JP2018031710A - 微量揮発性有機化合物の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微量の揮発性有機化合物を簡便かつ高感度に検出する方法を提供すること。【解決手段】選択的捕捉能を有する捕捉化合物により全表面を覆うことなく表面修飾された金属酸化物ナノワイヤの表面に、前記捕捉化合物で検出対象となる揮発性有機化合物を選択的に捕捉し、濃縮させて、前記金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を生じさせ、該化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出し、微量の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする揮発性有機化合物の検出方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、揮発性有機化合物の検出方法に係り、詳しくは、金属酸化物ナノワイヤを用いた微量揮発性有機化合物の検出方法に関する。
ストレスやガンのバイオマーカーとしての揮発性有機化合物(例えば、ノナナール等のアルデヒド類)の検出を行うことは、病気の早期発見につながる可能性があることから、近年、様々な研究が進められている。
大型の高精度ガスセンサによれば、微量の揮発性有機化合物も検出することは可能であるが、非常に高価であり、簡便に検出するには適していない。
したがって、簡便な検出方法が求められているが、従来提案されている検出方法では、感度や識別能に問題があり、呼気等に含まれる微量な揮発性有機化合物を検出することは困難であった。
一方、本発明者らは、これまで、金属酸化物ナノワイヤを用いた小型センサの開発を進めており、例えば、金属酸化物半導体ナノワイヤと、前記金属酸化物半導体ナノワイヤに所定の電圧を印加する一対の電極と、前記金属酸化物半導体ナノワイヤの抵抗値を検出する抵抗値検出手段とを備え、前記一対の電極から印加された電圧によって前記金属酸化物半導体ナノワイヤに流れる電流で前記金属酸化物半導体ナノワイヤを加熱し、前記抵抗値検出手段により検出された前記金属酸化物半導体ナノワイヤの抵抗値の変化から、前記金属酸化物半導体ナノワイヤの表面に接触する揮発性分子の分子量を検出することを特徴とする金属酸化物半導体センサを提案している(特許文献1参照)。
本発明の課題は、微量の揮発性有機化合物を簡便かつ高感度に検出する方法を提供することにある。
本発明者らは、金属酸化物ナノワイヤを用いた微量揮発成分(揮発性有機化合物)の高感度検出方法について研究する中で、金属酸化物ナノワイヤ表面近傍に、標的とする揮発成分を選択的に高い濃度で滞在させ、金属酸化物ナノワイヤ表面との化学反応を促進させることに思い至り、その手段として、金属酸化物ナノワイヤ表面の一部(反応サイト)を残しつつ、金属酸化物ナノワイヤ表面を、選択的捕捉能を有する捕捉化合物で覆い、金属酸化物ナノワイヤ表面近傍に、標的とする揮発成分を捕捉して濃縮する手段を見いだした。同時に、本発明者らは、上記金属酸化物ナノワイヤ表面での化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出することにより、ごく微量の揮発成分であっても精度よく高感度で検出することができることを見いだした。本発明は、これらの知見により、完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]選択的捕捉能を有する捕捉化合物により全表面を覆うことなく表面修飾された金属酸化物ナノワイヤの表面に、前記捕捉化合物で検出対象となる揮発性有機化合物を選択的に捕捉し、濃縮させて、前記金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を生じさせ、該化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出し、微量の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする揮発性有機化合物の検出方法。
