JP2018017623A - ダイナモメータシステム - Google Patents
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Abstract
Description
この上記特許文献1に記載されている従来例では、前後のローラの回転速度から電気慣性を生じさせる電気慣性駆動トルク成分すなわち駆動力を演算するとともに、走行抵抗やメカロスによる補償トルク成分すなわち駆動力を演算し、両者を加算して駆動力指令値としている。そして、算出した駆動力指令値を前後の回転駆動部に分配するが、その分配比率は予め設定しておくか、動的に得る必要がある。
さらに、上記従来例では、シャシーダイナモのようにある程度機械慣性があるシステムにのみ適用可能であり、4輪独立ミッションダイナモや4輪独立ブレーキダイナモのように、機械慣性のないダイナモシステムには対応することができない。
そこで、本発明は、上記従来例の課題に着目してなされたものであり、駆動力指令値を分配するのではなく、速度指令値を分配するようにして、各駆動軸の回転を制御することができるダイナモメータシステムを提供することを目的としている。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
ダイナモシステムの一例であるシャシーダイナモシステム10は、図1に示すように、4輪独立形式に構成されている。すなわち、シャシーダイナモシステム10は、車両11の前左右の車輪12FL及び12FRと、後左右の車輪12RL及び12RRを個別に載置する大きな慣性力を有する前左右ローラ13FL及び13FRと、後左右ローラ13RL及び13RRを備えている。
この電気慣性制御装置20は、駆動力演算部21FL,21FR,21RL及び21RRと、加算器22と、合計駆動力補正部23と、慣性モデル24と、速度分配部25と、速度制御部26とを備えている。
Fdyj=Fdj+Mdyj×dVdj/dt ・・・(1)
ここで、Mdyjはシャシーダイナモ機械慣性量、dVdj/dtはダイナモメータ15jの加速度である。
合計駆動力補正部23は、加算器22から合計駆動力Ftが入力されるとともに、負荷設定部23aから設定負荷Flが入力され、且つメカロス補償部23bからメカロス補償値Fmが入力されている。
そして、合計駆動力補正部23では、加算器22から入力される合計駆動力Ftに対して、設定負荷Flを加算し、メカロス補償値Fmを減算して合計駆動力補正値Ftaを算出し、算出した合計駆動力補正値Ftaを慣性モデル24に出力する。
そして、設定した分配比率をモデル速度Vmに乗算して各輪のダイナモメータ15FL〜15RRに対する速度指令値VFL *〜VRR *を算出し、算出した速度指令値VFL *〜VRR *を速度制御部26に出力する。
シャシーダイナモシステム10を使用して4WD車両の排ガス試験や燃費試験を行なうには、各ローラ13FL〜13RRの幅方向の略中心上に4WD車両の各車輪12FL〜12RRの中心が位置するように4WD車両11を載置する。この状態で4WD車両11が移動しないように図示しない固定手段で車体を固定する。
この電気慣性制御装置20では、駆動力演算部21FL〜21RRで、トルク計16FL〜16RRで検出した各車輪12FL〜12RRのトルク検出値FdFL〜FdFRと速度検出器18FL〜18RRから入力される回転速度検出値VdFL〜VdRRとから前述した(1)式にしたがって駆動力FdyFL〜FdyRRを算出する。
算出した合計駆動力補正値Ftaを慣性モデル24に供給して、モデル速度Vmを得、このモデル速度Vmを速度分配部25で各ダイナモメータ15FL〜15RRに分配する。このとき、各輪のタイヤ径が等しいとともに、前後配分比率も均等であるときには、モデル速度Vmをそのまま各輪のダイナモメータ15FL〜15RRに対する速度指令値VFL *〜VRR *として設定し、設定した速度指令値VFL *〜VRR *を速度制御部26に出力する。
このように、上記第1の実施形態によると、電気慣性制御装置20で、各ダイナモメータ15FL〜15RRの駆動力を加算した合計駆動力Ftを算出し、算出した合計駆動力Ftを走行抵抗やメカロス補償値で補正した合計駆動力補正値を慣性モデル24に供給してモデル速度速Vmを得るようにしている。そして、モデル速度Vmを速度分配部25で各ダイナモメータ15FL〜15RRに分配し、速度制御部で各ダイナモメータ15FL〜15RRを速度制御している。
さらに、車両がステアリングホイールを中立位置から操舵した場合の内外輪の車輪速差を分配比率設定部25aで設定することにより、コーナーや旋回状態を模擬する車輪速制御を行なうことができる。
この第2の実施形態では、本発明を4輪独立シャシーダイナモシステムに適用する場合に代えて4輪独立ミッションダイナモシステムに適用するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図5に示すように、フルタイム4WD車の動力系を供試体として試験する4輪独立ミッションダイナモシステム30を構成している。
このため、4輪独立ミッションダイナモシステム30では、図5に示すように、前輪側デフ33の左右の駆動軸35FL及び35FRに夫々トルク計36FL及び36FRを介してダイナモメータとしての吸収モータ37FL及び37FRが連結されている。
