JP2018020591A - 車両用ホイール及び車両用ホイールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
リムとディスクを備えるホイール本体と、車両走行時のホイール表面側に流れる空気流を整流するための整流板とを備え、
前記整流板は、前記ディスクのデザイン面側のディスク外径領域を覆うリング板状に形成され、前記リムの車両外側部位のアウター側リムフランジに該整流板の外縁部が周方向に摩擦攪拌接合により接合され、該摩擦攪拌接合の始点又は終点の位置には摩擦攪拌接合の回転工具によるピン穴が存在し、このピン穴部分を該整流板を貫通して水抜き穴とするか、もしくは該ピン穴は封止して該整流板に別途水抜き穴が設けられている。
リムとディスクを備えるホイール本体と、車両走行時のホイール表面側に流れる空気流を整流するための整流板とを備え、
前記リムの車両外側部位のアウター側リムフランジに、別途形成されたリング板状の前記整流板を設けるにあたり、以下の工程を前記ディスクのデザイン面側から実施する方法であり、
前記整流板を前記ディスクのデザイン面側のディスク外径領域を覆うように前記アウター側リムフランジに嵌め合わせる工程と、
該嵌め合わせ部分に対して先端にピンを設けた回転工具を該整流板表面側から押し当てて該整流板の外縁部に沿って周方向に相対移動させて摩擦攪拌接合を施すことにより該整流板を前記アウター側リムフランジに接合する工程と、
該摩擦攪拌接合の始点又は終点の回転工具によるピン穴位置を穴加工するか、もしくは該ピン穴を封止して該整流板の所定の位置に別途穴加工して、該整流板を貫通する水抜き穴を形成する工程とを有する。
図1、図2に示すように、実施形態1の車両用ホイール1は、リム2とディスク3とが一体に形成されたホイール本体10と、ホイール本体10のリムフランジ20に摩擦攪拌接合により接合されたリング板状の整流板5とを備えている。ホイール本体10は、軽合金製であり、例えばアルミニウム合金から形成されている。このホイール本体10は、鋳造ビレットを鍛造により一体成形してスピニング加工によりリム2を形成した鍛造ホイールであるが、これに限らず、鋳造型から形成した鋳造ホイールであってもよい。リム2は、円筒状の両端部に径方向外方へ延びるリムフランジ20が形成され、円筒状部分にリムフランジ20の内径側端部から連続してビードシート部23が形成され、車両外側部位ではビードシート部23から中央側にウエル部24が形成された構造を有する。ディスク3は、車両ハブと嵌合するハブ穴31と、ハブ穴31から外周方向に放射状に設けられた複数のスポーク部32とを備えている。スポーク部32は、リム2の内周面におけるウエル部24の部分に接続されている。従って、ディスク3の表面側であるデザイン面は、アウター側リムフランジ21よりも後方へ位置してホイール表面よりも内側へ配設された構造となっている。
なお、図3に示すように、リム2とディスク3とが一体構造のホイール本体10と、ホイール本体10とは別途形成されたリング板状の整流板5とを予め用意するが、これらホイール本体10と整流板5とは、未塗装の金属素材からなるものでもよいし、また、防蝕及び基調色の塗料で予め塗装されたものでもよい。予め塗装されたホイール本体10及び整流板5を用いることにより、整流板5で覆い隠されるディスク3のデザイン面の部分や整流板5の裏面54等にも容易に塗装が形成され、車両用ホイール1の防蝕性能が良好に確保される。
以上の工程により、アウター側リムフランジ21にリング板状の整流板5が一体に接合された車両用ホイール1が完成する。
図8を参照して、実施形態2では、実施形態1と異なるところとして、アウター側リムフランジ21への整流板5の嵌め合わせは、整流板5における外縁部53の裏面54をアウター側リムフランジ21の表面21aに重ね合わせるようにする。次いで、この重ね合わせ部分に対して整流板5の外縁部53の表面51側に回転工具7を押し当てて摩擦攪拌接合を施して整流板5をアウター側リムフランジ21に接合するようにした構造とするものである。
以上より、実施形態2によれば、実質的に整流板5の板厚分がアウター側リムフランジ21の肉厚に加わることから、アウター側リムフランジ21の剛性強化がなされるという効果がさらに得られる。
