JP2018019528A - スイッチトリラクタンスモータの制御装置 - Google Patents

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【課題】スイッチトリラクタンスモータのトルクリプルを低減し、騒音・振動を抑制することができるスイッチトリラクタンスモータの制御装置を提供すること。【解決手段】スイッチトリラクタンスモータ1の制御装置100は、コイル12に励磁電流が流れることによってスイッチトリラクタンスモータ1を駆動するものであり、低トルクまたは低回転の領域である低負荷領域では、高トルクまたは高回転の領域である高負荷領域と比較して、コイル12に流す励磁電流を所定値に保つために上下する電流幅であるヒステリシス幅を小さくする。【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチトリラクタンスモータの制御装置に関する。
互いに対向する複数の突極を各々備えたステータおよびロータと、ステータの突極に巻回されたコイルとを備え、ステータとロータのそれぞれの突極間に発生させた磁気吸引力によってロータを回転させるスイッチトリラクタンスモータが知られている。
このようなスイッチトリラクタンスモータに関して、例えば特許文献1には、吐出圧力の脈動を低減する際に生じる不要な損失を低減して効率を極大化することを目的として、ポンプの形式によって定まる所定の脈動トルクのピーク位置とトルク変動とが一致するように、ポンプとスイッチトリラクタンスモータとを組み付ける技術が開示されている。
特開2001−090669号公報
スイッチトリラクタンスモータに関しては、従来から、回転に伴うトルクリプル(トルク変動)を低減することが課題の一つとして挙げられている。しかしながら、特許文献1で開示された技術は、スイッチトリラクタンスモータのトルクリプルを活用してポンプの脈動を打ち消すものであるため、スイッチトリラクタンスモータ自体のトルクリプルを低減することはできない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スイッチトリラクタンスモータのトルクリプルを低減し、騒音・振動を抑制することができるスイッチトリラクタンスモータの制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置は、コイルに励磁電流が流れることによって駆動するスイッチトリラクタンスモータの制御装置において、低トルクまたは低回転の領域である低負荷領域では、高トルクまたは高回転の領域である高負荷領域と比較して、前記コイルに流す励磁電流を所定値に保つために上下する電流幅であるヒステリシス幅を小さくすることを特徴とする。
このように、スイッチトリラクタンスモータの制御装置は、効率の低下を必要最小限にしつつ、低負荷領域におけるヒステリシス幅を高負荷領域におけるヒステリシス幅よりも小さくする(狭める)ことにより、スイッチトリラクタンスモータのトルクリプルを低減することができる。
本発明に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置によれば、スイッチトリラクタンスモータの負荷に応じてヒステリシス幅を変更することにより、スイッチトリラクタンスモータのトルクリプルを低減し、騒音・振動を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置を含むシステム構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置による駆動制御方法の一例を示すフローチャートである。 図3は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの特性を示すN−T線図(高電圧:600Vの場合)である。 図4は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置による制御時の電流波形を示す図である。 図5は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置による制御時のトルクを示す図である。 図6は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置を適用した車両を示すスケルトン図である。 図7は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの特性を示すN−T線図(低電圧:300Vの場合)である。 図8は、本発明の実施形態に係るスイッチトリラクタンスモータの特性を示すN−T線図(不感帯を設けた場合)である。