[2]電界効果トランジスタが、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であることを特徴とする[1]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[3]捕捉化合物による表面修飾が、自己組織化単分子膜による表面修飾であることを特徴とする[1]又は[2]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[4]検出対象の揮発性有機化合物が、アルデヒド類である[1]〜[3]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[5]捕捉化合物が直鎖状アルキルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物が直鎖状アルデヒド類であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[6]捕捉化合物がn−オクタデシルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物がノナナールであることを特徴とする[5]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[7]1ppm以下の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[8]微量の揮発性有機化合物を検出するための金属酸化物ナノワイヤを用いたMOSFETセンサであって、前記金属酸化物ナノワイヤ表面が、その全部を覆うことなく、選択的捕捉能を有する捕捉化合物で表面修飾され、該金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を、前記MOSFETによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出することを特徴とするセンサ。
[9]絶縁膜と、該絶縁膜の表面に配設された1本又は複数本の金属酸化物ナノワイヤと、金属酸化物ナノワイヤの両端に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記絶縁膜の裏側に設けられたゲート電極と、を備えていることを特徴とする[8]記載のセンサ。
[1]選択的捕捉能を有する捕捉化合物により全表面を覆うことなく表面修飾された金属酸化物ナノワイヤの表面に、前記捕捉化合物で検出対象となる揮発性有機化合物を選択的に捕捉し、濃縮させて、前記金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を生じさせ、該化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出し、微量の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする揮発性有機化合物の検出方法。
[2]電界効果トランジスタが、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であることを特徴とする[1]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[3]捕捉化合物による表面修飾が、自己組織化単分子膜による表面修飾であることを特徴とする[1]又は[2]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[4]検出対象の揮発性有機化合物が、アルデヒド類である[1]〜[3]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[5]捕捉化合物が直鎖状アルキルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物が直鎖状アルデヒド類であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[6]捕捉化合物がn−オクタデシルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物がノナナールであることを特徴とする[5]記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[7]1ppm以下の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
[8]微量の揮発性有機化合物を検出するための金属酸化物ナノワイヤを用いたMOSFETセンサであって、前記金属酸化物ナノワイヤ表面が、その全部を覆うことなく、選択的捕捉能を有する捕捉化合物で表面修飾され、該金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を、前記MOSFETによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出することを特徴とするセンサ。
[9]絶縁膜と、該絶縁膜の表面に配設された1本又は複数本の金属酸化物ナノワイヤと、金属酸化物ナノワイヤの両端に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記絶縁膜の裏側に設けられたゲート電極と、を備えていることを特徴とする[8]記載のセンサ。
