JP2018030777A - 高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法 - Google Patents

高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】家禽糞と有機性廃酸とを用いて高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法を提供する。
【解決手段】鶏糞等の家禽糞にアルコール蒸留廃液又はアミノ酸発酵副生液等の有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら、70〜85℃で5〜10日間の1次発酵処理を行い、次いで有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃で20〜60日間の2次発酵処理を行い含水率30〜40%の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する。
2次発酵処理後、切り返しとブロア処理を行って含水率25〜35%まで乾燥・熟成させることが好ましい。なお、当初、家禽糞には戻し堆肥等の土着菌含有物を添加・混合しておくことが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、家禽糞と有機性廃酸とを用いて高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法に関するものである。
土壌の肥沃化は作物の生育を増進するために重要なことであり、まず窒素、リン酸、カリウムのほか、Ca、Mg、Fe、Mn、Si、Znなどの栄養元素を土壌に十分に含有させることが実施されている。
さらに、土壌の生産性向上、肥沃化の一つとして保肥力を高めることも重要であり、それによって、耕作作物への肥料効果が高まり、作物の生長が大いに促進される。
従来、この保肥力を高める方法の一つとして石炭化の手前の亜炭や泥炭など、数千万年から数億年かかって堆積した堆積物を酸又はアルカリ処理して抽出された腐植酸(フミン酸)等を土壌に加配することが試みられてきた。
腐植酸はフミン酸とも呼ばれ、土壌有機物の中核をなす物であり、
作物の生長促進、根の活性化のほか、土壌自体の物理的改善、肥沃化、微生物の増殖、多様化など、土壌の総合的な健全化に大きな働きをしている。
土壌の腐植酸を補う土壌改良資材として腐植酸質資材が政令指定され、生産・販売されている。
そして、有機性廃棄物から高腐植酸含有率の資材・肥料を製造する方法としては、バーク堆肥と鉱酸を用いて人工腐植物質の作製が行われた例(特許文献1)、アルカリ化合物と鉄化合物を混合した腐植化促進剤を開発し、これを用いて家畜排泄物の腐植化促進を図った例(特許文献2)、有機質炭素源と石炭灰とを混合するとともに加水し、熱化学反応により腐植酸質土壌改良資材を製造した例(特許文献3)、厨芥に微生物を添加して発酵を行い、生化学反応により腐植酸を得た例(特許文献4)がある。
特開2011−254836号公報 特開2006−151787号公報 特開2000−8037号公報 米国特許8778048B2号公報
李香珍(2009)学位論文 http:/ir.iwate-u.ac.jp/dspace/bitstream/10140/4574/1/lixiangzhen.pdf 農林水産省農業環境技術研究所(1992)肥料分析法 http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub6#data/sub6#analyze.html 李ら(2009)圃場還元利用されている実際的な牛ふん尿堆肥に含まれる腐植酸およびフルボ酸の化学的特徴 日本土壌肥料科学雑誌 80(4),335-346 Sanchez-Monedero, M. A., Roig, A., Martinez-Pardo, C., Cegarra, J., & Paredes, C. (1996). A microanalysis method for determining total organic carbon in extracts of humic substances. Relationships between total organic carbon and oxidable carbon. Bioresource Technology, 57(3), 291-295.
