JP2018016677A - 表面保護シート - Google Patents

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【課題】外観品質に優れた表面保護シートを提供する。【解決手段】本発明により提供される表面保護シートは、C4−9アルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、EO付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と、を含む水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を含む。上記表面保護シートは、また、第一面および第二面を有するシート形状であって上記粘着剤層を上記第一面上に支持する支持基材を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、表面保護シートに関する。
金属板や塗装鋼板等の保管、運搬、加工等の際に、これらの表面を損傷や汚れから防止する目的で、該表面に表面保護シートを接着して保護する技術が知られている。このような表面保護シートは、一般に、シート状の基材(支持基材)の片面に粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)を有し、その粘着剤を介して被着体(保護対象物)に接着されることで保護目的を達成し得るように構成されている。表面保護用の粘着剤または粘着シートに関する技術文献として、特許文献1〜4が挙げられる。
特開平8−34963号公報 特開2003−27026号公報 特開2004−91563号公報 特許第5611883号公報
ところで、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする水分散型粘着剤組成物は、粘着成分の分散媒として水を用いるため、環境負荷軽減の観点から好ましく、これを用いて形成された粘着剤層の揮発性有機化合物(VOC)放散量低減の観点からも有利である。しかし、上記アクリル系ポリマーは、安定した水分散性を得るために界面活性剤を用いて重合されることが多く、このため該ポリマーを含む水分散型粘着剤組成物は泡立ちやすくなる傾向にある。泡立ちによる気泡が粘着剤組成物中に多く存在すると、該組成物から形成される粘着剤層に気泡が残存したり、粘着剤層に薄い部分がスジ状に生じたりすることで、粘着シートの外観欠点となりやすい。一方、水分散安定性が不足すると製造時や塗工時のストレスにより凝集物が発生しやすくなり、このような凝集物による塗工不良や該凝集物自体が粘着剤層の外観欠点となることもある。
水分散型粘着剤組成物の泡立ちを抑制する手法として、該組成物に消泡剤を添加することが知られている。消泡剤としては、シリコーン系やポリエーテル系の化合物が一般的に用いられている。しかし、この種の消泡剤を用いると、水分散型粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成する際に、該組成物の塗膜にはじきが生じやすくなることがある。塗膜のはじきは、乾燥後に得られる粘着剤層の形状に反映され、該粘着剤層に凹み(甚だしい場合には粘着剤層の欠如)等の外観欠点を生じる原因となる。
そこで本発明は、アクリル系ポリマーを含む水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備え、外観品質に優れた表面保護シートを提供することを主な目的とする。
この明細書により提供される表面保護シートは、アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、エチレンオキシド付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と、を含む水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を含む。また、第一面および第二面を有するシート形状であって上記粘着剤層を上記第一面上に支持する支持基材を含む。かかる構成の表面保護シートは、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)の効果によりはじき性の上昇を回避しつつ泡立ち性を効果的に低減し得、さらに界面活性剤(B)の効果により水分散安定性を担保して凝集物の発生を抑制し得ることから、外観品質に優れたものとなり得る。
上記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。このような構成において、本発明の効果が好適に発揮され得る。
好ましい一態様では、上記粘着剤層のゲル分率が70〜99重量%である。このような粘着剤層を有する表面保護シートは、被着体の保護に適した良好な粘着力と、被着体からの再剥離に適した良好な凝集力とをバランスよく両立しやすいので好ましい。
好ましい一態様では、上記界面活性剤(B)のエチレンオキシド(EO)付加モル数が5〜25である。このような界面活性剤(B)によると、よりEO付加モル数の多い界面活性剤に比べて泡立ちを抑制しやすく、かつ、よりEO付加モル数の少ない界面活性剤に比べて良好な水分散安定性が得られやすい。したがって、より外観品質に優れた粘着剤層を備える表面保護シートが実現され得る。
好ましい一態様では、上記界面活性剤(B)は反応性界面活性剤である。界面活性剤(B)として反応性界面活性剤を用いることにより、水分散型粘着剤組成物中に遊離の状態で含まれる界面活性剤が減るので泡立ちが抑制され、より外観品質に優れた粘着剤層を備える表面保護シートが実現され得る。また、被着体への汚染をより少なくすることができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様において、上記粘着剤層は、オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)を含む。このようなリン酸エステル(D)を粘着剤層に含有させることにより、粘着力の経時上昇を抑制し、保護の目的を終えた保護シートを被着体から除去する際等における作業性を向上させることができる。
好ましい一態様に係る表面保護シートは、S/Sにより定義される粘着力比が5以下である。ここで、Sは、表面保護シートをステンレス鋼(SUS)板に貼り付けて23℃で30分間保持した後の粘着力(初期粘着力)を表す。Sは、該表面保護シートをSUS板に貼り付けて50℃に168時間保持した後の粘着力(経時後粘着力)を表す。上記粘着力比が5以下の表面保護シートは、粘着力の経時上昇が少ない(粘着力安定性が高い)ので、被着体への貼付け時における良好な作業性と、保護の目的を終えた保護シートを被着体から除去する際の良好な作業性とを好適に両立し得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記支持基材の少なくとも上記第一面がポリオレフィン系樹脂により構成されている。このような低極性材料により構成された第一面では水分散型粘着剤組成物のはじきが発生しやすいため、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
好ましい一態様において、上記表面保護シートは透明である。このような表面保護シートは、例えば、該表面保護シートが被着体に貼り付けられた状態のまま該被着体表面の外観検査が実施されることを含む使用態様に好適である。ここに開示される表面保護シートは、外観品質に優れることから、該表面保護シート越しに被着体表面の外観検査を行う使用態様における検査精度の向上に有意に貢献し得る。
この明細書によると、また、アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、EO付加モル数1以上30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と、を含む表面保護シート用水分散型粘着剤組成物が提供される。このような水分散型粘着剤組成物は、例えば、ここに開示されるいずれかの表面保護シートの製造に好ましく用いられ得る。
一実施形態に係る表面保護シートを示す模式的断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
この明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
この明細書において「アクリル系モノマー」とは、一分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを指す。また、この明細書において「アクリル系ポリマー」とは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーをいう。アクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーの組成に対応するモノマー(全モノマー成分)の50重量%以上がアクリル系モノマーであるポリマーが挙げられる。
ここに開示される表面保護シートは、第一面および第二面を有するシート形状の支持基材と、該支持基材の上記第一面上に支持された粘着剤層とを有する。一形態例に係る表面保護シートの断面構造を図1に示す。この表面保護シート10は、支持基材1の第一面(前面)1Aに粘着剤層2が設けられた構成を有し、粘着剤層2の表面(粘着面)2Aを保護対象物に貼り付けて使用される。使用前(すなわち、保護対象物への貼付前)の表面保護シート10は、粘着面2Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー(図示せず)によって保護された形態であり得る。あるいは、支持基材1の第二面(背面)1Bが剥離面となっており、表面保護シート10がロール状に巻回されることにより該他面に粘着剤層2が当接して粘着面2Aが保護された形態の表面保護シート10であってもよい。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、プラスチックフィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の各種の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
<支持基材>
ここに開示される表面保護シートの支持基材は、第一面上に粘着剤層を支持し得るシート形状の基材であればよく、特に限定されない。例えば、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を支持基材として用いることができる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
ここに開示される技術は、樹脂フィルムを支持基材とする表面保護シートに好ましく適用され得る。ここでいう「樹脂フィルム」は、典型的には、以下に示すような樹脂成分を主体とする樹脂組成物を膜状に成形してなるフィルムであって、いわゆる不織布や織布とは区別される概念(すなわち、不織布や織布を除く概念)である。実質的に非発泡の樹脂フィルムが好ましい。ここで、非発泡の樹脂フィルムとは、発泡体とするための意図的な処理を行っていない樹脂フィルムを指し、具体的には、発泡倍率が凡そ1.1倍未満(例えば1.05倍未満、典型的には1.01倍未満)の樹脂フィルムであり得る。
樹脂フィルムを構成する樹脂成分の例としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)、塩化ビニル樹脂(典型的には、軟質塩化ビニル樹脂)、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン系樹脂(エーテル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン等)、ウレタン(メタ)アクリレート、熱可塑性エラストマー(オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂、セロハン樹脂等のセルロース系樹脂、等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられ得る。
特に限定するものではないが、一態様に係る表面保護シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン系樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種または2種以上の樹脂成分を主成分として含む支持基材(典型的には、かかる樹脂成分を50重量%を超える割合で含む支持基材)を好ましく採用し得る。例えば、これらの樹脂のいずれかを50重量%を超える割合で含む支持基材が好ましい。上記樹脂材料のなかでも、熱安定性や軽量性等の点からポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびオレフィン系エラストマーが好ましく、取扱い性等の点からポリオレフィン系樹脂およびオレフィン系エラストマーが特に好ましい。
ここに開示される表面保護シートは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする(50重量%を超える割合で含む)支持基材、すなわちポリオレフィン系樹脂フィルムを支持基材とする態様で好ましく実施され得る。例えば、支持基材全体の50重量%以上がポリエチレン(PE)樹脂またはポリプロピレン(PP)樹脂であるポリオレフィン系樹脂フィルムを好ましく採用することができる。換言すれば、上記ポリオレフィン系樹脂フィルムは、PE樹脂とPP樹脂との合計量が基材全体の50重量%以上を占めるものであり得る。
