以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<洗濯機の構成>
図1に、本実施形態のモータを適用した洗濯機1を示す。この洗濯機1は、洗いから濯ぎ、脱水の各処理が自動制御によって行うことができる全自動式の洗濯機である。洗濯機1は、縦長な矩形箱状の筐体2を有し、その上部に、蓋3で開閉する投入口4が形成されている。洗濯物の出し入れは、この投入口4を通じて行われる(いわゆる縦型の洗濯機)。投入口4の後方には、ユーザーが操作する各種スイッチや表示部が設けられている。
図2に示すように、筐体2の内部には、洗濯槽10、脱水槽11、モータ12、パルセータ13(撹拌部材の一例)、バランサ14、制御装置15などが設置されている。特にこの洗濯機1では、駆動運転用のモータ12に、開示する技術が適用されていて、コンパクトなサイズで、洗濯機1の各処理に応じた適切な性能を発揮できるようになっている。
洗濯槽10は、貯水可能な有底円筒状の容器であり、開口を上方の投入口4に向けた状態で、複数の吊し部材16によって筐体2の内部に懸架されている。洗濯槽10の内部には、不図示の注水機構を通じて注水可能となっている。洗濯槽10の下部には、バルブで開閉制御される排水管17が連結されており、不要な水は、この排水管17を通じて洗濯機1の外部に排水される。
脱水槽11は、洗濯槽10よりもひとまわり小さい、洗濯物を受け入れる有底円筒状の容器である。脱水槽11は、その開口を投入口4に向けて、鉛直方向に延びる縦軸Jまわりに回転可能な状態で洗濯槽10に収容されている。洗濯物の処理は、全てこの脱水槽11の内部で実行される。脱水槽11の円筒形状をした周壁には、多数の水抜孔11aが全面にわたって形成されている(図では一部のみ図示)。
脱水槽11の開口部には、バランサ14が設置されている。バランサ14は、内部に複数のボールや粘性流体を収容した円環状の部材であり、脱水槽11の回転時に洗濯物の偏りによって生じる重量バランスの不均衡を調整する。脱水槽11の底部には、上面に撹拌羽根を有する円板状のパルセータ13が回転可能に設置されている。
制御装置15(制御部を構成)は、CPUやROMなどのハードウエアと、制御プログラムなどのソフトウエアとで構成されており、洗濯機1で行われる各処理を総合的に制御する。制御装置15は、各種スイッチやモータ12などと電気的に接続されており、ユーザーの指示に従って、制御プログラムが洗いや濯ぎ、脱水の各行程を実行する。
制御装置15は、モータ12の駆動運転を制御する。例えば、洗い行程では、モータ12が、パルセータ13と脱水槽11を一定周期で反転させながら回転駆動し、水や洗剤と共に洗濯物を撹拌する。脱水行程では、モータ12が、パルセータ13と脱水槽11を同期して一定方向に高速で回転駆動し、遠心力の作用で洗濯物を周壁に押し付けて脱水する。
更に、制御装置15は、モータ12の磁化処理も制御する。すなわち、制御装置15は、モータ12に設けられているマグネットの磁極(S極、N極)を切り替えたり、その磁力を増磁、減磁したりする処理を制御する(詳細は後述)。
(モータ)
モータ12は、直径が洗濯槽10よりも小さい扁平な円柱状の外観を有し、縦軸Jがその中心を通るように、洗濯槽10の下側に組み付けられている。
図3に示すように、モータ12は、アウターロータ20(第2ロータ)、インナーロータ30(第1ロータ)、インナーシャフト40、アウターシャフト50、ステータ60などで構成されている。すなわち、このモータ12は、1つのステータ60の径方向外方及び内方にアウターロータ20及びインナーロータ30を備えた、いわゆるデュアルロータモータである。
そして、アウターロータ20及びインナーロータ30が、クラッチや加減速機などを介在することなくパルセータ13や脱水槽11に連結されていて、これらを直接駆動するように構成されている。
アウターロータ20及びインナーロータ30は、ステータ60のコイル63を共用しており、コイル63に駆動電流を供給することにより、このモータ12は、アウターロータ20及びインナーロータ30の各々を独立して回転駆動できるようになっている。ステータ60は、洗濯槽10の底面に設けられた軸受ブラケット70に取り付けられている。
アウターロータ20は、扁平な有底円筒状の部材であり、中心部分が開口した底壁部21と、底壁部21の周縁に立設されたロータヨーク22と、円弧形状の永久磁石からなる複数のアウターマグネット24とを有している。底壁部21及びロータヨーク22は、バックヨークとして機能するように、鉄板をプレス加工して形成されている。
本実施形態では、アウターロータ20は、コンシクエント型のロータである。アウターロータ20には、16個のアウターマグネット24が、周方向に一定の間隔をあけて並ぶように配置され、ロータヨーク22の内面に固定されている。
アウターマグネット24は、磁化処理により、磁極を反転(S極からN極、又はN極からS極に反転)させることが可能である(後述する切換磁石)。また、アウターマグネット24は、磁力を強めたり弱めたりすることも可能である(増磁、減磁)。すなわち、本実施形態では、アウターロータ20は、その磁化処理に対応したロータとなっており、16極と32極との間で磁極数の切り換えが可能となっている(磁化対応ロータ、詳細は後述)。
インナーロータ30は、アウターロータ20よりも外径が小さい扁平な有底円筒状の部材であり、中心部分が開口した内側底壁部31と、内側底壁部31の周囲に立設された内側周壁部32と、矩形板状の永久磁石(後述する固定磁石)からなる複数のインナーマグネット34とを有している。
本実施形態では、インナーロータ30は、スポーク型のロータである。インナーロータ30には、32個のインナーマグネット34が、周方向に一定の間隔をあけて放射状に並ぶように配置され、内側周壁部32に固定されている。インナーマグネット34の間にはロータコア33が周方向に配置されている。
インナーシャフト40は、円柱状の軸部材であり、インナー軸受73、アウターシャフト50、及びボールベアリング71,72を介して軸受ブラケット70に回転自在に支持されている。インナーシャフト40の下端部は、アウターロータ20に連結されている。インナーシャフト40の上端部は、パルセータ13に連結されている。
アウターシャフト50は、インナーシャフト40よりも短く、インナーシャフト40の外径よりも大きな内径を有する円筒状の軸部材であり、上下のインナー軸受73,73、インナーシャフト40、及びボールベアリング71,72を介して軸受ブラケット70に回転自在に支持されている。アウターシャフト50の下端部は、インナーロータ30に連結されている。アウターシャフト50の上端部は、脱水槽11に連結されている。
ステータ60は、アウターロータ20の内径よりも外径が小さくてインナーロータ30の外径よりも内径が大きい円環状の部材で形成されている。ステータ60には、図5に示すように、複数のティース61やコイル63などが、樹脂に埋設された状態で備えられている。本実施形態のステータ60には、24個のI型のティース61及びコイル63が備えられている。
ティース61は、縦軸Jが延びる方向の断面がI形状を有する鉄部材である。各ティース61は、スロットを介して、等間隔で放射状に並ぶようにしてステータ60の全周に配置されている。ティース61の径方向における内側及び外側の側端部は、その両隅から周方向に鍔状に張り出している。
ティース61は、その内側の側端部に内側鍔部61aを有し、その外側の側端部に外側鍔部61bを有している。本実施形態では、外側鍔部61bを含む、これらティース61におけるアウターロータ20が位置する外側の部分は、磁化対応ティースを構成している。