しかしながら、これら資材は石炭化の手前の亜炭や泥炭など、海外の採掘有限資源を酸処理して抽出して製造しており、調達に限界があり、非常に高価である。
また、土壌中の腐植酸含量は一見平衡状態にあるが、各種の農業(例えば耕起)は腐植酸の分解を促進し、土壌構造の劣化や養分溶脱により地力を低下させる。
したがって、地力の維持には堆肥の施用等により、継続的に腐植酸を補給する必要がある。しかしながら、通常の家畜糞堆肥に含まれる腐植酸含量は炭素量として0.5〜13.6mg/gと非常に小さい(非特許文献1)うえ、堆肥の散布作業は大変な労力と費用を要する。
しかしながら、特許文献1では鉱酸を、特許文献2では腐植化促進剤を、特許文献4では微生物資材を購入する必要があり、特許文献3では、あらかじめ強アルカリ性である石炭灰を鉱酸により中和する必要があり製造コストが高いという問題がある。
また、肥料としては、植物が必要とする各種養分のうち、特に、リン、カリウム及びカルシウム等の多くの土壌で不足しやすい養分を多く含まれていることが望まれるが、特許文献1〜4で生成した腐植酸資材にはこれらの養分の含量が少ないという問題がある。
ところで、鶏糞とアルコール蒸留廃液との混合発酵処理方法としては、特許1885108号や、Europian Patent No.98117348 が知られている。
しかしながら、これらの方法は、良質な完熟肥料の製造を目的としているものの腐植酸の蓄積を必ずしも意図したものではない。
よって、腐植酸を高濃度で含有する有機肥料を大量に供給することが望まれていた。
本発明の目的は、国内で発生する有機性廃棄物から高腐植酸含有率の完熟肥料を提供することであり、また別の目的は、このような特性を有する完熟肥料を生産性良く製造する方法を提供することである。
本願発明者は鋭意研究の結果、食品産業等から排出される有機性廃酸と家禽糞から、腐植酸を高濃度で含有する有機肥料を大量に製造することに成功した。すなわち、本願発明は下記構成の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法である。
[1] 家禽糞にアルコール蒸留廃液又はアミノ酸発酵副生液等の有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら、70〜85℃で5〜10日間の1次発酵処理を行い、次いで有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃で20〜60日間の2次発酵処理を行って含水率25〜40%の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
[2] 家禽糞に土着菌含有物を添加・混合したものに、アルコール蒸留廃液又はアミノ酸発酵副生液等の有機性廃酸を間欠的に散布・混合することを特徴とすることを特徴とする前記[1]記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
[3] 1次発酵処理が、含水率45〜55%の家禽糞・有機性廃酸混合物に切り返しとブロアー処理によって含水率43〜53%となるように、発酵させ水分を蒸散させることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
[4] 含水率30〜45%の鶏糞と土着菌含有物の混合物100重量部に対して、含水率90〜98%の焼酎蒸留廃液を間欠的に散布・混合しながら73〜83℃で5〜10日間の1次発酵処理を行い、かつ同焼酎廃液は一回で2.5〜3.3重量部を散布し、そして総量10〜30重量部を散布し、次いで含水率90〜98%の焼酎蒸留廃液を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃で28〜35日間の2次発酵処理を行い、そして総量で70〜100重量部を散布し、その後切り返しとブロア処理を行って含水率25〜35%まで乾燥・熟成させることを特徴とする高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
[5] 含水率25〜35%まで乾燥・熟成させた完熟肥料中の腐植酸含有率が15〜25%である完熟肥料を取得することを特徴とする前記[4]に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
[6] 土着菌含有物が戻し堆肥であることを特徴とする前記[2]〜[5]のいずれか1項に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
本願発明の方法においては、特に、中温発酵の条件下で一定期間、間欠的に有機性廃酸を家禽糞に添加・混合する(2次発酵)ことが重要である。
以上の本願発明によれば、鶏糞等の家禽糞と焼酎蒸留廃液等の有機性廃液を有効に活用して完熟肥料を、従来にない高腐植酸含有率のものとして提供することができる。
