JP2018025767A - 現像装置、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像ローラ1と現像剤規制部材8とを有する現像装置である。現像ローラの導電性弾性層はマルテンス硬度が0.10N/mm2以上、3.00N/mm2以下である。現像ローラの表面は、一辺が900μmの正方形の面積に対する導電性弾性層の露出部分の面積の割合が40%以上、90%以下であり、かつ、絶縁性ドメインの各々が導電性弾性層と接触している部分の面積の平均値が、3.00×102μm2以上、1.00×105μm2以下である。現像剤規制部材の突出し部の突出し長さW1が0.5mm以上であり、突出し部の間隙の距離の最小値Hminが、0.5mm以下である。
【選択図】図10
Description
(1)現像剤容器内に存在し、現像ローラにトナーを供給する現像剤供給ローラ。
(2)現像ローラ上にトナー層を形成し、現像ローラ上のトナーを一定量にする現像剤規制部材。
(3)トナーを収納する現像剤容器の開口を閉塞し、かつ、一部を容器外に露出させ、この露出部分が感光体に対向するように配置され、感光体にトナーを現像する現像ローラ。
現像装置内では、これらの電子写真用部材が回転、摺擦することで画像形成を行っている。
該現像ローラ上の現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、を有する現像装置であって、
該現像ローラは、
基体と、該基体上の導電性弾性層と、該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有し、
該導電性弾性層は、マルテンス硬度が0.10N/mm2以上、3.00N/mm2以下であり、
該現像ローラの表面は、該絶縁性ドメインの表面と、該導電性弾性層の該絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分とを含み、
該現像ローラの表面における、一辺が900μmの正方形の面積に対する該導電性弾性層の露出部分の面積の割合が40%以上、90%以下であり、かつ、
該複数の絶縁性ドメインの各々が該導電性弾性層と接触している部分の面積の平均値が、3.00×102μm2以上、1.00×105μm2以下であり、
該現像剤規制部材は、
該現像ローラ表面に直接または現像剤を介して接する当接部と、該当接部から、該現像ローラの該第1の回転方向の上流側に延びる突出し部と、を有し、
該突出し部の、該現像ローラに面する側と、該現像ローラの表面との間に間隙が存在し、
該突出し部の突出し長さW1が0.5mm以上であり、
該間隙の距離の最小値Hminが、0.5mm以下である現像装置が提供される。
本発明の一態様に係る現像ローラは、図1に示すように、円柱状あるいは中空円筒状の基体2、及び導電性弾性層3を有している。図1に示すように、導電性弾性層3の表面上には、複数の電気的に絶縁性のドメイン4が存在する。即ち、本発明に係る現像ローラの表面は、図2に示すように、少なくとも、複数の絶縁性ドメイン4の表面と、絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層3の表面(露出部分)とを含む。
本発明に係る現像ローラに用いられる基体は、導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性層を支持する機能を有する。材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケルの如き金属、これらの金属を含むステンレス鋼、ジュラルミン、真鍮及び青銅の如き合金を挙げることができる。基体の表面には、耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理を施すことができる。さらに、基体としては、樹脂製の基材の表面を金属で被覆して表面導電性としたものや、導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
本発明に係る現像ローラにおいて、導電性弾性層は、1層構造または2層以上の積層構造を有する。導電性弾性層は、2層以上の積層構造を有することが好ましい。特に非磁性一成分接触現像系プロセスでは、現像ローラとして2層の積層構造からなる導電性弾性層を有する現像ローラが好適に用いられる。
