JP2018019866A - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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Fumito Ishikawa
史人 石川
小池 敏文
Toshifumi Koike
敏文 小池
小松 常利
Tsunetoshi Komatsu
常利 小松
佐野 壮一
Soichi Sano
壮一 佐野
裕之 小池
Hiroyuki Koike
裕之 小池
克史 友部
Katsushi Tomobe
克史 友部
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【課題】衣類の量が増加しても乾燥仕上がりの低下を抑制した洗濯乾燥機を提供すること。【解決手段】衣類が収容される回転ドラム3と、該回転ドラムを収容し洗濯水を溜める外槽2と、この外槽に固定され前記回転ドラムを駆動するモータと、前記外槽を支持する筐体1とを有し、前記回転ドラムを前記モータで反転回転させて洗濯及び乾燥運転する洗濯乾燥機において、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に衣類のしわを伸ばす風量及び風速を有する風を吹きつける手段を設け、前記風を吹きつける手段は、送風手段28、該送風手段の吐き出し側に設けた風の加熱手段、該加熱手段の下流に設けたノズル32d、及びこれらを接続する風路とで構成し、前記乾燥運転時に前記回転ドラムの回転速度を55〜70min-1とし、ドラムの一方向の回転時間を2〜15秒とし、ドラムを正逆反転回転する。【選択図】図2

Description

本発明は、衣類を収容するドラムを回転させながら乾燥するドラム式洗濯乾燥機および乾燥機に関する。
乾燥機又は洗濯から乾燥までを連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。
また、衣類の乾燥仕上がりを向上させる方法として、下記特許文献1には、高速の風を衣類に直接吹き付けて、風の力でしわを伸ばしながら乾燥するドラム式洗濯乾燥機が記載されている。このようなドラム式洗濯乾燥機では、高速の風を発生させるためのファンを含む送風ユニットが、円筒形ドラムと箱形の筐体との間に形成される右上の角部または左上の角部に設置されている。そして、ドラムを右回りに回転させたり左回りに回転させたりを繰り返しながら、送風ユニットの下流に設けられたノズルから、衣類に向けた高速の風を吹き付ける構成になっている。
下記特許文献2には、特許文献1と同様の構成で、直径が600mm、容積が75Lのドラムにおいて、ドラムの回転数を47から55min-1、回転時間を40〜60sとしたドラム式洗濯乾燥機が記載されている。また、特許文献3には、特許文献1と同様の構成で、直径が530mm、奥行き寸法394mmのドラムにおいて、ドラム回転数を47から55min-1、回転時間を10〜30sとしたドラム式洗濯乾燥機が記載されている。さらに、特許文献3には、ドラムの回転時間が乾燥の前半を15s、乾燥の後半を30sとし乾燥仕上がりと乾燥効率を向上できることも記載されている。
特開2009−034405号公報 特開2009−072495号公報 特開2013−070830号公報
上述した従来のドラム式洗濯乾燥機では、乾燥運転中に右回りや左回りに回転するドラムの回転数や回転時間は、ドラム内に収容した衣類に満遍なく高速の風が当たるように設定しており、乾燥仕上がりが良く乾きムラが少なくなるようになっている。このようにすることで、一般的なドラム式洗濯乾燥機に対し衣類の乾燥仕上がりを大幅に向上している。乾燥仕上がりは、ドラム容積に対し衣類の量が増えるほど悪化していく。特許文献2や特許文献3のドラム式洗濯乾燥機の乾燥容量は6kgであるが、3kg程度まではシワが少ない良い仕上がりである。しかし、これ以上の衣類の量になると仕上りが悪化し、特に袖が広がらずに絞られたようなシワが目立ってくる。これは、衣類の量が増加すると、ドラム内で衣類が広がりにくくなることが原因の一つである。ドラムの容積を大きくするとしわを減少できることは従来から知られていたが、家庭用洗濯乾燥機では、設置場所の面積や設置場所への搬入路(廊下やドア)の制限から、洗濯乾燥機の大きさには限界があり、十分な容積を確保することは困難である。また、乾燥中のドラム内の衣類の動きを詳細に観察すると、次のような現象が発生していることが分かった。
図19は、高速の風を衣類に吹き付けるノズルがドラムの右上にある場合の、乾燥運転中にドラムが右回転している時の衣類の動きの軌跡を模擬的に示したものである。実線で示したAの軌跡は、衣類の量が少ない場合に上述のドラム回転数で運転した場合のものである。衣類はドラムの回転による遠心力とリフターの作用でドラム下部から最上部付近に持ち上げられ、重力で落下する動きを繰り返す。衣類が落下を始めた付近でノズルからの高速の風が当たり、衣類のシワを伸ばす。衣類の量が多くなると、ドラム内の半径方向に衣類が重なった状態となり、中心側にも衣類が存在するようになる。この内側の衣類の回転半径は外側の衣類より小さいため、遠心力が小さくなる。このため、破線Bで示したように、ドラムの最上部に達する前に衣類が落下を始め、高速の風が当たりにくくなり、シワが伸びにくくなることが分かった。また、ドラム下部に落下した内側の衣類は、ドラムの回転で外側の衣類上を転がるよう運動をし、この時衣類が捻じれたり絡んだりする。さらに、ワイシャツの袖のように細長い部分は、身頃部分とばらばらに動くため、軽い袖の部分が最初に落下し、遅れて身頃部分が落下をするような動きになる場合がある。この動きを繰り返すと、先に落下した袖部分が捩じれたり、他の衣類と絡んだりすることが観察され、これが袖のシワが増加する要因となる。内側の衣類や袖が先に落下しないようにするには、ドラムの回転数を高くすればよいが、高くしすぎると一点鎖線Cで示したように、遠心力でほとんどの衣類がドラムに張り付いた状態となり、ドラムの回転方向を反転する時のみ衣類が落下する。この場合、袖の捻じれや絡みの発生は防げるが、外側の衣類には温風が当たりにくくなるため、乾きムラが発生してしまう。
