JP2018028162A - 紡糸口金装置 - Google Patents

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Yasuhiko Otani
靖彦 大谷
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Abstract

【課題】紡糸方法に関係なく用いることができ、化学繊維製造の生産性を向上させながら、品質が向上した化学繊維を比較的安価に得ることに適した紡糸口金装置を提供する
【解決手段】環状又はC字状の口金部11と、 環状又はC字状で、かつ口金部11に合着されて口金部11との間に環状又はC字状の樹脂溜め空間12が形成される樹脂導入本体10と、樹脂導入本体10の、口金部11との合着部分以外の部分から、樹脂溜め空間22に対して液状樹脂を供給する樹脂供給部20と、を備え、口金部11及び樹脂導入本体10の中央に形成された中空路12に、樹脂導入本体10側から口金部11側に向けて気流又は液流を通過させつつ、口金部11より液状樹脂を吐出する紡糸口金装置1であって、樹脂供給部11を、中空路12の中心軸からずれた位置に配し、これにより中空路12の気流又は液流の上流側の外部に所定の気液流入空間が維持される紡糸口金装置1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紡糸口金装置に関する。
合成樹脂繊維や、合成樹脂繊維の1種であるアクリル樹脂繊維を焼成して得られる炭素繊維などの化学繊維は様々な工業分野で広く利用され、化学繊維に求められる特性の多様化も顕著である。合成樹脂繊維を生産する従来の紡糸方法では、液状樹脂を微細な樹脂吐出孔から吐出することにより形成される液状繊維に冷却エアーを当てる溶融紡糸法、液状繊維に乾燥エアーを当てる乾式紡糸法、液状繊維を凝固液に浸漬させる湿式紡糸法、液状繊維を一旦空気中に吐出した後、凝固液に浸漬させる乾湿式紡糸法等により液状繊維を固化し、繊維化することが行なわれている。ここで、液状樹脂とは樹脂材料の溶融液や樹脂材料を溶剤に溶解した樹脂溶液などであり、液状繊維とは液状樹脂を紡糸口金装置から吐出した直後の未固化の繊維状液状樹脂である。上記した冷却エアー、乾燥エアーなどのエアーや凝固液などの液状繊維への当て方が、得られる合成樹脂繊維やそれを原料とする炭素繊維などの化学繊維の品質や生産性に大きな影響を及ぼすことが広く知られている。
上記した各紡糸法に用いられる紡糸口金装置としては、例えば、液状樹脂が外部から導入される樹脂供給部(樹脂導入口)を含む樹脂導入本体と、樹脂供給部に連通し、液状樹脂を繊維状に吐出する複数の樹脂吐出孔を含む口金部とを備え、平面視形状が円形状、多角形状などであるものが挙げられる。そして、比較的粘稠な液状樹脂を複数の樹脂吐出孔に均一に分配するために、樹脂供給部を紡糸口金装置とほぼ同軸状、すなわち紡糸口金装置のほぼ中央部に設けることが当業者の技術常識となっている。
しかしながら、従来の紡糸方法において、生産効率をさらに向上させるために樹脂吐出孔からの液状樹脂の吐出速度を増加させると、隣り合う液状繊維の融着、得られる繊維の太さや形状のバラツキ(繊度ムラ)などの不具合が発生し易くなるという問題がある。特に、口金部の中心部又はその周辺に位置する樹脂吐出孔から吐出される液状繊維については、前記不具合が発生する頻度が高くなっている。不具合の原因の1つとしては、多数の液状繊維の吐出に伴って発生する気流が乾燥エアー、冷却エアーの気流や凝固液の流れを乱し、エアーや凝固液への液状繊維の当たり方が不均一になるたことが挙げられる。
