MOSトランジスタQ13及びQ14のスイッチングによる昇圧動作が行われる昇降圧モード及び昇圧モードにおいて、図23に示す昇降圧型スイッチングレギュレータのMOSトランジスタQ13及びQ14からなるPWM[pulse width modulation]変調器の伝達関数H(s)には、下記(1)式で表されるT(s)の項が現れる。
上記(1)式で表されるT(s)はright-half-plane-zero特性(零点が右半平面に存在する特性)を表しており、図23に示す昇降圧型スイッチングレギュレータは下記(2)式で表される周波数fより低域でしか応答性を期待できない。なお、下記(2)式は上記(1)式においてs=jω=j・2πfと置き換えることによって求まる。
応答性を改善するための対策としては、図23に示す昇降圧型スイッチングレギュレータにおいて出力コンデンサC11の容量を大きくする対策が考えられる。また、昇圧型スイッチングレギュレータ部の後段に降圧型スイッチングレギュレータ部を設ける構成に変更する対策も考えられる。
しかしながら、前者の対策は出力コンデンサC11のコストが増大するという問題が生じ、後者の対策は昇圧型スイッチングレギュレータ部と降圧型スイッチングレギュレータ部でそれぞれ別個のリアクタが必要となるためリアクタのコストが増大するという問題が生じる。
特許文献1で開示されているDC−DCコンバータは、上記の問題を解決することができるものの、フィードフォワード制御回路によって生成される第1の制御信号のデューティが入力電圧に依存する構成であるため、そのデューティによってDC−DCコンバータの伝達関数が線形に変化していると補正が難しいという問題がある。
また昇降圧型スイッチングレギュレータを一つの集積回路パッケージで実現する場合、当該集積回路パッケージ内に一つの降圧用スイッチを設け、当該集積回路パッケージの後段にリアクタ及び一対の昇圧用スイッチを外付けすることになる。すなわち降圧型スイッチングレギュレータを一つの集積回路パッケージで実現する場合に比べて外付け部品が多くなる。
外付け部品点数を減少させるために、昇圧用スイッチを設けずに降圧型スイッチングレギュレータとし、バッテリ電圧VBATが低下した場合に当該集積回路パッケージに入力される入力電圧が低下することを抑えるために入力コンデンサの容量を大きくする対策が考えられる。
本発明は、上記の状況に鑑み、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示し、入力電圧変動による出力電圧変動を抑えることができる昇降圧型スイッチングレギュレータを提供することを第1の目的とする。
本発明は、上記の状況に鑑み、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示し、降圧用制御信号の周波数と昇圧用制御信号の周波数が同等になる昇降圧型スイッチングレギュレータを提供することを第2の目的とする。
本発明は、上記の状況に鑑み、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示す昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いることが可能であるとともに、昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いられているか否かを判定することができる集積回路パッケージを提供することを第3の目的とする。
本発明は、上記の状況に鑑み、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示す昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いることが可能であるとともに、昇降圧型スイッチングレギュレータの付加機能をサポートすることができる集積回路パッケージを提供することを提供することを第4の目的とする。
なお、第1〜第4の目的は、right-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示す昇降圧型スイッチングレギュレータ又は当該昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いることが可能な集積回路パッケージを提供するという点で共通している。本発明は、第1〜第4の目的の少なくとも一つを解決することができればよい。
<第1の技術的特徴>
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第1の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加端に接続された第2スイッチと、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティD(0≦D≦1)を固定値D’(0<D’<1)に固定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路は、前記入力電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記ランプ電圧に応じて前記降圧用制御信号を生成する構成(第1−1の構成)である。
上記第1−1の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、昇降圧モード時に前記固定値D’に応じた傾きの前記ランプ電圧を生成する構成(第1−2の構成)であってもよい。
上記第1−1又は第1−2の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記第1制御回路は、前記出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差分に応じた誤差信号を生成するエラーアンプと、前記ランプ電圧と前記誤差信号を比較して比較信号であるリセット信号を生成するコンパレータと、所定周波数のクロック信号であるセット信号を生成するオシレータと、前記セット信号と前記リセット信号に応じて前記降圧用制御信号を生成するタイミング制御回路と、を有する構成(第1−3の構成)であってもよい。
上記第1−3の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記コンパレータは、前記ランプ電圧及び前記誤差信号のいずれか一方に前記インダクタを流れる電流に応じたオフセットをかける構成(第1−4の構成)であってもよい。
上記第1−3又は第1−4の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記所定の周波数が前記入力電圧に依存せず、前記ランプ電圧の周波数が前記所定の周波数と同一である構成(第1−5の構成)であってもよい。
上記第1−5の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記第1制御回路は、外部クロック信号が外部クロック信号入力端子に供給されているか否かを検知する検知部を有し、前記検知部によって前記外部クロック信号が前記外部クロック信号入力端子に供給されていることが検知されると、前記オシレータは前記外部クロック信号の周波数に応じて前記所定周波数を可変する構成(第1−6の構成)であってもよい。
上記第1−1〜第1−6いずれかの構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記入力電圧に応じた電流を生成する電流生成部と、前記電流生成部の出力電流を充電するコンデンサと、を有する構成(第1−7の構成)であってもよい。
上記第1−7の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記電流生成部の出力端から前記コンデンサに至る電流経路を導通/遮断する充電用スイッチをさらに有する構成(第1−8の構成)であってもよい。
上記第1−7又は第1−8の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記コンデンサを放電させて前記コンデンサの充電電圧をリセットするリセット部を有する構成(第1−9の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第1の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加端に接続された第2スイッチと、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティを前記出力電圧及び前記入力電圧それぞれと独立して設定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路は、前記入力電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記ランプ電圧に応じて前記降圧用制御信号を生成する構成(第1−10の構成)である。
