JP2018026691A - 光終端装置および伝搬遅延時間測定方法 - Google Patents

光終端装置および伝搬遅延時間測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】OLTとONU間の伝搬遅延時間を取得できるようにする。
【解決手段】受動光ネットワークで2つ以上の宅内光終端装置と接続される局内光終端装置の機能の少なくとも一部をソフトウェア化したプロセスと、局内光終端装置から宅内光終端装置へと送信する送信許可信号および宅内光終端装置から受け取った送信要求信号に対して、時刻に関する情報を追加するタイムスタンプ補助装置とを具備し、タイムスタンプ補助装置が、送信許可信号に対して、当該送信許可信号を送信する時刻に関する情報を送信時刻情報として追加する手段と、送信要求信号に対して、当該送信要求信号を受け取った時刻に関する情報を受信時刻情報として追加する手段とを備え、プロセスが、受信時刻情報を用いて局内光終端装置と宅内光終端装置との伝搬遅延時間を算出する手段と、伝搬遅延時間を用いて宅内光終端装置の上り送信開始時刻を算出する手段とを備える光終端装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、受動光ネットワークにおける局内光終端装置の時刻同期に関する。
経済的な光アクセスシステムの形態として、図7に示すような受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)10がある。PON10は、1つの局内光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)と2つ以上の宅内光終端装置(ONU:Optical Network Unit)12−1,・・・,12−k(ここで、kは自然数)とが、光ファイバ伝送路および1対kの光スプリッタ13を介して、ポイントツーマルチポイントの通信を行うネットワークである。以降では、ONU12−1,・・・,12−kを総称して「ONU12」とも称する。
PON10の代表的な規格として、IEEE802.3ahによって標準化された、ギガビットクラスの1G−EPON(Ethernet(登録商標)PON)および10ギガビットクラスの10G−EPONがある。これらを総称してEPONと呼称する。
PON10においては、一般にOLT11からONU12への通信方向を下り方向と呼び、反対側を上り方向と呼ぶ。PON10では、ONU12−1,・・・,12−kが1つの光ファイバ伝送路を共有しているため、上り方向の通信における信号が衝突する可能性がある。係る信号の衝突を防ぐために、上り方向の通信は例えば時分割多元接続によって行われる。すなわち、OLT11は、あるONU12−x(ここで、x=1,・・・,k)が送信する信号と、ONU12−x以外の他のONU12−y(ここで、y=1,・・・,k、y≠x)が送信する信号とが重複しないように、ONU12の送信タイミングを制御することで、信号の衝突を防ぐようにしている。
PON10において、OLT11がONU12の送信タイミングを制御する仕組みについて、IEEE802.3ah(例えば、非特許文献1参照)に規定されたMPCP(Multi−Point Control Protocol)と呼称される通信プロトコルを説明する。
図8は、このMPCPの概要を示すシーケンス図である。ONU12−1,12−2は、バッファ内の送信待ちの上りユーザデータ量を送信要求信号(以降、「REPORTメッセージ」と称する)に記載してOLT11に送信する。OLT11は、受信したREPORTメッセージ中から取得する送信要求量を参照し、ONU12−1,12−2毎に送信開始時刻、送信時間を算出する。これらの送信情報、および現在時刻(以降、「タイムスタンプ値」と称する)を打刻した送信許可信号(以降、「GATEメッセージ」と称する)を生成してONU12−1,12−2に向けて送信する(工程S01,S02)。
ONU12−1,12−2は、GATEメッセージを受信すると、まず自身のクロックをGATEメッセージ中に記載されているOLT11のタイムスタンプ値に基づいて合わせることで、OLT11との間での時刻同期を行う(工程S03,S04)。
その後、指定された送信開始時刻まで待ってから(工程S05,S06)、上りバッファに蓄積していたユーザデータメッセージをREPORTメッセージと共に送信する(工程S07,S08)。尚、この際、ユーザデータメッセージだけを送信し、REPORTメッセージは別のタイミングで送信してもよい。
これら全ONU12−1,…,12−kに対してGATEメッセージを送信してからREPORTメッセージを受け取るまでの期間をDBA(Dynamic Bandwidth Allocation)周期と定義する。
従来、OLTは通信品質を保証するためにほとんどの機能がハードウェアによって実装されてきた。しかしながら、ハードウェアによる実装は、機能の変更や追加が困難であり、高速で多様なネットワークサービスの展開を試みる際に、ボトルネックになると考えられる。
