JP2018019058A - エッチング方法、半導体チップの製造方法及び物品の製造方法 - Google Patents

エッチング方法、半導体チップの製造方法及び物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】針状残留部が生じ難いエッチング方法を提供する。【解決手段】実施形態のエッチング方法は、半導体を含む表面上に、貴金属を含む触媒層であって、前記表面を少なくとも部分的に被覆し、不連続部を有している第1部分と、前記第1部分上に位置し、前記第1部分へのエッチング剤の供給を妨げず、エッチングの進行に応じた前記触媒層の移動に伴い、前記不連続部に対応した位置に残留する未エッチング部と接触する第2部分とを含む触媒層を形成することと、その後、前記触媒層へ前記エッチング剤を供給して、前記触媒層の触媒としての作用のもとで、前記表面をエッチングすることとを含む。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、エッチング方法、半導体チップの製造方法及び物品の製造方法に関する。
MacEtch(Metal-Assisted Chemical Etching)法とは、貴金属を触媒として用いて、半導体表面をエッチングする方法である。MacEtch法によれば、例えば、高アスペクト比の孔を半導体基板に形成することができる。
特表2013−527103号公報 特開2011−101009号公報
本発明が解決しようとする課題は、針状残留部が生じ難いエッチング方法を提供することである。
第1側面によれば、半導体を含む表面上に、貴金属を含む触媒層であって、前記表面を少なくとも部分的に被覆し、不連続部を有している第1部分と、前記第1部分上に位置し、前記第1部分へのエッチング剤の供給を妨げず、エッチングの進行に応じた前記触媒層の移動に伴い、前記不連続部に対応した位置に残留する未エッチング部と接触する第2部分とを含む触媒層を形成することと、その後、前記触媒層へ前記エッチング剤を供給して、前記触媒層の触媒としての作用のもとで、前記表面をエッチングすることとを含んだエッチング方法が提供される。
第2側面によれば、半導体ウエハを第1側面に係るエッチング方法によりエッチングして半導体チップへと個片化することを含み、前記表面は前記半導体ウエハの表面である半導体チップの製造方法が提供される。
第3側面によれば、第1側面に係るエッチング方法により、前記表面をエッチングすることを含んだ物品の製造方法が提供される。
実施形態に係るエッチング方法においてエッチングする構造物を概略的に示す断面図。 実施形態に係るエッチング方法における触媒層形成工程を概略的に示す断面図。 実施形態に係るエッチング方法におけるエッチング工程開始状態を概略的に示す断面図。 図3に示す状態から一定時間経過後の状態を概略的に示す断面図。 比較例におけるエッチング工程を概略的に示す断面図。 実施形態に係る半導体チップ製造方法において使用する半導体ウエハを概略的に示す平面図。 図6に示す半導体ウエハのVII−VII線に沿った断面図。 実施形態に係る半導体チップ製造方法における触媒層形成工程を概略的に示す平面図。 図8に示す半導体ウエハのIX−IX線に沿った断面図。 図6乃至図9に示す方法によって得られる構造の一例を概略的に示す平面図。 図10に示す半導体ウエハのXI−XI線に沿った断面図。 樹枝状晶を形成した構造物の断面を示す顕微鏡写真。 樹枝状晶を形成した構造物の上面を示す顕微鏡写真。 樹枝状晶を形成した構造物をエッチングして得られる構造物の断面を示す顕微鏡写真。 樹枝状晶を形成した構造物の断面を示す顕微鏡写真。 樹枝状晶を形成した構造物の上面を示す顕微鏡写真。 樹枝状晶を形成した構造物をエッチングして得られる構造物の断面を示す顕微鏡写真。 触媒層が貴金属粒子からなる構造物の断面を示す顕微鏡写真。 触媒層が貴金属粒子からなる構造物をエッチングして得られる構造物の断面を示す顕微鏡写真。 触媒層が貴金属粒子からなる構造物の断面を示す顕微鏡写真。 触媒層が貴金属粒子からなる構造物をエッチングして得られる構造物の断面を示す顕微鏡写真。
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