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第1の技術的特徴を備えた集積回路パッケージは、入力電圧が印加される第1外部ピンと、前記入力電圧よりも低い所定電圧が印加される第2外部ピンと、帰還電圧が印加される第3外部ピンと、第1端が前記第1外部ピンに接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記第2外部ピンに接続された第2スイッチと、前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続される第4外部ピンと、前記帰還電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時にオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定されているパルス信号を生成する第2制御回路と、前記昇降圧モード時に前記パルス信号を外部に出力する第5外部ピンと、を有し、前記第1制御回路は、前記入力電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記ランプ電圧に応じて前記降圧用制御信号を生成する構成(第1−11の構成)である。
本明細書中に開示されている車両のうち、第1の技術的特徴を備えた車両は、上記第1−1〜第1−10いずれかの構成のスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータに電力を供給するバッテリと、を有する構成(第1−12の構成)である。
<第2の技術的特徴>
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第2の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加端に接続された第2スイッチと、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティD(0≦D≦1)を固定値D’(0<D’<1)に固定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路及び前記第2制御回路は、内部電源電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記第1制御回路は、前記内部電源電圧の第1分圧と前記ランプ電圧とを比較する第1コンパレータを有し、前記第2制御回路は、前記内部電源電圧の第2分圧と前記ランプ電圧とを比較する第2コンパレータを有し、前記第1制御回路は、前記第1コンパレータの出力信号と同一周波数の前記降圧用制御信号を生成し、前記第2制御回路は、前記第2コンパレータの出力信号を前記昇圧用制御信号とする構成(第2−1の構成)である。
上記第2−1の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記第2コンパレータを複数有し、複数の前記第2コンパレータそれぞれに供給される前記内部電源電圧の第2分圧の値がそれぞれ異なる構成(第2−2の構成)であってもよい。
上記第2−1又は第2−2の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記内部電源電圧に応じた電流を生成する電流生成部と、前記電流生成部の出力電流を充電するコンデンサと、を有する構成(第2−3の構成)であってもよい。
上記第2−3の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記電流生成部の出力端から前記コンデンサに至る電流経路を導通/遮断する充電用スイッチをさらに有する構成(第2−4の構成)であってもよい。
上記第2−3又は第2−4の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記ランプ電圧生成部は、前記コンデンサを放電させて前記コンデンサの充電電圧をリセットするリセット部を有する構成(第2−5の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第2の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、入力電圧から出力電圧を生成するスイッチングレギュレータであって、第1端が前記入力電圧の印加端に接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記入力電圧よりも低い所定電圧の印加端に接続された第2スイッチと、第1端が前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加端に接続された第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続されて第2端が前記出力電圧の印加端に接続された第4スイッチと、前記出力電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時に前記第3スイッチのオンデューティを前記出力電圧及び前記入力電圧それぞれと独立して設定して前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを相補的にオン/オフさせるための昇圧用制御信号を生成する第2制御回路と、を有し、前記第1制御回路及び前記第2制御回路は、内部電源電圧に応じたランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記第1制御回路及び前記第2制御回路は、内部電源電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記第1制御回路は、前記内部電源電圧の第1分圧と前記ランプ電圧とを比較する第1コンパレータを有し、前記第2制御回路は、前記内部電源電圧の第2分圧と前記ランプ電圧とを比較する第2コンパレータを有し、前記第1制御回路は、前記第1コンパレータの出力信号と同一周波数の前記降圧用制御信号を生成し、前記第2制御回路は、前記第2コンパレータの出力信号を前記昇圧用制御信号とする構成(第2−6の構成)である。
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第2の技術的特徴を備えた集積回路パッケージは、入力電圧が印加される第1外部ピンと、前記入力電圧よりも低い所定電圧が印加される第2外部ピンと、帰還電圧が印加される第3外部ピンと、第1端が前記第1外部ピンに接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記第2外部ピンに接続された第2スイッチと、前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続される第4外部ピンと、前記帰還電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時にオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定されているパルス信号を生成する第2制御回路と、前記昇降圧モード時に前記パルス信号を外部に出力する第5外部ピンと、を有し、前記第1制御回路及び前記第2制御回路は、内部電源電圧に応じた傾きのランプ電圧を生成するランプ電圧生成部を有し、前記第1制御回路は、前記内部電源電圧の第1分圧と前記ランプ電圧とを比較する第1コンパレータを有し、前記第2制御回路は、前記内部電源電圧の第2分圧と前記ランプ電圧とを比較する第2コンパレータを有し、前記第1制御回路は、前記第1コンパレータの出力信号と同一周波数の前記降圧用制御信号を生成し、前記第2制御回路は、前記第2コンパレータの出力信号を前記パルス信号とする構成(第2−7の構成)である。
本明細書中に開示されている車両のうち、第2の技術的特徴を備えた車両は、上記第2−1〜第2−7いずれかの構成のスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータに電力を供給するバッテリと、を有する構成(第2−8の構成)である。
<第3の技術的特徴>
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第3の技術的特徴を備えた集積回路パッケージは、入力電圧が印加される第1外部ピンと、前記入力電圧よりも低い所定電圧が印加される第2外部ピンと、帰還電圧が印加される第3外部ピンと、第1端が前記第1外部ピンに接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記第2外部ピンに接続された第2スイッチと、前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続される第4外部ピンと、前記帰還電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時にオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定されているパルス信号を生成する第2制御回路と、前記昇降圧モード時に前記パルス信号を外部に出力する第5外部ピンと、前記第5外部ピンに接続される外部部品のインピーダンスを判定し、そのインピーダンス判定結果に基づいて前記外部部品が第3スイッチであるか否かを判定する判定部と、を有する構成(第3−1の構成)である。
上記第3−1の構成の集積回路パッケージにおいて、前記集積回路パッケージの起動時において、前記外部部品が前記第3スイッチであるか否かを前記判定部が判定し、前記判定部が判定を終えた後に前記第1制御回路が前記降圧用制御信号の生成を開始する構成(第3−2の構成)であってもよい。
上記第3−1又は第3−2の構成の集積回路パッケージにおいて、前記第2制御回路は、前記外部部品が前記第3スイッチであると前記判定部が判定した場合に動作し、前記外部部品が前記第3スイッチでないと前記判定部が判定した場合に動作しない構成(第3−3の構成)であってもよい。