上記PP樹脂は、構成単量体としてプロピレンを含む種々のポリマー(プロピレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。1種または2種以上のプロピレン系ポリマーから実質的に構成されるPP樹脂であってもよい。ここでいうプロピレン系ポリマーの概念には、ホモポリプロピレンの他、プロピレンと他のモノマーとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)やブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)が包含される。ここでいうプロピレン系ポリマーの概念には、例えば以下のものが含まれる。
プロピレンのホモポリマー(ホモポリプロピレン)。例えばアイソタクチックポリプロピレン。
プロピレンと他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα−オレフィンから選択される1種または2種以上)とのランダムコポリマー(ランダムポリプロピレン)。好ましくは、プロピレンを主モノマー(主構成単量体、すなわち単量体全体の50重量%以上を占める成分)とするランダムポリプロピレン。
プロピレンに他のα−オレフィン(典型的には、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα−オレフィンから選択される1種または2種以上)をブロック共重合したコポリマー(ブロックポリプロピレン)。好ましくは、プロピレンを主モノマー(主構成単量体、すなわち単量体全体の50重量%以上を占める成分)とするブロックポリプロピレン。
上記PE樹脂は、構成単量体としてエチレンを含む種々のポリマー(エチレン系ポリマー)を主成分とするものであり得る。1種または2種以上のエチレン系ポリマーから実質的に構成されるPE樹脂であってもよい。上記エチレン系ポリマーは、エチレンのホモポリマーであってもよく、主モノマーとしてのエチレンに、副モノマーとして他のα−オレフィンを共重合(ランダム共重合、ブロック共重合等)させたものであってもよい。上記α−オレフィンの好適例としては、プロピレン、1−ブテン(分岐1−ブテンであり得る。)、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の、炭素原子数3〜10のα−オレフィンが挙げられる。例えば、上記副モノマーとしてのα−オレフィンが10重量%以下(典型的には5重量%以下)の割合で共重合されたエチレン系ポリマーを主成分とするPE樹脂を好ましく採用し得る。
上記PE樹脂は、また、重合性官能基に加えて別の官能基を有するモノマー(官能基含有モノマー)とエチレンとのコポリマーを含むPE樹脂や、かかる官能基含有モノマーをエチレン系ポリマーに共重合させたPE樹脂等であってもよい。エチレンと官能基含有モノマーとのコポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸(すなわち、アクリル酸および/またはメタクリル酸)共重合体が金属イオンで架橋されたもの、等が挙げられる。
PE樹脂の密度は特に限定されない。ここでいうPE樹脂の概念には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のいずれもが含まれる。一態様において、上記PE樹脂の密度は、例えば0.90〜0.94g/cm程度であり得る。好ましいPE樹脂として、LDPEおよびLLDPEが挙げられる。上記PE樹脂は、1種または2種以上のLDPEと、1種または2種以上のLLDPEとを含むものであってもよい。各LDPEまたはLLDPEのブレンド比や、LDPEとLLDPEとのブレンド比は特に限定されず、所望の特性を示すPE樹脂となるように適宜設定することができる。かかるポリエチレン系樹脂フィルムを構成要素として含む積層樹脂フィルムを用いてもよい。
支持基材は、単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上の多層構造であってもよい。多層構造の場合、少なくとも一つの層(好ましくは全ての層)は、上述したいずれかの樹脂フィルムであることが好ましい。例えば、厚さの75%以上(より好ましくは90%以上)が単層または多層(典型的には単層)のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる構成の支持基材が好ましい。全体が単層または多層のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる支持基材であってもよい。
ここに開示される技術は、上記支持基材のうち少なくとも第一面(すなわち、粘着剤層に隣接する表面部分。以下、「前面部分」ともいう。)がポリオレフィン系樹脂により構成されている表面保護シートの態様で好ましく実施され得る。ここに開示されたいずれかのポリオレフィン系樹脂フィルム(PE樹脂フィルム、PP樹脂フィルム等)からなる単層の支持基材は、ポリオレフィン系樹脂により構成された第一面を有する支持基材の一典型例である。ポリオレフィン系樹脂により構成された第一面を有する支持基材の他の例として、少なくとも前面部分にポリオレフィン系樹脂層が配置された多層構造の支持基材が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂により形成された層を複数備え、それらの層が前面部分および他の箇所(例えば第二面、すなわち背面)に配置された多層構造の支持基材であってもよい。ポリオレフィン系樹脂により構成された第一面は、低極性であるため、該第一面に塗工された水分散型粘着剤組成物においてはじきが発生しやすい。したがって、ここに開示される技術を適用して水分散安定性、低起泡性および低はじき性を両立することが特に有意義である。
ここに開示される表面保護シートの支持基材として用いられる樹脂フィルム(例えばポリオレフィン系樹脂フィルム)は、当該支持基材への含有が許容される適宜の成分を必要に応じて含有し得る。例えば、充填材(無機充填剤、有機充填剤等)、着色剤(顔料、染料)、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等を包含する意味である。)、帯電防止剤、可塑剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜配合することができる。各添加剤の配合量は、例えば、表面保護シートの支持基材等として用いられる樹脂フィルムの分野における通常の配合量と同程度とすることができる。
好ましい一態様では、支持基材は透明(半透明を包含する。)である。このような支持基材を備える表面保護シートでは、粘着剤層に外観欠点(例えば気泡)が存在すると、その外観欠点が支持基材越しに表面保護シートの背面から視認されることによって外観品質が損なわれやすい。ここに開示される技術によると、粘着剤層の外観欠点が防止されるので、透明な支持基材を備える構成においても優れた外観品質が得られる。なお、ここで支持基材が透明であるとは、該支持基材が50%以上の全光線透過率を示すことを意味する。また、支持基材のヘイズ値は30%以下(例えば20%以下)であることが好ましい。上記全光線透過率およびヘイズ値は、JIS K7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定することができる。
支持基材の製造方法は、従来公知の方法を適宜採用すればよく、特に限定されない。例えば、支持基材として樹脂フィルムを採用する場合には、インフレーション成形、押出成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用して作製した樹脂フィルムを使用することができる。
支持基材の厚さは特に限定されないが、表面保護シートの強度や保護性の観点から、通常は凡そ10μm以上が適当であり、凡そ20μm以上が好ましく、凡そ30μm以上(例えば凡そ40μm以上)であってもよい。また、支持基材の厚さは、例えば凡そ200μm以下とすることができ、表面保護シートの柔軟性や取扱い性の観点から、通常は凡そ150μm以下が適当であり、凡そ100μm以下が好ましく、凡そ75μm以下(例えば凡そ60μm以下)であってもよい。
支持基材の第一面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン曝露、火炎曝露、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、支持基材と粘着剤層との密着性、言い換えると粘着剤層の基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。上記第一面が樹脂フィルムの表面である態様(特に、第一面がポリオレフィン系樹脂により構成されている態様)の支持基材では、このような表面処理を施すことが特に有意義である。
<粘着剤層>
ここに開示される表面保護シートは、上記のような支持基材の第一面上に、水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える。上記水分散型粘着剤組成物は、アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、EO付加モル数1以上30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)とを含む。
(アクリル系ポリマー(A))
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマー(A)は、アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレート(以下、モノマーmともいう。)を含み、必要に応じて他のモノマーを含み得るモノマー原料の重合物である。アクリル系ポリマー(A)は、対応する組成(モノマー組成)のモノマー原料を公知の方法で重合させることにより合成することができる。重合方法としては、エマルション重合法を好ましく採用し得る。
モノマーmの非限定的な例として、n−ブチルアクリレート(BA)、n−へキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレートおよびイソノニルアクリレート(iNA)が挙げられる。アルキル基中に−(CH−構造を含むアルキルアクリレートが好ましく、アルキル基中に−(CH−構造を含むアルキルアクリレートがより好ましい。モノマーmの好適例として、2EHA,BAおよびiNAが挙げられる。モノマーmは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーmの使用量は、典型的には、アクリル系ポリマー(A)の合成に用いられるモノマー原料全体の40重量%以上である。モノマー組成中にモノマーmを40重量%以上の割合で含むことは、アクリル系ポリマー(A)を含む粘着剤層の柔軟性や低温特性向上の観点から有利である。かかる観点から、モノマーmの割合は、45重量%以上とすることが好ましく、50重量%以上(例えば50重量%超)としてもよい。また、モノマー組成中におけるモノマーmの割合を99.9重量%以下とすることにより、アクリル系ポリマー(A)を含む粘着剤層に適度な凝集性を付与しやすくなる。かかる観点から、上記モノマーmの割合は、95重量%以下とすることが好ましく、90重量%以下とすることがより好ましく、85重量%以下としてもよい、一態様において、上記モノマーmの割合を80重量%未満としてもよく、70重量%未満(例えば65重量%以下)としてもよい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマー(A)は、カルボキシ基含有モノマー(以下、モノマーmともいう。)を含むモノマー組成を有していてもよい。すなわち、アクリル系ポリマー(A)にはモノマーmが共重合されていてもよい。モノマーmは、アクリル系ポリマー(A)に架橋点を導入したり、アクリル系ポリマー(A)を含む粘着剤層の凝集力を高めたりするために役立ち得る。モノマーmは、また、アクリル系ポリマー(A)を含む粘着剤層と支持基材との密着性(投錨性)を高めることで非糊残り性の向上に役立ち得る。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、1−[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]コハク酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸);等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーmを用いる場合、モノマー組成中におけるモノマーmの割合は特に限定されない。モノマーmの割合は、例えば0.05重量%以上とすることができ、通常は0.1重量%以上が適当であり、重合安定性や分散安定性の観点から0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、剥離強度(粘着力)の過度な上昇を抑制する観点から、モノマーmの割合は、通常、5重量%以下が適当であり、4重量%以下(例えば3重量%以下)が好ましい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマー(A)には、該アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)の調節等を目的として、アルキル基の炭素原子数が4〜20であってホモポリマーのTgが−50℃以上であるアルキル(メタ)アクリレート(以下、モノマーmともいう。)が共重合されていてもよい。ここで、上述したモノマーmに属するモノマーは、モノマーmのカテゴリーからは除かれる。モノマーmは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。モノマーmとしては、ホモポリマーのTgが−40℃〜+60℃の範囲にあるものが好ましく、−30℃〜+40℃(例えば−20℃〜+30℃)の範囲にあるものがより好ましい。好ましく使用し得るモノマーmの非限定的な例として、n−ブチルメタクリレート(BMA)、2−エチルヘキシルメタクリレートおよびラウリルアクリレートが挙げられる。