本発明に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[システム構成]
本実施形態のシステム構成は、図1に示すように、スイッチトリラクタンスモータ(以下、「SRモータ」という)1と、インバータ2と、バッテリ3と、制御装置100と、を含んでいる。
SRモータ1は、回転子に永久磁石を使用しない電動機であって、突極構造のステータ10と、突極構造のロータ20と、を備えている。ここでは図1に示すように、SRモータ1として、六極のステータ10と、四極のロータ20と、を備える三相誘導電動機を例示している。
SRモータ1は三相交流式であるため、一対のステータ歯11a,11aおよびコイル12aによるA相と、一対のステータ歯11b,11bおよびコイル12bによるB相と、一対のステータ歯11c,11cおよびコイル12cによるC相と、を含んでいる。
SRモータ1は、インバータ2を介してバッテリ3と電気的に接続されている。また、SRモータ1とインバータ2とは、コイル12によって電気的に接続されている。なお、SRモータ1は、電動機のみならず発電機としても機能する。
ステータ10は、環状構造の内周部に、突極としてのステータ歯11を複数備えている。各ステータ歯11には、インバータ2に接続されたコイル12が巻回されている。ステータ10では、径方向で対向する位置に配置された一対のステータ歯11a,11aと、一対のステータ歯11b,11bと、一対のステータ歯11c,11cと、がそれぞれ1つの相を成している。
ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置されており、環状構造の外周部に、突極としてのロータ歯21を複数備えている、ロータ20は、具体的には、一対のロータ歯21x,21xと、一対のロータ歯21y,21yと、を備えている。なお、ロータ20は、図示しないロータ軸と一体回転するように構成されている。
インバータ2は、三相交流をコイル12に通電できるように6つのスイッチング素子を備えた電気回路(インバータ回路)を備えている。インバータ2は、インバータ回路に接続された各コイル12に対して、相ごとに電流を流す。
図1に示したインバータ回路は、相ごとに設けられた2つのトランジスタおよび2つのダイオードと、コンデンサCoと、を備えている。そして、インバータ2は、各相において、2つのトランジスタを同時にオンまたはオフにすることで、コイル12に流れる電流値を変更する。
インバータ2は、A相において、トランジスタTra1,Tra2と、ダイオードDa1,Da2と、を備える。また、インバータ2は、B相において、トランジスタTrb1,Trb2と、ダイオードDb1,Db2と、を備える。また、インバータ2は、C相において、トランジスタTrc1,Trc2と、ダイオードDc1,Dc2と、を備える。
制御装置100は、SRモータ1を制御する電子制御装置(ECU)である。制御装置100は、CPUと、各種プログラム等のデータが格納された記憶部と、SRモータ1を制御するための各種の演算を行う制御部と、を備えている。そして、制御部における演算の結果、SRモータ1を制御するための指令信号が、制御装置100からインバータ2に出力される。制御装置100は、このようにインバータ2を制御することにより、SRモータ1に印加する電圧および励磁電流を制御する。
制御装置100には、SRモータ1の回転数を検出する回転数センサ51からレゾルバ信号が入力される。制御装置100は、当該レゾルバ信号から、回転方向におけるステータ歯11とロータ歯21との相対的な位置関係に基づいて、通電対象となるコイル12の切り替えを相ごとに繰り返す駆動制御を実行する。そして、制御装置100は、この駆動制御において、ある相のコイル12に励磁電流を流してステータ歯11を励磁させ、ステータ歯11とそのステータ歯11の近くのロータ歯21との間に磁気吸引力を発生させることにより、ロータ20を回転させる。
なお、前記した磁気吸引力は、周方向の分力である回転力と、径方向の分力であるラジアル力とに分解することができる。そして、前記した回転力がロータ20に作用することによりSRモータ1のトルクが発生する。また、前記したラジアル力は、騒音・振動(NV)の要因となる。
[駆動制御方法]
以下、本実施形態に係るSRモータ1の制御装置100による駆動制御方法の一例について、図2を参照しながら説明する。
まず、制御装置100は、SRモータ1の駆動制御に用いる各種情報を読み込む(ステップS1)。各種情報には、回転数センサ51から入力されるレゾルバ信号と、SRモータ1の要求トルクが含まれる。