隣接する2つのティース61の外側鍔部61b,61bの間の隙間(スロットの外側開口)は、隣接する2つのティース61の内側鍔部61a,61aの間の隙間(スロットの内側開口)よりも大きくなっている。このように、スロットの外側開口を大きくすることで、アウターロータ20の磁化処理がやり易くなる。
各ティース61には、絶縁材を介して絶縁材で被覆された3本のワイヤを、スロットを通して所定の順序及び構成で連続して巻回することにより、コイル63が形成されている(いわゆる集中巻)。コイル63が形成された各ティース61は、内側鍔部61a及び外側鍔部61bの各端面だけを露出させ、絶縁された状態でモールド成形によって熱硬化性樹脂に埋設されている。
内側鍔部61aは、ロータコア33と僅かな隙間を隔てて対向し、外側鍔部61bは、アウターマグネット24と僅かな隙間を隔てて対向するように、ステータ60、インナーロータ30、アウターロータ20が組み付けられている。
隣接するティース61の間には、位置センサ64が配設されている。位置センサ64は、インナーロータ30の側に配設されており、インナーロータ30の位置を把握するためのものである。
図4に示すように、モータ12には、3相のインバータ18が接続されている。制御装置15がインバータ18を制御することにより、このモータ12では、ステータ60の各コイル63に、3相(U相、V相、W相)の駆動電流が、所定のタイミングで通電される。そうすることにより、ティース61のアウター側とインナー側には、同時に、相異なる磁極が発生し、回転磁界に伴って、アウターロータ20とインナーロータ30がそれぞれ独立して回転する。
モータ12では、駆動制御の基準を設定するために、アウターロータ20及びインナーロータ30の一方のロータがメインロータとされ、他方のロータがをサブロータとされる。駆動電流の制御は、メインロータを基準に行われ、このモータ12では、インナーロータ30がメインロータとなっている。
また、このモータ12では、制御装置15がインバータ18を制御することにより、ステータ60の所定のコイル63に、駆動電流よりも十分に大きな磁化電流が、所定のタイミングで通電される。そうすることにより、アウターロータ20の所定のアウターマグネット24が磁化処理される。
<回転モード>
モータ12は、磁化処理によるアウターロータ20の磁極数の切り替えにより、複数の回転モードで駆動運転できるようになっている。モータ12は、洗濯機1のモータであることから、主な回転モードは、アウターロータ20及びインナーロータ30を同期して互いに同一方向に回転させるモード(同期回転モード)と、アウターロータ20及びインナーロータ30を互いに逆方向に回転させるモード(相反回転モード)である。
図6及び図7は、モータ12の回転中の電気角360°の間のステータ60、アウターロータ20、及びインナーロータ30の位置を、6つのステップに分けて図示したものである。アウターロータ20及びインナーロータ30が、同期回転モード及び相反回転モードで、回転する原理を模式的に示している。なお、駆動電流の制御は、位置センサ64でインナーロータ30の位置を検知し、その位置に基づいて、アウターロータ20及びインナーロータ30の位置を特定することによって行われる。
(同期回転モード)
同期回転モードでは、アウターロータ20の磁極数は、インナーロータ30と同じ32極である。図6では、その機械角45°分を示している。U相、V相、W相の3相のコイル63に駆動電流を流すと、ティース61に磁極が発生する。その磁極は、ティース61のインナーロータ30側とアウターロータ20側とで反対の極となる。なお、以下の説明では、ティース61のインナーロータ30側の極についてのみ述べる。
第1のステップ(1)は、U相、V相のティース61のインナーロータ30側がN極、W相のティース61のインナーロータ30側がS極となっている状態を表している。そのため、U相、V相のティース61のアウターロータ20側がS極、W相のティース61のアウターロータ20側がN極となっている。
第1のステップ(1)の状態では、アウターロータ20とインナーロータ30は、電気角180°ずれた状態で、図6の右方向に回転する力をトルクとして受けることになる。
第2のステップ(2)の状態では、V相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がN極のままで、V相のティース61がS極となり、W相のティース61がS極のままで、アウターロータ20及びインナーロータ30が右方向へ移動する。
第3のステップ(3)の状態では、W相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がN極、V相のティース61がS極のままで、W相のティース61がN極となり、アウターロータ20及びインナーロータ30が右方向へ移動する。
第4のステップ(4)の状態では、U相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極となり、V相のティース61がS極、W相のティース61がN極のままで、アウターロータ20及びインナーロータ30が右方向へ移動する。
第5のステップ(5)の状態では、V相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極のままで、V相のティース61がN極となり、W相のティース61がN極のままで、アウターロータ20及びインナーロータ30が右方向へ移動する。
第6のステップ(6)の状態では、W相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極、V相のティース61がN極のままで、W相のティース61がS極となり、アウターロータ20及びインナーロータ30が右方向へ移動する。
このように、アウターロータ20及びインナーロータ30は、同一方向に同一速度で回転することとなる(同期回転モード)。負荷や負荷変動によりアウターロータ20及びインナーロータ30の位相が多少ずれることはあるが、この例示では、位相のずれは無いものとして説明している。
またこの例示では、位置センサ64を使用して駆動電流を制御しているが、それに限定するものではない。例えば、位置センサ64の代わりに、インナーロータ30側又はアウターロータ20側の磁石を検出する磁気センサを使用してもよい。また、誘起電圧を利用したり、検出電流を利用する等、いわゆるセンサレスの方式を採用してもよい。また、エンコーダなど、その他の方法を用いて駆動電流を制御してもよい。
(相反回転モード)
図7に示すように、相反回転モードでは、アウターロータ20の磁極数は、16極である。
第1のステップ(1)は、U相、V相のティース61のインナーロータ30側がN極、W相のティース61のインナーロータ30側がS極となっている状態を表している。そのため、U相、V相のティース61のアウターロータ20側がS極、W相のティース61のアウターロータ20側がN極となっている。
第1のステップ(1)の状態では、インナーロータ30は、図7の右方向に回転する力をトルクとして受ける。一方、アウターロータ20は、図7の左方向に回転する力をトルクとして受ける。
第2のステップ(2)の状態では、V相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がN極のままで、V相のティース61がS極となり、W相のティース61がS極のままで、インナーロータ30が右方向へ移動し、アウターロータ20が左方向へ移動する。