本発明の目的は、衣類の量が増加しても乾燥仕上がりの低下を抑制した洗濯乾燥機を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、その一例として、
衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、前記回転ドラムを前記モータで反転回転させて乾燥運転するドラム式洗濯乾燥機において、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に風を吹き付ける手段を設け、前記風を吹き付ける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成し、前記乾燥運転時に前記回転ドラムの一方向の回転時間を2から15秒とし、前記回転ドラムを正逆回転し、前記回転ドラムの回転速度を55から70min-1とした。
また、前記乾燥運転時に前記回転ドラムの回転制御を前半と後半に分け、前記ドラムの回転速度を前半より後半を遅くするとともに、前記回転ドラムの一方向回転時間を前半より後半を長くした。
本発明によれば、衣類の量が増えてもシワの少ない乾燥仕上がりを実現できる。
本発明のドラム式洗濯乾燥機を示す外観図である。 本発明のドラム式洗濯機の筐体の一部を切断して内部構造を示す斜視図である。 本発明のドラム式洗濯機の背面カバーを外して内部構造を示す背面図である。 本発明のドラム式洗濯機の内部構造を示す側面図である。 本発明のドラム式洗濯機の筐体の上部を切断して内部構造を示す上面図である。 温風吹き出し口を設けた外槽カバーの正面図である。 図6における温風吹き出し口のA−A断面図である。 官能評価値と衣類の仕上がり具合を示す写真である。 洗濯兼脱水槽の内側から見た外槽カバーのノズル形状を示した斜視図である。 目視による仕上がり官能評価値と仕上がり具合の一例である。 洗濯兼脱水槽の回転時間、回転数と乾燥仕上がり官能評価値の実験結果の一例である。 乾燥運転中の洗濯兼脱水槽内での布動き(布の軌跡)を示す模式図である。 図2に示した洗濯乾燥機の制御系のブロック線図である。 図13に示した制御系のコントローラにおけるマイクロコンピュータが実行する制御処理の一部を示すフローチャートである。 本発明と従来のドラム式洗濯機の乾燥仕上がりの比較を示す一例である。 マイクロコンピュータが実行する他の制御処理の一部を示すフローチャートである。 リフターを取り付けた洗濯兼脱水槽の断面図である。 リフターの形状を示す斜視図である。 乾燥中の洗濯兼脱水槽内での布動きを示す模式図である。
以下、本発明の一実施について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態例に係るドラム式洗濯乾燥機の外観図である。図2は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した斜視図、図3は内部の構造を示すために背面カバーを取り外した背面図、図4は内部の構造を示す側面図、図5は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した平面図である。
1は、外郭を構成する筐体である。筐体1は、ベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b,前面カバー1c,背面カバー1d,上面カバー1e,下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず),前補強材(図示せず),後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1を含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
9は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドアで、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すことでロック機構(図示せず)が外れてドアが開き、ドアを前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材は、後述する外槽の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。ドア9の外槽開口部を閉じる部分は、乾燥時の熱に耐えられるよう凹状のガラス9aで出来ている。
6は、筐体1の上部中央に設けた操作パネルで、電源スイッチ39,操作スイッチ12,13,表示器14を備える。操作パネル6は、筐体1下部に設けた制御装置38に電気的に接続している。
3は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽(回転ドラム)であり、その外周面3eおよび背面3dに通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部3aを設けてある。開口部3aの外側には洗濯兼脱水槽3と一体の流体バランサ3cを備えている。外周面3eの内側には軸方向に延びるリフター3bが複数個設けてあり、洗濯,乾燥時に洗濯兼脱水槽3を回転すると、衣類はリフター3bと遠心力で外周面3eに沿って持ち上がり、重力で落下するように動きを繰り返す。洗濯兼脱水槽3の回転中心軸は、水平または開口部3a側が高くなるように傾斜している。