先ず、図1乃至図4を参照しながら、実施形態に係るエッチング方法について説明する。
この方法では、先ず、図1に示す構造物1を準備する。
構造物1の表面の少なくとも一部は、半導体からなる。半導体は、例えば、Si;Ge;GaAs及びGaNなどのIII族元素とV族元素との化合物からなる半導体;並びにSiCから選択される。なお、ここで使用する用語「族」は、短周期型周期表の「族」である。
構造物1は、例えば、半導体ウエハである。半導体ウエハには、不純物がドープされていてもよく、トランジスタやダイオードなどの半導体素子が形成されていてもよい。また、半導体ウエハの主面は、半導体の何れの結晶面に対して平行であってもよい。
次に、構造物1の半導体からなる表面上に、マスク層2を形成する。
マスク層2は、構造物1の表面に触媒層としての貴金属パターンを形成するための層である。マスク層2は、開口部を有している。開口部の幅は、0.1μm乃至15μmの範囲内にあることが好ましく、5μm乃至10μmの範囲内にあることがより好ましい。後述する樹枝状晶を形成する場合、開口部の幅が広すぎると、開口部の位置で半導体からなる表面を触媒層で十分に被覆することが難しい。開口部の幅が狭すぎると、エッチング剤が半導体からなる表面に到達することが困難となるためである。
マスク層2の材料としては、構造物1の表面のうち、マスク層2によって覆われた領域に、後述する貴金属が付着するのを抑制できるものであれば、任意の材料を用いることができる。そのような材料としては、例えば、ポリイミド、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、及びノボラック樹脂などの有機材料や、酸化シリコン及び窒化シリコンなどの無機材料が挙げられる。
マスク層2は、例えば、既存の半導体プロセスによって形成することができる。有機材料からなるマスク層2は、例えば、フォトリソグラフィによって形成することができる。無機材料からなるマスク層2は、例えば、気相堆積法による無機材料層の成膜と、フォトリソグラフィによるマスクの形成と、エッチングによる無機材料層のパターニングとによって成形することができる。或いは、無機材料からなるマスク層2は、構造物1の表面領域の酸化又は窒化と、フォトリソグラフィによるマスク形成と、エッチングによる酸化物又は窒化物層のパターニングとによって形成することができる。マスク層2は、省略可能である。
次に、図2に示すように、構造物1の半導体からなる表面上に、触媒層6を形成する。触媒層6は、貴金属からなる。貴金属は、例えば、Au、Ag、Pt及びRhからなる群より選ばれる1以上の金属である。
触媒層6は、第1部分4と第2部分5とを含んでいる。
第1部分4は、構造物1の半導体からなる表面を少なくとも部分的に被覆している。第1部分4は、例えば、表面に凹凸構造を有している層である。第1部分は、不連続部を有していてもよい。第1部分4は、それと接している半導体表面の酸化反応の触媒として働く。
第1部分4は、第2部分5と比較して、見かけ上の密度がより大きく、より薄い。第1部分4の厚さdは、1nm乃至1000nmの範囲内にあることが好ましく、10nm乃至500nmの範囲内にあることがより好ましい。第1部分4が極端に薄い場合、第1部分4に過剰量の不連続部を生じる可能性がある。第1部分4が厚い場合、エッチング剤が半導体表面に十分に供給されない可能性がある。
第2部分5は、第1部分4上に位置している。第2部分5は、例えば、貴金属からなる樹枝状晶を含んでいる。第2部分5は、第1部分4と同様に、酸化反応の触媒として働く。
第2部分5は、第1部分4と比較して、見かけ上の密度がより小さく、より厚い。第2部分5の厚さdは、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。第2部分5が薄い場合、第2部分5は、第1部分4の触媒としての作用が及ばずにエッチングできなかった部分、即ち、未エッチング部と接触できない可能性がある。第2部分5が厚いほど、未エッチング部を除去できる可能性が高い。第2部分5の厚さの上限は、特に限定されないが、通常5μm以下である。また、第1部分4の厚さdと第2部分5の厚さdとの比d/dは、0.01乃至10の範囲内にあることが好ましく、0.01乃至0.5の範囲内にあることがより好ましい。なお、未エッチング部については、後で詳しく説明する。
