JP2018024549A - 水和膨潤性層状金属酸化物、その組成物、その薄膜およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p)
前記水和膨潤性層状金属酸化物は、層状ペロブスカイト酸化物の結晶構造、または、層状チタン酸類縁化合物の結晶構造を有してもよい。
前記金属酸化物ナノシートは、一般式(2)で表される金属酸化物ナノシートであり、前記水和膨潤性層状金属酸化物は、一般式(3)で表されてもよい。
[Ay−1ByO3y+1]t− ・・・・(2)
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[Ay−1ByO3y+1]・・・(3)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。)
前記nは、3または5であってもよい。
前記金属酸化物ナノシートは、一般式(4)で表される金属酸化物ナノシートであり、前記水和膨潤性層状金属酸化物は、一般式(5)で表されてもよい。
[MrGzOq]t− ・・・(4)
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[MrGzOq]・・・(5)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。)
前記nは、3であってもよい。
本発明による上述の水和膨潤性層状金属酸化物を製造する方法は、層状金属酸化物の層間にプロトンを有する層状金属酸化物プロトン体に一般式(6)で表されるアミノ酸(Q)を含有する水溶液を接触させ、前記プロトンの少なくとも一部のプロトンに前記アミノ酸(Q)のアミノ基を結合させ、前記アミノ酸を、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)として挿入するステップを包含し、これにより上記課題を解決する。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p)
前記層状金属酸化物は、層状ペロブスカイト酸化物であり、前記層状金属酸化物プロトン体は、一般式(7)で表されてもよい。
[H]t[Ay−1ByO3y+1]・wH2O ・・・・(7)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5。)
前記層状金属酸化物は、層状チタン酸類縁化合物であり、前記層状金属酸化物プロトン体は、一般式(8)で表されてもよい。
[H]t[MrGzOq]・wH2O ・・・・(8)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5。)
前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液の濃度は、0.005M以上6M以下の範囲を有してもよい。
前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液の濃度は、0.05M以上6M以下の範囲を有してもよい。
前記プロトンに対する前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液におけるアミノ酸(Q)のモル比(アミノ酸/プロトン)は、1以上600以下の範囲であってもよい。
前記プロトンに対する前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液におけるアミノ酸(Q)のモル比(アミノ酸/プロトン)は、5以上100以下の範囲であってもよい。
本発明による組成物は、金属酸化物ナノシートと、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)とが、少なくとも水を含有する溶媒に含有されており、これにより上記課題を解決する。
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p)
前記金属酸化物ナノシートは、一般式(2)で表される金属酸化物ナノシートであってもよい。
[Ay−1ByO3y+1]t− ・・・・(2)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である)
前記金属酸化物ナノシートは、一般式(4)で表される金属酸化物ナノシートであってもよい。
[MrGzOq]t− ・・・(4)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である)
前記金属酸化物ナノシートの厚さは、0.5nm以上10nm以下の範囲であってもよい。