上記第3−3の構成の集積回路パッケージにおいて、前記判定部は、前記第5外部ピンがプルアップされているか否かを判定し、前記第2制御回路は、前記第5外部ピンがプルアップされていると前記判定部が判定した場合には前記外部部品が前記第3スイッチでないと前記判定部が判定しているにもかかわらず例外的に動作する構成(第3−4の構成)であってもよい。
上記第3−2〜第3−4いずれかの構成の集積回路パッケージにおいて、前記集積回路パッケージの起動時において、前記外部部品が前記第3スイッチであると前記判定部が判定した場合に、前記入力電圧が第1閾値未満であるときに前記第1制御回路の動作を禁止し、前記入力電圧が前記第1閾値より大きい第2閾値未満であるときに前記第2制御回路の動作を禁止する構成(第3−5の構成)であってもよい。
上記第3−1〜第3−5いずれかの構成の集積回路パッケージにおいて、前記判定部は、前記外部部品が前記第3スイッチであるか否かを判定している期間、前記第2制御回路の出力レベルを不定にし、前記第2制御回路と前記第5外部ピンとの接続点に定電流を供給し、前記第2制御回路と前記第5外部ピンとの接続点の電位に基づいて前記外部部品のインピーダンスを判定する構成(第3−6の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第3の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、上記第3−1〜第3−6いずれかの構成の集積回路パッケージと、前記第4外部ピンに接続されるインダクタと、を有する構成(第3−7の構成)である。
本明細書中に開示されている車両のうち、第3の技術的特徴を備えた車両は、上記第3−7の構成のスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータに電力を供給するバッテリと、を有する構成(第3−8の構成)である。
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第3の技術的特徴を備えた集積回路パッケージは、入力電圧が印加される第1外部ピンと、前記入力電圧よりも低い所定電圧が印加される第2外部ピンと、帰還電圧が印加される第3外部ピンと、第1端が前記第1外部ピンに接続された第1スイッチと、第1端が前記第1スイッチの第2端に接続されて第2端が前記第2外部ピンに接続された第2スイッチと、前記第1スイッチと前記第2スイッチの接続ノードに接続される第4外部ピンと、前記帰還電圧に応じて前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを相補的にオン/オフさせるための降圧用制御信号を生成する第1制御回路と、昇降圧モード時にオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定されているパルス信号を生成する第2制御回路と、前記昇降圧モード時に前記パルス信号を外部に出力する第5外部ピンと、第6外部ピンと、前記パルス信号によって制御される第3スイッチ及び第4スイッチの少なくとも一つに関する付加機能を、前記第6外部ピンから外部に出力する信号又は外部から前記第6外部ピンに供給される信号を用いて実現する付加機能部と、を有する構成(第4−1の構成)である。
上記第4−1の構成の集積回路パッケージにおいて、前記第2外部ピンが前記第5外部ピンと前記第6外部ピンとの間に配置される構成(第4−2の構成)であってもよい。
上記第4−1又は第4−2の構成の集積回路パッケージにおいて、前記付加機能部は、前記集積回路パッケージを有するスイッチングレギュレータの負荷が軽負荷であるか否を判定する判定部を有し、前記判定部の判定結果を示す信号を前記第6外部ピンから外部に出力する構成(第4−3の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第4の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、上記第4−3に記載の集積回路パッケージと、第1端が前記第4外部ピンに接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続されて第2端が前記所定電圧の印加端に接続された前記第3スイッチと、第1端が前記インダクタと前記第3スイッチの接続ノードに接続される前記第4スイッチと、を有するスイッチングレギュレータであって、前記昇降圧モード時に前記スイッチングレギュレータの負荷が軽負荷である場合に、前記判定部の判定結果を示す信号に基づいて前記第4スイッチがオフ状態に固定される構成(第4−4の構成)であってもよい。
上記第4−1又は第4−2の構成の集積回路パッケージにおいて、前記付加機能部は、外部から前記第6外部ピンに供給される信号に基づいて前記第1制御回路及び前記第2制御回路の動作を停止させる構成(第4−5の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第4の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、上記第4−5に記載の集積回路パッケージと、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチを格納するサブ集積回路パッケージと、を有するスイッチングレギュレータであって、外部から前記第6外部ピンに供給される信号は、前記サブ集積回路パッケージの温度情報信号である構成(第4−6の構成)であってもよい。
上記第4−6の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記サブ集積回路パッケージが温度検出部を有し、前記温度検出部の駆動電流が前記第6外部ピンから前記サブ集積回路パッケージに供給される構成(第4−7の構成)であってもよい。
上記第4−7の構成のスイッチングレギュレータにおいて、前記温度検出部が前記第4スイッチの近傍に配置される構成(第4−8の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第4の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータは、上記第4−1〜第4−3、第4−5いずれかの構成の集積回路パッケージと、前記第4外部ピンに接続されるインダクタと、を有する構成(第4−9の構成)であってもよい。
本明細書中に開示されている車両のうち、第4の技術的特徴を備えた車両は、請求項4、6〜9のいずれか一項に記載のスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータに電力を供給するバッテリと、を有する構成(第4−10の構成)である。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第1の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータによれば、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示し、入力電圧変動による出力電圧変動を抑えることができる昇降圧型スイッチングレギュレータを実現することができる。
本明細書中に開示されているスイッチングレギュレータのうち、第2の技術的特徴を備えたスイッチングレギュレータによれば、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示し、降圧用制御信号の周波数と昇圧用制御信号の周波数が同等になる昇降圧型スイッチングレギュレータを実現することができる。
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第3の技術的特徴を備えた集積回路パッケージによれば、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示す昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いることが可能であるとともに、昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いられているか否かを判定することができる集積回路パッケージを実現することができる。
本明細書中に開示されている集積回路パッケージのうち、第4の技術的特徴を備えた集積回路パッケージによれば、コストの増大を抑えながらright-half-plane-zero特性の出現を防止することができ、降圧特性と同様の応答特性を示す昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いることが可能であるとともに、昇降圧型スイッチングレギュレータの付加機能をサポートすることができる集積回路パッケージを実現することができる。
<全体構成(第1実施形態)>
図1は、スイッチングレギュレータの第1実施形態の全体構成例を示す図である。図1に示すスイッチングレギュレータ101は、昇降圧型スイッチングレギュレータであって、降圧用制御回路1と、MOSトランジスタQ1〜Q4と、インダクタL1と、出力コンデンサC1と、出力抵抗R0と、分圧抵抗R1及びR2と、ANDゲート2と、固定デューティ回路3と、NOTゲート4と、を備える。メイン集積回路パッケージMP1は、外部ピンP1〜P5を有し、MOSトランジスタQ1〜Q2、降圧用制御回路1、ANDゲート2、及び固定デューティ回路3を格納する。サブ集積回路パッケージSP1は、外部ピンP11〜P14を有し、MOSトランジスタQ3〜Q4及びNOTゲート4を格納する。