モノマーmを用いる場合、モノマー組成中におけるモノマーmの割合は特に限定されない。モノマーmの割合は、例えば1重量%以上とすることができ、5重量%以上としてもよく、10重量%以上としてもよく、さらには15重量%以上としてもよい。一態様において、モノマーmの効果をよりよく発揮させる観点から、モノマー組成中におけるモノマーmの割合は、20重量%以上としてもよく、25重量%以上としてもよく、30重量%以上としてもよく、さらには35重量%以上(例えば40重量%以上)としてもよい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマー(A)には、必要に応じて、モノマーm,m,m以外のモノマー(モノマーm)が共重合されていてもよい。モノマーmとしては、モノマーmと共重合可能な各種のモノマーを、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
モノマーmとしては、例えば、次の一般式(1)で表わされるアルキル(メタ)アクリレート(モノマーmD1)(ただし、モノマーmまたはモノマーmに該当するものを除く。)を用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記一般式(1)中のRは、水素原子またはメチル基である。また、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基である。以下、このような炭素原子数の範囲を「C1−20」と表すことがある。重合反応性やエマルション重合の安定性等の観点から、RがC1−16のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、RがC1−12のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマーmD1として使用し得るアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。モノマーmD1は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーmとして使用可能な化合物の例には、以下のような官能基含有モノマーが含まれ得る。このような官能基含有モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりするために役立ち得る。
水酸基含有モノマー:例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類。
アミド基含有モノマー:例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド。
イミド基含有モノマー:例えばN−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド。
アミノ基含有モノマー:例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート。
エポキシ基を有するモノマー:例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル。
シアノ基含有モノマー:例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル。
ケト基含有モノマー:例えばジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート。
窒素原子含有環を有するモノマー:例えばN−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン。
アルコキシシリル基含有モノマー:例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン。
モノマーmとして使用し得る化合物の他の例として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の非芳香族性環含有(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。
モノマーmとして使用し得る化合物のさらに他の例として、多官能モノマーが挙げられる。多官能モノマーの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、等の、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。このような多官能モノマーを使用する場合、その使用量は特に制限されないが、通常は全モノマー成分の2重量%以下(より好ましくは1重量%以下)とすることが適当である。
モノマーmの使用量は、通常、モノマー組成の40重量%を超えないように設定することが適当であり、20重量%を超えないことが好ましく、10重量%を超えないことがより好ましい。モノマーmを使用しなくてもよい。ここに開示される技術は、モノマーmの使用量がモノマー組成の0重量%以上5重量%未満である態様で好ましく実施され得る。ここで、モノマーmの使用量がモノマー組成の0重量%であるとは、少なくとも意図的にはモノマーmを使用しないことを意味する。
ここに開示される技術の好ましい一態様において、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分に占めるアクリル系モノマーの割合を、95重量%を超えて100重量%以下とすることができる。すなわち、アクリル系モノマーの共重合割合が95重量%超であるアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤組成物は、該組成物から形成される粘着剤層(ひいては、該粘着剤層を有する表面保護シート)の耐候性の観点から有利となり得る。
特に限定するものではないが、上記アクリル系ポリマー(A)は、該ポリマーのTgが−15℃以下となる共重合組成を有することが好ましい。被着体に対する密着性を高める観点から、上記アクリル系ポリマー(A)のTgは、−20℃以下であることが好ましく、−25℃以下であることがより好ましい。また、剥離強度(粘着力)の上昇抑制の観点から、上記アクリル系ポリマー(A)のTgとしては、通常、−60℃以上が適当であり、−55℃以上がより好ましい。アクリル系ポリマー(A)のTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。
本明細書において、ポリマーのTgとは、該ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの重量分率(重量基準の共重合割合)に基づいてフォックス(Fox)の式から求められる値をいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
ホモポリマーのTgとしては、公知資料に記載の値を採用するものとする。例えば、以下に挙げるモノマーについては、該モノマーのホモポリマーのTgとして、以下の値を使用する。
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
n−ヘキシルアクリレート −65℃
n−オクチルアクリレート −65℃
イソノニルアクリレート −60℃
n−ノニルアクリレート −58℃
n−ブチルアクリレート −55℃
エチルアクリレート −20℃
ラウリルアクリレート 0℃
2−エチルヘキシルメタクリレート −10℃
メチルアクリレート 8℃
n−ブチルメタクリレート 20℃
メチルメタクリレート 105℃
アクリル酸 106℃
メタクリル酸 228℃
酢酸ビニル 32℃
スチレン 100℃
上記で例示した以外のモノマーのホモポリマーのTgについては、「Polymer Handbook」(第4版、John Wiley & Sons, Inc., 1999)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。上記Polymer HandbookにもホモポリマーのTgが記載されていない場合には、特開2007−51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
(アクリル系ポリマー(A)の合成)
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマー(A)は、典型的には、上述のような組成のモノマー原料のエマルション重合により得られる。エマルション重合の態様は特に限定されず、従来公知の一般的なエマルション重合と同様の各種モノマー供給方法、重合条件、使用材料等を適宜採用して行うことができる。例えば、モノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に重合容器に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等のいずれも採用可能である。モノマー成分の一部または全部をあらかじめ水および界面活性剤と混合して乳化し、その乳化液を重合容器に供給してもよい。重合温度は、例えば20℃〜100℃程度とすることができ、通常は40℃〜80℃程度とすることが適当である。
重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が例示されるが、これらに限定されない。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アゾ系開始剤の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等が挙げられる。
過酸化物系開始剤の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルハイドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ−n−オクタノイルペルオキシド、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、過酸化水素等が挙げられる。
レドックス系開始剤の例としては、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、該開始剤の種類やモノマーの種類(モノマー成分の組成)、重合条件等に応じて適宜選択することができる。重合開始剤の使用量は、通常、モノマー原料100重量部に対して、例えば0.001〜0.5重量部程度の範囲とすることが適当であり、0.002〜0.3重量部の範囲とすることが好ましく、0.005〜0.1重量部の範囲とすることがより好ましい。
エマルション重合には、必要に応じて、従来公知の各種の連鎖移動剤(分子量調節剤あるいは重合度調節剤としても把握され得る。)を使用することができる。連鎖移動剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等のメルカプタン類を好ましく用いることができる。。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、全モノマー成分100重量部に対して、例えば0.01〜1重量部程度とすることができ、0.02〜0.1重量部とすることが好ましく、0.03〜0.07重量部とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、連鎖移動剤を使用しない態様でも好ましく実施され得る。
モノマー原料のエマルション重合は、通常、界面活性剤(乳化剤)の存在下で行われる。界面活性剤の使用量は特に限定されない。重合安定性や、重合反応物の分散安定性、表面保護シートの低汚染性等を考慮して、界面活性剤の使用量は、通常、モノマー原料100重量部に対して0.1重量部以上(例えば0.5重量部以上)とすることが適当であり、また、モノマー原料100重量部に対して10重量部以下(例えば5重量部以下)とすることが適当である。
界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等を用いることができる。通常は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。反応性官能基(典型的にはラジカル重合性官能基)を有する界面活性剤を用いてもよい。以下、反応性官能基を有する界面活性剤を反応性界面活性剤といい、これに対して反応性官能基を有しない一般的な界面活性剤を非反応性界面活性剤ということがある。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
非反応性のアニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸塩、オクタデシル硫酸塩等のアルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ノニルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ドデシルナフタレンスルホン酸塩等のナフタレンスルホン酸塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸塩等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩;ラウリルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸塩等のスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;等が挙げられる。アニオン性界面活性剤が塩を形成している場合、該塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩(好ましくは一価金属の塩)、アンモニウム塩、アミン塩等であり得る。
