JP2018016075A - ベント装置及びベント式射出成形機 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、従来のベント式射出成形機では、長さ方向の中途部に、外周に複数のスリットを設けたダム部を一体に備え、長さ方向でスクリュ前段部、ダム部、スクリュ後段部の3段構造となっている一体型のベントスクリュを用いていた(特許文献1参照。)。
すなわち、加熱筒内に供給されたゴム材料は、ベントスクリュの回転によりスクリュ前段部で混練されながらダム部へと送り出される。そして、ダム部のスリットを介して細糸状に押し出される際に、ゴム材料内に混入されているガスなどがゴム材料から分離され、かつ真空装置によって吸引排出される。そして、ガスが除去されたゴム材料がスクリュ後段部によってポット内へと押し出される。
このため、従来のベント式射出成形機では、ベント効果を変える場合には異なったダム部の形状にしたベントスクリュ全体を用意・交換しなければならなかった。このような構成のベントスクリュは大変高価であったため、材料によってベントスクリュ全体を交換しなければならないとすると部品コストの高騰化を招くとともに、その都度要する作業コストや作業時の手間を要していた。
また、仮にベント効果の小さいゴム材料を、ベント式射出成形機で射出した場合、単に高価で可塑化能力の低い射出成形機となってしまうという課題があった。すなわち、一般にベント効果と可塑化能力はトレードオフの関係にあるため、同一直径のスクリュを備えた通常(汎用)の射出成形機(ノーベント式射出成形装置)で射出した場合と比較すると、ベント式射出成形機で射出した場合には可塑化能力が約1/2に低減してしまう。
したがって、ベント効果の小さい材料を射出する場合にはノーベント式射出成形機を使用するほうが可塑化能力の点では好ましいが、ベント式射出成形機とノーベント式射出成形機の双方を有していなければならずコスト高騰化を招いてしまうという課題を有していた。
また、ベントスクリュの回転によりスクリュ前段部で混練されながらダム部へと送り出されたゴムは、スクリュ後段部によってポット内へと押し出されるが、ゴム材料の種類や計量設定等によっては、そのまま良好にダム部を通過した直後の空間領域に押し出されて行かず、ゴムがせり上がるベントアップが発生し得る。このようなベントアップが発生し、ゴムがダム部を通過直後の空間領域に詰まると真空引きができずベント効果が低下し、さらには射出成形機を停止させてしまうという課題があった。
さらに、射出スクリュ側への材料の良好な押し出し作動を付与し、ベントアップを防止して、ベント効果をさらに改善することにある。
第2の発明は、第1の発明において、前記脱気ユニットは、開閉可能で、かつ前記ダム部を出し入れ可能な蓋部を備えていることを特徴とする。
第3の発明のベント式射出成形機は、材料供給口を備えた第一加熱筒と、前記第一加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、前記第一加熱筒の下流側で、当該第一加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を脱気する真空装置と、を含む脱気ユニットと、前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、で構成されたベント装置と、前記ベント装置の連結部を着脱可能に連結する被連結部を含んで構成された第二加熱筒と、前記第1スクリュと交差し、前記第二加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記被連結部から供給された脱気後の材料を下流側へと送り出す第2スクリュと、で構成された射出装置と、にて構成されており、前記ダム部は、前記第1スクリュの先端にて着脱可能に備えられていることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記射出装置には、その上流側に、開閉可能な第二の材料供給口が備えられていることを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記第1スクリュの他端側は、同軸で、前記脱気ユニット側若しくは前記脱気ユニットの外側で軸支されていることを特徴とする。
第6の発明のベント装置は、材料供給口を備えた加熱筒と、前記加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、前記加熱筒の下流側で、当該加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を、真空引孔を介して外部へと脱気する真空装置と、前記脱気領域から真空引孔内へと上昇してきた材料を前記脱気領域へと押し返すベントクリーナと、を含む脱気ユニットと、前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、からなり、前記ダム部が、前記第1スクリュの先端にて着脱可能に備えられており、前記ダム部を挟んで、前記ダム部の先端側には、前記第1スクリュと同軸状に連結されるとともに、前記ダム部の先端面で回転可能に備えられ、前記射出装置へと前記脱気ユニットにて脱気された材料を強制的に送り出す第3スクリュが備えられていることを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明において、前記ダム部には、ダム部の外周面からダム部の中心方向に向けて所定深さをもって凹設され、材料を所定形状に送り出すスリットが設けられており、前記第3スクリュには、前記スリットの凹面よりも突出し、前記スリットを介して送り出されてきた材料を送る螺旋状の送りフライトと、前記射出装置へと送り出す位置から螺旋方向が逆方向に形成されている戻りフライトが形成されていることを特徴とする。
