(本開示の基礎となった知見)
以下、本開示の基礎となった知見について説明する。
(日本の医療保険制度)
まずは、本開示の背景となる日本の医療保険制度を説明する。日本の医療保険制度は別名「国民皆保険制度」と呼ばれているように、日本国民は、国民健康保険(自営業者など向け)、健康保険(会社員など向け)、共済組合保険(公務員など向け)、船舶保険(船員など向け)、及び後期高齢者医療保険(75歳以上の人向け)として知られるいずれかの公的医療保険に加入する。これによって、日本国民は、実際にかかった治療費の7割以上が、公的医療保険によって保障されている。
上記の公的医療保険を医療保険制度全体の1階部分とみなすと、民間の保険会社が提供する保険は、2階部分を構成し、公的医療保険を補完する役割が期待されている。具体的には、入院した際の入院費や入院に伴う収入減を補う役割、又は、癌など特定疾患にかかった際に要する手術費など治療費が膨らむ際の費用補填を行う役割が期待される。
また、この2階建ての状況を平成25年の厚生労働省のデータ(平成25年度「国民医療費の概況」)から金額ベースの概略として見ると、公的医療保険による負担が39兆5000億円、個人負担が5000億円、民間保険の保険金支払いが約1兆円であり、公的医療保険の役割の大きさとともに、個人負担分を超える金額が民間保険の支払いで補填される様子が伺える。
(保険の仕組み)
続いて、保険の仕組みを簡単に説明する。保険は大きく三分野に大別される。
第一分野は、生命保険として分類される分野であり、人の生存又は死亡に関して保険契約としてあらかじめ約定された保険金が、生命保険会社から支払われる保険である。
第二分野は、損害保険として分類される分野であり、一定の偶然の事故によって生じた損害額に応じて保険金を支払う保険のことであり、例えば、自動車保険、火災保険などの同分野の保険に分類される。また、ペットが罹患した際の治療費が保険金として支払われるペット保険もこの分野に含まれる。
第三分野は、第一分野、第二分野のいずれにも当てはまらない保険の総称であり、医療分野の保険(医療保険、がん保険、介護保険など)が代表例であり、疾病等に罹患した場合、所定の給付金が保険金として支払われる。本明細書においては、このような給付金を含む意味で「保険金」との用語を用い、以降、特に記載しない限り、保険金及び給付金を併せて「保険金」と記載する。
ここで、保険の基本的な仕組みを、生命保険の中でも死亡保障を行う定期保険を例として説明する。
図1は、保険料の構成を示す図である。図1に示すように、保険料は、付加保険料と純保険料との2つからなる。付加保険料は、営業保険料とも呼ばれ、保険を販売する営業関係の費用、保険を管理するバックエンドシステムのコスト、保険会社の社員の人件費などの保険を商品として販売及び維持する上で必要な費用が含まれる。これに対して、純保険料は、保険料のうち、保険事故が起きたときに保険会社が支払う保険金に当てられる部分を言う。
次に、純保険料を簡易化して説明する。例として、期間が1年間の生命保険において、被保険者が100人、被保険者が支払う年間保険料の中で純保険料相当分が1万円、集めた保険料を保険会社が運用する際の金利を簡単のために0%と設定し、被保険者の中で1名が期間の末に死亡する場合を考える。なお、実際の死亡率は、例えば、後述する図2に示される生命表を用いて計算され、0歳時に100000人が生まれたと過程し、1年経過する毎に何人死亡し、何人が生存しているかを示す統計に基づいて厳密に計算されている。
上記の例では、被保険者から合計100万円が保険料として保険会社に支払われ、1名の死亡者に対して100万円が支払われる。このように、保険会社が純保険料として集めたお金(収入保険料の原価)は、所定の事象(この場合、死亡)が発生した場合に支払われる保険金(支払い保険金の総額)に等しくなるように、保険商品は設計されている。
前述の例においては、人の生死によって保険金が発生する生命保険について説明したが、医療保険においては、例えば、入院日数に応じた保険金(入院1日毎に10000円が給付金として被保険者に支払われる保険金)や、心疾患など特定の疾患になった場合に10万円などが保険金として支払われる商品形態が一般的である。この場合、保険料、特に純保険料の計算にあたっては、前述の生命保険と同様に、被保険者の中で、どれだけの比率の人が入院するかを示す入院率や、特定の疾患に罹患するかの罹患率に基づいて算出される。
(リスク細分化保険に関して)
これまでの医学の進歩に伴い、血圧、血糖値などの様々なバイタルデータ、及び食生活や喫煙有無などの生活習慣が、死亡確率、入院率、及び特定の疾患に罹患する確率に影響することが分かってきている。
図2は、生命表の一部抜粋を示す図である。例えば、図2に示す生命表が作成される際には、喫煙者と非喫煙者が区別されることなく、喫煙者と非喫煙者との両方が母集団に含まれるようにして統計処理が行われ、40歳から41歳になるまでに126人が死亡することになる。これに対して、喫煙者に限定した生命表を作成したとすると、喫煙者は様々な疾患にかかりやすいことが判明しているため、例えば、40歳から41歳になるまでの死亡者数が126人を超えることがわかっている。また、非喫煙者に限定した生命表を作成したとすると、40歳から41歳になるまでに死亡する人数は126人より少なくなる。
また、血圧値に関しても、正常血圧を維持している人に対して、血圧が高い人(高血圧者)は、虚血性疾患(虚血性心疾患)などに罹患し、入院する可能性が高い、つまり入院率が高いこともわかってきている。
上記の既存の医療保険では、同一の保険商品を保有する、健康管理を適切に行っていた被保険者と、健康管理を怠ってきた被保険者とが、同じ疾患に罹患した場合に支払われる保険金が同額であった。しかしながら、健康管理の有無にかかわらず、同額の保険金が支払われると、健康管理を適切に行ってきた被保険者は、これまで行ってきた健康管理がまったく報われないという気持ちになる。また、健康管理をしても、病気になる時はなり、健康管理の努力は無駄だったという闘病する際にマイナス要因となる気持ちを生じさせるという課題があった。
このよう状況に対して、最近では、一般にリスク細分化保険と称される保険が発売されている。すなわち、リスク細分化保険では、バイタルデータや生活習慣が、死亡率、入院率、特定疾患への罹患率に関わることが判明しており、被保険者の各々の生活習慣やバイタルデータから算出されるリスクに基づいて保険料が設定される。
一例として、一定期間の死亡保険(20年などの保険期間中に死亡した場合に所定の保険金が支払われる保険)においては、前述の喫煙者向けの生命表と非喫煙者向けの生命表との差異により、喫煙者と非喫煙者との間で保険料に差異をつけ、同じ保障を得るのに、喫煙者が支払うべき保険料が、非喫煙者が支払うべき保険料より高く設定された生命保険商品が既に販売されている。また、同様の例として、血圧をはじめとする複数のバイタルデータが正常な人と、血圧又はその他のバイタルデータが正常でない人とに対して、異なる保険料が設定された保険商品が既に発売されている。
(リスク細分化保険の海外事例)
また、前述のリスク細分化保険をさらに進めた事例として、被保険者が行う多種多様な健康活動(最適体重の維持、血圧などのバイタルデータの定常的な測定、予防接種、健康な食生活、健康サプリメントの取得、運動習慣、ストレス状況の改善、健康なライフスタイル、健康教育の受講など)の状況及び進捗を日々保険会社が監視することが行われている。また、それぞれの健康活動をポイント化し、取得したポイントの蓄積に応じて、翌年の保険料を低減する保険商品が商品化されている。この保険は、前述のリスク細分化保険の考え方を、健康に繋がる生活全般に拡大したものと捉えることができ、現在、被保険者は、日々の健康活動を通じて、通常保険料から5〜15%程度の割引を受けることが可能となっている。
(日本におけるリスク細分化保険の課題)
前述の海外事例においては、バイタルデータや生活習慣に応じて保険料が5〜15%程度低減される事例を示した。この事例を日本に当てはめて考えてみると、前述のように日本の医療保険制度においては、公的医療保険による医療費負担が極めて大きく、民間の医療保険は、金額的には公的医療保険を補うものとなっているため、実際に被保険者が民間の医療保険向けに支払っている保険料は、月額数千円程度が一般的である。
つまり、民間の医療保険において、保険会社が被保険者のリスクを細分化し、各保険者に応じて保険料を低減したとしても、海外における保険料の低減率を参考とすると、たかだか数百円程度の金額が減額されるに過ぎない。これは、被保険者の立場になると、血圧や血糖値を維持するために毎日適切な食事を適量摂取する、毎日10000歩歩く、健康の知見を高めるための教育を受ける等の日々の健康努力を行ったとしても、それによって得られる金銭的メリットが月額数百円となることを意味し、健康努力に見合わないと感じる被保険者が多くなることが予想される。
(生体情報及び生活習慣の取得に関する技術の進歩)
一方、近年、技術の進歩に伴い、被保険者が自身のバイタルデータを高頻度又は連続で計測及び記録したり、生活習慣を計測及び記録したりすることが手軽にできるようになっている。
例えば、従来の血圧計であれば、被保険者は血圧を測定する際に、血圧計を取り出し、上腕や手首にカフと呼ばれる締め付ける器具を巻きつけ、カフに所定の加圧を行うことによって、血圧を測定する必要があった。つまり、従来の血圧測定においては、被保険者にかかる手間や時間を鑑みると、頻繁な計測は困難であった。
これに対して、近年、カフによる締め付けなしに、血圧を測定する技術が実用化されつつある(例えば、http://maisense.com/en/参照)。この場合、カフによる締め付けなしで、より高頻度に又は連続的に血圧の測定が可能となる。このように、上腕や手首に取り付けるウェアラブル形態の血圧計を用いて、血圧を高頻度に計測したり、血圧を連続的に常時計測したりすることが可能となりつつある。
また、別の例では、血糖値の測定方法も技術革新により変わりつつある。従来、血糖値を計測するには、被計測者は、自らの指先などを侵襲の針で突き刺し、採血する必要があった。このため、糖尿病を始めとする疾病に罹患しないために、血糖値管理の重要性が認識されてもなお、普通の人が普段の生活の中で手軽に血糖値を測定及び管理するには至っていない。
