JP2018021632A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑剤をより確実に保持させることにより、攪拌抵抗を抑制して低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができ、また製造コストを低減することができる転がり軸受を提供する。【解決手段】この転がり軸受は、内輪1、外輪3、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在された複数の転動体3を有する。内輪1の外周面および外輪2の内周面の両方に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部8が設けられる。植毛部8は、この転がり軸受を軸受軸心L1を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。【選択図】図1
Description
この発明は、転がり軸受に関し、潤滑剤を保持し易い軸受構造に関する。
転がり軸受において、潤滑特性の向上を図る技術が提案されている。
1.軌道輪の軌道面、転動体の転動面に潤滑被膜を形成する(特許文献1)。
2.封入されるグリースの改良(特許文献2)。
3.波形保持器において、多角形状のポケット部を形成する(特許文献3)。
1.軌道輪の軌道面、転動体の転動面に潤滑被膜を形成する(特許文献1)。
2.封入されるグリースの改良(特許文献2)。
3.波形保持器において、多角形状のポケット部を形成する(特許文献3)。
特許文献1では、軌道輪の軌道面等に高い精度で潤滑被膜を形成する必要があり、製造コストも高くなる。
特許文献2では、グリースに起因する攪拌抵抗のため、回転トルクが大きくなる。
特許文献3では、特殊形状の保持器を用いることで回転トルクの低減を図り得る。しかし、多角形状のポケット部を形成する分、製造コストの増加および軸受寿命の低下につながる。
特許文献2では、グリースに起因する攪拌抵抗のため、回転トルクが大きくなる。
特許文献3では、特殊形状の保持器を用いることで回転トルクの低減を図り得る。しかし、多角形状のポケット部を形成する分、製造コストの増加および軸受寿命の低下につながる。
このような課題に対して、本件出願人は、軸受部材の転動体との接触表面以外で潤滑剤と接触する表面に、繊維を植毛してなる植毛部が設けられた転がり軸受を提案している(特許文献4)。前記植毛部の毛に潤滑剤を保持させることで、攪拌抵抗を抑制して低トルク化とグリースの長寿命化を行っている。
しかし、軸受内部には、遠心力が発生し、毛に保持させた潤滑剤を不所望に移動させる力および、前記潤滑剤を毛に保持し難いように働く力が掛かる。このため、潤滑剤を毛に保持または保持を維持するための力があることが望ましい。
しかし、軸受内部には、遠心力が発生し、毛に保持させた潤滑剤を不所望に移動させる力および、前記潤滑剤を毛に保持し難いように働く力が掛かる。このため、潤滑剤を毛に保持または保持を維持するための力があることが望ましい。
この発明の目的は、潤滑剤をより確実に保持させることにより、攪拌抵抗を抑制して低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができ、また製造コストを低減することができる転がり軸受を提供することである。
この発明における第1の発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在された複数の転動体を有する転がり軸受において、
前記内外輪のいずれか一方または両方における、軸受空間内の摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなるものである。
前記内外輪のいずれか一方または両方における、軸受空間内の摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなるものである。
この構成によると、軌道輪に設けられた植毛部に潤滑剤が保持される。特に、植毛部は、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。このため、植毛部に毛細管現象が起こり、軸受空間に遠心力が作用しても、潤滑剤を植毛部に保持し易くなる。毛細管現象により遠心力と逆ベクトルの力を発生させることで潤滑剤が飛散しになる。その結果、潤滑剤が植毛部に保持し易くなる。したがって、潤滑剤の撹拌抵抗およびせん断を抑制することができ、低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができる。このような植毛部は、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、簡単に構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。
前記植毛部は、前記内輪の外周面および前記外輪の内周面のいずれか一方または両方に、前記複数の短繊維が環状に並ぶものであっても良い。この場合、既存の軌道輪に対して、複数の短繊維を後加工するだけで足り、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、製造コストの低減を確実に図ることができる。
この発明における第2の発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在され保持器を介して保持される複数の転動体を有する転がり軸受において、
前記保持器における、摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなるものである。
前記保持器における、摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなるものである。
この構成によると、保持器に設けられた植毛部に潤滑剤が保持される。特に、植毛部は、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。このため、植毛部に毛細管現象が起こり、軸受空間に遠心力が作用しても、潤滑剤を植毛部に保持し易くなる。したがって、潤滑剤の撹拌抵抗およびせん断を抑制することができ、低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができる。このような植毛部は、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、簡単に構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。