MOSトランジスタQ1は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、入力電圧VINが印加されている外部ピンP1からインダクタL1の一端が接続される外部ピンP4に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ1のドレインは、外部ピンP1に接続されている。MOSトランジスタQ1のソースは、外部ピンP4及びMOSトランジスタQ2のドレインに接続されている。
MOSトランジスタQ2は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、接地されている外部ピンP2から外部ピンP4に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ2のドレインは、上述の通り外部ピンP4及びMOSトランジスタQ1のソースに接続されている。MOSトランジスタQ2のソースは、外部ピンP2に接続されている。なお、MOSトランジスタQ2の代わりにダイオードを用いることもできる。
MOSトランジスタQ3は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、外部ピンP11から外部ピンP14に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ3のドレインは外部ピン11及びインダクタL1を介して外部ピンP4に接続されている。MOSトランジスタQ3のソースは、外部ピンP14に接続されている。外部ピンP14は接地されている。
MOSトランジスタQ4は、Nチャネル型MOSトランジスタであって、外部ピン11イから外部ピンP12に至る電流経路を導通/遮断するスイッチの一例である。MOSトランジスタQ4のドレインは外部ピンP11及びMOSトランジスタQ3のドレインに接続されている。MOSトランジスタQ4のソースは外部ピンP12に接続されている。外部ピンP12は出力コンデンサC1の一端及び外部ピンP3に接続されている。出力コンデンサC1の他端は接地されている。なお、MOSトランジスタQ4の代わりにダイオードを用いることもできる。
出力コンデンサC1は出力電圧VOUTのリップルを低減するための平滑コンデンサである。また出力電圧VOUTは、出力コンデンサC1と出力抵抗R0によって構成される位相補償回路によって位相補償される。
出力電圧VOUTは、外部ピンP3に帰還電圧として供給される。分圧抵抗R1及びR2は、出力電圧VOUTを分圧して分圧帰還電圧VFBを生成し、分圧帰還電圧VFBを降圧用制御回路1に供給する。
降圧用制御回路1は、分圧帰還電圧VFBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2を相補的にオン/オフさせるためのMOSトランジスタQ1のゲート信号G1及びMOSトランジスタQ2のゲート信号G2を生成し、ゲート信号G1及びG2をMOSトランジスタQ1及びQ2の各ゲートに供給する。なお、MOSトランジスタQ1とMOSトランジスタQ2のオン/オフ切り替わり時には、MOSトランジスタQ1とMOSトランジスタQ2の双方がオフになるデッドタイムを設けることが好ましい。
ANDゲート2は、モード指定信号S1と、固定デューティ回路3から出力されるオンデューティが固定されたパルス信号S2との論理積である信号S3を出力する。モード指定信号S1はローレベルのときに降圧モードを指定する信号となりハイレベルのときに昇降圧モードを指定する信号となる。スイッチングレギュレータ101がモード指定信号S1を生成する回路(不図示)を内蔵する構成であってもよく、スイッチングレギュレータ101が外部からモード指定信号S1を受け取る構成であってもよい。
ANDゲート2の出力信号S3は、外部ピンP5及びP13を経由して、MOSトランジスタQ3のゲートに供給されるとともに、NOTゲート4によって論理反転された後にMOSトランジスタQ4のゲートに供給される。なお、NOTゲート4の代わりにデッドタイム生成回路を用い、MOSトランジスタQ3とMOSトランジスタQ4のオン/オフ切り替わり時には、MOSトランジスタQ3とMOSトランジスタQ4の双方がオフになるデッドタイムを設けることが好ましい。
<降圧用制御回路の構成例>
図2は、降圧用制御回路1の一構成例を示す図である。図2に示す例において降圧用制御回路1は、エラーアンプ11と、基準電圧源12と、抵抗R3と、コンデンサC2と、ランプ回路13と、コンパレータ14と、発振器15と、タイミング制御回路16とによって構成される。
エラーアンプ11は、分圧帰還電圧VFBと、基準電圧源3から出力される基準電圧VREFとの差分に応じた誤差信号VCを生成する。誤差信号VCは、抵抗R3とコンデンサC2によって構成される位相補償回路によって位相補償される。
ランプ回路13は、入力電圧VINに応じた傾きのランプ電圧VRを生成して出力する。また、ランプ回路13は、モード指定信号S1がハイレベルであるとき、すなわち昇降圧モード時に、固定デューティ回路3から出力されるオンデューティの値及び入力電圧VINに応じた傾きのランプ電圧VRを生成して出力する。
コンパレータ14は、位相補償された誤差信号VCとランプ電圧VRとを比較して比較信号であるリセット信号を生成する。
発振器15は、所定周波数のクロック信号をタイミング制御回路16に出力する。
タイミング制御回路16は、セット信号(発振器15から出力されるクロック信号)のハイレベルからローレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をローレベルからハイレベルに切り替え、リセット信号のローレベルからハイレベルへの切り替わり時にゲート信号G1をハイレベルからローレベルに切り替える。
<動作モード>
動作モードの切り替え例として、ここでは出力電圧VOUTに対する入力電圧VINの比が閾値TH以上であるときにモード指定信号S1をローレベルとし、出力電圧VOUTに対する入力電圧VINの比が閾値TH未満であるときにモード指定信号S1をハイレベルとする場合について説明する。
出力電圧VOUTに対する入力電圧VINの比が閾値TH以上である場合、スイッチングレギュレータ101は降圧モードで動作する(図3参照)。降圧モードでは、降圧用制御回路1が分圧帰還電圧VFBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2をオン/オフ制御し、モード指定信号S1がローレベルであるためMOSトランジスタQ3がオフに保持され、MOSトランジスタQ4がオン状態に保持される。
また降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は下記(3)式で表される。
一方、出力電圧VOUTに対する入力電圧VINの比が閾値TH未満である場合、スイッチングレギュレータ101は昇降圧モードで動作する(図3参照)。昇降圧モードでは、降圧用制御回路1が分圧帰還電圧VFBに応じてMOSトランジスタQ1及びQ2をオン/オフ制御し、モード指定信号S1がハイレベルであるためMOSトランジスタQ3のオンデューティD(0≦D≦1)が固定値D’(0<D’<1)に固定された状態でMOSトランジスタQ3及びQ4が相補的にオン/オフする。なお、昇降圧モードでは、MOSトランジスタQ3のオンデューティは出力電圧VOUT及び入力電圧VINそれぞれと独立して設定されている。
また昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は下記(4)式で表される。
上記(3)式及び上記(4)式より、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性は、(1−D’)と降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101全体の伝達特性との乗算と等しい。これにより、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の応答特性は降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の応答特性と同様になる。したがって、昇降圧モードにおけるスイッチングレギュレータ101の伝達関数はright-half-plane-zero特性を有さない。このため、出力コンデンサC1を大容量にする必要がなくなり、出力コンデンサのコストを抑えることができる。
またスイッチングレギュレータ101は、昇圧型スイッチングレギュレータ部と降圧型スイッチングレギュレータ部でそれぞれ別個のリアクタが必要となる構成ではないのでリアクタのコストが抑えることができる。また、上述した動作モードの切り替え例では、出力電圧VOUTに対する入力電圧VINの比が閾値TH以上である否かで昇降圧モードと降圧モードとを切り換えている。これに対して、図23に示す一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータは、バッテリ電圧VBATが第1の所定値A1以下である否かで昇降圧モードあるいは昇圧モードと降圧モードとを切り換えている。図23に示す一般的な昇降圧型スイッチングレギュレータでは、第1の所定値A1の最適値が出力電圧VOUTの設定によって変化してしまうという問題が生じるのに対して、スイッチングレギュレータ101では、出力電圧VOUTの設定が変わっても閾値THの最適値は変わらないので、閾値THの設定を変える必要がない。