しかしながら、近年の技術進歩に伴い、採血を行うことなく、クリップを耳たぶに挟む等により皮膚を通して血管に特定の光を当てて、その反射光や透過光から血糖値を計測する技術開発が進められている。このように、耳たぶを挟み込むなどの採血なしの方法で、血糖値を高頻度又は連続的に測定することも可能となりつつある。
また、別の例では、宅内の家電機器を使った生活習慣及び宅内環境の計測も実用可能となってきた。例えば、冷蔵庫の開閉回数を検知したり、冷蔵庫内の食品の状況(何が入っているのか、いつ使われたのか等)を冷蔵庫内に設置されたカメラの映像を画像解析することによって把握したりすることにより、家庭における食生活、例えば、自炊が多いのか、外食が多いのか、肉類の消費が多いのか、野菜も適量摂取しているのか等を推測することが可能となってきている。さらに、オーブンレンジや、電子レンジ内に入れられた料理を解析することによっても、健康管理に重要な食生活の状況を計測することが可能となってきた。
また、エアコンに付属の温度センサによって脳溢血などに繋がる宅内の極端な温度変化を検知したり、エアコンに付属の人感センサによって人の動きや運動量を捉えたりすることも可能となっている。
ここまで述べてきたように、これまで病院でないと計測できない、すなわち、宅内で計測することができなかった又は宅内での計測が困難であったバイタルデータの高頻度計測及び常時計測、これらの計測結果の蓄積、並びに、生活習慣の取得及び蓄積が容易となってきた。
上記知見に基づき、本願発明者らは、バイタルデータ及び/又は生活習慣データを用いて疾病の種類毎に保険金の取り扱いを如何に設定すべきかについて鋭意検討を行った結果、複数のバイタルデータ及び/又は複数の生活習慣データを基に、疾病の種類毎に被保険者に支払われる保険金の金額を初期値として設定し、さらに、バイタルデータ及び生活習慣データの維持及び改善によって、被保険者に支払われる保険金を疾病の種類毎に補正することを案出し、本開示を完成したものである。
この構成によれば、被保険者が健康管理を行うにあたって、被保険者のバイタルデータや生活習慣をどう改善すれば、どのような疾患になる可能性が減じられるかを、保険金という分かりやすい指標で理解できるというメリットがある。かかるメリットによって被保険者が健康の維持向上に努め、幸運にもいかなる疾病にも罹患せず、健康が維持できた場合は、何ものにも代え難い健康を維持できたという多大なメリットが得られる。一方、不幸にも罹患した場合には、健康管理を適切に行ってきた被保険者に対して、支払われる保険金が増額される。
この結果、これまでの健康管理努力が報われたと感じられるとともに、増額された保険金を使うことによって、闘病するにあたっての様々なサポート、例えば、入院の際の病室をより快適な個室に変更したり、闘病を後押しする健康食品を購入できたりする等、健康管理を行ってきたのと同様のモチベーションで闘病を続けることが可能となる。
上記の知見に基づく、本開示の一態様に係る保険金算出装置は、疾病の種類に応じた保険金を算出する装置であって、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む検出データを取得する取得部と、前記検出データと、少なくとも前記被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に保険金を決定する決定部とを備える。
このような構成により、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む検出データを取得し、取得した検出データと、少なくとも被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、疾病の種類毎に保険金を決定しているので、被保険者のバイタルデータ及び/又は生活習慣に応じて、疾病の種類毎に保険金の取り扱いを適切に設定することができ、被保険者に適切な健康管理を促すことができるとともに、疾病に罹患した場合でも闘病に対するモチベーションを向上することができる。
前記取得部は、前記被保険者の保険契約前のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む初期検出データを取得し、前記決定部は、前記初期検出データと、前記被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に保険金の初期値を決定する初期値決定部を含むようにしてもよい。
このような構成により、被保険者の保険契約前のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む初期検出データを取得し、取得した初期検出データと被保険者データとを基に、疾病の種類毎に保険金の初期値を決定しているので、被保険者の保険契約前のバイタルデータ及び/又は生活習慣に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値を適切に決定することができ、保険契約前の被保険者に適切な健康管理を促すことができる。
上記保険金算出装置は、前記初期検出データに対して相関を有する疾病の種類毎に、前記初期検出データを複数の区分に分類し、各区分及び前記被保険者の年齢に対して保険金の初期値が設定された複数の保険金初期値テーブルを記憶する保険金初期値記憶部をさらに備え、前記決定部は、前記複数の保険金初期値テーブルを用いて、前記疾病の種類毎に保険金の初期値を決定するようにしてもよい。
このような構成により、初期検出データに対して相関を有する疾病の種類毎に、初期検出データを複数の区分に分類し、各区分及び被保険者の年齢に対して保険金の初期値が設定された複数の保険金初期値テーブルを用いて、疾病の種類毎に保険金の初期値を決定しているので、初期検出データの区分及び被保険者の年齢に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値を正確に且つきめ細かく決定することができ、保険契約前の被保険者により適切な健康管理を促すことができる。
前記取得部は、前記被保険者の保険契約後のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む契約後検出データを取得し、前記決定部は、前記初期検出データと、前記契約後検出データと、前記被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に前記保険金の初期値を補正する補正部を含むようにしてもよい。
このような構成により、被保険者の保険契約後のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む契約後検出データを取得し、初期検出データと、契約後検出データと、被保険者データとを基に、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正しているので、被保険者の保険契約後のバイタルデータ及び/又は生活習慣の変化に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値を適切に補正することができ、保険契約後の被保険者に適切な健康管理を促すことができるとともに、疾病に罹患した場合でも闘病に対するモチベーションを向上することができる。
上記保険金算出装置は、前記契約後検出データの変化及び前記疾病の種類に対して補正保険金が設定された保険金補正テーブルを記憶する補正保険金記憶部をさらに備え、前記補正部は、前記保険金補正テーブルを用いて、前記疾病の種類毎に前記保険金の初期値を補正するようにしてもよい。
このような構成により、契約後検出データの変化及び疾病の種類に対して補正保険金が設定された保険金補正テーブルを用いて、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正しているので、契約後検出データの変化に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値を正確に且つきめ細かく補正することができ、保険契約後の被保険者により適切な健康管理を促すことができるとともに、疾病に罹患した場合でも闘病に対するモチベーションをより向上することができる。
前記取得部は、前記被保険者の前記バイタルデータを検出するバイタル検出装置から前記バイタルデータを取得し、上記保険金算出装置は、前記取得部により取得された前記バイタルデータを蓄積するバイタル蓄積部をさらに備え、前記補正部は、前記バイタル蓄積部に蓄積された前記バイタルデータの変化を基に、疾病の種類毎に前記保険金の初期値を補正するようにしてもよい。
このような構成により、被保険者のバイタルデータを検出するバイタル検出装置からバイタルデータを取得し、取得したバイタルデータを蓄積し、蓄積したバイタルデータの変化を基に、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正しているので、蓄積した契約後のバイタルデータの継続的な変化に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値をより正確に補正することができる。
前記取得部は、前記被保険者の前記生活習慣データを検出する生活習慣検出装置から前記生活習慣データを取得し、上記保険金算出装置は、前記取得部により取得された前記生活習慣データを蓄積する生活習慣蓄積部をさらに備え、前記補正部は、前記生活習慣蓄積部に蓄積された前記生活習慣データの変化を基に、疾病の種類毎に前記保険金の初期値を補正するようにしてもよい。
このような構成により、被保険者の生活習慣データを検出する生活習慣検出装置から生活習慣データを取得し、取得した生活習慣データを蓄積し、蓄積した生活習慣データの変化を基に、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正しているので、蓄積した契約後の生活習慣データの継続的な変化すなわち生活習慣の継続的な変化に応じて、疾病の種類毎に保険金の初期値をより正確に補正することができる。