非反応性のノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル;ポリオキシエレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;等が挙げられる。
反応性界面活性剤としては、重合性(典型的にはラジカル重合性)官能基を有するものを好ましく採用し得る。例えば、上述のようなアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤にラジカル重合性官能基が導入された構造の反応性界面活性剤を使用し得る。ラジカル重合性官能基の種類は特に限定されず、例えばアルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)等であり得る。アルケニル基の具体例としては、プロペニル基およびイソプロペニル基(CH=C(CH)−)が挙げられる。ここでいうプロペニル基の概念には、1−プロペニル基(CH−CH=CH−)および2−プロペニル基(CH=CH−CH−;アリル基と称されることもある。)が含まれる。
アニオン性の反応性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸塩(例えばアンモニウム塩)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸塩(例えばアンモニウム塩)、アルキルアリルスルホコハク酸塩(例えばナトリウム塩)、メタクリロキシポリオキシプロピレン硫酸エステル塩(例えばナトリウム塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩(例えば、上記アルケニル基の末端がイソプロペニル基であるアンモニウム塩)等が挙げられる。アニオン性の反応性界面活性剤が塩を形成している場合、該塩は、例えば、ナトリウム塩等の金属塩であってもよく、アンモニウム塩やアミン塩等の非金属塩であってもよい。
ノニオン性の反応性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル等が挙げられる。
反応性界面活性剤の市販品としては、第一工業製薬社製の商品名「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−1025」、「アクアロンHS−20」、「アクアロンKH−10」、「アクアロンKH−1025」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンBC−0515」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−1025」、「アクアロンBC−20」、「アクアロンBC−2020」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」、「アクアロンAR−10」、「アクアロンAR−20」、「アクアロンAR−1025」、「アクアロンAR−2020」、ADEKA社製の商品名「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープSR−1025」、花王社製の商品名「ラテムルPD−104」、「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」、「ラテムルPD−450」、三洋化成社製の商品名「エレミノールJS−20」、「エレミノールRS−3000」、日本乳化剤社製の商品名「アントックスMS−60」等が挙げられる。
乳化性能等の観点から、一態様において、アニオン性の反応性界面活性剤を好ましく採用し得る。
ノニオン性の反応性界面活性剤を使用する場合は、他の界面活性剤、例えばアニオン性の反応性界面活性剤、アニオン性の非反応性界面活性剤、ノニオン性の非反応性界面活性剤等と併用することにより、より好適な結果が実現され得る。
反応性界面活性剤の存在下でモノマー原料をエマルション重合させることにより、上記反応性界面活性剤が反応してアクリル系ポリマーに取り込まれ得る。反応性界面活性剤は、アクリル系ポリマーに取り込まれることにより遊離の界面活性剤が少なくなり、起泡性が低下する。したがって、反応性界面活性剤を用いて重合を行うことは、重合安定性と重合後の低起泡性とを両立するために有利となり得る。より優れた低起泡性を実現する観点から、エマルション重合時の界面活性剤として反応性界面活性剤のみを用いる態様を好ましく採用し得る。また、アクリル系ポリマーに取り込まれた反応性界面活性剤は、粘着剤層内での移動が制限されるため、粘着剤層の表面にブリードアウトしにくい。このことは表面保護シートの低汚染性向上の観点から好ましい。なお、この明細書において反応性界面活性剤を含むとは、該反応性界面活性剤をその反応性官能基(例えばラジカル重合性官能基)が反応した後の状態で含むことを包含する概念である。ここに開示される技術における反応性界面活性剤は、典型的には、少なくとも一部が上記のようにアクリル系ポリマーに取り込まれた形態で粘着剤組成物や粘着剤層に含まれている。
(界面活性剤(B))
ここに開示される技術の一態様において、粘着剤層の形成に用いられる水分散型粘着剤組成物は、オキシエチレン鎖を有する界面活性剤を含み得る。ここで、オキシエチレン鎖とは、少なくとも1つのオキシエチレン単位(EO付加残基としても把握され得る。)を含み、他のオキシアルキレン単位をさらに含み得る鎖状の構造部分をいう。このような構造部分は、オキシアルキレン単位またはその繰返し、すなわち−(AO)−で表される構造部分であって(ただしp≧1)、該構造部分に含まれるp個のAO単位のうち1つ以上がオキシエチレン単位(EO単位)であるものとして把握され得る。上記繰返し数pは、典型的には1〜50程度であり、好ましくは1〜35程度であり、例えば5〜25程度であってもよい。上記オキシエチレン鎖に含まれるEO単位の数q(ただしq≦p)は、典型的には1〜35程度、好ましくは1〜30程度であり、5〜25程度(例えば5〜20程度)であってもよい。上記オキシエチレン鎖に含まれるEO単位以外のオキシアルキレン単位(A’O単位)は、例えば、炭素原子数3〜6程度のオキシアルキレン単位であり得る。上記A’O単位の好適例として、オキシプロピレン単位(PO単位)およびオキシブチレン単位(BO単位)が挙げられる。
一態様において、上記オキシエチレン鎖を有する界面活性剤として、EO付加モル数が1以上30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)を好ましく採用し得る。このような構造の界面活性剤(B)は、水分散安定性を担保して凝集物の発生を抑制し、該凝集物に起因する外観欠点の少ない粘着剤層の形成に役立ち得る。界面活性剤(B)としては、例えば、エマルション重合に使用し得る界面活性剤として上記で例示したもののなかから、EO付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有するものを用いることができる。EO付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する点以外は、上記の例示における好ましい条件を、界面活性剤(B)の好ましい条件にも適用することができる。界面活性剤(B)は、アニオン性でもよく、ノニオン性でもよく、カチオン性でもよい。通常は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤(B)の使用が好ましい。界面活性剤(B)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤(B)の有するオキシエチレン鎖に含まれる繰返し単位の数pは、典型的には1〜35程度、好ましくは1〜30程度であり、例えば5〜25程度であってもよい。pが大きくなると、水分散安定性が向上する傾向にある。pが大きすぎないことにより、界面活性剤(B)の起泡性が低くなり、水分散型粘着剤組成物の泡立ちが抑制される傾向にある。このようなオキシエチレン鎖に含まれるEO単位の数q(ただしq≦p)は、典型的には1以上であり、2以上でもよく、5以上(例えば7以上)でもよい。また、上記EO単位の数q(すなわち、EO付加モル数)は、典型的には30以下であり、25以下が好ましく、20以下でもよく、15以下(例えば13以下)でもよい。EO単位の数qは、典型的には、オキシエチレン鎖に含まれる繰返し単位の数pの凡そ50%超であり、凡そ70%以上であることが好ましく、凡そ85%以上でもよく、凡そ90%以上(例えば凡そ95%以上)でもよい。一態様において、EO単位のみからなるオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)を好ましく採用し得る。
EO単位と他のオキシアルキレン単位(A’O単位)とを含むオキシエチレン鎖において、EO単位の配置(配列)は特に限定されず、例えば、連続(繰返し)配置、ランダム配置、それらの複合的または中間的な配置等であり得る。
界面活性剤(B)としては、反応性(例えば、ラジカル重合反応性)界面活性剤および非反応性界面活性剤のいずれも使用可能であり、これらを組み合わせて用いてもよい。非反応性の界面活性剤(B)は、アクリル系ポリマー(A)の合成(モノマー原料の重合)時に用いてもよく、合成後に添加してもよい。反応性の界面活性剤(B)は、アクリル系ポリマー(A)の合成時に用いてもよく、合成後に添加してもよいが、合成時に用いることがより好ましい。ここに開示される技術における水分散型粘着剤組成物としては、界面活性剤(B)(好ましくは、ラジカル重合性官能基を有する反応性界面活性剤(B))の存在下でアクリル系ポリマー(A)を合成したものを好ましく採用し得る。このような水分散型粘着剤組成物は、起泡性が低く、外観品質のよい表面保護シートを形成し得る傾向にあるので好ましい。
界面活性剤(B)の使用量は、水分散安定性や表面保護シートの低汚染性等を考慮して、通常、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.1重量部以上(例えば凡そ0.5重量部以上)とすることが適当である。また、界面活性剤(B)の使用量は、通常、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ10重量部以下(例えば凡そ5重量部以下)とすることが適当である。ここでいう「アクリル系ポリマー(A)100重量部」は、該アクリル系ポリマー(A)の合成に用いられるモノマー原料100重量部と読み替えることもできる。水分散型粘着剤組成物に含まれる界面活性剤は、界面活性剤(B)のみであってもよく、界面活性剤(B)と他の界面活性剤(すなわち、界面活性剤(B)に該当しない界面活性剤)とを組み合わせて含んでもよい。界面活性剤(B)と他の界面活性剤とを組み合わせて含む態様において、それらの合計量に占める界面活性剤(B)の割合は、重量基準で、例えば凡そ50%以上であってよく、凡そ70%以上であってよく、凡そ85%以上であってもよく、さらには凡そ95%以上であってもよい。
(アルキレングリコールアルキルエーテル(C))
アルキレングリコールアルキルエーテル(C)は、水分散性粘着剤組成物の泡立ち性を抑制して(消泡性を高めて)粘着剤層への気泡混入を防ぎ、かつはじき性を上昇させにくい成分として用いられ得る。ここでいうアルキレングリコールアルキルエーテルの概念には、アルキレングリコールのモノアルキルエーテルと、アルキレングリコールのジアルキルエーテルとが包含される。アルキレングリコールアルキルエーテルは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキレングリコールアルキルエーテルにおけるアルキレングリコール部分の炭素原子数は、典型的には2〜6であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2〜3である。好ましい一態様において、エチレングリコールアルキルエーテルおよびプロピレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上をアルキレングリコールアルキルエーテル(C)として用いることができる。
アルキレングリコールアルキルエーテルのアルキルエーテル部分を構成するアルキル基の炭素原子数は、例えば1〜8程度であり得、典型的には1〜6程度、好ましくは1〜4程度である。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐を有していてもよい。アルキレングリコールジアルキルエーテルにおいて、2つのアルキルエーテルの各々に含まれるアルキル基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。合成容易性や入手容易性の観点から、一態様において、2つのアルキルエーテルが同一のアルキル基を有するアルキレングリコールジアルキルエーテルを好ましく採用し得る。
アルキレングリコールアルキルエーテルの具体例として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびプロピレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。ここに開示される技術は、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)が上述した群から選択される少なくとも1種を含む態様で好ましく実施され得る。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGB)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)およびプロピレングリコールジメチルエーテル(PGDM)からなる群から選択される1種または2種以上を好ましく採用し得る。