そこで、OLTの機能をOS(Operating System)上で動作するソフトウェアとして実装することが有効であると考えられている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、機能をソフトウェア化することによってハードウェアによる実装に比べ、通信に関する処理遅延やゆらぎが増大することが考えられる。
前述したように、ONUは、OLTから受信したGATEメッセージに記載されたタイムスタンプ値に基づき、OLTとの間で時刻同期を行う。この時、OLTは、割り込みの発生などにより、タイムスタンプ値を記載してから送信ポートから送出完了するまでの時間にゆらぎが生じることがある。係るゆらぎの影響によって、それぞれのONUの同期する時刻にズレが生じる。
また、OLTは、REPORTメッセージの受信時刻から、REPORTメッセージに記載されたONUの送信時刻を引くことによって、OLTとONUとの間のRTT(Round−Trip Time)を測定し、係るRTTを参照してONUの上り信号の送信開始時刻を算出する。しかしながら、ソフトウェアで実装したOLTは、REPORTメッセージを受信ポートで受け取ってから、受信時刻をソフトウェア内で取得するまでの時間にゆらぎが生じるため、正確なRTTを計測することが難しい。これらの要因により、OLTはそれぞれのONUに対して正確な上り信号送信タイミングを指示することができないため、上り信号の衝突が発生し、上り方向のスループットが大幅に低下することがある。尚、以降では、GATEメッセージ送信時刻(タイムスタンプ値)の記載処理、およびREPORTメッセージ受信時刻の取得処理を「タイムスタンプ処理」と称する。
このような課題に対する従来技術としては、例えばNIC(Network Interface Card)などの送受信物理ポート近くに実装されたハードウェアによってGATEメッセージに対する送信時刻の記載およびREPORTメッセージに対する受信時刻の記載を行うというものがある。これにより、送信時刻の記載処理を行った後に送信ポートから送出されるまでの時間、および受信ポートから受信して受信時刻を取得するまでの時間に関するゆらぎの影響を小さくすることができる(例えば、非特許文献3参照)。尚、上記ではハードウェア実装によるタイムスタンプ処理を説明したが、実装の方法としてはハードウェア実装に限らない。例えば、OLTの機能を果たすソフトウェアとは別に、リアルタイム性を確保したタイムスタンプ専用のソフトウェアを用意し、REPORTメッセージの受信直後およびGATEメッセージの送信直前で、パケットに対してタイムスタンプ処理を行うことで同様の効果が期待できる。以降では、タイムスタンプ処理を行うハードウェア補助装置、およびソフトウェア補助機構をまとめて「タイムスタンプ補助装置」と称する。
IEEE 802.3ah - 2012 田所、他3名、「仮想化技術の光アクセスNWへの適用検討」、信学技報115(123)、85〜89ページ、2015年 Ohly et. al., "Hardware Assisted Precision Time Protocol Design and case study", Proc. of the 9th LCI International Conference on High-Performance Clustered Computing, pp.121-131, 2008 Assi et. al., "Dynamic Bandwidth Allocation for Quality-of-Service Over Ethernet PONs", IEEE Journal on selected areas in communications, vol. 21 (9), pp. 1467-14, 2003
前述の従来技術には、以下のような課題がある。まず、従来技術ではパケットに送信時刻記載、および受信時刻を記載するのみで、OLTとONU間の伝搬遅延時間の取得ができない。
加えて、従来技術をOLTのソフトウェア実装に適用するためには、OLT機能の処理を行うソフトウェアプロセス(以下、「OLTプロセス」と称する)と、タイムスタンプ補助装置との間でのパケット伝搬遅延時間(以降、送信遅延時間とも称する)を測定し、さらに測定した送信遅延時間を利用して時刻同期をとる必要がある。一般的な送信遅延時間の測定および同期方法としては、NTP(Network Time Protocol)やPTP(Precision Time Protocol)などの時刻同期用プロトコルの利用が考えられる。しかしながら、タイムスタンプ補助装置とOLTプロセスとを時刻同期用プロトコルの同期用メッセージに対応させる必要があり、コストの増大や実装規模の拡大が懸念される。加えて、タイムスタンプ補助装置とOLTプロセスとの間で送信遅延測定や時刻同期用のメッセージのやりとりが発生するため、それらのメッセージをユーザデータと同じ通信路を使って転送した場合、ユーザデータの利用可能帯域が減少する問題がある。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、OLTとONU間の伝搬遅延時間の取得をすることのできる光終端装置および当該伝搬遅延時間を測定する方法を提供することにある。