前記取得部は、前記被保険者の前記バイタルデータを検出するバイタル検出装置から前記バイタルデータを取得するとともに、前記被保険者の前記生活習慣データを検出する生活習慣検出装置から前記生活習慣データを取得し、上記保険金算出装置は、前記取得部により取得された前記バイタルデータ及び前記生活習慣データを継続的に記憶し、前記バイタルデータ及び前記生活習慣データの推移と、所定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報を蓄積する疾患データベース部をさらに備え、前記補正保険金記憶部は、前記疾患データベース部を参照して、前記保険金補正テーブルを補正し、前記補正部は、前記補正された保険金補正テーブルを用いて、前記疾病の種類毎に前記保険金の初期値を補正するようにしてもよい。
このような構成により、被保険者のバイタルデータを検出するバイタル検出装置からバイタルデータを取得するとともに、被保険者の生活習慣データを検出する生活習慣検出装置から生活習慣データを取得し、取得したバイタルデータ及び生活習慣データを継続的に記憶し、記憶しているバイタルデータ及び生活習慣データの推移と、所定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報を蓄積する疾患データベース部を参照して、保険金補正テーブルを補正し、補正した保険金補正テーブルを用いて、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正しているので、継続的に蓄積されたバイタルデータ及び生活習慣の推移と、所定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報を用いて保険金補正テーブルを正確に補正することができ、この正確に補正された保険金補正テーブルを用いて、疾病の種類毎に保険金の初期値をより正確に補正することができる。
上記保険金算出装置は、前記契約後検出データと、前記被保険者データとを基に、所定の疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成するアドバイス作成部と、前記アドバイス情報と、前記補正部により補正された保険金に関する情報とを前記被保険者の端末に通知する通知部とをさらに備えるようにしてもよい。
このような構成により、契約後検出データと、被保険者データとを基に、所定の疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成し、作成したアドバイス情報と、補正された保険金に関する情報とを被保険者の端末に通知しているので、被保険者が何をすればさらに各種疾患に罹患するリスクを低減できるかを容易に理解することが可能となり、被保険者の更なる健康努力を後押しすることができる。
前記アドバイス作成部は、前記被保険者の行動情報を収集し、前記行動情報を基に、前記被保険者の健康を改善する代替行動を前記アドバイス情報として作成し、前記通知部は、前記代替行動を前記被保険者の端末に通知するようにしてもよい。
このような構成により、被保険者の行動情報を収集し、収集した行動情報を基に、被保険者の健康を改善する代替行動をアドバイス情報として作成し、作成した代替行動を被保険者の端末に通知しているので、被保険者が何をすればさらに各種疾患に罹患するリスクを低減できるかを具体的に理解することが可能となり、被保険者の更なる健康努力をより後押しすることができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備える保険金算出装置として実現することができるだけでなく、保険金算出装置が備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行する保険金算出方法などとして実現することもできる。また、このような保険金算出方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の保険金算出装置と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る保険金算出方法は、疾病の種類に応じた保険金を算出する方法であって、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む検出データを取得し、前記検出データと、少なくとも前記被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に保険金を決定する。
本開示の他の態様に係る保険金算出プログラムは、疾病の種類に応じた保険金を算出する装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データのうち少なくとも一方を含む検出データを取得し、前記検出データと、少なくとも前記被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、前記疾病の種類毎に保険金を決定する、処理を実行させる。
また、このようなコンピュータプログラムを、CD−ROM等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体又はインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図3は、本開示の一実施の形態に係る保険金算出システムの構成の一例を示すブロック図である。図3に示す保険金算定システムは、バイタル検出装置10、生活習慣検出装置20、携帯端末30、及び保険金算出装置40を備える。
バイタル検出装置10、生活習慣検出装置20、携帯端末30、及び保険金算出装置40は、インターネット、専用回線等の所定の有線又は無線のネットワークNTを介して、通信可能に接続されている。
なお、図示を容易にするために、図3では、1台のバイタル検出装置10、1台の生活習慣検出装置20、及び1台の携帯端末30を図示しているが、この例に特に限定されず、一人の被保険者(被保険者となりうる人も含む)が複数台のバイタル検出装置、生活習慣検出装置及び携帯端末を用いていてもよいし、複数の被保険者が本保険金算定システムを利用する場合は、被保険者毎に1台又は複数台のバイタル検出装置、生活習慣検出装置及び携帯端末を用いてもよい。
バイタル検出装置10は、例えば、バイタルデータ(生体情報)を取得できるスマートウォッチ等のウェアラブル機器等から構成される。バイタル検出装置10は、被保険者(保険加入者)の血圧値や血糖値に代表されるバイタルデータを検出し、検出したバイタルデータを、ネットワークNTを介して保険金算出装置40に送信する。なお、バイタル検出装置10は、上記の例に特に限定されず、種々のバイタルデータを検出する種々のバイタル検出装置を用いることができる。
生活習慣検出装置20は、例えば、通常の家電機能等に加えて、生活習慣データを検出する機能を有する冷蔵庫、オーブンレンジ、電子レンジ、エアコン、空気清浄機等から構成される。生活習慣検出装置20は、喫煙などの被保険者の生活習慣データを検出し、検出した生活習慣データを、ネットワークNTを介して保険金算出装置40に送信する。なお、生活習慣検出装置20は、上記の例に特に限定されず、種々の生活習慣データを検出する種々の生活習慣検出装置を用いることができる。
保険金算出装置40は、例えば、プロセッサ、メモリ、及び外部記憶装置等を備えるクラウドサーバ等から構成される。保険金算出装置40は、バイタル検出装置10から被保険者のバイタルデータと、生活習慣検出装置20から被保険者の生活習慣データとを検出データとして受信し、受信した検出データと、後述する被保険者データとを基に、疾病の種類毎に保険金(保険金及び/又は給付金の初期値、並びに補正後の保険金及び/又は給付金)を決定する。
ここで、疾病の種類としては、例えば、診療報酬明細書、調剤報酬明細書及び訪問看護療養費明細書等のレセプトに記載される疾病の区分を用いることができる。なお、疾病の種類は、この例に特に限定されず、例えば、成人病、悪性腫瘍、内臓疾患、外傷等の大分類毎に保険金を決定したり、医学的に細分化された疾病毎に保険金を決定したりする等の種々の変更が可能である。
また、保険金算出装置40は、被保険者の保険契約後の契約後検出データと、被保険者データとを基に、所定の疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成し、作成したアドバイス情報と、決定した保険金に関する情報とを、ネットワークNTを介して携帯端末30に送信する。
携帯端末30は、例えば、スマートフォン等から構成され、保険金算出装置40から送信されたアドバイス情報及び保険金に関する情報等を表示し、被保険者に通知する。なお、携帯端末30は、上記の例に特に限定されず、タブレット、据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータ等の他の端末を用いてもよい。
図4は、図3に示すバイタル検出装置10、生活習慣検出装置20、及び保険金算出装置40の構成の一例を示すブロック図である。なお、図4では、図示を容易にするためにネットワークNTの図示を省略している。
バイタル検出装置10は、バイタル検出部11、バイタル記憶部12、及び送信部13を備える。生活習慣検出装置20は、生活習慣検出部21、生活習慣記憶部22、及び送信部23を備える。保険金算出装置40は、受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB(データベース)44、初期保険金算定部45、保険金初期値記憶部46、第1疾患DB(データベース)47、保険金記憶部48、アドバイス作成部49、通知部50、保険金補正部51、保険金補正値記憶部52、第2疾患DB(データベース)53を備える。
まず、本実施の形態の保険金算定システムにおいて、保険金の初期値がどのようにして決定されるかについて、図4を用いて説明する。
バイタル検出装置10のバイタル検出部11は、血圧などの被保険者のバイタルデータを計測して検出する。バイタル記憶部12は、バイタル検出部11によって検出されたバイタルデータを一旦蓄積する。送信部13は、初期検出データとして、バイタル記憶部12に蓄積されているバイタルデータを保険金算出装置40に送信する。