本発明に係る現像ローラの導電性弾性層は、マルテンス硬度が0.10N/mm2以上、3.00N/mm2以下である。マルテンス硬度を上記範囲内とすることで、導電性弾性層は適度な柔らかさになり、現像ローラとトナーとの接触機会が増加し、トナーへの帯電付与を十分に行うことが可能となる。また、絶縁性ドメインとトナーの摺擦も効果的に行えるため、絶縁性ドメインの帯電量が大きくなり、トナー搬送力を十分に得ることができる。マルテンス硬度が0.10N/mm2未満であると、導電性弾性層が柔らかくなり過ぎてトナー層の厚みが大きくなり、トナーへの帯電付与が十分に行えない。また、マルテンス硬度が3.00N/mm2を超えると、導電性弾性層が硬くなり、現像ローラとトナーとの接触機会が減るため、トナーへの帯電付与が不十分になる。
本発明において、導電性弾性層のマルテンス硬度の測定は、現像ローラを用いて以下のように行われる。測定装置は、PICODENTOR HM500(商品名、Fischer製)を用いる。測定圧子としてビッカース圧子を用いる。現像ローラを圧子に対して水平に設置し、現像ローラの表面であって絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層の表面を顕微鏡で観察する。観察条件は、圧子侵入速度:1μm/秒、最大押し込み荷重:0.1mN、押し込み時間:20秒間とする。マルテンス硬度は、「最大押し込み荷重/26.43×押し込み深さ」で表され、「押しこみ深さ」を検出することにより算出される。
本発明に係る現像ローラの表面上の一部の領域には、複数の絶縁性ドメインが存在する。即ち、現像ローラの表面は、少なくとも、該複数の絶縁性ドメインの表面と、該絶縁性ドメインで被覆されていない導電性弾性層の露出部分とを含んで構成されている。絶縁性ドメインの体積抵抗率は、1×1013Ω・cm以上、1×1018Ω・cm以下であることが好ましく、1×1014Ω・cm以上、1×1017Ω・cm以下であることがより好ましい。体積抵抗率が上記範囲内であれば、当該絶縁性ドメインを帯電させやすいためである。
本発明に係る現像ローラの表面は、一辺が900μmの正方形の面積100%に対する導電性弾性層の露出部分の面積の割合(以下、「露出率RE」とも称する)が、40%以上、90%以下である。露出率REは、より好ましくは50%以上、80%以下である。露出率REを上記範囲内とすることで、現像ローラによるトナー搬送力を適正にすることが可能になるとともに、導電性弾性層とトナーとの間で摺擦を十分に行うことが可能となる。その結果、現像ローラの、トナーに対する摩擦電荷の付与を十分に行うことができる。また、高温高湿環境下においても、十分なトナー搬送力を得ることができる。
複数の絶縁性ドメインの各々が導電性弾性層と接触している部分の面積の平均値(以下、「平均底面積SD」とも称する)は、3.00×102μm2以上、1.00×105μm2以下である。平均底面積SDは、より好ましくは1.00×103μm2以上、5.00×104μm2以下である。平均底面積SDを上記範囲内とすることで、現像ローラによるトナー搬送力を適正にすることが可能になるとともに、現像ローラとトナーとの間で摺擦を十分に行うことが可能となる。また、これによって現像ローラのトナーの搬送力が向上し、トナーに対する摩擦電荷付与性も向上する。
複数の絶縁性ドメインの各々の、導電性弾性層との接触部、すなわち、各々の絶縁性ドメインの底部と導電性弾性層との界面から各々の絶縁性ドメインの頂部までの高さの平均値HD(以下、単に「高さの平均値HD」とも称する)は、0.5μm以上、15.0μm以下であることが好ましい。高さの平均値HDを0.5μm以上とすることで、トナー搬送力が得られやすくなる。また、高さの平均値HDを15.0μm以下とすることで、導電性弾性層とトナーとの摺擦が生じやすくなり、トナーへの帯電付与を行いやすくなる。
複数の絶縁性ドメインの各々の間隔の平均値(以下、単に「間隔の平均値」とも称する)は、10μm以上、1000μm以下であることが好ましい。この間隔の平均値を10μm以上とすることで、導電性弾性層とトナーとの摺擦が生じやすくなり、トナーへの帯電付与を行いやすくなる。また、間隔の平均値を1000μm以下とすることで、トナー搬送力が得られやすくなる。