第8の発明のベント式射出成形機は、材料供給口を備えた第一加熱筒と、前記第一加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、前記第一加熱筒の下流側で、当該第一加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を、真空引孔を介して外部へと脱気する真空装置と、前記脱気領域から真空引孔内へと上昇してきた材料を前記脱気領域へと押し返すベントクリーナと、を含む脱気ユニットと、前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、で構成されたベント装置と、前記ベント装置の連結部を着脱可能に連結する被連結部を含んで構成された第二加熱筒と、前記第1スクリュと交差し、前記第二加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記被連結部から供給された脱気後の材料を下流側へと送り出す第2スクリュと、で構成された射出装置と、にて構成されており、前記ダム部を挟んで、前記ダム部の先端側には、前記第1スクリュと同軸状に連結されるとともに、前記ダム部の先端面で回転可能に備えられ、前記第2スクリュ側へと前記脱気ユニットにて脱気された材料を強制的に送り出す第3スクリュが備えられていることを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明において、前記第3スクリュの他端側は、同軸で、前記脱気ユニット側若しくは前記脱気ユニットの外側で軸支されていることを特徴とする。
また、射出スクリュ側への材料の良好な押し出し作動を付与し、ベントアップを防止して、ベント効果をさらに改善することができた。
「第一実施形態」
ベント式射出成形機1は、図1に示すように、ベント装置10と射出装置20との位置関係は、側面視では、ベント装置10が射出装置20の鉛直方向上方にあって、脱気ユニット12を介して、ベント装置10の連結部16と着脱可能に射出装置20の被連結部24とで連結している(連結部分は図4参照。)。また、図2に示すように、平面視では、脱気ユニット12を中心として、所定の角度α(本実施形態では略90度。)を持ってベント装置10と射出装置20と交差させて連結している。これにより、ベント装置10と射出装置20による重量を分散させて、装置全体のバランスを図っている。
本実施形態のベント装置10は、図3に示すように、材料供給口13aを備えた加熱筒13と、加熱筒13内にて回転可能に備えられ、材料供給口13aから供給されたゴム材料30を混練して下流側へと送り出すベントスクリュ(以下、第1スクリュという。)11と、加熱筒13の下流側で、当該加熱筒13と連通状に備えられる脱気ユニット12bと、脱気ユニット12bにて真空脱気(以下、単に脱気という。)された材料を、射出装置20へと送る通路として機能する連結部16から構成される。
なお、ベント装置10における、加熱筒13の温度調整、第1スクリュ11の回転数、真空装置(図示せず)による減圧等は、図示しない制御部によって制御されており任意に設定することができる。
なお、本実施形態では、外周に巻き付けたジャケット13cのパイプ内に油を流す方法であるが水を流す方法でもよい、
なお、油圧モータ15は、後述する射出装置20の油圧モータ25とは個別に回転数制御が可能としている。
脱気ユニット12は、加熱筒13の下流側に連通状に備えられるユニット筒部12bと、ユニット筒部12b内に備えられ、第1スクリュ11によって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部12aと、ダム部12aの下流側に位置する真空脱気する空間領域(以下、脱気領域という。)12dにて、ダム部12aによって所定形状に押し出されてきた材料を脱気する真空装置(図示せず)と、を含んで構成されている。
本実施形態のユニット筒部12bは、後述するダム部12aを配設する略円錐状に形成されたダム部配設領域12cと、ダム部配設領域12cの下流側にて、所定の奥行きを有する正面視で略アーチ状に形成され、ダム部12aを介して押し出されてきた材料が通過可能な脱気領域12dとを備えている(図3参照。)。
そして、脱気領域12dの上方位置には真空装置と連絡される真空引孔(ベントゾーン)12eが形成され、脱気領域12dの下方位置には、射出装置20と連絡される連結口12fが形成されている(図4、5参照。)。この連結口12fは、第1スクリュ(ベントスクリュ)の11が上側で、射出スクリュ(以下、第2スクリュという。)21が下側に重なり合うように交差した位置に設けられている。
また、本実施形態では、ダム部12aの先端面部12gと対向する前方位置に、開閉可能な蓋部17を備えている(図3参照。)。
