JP2009072491A - 乾燥機及び洗濯乾燥機 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥の仕上がりを良くする。
【解決手段】衣類が収容される回転ドラム3と、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段とを有し、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接、該衣類のしわを伸ばす風量及び風速を有する風を吹きつける手段を設け、該風を吹きつける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けた風の加熱手段31、及び該加熱手段の下流に設けたノズル32とで構成し、前記モータ、前記送風手段、前記加熱手段、前記布量検知手段を制御する制御手段を有し、前記回転ドラムを前記モータで回転させて乾燥運転する洗濯乾燥機において、前記送風手段は風の風量を少なくとも2段階に制御可能で、前記制御手段は前記布量検知手段で検知した布量に応じて、前記送風手段を所定のパターンで制御し、前記風の風量を可変制御する。
【選択図】図4
【解決手段】衣類が収容される回転ドラム3と、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段とを有し、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接、該衣類のしわを伸ばす風量及び風速を有する風を吹きつける手段を設け、該風を吹きつける手段は、送風手段、該送風手段の吐き出し側に設けた風の加熱手段31、及び該加熱手段の下流に設けたノズル32とで構成し、前記モータ、前記送風手段、前記加熱手段、前記布量検知手段を制御する制御手段を有し、前記回転ドラムを前記モータで回転させて乾燥運転する洗濯乾燥機において、前記送風手段は風の風量を少なくとも2段階に制御可能で、前記制御手段は前記布量検知手段で検知した布量に応じて、前記送風手段を所定のパターンで制御し、前記風の風量を可変制御する。
【選択図】図4
Description
本発明は、衣類を乾燥する手段を備えた乾燥機又は洗濯乾燥機に関する。
洗濯から乾燥までを連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹き込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。蒸発した水分の除去方法としては、そのまま洗濯乾燥機外へ排出する排気方式(常に新しい空気を供給)と蒸発した水分を冷やし結露させて水分を除去する除湿方式(同じ空気を循環させる)があるが、家庭用では洗濯乾燥機を設置した室内へ水分が出ることがない除湿方式が多く用いられている。
洗濯乾燥機には、(1)乾燥時間が短いこと、(2)消費電力が少ないこと、(3)乾燥の仕上がりがよい(衣類のしわが少ない)こと、(4)衣類へのダメージが少ないこと等が求められている。このうち、(1)と(2)に関しては、空気の風量や温度を乾燥の進み具合に応じて適切に制御することで乾燥を効率よく行う洗濯乾燥機がある。また、洗濯槽内での衣類の動きを良くして、衣類から効率よく水分を蒸発させるようにした洗濯乾燥機がある。さらに、除湿方式として水冷方式を利用し、冷却水を風路の壁面全体に均一に流れるようにして高温多湿の温風との熱交換効率を高めた洗濯乾燥機がある。(4)に関しては衣類の温度が上がりすぎないように温風の温度を制限した(ヒータの入力を抑える)低温乾燥コースを備えた洗濯乾燥機がある。(3)に関しては、しわは乾燥中に衣類が絡んだり捻れたりすることにより発生するため、衣類の絡みや捻れが起きにくい洗濯乾燥機がある。
絡みや捻れが無くても乾燥機の容積に対して衣類の量が多くなると、衣類が十分に広がることが出来なくなるため、衣類が折れ曲がったまま乾燥され、しわが発生する。一例として、市販されている衣類乾燥機(ドラム容積62L,77L,99Lの3機種)で2kgの衣類を乾燥した時の衣類(綿のパジャマズボン)の写真を図20に示す。ドラム容積が大きくなるほどしわが少なくなっているのが分かる。このように、容積が大きいほどしわを減少できることは従来から知られていたが、家庭用洗濯乾燥機では、設置場所の面積や設置場所への搬入路(廊下やドア)の制限から、洗濯乾燥機の大きさには限界があり、十分な容積を確保することは困難であった。このため、乾燥の仕上がりを気にするような衣類は、他の一般の衣類と分け、衣類の量を少なくして乾燥するしか方法は無かった。しかし、時間のかかる乾燥を複数回行うことは現実的ではなく、このような衣類はつり干しで乾燥し、乾燥機は利用しない人が多かった。
本発明の目的は、ドラムの容積を大きくすることなく、乾燥の仕上がりを向上した乾燥機又は洗濯乾燥機を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、
ファン、該ファンの吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファンの回転数を制御する手段とを備えたことを特徴とする。
ファン、該ファンの吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファンの回転数を制御する手段とを備えたことを特徴とする。
また、前記制御手段は乾燥運転の初期段階では前記ファンからの風の風量を小、前記加熱手段の出力を強に制御し、乾燥運転の途中から前記送風手段からの風の風量を大、前記加熱手段の出力を弱に制御し、前記風量及び加熱手段の出力を切り替える時期を前記布量に応じて決定するようにした。
具体的には、前記切り替える時期は、前記布量が多いほど遅くするようにした。
このように構成した乾燥機は、乾燥運転中に衣類に高速の風を直接吹きつけるので、風により衣類が押し広げられ、衣類のしわが伸ばされて、しわの少ない乾燥仕上がりを実現できる。
乾燥運転の初期段階では前記送風手段(ファン)からの風の風量を小、前記加熱手段の出力を強に制御し、高温の風を衣類に当て衣類の温度を速やかに上昇させ衣類からの水分の蒸発を速めることができ乾燥時間を短縮できる。同時に、回転ドラムを高速回転させる温風脱水を行うと、衣類の水分を減少させるのに効果的で、乾燥時間短縮により効果的である。そして、乾燥運転の途中から前記送風手段からの風の風量を大、前記加熱手段の出力を弱に制御するようにして、高速の風を衣類に吹きつけてしわの少ない乾燥仕上がりを実現する。