前記植毛部は、前記保持器の外周面および内周面のいずれか一方または両方に、前記複数の短繊維が環状に並ぶものであっても良い。この場合、既存の保持器に対して、複数の短繊維を後加工等するだけで足り、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、製造コストの低減を確実に図ることができる。
前記植毛部は、長さの異なる複数種類の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶことで、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなるものであっても良い。この場合、長さの異なる複数種類の短繊維を準備しておき、これら短繊維を起立状態で面状に分布させることで、植毛部を容易に設けることができる。
前記植毛部は、長手方向の一端部と他端部とで体積が互いに異なる短繊維を有するものであっても良い。この場合、複数の短繊維を共通化できるため、種類の異なる短繊維を準備する必要がなく、製造コストの低減をより図ることができる。
前記植毛部は、隣接する前記短繊維が互いに交差するように設けられるものであっても良い。この場合、例えば、静電吹付け植毛により、隣接する前記短繊維が互いに交差するように設けられる。これにより、植毛部は、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。隣接する短繊維が交差するので、通常、短繊維の長手方向に移動し易い毛細管現象が効力を発揮し易くなる。
この発明における第1の発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在された複数の転動体を有する転がり軸受において、前記内外輪のいずれか一方または両方における、軸受空間内の摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。このため、潤滑剤をより確実に保持させることにより、攪拌抵抗を抑制して低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができ、また製造コストを低減することができる。
この発明における第2の発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在され保持器を介して保持される複数の転動体を有する転がり軸受において、前記保持器における、摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。このため、潤滑剤をより確実に保持させることにより、攪拌抵抗を抑制して低トルク化と潤滑剤の長寿命化を図ることができ、また製造コストを低減することができる。
この発明の実施形態に係る転がり軸受を図1ないし図4と共に説明する。
図1は、この転がり軸受を軸受軸心L1を含む平面で切断して見た断面図である。同図1に示すように、この転がり軸受は、内輪1、外輪2、転動体3、保持器4、およびシール部材5を有する。この例の転がり軸受は、転動体3を玉とした深溝玉軸受である。内外輪1,2の軌道面1a,2a間に複数の転動体3が介在され、これら転動体3は保持器4により保持されている。内外輪1,2および転動体3は、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼や、マルテンサイト系のステンレス鋼等からなる。ただし、これらの鋼に限定されるものではない。
図1は、この転がり軸受を軸受軸心L1を含む平面で切断して見た断面図である。同図1に示すように、この転がり軸受は、内輪1、外輪2、転動体3、保持器4、およびシール部材5を有する。この例の転がり軸受は、転動体3を玉とした深溝玉軸受である。内外輪1,2の軌道面1a,2a間に複数の転動体3が介在され、これら転動体3は保持器4により保持されている。内外輪1,2および転動体3は、例えば、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼や、マルテンサイト系のステンレス鋼等からなる。ただし、これらの鋼に限定されるものではない。
内外輪1,2間に形成される環状の軸受空間の両端をそれぞれシール部材5,5で密封している。この転がり軸受の軸受空間S1内には、潤滑剤としてのグリースが初期封入される。
グリースは、通常、転がり軸受に用いられるグリースであれば制限なく用いることができる。グリースを構成する基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等の鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
グリースは、通常、転がり軸受に用いられるグリースであれば制限なく用いることができる。グリースを構成する基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等の鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けん等の金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物、PTFE樹脂等のフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、潤滑剤には、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物等の極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物等の酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物等の摩耗抑制剤、多価アルコールエステル等の防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、エステル、アルコール等の油性剤等が挙げられる。