そして、円筒状の第二の隙間12nによって円筒状に押し出される材料の薄膜形状が決定される。このように薄膜形状に押し出される際に、材料中に含まれていた不要なガスやエアーなどが押し出され脱気される。
なお、ダム部12aの形態は特に限定解釈されるものではなく、ベント効果の大小異なる材料に応じてその薄膜形状や細幅糸状形状などが得られる最適な形態が採用可能で、例えば、円筒形状部12lの外周に、第1スクリュ11の軸と非平行な細幅状のスリットを周方向に多数並設したものであってもよく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
そして、ガスが分離された糸状或いは薄膜状のゴム材料は、後述する射出装置20の上流側に矩形状孔に形成された被連結口23bに連通された連結口12fを介して供給される。
これに対し、本発明のベント装置では、スクリュ自体を交換しなくても、薄膜または糸状用のダム部に取り替えるだけで、薄膜または糸状に変形させることができる。これにより、汎用の射出成形機の一部を交換するだけで、ベント式射出成形機に変更できると共に、そのまま汎用の射出成形機としても使用でき、コスト低減及び資材購買、組み立ての点でも効率化を図ることができる。
上述した本実施形態のベント装置を、汎用の射出装置に連結して構成可能な本発明のベント式射出成形機1の一実施形態について説明する。
ベント式射出成形機1は、例えば、図3から図6に示すように、材料供給口13aを備えた第一加熱筒13と、第一加熱筒13内にて回転可能に備えられ、材料供給口13aから供給されたゴム材料30を混練して下流側へと送り出す第1スクリュ11と、第一加熱筒13の下流側で、当該第一加熱筒13と連通状に備えられるユニット筒部12bと、ユニット筒部12b内に備えられ、第1スクリュ11によって送り出されてきたゴム材料30を所定形状に押し出し可能なダム部12aと、ユニット筒部12b内でダム部12aの下流側に位置する脱気領域12dにて、ダム部12aによって所定形状に押し出されてきたゴム材料を脱気する真空装置(図示せず。)と、を含む脱気ユニット12と、脱気ユニット12にて脱気されたゴム材料30を、射出装置20へと送る通路として機能する連結部16と、で構成されたベント装置10と、ベント装置10の連結部16を着脱可能に連結する被連結部24を含んで構成された第二加熱筒23と、第二加熱筒23内にて回転可能に備えられ、被連結部24から供給された脱気後のゴム材料30を下流側へと送り出す射出スクリュ(以下、第2スクリュという。)21と、で構成された射出装置20と、にて構成されている。
なお、説明上、ベント装置10の加熱筒13と射出装置20の加熱筒を区別するため、ベント装置10の加熱筒を第一の加熱筒13とし、射出装置20の加熱筒を第二の加熱筒23とする。
ベント式射出成形機1の射出装置20は、図4に示すように、ベント装置10の連結部16を着脱可能に連結する被連結部24を含んで構成された第二加熱筒23と、第二加熱筒23内にて回転可能に備えられ、被連結部24から供給された脱気後の材料を下流側へと送り出す第2スクリュ21と、で構成されている。
なお、射出装置20における第二加熱筒23の温度調整、第2スクリュ21の回転数等は、図示しない制御部によって制御されており任意に設定することができる。
そして、射出スクリュ21に備えられたフライト21aの回転によって、再び混練及び可塑化され溶融状態となり、下流側にある先端のリティナ(逆流防止弁)26を通り、射出ブロック27内へと送られる。このリティナ(逆流防止弁)26は、本実施形態では、一般的なボールチェックを用いている。
(1)ベント装置の第一加熱筒13に設けられた材料供給口13aから筒本体13b内にゴム材料30がリボン状に順次供給される。(2)供給されたゴム材料30は、加熱筒13内で溶練されながら、ベントスクリュ11の回転作動により前方下流側へと送られる。(3)順次送り込まれたゴム材料30は、ダム部12aまで至り、テーパ状の第一の隙間によって材料が効率よく送り出され、第二の隙間で薄膜状に変形されたゴム材料30となって、ダム部12aの下流側に位置する脱気領域12dへと送り出される。(4)薄膜状に押し出されるように前記第二の隙間を通過する過程で、ゴム材料中に含まれていたエアやガスなどの不要成分などが弾き出されるとともに、真空装置の真空引き(減圧)により外部へと排出され除去される。(5)不要成分が無くなった薄膜状のゴム材料30は、射出装置20の被連結口23bに順次供給される。(6)供給された薄膜状のゴム材30料は、第二加熱筒23により温調されながら、射出スクリュ21の回転作動により前方(下流側)へと送られる。(7)順次送り込まれた薄膜状のゴム材料は、リティナ26を通り、射出ブロック27へと送り出される。
図8乃至図11は、第二実施形態を示す。本実施形態は、ベント装置の構成の一部が異なり、ダム部12aの先端側に、フィードスクリュ(以下、第3スクリュという。)を連結する実施形態である。なお、本実施形態では、図7(b)に示すダム部12aを採用しているが、第一実施形態と同様に図7(a)に示すダム部12aを採用することももちろん可能である。
