JP2018019656A - フレーム材および農業ハウス - Google Patents

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Abstract

【課題】農業ハウスに用いられるフレーム材であって、光吸収による温度上昇を抑制できるフレーム材を提供する。
【解決手段】基材と、上記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有するフレーム材10。
【選択図】図1

Description

本開示は、フレーム材および農業ハウスに関する。
野菜等の植物の栽培方法として、農業ハウスでの人工栽培が知られている。例えば、特許文献1には、複数のフレームと、上記複数のフレームに取り付けられた被覆材と、特定の支持部材とを備える農業用ハウスが開示されている。特許文献1では、組み立て工数を削減し、強度を向上させることができる農業用ハウスを提供することを課題としている。
また、特許文献2には、太陽光併用型植物工場に用いられ、緑域カットシートおよび赤外線領域遮熱フィルムを用いた遮熱断熱窓装置が開示されている。特許文献2では、植物工場の室内温度の過度な上昇を防止することを課題としている。
特開2015−171331号公報 特開2011−177107号公報
植物の育成には、農業ハウス内の適切な温度管理が求められる。一方、農業ハウスに用いられるフレーム材が光を吸収すると、フレーム材が熱を蓄え、農業ハウス内の温度上昇を引き起こす。特に、夏季の強い光をフレーム材が吸収すると、フレーム材が高熱化し、吸熱したフレーム材からの再熱放射により農業ハウス内の温度が上昇しやすい。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、光吸収による温度上昇を抑制したフレーム材を提供することを主目的とする。
本開示においては、農業ハウスに用いられるフレーム材であって、基材と、上記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有する、フレーム材を提供する。
また、本開示においては、複数のフレーム材と、上記複数のフレーム材から構成される構造体を覆う被覆材とを有する農業ハウスであって、上記複数のフレーム材の少なくとも一つが、基材と、上記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有する、農業ハウスを提供する。
本開示のフレーム材は、光吸収による温度上昇を抑制できるという効果を奏する。
本開示のフレーム材が用いられる農業ハウスの一例を示す概略斜視図である。 本開示のフレーム材の一例を示す概略斜視図である。 本開示のフレーム材の他の例を示す概略斜視図である。 製造例1で得られた反射シートに対する反射率測定の結果である。 実施例1、比較例1および比較例2のフレーム材の性能を示すシミュレーション結果である。
以下、本開示のフレーム材および農業ハウスについて、詳細に説明する。
A.フレーム材
図1は、本開示のフレーム材が用いられる農業ハウスの一例を示す概略斜視図である。図1に示す農業ハウス100は、複数のフレーム材10と、複数のフレーム材10から構成される構造体を覆う被覆材20と、開閉可能であり、ハウス内の換気を行う換気装置30とを有する。フレーム材10は、柱A、梁(または桁)B、垂木C、および、棟木Dの少なくとも一つとして用いられることが好ましい。一方、図2は、本開示のフレーム材の一例を示す概略斜視図である。図2に示すフレーム材10は、基材1と、基材1を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シート2とを有する。
本開示によれば、反射シートを用いることで、光吸収による温度上昇を抑制したフレーム材とすることができる。上述したように、農業ハウスに用いられるフレーム材が光を吸収すると、フレーム材が熱を蓄え、農業ハウス内の温度上昇を引き起こす。特に、夏季の強い光をフレーム材が吸収すると、フレーム材が高熱化し、吸熱したフレーム材からの再熱放射により農業ハウス内の温度が上昇しやすい。農業ハウス内の温度が高くなり過ぎると、例えば、換気装置を稼動し、外気を導入する必要が生じる場合がある。その場合、外気導入によって、農業ハウス内の環境変化、特に光合成に必要な二酸化炭素濃度の低下が生じるやすくなる。また、農業ハウス内の温度が高くなり過ぎた場合、遮光カーテンを用いて農業ハウス内に入射される光を遮断する方法がある。しかしながら、遮光カーテンを用いると、光合成に必要な光が十分に供給されない状態になる。