アルキレングリコールアルキルエーテル(C)の使用量は、所望の効果が得られるように設定することができ、特に限定されない。上記使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、通常、凡そ0.4重量部以上とすることが適当であり、凡そ0.9重量部以上(例えば凡そ1.5重量部以上)とすることが好ましい。一態様において、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対するアルキレングリコールアルキルエーテル(C)の使用量を凡そ2.5重量部以上としてもよく、凡そ3.5重量部以上としてもよい。また、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対するアルキレングリコールアルキルエーテル(C)の使用量は、エマルションの機械的安定性等の観点から、通常、凡そ15重量部以下とすることが適当であり、凡そ10重量部以下(例えば凡そ7重量部以下)とすることが好ましく、凡そ5重量部以下としてもよい。
アルキレングリコールアルキルエーテル(C)を水分散型粘着剤組成物に含有させる方法は、特に限定されない。重合安定性や重合反応条件における揮発防止の観点から、一態様において、アクリル系ポリマー(A)を含む水分散液にアルキレングリコールアルキルエーテル(C)を加えて混合する方法を好ましく採用し得る。
(リン酸エステル(D))
オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)は、主に粘着力の経時上昇抑制(すなわち、粘着力安定性の向上)等の目的で、任意成分として用いられ得る。ここで、オキシエチレン鎖とは、少なくとも1つのEO単位を含み、他のオキシアルキレン単位(例えば、炭素原子数3〜6程度のオキシアルキレン単位)をさらに含み得る鎖状の構造部分をいう。オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)の一好適例として、EO単位またはその繰返しにより構成されたオキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)が挙げられる。例えば、以下の一般式(2a)または(2b)で表わされるリン酸エステルまたはその塩を、リン酸エステル(D)として好ましく採用し得る。
Figure 2018016677
上記一般式(2a)、(2b)中のnおよびmは、エチレンオキシド(EO)の付加モル数を表す。EO付加モル数nは、典型的には1〜20程度であり、好ましくは1〜10程度であり、例えば1〜8程度であり得る。より高い粘着力安定性を得る観点から、EO付加モル数nは、1〜6程度であることが好ましく、1〜4(例えば2〜4)程度であることがさらに好ましい。一般式(2b)において、EO付加モル数mは、典型的には、EO付加モル数nと概ね同様の数であり得る。上記一般式(2a)、(2b)中のRおよびRは、一価の有機基(典型的には炭化水素基)であり、例えば、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基およびアリールアルキル基から選択される基であり得る。R,Rは、それぞれ独立に、炭素原子数6以上(好ましくは8以上、例えば11以上)の有機基であり得、また、炭素原子数20以下、好ましくは18以下、例えば15以下)の有機基であり得る。一般式(2a)、(2b)で表わされるリン酸エステルの塩は、例えば、これらのリン酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、トリエタノールアミン塩等であり得る。リン酸エステル(D)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、一般式(2a)で表わされるリン酸モノエステルまたはその塩と、一般式(2b)で表わされるリン酸ジエステルまたはその塩と、を含む混合物をリン酸エステル(D)として使用してもよい。
リン酸エステル(D)として利用し得る材料の市販品として、東邦化学工業(株)製の「フォスファノール(登録商標)」シリーズが例示される。具体例としては、フォスファノール(登録商標)RL−210、同RL−310、同RS−410、同ED−200、同ML−220、同ML−240等が挙げられる。
リン酸エステル(D)を使用する場合における使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、例えば凡そ0.05重量部以上とすることができ、通常は凡そ0.1重量部以上とすることが好ましく、凡そ0.3重量部以上(例えば凡そ0.5重量部以上)とすることがより好ましい。リン酸エステル(D)の使用量の増大により、被着体貼合せ時の粘着力上昇を抑えられる傾向にある。また、被着体表面の低汚染性の観点から、リン酸エステル(D)の使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、通常は凡そ5重量部以下とすることが好ましく、凡そ3重量部以下(例えば凡そ2重量部以下)とすることがより好ましい。
(架橋剤)
ここに開示される技術における粘着剤層には、架橋剤が用いられていてもよい。架橋剤の使用により、非糊残り性と粘着性とをバランスよく両立し得るように粘着剤層の凝集性を調節することができる。また、粘着剤層のゲル分率を適切に調節することができる。
架橋剤の使用量は特に限定されず、アクリル系ポリマーの共重合組成や使用する架橋剤の種類に応じて、架橋後において好適な特性が得られるように適宜設定することができる。特に限定するものではないが、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する架橋剤の使用量は、例えば凡そ0.01重量部以上(典型的には凡そ0.05重量部以上)とすることができ、凡そ0.1重量部以上としてもよく、さらには凡そ0.5重量部以上としてもよい。また、剥離強度の経時安定性(粘着力安定性)等の観点から、上記架橋剤の使用量は、通常、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ15重量部以下(好ましくは凡そ10重量部以下、例えば凡そ5重量部以下)とすることが適当であり、凡そ3重量部以下としてもよい。
架橋剤の種類は特に制限されず、粘着剤分野で通常使用される各種架橋剤のなかから適宜選択して使用することができる。具体例としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤およびカルボジイミド系架橋剤からなる群から選択される1種または2種以上の使用が好ましい。水に溶解または分散可能な架橋剤が好ましく、水に溶解可能な(すなわち水溶性の)架橋剤が特に好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。1分子中に3〜5個のエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。水に溶解または分散可能なエポキシ系架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、三菱ガス化学社製の商品名「TETRAD−X」、「TETRAD−C」、DIC社製の商品名「エピクロンCR−5L」、ナガセケムテックス社製の商品名「デナコールEX−512」、日産化学工業社製の商品名「TEPIC−G」等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を有するものを特に制限なく使用することができる。上記イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基は、保護基を有するイソシアネート基、例えばブロック剤処理等により一時的にイソシアネート基が保護された態様のイソシアネート再生型官能基(ブロックドイソシアネート)を形成していてもよい。イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;等が挙げられる。より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート;ジクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシヌレート体(東ソー社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等のポリイソシアネート;これらポリイソシアネートとポリオールとの付加物;および、これらポリイソシアネートを、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等により多官能化したポリイソシアネート;等が挙げられる。
水に溶解または分散可能なイソシアネート系架橋剤が好ましい。例えば、水溶性、水分散性または自己乳化型のイソシアネート系架橋剤を好ましく採用し得る。このようなイソシアネート系架橋剤(水性イソシアネート系架橋剤)の市販品として、例えば、DIC社製の商品名「バーノックDNW−5000」、「バーノックDNW−5010」、「バーノックDNW−5100」、「バーノックDNW−5200」、「バーノックDNW−5500」、「バーノックDNW−6000」;東ソー社製の商品名「アクアネート100」、「アクアネート105」、「アクアネート110」、「アクアネート120」、「アクアネート130」、「アクアネート200」、「アクアネート210」;三井化学ポリウレタン社製の商品名「タケネートWD−220」、「タケネートWD−240」、「タケネートWD−720」、「タケネートWD−725」、「タケネートWD−726」、「タケネートWD−730」、「タケネートWB−700」、「タケネートWB−720」、「タケネートWB−920」;第一工業製薬社製の商品名「エラストロンBN−04」、「エラストロンBN−11」、「エラストロンBN−27」、「エラストロンBN−69」、「エラストロンBN−77」;等が挙げられる。
オキサゾリン系架橋剤としては、1分子内に1個以上のオキサゾリン基を有するものを特に制限なく使用することができる。オキサゾリン系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。水に溶解または分散可能なオキサゾリン系架橋剤が好ましい。オキサゾリン基は、2−オキサゾリン基、3−オキサゾリン基、4−オキサゾリン基のいずれでもよく、例えば2−オキサゾリン基を有するものを好ましく採用し得る。オキサゾリン系架橋剤の市販品としては、例えば、日本触媒社製の商品名「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤の例としては、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニルプロピオネート)]等が挙げられる。アジリジン系架橋剤の市販品としては、例えば、日本触媒社製の商品名「ケミタイトPZ−33」、「ケミタイトDZ−22E」等が挙げられる。
カルボジイミド系架橋剤としては、カルボジイミド基を2個以上有する低分子化合物または高分子化合物を用いることができる。水に溶解または分散可能なカルボジイミド系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の市販品としては、例えば、日清紡社製の「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」等のカルボジライトVシリーズ(水溶液タイプ)や、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−04」等のカルボジライトEシリーズ(水分散タイプ)等のカルボジライトシリーズが挙げられる。
粘着剤組成物は、本発明の効果が著しく損なわれない範囲で、粘度調整剤(増粘剤等)、粘着付与剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、表面潤滑剤、帯電防止剤、防腐剤、防カビ剤、耐候性向上剤(例えば、紫外線吸収剤、アンチエージング剤、酸化防止剤、光安定剤)等の、水分散型粘着剤組成物に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。このような添加剤は、それぞれ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。各添加剤の配合量は、表面保護シート用粘着剤組成物の分野における通常の配合量と同程度とすることができる。
粘着付与剤としては、ロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、炭化水素系粘着付与剤等の公知の粘着付与樹脂を用いることができる。剥離強度(粘着力)が高くなりすぎることを避ける観点から、粘着付与剤の使用量は、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して10重量部以下とすることが好ましく、5重量部以下(例えば1重量部以下)とすることがより好ましい。ここに開示される表面保護シートは、粘着付与剤を実質的に使用しない態様(例えば、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対する粘着付与剤の含有量が0.5重量部以下である態様)でも好ましく実施され得る。