2は、円筒状の外槽であり、洗濯兼脱水槽3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にモータ4を取り付ける。モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、洗濯兼脱水槽3と結合している。前面の開口部には外槽カバー2dを設け、外槽内への貯水を可能としている。外槽カバー2dの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部2cを有している。本開口部2cと前補強材37に設けた開口部は、ゴム製のベローズ10で接続しており、ドア9を閉じることでドア9のガラス9aがベローズ10のリップ部に接触し、外槽2を水封する。また、ドア9を閉じると、凹状のガラス9aの先端が外槽カバー2dの開口部2cを塞ぐようになるが、洗濯時の外槽2の沈み込みや脱水時の外槽2の振動で槽カバー2dとガラス9aが接触しないよう、ガラス9aの外周部と槽カバー2dとはすき間を有している。このすき間の大きさは、すき間に洗濯物が入り込まないように配慮してある。
外槽2底面最下部には、排水口2bが設けてあり、排水ホース26が接続している。排水ホース26の途中には排水弁(図示せず)が設けてあり、排水弁を閉じて給水することで外槽2に水を溜め、排水弁を開いて外槽2内の水を機外へ排出する。
外槽2は、下側をベース1hに固定されたサスペンション5(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽2の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽2の前後方向へ倒れを防ぐ。
19は、筐体1内の上部左側に設けた洗剤容器で、前部開口から引き出し式の洗剤トレイ7を装着する。洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイ7を図1の二点鎖線で示すように引き出す。洗剤容器19は、筐体1の上補強材に固定されている。
洗剤容器19の後ろ側には、給水電磁弁16や風呂水給水ポンプ17,水位センサ(図示せず)など給水に関連する部品を設けてある。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けてある。洗剤容器19は、外槽2に接続されており、給水電磁弁16を開く、あるいは風呂水給水ポンプ17を運転することで、外槽2に洗濯水を供給する。
29は筐体1の背面内側に縦方向に設置した乾燥ダクトで、ダクト下部は外槽2の背面下方に設けた吸気口2aにゴム製の蛇腹管B29aで接続される。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁16から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト29の壁面を伝わって流下し吸気口2aから外槽2に入り排水口2bから排出される。
乾燥ダクト29の上部は、筐体1内の上部右側に前後方向に設置したフィルタダクト27に接続している。フィルタダクト27の前面には開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ8を挿入してある。乾燥ダクト29からフィルタダクト27へ入った空気は、乾燥フィルタ8のメッシュフィルタ8aに流入し糸くずが除去される。乾燥フィルタ8の掃除は、乾燥フィルタ8を引き出してメッシュフィルタ8aを取り出して行う。また、フィルタダクト27の乾燥フィルタ9挿入部の下面には開口部が設けてあり、この開口部は吸気ダクト33が接続しており、吸気ダクト33の他端は送風ユニット28の吸気口と接続している。
送風ユニット28は、駆動用のモータ28a,ファン羽根車(図示せず),ファンケース28bで構成されている。ファンケース28bにはヒータ31が内蔵されており、ファン羽根車から送られる空気を加熱する。送風ユニット28の吐出口は温風ダクト30に接続する。温風ダクト30は、ゴム製の蛇腹管A30a,蛇腹管継ぎ手30bを介して外槽カバー2dに設けた温風吹き出し口32に接続している。本実施例では、送風ユニット28が筐体1内の上部右側に設けてあるので、温風吹き出し口32は外槽カバー2dの右斜め上の位置に設け、温風吹き出し口32までの距離を極力短くするようにしてある。
排水口2b,送風ユニット28の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
本発明では、高速の風を衣類に直接当て、風の力で衣類に発生するしわを伸ばしており、高速の風を発生する送風ユニット28とこの風を直接衣類に当てる温風吹き出し口32が必要となる。
温風吹き出し口32の詳細を図6,図7を用いて説明する。図6は温風吹き出し口28設置部の外槽カバー2dの正面図、図7は図6の二点鎖線A−Aで切断して示した温風吹き出し口32の断面図である。
温風吹き出し口32は、外槽カバー2dの前側から開口部2cに沿うように設けてあり、内部に流路32b,32cが形成されている。温風吹き出し口32の入口には蛇腹管継ぎ手30bが取り付けてあり、流路32cの出口にはノズル32dが形成されている。洗濯兼脱水槽3と外槽カバー2dとのすき間に衣類が入り込まないよう、外槽カバー2dの開口部2cの内径と洗濯兼脱水槽3の開口部3aの内径は、ほぼ同一に設定されている。このため、温風吹き出し口32の出口部32aを開口部2cの内周面より内側に飛び出すように形成し、ノズル32dが洗濯兼脱水槽3内に向かって開口するようにしてある。また、ノズル32dは、バランサ3cの内周側開口部3aとドアガラス9aとの間に位置しており、洗濯兼脱水槽3の内部からノズル32dを臨めるようになっている。このようにすることで、ノズル32dから出た温風を直接洗濯兼脱水槽3内の衣類に当てることができる。
ノズル32dは、図8に示すような扁平のスリット形状としている。ノズル32d面積は、前述したような風量・風速が得られる面積であれば良く、断面形状も流れの抵抗にならないような形状であれば、どのような形状でもかまわない。しかし、出口部32aが開口部2cの内側に多く飛び出しすぎると、衣類の出し入れの邪魔になったり、洗濯や乾燥時に衣類の動きを阻害したりする。そこで、ノズル32dを扁平のスリット形状にして飛び出し量を小さくした。また、開口部2cと出口部32aの表面形状がスムーズに変化するようにして、布動きを阻害しないようにしてある。