これに対して、反射シートを有するフレーム基材であれば、フレーム材が光を吸収することが抑制されるため、フレーム材の温度上昇が抑制される。そのため、例えば、換気装置の稼動頻度を低減することができ、結果として、農業ハウス内の環境変化を低減することができる。さらに、反射シートによって反射された可視光および近赤外光により、植物の光合成が促進されるという利点もある。
なお、光吸収によるフレーム材の高熱化を抑制する手段として、例えば、フレーム材の表面に遮熱塗料を塗布する方法がある。しかしながら、遮熱塗料を用いた場合、十分な遮熱性能が得られず、高熱化の抑制効果は限定的であった。これに対して、本開示においては、基材を反射シートで被覆するというシンプルな構成で、フレーム材の温度上昇を抑制しつつ、植物の光合成を促進させることができる。また、基材を反射シートで被覆することで、冬場における基材の温度変化を抑制でき、結露の発生を抑制できる。これにより、結露水に起因した細菌発生を抑制できるという効果も得られる。
本開示のフレーム材について、構成ごとに説明する。
1.基材
本開示における基材の材料は、特に限定されないが、例えば金属を挙げることができる。金属は、光吸収による温度上昇が生じやすいため、後述する反射シートを用いることで、光吸収による温度上昇を抑制したフレーム材とすることができる。上記金属としては、例えば、鉄、アルミニウム等を挙げることができる。特に、基材は、鋼材であることが好ましい。
基材の形状としては、例えば棒状、板状等が挙げられる。また、基材の断面形状としては、例えば、H形状、矩形状、円状等が挙げられる。基材の断面サイズは、特に限定されないが、例えば20cm以上、50cm以下である。なお、H形状の断面サイズとは、Hという文字の横線方向の長さをいい、矩形状の断面サイズとは短辺側の長さをいい、円状の断面サイズとは直径をいう。基材の長さは、特に限定されないが、例えば50cm以上、8m以下である。例えばフレーム材を柱に用いる場合、基材の長さは、例えば4m以上、6m以下であることが好ましい。また、例えばフレーム材を垂木に用いる場合、基材の長さは、例えば60cm以上、1m以下であることが好ましい。
また、基材は、構造部を有していてもよい。構造部としては、例えばトラス構造が挙げられる。トラス構造により強度向上が図れる。
2.反射シート
本開示における反射シートは、可視光反射性および近赤外光反射性を有するシートである。反射シートの可視光反射率(波長380nm以上780nm以下における平均反射率)は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、反射シートの近赤外光反射率(波長780nm以上2100nm以下における平均反射率)は、例えば、60%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
反射シートとしては、例えば、金属板、樹脂フィルムを金属板に張り合わせたシート、樹脂シート、不織布等を挙げることができる。中でも、反射シートは、樹脂シートを少なくとも備えるシートであることが好ましく、多孔質樹脂シートを少なくとも備えるシートであることがより好ましい。また、反射シートは、多孔質樹脂シートのみから構成されていてもよく、多孔質樹脂シートに加えて、他のシートをさらに有していてもよい。他のシートとしては、例えば、補強シートを挙げることができる。また、多孔質樹脂シートおよび補強シートは、接着層を介して積層されていてもよく、接着層を介さずに直接積層されていてもよい。また、旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社製のタイベック(登録商標)シリーズや、酸化チタンを添加した他の多層フィルム等も反射シートとして使用できる。
(1)多孔質樹脂シート
多孔質樹脂シートは、内部に空隙を有するシートであり、樹脂を含有する。多孔質樹脂シートは、必要に応じて、充填材等の添加材を含有していてもよい。多孔質樹脂シートは、多孔質構造より光反射性を示す。
(i)樹脂
多孔質樹脂シートは、樹脂を含有する。樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、飽和エステル系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンの単独重合体、2種類以上のオレフィンの共重合体、1種類以上のオレフィンと、オレフィンと重合可能な1種類以上の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。上記オレフィン(モノマー単位)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン等が挙げられる。また、共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、中でも、ポリプロピレン系樹脂等が好ましい。