粘着剤組成物は、粘着性能の調製等の目的で、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマー(A)の他に、例えばゴム系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマー等の、アクリル系ポリマー(A)以外のポリマーを副ポリマーとして含んでいてもよい。かかる副ポリマーは、アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して25重量部以下(より好ましくは10重量部以下、例えば5重量部以下)の範囲で用いられることが好ましい。ここに開示される技術は、上記副ポリマーを実質的に使用しない態様でも好ましく実施され得る。
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成に使用する水分散型粘着剤組成物は、例えば、界面活性剤(B)を用いたエマルション重合により得られたアクリル系ポリマー(A)の水分散液に、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)および必要に応じて用いられる他の成分(例えば、リン酸エステル(D)、架橋剤、粘着付与剤等)を混合することにより調製することができる。上記水分散液としては、エマルション重合により得られた重合反応液や、該重合反応液に必要に応じてpH調整(例えば中和)、不揮発分含量の調整、粘度の調整等の処理を施したものを用いることができる。通常は、重合反応液にアンモニア水などの中和剤を加えてpHを適当な範囲(例えばpH6〜9程度の範囲)に調整することにより、エマルションの分散安定性が向上し得る。
特に限定するものではないが、粘着剤組成物の不揮発分含量(NV;nonvolatile content)は、例えば、乾燥効率等の観点から凡そ20重量%以上(典型的には凡そ30重量%以上、好ましくは凡そ40重量%以上)とすることができ、また、塗工性等の観点から凡そ75重量%以下(典型的には凡そ70重量%以下、好ましくは凡そ60重量%以下)とすることができる。
この明細書によると、界面活性剤(B)の存在下でモノマー原料をエマルション重合させてアクリル系ポリマー(A)の水分散液を得る重合工程と、この水分散液にアルキレングリコールアルキルエーテル(C)を添加する調合工程と、を含む水分散型粘着剤組成物の製造方法が提供される。界面活性剤(B)としては、反応性界面活性剤を好ましく採用し得る。上記調合工程では、リン酸エステル(D)、架橋剤、粘着付与樹脂、中和剤、増粘剤等の添加剤を、必要に応じてさらに添加することができる。
(粘着剤層の形成)
粘着剤層の形成は、公知の粘着シートにおける粘着剤層形成方法に準じて行うことができる。例えば、支持基材に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を好ましく採用することができる。また、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、剥離ライナーの表面や、剥離処理された支持基材背面等を利用し得る。粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的や用途によっては点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、コンマコーター、ディップロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の、公知ないし慣用のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40℃〜150℃程度とすることができ、通常は50℃〜130℃(例えば60℃〜100℃)程度とすることが好ましい。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、支持基材や粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
粘着剤層の厚さは特に限定されず、例えば1μm〜100μm程度であり得る。剥離強度(粘着力)の上昇抑制や非糊残り性等の観点から、通常、粘着剤層の厚さとしては、30μm以下が適当であり、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。ここに開示される技術は、粘着剤層の厚さが15μm以下(典型的には15μm未満、例えば12μm未満)である態様や、さらには10μm以下である表面保護シートの態様でも好適に実施され得る。粘着剤層の厚さが小さくなると、水分散性粘着剤組成物の塗工厚も小さくなり、気泡または凝集物に起因するスジやはじき等、粘着剤層の外観欠点を引き起こす塗工不良が生じやすくなる傾向にある。したがって、ここに開示される技術を適用してかかる塗工不良を防止することが殊に有意義である。また、被着体表面に対する密着性の観点から、粘着剤層の厚さは、通常、1μm以上が適当であり、2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。ここに開示される技術は、厚さ2μm以上15μm未満(例えば3μm以上10μm以下)の粘着剤層を備える表面保護シートの形態で好ましく実施され得る。
<表面保護シート>
ここに開示される表面保護シートの厚さは、例えば300μm以下とすることができ、表面保護シートの取扱い性等の観点から通常は225μm以下が適当であり、175μm以下(例えば125μm以下)が好ましく、100μm以下でもよい。一態様において、表面保護シートの厚さは、85μm以下とすることができ、70μm以下であってもよく、65μm以下であってもよい。表面保護シートの厚さは、強度や保護性の観点から、通常は12μm以上が適当であり、25μm以上が好ましく、35μm以上(例えば45μm以上)であってもよい。
特に限定するものではないが、ここに開示される表面保護シートの粘着剤層は、ゲル分率が60重量%以上であることが好ましく、良好な非糊残り性を得る観点から70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましい。また、粘着剤層のゲル分率は、典型的には99.9重量%以下であり、被着体に対する密着性の観点から99重量%以下であることが好ましく、95重量%以上がより好ましく、90重量%以下であってもよく、90重量%未満であってもよい。このようなゲル分率の粘着剤層を有する表面保護シートは、被着体の保護に適した良好な粘着力と、被着体からの再剥離に適した良好な凝集力とをバランスよく両立しやすいので好ましい。粘着剤層の厚さが10μm未満(特に8μm以下、例えば7μm以下)である表面保護シートでは、このように薄い粘着剤層においても良好な粘着力を実現しやすくする観点から、ゲル分率を95重量%以下とすることが特に有意義である。粘着剤層のゲル分率は、例えば、アクリル系ポリマーの共重合組成、架橋剤の種類および使用量の選択、界面活性剤の種類および使用量の選択、連鎖移動剤の使用の有無およびその使用量、等により調節することができる。なお、ゲル分率の上限は、原理上、100重量%である。
ここで、粘着剤層のゲル分率は、重さW1の測定サンプルをテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シートに包んで室温で1週間酢酸エチルに浸漬した後、その測定サンプルを乾燥させて酢酸エチル不溶解分の重さW2を計測し、W1およびW2を次式:ゲル分率[%]=W2/W1×100;に代入することにより求められる。
より具体的には、以下の方法でゲル分率を測定することができる。すなわち、測定サンプル約0.1gを、平均孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シートで巾着状に包み、口を凧糸で縛る。テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シートと凧糸の合計重量Wa(mg)はあらかじめ計測しておく。そして、包みの重量(粘着剤層と包みの合計重量)Wb(mg)を計測する。この包みを容量50mLのスクリュー管に入れ(1個の包みにつきスクリュー管1本を使用する。)、このスクリュー管に酢酸エチルを満たす。これを室温(典型的には23℃)で7日間静置した後、上記包みを取り出して120℃で2時間乾燥させ、乾燥後における包みの重量Wc(mg)を計測する。該粘着剤層のゲル分率(%)は、上記Wa,WbおよびWcを以下の式:
ゲル分率(%)=(Wc−Wa)/(Wb−Wa)×100
に代入することにより求められる。上記テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シートとしては、日東電工社製の商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」またはその相当品を使用することができる。
特に限定するものではないが、ここに開示される表面保護シートの粘着剤層は、その酢酸エチル溶解分(ゾル分)の重量平均分子量(Mw)が3×10〜3×10であることが好ましく、5×10〜2.5×10であることがさらに好ましい。ゾル分のMwが3×10よりも小さすぎると、粘着剤層の凝集性が不足し、糊残りや剥離強度上昇が起こりやすくなることがあり得る。一方、ゾル分のMwが3×10よりも大きすぎると、被着体表面に対する密着性が低下しやすくなる傾向にある。
ここで、ゾル分のMwとは、測定サンプル(典型的には、上記ゾル分)につき、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)測定を行って得られた標準ポリスチレン基準の重量平均分子量をいう。ゾル分のMwは、具体的には次の方法により測定される。
[重量平均分子量(Mw)測定方法]
粘着剤を酢酸エチルに浸し、室温にて7日間浸漬して可溶分を溶出させ、当該可溶分の抽出液を乾燥させて測定サンプルを得る。測定サンプルは、例えば上記ゲル分率測定の際に酢酸エチル中に溶出したポリマーを室温下で乾燥させて得てもよい。この測定サンプルをテトラヒドロフラン(THF)に再溶解し、0.1重量%のTHF溶液を調製する。このTHF溶液を平均孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液(分子量測定用の試料溶液)につき、GPC測定装置により標準ポリスチレン基準のMwを求める。GPC測定装置としては、東ソー株式会社製の機種名「HLC−8320GPC」を用いるとよい。測定条件は以下のとおりとするとよい。
[GPC測定条件]
カラム:TSKgel GMH−H(S)×2
カラムサイズ:7.8mmI.D.×300mm
検出器:示差屈折計
溶離液:THF
流速:0.5mL/分
測定温度:40℃
サンプル注入量:100μL
好ましい一態様に係る表面保護シートは、粘着力比(S/S)が凡そ5以下である。このように粘着力の経時上昇が抑制された表面保護シートによると、被着体(保護対象物)への貼付作業性と、該被着体からの除去作業性(剥離作業性)をバランスよく両立するものとなり得るので好ましい。粘着力比が凡そ4以下(好ましくは凡そ3以下、より好ましくは凡そ2以下、例えば凡そ1.5以下)である表面保護シートによると、より良好な剥離作業性が得られる傾向にある。一態様において、粘着力比は、凡そ1.3以下であってもよく、凡そ1.1以下であってもよい。また、被着体の保護性能の観点から、表面保護シートの粘着力比は、通常、凡そ0.5以上であることが適当であり、凡そ0.7以上(例えば凡そ0.8以上)であることが好ましい。
粘着力比は、SUS板に貼り付けて23℃で30分間保持した後に引張速度30m/分、剥離角度180度の条件で測定される粘着力(初期粘着力)Sと、SUS板に貼り付けて50℃に168時間保持した後に引張速度30m/分、剥離角度180度の条件で測定される粘着力(経時後粘着力)Sとから求めることができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法で初期粘着力Sおよび経時後粘着力Sを測定し、粘着力比を求めることができる。
初期粘着力Sは、特に限定されないが、通常は1.0N/20mm以上が適当であり、2.0N/20mm以上であることが好ましい。一態様において、初期粘着力Sは、4.0N/20mm以上であってもよく、6.0N/20mm以上であってもよい。また、初期粘着力Sは、例えば15N/20mm以下とすることができ、表面保護シート貼付け時のリワーク性(貼り直し性)の観点から10N/20mm以下が好ましく、例えば8.0N/20mm以下がより好ましい。一態様において、初期粘着力Sは、8.0N/20mm以下であってよく、7.0N/20mm以下であってもよく、さらには5.0N/20mm以下(例えば3.0N/20mm以下)であってもよい。
経時後粘着力Sは、特に限定されないが、通常は20N/20mm以下が適当であり、剥離時の作業負担を軽減する観点から15N/20mm以下が適当であり、12N/20mm以下が好ましい。また、保護性能の確実性を高める観点から、経時後粘着力Sは、2.0N/20mm以上であることが好ましく、3.0N/20mm以上(例えば4.0N/20mm以上)であることがより好ましい。一態様において、経時後粘着力Sは、6.0N/20mm以上であってよく、8.0N/20mm以上であってもよい。
好ましい一態様では、表面保護シートは透明(半透明を包含する。)である。このような表面保護シートは、例えば、被着体に貼り付けられた状態のまま該被着体表面の外観検査が実施されることを含む態様で好ましく使用され得る。ここに開示される表面保護シートは、外観品質に優れる(例えば、被着体表面の欠点と混同されるような凹みやスジ等の外観欠点が少ない)ことから、該表面保護シート越しに被着体表面の外観検査を行う使用態様における検査精度の向上に貢献し得る。表面保護シートは、具体的には、50%以上の全光線透過率を示すものであり得る。また、表面保護シートのヘイズ値は30%以下(例えば20%以下)であることが好ましい。