ノズル32dの高さを小さくしすぎるとゴミが詰まりやすく、ノズルでの風切り音の増加に繋がるので、最低でも3mm程度あった方が好ましい。また、流路32bと流路32cは無駄な突起や、急激な流れ方向の変化が無いようにし、かつノズル32dに向かい流路面積が徐々に小さくなるようにしてある。こうすることで、高速の風が流路32b,32cを流れるときに発生する圧力損失や流体音を小さくすることが出来る。
乾燥運転時の風の流れは次のようになる。送風ユニット28を運転し、ヒータ31に通電すると、ノズル32dから洗濯兼脱水槽3内に高速の温風が吹き込み(矢印41)、湿った衣類に当たり、衣類を温め衣類から水分が蒸発する。乾燥運転中は、洗濯兼脱水槽3を正逆回転させているので、リフター3bにより衣類がノズル32dの付近まで持ち上がった状態で、衣類に高速の風が当たる。このときノズル32dと衣類との距離が最も短くなるので、高速の風で衣類のしわを伸ばすことができる。高温多湿となった空気は、洗濯兼脱水槽3に設けた貫通孔から外槽2に流れ、吸気口2aから乾燥ダクト29に吸い込まれ、乾燥ダクト29を下から上へ流れる(矢印42)。乾燥ダクト29の壁面には、水冷除湿機構からの冷却水が流れ落ちており、高温多湿の空気は冷却水と接触することで冷却除湿され、乾いた低温空気となりフィルタダクト27へ入る(矢印43)。27に設けたメッシュフィルタ8aを通り糸屑が取り除かれ、吸気ダクト33に入り、送風ユニット28に吸い込まれる(矢印44)。そして、ヒータ31で再度加熱され、洗濯兼脱水槽3内に吹き込むように循環する。
高速の風を衣類に当てることにより、衣類のしわが減少する理由について図9を用いて述べる。図9(a)はノズル32dから出た高速の風41が衣類に当たった時の模式図である。ここでは、衣類の背面に他の衣類がある場合を示している。風が衣類に当たると、衣類には風で押し広げられる力(矢印(1))と、衣類に当たった後流れ方向を変え衣類表面に沿って流れる風で左右に引っ張られる力(矢印(2))が作用する。この(1)と(2)の力で衣類のしわは伸ばされる。洗濯兼脱水槽3内の衣類の量が多い場合は、直接風が当たる衣類の周囲に他の衣類が多く自由に動きにくいため、主に(1)の力でしわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、衣類が自由に動き、風が当たった衣類は風の流れ方向に押されながら吹き流しのようになり、衣類表面に沿って流れる風による(2)の力でしわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、乾燥中に衣類が広がりしわは発生しにくいので、ここでは(1)の力について考える。
(1)の力Fは、図9(b)に示すように、ノズル32dから吹き出す風の風量をQ、風速をVとすると、QとVの積に比例する。また、ノズル32dと衣類との距離をXとすると、力FはVに比例しXに反比例する。ただし、ノズル32dと衣類との距離が非常に近い場合(噴流のコア領域、円形ノズルの場合でノズルからノズル径の約6倍の位置まで)は、FはXに関係なくVに比例する。従って、Fを大きくするためには、風量Qを増やすか風速Vを増す、あるいはXを小さくすればよい(衣類をノズルに近づける)。
風量Qを増やすためには、送風ユニット28のファンの回転数を高めたり、ファンの外径や羽根高さを増やしたりする必要がある。また、温風が通るダクトの面積を大きくして圧力損失を小さくした方が良い。特に、除湿に水を使用する水冷方式の場合、乾燥ダクト29を流れる空気の流速が速すぎると、冷却水が風に吹き飛ばされる現象が発生する。冷却水がフィルタ8aやヒータ31まで到達すると、乾燥効率の大幅な低下につながるため、乾燥ダクト29の流路面積を大きくすることが必須である。このため、風量を大幅に増やすと、ダクトや送風ユニットのサイズが大型化し、筐体1のサイズの大型化につながり、洗濯乾燥機を家庭へ設置しにくくなる。
一方、風速Vを増やすためには、送風ユニット28を高圧力タイプのものにしてノズル面積を小さくすればよい。送風ユニット28として、一般的なターボファンを使用した場合、低い回転数でファン羽根車を大径化する方法と、ファン羽根車の径は小さいままで回転数を高くする方法とがあるが、高速回転化は、従来と同一の筐体に実装できる利点がある。
本実施の形態例では、ノズル面積280mm2(幅56×高さ5mmのスリット状)で、送風ユニット28はファン羽根車径140mm,羽根厚さ8.1mmで回転数を毎分14000回転で運転している。これによりファン吐出圧力が約7000Pa(空気温度30℃時)となり、風量約1.4m3/minで風速約85m/sを得ている。また、ノズル32dは外槽カバー2dの(向かって)右斜め上(略45度の場所)に位置しており、ここから洗濯兼脱水槽3の背面3dの略中心部のやや上部に向かい高速の風が吹き出している。乾燥運転中に洗濯兼脱水槽3を正逆回転させながら、衣類を持ち上げノズル32dに近づけ、ノズル32dからの高速の風を衣類に当てている。
次に、衣類の乾燥仕上がりについて説明する。乾燥仕上がりの評価は目視による5段階の官能評価で行った。評価に使用した衣類は、乾燥シワが顕著だった綿100%のカジュアルシャツである。官能評価値に対する仕上がり具合の例を図10に示す。評価値3は、袖にシワが残っているが、アイロンで比較的容易にしわをとることができるレベルである。評価値4以上であれば、乾燥後にそのまま着用してもよいレベルである。
