JP2018026304A - 電流遮断素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度に応じて電流の遮断を行う新規な電流遮断素子を提供する。【解決手段】電流遮断素子20は、温度に応じて導電性と絶縁性とを示すものであって、金属イオンをドープした芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む。この電流遮断素子は、還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液に、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を入れることにより金属イオンを素子へドープする工程、を含む製造方法で作製することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、電流遮断素子及びその製造方法に関する。
従来、電池の電流を遮断する方法としては、例えば、感熱変形部材の変形によって溶接部に対して剪断力を加えることにより溶接部を破断させて導電経路を分断するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、所定の温度で膨張する熱膨張樹脂を接続板の間に配設し、発熱により膨張したときには、接続板が分離して電流を遮断するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、絶縁層が接続板の間に介在するよう配置され、絶縁層に所定温度で発泡する発泡層が含まれ、発泡層の発泡により接続板が分離するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−295565号公報 特開2007−194069号公報 特開2000−197260号公報
しかしながら、上述の特許文献1〜3では、間接的な機構により電流経路を遮断させるものであり、直接的な電流遮断を行わないものであった。電流の遮断を行うことができる新規な電流遮断素子が求められていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、温度に応じて電流の遮断を行うことができる新規な電流遮断素子及びその製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、絶縁体である芳香族ジカルボン酸金属塩に金属イオンをドープすると、導電体に変わり、更に加熱すると絶縁体になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する電流遮断素子は、
温度に応じて導電性と絶縁性とを示す電流遮断素子であって、
金属イオンをドープした芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含むものである。
また、本明細書で開示する電流遮断素子の製造方法は、
温度に応じて導電性と絶縁性とを示す電流遮断素子の製造方法であって、
還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液に、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を入れることにより前記金属イオンを前記素子へドープする工程、を含むものである。
本発明の電流遮断素子及びその製造方法では、温度に応じて電流の遮断を行う新規な電流遮断素子を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、還元状態の芳香族炭化水素化合物及び金属イオンを含むドープ溶液と、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料との間で化学反応が起こり、この結晶性材料は、導電性を有する結晶構造をとるものと推察される。一方、温度が上昇すると、この結晶性材料は、導電性を有する結晶構造から絶縁性の結晶構造へと変化する特徴を特異的に有するものと推察される。このため、この電流遮断素子では、間接的な機構により電流の流通を遮断するのではなく、素子自体が直接的に電流の流通を遮断することができる。
電流遮断素子に含まれる結晶性材料の一例を示す説明図。 二次電池10に接続された電流遮断素子20の一例を示す説明図。 比較例1、実施例1〜3のドープ前後の素子のX線回折パターン。 比較例2、実施例4、5のドープ前後の素子のX線回折パターン。 比較例1、実施例1の素子に電圧を印加した際のIVカーブ。 実施例1の加熱温度とX線回折パターンとの関係図。 比較例1、実施例1、及び400℃加熱後の実施例1のX線回折パターン。
(電流遮断素子)
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、電流遮断素子に含まれる結晶性材料の一例を示す説明図である。この電流遮断素子は、温度に応じて導電性と絶縁性とを示すものであり、温度に応じて電流を流し、電流を遮断する素子である。この電流遮断素子は、金属イオンをドープした芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含んで構成されている。この結晶性材料は、図1に示すように、1又は2以上の芳香環構造が接続した有機骨格層と、有機骨格層に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有するものとしてもよい。なお、図1では、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの結晶性材料を例示した。この結晶性材料は、芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群P21/cに帰属される単斜晶型の結晶構造を有するものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。