本発明の揮発性有機化合物の検出方法によれば、1ppm以下といった微量の揮発性有機化合物を簡便かつ高感度に検出することができる。
本発明の揮発性有機化合物の検出方法としては、選択的捕捉能を有する捕捉化合物により全表面を覆うことなく表面修飾された金属酸化物ナノワイヤの表面に、前記捕捉化合物で検出対象となる揮発性有機化合物を選択的に捕捉し、濃縮させて、前記金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を生じさせ、該化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出し、微量の揮発性有機化合物を検出する方法であれば特に制限されるものではなく、本発明の揮発性有機化合物の検出方法によれば、微量の揮発性有機化合物を簡便かつ高感度に検出することができ、例えば、1ppm以下、500ppb以下、300ppb以下といった微量成分を検出することができる。実際、本発明者らは、259ppbのノナナールの検出を実現している。
本発明の方法において検出対象となる揮発性有機化合物としては、例えば、ヘキサナール、ノナナ―ル等のアルデヒド類、2−ノナノン、3−ノナノン等のケトン類、プロパノール、ヘキサノ―ル等のアルコール類や、アミン類、カルボン酸類を挙げることができ、特に肺がんマーカーとなるノナナールが好ましい。
また、本発明において用いる捕捉化合物としては、有機化合物であることが好ましく、自己組織化単分子膜を形成可能な有機化合物であることが好ましい。かかる捕捉化合物としては、検出対象の揮発性有機化合物に応じて適切なものを適宜選択して用いることでき、例えば、検出対象の揮発性有機化合物の分子鎖長に基づいて選択することができる。
例えば、検出対象の揮発性有機化合物が直鎖状アルデヒド類である場合、捕捉化合物として直鎖状アルキルホスホン酸を選択することができ、直鎖状アルデヒド類の分子鎖長に基づいて、適当な分子鎖長(例えば、炭素数1〜30程度)の直鎖状アルキルホスホン酸を選択することができる。より具体的には、検出対象の揮発性有機化合物がノナナールである場合は、捕捉化合物としてn−オクタデシルホスホン酸(ODPA)が好適であり、検出対象の揮発性有機化合物がヘキサナールである場合は、捕捉化合物としてn−デシルホスホン酸(DPA)が好適である。
本発明において用いる金属酸化物ナノワイヤとしては、例えば、ZnOナノワイヤ、SnO2ナノワイヤ、In2O3ナノワイヤ、Ga2O3ナノワイヤ等、金属酸化物半導体により形成された各種ナノワイヤを用いることができる。また、中密状のワイヤ形状のものの他、中空状のナノチューブであってもよい。この金属酸化物ナノワイヤの製造方法としては、水熱合成法、自己組織化法、微細加工法等が挙げられるが、その製法は問わない。また、金属酸化物ナノワイヤは、1つのセンサに対して、1本であっても複数本であってもよい。
本発明においては、金属酸化物ナノワイヤ表面を上記捕捉化合物で被覆状態とすることを特徴とするが、同時に、金属酸化物ナノワイヤ表面の一部(反応サイト)を非被覆状態として残すことを特徴とする。すなわち、被覆部分(捕捉化合物)で、標的とする揮発成分を選択的に捕捉して金属酸化物ナノワイヤ表面に濃縮し、これと同時に、非被覆部分(ナノワイヤ表面)で、標的とする揮発成分を化学反応させる。これにより、標的とする揮発性有機化合物を選択的かつ高精度に検出することが可能となる。
したがって、本発明においては、金属酸化物ナノワイヤ表面を適切に被覆することが重要となる。捕捉化合物による被覆割合としては、捕捉化合物の種類や検出対象の揮発性有機化合物の種類によって適宜決定することができるが、金属酸化物ナノワイヤ表面の30〜90%程度被覆することが好ましく、40〜80%程度被覆することがより好ましく、50〜70%程度被覆することが好ましい。この被覆割合は、X線光電子分光法により求めることができる。
本発明において用いる電界効果トランジスタは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であり、トップゲート型、サイドゲート型、バックゲート型のいずれであってもよいが、バックゲート型が好ましい。
本発明の検出方法に用いるセンサとしては、金属酸化物ナノワイヤを用いたMOSFETセンサであって、前記金属酸化物ナノワイヤ表面が、その全部を覆うことなく、選択的捕捉能を有する捕捉化合物で表面修飾され、該金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を、前記MOSFETによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出するセンサを挙げることができる。