第3のステップ(3)の状態では、W相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61はN極、V相のティース61がS極のままで、W相のティース61がN極となり、インナーロータ30が右方向へ移動し、アウターロータ20が左方向へ移動する。
第4のステップ(4)の状態では、U相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極となり、V相のティース61がS極、W相のティース61がN極のままとなり、インナーロータ30が右方向へ移動し、アウターロータ20が左方向へ移動する。
第5のステップ(5)の状態では、V相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極のままで、V相のティース61がN極となり、W相のティース61がN極のままで、インナーロータ30が右方向へ移動し、アウターロータ20が左方向へ移動する。
第6のステップ(6)の状態では、W相のティース61の磁極を反転させる。これにより、インナーロータ30側のU相のティース61がS極、V相のティース61がN極のままで、W相のティース61がS極となり、インナーロータ30が右方向へ移動し、アウターロータ20が左方向へ移動する。このとき、アウターロータ20の移動量はインナーロータ30の2倍となっている。
このように、アウターロータ20及びインナーロータ30は、互いに異なる方向に異なる速度で回転することとなる(相反回転モード)。
なお、同期回転モードや相反回転モードは、これら以外の磁極数の組合せや、異なる回転比率でも構成することができる。すなわち、同期回転モードや相反回転モードは、任意の回転比率で回転したり、異なるトルクで回転したりする場合も含む。
このように、1つのインバータ18により、1つのステータ60を共用するアウターロータ20とインナーロータ30とを独立して回転駆動させることができる。その結果、制御装置15がモータ12の駆動運転を、同期回転モードと相反回転モードとの間で切り替えることにより、この洗濯機1では、パルセータ13と脱水槽11を同一方向及び相反方向に回転させることができるようになっている。
すなわち、図8の(a)に示すように、相反回転モードに切り替えることより、パルセータ13と脱水槽11は、互いに逆方向に回転する。図8の(b)に示すように、同期回転モードに切り替えることより、パルセータ13と脱水槽11は、互いに同一方向に回転する。
(モータの磁化処理)
この洗濯機1では、同期回転モードと相反回転モードとの間で運転モードを切り替えるために、駆動運転の途中、換言すれば洗濯処理の実行中に、制御装置15が、アウターロータ20に対して磁化処理を行うことにより、磁極数の切り替えを行う。
図9は、モータの要部を示す平面断面図であり、機械角45°分の状態を示している。前述したように、アウターマグネット24は、全て切換磁石25で構成されている。インナーマグネット34は、全て固定磁石35で構成されている。
切換磁石25とは、磁極数切換部としてのコイル63に磁化電流を供給したときに、その磁石の極性が反転する磁石である。固定磁石35とは、コイル63に磁化電流を供給しても、その磁石の極性が反転しない磁石である。後述する保磁力の大きさや磁石の種類などに依存する必要はない。反転する、反転しないとは、磁石全体の極性を示し、一部に逆極があってもトータルの磁束で判別すればよい。
ステータ60の極数Stは24極、インナーロータ30の極数Miは32極、アウターロータ20の極数Moは32極又は16極に切り換え可能に構成されている。磁極の比率は、St:Mi:Mo=3:4:4又は2となっている。
図9は、同期回転モードの状態を示している。切換磁石25は、全てS極となっている。そうすることで、図10に示すように、隣接する切換磁石25の間におけるアウターロータ20のロータヨーク22はN極となる。従って、アウターロータ20の磁極数は、32極となる。
ロータヨーク22のN極の部分は突極構造を持たないため、ロータヨーク22とティース61の間の磁気抵抗は略同一となる。このような突極構造のないコンシクエント型のロータを用いることにより、振動や騒音を抑えた構成とすることができる。
図10に二点鎖線で示すように、ロータヨーク22のN極の部分から出た磁束は、ティース61に入り、異なるティース61から切換磁石25(S極)へ入る。
この場合、ロータヨーク22(N極)とティース61との隙間(エアギャップ)が大きいため、誘起電圧が小さくなる。これは、高速且つ低トルクが必要とされる脱水処理に有利である。
一方、図11は、相反回転モードの状態を示している。切換磁石25は、N極とS極とが交互に並ぶように構成されている。切換磁石25をこのような構成とすることで、図12に示すように、各切換磁石25の間におけるアウターロータ20のロータヨーク22は磁極を構成しない。従って、アウターロータ20の磁極数は、16極となる。
図12に二点鎖線で示すように、切換磁石25(N極)から出た磁束は、ティース61に入り、異なるティース61から切換磁石25(S極)へ入る。
この場合、切換磁石25(N極)とティース61との隙間(エアギャップ)が、32極の場合に比べて小さいため、誘起電圧が大きくなる。これは、低速且つ高トルクが必要とされる洗い処理に有利である。
(磁極数の切り替え)
図9を用いて、アウターロータ20の磁極数を32極から16極へ切り換える場合を示す(同期回転モードから相反回転モードへの切り替え)。下から1番目のティース61と下から2番目のティース61に、図9に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に磁化電流を流して磁界を発生させる。それにより、下から1番目の切換磁石25の磁極をS極からN極へ反転させることができる。
図11を用いて、アウターロータ20の磁極数を16極から32極へ切り換える場合を示す(相反回転モードから同期回転モードへの切り替え)。下から1番目のティース61と下から2番目のティース61に、図11に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に磁化電流を流して磁界を発生させる。それにより、下から1番目の切換磁石25の磁極をN極からS極へ反転させることができる。
なお、磁極の切り替えの際、磁極を反転させた切換磁石25の一部に前の極が残り、磁極の切り替えが未完了となる場合がある。その場合、アウターロータ20の角度、コイル63に流す磁化電流の相を適宜合わせ、複数回の磁化処理を行うことにより、磁化の切り替えを完了させることは可能である。このような複数回の磁化処理を行う手順については、別途後述する。
ここで、磁化されるティース61間において切換磁石25を通る磁束の経路の磁気抵抗は、インナーロータ30のエアギャップ近傍を通る磁束の経路の磁気抵抗よりも大きくなっている。つまり、インナーロータ30では、固定磁石35を通る磁束の一部が、エアギャップ近傍を通るように分岐することとなる。
これにより、磁化電流を供給したときに、切換磁石25には、固定磁石35よりも多くの磁束が流れることとなり、切換磁石25部の磁化力は、固定磁石35部の磁化力よりも大きくなる。
このように、着磁のための磁束の磁路を適切に設定することで、例えば、切換磁石25と固定磁石35とを、保磁力が同じフェライト磁石で構成した場合でも、切換磁石25のみの磁極切り換えを安定して行うことができる。