<ランプ電圧の生成例>
図4は、ランプ回路13の一構成例を示す図である。図4に示す例においてランプ回路13は、抵抗R4と、MOSトランジスタQ5〜Q9と、コンデンサC3及びC4と、充放電制御部(不図示)とによって構成される。入力電圧VINの印加端から接地端に向かって、抵抗R4、耐圧対策用NDMOS(N-channel Double-diffused MOS)トランジスタであるMOSトランジスタQ5、充電スイッチであるMOSトランジスタQ6、及びコンデンサC3が順に直列に接続される。放電スイッチであるMOSトランジスタQ7がコンデンサC3に並列接続される。また、MOSトランジスタQ6とコンデンサC3の接続ノードから接地端に向かって、充電スイッチであるMOSトランジスタQ8及びコンデンサC4が順に直列に接続される。放電スイッチであるMOSトランジスタQ9がコンデンサC4に並列接続される。
図5は、スイッチングレギュレータ101が降圧モードであるときの図4に示すランプ回路13の動作例を示すタイムチャートである。
充放電制御部(不図示)は、発振器15から出力されるクロック信号に同期して、発振器15から出力されるクロック信号の周期と同一である所定の周期TでMOSトランジスタQ6〜Q9をオンオフ制御する。これにより、ランプ電圧VRの周期も所定の周期Tとなる。降圧モードではランプ電圧VRはコンデンサC3及びC4の充電電圧である。そして、コンデンサC3及びC4の充電電流は入力電圧VINに比例する。
したがって図4に示すランプ回路13は、例えば図5に示すように降圧モードにおいて入力電圧VINが2倍(α→2α)になれば、コンデンサC3及びC4の充電電流が2倍になってランプ電圧VRの傾きが2倍になり、その結果MOSトランジスタQ1のオンデューティが半分(t/T→0.5t/T)になる。なお、昇降圧モードでは後述するように充電対象のコンデンサがコンデンサC3のみになる点が降圧モードと異なるだけである。
つまり、図4に示すランプ回路13は、入力電圧VINが変動した場合にランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御して誤差信号VCの変動を抑えている。これにより、スイッチングレギュレータ101は、入力電圧VINの変動による出力電圧VOUTの変動を抑えることができる。
図6は、スイッチングレギュレータ101が降圧モードから昇降圧モードに移行するときの図4に示すランプ回路13の動作例を示すタイムチャートである。ここでは、固定値D’が0.5である場合を例に説明する。
図4に示すランプ回路13は、昇降圧モードにおいてMOSトランジスタQ8をオフ状態に保持しMOSトランジスタQ9をオン状態に保持することで、充電対象のコンデンサがコンデンサC3のみにする。また、コンデンサC3はコンデンサC3及びC4の合成容量の半分になっている。したがって図4に示すランプ回路13は、例えば図6に示すように降圧モードから昇降圧モードに移行するときに、充電対象のコンデンサの容量が半分になってランプ電圧VRの傾きが2倍になり、その結果MOSトランジスタQ1のオンデューティが半分(t/T→0.5t/T)になる。これにより、1から固定値D’を引いた値の逆数と降圧モードから昇降圧モードに移行した直後のMOSトランジスタQ1のオンデューティとの乗算値が、降圧モードから昇降圧モードに移行する直前のMOSトランジスタQ1のオンデューティと等しくなる。
つまり、図4に示すランプ回路13は、降圧モードから昇降圧モードに移行する場合にランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御して誤差信号VCの変動を抑えている。また、図4に示すランプ回路13は、昇降圧モードから降圧モードに移行する場合も降圧モードから昇降圧モードに移行する場合と同様にランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御して誤差信号VCの変動を抑える。これにより、スイッチングレギュレータ101は、降圧モードと昇降圧モードとの切り替えによる出力電圧VOUTの変動を抑えることができる。
上述した説明では、固定デューティ回路3によって設定されるオンデューティの固定値D’は単一であるが、固定デューティ回路3によって設定されるオンデューティの固定値D’は複数であってもよい。例えば、固定値D’として0.5と0.3とが設定されており、0.5と0.3のいずれかを固定値D’として選択できる場合、ランプ回路13を例えば図7に示す構成にすればよい。
図7に示すランプ回路13では、降圧モードにおける充電対象のコンデンサをコンデンサC3〜C5とし、固定値D’を0.5にしている場合の昇降圧モードにおける充電対象のコンデンサをコンデンサC3及びC4とし、固定値D’を0.3にしている場合の昇降圧モードにおける充電対象のコンデンサをコンデンサC3とする。そして、コンデンサC3〜C5の合成容量とコンデンサC3及びC4の合成容量とコンデンサC3の容量との比を、コンデンサC3〜C5の合成容量:コンデンサC3及びC4の合成容量:コンデンサC3の容量=1.0:0.5:0.3にすればよい。
また上述した説明では、スイッチングレギュレータ101は電圧モード制御型スイッチングレギュレータであるが、インダクタL1を流れる電流の情報を取得する電流検出部を設け、図8に示すようにインダクタL1を流れる電流の情報を入力する端子をコンパレータ14に設け、コンパレータ14がランプ電圧VR及び位相補償された誤差信号VCのいずれか一方にインダクタL1を流れる電流に応じたオフセットをかける構成、すなわち電流モード制御型スイッチングレギュレータにしてもよい。
上記のオフセットが存在する場合でも、ランプ電圧VRの傾きとMOSトランジスタQ1のオンデューティとの関係は上記のオフセットが存在しない場合と変わらない。すなわち、電流モード制御型スイッチングレギュレータにおいても電圧モード制御型スイッチングレギュレータと同様の効果を得ることができる。
<全体構成(第2実施形態)>
図9は、スイッチングレギュレータの第2実施形態の全体構成例を示す図である。以下、図9に示すスイッチングレギュレータ102について説明するが、上述したスイッチングレギュレータ101と同様の部分については適宜説明を省略する。
スイッチングレギュレータ102では、メイン集積回路パッケージMP1が外部ピンP6を有している。クロック周波数設定用の外付け抵抗RCが外部ピンP6に接続される。スイッチングレギュレータ102では、外付け抵抗RCの抵抗値に応じてクロック周波数が可変する。
<降圧用制御回路の構成例>
図10は、第2実施形態における降圧用制御回路1の一構成例を示す図である。発振器15は、外付け抵抗RCの抵抗値に応じた周波数のクロック信号CLK1を生成する。ランプ回路13は、クロック信号CLK1の周波数(クロック周波数)と同一周波数のランプ電圧VRを生成する。
図11は、第2実施形態におけるランプ回路13及び発振器15の一構成例を示す図である。なお、図11において図4と同一の部分には同一の符号を付している。
分圧回路21は、入力電圧VINの分圧VBを生成する。電圧電流変換回路22は、入力電圧VINの分圧VBを、外付け抵抗RCの抵抗値に応じた変換率で電流I1に変換する。
カレントミラー回路23は、内部電源電圧VDDを用いて、電流I1に基づいて電流I2及びI3を生成する。例えば、メイン集積回路パッケージMP1内で入力電圧VINを用いて生成される定電圧、入力電圧VINそのもの、入力電圧VINの分圧等を内部電源電圧VDDとして用いることができる。電流I2は電流I1を第1所定倍した電流であり、電流I3は電流I1を第2所定倍した電流である。第1所定倍と第2所定倍とは同じ値であっても異なる値であってもよい。
電流I2によって降圧モード時にコンデンサC3及びC4が充電され昇降圧モード時にコンデンサC3のみが充電されてランプ電圧VRが生成される。
一方、コンデンサ26は、充電用スイッチであるMOSトランジスタ24がオン状態であるときに電流I2によって充電され、放電用スイッチであるMOSトランジスタ25がオン状態であるときに放電される。MOSトランジスタ24及び25は相補的にオンオフされる。コンパレータ27は、コンデンサ26の充電電圧と入力電圧VINの分圧VBとの比較結果であるクロック信号CLK1を出力する。放電用スイッチであるMOSトランジスタQ7及び25(昇降圧モード時にはMOSトランジスタQ9も)はクロック信号CLK1の立ち下がりエッジに同期してオフ状態からオン状態に切り替わり、一定期間経過後に再びオフ状態に戻る。
コンデンサ26の充電電圧の傾きは入力電圧VIN及び外付け抵抗RCの抵抗値それぞれに比例し、コンパレータ27においてコンデンサ26の充電電圧と比較される入力電圧VINの分圧VBは入力電圧VINに比例する。したがって、クロック信号CLK1の周期は、入力電圧VINが変動しても変動せず、外付け抵抗RCの抵抗値に反比例する。一方、ランプ電圧VRの傾きは入力電圧VIN及び外付け抵抗RCの抵抗値それぞれに比例する。したがって、位相補償された誤差信号VCが変動しなければ、MOSトランジスタQ1のオンデューティ時間(1周期におけるオン時間)は入力電圧VIN及び外付け抵抗RCの抵抗値にそれぞれ反比例する。