保持器4は、円周方向に沿って所定間隔で配設された半球状膨出部を有する二枚の環状保持板が軸方向に組み合わされたいわゆる波形保持器である。各環状保持板は、円周方向に沿って配設される半球状膨出部と、円周方向に隣合う半球状膨出部を繋ぐ平坦部とを有する。これら環状保持板が組み合わされた状態で、平坦部同士が重ね合わされ、これら平坦部がリベットまたは係合爪等を介して連結される。また各半球状膨出部が対向して、リング状のポケットが形成される。各環状保持板は、例えば、冷間圧延鋼の帯鋼のプレス加工品である。
外輪2の内周面には、シール部材5を嵌合固定するシール取付溝2bが形成されている。内輪1の外周面には、シール溝1bが形成されている。このシール溝1bの内面に、シール部材5の内周部分にあるシールリップ部5aがラジアル方向に接触する。すなわちこのシール部材5は、シールリップ部5aが内輪1のシール溝1bに接する接触シールである。
シール部材5は、環状の芯金6と、この芯金6に一体に固着される弾性部材7とを有する。シール部材5の全体は、例えば、ゴム材を加硫成型して形成され、この加硫成型時に芯金6が弾性部材7に接触される。
シール部材5は、環状の芯金6と、この芯金6に一体に固着される弾性部材7とを有する。シール部材5の全体は、例えば、ゴム材を加硫成型して形成され、この加硫成型時に芯金6が弾性部材7に接触される。
植毛部等について説明する。
図2は、この転がり軸受の植毛部8の拡大断面図であり、図1の一部を拡大した図である。図3は、内輪1の外周面を外径側から見た一部破断した平面図である。図2および図3に示すように、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9が環状に並ぶ植毛部8が設けられている。この植毛部8は、内外輪1,2の軸受空間内における摺動面以外の表面部分である、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶ。
図2は、この転がり軸受の植毛部8の拡大断面図であり、図1の一部を拡大した図である。図3は、内輪1の外周面を外径側から見た一部破断した平面図である。図2および図3に示すように、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9が環状に並ぶ植毛部8が設けられている。この植毛部8は、内外輪1,2の軸受空間内における摺動面以外の表面部分である、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶ。
植毛部8は、例えば、静電植毛(Electrostatic flocking)を用いて、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9を植毛し得る。前記静電植毛とは、植毛対象物に接着剤10を塗布し、高電圧電極により静電界を作り、その静電吸引力で短繊維9を接着剤10に立毛させる技術である。この立毛された起立状態において、固定されている接着剤10側が基端側になり、基端側の反対側の非固定側を先端側とする。
図4は、転がり軸受の植毛対象物に静電植毛加工を施す原理を概略示す図である。同図4に示すように、ケーシング11内の底面に電極板12が設けられ、ケーシング11内における上部に植毛対象物Wが支持可能である。植毛対象物Wと電極板12に高電圧を印加可能に構成される。付着させたい短繊維9を電極板12上に置き、植毛対象物Wと電極板12に印加すると、高電圧により上下間に電界が発生し、短繊維9に分極が起こる。
その結果、短繊維9のマイナス電荷が植毛対象物Wに引き付けられ接着剤層に付着する。その後、接着剤層を乾燥する乾燥工程および仕上げ工程等を行う。植毛技術の特長は、植毛対象物Wが複雑な形状でも容易に且つ均一に加工できること、金属・プラスチック・紙等の植毛対象物Wの材質を選ばないことが挙げられる。この静電植毛の場合、内輪1の外周面および外輪2の内周面のような曲面部においても、多量の短繊維9を短時間で密に各面に垂直に植毛できることから、静電植毛を採用することが好ましい。
短繊維9としては、例えば、
(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロン等の合成樹脂繊維、
(2)カーボン繊維、グラスファイバー等の無機繊維、
(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛等の天然繊維が挙げられる。
(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレート等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロン等の合成樹脂繊維、
(2)カーボン繊維、グラスファイバー等の無機繊維、
(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛等の天然繊維が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。合成樹脂繊維は、油による膨潤や溶解等が生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、上記(1)〜(3)の中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましい。
接着剤10としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を主成分とする接着剤が挙げられる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
図1および図2に示すように、この植毛部8は、この転がり軸受を軸受軸心L1を含む平面で切断して見た断面において、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。具体的にこの例では、植毛部8は、長さの異なる複数種類の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶことで、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。