このような不具合を解消するために、特許文献1は、図8に示す紡糸口金装置100を提案する。図8は、紡糸口金装置100の構成を模式的に示す(a)上面図及び(b)断面図である。紡糸口金装置100は、平面視形状がほぼ円形であり、樹脂導入本体101と、樹脂導入本体101に厚み方向にほぼ同軸状に合着された口金部102とを備える。樹脂導入本体101と口金部102との合着により、内部に樹脂溜め空間が形成される。樹脂導入本体101は、そのほぼ中央部に立設された樹脂供給部110を有し、樹脂供給部110から反対方向に枝分かれした2つの樹脂供給管111が径方向に延び、樹脂導入本体101の周縁に至るまでの途中部で垂下して口金部102に接続されている。口金部102は中空路112を有する円環状に構成され、樹脂供給管111が接続されるのとは反対側の樹脂吐出面113には多数の樹脂吐出孔114が設けられている。樹脂供給管111と樹脂吐出孔114とは、前述の樹脂溜め空間を介して連通している。
特開2013−53398号公報
特許文献1の紡糸口金装置100は、口金部102の中心に中空路112を設けて口金部102を円環状に形成することにより、中空路112にエアーや凝固液が流れ込むように意図されたものであると考えられる。しかし、中空路112の図8における上方には樹脂導入本体101が配置され、中空路112の上部が樹脂導入本体101により塞がれた状態になっている。したがって、特許文献1のように中空路112を設けたとしても、エアーや凝固液の、樹脂吐出孔114からの液状繊維吐出方向に沿うような流れは得難くなることが、本発明者らの研究により判明した。このため、紡糸口金装置100を用いても、液状樹脂の吐出速度を高める場合には、隣り合う液状繊維の融着、得られる繊維の太さや形状のバラツキ(繊度ムラ)などの不具合を十分解消するには至っていない。
また、紡糸口金装置100においても、樹脂導入本体101のほぼ中央部に樹脂供給部110を設けるという、従来の技術常識に基づいた構成となっている。
炭素繊維などに代表される高機能繊維は近年ますますその利用範囲が広まりつつあり、製品を差別化するための多品種化や更なる品質向上を含め、その生産性の向上が強く求められている。一方、目的とする繊維を得るための溶融、乾式、湿式、乾湿式などによる紡糸は、多くの工程を持つプラント設備により生産されている。このようなプラント設備において、生産性を向上させるために紡糸口金装置の数を増やすことが考えられるが、それには多大な設備投資と設備スペースを要する。したがって、既存設備の紡糸口金装置の数や寸法を変更することなく、生産性を向上させることが望まれている。
本発明の目的は、紡糸方法に関係なく用いることができ、化学繊維製造の生産性を向上させながら、品質が向上した化学繊維を比較的安価に得ることに適した紡糸口金装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、環状又はC字状口金部と環状又はC字状の樹脂導入本体とを合着して紡糸口金装置を構成することにより、口金部及び樹脂導入本体のほぼ中央に、気流又は液流が樹脂導入本体側から口金部側に向けて通過可能な中空路を形成するとともに、紡糸口金装置内部の樹脂溜め部に液状樹脂を供給する樹脂供給部を前記中空路の中心軸(軸芯)からずれた位置に配することにより、気流又は液流の上流側に、気流又は液流を遮らない気液流入空間を維持する構成を見出した。そして、本発明者らは、上記構成により、口金部に設けた複数の樹脂吐出孔への液状樹脂の均一分配性の低下を比較的少なくしながら、エアーや凝固液の流れが樹脂吐出孔から吐出される液状繊維の吐出方向に沿うように構成でき、その結果、隣り合う液状繊維の融着などによる歩留りの低下や、得られる繊維の太さや形状のバラツキ(繊度ムラ)などの不具合を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(9)の紡糸口金装置を提供する。