ポリプロピレン系樹脂の一例としては、プロピレン単独重合体が挙げられる。プロピレン単独重合体は、アイソタクティックまたはシンジオタクティックな立体規則性を有することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の他の例としては、プロピレンと、他のαオレフィンとの共重合体が挙げられる。他のαオレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1の少なくとも一種等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンをモノマー単位の主成分とすることが好ましい。
一方、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、直鎖状ポリエチレンであってもよい。ポリエチレン系樹脂は、エチレンをモノマー単位の主成分とすることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂として、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(ブテン−1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を用いてもよい。
また、上述したように、熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。フッ化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。アミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン等が挙げられる。エステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプリブチレンテレフタレート等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シリコーン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、熱可塑性エラストマー等を用いてもよい。
多孔質樹脂シートは、1種類の樹脂を含有していてもよく、2種類以上の樹脂を含有していてもよい。2種類以上の樹脂を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましく、ポリプロピレン系樹脂を主成分とすることがより好ましい。また、多孔質樹脂シートにおける樹脂の含有量は、例えば、45質量%以上であり、55質量%以上であってもよい。一方、多孔質樹脂シートにおける樹脂の含有量は、例えば、99質量%以下であり、98質量%以下であってもよい。
(ii)充填材
多孔質樹脂シートは、充填材を含有していてもよい。充填材を添加し、例えば延伸により多孔質樹脂シートを作製することで、多孔質樹脂シートの内部に空隙が生じる。充填材としては、例えば、無機系充填材および有機系充填材が挙げられる。
無機系充填材としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、酸化珪素、珪藻土、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられる。また、無機系充填材は脂肪酸で表面処理されていてもよい。中でも、無機系充填材は、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイまたはタルクであることが好ましい。安価で成形性がよいからである。
無機系充填材の平均粒子径は、例えば、0.01μm以上15μm以下であり、0.01μm以上8μm以下であってもよい。なお、平均粒子径とは、体積基準で測定した粒径分布の統計的平均値として定義され、例えば、株式会社堀場製作所製LA−920によって測定された値をいう。
有機系充填材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。また、有機系充填材として、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィンとエチレンとの共重合体であり、融点が120℃以上300℃以下であるかガラス転移温度が120℃以上280℃以下である材料を用いることもできる。
多孔質樹脂シートにおける充填材の含有量は、例えば、1質量%以上65質量%以下であり、2質量%以上55質量%以下であることが好ましい。
(iii)他の添加材