バックゲート型のMOSFETセンサとしては、例えば、絶縁膜と、該絶縁膜の表面に配設された1本又は複数本の金属酸化物ナノワイヤと、金属酸化物ナノワイヤの両端に設けられたソース電極及びドレイン電極と、前記絶縁膜の裏側に設けられたゲート電極を備えているものを挙げることができる。絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極の構造や材料は、従来のMOSFETに用いられているものと同様のものを用いることができる。なお、ソース電極及びドレイン電極は、金属酸化物ナノワイヤのセンサ部(化学反応部)の両側に設けられていればよく、「両端」とは厳密に両側の端を意味するものではない。また、必要に応じて、前記絶縁膜の裏面に半導体基板を設け、かかる半導体基板を介してゲート電極を設けてもよい。
本発明のセンサにおいては、ナノワイヤ表面−検出対象分子間で生じた化学反応による電気抵抗・電流変化をソース−ドレイン電極間で測定し、検出対象の揮発性有機化合物を検出する。ゲート電極から電界印加し、得られた電気伝導変化を増幅することにより巨大なシグナル応答を得ることができる。
ここで、図1に基づいて、本発明のセンサの動作メカニズムを説明する。
通常、シリコンMOSFETではゲート電圧印加により、電流が流れるチャネルから電子を完全に追い払い、電流を劇的に抑制できる。
しかしながら、本発明で用いる酸化亜鉛ナノワイヤ等の金属酸化物ナノワイヤのFETでは、表面トラップ準位に起因してゲート電圧が効果的にチャネルに印加されず、電流が抑制されない(図1(a))。しかしながら、金属酸化物ナノワイヤの表面を、ODPA等の捕捉化合物で被覆することにより、表面トラップ準位が改善する(図1(b))。さらに、金属酸化物ナノワイヤ表面に多量のノナナ―ル等の標的揮発成分が化学吸着することでこの表面トラップ準位がさらに改善し(消滅し)、ゲート電圧が効果的にチャネルに印加され、電流抑制効果が起こる。電流抑制効果が最大になるゲート電圧を選択することで、ノナナ―ル等の標的揮発成分のセンシング感度を大幅に増幅することができる。
通常、シリコンMOSFETではゲート電圧印加により、電流が流れるチャネルから電子を完全に追い払い、電流を劇的に抑制できる。
しかしながら、本発明で用いる酸化亜鉛ナノワイヤ等の金属酸化物ナノワイヤのFETでは、表面トラップ準位に起因してゲート電圧が効果的にチャネルに印加されず、電流が抑制されない(図1(a))。しかしながら、金属酸化物ナノワイヤの表面を、ODPA等の捕捉化合物で被覆することにより、表面トラップ準位が改善する(図1(b))。さらに、金属酸化物ナノワイヤ表面に多量のノナナ―ル等の標的揮発成分が化学吸着することでこの表面トラップ準位がさらに改善し(消滅し)、ゲート電圧が効果的にチャネルに印加され、電流抑制効果が起こる。電流抑制効果が最大になるゲート電圧を選択することで、ノナナ―ル等の標的揮発成分のセンシング感度を大幅に増幅することができる。
本発明の検出方法においては、センサ単独で特定の標的揮発成分を検出することもできるが、異なる捕捉化合物を被覆した金属酸化物ナノワイヤを備えた複数のセンサを用いて、センサアレイとすることができ、各センサの検出結果を統合して、1又は複数種の標的揮発成分を検出することもできる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
[金属酸化物ナノワイヤの作製]
図2は、金属酸化物ナノワイヤの作製方法の概略説明図である。
(シード層の作製)
エタノール中に、酢酸亜鉛50mMを添加・撹拌した。得られた溶液を1000rpmの回転速度で1分間、基板上にコーティングした後、180℃で10分間加熱し、基板上に目的とするシード層を得た。
図2は、金属酸化物ナノワイヤの作製方法の概略説明図である。
(シード層の作製)
エタノール中に、酢酸亜鉛50mMを添加・撹拌した。得られた溶液を1000rpmの回転速度で1分間、基板上にコーティングした後、180℃で10分間加熱し、基板上に目的とするシード層を得た。
(ナノワイヤ成長)
硝酸亜鉛六水和物25mM、ヘキサメチレンテトラミン25mM、ポリエチレンイミン2.5mMを水に添加・撹拌した後、シード層を備えた基板を浸漬し、95℃で24時間加熱して、目的とする酸化亜鉛ナノワイヤを得た。その後、酸化亜鉛ナノワイヤの電気伝導性を制御するために、650℃で2時間、大気中で焼成した。
硝酸亜鉛六水和物25mM、ヘキサメチレンテトラミン25mM、ポリエチレンイミン2.5mMを水に添加・撹拌した後、シード層を備えた基板を浸漬し、95℃で24時間加熱して、目的とする酸化亜鉛ナノワイヤを得た。その後、酸化亜鉛ナノワイヤの電気伝導性を制御するために、650℃で2時間、大気中で焼成した。