(1)環状又はC字状の口金部と、環状又はC字状で、かつ口金部に合着されて口金部との間に環状又はC字状の樹脂溜め空間が形成される樹脂導入本体と、樹脂導入本体の、口金部との合着部分以外の部分から、樹脂溜め空間に対して液状樹脂を供給する樹脂供給部と、を備え、口金部及び樹脂導入本体のほぼ中央に形成された中空路に、樹脂導入本体側から口金部側に向けて気流又は液流を通過させつつ、口金部より液状樹脂を吐出する紡糸口金装置であって、樹脂供給部を、中空路の中心軸(軸芯)からずれた位置に配し、これにより中空路の気流又は液流の上流側の外部に所定の気液流入空間が維持される紡糸口金装置。
上記(1)の紡糸口金装置によれば、環状又はC字状口金部及び環状又はC字状樹脂導入本体との合着により形成される中空路と、中空路の中心軸(軸芯)からずれた位置への樹脂供給部への配置(以下単に「樹脂供給部の偏芯配置」と呼ぶことがある)と、を組み合わせて構成することより、樹脂供給部の位置と口金部に設けられて液状樹脂を吐出する樹脂吐出孔への液状樹脂の均一な分配とに関する従来の技術常識に反し、予想外にも樹脂吐出孔への液状樹脂の均一分配性の低下を比較的少なくしながら、化学繊維の生産性及び品質を顕著に向上させることができる。
生産性の向上としては、例えば、樹脂吐出孔からの液状繊維の吐出速度を高めても隣り合う液状繊維の融着などの発生が顕著に抑制される点、前記吐出速度を高めることによる単位時間当たりの生産性の向上、隣り合う液状繊維の融着が抑制されることによる製品歩留りの向上、液状繊維の吐出を継続して実施できることによる生産効率の向上などが挙げられる。また、化学繊維の品質としては、繊維径や繊維形状の均一化などが挙げられる。なお、本発明の紡糸口金装置によれば、幅方向が同寸の従来の紡糸口金装置よりも樹脂吐出孔の数は少なくなる場合が多いが、その場合でも樹脂吐出速度を高めた上での液状繊維同士の融着が少なくなるので、全体としての生産性を向上させることができる。
(2)樹脂導入本体と口金部との間に介在する1又は2以上の、環状かつ板状の多孔性整流部材を有する、上記(1)の紡糸口金装置。
上記(2)の紡糸口金装置によれば、樹脂供給部の偏芯配置及び環状又はC字状口金部と環状又はC字状樹脂導入本体との合着により形成される中空路と共に、樹脂導入本体と口金部との間に介在する環状かつ板状の多孔性整流部材を組み合わせることにより、液状樹脂の樹脂吐出孔への均一分配性の低下をさらに少なくし、製品歩留まりの向上を図ることができる。
(3)多孔性整流部材が、樹脂導入本体及び/又は口金部とほぼ同じ平面視形状を有する、上記(1)又は(2)の紡糸口金装置。
上記(3)の紡糸口金装置によれば、多孔性整流部材が樹脂導入本体及び/又は口金部とほぼ同じ平面視形状を有することにより、液状樹脂の樹脂吐出孔への均一分配性の低下をより一層少なくすることができる。
(4)中空路が、紡糸口金装置の厚み方向の中心軸(軸芯)に対してほぼ同軸状に設けられた、上記(1)〜(3)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(4)の紡糸口金装置によれば、中空路を紡糸口金装置の厚み方向の中心軸(軸芯)に対してほぼ同軸状に設けることにより、エアーや凝固液の液状繊維吐出方向に沿うような流れが得られる点と、偏芯配置された樹脂供給部から樹脂溜め空間を介する樹脂吐出孔への液状樹脂の均一分配性の低下を少なくする点と、を最もバランス良く発揮させることができる。
(5)中空路が、樹脂導入本体の中央に形成された第1中空路と、口金部の中央に形成され、第1中空路とは径の異なる第2中空路と、を有し、第1中空路が第2中空路よりも小径である、上記(1)〜(4)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(5)の紡糸口金装置によれば、樹脂導入本体のほぼ中央に形成された第1中空路と、口金部のほぼ中央に形成され、第1中空路とは径の異なる第2中空路と、で中空路を構成し、第1中空路を第2中空路よりも小径とすることにより、液状繊維の吐出に伴って発生する気流に影響を受けることなく、エアーや凝固液の液状繊維吐出方向に沿う流れが一層安定し、液状繊維の融着を抑制する効果が更に高まり、得られる繊維の形状や寸法の均一性もさらに高まる。