本発明において、導電性弾性層の露出率REは、以下のように測定される。レーザー顕微鏡VK−X100(商品名、キーエンス製)に、拡大倍率20倍の対物レンズを設置して、3mm×3mmの領域の現像ローラの表面を観察し、画像連結を行う。次に、得られた観察像の傾き補正を行う。傾き補正は二次曲面補正モードで行う。補正した画像の中央において、一辺900μmの正方形のエリア内における導電性弾性層の露出率を測定する。測定は、ImageJ等の画像処理ソフトを用いることにより行う。この露出率の測定を、現像ローラの10点(長手方向を10等分割して得られる10領域の各領域の1箇所ずつ)について行い、その相加平均値を本発明の露出率REとする。
絶縁性ドメインの平均底面積SDは、前記露出率の測定と同じく傾き補正した画像を用いて、画像内におさまっている絶縁性ドメインについて測定を行う。前記露出率と同様にして、現像ローラの10点について観察を行い、得られた値の相加平均値を本発明の平均底面積SDとする。その際、一辺900μmの正方形のエリア内から、この中に完全に含まれる絶縁性ドメインの全部を測定対象とし、完全に含まれない絶縁性ドメインは測定対象としない。
絶縁性ドメインの高さの平均値HDは、前記露出率の測定と同じく傾き補正した画像を用いて、画像内におさまっている絶縁性ドメインについて測定を行う。得られた3次元観察像を用いて、絶縁性ドメインの最高点H2と導電性弾性層の高さH1の差分「H2−H1」を算出する。現像ローラの10点(長手方向を10等分割して得られる10領域の各領域の1箇所ずつ)について観察を行い、得られた「H2−H1」の相加平均値を本発明の絶縁性ドメインの高さの平均値HDとする。その際、一辺900μmの正方形のエリア内から、この中に完全に含まれる絶縁性ドメインの全部を測定対象とし、完全に含まれない絶縁性ドメインは測定対象としない。
絶縁性ドメインの間隔の平均値は、前記露出率の測定と同じく傾き補正した画像を用いて、画像内におさまっている絶縁性ドメインについて測定を行う。得られた観察像において、隣り合う絶縁性ドメインの中心点同士の距離を算出する。その際、一辺900μmの正方形のエリア内から、この中に完全に含まれる絶縁性ドメインの全部を測定対象とし、完全に含まれない絶縁性ドメインは測定対象としない。前記露出率と同様にして、現像ローラの10点について観察を行い、得られた値の相加平均値を本発明の絶縁性ドメインの間隔の平均値とする。
現像剤規制部材は、該現像ローラ表面に直接または現像剤を介して接する当接部と、該当接部から、該現像ローラの該第1の回転方向の上流側に延びる突出し部と、を有する。また、前記突出し部の突出し長さ(以下、「突出し量」とも称する)W1が0.5mm以上である。
該突出し部の、該現像ローラに面する側と、該現像ローラの表面との間に間隙が存在し、該間隙の距離の最小値Hmin0.5mm以下である。
かかる現像剤規制部材を備えた本態様に係る現像装置によれば、高温高湿環境下におけるトナー搬送力の向上と、高濃度の画像の印刷時におけるトナーへの優れた帯電付与性と、を高いレベルで両立し得る。この理由は以下のように推察される。
これに対して、前記現像ローラに加え前記現像剤規制部材を有する現像装置とすることで、黒ベタ画像の印刷中においても優れたトナー帯電付与能を有し、「黒ベタ印刷直後のかぶり」をさらに良化できることを見出した。この理由について本発明者らは、上記現像装置とすることで、間隙部において、現像ローラが搬送するトナーの循環だけでなく、現像ローラ表面に存在するトナーの摺擦を促進することができたためと考えている。
以下、本発明で用いられる現像剤規制部材の一例について説明する。
上記支持部とブレード部とを用いて作製される現像剤規制部材としては、具体的には、図7に示すものを挙げることができる。図7は、本発明に係る現像剤規制部材と現像ローラとを有する現像装置の長手方向に垂直な断面図の例である。図7(a)、(b)及び(c)に示す現像剤規制部材8は、支持部32と、ブレード部31とから構成される。また、図7(d)に示す現像剤規制部材8は、支持部32とブレード部31とを単一の材料を用いて一体となるように構成したものである。このような現像剤規制部材8は、現像剤容器6に固定され、現像剤容器6の開口端と接する固定点33を支点として現像ローラの表面に当接する。
かかる現像剤規制部材の例として、図9(a)には、該断面線が、湾曲した形状を有する領域を有する現像剤規制部材の例を示す。図9(b)には、該断面線が、直線が折れ曲った形状を有する領域を有する現像剤規制部材の例を示す。また、図9(c)には、支持部とブレード部が単一の材料を用いて一体となるように構成され、かつ、該断面線が凹状である領域を有する現像剤規制部材の例を示す。