多孔質樹脂シートは、必要に応じて、界面活性材、滑材、帯電防止材等の各種添加材を含有していてもよい。界面活性材の添加により、例えば結露を防ぐことができる。界面活性材としては、例えば、非イオン性界面活性材、陰イオン性界面活性材、両イオン性界面活性材等が挙げられる。非イオン性界面活性材としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー等が挙げられる。陰イオン性界面活性材としては、例えば、スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の塩が挙げられる。なお、上記塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、滑材としては、例えば、流動パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の脂肪族炭化水素、直鎖アルコールのステアリン酸エステル、高級脂肪酸アマイド等が挙げられる。また、帯電防止材としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、過塩素酸テトラアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。なお、添加材の含有量は、特に限定されず、添加材の種類に応じて適宜選択する。
(iv)多孔質樹脂シート
多孔質樹脂シートは、透湿性、通気性および遮水性の少なくとも一つを有することが好ましい。一方、多孔質基材シートに後述する貫通孔を設ける場合、貫通孔において通水性を有し、貫通孔以外の部分において、透湿性、通気性および遮水性を有することが好ましい。また、多孔質樹脂シートは、通常、内部に空隙を有する。多孔質樹脂シートの空隙率は、特に限定されないが、例えば35%以上60%以下であり、40%以上58%以下であることが好ましい。空隙率が低すぎると、光反射性が低くなる可能性がある。空隙率が高すぎると、シート強度が弱くなる可能性がある。
空隙率とは、多孔質樹脂シートに占める空隙の割合をいい、下記式1により算出できる。
空隙率(%)={(ρo−ρ)/ρo}×100 …(式1)
式1において、ρは多孔質樹脂シートの密度であり、JIS P 8118に準拠する。ρoは多孔質樹脂シートの真密度である。真密度は、多孔質樹脂シートを構成する主要な材料成分の種類とそれらの構成比率を分析して、材料成分の種類の一般的な値を用いることで決定することができる。例えば、ポリプロピレンの密度は0.9g/cm、炭酸カルシウムの密度は2.7g/cmである。なお、多孔質樹脂シートが延伸処理されたものであるときは、延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の材料の密度にほぼ等しい。そのため、真密度は、延伸前の材料から求めてもよく、定容積膨張法による乾式密度測定方法で求めることができ、測定装置としては、例えば、(株)島津製作所製の乾式自動密度計アキュピック1330が挙げられる。
空隙の平均径は、例えば、1μm以上50μm以下であり、2μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上30μm以下であることがより好ましい。なお、空隙の最大径(L)とそれに直角な方向の最大の径(M)を測定して平均したもの[(L+M)/2]を空隙の径とする。少なくともn個(nは1以上の整数であり、100以上の整数であることが好ましい)の空隙の径を測定し、その平均値を、空隙の平均径とする。試料の断面観察には、例えば、(株)日立製作所製の走査型電子顕微鏡S−2400を用いることができる。
多孔質樹脂シートの厚みは、特に限定されないが、例えば30μm以上90μm以下であり、40μm以上80μm以下であることが好ましい。また、多孔質樹脂シートは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。多孔質樹脂シートが複層構造である場合、各層に含まれる樹脂成分は、同一であってもよく、異なっていてもよい。複層構造の多孔質樹脂シートの一例としては、内層と、上記内層の両面に配置された2つの外層とを有し、2つの外層に含まれる樹脂成分が同一であり、外層に含まれる樹脂成分と内層に含まれる樹脂成分が異なる多孔質樹脂シートが挙げられる。
多孔質樹脂シートは、可視光反射率が高いことが好ましい。多孔質樹脂シートの可視光反射率(波長380nm以上780nm以下における平均反射率)は、例えば、70%以上であり、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、多孔質樹脂シートは、近赤外光反射率が高いことが好ましい。多孔質樹脂シートの近赤外光反射率(波長780nm以上2100nm以下における平均反射率)は、例えば、60%以上であり、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