(6)中空路の平面視形状がほぼ円形状又はほぼ多角形状である、上記(1)〜(5)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(6)の紡糸口金装置によれば、中空路の平面視形状をほぼ円形状又はほぼ多角形状にすることにより、エアーや凝固液の液状繊維吐出方向に沿う流れが形成され易くなる。
(7)口金部及び樹脂導入本体が環状であり、それらの平面視形状がそれぞれほぼ円形状又はほぼ多角形状である、上記(1)〜(6)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(7)の紡糸口金装置によれば、環状の樹脂導入本体とそれに合着された環状の口金部の平面視形状をほぼ円形状又はほぼ多角形状とすることにより、樹脂供給部と中空路との位置関係を構成し易くなり、本発明の紡糸口金装置の設計自由度が向上すると共に、吐出される液状繊維の外側のエアーや凝固液の流れを液状繊維の吐出方向に沿うように整流することができる。
(8)液状樹脂が、樹脂材料の溶剤溶液又は樹脂材料の溶融液である、上記(1)〜(7)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(8)の紡糸口金装置によれば、液状樹脂としては、樹脂材料を有機溶剤などの溶剤に溶解した溶液、又は樹脂材料を加熱して溶融させた溶融液を好適に使用できる。
(9)溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸又は乾湿式紡糸に用いられる、上記(1)〜(8)のいずれかの紡糸口金装置。
上記(9)の紡糸口金装置によれば、環状又はC字状の樹脂導入本体と環状又はC字状の口金部とを厚み方向に合着することにより形成される中空路を有し、エアーや凝固液などの流体の流れの上流側にその流れを妨げるものがないことから、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸及び乾湿式紡糸といった現在の主流となる紡糸方法のいずれにも使用できるので、生産設備への投資を最小限としながら、化学繊維、特に合成樹脂繊維の生産性の向上を図ることができる。
本発明の紡糸口金装置を用いることにより、生産設備や生産スペースの増加を伴うことなく、各種化学繊維を生産する際の生産性を向上させ、かつ得られる化学繊維の品質を向上させることができる。
第1実施形態の紡糸口金装置の構成を模式的に示す上面図及び断面図である。 図1に示す口金部の構成を模式的に示す上面図及び断面図である。 第2実施形態の紡糸口金装置の構成を模式的に示す上面図である。 図3に示す口金部の構成を模式的に示す上面図及び断面図である。 第3実施形態の紡糸口金装置の構成を模式的に示す上面図である。 図5に示す口金部の構成を模式的に示す上面図及び断面図である。 第4実施形態の紡糸口金装置の構成を模式的に示す断面図である。 従来の紡糸口金装置の構成を模式的に示す上面図及び断面図である。
図1は、本発明の第1実施形態の紡糸口金装置1の構成を模式的に示す(a)上面図及び(b)断面図である。図2は、図1に示す紡糸口金装置1の口金部11の構成を模式的に示す(a)上面図及び(b)断面図である。
紡糸口金装置1は、全体として円形の平面視形状を有する環状の樹脂導入本体10と、全体として樹脂導入本体10と同じ円形の平面視形状を有し、樹脂導入本体10とほぼ同軸状に厚み方向に合着された環状の口金部11と、樹脂導入本体10と口金部11との合着によりこれらを厚み方向に貫通するように形成された中空路12と、を含む。中空路12は、樹脂導入本体10及び口金部11の各内側壁26、28で囲まれた、円形の平面視形状及び筒状の立体形状を有する空間領域である。このよう構成を有する紡糸口金装置1は、それ自体の平面視形状がほぼ円形の、環状構造物である。樹脂導入本体10及び口金部11は、通常、金属材料、強化樹脂材料などから構成される。樹脂導入本体10及び口金部11の平面視形状は同じであることが好ましいが、これらの寸法、特に径の寸法は同じでも異なっていてもよい。