そして、本願発明では、海洋投棄や無害化処理などに経費を投じている焼酎廃液を主原料にしているので、環境汚染問題も解消でき、低コストで優良な完熟肥料が製造できる。
また、得られた製品は、肥料成分も多種に及んでいて、土壌改良剤としての作用も発現してくる。
本願発明実施例の工程概説図 本発明実施例技術により製造した肥料と他の鶏ふん肥料との腐植酸画分の比較グラフ図 本発明実施例技術により製造した肥料と一般堆肥との腐植酸画分の比較グラフ図
以下、本発明の実施形態について説明する。
本願発明で用いられる家禽糞としては、鶏糞、ウズラ糞、シチメンチョウ糞、アヒル糞、ガチョウ糞等が挙げられる。生産量等の観点から、特に好ましくは鶏糞が用いられる。
また、鳥類は糞と尿を同時に排泄するため、アンモニアが多量に含まれる。
そのため、カロリーは高いのに、アンモニアが発酵時に揮散し、環境が一時的に強いアルカリ性を示すため、菌の活性が弱くなり、発酵が停止してしまう。
その結果、一般的な鶏糞堆肥は、初期発酵だけ進行させ、後は乾燥させた乾燥鶏糞として生産販売されているのが現状である。
したがって、この堆肥を田畑等に使用すると、土中で再発酵が進み、根腐れや病原菌・病害虫の発生を助長するため、鶏糞は園芸農家からは嫌がられてきた。
そこで本願発明者は、鶏糞を中和発酵させ完熟化すれば、他の家畜糞の堆肥より栄養化の高い特殊肥料ができるのではと考え、鶏糞が発酵する時の強いアルカリ性を中和させる酸性の有機物として、強い酸性の焼酎蒸留廃液等の有機性廃酸を利用することを考えついた。
そして種々実験を行ってきたが、更に、研究を進めた結果、完熟肥料に、腐植酸が非常に高濃度で生成されてくることを発見したのである。
鶏糞は(1)発酵時にアンモニアが揮散し悪臭が強いこと、(2)焼酎蒸留廃液との混合割合を高めると非常に強い粘性が生じ、切り返しが困難になること、(3)ブロイラー糞は発酵におけるC/N比が高いため発酵が良いこと、(4)さらに外来種の雑草種子が生残することを考慮して、初期に高温発酵(1次発酵)して、中,後期(2次発酵)は鶏糞の乾燥を防ぐため一定量の有機性廃酸を間欠的に散布・混合することで、中温での発酵(2次発酵)をコントロールすることとした。
また、有機性廃酸としては、(1)麦、米、ソバ等を原料とした焼酎蒸留廃液や各種酒類蒸留時に副生する酸性の酒類蒸留廃液、(2)アミノ酸発酵副生液としてのグルタミン酸、リジン、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)等の発酵副生液、及び(3)デンプン廃液等を用いることができる。
酸性廃液である焼酎蒸留廃液は、焼酎製造過程で嫌気性処理が行われるため乳酸菌などの酸化微生物が多量に発し、強い酸性を示す廃液となり単独での処理が難しいものである。
また、デンプン廃液はでん粉の精製時に多量の石灰を使用するため当初はアルカリ性だが、石灰が沈殿して数日すると酸化が進み酸性廃液となる。
その他の有機廃液としての、ジュース粕,野菜粕等があり、水分が多い粕は酸敗し酸性の廃液となる。
すなわち本願発明は、発酵処理を1次発酵処理と2次発酵処理とし、それらを特定条件下で行うことにより、高腐植酸含有率の完熟肥料が取得できることを発見してなされたものである。
「発酵処理」
1次発酵処理は、家禽糞(好ましくは含水率30〜45%のもの)に、焼酎蒸留廃液又はデンプン廃液等の有機性廃酸を散布・混合し、好ましくは切り返しとブロアー処理をしながら、70〜85℃、より好ましくは73〜83℃(高温発酵)で5〜10日間の1次発酵処理を行い、好ましくは含水率48〜58%、より好ましくは43〜53%となるように発酵させ水分を蒸散させる。1次発酵は高温発酵とし、高温発酵により、アンモニアの揮散を促進し、揮散した臭気を回収して脱臭し、堆肥の悪臭の低減化を図るほか、病原菌の死滅、外来雑草の種子の破壊も同時に行う。
また、焼酎蒸留廃液と鶏糞を混合すると非常に高い粘性を示すので、回転力の強い撹拌機で良く撹拌させるようにする。これらのことから、撹拌機は高層で高温発酵が可能なロータリー式撹拌機を採用することが好ましい。
次いで2次発酵処理は、前記1次発酵処理を終えたものに、有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃、より好ましくは58〜73℃(中温発酵)で20〜60日間、より好ましくは28〜35日間、実施し、含水率45〜55%の2次発酵処理肥料となす。
ここで高温を維持継続し過ぎると、有機物の無機化が進み、俗に言う焼け堆肥になるため、中温で発酵を行い、アンモニアの硝酸化を行う。
これらのことから、撹拌機は中層撹拌に適している撹拌機を採用することが好ましい。
「完熟・乾燥化」
2次発酵槽で含水率50%前後の状態で排出される肥料を散布がしやすい含水率(30%前後)まで撹拌により乾燥させる必要があることからロータリー式(又はスクリュー式)の撹拌機が適している。
こうして得られた完熟肥料を分析したところ、驚くべきことに、一般的に腐植酸の含有が高いと言われる鶏糞堆肥の約3倍近くが含まれており、腐植酸含有率が非常に高いことが判った。