そして、各吸収モータ37FL〜37RRが前述した第1の実施形態と同様の構成を有する電気慣性制御装置20によって速度制御される。すなわち、電気慣性制御装置20では、トルク計36FL〜35RRで検出したトルク検出値と速度検出器38FL〜38RRで検出した回転速度とに基づいて駆動力演算部21FL〜21RRで各駆動軸35FL〜35RRの駆動力を算出する。算出した各駆動軸35FL〜35RRの駆動力の合計駆動力に対して合計駆動力補正部23で、走行抵抗やメカロス補償値で補正し、その合計駆動力補正値に基づいて慣性モデル24でモデル速度Vmを算出する。そして、速度分配部25でモデル速度Vmを分配して速度指令値VFL *〜VRR *を算出し、算出した速度指令値速度指令値VFL *〜VRR *を速度制御部26の速度制御回路26FL〜26RRに出力して吸収モータ37FL〜37RRを速度制御する。
次に、本発明の第3の実施形態について図6を伴って説明する。
すなわち、第3の実施形態では、図6に示すように、4WD車の車輪を制動するブレーキを供試体として試験する4輪独立ブレーキダイナモシステム40を構成している。
各車輪に連結された車軸41FL〜41RRにブレーキユニット42FL〜42RRが装着されている。このブレーキユニット42FL〜42RRの夫々は例えば車軸41FL〜41RRに連結されたブレーキロータ43とこのブレーキロータ43を挟み込むブレーキキャリパー44とで構成されている。
ここで、FBdjはトルク計44jで検出したトルク検出値、Mbyはブレーキ慣性、dVBdj/dtは速度検出器46jで検出した回転速度VBdjの微分値である減速度である。
この第3の実施形態でも、各車輪に連結された車軸41FL〜41RRに夫々連結した駆動モータ45FL〜45RRを、電気慣性制御装置20によって、合計制動力からモデル速度を算出し、このモデル速度を速度分配して速度制御している。このため、前述した第1の実施形態において、ダイナモメータを駆動モータに置換しただけであるので、ブレーキダイナモメータにおいて前述した第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
Claims (10)
- 複数の駆動軸の駆動力を個別に演算定する駆動力演算部と、
各駆動力演算部で演算した各駆動力を加算した合計駆動力を演算する加算器と、
前記合計駆動力を入力としてモデル速度を演算する慣性モデルと、
前記モデル速度を前記各駆動軸に分配する速度分配部と、
該速度分配部の各出力を速度指令として各駆動軸の速度制御を個別に行う速度制御部とを備えていることを特徴とするダイナモメータシステム。 - 走行抵抗を含む負荷を設定する負荷設定部と、前記加算器で算出した合計駆動力を補正する駆動力補正部とをさらに備え、
前記駆動力補正部は、前記合計駆動力に前記負荷設定部で設定される負荷を加算した合計駆動力補正値を前記慣性モデルに入力することを特徴とする請求項1に記載のダイナモメータシステム。 - 前記各駆動軸の機械的な損失に対する補償値を設定する補償値設定部と、前記加算器で算出した合計駆動力を補正する駆動力補正部とをさらに備え、
前記駆動力補正部は、前記合計駆動力から前記補償値設定部で演算される補償値を減算した合計駆動力補正値を前記慣性モデルに入力することを特徴とする請求項1又は2に記載のダイナモメータシステム。 - 前記速度分配部は、タイヤ径設定部で設定された各車輪のタイヤ径に基づいて前記速度指令を演算することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイナモメータシステム。
- 前記速度分配部は、分配比率設定部で設定された操舵状態に基づいて前記速度指令を演算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイナモメータシステム。
- 複数の車軸の制動力を個別に演算する制動力演算部と、
各制動力演算部で演算した各制動力を加算した合計制動力を演算する加算器と、
前記合計制動力を入力としてモデル速度を演算する慣性モデルと、
前記モデル速度を前記各車軸に分配する速度分配部と、
該速度分配部の各出力を速度指令として各駆動軸の速度制御を個別に行う速度制御部とを備えていることを特徴とするダイナモメータシステム。 - 走行抵抗を含む負荷を設定する負荷設定部と、前記加算器で算出した合計駆動力を補正する制動力補正部とをさらに備え、
前記制動力補正部は、前記合計制動力に前記負荷設定部で設定される負荷を加算した合計制動力補正値を前記慣性モデルに入力することを特徴とする請求項6に記載のダイナモメータシステム。 - 前記各駆動軸の機械的な損失に対する補償値を設定する補償値設定部と、前記加算器で算出した合計駆動力を補正する制動力補正部とをさらに備え、
前記制動力補正部は、前記合計制動力から前記補償値設定部で演算される補償値を減算した合計制動力補正値を前記慣性モデルに入力することを特徴とする請求項6又は7に記載のダイナモメータシステム。 - 前記速度分配部は、タイヤ径設定部で設定された各車輪のタイヤ径に基づいて前記速度指令を演算することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のダイナモメータシステム。
- 前記速度分配部は、分配比率設定部で設定された操舵状態に基づいて前記速度指令を演算することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のダイナモメータシステム。
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