本実施形態では、樹脂導入本体10及び口金部11の各中心軸は、紡糸口金装置1の厚み方向の中心軸とほぼ一致するように同軸状に構成されているが、これに限定されず、中心軸の多少のズレが生じるように構成してもよい。
樹脂導入本体10と口金部11とを合着することにより形成された樹脂溜め空間22により、後述する樹脂供給部20と樹脂吐出孔21とが連通する。外部から樹脂供給部20を介して導入された液状樹脂は、樹脂溜め空間22を通って樹脂吐出孔21近傍に到達し、樹脂吐出孔21から液状繊維として外部に吐出される。なお、本実施形態では、樹脂導入本体10及び口金部11を別部材としているが、これに限定されず、これらを一体成形したものでもよい。
樹脂導入本体10は、樹脂受給部20及び第1中空路12Aを有する円環状部材である。
樹脂導入本体10の液状樹脂導入方向の始点側端面は環状面23となり、液状樹脂導入方向の終点側端部が互いにほぼ平行に離隔する内側壁26及び外側壁27の各端部(ほぼ平坦な細長い円環状端面)26a、27aである。内側壁26及び外側壁27は、環状面23の内縁及び外縁から垂下するように設けられている。環状面23における紡糸口金装置1の中心軸(本実施形態では樹脂導入本体10の中心軸でもある)に対する偏芯位置(ここでは中心路12の中心軸からずれた位置でもある)に、樹脂供給部20が立設されている。この偏芯位置は、より具体的には、環状面23において、中空路12の縁から径方向に環状面23の周縁に向かう途中部である。また、環状面23は、樹脂溜め空間22内での液状樹脂の円滑な流れを得るといった観点から、その外縁と内縁(中空路12の外縁)との径方向の寸法(幅)が全体にわたってほぼ同寸になるように、すなわち環状面23と中空路12の開口とが径の異なる同心円となるように構成されていることが好ましい。
樹脂供給部20は、例えば連続した配管などにより外部から供給された液状樹脂を受け入れるほぼ円形の受入口24と、受入口24よりも小径で、受入口24と樹脂導入本体10とを接続し、受入口24から導入された液状樹脂を紡糸口金装置1の内部の樹脂溜め空間22に送給する送給管25とから構成されている。なお、樹脂供給部20は本実施形態の構成に限定されず、紡糸口金装置に一般的に用いられる樹脂供給部材をいずれも採用できる。また、本実施形態では、環状面23に対してほぼ垂直な方向に樹脂供給部20を立設しているが、これに限定されず、環状面23に対して斜め方向に設けてもよく。また樹脂導入本体10の外側壁27に設けてもよい。
第1中空路12Aは、環状又はC字状樹脂導入本体10を厚み方向に貫通しかつ本実施形態では紡糸口金装置1の中心軸とほぼ同軸状に設けられ、樹脂導入本体10の内側壁26により囲まれた、平面視形状がほぼ円形状、立体形状がほぼ円柱状の空間領域である。本発明では、従来技術とは異なり、口金部11のみに後述する第2中空路12Bを設けるだけでなく、樹脂導入本体10にも第1中空路12Aを設けるとともに、樹脂供給部20の偏芯配置を組み合わせている。このように構成すれぱ、樹脂導入本体10側から口金部11側への気流又は液流を遮るものがなくなり、気流又は液流の上流側に気液流入空間が維持されるので、各紡糸方法におけるエアーや凝固液の流れを、液状繊維の吐出により発生する流れに影響を受けることなく、液状繊維の吐出方向に安定的に沿うように調整することができる。
樹脂導入本体10の液状樹脂導入方向の終点側端部である内側壁26及び外側壁27の各端部26a、27aは、後述する口金部11の液状樹脂導入方向の始点側端部(口金部11の内側壁28及び外側壁29の端面28a、29a)と合着される。これらの合着方法はこの分野で常用される合着方法をいずれも利用できる。
口金部11は、複数の樹脂吐出孔21及び樹脂導入本体10の第1中空路12Aに連通する第2中空路12Bを有する。第1、第2中空路12A、12Bが繋がって中空路12となる。