なお、切換磁石25と固定磁石35とを、保磁力が異なる2種類以上の磁石で構成してもよい。例えば、固定磁石35の保磁力を、切換磁石25の保磁力よりも大きくすることにより、より安定した磁化を得ることができる。また、インナーロータ30の固定磁石35に、希土類磁石を用いることにより、インナーロータ30とアウターロータ20とのトルクバランスを、より容易に取ることができる。
図13は、固定磁石35と切換磁石25に保磁力が異なる磁石を使った場合のB−H曲線(磁気ヒステリシス曲線)を示す図である。ここで、コイル63に磁化電流を流すことで、+A以上、−A以下、及び固定磁石35の保磁力を超えない磁界を発生させると、図から分かるように、切換磁石25の磁極を反転させることが可能である。磁化する電流はパルス電流でよく、数十msec程度の時間で磁化が可能である。
ところで、切換磁石25を磁化するのにあたって、コイル63に印加する電圧は、磁化電流を大きくするために、できる限り高い方が有利である。また、脱水行程のような低トルクで高速回転を行う場合にも、電圧が高い方がやり易い。しかしながら、洗い行程や濯ぎ行程などのような、高トルクで低速回転を行う場合は、高すぎない方が一般的にインバータ18の効率がよい。
そこで、このモータ12では、低トルクで高速回転を行う場合には、磁化処理と同じ電圧をインバータ18へ供給する一方、高トルクで低速回転を行う場合には、磁化の電圧より低い電圧をインバータ18へ供給するようにしている。これにより、消費電力を低減することができる。
このモータ12によれば、複合電流を供給しないで、アウターロータ20及びインナーロータ30を複数の回転モードで回転動作させることができる。従って、従来のように、複合電流を供給するための複数のインバータ18が不要となり、インバータ18の規模を小さくして製品のコンパクト化やコスト低減を図ることができる。
更にこのモータ12は、複合電流の分離電流処理が必要無いので、高調波電流の影響を受けにくく、高調波歪みによる振動や音が発生することがない。
また、コイル63に磁化電流を供給して、飽和着磁領域を用いた切換磁石25の磁極の切り換えを行っているから、磁束量が安定しており、磁束量のバラツキに起因する音や振動が発生し難くなる。
<モータの変形例1>
図14に、モータ12の変形例1(モータ12A)を示す。以下、前述した実施形態と同じ部分については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点についてのみ説明する(以下の変形例も同様)。
アウターロータ20は、SPM型のロータであり、32個のアウターマグネット24が、周方向にS極とN極とが交互に並ぶように配置され、ロータヨーク22の内面に固定されている。
アウターマグネット24は、切換磁石25と固定磁石35とで構成されている。具体的には、図14に示す5個のアウターマグネット24のうち、下から1番目、2番目、5番目の磁石は、切換磁石25で構成されている。そして、下から3番目、4番目の磁石は、固定磁石35で構成されている。つまり、隣接する2個の磁石が同一機能の磁石で構成されている。
そして、コイル63に磁化電流を供給して、全ての切換磁石25の磁極を反転させると、図15に示すように、下から1番目、5番目の切換磁石25がS極からN極に反転し、下から2番目の切換磁石25がN極からS極に反転する。このように、隣接する2つのS極の磁石の組と、隣接する2つのN極の組とが、周方向に交互に並ぶように切り換わることで、アウターロータ20の磁極数が16極となる。
ここで、アウターロータ20の磁極数が32極の場合に、コイル63に駆動電流を供給すると、図14に矢印で示すように、アウターロータ20及びインナーロータ30は、両方とも、時計回り方向に回転する。つまり、同期回転モードで回転駆動させることができる。
一方、アウターロータ20が16極の場合に、コイル63に駆動電流を供給すると、図15に矢印で示すように、アウターロータ20が反時計回り方向に回転し、インナーロータ30が時計回り方向に回転する。つまり、相反回転モードで回転駆動させることができる。
(磁極数の切り替え)
変形例1のモータ12Aでは、切換磁石25を複数回に分けて磁化することにより、磁極数の切り替えを行う。ここでは、アウターロータ20の磁極数を32極から16極へ切り換える場合(同期回転モードから相反回転モードへの切り替え)を、図16〜図21を用いて説明する。アウターロータ20の磁極を16極から32極へ切り換える場合(相反回転モードから同期回転モードへの切り替え)は、以下の手順を同様な考え方で逆に行えばよいため、その説明は省略する。
図16に示すように、アウターロータ20の位置決めを行う。具体的には、下から1番目のティース61(U相)と下から2番目のティース61(W相)に、図16に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に電流を流して磁界を発生させる。
ここでは、アウターロータ20を図16の位置に固定する程度の磁界が発生するように、5A程度の電流(位置決め電流)を流すようにする。これにより、ティース61に対向するアウターロータ20及びインナーロータ30の磁極がバランスを保ち、図16に示す位置で停止する。
次に、図17に示すように、アウターロータ20が停止した位置で、下から1番目のティース61と下から2番目のティース61に図17に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に電流を流して磁界を発生させる。ここでは、アウターロータ20の位置決めを行ったときよりも大きい、例えば30A程度の着磁用の電流(磁化電流)を流すようにする。これにより、下から1番目と2番目の切換磁石25では、図17に示すように、磁極が部分的に反転する。
次に、図18に示すように、下から1番目(U相)、2番目(W相)、3番目(V相)のティース61に、図18に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に位置決め電流を流して磁界を発生させる。これにより、アウターロータ20及びインナーロータ30の磁極がバランスを保ち、図18に示す位置で停止する。
次に、図19に示すように、アウターロータ20が停止した位置で、下から1番目のティース61と下から2番目のティース61に、図19に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に磁化電流を流して磁界を発生させる。このとき、下から2番目の切換磁石25は、ティース61と対向する領域が広がっているため、N極からS極への磁極の反転が完了する。
次に、図20に示すように、下から1番目、2番目、3番目のティース61に、図20に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に位置決め電流を流して磁界を発生させる。これにより、ティース61に対向するアウターロータ20及びインナーロータ30の磁極がバランスを保ち、図20に示す位置で停止する。
次に、図21に示すように、アウターロータ20が停止した位置で、下から1番目のティース61と下から2番目のティース61に、図21に矢印で示す磁力線が形成されるように、コイル63に磁化電流を流して磁界を発生させる。このとき、下から1番目の切換磁石25は、ティース61と対向する領域が広がっているため、S極からN極への磁極の反転が完了する。
(応用の可能性)