上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、受動光ネットワークで2つ以上の宅内光終端装置と接続される局内光終端装置の機能の少なくとも一部をソフトウェア化したプロセスと、局内光終端装置から宅内光終端装置へと送信する送信許可信号および宅内光終端装置から受け取った送信要求信号に対して、時刻に関する情報を追加するタイムスタンプ補助装置とを具備する光終端装置であって、光終端装置は、タイムスタンプ補助装置が、送信許可信号に対して、当該送信許可信号を送信する時刻に関する情報を送信時刻情報として追加する手段と、送信要求信号に対して、当該送信要求信号を受け取った時刻に関する情報を受信時刻情報として追加する手段とを備え、プロセスが、受信時刻情報を用いて局内光終端装置と宅内光終端装置との伝搬遅延時間を算出する手段と、伝搬遅延時間を用いて宅内光終端装置の上り送信開始時刻を算出する手段とを備えるようにしたものである。
この発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記プロセスが、前記プロセスから前記送信許可信号を出力した時刻に関する情報と、前記送信時刻情報と、前記受信時刻情報と、前記受信時刻情報が追加された前記送信要求信号を前記プロセスが受け取った時刻に関する情報とを用いて、前記プロセスと前記タイムスタンプ補助装置との送信遅延時間を算出する手段をさらに備えるようにしたものである。
この発明の第3の態様は、上記第1の態様において、タイムスタンプ補助装置が、プロセスから受け取った前記送信許可信号をコピーし、当該送信許可信号を当該プロセスへと出力する手段をさらに備え、プロセスが、送信許可信号をタイムスタンプ補助装置に出力した時刻と、送信許可信号をタイムスタンプ補助装置から受け取った時刻とを用いて、プロセスとタイムスタンプ補助装置との送信遅延時間を算出する手段をさらに備えるようにしたものである。
この発明の第4の態様は、受動光ネットワークで2つ以上の宅内光終端装置と接続される局内光終端装置の機能の少なくとも一部をソフトウェア化したプロセスと、局内光終端装置から宅内光終端装置へと送信する送信許可信号および宅内光終端装置から受け取った送信要求信号に対して、時刻に関する情報を追加するタイムスタンプ補助装置とを具備する光終端装置により実行される伝搬遅延時間測定方法であって、伝搬遅延時間測定方法は、前記タイムスタンプ補助装置が、前記送信許可信号に対して、当該送信許可信号を送信する時刻に関する情報を送信時刻情報として追加することと、前記タイムスタンプ補助装置が、前記送信要求信号に対して、当該送信要求信号を受け取った時刻に関する情報を受信時刻情報として追加することと、前記プロセスが、前記受信時刻情報を用いて局内光終端装置と前記宅内光終端装置との伝搬遅延時間を算出することと、前記プロセスが、前記伝搬遅延時間を用いて前記宅内光終端装置の上り送信開始時刻を算出することとを備えるようにしたものである。
この発明の第1の態様、第2の態様、および第3の様態によれば、タイムスタンプ補助装置において追加された受信時刻を利用して、正確なOLTとONU間の伝搬遅延時間を測定することができる。タイムスタンプ補助装置とOLTプロセスとの送信遅延時間の測定は、全てGATEメッセージとREPORTメッセージとによって行われる。そのため、OLTプロセスおよびタイムスタンプ補助装置を、新たに時刻同期用プロトコルに対応させる必要がない。また、OLTプロセスとタイムスタンプ補助装置との間において、上記時刻同期用プロトコルに関するメッセージをやりとりする必要もないため、帯域利用効率を維持したまま送信遅延時間の測定を行うことができる。
この発明の第4の態様によれば、上記第1の態様と同様の効果が得られる。
すなわちこの発明によれば、時刻同期のための新たな実装を最小限に抑え、かつ、新たな帯域を使用することなくタイムスタンプ補助装置とOLTプロセスとの時刻同期を行うことができる。
第1の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置を含むシステムを例示するブロック図。 図1のシステムによる動作を例示するシーケンス図。 第2の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置を含むシステムを例示するブロック図。 図3のシステムによる動作を例示するシーケンス図。 第3の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置を含むシステムを例示するブロック図。 図5のシステムによる動作を例示するシーケンス図。 一般的なPONの概要構成を示すブロック図。 一般的なMPCPの概要を示すシーケンス図。