より具体的には、口金部11の液状樹脂導入方向の終点側端面は環状の樹脂吐出面30である。樹脂吐出面30には、複数の樹脂吐出孔21が規則的に設けられている。本実施形態では複数の樹脂吐出孔21は放射状に設けられているが、例えば、碁盤目状、格子状、千鳥格子状などの任意の配列とすることができる。樹脂吐出孔21の孔径や配列は、液状樹脂の種類、得ようとする繊維の設計(繊維径や断面形状など)などに応じて適宜選択できる。
口金部11の内側壁28及び外側壁29は、樹脂吐出面30の内縁及び外縁から立設されている。内側壁28及び外側壁29の樹脂吐出面30とは反対側の端部は、内側壁28及び外側壁29から厚み方向の両側に張り出した環状の細長い端面28a、29aとなっている。端面28a、29aは、口金部11における液状樹脂導入方向の始点側端部となる。本実施形態では、端面28a、29aは、それぞれ、樹脂導入本体10の内側壁26及び外側壁27の各端部26a、27aと径方向の幅がほぼ同寸になるように構成されているが、これらは異なっていてもよい。
第2中空路12Bは、環状の口金部11を厚み方向に貫通しかつ本実施形態では紡糸口金装置1の中心軸とほぼ同軸状に設けられ、口金部11の内側壁28により囲まれた、平面視形状がほぼ円形状、立体形状がほぼ円柱状の空間領域である。本実施形態では、第2中空路12Bは、第1中空路12Aよりも大径に構成することにより、エアーや凝固液が樹脂吐出孔21から吐出された液状繊維に一層均一に当たりやすくなり、隣り合う液状繊維の融着が一層抑制され、繊維径や断面形状がより均一な繊維を、生産効率良く製造することができる。
本実施形態の中空路12は、第1中空路12Aと、第1中空路12Aにつながりかつ第1中空路12Aよりも大径の第2中空路12Bと、から構成されているが、これに限定されず、第1、第2中空路12A、12Bをほぼ同径とし、全体としてほぼ円柱状の立体形状を有する中空路12としてもよい。この実施形態でも、良好な液状繊維の融着抑制効果及び得られる繊維の品質向上が得られる。
また、本実施形態では、紡糸口金装置1及び中空路12の平面視形状をいずれも円形としているが、これに限定されず、紡糸口金装置1及び中空路12の平面視形状を円形以外の同じ形状としてもよく、また、異なる形状としてもよい。いずれの形態でも、エアーや凝固液の流れを整え、樹脂吐出孔21からの液状繊維の吐出に沿わせ、多くの液状繊維にエアーや凝固液がほぼ均一に当てる効果が得られるが、平面視形状を同じに構成する方がその効果が大きくなるので好ましい。
このように構成される紡糸口金装置1は、従来から知られている種々の紡糸方法に用いることができる。例えば、紡糸口金装置1から気体中に液状繊維を吐出し、一般的な紡糸装置(不図示)に備わるエアー発生装置(不図示)から乾燥エアーや冷却エアーを供給することにより、溶融紡糸や乾式紡糸を行なうことができる。また、紡糸口金装置1を凝固液に浸漬した状態で、紡糸口金装置1から液状繊維を凝固液中に吐出することにより、湿式紡糸を行なうことができる。また、紡糸口金装置1から液状樹脂を一旦気体中に吐出した後、速やかに凝固液中に導き凝固させることにより、乾湿式紡糸を行なうことができる。そして、これらの紡糸方法により、合成樹脂繊維を得ることができる。紡糸口金装置1を用いれば、種々の紡糸方法への対応が可能となるので、合成樹脂繊維の生産性向上と共に、設備コストや設備スペースの低減化を図ることができる。
図3は、本発明の第2実施形態の紡糸口金装置2の構成を模式的に示す上面図である。図4は、図3に示す紡糸口金装置2に備わる口金部14の構成を模式的に示す(a)上面図、(b)縦断面図及び(c)横断面図である。紡糸口金装置2は、紡糸口金装置1の変形例であり、共通する部材には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
