2、・・・)とする。最終的な細胞番号は、後の処理で付与され、細胞リストLには、最終的な細胞番号で登録、管理される。
次に細胞リストL中に、すでに細胞pCjに対応する細胞があるか否かを調べる(ステップS208)。細胞pCjは視野Wi内にあるので、細胞リストLにそもそも視野Wiの記録がなければ、対応する細胞は細胞リストLにはないと判断できる。また、視野Wiの記録があった場合、細胞pCjの座標と同じ座標を持つ細胞があるかを調べれば、すでに記録された細胞であるか否かを判断することができる。
細胞リストL中に細胞pCjに対応する記録がすでにある場合(ステップS208のY分岐)は、細胞pCjの状態情報Sを調べ、細胞リストLを更新する(ステップS210)。具体的には、撮影時刻Tim、細胞の位置座標(x、y)、楕円近似から求める楕円率Ro、分裂開始時刻Tb、分裂完了時刻Tf、誕生時刻Tsといったものである。なお、楕円率Roは、この処理において、JFPに基づいて画像処理で求められる。この楕円率Roを求める工程で、細胞pCjはその形状を楕円近似で決定される。また、楕円率Roが閾値Th以下であったら、観察時刻Timを分裂開始時刻Tbとして記録する。この処理は、細胞が分裂したと判断しているので、分裂開始決定手段と呼んでよい。なお、細胞リストLを更新する際には仮番号pCjではなく、本来の細胞番号として更新する。以下についても同じである。
分裂開始時刻Tbが記録されると、同じ細胞の誕生時刻Tsが記録されてあれば、分裂間時間TwをTb−Tsとして求める。
対応する細胞が細胞リストL中にない場合(ステップS208のN分岐)は、「不明細胞処理」を行う(ステップS214)。細胞リストL中に細胞pCjが見当たらないというのは、いくつかの場合が考えられる。「不明細胞処理」とは、細胞pCjが(1)新細胞であった、(2)以前の位置から移動した、(3)まだ細胞リストLに記録されていなかった、(4)移動して追跡不可となった、の4つの結果に分ける。そしてそれぞれについて細胞リストLを更新する。
細胞pCjが新細胞であると判断された場合は、細胞リストLの視野Wiの部分に新たな細胞として記録する。この処理は、細胞分裂が完了したことを決定しているので、分裂完了決定手段と呼んでよい。これは、図7の細胞Ckから新細胞Ck1と新細胞Ck2を分岐させたように記録する(ステップS216)。つまり、分裂完了時刻Tfが記録される。なお、新細胞が生まれた時点で、すでに分裂開始時刻Tbが記録されていたら分裂時間TdをTf−Tbで求める。
また、細胞pCjが元の位置から移動してしまったと判断された場合は、新たな座標の状態で細胞リストLを更新する(ステップS218)。
また、細胞pCjは、元の位置から大きく移動してしまい、元の位置を推定できない場合は、細胞リストLに追跡不能の記録をする。(ステップS220)視野Wは同じ培養器22中に複数箇所設けられるので、その視野W内に存在していた細胞が移動して視野の外に移動したり、視野W外からその視野Wに入ってくる場合もある。そのような細胞については、記録の対象から外す。
具体的には、そのような細胞を特定して、行方不明と記録する。例えば、m回目の測定に対する分析が終了したら、細胞リストL中に更新されなかった細胞を探す。その細胞には行方不明と記録することができる。
また、細胞pCjがまだ細胞リストLに記録されたものでない場合は、新たに細胞リストLに細胞番号を付与したうえで、登録する(ステップS222)。観察の初期には、細胞リストLに細胞は登録されていないので、視野W内の全ての細胞は、この処理で細胞リストLに登録される。
以上の処理によって、視野Wi中の細胞は、細胞リストL上で更新される。次に視野Wi中の全ての細胞について処理が終了したかを判断する(ステップS224)。これは全ての細胞pCjについて処理が終了したかで判断することができる。
まだ視野Wi中に未処理の細胞が残っている場合(ステップS224のN分岐)は、変数jをインクリメントして、再度ステップS208に戻って細胞リストLの更新を行う。全ての細胞pCjについて処理が終了したら(ステップS224のY分岐)、全ての視野Wiについて処理が終了したかを判断する(ステップS226)。未処理の視野Wiがある場合(ステップS226のN分岐)、変数jは1に初期化し、変数iをインクリメントしてステップS204に戻る。新たな視野WiのJFPを得るためである。