以下、図面を参照してこの発明に関わる実施形態を説明する。
以降では、図7に例示されるような受動光ネットワーク(PON)においての利用を想定する。また、送信許可信号(GATEメッセージ)および送信要求信号(REPORTメッセージ)は、前述したMPCPにおいて規定されているものである。
また、以下では、「メッセージに時刻を記載する」ことと「信号に時刻情報を追加する」こととは同様の意味として用いられ、両者は相互に読み替えられてよい。
[第1の実施形態]
(構成)
図1において、第1の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置100を含むシステムのブロック図が例示される。係るシステムは、タイムスタンプ補助装置100とサーバ200とを備える。サーバ200は、OLTプロセス210と、クロック220とを備える。尚、サーバ200は、タイムスタンプ補助装置100と一体となって光終端装置を構成してもよい。また、タイムスタンプ補助装置100とOLTプロセス210とを一体とした構成を光終端装置としてもよい。
タイムスタンプ補助装置100は、PONで2つ以上のONUと接続されるOLTの機能の少なくとも一部をソフトウェア化したOLTプロセス210と連携し、OLTプロセス210との時刻同期を行うために用いられる処理を、OLTプロセス210が生成するGATEメッセージおよびONUが生成する当該GATEメッセージに対する応答であるREPORTメッセージに対して行う。尚、タイムスタンプ補助装置100は、例えばサーバ200の送受信ポート(図示せず)に挿入可能な構造である。
タイムスタンプ補助装置100は、PONポート部110と、REPORTメッセージ処理部120と、サーバポート部130と、GATEメッセージ処理部140とを備える。また、REPORTメッセージ処理部120は、受信時刻打刻部121を備える。さらに、GATEメッセージ処理部140は、送信時刻打刻部141と、送信開始時刻補正部142とを備え、送信開始時刻補正部142は、送信遅延計算用GATE判別部143と、補正処理部144とを備える。タイムスタンプ補助装置100は、図示しない高精度なクロックを有し、このクロックを利用して高精度な送受信時刻の取得およびGATEメッセージおよびREPORTメッセージへの送受信時刻の記載をする。尚、GATEメッセージ処理部140は、ハードウェアによって実装し、且つキューイングなどの処理は行わないものとする。これにより、各ONU間の時刻同期ずれを抑え、上り信号の衝突を防止することができる。
PONポート部110は、PON回線を介してONU(図示せず)からREPORTメッセージ、上りユーザデータ、他の制御信号を受け取り、REPORTメッセージのみを受信時刻打刻部121へと出力する。ユーザデータや他の制御信号は別経路(図示せず)を通ってサーバポート部130へ転送される。また、PONポート部110は、補正処理部144からGATEメッセージを受け取り、PON回線を介してONUへ出力する。さらに、PONポート部110は、サーバポート部から130から別経路(図示せず)を通って下りユーザデータやその他の制御信号を受け取り、PON回線を介してONUへ出力する。
受信時刻打刻部121は、PONポート部110からREPORTメッセージを受け取る。受信時刻打刻部121は、REPORTメッセージに対して、REPORTメッセージを受け取った時刻を受信時刻として記載する。受信時刻打刻部121は、REPORTメッセージの指定された位置にONUからの送信開始時刻が記載されている場合は、送信開始時刻が記載されている位置とは異なる位置に受信時刻を記載する。受信時刻打刻部121は、受信時刻が記載されたREPORTメッセージをサーバポート部130へと出力する。
サーバポート部130は、受信時刻打刻部121から受信時刻が記載されたREPORTメッセージを受け取り、OLTプロセス210へと出力する。また、サーバポート部130は、OLTプロセス210からGATEメッセージを受け取り、送信時刻打刻部141へと出力する。さらにサーバポート部130は、その他の制御信号および上りユーザデータをPONポート部110から受け取り、OLTプロセス210へ出力する。加えて、サーバポート部130は、OLTプロセス210から受け取ったその他の制御信号および下りのユーザデータをPONポート部110へ出力する。
送信時刻打刻部141は、サーバポート部130からGATEメッセージを受け取る。送信時刻打刻部141は、GATEメッセージに対して、タイムスタンプ値(送信時刻)をGATEメッセージの指定された位置に記載する。送信時刻打刻部141は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージを送信遅延計算用GATE判別部143へと出力する。