次に、見かけ上の密度について説明する。見かけ上の密度を説明するに当たり、以下の領域を定義する。
先ず、半導体表面のうち、第1部分4とその不連続部との合計に対応した二次元領域を、A領域とする。次に、第2部分5のうち、A領域の真上に位置した部分を、B部分とする。そして、A領域の真上に位置した三次元領域のうち、第1部分4の上面からB部分の最大高さまでの部分をC部分とする。
第1部分4の見かけ上の密度は、第1部分4の質量を第1部分4とその不連続部との合計の体積で除した値である。第2部分5の見かけ上の密度は、B部分の質量をC部分の体積で除した値である。なお、見かけ上の密度は、触媒層6の断面を観察することにより確認できる。
このような触媒層6は、例えば、以下の方法によって得られる。
触媒層6は、例えば、電解めっき、還元めっき、又は置換めっきによって形成することができる。第1部分4は、貴金属粒子を含む分散液の塗布、又は、蒸着及びスパッタリングなどの気相堆積法を用いて形成してもよい。以下、一例として、置換めっきによる触媒層6の形成について記載する。
置換めっきによる貴金属の析出には、例えば、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液、亜硫酸金塩水溶液又はシアン化金(I)カリウム水溶液を用いることができる。以下、貴金属は金であるとして説明を行う。
置換めっき液は、例えば、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液と弗化水素酸との混合液である。弗化水素酸は、構造物1の表面の自然酸化膜を除去する作用を有している。
置換めっき液は、錯化剤及びpH緩衝剤のうち少なくとも一方を更に含んでいてもよい。錯化剤は、置換めっき液に含まれる貴金属イオンを安定化する作用を有している。pH緩衝剤は、めっきの反応速度を安定化させる作用を有している。これら添加剤として、例えば、グリシン、クエン酸、カルボン酸イオン、シアン化物イオン、ピロリン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸、アンモニア、アミノカルボン酸イオン、酢酸、乳酸、リン酸塩、ホウ酸、又はそれらの2以上の組み合わせを使用することができる。これら添加剤としては、グリシンとクエン酸とを用いることが好ましい。
構造物1を置換めっき液中に浸漬させると、構造物1の表面の自然酸化膜が除去されるのに加え、構造物1の表面のうちマスク層2によって覆われていない部分に、貴金属、ここでは金が析出する。これにより、第1部分4が得られる。
置換めっきを特定の条件のもとで行うと、第1部分4と第2部分5とを含み、第2部分5が樹枝状晶を含んだ触媒層6が、単一の処理によって得られる。そのような置換めっきにおいて使用する置換めっき液は、例えば、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液と弗化水素酸とグリシンとクエン酸とを含む。
この置換めっき液中におけるテトラクロロ金(III)酸カリウムの濃度は、10μmol/L乃至1000mmol/Lの範囲内にあることが好ましく、1mmol/L乃至100mmol/Lの範囲内にあることがより好ましい。この濃度が低い場合、樹枝状晶を生じさせることが難しい。この濃度が高い場合、高密度に形成されるため、密度と厚さの異なる層を形成することが難しい可能性がある。
上記置換めっき液中における弗化水素濃度は、0.01mol/L乃至5mol/Lの範囲内にあることが好ましく、0.5mol/L乃至2mol/Lの範囲内にあることがより好ましい。弗化水素濃度が低い場合、樹枝状晶を生じさせることが難しい。弗化水素濃度が高い場合、半導体表面の溶解が進行し、エッチングに悪影響を及ぼす可能性がある。
上記置換めっき液中におけるグリシン濃度は、0.1g/L乃至20g/Lの範囲内にあることが好ましく、1g/L乃至10g/Lの範囲内にあることがより好ましい。グリシン濃度が低い場合、樹枝状晶を生じさせることが難しい。