全ての視野Wiについて処理が終了している場合(ステップS226のY分岐)は、全ての観察時刻について処理が終了したかを判断する(ステップS228)。
まだ未処理の観察時刻が残っている場合(ステップS228のN分岐)は、変数iおよびjを1に初期化し、変数mをインクリメントしたうえで、ステップS202に戻る。新たな深度画像データΣVd(timWiで表される)を取得するためである。
観察時刻について未処理の深度画像データΣVdがない場合(ステップS228のY分岐)は、データ解析の処理を終了する(ステップS230)。以上の処理が終了すると、細胞リストLには各視野Wi中に映された全ての細胞の状態情報Sについて、観察時間中の経過が全て記録される。
図9は、図8のステップS214の「不明細胞処理」を詳細に示すフローである。このフローの処理は、細胞リストL中に細胞pCjに対応する細胞が見当たらない場合であった(図8参照)。細胞pCjは、視野Wi中の細胞で仮番号を付与されている細胞である。このフローが始まると(ステップS300)、細胞リストLの中に視野Wiが存在するかを調べる(ステップS302)。細胞リストL中に視野Wiの記録がなければ(ステップS302のN分岐)、視野Wi中の細胞pCjの記録はないので、初記録としてステップS222へ処理を移す(ステップS318)。
細胞リストL中に視野Wiの記録はある場合(ステップS302のY分岐)は、視野Wi中の記録に分裂開始時刻Tbが記録されている細胞があるか否かを調べる(ステップS304)。ここでは、今対象とされている仮番号が付与された細胞pCjは、細胞分裂の結果新しくできた細胞ではないかという観点を調べる。
分裂開始時刻Tbが記録されている細胞があったら(ステップS304のY分岐)、細胞pCjはその分裂開始時刻Tbが記録された細胞の近傍に存在するか否かを調べる(ステップS306)。これは分裂開始時刻Tbが記録された細胞の座標と、細胞pCjの座標を比較することで、調べることができる。なお、「近傍」とは2つの細胞の距離が予め決めておいた距離r0内にあるか否かで判断することができる。
より具体的には、分裂開始時刻Tbが記録されている場合は、その細胞を楕円近似した際の長軸aの方向に細胞を探すことが効果的である。図6を再度参照して、細胞の分裂は、細胞を楕円近似した際の長軸aの方向に長軸aよりも小さい長軸を有する子細胞が2つできるからである。
再び図9を参照する。分裂開始時刻Tbが記録された細胞の近傍に細胞pCjがあった場合(ステップS306のY分岐)は、分裂してできた新細胞であるか否かを調べる(ステップS308)。これは、分裂開始時刻Tbが記録された細胞の近傍にもう1つ細胞が存在しているか否かで調べることができる。
すでに、上記に説明したように、分裂する前の細胞を楕円近似した際の長軸aの方向に他の細胞が存在し、これら2つの細胞を楕円近似した際の長軸長が分裂する前の細胞の長軸長より短ければ、これらの細胞は細胞分裂によって生じた2つの細胞と判断することができる。
細胞pCjが分裂の結果生成した新細胞である場合(ステップS308のY分岐)は、新細胞の登録(図8のステップS216)へ処理を移す(ステップS312)。細胞pCjが分裂して生成した細胞でない場合(ステップS308のN分岐)は、後述する移動によって位置が変化したか否かの判断(ステップS310)に処理を移行する。
ステップS304に戻って、視野Wi中に分裂開始時刻Tbを記録した細胞がない場合(ステップS304のN分岐)は、細胞pCjは視野Wi内で移動してしまった結果、元の場所で発見できなかったという観点で調べる。具体的には、移動によって座標を変えたのか否かを調べる(ステップS310)。
これを判断するための手段はいろいろとあるが、簡単な方法としては、視野Wi中に記録された細胞の最新の位置座標から所定の距離r2内に細胞pCjが存在するか否かを調べる。つまり、r2までの細胞の移動は追跡するという趣旨である。
所定の範囲r2内にすでに記録された細胞があれば、細胞pCjはその細胞が現在の位置まで移動してきたと判断する(ステップS310のY分岐)。この場合は、細胞が移動したと判断し、新たな座標で細胞リストLを更新する処理(図8のステップS218)に処理を移す(ステップS314)。
また、所定の距離r2内にすでに記録された細胞がなければ(ステップS310のN分岐)、細胞pCjは追跡不可能な細胞であるとして、追跡不可の処理(図8のステップS220)へ処理を移す(ステップS316)。