送信遅延計算用GATE判別部143は、送信時刻打刻部141からタイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージを受け取る。送信遅延計算用GATE判別部143は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージにおいて、当該GATEメッセージを受信したONUがREPORTメッセージを返送する際の送信開始時刻が記載されているか否かを判別する。送信遅延計算用GATE判別部143は、送信開始時刻が記載されている場合は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージをPONポート部110へと出力し、送信開始時刻が記載されていない場合は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージを補正処理部144へと出力する。尚、送信遅延計算用GATE判別部143は、必ずしもタイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージに対して判別する必要はなく、例えばタイムスタンプ値が記載されていないGATEメッセージに対して判別してもよい。
補正処理部144は、送信遅延計算用GATE判別部143から、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージを受け取る。補正処理部144は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージに対して、ONUが当該GATEメッセージに対応するREPORTメッセージを送信する時刻を送信開始時刻として記載する。補正処理部144は、タイムスタンプ値およびREPORTメッセージの送信開始時刻が記載されたGATEメッセージをPONポート部110へと出力する。
OLTプロセス210は、OLT機能部211と、時刻同期制御部212と、クロック補正部213とを備える。OLTプロセス210は、サーバポート部130を介してタイムスタンプ補助装置100とGATEメッセージおよびREPORTメッセージを相互にやりとりすることができる。尚、OLTプロセス210は、例えば、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)により構成することができ、OLTプロセス210の各部は、相互に通信可能に構成されている。
OLT機能部211は、例えば一般的なOLTの機能(DBA機能やMPCP機能など)を有する。OLT機能部211は、サーバポート部130から受信時刻が記載されたREPORTメッセージを、時刻同期制御部212を介して受け取る。また、OLT機能部211は、REPORTメッセージに記載のONUの送信時刻およびタイムスタンプ補助装置における受信時刻を用いて計算したOLTとONU間の伝搬遅延時間、上りユーザデータ量およびクロック220から受け取った時刻情報に基づいて帯域割り当て計算を行い、それぞれのONUについて送信許可量および送信開始時刻を記載したGATEメッセージを作成する。OLT機能部211は、作成したGATEメッセージを時刻同期制御部212へと出力する。尚、OLT機能部211は、送信開始時刻を記載しないGATEメッセージを作成してもよい。
時刻同期制御部212は、サーバポート部130から受信時刻が記載されたREPORTメッセージを受け取り、OLT機能部211へと出力する。また、時刻同期制御部212は、タイムスタンプ補助装置100へGATEメッセージを出力する時刻と、当該GATEメッセージに対応するREPORTメッセージをタイムスタンプ補助装置100から受け取った時刻とを取得する。時刻同期制御部212は、少なくともGATEメッセージが出力された時刻およびREPORTメッセージを受け取った時刻を用いて、タイムスタンプ補助装置100とOLTプロセス210との間のパケット伝搬遅延時間(以降、送信遅延時間と称する)を算出する。送信遅延時間の具体的な算出方法は後述される。時刻同期制御部212は、送信遅延時間をクロック補正部213へと出力する。
クロック補正部213は、時刻同期制御部212から送信遅延時間を受け取る。クロック補正部213は、送信遅延時間に基づいてクロック220のクロックを補正する。具体的には、クロック補正部213は、受信時刻打刻部121で記載された受信時刻に送信遅延時間を加えてクロック220のクロックを更新する。尚、送信遅延時間は、1回の測定により算出された値でもよいし、2回以上の測定により算出された値の平均値または最大値を用いてもよい。
(動作)
図2において、タイムスタンプ補助装置100を含むシステムによる、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置100との時刻同期に関する動作が例示される。この動作は、例えば、OLTプロセス210が、数DBA周期に一度、帯域要求がゼロであったONUに対して行われる。以下では、時系列に沿って各部の動作を説明する。