なお、本実施の形態では、バイタル検出装置10を使ってバイタルデータを検出し、保険金算出装置40に送信するものとしたが、この例に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、保険勧誘員が健康診断で測定された被保険者のバイタルデータを手入力で保険金算出装置40に入力してもよいし、健康診断で測定されたバイタルデータが印字された紙を、図に記載しない健康診断読み取り装置などで文字列として読み取り、読み取った文字列を保険金算出装置40に入力してもよい。
生活習慣検出装置20の生活習慣検出部21は、喫煙の状態などの被保険者の生活習慣データを取得して検出する。生活習慣記憶部22は、生活習慣検出部21によって検出された生活習慣データを一旦蓄積する。送信部23は、初期検出データとして、生活習慣記憶部22に蓄積されている生活習慣データを保険金算出装置40に送信する。
なお、本実施の形態では、生活習慣検出装置20を使って生活習慣データを検出し、保険金算出装置40に送信するものとしたが、この例に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、保険勧誘者が、被保険者となりうる人からヒアリングして、保険金算出装置40に入力してもよいし、被保険者となりうる人が保険加入前から蓄積していた生活習慣データを保険金算出装置40に入力してもよい。また、例えば、被保険者となりうる人が保有する冷蔵庫などの家電機器に蓄積されるデータが、冷蔵庫などの家電機器の販売事業者又は開発事業者が保有するクラウドサーバ等に蓄積されている場合には、販売事業者又は開発事業者が保有する生活習慣データを、保険金算出装置40に入力するなどしてもよい。
つまり、保険金算出装置40が保険金の初期値を算定するために必要とされるバイタルデータや生活習慣データの取得に関して、バイタルデータや生活習慣データの信頼性が高い限りにおいて方法は問わない。また、本実施の形態では、初期検出データとして、バイタルデータ及び生活習慣データの両方を用いているが、バイタルデータ及び生活習慣データのうち一方のみを用いてもよい。
保険金算出装置40は、保険金の初期値を算定するために、バイタル検出装置10によって取得されたバイタルデータと、生活習慣検出装置20によって取得された生活習慣データとを受信部41で受信し、バイタルデータをバイタル蓄積部42に蓄積し、生活習慣データを生活習慣蓄積部43に蓄積する。個人情報DB44は、被保険者となりうる人の年齢や性別等を含む個人情報(被保険者データ)を予め記憶している。
初期保険金算定部45は、バイタル蓄積部42及び生活習慣蓄積部43から得られるバイタルデータ及び生活習慣データを第1の入力とし、個人情報DB44に記憶されている被保険者となりうる人の年齢や性別などの被保険者データを第2の入力とし、疾病の種類毎の保険金初期値テーブルが記憶されている保険金初期値記憶部46を参照し、各疾病に罹患して入院した際に支払われる保険金の初期値を算出する。初期保険金算定部45は、算出した保険金の初期値を、保険金記憶部48に記憶させるとともに、アドバイス作成部49及び通知部50に出力する。
なお、被保険者データの取得方法は、上記の例に特に限定されず、被保険者データを記憶する他のサーバ等から取得する等の種々の変更が可能である。また、被保険者データに含まれる情報も上記の例に特に限定されず、少なくとも被保険者の年齢を含む情報であればよく、また、身長、体重、家族構成等の他の情報を含むようにしてもよい。
次に、保険金初期値記憶部46に記憶されている疾病の種類毎の保険金初期値テーブルの一例について説明する。図5は、図4に示す保険金初期値記憶部46に記憶される、血圧値及び年齢に対する保険料と虚血性疾患に罹患したときの保険金とを規定した虚血性疾患用保険金初期値テーブルの一例を示す図である。
図5に示す虚血性疾患用保険金初期値テーブルは、被保険者の血圧値及び年齢に基づいて、血圧値の高低と罹患確率に強い相関を持つ虚血性疾患になって入院した際の入院日額として支払われる保険金(給付金)を示す保険金初期値テーブルである。この保険金初期値テーブルでは、血圧値を、至適、正常、正常高値、I度高血圧、II度高血圧、III度高血圧の区分に分類し、各区分及び年齢に対して保険料及び保険金が設定されている。例えば、41歳のI度高血圧の人が支払う保険料は月額1100円であり、同じ人が虚血性疾患に罹患して入院した場合、日額8000円が給付金(保険金の初期値)として支払われることを表している。
図6は、図4に示す保険金初期値記憶部46に記憶される、血糖値及び年齢に対する保険料と糖尿病に罹患したときの保険金とを規定した糖尿病用保険金初期値テーブルの一例を示す図である。
図6に示す糖尿病用保険金初期値テーブルは、保険金初期値テーブルの別の例であり、被保険者の血糖値及び年齢に基づいて、血糖値の高低と罹患確率に強い相関を持つ糖尿病になって入院した際の入院日額として支払われる保険金(給付金)を示す保険金初期値テーブルである。この保険金初期値テーブルでは、血糖値を、正常、正常高値、境界域等の区分に分類し、各区分及び年齢に対して保険料及び保険金が設定されている。例えば、42歳で血糖値が境界域の被保険者が支払う保険料は月額1200円であり、同じ人が糖尿病に罹患して入院した場合、日額8000円が給付金(保険金の初期値)として支払われることを表している。
図7は、図4に示す保険金初期値記憶部46に記憶される喫煙暦及び年齢に対する保険料と肺がんに罹患したときの保険金とを規定した肺がん用保険金初期値テーブルの一例を示す図である。
図7に示す肺がん用保険金初期値テーブルは、保険金初期値テーブルのさらに別の例であり、被保険者の喫煙暦及び年齢に基づいて、喫煙暦と罹患確率に強い相関を持つ肺がんになって入院した際の入院日額として支払われる保険金(給付金)を示すテーブルである。この保険金初期値テーブルでは、喫煙状態を、喫煙歴無、喫煙中、禁煙1年以上、禁煙3年以上、禁煙5年以上の区分に分類し、各区分及び年齢に対して保険料及び保険金が設定されている。例えば、42歳で喫煙中の被保険者が支払う保険料は月額1200円であり、同じ人が肺がんに罹患して入院した場合、日額5000円が給付金(保険金の初期値)として支払われることを表している。
ここで重要なことは、被保険者が保険商品を購入するにあたって、購入時のバイタルデータや生活習慣データに基づき、バイタルデータや生活習慣と相関の高い疾病の種類毎に保険金(給付金)の金額(初期値)が設定されることである。
図8は、保険加入時の疾病の種類毎の保険金の初期値の一例を示す図である。例えば、被保険者が40歳であり、血圧がII度高血圧であり、血糖値が境界域であり、禁煙期間が1年以上であるとすると、図5〜図7で示した各保険金初期値テーブルから、図8に示されるように、虚血性疾患になって入院した際には日額6000円、糖尿病で入院した際には日額8000円、肺がんで入院した際には日額6000円が、保険加入時の疾病の種類毎の保険金の初期値となる。
このように、疾病の種類を問わず入院が発生したら一律の金額が支払われるのではなく、保険加入時(被保険者の保険契約前)の各バイタルデータや各生活習慣データと、それぞれ相関の強い疾患に対して異なる保険金が設定されるため、被保険者の立場を鑑みると、保険加入時にどの疾患に重点的に気を付けるべきかが、図8に示す疾病の種類毎の保険金の初期値によって表される数値で明確となり、前述の被保険者の場合、血糖値の管理よりも、特に血圧の改善と、禁煙の継続が重要となることが示される。
また、ここまでは、保険金初期値記憶部46の疾病の種類毎の保険金初期値テーブルに基づいて保険金が算出されるものとして説明したが、実際の保険金算定にあたっては、複数のバイタルデータや、複数の生活習慣データに基づいて、疾病の種類毎の保険金初期値を求めてもよい。例えば、虚血性疾患に罹患して入院した際の保険金の初期値を算出する場合において、血圧値だけでなく、血糖値も相関があることが判明している場合であれば、血圧値と血糖値との両方から虚血性疾患に罹患して入院した際の保険金を算出する虚血性疾患用保険金初期値テーブルを用いてもよいし、テーブル形式ではなく、算出式を使ってもよい。
また、保険金初期値記憶部46は、第1疾患DB47に接続され、第1疾患DB47は、種々のバイタルデータ及び生活習慣と種々の疾病との関係性を表す複数の知見情報を予め記憶又は適時追加される。保険金初期値記憶部46は、第1疾患DB47に蓄積されている知見情報に基づいて、保険金初期値テーブルを補正及び更新する。
例えば、生活習慣の1つである通勤時間が長い被保険者の方が、通勤時間が短い被保険者より日々の歩数が多くなり、結果的に健康であるとの知見情報があった場合には、その知見情報を第1疾患DB47に追加して蓄積してもよい。この場合、保険金初期値記憶部46は、第1疾患DB47に蓄積されている知見情報を参照して、疾病の種類毎の保険金初期値テーブルとして、通勤時間に対する各疾病に対する保険金を示す保険金初期値テーブルや算出式を追加して記憶する。
このように、第1疾患DB47には、最新の医学知識に基づいた知見情報が蓄積され、初期保険金算定部45は、この知見情報に基づいた疾病の種類毎の保険金初期値テーブルを記憶している保険金初期値記憶部46を用いて、保険料の初期値を設定する。したがって、バイタルデータ及び生活習慣と特定の疾病との関係がより一層明確となり、被保険者は、最新の医学に基づいた保険料の初期値の設定を通じて、どういったバイタルデータ及び生活習慣の改善が必要であるかを知ることが可能となる。
通知部50は、初期保険金算定部45により算出された保険金の初期値等の情報を、被保険者が使用する携帯端末30に送信する。携帯端末30は、保険金算出装置40から送信された保険金の初期値等の情報を、被保険者に対して提示する。
アドバイス作成部49は、初期保険金算定部45から、保険契約前の初期検出データと、被保険者データと、保険金の初期値とを取得し、所定の疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成して通知部50に出力する。通知部50は、アドバイス作成部49により作成されたアドバイス情報等を、被保険者が使用する携帯端末30に送信する。携帯端末30は、保険金算出装置40から送信されたアドバイス情報等を、被保険者に対して提示する。