乾燥時のしわは衣類の乾燥度(=乾布の質量÷乾燥中の布質量)が0.9を超える辺りで固定化されるので、これ以前に高速の風を衣類に吹きつける必要がある。乾燥は布量が少ないほど速く進むので、布量が少ない場合は高速の風を吹きつけるタイミングを早くした方がよい。そして、布量が増えるにつれてそのタイミングを遅くして行くように制御する。こうする、布量によらずしわの少ない乾燥時上がりが実現できる。
以下、本発明の一実施について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態例に係るドラム式洗濯乾燥機の外観図である。図2は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した斜視図、図3は内部の構造を示すために背面カバーを取り外した背面図、図4は内部の構造を示す側面図、図5は内部の構造を示すために筐体の一部を切断して示した平面図である。
1は、外郭を構成する筐体である。筐体1は、ベース1hの上に取り付けられており、左右の側板1a,1b,前面カバー1c,背面カバー1d,上面カバー1e,下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず),前補強材(図示せず),後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1を含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
9は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドアで、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すことでロック機構(図示せず)が外れてドアが開き、ドアを前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材は、後述する外槽の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
6は、筐体1の上部中央に設けた操作パネルで、電源スイッチ39,操作スイッチ12,13,表示器14を備える。操作パネル6は、筐体1下部に設けた制御装置38に電気的に接続している。
3は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽(回転ドラム)であり、その外周壁および底壁に通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部3aを設けてある。開口部3aの外側には洗濯兼脱水槽3と一体の流体バランサ3cを備えている。外周壁の内側には軸方向に延びるリフタ3bが複数個設けてあり、洗濯、乾燥時に洗濯兼脱水槽3を回転すると、衣類はリフタ3bと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するように動きを繰り返す。洗濯兼脱水槽3の回転中心軸は、水平または開口部3a側が高くなるように傾斜している。
2は、円筒状の外槽であり、洗濯兼脱水槽3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央にモータ4を取り付ける。モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、洗濯兼脱水槽3と結合している。前面の開口部には外槽カバー2dを設け、外槽内への貯水を可能としている。外槽カバー2dの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部2cを有している。本開口部2cと前補強材37に設けた開口部は、ゴム製のベローズ10で接続しており、ドア9を閉じることで外槽2を水封する。外槽2底面最下部には、排水口2bが設けてあり、排水ホース26が接続している。排水ホース26の途中には排水弁(図示せず)が設けてあり、排水弁を閉じて給水することで外槽2に水を溜め、排水弁を開いて外槽2内の水を機外へ排出する。
外槽2は、下側をベース1hに固定されたサスペンション5(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽2の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽2の前後方向へ倒れを防ぐ。
19は、筐体1内の上部左側に設けた洗剤容器で、前部開口から引き出し式の洗剤トレイ7を装着する。洗剤類を入れる場合は、洗剤トレイ7を図1の二点鎖線で示すように引き出す。洗剤容器19は、筐体1の上補強材に固定されている。
洗剤容器19の後ろ側には、給水電磁弁16や風呂水給水ポンプ17,水位センサ(図示せず)など給水に関連する部品を設けてある。上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けてある。洗剤容器19は、外槽2に接続されており、給水電磁弁16を開く、あるいは風呂水給水ポンプ17を運転することで、外槽2に洗濯水を供給する。
29は筐体1の背面内側に縦方向に設置した乾燥ダクトで、ダクト下部は外槽2の背面下方に設けた吸気口2aにゴム製の蛇腹管B29aで接続される。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁16から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト29の壁面を伝わって流下し吸気口2aから外槽2に入り排水口2bから排出される。
乾燥ダクト29の上部は、筐体1内の上部右側に前後方向に設置したフィルタダクト27に接続している。フィルタダクト27の前面には開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ8を挿入してある。乾燥ダクト29からフィルタダクト27へ入った空気は、乾燥フィルタ8のメッシュフィルタ8aに流入し糸くずが除去される。乾燥フィルタ8の掃除は、乾燥フィルタ8を引き出してメッシュ式のフィルタ8aを取り出して行う。また、フィルタダクト27の乾燥フィルタ9挿入部の下面には開口部が設けてあり、この開口部は吸気ダクト33が接続しており、吸気ダクト33の他端は送風ユニット28の吸気口と接続している。