上記置換めっき液中におけるクエン酸濃度は、0.1g/L乃至20g/Lの範囲内にあることが好ましく、1g/L乃至10g/Lの範囲内にあることがより好ましい。クエン酸濃度が低い場合、樹枝状晶を生じさせることが難しい。
また、グリシン及びクエン酸の代わりに、これらと同様の機能を有するものを用いてもよい。グリシンの代わりに、例えば、カルボン酸イオン、シアン化物イオン、ピロリン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸、アンモニア、又はアミノカルボン酸イオンを用いてもよい。クエン酸の代わりに、例えば、カルボン酸イオン、酢酸、乳酸、リン酸塩、又はホウ酸を用いてもよい。
マスク層2を形成した構造物1を、置換めっき液に浸漬させると、半導体表面のうち、マスク層2によって覆われていない領域には、金からなる緻密な薄い層が形成され、更に、そこで、金からなる樹枝状晶が成長する。これにより、第2部分5が樹枝状晶を含んだ触媒層6を、単一の処理によって得ることができる。
次に、図3に示すように、触媒層6へエッチング剤7を供給する。
具体的には、例えば、マスク層2と触媒層6とを形成した構造物1をエッチング剤7に浸漬させる。エッチング剤7は、弗化水素酸と酸化剤とを含んでいる。
エッチング剤7が半導体表面に接触すると、酸化剤がその表面のうち第1部分4が近接した部分を酸化させ、弗化水素酸がその酸化物を溶解除去する。そのため、エッチング剤7は、図4に示すように、触媒層6の触媒としての作用のもとで、開口部の位置で半導体表面を垂直方向にエッチングする。
エッチング剤7における弗化水素濃度は、1.0mol/L乃至20mol/Lの範囲内にあることが好ましく、5mol/L乃至10mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、3mol/L乃至7mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。弗化水素濃度が低い場合、高いエッチングレートを達成することが難しい。弗化水素濃度が高い場合、過剰なサイドエッチングを生じる可能性がある。
エッチング剤7における酸化剤は、例えば、過酸化水素、硝酸、AgNO、KAuCl、HAuCl、KPtCl、HPtCl、Fe(NO、Ni(NO、Mg(NO、Na、K、KMnO及びKCrから選択することができる。有害な副生成物が発生せず、半導体素子の汚染も生じないことから、酸化剤としては過酸化水素が好ましい。
エッチング剤7における過酸化水素などの酸化剤の濃度は、0.2mol/L乃至8mol/Lの範囲内にあることが好ましく、2.0mol/L乃至4.0mol/Lの範囲内にあることがより好ましく、3.0mol/L乃至4.0mol/Lの範囲内にあることが更に好ましい。
図1乃至図4に示す方法では、以上のようにして、構造物1の半導体からなる表面のエッチングを行う。
ところで、図5に示すように、貴金属粒子3の集合体からなり、貴金属粒子3間の隙間が広い触媒層6を有している構造物1を、エッチング剤7に浸漬させた場合、エッチング剤7は、貴金属粒子3間の隙間を通り半導体表面に容易に到達できる。従って、エッチング剤7は、半導体表面のうち、貴金属粒子3と近接している領域をエッチングする。ところが、半導体表面のうち、貴金属粒子3間の隙間に対応した領域は酸化され難いため、エッチングは進行し難い。従って、この隙間に対応した領域では、半導体が針状に残留する。針状残留部8は、ダストの原因になりうる。
また、貴金属粒子3間の隙間が狭い場合、エッチング剤7は、容易に半導体表面に到達できない。従って、エッチングは殆ど進行しない。
図1乃至図4を参照しながら説明した方法は、エッチングを十分に進行させるにも関わらず、針状の残留部を生じ難い。本発明者らは、これは、以下の理由によると考えている。
第1部分4は、上記の通り薄いため、不連続部を有している可能性が高い。従って、エッチング剤7は、不連続部を通って半導体表面に到達することができる。第2部分5は、第1部分4よりも見かけ上の密度が小さいため、第1部分4へのエッチング剤7の供給を妨げない。従って、図1乃至図4に示すように、半導体をエッチングすることができる。