次に、上記のように構成された保険金算出装置40の保険金の初期値を決定する初期値決定処理について説明する。図9は、図4に示す保険金算出装置40により保険金の初期値を決定する初期値決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、保険金算出装置40は、被保険者のバイタルデータを取得する処理を行う(ステップS11)。具体的には、受信部41は、バイタル検出装置10によって検出されたバイタルデータを受信して取得し、バイタルデータをバイタル蓄積部42に蓄積し、初期保険金算定部45は、バイタル蓄積部42からバイタルデータを取得する。ここで取得されるバイタルデータは、前述のように血圧計などに代表されるバイタル検出装置10によって検出されてもよいし、健康診断結果を電子的又は紙で取得するなどしてもよく、取得されるバイタルデータの信頼度が高い限りにおいては取得方法を問わない。
次に、保険金算出装置40は、被保険者の生活習慣データを取得する処理を行う(ステップS12)。具体的には、受信部41は、生活習慣検出装置20によって検出された生活習慣データを受信して取得し、生活習慣データを生活習慣蓄積部43に蓄積し、初期保険金算定部45は、生活習慣蓄積部43から生活習慣データを取得する。ここで取得される生活習慣データに関しても、前述のように生活習慣検出装置20によって行ってもよいし、被保険者からのアンケートに基づいてもよいし、生活習慣データの取得が困難である場合においては、生活習慣の取得処理をスキップしてもよい。
次に、保険金算出装置40は、被保険者の少なくとも年齢を取得する(ステップS13)。具体的には、初期保険金算定部45は、個人情報DB44から被保険者の年齢を含む被保険者データを取得する。
次に、初期保険金算定部45は、保険金初期値記憶部46に記憶されている疾病の種類毎の保険金初期値テーブルを参照して、取得済みのバイタルデータ、生活習慣データ、及び年齢に基づいて、疾病の種類毎の保険金の初期値を決定する(ステップS14)。
最後に、通知部50は、初期保険金算定部45により決定された疾病の種類毎の保険金の初期値を携帯端末30に送信し、初期保険金算定部45は、疾病の種類毎の保険金の初期値を保険金記憶部48に設定する(ステップS15)。
次に、上記の保険金の初期値が、被保険者のバイタルデータの推移や、生活習慣の改善によってどのように補正されるかを説明する。
上記の保険金の初期値が設定され、被保険者が保険に加入した後に、上記と同様に、バイタル検出部11で検出された血圧などのバイタルデータは、契約後検出データとして、バイタル記憶部12に蓄積され、送信部13を通して保険金算出装置40に送信される。
また、上記の保険金の初期値が設定され、被保険者が保険に加入した後に、生活習慣検出部21で検出された喫煙の状態や歩数などの生活習慣データは、契約後検出データとして、生活習慣記憶部22に蓄積され、送信部23を通して保険金算出装置40に送信される。なお、本実施の形態では、契約後検出データとして、バイタルデータ及び生活習慣データの両方を用いているが、バイタルデータ及び生活習慣データのうち一方のみを用いてもよい。
バイタル検出装置10によって検出されたバイタルデータは、受信部41によって受信され、バイタル蓄積部42に記憶される。また、生活習慣検出装置20によって検出された生活習慣データは、受信部41によって受信され、生活習慣蓄積部43に蓄積される。
保険金記憶部48には、初期保険金算定部45により算出された保険金の初期値が記憶されている。保険金補正部51は、保険金の初期値を補正するために、バイタル蓄積部42及び生活習慣蓄積部43から得られるバイタルデータ及び生活習慣データを第1の入力とし、保険金記憶部48に記憶されている保険金の初期値を第2の入力とし、必要に応じて、個人情報DB44に記憶されている被保険者の年齢や性別などの被保険者データを第3の入力とし、補正保険金テーブルが記憶されている保険金補正値記憶部52を参照し、各疾病に罹患して入院した際に支払われる保険金の初期値を補正する。保険金補正部51は、補正した保険金を補正後の保険金として、保険金記憶部48に記憶させるとともに、アドバイス作成部49及び通知部50に出力する。
補正後の保険金は、通知部50によって被保険者の携帯端末30に通知されるとともに、補正される毎に、保険金記憶部48に記録されて更新される。
ここで、第1の入力であるバイタルデータや生活習慣データは、被保険者が保険加入後(保険契約後)に計測される契約後検出データである。例えば、宅内や通勤途中などで計測される血圧や血糖値、空気清浄機から検知され得る喫煙の有無、冷蔵庫や電子レンジなどから計測される食生活のデータなど、被保険者の健康に関わる様々なバイタルデータや生活習慣データが第1の入力の対象となる。
次に、保険金補正値記憶部52に記憶されている疾病の種類毎の保険金補正テーブルについて説明する。図10は、図4に示す保険金補正値記憶部52に記憶される、バイタルデータ、生活習慣データ及び疾患リスクに基づいた疾病別の保険金補正テーブルの一例を示す図である。
図10に示す保険金補正テーブルは、契約後検出データの変化及び疾病の種類に対して補正保険金が設定されている。図10の上段に示す例では、例えば、被保険者の血圧がII度高血圧から正常の血圧に改善した場合における、各疾患(虚血性疾患、糖尿病、肺がん)に対する補正保険金Δが示されている。例えば、図8に示した保険金の初期値で契約した被保険者が、前述の血圧改善を達成した場合、虚血性疾患に罹患して入院した際の保険金は当初6000円であったのに対して、補正保険金Δの値がプラス300円であるため、この被保険者が虚血性疾患に罹患して入院した際には、血圧改善に基づいて300円の保険金(給付金)が余分に加算され、日額6300円が保険金として支払われることとなる。
なお、図10では、血圧値が正常になった場合にのみ、保険金を補正するものとしたが、例えば血圧を所定の回数以上計測する(例えば、毎日一回)を行なう被保険者に対して血圧の値によらず保険金を増減させてもよい。医療観点では、図10に示しているように血圧値が正常にならなければ、虚血性疾患のリスクは低減されず、従って保険金を増減させるに至らない。しかし、保険の考え方では、例えば100人が毎日血圧を測定する中で、30人が食事や運動に気をつける等、血圧を下げる行動をとった場合、30人のリスクが低減したことにより保険会社が支払う保険金は低減されることになる。すなわち、毎日血圧を測定する100人に対して、保険金を増減させることができるからである。
同様に、図10の中段に示すように、血糖値が境界域から正常になった際にも、各疾患(虚血性疾患、糖尿病、肺がん)に対する保険金の補正が行われる。この例においては、血糖値の改善は、糖尿病のみならず、虚血性疾患に罹患して入院する確率にも影響するものとし、虚血性疾患に対する保険金の補正も行っている。この例は、血糖値が糖尿病の罹患率と相関があるだけでなく、虚血性疾患の罹患率にも若干の相関がある場合を想定した例である。したがって、血糖値の改善に対して、糖尿病の罹患時の補正保険金Δはプラス400円、虚血性疾患の罹患時の補正保険金Δはプラス100円というように、特定のバイタルデータと各種疾患との相関の大きさに応じて、補正保険金Δの値を設定している。
また、図10の下段に示すように、禁煙を2年以上継続した場合においては、虚血性疾患の罹患時の補正保険金Δはプラス100円、糖尿病の罹患時の補正保険金Δはプラス100円、肺がんの罹患時の補正保険金Δはプラス1000円となっている。これらのバイタルデータ及び生活習慣の改善の積み重ねと、各疾病に対する保険金の補正によって、補正後の保険金が被保険者に提示される。
図11は、保険加入後の疾病の種類毎の補正後の保険金の一例を示す図である。図11に示すように、上記の補正により、例えば、虚血性疾患になって入院した際には日額6500円、糖尿病で入院した際には日額8500円、肺がんで入院した際には日額7000円が、疾病の種類毎の補正後の保険金(給付金)となる。
なお、上記の例では、図10に示す補正保険金テーブルを用いて保険金の補正を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、血圧値、血糖値、生活習慣などのデータを入力とする数式で判定してもよい。また、図10に示す補正保険金テーブルは、バイタルデータ又は生活習慣の改善による保険金の増加額を補正保険金として設定しているが、この例に特に限定されず、例えば、バイタルデータ又は生活習慣が改悪された場合に保険金の減少額を補正保険金として設定する等の種々の変更が可能である。
また、保険金補正値記憶部52は、疾患データベース部の一例である第2疾患DB53に接続されている。第2疾患DB53は、種々のバイタルデータ及び生活習慣と種々の疾病との関係性を表す複数の知見情報を予め記憶するとともに、受信部41を介して、バイタル検出装置10からのバイタルデータ及び生活習慣検出装置20からの生活習慣データを蓄積し、これらのデータに基づく知見情報を適時追加する。保険金補正値記憶部52は、第2疾患DB53に蓄積されている知見情報等に基づいて、補正保険金テーブルを補正及び更新する。
このように、第2疾患DB53は、受信部41により取得されたバイタルデータ及び生活習慣データを継続的に記憶し、バイタルデータ及び生活習慣データの推移と、所定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報を蓄積する。保険金補正値記憶部52は、第2疾患DB53に蓄積された知見情報を用いて、保険金補正テーブルを補正する。保険金補正部51は、補正された保険金補正テーブルを用いて、疾病の種類毎に保険金の初期値を補正する。
この場合の基本的な考え方は、図4で示した保険金初期値記憶部46と同様であるが、保険金補正値記憶部52と保険金初期値記憶部46との違いは、保険金補正値記憶部52が参照する知見情報が、主にバイタルデータの変化量や、生活習慣の変化量に基づいた知見情報であるのに対して、保険金初期値記憶部46が参照する知見情報が、変化量よりも、バイタルデータの瞬時値や生活習慣の瞬時値に基づいた知見情報であることである。
つまり、保険金初期値記憶部46は、定期健診などで計測される一時の血圧の高低に基づいて、特定の疾患に罹患する確率の増減を記載した知見情報を用いて、保険金初期値テーブルを補正するのに対して、保険金補正値記憶部52は、血圧値がどの値から別のどの値に改善したら特定の疾患の罹患率がどれだけ低減されるかのように、バイタルデータ及び生活習慣の変化量に基づいた知見情報を用いて、保険金補正テーブルを補正することになる。