本発明による上述の組成物を製造する方法は、層状金属酸化物の層間にプロトンを有する層状金属酸化物プロトン体に一般式(6)で表されるアミノ酸(Q)を含有する水溶液を接触させ、前記プロトンの少なくとも一部のプロトンに前記アミノ酸(Q)のアミノ基を結合させ、前記アミノ酸を、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)として挿入するステップと、前記挿入するステップで得られた水和膨潤性層状金属酸化物を振盪し、剥離するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p)
前記挿入するステップと、前記振盪し、剥離するステップとが、同時に行われてもよい。
本発明による薄膜は、金属酸化物ナノシートが、1層または2層以上積層された層状金属酸化物からなり、前記層状金属酸化物は、上述の水和膨潤性金属酸化物からなり、これにより上記課題を解決する。
前記薄膜は、1μm以上2mm以下の範囲を有し、基板を要せずに自立して膜形状を保つ自立膜であってもよい。
本発明による上述の薄膜を製造する方法は、上述の組成物を基板に付与するステップと、前記付与された組成物を乾燥するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記基板を除去するステップをさらに包含してもよい。
実施の形態1では、本発明の水和膨潤性層状金属酸化物およびその製造方法について説明する。
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p)
[Ay−1ByO3y+1]t− ・・・・(2)
ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。このようなペロブスカイトナノシートを生成する層状ペロブスカイト酸化物は、A’[Ay−1ByO3y+1]に代表されるDion−Jacobson型(A’:アルカリ金属)などが良く知られている。本化合物系は極めてバラエティーに富むが、代表的な層状ペロブスカイト酸化物として、KLaNb2O7、KCa2Nb3O10、KSr2Nb3O10、CsCa2Nb3O10、KCa2NaNb4O13、KCa2Na2Nb5O16、KCa2Na3Nb6O19、Li2Eu2/3Ta2O7、K2La2Ti3O10などがあり、これらの結晶構造を有していればよい。層状ペロブスカイト酸化物の結晶は、直方体や、四角板状の形状を有し得る。また結晶サイズは1〜200μmのものが多く、厚さは0.1〜100μm程度であるが、合成条件によっては、結晶サイズはmmオーダーにもなる。
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[Ay−1ByO3y+1](3)
ここで、tは0.5≦t≦1.5の範囲であり、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。式(3)において、アミノ酸カチオンは、異性体も含むことを意図する。式(3)において、A、Bおよびyは、式(2)と同様である。
[MrGzOq]t− ・・・(4)
ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。本化合物系もまた極めてバラエティーに富むが、代表的な層状チタン酸類縁化合物として、K0.8Ti1.73Li0.27O4、Na2Ti3O7、K2Ti4O9、Cs2Ti5O11、KxMnO2(代表的にはx=0.55)などがあり、これらの結晶構造を有していればよい。
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[MrGzOq]・・・(5)
ここで、tは0.5≦t≦1.5の範囲であり、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。ここでも、xおよびtのパラメーターの意義は上述したとおりである。式(5)において、アミノ酸カチオンは、異性体も含むことを意図する。式(5)において、M、G、r、zおよびqは、式(4)と同様である。
図2は、本発明の水和膨潤性層状金属酸化物を製造するフローチャートを示す図である。
図3は、本発明の水和膨潤性層状金属酸化物を製造する過程を説明する模式図である。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−pである。アミノ酸カチオンは、nが2≦n≦6を満たす場合において水和膨潤する水和膨潤性層状金属酸化物100が得られる。
[H]t[Ay−1ByO3y+1]・wH2O ・・・・(7)
ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5である。
[H]t[MrGzOq]・wH2O ・・・・(8)
ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5である。
実施の形態2では、本発明の水和膨潤性層状金属酸化物を用いた組成物およびその製造方法について説明する。