この変形例1のモータ12Aでは、アウターロータ20の回転停止中に磁化処理を行うようにしたが、アウターロータ20の低速回転中に磁化処理を行うようにしてもよい。その場合、磁化処理の開始前(回転停止中)に、少なくとも1回以上、磁化処理を行い、その後、アウターロータ20を低速回転させてティース61との相対位置を変化させながら、残りの回数分、磁化処理を行うようにすればよい。つまり、低速回転中のアウターロータ20が、磁化すべき位置にきたタイミングで、磁化電流を流すようにすればよい。この場合、同期回転モード中に、磁化処理を行うのが好ましい。
なお、アウターロータ20の位置決めには、センサレス方式の位置信号を使用してもよいし、位置センサ64によるインナーロータ30側のインナーマグネット34の位置信号を使用してもよい。また、インナーロータ30側とアウターロータ20側の平均化など、位置信号処理をした位置信号を用いてもよい。
また、アウターロータ20の低速回転中であれば、アウターロータ20の慣性モーメントが利用できるので、位置信号を使うことにより、磁化処理が未完了の状態でも、切換磁石25の位置を正確に判断できる。また、制御装置15による回転制御により、アウターロータ20の回転の変動を把握しながら、全ての磁化処理を、アウターロータ20の回転中に行えば、慣性モーメントが利用できるので、有効である。
ところで、アウターロータ20の回転中に磁化処理を行う場合、アウターロータ20の移動に合わせて通電位相を切り換えることが好ましい。
すなわち、U相のティース61のみで磁化する場合、磁化電流の通電時間に比較して、アウターロータ20の回転が速いと、図22に示すように、そのティース61の切換磁石25に対する位置がずれてしまい、適正な磁化処理ができないことがある。アウターロータ20の回転速度を遅くすることも考えられるが、アウターロータ20の慣性モーメントの効果が低下して、位置精度や着磁変動が増加してしまうため好ましくない。
そこで、そのような場合、図23に示すように、アウターロータ20の回転の移動量に合わせて、U相からV相へ、磁化処理を行うティース61を切り換えるとよい。そうすれば、対象とする切換磁石25を適正に磁化処理できる。
このとき、着磁中の通電位相は、アウターロータ20の初期位相を初期値とし、切換磁石25の移動量を加算することにより行う。
初期位相の初期値とは、磁化電流を印加したときの電流位相のことをいう。例えば、U相で着磁する場合の初期値は0°+オフセット量、W相で着磁する場合の初期値は−120°+オフセット量、V相で着磁する場合の初期値は120°+オフセット量となる。なお、オフセット量とは、切換磁石25が狙いの位置にきたときに磁化電流のピークになるように調整するパラメータである。
ところで、切換磁石25の磁極を反転させて磁極数を切り換えるためには、切換磁石25と固定磁石35との位置を判別する必要がある。そこで、変形例1のモータ12Aでは、磁石判別部として位置センサや磁気センサ65を用いるようにしている。
図24に示すように、アウターロータ20には、隣接する2つの切換磁石25の組と、隣接する2つの固定磁石35の組とが、周方向に交互に並ぶように配設されている。切換磁石25の下端部は、固定磁石35の下端部よりも下方に突出して延びている。つまり、切換磁石25の方が、固定磁石35よりも長さが長くなっている。
そして、切換磁石25における固定磁石35よりも長くなった部分に対向して、磁気センサ65が配設されている。磁気センサ65は、例えば、ステータ60や他の構造体などに固定されている。
図24に示すアウターロータ20の位置では、磁気センサ65が固定磁石35の下方に位置している。ここで、アウターロータ20が回転すると、図25に示すように、磁気センサ65が切換磁石25に対向して、図24に示す状態とは異なる信号を受けることとなる。この異なる信号に基づいて、磁気センサ65によって切換磁石25と固定磁石35とを判別することができる。そして、制御装置15は、固定磁石35の位置に基づいて、アウターロータ20及びインナーロータ30の回転動作を制御する。
なお、磁気センサ65は、アウターロータ20よりも外側及び内側のどちらに配置してもよいし、端面部に配置しても同様の機能を得ることが可能である。また、インナーロータ30側に切換磁石25を有する構成であっても、磁気センサ65を同様に配置することで、磁石の判別が可能となる。
なお、図24に示す例では、切換磁石25と固定磁石35との長さを変えることで、磁気センサ65で判別可能としたが、この形態に限定するものではない。例えば、切換磁石25を一時的に減磁するように磁化動作を行い、その変化に基づいて切換磁石25の位置を判別した後で、元の状態に戻すようにしてもよい。
また、磁気センサ65に対向する部分の着磁量や着磁形状などの着磁状態を変えることによって磁石を判別することも可能である。具体的に、図26に示すように、固定磁石35の一部に異極を構成して、この異極部分に対向するように磁気センサ65を配設すればよい。ここで、アウターロータ20が回転すると、図27に示すように、磁気センサ65が固定磁石35の異極部分に対向するので、固定磁石35の位置を特定して、磁気センサ65によって切換磁石25と固定磁石35とを判別することができる。
また、アウターマグネット24を切換磁石25と固定磁石35とで構成しているが、全て切換磁石25で構成しても構わない。この場合には、任意の半分の切換磁石25の磁極のみを反転させることで、磁極数を切り換えることができる。このようにすれば、切換磁石25と固定磁石35とを区別することなく、着磁切り換えを行うことができる。
<モータの変形例2>
図28に、モータ12の変形例2(モータ12B)を示す。変形例2のモータ12Bのアウターロータ20は、前述した実施形態と同じコンシクエント型のロータである。ステータ60、インナーロータ30、及びアウターロータ20の各極数も同じである(磁極の比率は、St:Mi:Mo=3:4:4又は2)。
従って、アウターマグネット24(全てが切換磁石25)は、ロータヨーク22の内面に、周方向に一定の間隔を隔てて16個配置されている。ただし、このモータ12Bでは、切換磁石25の周方向の長さが大きく形成されている。
具体的には、切換磁石25の周方向の長さL1が、隣接する2つの切換磁石25の間の長さL2より大きく、その比率L1:L2が略2:1となっている。そして、切換磁石25の周方向の長さL1はまた、これら切換磁石25と対向する隣接する2つのティース61,61の外側鍔部61bの部分のピッチPよりも大きく形成されている。
このように、切換磁石25の周方向の長さL1を大きくすることで、相反回転モードでアウターロータ20を回転駆動する時のトルクを、前述した実施形態のモータ12に比べて大きくできる。その結果、洗い処理での撹拌力が向上し、洗浄性能がアップできるようになっている。
ところが、このように切換磁石25の周方向の長さL1を大きくすると、1回の磁化処理では、切換磁石25の全体の磁極を切り替えることができなくなる。従って、この場合、変形例1のモータ12Aと同様に、複数回の磁化処理を行う必要がある。
しかし、変形例1のモータ12Aのように、アウターロータ20の回転を停止しながら磁化処理を行うと、磁極数の切り替えに多くの時間を要する。駆動運転中に行うことは、実用上困難である。そこで、この変形例2のモータ12Bでは、短時間で磁極数が切り替えられるように、前述した変形例1のモータ12Aの応用の可能性に基づいて、アウターロータ20がインナーロータ30の回転駆動に連れ回り回転している状態で、複数回の着磁処理を行う。
(洗濯機の運転例)
図29に、このモータ12Bを用いた洗濯機1の基本的な運転例を示す。洗濯機1の運転に先だって、ユーザーは、脱水槽11に洗剤と共に洗濯物を投入する。蓋3は、閉じられるとロックされる。そうして、ユーザーの操作によって洗濯コースが指示されると、洗濯機1は運転を開始する。