ステップS306に戻って、視野Wi中に分裂開始時刻Tbが記録されている細胞があるが、細胞pCjは、その細胞の近傍ではなかった場合(ステップS306のN分岐)は、細胞pCjは移動したものではないかと考え、ステップS310に処理を移す。ここでの処理は上記に説明したとおりである。
このように「不明細胞処理」は、細胞pCjが(1)新細胞であった、(2)以前の位置から移動した、(3)まだ細胞リストLに記録されていなかった、(4)移動して追跡不可となった、の4つの結果に分けることができる。
以上のように、本発明に係る細胞観察装置1は、培養した細胞の写真を色毎に撮影し、データ分析手段によって、観察できる細胞の分裂を細胞毎に追跡し、分裂開始時刻Tbと、分裂完了時刻Tfを細胞毎に得ることができる。
細胞観察装置1では、細胞分裂の開始と、細胞分裂の完了は生物学的な意味での細胞分裂および分裂完了とは異なる。しかし、膨大な画像データから個々の細胞の分裂の開始と、分裂の完了を画像処理で画一的に調べることができる。
このような観察系において、複数の培養器22を用意しておき、一方のグループに被試験用薬剤を投入し、他方のグループには薬剤を投入せず、観察を一定期間行う。このようにすることで、被試験用薬剤が細胞分裂をどれくらいの時間で行うか(分裂時間)、分裂してから次の分裂までどの程度の時間がかかっているか(分裂間時間)を自動的に調べることができる。
本発明は細胞を生きたまま観察する細胞観察装置として好適に利用することができる。また、この装置により、細胞の毒性評価を自動で行うことができる。
1 細胞観察装置
10 顕微鏡部
11 光照射手段
12 受光手段
13 光学系
20 ステージ部
23 ステージ
24 駆動装置
21 培養手段
22 培養器
25 移動手段
30 制御部
31 MPU(Micro Processor Unit)
32 メモリ
31a ディスプレイ
31b 入出力装置
33 ステージ位置制御手段
34 データ取得手段
35 データ解析手段
W 視野
Vd 色画像データ
ΣVd 深度画像データ
Tb 分裂開始時刻
Tf 分裂完了時刻
Td 分裂時間
Tw 分裂間時間
Vc 領域
Ts 誕生時刻
L 細胞リスト

Claims (4)

  1. 少なくとも細胞核の外形を識別可能に色分けした細胞を培養器中で培養する培養手段と、
    前記培養器をX,Y,Z方向に移動させる移動手段と、
    を有するステージ部と、
    励起光を前記ステージに照射する光照射手段と
    前記培養器中の細胞からの光を受光する受光手段と、
    を有する顕微鏡部と
    前記移動手段の移動量を制御するステージ位置制御手段と、
    前記受光手段が受光した画像データを取得するデータ取得手段と、
    前記画像データから細胞の分裂時間と分裂間時間を求めるデータ解析手段と
    を有する制御部を有し、
    前記データ取得手段は、1つの視野に対して焦点深度の異なる複数の画像データである深度画像データを取得し、
    前記データ解析手段は、前記深度画像データから、前記画像データに映っている個々の細胞のジャストフォーカス画像を得ることを特徴とする細胞観察装置。
  2. 前記データ取得手段は、前記深度画像データを色分けされた前記細胞の前記色毎に取得し、
    前記データ解析手段は、前記色毎の深度画像データから、前記細胞に焦点のあった画像データを選び、それらを合成することで前記ジャストフォーカス画像を得ることを特徴とする請求項1に記載された細胞観察装置。
  3. 前記データ解析手段は、
    細胞毎の前記ジャストフォーカス画像から前記細胞核の形状を楕円近似で決定し、
    前記楕円の長軸と短軸の比率(楕円率)が所定の値以下になった時に前記細胞が分裂を開始したと判断する分裂開始決定手段と、
    分裂を開始したと判断された前記細胞が複数になった時点で分裂が完了したと判断する分裂完了決定手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載された細胞観察装置。
  4. 前記分裂完了決定手段は、分裂前の細胞を楕円近似した際の長軸方向に2つの細胞があって、それぞれの細胞を楕円近似した際の長軸長が前記分裂前の細胞を楕円近似した際の長軸長より小さいことで分裂完了を判断することを特徴とする請求項3に記載された細胞観察装置。
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