OLTプロセス210は、GATEメッセージをタイムスタンプ補助装置100へと出力する(時刻t1)。このとき、OLTプロセス210は、GATEメッセージにおいて、ONUがREPORTメッセージの送信を開始する時刻(送信開始時刻)をGATEメッセージに記載せずにGATEメッセージを生成する。また、時刻同期制御部212は、時刻t1を保持している。
タイムスタンプ補助装置100は、GATEメッセージに対して、タイムスタンプ値(時刻T1)と、送信開始時刻としてタイムスタンプ値(T1)に所定の時間長(ΔT)を加えた時刻(T1+ΔT)とを記載し、ONUへと送信する。所定の時間長は、例えば、ONUがGATEメッセージを受け取って、上り送信が可能な状態になるまでの最小時間である。
ONUは、GATEメッセージに記載された送信開始時刻(T1+ΔT)を、返送するためのREPORTメッセージに記載し、当該REPORTメッセージをOLTプロセス210へと送信する。タイムスタンプ補助装置100は、タイムスタンプ(T1+ΔT)が記載されたREPORTメッセージを受け取る(受信時刻T2)。このとき、受信時刻打刻部121は、REPORTメッセージに受信時刻(T2)を記載する。
タイムスタンプ補助装置100は、タイムスタンプおよび受信時刻が記載されたREPORTメッセージをOLTプロセス210へと出力する。OLTプロセス210は、タイムスタンプ補助装置からタイムスタンプおよび受信時刻が記載されたREPORTメッセージを受け取る(時刻t2)。
GATEメッセージおよびREPORTメッセージのやりとりの後に、時刻同期制御部212は、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置100との間の送信遅延時間(={(t2−t1)−(T2−T1)}/2)を算出する。尚、時刻同期制御部212は、REPORTメッセージに記載されたONUのREPORTメッセージ送信時刻(T1+ΔT)から所定の時間長ΔTを減算することによって、時刻T1の値を得ることができる。
(効果)
以上詳述したように第1の実施形態では、タイムスタンプ補助装置によって記載された受信時刻を利用することで、OLTとONU間の正確な伝搬遅延を測定することができる。さらに、タイムスタンプ補助装置とOLTプロセスとの送信遅延時間の測定は、全てGATEメッセージとREPORTメッセージとによって行われる。そのため、OLTプロセスおよびタイムスタンプ補助装置を、新たに時刻同期用プロトコルに対応させる必要がない。また、OLTプロセスとタイムスタンプ補助装置との間において、上記時刻同期用プロトコルに関するメッセージをやりとりする必要もないため、帯域利用効率を維持したまま送信遅延測定を行うことができる。
[第2の実施形態]
(構成)
図3において、第2の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置300を含むシステムのブロック図が例示される。図3のタイムスタンプ補助装置300は、第1の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置100をベースに構成されており、共通部分の説明は省略する。
タイムスタンプ補助装置300は、PONポート部110と、REPORTメッセージ処理部120と、サーバポート部150と、GATEメッセージ処理部160とを備える。また、サーバポート部150はパケットコピー部151を備え、GATEメッセージ処理部160は送信時刻打刻部161を備える。
送信時刻打刻部161は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージをPONポート部110へと出力する点において、図1の送信時刻打刻部141と異なる。
サーバポート部150は、受信時刻打刻部121から受信時刻が記載されたREPORTメッセージを受け取り、OLTプロセス210へと出力する。また、サーバポート部150は、OLTプロセス210からGATEメッセージを受け取り、送信時刻打刻部161へと出力する。
パケットコピー部151は、サーバポート部150が受け取ったGATEメッセージをコピーし、当該GATEメッセージをOLTプロセス210へと出力する。
時刻同期制御部212は、OLTプロセス210がGATEメッセージを出力した時刻と、パケットコピー部151から折り返されてOLTプロセス210がGATEメッセージを受け取った時刻とに基づいて、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置300との間の送信遅延時間を算出する。例えば、時刻同期制御部212は、OLTプロセス210がGATEメッセージを出力した時刻と、当該GATEメッセージを受け取った時刻との差に基づいて、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置300との間の送信遅延時間を算出する。尚、OLTプロセス210が受け取ったGATEメッセージは、受信時刻を取得した後は破棄される。
