JP2018017569A - 放電発生箇所検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】受信アンテナを既知の位置に変更可能な構造とする。【解決手段】放電発生箇所検出装置において、基台2に基準アンテナ3を配置し、段階的に伸縮可能な棒状の部材(第1伸縮ポール12,第2伸縮ポール22,第3伸縮ポール32)とその部材の一端に配置された受信アンテナ(第1受信アンテナ11,第2受信アンテナ21,第3受信アンテナ31)とから構成される複数の受信部(第1受信部10,第2受信部20,第3受信部30)と、基台2に、基準アンテナ3の位置から所定の距離で配置された基点に、前記棒状の部材の他端が揺動自在に連結され、前記受信アンテナの向きを変化させることが可能な接続部(第1接続部13,第2接続部23,第3接続部33)から成るアンテナユニット1を有する【選択図】図4

Description

本発明は、静電気等により放電が発生する発生源を検出する放電発生箇所検出装置に関する。詳しくは、被測定対象物から放電される電磁波を受信アンテナによって、放電発生源を検出する放電発生箇所検出装置に関する。
製造現場等では、静電気が放電する現象が発生することが良くある。静電気が放電すると、それに伴って電磁波が発生し周囲の空間を伝播する。特に、精密測定機器等を取り扱う現場では、静電気放電による電磁波のノイズは、精密測定機器等の誤動作を起こし、間接的には製造される製品の品質にも影響する。また、合成樹脂製等の包装フィルムの製造現場での静電気による放電は、不良品となるピンホールを発生することもあるので、このための監視も必要である。静電気放電による電磁波は、アンテナで受信することができる。静電気放電の発生箇所とアンテナの位置関係から、アンテナで受信した受信信号の強度、位相等が異なる。特に、2本以上のアンテナがあると、静電気放電の発生箇所から各アンテナに到達する電磁波が時間差と位相差が生じる。
この時間差とアンテナの設置位置の関係から、放電の可能性がある位置を双曲線法により計算して求めることができる。このようにアンテナで受信した受信信号を、信号処理することで、静電気放電の発生箇所を特定することができる。従来、静電気放電に伴う電磁波を受信して、その発生箇所を特定する技術が多数提案されている。例えば、特許文献1には、静電気放電発生箇所の検出装置が開示されている。この検出装置によると、静電気放電に伴い発生する電磁波を複数の受信アンテナで受信する。この全ての受信アンテナで受信した電磁波の電圧レベルの時間的変化を、計測器で同じ時間軸でデジタルデータとして記録する。この記録したデジタルデータを利用し双曲線法を用いて、検出基準点に対する静電気放電の発生箇所の位置情報を算出することで、静電気放電発生箇所を特定している。
双曲線法とは、受信アンテナ全てに対して、異なる2本のアンテナの組み合わせによる双曲線を求め、各双曲線の交差点から、静電気放電の発生箇所の位置情報を算出するものである。発生箇所の位置情報を算出するとき、演算装置は、検出基準点に対する静電気放電の発生箇所の位置情報(角度(方位、仰角)、直線距離、X・Y・Z座標)等を算出する。検出基準点に設置した可視レーザー距離計等で、各アンテナまでの距離を計測し、その結果を、演算装置に予め入力している。また、特許文献2には静電気放電発生箇所を可視化する装置を開示しており、特許文献1に記載された発明と同一原理を利用して可視化している。
この可視化装置では、静電気放電発生箇所をビデオカメラで撮影し、撮影された映像の中に静電気発生箇所を強調するマーキング表示している。この可視化装置は、複数のアンテナを支持体に固定したものであり、静電気放電発生箇所を特定するとき、各アンテナで検知した信号を信号処理して、同じく双曲線法を利用している。更に、3本以上の受信アンテナを利用して、双曲線法による解析手法を用いて、配電線の部分放電の発生位置を探査する探査装置が開示されている(特許文献3参照。)この探査装置は、車に積載され移動しながら2箇所以上で測定を行う。この探査装置は、GPS装置も備えており、最終的に、配電線路が記録された地図上に、各測定点から部分放電発生源方向へ直線を延ばして表示装置上に表示している。
特許文献2で使用される静電気放電発生箇所の可視化装置は、複数の受信アンテナを座標軸X、Y、Zが互いに直交して右手系をなす座標系である三脚のアームに設置したものである。この三脚のアームを既知の位置に設置するために取り付け作業をしなければならず不便である。何より、三脚を利用するため、広い空間、場所を必要とする。放電発生箇所の検出に利用する受信アンテナは、各々の受信アンテナを既知の位置に配置し、更に、折り畳み構造、又は、収納しやすくコンパクトかつ使い勝手の良い構造が求められている。本発明の出願人は、静電気放電発生箇所を可視化する装置として、検出装置の筐体から受信アンテナを有するアームが着脱可能、アームが伸縮可能、アームが検出装置の筐体内に折り畳むことで収納可能、更に、筐体自体が移動可能な構造を提案した(特許文献4)。
特開2010−43992号公報 特開2010−236918号公報 特開2001−33510号公報 特願2016−67955号
しかしながら、特許文献4に開示されている静電気放電発生箇所を可視化する装置の構造は、測定作業を行う上で各々の受信アンテナを配置する際、受信アンテナを有している各々のアームを筐体から張り出すが、張り出すアームの方向は検出装置の設計時に決められている。そのため、測定現場の環境によっては、測定したい対象物が近くにある場合、その対象物と受信アンテナやアームが干渉してしまう恐れがある。例えば、受信アンテナを3次元の直行座標上(X、Y、Z)に配置するように設計された折りたたみ式放電発生箇所検出装置は、測定現場の設置箇所に制限がある場合がある。例えば、測定現場の隅(角)スペースが確保できず設置できないが、壁沿いには設置できる場合である。提案したこれらの構造は、座標軸X、Y両方のアンテナ、又はどちらか一方のアンテナが突出する可能性があるため、測定したい対象物が近くにある場合に干渉してしまう。更に、突出したアームが測定現場の作業者にとっても弊害になる恐れがある。
