JP2018027719A - 回転翼型無人航空機及び放射線量計測システム - Google Patents
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Abstract
【課題】天候に左右されることなく、車両と一緒に移動しながらドローンを長時間飛行させて、広いエリアのγ線量分布を効率よく測定する技術を実現する。
【解決手段】放射線量分布計測システム10は、ドローン20と給電・計測車両60とを備える。ドローン20は、給電・計測車両60から電源ケーブル50により有線で電力供給を受けるとともに、γ線検出器40を搭載し上空10mの位置で地表10m四方にメッシュ状に設定されたエリアのγ線量を測定する。ドローン20の回転翼ユニット22は、インナーロータ型モータ23と回転翼24とを備える。インナーロータ型モータ23のアウタケースは密閉防水構造で、側面部分にはフィン状のヒートシンクが設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】放射線量分布計測システム10は、ドローン20と給電・計測車両60とを備える。ドローン20は、給電・計測車両60から電源ケーブル50により有線で電力供給を受けるとともに、γ線検出器40を搭載し上空10mの位置で地表10m四方にメッシュ状に設定されたエリアのγ線量を測定する。ドローン20の回転翼ユニット22は、インナーロータ型モータ23と回転翼24とを備える。インナーロータ型モータ23のアウタケースは密閉防水構造で、側面部分にはフィン状のヒートシンクが設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転翼型無人航空機及び放射線量計測システムに関する。
近年注目を浴びているマルチ回転翼型の無人航空機であるドローンは、その機動性の高さから、空中撮影や各種の環境計測、監視等に利用され、様々な技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、福島第一原発の事故を受け、放射線汚染の被害がある地域では、除染作業を迅速かつ効率的に行うために局所的に放射線量が高い箇所(いわゆるホットスポット)の調査が急務となっている。しかし、ホットスポットを調査するためには、被害が想定される場所に入って、放射線量を隈無く測定しなければならず、時間とリスクとを強いられる。
特に、ドローンは、自律飛行ができ、人の立ち入りが困難な場所への侵入が安全かつ容易であることから、災害地や危険区域などの空中撮影に広く活用されている。上記のホットスポットの調査においても、ドローンに搭載したγ線検出器(放射線量測定器)による測定の実用化が検討されている。
ドローンによるホットスポット調査には次のような課題がある。すなわち、ドローンに搭載されたγ線検出器が10mの上空から10m四方エリアのγ線量を測定するのに要する時間は、現在の性能で約3分であり、バッテリ搭載型のドローンでは1回の飛行で3エリアしか測定できない。現在導入されているドローンは、雨天時に飛行することができず、調査の進行が天候に大きく左右されるという課題がある。一方、現実的にホットスポット調査に費やせる日程には限りがあり、極力気象条件による影響を排除し、調査を円滑に進行させることができる新たな技術の導入が求められていた。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、回転翼型無人航空機を用いて環境計測を行う場合に、雨天等の気象状況であっても計測を行うことができる技術を提供することにある。
本発明の回転翼型無人航空機は、回転翼を駆動するモータがインナーロータ型である。
また、前記モータのアウタケースにヒートシンクが形成されてもよい。
また、外部の給電装置から有線給電されてもよい。
本発明の放射線量分布計測システムは、上記の回転翼型無人航空機と、前記回転翼型無人航空機に搭載された放射線量測定器と、を備える。
また、前記モータのアウタケースにヒートシンクが形成されてもよい。
また、外部の給電装置から有線給電されてもよい。
本発明の放射線量分布計測システムは、上記の回転翼型無人航空機と、前記回転翼型無人航空機に搭載された放射線量測定器と、を備える。
本発明によると、回転翼型無人航空機を用いて環境計測を行う場合に、雨天等の気象状況であっても計測を行う技術を実現できる。