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−pである。金属酸化物ナノシート110およびアミノ酸カチオン(QH+)120は、実施の形態1で詳述したとおりであるため、説明を省略する。
図5は、本発明の組成物を製造するフローチャートを示す図である。
図6は、本発明の組成物を製造する過程を説明する模式図である。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−pである。アミノ酸カチオンが、nについて2≦n≦6を満たす場合において水和膨潤性層状金属酸化物100が得られる。このステップS210は、図2および図3を参照して説明したステップS210と同様であるため、説明を省略するが、ステップS210では、水溶液中であるため、水和膨潤性層状金属酸化物100の層間に位置するアミノ酸カチオン(QH+)120によって、水がさらに侵入(膨潤)し、巨大水和膨潤した膨潤体330が得られる。
実施の形態3では、本発明の水和膨潤性層状金属酸化物を用いた薄膜およびその製造方法について説明する。
図7は、本発明の薄膜を示す模式図である。
実施例に先立って、層状ペロブスカイト酸化物としてカリウム体であるKCa2Nb3O10およびそのプロトン体、ならびに、チタン酸類縁化合物としてK0.8Ti1.73Li0.27O4およびそのプロトン体を合成した。
まず、層状ペロブスカイト酸化物のカリウム体としてKCa2Nb3O10を非特許文献6に記載の方法を適用して製造した。具体的には以下の通りである。
分級したKCa2Nb3O10結晶に、5M HNO3(Wako製特級試薬より調整)水溶液を加え、酸処理をおこなった。反応は室温でおこない、5M HNO3水溶液を1日ごとに計2回入れ替え、その後、2日間放置した。反応終了後、減圧ろ過によりHCa2Nb3O10結晶を分離し、減圧乾燥を行った(収率98%)。プロトン体は通常の相対湿度では、プロトンに水分子が配位するため、このプロトン体を相対湿度75%で水和させ、粉末XRD測定を行い、ICP分光分析による化学分析およびSEM観察を行った。これらの結果を図10、図11および表2に示す。
(層状チタン酸化物K0.8Ti1.73Li0.27O4単結晶の合成)
次に、層状チタン酸類縁化合物としてカリウム体層状チタン酸(K0.8Ti1.73Li0.27O4)を非特許文献2に記載の方法を適用して製造した。具体的には以下の通りである。
合成したカリウム体の単結晶に対して、0.5M HCl水溶液を固液比1.0g/100mLで5日間反応させ、層間のアルカリ金属イオンのプロトン置換を行った。この時、酸水溶液は24時間ごとに新しいものに交換した。5日間反応させたのち、大量の水でサンプルに付着した酸を完全に洗い流し、これを一晩風乾した。こうして得られたサンプルは粉末XRD測定、光学顕微鏡観察、SEM観察、ICP分光分析による化学分析、TG−DTA測定により評価した。結果を図12および表4に示す。
実施例/比較例1〜8では、種々の層状金属酸化物と種々のアミノ酸(Q)とを用いて、水和膨潤膨潤実験を行った。
[実施例1]
実施例1では、出発原料として層状ペロブスカイト酸化物プロトン体と、アミノ酸(Q)として4−アミノブタン酸(TCI製、GABAとも呼ぶ)とを用いて、水和膨潤性層状金属酸化物を製造し、水和膨潤実験を行った。GABAは、式(6)NH2CnHm(OH)pCOOHで表されるアミノ酸において、p=0、n=3、m=6である。
比較例2では、GABAに代えて、グリシン(CICA製、p=0、n=1、m=2)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例3では、GABAに代えて、3−アミノプロパン酸(TCI製、p=0、n=2、m=4)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例4では、GABAに代えて、6−アミノヘキサン酸(CICA製、p=0、n=5、m=10)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例5では、GABAに代えて、7−アミノヘプタン酸(TCI製、p=0、n=6、m=12)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
比較例6では、GABAに代えて、8−アミノオクタン酸(Aldrich製、p=0、n=7、m=14)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例7では、GABAに代えて、DL−3−アミノブタン酸(TCI製、p=0、n=3、m=6)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例8では、GABAに代えて、(s)−(−)−4−アミノ−2−ヒドロキシブタン酸(TCI製、p=1、n=3、m=5)を用いた以外は、同様であった。結果を表5に示す。