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、その目的とするところは、各々の受信アンテナを任意の位置に配置できると共に、測定現場に応じて各々の受信アンテナの向き(角度)を容易に変更可能で、使い易い放電発生箇所検出装置の構造を提供することにある。
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
手段1に係る放電発生箇所検出装置は、
被検出対象物から放電される電磁波を、複数の受信アンテナを介して受信し、前記電磁波の放電箇所を検出するための放電発生箇所検出装置において、
前記放電発生箇所検出装置の本体を成す基台(例えば、基台2)、
前記基台に配置された基準アンテナ(例えば、基準アンテナ3)、
前記基台に、棒状の部材(例えば、第1伸縮ポール12、第2伸縮ポール22、第3伸縮ポール32)と前記棒状の部材の一端に配置された受信アンテナ(例えば、第1受信アンテナ11、第2受信アンテナ21、第3受信アンテナ31)とから成る複数の受信部(例えば、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30)、及び
前記基台に、前記基準アンテナの位置から所定の距離で配置された基点に、前記棒状の部材の他端が揺動自在に連結され、前記受信アンテナの向きを変化させることが可能な接続部(例えば、図6や図8に記載の部材で構成される、第1接続部13、第3接続部23、第3接続部33)
から成るアンテナユニットと
を有する。
手段2に係る放電発生箇所検出装置は、
手段1の放電発生箇所検出装置であって、
前記接続部は、前記基台の上面と垂直及び平行な2つの軸線の回りで揺動する(例えば、図8に記載の部材で構成される、第1接続部13、第3接続部23、第3接続部33)
ことを特徴とする。
手段3に係る放電発生箇所検出装置は、
手段1又は2の放電発生箇所検出装置であって、
前記棒状の部材は、それぞれ受信アンテナの位置を変更するための当該受信部の長さを段階的に変更可能な伸縮機構を有することを特徴とする。
手段4に係る放電発生箇所検出装置は、
手段3の放電発生箇所検出装置であって、
前記基台は、多角形であり、前記受信部を、前記接続部を基点として所定の角度に位置決めするために前記多角形の角部(例えば、第1角部5、第2角部6、第3角部7、第4角部8、第5角部9)を基準とすることを特徴とする。
手段5に係る放電発生箇所検出装置は、
手段3の放電発生箇所検出装置であって、
前記基台は、前記複数の受信部の向きを角度で視認可能な角度表示部(例えば、角度計付き基台70)を有することを特徴とする。
手段6に係る放電発生箇所検出装置は、
手段4の放電発生箇所検出装置であって、
前記複数の受信部は、前記基台の上面に対して垂直に設置、又は、前記複数の角部のいずれかにそれぞれ設置され、
前記複数の受信部の設置状況を選択する設置状況選択手段を有し、
前記設置状況選択手段の前記選択に基づいて、前記複数の受信アンテナの位置を演算する演算手段を有することを特徴とする。
手段7に係る放電発生箇所検出装置は、
手段5の放電発生箇所検出装置であって、
前記複数の受信部は、前記基台の上面に対して垂直に設置、又は、前記角部表示部に基づき、角度が把握可能な位置のいずれかにそれぞれ設置され、
前記複数の受信部の設置状況を選択する設置状況選択手段を有し、
前記設置状況選択手段の前記選択に基づいて、前記複数の受信アンテナの位置を演算する演算手段を有することを特徴とする。
手段8に係る放電発生箇所検出装置は、
手段1〜7から選択されるいずれかの放電発生箇所検出装置であって、
前記放電箇所を検出不能である場合に所定の報知を行う報知手段を有することを特徴とする。
手段9に係る放電発生箇所検出装置は、
手段1〜8から選択されるいずれかの放電発生箇所検出装置であって、
前記複数の受信部は、前記複数の受信アンテナの角度を変更可能とするための回転機構(例えば、図7に記載の部材)を有することを特徴とする。
手段10に係る放電発生箇所検出装置は、
手段1〜9から選択されるいずれかの放電発生箇所検出装置であって、
前記放電箇所を特定して画像に表示し可視化するための画像表示装置を更に備えることを特徴とする放電発生箇所検出装置。
本発明によると、次の効果が奏される。本発明は、測定の際、受信アンテナを任意の位置に配置及び変更可能となったため、測定したい対象物が放電発生箇所検出装置と近い場合、受信アンテナの位置を変更することで、対象物と受信アンテナが干渉することなく測定が可能になった。更に、測定現場等でアンテナの突出を避けることができるため、歩行中の作業者がアンテナにつまずく等のヒヤリハット対策にも効果があり、安全性が向上した。又、各々のアンテナとの位置関係を、巻き尺やレーザー計、角度計を用いずに把握できるため、効率的に作業が実施でき、更に、再測定が発生した場合に適当な設置環境を再現することが可能になった。