この結晶性材料において、有機骨格層は、2以上の芳香環構造を有する場合、例えば、ビフェニルなど2以上の芳香環が結合した芳香族多環化合物としてもよいし、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香環が縮合した縮合多環化合物としてもよい。この芳香環は、五員環や六員環、八員環としてもよく、六員環が好ましい。また、芳香環は、2以上5以下とするのが好ましい。芳香環が2以上では層状構造を形成しやすく、芳香環が5以下ではエネルギー密度をより高めることができる。この有機骨格層は、芳香環に1又は2以上のカルボキシアニオンが結合した構造を有するものとしてもよい。有機骨格層は、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含むものとするのが好ましい。カルボン酸が結合されている対角位置とは、一方のカルボン酸の結合位置から他方のカルボン酸の結合位置までが最も遠い位置としてもよく、例えば芳香環構造がナフタレンであれば2,6位が挙げられる。アルカリ金属元素層に含まれるアルカリ金属は、例えば、Li,Na及びKなどのうちいずれか1以上とすることができるが、Liが好ましい。
また、結晶性材料は、異なるジカルボン酸アニオンの酸素4つとアルカリ金属元素とが4配位を形成する構造を備えているものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。また、この金属イオンをドープした結晶性材料は、式(1)の構造を有するものとしてもよい。但し、この式(1)において、Rは1又は2以上の芳香環構造を有し、複数あるRのうち2以上が同じであってもよいし、1以上が異なっていてもよい。また、Aは結晶性材料の構造を形成するアルカリ金属元素である。Mはドープされた金属イオンであり、例えば、アルカリ金属イオンとしてもよい。A及びMは、同じであってもよいし、1以上が異なるものとしてもよい。また、より具体的には、金属イオンをドープした結晶性材料は、式(2)〜(4)のいずれか1以上の構造を有するものとしてもよい。但し、式(2)〜(4)において、aは1以上5以下の整数、bは0以上3以下の整数であることが好ましい。この範囲では、有機骨格層の大きさが好適であり、より充放電容量を高めることができる。この式(2)〜(4)において、これらの芳香族化合物は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を有してもよい。具体的には、芳香族化合物の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、芳香族化合物の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。A及びMは、式(1)と同様である。この結晶性材料は、2,6−ナフタレンジカルボン酸アルカリ金属塩、4,4’−ビフェニルジカルボン酸アルカリ金属塩及びテレフタル酸アルカリ金属塩のうち1以上であるものとしてもよい。また、ドープされた金属イオンは、アルカリ金属イオンであるものとしてもよい。
結晶性材料は、第1温度では電流が通る第1の結晶構造を有し、第1温度より高い所定の第2温度以上では電流が通らない第2の結晶構造を有する。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの結晶性材料は、180℃付近までは導電性を有する結晶構造を有し、280℃以上ではリチウムをドープする前の結晶構造、即ち絶縁性を示す結晶構造へ変化する。例えば、4,4’−ビフェニルジカルボン酸アルカリ金属塩では、180℃付近までは導電性を有する結晶構造を有し、280℃以上ではリチウムをドープする前の結晶構造へ変化する。
この電流遮断素子の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図2は、二次電池10に接続された電流遮断素子20の一例を示す説明図である。電流遮断素子20は、二次電池10の電極に接続される電池側端子21と、外部機器に接続される外部端子22と、電池側端子21と外部端子22とに接続された結晶性材料層24とを備える。この電流遮断素子20は、金属イオンをドープした芳香族ジカルボン酸金属塩を含み、温度に応じて導電体から絶縁体へ変化する。電池側端子21及び外部端子22は、導電性を有する材料により形成されている。これらの端子は、電流遮断素子20が電流を遮断する温度において安定な材料であればよく、例えば、金属などが挙げられる。
この電流遮断素子の結晶性材料層には、導電材が含まれていない。芳香族ジカルボン酸金属塩は、絶縁体であり、そのままの状態では、一般的な方法、例えば、アルカリ金属対極を用いる電気化学的な方法などではアルカリ金属がドープされない。一方、芳香族ジカルボン酸金属塩は、それに導電材を添加すれば電気化学的にアルカリ金属がドープされるが、導電材を取り除くことが困難であり、その後に絶縁性を得ることができない。即ち、芳香族ジカルボン酸金属塩は、絶縁性を有する状態で金属イオンをドープすることができなかった。ここでは、以下に説明する電流遮断素子の製造方法によって、結晶性材料に金属イオンをドープすることができる。
(電流遮断素子の製造方法)
この製造方法は、例えば、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を形成する素子形成工程と、この素子に金属イオンをドープするドープ工程とを含むものとしてもよい。なお、予め形成した素子を利用することにより素子形成工程を省略してもよい。電流遮断素子は、結晶性材料層と、蓄電デバイス又は外部機器と接続される端子とを備えるものとしてもよい。
(素子形成工程)