[デバイス(センサ)の作製]
図3は、本発明のセンサの作製方法の概略説明図である。
図3は、本発明のセンサの作製方法の概略説明図である。
まず、得られた酸化亜鉛ナノワイヤを2−プロパノール溶液中で28kHzで1分間、超音波をかけ、液中分散させた。
次いで、酸化膜がコーティングされたシリコン基板上に、電子線リソグラフィ法を用いて電極パターン及びマーカーパターンを作製しておき、Ti等の密着層を介してPt等の金属を蒸着した後、N,N−ジメチルホルムアミド中で、リフトオフ(レジスト膜の剥離)し、アセトン・エタノール・2−プロパノールで洗浄した。電子線リソグラフィ法を用いた電極パターン及びマーカーパターンの作製は、具体的には、ポジ型レジスト膜としてZEP520A−7(日本ゼオン株式会社)を5000rpmで90秒間スピンコートし、180℃で2分間ベーキングして描画した後に、現像液としてZED−N50(日本ゼオン株式会社)を用いて現像することにより行った。
次いで、酸化膜がコーティングされたシリコン基板上に、電子線リソグラフィ法を用いて電極パターン及びマーカーパターンを作製しておき、Ti等の密着層を介してPt等の金属を蒸着した後、N,N−ジメチルホルムアミド中で、リフトオフ(レジスト膜の剥離)し、アセトン・エタノール・2−プロパノールで洗浄した。電子線リソグラフィ法を用いた電極パターン及びマーカーパターンの作製は、具体的には、ポジ型レジスト膜としてZEP520A−7(日本ゼオン株式会社)を5000rpmで90秒間スピンコートし、180℃で2分間ベーキングして描画した後に、現像液としてZED−N50(日本ゼオン株式会社)を用いて現像することにより行った。
このように電極とマーカーがパターニングされた基板に、上記酸化亜鉛ナノワイヤ分散溶液を滴下・乾燥させた(図3(i))。基板上の酸化亜鉛ナノワイヤを走査電子顕微鏡により観察し、マーカーパターンからの距離と角度を認識した。
さらに、上記と同様の電子線リソグラフィ法により、予め作製しておいた金属電極(ソース電極,ドレイン電極,ゲート電極)と酸化亜鉛ナノワイヤとの電極配線(Pt)を行い、測定素子を作製した(図3(ii))。
次に、酸化亜鉛ナノワイヤ表面上に自己組織化単分子膜をコーティングした。まず、酸化亜鉛ナノワイヤ表面上の不純物を除去するために、150W、1Torrの酸素プラズマを10分間照射した(図3(iii))。次いで、捕捉化合物(n−オクタデシルホスホン酸(ODPA))100mMをメタノール中に分散させた溶液を調製し、ナノワイヤ素子を10時間浸漬させることにより、良好な自己組織化単分子膜の表面修飾が得られた。
最後に窒素中で180℃、2時間加熱することで、目的とする本発明のセンサ(ODPA−ZnOナノワイヤセンサ素子)を得た(図3(iv))。
ここで、図4(a)に、上記方法で作製されたセンサの概略図を示し、図4(b)に、作製したセンサの走査電子顕微鏡像を示す。
図4(a)に示されるセンサは、いわゆるバックゲート型MOSFETセンサであって、絶縁膜(SiO2)と、絶縁膜の表面に配設された表面修飾金属酸化物ナノワイヤ(ODPA coated ZnO nanowire)と、表面修飾金属酸化物ナノワイヤの両端に設けられたソース電極(Source)及びドレイン電極(Drain)と、絶縁膜の裏面に設けられた半導体基板(P+−Si)と、半導体基板の裏面に設けられたゲート電極(Gate)を備えている。
このセンサにおいては、ナノワイヤ表面−検出対象分子間で生じた化学反応による電気抵抗・電流変化をソース−ドレイン電極間で測定し、検出対象の揮発性有機化合物を検出する。ゲート電極から電界印加し、得られた電気伝導変化を増幅することにより巨大なシグナル応答を得ることができる。
[センサの特性検証(捕捉化合物(ODPA)のノナナールに対する影響)]
ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、ノナナール吸着量におけるODPAからなる自己組織化単分子膜の影響の評価を行った。
具体的には、酸化亜鉛ナノワイヤが全面成長した基板(2.5×10mm)を1μLのノナナ―ルと共に20mLのバイアル瓶に入れ、30分間吸着させた後、GCMS中で400℃の温度条件で、ノナナ―ルを酸化亜鉛ナノワイヤ表面から脱離させ、その総量を評価した。ODPA(n−オクタデシルホスホン酸)の有無により吸着量の差異を評価した。
ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、ノナナール吸着量におけるODPAからなる自己組織化単分子膜の影響の評価を行った。