多孔質樹脂シートの平滑性は高いことが好ましい。具体的に、多孔質樹脂シート表面の算術平均高さSaは、例えば、1μm以下であり、0.7μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。また、多孔質樹脂シートの防汚性は高いことが好ましい。具体的に、多孔質樹脂シート表面の汚染等級(JIS−L−1919)は、3以上であることが好ましく、3.5以上であることがより好ましい。
多孔質樹脂シートは、透湿性、通気性および遮水性の少なくとも一つを有することが好ましい。なお、透湿性とは、気体としての水すなわち水蒸気を通過させる性質をいい、通気性とは、二酸化炭素をはじめとする気体を通過させる性質をいい、遮水性とは、液体としての水を通過させない性質をいう。多孔質樹脂シートの透湿度は、例えば、600g/m・day以上であり、700g/m・day以上であることが好ましく、800g/m・day以上であることがより好ましい。多孔質樹脂シートの耐水圧は、例えば、10kPa以上であり、20kPa以上であることが好ましい。また、多孔質樹脂シートの不透明度は、例えば、70%以上100%以下であることが好ましい。なお、多孔質樹脂シートの不透明度は、JIS Z 8722に準拠するものとする。また、多孔質樹脂シートの密度は、例えば、0.50g/cm以上0.90g/cm以下であり、0.50g/cm以上0.70g/cm以下であることが好ましい。
多孔質樹脂シートの製造方法は、所望の多孔質樹脂シートが得られる方法であれば特に限定されず、公知の製造方法を採用することができる。また、多孔質樹脂シートは、延伸処理されたものであることが好ましい。
(2)補強シート
補強シートは、上記多孔質樹脂シートの一方の面側に配置され、上記多孔質樹脂シートを補強するシートである。
補強シートは、樹脂を含有することが好ましい。上記樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよいが、前者が好ましい。なお、樹脂については、上記「(i)樹脂」に記載した内容と同様である。特に、補強シートに含まれる樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性、耐水性、耐薬品性、コスト面が優れるからである。また、ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン系樹脂であってもよく、ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
また、補強シートおよび多孔質樹脂シートの両方が、樹脂としてポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂シートであることが好ましい。例えば、後述する接着層を設けた場合、ポリオレフィン系樹脂は接着材に対する接着性が共通するため、強固に接着した反射シートが得られるからである。また、熱や水分などによる膨張や収縮の程度が近いため、反りが発生し難く接着が剥がれ難いからである。その結果、耐久性が高い反射シートとなる。また、ポリオレフィン系樹脂を用いるため、耐水性が高い反射シートとなる。
また、補強シートがポリエチレン系樹脂を主成分として含有し、多孔質樹脂シートがポリプロピレン系樹脂を主成分として含有することが好ましい。反射シートの加工性が向上するからである。具体的には、ポリプロピレン系樹脂は比較的硬い樹脂であるため、加工が難しい。これに対して、ポリエチレン系樹脂は比較的柔らかい樹脂であるため、ポリプロピレン系樹脂およびポリエチレン系樹脂を組み合わせることで、反射シートの加工性が向上する。
補強シートは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。補強シートの厚みは、特に限定されないが、例えば10μm以上150μm以下であり、20μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、補強シートが複層構造である場合、補強シートを構成する各層の厚みが、上述した範囲内であることが好ましい。また、補強シートは、反射シートの最表面に配置されていてもよく、内部に配置されていてもよい。
補強シートは、多孔質樹脂シートよりも高い透湿性を有していてもよい。補強シートの透湿度は、例えば、多孔質樹脂シートの透湿度の8倍以上であることが好ましい。補強シートの透湿度は、例えば、5000g/m・day以上であり、6000g/m・day以上であることが好ましい。
反射シートは、多孔質樹脂シートおよび補強シートが、接着層を介して積層されていてもよく、接着層を介さずに直接積層されていてもよい。接着層は、接着材から構成される。接着材は、特に限定されず、一般的な接着材を用いることができる。接着層の厚みは、例えば10μm以下である。