つまり、外付け抵抗RCの抵抗値が変わった場合にクロック信号CLK1及びランプ電圧VRの周波数が変化するだけで、入力電圧VINが変動した場合におけるランプ電圧VRの傾きのフィードフォワード制御の内容及び降圧モードと昇降圧モードとを切り替える場合におけるランプ電圧VRの傾きのフィードフォワード制御の内容は第1実施形態と同様である。
図12は、第2実施形態におけるランプ回路13及び発振器15の他の構成例を示す図である。なお、図12において図11と同一の部分には同一の符号を付している。
図12に示すランプ回路13及び発振器15を用いる場合、メイン集積回路パッケージMP1に外部ピンP7を更に設ける。外部ピンP7は外部クロック信号CLK2の入力端子である。
図12に示すランプ回路13及び発振器15は、図11に示すランプ回路13及び発振器15に対して、デューティ変換回路31、レベルシフタ32、ローパスフィルタ33、電圧電流変換回路34、抵抗35、スイッチ36及び37、並びにカウンタ38が追加されている構成である。
まず、外部ピンP7に外部クロック信号CLK2が供給されている場合について説明する。デューティ変換回路31は、外部クロック信号CLK2を外部クロック信号CLK2の周波数に比例したオンデューティの第1パルス信号に変換する。レベルシフタ32は、第1パルス信号を入力電圧VINの分圧VBに比例した波高値レベルの第2パルス信号に変換する。ローパスフィルタ33は、第2パルス信号を直流電圧VAに変換する。これにより、直流電圧VAは外部クロック信号CLK2の周波数及び入力電圧VINそれぞれに比例する。電圧電流変換回路34は、直流電圧VAを、抵抗35の抵抗値に応じた変換率で電流I1’に変換する。
カウンタ38は、外部クロック信号CLK2によって所定数をカウントすると、選択信号SEL1をハイレベルにする。スイッチ36はハイレベルの選択信号SEL1によってカレントミラー回路23の接続先として電圧電流変換回路34を選択する。スイッチ37はハイレベルの選択信号SEL1によってコンパレータ27の非反転入力端子に供給する電圧として直流電圧VAを選択する。この場合、クロック信号CLK1及びランプ電圧VRの周波数は、外付け抵抗RCの抵抗値ではなく外部クロック信号CLK2の周波数に応じた周波数になる。入力電圧VINが変動した場合におけるランプ電圧VRの傾きのフィードフォワード制御の内容及び降圧モードと昇降圧モードとを切り替える場合におけるランプ電圧VRの傾きのフィードフォワード制御の内容が第1実施形態と同様である点は、図11に示すランプ回路13及び発振器15の場合と同じである。
次に、外部ピンP7に外部クロック信号CLK2が供給されていない場合について説明する。この場合、カウンタ38が所定数をカウントしないため、選択信号SEL1がローレベルになる。スイッチ36はローレベルの選択信号SEL1によってカレントミラー回路23の接続先として電圧電流変換回路22を選択する。スイッチ37はローレベルの選択信号SEL1によってコンパレータ27の非反転入力端子に供給する電圧として入力電圧VINの分圧VBを選択する。したがって、外部ピンP7に外部クロック信号CLK2が供給されていない場合、図12に示すランプ回路13及び発振器15は図11に示すランプ回路13及び発振器15と等価になる。
上述した図11に示すランプ回路13及び発振器15又は図12に示すランプ回路13及び発振器15において、ノイズ対策としてクロック信号CLK1の周波数をスペクトラム拡散してもよい。この場合、カレントミラー回路23のカレントミラー比である上述した第1所定倍及び第2所定倍を第1所定倍に対する第2所定倍の比を変えずに変化させるとよい。具体的な回路構成としては、電流I2出力用トランジスタを複数備え、電流I2を出力するために実際に用いる電流I2出力用トランジスタの個数をスイッチによって切り替え、電流I3出力用トランジスタを複数備え、電流I2を出力するために実際に用いる電流I3出力用トランジスタの個数をスイッチによって切り替える構成を挙げることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係るスイッチングレギュレータは、図1に示す第1実施形態に係るスイッチングレギュレータ101の一例である。第3実施形態に係るスイッチングレギュレータでは、固定デューティ回路3及び発振器15が図13に示す構成となる。
図13に示す固定デューティ回路3及び発振器15は、抵抗41と、MOSトランジスタ42、43、及び45と、コンデンサ44と、抵抗46〜50と、コンパレータ51〜54と、充放電制御部(不図示)とによって構成される。
内部電源電圧VDDの印加端から接地端に向かって、抵抗41、耐圧対策用NDMOSトランジスタであるMOSトランジスタ42、充電スイッチであるMOSトランジスタ43、及びコンデンサ44が順に直列に接続される。放電スイッチであるMOSトランジスタ45がコンデンサ45に並列接続される。例えば、メイン集積回路パッケージMP1内で入力電圧VINを用いて生成される定電圧、入力電圧VINそのもの、入力電圧VINの分圧等を内部電源電圧VDDとして用いることができる。
抵抗46〜50は、内部電源電圧VDDを分圧して基準電圧VFREQ及び電圧V1〜V3を生成する。電圧V1は基準電圧VFREQの0.7倍であり、電圧V2は基準電圧VFREQの0.5倍であり、電圧V3は基準電圧VFREQの0.3倍である。
充放電制御部(不図示)は、コンパレータ51から出力されるクロック信号CLK1に同期してMOSトランジスタQ6〜Q9をオンオフ制御する。
コンパレータ51は、基準電圧VFREQとランプ電圧であるコンデンサ44の充電電圧VCRGとを比較してクロック信号CLK1を生成する。コンパレータ52は、電圧V1とランプ電圧であるコンデンサ44の充電電圧VCRGとを比較して、オンデューティが0.7に固定されたパルス信号S2_0.7を生成する。コンパレータ53は、電圧V2とランプ電圧であるコンデンサ44の充電電圧VCRGとを比較して、オンデューティが0.5に固定されたパルス信号S2_0.5を生成する。コンパレータ54は、電圧V3とランプ電圧であるコンデンサ44の充電電圧VCRGとを比較して、オンデューティが0.3に固定されたパルス信号S2_0.3を生成する。
発振器15の出力信号であるクロック信号CLK1と、固定デューティ回路3の出力信号であるオンデューティが固定されたパルス信号S2_0.7、S2_0.5、S2_0.3とは、図14に示すタイムチャートのように同一周波数となる。これにより、降圧用制御信号の周波数と昇圧用制御信号の周波数が同等になる。
第3実施形態に係るスイッチングレギュレータでは、降圧用制御信号の周波数とその倍数及び昇圧用制御信号の周波数とその倍数で比較的高いレベルのノイズが発生する。しかしながら、上述したように降圧用制御信号の周波数と昇圧用制御信号の周波数が同等であるため、比較的高いレベルのノイズ周波数成分を少なくすることができる。これにより、特定の周波数帯域(例えばスイッチングレギュレータを車両に搭載する場合にはラジオ放送の放送周波数帯域)におけるノイズレベルを抑えることが容易になる。
なお、図13に示す固定デューティ回路3及び発振器15では、固定デューティ回路3によって設定されるオンデューティの固定値D’が0.7、0.5、0.3の3種類であったが、これはあくまで一例である。抵抗46〜50によって構成される分圧回路及びコンパレータ51〜54の構成を所望の固定値D’に応じて適宜変更すればよい。
また、図13に示す固定デューティ回路3及び発振器15は、入力電圧VINが変動した場合においてランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御するメイン集積回路パッケージに限定されず、昇圧用制御信号のオンデューティを固定する昇降圧型スイッチングレギュレータに用いることができるメイン集積回路パッケージ全般に適用することができる。図13に示す固定デューティ回路3及び発振器15を適用するメイン集積回路パッケージは、例えばランプ電圧VRの代わりに一定の傾きを有するスロープ電圧又はインダクタL1の情報を反映したスロープ電圧を用いる構成にすることができる。
また、図11又は図12に示すランプ回路13及び発振器15を有する第2実施形態に係るスイッチングレギュレータ102においては、図11又は図12に示すコンデンサC26の充電電圧を入力するコンパレータが、クロック信号CLK1を生成するためのコンパレータ27のみである。図11に示す構成では、図13に示す構成と同様に、内部電源電圧VDD(入力電圧VINの分圧VB)を分圧する回路及びパルス信号S2を生成するためのコンパレータを追加することで、図13に示す構成と同様の効果を得ることができる。図12に示す構成では、図13に示す構成と同様に、内部電源電圧VDD(入力電圧VINの分圧VB、直流電圧VA)それぞれを分圧する回路及びパルス信号S2を生成するためのコンパレータを追加することで、図13に示す構成と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
図15は、スイッチングレギュレータの第4実施形態の全体構成例を示す図である。図15に示すスイッチングレギュレータ103は、上述したスイッチングレギュレータ101に判定回路61を追加した構成である。
メイン集積回路パッケージMP1は、図15に示すように昇降圧型スイッチングレギュレータ103の一部品として用いられる場合もあれば、図16に示すように降圧型スイッチングレギュレータ103’の一部品として用いられる場合もある。
