JP2018030167A - 摩擦攪拌接合用回転ツール - Google Patents

摩擦攪拌接合用回転ツール Download PDF

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憲吾 山本
Kengo Yamamoto
憲吾 山本
山本 泰三
Taizo Yamamoto
泰三 山本
正敏 榎本
Masatoshi Enomoto
正敏 榎本
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Abstract

【課題】本発明は、被接合部材を押圧しながら軸回転する摩擦攪拌接合用ツールの提供を目的としている。【解決手段】本発明の摩擦攪拌接合用ツールは、回転軸と略同軸の円筒状の中空部を有する筒形状の固定用ショルダ部と、該ショルダ部の中空部に入れ子状に挿通され、その下端が前記ショルダ部の下端から突出する中実円筒形状のプローブとを備え、前記固定用ショルダ部は、被接合部材方向に移動可能であり且つ回転方向に固定であり、前記プローブは、接合方向に移動可能であり且つ軸回転可能であり、前記プローブは、少なくとも該プローブの上端から回転軸方向に貫通する複数の測定用チャンネルを設け、各測定用チャンネルはそれぞれ回転軸方向の深さ距離を異にし、それぞれの前記測定用チャンネルには、その下端近傍の温度及び/又は振動を測定する測定手段が配設される。【選択図】図3

Description

本発明は、摩擦攪拌接合時に接合対象の被接合部材の攪拌流動した金属の流出を防止することができ、さらに被接合部材の温度や振動をリアルタイムで測定可能な摩擦攪拌接合装置に用いる回転ツールに関する。
摩擦攪拌接合は1991年にTWI(英国接合溶接研究所)が発明した接合手法であり、摩擦熱によって被接合部材の変形抵抗を低下させうえで攪拌(塑性流動)し、接合を達成する技術である。摩擦攪拌接合は接合部を溶融させる通常の溶融溶接とは異なり、固相での接合のため、接合部の組織が微細化し優れた機械的性質を有することで知られている。
現在、摩擦攪拌接合は工業界において数多く実用化されており、新たな分野への更なる応用に向けて種々の研究が精力的に進められている。特に摩擦攪拌接合の性質上、接合が困難とされる板厚の厚い被接合部材の接合や、金属材料が異なる被接合部材同士の異材接合を容易に達成する手法が求められている。
摩擦攪拌接合の接合条件は概ね、回転ツールの荷重と、回転ツールの回転速度と、回転ツールの移動速度と、回転ツールの前進角と、で構成され、当該各パラメータを調整することで目的の接合を達成する。摩擦攪拌接合の接合条件を検討する際、最も重要となるのが被接合部材に与える入熱であり、攪拌によって接合部の塑性流動を可能とするためには、被接合部材の変形抵抗を低下させる熱量を与える必要がある。
一方、過剰な入熱は必要以上に被接合部材を軟化させてしまい、攪拌流動による被接合部材の金属が流出し、冷却速度の低下による接合部の機械的特性低下や不要なバリの発生などを招くおそれがある。それ以外に、とりわけ異材やMg等の難接合材を接合する場合には、接合条件によっては亀裂等が生じ良好な接合を行うことが難しかった。このため出願人は特に異材接合や難材接合時の塑性流動の制御方法の検討を行ってきた。
これに対して従来から入熱の問題を解決するためには、回転ツールの材質、大きさ、攪拌プローブの形状や攪拌プローブとショルダ部との径の比等を開発がなされてきたが、異材接合や難材接合時のそれぞれ個々の母材の塑性流動の制御という視点での検証・開発が不十分であった。
また、異材接合や難接合材の接合時の塑性流動を高精度に制御するにはそれぞれ個々の母材の接合条件を知る必要があり、回転ツールの攪拌プローブの詳細な温度測定、理想的には接合時にリアルタイムでモニタリングすることが望ましい。このリアルタイムでのモニタリング技術の一環として、実際に摩擦攪拌接合時に攪拌プローブにどの程度の入熱が作用しているかをリアルタイム測定し、この温度変化によって接合条件を把握し、制御する技術が出願人から提供されている。