具体的には、酸化亜鉛ナノワイヤが全面成長した基板(2.5×10mm)を1μLのノナナ―ルと共に20mLのバイアル瓶に入れ、30分間吸着させた後、GCMS中で400℃の温度条件で、ノナナ―ルを酸化亜鉛ナノワイヤ表面から脱離させ、その総量を評価した。ODPA(n−オクタデシルホスホン酸)の有無により吸着量の差異を評価した。
その結果を図5に示す。
検量線を作成して評価すると、ODPAからなる自己組織化単分子膜修飾により、34.2倍のノナナ―ル吸着量の増加が見られた。したがって、ノナナールの捕捉化合物として、ODPAが適切であることが確認された。なお、検量線の作成には、アセトンをベースの溶媒として、これに規定された量のノナナ―ルを混合し、その混合溶液を2μL分取り出し、GCMS解析にかけることで、ノナナ―ルの含有量とGCMSのシグナル応答の相関性を検証した。
検量線を作成して評価すると、ODPAからなる自己組織化単分子膜修飾により、34.2倍のノナナ―ル吸着量の増加が見られた。したがって、ノナナールの捕捉化合物として、ODPAが適切であることが確認された。なお、検量線の作成には、アセトンをベースの溶媒として、これに規定された量のノナナ―ルを混合し、その混合溶液を2μL分取り出し、GCMS解析にかけることで、ノナナ―ルの含有量とGCMSのシグナル応答の相関性を検証した。
[センサの特性検証(ゲート電圧の影響)]
実施例1で作製したセンサを用いて、検出対象分子であるノナナールに対するセンシング特性を検証した。ノナナールは259ppbの濃度に制御した。ソース−ドレイン電圧は、0.1Vとし、温度条件は、180℃とした。ゲート電圧を変化させ、その特性変化を調査した。
実施例1で作製したセンサを用いて、検出対象分子であるノナナールに対するセンシング特性を検証した。ノナナールは259ppbの濃度に制御した。ソース−ドレイン電圧は、0.1Vとし、温度条件は、180℃とした。ゲート電圧を変化させ、その特性変化を調査した。
その結果を図6に示す。
図6に示すように、ゲート電圧0Vの場合には顕著なセンサ特性が得られていないが、ゲート電極に20Vを印加すると、1000倍以上の電気抵抗値及び電流変化が得られることがわかる。
図6に示すように、ゲート電圧0Vの場合には顕著なセンサ特性が得られていないが、ゲート電極に20Vを印加すると、1000倍以上の電気抵抗値及び電流変化が得られることがわかる。
[センサの特性検証(化学反応の影響)]
実施例1で作製したセンサを用いて、ノナナール導入時及び未導入時におけるソースドレイン電流−ゲート電圧特性を測定した。
実施例1で作製したセンサを用いて、ノナナール導入時及び未導入時におけるソースドレイン電流−ゲート電圧特性を測定した。
その結果を図7に示す。
図7に示すように、ノナナール導入時は、未導入時と比較してFET特性が大きく改善している。したがって、ノナナールが酸化亜鉛ナノワイヤセンサ表面と化学反応を生じることにより、表面欠陥が消滅しゲート電圧を効果的にナノワイヤセンサに印加することが可能になることで、巨大なシグナル応答が得られると考えられる。
図7に示すように、ノナナール導入時は、未導入時と比較してFET特性が大きく改善している。したがって、ノナナールが酸化亜鉛ナノワイヤセンサ表面と化学反応を生じることにより、表面欠陥が消滅しゲート電圧を効果的にナノワイヤセンサに印加することが可能になることで、巨大なシグナル応答が得られると考えられる。
実施例1で作製したセンサを用いて、種々の検出対象分子に対するセンサ感度を測定した。検出対象分子としては、ノナナール、ヘキサナール、プロパナール、アセトン、及びエタナール(アセトアルデヒド)を用い、259ppbの濃度に制御した。測定条件としては、ソース−ドレイン電圧は、0.1V、ゲート電圧20V、温度条件180℃とした。
なお、センサ感度は、下記式で定義される。
S=(Rgas−Rinitial)/Rinitial×100
S=(Rgas−Rinitial)/Rinitial×100
その結果を図8及び図9に示す。
図8及び図9に示すように、ODPA単分子膜に対しては、ノナナールが最大感度を示すことが確認された。
図8及び図9に示すように、ODPA単分子膜に対しては、ノナナールが最大感度を示すことが確認された。
実施例1で作製したセンサの捕捉化合物(単分子膜)を変更して、ノナナール(259ppb)に対するセンサ感度を測定した。捕捉化合物としては、実施例1のn−オクタデシルホスホン酸(ODPA)以外に、n−デシルホスホン酸(DPA)、n−ブチルホスホン酸(BPA)、メチルホスホン酸(MPA)を用いた。また、捕捉化合物で表面修飾しないもの(Bare)についても調査した。測定条件としては、ソース−ドレイン電圧は、0.1V、ゲート電圧20V、温度条件180℃とした。