図9及び図10を参照して、実施形態3では、実施形態1と異なるところとして、ホイール本体10は、ディスク3のスポーク部32がリム2の内周面におけるリムフランジ20からビードシート部23の部分に接続する構造を有する。そして、このホイール本体10に整流板5を設けるにあたり、リム2のアウター側リムフランジ21の表面21a及びディスク3のスポーク部32を含むデザイン面に、整流板5の径方向幅D1と合致する幅で整流板5の板厚と合致する深さを有する環状の嵌合溝部11を周方向全周域にわたって切削等によって形成する(図9(a)(b)参照)。次いで、この嵌合溝部11に整流板5を嵌め合わせ(図9(b)参照)、この嵌め合わせ部分における整流板5の外縁部53の表面51側に対して回転工具7を押し当てて摩擦攪拌接合を施して整流板5をアウター側リムフランジ21に接合する(図10(a)参照)。また、この整流板5は、スポーク部32と重なり合った部分の内縁部55に対しても整流板5の表面51側から回転工具7を押し当てて摩擦攪拌接合を施してスポーク部32との間でも接合して一体化させる(図10(a)(b)参照)。なお、整流板5は、スポーク部32と重なり合った部分のスポーク部32の側縁当接部に対しても整流板5の表面51側から回転工具7を押し当てて摩擦攪拌接合を施すようにしてもよい。
図11(b)に示した変形例の場合、アウター側リムフランジ21が整流板5を介してスポーク部32と接続されることでアウター側リムフランジ21の剛性強化がなされるという効果がさらに得られる。また、この変形例では、図11(b)に示すように、図10(b)に示す構造と比べると、スポーク部32の外周端部には整流板5との間に空洞Sを有するので、この空洞Sの体積分の軽量化を図ることができる。
以上の各実施形態では、リム2のアウター側リムフランジ21において整流板5を設ける構成であるが、実施形態4は、さらにインナー側リムフランジ22にも同様にリング板状の整流板5a(図12(d)参照)を設ける構成とする。この場合、インナー側リムフランジ22に設ける整流板5aとしては、リム2の車両内側に配置されるブレーキやサスペンション等の構造物と干渉しない大きさの内径穴を有するものとし、タイヤを装着した車両用ホイール1の車軸への装着に支障を来さないようにする必要がある。
インナー側リムフランジ22への整流板5aの取り付け方法としては、アウター側リムフランジ21に整流板5を取り付ける場合と同様に、車両用ホイール1の外側より回転工具7を整流板5aの表面側から押し当て整流板5aの外縁部に沿って周方向に相対移動させて摩擦攪拌接合を施すことにより、インナー側リムフランジ22の内径部に整流板5aが設けられる。
強度解析では、車両用ホイールの回転周方向の90°範囲において、リム径方向(X方向)に加える縦荷重を10kN、リム幅方向(Z方向)に加える横荷重を15kNとする入力値とした。その結果を以下の表1に示した。なお、表1中のキャンバー剛性は、上記の縦荷重及び横荷重によって、車両用ホイールの回転軸方向が水平方向と一致したニュートラル位置からホイール上端がアウター側に傾くポジティブキャンバーの場合のキャンバー角を示したものである。
本結果から同一材料の車両用ホイールであればインナーリム剛性にはフランジ形状が寄与し、インナー側リムフランジの内径側を絞るような形状ほど剛性が高く、実施例のように整流板5aを設けることで最も剛性が高くなることが判明した。インナー側リムフランジの内径側に突起Tをホイールリム一体で製作するには素材段階からの材料投入増ならびに切削における加工量が多くなるが、実施例のように別部品として整流板5aを用意すれば、インナー側リムフランジに接合する必要は生じるものの、突起無の比較例1と大差ない材料投入量及び加工工程で大幅な剛性改善を実現できる。
なお、このインナー側リムフランジ22の整流板5aにおいても、アウター側リムフランジ21の整流板5と同様に適宜、水抜き穴を設けることで水溜まりによる走行時のバランス不良を抑止できる。
以上より、インナー側リムフランジ22に整流板5aを設けることで、車両用ホイール1のインナー側での整流効果を高め空力特性を向上することができ、さらには脆弱となりがちなインナー側リムフランジ22の剛性向上を図ることができ、よって、車両走行性能を一段と安定することが可能となる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で各種の変更を施すことができる。
2 リム
3 ディスク
5,5a 整流板
6 接合部
7 回転工具
8 ドリル
10 ホイール本体
11 嵌合溝部
12 水抜き穴
20 リムフランジ
21 アウター側リムフランジ
22 インナー側リムフランジ
23 ビードシート部
24 ウエル部
31 ハブ穴
32 スポーク部
56 窓部
61 始点
62 終点
63 ピン穴
A 空気流
N ノズル
Claims (10)
- リムとディスクを備えるホイール本体と、車両走行時のホイール表面側に流れる空気流を整流するための整流板とを備え、