また、表面保護シートは、被着体に貼り合わせる際の圧力や該被着体に貼り付けられた状態が長時間継続することにより、該表面保護シートの粘着剤層表面(粘着面)に存在する凹部等の欠陥が被着体の表面形状を変形させてしまうことがあり得る。ここに開示される表面保護シートは、水分散型粘着剤組成物の泡立ち等に起因する粘着剤層への気泡混入や、上記粘着剤組成物のはじきによる粘着剤層表面の凹部が抑制されていることにより、粘着剤層表面の平滑性に優れる傾向にある。したがって、この表面保護シートが貼り付けられた表面(被着体表面)に変形を生じにくいものとなり得る。
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
(1) アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを凡そ40重量%以上凡そ99.9重量%以下含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、EO付加モル数が凡そ1以上凡そ30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と、を含む水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、
第一面および第二面を有するシート形状であって上記粘着剤層を上記第一面上に支持する支持基材と
を含む、表面保護シート。
(2) 上記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記(1)に記載の表面保護シート。
(3) 上記粘着剤層のゲル分率が凡そ70重量%以上凡そ99重量%以下である、上記(1)または(2)に記載の表面保護シート。
(4) 上記粘着剤層の厚さが10μm未満(例えば、凡そ3μm以上凡そ8μm以下)である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の表面保護シート。
(5) 上記界面活性剤(B)のEO付加モル数が凡そ5以上凡そ25以下(例えば、凡そ5以上凡そ20以下)である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の表面保護シート。
(6) 上記オキシエチレン鎖に含まれるEO単位の数qは、該オキシエチレン鎖に含まれる繰返し単位の数pの70%以上である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の表面保護シート。
(7) 上記界面活性剤(B)は反応性界面活性剤である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の表面保護シート。
(8) 上記界面活性剤(B)は、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルオキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択されるラジカル重合性官能基を少なくとも一つ有するラジカル重合性反応性界面活性剤である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面保護シート。
(9) 上記粘着剤層は、オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)を含む、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の表面保護シート。
(10) 上記リン酸エステル(D)は、リン酸のモノエステル、リン酸のジエステル、またはリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとを含む混合物であり、上記オキシエチレン鎖のEO付加モル数は1〜4程度である、上記(9)に記載の表面保護シート。
(11) 上記粘着剤層は、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤およびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤で架橋している、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の表面保護シート。
(12) ステンレス鋼板に貼り付けて23℃で30分間保持した後の粘着力Sに対する、ステンレス鋼板に貼り付けて50℃に168時間保持した後の粘着力Sの比として定義される粘着力比(S/S)が凡そ5以下である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の表面保護シート。
(13) 上記支持基材は、少なくとも上記第一面がポリオレフィン系樹脂により構成されている、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の表面保護シート。
(14) 上記第一面を構成するポリオレフィン系樹脂は、LDPEを凡そ50重量%超の割合で含むLDPE樹脂またはLLDPEを凡そ50重量%超の割合で含むLLDPE樹脂である、上記(13)に記載の表面保護シート。
(15) 上記支持基材の上記第一面はコロナ放電処理面である、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の表面保護シート。
(16) 上記支持基材は凡そ50%以上の全光線透過率を有する、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の表面保護シート。
(17) 上記表面保護シートは凡そ50%以上の全光線透過率を有する、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の表面保護シート。
(18) アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを凡そ40重量%以上凡そ99.9重量%以下含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、
EO付加モル数が凡そ1以上凡そ30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、
アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と
を含む、表面保護シート用水分散型粘着剤組成物。
(19) 上記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記(18)に記載の水分散型粘着剤組成物。
(20) 上記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)の含有量は、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.5重量部以上凡そ10重量部以下である、上記(18)または(19)に記載の水分散型粘着剤組成物。
(21) 上記界面活性剤(B)のEO付加モル数が凡そ5以上凡そ25以下(例えば、凡そ5以上凡そ20以下)である、上記(18)〜(20)のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物。
(22) 上記界面活性剤(B)は反応性界面活性剤を含む、上記(18)〜(21)のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物。
(23) 上記界面活性剤(B)は、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルオキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択されるラジカル重合性官能基を少なくとも一つ有するラジカル重合性反応性界面活性剤である、上記(18)〜(22)のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物。
(24) オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)をさらに含む、上記(18)〜(23)のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物。
(25) 上記リン酸エステル(D)は、リン酸のモノエステル、リン酸のジエステル、またはリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとを含む混合物であり、上記オキシエチレン鎖のEO付加モル数は1〜4程度である、上記(24)に記載の水分散型粘着剤組成物。
(26) 上記リン酸エステル(D)の含有量は、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.05重量部以上凡そ5重量部以下である、上記(24)または(25)に記載の水分散型粘着剤組成物。
(27) エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤およびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤を含む、上記(18)〜(26)のいずれかに記載の水分散型粘着剤組成物。
(28) アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを凡そ40重量%以上凡そ99.9重量%以下含有するモノマー原料を、EO付加モル数が凡そ1以上凡そ30以下のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)の存在下で重合させてアクリル系ポリマー(A)の水分散液を得る重合工程と、
上記アクリル系ポリマー(A)の水分散液にアルキレングリコールアルキルエーテル(C)を添加する調合工程と
を含む、水分散型粘着剤組成物の製造方法。
(29) 上記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)の添加量は、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.5重量部以上凡そ10重量部以下である、上記(28)に記載の方法。
(30) 上記界面活性剤(B)は、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニルオキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択されるラジカル重合性官能基を少なくとも一つ有するラジカル重合性反応性界面活性剤を含む、上記(28)または(29)に記載の方法。
(31) 上記界面活性剤(B)の使用量は、上記モノマー原料100重量部に対して凡そ0.1重量部以上凡そ5重量部以下である、上記(28)〜(30)のいずれかに記載の方法。
(32) 上記調合工程では、上記アクリル系ポリマー(A)の水分散液に、オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)をさらに添加する、上記(28)〜(31)のいずれかに記載の方法。
(33) 上記リン酸エステル(D)の添加量は、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.05重量部以上凡そ5重量部以下である、上記(32)に記載の方法。
(34) 上記調合工程では、上記アクリル系ポリマー(A)の水分散液に、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤およびシランカップリング剤からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤をさらに添加する、上記(28)〜(33)のいずれかに記載の方法。
(35) 上記架橋剤の添加量は、上記アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して凡そ0.01重量部以上凡そ5重量部以下である、上記(34)に記載の方法。
(36) 上記(18)〜(27)のいずれかの水分散型粘着剤組成物を用意する工程と、
第一面および第二面を有するシート形状の支持基材の上記第一面に上記水分散型粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成する工程と
を含む、表面保護シート製造方法。
(37) 上記(28)〜(35)のいずれかの方法で水分散型粘着剤組成物を製造する工程と、
第一面および第二面を有するシート形状の支持基材の上記第一面に上記水分散型粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成する工程と
を含む、表面保護シート製造方法。
(38) 上記粘着剤層を形成する工程では、厚さ10μm未満の粘着剤層を形成する、上記(36)または(37)に記載の方法。
(39) 上記支持基材は、少なくとも上記第一面がポリオレフィン系樹脂により構成されている、上記(36)〜(38)のいずれかに記載の方法。
(40) 上記支持基材は、単層のポリオレフィン系樹脂フィルムである、上記(36)〜(39)のいずれかに記載の方法。
以下、本発明に関連するいくつかの実験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。また、特記しない限り、各材料の使用量は有効成分量基準である。
<粘着シートの作製>