判定回路61は、メイン集積回路パッケージMP1内に格納され、ANDゲート2と第5外部ピンP5との間に設けられる。判定回路61は、外部ピンP5に接続される外部部品のインピーダンスを判定し、そのインピーダンス判定結果に基づいて当該外部部品がMOSトランジスタQ3であるか否かを判定する。
図17は、判定回路61の一構成例を示す図である。図17に示す構成例の判定回路61は、マスク信号生成回路63と、MOSトランジスタ64〜66と、定電流源67と、抵抗68と、コンパレータ69及び70と、基準電圧源71及び72と、NOTゲート73とによって構成される。
マスク信号生成回路63は、メイン集積回路パッケージMP1の起動開始時点、すなわちメイン集積回路パッケージMP1がディセーブル状態からイネーブル状態に切り替わった時点から所定時間が経過する迄の間(以下、マスク期間と称する)、ハイレベルのマスク信号M1を出力し、マスク期間の経過後ローレベルのマスク信号M1を出力する。マスク期間の経過後に降圧用制御回路1がゲート信号G1及びゲート信号G2の生成を開始する。
MOSトランジスタ64は、NOTゲート73から出力されるマスク信号M1の反転信号によって制御される。MOSトランジスタ64は、マスク期間中オフ状態になる。これにより、ANDゲート2の出力段インバータ(MOSトランジスタ2A及び2Bによって構成されるインバータ)の出力レベルがマスク期間中不定になる。
MOSトランジスタ65は、内部電源電圧VDDの印加端と定電流源67との間に設けられ、マスク信号M1によって制御される。MOSトランジスタ65は、マスク期間中オン状態になる。これにより、定電流源67はマスク期間中にANDゲート2と外部ピンP5との接続点N1に定電流を供給する。
MOSトランジスタ66は、接続点N1と抵抗68の一端との間に設けられ、マスク信号M1によって制御される。抵抗68の他端は接地される。MOSトランジスタ66は、マスク期間中オン状態になる。これにより、マスク期間における接続点N1の電位は、定電流源67の定電流値、抵抗68の抵抗値、及び外部ピンP5に接続される外部部品のインピーダンスによって決まる。
図16に示すように外部ピンP5が外部抵抗62(低抵抗値の抵抗)によってプルダウンされていると、外部ピンP5に低インピーダンス外部部品が接続されていることになるため、マスク期間において抵抗68に流れる電流が小さくなる。したがって、マスク期間における接続点N1の電位は低電位になる。
また、外部ピンP5が外部抵抗によってプルアップされていると、マスク期間において抵抗68に定電流が流れる。したがって、マスク期間における接続点N1の電位は高電位になる。
図15に示すように外部ピンP5にMOSトランジスタQ3のゲートが接続されていると、外部ピンP5に高インピーダンス外部部品が接続されていることになるため、マスク期間において抵抗68に流れる電流が大きくなる。したがって、マスク期間における接続点N1の電位は上記低電位より大きく上記高電位より小さい中間電位になる。
コンパレータ69は、マスク期間中に、接続点N1の電位と、基準電圧源71から出力される第1基準電圧VREF1とを比較する。第1基準電圧VREF1は、接続点N1の電位が上記低電位であるか否かを判定できる値に設定される。
コンパレータ70は、マスク期間中に、接続点N1の電位と、基準電圧源72から出力される第2基準電圧VREF2とを比較する。第2基準電圧VREF2は、接続点N1の電位が上記高電位であるか否かを判定できる値に設定される。
コンパレータ69の出力信号J1及びコンパレータ70の出力信号J2は、外部部品に関する判定結果を示す信号である。
コンパレータ69の出力信号J1及びコンパレータ70の出力信号J2がともにハイレベルである場合、プルアップ抵抗が接続されていることを示している。コンパレータ69の出力信号J1がハイレベルであってコンパレータ70の出力信号J2がローレベルである場合、MOSトランジスタQ3が接続されていることを示している。コンパレータ69の出力信号J1及びコンパレータ70の出力信号J2がともにローレベルである場合、プルダウン抵抗が接続されていることを示している。
本実施形態では、メイン集積回路パッケージMP1を降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いる場合には外部ピンP5にプルダウン抵抗を接続し、メイン集積回路パッケージMP1をテストモードで動作させる場合には外部ピンP5にプルアップ抵抗を接続すると取り決めておく。このような取り決めはメイン集積回路パッケージMP1の仕様書或いは説明書などに明記しておくとよい。なお、テストモードを設けない構成にしてもよい。テストモードを設けない場合にはコンパレータ70及び基準電圧源72が不要になる。
判定回路61の判定結果をどのように利用するかについては特に限定されないが、例えば以下に説明する利用形態が考えられる。
コンパレータ69の出力信号J1及びコンパレータ70の出力信号J2がともにローレベルである場合、ANDゲート2及び固定デューティ回路3への電力供給を停止する。これにより、メイン集積回路パッケージMP1を降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いる場合の省電力化を図ることができる。
一方、コンパレータ69の出力信号J1及びコンパレータ70の出力信号J2がともにハイレベルである場合、或いは、コンパレータ69の出力信号J1がハイレベルであってコンパレータ70の出力信号J2がローレベルである場合、ANDゲート2及び固定デューティ回路3への電力供給を停止しない。
コンパレータ69の出力信号J1がハイレベルであってコンパレータ70の出力信号J2がローレベルである場合、メイン集積回路パッケージMP1の起動時に、入力電圧VINが第1閾値未満であるときに降圧用制御回路1の動作を禁止し、入力電圧VINが第1閾値より大きい第2閾値未満であるときにANDゲート2及び固定デューティ回路3の動作を禁止してもよい。
メイン集積回路パッケージMP1の起動時には出力コンデンサC1が充電されていないため、昇降圧モードでメイン集積回路パッケージMP1が起動した場合に昇降圧型スイッチングレギュレータの出力電流が過大になってしまうおそれがある。このため、メイン集積回路パッケージMP1を昇降圧型スイッチングレギュレータの一部品として用いる場合は、上述した降圧用制御回路1、ANDゲート2、及び固定デューティ回路3の動作禁止を実行して、降圧モードでメイン集積回路パッケージMP1を起動させることが望ましい。
なお、図15に示す判定回路61は、入力電圧VINが変動した場合においてランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御するメイン集積回路パッケージに限定されず、昇圧用制御信号のオンデューティを固定する昇降圧型スイッチングレギュレータに用いることができるメイン集積回路パッケージ全般に適用することができる。図15に示す判定回路61を適用するメイン集積回路パッケージは、例えばランプ電圧VRの代わりに一定の傾きを有するスロープ電圧又はインダクタL1の情報を反映したスロープ電圧を用いる構成にすることができる。
<第5実施形態>
図18は、スイッチングレギュレータの第5実施形態の全体構成例を示す図である。図18に示すスイッチングレギュレータ104は、上述したスイッチングレギュレータ101に付加機能部81と、外部ピン82及び83と、信号処理部84とを追加した構成である。
付加機能部81及び外部ピン82はメイン集積回路パッケージMP1に設けられる。付加機能部81及び外部ピン82はメイン集積回路パッケージMP1内で互いに接続されている。
外部ピン83及び信号処理部84はサブ集積回路パッケージSP1に設けられる。外部ピン83及び信号処理部84はサブ集積回路パッケージSP1内で互いに接続されている。
スイッチングレギュレータ104では、外部ピン82と外部ピン83とが接続されている。付加機能部81は、外部ピン82から信号処理部84に出力する信号又は信号処理部84から外部ピン82に供給される信号を用いて付加機能を実現する。
図19は、付加機能部81及び信号処理部84の一構成例を示す図である。図19に示す構成例では、付加機能部81は軽負荷モード制御部81A及びスイッチ81Bによって構成され、信号処理部84はNOTゲート84A及びANDゲート84Bによって構成される。
軽負荷モード制御部81Aは、MOSトランジスタQ2に流れる逆電流(外部ピンP4から外部ピンP2に向かう電流)を検知する逆電流検出部を有している。当該逆電流検出部としては、例えばMOSトランジスタQ2のソースに第1入力端子が接続され、MOSトランジスタQ2のドレインに第2入力端子が接続されるコンパレータを用いることができる。
MOSトランジスタQ2に流れる逆電流が検知されると、軽負荷モード制御部81Aは、軽負荷モードであると判定する。
軽負荷モード制御部81Aは、軽負荷モードであると判定した場合、降圧用制御回路1を制御してMOSトランジスタQ1及びQ2のスイッチング動作を停止させ、MOSトランジスタQ1及びQ2をともにオフ状態にする。
また軽負荷モード制御部81Aは、軽負荷モードであると判定した場合、スイッチ81Bがグランド電位を選択するようにスイッチ81Bを制御して外部ピンP5をローレベルにする。これにより、MOSトランジスタQ3がオフ状態になる。