センサ感度の定義は、実施例2と同じである。
センサ感度の定義は、実施例2と同じである。
その結果を図10及び図11に示す。図10及び図11に示すように、ノナナ―ルに対してはODPA単分子膜が最大感度を示すことが確認された。
実施例3と同様に、実施例1で作製したセンサの捕捉化合物(単分子膜)を変更して、ヘキサナールに対するセンサ感度を測定した。
その結果、ヘキサナ―ルに対してはDPA単分子膜が最大感度を示すことが確認された。
本発明の揮発性有機化合物の検出方法は、肺がんマーカーとなるノナナールといった揮発性有機化合物を簡便かつ高感度に検出することができることから、産業上有用である。
Claims (9)
- 選択的捕捉能を有する捕捉化合物により全表面を覆うことなく表面修飾された金属酸化物ナノワイヤの表面に、前記捕捉化合物で検出対象となる揮発性有機化合物を選択的に捕捉し、濃縮させて、前記金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を生じさせ、該化学反応を、電界効果トランジスタによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出し、微量の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする揮発性有機化合物の検出方法。
- 電界効果トランジスタが、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)であることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 捕捉化合物による表面修飾が、自己組織化単分子膜による表面修飾であることを特徴とする請求項1又は2記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 検出対象の揮発性有機化合物が、アルデヒド類である請求項1〜3のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 捕捉化合物が直鎖状アルキルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物が直鎖状アルデヒド類であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 捕捉化合物がn−オクタデシルホスホン酸であると共に、検出対象の揮発性有機化合物がノナナールであることを特徴とする請求項5記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 1ppm以下の揮発性有機化合物を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の揮発性有機化合物の検出方法。
- 微量の揮発性有機化合物を検出するための金属酸化物ナノワイヤを用いたMOSFETセンサであって、
前記金属酸化物ナノワイヤ表面が、その全部を覆うことなく、選択的捕捉能を有する捕捉化合物で表面修飾され、該金属酸化物ナノワイヤ表面と前記揮発性有機化合物との可逆的な化学反応を、前記MOSFETによる信号増幅を利用して電気抵抗変化又は電流変化として検出することを特徴とするセンサ。 - 絶縁膜と、
該絶縁膜の表面に配設された1本又は複数本の金属酸化物ナノワイヤと、
金属酸化物ナノワイヤの両端に設けられたソース電極及びドレイン電極と、
前記絶縁膜の裏側に設けられたゲート電極と、
を備えていることを特徴とする請求項8記載のセンサ。
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JP2016165230A JP2018031710A (ja) | 2016-08-26 | 2016-08-26 | 微量揮発性有機化合物の検出方法 |
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Cited By (1)
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JP2020056643A (ja) * | 2018-10-01 | 2020-04-09 | 国立大学法人九州大学 | ガスセンサ用部材、ガスセンサ、及びガスセンサ用部材の製造方法 |
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2016
- 2016-08-26 JP JP2016165230A patent/JP2018031710A/ja active Pending
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