図1は、本発明の放電発生箇所検出装置の放電発生箇所検出ユニット1の第1実施形態の説明図である。 図2は、本発明の放電発生箇所検出装置の実施の形態1であり、図1の設置から、受信部の位置を所定の角度θの位置に変更した状態の説明図である。 図3は、第1実施形態及び第2実施形態の基台2の上面図である。 図4は、図1に示した実施の形態1であり、各受信部を伸ばした時の説明図である。 図5は、図2に示した実施の形態1であり、各受信部を伸ばした時の説明図である。 図6は、接続部の回転構造を示す説明図である。 図7は、先端取り付け部の回転構造を示す説明図である。 図8は、回転する2軸の交わる角度をある範囲内で自由に変えられる自在継手の説明図である。 図9は、本発明の放電発生箇所検出装置の放電箇所検出ユニット1の実施の形態2の説明図である。 図10は、本発明の放電発生箇所検出装置の実施の形態3の基台70の上面図である。 図11は、球面の交点を求める事によって放電発生箇所を検出する方法の説明図である。
以下、本発明の放電発生箇所検出装置を図面に基づいて説明する。前提として、本例は3次元の構造とし、各軸はX軸、Y軸、Z軸として説明する。また、実施の形態では、計算をし易くするために括弧書きで具体的な距離や角度を設定するが、数値は限定されない。放電発生箇所検出装置は、任意の箇所で発生した静電気放電による電磁波を、既知の位置に配置してある各々の受信アンテナで受信し、各々の受信アンテナに到達する電磁波の到達時間をもって、静電気放電の発生箇所を特定するものである。つまり、各々の受信アンテナの位置は、既知でなければならない。
[実施の形態1]
図1及び図2は、本発明に係る放電発生箇所検出装置の放電発生箇所検出ユニット1の第1実施形態の説明図である。放電発生箇所検出ユニット1は、各々の受信アンテナで電磁波を受信する役割であると共に、複数の既知の位置に各々の受信アンテナを配置可能な役割を果たす。
放電発生箇所検出アンテナユニット1の第1実施形態について、図1〜7を用いて説明する。放電発生箇所検出ユニット1は、薄板の形状で形成された放電発生箇所検出アンテナユニット1の本体を成す多角形(本実施形態は5角形)の基台2と、基台2の上面に対して垂直に設置される基準アンテナ3と、基台2に支持される3つの受信部と、からなる。各々の受信部は、棒状の部材とその棒状の部材の一端に配置された受信アンテナから成り、棒状の部材の他端は、基台2の所定の位置に配置された接続部によって接続される。接続部の接続方法については後述するが、各々の接続部は、受信アンテナの向きを容易に変更可能な構造となっている。
本実施形態では、この基台2の上面を基準面とし、直交座標系を定義する。互いに直交するX軸とY軸とが基準面に対して平行に定められ、Z軸が基準面に対して直交する方向に定められることで、三次元直交座標系が形成されている。3つの受信部のうち、基台2の上面に対して垂直方向となるZ軸の方向に、所定の長さLの第1受信部10が取り付けられ、基台2の上面のX軸方向に、所定の長さLの第2受信部20が取り付けられ、基台2の上面のY軸方向に、所定の長さLの第3受信部30が取り付けられている。第1受信部10は、放電発生箇所検出アンテナユニット1及び基台2の原点を成す位置に配置された第1接続部13により支持され、第2受信部20は、第1接続部13からY軸方向に所定の距離の位置に配置された第2接続部23により支持され、第3受信部30は、原点の位置からX軸方向に所定の距離の位置に配置された第3接続部33により支持される。基準アンテナ3は、原点の位置から所定の距離に配置された基準アンテナ接続部4により支持される。
従って、図1の放電発生箇所検出アンテナユニット1では、基準アンテナ3と、第1受信部10の一端に取り付けられた第1受信アンテナ11と、第2受信部20の一端に取り付けられた第2受信アンテナ21と、第3受信部30の一端に取り付けられた第3受信アンテナ31との位置関係が分かる構造となっている。つまり、この構造では、X軸、Y軸、Z軸上のそれぞれの位置に各々の受信部が配置されているため、各々の受信アンテナの位置を把握することができる。
しかし、図2に示すように、第2受信部20と第3受信部30とが、X軸、Y軸の位置に配置されていない場合には、各々の受信アンテナの位置関係が分からない。図2は、図1と異なり、第2受信部20と第3受信部30とが、基台2の上面で所定の角度θで回転させている。そこで、各々の受信アンテナの位置関係が容易に分かるように放電発生箇所検出アンテナユニット1の基台2は、図3のように形成する。尚、基台2の説明では、計算を容易にするためθ=45[deg]とする。
図3は基台2の上面図である。基台2は放電発生箇所検出アンテナユニット1の本体を成し、本実施形態では5角形で形成されている。本実施形態では、アルミ等の軽量材や軽量型鋼等で形成されるが、その材質は限定されない。基台2の上面には、上述した接続部が複数設けられている。第1接続部13は、直交座標系の原点位置に定められた箇所に配置されている。第2接続部23は、原点位置からX軸上に、所定の距離間隔Mを隔てて配置されている。そして、第3接続部33は、Y軸上に、所定の距離間隔Mを隔てて配置されている。つまり、第1接続部13と第2接続部23と第3接続部33との位置関係は、第1接続部13の位置を頂点とした場合に、当該第1接続部13を頂角とする直角二等辺三角形となるように構成されている。基準アンテナ接続部4は、基台2の上面の、第2接続部23と第3接続部33との中央位置に配置されている。従って、各々の接続部の位置は、原点からの位置が容易に把握可能な構造となっている。尚、基準アンテナ接続部4が原点の位置でも良い。つまり、第1接続部13と第2接続部23と第3接続部33との位置関係が把握できれば良い。