図11は、ドラム直径610mm、ドラム容積84Lのドラム式洗濯乾燥機を使用し、布量3.5kgで洗濯乾燥運転した場合の、ドラム(洗濯兼脱水槽3)の回転時間、ドラム回転数と乾燥仕上がり官能評価値の実験結果である。なお、評価者は3名で、結果は平均値を示してある。ドラムは、前述のように左右反転回転するが、詳細には右回転−停止−左回転−停止を繰り返す。この時、停止時間を2s一定として、ドラムの回転時間を2sから30sまで変化させた。また、ドラムの回転数は、45min-1から70min-1まで変化させた。ドラム回転数を45min-1から60min-1までドラム回転数を高くしていくと、仕上りの官能評価値は上がる傾向を示したが、70min-1まで上げると60min-1よりも若干悪化した。
以下、図11の実験結果を詳細について、図12を用いながら説明する。
図12は、乾燥運転中のドラム内での布動き(布の代表的軌跡)を模擬的に示した図である。実線はドラム内で外側に位置する衣類の軌跡を、破線は内側に位置する衣類の軌跡を示す。ドラムが停止状態から回転させると、あらかじめ設定された加速率で規定回転数まで上昇させ略一定回転を保持し、その後既定の減速率で回転数を下降させて停止し、その後回転方向を変えて回転を始める。この時ドラム内の衣類は、最初回転数が低いため衣類に作用する遠心力が小さく、実線矢印61や破線矢印62で示すようにリフターでドラムの回転方向に持ち上げられるが、すぐに重力で落下する。この時、衣類はドラム内で転がるような動きとなる。回転数が上昇していくと遠心力が増加し、実線矢印63や破線矢印64で示すように、ドラム内の最上部付近まで持ち上がられ、落下するようになる。規定回転数は、この動きを繰り返すように設定するのが一般的である。ドラムの回転数が高すぎると、実線矢印65や破線矢印66で示すように、衣類は遠心力でドラムに張り付いた状態となり、落下しなくなる。
図11の二点鎖線Bで示した範囲は、先行技術文献で示されているように、従来のドラム式洗濯乾燥機のドラム回転数45から55min-1と、ドラム回転時間10から60sの範囲である。また、図中破線C1、C2で囲んだ範囲では、乾きムラが発生した。
ドラム回転数45と50min-1の場合、回転時間が短すぎるとドラム内の外側の衣類は図12(a)の実線矢印61、内側の衣類は破線矢印62で示すように、ドラム内で上まで持ち上げられずに、すぐに落下しドラム内で転がるような動きになる。このため、温風が十分当らずに乾きムラが発生する(破線C1)。さらに、高速の風にも当たりにくいため、仕上りも悪化してしまう。
回転時間を長くしていくと、図12(a)の実線矢印63や破線矢印64で示すように、衣類がドラム内で持ち上げられ、ドラムの最上部付近から落下するようになる。通常、ドラム式洗濯乾燥機では、このような布動きになるように設定している。こうすることで、温風が衣類に当りやすくなるため乾きムラは発生しにくくなる。また、高速の風に当る確率も上がるため、仕上りもよくなる傾向を示すが、評価値は頭打ちとなった(50min-1で3程度)。布量3.5kgでは、ドラム内の内側に位置する衣類は、外側の衣類より衣類に作用する遠心力が小さいため破線矢印64で示すように、一方向回転中に外側の衣類(実線矢印63)より先に落下する場合が多い。特に、軽い袖部分は身頃部分よりもさらに早く落下する。このように、外側の衣類と内側の衣類が異なる動きをすると、布絡みの要因となる。また、身頃部分と袖部分の布動きに差が生じると、細い袖の捻じれや絡みが発生する。仕上りの官能評価値が頭打ちになってしまったのは、このためである。図11では、ドラム回転時間を30sまでしか示していないが、60s程度までは30sとあまり変わらない仕上りであるが、60sを超すと仕上りが悪化していく。ドラムは、左右に反転回転を繰り返すため、右回転で捻じれや絡みが生じても、左回転で戻ることがある。本実施例では、ノズル32dがドラム正面から見て右上部に位置しており、高速風は右斜め上方から衣類に吹き付けられるため、ドラムの右回転時と左回転時の布動きが異なる。ノズル32dをドラムの真上または真下に設けると、左右回転で対称に近い布動きにできるが、実際には右回転と左回転で完全に対称な布動きとすることは困難であり、一方向の回転時間が長すぎると、捻じれや絡みが増加していく。
ドラム回転数を55min-1以上にすると、ドラム内の衣類は遠心力でほとんどドラムに張り付き、ドラムの回転中に重力で衣類が落下することはなくなる。すなわち、図12(a)の実線矢印65や破線矢印66で示すように、ドラム内の外側の衣類と内側の衣類は、互いの位置関係を保ったまま、ほぼ同心状に回転する。ドラムの回転方向を反転する時に、ドラムを一旦停止すると、外側と内側の衣類は、図12(b)の実線矢印67や破線矢印68で示すように、張り付いていた衣類がほぼ同時に落下する。そして、ドラムを逆方向に回転させるときに、それぞれの衣類の位置関係が変化し、衣類の入れ替わりが生じ、ドラムの回転数が規定回転数に達すると、遠心力で衣類はドラムに張り付いた状態となる。回転方向を変える前と衣類の位置が入れ替わるめ、別の衣類や衣類の別の部分に高速の温風が当たるようになる。このように、ドラム回転数が55min-1以上の場合、ドラムの回転方向を変えることで衣類の入れ替わりが発生する。ドラムの回転中、衣類はドラムに張り付いたままの時間が長くなるため、ドラム内で落下を繰り返すような布動きの場合と異なり、袖の部分の捻じれや絡みに起因するシワはほとんど発生しない。
ドラムの回転時間を20s以上と長くすると、衣類が遠心力でドラムに張り付き、同じ姿勢のままの時間が長く、浅い折りシワが多くなったが、捻じれや絡みに起因する強いシワがほとんどないため、見た目の官能評価値はそれほど悪くはない。また、ドラム回転数55min-1と70min-1の仕上りの差もほとんどない。しかし、ドラムの回転方向の反転頻度が低いため、衣類の入れ替わりが少なく、温風が衣類全体に当たりにくく、乾きムラが発生する可能性が大きい(図11の破線C2)。このため、ドラム回転数55min-1以上ではドラム回転時間を長くしすぎない方がよい。