(3)反射シート
反射シートは、光反射層を有していてもよく、有していなくてもよい。光反射層を設ける場合、可視光反射率および近赤外光反射率をより高くでき、果実の着色を促進したり、地温の上昇を抑制したりすることができる。光反射層は、例えば、白色粉末および樹脂成分を含有する。白色粉末としては、例えば、アナターゼ型またはルチル型の酸化チタン、これらの表面をAl、Si等の金属酸化物で処理した酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。樹脂成分としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクタムポリウレタン等が挙げられる。光反射層の配置場所は、特に限定されず、反射シートの最表面であってもよく、内部であってもよい。また、光反射層は、多孔質基板シートを基準として、補強シートとは反対側に設けられていることが好ましい。光反射層の厚みは、例えば、0.5μm以上4μm以下である。
反射シートの厚みは、特に限定されないが、例えば50μm以上200μm以下であり、80μm以上150μm以下であることが好ましい。反射シートの透湿度は、例えば、10g/m・day以上であってもよく、20g/m・day以上であってもよい。反射シートは、一方の表面から他方の表面を貫通する貫通孔を複数有していてもよい。貫通孔の割合は、例えば、1万個/m以上100万個/m以下であり、10万個/m以上70万個/m以下であることが好ましい。
3.フレーム材
本開示のフレーム材は、基材と、上記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有する。反射シートは、接着層を介して基材を覆っていてもよく、基材に接触して覆っていてもよく、基材に対して所定の空間を設けて覆っていてもよい。
上記接着層としては、例えば、ポリエーテル系接着層、ポリエステル系接着層、ポリウレタン系接着層、ビニル系接着層、(メタ)アクリル系接着層、ポリアミド系接着層、エポキシ系接着層、ゴム系接着層等が挙げられる。接着層は、一液硬化型であってもよく、二液硬化型であってもよい。
また、基材に接触して覆う反射シートとしては、例えば図3(a)に示すように、基材1に巻き付けられた反射シート2を挙げることができる。反射シートの巻き付け方としては、例えば、螺旋状が挙げられる。また、基材に対して所定の空間を設けて覆う反射シートとしては、例えば図3(b)に示すように、固定部3により一部を固定端とし、他方を自由端とした反射シート2が挙げられる。反射シート2を垂らすことでも、光吸収による温度上昇を抑制できる。固定具の種類は、反射シートを固定できれば特に限定されないが、例えば、ゴム等が挙げられる。
B.農業ハウス
図1は、本開示の農業ハウスの一例を示す概略斜視図である。図1に示す農業ハウス100は、複数のフレーム材10と、複数のフレーム材10から構成される構造体を覆う被覆材20とを有する。複数のフレーム材10の少なくとも一つは、上記「A.フレーム材」に記載したフレーム材である。
本開示によれば、反射シートを有するフレーム材を用いることで、光吸収による温度上昇を抑制した農業ハウスとすることができる。
本開示の農業ハウスについて、構成ごとに説明する。
1.フレーム材
フレーム材は、農業ハウスの構造体を構成する部材である。なお、農業ハウスの構造体とは、農業ハウスの骨格部分をいう。フレーム材は、例えば、柱、梁、桁、垂木、棟木および筋交いの少なくとも一つとして用いられることが好ましい。また、本開示において、複数のフレーム材の少なくとも一つは、上記「A.フレーム材」に記載したフレーム材である。このようなフレーム材を、反射性フレーム材と称する。反射性フレーム材を柱として用いる場合、農業ハウスの全ての柱に対する反射性フレーム材の割合は特に限定されないが、30%以上であってもよく、50%以上であってもよく、70%以上であってもよい。これらの割合は、反射性フレーム材を、柱以外の部材、例えば、梁、桁、垂木、棟木または筋交いに用いる場合も同様である。
2.被覆材
被覆材は、複数のフレーム材から構成される構造体を覆う部材である。被覆材としては、例えば、ガラス、樹脂等を挙げることができる。上記樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂を挙げることができる。
3.農業ハウス