そして、本発明においては、図9に示したように、該断面線が凹状である領域を有し、かつ、該領域における前記間隙の距離Hが0.05mm以上、0.5mm以下である部分の該表面の長さW2が、0.5mm以上であることが好ましい。突出し部をこのような形状とすることで、トナーが強く詰められた状態の間隙部を現像ローラ回転方向のより長い距離に渡って形成することができ、間隙部においてさらにトナーを帯電させやすくなる。なお、突出し部の表面の長さW2における「表面の長さ」とは、突出し部と現像ローラ表面との距離Hが0.05mm以上0.5mm以下となる範囲において、直線が折れ曲った形状については、折れ曲がった各々の直線部の長さの合計を意味し、湾曲した形状については、曲線部の長さを意味する。
なお、突出し部の現像ローラに面する側の面の断面線が凹状の領域を有する現像剤規制部材において、前記成す角Dは、該領域における、該間隙の距離Hが、0.05mm以上、0.5mm以下である部分の該突出し部の該現像ローラに面する側の表面の断面線上の第1の点における接線と、該第1の点と該現像ローラの回転中心とを結ぶ線分と、該現像ローラの表面との交点における接線と、のなす角である。
また、図9に示すように、突出し部の表面の断面線が凹状に曲がった形状である場合は、突出し部に沿った0.1mmピッチの各点(但し、両端の点を除く)において、各点を中心として、その前後0.1mm位置の点とによる3点円を測定し、その3点円の中心とした点における接線(A、不図示)を求める。さらに、その中心とした点と前記現像ローラの回転中心とを結ぶ線分と前記現像ローラの表面との交点における接線(A’、不図示)を同様に画定する。そして、接線Aおよび接線A’が成す角Dを求める。
なお、HmaxとHminの比(Hmax/Hmin)を変化率Cとする。前記変化率Cが上記範囲内であることにより、トナーを間隙部により均一に詰めることができ、トナーをより安定して帯電させやすくなるため好ましい。
現像装置の形状測定は、以下のとおりに行った。図8に示すように、現像剤規制部材8と現像ローラ1が当接した状態を、現像剤規制部材8の長手方向に垂直な断面方向からデジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−5000、キーエンス社製)を用いて500倍に拡大して観察した。そして、突出し部31cの突出し長さW1、及び前記突出し部31c表面と前記現像ローラ1表面とが最も近接する位置における前記突出し部表面31cと前記現像ローラ1表面との最小間隙距離Hminを測定した。また、前記突出し部31c表面と前記現像ローラ1表面とが最も離れた位置における前記突出し部表面31cと前記現像ローラ1表面との最大間隙距離Hmaxを測定した。このとき、HmaxとHminの比(Hmax/Hmin)を変化率Cとした。
本発明の電子写真画像形成装置は、本発明に係る現像装置を有する。本発明の電子写真画像形成装置の一例を図3に示す。図3に示すように、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナーに、画像形成ユニットa〜dが設けられる。各画像形成ユニットa〜dには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられる。各感光体5の周囲には、感光体5を一様に帯電するための帯電装置11、一様に帯電処理した感光体5にレーザー光10を照射して静電潜像を形成する不図示の露光手段、静電潜像を形成した感光体5にトナーを供給して静電潜像を現像する現像装置9が設けられる。
一方、給紙ローラ23により供給される紙等の記録材22を搬送する転写搬送ベルト20が、駆動ローラ16、従動ローラ21、テンションローラ19に懸架されて設けられる。転写搬送ベルト20には、吸着ローラ24を介して吸着バイアス電源25から電荷が印加され、記録材22を表面に静電気的に付着させて搬送するようになっている。また、各画像形成ユニットa〜dには、該各画像形成ユニットの感光体5上のトナー像を、記録材22に転写するための電荷を印加する転写バイアス電源18が設けられる。転写バイアスは、転写搬送ベルト20の裏面に配置される転写ローラ17を介して印加される。各画像形成ユニットa〜dにおいて形成される各色のトナー像は、各画像形成ユニットa〜dに同期して可動される転写搬送ベルト20によって搬送される記録材22上に、順次重畳して転写されるようになっている。
さらに、電子写真画像形成装置には、記録材22上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置15、画像形成された記録材22を装置外に排出する搬送装置(不図示)が設けられる。