送風ユニット28は、駆動用のモータ28a,ファン羽根車(図示せず)、ファンケース28bで構成されている。ファンケース28bにはヒータ31が内蔵されており、ファン羽根車から送られる空気を加熱する。送風ユニット28の吐出口は温風ダクト30に接続する。温風ダクト30は、ゴム製の蛇腹管A30a、蛇腹管継ぎ手30bを介して外槽カバー2dに設けた温風吹き出し口32に接続している。本実施例では、送風ユニット28が筐体1内の上部右側に設けてあるので、温風吹き出し口32は外槽カバー2dの右斜め上の位置に設け、温風吹き出し口32までの距離を極力短くするようにしてある。
排水口2b,送風ユニット28の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
本発明の特徴は、高速の風を衣類に直接当て、風の力で衣類に発生するしわを伸ばすことにある。このためには、高速の風を発生する送風ユニット28とこの風を直接衣類に当てる温風吹き出し口32が必要となる。送風ユニットに必要な性能に関しては、後述する。温風吹き出し口32の詳細を図6,図7を用いて説明する。図6は温風吹き出し口28設置部の外槽カバー2dの正面図、図7は図6の二点鎖線A−Aで切断して示した温風吹き出し口32の断面図である。
温風吹き出し口32は、外槽カバー2dの前側から開口部2cに沿って設けてあり、内部に流路32b,32cが形成されている。温風吹き出し口32の入口には蛇腹管継ぎ手30bが取り付けてあり、流路32cの出口にはノズル32dが形成されている。洗濯兼脱水槽3と外槽カバー2dとのすき間に衣類が入り込まないよう、外槽カバー2dの開口部2cの内径と洗濯兼脱水槽3の開口部3aの内径は、ほぼ同一に設定されている。このため、温風吹き出し口32の出口部32aを開口部2cの内周面より内側に飛び出すように形成し、ノズル32dが洗濯兼脱水槽3内に向かって開口するようにしてある。このようにすることで、ノズル32dから出た温風は直接洗濯兼脱水槽3内の衣類に当たる。
なお、出口部32aの飛び出し量が多すぎると、洗濯や乾燥時に衣類の動きを阻害するため、図7に示すようにノズルを扁平のスリット形状として飛び出し量を小さくし、かつ開口部2cと出口部32aの表面形状がスムーズ変化するようにしてある。また、流路32bと流路32cは無駄な突起や、急激な流れ方向の変化が無いようにし、かつノズル32dに向かい流路面積が徐々に小さくなるようにしてある。こうすることで、高速の風が流路32b,32cを流れるときに発生する圧力損失や流体音を小さくすることが出来る。
乾燥運転時の風の流れは次のようになる。送風ユニット28を運転し、ヒータ31に通電すると、ノズル32dから洗濯兼脱水槽3内に高速の温風が吹き込み(矢印41)、湿った衣類に当たり、衣類を温め衣類から水分が蒸発する。高温多湿となった空気は、洗濯兼脱水槽3に設けた貫通孔から外槽2に流れ、吸気口2aから乾燥ダクト29に吸い込まれ、乾燥ダクト29を下から上へ流れる(矢印42)。乾燥ダクト29の壁面には、水冷除湿機構からの冷却水が流れ落ちており、高温多湿の空気は冷却水と接触することで冷却除湿され、乾いた低温空気となりフィルタダクト27へ入る(矢印43)。フィルタダクト27に設けたメッシュフィルタ8aを通り糸屑が取り除かれ、吸気ダクト33に入り、送風ユニット28に吸い込まれる(矢印44)。そして、ヒータ31で再度加熱され、洗濯兼脱水槽3内に吹き込むように循環する。この間、洗濯兼脱水槽3を低速で正逆回転させ、衣類をノズル32dの近くまで持ち上げ、高速の温風が衣類に直接当たるようにする。
図8は、上記のような乾燥運転を行った場合のノズル32dを噴出する風速と乾燥後の衣類の仕上がり具合を調べた結果の一例である。風速と風量はモータ28aの回転数とノズル32dの面積を変えることで調節した。なお、風速は、送風ユニット28の風量圧力特性を測定した結果から計算した値である。風量圧力特性は、図13に示す装置で測定を行った。均圧箱の吸気口と送風ユニット28の吐出口にオリフィスを取り付け、オリフィスの直径とモータ28aの回転数を種々変えながら風量と送風ユニット28の吸気口及び吐出口の圧力を測定し、風量圧力特性を求めた。そして、送風ユニット28を洗濯乾燥機へ実装した時の送風ユニット28の吸気口と吐出口の圧力を測定し、上記の風量圧力特性から風量を求め、この風量をノズル面積で割った値を風速とした。
実験条件は、図中に示すとおりであり、試験機は、直径600mmで容積75Lの洗濯兼脱水槽を有するドラム式洗濯乾燥機で、布量は2kgである。仕上がりの評価は各種衣類で行ったが、最もしわ付きが顕著だった薄手の綿パジャマズボンの結果を示している。評価は目視による5段階の官能評価であるが、官能評価値に対する仕上がり具合の例を図14に示す。ノズル32dからの風の吹き出し方向は、略洗濯兼脱水槽3の底壁中央に向くようにした。結果は、評価者3名の平均値である。参考に、洗濯後乾燥せずにそのまま吊り干しした場合の仕上がり具合を図15に示す。(a)は脱水後そのまま乾かした場合、(b)は脱水じわを軽く伸ばした後乾燥させた場合である。(a)は脱水じわが付いたまま乾いており、官能評価値では4程度、(b)は脱水じわが少なくなっているが浅いしわはまだ多く残っており、官能評価値で4.5程度である。
図から、
(A)風速が高くなるにつれて仕上がりがよくなる。しかし、風速に対して仕上がりは飽和し、風速が高すぎると逆に仕上がりが悪化する傾向も見られる。また、風量が多いほど、仕上がりが飽和する風速は低くなる。風量0.8m3/minの場合は風速約140m/sで官能評価値は約3、風量1.0m3/minでは風速約130m/sで官能評価値約3.3、風量1.3m3/minでは風速120m/sで官能評価値約3.9、風量1.5m3/minでは風速約110m/sで官能評価値約4.0、風量1.7m3/minで約100m/sで官能評価値約4.2となり、これ以上風速を増しても仕上がりはほとんど向上しない。また、風量1.5m3/min以上では吊り干し乾燥と同等の仕上がりが得られる。
(B)同じ風速であれば風量が多い方が仕上がりはよいが、風量1.5m3/minから1.7m3/minに上昇した場合の仕上がりの改善度合いは小さくなっている。このことから、必要以上に風量を増しても、仕上がりの改善は期待できない。