なお、粉末状の肥料をそのまま散布すると、風等の影響で飛散する場合があるため、造粒を行って粒状体とすることも好ましい。
また、家禽糞には土着菌が含まれているが、別途に土着菌含有物、例えば戻し堆肥を添加混合しておくことも好ましい。
土着菌としては、陸、海又は山に生息する土着菌を採取、培養したものを用いても良い。よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウに生息する菌が有効であるが、これらの土着菌は、よもぎ等を採取し、これらを糖蜜漬けにして栄養分を与えた後、米ぬかやおが屑で培養して用いることが好ましい。土着菌は動植物や土壌から採取し、培養して用いることもできる。
土着菌から得られた好気性好熱性の複合菌には、腐敗し易い有機物の分解を促進することができる酵素を有する微生物が含まれている。
戻し堆肥は土着菌含有物として好ましいものである。
本願発明を実施例によって、具体的に説明する。すなわち以下の工程によって本願発明の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造した。
[実施例]
以下の工程によって本願発明の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造したが、製造工程の概略を図1に示したので、以下図1を参照して説明する。
.ブロイラー生鶏ふん120トンに、戻し堆肥40トンと麦焼酎蒸留廃液を加えて混合し、含水率50%となるように調整した。
これをウィンドロー(長さ60m、奥行き10m、高さ1.8mで500トンの堆肥製造中の開放攪拌方式の発酵槽)に仕込んだ。ウィンドローはスクリュー式撹拌機(天神社製NTM・L型)を用いて攪拌し、床面からブロワーで通気しながら堆積物の温度が上昇するのを待った。
2.混合した堆積物の温度が70℃前後になったので、そこから7日間毎日3.0%量の焼酎蒸留廃液を間欠的に散布し、攪拌とブロアー通気を行って70℃の温度を維持した。(1次発酵処理)
3.続けて2週目以降はウィンドロー各ゾーンの温度が60℃〜65℃の間になるように、毎日1.5〜2.0%量の焼酎蒸留廃液を間欠的に各ゾーンへ散布し、攪拌とブロアー通気による混合を行った。(2次発酵処理)
4.なお、上記3の後半では原料の分解に伴い体積も減少するので、焼酎蒸留廃液の添加量も少なくした。
5.発酵槽での発酵終了後、含水率35%になるまで以降1ヶ月間毎日完熟槽でのスクリュー攪拌とブロアー通気を行い乾燥熟成させ完熟肥料を完成させた。
6.前述した下記の各工程時の試料を採取し、腐植酸含量等の分析をした。
ステージ0(戻し堆肥混和時。堆肥化0日)
ステージ1(堆肥化工程2週間経過時)
ステージ2(堆肥化工程4週間経過時)
ステージ3(堆肥化工程5週間と熟成3日経過時)
ステージ4(出来上がり製品)

7.完熟肥料中の腐植酸含量を肥料分析法(1992版、塩酸-水酸化ナトリウム法)(非特許文献2)により測定し、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液可溶性の腐植酸態炭素含量についても測定した。
含水率、主成分並びに灰分については。堆肥等有機物分析法(財団法人日本土壌協会発行)により測定し、鹿児島県内に広く流通している鶏糞肥料(対照鶏糞肥料)のそれと比較した。その結果を表1に示した。
計算式
定義 %乾物…乾物あたりの重量パーセント
C/N比=全炭素%乾物÷全窒素%乾物
有機物%乾物=100%-灰分%乾物
腐植酸%有機物=腐植酸%乾物÷有機物%乾物
Figure 2018030777
結果と考察
1)表1に示すように、本願発明では、堆肥化により易分解性有機物が分解されるため、ステージを経るごとに灰分含有率が増加し、C/N比と有機物含量が低下した。乾物当たりの腐植酸含量は当初の20%から、堆肥化工程を経て24%に増加した。有機物当たりの腐植酸の割合は当初の30%から堆肥化工程で40%前後まで1.3倍に増加した。
2)カリウム含有率はステージを経るごとに増加した。これは、焼酎蒸留廃液中にカリウムが豊富に含まれているため、焼酎蒸留廃液の累計添加量に応じてカリウムが濃縮されるためと考えられた。
3)本発明技術により製造した完熟肥料の腐植酸含量は、鹿児島県内に広く流通している鶏ふん肥料と比べて、肥料分析法による分析では2倍以上、Sanchez-Monedero et al.(1996) (非特許文献4)に準じて抽出した0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液可溶性の腐植酸態炭素含量の測定においては、約3倍の腐植酸態炭素の量を示した。
4)熊本、鹿児島県を中心に九州各地から採取した鶏糞堆肥15点(図2中A〜O)並びに本発明実施例技術により製造した完熟肥料(X)から、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液可溶性の腐植物質を抽出し、腐植酸画分、フルボ酸画分に相当する可溶性炭素含量の測定を行い相互に比較した。 その結果を、図2のグラフ図に示した。