基台2には、各々の受信アンテナの位置関係が容易に分かるように配置するために、5つの角部が設けられている(図3参照)。それぞれの角部を、第1角部5、第2角部6、第3角部7、第4角部8、第5角部9とする。第1角部5は、X軸上に設けられると共に第2接続部23から所定の距離Lの位置に形成される。つまり第1角部5は、X軸上に位置すると共に、原点からM+Lの位置に形成される。従って、第1角部5の座標位置(X,Y,Z)は(M+L,0,0)となる。第2角部6は、Y軸上に設けられると共に、第3接続部33から所定の距離Lの位置に形成される。つまり第2角部6は、Y軸上に位置すると共に、原点からM+Lの位置に形成される。従って、第2角部6の座標位置(X,Y,Z)は、(0,M+L,0)となる。
第3角部7は、第2接続部23と第3接続部33との直線上に設けられると共に第2接続部23から所定の距離Lの位置に形成される。つまり第3角部7は、第2接続部23を中心とし、第1角部5から時計回りの方向にθ[deg]回転させた位置に形成される。従って、第3角部7の座標位置(X,Y,Z)は(M+L×cosθ,−L×sinθ,0)となる。第4角部8は、第2接続部23と第3接続部33との直線上に設けられると共に、第3接続部33から所定の距離Lの位置に形成される。つまり第4角部8は、第3接続部33を中心とし、第2角部6から反時計回りの方向にθ[deg]回転させた位置に形成される。従って、第4角部8の座標位置(X,Y,Z)は(−L×sinθ,M+L×cosθ,0)の位置に形成される。
第5角部9は、基準アンテナ接続部4の位置と原点との直線上に設けられる共に原点から所定の距離Lの位置に形成される。つまり第5角部9の座標位置(X,Y,Z)は、(L×cos(135[deg],−L×sin135[deg],0)の位置に形成される。従って、各々の角部は、原点から既知の位置に形成されるため、図1のように、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30を配置した場合は、第1受信アンテナ11の座標位置(X,Y,Z)は、(0,0,L)、第2受信アンテナ21の座標位置(X,Y,Z)は、(M+L,0,0)、第3受信アンテナ31の座標位置(X,Y,Z)は、(0,M+L,0)となり、図2のように、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30を配置した場合は、第1受信アンテナ11の座標位置(X,Y,Z)は、(0,0,L)、第2受信アンテナ21の座標位置(X,Y,Z)は、(M+L×cosθ,−L×sinθ,0)、第3受信アンテナ31の座標位置(X,Y,Z)は、(−L×sinθ,M+L×cosθ,0)となり、既知の位置に容易に配置できる。
尚、各々の受信アンテナの離間距離が長いほど放電箇所の検出に際して正確性が増すため、第1実施形態では、図4、図5のように、第1受信部10では、所定の距離2Lまで進退自在な第1伸縮部15を有する第1伸縮ポール12が使用され、同様に、第2受信部20では、所定の距離2Lまで進退自在な第2伸縮部25を有する第2伸縮ポール22が使用され、同様に、第3受信部30では、所定の距離2Lまで進退自在な第3伸縮部35を有する第3伸縮ポール32が使用される。つまり、各々の伸縮部が基台2に設けられている各々の角部に対応した設置とすれば、既知の位置に容易に配置できる。
従って、図4のように、第1受信部10、第2受信部20、及び第3受信部30を配置した場合は、第1受信アンテナ11の座標位置(X,Y,Z)は、(0,0,2L)、第2受信アンテナ21の座標位置(X,Y,Z)は、(M+2L,0,0)、第3受信アンテナ31の座標位置(X,Y,Z)は、(0,M+L,0)となり、図5のように、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30を配置した場合は、第1受信アンテナ11の座標位置(X,Y,Z)は、(0,0,2L)、第2受信アンテナ21の座標位置(X,Y,Z)は、(M+2L×cosθ,−2L×sinθ,0)、第3受信アンテナ31の座標位置(X,Y,Z)は、(−2L×sinθ,M+2L×cosθ,0)となり、既知の位置に容易に配置できる。
第1実施形態では、それぞれの伸縮ポールが棒状で形成されるが、形や材質は限定されない。更に、第1実施形態では、計算を容易とするために、伸縮前をLとし、伸びた状態を2Lとしているが、各々の接続部からの長さが把握できれば良く、多段階に伸縮できる構造としても良い。つまり伸縮部は、任意の数のロッドを多段に接続したものでも良い。
さて、基準アンテナ3と第1受信部10に関しては、基台2の上面に対して垂直に取り付けられている。つまり、図示しないが、基準アンテナ接続部4と基準アンテナ3、及び、第1接続部13と第1受信部10の第1伸縮ポール12の取り付け方法としては、ボルトで固定、又は、粘着剤で取り付けたとしても第1形態に弊害はない。しかし、第2受信部20や第3受信部30は、各々の接続部で容易に固定できると共に、各々の角部に対して各々の受信アンテナを配置するために、角度θ[deg]を容易に変更可能な構造が求められる。
以下、第1実施形態の上記棒状部材を基台2に取り付ける連結構造の例を具体的に説明する。第2受信部20及び第3受信部30の角度θ[deg]を容易に変更可能にするために、第2接続部23及び第3接続部図33は、図6(a)、図6(b)のような構造とする。図6(a)は、第2接続部23の側面図であり、図6(b)は第2接続部23の上面図である。板金や樹脂等でL字型に形成されたL字部材51が、基台2の接続部に対してL字部材51を締め付け固定するための基台用ボルト52によって取り付けられる。又、L字部材51と第2伸縮ポール22を固定するためにポール用ボルト53によって取り付けられる。図6(b)のように、基台用ボルト52を基点とし、第2伸縮ポール22を所定の位置に固定、つまりそれぞれの受信アンテナや、伸縮部の位置が対応する角部に固定することによって、既知の角度θ[deg]の位置に容易に変更できる。