紡糸口金装置2は、樹脂導入本体13、口金部14及び中空路12の平面視形状がほぼ長方形であり、全体としてもほぼ長方形の平面視形状を有すること、及びほぼ長方形の環状面23における長辺方向の、樹脂導入本体13の内縁(中空部12の外縁)から外縁への途中部に樹脂供給部20が設けられていることを特徴とする。この構成でも、エアーや凝固液の流れが、樹脂吐出孔21からの液状繊維の吐出方向に沿うように整流され、吐出された直後の複数の液状繊維にほぼ均一にエアーや凝固液を当てることができる。
また、樹脂導入本体10において、環状面23の長辺方向及び短辺方向の幅寸法がほぼ同寸になるように構成されている。この構成により、紡糸口金装置2全体としての剛性を高め得るとともに、紡糸口金装置2の内部空間において液状樹脂が円滑に流れるようにすることができる。また、液状樹脂の各樹脂吐出孔21への均一分配性の低下を少なくする点にも寄与している可能性がある。なお、本明細書において、平面視形状がほぼ長方形や正方形の中空路12や紡糸口金装置の中心軸(軸芯)は、対角線の交点に対して垂直方向に延びる仮想線とする。
本実施形態では、紡糸口金装置2、樹脂導入本体13、口金部14及び中空路12の
平面視形状はほぼ長方形であるが、これに限定されず、三角形、正方形、五角形、六角形、八角形などの、長方形以外の多角形とすることができる。なお、エアーや凝固液の液状繊維吐出方向に沿う流れを安定的に得る観点から、六角形、八角形等の角数の多い多角形がさらに好ましく、第1実施形態の円形がより一層好ましい。
図5は、本発明の第3実施形態の紡糸口金装置3の構成を模式的に示す上面図である。図6は、図5に示す紡糸口金装置3に備わる口金部16の構成を模式的に示す(a)上面図及び(b)断面図である。紡糸口金装置3は、紡糸口金装置1の変形例であり、共通する部材には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
紡糸口金装置3は、樹脂導入本体15及び口金部16がほぼCの字状の平面視形状を有し、中空路17がほぼ円形の平面視形状を有しながら、樹脂導入本体15の樹脂導入方向の始点側の面23の外縁の所定位置に向かって開口17aを有し、全体としてほぼC字状の平面視形状を有することを特徴とする。以下、面23をC字状面23と呼ぶことがある。樹脂供給部20は、樹脂吐出孔21への液状樹脂の分配性等を考慮すると、C字状面23における、中空路17を介して開口17aと対向する位置(C字状面23の径方向の途中部)である、紡糸口金装置3の中心軸(中空路17の中心軸でもある)に対して偏芯位置に設けられている。なお、C字状の形状は、コの字状の形状をも包含するものとする。
本実施形態でも、樹脂吐出孔21から吐出される液状繊維に対して、エアーや凝固液をほぼ均一に当てることができる。また、液状樹脂の各樹脂吐出孔21への均一分配性の低下を少なくすることにも寄与している可能性があるものと考えられる。
図7は、本発明の第4実施形態の紡糸口金装置4の構成を模式的に示す断面図である。紡糸口金装置4は、紡糸口金装置1の変形例であり、共通する部材には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
紡糸口金装置4は、樹脂導入本体10と口金部11との間に、2種の環状の多孔性整流部材(整流板)18、19が介在することを特徴とする。多孔性整流部材18、19は、多孔性板状部材であり、本実施形態ではその平面視形状がほぼ円形である。多孔性整流部材18、19には複数の孔(不図示)が配置され、その孔径及び配列は同じでも異なっていてもよい。一実施形態では、多孔性整流部材18、19の上下方向に対応する各孔が同軸状に設けられている。多孔性整流部材18、19を介在させることにより、樹脂供給部20から導入された液状樹脂の各樹脂吐出孔21への均一分配性の低下を一層少なくすることが可能になり、生産(紡糸)開始から終了まで、ほぼ均一な品質を有する合成樹脂繊維を効率よく生産することができる。