一方、各画像形成ユニットには、各感光体5上に転写されずに残存する転写残トナーを除去し、表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置12が設けられる。クリーニングされた感光体5は、画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
本発明の電子写真プロセスカートリッジは、本発明の現像装置を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を図4に示す。図4に示す電子写真プロセスカートリッジは、現像装置9、感光体5、クリーニング装置12を有し、これらが一体化されて電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に設けられる。現像装置9としては、電子写真画像形成装置で説明した画像形成ユニットと同様のものを挙げることができる。本発明の電子写真プロセスカートリッジは、上記の他、感光体5上のトナー像を記録材22に転写する転写部材などを上記の部材と共に一体的に設けたものであってもよい。
基体として、外径6mm、長さ270mmのステンレス鋼(SUS304)製の軸芯体にプライマー(商品名:DY35−051、東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。この基体を金型内に配置し、下記表1に示す材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を、金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃で15分間加熱して硬化させ、脱型した後、さらに温度180℃で1時間加熱して硬化反応を完結させ、基体の外周に厚さ3mmの導電性弾性層を有する導電性弾性ローラ1を製造した。
製造例1と同様にして基体を得た。また、下記表2に示す材料を混練して、未加硫ゴム組成物を調製した。次に、基体の供給機構、未加硫ゴム組成物の排出機構を有するクロスヘッド押出機を用意した。クロスヘッドには内径12.1mmのダイスを取付け、押出機とクロスヘッドの温度を30℃に、基体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、押出機より未加硫ゴム組成物を供給して、クロスヘッド内にて基体の外周に未加硫ゴム組成物を弾性層として被覆し、未加硫ゴムローラ2を得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に前記未加硫ゴムローラ2を投入し、15分間加熱することでゴムを加硫して、基体の外周に厚さ3mmの導電性弾性層を有する導電性弾性ローラ2を製造した。
下記表3の「成分1」の欄に示す2種類の材料を、メチルエチルケトン(MEK)200質量部中に添加して混合した。次いで、窒素雰囲気下、温度80℃にて4時間反応させて、ポリウレタンポリオールプレポリマーを得た。このポリウレタンポリオールプレポリマー100質量部と下記表3の「成分2」の欄に示す他の材料を、表3に示す配合比で、総固形分量が30質量%になるようにMEK400質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。
下記表4に示す3種類の材料を、総固形分量が25質量%になるようにMEK465質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。次いで、塗工時の膜厚が4.0μmとなるようにしたこと以外は、製造例3と同様にして導電性弾性ローラ4を製造した。
下記表5に示す3種類の材料を、総固形分量が30質量%になるようにMEK396質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。次いで、製造例3と同様にして導電性弾性ローラ5を製造した。
下記表6に示す2種類の材料を、総固形分量が15質量%になるようにMEK680質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。次いで、塗工時の膜厚が3.0μmとなるようにしたこと以外は製造例3と同様にして、該分散液をディッピング法で塗工した。得られた塗工物を、温度100℃のオーブン中で15分間乾燥し、導電性弾性ローラ6を製造した。