(A)風速が高くなるにつれて仕上がりがよくなる。しかし、風速に対して仕上がりは飽和し、風速が高すぎると逆に仕上がりが悪化する傾向も見られる。また、風量が多いほど、仕上がりが飽和する風速は低くなる。風量0.8m3/minの場合は風速約140m/sで官能評価値は約3、風量1.0m3/minでは風速約130m/sで官能評価値約3.3、風量1.3m3/minでは風速120m/sで官能評価値約3.9、風量1.5m3/minでは風速約110m/sで官能評価値約4.0、風量1.7m3/minで約100m/sで官能評価値約4.2となり、これ以上風速を増しても仕上がりはほとんど向上しない。また、風量1.5m3/min以上では吊り干し乾燥と同等の仕上がりが得られる。
(B)同じ風速であれば風量が多い方が仕上がりはよいが、風量1.5m3/minから1.7m3/minに上昇した場合の仕上がりの改善度合いは小さくなっている。このことから、必要以上に風量を増しても、仕上がりの改善は期待できない。
このように、風速、風量が大きいほど仕上がりが良くなる。風量と風速は、どちらか一方を大きくするのではなく、両者のバランスを考えて設定するのが望ましい。具体的には、仕上がりだけでなく、電流値(家庭用の100V商用電源の場合は、送風ユニット28とヒータ31、モータ4、制御装置38の合計で15A以下)や乾燥性能、風が循環するダクトの流路面積、洗濯乾燥機への実装などを考慮して風速と風量を決定する必要がある。
官能評価値が3以上であれば、乾燥後にアイロンをかける場合でも簡単に仕上げることが出来、官能評価値4以上であれば、乾燥後の衣類をそのまま着用しても不満が少ない。官能評価値3以上とするためには、風量0.8m3/minで風速約140m/s以上、風量1.0m3/minで約110m/s以上、風量1.3m3/minで風速約92m/s以上、風量1.5m3/minで風速約75m/s以上、風量1.7m3/minで風速約70m/s以上となり、最低でも0.8m3/minの風量が必要である。なお、風量は乾燥性能に大きく影響するが、風量が少なすぎると乾燥時間が延びるため、乾燥性能の観点からも風量は0.8m3/min以上必要である。
しわがつきにくい衣類の場合は、上記より低い値でも官能評価値3以上の仕上がりが得られるが、種々の衣類を同時に乾燥するのが一般的であり、しわになりやすい衣類に合わせて風速を決定するほうが良い。
高速の風を衣類に当てることにより、衣類のしわが減少する理由について図9を用いて述べる。図9(a)はノズル32dから出た高速の風41が衣類に当たった時の模式図である。ここでは、衣類の背面に他の衣類がある場合を示している。風が衣類に当たると、衣類には風で押し広げられる力(矢印(1))と、衣類に当たった後流れ方向を変え衣類表面に沿って流れる風で左右に引っ張られる力(矢印(2))が作用する。この(1)と(2)の力で衣類のしわは伸ばされる。洗濯兼脱水槽3内の衣類の量が多い場合は、直接風が当たる衣類の周囲に他の衣類が多く自由に動きにくいため、主に(1)の力でしわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、衣類が自由に動き、風が当たった衣類は風の流れ方向に押されながら吹き流しのようになり、衣類表面に沿って流れる風による(2)の力も作用ししわが伸ばされる。衣類の量が少ない場合は、乾燥中に衣類が広がりやすく、しわが発生しにくいので、ここでは(1)の力について考える。
(1)の力Fは、図9(b)に示すように、ノズル32dから吹き出す風の風量をQ、風速をVとすると、QとVの積で表すことができる。また、ノズル32dから吹き出す風(噴流)は、周囲の空気との大きな速度差と空気の粘性の作用で、周囲の空気を巻き込み流れの幅を広げながら、またその際噴流自身は速度Vを減少させながら下流方向へ流れていく(ただし、ノズル32dからの距離Xが非常に小さい場合(噴流のコア領域、円形ノズルの場合でノズルからノズル径の約6倍の位置まで)は、速度Vはほぼ一定である)。すなわち、ノズル32dからの距離Xが増加するに従い、単位面積当たりの衣類が受ける力(衣類が風から受ける圧力)は減少していく。従って、ノズル32dに衣類を近づけるほど、しわを伸ばす効果は大きくなる。
図8の結果を力Fで整理し直すと、図10のようになる。なお、図8では風量Qを体積流量で表示しているが、これに空気の密度(20℃で1.24kg/m3)をかけて質量流量に変換した。図から分かるように、力Fが増加するに従い仕上がり官能評価値は上昇して行くが、力Fが3.5N以上でほぼ飽和し、官能評価値約4.7程度となる。官能評価値は多少ばらつくが、図の破線の範囲内に入る。官能評価値3以上とするためには、力Fを約2.2N以上とすればよいことが分かる。
図11は、布量1kgから4kgまでの実験結果を図10と同様にまとめたものである。布量が多くなるほど同じ官能評価値を得るために大きな力Fが必要となることが分かる。これは、布量が多いほど洗濯兼脱水槽3の容積に対する衣類の量が増加し、衣類が広がりにくくなるため、しわを伸ばすのに大きな力が必要となるからである。また、ある力以上では官能評価値が飽和するため、布量に応じて、最適な力を作用させるよう、風量,風速を制御することにより、無駄な風を流すことなく、最良の仕上がりが得られ、消費電力を削減できる。風量,風速の制御方法としては、送風ユニット28の回転数を制御する(布量が増えるほど回転数を高くする)方法が最も容易であるが、ノズル32dの面積を可変にして面積を制御する方法でも良い。
布量が増すに従い、官能評価値の最大値が減少して行き、布量1kgでは官能評価値が約4.8、布量2kgで約4.7、布量3kgで約4.2、布量4kgで約3.5、布量5kgで約2.6となる。本図から、官能評価値3以上のために必要な力Fは、布量1kgの場合で約0.8N以上、3kgで約3.0N以上、4kgで約3.4N以上となる。本実験では布量5kgでは官能評価値3を達成できなかった。以上から、布量が少ない場合でも力Fは0.8N以上となるようにした方がよい。
このように、洗濯兼脱水槽3の容積と布量により、必要とする仕上がりを得るための力が異なる。そこで、布量当たりの洗濯兼脱水槽3の容積を容積比(=洗濯兼脱水槽3の容積/布量)と定義する。そして、力Fと容積比の積で図10の結果を整理すると、図12が得られる。図から分かるように、力と容積比の積に対して仕上がり官能評価値は、図の破線の範囲内に入る。本図は、乾燥仕上がりに関係する指標(力F,洗濯兼脱水槽3の容積,布量)を含んだ物であり、本図を使用することで、目標とする仕上がりを得るための条件を導くことが出来る。