ドラム回転時間を15s、10s、5sと減らしていくと、ドラムの回転方向の反転頻度が増加し、衣類の入れ替わりが多くなり、乾きムラは発生しなくなる。同時に、高速の温風が衣類に万遍なく当たるようになるため、浅い折りシワの発生も抑制できる。また、ドラムの回転方向反転時にトラム回転を停止すると、ドラム内の外側と内側の衣類はほぼ同時に落下する(図12bの実線矢印67、破線矢印68)。このため、衣類間や衣類内の相対運動が少なく、相対運動に起因する絡みやねじれの発生が抑制でき、袖やズボンなどの長い部分のシワの発生を抑制できる。ドラム回転数55min-1ではドラム回転時間15sから10sが最も仕上りが良く、回転時間が5s、2sと短くなるに従い仕上りが悪化する。
ドラム回転数60min-1と70min-1ではドラム回転時間5sが最も仕上りが良かった。ドラム回転時間をさらに短くして2sとすると、どの回転数でも仕上りが悪化した。ドラム回転時間が2sで(55min-1では5s)で仕上りが悪化するのは、この回転時間では、回転時間が短すぎ、衣類がドラムに張り付く前にドラムの回転が停止するため、図12(a)の実線矢印63や破線矢印64のような布動きが発生しやすく、衣類間や衣類内での相対運動が発生しやすく、捻じれや絡みが発生するためである。仕上り評価値に対するドラム回転数の60min-1と70min-1の差は、あまり大きくなかったが、60min-1の方が若干いい評価であった。これは、遠心力による押し付け力に起因するものと考えられる。
仕上りと乾きムラを考慮すると、ドラム回転時間は2sから15s程度が好適であり、本実施例のドラム寸法の場合、ドラム回転時間は10sが最適であった。また、ドラム回転数の加速率や減速率を適正に設定することで、ドラム増速時や減速字にドラム内で衣類が転がるような動きを抑制でき、衣類の転がりに起因するシワの発生も抑制できる。
ドラムの回転数は、衣類のドラム内の位置によらず、全ての衣類が安定して遠心力でドラムに張り付く最低限の回転数に設定すればよく、本実施例のドラム直径では60min-1に設定している。また、衣類の持ち上がり方は、ドラムの回転による遠心力とドラム回転時間により決まる。遠心力は、ドラム直径に比例するので、ドラム直径が大きくなるほどドラム回転数は低く設定すればよい。
以上述べてきたように、乾燥運転は、ドラムの正逆回転を繰り返して行うが、この時、ドラムの回転数を遠心力で衣類がドラムに張り付く回転数に設定し、ドラムの一方向の回転時間を2sから15s程度に短くして、短周期でドラムの回転方向を反転させることで、乾燥する衣類の量が増加しても、衣類間や同一衣類の部位間の相対運動を抑制でき、高速風を衣類に満遍なく当てることで、乾きムラがなくシワの少ない仕上がりを実現できる。
図13は、洗濯乾燥機の制御装置38のブロック図である。50はマイクロコンピュータで、各スイッチ12,13,13aに接続される操作ボタン入力回路51や水位センサ34,温度センサ52と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程,乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ50からの出力は、駆動回路54に接続され、給水電磁弁16,排水弁25,モータ4,送風ファン28,ヒータ31などに接続され、これらの開閉や回転,通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための7セグメント発光ダイオード表示器14や発光ダイオード56,ブザー57に接続される。
前記マイクロコンピュータ50は、電源スイッチ39が押されて電源が投入されると起
動し、図14に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
ステップS102
操作パネル6の表示器14を点灯し、操作ボタンスイッチ13からの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。
ステップS103
操作パネル6のスタートスイッチ12からの指示入力を監視して処理を分岐する。
ステップS104
洗濯を実行する。洗濯は洗い,中間脱水,すすぎ,最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
ステップS105
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
ステップS106
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、高速脱水を実行する。高速脱水は、洗濯兼脱水槽3を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する。この時、送風ユニット28を低速回転で運転し、ヒータ31に通電して温風を洗濯兼脱水槽3内に吹き込み衣類の温度を上昇させてもよい。温度が上がると水の粘性や表面張力が低下するため効率よく脱水できる。
ステップS107
乾燥運転を実行する。送風ユニット28を高速回転、ヒータ31は強モードあるいは弱モードで運転し、洗濯兼脱水槽3を洗濯物が遠心力で張り付く程度の回転数(本例では60min-1)で回転し、一方向の回転時間を5s、停止時間2sで左右回転を繰り返しながら、高温の温風を衣類に吹きつける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発し、さらに高速風により衣類のシワを伸ばしながら乾燥する。
乾燥は、温度センサにより温風や冷却水排水温度を監視しながら実行し、温度変化の割合が所定の値になったときに終了する。
図15は、布量2kgから5kgにおいて本実施例により洗濯乾燥コースで運転した場合の、綿100%のカジュアルシャツの仕上りの一例である。布量2kgの場合は、ドラム容積に対して布量が少なく、乾燥運転中に衣類が容易に広がるため、従来との差は少ないが、布量3kgから5kgでは本発明の方が大幅に仕上りが向上しており、布量3kgでは従来の2kgに近い仕上がりであることが分かる。また、布量4kg、5kgにおいても、大幅に仕上りが向上しており、特に袖の仕上りの改善度合いが大きいことが分かる。