本実施形態では、多孔性整流部材18、19が樹脂導入本体10と口金部11との間に介在するように構成されているが、これに限定されず、樹脂導入本体10と口金部11との合着により形成される樹脂溜め空間22の中に、多孔性整流部材18、19を装填するように構成しても同様の効果が得られる。
前述の紡糸口金装置2、3、4は、紡糸口金装置1と同様に、液状繊維の吐出速度を高めても隣り合う液状繊維の融着がほとんど発生せず、品質の良好な繊維を生産性良く製造でき、さらに各種の紡糸方法に利用でき、設備コストや設備スペースの低減化を図ることができる。
1、2、3、4 紡糸口金装置
10、13、15 樹脂導入本体
11、14、16 口金部
12、17 中空路
12A 第1中空路
12B 第2中空路
18、19 多孔性整流部材
20 樹脂供給部
21 樹脂吐出孔
22 内部空間
23 環状面、C字状面
24 受入口
25 送給管
26、28 内側壁
27 29 外側壁
30 樹脂吐出面
100 紡糸口金装置
101 樹脂導入本体
102 口金部
110 樹脂供給部
111 樹脂導入管
112 中空路
113 樹脂吐出面
114 樹脂吐出孔

Claims (9)

  1. 環状又はC字状の口金部と、
    環状又はC字状で、かつ前記口金部に合着されて前記口金部との間に環状又はC字状の樹脂溜め空間が形成される樹脂導入本体と、
    前記樹脂導入本体の、前記口金部との合着部分以外の部分から、前記樹脂溜め空間に対して液状樹脂を供給する樹脂供給部と、を備え、
    前記口金部及び前記樹脂導入本体のほぼ中央に形成された中空路に、樹脂導入本体側から口金部側に向けて気流又は液流を通過させつつ、口金部より液状樹脂を吐出する紡糸口金装置であって、
    前記樹脂供給部を、前記中空路の中心軸からずれた位置に配し、これにより前記中空路の前記気流又は液流の上流側の外部に所定の気液流入空間が維持される紡糸口金装置。
  2. 前記樹脂導入本体と前記口金部との間に介在する1又は2以上の、環状かつ板状の多孔性整流部材を有する、請求項1に記載の紡糸口金装置。
  3. 前記多孔性整流部材が、前記樹脂導入本体及び/又は前記口金部とほぼ同じ平面視形状を有する、請求項1又は2に記載の紡糸口金装置。
  4. 前記中空路が、前記紡糸口金装置の厚み方向の中心軸に対してほぼ同軸状に設けられた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紡糸口金装置。
  5. 前記中空路が、前記樹脂導入本体の中央に形成された第1中空路と、前記口金部の中央に形成され、前記第1中空路とは径の異なる第2中空路と、を有し、前記第1中空路が前記第2中空路よりも小径である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紡糸口金装置。
  6. 前記中空路の平面視形状がほぼ円形状又はほぼ多角形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紡糸口金装置。
  7. 前記口金部及び前記樹脂導入本体が環状であり、それらの平面視形状がそれぞれほぼ円形状又はほぼ多角形状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の紡糸口金装置。
  8. 前記液状樹脂が、樹脂材料の溶剤溶液又は樹脂材料の溶融液である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の紡糸口金装置。
  9. 溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸又は乾湿式紡糸に用いられる、請求項1〜8のいずれか
    1項に記載の紡糸口金装置。
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