分散液の調製に用いる材料を、それぞれ表3の「成分2」の欄に示すとおりに変更したこと以外は、製造例3と同様にして、導電性弾性ローラ7〜10を製造した。
下記表7に示す3種類の材料を、総固形分量が30質量%になるようにMEK336質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。次いで、製造例3と同様にして導電性弾性ローラ11を製造した。
下記表8に示す3種類の材料を、総固形分量が30質量%になるようにMEK315質量部中に添加して、ボールミルで攪拌分散し、分散液を得た。次いで、製造例3と同様にして導電性弾性ローラ12を製造した。
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:A−BPE−4、新中村化学社製)15質量部、イソボニルアクリレート(商品名:SR506NS、巴工業社製)85質量部、及び、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE184、BASF社製)5質量部を混合し、絶縁性ドメインの原材料1を得た。
アクリレート成分の種類及び使用量を表9に示すとおりに変更したこと以外は、製造例21と同様にして、絶縁性ドメインの原材料2〜7を得た。なお、表9中、各成分の数値は質量部を表す。
〔製造例A1〕現像ローラ1の製造
圧電式のインクジェットヘッドを用いて、製造例22で得られた絶縁性ドメインの原材料2を液滴量が15plになるように調整した後、製造例3で得られた導電性弾性ローラ3の周面上に塗布した。塗布は、導電性弾性ローラを回転させながら行い、絶縁性ドメインの周方向及び長手方向の間隔が、それぞれ75μmになるように行った。その後、低圧水銀ランプを用いて、波長:254nm、積算光量:1500mJ/cm2となるよう紫外線を10分間照射することにより絶縁性ドメインの原材料を硬化し、現像ローラ1を製造した。得られた現像ローラ1について、本発明の方法に従って、導電性弾性層のマルテンス硬度及び露出率RE、並びに、絶縁性ドメインの間隔の平均値、平均底面積SD及び高さの平均値HDの測定を行った。図5に絶縁性ドメインの正面観察図の一例を示す。図5に示すように、絶縁性ドメイン4は略円形であり、その直径は60μm、絶縁性ドメインの間隔は68μmであった。また、絶縁性ドメインの高さの測定結果の一例を図6に示す。図6に示すように、絶縁性ドメインの高さの平均値HDは5.1μmであった。測定結果を表10に示す。
導電性弾性ローラ及び絶縁性ドメインの原材料の種類を表10に示すとおりに変更し、絶縁性ドメインの原材料の液滴量を適宜変更した以外は、製造例A1と同様の方法で現像ローラ2〜19及び現像ローラC1〜C8を製造した。そして、製造例A1と同様に物性測定を行った。測定結果を表10に示す。
〔製造例B1〕現像剤規制部材1の製造
現像剤規制部材のブレード部の材料として、ポリエステル熱可塑性樹脂(TPEE)(商品名:ハイトレル4047N、東レ・デュポン株式会社製)を用いた。ブレード部の厚さは、250μmとした。支持部には、短手方向:15.2mm、厚さ:0.08mm、材料:ステンレス鋼(SUS304)の長尺シートを使用した。
まず、ブレード部の材料を押出成形機内にて200℃で溶融し、押出し用金型の成形キャビティに注入した。同時に、支持部の一端面を押出し用金型の成形キャビティに走行させながら、ブレード部を支持部の長手方向の一端面に被覆した。金型の温度は250℃に設定した。押出し用金型から吐出したブレード部を固化し、支持部の当接支持面、先端面、及び当接支持面の反対面がブレード部にて被覆された、現像剤規制部材の長尺部材を得た。現像剤規制部材の長尺部材を、長手方向の長さ226mmで切断し、現像剤規制部材1とした。現像剤規制部材1は、図8(a)に示すように、突出し部表面の断面線が直線状の現像剤規制部材である。
押出し用金型の形状を変更した以外は製造例B1と同様にして、突出し部表面の断面線が直線状の現像剤規制部材2〜15及びC1〜C3を製造した。そして、製造例B1と同様に、突出し部の形状を観察した。観察結果を表11に併せて示す。