触媒層6は、エッチングが進行するにつれて、下方に移動する。しかしながら、上記の不連続部ではエッチングが進行せず、触媒層6の移動に伴い、上記の不連続部に対応した位置に未エッチング部が残留する。第2部分5は、第1部分4上に位置しており、第1部分4よりも厚いことから、下方へ移動する過程で、上記の未エッチング部と接触し、これを酸化させる可能性が高い。エッチング剤7は、酸化された未エッチング部をエッチングする。従って、針状残留部は生じ難いと考えられる。
触媒層6には、様々な変形が可能である。
例えば、第1部分4は、貴金属粒子からなり、それら粒子間に、エッチング剤7が流通可能な隙間を有している粒状層であってもよい。或いは、第1部分4は、貴金属からなる連続膜に複数の貫通孔を設けてなる多孔膜であってもよい。
また、第2部分5は、樹枝状晶以外の形態であってもよい。例えば、第2部分5は、液体透過性を有している多孔質層であってもよい。
また、触媒層6は、第1部分4及び第2部分5に加え、1以上の他の部分を更に含んでいてもよい。例えば、触媒層6は、3層以上の多層構造を有していてもよい。
なお、第2部分5は、エッチングの開始時から終了時まで一体である必要はない。即ち、第2部分5は、エッチングの進行に伴って触媒層6が下方へと移動する際に、複数の断片へと分解してもよい。これら断片は、触媒層6の移動に伴って、それらの方位を変化させる可能性がある。それ故、第2部分5が非球形の断片を生じる場合、例えば、樹枝状晶を含んだ第2部分5が複数の断片へと分解した場合、第2部分5が一体のままである場合と比較して、第2部分5が未エッチング部と接触する確率が高まる。
上述したエッチング方法は、様々な物品の製造に利用することができる。また、上述したエッチング方法は、凹部若しくは貫通孔の形成、又は、半導体ウエハなどの構造物の分割に利用することもできる。例えば、上述したエッチング方法は、半導体装置の製造に利用することができる。
図6乃至図11を参照しながら、半導体ウエハをエッチングして複数の半導体チップへと個片化することを含んだ半導体チップの製造方法について説明する。
先ず、図6及び図7に示す構造を準備する。この構造は、半導体ウエハ9と、マスク層2と、ダイシングシート11とを含んでいる。半導体ウエハ9には、その表面に、半導体素子領域10が形成されている。マスク層2は、半導体ウエハ9の表面のうち、半導体素子が形成された領域である素子領域10を被覆しており、半導体素子を損傷から保護する役割を果たす。ダイシングシート11は、半導体ウエハ9のマスク層2が設けられた面の裏面に貼り付けられている。
次に、図8及び図9に示すように、図2を参照しながら説明した方法により、半導体ウエハ9の表面に貴金属からなる触媒層6を形成する。
次に、図8及び図9に示す構造を、図1乃至図4を参照しながら説明した方法によりエッチングする。エッチングは、これによって生じる凹部の底面がダイシングシート11の表面に達するまで行う。
以上の通り、上述した方法によると、図10及び図11に示すように、各々が半導体素子領域10を含む半導体チップ12を得ることができる。
この方法では、例えば、マスク層2を、半導体チップを保護する保護層として利用することができる。マスク層2は、半導体チップの全面を被覆しているので、この方法によると、ブレードを使用する一般的なダイシングを行った場合と比較して、高い強度を達成することができる。
また、この方法では、半導体チップの上面の形状は、正方形や長方形に限られない。例えば、半導体チップの上面の形状は、円形又は六角形であってもよい。また、この方法では、上面形状が異なる半導体チップを同時に形成することができる。
以下、試験例について説明する。
<試験例1>
以下の方法により、構造物に、マスク層と第1及び第2部分を含む触媒層とを形成し、これをエッチングした。そして、触媒層の構造がエッチングに及ぼす影響を調べた。
先ず、半導体からなる構造物の表面にマスク層を形成した。マスク層は、フォトレジストを用いたフォトリソグラフィによって形成した。マスク層の開口部の幅は、5μmであった。
次に、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液と弗化水素酸とグリシンとクエン酸とを混合してめっき液Aを調製した。めっき液Aは、テトラクロロ金(III)酸カリウム濃度が5mmol/Lであり、弗化水素濃度が1mol/Lであり、グリシン濃度が10g/Lであり、クエン酸濃度が10g/Lであった。