前記整流板は、前記ディスクのデザイン面側のディスク外径領域を覆うリング板状に形成され、前記リムの車両外側部位のアウター側リムフランジに該整流板の外縁部が周方向に摩擦攪拌接合により接合され、該摩擦攪拌接合の始点又は終点の位置には摩擦攪拌接合の回転工具によるピン穴が存在し、このピン穴部分を該整流板を貫通して水抜き穴とするか、もしくは該ピン穴は封止して該整流板に別途水抜き穴が設けられている車両用ホイール。 - 請求項1に記載の車両用ホイールにおいて、
前記リムの内周面に接続されている複数のスポーク部を有し、
前記整流板は、内縁部がスポーク部の接触部と摩擦攪拌接合により接合されている車両用ホイール。 - 請求項1又は2に記載の車両ホイールにおいて、
前記整流板は、空気充填用バルブ、エアセンサ類等の付属部品をリム又はディスクに外部から装着できるようにするための窓部が該整流板の一部を切り欠いて形成され、
前記窓部は、前記水抜き穴の形成位置とは別の前記摩擦攪拌接合の始点又は終点の位置に形成されている車両用ホイール。 - リムとディスクを備えるホイール本体と、車両走行時のホイール表面側に流れる空気流を整流するための整流板とを備え、
前記リムの車両外側部位のアウター側リムフランジに、別途形成されたリング板状の前記整流板を設けるにあたり、以下の工程を前記ディスクのデザイン面側から実施する方法であり、
前記整流板を前記ディスクのデザイン面側のディスク外径領域を覆うように前記アウター側リムフランジに嵌め合わせる工程と、
該嵌め合わせ部分に対して先端にピンを設けた回転工具を該整流板表面側から押し当てて該整流板の外縁部に沿って周方向に相対移動させて摩擦攪拌接合を施すことにより該整流板を前記アウター側リムフランジに接合する工程と、
該摩擦攪拌接合の始点又は終点の回転工具によるピン穴位置を穴加工するか、もしくは該ピン穴を封止して該整流板の所定の位置に別途穴加工して、該整流板を貫通する水抜き穴を形成する工程とを有する車両用ホイールの製造方法。 - 請求項4に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記ホイール本体と前記整流板とは予め塗装されたものを用い、
前記摩擦攪拌接合は、接合部分を冷却しながら行う車両用ホイールの製造方法。 - 請求項4又は5に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記整流板の嵌め合わせは、該整流板を前記ディスクのデザイン面から離れて空間を設けるとともに該整流板の表面が前記アウター側リムフランジの表面と略面一に配置されるように該整流板の外周端面を該アウター側リムフランジの内周面に突き合せるようにし、
該突き合せ部分に対して前記摩擦攪拌接合を行うようにする車両用ホイールの製造方法。 - 請求項4又は5に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記整流板の嵌め合わせは、該整流板を前記ディスクのデザイン面から離れて空間を設けるとともに前記整流板の裏面を前記アウター側リムフランジの表面に重ね合わせるようにし、
該重ね合わせ部分に対して前記摩擦攪拌接合を行うようにする車両用ホイールの製造方法。 - 請求項4又は5に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記ディスクは、前記リムの内周面に接続されている複数のスポーク部を有し、
前記リムのアウター側リムフランジ表面及び前記ディスクのスポーク部を含むデザイン面に、前記整流板の径方向幅と略合致する幅で該整流板の板厚と略合致する深さを有する嵌合溝部を周方向全域に形成し、
該嵌合溝部に前記整流板を嵌め合わせ、
該嵌め合わせ部分における該整流板の外縁部に対して前記摩擦攪拌接合を行うようにする車両用ホイールの製造方法。 - 請求項8に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記整流板における前記スポーク部と重なり合った部分の内縁部に対しても摩擦攪拌接合を行うようにする車両用ホイールの製造方法。 - 請求項4〜9のいずれか1項に記載の車両用ホイールの製造方法において、
前記アウター側リムフランジと対面となるインナー側リムフランジにおいて、車両用ホイールのインナー側での整流効果を高めるとともに前記インナー側リムフランジの剛性向上を図るためのものであって前記リムの車両内側に配置されるブレーキ等の構造物と干渉しない大きさの内径穴を有するリング板状の整流板を配置し、回転工具を該整流板表面側から押し当て該整流板の外縁部に沿って周方向に相対移動させて摩擦攪拌接合を施すことにより該整流板を前記インナー側リムフランジに接合する工程を更に有する車両用ホイールの製造方法。
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