しかしながら、従来型の攪拌プローブとショルダ部とで構成される回転ツール又は攪拌プローブを有さない回転ツールでは、入熱による変形抵抗の低下と攪拌流動による金属の流出防止という相反する課題を同時に達成するのは困難であった。一方、上記攪拌プローブのリアルタイム温度測定制御だけではMg、Al等の接合では必ずしも適正な評価ができなかった。
特開−288419号公報 特開−115842号公報
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく創作されたものであり、摩擦攪拌で難接合材や異材を接合する際に、被接合部材の攪拌流動時の塑性流動を適正に制御することができる摩擦攪拌接合用ツールの提供を目的としている。
上述した課題を解決すべく提供される本発明は、
被接合部材を押圧しながら軸回転する摩擦攪拌接合用ツールであって、
前記摩擦攪拌用ツールは、
回転軸と略同軸の円筒状の中空部を有する筒形状の固定用のショルダ部と、
該ショルダ部の中空部に入れ子状に挿通され、その下端が前記ショルダ部の下端から突出する中実円筒形状のプローブとを備え、
前記固定用ショルダ部は、被接合部材方向に移動可能であり且つ回転方向に固定であり、
前記プローブは、接合方向に移動可能であり且つ軸回転可能である、ことを特徴とします。
また、前記摩擦攪拌接合用ツールのプローブは、少なくとも
該プローブンの上端から回転軸方向に貫通する測定用チャンネルを、好ましくは複数設け、複数の場合は各測定用チャンネルはそれぞれ回転軸方向の深さ距離を異にし、
それぞれの前記測定用チャンネルには、その下端近傍の温度及び/又は振動を測定する測定手段が配設される、ことが好ましい。
本摩擦攪拌接合用ツール(以下、単に「ツール」とも称する)では、回転しながら被接合部材を押圧するのは中心のプローブのみであり、ショルダ部はプローブを同心円状に覆う筒部材であり回転せず、被接合部材を押圧するだけである。また、本ツールで接合目的となる被接合部材は、主に少なくとも一方がMg,Al等の金属、又はそれぞれ互いに異なる金属(いわゆる異材接合)である。また、板厚が薄い場合も考えられる。
このような本ツールでは、ショルダ部を回転させずに、プローブの周囲で押圧固定することができる。したがって、攪拌による金属の漏出を防止することができ、塑性流動を所望する部分以外に不要な入熱が付与されることがなく、接合に必要な部分だけに入熱付与することができる。さらに、中心プローブに深さが異なるチャンネルを設ける場合は、リアルタイムで温度モニタリングすることができるため被接合部材個々の接合条件を検出しながら、温度制御することができる。
したがって、本回転ツールによれば、攪拌時の被接合部材の塑性流動を制御することができる。その結果、難材接合時において接合での過大入熱による亀裂の発生を回避することができる。
また、前記測定用チャンネルはショルダ部に設けることも考えられる。
具体的には、前記回転ツールはその上方で、
前記中心プローブを回転軸周りに回転させ、前記中心プローブ及び前記ショルダ部を軸線方向に移動させ前記被接合部材を押圧し、押圧した状態で被接合部材上を移動させる機構を有する装置本体部と連結される、ことが好ましい。
また、前記プローブの直径は、前記被接合部材の板厚の2倍乃至3倍であることが好ましい。
本発明の摩擦攪拌接合用の回転ツールによれば、摩擦攪拌で難接合材や異材を接合する際に、被接合部材の攪拌流動時の塑性流動(板厚方向の制御)を適正に制御することができる。とりわけ本回転ツールでは、難接合材や異材等の攪拌流動時の塑性流動に注目し、その制御をショルダ部を固定とし、中心プローブ内に異なる深さの温度測定用のチャンネルを設けることで解決できることを知得し、具体的な構成として提供した点で有利である。
本発明の回転ツールを用いる摩擦攪拌接合装置本体の斜視図である。 図1に示す装置本体において摩擦攪拌接合対象となる接合部材と本発明の回転ツールとの関係を示した略斜視図である。 図2のツールホルダとこれに連結される回転ツールとを示す回転軸方向の分解断面図である。 測定された温度が熱電対から外部ユニットに送信されるまでの電気信号のフロー示すブロック図である。 図1の摩擦攪拌接合装置の温度測定工程の一例を示すフローチャートである。 摩擦攪拌接合中の回転ツールの各部材の寸法が示されており、(a)は回転軸に沿った略断面図、(b)は中心プローブとその周囲の塑性流動を起こした領域を示す略上視図である。 被接合部材の高温引張耐力と温度との関係のグラフ図である。 被接合部材の塑性流動領域について、中心プローブの回転数Rと径dとの関係により示した図であり、(a)ではδ≧v/R の場合、(b)ではδ<v/R の場合が示されている。