官能評価値3以上とするためには、力と容積比の積を約62N・L/kg以上とすればよい。一例として、洗濯兼脱水槽3の容積75L,布量4kgの時に官能評価値3以上を得るための条件を求める。
容積比=75/4=18.75L/kgで、力F=62/18.75=3.31Nとなる。次に風量を、乾燥性能を考慮し1.65m3/min(=0.0341kg/s)と決めると、風速は約97m/s(=3.31/0.0341)となる。従って、この風量,風速を得るためにノズル32dの面積を2.83×10-4m2(283mm2)とすればよい。
本実施の形態例では、送風ユニット28はファン羽根車径140mm、羽根厚さ8.1mmで回転数を毎分15000回転としている。これによりファン吐出圧力が約7000Pa(空気温度30℃時)となり、上記の風量,風速を得ている。
以上述べてきたように、仕上がりを良くするには力Fを大きくし(風量Qを増やすか風速Vを増す)、ノズルと衣類との距離Xを小さくすればよい(衣類をノズルに近づける)。
風量Qを増やすためには、送風ユニット28のファンの回転数を高めたり、ファンの外径や羽根高さを増やしたりする必要がある。また、温風が通るダクトの面積を大きくして圧力損失を小さくした方が良い。特に、除湿に水を使用する水冷方式の場合、乾燥ダクト29を流れる空気の流速が速すぎると、冷却水が風に吹き飛ばされる現象が発生する。冷却水がフィルタ8aやヒータ31まで到達すると、フィルタ8aが濡れることによる圧力損失の増加やヒータ31で冷却水が蒸発し温風の温度が低下することなどで、乾燥効率の大幅な低下につながるため、乾燥ダクト29の流路面積を大きくすることが必須である。このため、風量を大幅に増やすと、ダクトや送風ユニットのサイズが大型化し、筐体1のサイズの大型化につながり、洗濯乾燥機を家庭へ設置しにくくなる。
一方、風速Vを増やすためには、送風ユニット28を圧力タイプのものにしてノズル面積を小さくすればよい。送風ユニット28として、一般的なターボファンを使用した場合、低い回転数でファン羽根車を大径化する方法と、ファン羽根車の径は小さいままで回転数を高くする方法とがあるが、高速回転化は、従来と同一の筐体に実装できる利点がある。
図8で示した仕上がりの実験結果では、風速が高すぎると、仕上がりが悪化する現象が見られた。このことは、上記では説明ができない。実験中の衣類の動きを観察すると、風速が高すぎると風の勢いで衣類が捩れるような現象が生じていることが分かった。従って、このことが仕上がり悪化の原因である。
ノズル32dと衣類の距離Xを小さくするためには、洗濯兼脱水槽3の回転数を適切に制御し、衣類をノズル32dの近くまで持ち上がるようにし、できるだけ高速の風が衣類に直接当たるようにする。衣類は、洗濯兼脱水槽3の回転による遠心力とリフタ3bで引っかけることで上方に持ち上がる。このため、回転数は洗濯兼脱水槽3の直径に応じて最適値があり、直径が大きいほど回転数は低くなる。また、リフタ3bは高い方がよい。ただし、リフタ3bの高さが高いと、水に浸かった衣類を持ち上がるのに高トルクが必要となり、モータ4を高出力の物にする必要があるため、モータの出力を考慮しリフタ3bの形状を決定する必要がある。
ノズル32dと衣類との距離Xをさらに短くするためには、乾燥時に衣類が必ず通る場所の近くにノズル32dを設ければよい。すなわち、ノズル32dの位置を、リフタ3bが衣類を持ち上げる洗濯兼脱水槽3の下側(外槽カバー2dの下側)にすればよい。図16は、図10にノズル32dを下に設けた場合の結果を追加したものである。官能評価値3を得るためには、力Fが約1.5Nでよく、ノズルが上にある場合より約30%小さい力で同じ程度の仕上がりにすることが可能となる。図12で示した力Fと容積比の積の値も30%小さくでき、官能評価値3以上を得るためには42N・L/kg以上とすればよい。このように、ノズル32dが上にある場合に比べ送風ユニット28の圧力や風量を低くすることができる(ファン羽根車の回転数を低くできる)という利点がある。また、ノズル32dが下にあると、風の吹き出し方向と重力の方向が逆になる。風が衣類に当たった時、衣類の自重のために衣類が逃げにくく、力Fを衣類に有効に作用させることができる。
ノズル32dを下側に設けた場合、乾燥ダクト29や送風ユニット28を外槽2の下側に設けた方が実装上コンパクトにでき、圧力損失も小さくできる。ただし、洗濯時の洗濯水がノズル32dから浸入し送風ユニット28内へ流入するため、水の浸入防止機構を設ける、防水タイプの送風ユニットにするなどの対策が必要である。そこで、送風ユニット28は、本実施の形態例と同様筐体1の上部に設け、下側に設けたノズル32dとダクトで接続する構成にすることで、洗濯水の浸入を防止できる。
図17は、洗濯乾燥機の制御装置38のブロック図である。50はマイクロコンピュータで、各スイッチ12,13,13aに接続される操作ボタン入力回路51や水位センサ34、温度センサ52と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ50からの出力は、駆動回路54に接続され、給水電磁弁16,排水弁25,モータ4,送風ファン28,ヒータ31などに接続され、これらの開閉や回転、通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための7セグメント発光ダイオード表示器14や発光ダイオード56,ブザー57に接続される。
前記マイクロコンピュータ50は、電源スイッチ39が押されて電源が投入されると起動し、図18に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
ステップS102
操作パネル6の表示器14を点灯し、操作ボタンスイッチ13からの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。例えば、操作ボタンスイッチ13aを指示入力された場合は、乾燥の高仕上げコースを設定する。
操作パネル6の表示器14を点灯し、操作ボタンスイッチ13からの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。例えば、操作ボタンスイッチ13aを指示入力された場合は、乾燥の高仕上げコースを設定する。
ステップS103
操作パネル6のスタートスイッチ12からの指示入力を監視して処理を分岐する。