この工程では、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料により結晶性材料層を形成する。結晶性材料としては、上記電流遮断素子で説明したいずれかの材料を用いることができる。結晶性材料層の形成は、例えば、結晶性材料を基材上に直接成長させてもよいし、結晶性材料をプレス成形するものとしてもよいし、結着材を加えて成形するものとしてもよい。また、結晶性材料層の成形は、結晶性材料に結着材と溶媒とを加えてスラリー状にして基材上に塗布して乾燥するものとしてもよい。結着材としては、例えば、水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロース(CMC)やスチレンブタジエン共重合体(SBR)、ポリビニルアルコールなどを単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることが好ましい。また、結着材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。この結着材は、結晶性材料との全体に対して5質量%以下の範囲とすることが好ましい。基材は、例えば、金属箔や金属板などの導電材としてもよい。この場合、基材は端子を兼ねることができる。また、基材は、例えば、セラミック材や樹脂などの絶縁体としてもよい。この工程では、結晶性材料層のみを形成し、ドープ工程のあと端子を接続するものとしてもよいし、この工程で結晶性材料層に端子を接続し、その後のドープ工程を行うものとしてもよい。なお、電流遮断素子を作製する工程では、素子には導電材を添加しない。導電材を添加すると、絶縁性が得られなくなるためである。
(ドープ工程)
この工程では、還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液に、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を入れることにより、ドープ溶液に含まれる金属イオンをこの素子へドープする。この工程で用いるドープ溶液は、芳香族炭化水素化合物として、次式(5)及び式(6)のうち1以上を含むものとしてもよい。具体的には、芳香族炭化水素化合物は、ナフタレン、ビフェニル、オルトターフェニル、アントラセン及びパラターフェニルのうち1以上であることが好ましい。ドープ溶液に含まれる芳香族炭化水素化合物は、素子に含まれる芳香族ジカルボン酸金属塩の芳香族と異なる構造であるものとしてもよいし、同じ構造であるものとしてもよいが、同じ構造であることが親和性の面からみて好ましい。このドープ溶液に含まれる金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンなどのアルカリ金属イオンのうち1以上であることが好ましい。また、このドープ溶液は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、ジオキソラン及びジオキサンのうち1以上の溶媒を含むものとしてもよい。このドープ溶液は、次式(7)及び式(8)のうち1以上により得られたものとしてもよい。即ち、溶媒中に芳香族炭化水素化合物と、金属状態のアルカリ金属とを投入するものとしてもよい。より具体的には、次式(9)〜(11)のように、THF溶媒中で、ナフタレン、ジフェニル、ターフェニルとアルカリ金属とを反応させるものとしてもよい。このように、還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液を作製することができる。そしてこの工程では、次式(12)及び式(13)のように、芳香族ジカルボン酸金属塩に金属イオンMをドープすることができる。
ドープ溶液における還元状態の芳香族炭化水素化合物又は金属イオンの濃度は、例えば、0.5mol/L以上3mol/L以下の範囲であることが好ましい。この工程で、ドープ処理する温度は、例えば、0℃以上80℃以下の範囲などとしてもよく、室温近傍(20℃〜25℃)が好ましい。素子をドープ溶液に浸漬する時間は、例えば、48時間以下や、24時間以下などが好ましい。またこの浸漬時間は、1時間以上が好ましく、4時間以上としてもよい。この工程において、素子への金属イオンのドープ量は、例えば、素子のサイズ、結晶性材料の量などに応じて、ドープ溶液の濃度、ドープ温度、ドープ時間などを適宜変更することにより調整することができる。このうち、ドープ量は、ドープ溶液へ素子を浸漬する時間を調整することにより比較的容易に調整することができる。そして、ドープが終了した素子をドープ液から引き出し、乾燥させてもよい。この工程では、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子と、ドープ溶液とを作用するだけで、ドープ溶液と結晶性材料との間で化学反応が起こり、簡便に素子に金属イオンをドープすることができる。
以上詳述した電流遮断素子及びその製造方法では、温度に応じて電流の遮断を直接的に行う新規な電流遮断素子を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、還元状態の芳香族炭化水素化合物及び金属イオンを含むドープ溶液と、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料との間で化学反応が起こり、この結晶性材料は、導電性を有する結晶構造をとるものと推察される。一方、温度が上昇すると、この結晶性材料は、導電性を有する結晶構造から絶縁性の結晶構造へと変化する特徴を特異的に有するものと推察される。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
上述した実施形態では、金属イオンのドープ工程を含む電流遮断素子の製造方法として説明したが、芳香族ジカルボン酸金属塩のドープ方法としてもよい。即ち、この芳香族ジカルボン酸金属塩のドープ方法は、還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液に、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を入れることにより金属イオンを素子へドープする。このドープ方法においても、上述した実施形態で説明した態様を採用すれば、それと同様の効果を得ることができる。