次に、めっき液Aに、マスク層を形成した構造物を23℃で3分間浸漬させて、触媒層を形成した。図12及び図13に、触媒層とマスク層とを形成した構造物を走査電子顕微鏡で観察した結果を示す。
図12は、めっき液Aを使用して形成した触媒層の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図13は、めっき液Aを使用して形成した触媒層の上面を示す走査電子顕微鏡写真である。図12及び図13に示すように、触媒層は、第2部分が樹枝状晶であり、第2部分が第1部分よりも厚く、第2部分の見かけ上の密度が第1部分の見かけ上の密度よりも小さいことを確認できた。
次に、弗化水素酸と過酸化水素とを混合してエッチング剤を調製した。このエッチング剤は、弗化水素濃度が10mol/Lであり、過酸化水素濃度が0.5mol/Lであった。
このエッチング剤に、マスク層と触媒層とを形成した構造物を浸漬させて、これをエッチングした。図14に、エッチングした構造物を走査電子顕微鏡で観察した結果を示す。
図14は、エッチング後の構造の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図14に示すように、針状残留部の発生は抑制された。
<試験例2>
開口部の幅を10μmとしたこと以外は、試験例1において説明したのと同様の方法により、構造物にマスク層と触媒層とを形成し、これをエッチングした。
図15は、めっき液Aを使用して形成した触媒層の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図16は、めっき液Aを使用して形成した触媒層の上面を示す走査電子顕微鏡写真である。図15及び図16に示すように、触媒層は、第2部分が樹枝状晶であり、第2部分が第1部分よりも厚く、第2部分の見かけ上の密度が第1部分の見かけ上の密度よりも小さいことを確認できた。
図17は、エッチング後の構造の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図17に示すように、針状残留部の発生は抑制された。
<試験例3>
以下の方法により、構造物に、マスク層と貴金属粒子の集合体からなる触媒層とを形成し、これをエッチングした。そして、触媒層の構造がエッチングに及ぼす影響を調べた。
先ず、試験例1と同様の方法により、半導体からなる構造物の表面に、マスク層を形成した。マスク層の開口部の幅は、10μmであった。
次に、テトラクロロ金(III)酸カリウム水溶液と弗化水素酸と弗化水素アンモニウムとグリシンとクエン酸とを混合してめっき液Bを調製した。めっき液Bは、テトラクロロ金(III)酸カリウム濃度が1mmol/Lであり、弗化水素濃度が0.25mol/Lであり、弗化アンモニウム濃度が4.75mol/Lであり、グリシン濃度が1g/Lであり、クエン酸濃度が10g/Lであった。
次に、めっき液Bに、構造物を室温で1分間浸漬させて、触媒層を形成した。図18に、触媒層とマスク層とを形成した構造物を走査電子顕微鏡で観察した結果を示す。
図18は、めっき液Bを使用して形成した触媒層の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図18に示すように、触媒層は、貴金属粒子の集合体からなることが確認できた。
次に、試験例1と同様に、エッチング剤を調製し、この構造物をエッチングした。図19に、エッチングした構造物を走査電子顕微鏡で観察した結果を示す。
図19は、エッチング後の構造の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図19に示すように、針状残留部が発生した。
<試験例4>
めっき液Bへの浸漬時間を3分間としたこと以外は、試験例3において説明したのと同様の方法により、構造物にマスク層と触媒層とを形成し、これをエッチングした。
図20は、めっき液Bを使用して形成した触媒層の構造の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図20に示すように、触媒層は、貴金属粒子の集合体からなることが確認できた。