これまで、バイタルデータや生活習慣データの蓄積は、主に健康診断などによる年に1回程度の検査や医師によるヒアリング等によって取得されてきたことから、医学の知見は、年に1回程度の検査に基づいて、将来どれだけ特定の疾患に罹患するかを追跡する研究が主であった。
つまり、第1疾患DB47に蓄積される知見情報は、これまでの医学知見から多く得られる情報である。一方、バイタルデータや生活習慣データの変化値に着目する第2疾患DB53においては、宅内など普段の生活において高頻度又は継続的に検出されたバイタルデータ及び生活習慣データの推移と、特定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報を蓄積している。このように、1年に1回の健康診断でなく、宅内など普段の生活において高頻度又は継続的に蓄積されて研究されるバイタルデータや生活習慣の推移と、特定の疾病に罹患する確率に関する知見情報がより重要度を増すこととなると考えられる。
通知部50は、保険金補正値記憶部52により算出された補正後の保険金等の情報を、被保険者が使用する携帯端末30に送信する。携帯端末30は、保険金算出装置40から送信された補正後の保険金等の情報を、被保険者に対して提示する。
アドバイス作成部49は、保険金補正値記憶部52から、保険契約後の契約後検出データと、被保険者データと、補正後の保険金とを取得し、所定の疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成して通知部50に出力する。通知部50は、アドバイス作成部49により作成されたアドバイス情報等を、被保険者が使用する携帯端末30に送信する。携帯端末30は、保険金算出装置40から送信されたアドバイス情報等を、被保険者に対して提示する。
上記のように、本実施の形態では、第2疾患DB53に蓄積される最新の医学知識と、バイタルデータ及び生活習慣データの推移と、特定の疾病に罹患する確率とに関する知見情報とに基づいて保険金が補正されるため、よりいっそう、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣と、特定の疾病との関係が明確となり、被保険者は、最新の医学に基づいた補正後の保険金を知ることが可能となる。
このように、本実施の形態では、これまでの保険のように保険加入時に一定額に定められた保険金でなく、バイタルデータや生活習慣によって、疾病の種類毎に支払われる保険金を定め、さらにバイタルデータや生活習慣の改善によって、疾病の種類毎に支払われる保険金を補正している。したがって、被保険者は、どのバイタルデータや生活習慣を改善することによって、将来の疾患のリスクを軽減し、健康を維持することができるかを、疾病の種類毎に補正された保険金の金額として容易に知りうることが可能となる。
また、上記の疾病の種類毎の保険金の補正に関しては、被保険者が少しずつでも健康努力を積み重ねられるように、いったん補正によって上昇した保険金は減額されないように、テーブルや算出式を設定することによって、被保険者の健康努力の継続を後押ししてもよい。
また、生活習慣検出装置20が、例えば、冷蔵庫の開閉や電子レンジの使用履歴などに基づいた食生活を検出する装置である場合、複数の人が住む家においては、必ずしも前述の家電機器による生活習慣が、同じ家に住む被保険者の生活習慣を指し示すとは限らない。例えば、4人家族において、夫が被保険者であるとし、夫以外の家族は健康的な食生活を送っていて、夫は外食が多く不健康な食生活を送っているようなケースも考えられる。
このような場合には、個人情報DB44に家族構成を加えるとともに、夫の保有するスマートフォン(例えば、携帯端末30)のGPS(Global Positioning System)情報を用いて、夫が食事の時間帯に自宅にいるのか、自宅外にいるのかを識別するなどして、夫の食生活をより厳密に検知してもよい。また、家族を1人1人識別できない生活習慣の場合には、保険金の算出や補正に生活習慣を加えないでもよい。
次に、上記のように構成された保険金算出装置40の疾病の種類毎の保険金を補正する保険金補正処理について説明する。図12は、図4に示す保険金算出装置40により保険金を補正する保険金補正処理の一例を示すフローチャートである。
まず、保険金算出装置40の保険金補正部51は、保険金の初期値を保険金記憶部48から取得するとともに、保険金の初期値を算出する際に使用されたバイタルデータ及び生活習慣データをバイタル蓄積部42及び生活習慣蓄積部43から取得する(ステップS21)。
次に、保険金算出装置40は、被保険者の保険加入後のバイタルデータを取得する処理を行う(ステップS22)。具体的には、受信部41は、バイタル検出装置10によって検出された保険加入後のバイタルデータを受信して取得し、バイタルデータをバイタル蓄積部42に蓄積し、保険金補正部51は、バイタル蓄積部42からバイタルデータを取得する。ここで取得されるバイタルデータは、前述のように血圧計などに代表されるバイタル検出装置10によって検出されてもよいし、健康診断結果を電子的又は紙で取得するなどしてもよく、取得されるバイタルデータの信頼度が高い限りにおいては取得方法を問わない。
次に、保険金算出装置40は、被保険者の保険加入後の生活習慣データを取得する処理を行う(ステップS23)。具体的には、受信部41は、生活習慣検出装置20によって検出された保険加入後の生活習慣データを受信して取得し、生活習慣データを生活習慣蓄積部43に蓄積し、保険金補正部51は、生活習慣蓄積部43から生活習慣データを取得する。ここで取得される生活習慣データに関しても、前述のように生活習慣検出装置20によって行ってもよいし、被保険者からのアンケートに基づいてもよいし、生活習慣データの取得が困難である場合においては、生活習慣の取得処理をスキップしてもよい。
次に、保険金補正部51は、ステップS21で取得した保険金初期値設定時のバイタルデータ及び生活習慣データと、ステップS22、及びS23で取得したバイタルデータ及び生活習慣データとを比較し、バイタルデータ及び生活習慣の改善度合いを判定する(ステップS24)。
次に、保険金補正部51は、保険金補正値記憶部52に記憶されている疾病の種類毎の補正保険金テーブルを参照して、バイタルデータ及び生活習慣データの改善度合いに基づいて、疾病の種類毎の保険金の初期値を補正する(ステップS25)。
最後に、通知部50は、保険金補正部51により補正された疾病の種類毎の補正後の保険金を携帯端末30に送信し、保険金補正部51は、疾病の種類毎の補正後の保険金を保険金記憶部48に設定する(ステップS26)。
このように、本実施の形態では、保険金の初期値を設定した時のバイタルデータ及び生活習慣が、保険加入後にどのように変化したかを判定することによって、被保険者の健康努力によるバイタルデータ及び生活習慣の差異を明らかにし、保険金の補正を行う。なお、上記の保険金補正処理では、保険金の初期値を算出する際に使用されたバイタルデータ及び生活習慣データと、保険契約後のバイタルデータ及び生活習慣データとを比較して保険金の初期値を補正する処理について説明したが、保険金の補正は、上記の例に特に限定されず、保険契約後のバイタルデータ及び生活習慣データの変化に応じて、上記のようにして補正した保険金をさらに補正する等の種々の変更が可能である。
また、上記のように過去に計測されたバイタルデータ及び生活習慣データと、現在計測されたバイタルデータ及び生活習慣データとの比較を行うために、バイタル蓄積部42及び生活習慣蓄積部43には、過去の計測値を含めてバイタルデータ及び生活習慣データが記録されていることが望ましい。このとき、例えば、喫煙期間が5年を過ぎると、喫煙暦のない人と疾患リスクが同じになるのであれば、喫煙に関する生活習慣は、過去5年間だけ記録することにより、生活習慣蓄積部43に必要とされる記録媒体の必要容量を低減してもよい。
次に、保険商品を購入する被保険者に対して、どのように保険金の補正を通知するかに関して説明する。
図13は、所定の疾患に罹患したときの保険金の変化の一例を示す図である。図13は、例えば、被保険者のスマートフォン等から構成される携帯端末30の表示画面に提示される画面例を示している。この例においては、虚血性疾患になって入院した際に支払われる保険金の推移として、昨年の保険金6000円に対して、今年の保険金は6500円になったことが示されている。
このような被保険者に対する通知は、通知部50によって作成される。すなわち、バイタル検出装置10によって検出されるバイタルデータと、生活習慣検出装置20によって検出される生活習慣データとを入力として、保険金補正部51にて補正後の保険金が算出され、通知部50を通じて、被保険者にスマートフォンやその他ディスプレイを保有する機器(例えば、携帯端末30)に通知することで実現される。
このように、バイタル検出装置10から検出されるバイタルデータや、生活習慣検出装置20から検出される生活習慣データによって、保険金補正部51によって保険金が補正され、さらに、保険金算出装置40からスマートフォン等の携帯端末30に通知する形態を考えると、保険金算出装置40は、クラウドを構成する演算装置上に構成されていることが望ましい。
上記のように、特定の疾患に対する給付金の金額の推移を示すことによって、被保険者が特定の疾患に罹患するリスクの増減をわかり易く理解することが可能となる。
図14は、所定の疾患に罹患したときの保険金の変化及び変化要因の一例を示す図である。図14に示す例は、図13の派生例であるが、図13との違いは、被保険者がバイタルデータ及び生活習慣の何を改善したことによって、昨年の保険金6000円が今年の保険金6500円に増額されたかが追記されている点である。この例では、血圧維持により300円、血糖値の改善により100円、禁煙により100円増額されている。このように、携帯端末30等の表示画面に、改善した点と、給付金の増減の関係とが明示されることにより、被保険者は、自身の健康努力を振り返り、どのようなバイタルデータの改善や、生活習慣の改善が健康に繋がったかを知ることが可能となる。