以下には、電流遮断素子の製造方法を具体的に実施した例を実施例として説明する。実施例では、2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの結晶性材料を含有した素子、あるいは4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの結晶性材料を含有した素子とを一例として説明する。なお、本発明は下記の実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
[実施例1]
(2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの合成)
2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの合成には、出発原料として2、6−ナフタレンジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いた。水酸化リチウム1水和物(0.556g)にメタノール(100mL)を加え撹拌した。水酸化リチウム1水和物を溶解したあとに2、6−ナフタレンジカルボン酸(1.0g)を加え1時間撹拌した。撹拌後溶媒を除去し、真空下150℃で16時間乾燥することにより、図1に示すような白色の粉末試料の2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムを得た(下記式(14))。
(2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子の作製)
得られた2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムを98質量%、水溶性ポリマーであるカルボキシメチルセルロース(CMC)(ダイセルファインケム、CMCダイセル1120)を2質量%を混合し、分散剤として水を適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔に単位面積当たりの2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムが3mg/cm2となるように均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2cm2の面積に打ち抜いて円盤状の素子を準備した。
(ドープ溶液の調整およびドープ処理)
溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)に対して、0.1mol/Lになるようにナフタレンを溶解させ、その後、0.1mol/L相当のリチウム金属を加えて撹拌し、上記式(9)に示すような反応により、濃緑色のLiドープ溶液を調製した。得られたLiドープ溶液に、2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子を一晩浸漬し、その後、溶液から素子を取出し、THFで洗浄を行い乾燥した。
[実施例2〜3]
Liドープ溶液において、ナフタレンの代わりにビフェニルを用いて、上記式(10)に示すような反応により、Liドープ溶液を調製した以外は実施例1と同じとするものを実施例2とした。また、Liドープ溶液にナフタレンの代わりにオルトターフェニルを用いて、上記式(11)に示すような反応により、Liドープ溶液を調整した以外は、実施例1と同じとするものを実施例3とした。
[実施例4、5]
2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子の代わりに、下記式(15)に示すような4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム素子を用いた以外は、実施例1と同じとするものを実施例4とした。2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子の代わりに、下記式(15)に示すような4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム素子を用いた以外は、実施例2と同じとするものを実施例5とした。
[比較例1、2]
2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子に対して上記ドープ処理を行わないものを比較例1とした。また、4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム素子に対して上記ドープ処理を行わないものを比較例2とした。
(X線回折測定)
上記実施例1〜5、比較例1、2の素子のX線回折測定を行った。測定は放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用したX線回折装置(リガク製UltimaIV)を用いて行った。X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定して測定を行った。また、測定は5°/分の走査速度で2θ=15°〜35°の角度範囲で行った。
(昇温X線回折測定)
Liドープ処理を行った2,6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子の昇温時のX線回折測定を行った。あいちシンクロトロン光センターBL5S2(粉末回折)ビームラインの回折計を用いて行った。40〜400℃まで5℃/分で昇温しながら、10℃間隔のXRD測定を行った。X線波長を1.0Å、ビームサイズを幅0.5mm、高さ0.35mm、測定角度範囲を10〜24°、サンプリング幅を0.01°/step、露光時間を5秒、試料回転を3.3rpmとして測定した。
(I−V測定セルの作製)
Liドープ処理を行った2,6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウム素子を銅箔で挟み、20℃の温度環境下、掃引速度を1mV/sec、印可電圧範囲を−0.5Vから0.5Vの範囲としてI−V測定を行った.