《摩擦攪拌接合装置の概説》
図1は、本発明の回転ツールに用いる摩擦攪拌接合装置本体A(以下、「装置本体A」とも称する)の斜視図を示している。また、図2は摩擦攪拌接合対象となる被接合部材6と回転ツール4との関係を示した略斜視図である。
本発明の実施形態を説明する前提として、以下、この装置本体Aの構成および接合工程を概説する。装置本体Aは、概ねツールホルダ把持部40と、被接合部材設置面41と、ワークステージ42と、ヘッド支台43と、ヘッド44と、操作盤45と、を備えて構成される。
まず、ツールホルダ把持部40に接合対象となる2つの被接合部材(図2参照)12に回転当接(当接方向=矢印Z方向、回転方向=矢印Zの軸周り方向)させる回転ツール4の中心プローブ3を把持させたツールホルダ2を装着する。これによりツールホルダ把持部40とツールホルダ2及び回転ツール4の中心プローブ3は一体に回転することとなる(図3参照)。回転ツール4の中心プローブ3の構成については後述する。
また、被接合部材は、ワークステージ42の上面の被接合部材設置面41に被接合部材を載置され、固定用クランプ(図示せず)や固定用ボルト(図示せず)等を用いて被接合部材設置面41に固定される。この状態でユーザは、操作盤45を操作し、ワークステージ42をX方向へ移動させ、被接合部材が所望の接合位置直上に回転ツール4が位置するところで停止・位置決めする。
次に、被接合部材上に停止・位置決めされた状態で操作盤45を操作して、回転ツール4を下降させ被接合部材に当接させ、接合部を押圧しながら回転させ、接合方向に移動させる。このとき、ユーザは予め少なくとも回転ツール4(その中心プローブ3、ショルダ部5)に付与する加えるツール荷重と、接合速度となるツール移動速度と、回転ツール4のツール回転速度と、の各パラメータを入力し、摩擦攪拌接合に用いる接合条件を設定することとなる。なお、ここでは図示しないが回転ツール4は前進方向(接合方向)に傾斜させることが好ましい場合もあり得る。回転ツール4のツール前進角の設定は、ヘッド44と、ヘッド支台43と、の嵌合角度を変更することによって行う。
操作盤45での設定が終了すると、被接合部材直上で回転ツール4(中心プローブ3)を回転させて設定したツール回転速度に達した後、ヘッド44をZ方向下方へ移動させ、被接合部材の接合開始点で回転ツール4を押圧する。ヘッド44は被接合部材に対して事前に設定したツール荷重で回転ツールを押圧すると、回転ツール4と、被接合部材と、の当接部(接合部)が、摩擦熱によって被接合部材の変形抵抗を低下させ、当接部近傍が回転ツール4の回転によって撹拌を開始する。
その後、ヘッド支台43を設定したツール移動速度でY方向に移動させ、回転ツール4を接合開始点から接合終了点まで運ぶことで、被接合部材を接合させる。所望の接合が達成された後、回転ツール4の回転を維持させながらヘッド44をZ方向上方へ移動させ、接合終了点から回転ツール4を引き抜いた後に回転ツール4の回転を停止させる。この工程により接合が終了する。図2にはワークステージ42の被接合部材設置面41に被接合部材6を載置した状態で回転ツール4を接合部に沿って回転・移動(矢印R,L参照)させている状態が示されており、すでに被接合部材6が塑性流動し、被接合部材6a、6b同士が接合された状態を参照符号Wで表示している。
《本摩擦攪拌接合装置の回転ツールおよび関連部材の概説》
図3には、ツールホルダ把持部40に把持されるツールホルダ2及び回転ツール4を示す略模式図が示されている。
ツールホルダ2は中空構造であり、その内部には後述する中心プローブ3での測定データを受信・外部送信等する電送部を備えている。ツールホルダ2の上端はツールホルダ把持部40に対して回転軸線O−Oを中心に回転可能である。図示しないがツールホルダ2は中空構造であり、その内部には後述する中心プローブ3での測定データを受信等する電送部を備えている。