実施例9では、出発原料として層状チタン酸類縁化合物プロトン体と、アミノ酸(Q)としてDL−3−アミノブタン酸(TCI製、p=0、n=3、m=6)とを用いて、水和膨潤性層状金属酸化物を製造し、水和膨潤実験を行った。ここでも用いたプロトン体は、先に製造した層状チタン酸化物のプロトン体であった。DL−3−アミノブタン酸を含有する水溶液の濃度は、1.0Mであった。結果を表5に示す。
実施例10および比較例11では、層状金属酸化物プロトン体に対する水溶液中のアミノ酸の割合と水和膨潤挙動との関係を調べるため、反応後に静置し、沈降した層状金属酸化物の水和膨潤体(図3の330)の見かけ体積、偏光顕微鏡観察、およびその層間距離の測定、さらにアミノ酸の包接量の測定を行った。また、併せて得られたゲル状組成物のpH測定も行った。
実施例10では、実施例1と同様に、出発原料として層状ペロブスカイト酸化物プロトン体と、アミノ酸(Q)として4−アミノブタン酸(GABA)とを用いて、GABA/H+のモル比を、25、50および100と変化させた際の外観の変化を調べ、偏光顕微鏡により観察した。なお、GABA/H+のモル比とは、プロトン体の層間に含まれるプロトンのモル量に対するGABAを含有する水溶液におけるGABAのモル量の比である。
比較例11では、GABA/H+のモル比を、0、0.25および0.5と変化させた以外は、実施例10と同様であった。GABA/H+のモル比が0とは、GABAを含有する水溶液を用いない場合である。実施例10と同様に、見かけの体積を測定し、偏光顕微鏡を用いて膨潤結晶の観察を行った。結果を図13および図14に示す。実施例10と同様に、反応後の結晶をエタノールで脱水し、粉末XRD測定を行った。結果を図16に示す。
実施例12では、本発明のゾル状の組成物を製造し、さらに薄膜を製造した。
実施例12では、出発原料として層状ペロブスカイト酸化物プロトン体と、アミノ酸(Q)として(S)−(−)−4−アミノ−2−ヒドロキシブタン酸(s2h4ABAと称する)とを用いて、ゾル状の組成物を製造した。
110 金属酸化物ナノシート
120 アミノ酸カチオン(QH+)
310 層状金属酸化物プロトン体
320 アミノ酸(Q)
330 巨大水和膨潤体
700 薄膜
710 基板
800 KCa2Nb3O10
810 Nb−Oの八面体
820 [Ca2Nb3O10]−で表される層
830 K+
Claims (23)
- 金属酸化物ナノシートが積層した構造をもつ水和膨潤性層状金属酸化物であって、前記層状金属酸化物の層間に少なくとも一般式(1)で表されるアミノ酸カチオンを有する、水和膨潤性層状金属酸化物。
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p) - 前記水和膨潤性層状金属酸化物は、層状ペロブスカイト酸化物の結晶構造、または、層状チタン酸類縁化合物の結晶構造を有する、請求項1に記載の水和膨潤性層状金属酸化物。
- 前記金属酸化物ナノシートは、一般式(2)で表される金属酸化物ナノシートであり、
前記水和膨潤性層状金属酸化物は、一般式(3)で表される、請求項1に記載の水和膨潤性層状金属酸化物。
[Ay−1ByO3y+1]t− ・・・・(2)
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[Ay−1ByO3y+1]・・・(3)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。) - 前記nは、3または5である、請求項3に記載の水和膨潤性層状金属酸化物。
- 前記金属酸化物ナノシートは、一般式(4)で表される金属酸化物ナノシートであり、
前記水和膨潤性層状金属酸化物は、一般式(5)で表される、請求項2に記載の水和膨潤性層状金属酸化物。
[MrGzOq]t− ・・・(4)
[(NH3CnHm(OH)pCOOH)xH1−x]t[MrGzOq]・・・(5)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p、xは0.2≦x≦1.0の範囲である。) - 前記nは、3である、請求項5に記載の水和膨潤性層状金属酸化物。
- 層状金属酸化物の層間にプロトンを有する層状金属酸化物プロトン体に一般式(6)で表されるアミノ酸(Q)を含有する水溶液を接触させ、前記プロトンの少なくとも一部のプロトンに前記アミノ酸(Q)のアミノ基を結合させ、前記アミノ酸を、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)として挿入するステップを包含する、請求項1に記載の水和膨潤性層状金属酸化物を製造する方法。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p) - 前記層状金属酸化物は、層状ペロブスカイト酸化物であり、