操作パネル6のスタートスイッチ12からの指示入力を監視して処理を分岐する。
ステップS104
洗濯を実行する。洗濯は洗い,中間脱水,すすぎ,最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
洗濯を実行する。洗濯は洗い,中間脱水,すすぎ,最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
ステップS105
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
ステップS106
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、温風脱水を実行する。温風脱水は、送風ユニット28を低速回転で運転し、ヒータ31に通電(強モード)して温風を洗濯兼脱水槽3内に吹き込み衣類の温度を上昇させる。同時に、洗濯兼脱水槽3を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する(温度が上がると水の粘性が低下するため効率よく脱水でき、乾燥時間を短縮できる)。温風脱水時に、送風ユニット28を低速回転するのは、脱水時には洗濯兼脱水槽3を高速回転するのに必要なモータ4の電流が大きいため、脱水中に送風ユニット28を高速回転すると許容電流値(日本の商用電電では15A)を超えてしまうからである。なお、衣類の量が多いほど衣類全体を温めるのに時間が掛かるため、温風脱水の時間は、衣類の量が多いほど長くする。
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、温風脱水を実行する。温風脱水は、送風ユニット28を低速回転で運転し、ヒータ31に通電(強モード)して温風を洗濯兼脱水槽3内に吹き込み衣類の温度を上昇させる。同時に、洗濯兼脱水槽3を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する(温度が上がると水の粘性が低下するため効率よく脱水でき、乾燥時間を短縮できる)。温風脱水時に、送風ユニット28を低速回転するのは、脱水時には洗濯兼脱水槽3を高速回転するのに必要なモータ4の電流が大きいため、脱水中に送風ユニット28を高速回転すると許容電流値(日本の商用電電では15A)を超えてしまうからである。なお、衣類の量が多いほど衣類全体を温めるのに時間が掛かるため、温風脱水の時間は、衣類の量が多いほど長くする。
本実施の形態例では、ヒータ31にPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを使用しており、その特性から同じ風量でも空気の温度が低いと電流が多く流れ、許容電流値を超える恐れがある。そこで、空気が冷えている乾燥開始後は、送風ユニット28の回転数を低速回転よりさらに低い回転数(本実施の形態例では毎分9500回転)で運転している。さらに、空気が暖まるまでの間はヒータの強モードと弱モードを一定時間間隔で切り替えている。これにより、ヒータ電流を抑えている。
また、温風脱水時に一気に定格回転数まで回転数を上昇させると、衣類が遠心力で洗濯兼脱水槽3の壁面に張り付いたままになり、温風脱水終了後に壁面から剥がれ落ちないことがある。これを防ぐために、脱水回転数を段階的に上昇させながら、途中で一旦脱水回転を停止し衣類を壁面から剥がし、再度脱水回転を始める運転を数回繰り返し、定格回転数まで回転数を上げている。
空気が暖まったら(本実施の形態例では乾燥開始約10分後)、送風ユニット28の回転数を低速回転の毎分13000回転にし、ヒータを強モードとする。本形態の実施例では、送風ユニット28の低速回転時の風量は、1.4m3/minで風速は約80m/sである。
ステップS107
乾燥運転1を実行する。送風ユニット28は低速回転(回転数毎分13000回転)、ヒータ31は強モードで運転し、洗濯兼脱水槽3の正逆回転を繰り返し、洗濯兼脱水槽3内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹きつける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
乾燥運転1を実行する。送風ユニット28は低速回転(回転数毎分13000回転)、ヒータ31は強モードで運転し、洗濯兼脱水槽3の正逆回転を繰り返し、洗濯兼脱水槽3内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹きつける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
ステップS108
高仕上げコースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。高仕上げコース以外のコースの場合は、ステップS107を乾燥終了まで行う。この時、送風ユニット28は低速回転(毎分13000回転)であるが、風速は上述のように約80m/sであり、従来の洗濯乾燥機の風速10〜20m/sに比べ、大幅に高速の風が衣類に当たっている。このため、高仕上げコース以外でも従来の洗濯乾燥機よりもしわの少ない乾燥仕上がりとなる。
高仕上げコースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。高仕上げコース以外のコースの場合は、ステップS107を乾燥終了まで行う。この時、送風ユニット28は低速回転(毎分13000回転)であるが、風速は上述のように約80m/sであり、従来の洗濯乾燥機の風速10〜20m/sに比べ、大幅に高速の風が衣類に当たっている。このため、高仕上げコース以外でも従来の洗濯乾燥機よりもしわの少ない乾燥仕上がりとなる。
ステップS109
乾燥開始からの経過時間が既定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。規定の時間は、衣類の乾燥度(=乾布の質量/湿布の質量)が0.9に達するより前に設定する。
乾燥開始からの経過時間が既定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。規定の時間は、衣類の乾燥度(=乾布の質量/湿布の質量)が0.9に達するより前に設定する。
乾燥は、次のように進行する。乾燥の初期は、衣類の温度を上昇させる予熱期間で、衣類の温度を速く上昇させるために、極力多くの熱量を衣類に与えることが重要である。予熱期間中は、衣類からの水分の蒸発は少ない。