さて、第1受信部10に関しては、基台2の上面に対して垂直に取り付けられている。つまり、図示しないが、第1受信アンテナ11と第1伸縮ポール12を固定するための先端取り付け部14に関しては、ボルト等や粘着剤で固定しても良い。しかし、第2受信アンテナ21を取り付けるための第2先端取り付け部24や、第3受信アンテナ31を取り付けるための第3先端取り付け部34は、測定以外の時は、作業者の安全等を考慮すると、受信アンテナを垂直に設置しないことが望ましい。
第2受信アンテナ21及び第3受信アンテナ31の角度を容易に変更するために、第2先端取り付け部24及び第3先端取り付け部34は、図7のような構造とする。図7は、第2取り付け部24の側面図である。第2伸縮ポール22の先端に支持部55が取り付けられ、受信アンテナ21をZ軸に回転可能とするために、支持部55と回転部材57とが回転軸を成す回転軸ボルト56によって取り付けられる。図示しないが、回転軸ボルト56の受け側にはナットが設けられており、回転部材57が回転軸ボルト56を軸として固定できる構造となっている。回転部材57には第2受信アンテナ21を固定させる取り付け部材58が設けられており、締め付け部材59を締め付けることにより第2受信アンテナ21を固定できる。つまり、第2受信アンテナ21は自由に脱着可能な構造となっており、計測中でないときは取り外して良い。尚、第3先端取り付け部34も同様な構造となっている。尚、第1先端取り付け部14に関しても同様な構造としても良い。
第1実施形態では、既知の位置に各々の受信アンテナを配置可能であると共に、測定現場の作業者が測定する際に各々の部材(接続部や先端取り付け部)を取り付けることが可能な構造となっている。従って、測定の際、受信アンテナを複数の既知の位置に配置及び容易に変更可能となったため、測定したい対象物が放電発生箇所検出アンテナユニット1と近い場合、受信アンテナの位置を変更することで、対象物と受信アンテナが干渉することなく測定が可能になった。更に、測定現場等でアンテナの突出を避けることができるため、歩行中の作業者がアンテナにつまずく等のヒヤリハット対策にも効果があり、安全性が向上した。
しかし、第1実施形態で使用される、第2接続部23と第3接続部33とで用いられている回転構造は、測定現場に応じて角度を変更することが可能だが、測定現場の作業者が基台用ボルト52を取り付け、又は、取り外しをしなければならないため手間がかかる。従って、基台2に取り付けた状態で容易に角度を変化させることが可能な構造が望ましい。また、第1実施形態では、第1受信部10が基台2に固定され、第1接続部13に特別な特徴を有していないが、計測中以外は、基台2の上面に倒しておくことが安全上望ましい。更に、収納にも便利である。
[実施の形態2]
図8は、回転する2軸の交わる角度をある範囲内で自由に変えられる自在継手の一例である。図8で示す自在継手は、第1軸線と第2軸線の交点を中心とし、第1軸線の役割を果たす第1軸部62を有する第1揺動部61が、第2軸線を軸として、固定部60の上面を回転し、また、第1伸縮ポールを有する第2揺動部63は、第1軸部62を軸として揺動する構造となっている。実際は、固定部60を基台2に取り付けられるため、基台2の上面の各々の角部に第1伸縮ポール12を倒し、又は基台2の上面に対して垂直に設置することが可能となる。尚、図8で示す自在継手は回転する2軸の交わる角度を自由に変えられる構造の一つであるが、基準点を中心として揺動可能な構造であれば良く、例えば、ボールジョイントのような球継手でも良い。尚、図8では、第1接続部13を例に説明したが、第2接続部23や第3接続部33も同様に、自由に揺動できる構造が望ましい。自在継手を使用することで、測定現場の作業者は、ボルトを取り付ける、又は、取り外す等をしなくても良いため、効率的な作業が実施できる。
図9は、第2実施形態の説明図である。第1実施形態の図5と異なり、第1受信部10の第1伸縮部15が第5角部9の位置に配置されている。つまり、図9のように、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30を配置した場合は、第1受信アンテナ11の座標位置(X,Y,Z)は、(2L×cos(135[deg]),−2L×sin(135[deg]),0)、第2受信アンテナ21の座標位置(X,Y,Z)は、(M+2L×cosθ,−2L×sinθ,0)、第3受信アンテナ31の座標位置(X,Y,Z)は、(−2L×sinθ,M+2L×cosθ,0)となる。つまり、各々の受信アンテナが基台2の上面に対して同一平面上に配置されている。
第2実施形態は、第1接続部13で図8のような自在継手を使用することで配置可能となる。第2実施形態の構造の効果を説明する。例えば、第1実施形態の図4のような配置は、3次元の直交座標系のX軸、Y軸、Z軸上に設けられているため、近くに測定対象物が存在する場合、各々の受信アンテナが干渉してしまう可能性がある。第1実施形態の図5のような配置は、第2受信部20と第3受信部30が同軸に設置されているため、近くに測定対象物が存在する場合には、各々の受信アンテナとの干渉は避けられるが、放電発生箇所検出アンテナユニット1自体が地面に設置できない場合は、対処できない。例えば、壁側面や天井に取り付ける方法も存在するが、測定現場によっては、常に天井に取り付けられる環境ではない。壁側面に設置した場合は、図4、図5双方とも、放電発生箇所検出アンテナユニット1のZ軸上にある第1受信アンテナ11が突出してしまうため、近くに測定対象部が存在する場合に対処できない。更に、作業場の安全性にも問題がある。