前記層状金属酸化物プロトン体は、一般式(7)で表される、請求項7に記載の方法。
[H]t[Ay−1ByO3y+1]・wH2O ・・・・(7)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5。) - 前記層状金属酸化物は、層状チタン酸類縁化合物であり、
前記層状金属酸化物プロトン体は、一般式(8)で表される、請求項7に記載の方法。
[H]t[MrGzOq]・wH2O ・・・・(8)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である。wは、0≦w≦5。) - 前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液の濃度は、0.005M以上6M以下の範囲を有する、請求項7に記載の方法。
- 前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液の濃度は、0.05M以上6M以下の範囲を有する、請求項10に記載の方法。
- 前記プロトンに対する前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液におけるアミノ酸(Q)のモル比(アミノ酸/プロトン)は、1以上600以下の範囲である、請求項7に記載の方法。
- 前記プロトンに対する前記アミノ酸(Q)を含有する水溶液におけるアミノ酸(Q)のモル比(アミノ酸/プロトン)は、5以上100以下の範囲である、請求項12に記載の方法。
- 金属酸化物ナノシートと、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)とが、少なくとも水を含有する溶媒に含有されている、組成物。
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p) - 前記金属酸化物ナノシートは、一般式(2)で表される金属酸化物ナノシートである、請求項14に記載の組成物。
[Ay−1ByO3y+1]t− ・・・・(2)
(ここで、AはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、La3+、Eu3+のいずれかもしくは、その混合であり、BはNb5+、Ta5+、Ti4+のいずれかもしくは、その混合であり、yは2≦y≦5である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である) - 前記金属酸化物ナノシートは、一般式(4)で表される金属酸化物ナノシートである、請求項14に記載の組成物。
[MrGzOq]t− ・・・(4)
(ここで、MはLi+、Na+、Ca2+、Sr2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Fe3+、Mn3+、Co3+、La3+のいずれかもしくは、その混合であり、Gは、Ti4+、Mn4+、Co4+、Nb5+、Ta5+のいずれかもしくは、その混合であり、rは0≦r≦2、zは1≦z≦5、qは2≦q≦15である。tは0.5≦t≦1.5の範囲である) - 前記金属酸化物ナノシートの厚さは、0.5nm以上10nm以下の範囲である、請求項14に記載の組成物。
- 層状金属酸化物の層間にプロトンを有する層状金属酸化物プロトン体に一般式(6)で表されるアミノ酸(Q)を含有する水溶液を接触させ、前記プロトンの少なくとも一部のプロトンに前記アミノ酸(Q)のアミノ基を結合させ、前記アミノ酸を、一般式(1)で表されるアミノ酸カチオン(QH+)として挿入するステップと、
前記挿入するステップで得られた水和膨潤性層状金属酸化物を振盪し、剥離するステップと
を包含する、請求項14に記載の組成物を製造する方法。
NH2CnHm(OH)pCOOH ・・・(6)
[NH3CnHm(OH)pCOOH]+ ・・・・(1)
(ここで、nは2≦n≦6の範囲の整数、pは整数で0もしくは1、mは整数でm=2n−p) - 前記挿入するステップと、前記振盪し、剥離するステップとが、同時に行われる、請求項18に記載の方法。
- 金属酸化物ナノシートが1層または2層以上積層された層状金属酸化物からなる薄膜であって、前記層状金属酸化物は、請求項1〜6の何れかに記載の水和膨潤性金属酸化物からなる、薄膜。
- 前記薄膜は、1μm以上2mm以下の範囲を有し、基板を要せずに自立して膜形状を保つ自立膜である、請求項20に記載の薄膜。
- 請求項14〜請求項17のいずれかに記載の組成物を基板に付与するステップと、
前記付与された組成物を乾燥するステップと
を包含する、請求項20に記載の薄膜を製造する方法。 - 前記基板を除去するステップをさらに包含する、請求項22に記載の方法。
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