衣類の温度が上昇するに従い、衣類からの水分の蒸発が多くなるため、気化熱により衣類の温度上昇は鈍くなり、やがて加熱と気化熱がバランスし、衣類の温度はほとんど一定となる(恒率乾燥)。衣類の水分量が少なくなると気化熱が減少し、衣類の温度が再び上昇を始め、衣類の水分がなくなると温風とほぼ同一の温度となり乾燥が終了する(減率乾燥)。衣類の温度が上昇を始めるのは、乾燥度が0.9付近になった時である。衣類からの水分の蒸発量が増加し始めたら、給水電磁弁16を開き、乾燥ダクト29内の水冷除湿機構へ冷却水を供給し、蒸発した水分を含む多湿な空気を冷却し結露させて、空気中の水分を除去する。
衣類に水分が多く含まれている時点では、衣類にしわがついたとしても簡単に直すことができる(しわがついた衣類に霧吹きやスチームで水分を与えるとしわがとれることからも分かる)。しかし、しわが付いたままの状態で乾燥度0.9以上に乾燥が進むとしわが固定化する。一度固定化したしわをそれ以降の工程でとることは、ほとんどできない。従って、乾燥度が0.9になる前にしわを伸ばすことが重要となる。
実際の乾燥時には、材質や厚さが異なる衣類を同時に乾燥するので、乾燥度が0.9になる時間も衣類により様々である。従って、本実施の形態例では、最もしわになりやすい薄手の綿衣類の乾燥度が0.8から0.85程度になる時間に設定してある。また、布量によって乾燥度が0.9になる時間は異なるため、布量に応じて時間を設定する必要があることはもちろんである。具体的には、布量が多いほど時間を長くする。
ステップS110
乾燥運転2を実行する。洗濯兼脱水槽3の正逆回転は続けたまま、送風ユニット28を高速回転し、ヒータ31を弱モードにして洗濯兼脱水槽3内の衣類に高速の風を吹き付け、しわを伸ばしながら乾燥を行う。送風ユニット28を高速回転した時に、ヒータ31を弱モードにするのは、風量が増えることにより、ヒータ31の電流が増加し、ヒータ強モードのままでは許容電流値(15A)を越えてしまうからである。本実施の形態例では、送風ユニット28の回転数を毎分15000回転に設定している。毎分15000回転時の送風ユニット28の入力電流は約7A、ヒータ31が約6A、モータ4と制御装置38で約1Aとなっている。
乾燥運転2を実行する。洗濯兼脱水槽3の正逆回転は続けたまま、送風ユニット28を高速回転し、ヒータ31を弱モードにして洗濯兼脱水槽3内の衣類に高速の風を吹き付け、しわを伸ばしながら乾燥を行う。送風ユニット28を高速回転した時に、ヒータ31を弱モードにするのは、風量が増えることにより、ヒータ31の電流が増加し、ヒータ強モードのままでは許容電流値(15A)を越えてしまうからである。本実施の形態例では、送風ユニット28の回転数を毎分15000回転に設定している。毎分15000回転時の送風ユニット28の入力電流は約7A、ヒータ31が約6A、モータ4と制御装置38で約1Aとなっている。
本ステップでは、ヒータ31が弱モードとなるため、ステップS107に比べ温風の温度が低下する(約20℃)。特に乾燥度が0.9を越すと衣類の温度が上昇し、温風温度に近づいて行くが、温風温度が低いため、衣類の温度を低く抑えることができ、衣類へのダメージを軽減できるメリットもある。
乾燥は、温度センサにより温風(ファンの入口)や冷却水排水温度を監視しながら実行し、温度変化の割合が所定の値になったときに、洗濯兼脱水槽3の正逆回転及び送風ユニット28の運転はそのままで、ヒータ31の通電を止める。
ステップS111
予め規定された時間あるいは、循環する空気が所定の温度以下になるまで送風運転を行い、衣類を冷却して乾燥運転を終了する。この時、水冷除湿機構への冷却水の供給は継続したままにした方が、効率よく循環する空気の温度を下げることができる。また、送風運転時には、送風ユニット28を低速回転もしくは低速回転より低い回転数にした方がよい。これは、送風運転時に送風ユニット28が高速回転のままの場合、ファンの圧縮仕事やファンモータ28aからの熱により、循環する空気の温度が下がりにくいため、送風運転時間が長くなってしまうからである。送風ユニット28の回転数を冷却に適した回転数まで下げることで短時間に送風運転を終了できる(回転数を下げすぎると、循環風量が減り逆に時間が延びる)。本実施の形態例では、毎分9000から13000回転としている。
予め規定された時間あるいは、循環する空気が所定の温度以下になるまで送風運転を行い、衣類を冷却して乾燥運転を終了する。この時、水冷除湿機構への冷却水の供給は継続したままにした方が、効率よく循環する空気の温度を下げることができる。また、送風運転時には、送風ユニット28を低速回転もしくは低速回転より低い回転数にした方がよい。これは、送風運転時に送風ユニット28が高速回転のままの場合、ファンの圧縮仕事やファンモータ28aからの熱により、循環する空気の温度が下がりにくいため、送風運転時間が長くなってしまうからである。送風ユニット28の回転数を冷却に適した回転数まで下げることで短時間に送風運転を終了できる(回転数を下げすぎると、循環風量が減り逆に時間が延びる)。本実施の形態例では、毎分9000から13000回転としている。
次に、別の実施の形態例に関する制御処理プログラムを、図19に示す。
図18と同一符号は、同一の動作を示す。図18で示した制御処理プログラムとの違いは、高仕上げコースが選択された場合(ステップS108)、ステップS106の温風脱水が終了後、すぐにステップS110の乾燥運転2を行うことである。布量が多くなるに従い、洗濯兼脱水槽3内での奥側と手前側の衣類の入れ替わりが起きにくく、かつ、温風は手前側の衣類に多く当たり、奥側の衣類に当たり難くいので、手前側の衣類は速く乾いていく。このため、送風ファンユニット28の低速回転中(図18ステップS108)に手前側の衣類が乾燥し、しわが付いてしまう可能性がある。しわが付いたまま乾燥してしまうと、それ以降に送風ファンユニット28を高速回転してもしわを取ることが困難となる。そこで、温風脱水後すぐに送風ユニット28を高速で運転することで、乾燥のばらつきが大きい場合でも、速く乾いく衣類へしわが付くのを防止できる。また、乾燥期間中の温風脱水工程以降は、高速の風を衣類に吹きつけていることになり、ステップS106の工程を行った場合に比べ、衣類の仕上がりをより一層向上できる。