ツールホルダ2は、その下端部でツールホルダ2と協働して同軸回転する回転ツール4を挿入させて連結している。また、上述するように回転ツール4は、被接合部材の摩擦攪拌接合に用いる工具であり、通常、回転軸O−Oを中心に回転自在な円筒形状のショルダ部とショルダ部の下端に結合して回転軸と同軸に回転し下方に突出して被接合部材と接触する中心プローブとを有するが、本発明ではショルダ部5は中心に回転軸O−O方向に貫通する円筒孔8を有する環状部材であり、この円筒孔8にツールホルダ2と同軸回転する円筒形状の中心プローブ3が挿入され、その下端がショルダ部5の下面より下方に突出している。
ショルダ部5は、その上方でツールホルダ把持部40と連結固定される。これによりショルダ部5はツールホルダ把持部40と一体に動作する。すなわちショルダ部5はツールホルダ把持部40に対して相対的に固定されている。また、中心プローブ3は、ショルダ部5に対して相対的に回転自在であり、ツールホルダ2に連結されているため、回転軸O−O周りに回転することができる。
その結果、図1に示す操作盤45により装置本体Aが操作されるとツールホルダ把持部40がXYZ方向に移動し、回転ツール4の中心プローブ3及びショルダ部5ともにこれに追従して移動する。これに対してZ方向に下降し被接合部材を押圧した状態において、軸回転方向(図2のR方向)には中心プローブ3だけ回転し、ショルダ部5は固定されることなる。
また、回転ツール4には、回転軸方向に中心プローブ3の上端から下方に穴あけ加工することによって2つ以上の半貫通孔が測定用チャンネル26として設けられている(図3では2つの半貫通孔26が例示されている)。詳細には、中心プローブ3の上端から下端近傍まで延びる中空の下端チャンネル28が設けられており、中心プローブ3の上端から下端上方の所定深さ位置まで延びる中空の中間チャンネル30とが形成されている。なお、下端チャンネル28、中間チャンネル30ともに下限位置は回転ツール4の耐用限度時においても中空孔が開放されない程度に中心プローブ3の下面から離間していることが好ましい。
測定用チャンネル26の下方には測定手段として、熱電対、サーミスタ、及び、白金測温抵抗体等の温度測定素子や、加速度センサ等の振動測定素子、応力測定素子が設けられ、これに電気配線(図示せず)が接続されて形成される。例えば、熱電対が下端チャンネル28、中間チャンネル30の下端近傍に配設され、その上方の電気配線によりツールホルダ2の中空内部に装着された電子基板(図示せず)に接続されている。そして、熱電対からの温度測定結果を、電気配線を介して電子基板へ送信される。
なお、図示しないがツールホルダ2内に設けられた電子基板は、例えば温度受信部や受信データを外部送信する送信部を備えており、熱電対からの測定温度を温度測定部でリアルタイムに受信し、送信部により測定温度を外部ユニットへ無線方式を用いて送信可能としている。また、ツールホルダ2内には電源供給部が設けられており、充電型又は非充電型の電池を用いられ、電子基板に電源を供給する。電子基板および電源供給部はツールホルダ2内に設けられても、ツールホルダ2の外部、例えば外周壁等の外部に設けてこれをカバーで被覆してもよい。
次に、図4を用いて、測定された温度が熱電対9から外部ユニット20に送信されるまでの電気信号のフローを例示説明する。この例では、熱電対9の電気信号の流れを示している。図4中の各矢印は、熱電対9で測定された回転ツール4の温度を示す電気信号の流れであって、信号伝送路の形式によって有線方式を実線で示し、無線方式を破線で示している。この例では、零接点補償回路10a、電位差増幅部10b、A/D(アナログ/デジタル)変換器10c、及び、デバイス内制御回路10dで、温度受信部10が構成されている。また、コントローラ11a及び無線通信デバイスで11b、送信部11が構成されている。