続いて、制御装置100は、レゾルバ信号に基づいてSRモータ1の回転数を演算する(ステップS2)。続いて、制御装置100は、要求トルクに応じたモータトルク指令値を導出する(ステップS3)。
続いて、制御装置100は、SRモータ1のトルクリプルを低減する必要があるか否かを判定する(ステップS4)。制御装置100は、具体的には、回転数センサ51から入力されたSRモータ1の回転数と、要求トルクに応じたモータトルク指令値と、例えば図3に示すようなマップ(N−T線図)と、を用いて、本ステップの判定処理を実行する。
本ステップにおいて、制御装置100は、モータ回転数およびモータトルク指令値によって定まる動作点が、図3に示したマップの低負荷領域内であるか否かを判定する。制御装置100は、例えばSRモータ1の動作点が高負荷領域内から切替線Lを跨いて低負荷領域内に移動した場合、ステップS4を肯定的に判定する。一方、制御装置100は、例えばSRモータ1の動作点が低負荷領域内から切替線Lを跨いて高負荷域内に移動した場合、ステップS4を否定的に判定する。なお、同図に示すように、「低負荷領域」とは、低トルクまたは低回転の領域を示しており、「高負荷領域」とは、高トルクまたは高回転の領域を示している。
ステップS4で肯定的に判定された場合(ステップS4でYes)、制御装置100は、SRモータ1の駆動制御時におけるヒステリシス幅を通常制御時よりも小さくする「ヒステリシス幅低減制御」を実行する(ステップS5)。
ここで、「ヒステリシス幅」とは、図4に示すように、コイル12に流す励磁電流を所定値に保つために上下する電流幅である。ヒステリシス幅低減制御では、例えば同図に示すように、通常制御時におけるヒステリシス幅Wh1(=10A)を、それよりも小さい(狭い)ヒステリシス幅Wh2(=2A)へと変更する制御を行う。これにより、ヒステリシス幅がWh1からWh2へと小さくなるのに応じて、図5に示すように、SRモータ1のトルクリプル幅も、Wt1からWt2へと小さくなる。
なお、図4において、通常制御時の電流波形(ヒステリシス幅Wh1)は通常の実線で示し、ヒステリシス幅低減御時の電流波形(ヒステリシス幅Wh2)は太線で示している。また、図5において、通常制御時のトルク波形(トルクリプル幅Wt1)は通常の実線で示し、ヒステリシス幅低減御時のトルク波形(トルクリプル幅Wt2)は太線で示している。
ステップS4で否定的に判定された場合(ステップS4でNo)、制御装置100は、通常制御を継続する(ステップS6)。この場合、制御装置は、通常制御時のヒステリシス幅、すなわちヒステリシス幅低減制御時におけるヒステリシス幅(図4のWh2参照)よりも相対的に大きい(広い)ヒステリシス幅(同図のWh1参照)により、SRモータ1の駆動制御を行う。
以上のように、本実施形態に係るSRモータ1の制御装置100では、効率の低下を必要最小限にしつつ、低負荷領域におけるヒステリシス幅Wh2を、高負荷領域におけるヒステリシス幅Wh1よりも小さくする(狭める)ことにより、SRモータ1のトルクリプルを低減することができる。そして、SRモータ1のトルクリプルを低減することにより、騒音・振動を抑制することができる。
[適用例]
以下、本実施形態に係るSRモータ1の制御装置100を適用した車両について、図6を参照しながら説明する。同図に示した車両200は、エンジン201と、車輪202と、変速機(T/M)203と、デファレンシャルギヤ204と、駆動軸205と、走行用動力源としてのSRモータ1と、を備えている。車両200は、四輪駆動車であり、エンジン201が左右の前輪202FL,202FRを駆動し、リヤモータであるSRモータ1が左右の後輪202RL,202RRを駆動する。
SRモータ1は、いわゆるインホイールモータであり、左右の後輪202RL,202RRにそれぞれ一つずつ設けられている。車両200のリヤ側駆動装置では、左後輪202RLには左後SRモータ1RLが接続され、かつ右後輪202RRには右後SRモータ1RRが接続されている。後輪202RL,202RRは、互いに独立して回転可能である。
左後輪202RLは、左後SRモータ1RLの出力トルク(モータトルク)によって駆動される。また、右後輪202RRは、右後SRモータ1RRの出力トルク(モータトルク)によって駆動される。
左後SRモータ1RLおよび右後SRモータ1RRは、インバータ2を介してバッテリ(B)3に接続されている。また、左後SRモータ1RLおよび右後SRモータ1RRは、バッテリ3から供給される電力によって電動機として機能するとともに、後輪202RL,202RRから伝達されるトルク(外力)を電力に変換する発電機として機能する。なお、インバータ2には、左後SRモータ1RL用の電気回路と、右後SRモータ1RR用の電気回路と、が含まれる。