乾燥ダクト29内の水冷除湿機構への冷却水の供給開始時期は、上述のように衣類からの水分の蒸発量が増加し始めてから(概ね恒率乾燥に入る時期)であるが、この時送風ユニット28が高速回転していると、乾燥ダクト29内を流下し始めた水が、乾燥ダクト29を下から上に流れている温風に巻き上げられ乾燥フィルタ8aに入り、乾燥フィルタ28aが濡れてしまい、送風抵抗が増加し、風量が低下してしまう可能性がある。そこで、送風ユニット28が高速回転している場合に冷却水を流し始める場合は、一旦送風ユニット28を低速回転に落としてから冷却水を流し始めるようにするとよい。そして、冷却水が乾燥ダクト29内を安定して流れるようになってから(概ね、給水開始後1から2分後)、送風ファンユニット28を高速回転に戻すようにする。
1 筐体
2 外槽
2d 外槽カバー
3 洗濯兼脱水槽
4,28a モータ
6 操作パネル
8 乾燥フィルタ
9 ドア
16 給水電磁弁
27 フィルタダクト
28 送風ユニット
28b ファンケース
29 乾燥ダクト
31 ヒータ
32 温風吹出し口
32d ノズル
33 吸気ダクト
38 制御装置
2 外槽
2d 外槽カバー
3 洗濯兼脱水槽
4,28a モータ
6 操作パネル
8 乾燥フィルタ
9 ドア
16 給水電磁弁
27 フィルタダクト
28 送風ユニット
28b ファンケース
29 乾燥ダクト
31 ヒータ
32 温風吹出し口
32d ノズル
33 吸気ダクト
38 制御装置
Claims (6)
- 衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転する乾燥機において、
ファン、該ファンの吐き出し側に設けたノズル、及びこれらを接続する風路とで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファンの回転数を制御する手段とを備えたことを特徴とする乾燥機。 - 衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転する乾燥機において、
ファン、該ファンの吐き出し側に設けた加熱手段、該加熱手段の下流に設けられたノズルとで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファンの回転数を所定パターンで制御する手段を備えたことを特徴とする乾燥機。 - 衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転する乾燥機において、
ファン、該ファンの吐き出し側に設けた加熱手段、該加熱手段の下流に設けられたノズルとで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファン及び加熱手段を制御する手段を備えたことを特徴とする乾燥機。 - 衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するモータと、前記回転ドラムを支持する筐体とを有し、乾燥運転を有する洗濯乾燥機において、
ファン、該ファンの吐き出し側に設けた加熱手段、該加熱手段の下流に設けられたノズルとで構成され、前記乾燥運転中に、前記回転ドラムに収容された衣類に直接風を吹きつける手段と、前記回転ドラムに収容された衣類の量を検知する布量検知手段と、前記検知された布量に応じて前記ファン及び加熱手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする洗濯乾燥機。 - 請求項4において、前記制御手段は、乾燥運転の途中から乾燥運転の初期段階に比べ前記ファンの回転数を大きくし、前記加熱手段の出力を弱くする制御を行うものであって、前記ファンの回転数及び前記加熱手段の出力を切替える時期を前記布量に応じて決定することを特徴とする洗濯乾燥機。
- 請求項5において、前記切替える時期は、前記布量が多いほど遅くすることを特徴とする洗濯乾燥機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007246446A JP2009072491A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | 乾燥機及び洗濯乾燥機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007246446A JP2009072491A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | 乾燥機及び洗濯乾燥機 |
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JP2009072491A true JP2009072491A (ja) | 2009-04-09 |
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JP2007246446A Withdrawn JP2009072491A (ja) | 2007-09-25 | 2007-09-25 | 乾燥機及び洗濯乾燥機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009072491A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20130107260A (ko) * | 2013-08-13 | 2013-10-01 | 엘지전자 주식회사 | 세탁기의 제어방법 |
US9644306B2 (en) | 2012-02-06 | 2017-05-09 | Lg Electronics Inc. | Control method of laundry machine |
-
2007
- 2007-09-25 JP JP2007246446A patent/JP2009072491A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20130107260A (ko) * | 2013-08-13 | 2013-10-01 | 엘지전자 주식회사 | 세탁기의 제어방법 |
KR101701858B1 (ko) | 2013-08-13 | 2017-02-02 | 엘지전자 주식회사 | 세탁기의 제어방법 |
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