(例1)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)70部、n−ブチルメタクリレート(BMA)28部およびアクリル酸(AA)2部からなるモノマー原料と、界面活性剤S1(第一工業製薬社製の商品名「アクアロンKH−1025」、EO付加モル数30以下のポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム)2部および水150部とを混合し、窒素ガスを導入しながら乳化機(ホモミキサー)で乳化させることにより、モノマー原料の乳化液を調製した。
温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた反応容器に上記乳化液を入れ、窒素気流下で攪拌しながら液温50℃まで加熱した。これに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業社製、商品名「V−50」)0.03部を加え、液温を50℃付近に保って5時間重合反応を行った。得られた重合反応液にアンモニア水を加えてpHを8程度に調整した。このようにしてアクリル系ポリマーの水分散液を調製した。
この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGB、関東化学社製)4部と架橋剤C1(DIC社製のエポキシ系架橋剤、商品名「エピクロンCR−5L」)2部とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。
この粘着剤組成物を、片面にコロナ放電処理が施された厚さ55μmのポリエチレンフィルムのコロナ処理面(第一面)に、乾燥後の厚さが6μmとなるようにバーコーターで塗布した。これを70℃で2分間乾燥した後、50℃で1日間エージングして、本例に係る粘着シートを得た。
(例2)
モノマー原料の組成を表1に示すように変更した他は例1と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、関東化学社製)4部と上記エポキシ系架橋剤2部とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例3)
モノマー原料の組成を表1に示すように変更した他は例1と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、4部のプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、関東化学社製)と、2部の架橋剤C2(DIC社製のイソシアネート系架橋剤、商品名「バーノックDNW−6000」)とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例4)
モノマー原料の組成を表1に示すように変更した他は例1と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、4部のプロピレングリコールジメチルエーテル(PGDM、関東化学社製)と2部の架橋剤C2とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例5)
例1で調製したアクリル系ポリマー水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、2部のPGPと、2部の架橋剤C2と、オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(東邦化学工業社製、商品名「フォスファノールRS−410」、EO付加モル数の平均値が3であり、炭素原子数13のアルキル基を有するリン酸エステル)1部とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例6)
界面活性剤S1に代えて界面活性剤S2(第一工業製薬社製、商品名「アクアロンAR−2020」、EO付加モル数30以下のオキシエチレン鎖を有する反応性界面活性剤)を用いた他は例2と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、4部のPGPおよび2部の架橋剤C1を混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例7)
界面活性剤S1に代えて界面活性剤S3(花王社製、商品名「ラテムルPD−430」、EO付加モル数30以下のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル)を用いた他は例1と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。界面活性剤S3の有するオキシエチレン鎖はEO単位およびBO単位を含む。この水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、4部のPGPおよび2部の架橋剤C1を混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例8)
界面活性剤S1に代えて界面活性剤S4(三洋化成社製、商品名「エレミノールJS−20」、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム)を用いた他は例1と同様にして、アクリル系ポリマーの水分散液を調製した。この水分散液に、該水分散液の不揮発分100部に対し、4部のPGPおよび2部の架橋剤C1を混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例9)
EGBを使用しない他は例1と同様にして、本例に係る粘着剤組成物を調製し、この粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。
(例10)
架橋剤C1に代えて架橋剤C2を用いた他は例9と同様にして、本例に係る粘着剤組成物を調製し、この粘着剤組成物を用いて粘着シートを作製した。
(例11)
例1で調製したアクリル系ポリマー水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、消泡剤(日信化学工業社製、商品名「サーフィノール104PA」)1部と、2部の架橋剤C1とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
(例12)
例1で調製したアクリル系ポリマー水分散液に、該水分散液に含まれる不揮発分100部に対し、消泡剤(ADEKA社製、商品名「プルロニック17R−2」)1部と、2部の架橋剤C2とを混合して、本例に係る粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、本例に係る粘着シートを作製した。
<測定および評価>
(消泡性)
内径35mm、長さ78mmの円筒状ガラス容器に、各例において調製した粘着剤組成物20gを入れ、このときの液面高さ(容器内部の底面から液面までの距離)Hを測定した。上記ガラス容器に蓋をし、23℃×50%RHの標準環境下で手動にて上下(長さ方向)に1分間振とうすることにより、容器内の粘着剤組成物を強制的に泡立たせた。振とう終了直後の液面の高さ(泡の上端までの高さ。以下同じ。)Hを測定した。次いで、上記ガラス容器を23℃×50%RHの標準環境下に静置し、振とう終了から5分後および180分後の液面高さH,Hを測定した。得られた各液面高さを用いて、以下の式により5分後および180分後の泡残存率[%]を算出した。
5分後泡残存率[%]=(H−H)/(H−H)×100
180分後泡残存率[%]=(H−H)/(H−H)×100
得られた泡残存率の値から、以下の基準で粘着剤組成物の消泡性を評価した。
[5分後]
G:泡残存率80%未満(消泡性良好)
A:泡残存率80%以上90%未満(実用上十分な消泡性を有する)
P:泡残存率90%以上(消泡性に乏しい)
[180分後]
G:泡残存率60%未満(消泡性良好)
A:泡残存率60%以上70%未満(実用上十分な消泡性を有する)
P:泡残存率70%以上(消泡性に乏しい)
(水分散液安定性)
各例において調製した粘着剤組成物に蒸留水を添加して、不揮発分含量(NV)10重量%の濃度に希釈した。この希釈液5gをガラス製容器に入れ、ここに0.1mol/L濃度のCaCl水溶液30mgを添加して、凝集物発生の有無を目視で観察した。その結果から、以下の2段階で水分散安定性を評価した。
G:凝集物の発生が認められない(水分散安定性良好)
P:凝集物の発生が認められる(水分散安定性に乏しい)
(はじき防止性)
各例により作製した粘着シートについて、乾燥後の粘着剤層表面を目視で観察し、幅25cm、長さ35cmの長方形状の領域内に存在するはじきの数をカウントした。その結果を以下の3段階で評価した。
G:はじきが認められないか、はじきの数が1以下である(はじき防止性良好)
A:はじきの数が2個以上5個以下である(実用上十分なはじき防止性を有する)
P:はじきの数が6個以上である(はじき防止性に乏しい)
(粘着力および粘着力比)
[初期粘着力S
各例に係る粘着シートを、幅20mm、長さ100mmのサイズの短冊状にカットして試験片を作製した。この試験片の粘着面を被着体としてのステンレス鋼板(SUS430BA板)に、JIS Z0237に規定する2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。このサンプルを23℃×50%RHの標準環境下に30分間放置した後、該標準環境下にて、万能引張試験機を用いて、引張速度30m/分、剥離角度180度の条件で剥離強度(初期粘着力)S[N/20mm]を測定した。
[経時後粘着力S
上記初期粘着力Sの測定と同様にして、試験片を被着体に圧着した。このサンプルを、50℃の環境下に168時間放置し、次いで23℃×50%RHの標準環境下に6時間放置した後、上記初期粘着力Sの測定と同様の条件で剥離強度(経時後粘着力)S[N/20mm]を測定した。
[粘着力比]
上記で得られた初期粘着力(S)および経時後粘着力(S)から、粘着力比(S/S)を算出した。その粘着力比の値から、以下の3水準で粘着力安定性を評価した。
E:粘着力比が1.1以下(粘着力安定性に優れる)
G:粘着力比が1.1より大きく2.5以下(粘着力安定性良好)
P:粘着力比が2.5より大きい(粘着力安定性に乏しい)
得られた結果を、上述の方法で求めたゲル分率とともに表1に示す。
Figure 2018016677
表1に示されるように、EO付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(界面活性剤S1〜S3)およびアルキレングリコールアルキルエーテル(添加剤A1〜A4)を用いた例1〜7によると、外観欠点の防止に適した性質(消泡性、はじき防止性、水分散安定性)を示す粘着剤組成物が得られた。また、例1〜7に係る粘着シートはいずれも表面保護シートとして好適な粘着力および粘着力安定性を示した。例1〜6の粘着剤組成物は特に消泡性が良好であった。オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(添加剤A7)を用いて得られた例5の粘着シートは、特に優れた粘着力安定性を示した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 :支持基材
1A:第一面(前面)
1B:第二面(背面)
2 :粘着剤層
2A:粘着面
10 :表面保護シート

Claims (10)

  1. アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、エチレンオキシド付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と、を含む水分散型粘着剤組成物から形成された粘着剤層と、
    第一面および第二面を有するシート形状であって前記粘着剤層を前記第一面上に支持する支持基材と
    を含む、表面保護シート。
  2. 前記アルキレングリコールアルキルエーテル(C)として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の表面保護シート。
  3. 前記粘着剤層のゲル分率が70〜99重量%である、請求項1または2に記載の表面保護シート。
  4. 前記界面活性剤(B)のエチレンオキシド付加モル数が5〜25である、請求項1から3のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  5. 前記界面活性剤(B)は反応性界面活性剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  6. 前記粘着剤層は、オキシエチレン鎖を有するリン酸エステル(D)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  7. ステンレス鋼板に貼り付けて23℃で30分間保持した後の粘着力Sに対する、ステンレス鋼板に貼り付けて50℃に168時間保持した後の粘着力Sの比として定義される粘着力比(S/S)が5以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  8. 前記支持基材は、少なくとも前記第一面がポリオレフィン系樹脂により構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  9. 前記表面保護シートは透明である、請求項1から8のいずれか一項に記載の表面保護シート。
  10. アルキル基の炭素原子数が4〜9のアルキルアクリレートを40〜99.9重量%含有するモノマー組成のアクリル系ポリマー(A)と、
    エチレンオキシド付加モル数1〜30のオキシエチレン鎖を有する界面活性剤(B)と、
    アルキレングリコールアルキルエーテル(C)と
    を含む、表面保護シート用水分散型粘着剤組成物。
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