(動作)
図4において、タイムスタンプ補助装置300を含むシステムによる動作が例示される。以下では、時系列に沿って各部の動作を説明する。
OLTプロセス210は、GATEメッセージをタイムスタンプ補助装置300へと出力する(時刻t1)。パケットコピー部151は、タイムスタンプ補助装置300が受け取ったGATEメッセージをコピーし、GATEメッセージをOLTプロセス210へと出力する。OLTプロセス210は、タイムスタンプ補助装置300からコピーされたGATEメッセージを受け取る(時刻t2)。時刻同期制御部212は、時刻t1と時刻t2との差に基づいて、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置300との間の送信遅延時間を算出する。具体的には、時刻同期制御部212は、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置300との間の送信遅延時間(=(t2−t1)/2)を算出する。
上記の動作において、GATEメッセージが折り返されるときに、ONU(或いはタイムスタンプ補助装置)からOLTプロセスへの方向である上り方向の帯域を圧迫することが考えられる。しかしながら、基本的なDBAアルゴリズムにおいては、OLTがGATEメッセージを送信している期間は、ONUが上りユーザデータを送信できない帯域(上り送信不可能帯域)としている(例えば、非特許文献4参照)。即ち、パケットコピー部151におけるGATEメッセージを返送する動作は、上り方向の帯域への影響が少ないと考えられる。
(効果)
以上詳述したように第2の実施形態では、タイムスタンプ補助装置において、OLTプロセスからGATEメッセージを受け取り、当該GATEメッセージをコピーして当該OLTプロセスへ出力する。そして、GATEメッセージの送受信時刻の差に基づいて送信遅延時刻を算出するようにしている。また、GATEメッセージを返送している帯域は、上りユーザデータが使用しない帯域であるため、帯域利用効率を維持したまま時刻同期に用いる送信遅延時間を求めることができる。
[第3の実施形態]
(構成)
図5において、第3の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置500を含むシステムのブロック図が例示される。図5のタイムスタンプ補助装置500は、第1の実施形態に係るタイムスタンプ補助装置100をベースに構成されており、共通部分の説明は省略する。
タイムスタンプ補助装置500は、PONポート部110と、サーバポート部130と、REPORTメッセージ処理部170と、GATEメッセージ処理部180とを備える。また、REPORTメッセージ処理部170は、受信時刻打刻部171と、送受信間隔打刻部172とを備え、GATEメッセージ処理部180は送信時刻打刻部181を備える。
受信時刻打刻部171は、受信時刻が記載されたREPORTメッセージを送受信間隔打刻部172へと出力する点において、図1および図3の受信時刻打刻部121と異なる。
送信時刻打刻部181は、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージをPONポート部へと出力し、さらにタイムスタンプ値を送受信間隔打刻部172へと出力する点において、図3の送信時刻打刻部161と異なる。
送受信間隔打刻部172は、受信時刻打刻部171から受信時刻が記載されたREPORTメッセージを受け取り、送信時刻打刻部181からタイムスタンプ値(送信時刻)を受け取る。送受信間隔打刻部172は、受信時刻が記載されたREPORTメッセージに対して、送信時刻と受信時刻との差を記載する。
(動作)
図6において、タイムスタンプ補助装置500を含むシステムによる動作が例示される。以下では、時系列に沿って各部の動作を説明する。
OLTプロセス210は、GATEメッセージをタイムスタンプ補助装置500へと出力する(時刻t1)。このとき、時刻同期制御部212は、時刻t1を保持している。
タイムスタンプ補助装置500は、GATEメッセージに対して、タイムスタンプ値(時刻T1)を記載し、タイムスタンプ値が記載されたGATEメッセージをONUへと送信する。このとき、送受信間隔打刻部172は、各ONUへ送信されたGATEメッセージに記載されたそれぞれのタイムスタンプ値を保持している。
ONUは、GATEメッセージに記載された送信開始時刻(ONU送信時刻T3)において、REPORTメッセージをOLTプロセス210へと出力する。タイムスタンプ補助装置500は、ONUからREPORTメッセージを受け取る(モジュール受信時刻T2)。このとき、受信時刻打刻部171は、REPORTメッセージに受信時刻T2を記載し、送受信間隔打刻部172は、REPORTメッセージの空き領域に対して、ONUのRTTである時刻T1と時刻T2との差(送受信差分T2−T1)を記載する。