つまり、第2実施形態のアンテナユニット1は、各受信アンテナが基台2の上面に対して同一平面上に配置されているため、放電発生箇所検出アンテナユニット1を壁側面に設置した場合、各受信アンテナが突出することがないため、放電発生箇所検出アンテナユニット1を地面に設置できない場合に特に有効である。従って、各々の接続部に図8のような自在継手を使用することで、測定現場に応じて、第1実施形態の図4、図5や、第2実施形態の図9のように、容易に変形させることができる。
[実施の形態3]
図10は、第3実施形態の角度計付き基台70である。第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第1接続部13は、直交座標系の原点位置に定められた箇所に配置されている。第2接続部23は、原点位置からX軸上に、所定の距離間隔Mを隔てて配置されている。そして第3接続部33は、Y軸上に、所定の距離間隔Mを隔てて配置されている。
前述した実施の形態1の基台2と異なる所は、各々の受信部の角度を決定するために設けられていた各々の角部が存在しないことと、各々の受信部の角度を把握できる角度目盛を印字したことである。各々の角度目盛は、22.5[deg]間隔で目盛が印字されている。第1接続部13に印字された角度目盛は、原点及び第1接続部13を円の中心とし、第2接続部23を0[deg]とすると、反時計回りの方向に135[deg]の位置を円弧の中心点とし、円弧の中心点から±90[deg]把握可能な半円型の角度目盛となっている。第2接続部23に印字された角度目盛は、第2接続部23を円の中心とし、X軸と平行に円の直径を描き、Y軸との交点を円弧の中心点とし、円弧の中心点から±90[deg]把握可能な半円型の角度目盛となっている。第3接続部33に印字された角度目盛は、第3接続部33を円の中心とし、Y軸と平行に半円の直径を描き、X軸との交点を円弧の中心とし、円弧の中心点から±90[deg]把握可能な半円型の角度目盛となっている。
第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態双方とも網羅できる構造となっている。例えば、第1実施形態の図4のように各々の受信部を配置する場合は、第1受信部10は、第1接続部13から角度計付き基台70の上面に対して垂直に設置し、第2受信部20は、第2接続部23を中心として、第2接続部23の角度目盛の円弧の中心位置に印字してある目盛に受信部を設置し、第3受信部30は、第3接続部33を中心として、第3接続部33の角度目盛の円弧の中心位置に印字してある目盛に受信部を設置する。
第1実施形態の図5のように各々の受信部を配置する場合は、第1受信部10は、第1接続部13から角度計付き基台70の上面に対して垂直に設置し、第2受信部20は、第2接続部23を中心として、第2接続部23の角度目盛の円弧の中心位置に印字してある目盛から45[deg]位置に印字されている目盛に受信部を設置し、第3受信部30は、第3接続部33を中心として、第3接続部33の角度目盛の円弧の中心位置に印字してある目盛から45[deg]位置に印字されている目盛に受信部を設置する。第2実施形態の図9のように各々の受信部を配置する場合は、そのうち、第1受信部10を、第1接続部13を中心として、第2接続部23の角度目盛の円弧の中心位置に印字してある目盛に受信部を設置すれば良い。
第3実施形態のような、角度計付き基台70を使用することで、各々の受信アンテナを既知の角度に配置することができる。細かく角度目盛を印字した理由だが、本来、放電箇所を検出する際、各々の受信アンテナの離間距離が離れているほど精度が良いため、第1実施形態の図4のような構造が望ましい。しかし、測定現場の環境によっては、図4のように配置できないことがあるため、第2受信部20、又は、第3受信部30の角度を僅かに変更したい場合がある。その際に、向き及び角度を把握できれば、既知の位置に受信部を配置することができる。尚、図10は、22.5[deg]間隔に角度目盛が印字してあるが、更に細かく印字してもよく、具体的な角度を示す数値を印字してもよい。
特許文献1、2の放電発生箇所検出装置は、発生箇所の位置情報を算出する制御装置が備えられており、また、特許文献2には、放電箇所を可視化する装置が備えられている。本発明も、同様に制御装置と可視化装置を備える。制御装置は、検出基準点に対する放電箇所の位置情報(角度(方位、仰角)、直線距離、X・Y・Z座標)等を算出する。そのために、検出基準点に設置した可視レーザー距離計で、各アンテナまでの距離を計測し、その結果を、演算部に入力しているが、本発明は設置時に、各アンテナまでの距離を把握することができる。
つまり、本発明の第1実施形態及び第2実施形態の場合は、第1接続部13の位置を原点としており、第1接続部13から第2接続部23までの距離、及び第1接続部13から第3接続部33までの距離が『所定間隔M』として決まっており、第1接続部13から基準アンテナ3までもの距離も決まっている。更に、第1受信部10、第2受信部20、第3受信部30の長さは、『第1伸縮ポール12の長さn1×L』、『第2伸縮ポール22の長さn2×L』、『第3伸縮ポール32の長さn3×L』とし、n1〜n3を伸縮ポールの段階(例えば、図1の示す伸縮ポールの段階はn1=1,n2=1,n3=1とし、図3の示す伸縮ポールの段階はn1=2,n2=2,n3=2)とすれば、各々の受信部の長さは容易に把握可能となる。各々の第1接続部13、第2接続部23、第3接続部33や、第1先端取り付け部14、第2先端取り付け部24及び第3先端取り付け部34等によって、各々の受信部の長さに誤差が発生するが、予め長さを計測しておけば良い。各々の受信部の角度については、第1受信部10は垂直に設置され、又は、第5角部9に設置し、第2受信部20は、第1角部5か第3角部7のどちらかに設置し、第3受信部30は、第2角部6か第4角部8のどちらかに設置するため、各々の受信部の向き及び角度は容易に把握できる。