洗濯機1の運転が開始すると、所定の水量(通常は、洗濯物が水に浸かる程度)に達するまで、洗濯槽10及び脱水槽11に水が供給される(ステップS1)。その後、制御装置15は、モータ12Bを制御し、第1磁化処理(同期回転モードから相反回転モードへ切り替える処理)を実行する(ステップS2)。第1磁化処理の後、増磁する処理が行われる場合もある。
第1磁化処理によって相反回転モードに切り替わると、洗い行程が行われる(ステップS3)。具体的には、所定の駆動電流によってモータ12Bが駆動運転されることにより、脱水槽11とパルセータ13とが、所定時間互いに逆回転し、洗濯物が撹拌される。
洗い行程が終わると、排水し、制御装置15は、モータ12Bを制御し、第2磁化処理(相反回転モードから同期回転モードへ切り替える処理)を実行する(ステップS4)。第2磁化処理の後、増磁する処理が行われる場合もある。
第2磁化処理によって同期回転モードに切り替わると、濯ぎ行程が行われる(ステップS5)。濯ぎ行程では、洗い行程と同様に、洗濯槽10及び脱水槽11に水が供給され、所定量の水が貯まると、モータ12Bが所定の駆動電流によって駆動運転されることにより、脱水槽11とパルセータ13とが、所定時間、同一方向に低速で回転し、洗濯物が撹拌される。濯ぎ行程は複数回行われる場合もある。
そうして、濯ぎ行程が終わると、脱水行程が行われる(ステップS6)。脱水行程では、脱水槽11及びパルセータ13が、所定時間、濯ぎ行程よりも高速で回転される。それにより、遠心力の作用で、洗濯物に含まれる水が脱水され、排水管17を通じて排水される。脱水行程が終了すると、ブザー等で運転の停止がユーザーに報知されるとともに、蓋3のロックが解除されて、洗濯機1の運転が終了する。
(第1磁化処理)
第1磁化処理は、前述したように、同期回転モードから相反回転モードへ切り替える処理であり、短時間で安定して切り替えられるように工夫されている。
具体的には、第1磁化処理では、同期回転モードでモータ12Bを駆動し、アウターロータ20が連れ回り回転している状態で、切換磁石25に磁極を反転させる磁化電流(反磁化電流)を供給する処理(反磁化処理)が、複数回実行される。
ここで、アウターロータ20が連れ回り回転している状態とは、インナーロータ30(非磁化対応ロータ)が、所定の駆動電流の供給によって回転駆動されている時に、その駆動電流の作用でアウターロータ20が回転している状態をいう。
第1磁化処理は、洗濯機1の運転の途中、換言すれば、モータ12Bが駆動運転されている期間に行われる。そのため、第1磁化処理の際には、脱水槽11の中には洗濯物が有り、水が貯まっている。アウターロータ20が連結されているパルセータ13には、これらの荷重が作用した状態となっている。インナーロータ30が連結されている脱水槽11も同様である。
従って、アウターロータ20には、大きな慣性モーメントが作用するため、連れ回り回転であっても、比較的安定して長時間回転させることができる。その長い時間を利用して反着磁処理が行えるので、その回数が複数であっても安定して行える。
その一方で、アウターロータ20を回転駆動するには、大きなトルクが必要になる。
同期回転モードから相反回転モードへ切り替える場合、相反回転モードから同期回転モードへ切り替える場合と異なり、安定して切り替えるのは非常に難しい。すなわち、1回の反磁化処理で全ての切換磁石25の磁極を適正な状態に切り替えることができれば、問題は無いが、前述したように、このモータ12Bの場合、複数回の反磁化処理を行う必要がある。
反磁化処理の途中では、切換磁石25の一部は磁極が反転した中途半端な状態となる。その状態では、磁力が相殺されるので、切換磁石25の磁力が弱まる。切換磁石25の磁力が弱まると、駆動電流を流してアウターロータ20を回転駆動しようとしても、弱いトルクしか得られない。従って、そのような状態でアウターロータ20の回転が停止してしまうと、アウターロータ20を回転駆動できなくなるおそれがある。そのため、メインロータであるインナーロータ30を低速で回転駆動しながら反磁化処理を行い、サブロータであるアウターロータ20が連れ回り回転できなくなるまでに、切換磁石25の磁力を強める必要がある。
切替磁石25の着磁が、弱い相反運転モードの状態であれば、同期運転モードの状態であっても、アウターロータ20を連れ回り回転させることができる。そこで、このモータ12Bでは、相反運転モードの状態が次第に強くなっていくように、磁化処理を複数回に分け、連れ回り回転している間に、段階的に磁極を反転させていく。
このモータ12Bの場合、切換磁石25の異なる部位に反磁化電流を供給する処理(部分反磁化処理)を複数回繰り返すことで、反磁化処理を行う。そうすることで、相反運転モードに切り替わったときの切替磁石25を、より適正な磁化状態にし、誘起電圧を大幅に増加させることができる。
図30及び図31を参照しながら、第1磁化処理について具体的に説明する。図31に示すように、第1磁化処理が開始されると、制御装置15は、モータ12Bに駆動電流を供給し、同期回転モードでモータ12Bを駆動する(ステップS10)。制御装置15は、メインロータであるインナーロータ30の回転数が所定の低回転数r1(例えば50rpm)で回転するように、モータ12Bに制御された駆動電流を供給する。それにより、サブロータであるアウターロータ20も、インナーロータ30とほぼ同じ回転数で同一方向に連れ回り回転する。
その後、制御装置15は、アウターロータ20の位置、具体的には切り替えの対象となる切換磁石25の位置を検知する(ステップS11)。この位置の検知には、前述した位置センサ64や磁気センサ65、モータ12Bに付属のホールIC、モータ12Bの電流波形からの磁束推定など、様々な手段が利用できる。
そうして、制御装置15は、連れ回り回転中に、磁化を行うティース61に対して所定の磁化位置にアウターロータ20が位置するタイミングを特定する(ステップS12)。
制御装置15は、連れ回り回転中、アウターロータ20の回転数が所定の回転数r2(例えば5rpm)以下か否かを判断している(ステップS13)。アウターロータ20の回転数が所定の回転数r2以下でなければ、制御装置15は、特定したタイミングで、所定のティース61にパルス状の反磁化電流を供給し、部分的な反磁化処理(部分反磁化処理)を行う(ステップS14)。
図30の(A)は、ある切換磁石25に対して、最初に部分反磁化処理が行われるタイミングでの状態を示している。図30の細矢印は、アウターロータ20の回転を表している。部分反磁化処理では、切替磁石25の周方向における一方の端部(回転方向の後側の端部)から順に、他方の端部に向かって行われる。複数の切換磁石25で、これと同様の部分反磁化処理が、同時又はタイミングをずらして行われる。
連れ回り回転するアウターロータ20が、図30の(a)の位置となるタイミングで、制御装置15は、所定のティース61に反磁化電流(図例では、N極からS極に反転させる電流)を、例えば約3秒間、供給する。そうすることで、図30の(b)のように、切替磁石25の端部が磁化されて磁極が反転する。
部分反磁化処理を切替磁石25の端部から行えば、その回転方向の後側には切換磁石25が存在していないので、連れ回り回転を減速させる強い磁力が生じない。そのため、その時にティース61から供給される反磁化電流によって形成される磁界を利用して、連れ回り回転を加速できる。従って、連れ回り回転をより長く維持できる。それに対し、部分反磁化処理を切替磁石25の中間部から行えば、その回転方向の後側には切換磁石25が存在しているので、連れ回り回転を減速させる強い磁力が生じ得る。従って、連れ回り回転を長く維持できない。