以上、ドラム直径610mm、ドラム容積84L(ドラム奥行き310mm)のドラムを有するドラム式洗濯乾燥機を例に説明してきた。本ドラムは、直径Dと奥行きLの比(D/L)が1.96と直径に対して奥行き寸法が小さい。一般に、ドラム回転時間が短いと、ドラム内での前後方向の布の入れ替えが少ない。しかし、ドラムの奥行き寸法が小さいため、ドラム回転時間が2sから15sと短くても、温風が衣類に当りやすいため、乾きムラの少ない乾燥が実現できる。一方、特許文献3記載のドラム式洗濯乾燥機は、ドラム直径530mm、奥行き寸法394mmであり、D/Lが1.35と直径に対して奥行き寸法が大きい。このようなドラムでは、ドラムの前側と奥側の衣類の入れ替えが不十分だと、衣類の乾きムラが発生する。本実施例のようにドラムの前側から温風をドラム内に吹き込む構成では、ドラム奥側の衣類に乾きムラが発生する。衣類の前後方向の入れ替えを促進するためには、ドラム内で衣類が持ち上がり落下を繰り返す程度の回転数で、ドラムの回転時間を長くする必要がある。しかし、この運転は、袖などの長い衣類の捻じれや絡みを発生するため、衣類の仕上りに対しては好適ではない。このような、直径に対して奥行き寸法が長いドラムに対しては、次のような運転をすると、仕上りが良く乾きムラのない乾燥を実現できる。
図16は、マイクロコンピュータ50が実行する洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムである。図14と同じ符号は同じ処理を示すので、説明を省略する。本プログラムの特徴は、乾燥の前半と後半でドラムの回転数、回転時間を変えたことにある。
ステップS108
乾燥前半の運転を実行する。この運転は、基本的には図14のステップS107と同様である。本実施例ではドラム直径が530mmであるので、衣類が遠心力で洗濯兼脱水槽(ドラム)に張り付くか落下するかの臨界回転数は約60min-1となる。このため、ドラム回転数は60min-1以上で70min-1程度が好適である。ドラムの回転時間は、前述と同様2sから15sである。
ステップS109
規定条件が成立したか否かで処理を分岐する。規定条件は、乾燥前半の運転時間が予め設定した時間に到達したかや、温度センサで温風や冷却水排水温度を検知し、その温度変化の割合が所定の値になったか、などである。
ステップS110
乾燥後半の運転を実行する。送風ユニット28の回転やヒータ31はステップS108のまま、ドラム回転数を51から53min-1とし、ドラム回転時間を15sとする。ドラム回転数を乾燥前半より低くし、ドラム回転時間を長くすることで、同一方向に回転しているときの衣類の落下回数が増加し、衣類の前後方向の入れ替わりが促進され、奥側の乾燥が遅れている衣類が前側に移動してきて、高速の温風に当ることで、水分が蒸発し、シワが伸ばされる。ドラム回転時間をさらに伸ばすと、衣類の入れ替わりをさらに促進できるが、仕上りを考えると15sから30s程度にした方がよい。ドラム回転数を乾燥前半より低くしたのは、乾燥が進み衣類の含水量が減少し、衣類の重さが減少したため、回転数を落としても衣類がドラムの最上部付近まで持ち上げられるからである。
乾いた衣類のシワをとることは困難であることは、アイロンがけに霧吹きやスチームを使用することから明らかである。このことは、シワがない乾いた衣類にしわを付けるためには、強い力が必要であることを意味する。ドラム回転中に重力で衣類が落下を繰り返すような回転数で、長い回転時間運転すると、袖などの長ものが捩じられたり絡んだりして仕上りが悪化すると述べてきたが、乾燥が進んで含水量が低減した衣類の場合は、多少絡んでもシワになることは少ない。このため、乾燥後半でドラムの回転数を低くして、回転時間を長くしても、仕上りを悪化させることはない。
なお、上記では、乾燥運転を前半と後半に分けて、ドラムの回転数と回転時間を変更したが、乾燥運転中にステップS108の運転とステップS110の運転を一定時間ごとに交互に繰り返すようにしてもよい。この時間は、前側の衣類のシワが伸びた状態で乾燥が進み、高速の風に当りにくくなってもシワが増加しない程度の時間に設定する。
ところで、日本国内で売られているドラム式洗濯乾燥機は、洗濯兼脱水槽3の回転中心軸が、衣類の取り出し口側(前側)が高く、後ろ側が低くなるように傾けているものが多い。これは、洗濯兼脱水槽の前側を高くして、衣類の取り出し性を良くするためである。これに対し、海外のドラム式洗濯乾燥機では、洗濯兼脱水槽3の回転中心軸は水平の場合が多い。回転中心軸を水平にすると、筐体1のサイズに対して洗濯兼脱水槽3の容積を大きくできる利点がある。回転中心軸が傾いていると、傾斜のためにドラム内での衣類は前側から後ろ側へ動こうとする。このため、洗濯兼脱水槽内での衣類の前後方向の布動きが発生する。一方、回転中心軸の傾斜角度が水平に近づくと、後ろ側への動きが減少し、前側の衣類はそのまま前側で持ち上がり落下を繰り返す。このため、上記のような前後方向での相対運動がないため、衣類の捻じれや絡みを防ぐには有利である。しかし、洗濯兼脱水槽3の前側には、開口部を塞ぐためのドア9が設けられており、ドア9のガラス9aと洗濯兼脱水槽3内で持ち上げられ落下を繰り返す衣類が接触する。ガラス9aは固定しているため、衣類がガラス9aに接触することで速度や運動方向が変化する。このため、接触しない衣類と速度差が生じ、衣類が捩じられ仕上りに悪影響を及ぼす。また、衣類の前後方向の入れ替わりが発生しにくくなるため、乾きムラも発生しや少なる。