本開示の農業ハウスは、いわゆるオランダ型ハウスであることが好ましい。オランダ型ハウスでは、例えば、ハウス内の温度、湿度および二酸化炭素濃度の少なくとも一つを制御することで、低コスト化および高収益化を図ることができる。そのため、農業ハウスは、温度センサー、湿度センサーおよび二酸化炭素濃度センサーの少なくとも一つと、上記センサーに接続されたモニタリング装置とを有することが好ましい。また、農業ハウスは、換気装置および遮光カーテンの少なくとも一つを有していてもよい。さらに、換気装置および遮光カーテンの少なくとも一つは、上記センサーから得られる情報に応じて、稼動することが好ましい。例えば、ハウス内の温度が、所定の温度よりも高くなった場合には、換気装置が稼動し、外気を取り込むように制御することが好ましい。
本開示の農業ハウスは、ハウス内に、培地および培養液を保持可能な栽培ベンチを有していてもよい。栽培ベンチとしては、例えば、特開平6−141699号公報や特開平7−327495号公報に記載されている骨組み材やパイプ材を組み立てた構成のもの、特開2008−125412号公報に記載されている箱型の形状等の任意の構成のものを使用することができる。また、農業ハウスの床面には、防草シートが敷布されていてもよい。防草シートを敷布することで、床面(例えば地面)からの過剰な水分蒸発を抑えることができる。防草シートとしては、例えば、ポリエチレン樹脂を用いた編み込み式のシートを挙げることができる。
本開示の農業ハウスにより栽培する植物は、長日植物(長日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、短日植物(短日に反応して花芽形成を調節する植物)であってもよく、中性植物(光周期に反応しない植物)であってもよい。具体的には、花き園芸植物、果菜類、果樹類及び穀物類が挙げられ、例えば、ファレノプシス、シンピジウム、デンドロジウムをはじめとするラン類、サボテン類、バラ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、ユリ、スターチス等の切り花用途の花き類、及び、パンジー、プリムラ、ベコニア、ペチュニア、シクラメン等の鉢花用途の花き類;トマト、キュウリ、メロン、イチゴ、ピーマン等の果菜類;ナシ、リンゴ、ブドウ等の果樹類;及びトウモロコシ、コムギ等の穀物類等を挙げることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示の技術的範囲に包含される。
[製造例1]
(多孔質樹脂シートの作製)
多孔質樹脂シートの内層を構成する樹脂組成物として、プロピレン単独重合体(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックPP:MA−8」、融点164℃)を65.5質量%、高密度ポリエチレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテックHD:HJ580」、融点134℃、密度0.960g/cm)を6.5質量%、および、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を28質量%よりなる樹脂組成物を、押出機を用いて無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを縦方向に4倍延伸して、一軸延伸シートを得た。
一方、多孔質樹脂シートの外層を構成する樹脂組成物として、上記と同様の材料にて、プロピレン単独重合体を51.5質量%、高密度ポリエチレンを3.5質量%、平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウム粉末を42質量%、平均粒子径が0.8μmの酸化チタン粉末を3質量%よりなる樹脂組成物を、別の押出機を用いて溶融混練し、上記の一軸延伸シートの表面の両側にダイより押し出し、外層、内層、外層の層構成を有する積層シートを得た。
次いで、この積層シートを横方向に7倍延伸し耳部をスリットすることにより、厚みが70μmであり、外層(15μm)、内層(40μm)、外層(15μm)の層構成を有し、微細な空隙を含有する多孔質樹脂シートを得た。得られた多孔質樹脂シートの空隙率は55%であり、不透明度は93%であった。
(反射シートの作製)
補強シートとして、L−LDPEフィルム(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、厚み30μm、TUX TC−S、三井化学東セロ社製)を用意し、ドライラミネート法にて、補強シートおよび多孔質樹脂シートを接合した。具体的には、ポリエーテル系接着材としてタケラックA−969V(ポリオール成分)およびタケネートA−5(イソシアネート成分)を使用した。ポリエーテル系接着材を、乾燥温度70℃、2g/mの条件で塗布し、接合した。このようにして、反射シートを得た。