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態の概要は次の通りである。本実施形態では、回転翼型無人航空機であるドローンを用いたホットスポットの調査の実質的な稼働率向上の観点から、ドローンの防水性能を向上させ、雨天時の飛行を可能にする技術を導入する。一般にドローンに使用されているアウターロータ型のモータでは、本体の軽量化および放熱性の観点から、アウタケースに通気開口部が多く形成され、そのアウタケースが回転翼(プロペラ)に直結するロータを兼ねている。すなわち、回転翼ユニットに防水性を完全に犠牲にしたアウターロータ型のモータを使用しているため、既存のドローンは、雨天時に飛行できない。そこで、本実施形態では、回転翼を回転させるモータとして、インナーロータ型のモータを導入することで防水性能を確保する。また、密閉防水構造でロータを格納するアウタケースに放熱構造(ヒートシンク等)を設け、モータの放熱性を確保する。以下、具体的に説明する。
図1は本実施形態に係る放射線量分布計測システム10の概略を示す図である。放射線量分布計測システム10は、ドローン20と給電・計測車両60とを備える。ドローン20は、給電・計測車両60から電源ケーブル50により有線で電力供給を受けるとともに、γ線検出器40を搭載し上空10mの位置で地表10m四方にメッシュ状に設定されたエリアのγ線量を測定する。給電・計測車両60は、たとえばライトバントラックのような車両で、情報処理装置61と、給電装置62と、巻き取り機63とを備える。
図2はドローン20を示した図であって、図2(a)は平面図、図2(b)は斜視図である。ここでは、γ線検出器40等を搭載する前のドローン20の本体構成を示している。ドローン20の本体のペイロードは約30kgである。
ドローン20の本体は、例えば、アルミニウム合金や複合材料等のフレームで構成されており、本体フレーム30と、それから横方向に放射状に延びる6本のアーム39と、本体フレーム30の下方向に設けられた一対の脚部38を備える。各アーム39の先端には回転翼ユニット22a〜22fが取り付けられている。回転翼ユニット22a〜22fを区別しない場合は、「回転翼ユニット22」と略する。ドローン20には、一般には、4つ以上の回転翼ユニット22が取り付けられる。回転翼ユニット22の回転径は例えば直径760mmである。回転翼ユニット22の取り付け径(アーム径)は例えば直径1600mmである。
図3は、回転翼ユニット22の分解斜視図である。回転翼ユニット22は、インナーロータ型モータ23と回転翼24とを備える。インナーロータ型モータ23がアーム39の先端に取り付けられる。
インナーロータ型モータ23は、外形略円筒形を呈した金属製(例えばアルミニウム合金)のアウタケース31を有し、天面から出力軸32が延出している。この出力軸32に回転翼24が取り付けられる。
アウタケース31は防水密閉されており、その内部には、ロータが格納されている。アウタケース31の側面には、フィン状のヒートシンク33が縦状に複数設けられている。この構成によって、内部のロータの発熱を適切に放熱しつつ、防水性能を確保することができる。ヒートシンク33の形状やフィンの数は、インナーロータ型モータ23の出力、すなわち発熱量に応じて適宜設定されうる。
図4はドローン20の機能ブロック図である。ここでは、ドローン20の本体の飛行動作及び搭載される機器に着目して示している。
ドローン20は、飛行制御装置21と、回転翼ユニット22(22a〜22f)と、DC−DCコンバータ25と、通信モジュール26と、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)モジュール27と、9軸センサ28と、カメラ29と、γ線検出器40とを備える。
飛行制御装置21は、いわゆるモーターコントローラであって、各回転翼ユニット22(インナーロータ型モータ23)の動作を制御することで、飛行進行方向の制御やホバリングの制御を行う。制御方式として、飛行制御装置21に予め組み込まれたプログラムにより自律飛行する方式や、給電・計測車両60からの遠隔操縦する方式がある。ここでは遠隔操縦する方式を想定する。
DC−DCコンバータ25は、給電・計測車両60の給電装置62から電源ケーブル50を介して供給される直流高電圧(例えば300V以上)の電力を直流低電圧(例えば48V)の電力に変換し、電力を必要とするドローン20の各構成要素へ供給する。
通信モジュール26は、給電・計測車両60と通信を行うモジュールである。有線または無線のいずれでもよいが、有線通信の場合、それに用いる情報処理用ケーブルは、電源ケーブル50と収束した集合ケーブルとすることができる。
GNSSモジュール27は、GPS(Global Positioning System)とも呼ばれ、GNSS衛星から送信された電波を受信し、受信した電波に基づいて位置情報を算出する。