このように、傾斜角度が小さな洗濯兼脱水槽3では、図17、図18に示すリフター70を用いることで、衣類の前後方向の入れ替わりを促進できる。図17は、リフター70を取り付けた洗濯兼脱水槽3の断面図、図18はリフター70の形状を示す斜視図である。リフター70は、略三角柱状であり、洗濯兼脱水槽3の外周3eの内面に等間隔で複数個取り付けられている。底面76は洗濯兼脱水槽3の外周面3eの曲率半径と同じ曲率半径の円弧状となっている。前面71は垂直もしくは後ろ側に少し傾いた傾斜面、後面72は垂直もしくは前側に少し傾いた傾斜面となっている。洗濯兼脱水槽3内に飛び出すように形成された凸部は、リフター70の前後方向に伸びる傾斜面74、75と、洗濯兼脱水槽3の回転中心軸と略平行な上面73とで構成され、略三角柱形状を形成している。傾斜面74、75は、リフター70の前後方向の軸に対してほぼ左右対称に形成されている。リフター70の回転方向の幅は、前側Wfの方が後ろ側Wrより大きくなっている。このため傾斜面の角度θは、前側傾斜面74から後ろ側傾斜面75に向かい徐々に大きくなっている。上面73や傾斜面74、75には脱水のための小孔77が複数個設けられている。
傾斜面74の法線ベクトルは、洗濯兼脱水槽3の後ろ向きの成分を有しており、傾斜面75の法線ベクトルには、洗濯兼脱水槽3の前後方向の成分はほとんど含まれない。すなわち、傾斜面の法線ベクトルは、前から後ろに行くにつれて後ろ向きの成分が減少していく。洗濯兼脱水槽3を回転すると、前側の衣類は傾斜面75により洗濯兼脱水槽3の上部に持ち上げられるとともに、後ろ側に向かって動かされる。このため、前側の衣類が後ろ側へ移動し、前後方向の布動きが発生する。さらに、後ろに向かって動くため、ガラス9aと接触しにくく、あるいは接触しても弱い接触となり、ドアガラス9aとの接触に起因する捻じれを抑制でき、シワの少ない仕上がりを実現できる。
1 筐体
2 外槽
2a 吸気口
2d 外槽カバー
3 洗濯兼脱水槽
3b、70 リフター
3c 流体バランサ
3d 洗濯兼脱水槽背面
4 モータ
6 操作パネル
8 乾燥フィルタ
9 ドア
16 給水電磁弁
27 フィルタダクト
28 送風ユニット
28a ファンモータ
28b ファンケース
29 乾燥ダクト
31 ヒータ
32 温風吹き出し口
32d ノズル
33 吸気ダクト
38 制御装置

Claims (5)

  1. 衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、前記回転ドラムを前記モータで反転回転させて乾燥運転するドラム式洗濯乾燥機において、
    前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に風を吹きつける手段を設け、
    前記風を吹きつける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成し、
    前記乾燥運転時に前記回転ドラムの一方向の回転時間を2から15秒とし、前記回転ドラムを正逆反転回転させるとともに、前記回転時間内で前記回転ドラム内に収容された衣類が略1回落下することを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
  2. 衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、前記回転ドラムを前記モータで反転回転させて乾燥運転するドラム式洗濯乾燥機において、
    前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に風を吹きつける手段を設け、
    前記風を吹きつける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成し、
    前記乾燥運転時に前記回転ドラムに収容された衣類が前記回転ドラムの内壁面に遠心力で張り付くような回転速度で前記回転ドラムを回転させ、前記回転ドラムの回転方向反転時に衣類を落下させたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
  3. 衣類が収容される回転ドラムと、前記回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、前記回転ドラムを前記モータで反転回転させて乾燥運転するドラム式洗濯乾燥機において、
    前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に風を吹き付ける手段を設け、
    前記風を吹き付ける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成し、
    前記乾燥運転時に前記回転ドラムの一方向の回転時間を2から15秒とし、前記回転ドラムを正逆回転させ、前記回転ドラムが一方向に回転している間に前記回転ドラムに収容された衣類が前記回転ドラムの内壁面に遠心力で張り付くような回転速度で前記回転ドラムを回転させたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
  4. 請求項2または請求項3において、
    前記回転ドラムの回転速度を55から70min-1としたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
  5. 請求項1乃至請求項3いずれか1項において、
    前記乾燥運転時に前記回転ドラムの回転制御を前半と後半に分け、前記ドラムの回転速度を前半より後半を遅くするとともに、前記回転ドラムの一方向回転時間を前半より後半を長くしたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020039752A (ja) * 2018-09-13 2020-03-19 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 洗濯乾燥機
JP2020039476A (ja) * 2018-09-07 2020-03-19 株式会社Tosei ランドリー装置

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