従って、放電発生箇所検出アンテナユニット1の設計時で既知の情報は、所定間隔Mと、1段階の伸縮ポールの長さLと、第1接続部13、第2接続部23、第3接続部33や、第1先端取り付け部14、第2先端取り付け部24及び第3先端取り付け部34の誤差である。尚、放電発生箇所検出アンテナユニット1の設計者がこれらの情報を設定すればよく、測定現場の作業者は把握していなくてもよい。
第1伸縮ポール12の段階『n1』、第2伸縮ポール22の段階『n2』、『第3伸縮ポール32の段階『n3』、『第1受信部10の設置場所』、『第2受信部20の設置場所』、『第3受信部30の設置場所』が、各々の受信アンテナの位置を計算するために必要な情報となる。つまり、測定現場の作業者は、測定現場で、各々の伸縮ポールの段階、各々の受信部の設置箇所を判断するだけでよい。
制御装置の演算部では、測定現場の作業者の作業を容易とするために、ユーザーインターフェース画面を設け、上述した第1伸縮ポール12の段階『n1』、第2伸縮ポール22の段階『n2』、『第3伸縮ポール32の段階『n3』、『第1受信部10の設置場所』、『第2受信部20の設置場所』、『第3受信部30の設置場所』を選択可能とすればよい。これらの処理は、三角関数を理解し、デスクトップアプリケーション作成のプログラミングができる当業者等ができるものである。従って、測定現場の作業者は、各アンテナまでの距離を巻尺や角度計で測定する必要もないため作業効率が向上する。更に、レーザー等の機器が不要なため、その分安価な装置となる。
第3実施形態の場合は、第1伸縮ポール12の段階『n1』、第2伸縮ポール22の段階『n2』、第3伸縮ポール32の段階『n3』、『第1受信部10の角度目盛』、『第2受信部20の角度目盛』、『第3受信部30の角度目盛』を、第1実施形態及び第2実施形態と同様に選択可能とすればよい。これらの処理は、三角関数を理解し、デスクトップアプリケーション作成のプログラミングができる当業者等ができるものである。また、電磁波を受信アンテナによって放電発生源を検出する際、電磁波信号を検出しても外乱ノイズ等が重畳して発生源を特定できないことがある。その際、検出することができない旨を報知しても良い。
また、可視化装置を設けてもよい。可視化装置は、制御装置で放電箇所を特定し、基台に取り付けられたビデオカメラで撮影した映像情報をデータ処理して、映像情報中に放電箇所を示す印を重ねて表示している。ビデオカメラは、基台2、又は、角度付き計基台70に取り付けられる。そのため、制御装置が出力する放電箇所を示す印を含む映像情報を、ビデオカメラの表示手段に表示することができる。放電箇所を示す印は、映像情報中の位置に関する情報と、そこに表示するデータ等からなる。映像情報中の位置に関する情報としては、フレーム中の座標、ピクセル位置等が例示できる。表示するデータとしては、表示するピクセル、ピクセル色等が例示できる。又は、放電箇所を示す印は、映像情報と同じ大きさのフレーム中に透明な背景の上に、放電箇所を示す印があるフレームであることもできる。
このフレームを、映像情報に重ねて表示すると、透明な背景があるところは映像情報が表示され、印があるところは映像情報の上に印が表示される。これらの処理は、映像情報を編集する映像プログラミングができる当業者等ができるものである。又は、放電箇所を示す印に関するデータを、制御装置からビデオカメラが受信して、ビデオカメラの表示手段が表示する撮影中の映像に重ねて表示することができる。ビデオカメラの表示手段は、ビデオカメラの映像撮影手段と独立した部品であり、その入力に、制御装置から受信した放電箇所を示す印に関するデータを重ねて表示する。また、放電発生箇所検出アンテナユニット1の設置場所だが、三脚に取り付けても良いし、天井や側面壁に取り付けても良い。
従来、放電発生箇所を検出する際、各々の受信アンテナに対して、異なる2本のアンテナの組み合わせによる双曲線を求め、各双曲線の交差点から位置情報を算出している。図11は、球面の交点を求める事によって放電発生箇所を検出する方法の説明図である。仮に、放電発生箇所をP(x、y、z)とし基準アンテナの座標を原点A_0(0,0,0)として、各受信アンテナをA_1(x1,y1,z1),A_2(x2,y2,z2),A_3(x3,y3,z3)のように既知の座標位置に配置する。電磁波の空気中の伝搬速度は、光速c[m/s]と近似でき、放電源から受信アンテナA_1までの到達時間を仮にt_1[s],受信アンテナA_2までの到達時間を仮にt_2[s]、受信アンテナA_3までの到達時間を仮にt_3[s]と定義する。
ここで、電磁波の進む速度に各々のアンテナの到達時間を乗じると、放電発生箇所Pと受信アンテナA_1の距離はc×t_1[m]、放電発生箇所Pと受信アンテナA_2の距離はc×t_2[m]、放電発生箇所Pと受信アンテナA_3の距離はc×t_3[m]となる。この時、放電発生箇所Pは、各アンテナを中心とし、それぞれの距離を半径とした球面の交点に位置することになる。
Figure 2018017569
数1の式の連立方程式を解くことにより、3つの球面の交点を求める事ができるため、放電発生箇所P(x,y,z)を特定する事ができる。
しかし、上述した通り、各々の到達時間は仮に設定しているため、各々の到達時間を導く必要がある。特許文献1及び2では基準アンテナを基準とし、各々の受信アンテナの到達時間差に基づいて双曲面を求め、各双曲線の交差点から位置情報を算出している。つまり、受信アンテナA_1と基準アンテナの到達時間差をΔt_1、受信アンテナA_2と基準アンテナの到達時間差をΔt_2、受信アンテナA_3と基準アンテナの到達時間差をΔt_3とすると、各々のΔt_1、Δt_2、Δt_3は、デジタルオシロスコープ等で測定することで算出する事ができる。仮に放電源から基準アンテナまでの到達時間をt_0[s]とすると、それぞれの到達時間は、t_1=t_0+Δt_1、t_2=t_0+Δt_2、t_3=t_0+Δt_3となる。