押出し用金型の形状を変更した以外は製造例B1と同様にして、図9(a)に示すような、突出し部表面の断面線が湾曲した現像剤規制部材16〜34を製造した。そして、突出し部の曲率半径を測定したこと以外は、製造例B1と同様に、突出し部の形状を観察した。なお、突出し部の曲率半径(表11中、「突出し部の半径」と表記した)は、突出し部31cに沿った0.1mmピッチの各点(但し、両端の点を除く)において、各点を中心としその前後0.1mm位置の点とによる3点円を測定し、その3点円の半径の平均値とした。また、図9における突出し部の根元31dと支持部面32aとの成す角(突出し部根元の角度)を、突出し部の根元31dと根元31dから突出し部先端方向に0.1mm位置の点とを結ぶ線と、支持部面32aとの角度として測定した。突出し部の観察結果を表11に併せて示す。
押出し用金型の形状を変更した以外は製造例B1と同様にして、図9(b)に示すような、突出し部表面の断面線が折れ曲った現像剤規制部材35、36を製造した。現像剤規制部材35の突出し部は、直線が折れ曲った形状であり、突出し部表面の長さが0.5mmずつの3等分となる位置に折れ曲り部31fを有する。また、折れ曲り部の成す角D’がそれぞれ175°となり、突出し部根元の角度が5°となる形状とした。現像剤規制部材36の突出し部は、直線が折れ曲った形状であり、突出し部表面の長さが0.7mmずつの3等分となる位置に折れ曲り部31fを有する。また、折れ曲り部の成す角D’がそれぞれ175°となり、突出し部根元の角度が5°となる形状とした。突出し部の観察結果を表11に併せて示す。
支持部材とブレード部材が単一の材料を用いて一体となるように形成された現像剤規制部材37、38を製造した。現像剤規制部材37、38は、短手方向17.9mm、長手方向226mm、厚さ0.08mmであるSUS−304−1/2H材をプレス加工することによって作製した。現像剤規制部材37は、図8(d)に示すような突出し部表面の断面線が直線状である現像剤規制部材とした。現像剤規制部材38は、図9(c)に示すような突出し部表面の断面線が湾曲した現像剤規制部材とした。製造例B1及び製造例B16と同様にして、突出し部の形状を観察した。突出し部の観察結果を表11に併せて示す。
[1.現像装置1の製造及び物性評価]
図10に、実施例1以降で製造した現像装置を有するプロセスカートリッジの一部分の長手方向に垂直な断面図の一例を示す。まず、低トルク化の目的で、現像剤供給ローラが現像ローラの回転方向bに対して順方向cに等速で回転するよう、プロセスカートリッジ(商品名:CE263A Magenta、ヒューレット・パッカード社製)のギアを改造した。次に、上記プロセスカートリッジから現像剤規制部材を取り外し、製造例B1で得られた現像剤規制部材1を装着した。さらに、上記プロセスカートリッジから現像ローラを取り外し、製造例A1で得られた現像ローラ1を装填して、現像装置1を有するプロセスカートリッジとした。得られた現像装置1について、上述の測定方法にて各値を測定した。測定結果を表14に示す。
現像装置1を有するプロセスカートリッジを、電子写真画像形成装置(商品名:CLJCP4525、HP社製)に組み込み、温度35℃、相対湿度85%の高温高湿環境下に24時間放置した。
次に、10枚/分の速度で、印刷方向上流側100mmが黒ベタ(画像濃度100%)、残りが白ベタ(画像濃度0%)である画像を1枚出力する途中でプリンタの運転を停止した。プリンタを停止するタイミングは、上記100mmの黒ベタが現像ローラから感光体へ現像され、直後の白ベタが約20mm現像ローラから感光体へ現像されたタイミングとした。これにより、黒ベタ印刷直後、現像ローラ1周目のかぶりを評価することができる。次に、感光体上の、上記約20mm幅の白ベタが現像された領域に付着したトナーを透明テープ(商品名:ポリエステルテープNo.550、ニチバン(株)社製)で剥がしとり、白色の紙(商品名:Business Multipurpose 4200、XEROX社製)に貼り付けて、評価用サンプルを得た。次いで、反射濃度計(商品名:TC−6DS/A、東京電色社製)にて評価用サンプルの反射濃度R1を測定した。その際、フィルターにグリーンフィルターを使用した。一方、該透明テープのみを白色の紙に貼り付けた基準サンプルについて、同様にして反射濃度R0を測定した。基準サンプルに対する評価用サンプルの反射率の低下量「R0−R1」(%)を、黒ベタ印刷直後のかぶり値(%)とした。評価結果を表19に示す。