また、無線受信・記録出力装置で外部ユニット20が構成されている。無線受信・記録出力装置20は、電気信号の流れに沿って上流側から下流側に、無線受信デバイス20a、シリアル・USB(Universal Serial Bus)変換器20b、パーソナルコンピュータ等の記録・演算装置20c、及び、ディスプレイやプリンタ等の出力装置20dを備えている。また、図3中の破線で示す無線受信デバイス20a間の無線通信規格は、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、Blue-tooth(ブルートゥース)、無線LAN(Local Area Network)、及び、ZigBee(ジグビー)等を使用することが可能である。このような無線通信機器の使用によって回転ツール4の下端(先端)近傍で測定した温度情報を外部ユニット20に送信することとなる。
次に、図5を用いて参照しつつ、本発明の摩擦攪拌接合装置における温度測定工程について例示説明する。この温度測定工程では、順に、ツールホルダ2を装着する工程S1、回転ツール固定用ナットや固定用ビスを用いてツールホルダ2の下端に回転ツール4を装着する工程S2、回転ツール4の中心プローブ3の下端チャンネル28及び中間チャンネル30に熱電対9等の測定手段を装着する工程S3、熱電対9を用いてツールホルダ2と同軸で回転する中心プローブ3の温度を測定する工程S4、熱電対9の測定結果を電子基板で受信する工程S5、を実行している。
《本回転ツールの構造により塑性流動領域の制御が容易となる理由》
本回転ツール4によって入熱による塑性流動を制御し易い点について説明する。
図6は、摩擦攪拌接合中の回転ツール4の各部材の寸法が示されており、(a)は回転軸に沿った略断面図、(b)は中心プローブ3とその周囲の塑性流動を起こした領域を示す略上視図である。
図4(a)(b)に示すように各部材の寸法は下記の通りである。
D:ショルダ部5の外径
d:中心プローブ3の代表外径
Hp:中心プローブ3の回転軸方向の長さ
h:板厚(被接合部材6a、6bが重なって接合される場合は上側部材の板厚)
δ:中心プローブ3と被接合部材6とによって塑性流動が生じる長さ
β:中心プローブ3のテーパ角

尚、δは所定温度時の塑性流動が生じる長さ(ここでは高温引張耐力が50MPaになったときの温度T*)を示しており、中心プローブ3は被接合部材6の板厚方向裏側近傍まで埋入されるため、ここでは Hp≒h として近似する。
まず、接合時の入熱Qは、
Q= Qw+Qp+QL・・・(式1)
Qw:被接合部材6に付与された入熱
Qp:中心プローブ3に付与された入熱
QL:その他治具に逃げた入熱
で表される。
このうちQwについては、
Qw=(2/3)πηωτ0(1−T*/Tm)((D/2)−(d/2))(1+tan β)+(d/2)+3(d/2)Hp)・・・(式2)
で表される。
ここで図7の被接合部材の高温引張耐力と温度との関係のグラフ図に示すように、
T*:σy=50MPaのときの温度
Tm:σ0=0MPaのときの温度
また、τ0は、τ0=σyo/√3・・・(式3)
ω:中心プローブ3の回転角速度
η:熱効率(=Qw/Q・・・式(4))
で表される。
ここでショルダ部5は回転軸方向に固定(非回転)であり、回転によって生じる熱量はないため、式2における(D/2)の項を (D/2)=0 として削除できる。
また、中心プローブ3は略円筒であり、式2のtan βの項を tan β≒0 と近似することができる。
その結果、式3も代入して式2は、
Qw=(1/2)πηω(σyo/√3)(1−T*/Tm)dHp・・・(式5)
と近似される。
また、被接合部材6に付与された入熱Qwは、
Qw=δρdπ・Hp・Cp・T*
ρ:密度
Cp:比熱
で表され、これと式5より
δ=(1/2ρCp)ηω(σyo/√3)(1/T*−1/Tm)d・・・(式6)
となる。
このときT*,Tm,σyo は材料定数であり、
式1と式4から η=Qw/(Qw+Qp+QL)であり、Qp,QLも実験条件で決定されるため
δは、中心プローブ3の回転数R(=ω/2π)と、dの一次関数で算出されることがわかる。
したがって、被接合部材6の塑性流動領域は、中心プローブ3の回転数Rと径dとにより、v/Rは1回転当たりに中心プローブ3が進行する距離であるため、
δ≧v/R の場合(図6(a)参照)には、
中心プローブ3の移動速度vが塑性流動領域の形成より遅いため十分な接合状態を確保できていることがわかる。
δ<v/R の場合(図6(b)参照)には、中心プローブ3の移動速度vが、塑性流動域よりも速く進むため塑性流動が追い付かないため欠陥が生じることとなる。