Figure 2018017569
数2の式より、3つの球面の交点を求めること事ができるのだが、上述した基準アンテナの到達時間は仮に設定している値のため球面の交点が存在しないことがある。ここでt_0をある時間内でサーチし、球面の交点が存在するまで演算し、t_0を基に演算した基準アンテナA_0から放電発生箇所の距離(c×t_0)と、仮に求められた球面の交点座標(x,y,z)とを比較し、演算距離が最小となる交点を求めることで放電発生箇所を求めることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。
1…放電発生箇所検出アンテナユニット
2…基台
3…基準アンテナ
4…基準アンテナ接続部
5…第1角部
6…第2角部
7…第3角部
8…第4角部
9…第5角部
10…第1受信部
11…第1受信アンテナ
12…第1伸縮ポール
13…第1接続部
14…第1先端取り付け部
15…第1伸縮部
20…第2受信部
21…第2受信アンテナ
22…第2伸縮ポール
23…第2接続部
24…第2先端取り付け部
25…第2伸縮部
30…第3受信部
31…第3受信アンテナ
32…第3伸縮ポール
33…第3接続部
34…第3先端取り付け部
35…第3伸縮部
51…L字部材
52…基台用ボルト
53…ポール用ボルト
55…支持部
56…回転軸ボルト
57…回転部材
58…取り付け部材
59…締め付け部材
60…固定部
61…第1揺動部
62…第1軸部
63…第2揺動部
70…角度計付き基台

Claims (10)

  1. 被検出対象物から放電される電磁波を、複数の受信アンテナを介して受信し、前記電磁波の放電箇所を検出するための放電発生箇所検出装置において、
    前記放電発生箇所検出装置の本体を成す基台、
    前記基台に配置された基準アンテナ、
    前記基台に、棒状の部材と前記棒状の部材の一端に配置された受信アンテナとから成る複数の受信部、及び
    前記基台に、前記基準アンテナの位置から所定の距離で配置された基点に、前記棒状の部材の他端が揺動自在に連結され、前記受信アンテナの向きを変化させることが可能な接続部
    から成るアンテナユニットと
    を有する放電発生箇所検出装置。
  2. 請求項1に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記接続部は、前記基台の上面と垂直及び平行な2つの軸線の回りで揺動する
    ことを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記棒状の部材は、前記受信アンテナの位置を変更するために前記受信部の長さを段階的に変更可能な伸縮機構を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  4. 請求項3に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記基台は、多角形であり、前記受信部を、前記接続部を基点として所定の角度に位置決めするために前記多角形の角部を基準とすることを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記基台は、前記複数の受信部の向きを角度で視認可能な角度表示部を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  6. 請求項4に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記受信部は、前記基台の上面に対して垂直に設置、又は、前記複数の角部のいずれかにそれぞれ設置され、
    前記受信部の設置状況を選択する設置状況選択手段を有し、
    前記設置状況選択手段の前記選択に基づいて、前記複数の受信アンテナの位置を演算する演算手段を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  7. 請求項5に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記複数の受信部は、前記基台の上面に対して垂直に設置、又は、前記角部表示部に基づき、角度が把握可能な位置のいずれかにそれぞれ設置され、
    前記複数の受信部の設置状況を選択する設置状況選択手段を有し、
    前記設置状況選択手段の前記選択に基づいて、前記複数の受信アンテナの位置を演算する演算手段を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記放電箇所を検出不能である場合に所定の報知を行う報知手段を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記複数の受信部は、前記複数の受信アンテナの角度を変更可能とするための回転機構を有することを特徴とする放電発生箇所検出装置。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の放電発生箇所検出装置において、
    前記放電箇所を特定して画像に表示し可視化するための画像表示装置を更に備えることを特徴とする放電発生箇所検出装置。
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