次に、40枚/分の速度でA4サイズの黒ベタ画像を1枚出力し、得られた黒ベタ画像の画像濃度を、分光濃度計(商品名:508、Xrite社製)を用いて計測した。まず、画像の先端(印刷方向上流側の端部から10mm位置)と後端(印刷方向下流側の端部から10mm位置)の濃度差(後端濃度−先端濃度)を求め、黒ベタ画像濃度差とした。黒ベタ画像濃度差は、トナー搬送力の指標となる数値である。さらに、上記画像の先端(印刷方向上流側の端部から10mm位置)と現像ローラ2周目位置(印刷方向上流側の端部から40mm位置)の濃度差(2周目濃度−先端濃度)を求め、2周目濃度差とした。2周目濃度差は、間隙部におけるトナー凝集の指標となる数値であり、間隙部に極端にトナーが詰まると悪化する傾向がある。黒ベタ画像濃度差及び2周目濃度差の評価結果を表19に示す。
現像ローラ及び現像剤規制部材を、それぞれ表12、13に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜108の現像装置2〜108及び比較例1〜15の現像装置C1〜C15を製造した。そして、実施例1と同様にして、現像装置の形状測定及び電子写真画像形成装置による評価を行った。現像装置の測定結果を表14〜18に、電子写真画像形成装置による評価結果を表19、20に併せて示す。
2‥‥基体
3‥‥導電性弾性層
4‥‥絶縁性ドメイン
8‥‥現像剤規制部材
9‥‥現像装置
31‥‥ブレード部
31a‥‥当接部
31b‥‥段差部
31c‥‥突出し部
31d‥‥突出し部根元
31e‥‥トナー溜り部
31f‥‥折れ曲り部
32‥‥支持部
32a‥‥支持部面
33‥‥固定点
34‥‥現像剤(トナー)
Claims (9)
- 第1の回転方向に回転可能な現像ローラと、
該現像ローラ上の現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と、を有する現像装置であって、
該現像ローラは、
基体と、該基体上の導電性弾性層と、該導電性弾性層上の複数の絶縁性ドメインと、を有し、
該導電性弾性層は、マルテンス硬度が0.10N/mm2以上、3.00N/mm2以下であり、
該現像ローラの表面は、該絶縁性ドメインの表面と、該導電性弾性層の該絶縁性ドメインで被覆されていない露出部分とを含み、
該現像ローラの表面における、一辺が900μmの正方形の面積に対する該導電性弾性層の露出部分の面積の割合が40%以上、90%以下であり、かつ、
該複数の絶縁性ドメインの各々が該導電性弾性層と接触している部分の面積の平均値が、3.00×102μm2以上、1.00×105μm2以下であり、
該現像剤規制部材は、
該現像ローラ表面に直接または現像剤を介して接する当接部と、該当接部から、該現像ローラの該第1の回転方向の上流側に延びる突出し部と、を有し、
該突出し部の、該現像ローラに面する側と、該現像ローラの表面との間に間隙が存在し、
該突出し部の突出し長さW1が0.5mm以上であり、
該間隙の距離の最小値Hminが、0.5mm以下である、ことを特徴とする現像装置。 - 前記複数の絶縁性ドメインの各々の高さの平均値が、0.5μm以上、15.0μm以下である請求項1に記載の現像装置。
- 前記導電性弾性層が、2層以上の積層構造を有する請求項1または2に記載の現像装置。
- 前記導電性弾性層が、ポリウレタン樹脂を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像装置。
- 前記突出し部は、前記現像ローラに対向する側の面の断面線が、該現像ローラの表面に対して凹状である領域を有し、該領域における前記間隙の距離が0.05mm以上、0.5mm以下である部分の該表面の長さW2が0.5mm以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置。
- 前記突出し部の、前記現像ローラに対向する側の面の断面線上の第1の点における接線と、
該第1の点と該現像ローラの回転中心とを結ぶ線分と、該現像ローラの表面との交点における接線と、のなす角が、−5°以上、+5°以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像装置。 - 前記間隙の距離の最大値をHmaxとしたとき、(Hmax/Hmin)が、1.0以上3.0以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像装置。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像装置を有し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像装置を有する電子写真画像形成装置。
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