部分反磁化処理によって切替磁石25の着磁状態が変化すると、アウターロータ20の位置が精度高く検知できなくなる。そのため、部分反磁化処理が終わると、再度、ステップS11の前に戻り、アウターロータ20の位置を再度検知する。
そうして、制御装置15は、その次に磁化を行う、切替磁石25の磁極が反転した端部に隣接した部位に、所定のティース61が位置するタイミングを特定する。続いて、制御装置15は、そのタイミングで、その所定のティース61に反磁化電流を供給する。それにより、図30の(C)に示すように、切替磁石25の磁極が反転した端部の隣の部位の磁極が反転する。
制御装置15は、アウターロータ20が連れ回り回転している間に、このような部分反磁化処理を繰り返し行う(ステップS11〜S14)。例えば、アウターロータ20連れ回り回転中に、部分反磁化処理を10回〜30回行う。そうすることで、図30の(D)に示すように、各切替磁石25の広い領域に対して部分反磁化処理を行って反磁化処理を終了する(ステップS15)。
段階的に切替磁石25の磁極を反転させていくので、脱調するリスクを回避しながら、不安定な連れ回り回転を長時間維持できる。アウターロータ20を回転しながら連続して部分反磁化処理が行われるので、反磁化処理を短時間で完了できる。洗濯に要する時間が過度に長くならないので、利便性を損なうこともない。
このようにして、切替磁石25のほとんどの磁極が反転すれば、相反回転モードによる駆動運転で、強いトルクが得られる。従って、駆動電流を供給することで、アウターロータ20を脱調させずに回転駆動させることができる。アウターロータ20が、相反回転モードで安定して回転駆動できれば、必要に応じて、未処理な部分の磁極の部分反磁化処理も容易に行えるし、切替磁石25の増磁も容易に行える。
部分反磁化処理を行っている途中で、アウターロータ20の回転数が回転数r2以下になると、反磁化処理が完了する前に、アウターロータ20の連れ回り回転が停止するおそれがある。切替磁石25の着磁状態が相反回転モードの中途半端な状態で、アウターロータ20の連れ回り回転が停止してしまうと、駆動電流を供給しても必要なトルクが得られずに、アウターロータ2を回転駆動できなくなるおそれがある。
そのため、制御装置15は、部分反磁化処理を行っている途中で、アウターロータ20の回転数が回転数r2以下となった場合には(ステップS13でYes)、反磁化処理をいったん強制的に終了させる。
その時、最後の部分反磁化処理として、通常の部分反磁化処理よりも長時間の磁化電流を供給し、切替磁石25の広い範囲の磁極を反転させる(ステップS16)。そうすることで、アウターロータ20を相反回転モードで回転駆動したときに、比較的強いトルクを得ることができ、アウターロータ20を脱調させずに回転駆動させることができる。
従って、この場合、アウターロータ20の連れ回り回転の停止後に、アウターロータ20を相反回転モードで回転駆動しながら、磁化が未完了な部分の部分反磁化処理を行う。必要に応じて増磁処理も行い、各切替磁石25の着磁状態が相反回転モードに適合するように、追加の磁化処理を行う。
(第2磁化処理)
第2磁化処理は、前述したように、相反回転モードから同期回転モードへ切り替える処理である。第2磁化処理は、第1磁化処理と異なり、容易に磁化できる。すなわち、各切替磁石25は、同期回転モードでの駆動で回転する方向に磁極が切り替えられていくので、磁極が切り替わるほど、相反回転モードの磁化状態が弱くなる(同期回転モードの磁化状態が強くなる)。そのため、その状態でアウターロータ20が停止しても、同期運転モードで駆動すれば、容易にアウターロータ20を回転駆動できる。
図32を参照しながら、第2磁化処理について具体的に説明する。第2磁化処理の主なステップは、第1磁化処理と同じである。制御装置15は、アウターロータ20が連れ回り回転している間に、相反回転モードから同期回転モードへ切り替える部分反磁化処理を繰り返し行う。従って、同じステップについては同じ符号を用いてその説明は省略し、異なるステップについて説明する。
第1磁化処理では、アウターロータ20の回転数が回転数r2以下となった場合には、反磁化処理をいったん強制的に終了させたが、第2磁化処理では、アウターロータ20が途中で停止しても、容易にアウターロータ20を回転駆動できるので、その必要がない。
従って、制御装置15は、部分反磁化処理を行っている途中で、アウターロータ20の回転数が回転数r2以下になると、ステップS10の前に戻り、再度、駆動電流を供給して、回転数を増加させる(ステップS13でYes)、そうして、部分反磁化処理を再開すればよい。
相反回転モードから同期回転モードへの切り替えは、同期回転モードから相反回転モードのようなトルク低下や脱調等の不具合がない。そのため、第2磁化処理は、比較的自由に行える。従って、第2磁化処理では、部分反磁化処理を行う部位や部分反磁化処理を行う順序等は、仕様に応じて適宜変更できる。
(部分反磁化処理の応用例1)
図33に、変形例2のモータ12Bの部分反磁化処理の応用例1を示す。
前述した部分反磁化処理では、個々の部分反磁化処理で供給する反磁化電流の長さは、略一定であったのに対し、応用例1では、反磁化電流の供給時間が長い反磁化処理(長磁化処理)と、反磁化電流の供給時間が短い反磁化処理(短磁化処理)を含み、長磁化処理が、短磁化処理よりも切替磁石25の周方向における中間部側で行われる。
図33の(A)に示すように、応用例1の部分反磁化処理においても、1回目の部分反磁化処理は、前述した部分反磁化処理と同様に、切替磁石25の周方向における端部側で行われる(短磁化処理に相当)。そして、2回目以降の、切替磁石25の周方向における中間部側では、図33の(B)に示すように、反磁化電流の供給時間が長くされ、切替磁石25の相対的に広い領域の磁極が反転される(長磁化処理に相当)。
短磁化処理では、ピークを有する三角形状の電流波形を有する反磁化電流(三角波反磁化電流)が供給され、長磁化処理では、ピークが延びた台形状の電流波形を有する反磁化電流(台形波反磁化電流)が供給される。電流の最大値は双方ともに同じである。制御装置15は、前述した部分反磁化処理では、複数の三角波反磁化電流で部分反磁化処理を行うのに対し、応用例1の部分反磁化処理では、複数の三角波反磁化電流と1つ以上の台形波反磁化電流を組み合わせて部分反磁化処理を行う。
切替磁石25の周方向における中間部側では、このように部分反磁化処理する領域を広くしても、対象とする切替磁石25を確実に部分反磁化処理できるので、部分反磁化処理の回数を減少させることができる。
特に、この応用例1の部分反磁化処理は、前述したように、同期回転モードから相反回転モードへの切り替え時での部分反磁化処理で、アウターロータ20の連れ回り回転が停止するおそれがある場合に効果的に利用できる。
(部分反磁化処理の応用例2)
図34に、変形例2のモータ12Bの部分反磁化処理の応用例2を示す。
前述した部分反磁化処理では、個々の部分反磁化処理で供給する反磁化電流の強さは、略一定であったのに対し、応用例2では、反磁化電流が大きい反磁化処理(強磁化処理)と、反磁化電流が小さい反磁化処理(弱磁化処理)とを含み、弱磁化処理が、強磁化処理よりも切替磁石25の周方向における端部側で行われる。