さらに軽負荷モード制御部81Aは、軽負荷モードであると判定した場合、外部ピン82に送出する制御信号S4をハイレベルにする。この場合、NOTゲート84A及びANDゲート84によってMOSトランジスタQ4のゲートに供給される信号がローレベルになり、MOSトランジスタQ4がオフ状態になる。
信号S3のみではMOSトランジスタQ3及びQ4を相補的にオンオフすることしかできないが、制御信号S4を導入することによって上述した通り軽負荷モード時にMOSトランジスタQ1〜Q4全てをオフ状態にすることができる。これにより、軽負荷モード時の省電力化を図ることができる。軽負荷モード制御部81Aの制御によってMOSトランジスタQ1〜Q4全てがオフ状態になっているときに出力電圧VOUTが所定値よりも小さくなると、軽負荷モード制御部81Aは、軽負荷モードであると判定した場合と逆の制御を行い、軽負荷モード時の制御を解除する。
なお、制御信号S4を導入せずに軽負荷モード時に外部ピンP5をローレベルにするだけでは、MOSトランジスタQ1〜Q3はオフ状態にできてもMOSトランジスタQ4がオン状態になってしまい、軽負荷モード時に出力電圧VOUTの印加端→MOSトランジスタQ4→MOSトランジスタQ1のボディダイオード→入力電圧VINの印加端の経路で電流が逆流してしまうという問題が発生する。
また、制御信号S4は軽負荷モードでないときにローレベルになる。したがって、軽負荷モード時にMOSトランジスタQ1〜Q4全てをオフ状態にする機能を使用しない場合は、外部ピン82及び83を接地すればよい。
図20は、付加機能部81及び信号処理部84の他の構成例を示す図である。図20に示す構成例では、付加機能部81は定電流源81B、コンパレータ81C、及び基準電圧源81Dによって構成され、信号処理部84はバイポーラトランジスタ84Cによって構成される。
定電流源81Bから出力される定電流は、外部ピン82及び83を介してバイポーラトランジスタ84Cに供給される。npn形のバイポーラトランジスタ84Cのコレクタ及びベースが外部ピン82に接続されバイポーラトランジスタ84Cのエミッタが接地されているので、外部ピン82及び83にはバイポーラトランジスタ84Cのベース・エミッタ間電圧が印加される。
バイポーラトランジスタ84Cのベース・エミッタ間電圧は負の温度特性を有する。したがって、図20に示すようにコンパレータ81Cの反転入力端子と外部ピン82とを接続し、基準電圧源81Dから出力される基準電圧をコンパレータ81Cの非反転入力端子に供給すれば、バイポーラトランジスタ84Cが過熱状態であるときにコンパレータ81Cの出力信号がハイレベルになり、バイポーラトランジスタ84Cが過熱状態でないときにコンパレータ81Cの出力信号がローレベルになる。コンパレータ81Cの出力信号がハイレベルであるときに、メイン集積回路パッケージMP1はサーマルシャットダウン動作(スイッチング制御停止)を行う。これにより、バイポーラトランジスタ84Cの過熱状態すなわちサブ集積回路パッケージSP1の過熱状態が解消される。バイポーラトランジスタ84Cは、サブ集積回路パッケージSP1内で過熱状態に陥る可能性が高いMOSトランジスタQ4の近傍に配置することが望ましい。なお、図16に示す場合と同様に本実施形態のメイン集積回路パッケージMP1を降圧型スイッチングレギュレータ104の一部品として用いた場合、付加機能部81の動作は不要になる。したがって、例えば、第4実施形態においてメイン集積回路パッケージMP1に搭載した判定回路61を本実施形態においても採用し、判定回路61の判定結果を次のように利用すればよい。判定回路61の判定結果が外部ピンP5にMOSトランジスタQ3が接続されていることを示していれば、付加機能部81を動作させる。一方、判定回路61の判定結果が外部ピンP5にMOSトランジスタQ3が接続されていないことを示していれば、付加機能部81の動作を停止させる。具体的な回路構成例としては、内部電源電圧VDDの印加端と定電流源81Bとの間にスイッチを設け、判定回路61の判定結果に応じて当該スイッチのオン/オフが切り替わる構成を挙げることができる。
図21は、第5実施形態における外部ピンの配置例を示す図である。
メイン集積回路パッケージMP1では、接地されている外部ピンP2が、外部ピンP5と外部ピン82との間に配置される。これにより、外部ピン82から出力される信号または外部ピン82に入力される信号が、高周波信号である信号S3の影響を受けにくくなる。したがって、付加機能の信頼性が向上する。同様に、メイン集積回路パッケージMP1では、接地されている外部ピンP2が、外部ピンP4と外部ピン82との間に配置される。これにより、外部ピン82から出力される信号または外部ピン82に入力される信号が、高周波電圧であるスイッチ電圧VSW1の影響を受けにくくなる。したがって、付加機能の信頼性が向上する。
上記の各実施形態では説明を省略しているが、MOSトランジスタQ1〜Q4のゲート前段には通常ゲートドライバが設けられる。サブ集積回路パッケージSP1に外部ピン85が設けられ、サブ集積回路パッケージSP1内でMOSトランジスタQ3用ゲートドライバの接地端子及びMOSトランジスタQ4用ゲートドライバの接地端子が外部ピン85に接続される。メイン集積回路パッケージMP1に外部ピン86が設けられ、メイン集積回路パッケージMP1内でMOSトランジスタQ1用ゲートドライバの接地端子及びMOSトランジスタQ2用ゲートドライバの接地端子が外部ピン86に接続される。
外部ピン85及び外部ピン86が共通のグランドに接続され、外部ピン85及び外部ピン86のグランドと外部ピンP14のグランドとは分離される。これにより、各ゲートドライバのグランドレベルが揃い、MOSトランジスタQ3に流れる電流によって各ゲートドライバのグランド電位が変動することが抑えることができる。したがって、MOSトランジスタQ1〜Q4のスイッチング制御の信頼性が向上する。
また、MOSトランジスタQ3用ゲートドライバの電源電圧端子及びMOSトランジスタQ4用ゲートドライバの電源電圧端子はサブ集積回路パッケージSP1内で外部ピンP12に接続されている。すなわち、出力電圧VOUTがMOSトランジスタQ3用ゲートドライバ及びMOSトランジスタQ4用ゲートドライバの電源電圧となる。これにより、サブ集積回路パッケージSP1に電源電圧入力用の外部ピンを設ける必要がなくなり、サブ集積回路パッケージSP1の外部ピンの個数を削減することができる。
なお、図18に示す付加機能部81は、入力電圧VINが変動した場合においてランプ電圧VRの傾きをフィードフォワード制御するメイン集積回路パッケージに限定されず、昇圧用制御信号のオンデューティを固定する昇降圧型スイッチングレギュレータに用いることができるメイン集積回路パッケージ全般に適用することができる。図18に示す付加機能部81を適用するメイン集積回路パッケージは、例えばランプ電圧VRの代わりに一定の傾きを有するスロープ電圧又はインダクタL1の情報を反映したスロープ電圧を用いる構成にすることができる。
<用途>
次に、先に説明した各スイッチングレギュレータの用途例について説明する。図22は、車載機器を搭載した車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(不図示)と、バッテリから供給される直流電圧を入力するプライマリスイッチングレギュレータ(不図示)と、プライマリスイッチングレギュレータから出力される直流電圧を入力するセカンダリスイッチングレギュレータ(不図示)と、車載機器X11〜X17と、を搭載している。先に説明した各スイッチングレギュレータは例えばプライマリスイッチングレギュレータに適用することができる。
車載機器X11〜X17はそれぞれプライマリスイッチングレギュレータの出力電圧及びセカンダリスイッチングレギュレータの出力電圧のいずれかを電源電圧として用いる。
車載機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
車載機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
車載機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
車載機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power Steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
車載機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
車載機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、電動サンルーフ、電動シート、及び、エアコンなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
車載機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[Electronic Toll Collection System]など、ユーザの任意で車両Xに装着される電子機器である。
<留意点>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、第5実施形態では付加機能の例として、軽負荷モード時の省電力制御と過熱保護機能を挙げたが、他の機能であってもよい。このように、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。