次に、複数の疾患に対する給付金額を示すグラフをスマートフォン等の携帯端末30の表示画面に提示する例について説明する。図15は、疾病の種類毎の保険金一覧の一例を示す図である。
図15に示す例は、虚血性疾患に罹患したときの給付金が6000円であり、糖尿病に罹患したときの給付金が7500円であり、肺がんに罹患したときの給付金が6000円である例である。このように、携帯端末30等の表示画面に、疾病の種類毎にいくらの保険金が支払われるかを一目で被保険者が理解できるように表示することによって、どの疾病に罹患するリスクが高いのかを一目で理解できる。
図16は、各疾患に罹患した際に支払われる保険金の推移の一例を一覧で示す図である。図16に示す例は、図13及び図14で示した疾病の種類毎の保険金の推移を一覧で被保険者が閲覧できるように一画面内に表示した例である。図16に示す例では、虚血性疾患に罹患したときの保険金は500円増額されて6500円となり、糖尿病に罹患したときの保険金は500円増額されて8000円となり、肺がんに罹患したときの保険金は1000円増額されて7000円となっている。このように、携帯端末30等の表示画面に、疾病の種類毎にいくら増額されていくらの保険金が支払われるかを一目で被保険者が理解できるように表示することによって、どの疾病に罹患するリスクが高いのかを一目で理解できるとともに、昨年からの保険金の増加額を一目で理解できる。
また、アドバイス作成部49が各疾患に罹患するリスクを低減するためのアドバイス情報を作成した場合、通知部50は、アドバイス情報を含む画面を作成して携帯端末30に送信し、携帯端末30は、アドバイス情報を含む画面を表示する。図17は、所定の疾患に罹患する確率をどのようにすれば減じられるかを提示するアドバイス情報の一例を示す図である。
具体的には、図15に示す画面の疾病の種類毎の保険金を示すグラフ又は疾患名を、被保険者がクリックすることによって、携帯端末30からアドバイス要求が通知部50に送信され、通知部50は、アドバイス情報を含む画面情報を携帯端末30に送信する。例えば、虚血性疾患がクリックされると、図17に示すように、虚血性疾患の保険金6000円とともに、「塩分を減らしましょう」及び「10000歩歩きましょう」等のアドバイス情報が、携帯端末30の表示画面に表示される。
このように、被保険者が各疾患に罹患するリスクを如何にして低減できるかのアドバイス情報を表示することによって、被保険者が何をすればさらに各種疾患に罹患するリスクを低減できるかを容易に理解することが可能となり、被保険者の更なる健康努力が後押しされることが期待される。
上記のように、本実施の形態では、被保険者のバイタルデータ及び生活習慣データを受信し、受信したバイタルデータ及び生活習慣データと、少なくとも被保険者の年齢を含む被保険者データとを基に、疾病の種類毎に保険金を決定しているので、被保険者のバイタルデータ及び/又は生活習慣に応じて、疾病の種類毎の保険金の取り扱いを適切に設定することができ、被保険者に適切な健康管理を促すことができるとともに、疾病に罹患した場合でも闘病に対するモチベーションを向上することができる。
なお、本実施の形態では、保険金の初期値の算出と、保険金の初期値の補正とを保険金算出装置40により行ったが、この例に特に限定されず、保険金の初期値を算出する保険金初期値算定装置と、保険金の初期値を補正する保険金補正装置とに分離して構成するようにしてもよい。
図18は、図4に示す保険金算出装置の変形例である保険金初期値算定装置の構成の一例を示すブロック図であり、図19は、図4に示す保険金算出装置の他の変形例である保険金補正装置の構成の一例を示すブロック図である。
図18に示す保険金初期値算定装置40aは、受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、初期保険金算定部45、バイタル−疾病別保険金初期値テーブル46a、バイタル/生活習慣−疾患DB(データベース)47a、及び初期保険金通知部50aを備える。
図18に示す受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、初期保険金算定部45、バイタル−疾病別保険金初期値テーブル46a、バイタル/生活習慣−疾患DB47a、及び初期保険金通知部50aは、図4に示す受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、初期保険金算定部45、保険金初期値記憶部46、第1疾患DB47、及び通知部50と同様に構成され、保険金初期値算定装置40aは、図9に示す初期値決定処理を実行することにより、保険金の初期値を算出する。
また、図19に示す保険金補正装置40bは、受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、保険金記憶部48、補正保険金通知部50b、保険金補正部51、補正保険金テーブル52a、及びバイタル/生活習慣−疾患DB(データベース)53aを備える。
図19に示す受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、保険金記憶部48、補正保険金通知部50b、保険金補正部51、補正保険金テーブル52a、及びバイタル/生活習慣−疾患DB53aは、図4に示す受信部41、バイタル蓄積部42、生活習慣蓄積部43、個人情報DB44、保険金記憶部48、通知部50、保険金補正部51、保険金補正値記憶部52、及び第2疾患DB53と同様に構成され、保険金補正装置40bは、図12に示す保険金補正処理を実行することにより、保険金の初期値を補正する。
上記の場合も、保険金初期値算定装置40a及び保険金補正装置40bにより、上記と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態2)
ここまで述べてきたように、疾病の種類毎の保険金の金額が、被保険者のバイタルデータや生活習慣の改善によって補正され、補正された保険金を疾病の種類毎に支払われる保険金として被保険者に提示されることによって、被保険者がどういう行動を行えば、所定の疾患に罹患するリスクを低減せしめるかを示した。ここで重要となるのは、被保険者が各種バイタルデータや生活習慣を改善するための行動を促すことであり、本実施の形態においては、保険金の増減が提示されることに加え、より効果的に被保険者に健康に繋がる行動変容を実施してもらうための手法に関して説明する。
図20は、本開示の実施の形態2に係る代替行動提案システムの構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態の代替行動提案システムは、被保険者に対して、日常生活における運動及び食行動をより健康改善につながる代替行動に置き換えるように提案する。以下、図20に基づいて、本代替行動提案システムの動作を説明する。
図20に示す代替行動提案システムは、携行デバイス70、及び代替行動提案装置80を備える。携行デバイス70、及び代替行動提案装置80は、インターネット、専用回線等の所定の有線又は無線のネットワーク(図示省略)を介して通信可能に接続されている。
携行デバイス70は、運動検出部71、食行動検出部72、代替行動提案表示部73、及び通信部74を備える。携行デバイス70は、被保険者(保険加入者)が携行するデバイスであり、例えば、被保険者の運動及び食行動等の情報を取得できるスマートウォッチ等のウェアラブル機器等から構成される。なお、携行デバイス70は、上記の例に特に限定されず、バイタル検出装置10を代用したり、生活習慣検出装置20を代用したりする等の種々の変更が可能である。
携行デバイス70を運動習慣の改善の目的に使用する場合には、運動検出部71は、携行する被保険者の運動量に関する指標を所定の時間間隔で測定して運動情報を生成し、通信部74を介して代替行動提案装置80に送信する。携行デバイス70を食習慣の改善の目的に使用する場合には、食行動検出部72は、携行する被保険者の購入した食品の情報を取込み、購入食品情報を生成し、通信部74を介して代替行動提案装置80に送信する。代替行動提案表示部73は、通信部74を介して、代替行動提案装置80から提示される代替行動を示す代替行動提案情報を被保険者に対して提示する。
運動検出部71は、好ましくは、加速度センサなどにより被保険者の歩数及び活動量と、GPS(Global Positioning System)センサなどにより被保険者の移動量とを、それぞれ測定して運動情報を検出する。また、食行動検出部72は、好ましくは、ネットショッピングなどの購入履歴データを連携して取得する取得部、食品購入時のレシートの画像を撮影して読み取る読み取り部、被保険者が購入した食品等を入力する入力部、あるいは冷蔵庫や電子レンジなどの使用履歴から食生活を検知する検知部等のいずれかを検出部として備え、いずれかの検出部により被保険者が購入、又は摂取した食品名とその数量とを購入食品情報として取り込む。
通信部74は、運動検出部71により検出された運動情報及び/又は食行動検出部72により検出された購入食品情報を、携行デバイス70を使用する被保険者を識別するための被保険者ID(識別情報)とともに代替行動提案装置80に送信する。
代替行動提案装置80は、例えば、プロセッサ、メモリ、及び外部記憶装置等を備えるクラウドサーバ等から構成される。代替行動提案装置80は、行動収集部81、代替可能行動パターン検出部82、代替行動データベース83、前兆行動パターン検出部84、代替行動検索部85、代替効果算出部86、特性データベース87、及び代替行動提案送出部88を備える。
行動収集部81は、携行デバイス70から運動情報及び/又は購入食品情報(以下、運動情報及び購入食品情報を合わせて行動情報と称す)を収集し、収集した行動情報と、携行デバイス70からの被保険者IDとを代替可能行動パターン検出部82及び前兆行動パターン検出部84に出力する。