制御装置100は、左後SRモータ1RLおよび右後SRモータ1RRと、エンジン201と、を制御する。例えば、制御装置100には、SRモータ用制御部(SRモータ用ECU)と、エンジン用制御部(エンジンECU)と、が含まれる。この場合、エンジンECUは、吸気制御、燃料噴射制御、点火制御等によって、エンジン201の出力トルクを目標とするトルク値に調節するエンジントルク制御を実行する。また、SRモータ用ECUは、回転数センサ51から入力される信号に基づいて、左後SRモータ1RLおよび右後SRモータ1RRについてのモータ制御を実行する。回転数センサ51には、左後SRモータ1RLの回転数を検出する左後回転数センサ51RLと、右後SRモータ1RRの回転数を検出する右後回転数センサ51RRと、が含まれる。
以上、本発明に係るスイッチトリラクタンスモータの制御装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、前記したSRモータ1の駆動制御では、図3に示したマップを用いてステップS4(図2参照)の判定処理を行うことにより、ヒステリシス幅低減制御と通常制御とを切り替えていたが、同じSRモータ1であっても、電圧が異なる場合は異なるマップを用いる。例えば、図3に示したマップが、高電圧(例えば600V)のSRモータ1の駆動制御時に用いられるものであるとした場合、それよりも低電圧(例えば300V)のSRモータ1の駆動制御を行う際には、図7に示すようなマップを用いてステップS4(図2参照)の判定処理を行う。
図7に示したマップは、図3のマップと比較して、切替線Lがより低トルク・低回転数側に寄っており、通常制御の領域が増加している。これは、低電圧ほど電流の勾配がなだらかになるため、ヒステリシス領域(図4参照)においても電流の変化が緩やかになり、ヒステリシス幅がトルクリプルに与える影響が相対的に小さくなるためである。
また、SRモータ1の駆動制御では、例えば図8に示すように、低負荷領域と高負荷領域との間に不感帯を設けたマップを用いることにより、駆動制御がハンチングしたり、ビジーシフトしたりすることを防止してもよい。この場合、同図に示すように、低負荷領域側に第1切替線Lを設けるとともに、高負荷領域側に第2切替線Lを設け、第1切替線Lおよび第2切替線Lの間に不感帯を設ける。
また、前記したSRモータ1の駆動制御では、SRモータ1の動作点が、低トルクまたは低回転の領域内である場合にヒステリシス幅低減制御を行ったが、例えばSRモータ1の動作点が、ラジアル力変化の小さい領域内である場合にヒステリシス幅低減制御を行っても構わない。
また、実施形態に係るSRモータ1の制御装置100の適用例は、図8に示したもの(以下、「適用例1」という)に限定されない。例えば、SRモータ1の制御装置100の適用例は、適用例1とは異なり、全ての車輪202にSRモータ1が設けられた構成であってもよい(適用例2)。また、適用例1とは異なり、フロント側駆動装置が設けられていない後輪駆動車であってもよい(適用例3)。
SRモータ1の制御装置100の適用例は、適用例1〜3とは異なり、車両200の走行用動力源がインホイールモータとしてのSRモータ1のみである構成であってもよい(適用例4)。また、適用例4とは異なり、SRモータ1がインホイールモータではない構成であってもよい(適用例5)。
SRモータ1の制御装置100の適用例は、適用例5とは異なり、フロント側駆動装置として適用例1の構成が搭載されていてもよい(適用例6)。また、適用例3とは異なりリヤ側駆動装置が設けられていない、あるいは適用例4とは異なり駆動装置の配置が前後で逆である構成であってもよい(適用例7)。
1 スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)
2 インバータ
3 バッテリ
10 ステータ
11 ステータ歯
12 コイル
20 ロータ
21 ロータ歯
51 回転数センサ
100 制御装置

Claims (1)

  1. コイルに励磁電流が流れることによって駆動するスイッチトリラクタンスモータの制御装置において、
    低トルクまたは低回転の領域である低負荷領域では、高トルクまたは高回転の領域である高負荷領域と比較して、前記コイルに流す励磁電流を所定値に保つために上下する電流幅であるヒステリシス幅を小さくすることを特徴とするスイッチトリラクタンスモータの制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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