得られた反射シートに対して、反射率測定、平滑性評価および防汚性評価を行った。可視光反射率測定では、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所UV−3600)および積分球付属装置(ISR−3100)を用いて、入射角8°で反射率(全反射率)を測定した。なお、標準板として、米国ラブスフェア社製スペクトラロン(テフロン(登録商標)製)を用いた。また、測定面は、反射シートの多孔質樹脂シート側の面とした。その結果を図4に示す。図4に示すように、波長380nm以上780nm以下での平均可視光反射率は95%以上であり、植物の育成に必要な可視光を十分に反射することが確認された。また、波長780nm以上2100nm以下での平均近赤外光反射率は85%以上であり、近赤外光吸収による温度上昇を抑制できることが確認できた。また、波長380nm以下での紫外線反射率が低いため、例えば蜂等による受粉を妨げないという利点もある。
一方、平滑性評価では、多孔質樹脂シート側の表面の算出平均高さSaを求めた。その結果、Saは0.3μmであった。また、防汚性評価では、JIS−L−1919に基づいて、汚染等級を評価した。その結果、汚染等級は3.5であった。
[実施例1および比較例1、2]
光吸収による上昇温度をシミュレーションにより評価した。基材である鉄骨(鋼材)を製造例1で得られた反射シートで覆ったフレームを実施例1とし、鉄骨のみを比較例1とし、基材である鉄骨に遮熱塗料を塗布したフレームを比較例2とした。
光吸収による上昇温度を評価するため、相当外気温度を算出した。
=t+(a×I−ε×φ×RN)/h
は相当外気温度[℃]であり、tは外気温度[℃]であり、aは外表面の日射吸収率であり、Iは日射量[W/m]であり、εは外表面放射率であり、φは天空の形態係数であり、RNは夜間放射量[W/m]であり、hは外表面総合熱伝達率[W/mK]である。
ここで、外気温度tおよび日射量Iとして、東京における2015年1月1日(冬季)および2015年6月1日(夏季)の気象データを用いた。より具体的には、最高日射が得られる12時の気象データを用いた。
また、外表面の日射吸収率aは、以下のように算出した。まず、実施例1、比較例1および比較例2の各表面は、十分に光を吸収できる程度に厚いと仮定し、反射以外は全て吸収が生じると仮定した。次に、1から波長380nm以上780nm以下の平均可視光反射率を引くことで、可視光領域における吸収率Aを求めた。次に、波長780nm以上2100nm以下の平均近赤外光反射率は、平均可視光反射率から一律に0.1低下すると仮定し、近赤外光領域における吸収率Aを求めた。なお、A=A+0.1の関係にある。次に、可視光領域および近赤外光領域の日射エネルギー比を、可視光領域:近赤外光領域=9:1と仮定し、外表面の日射吸収率とした(外表面の日射吸収率=0.9A+0.1A)。
また、外表面総合熱伝達率hは、国土交通省の建築設備設計計算書の手引きを参考として23[W/mK]に固定した。なお、上記式における(ε×φ×RN)の値は、昼間は無視できる程度に小さくなるため0とした。その結果を表1および図5に示す。なお、表1におけるΔTは、相当外気温から外気温を引いた値である。
表1および図5に示すように、実施例1は、比較例1、2に比べて、光吸収による上昇温度が大幅に抑制できることが確認できた。
1…基材
2…反射シート
10…フレーム材
20…被覆材
30…換気装置
100…農業ハウス

Claims (5)

  1. 農業ハウスに用いられるフレーム材であって、
    基材と、前記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有する、フレーム材。
  2. 前記反射シートは可視光反射率が90%以上である、請求項1に記載のフレーム材。
  3. 前記反射シートは近赤外光反射率が80%以上である、請求項1または請求項2に記載のフレーム材。
  4. 前記反射シートは、熱可塑性樹脂を含有する多孔質樹脂シートを備え、
    前記多孔質樹脂シートにおける前記熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、
    前記多孔質樹脂シートの空隙率が35%以上60%以下であり、前記多孔質樹脂シートの厚みが30μm以上90μm以下である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のフレーム材。
  5. 複数のフレーム材と、前記複数のフレーム材から構成される構造体を覆う被覆材とを有する農業ハウスであって、
    前記複数のフレーム材の少なくとも一つが、基材と、前記基材を覆い、可視光反射性および近赤外光反射性を有する反射シートとを有する、農業ハウス。
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