タイムスタンプ補助装置500は、送受信差分が記載されたREPORTメッセージをOLTプロセス210へと出力する。OLTプロセス210は、タイムスタンプ補助装置500から送受信差分が記載されたREPORTメッセージを受け取る(時刻t2)。
GATEメッセージおよびREPORTメッセージのやりとりの後に、時刻同期制御部212は、OLTプロセス210とタイムスタンプ補助装置500との間の送信遅延時間(={(t2−t1)−(T2−T1)}/2)を算出する。
(効果)
以上詳述したように第3の実施形態では、GATEメッセージの送信時刻をタイムスタンプ補助装置が保持し、当該GATEメッセージに対応するREPORTメッセージの受信時刻を取得することによって、送信遅延時間を算出することができる。よって、どんなGATEメッセージであっても送信遅延時間の算出に用いることができる。
[他の実施形態]
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
10…受動光ネットワーク、11…局内光終端装置、12…宅内光終端装置、13…光スプリッタ、100,300,500…タイムスタンプ補助装置、110…PONポート部、120,170…REPORTメッセージ処理部、121,171…受信時刻打刻部、130,150…サーバポート部、140,160,180…GATEメッセージ処理部、141,161,181…送信時刻打刻部、142…送信開始時刻補正部、143…送信遅延計算用GATE判別部、144…補正処理部、151…パケットコピー部、172…送受信間隔打刻部、200…サーバ、210…OLTプロセス、211…OLT機能部、212…時刻同期制御部、213…クロック補正部、220…クロック。

Claims (4)

  1. 受動光ネットワークで2つ以上の宅内光終端装置と接続される局内光終端装置の機能の少なくとも一部をソフトウェア化したプロセスと、
    前記局内光終端装置から前記宅内光終端装置へと送信する送信許可信号および前記宅内光終端装置から受け取った送信要求信号に対して、時刻に関する情報を追加するタイムスタンプ補助装置と
    を具備する光終端装置であって、
    前記タイムスタンプ補助装置は、
    前記送信許可信号に対して、当該送信許可信号を送信する時刻に関する情報を送信時刻情報として追加する手段と、
    前記送信要求信号に対して、当該送信要求信号を受け取った時刻に関する情報を受信時刻情報として追加する手段と
    を備え、
    前記プロセスは、
    前記受信時刻情報を用いて局内光終端装置と前記宅内光終端装置との伝搬遅延時間を算出する手段と、
    前記伝搬遅延時間を用いて前記宅内光終端装置の上り送信開始時刻を算出する手段と
    を備える、光終端装置。
  2. 前記プロセスは、前記プロセスから前記送信許可信号を出力した時刻に関する情報と、前記送信時刻情報と、前記受信時刻情報と、前記受信時刻情報が追加された前記送信要求信号を前記プロセスが受け取った時刻に関する情報とを用いて、前記プロセスと前記タイムスタンプ補助装置との送信遅延時間を算出する手段をさらに備える、請求項1に記載の光終端装置。
  3. 前記タイムスタンプ補助装置は、前記プロセスから受け取った前記送信許可信号をコピーし、当該送信許可信号を当該プロセスへと出力する手段をさらに備え
    前記プロセスは、前記送信許可信号をタイムスタンプ補助装置に出力した時刻と、前記送信許可信号をタイムスタンプ補助装置から受け取った時刻とを用いて、前記プロセスと前記タイムスタンプ補助装置との送信遅延時間を算出する手段をさらに備える、請求項1に記載の光終端装置。
  4. 受動光ネットワークで2つ以上の宅内光終端装置と接続される局内光終端装置の機能の少なくとも一部をソフトウェア化したプロセスと、
    前記局内光終端装置から前記宅内光終端装置へと送信する送信許可信号および前記宅内光終端装置から受け取った送信要求信号に対して、時刻に関する情報を追加するタイムスタンプ補助装置と
    を具備する光終端装置により実行される伝搬遅延時間測定方法であって、
    前記タイムスタンプ補助装置が、前記送信許可信号に対して、当該送信許可信号を送信する時刻に関する情報を送信時刻情報として追加することと、
    前記タイムスタンプ補助装置が、前記送信要求信号に対して、当該送信要求信号を受け取った時刻に関する情報を受信時刻情報として追加することと、
    前記プロセスが、前記受信時刻情報を用いて局内光終端装置と前記宅内光終端装置との伝搬遅延時間を算出することと、
    前記プロセスが、前記伝搬遅延時間を用いて前記宅内光終端装置の上り送信開始時刻を算出することと
    を備える、伝搬遅延時間測定方法。
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