すなわち Sanchez-Monedero et al.(1996) (非特許文献4)に準じて、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液を用い堆肥から腐植物質の抽出(室温、4時間振とう、1:20)を行った。抽出液の一部をとり濃硫酸でpH 2.0として酸不溶画分を遠心分離により除去し、上澄み液(酸可溶性画分)を得た。アルカリ抽出液並びに酸可溶性画分の炭素含量をTOC分析装置(島津TOC-5000)により測定した。ここで酸可溶性画分はフルボ酸画分に相当するが、腐植物質以外の糖・アミノ酸等同定可能な水溶性の有機化合物もここに含まれる。0.1mol/L水酸化ナトリウム抽出液と酸可溶性画分の炭素含量の差を腐植酸画分とみなした。
図2から見て、本願発明実施例技術により製造した完熟肥料の腐植酸画分の炭素含量は、95.5 gkg-1で、対照鶏糞肥料(図2中のC、31.3 gkg-1:焼酎蒸留廃液を発酵開始時のみ添加して製造したもの)を含むいずれの鶏糞堆肥(A,B、D〜O)(10.4〜59.2 gkg-1)と比べても高かった。また、アルカリ可溶性の炭素に占める腐植酸画分炭素の割合は0.79と高かった。
5)さらに九州を中心として日本各地から採取した堆肥から水溶性の腐植物質を抽出し、腐植酸画分、フルボ酸画分に相当する水溶性炭素含量の測定を行い相互に比較した。その結果を図3に示す。
ここで水溶性の腐植物質に着目したのは、堆肥の圃場還元に伴う植物生育の直接的な影響を評価するために、常法のアルカリ溶液によって抽出される腐植物質より可動性の高い水溶性腐植物質を対象とすべきであるという考え方が近年示されているからである。(非特許文献3)
分析方法は、まず堆肥の水抽出(80℃、16時間、1:20)を行った。次いで水抽出液の一部を酸性として酸不溶画分を遠心分離により除去し、上澄み液(酸可溶性画分)を得た。水抽出液並びに酸可溶性画分の炭素含量をTOC分析装置(島津TOC-5000)により測定した。水抽出液と酸可溶性画分の炭素含量の差を腐植酸画分とみなした。
図3に示したとおり、本願発明実施例技術により製造した完熟肥料の腐植酸画分の炭素含量は77 gkg-1と大きな値を示し、完熟肥料では約7割が腐植酸画分に分画された。

Claims (6)

  1. 家禽糞にアルコール蒸留廃液又はアミノ酸発酵副生液等の有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら、70〜85℃で5〜10日間の1次発酵処理を行い、次いで有機性廃酸を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃で20〜60日間の2次発酵処理を行い含水率25〜40%の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
  2. 家禽糞に土着菌含有物を添加・混合したものに、アルコール蒸留廃液又はアミノ酸発酵副生液等の有機性廃酸を間欠的に散布・混合することを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
  3. 1次発酵処理が、含水率45〜55%の家禽糞・有機性廃酸混合物に切り返しとブロアー処理によって含水率43〜53%となるように、発酵させ水分を蒸散させることを特徴とする請求項1又は2に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
  4. 含水率30〜45%の鶏糞と土着菌含有物の混合物100重量部に対して、含水率90〜98%の焼酎蒸留廃液を間欠的に散布・混合しながら73〜83℃で5〜10日間の1次発酵処理を行い、かつ同焼酎廃液は一回で2.5〜3.3重量部を散布し、そして総量10〜30重量部を散布し、次いで含水率90〜98%の焼酎蒸留廃液を間欠的に散布・混合しながら55〜75℃で28〜35日間の2次発酵処理を行い、そして総量で70〜100重量部を散布し、その後切り返しとブロア処理を行って含水率25〜35%まで乾燥・熟成させることを特徴とする高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
  5. 含水率25〜35%まで乾燥・熟成させた完熟肥料中の腐植酸含有率が15〜25%である完熟肥料を取得することを特徴とする請求項4に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
  6. 土着菌含有物が戻し堆肥であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の高腐植酸含有率の完熟肥料を製造する方法。
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