短繊維9として、例えば、長さ0.5mm〜2.0mm、太さ0.5デシテックス〜50デシテックスの長さおよび太さの異なる複数種類のものが適用される。この例では、短尺(長さが最小)で且つ大径の第1の短繊維9a、長尺(長さが最大)で且つ小径の第2の短繊維9b、および中尺(短尺と長尺との中間長さ)で且つ中径の第3の短繊維9cが採用されている。
図2および図3に示すように、これら第1,第2,および第3の短繊維9a,9b,9cが、軸方向および円周方向に不規則に並ぶ結果、植毛部全体として、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。
また植毛部8は、単位面積あたりに短繊維9が占める割合が、例えば10%〜30%となるように設けられている。但し、この割合に限定されるものではない。
また植毛部8は、単位面積あたりに短繊維9が占める割合が、例えば10%〜30%となるように設けられている。但し、この割合に限定されるものではない。
以上説明した転がり軸受によれば、内外輪1,2に設けられた植毛部8にグリースが保持される。特に、植毛部8は、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。このため、植毛部8に毛細管現象が起こり、軸受空間S1に遠心力が作用しても、グリースを植毛部8に保持し易くなる。したがって、グリースの撹拌抵抗およびせん断を抑制することができ、低トルク化とグリースの長寿命化を図ることができる。このような植毛部8は、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来術等よりも、簡単に構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。
植毛部8は、内輪1の外周面および外輪2の内周面に、複数の短繊維9が環状に並ぶ。このため、既存の内外輪1,2に対して、複数の短繊維8を後加工等するだけで足り、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、製造コストの低減を確実に図ることができる。
植毛部8は、長さの異なる複数種類の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶことで、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。この場合、長さの異なる複数種類の短繊維9を準備しておき、これら短繊維9を起立状態で面状に分布させることで、植毛部8を容易に設けることができる。
植毛部8は、長さの異なる複数種類の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶことで、短繊維9の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9が空間に対して占める密度が高くなる。この場合、長さの異なる複数種類の短繊維9を準備しておき、これら短繊維9を起立状態で面状に分布させることで、植毛部8を容易に設けることができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図5〜図7に示すように、植毛部8は、保持器4の外周面および内周面に、複数の短繊維9が環状に並ぶように設けられても良い。この例では、保持器4における環状保持板13の半球状膨出部13aおよび平坦部13bの外周縁部に、複数の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶ。これと共に、前記環状保持板13の半球状膨出部13aおよび平坦部13bの内周縁部に、複数の短繊維9が起立状態で面状に分布して並ぶ。
この例では、保持器4の外周面および内周面に、接着剤10が塗布された後、前述したように静電植毛により、複数の短繊維9が接着剤層に付着される。その後、前記乾燥工程および仕上げ工程等が行われる。
このような保持器4に設けられる植毛部8は、既存の保持器に対して、複数の短繊維を後加工するだけで足り、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、簡単に構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。その他前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
このような保持器4に設けられる植毛部8は、既存の保持器に対して、複数の短繊維を後加工するだけで足り、例えば、特殊形状の保持器を用いる従来技術等よりも、簡単に構成することができ、製造コストの低減を図ることができる。その他前述の実施形態と同様の作用効果を奏する。
図8に示すように、植毛部8Aは、長手方向の一端部と他端部とで長手方向の単位長さ当たりの体積が互いに異なる短繊維9Aを有するものであっても良い。具体的に、この短繊維9Aは、先尖り状の円錐形状であって、先端に向かうに従って、長手方向に垂直な断面が小さくなる形状となっている。内外輪1,2または保持器4における、軸受空間内における摺動面以外の表面部分に、複数の前記短繊維9Aが起立状態に面状に分布して並ぶ。
この場合、複数の短繊維9Aを共通化できるため、種類の異なる短繊維を準備する必要がなく、製造コストの低減をより図ることができる。
この場合、複数の短繊維9Aを共通化できるため、種類の異なる短繊維を準備する必要がなく、製造コストの低減をより図ることができる。
図9に示すように、植毛部8Bは、隣接する短繊維9Bが互いに交差するように設けられるものであっても良い。この例では、例えば、静電吹付け植毛(Fiber coat)により、隣接する短繊維9Bが長手方向中間付近で互いに交差するように設けられる。前記静電吹付け植毛は、前述の静電植毛と略同じ原理であるが、短繊維9Bをエアーで接着剤層に吹付けることで、短繊維9Bが基材表面14に対して一定の角度αで傾き固定される特徴がある。
短繊維9Bとしては、例えば、長さおよび太さが一種類で円柱形状の短繊維9Bが用いられる。このような一種類の短繊維9Bを用いる場合であっても、隣接する短繊維9Bが互いに交差するように設けられることで、植毛部8Bは、短繊維9Bの先端側から基端側に向かうに従って、短繊維9Bが空間に対して占める密度が高くなる。隣接する短繊維9Bが交差するので、通常、短繊維9Bの長手方向に移動し易い毛細管現象が効力を発揮し易くなる。