弱磁化処理及び強磁化処理のいずれにおいても、ピークを有する三角形状の電流波形を有する反磁化電流(三角波反磁化電流)が供給される。電流の供給時間は双方ともに同じであり、強磁化処理のピークが弱磁化処理のピークよりも高い(大きい)点で、両者は異なる。
前述したように、変形例2のモータ12Bでは、切替磁石25の周方向における長さが大きくなっているので、磁化処理を行うティース61がその切替磁石25の一方の端部を反磁化処理する時、図35に示すように、そのティース61に隣接するティース61が、その切替磁石25の他方の端部の近傍に位置することになる。
そして、切替磁石25の一方の端部を反磁化処理するため、例えばN極をS極に切り替える反磁化電流がティース61に供給されると、その反磁化電流の作用により、切替磁石25の他方の端部が、N極側に磁化される傾向がある。従って、切替磁石25の他方の端部がN極であれば増磁されることになり、問題ないが、切替磁石25の他方の端部がS極であれば減磁されることになり、不利になる。
そこで、図34の(A)に示すように、応用例2の部分反磁化処理においても、1回目の部分反磁化処理は、前述した部分反磁化処理と同様に、切替磁石25の周方向における端部側で行われる(弱磁化処理に相当)。そして、2回目以降の、切替磁石25の周方向における中間部側では、図34の(B)に示すように、反磁化電流が大きくされ、切替磁石25の中間部の領域の磁極を、強く反転させる(強磁化処理に相当)。
切替磁石25の周方向における中間部側では、このように部分反磁化処理を強化しても、他の部位に悪影響を与えることが無い。切換磁石25の磁力が大きくなるので、誘起電圧が高まって高トルクが得られるようになるので、アウターロータ20を安定して回転駆動できる。
(反磁化処理の応用例)
前述した変形例2のモータ12Bでは、切換磁石25を部分的に反磁化処理する例を示したが、連れ回り回転している間に、切換磁石25の1つ1つを、段階的に反磁化処理してもよい。
具体的には、図36の(A)、(B)、(C)の各ステップに示すように、一回の反磁化処理で、対象とする1つの切換磁石25の全体の磁極を反転させる。その処理を、連れ回り回転中に複数回行うことで、磁極数を切り替える。
<モータの変形例3>
図37は、変形例3のモータ12Cの構成を示す平面断面図である。インナーロータ30は、埋込式のSPM型のロータであり、32個のインナーマグネット34が、周方向にS極とN極とが交互に並ぶように配置され、内側周壁部32に埋め込まれている。インナーマグネット34は、全て固定磁石35で構成されている。
アウターロータ20は、SPM型のロータであり、32個のアウターマグネット24が、周方向にS極とN極とが交互に並ぶように配置され、ロータヨーク22の内面に固定されている。なお、アウターマグネット24は、切換磁石25と固定磁石35とで構成されているが、その配置は、変形例1のモータ12Aと同様であるため、説明を省略する。
<モータの変形例4>
図38は、変形例4のモータ12Dの構成を示す平面断面図である。インナーロータ30は、埋込式のSPM型のロータであり、32個のインナーマグネット34が、周方向にS極とN極とが交互に並ぶように配置され、内側周壁部32に埋め込まれている。インナーマグネット34は、全て固定磁石35で構成されている。
アウターロータ20は、コンシクエント型のロータであり、16個のアウターマグネット24が、周方向に間隔をあけてS極が並ぶように配置され、ロータヨーク22の内面に固定されている。アウターマグネット24は、全て切換磁石25で構成されており、切換磁石25の磁極を反転させることで、アウターロータ20の磁極数を、16極と32極との間で切り換え可能となっている。なお、切換磁石25の磁極の反転動作については、実施形態のモータ12と同様であるため、説明を省略する。
<モータの変形例5>
図39は、変形例5のモータ12Eの構成を示す平面断面図である。ティース61には、切換磁石25を有するアウターロータ20側のティース61の幅が、インナーロータ30側のティース61の幅よりも細くなるように幅細部67が設けられている。幅細部67は、ティース61の幅が、アウターロータ20側に向かって先細となるように形成されている。
このように、ティース61に幅細部67を設け、アウターロータ20側のティース61の幅を細くすることで、磁束密度を上げることができる。つまり、コイル63に流した電流により発生する磁化磁束を、切換磁石25に向かって集中して流すことができ、切換磁石25の磁極反転を、少ない電流で安定して行うことができる。なお、幅細部67の形状は、特に限定するものではなく、例えば、ティース61のアウターロータ20側のティース幅を細くした段差形状であってもよい。
また、ティース61に巻回されたコイル63は、切換磁石25を有するアウターロータ20側の方が、インナーロータ30側よりも巻数が多くなっている。これにより、切換磁石25側の磁束を、反対側よりも集中させることができる。
また、ティース61の先端部の角度幅は、切換磁石25を有するアウターロータ20側の角度幅Bの方が、インナーロータ30側の角度幅Aよりも小さくなっている(B<A)。これにより、切換磁石25側の磁束を、反対側よりも集中させることができる。
また、ティース61の先端部の角度幅がアウターロータ20側とインナーロータ30側とで同じであっても、ティース61の先端部の断面積を、切換磁石25を有するアウターロータ20側の方が、インナーロータ30側よりも小さくすることで、同様の機能を得ることができる。
具体的に、図40に示すように、ティース61の先端部におけるアウターロータ20に対向する面には、軸方向に延びる溝部68が形成されている。溝部68は、周方向に間隔をあけて2つ形成されている。このように、ティース61の先端部において溝部68を除いた実質的にアウターマグネット24と対向するエアギャップ面積を、インナーロータ30側のエアギャップ面積よりも小さくすることで、切換磁石25側の磁束を、反対側よりも集中させることができる。
<その他>
開示した実施形態では、磁極数切換部としてステータ60のコイル63を利用して、コイル63に磁化電流を供給することで切換磁石25の磁極を反転させる構成について説明したが、例えば、ステータ60のコイル63とは別に、切換磁石25に磁化電流を供給して磁極を反転させるための磁化コイルを設けてもよい。
また、コイル63に磁化電流を供給する制御装置15にモータ用のインバータを用いたが、例えば別の専用の制御装置を用いてもよい。
アウターロータ20及びインナーロータ30の回転駆動方式は、矩形波通電方式、正弦波駆動、ベクトル制御など、任意に選択することが可能である。
ステータ60、アウターロータ20、及びインナーロータ30の極数は、モータの仕様に応じて適宜設定可能である。例えば、インナーロータ30側の磁極数を2N(Nは2以上の自然数)としたとき、アウターロータ20側の磁極を2NとNの間で切り換えるようにしてもよい。
高速回転側のインナーロータ30を脱水槽11に連結し、低速回転側のアウターロータ20をパルセータ13に連結した構成について説明したが、インナーロータ30を脱水槽11に連結し、アウターロータ20をその他の機能を有する回転軸に連結することで、脱水性能や洗い性能等の商品性を向上させることができる。
アウターロータ20に切換磁石25を設けることで、アウターロータ20の磁極数を切り換え可能としたが、インナーロータ30に切換磁石25を設けることで、インナーロータ30の磁極数を切り換え可能としてもよい。
洗濯機は縦型に限らず、ドラム型であってもよい。その場合、例えば、脱水槽11はバスケットに相当し、パルセータ13は、バスケットの内部に配置される撹拌翼に相当する。