(結果と考察)
図3は、比較例1及び実施例1〜3のドープ前後の素子のXRD測定結果であり、図3(a)が比較例1、図3(b)〜(d)がそれぞれ実施例1〜3である。図4は、比較例2、実施例4、5のドープ前後の素子のXRD測定結果であり、図4(a)が比較例2、図4(b),(c)がそれぞれ実施例4、5である。図5は、比較例1、実施例1の素子に電圧を印加した際のIVカーブである。図6は、実施例1の加熱温度とX線回折パターンとの関係図である。図3に示すように、実施例1〜3では、ドープ溶液を用いて金属イオンのドープ処理を行うことで結晶構造が変化し、Liが吸蔵された2、6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムの結晶構造を形成することが分かった。また、図4に示すように、実施例4、5においても、ドープ溶液を用いて金属イオンのドープ処理を行うことで結晶構造が変化し、Liが吸蔵された4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの結晶構造を形成することが分かった。
また、図5に示すように,ドープ溶液を用いてドープ処理を行った実施例1では、電流応答が確認されるのに対して,未処理の比較例1では、電流応答がほとんどないことが分かった。即ち、ドープ処理を行ったサンプルでは,電子伝導性を有しており,未処理のサンプルでは電子伝導性は低く、絶縁性を示すことが分かった。また、実施例2、3の素子においても,実施例1と同様の結晶構造が得られ、電流が流れることを確認した。
また、図6に示すように,実施例1の素子を昇温させた際の結晶構造の変化を確認したところ、実施例1の素子では、180℃付近までドープ処理により形成された結晶構造を維持し、280℃付近以上でドープ処理していない初期の構造へと変化することがわかった。図7に示すように、400℃まで加熱したあとの素子の結晶構造は、未処理の結晶構造と同じXRDパターンを示した。このことから、ドープ処理により形成された結晶構造は電子伝導性を有するため、実施例1の素子は、180℃付近まで電流を流す。一方、更に昇温を続けると絶縁性を示す未処理の結晶構造へと変化することから、280℃付近で電流を遮断できることが予想された。以上の結果から、昇温過程での電流遮断機能を利用し、例えば,蓄電池等の電流端子接続部分に用いることが予想できた。例えば、ドープ溶液によりドープ処理した芳香族ジカルボン酸ジリチウム塩材料を電流端子に接続することにより、異常温度上昇時などにおける電流遮断機構へ応用することができることがわかった。
本発明は、電池産業に利用可能である。
10 二次電池、20 電流遮断素子、21 電池側端子、22 外部端子、24 結晶性材料層。

Claims (12)

  1. 温度に応じて導電性と絶縁性とを示す電流遮断素子であって、
    金属イオンをドープした芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む、
    電流遮断素子。
  2. 前記金属イオンをドープした結晶性材料は、式(1)の構造を有する、請求項1に記載の電流遮断素子。
  3. 前記金属イオンをドープした結晶性材料は、式(2)〜(4)のいずれか1以上の構造を有する、請求項1又は2に記載の電流遮断素子。
  4. 前記結晶性材料は、2,6−ナフタレンジカルボン酸アルカリ金属塩、4,4’−ビフェニルジカルボン酸アルカリ金属塩及びテレフタル酸アルカリ金属塩のうち1以上であり、
    前記金属イオンは、アルカリ金属イオンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電流遮断素子。
  5. 前記結晶性材料は、第1温度では電流が通る第1の結晶構造を有し、第1温度より高い所定の第2温度以上では電流が通らない第2の結晶構造を有する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電流遮断素子。
  6. 前記電流遮断素子には導電材が含まれていない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電流遮断素子。
  7. 温度に応じて導電性と絶縁性とを示す電流遮断素子の製造方法であって、
    還元状態の芳香族炭化水素化合物と金属イオンとを含むドープ溶液に、芳香族ジカルボン酸金属塩の結晶性材料を含む素子を入れることにより前記金属イオンを前記素子へドープする工程、を含む電流遮断素子の製造方法。
  8. 前記ドープ溶液は、次式(5)及び式(6)のうち1以上である前記芳香族炭化水素化合物を含む、請求項7に記載の電流遮断素子の製造方法。
  9. 前記ドープ溶液は、ナフタレン、ビフェニル、オルトターフェニル、アントラセン及びパラターフェニルのうち1以上である前記芳香族炭化水素化合物を含む、請求項7又は8に記載の電流遮断素子の製造方法。
  10. 前記ドープ溶液は、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンのうち1以上である前記金属イオンを含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の電流遮断素子の製造方法。
  11. 前記ドープ溶液は、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン及びジオキサンのうち1以上の溶媒を含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の電流遮断素子の製造方法。
  12. 前記ドープ溶液は、次式(7)及び式(8)のうち1以上により得られたものである、請求項7〜11のいずれか1項に記載の電流遮断素子の製造方法。
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