v:中心プローブ3の移動速度
tanβ=β≒0.05≒0(βが小さいとき)
なお、表1に示すように好適な中心プローブ3の直径について検証した結果、中心プローブ3の直径は、被接合部材6の板厚の2倍乃至3倍の場合に好適であることがわかった。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述してきた実施形態では測定用チャンネル26として下端チャンネル28、中間チャンネル30を設ける例を説明したが、測定用チャンネル26は1つ以上設ける種々の場合、例えば、2チャンネル以外に、1又は3以上のチャンネルを設けることも考えられる。さらに、測定用チャンネル26はショルダ部5に1つ以上設けることも考えられる。
本発明の摩擦攪拌接合装置は、摩擦攪拌接合中の被接合部材における温度を間接的にリアルタイムに測定することが可能であり、用いる被接合部材にとって最適な摩擦攪拌接合条件を確立することができる。その結果、これまで摩擦攪拌接合法では接合が困難だった厚板の接合や異材接合等、種々の接合加工の実現に寄与するものある。
2 ツールホルダ
3 中心プローブ
4 回転ツール
5 ショルダ部
6 被接合部材
9 熱電対
26 測定用チャンネル
28 下端チャンネル
30 中間チャンネル
40 ツールホルダ把持部
41 被接合部材設置面
42 ワークステージ
43 ヘッド支台
44 ヘッド
45 操作盤
A 摩擦攪拌接合装置本体
S1〜S5 工程







Claims (6)

  1. 被接合部材を押圧しながら軸回転する摩擦攪拌接合用ツールであって、
    前記摩擦攪拌接合用ツールは、
    回転軸と略同軸の円筒状の中空部を有する筒形状の固定用ショルダ部と、
    該ショルダ部の中空部に入れ子状に挿通され、その下端が前記ショルダ部の下端から突出する中実円筒形状のプローブとを備え、
    前記固定用ショルダ部は、被接合部材方向に移動可能であり且つ回転方向に固定であり、
    前記プローブは、接合方向に移動可能であり且つ軸回転可能であり、
    前記プローブは、少なくとも
    該プローブの上端から回転軸方向に貫通する測定用チャンネルを設け、
    該測定用チャンネルには、その下端近傍の温度及び/又は振動を測定する測定手段が配設される、記載の摩擦攪拌接合用回転ツール
  2. 前記測定用チャンネルは、
    それぞれ回転軸方向の深さ距離を異にする複数を設け、
    それぞれの前記測定用チャンネルには、その下端近傍の温度及び/又は振動を測定する測定手段が配設される、請求項1に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール
  3. 前記測定用チャンネルは、さらに前記ショルダ部を貫通して設け、
    それぞれの前記測定用チャンネルには、その下端近傍の温度及び/又は振動を測定する測定手段が配設される、請求項1に記載の摩擦攪拌接合用回転ツール
  4. 前記摩擦攪拌接合用ツールはその上方で、
    前記プローブを回転軸周りに回転させ、前記プローブ及び前記ショルダ部を軸線方向に移動させ前記被接合部材を押圧し、押圧した状態で被接合部材上を移動させる機構を有する装置本体部と連結される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合用ツール。
  5. 前記被接合部材は、その少なくとも一方が難接合材で形成される又はそれぞれ異なる材質で形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合用ツール。
  6. 前記プローブの直径は、前記被接合部材の板厚の2倍乃至3倍である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の摩擦攪拌接合用ツール。


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Citations (9)

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