9軸センサ28は、3軸ジャイロと、3軸Gセンサと、3軸電子コンパスとを備え、検出結果は飛行制御装置21が行うドローン20の飛行制御に用いられる。
カメラ29は、例えばCCDカメラであって、撮影内容は給電・計測車両60へ送信される。例えば、給電・計測車両60から遠隔操作される場合に、GNSSの位置情報と共に飛行制御に用いられたり、地表を撮影し測定結果に関連づけられる。
γ線検出器40は、10m下の地表10m四方エリアのγ線量を測定する。測定結果は、通信モジュール26を介して給電・計測車両60の情報処理装置61に送信される。
図5は給電・計測車両60の機能ブロック図である。給電・計測車両60は、上述のように、情報処理装置61と、給電装置62と、巻き取り機63と、通信モジュール64とを備える。
情報処理装置61は、例えばノートPC(Personal Computer)やそれに接続される周辺機器等で構成されており、ドローン20と通信を行い、ドローン20やγ線検出器40の動作制御を行ったり、γ線検出器40の測定結果を取得し解析等を行う。
より具体的には、情報処理装置61は、計測装置65と、ドローン飛行制御装置66とを備える。
計測装置65は、γ線検出器40を用いた計測、位置情報に紐付いた計測データの解析、計測データの記録管理、計測データの外部出力等の処理を行う。
ドローン飛行制御装置66は、測定プログラムに従ってドローン20を所定エリアに誘導飛行させ、その測定位置でホバリングさせながらγ線量測定を行う制御を実行する。
給電装置62は、いわゆる高圧発電機であって、細くて軽い電源ケーブル50を介して、ドローン20に対し電力(高電圧(例えば300V以上)×直流小電流)を常時供給する。なお、巻き取り機63は、ドローン20と給電・計測車両60の距離に応じて電源ケーブル50の導出量を調整する。
通信モジュール64は、ドローン20の通信モジュール26と有線または無線で通信を行う。
以上、本実施形態によると、回転翼ユニット22のインナーロータ型モータ23を採用したことで、防水構造の回転翼ユニット22を実現でき、雨天に左右されることなくγ線量分布の計測が可能となる。また、インナーロータ型モータ23のアウタケース31にヒートシンク33を設けたことで、所望の放熱性能を確保でき、さらに、電源ケーブル50による有線給電の構成としていることから、給電・計測車両60と一緒に移動しながらドローン20を長時間連続して飛行させ広いエリアのγ線量分布を効率よく測定することができる。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 放射線量分布計測システム 20 ドローン
21 飛行制御装置 22 回転翼ユニット
23、23a〜23f インナーロータ型モータ
24、24a〜24f 回転翼
25 DC−DCコンバータ 26 通信モジュール
27 GNSSモジュール 28 9軸センサ
29 カメラ 30 本体フレーム
31 アウタケース 32 出力軸
33 ヒートシンク 38 脚部
39 アーム 40 γ線検出器
50 電源ケーブル 60 給電・計測車両
61 情報処理装置 62 給電装置
63 巻き取り機 64 通信モジュール
65 計測装置 66 ドローン飛行制御装置
21 飛行制御装置 22 回転翼ユニット
23、23a〜23f インナーロータ型モータ
24、24a〜24f 回転翼
25 DC−DCコンバータ 26 通信モジュール
27 GNSSモジュール 28 9軸センサ
29 カメラ 30 本体フレーム
31 アウタケース 32 出力軸
33 ヒートシンク 38 脚部
39 アーム 40 γ線検出器
50 電源ケーブル 60 給電・計測車両
61 情報処理装置 62 給電装置
63 巻き取り機 64 通信モジュール
65 計測装置 66 ドローン飛行制御装置
Claims (4)
- 回転翼を駆動するモータがインナーロータ型であることを特徴とする回転翼型無人航空機。
- 前記モータのアウタケースにヒートシンクが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転翼型無人航空機。
- 外部の給電装置から有線給電されることを特徴とする請求項1または2に記載の回転翼型無人航空機。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の回転翼型無人航空機と、
前記回転翼型無人航空機に搭載された放射線量測定器と、
を備えることを特徴とする放射線量計測システム。
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