図10に示すように、冠形の保持器4Aを備えた転がり軸受において、植毛部8(8A,8B)は、内外輪1,2または保持器4Aにおける、軸受空間S1内における摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態に面状に分布して並ぶようにしても良い。この植毛部8(8A,8B)は、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる。
図11に示すように、保持器無しの総玉軸受において、内外輪1,2のいずれか一方または両方に、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる植毛部8(8A,8B)を設けても良い。
図11に示すように、保持器無しの総玉軸受において、内外輪1,2のいずれか一方または両方に、短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、短繊維が空間に対して占める密度が高くなる植毛部8(8A,8B)を設けても良い。
各実施形態では、軸受の両端にシール部材を設けたが、軸受の片側端のみにシール部材を設けても良い。
シール部材は、非接触シールとしても良いし、金属製の鋼板のみから成る非接触シールとしても良い。
また転がり軸受において、シール部材が無いいわゆるオープンタイプとしても良い。
シール部材は、非接触シールとしても良いし、金属製の鋼板のみから成る非接触シールとしても良い。
また転がり軸受において、シール部材が無いいわゆるオープンタイプとしても良い。
潤滑剤として、グリースに代えて潤滑油を用いても良い。
転がり軸受は、深溝玉軸受に限定されるものではなく、例えば、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、4点接触玉軸受、クロスローラー軸受、各種スラスト軸受等にも適用可能である。
転がり軸受は、深溝玉軸受に限定されるものではなく、例えば、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、4点接触玉軸受、クロスローラー軸受、各種スラスト軸受等にも適用可能である。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…内輪
1a…軌道面
2…外輪
2a…軌道面
3…転動体
4,4A…保持器
8,8A,8B…植毛部
9,9A,9B…短繊維
1a…軌道面
2…外輪
2a…軌道面
3…転動体
4,4A…保持器
8,8A,8B…植毛部
9,9A,9B…短繊維
Claims (7)
- 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在された複数の転動体を有する転がり軸受において、
前記内外輪のいずれか一方または両方における、軸受空間内の摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる転がり軸受。 - 請求項1に記載の転がり軸受において、前記植毛部は、前記内輪の外周面および前記外輪の内周面のいずれか一方または両方に、前記複数の短繊維が環状に並ぶ転がり軸受。
- 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在され保持器を介して保持される複数の転動体を有する転がり軸受において、
前記保持器における、摺動面以外の表面部分に、複数の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶ植毛部が設けられ、この植毛部は、前記転がり軸受を軸受軸心を含む平面で切断して見た断面において、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる転がり軸受。 - 請求項3に記載の転がり軸受において、前記植毛部は、前記保持器の外周面および内周面のいずれか一方または両方に、前記複数の短繊維が環状に並ぶ転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記植毛部は、長さの異なる複数種類の短繊維が起立状態で面状に分布して並ぶことで、前記短繊維の先端側から基端側に向かうに従って、前記短繊維が空間に対して占める密度が高くなる転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記植毛部は、長手方向の一端部と他端部とで体積が互いに異なる短繊維を有する転がり軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の転がり軸受において、前記植毛部は、隣接する前記短繊維が互いに交差するように設けられる転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016154259A JP2018021632A (ja) | 2016-08-05 | 2016-08-05 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016154259A JP2018021632A (ja) | 2016-08-05 | 2016-08-05 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018021632A true JP2018021632A (ja) | 2018-02-08 |
Family
ID=61165417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016154259A Pending JP2018021632A (ja) | 2016-08-05 | 2016-08-05 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018021632A (ja) |
-
2016
- 2016-08-05 JP JP2016154259A patent/JP2018021632A/ja active Pending
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