代替可能行動パターン検出部82は、行動収集部81が収集した被保険者の行動情報の時系列パターンの中から、代替行動データベース83に登録されている代替可能行動に合致する被保険者の行動情報の時系列パターンを代替可能行動パターンとして検出する。また、代替可能行動パターン検出部82は、代替可能行動パターンの検出頻度が所定以上となったときに、当該代替可能行動パターンの直前に記録されている被保険者の行動情報の時系列パターンの共通点を前兆行動パターンとして抽出する。また、代替可能行動パターン検出部82は、被保険者IDと、検出した代替可能行動パターン及びその検出頻度と、抽出した前兆行動パターンとを対応付けた代替可能行動パターン情報を一つ又は複数生成して前兆行動パターン検出部84に出力する。
具体的には、代替可能行動の一例としては、被保険者の歩数の増加量及び活動量が低いにも関わらず、上下方向の移動量が大きいような運動情報の時系列パターンが挙げられる。この代替可能行動は、エレベータやエスカレータを使って上階へ移動する行動に対応すると考えられ、その代替行動として、階段を使って上階へ移動する行動が代替行動データベース83に登録されている。
この場合、代替可能行動パターン検出部82は、「エレベータで上階に移動した」という代替可能行動パターンを検出すると、所定の期間における検出頻度を算出する。代替可能行動パターン検出部82は、所定期間に検出頻度が一定以上(例えば、1週間に1日1回以上の検出)となった時点で、同じ代替可能行動パターンが検出される直前の被保険者の運動情報の時系列データを分析してその共通パターン(例えば、特定のエレベータの位置への移動経路やその時間帯など)を、前兆行動パターンとして算出する。
また、代替可能行動の別の一例としては、より低カロリーの代替食材がある高カロリー食材の購入行動が挙げられる。この場合は、代替可能行動パターン検出部82は、代替可能な高カロリー食材を購入する時間帯や曜日に、よく利用する食品小売店に近づくといった、時間及び位置に関する共通パターンを前兆行動パターンとして算出する。
前兆行動パターン検出部84は、一つ又は複数の代替可能行動パターン情報が生成された後に、行動収集部81によって収集された被保険者の行動情報の時系列パターンの中から、代替可能行動パターン情報に含まれる前兆行動パターンのいずれかを検出し、検出した前兆行動パターンと、当該前兆行動パターンに対応する代替可能行動パターンと、被保険者IDとを代替行動検索部85に出力する。
代替行動検索部85は、前兆行動パターン検出部84が検出した前兆行動パターンに対応する代替可能行動パターンにより、代替行動データベース83から、代替行動と、その代替行動による単位消費エネルギー又は単位摂取エネルギーとを取得し、代替可能行動パターン及びその検出頻度並びに被保険者IDとともに代替効果算出部86に出力する。
代替効果算出部86は、代替可能行動パターン及びその検出頻度、代替行動及び代替行動による単位消費エネルギー又は単位摂取エネルギー、並びに被保険者IDを代替行動検索部85から受取り、被保険者IDに対応する被保険者特性情報を特性データベース87から受取り、所定の期間(1年間等)の代替可能行動パターンを代替行動で置換した場合の体重減少量の期待値を、代替効果として算出する。
代替行動提案送出部88は、代替行動検索部85で取得した代替行動の内容と、代替効果算出部86で算出した代替効果とを含む、代替行動提案情報を、アドバイス情報として携行デバイス70に送出する。
具体的には、上記の代替可能行動の一例として示した「エレベータによる上階への移動」の例に従えば、前兆行動パターン検出部84は、行動収集部81から取得できる運動情報の時系列パターンの中から、前兆行動パターンとして代替可能行動パターン情報に指定された「特定のエレベータの位置への移動」を示す運動情報を検出する。代替行動検索部85は、代替行動データベース83から、対応する代替行動である「階段での上階への移動」を取得するとともに、その際の標準的な体格の人が1mの高さを階段で移動したときの消費エネルギーを単位消費エネルギーとして取得する。
代替効果算出部86は、代替行動検索部85から、エレベータで移動中の運動情報である代替可能行動パターンと被保険者IDとを受取り、被保険者IDに対応する少なくとも体重を含む被保険者特性情報を特性データベース87から取得し、代替可能行動パターン及び被保険者特性情報から代替前消費エネルギーを算出する。
さらに、代替効果算出部86は、代替行動検索部85から受取った代替行動の単位消費エネルギーと、代替可能行動パターンにおける移動高さと、被保険者IDに対応する少なくとも体重を含む被保険者特性情報とから、代替後消費エネルギーを算出する。代替後消費エネルギーと代替前消費エネルギーとの差は、エレベータによる上階への移動1回を、階段での上階への移動に置換えた場合の消費エネルギーの増加分を示す。
また、代替効果算出部86は、代替行動検索部85から代替可能行動パターンの検出頻度を受取り、例えば、1年間の間に起こりうるエレベータでの上階への移動が発生する回数と、上記の消費エネルギーの増加分とを乗じ、1年間代替行動をとった場合の消費エネルギー増加分を算出する。代替効果算出部86は、算出した消費エネルギー増加分を、蓄積された脂肪の燃焼重量に換算して1年間の減量効果の期待値を算出し、代替行動提案送出部88を用いて、1年間の減量効果等の代替効果を携行デバイス70に送信する。携行デバイス70の代替行動提案表示部73は、この代替効果を代替行動提案の提示時に併せて被保険者に提示する。
また、上記の代替可能行動の別の一例として示した「低カロリーの代替食材がある高カロリー食材の購入」の例に従えば、前兆行動パターン検出部84は、行動収集部81から取得できる購入食品情報の時系列パターンの中から、前兆行動パターンとして代替可能行動パターン情報に指定された「特定の時間帯や曜日に特定の食品小売店に近づくこと」を示す購入食品情報を検出する。代替行動検索部85は、代替行動データベース83から、対応する代替行動である「低カロリーの代替食材の購入」を取得するとともに、その代替食材を標準的な体格の人が単位数量摂取したときの摂取エネルギーを単位摂取エネルギーとして取得する。
代替効果算出部86は、上記のエレベータを階段昇降に置換える例と同様の方法で、例えば、今まで1年間摂取していた高カロリー食材を同量の低カロリー代替食材に置換えた場合の摂取エネルギーの減少分を算出し、これを蓄積される脂肪の減少重量に換算する。代替効果算出部86は、脂肪の減少重量等から1年間の減少効果の期待値を算出し、代替行動提案送出部88を用いて、1年間の減少効果等の代替効果を携行デバイス70に送信する。携行デバイス70の代替行動提案表示部73は、この代替効果を代替行動提案の提示時に併せて被保険者に提示する。
上記の処理により、被保険者の行動情報を収集し、収集した行動情報を基に被保険者の健康を改善する代替行動をアドバイス情報として作成し、作成した代替行動を被保険者の携行デバイス70に通知しているので、被保険者が何をすればさらに各種疾患に罹患するリスクを低減できるかを具体的に理解することが可能となり、被保険者の更なる健康努力をより後押しすることができる。
以上の構成によれば、1回では被保険者の運動量(消費エネルギー)を増やせる効果が小さい、または、1食では被保険者の摂取エネルギーを減らせる効果が小さいような、負担が軽く実行しやすい代替行動について、被保険者の日常生活の中で頻度高く生じる機会をとらえることで、代替回数を稼いで高い健康改善効果が期待できる提案(アドバイス情報)を、その効果の大きさを示して行うことができる。また、被保険者が代替対象となる行動をとる直前に、前兆行動パターンによる予測でタイミングよく適切な代替行動を提案できる。これにより、被保険者の健康改善のための代替行動実施を効果的に誘導することができるため、被保険者の健康改善が促進され、医療費に関わる保険金の支払いを減らすことができ、保険事業の収支改善への効果が期待できる。
なお、本実施の形態においては、携行デバイス70を、運動検出部71、食行動検出部72、及び代替行動提案表示部73の全ての構成を備える一つのデバイスとして説明したが、これらの構成の一部を備える複数のデバイスで構成するようにしてもよい。
また、特性データベース87への被保険者毎の体重などの被保険者特性情報の登録については、被保険者を登録する際に測定又は問診により取得したデータを登録するようにしてもよいが、被保険者の体重変化に応じた提案を行うために、定期的に体重計(図示省略)で測定したデータを携行デバイス70から行動収集部81へ送信し、特性データベース87の内容を更新する構成にすることが望ましい。その場合、測定データは、携行デバイス70で被保険者が手入力するようにしてもよいし、携行デバイス70に対応付けた体重計から直接取得するようにしてもよい。
また、携行デバイス70が備える食行動検出部72は、購入した食品の情報を取込んだ購入食品情報を生成することとしたが、被保険者が摂取した食品の情報を取込んだ摂取食品情報を生成するように構成してもよい。この場合は、高カロリーの食品の代わりに摂取すべき低カロリーの代替食品を、その摂取前に提示することになる。
また、代替行動提案装置80の構成は、上記の例に特に限定されず、例えば、代替行動提案装置80の各構成を、図4に示すアドバイス作成部49に付加し、保険金算出装置40から携行デバイス70に上記のアドバイス情報を送信して被保険者に提示するようにしてもよい。この場合、実施の形態1でも、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態1および実施の形態2においては、保険金を増減させることを開示したが、医療保険にかかわる他の要素(例えば、入院日数、所定の疾患になった際に支払われる一時金、保険料)を増減させてもよい。
以上、本開示の一態様に係る保険金算定システム等について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が想到する各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
また、本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は上記で図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。 LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array (FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。