図21は、エッチング後の構造の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。図21に示すように、エッチングは進行しなかった。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下に、原出願の当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
半導体からなる表面上に、
貴金属からなる触媒層であって、前記表面を少なくとも部分的に被覆している第1部分と、前記第1部分上に位置し、前記第1部分と比較して、見かけ上の密度がより小さく、より厚い第2部分とを含む触媒層を形成することと、
前記触媒層へエッチング剤を供給して、前記触媒層の触媒としての作用のもとで、前記表面をエッチングすることと
を含んだエッチング方法。
[2]
前記貴金属は、Au、Ag、Pt及びRhからなる群より選ばれる1以上の金属である項1に記載のエッチング方法。
[3]
前記半導体はSiを含む項1又は2に記載のエッチング方法。
[4]
前記エッチング剤はHを含む項1乃至3の何れか1項に記載のエッチング方法。
[5]
前記表面に幅が0.1μm乃至15μmの範囲内である開口部を含むマスク層を形成することを更に含み、前記開口部の位置でエッチングする項1乃至4の何れか1項に記載のエッチング方法。
[6]
前記第2部分は前記貴金属からなる樹枝状晶を含む項1乃至5の何れか1項に記載のエッチング方法。
[7]
半導体ウエハを項1乃至6の何れか1項に記載のエッチング方法によりエッチングして半導体チップへと個片化することを含み、前記表面は前記半導体ウエハの表面である半導体チップの製造方法。
[8]
項1乃至7の何れか1項に記載のエッチング方法により、前記表面をエッチングすることを含んだ物品の製造方法。
1…構造物、2…マスク層、3…貴金属粒子、4…第1部分、5…第2部分、6…触媒層、7…エッチング剤、8…針状残留部、9…半導体ウエハ、10…半導体素子領域、11…ダイシングシート、12…半導体チップ。

Claims (8)

  1. 半導体を含む表面上に、
    貴金属を含む触媒層であって、前記表面を少なくとも部分的に被覆し、不連続部を有している第1部分と、前記第1部分上に位置し、前記第1部分へのエッチング剤の供給を妨げず、エッチングの進行に応じた前記触媒層の移動に伴い、前記不連続部に対応した位置に残留する未エッチング部と接触する第2部分とを含む触媒層を形成することと、
    その後、前記触媒層へ前記エッチング剤を供給して、前記触媒層の触媒としての作用のもとで、前記表面をエッチングすることと
    を含んだエッチング方法。
  2. 前記貴金属は、Au、Ag、Pt及びRhからなる群より選ばれる1以上の金属である請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記半導体はSiを含む請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  4. 前記エッチング剤はHを含む請求項1乃至3の何れか1項に記載のエッチング方法。
  5. 前記表面に幅が0.1μm乃至15μmの範囲内である開口部を含むマスク層を形成することを更に含み、前記開口部の位置でエッチングする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエッチング方法。
  6. 前記第2部分は前記貴金属からなる樹枝状晶を含む請求項1乃至5の何れか1項に記載のエッチング方法。
  7. 半導体ウエハを請求項1乃至6の何れか1項に記載のエッチング方法によりエッチングして半導体チップへと個片化することを含み、前記表面は前記半導体ウエハの表面である半導体チップの製造方法。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載のエッチング方法により、前記表面をエッチングすることを含んだ物品の製造方法。
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