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、第一加熱筒13と、第1スクリュ11と、脱気ユニット12と、を少なくとも含むベント装置10と、第二加熱筒23と、第2スクリュ21と、で構成された射出装置20を備えてベント式射出成形機を構成している。また、第一加熱筒13及び第1スクリュ11と、射出装置20とにあっては、第一実施形態と同様であるため、本実施形態では特有の構成についてのみ説明し、第一実施形態と同様の構成については第一実施形態の説明を援用して詳細な説明は省略する。
このように、本実施形態では、第3スクリュ31を有することから第1実施形態のユニット筒部12bよりも、軸方向に長く形成されたユニット筒部28が備えられている。
また、ユニット筒部28には、図示していないが、複数個所の穴が開けられて温油を流すことで温調を行っている。
また、送りフライト31aの螺旋状の開始位置(起端)は、ダム部12aのスリット12pから押し出される材料の出口を塞がないようにスリット12pから所定の隙間(距離)を有して形成されている。
なお、この実施形態では、スリット12pを用いたダム部12aを用いて説明したが、テーパ状の第一の隙間12m(図7(a)参照。)から押し出された薄膜状の材料でも、同様に作動することにより全ての材料を強制的に射出装置20側へと流しこむことができる。
このように、短い距離の送りフライト31aと戻りフライト31bを備える第3スクリュ31の回転によって、ダム部12aのスリット12pから押し出された材料を強制的に射出装置20側へ流し込むことができる(図10参照)。
この連結口28aは、ダム部12aのスリット12pの近傍ではなく、送りフライト31aの長さ分だけ下流側(図面では左側)に位置し、ユニット筒部28の平面断面視で略矩形状に形成されている。なお、図示に示していないが、当該位置の第2スクリュ21側の被連結の部分にも略矩形状の開口部が形成されている。
この軸受43により、材料と加熱筒13との摩擦による第1スクリュ11の回転軸線方向のスラスト荷重の緩和と、ダム部12aの径が第1スクリュ11の径よりも大きくダム部12aの傾斜部分に圧力が発生することによる第1スクリュ11とダム部12aの回転軸線の移動(図面では左側に移動)を抑え、安定したスクリュ回転を提供することができる。
この蓋部28dをユニット筒部28から取りはずすことで、第3スクリュ31又はダム部12aを交換することができる。
本実施形態のベントクリーナ50は、脱気領域12d内で堆積し真空引孔28cへと上昇してきた材料を押し返す押し戻し部材50bが備えられている。
このようにダム部12aが備えられたベント式射出装置に、第3スクリュ31とベントクリーナ50を備えたユニット筒部28を連結することで、従来からある射出装置において起こりうるベントアップを防ぎ、ベント効果をさらに向上させることができる。
なお、押し戻し部材50bの上下往復する周期等は、図示しない制御部によって制御されており任意に設定することができる。本実施形態では、一秒間に上下1往復のピストン動作をしている。
上述した第二実施形態のベント装置を連結して構成可能なベント式射出成形機の一実施形態について説明する。なお。ダム部12aまでの説明は、第一実施形態と重複するため説明を割愛し、以降の構成のみについて説明する。
この連結口28aは、ダム部12aのスリット12pの近傍ではなく、送りフライト31aの長さだけ下流側(図面では左側)に位置し、平面断面視で略矩形状に形成されている。
なお、押し戻し部材50bの上下往復する周期等は、図示しない制御部によって制御されており任意に設定することができる。本実施形態では、一秒間に上下1往復のピストン動作をしている。
したがって、第1スクリュ11及びダム部12aを通過した材料が第2スクリュ21に良好に流れていかないという問題があっても、第3スクリュ31によって、強制的に第2スクリュ21へ送り出すことができる。また、ベントクリーナ50の押し戻し部材50bにより脱気領域12dから真空引孔28cへ上昇してきた材料を押し戻さすことでベントアップしたり、ベント効果が低下することを無くすことができた。
[可塑化能力の試験条件]
・第1スクリュ(ベントスクリュ)回転数(rpm):35、60、77、95
・第2スクリュ(射出スクリュ)回転数(rpm):77、95
・軽量設定:100(mm)=384.8(cc)
・材料:ニトリルゴム硬度65°
・温調温度:80℃
・使用ダム部:幅1.5mmx深さ0.5mmx60ヵ所
・背圧設定:無し
・真空引き:有り、無し
・ベントクリーナ:有り
試験結果を下表の[表1]に示す。
試験No.1−1〜5−3は、全て本実施形態のベント式射出成形装置を示す。
[表1]
また、試験結果[表1]に基づいて作成した図11に示すように、第1スクリュ回転数と可塑化能力との関係は、斜め右肩上がりの直線となり、従来にあった高速回転になるに従い可塑化能力の上昇が頭打ちになるような特性はみられず、可塑化能力が非常に優れていることが分った。
さらに、真空引き有りの12回(試験材料 No.1−1〜4.4)の試験において、比重の標準偏差が0.0010しかなく、ベント効果のバラツキが殆ど無いことも分った。
第3スクリュの他の実施形態として、楕円形状のロータ(以下、楕円ロータという)を採用した実施形態について説明する。図12及び図13は第三実施形態を示す。
この楕円ロータ32は、図12に示すように、ユニット筒部40内に設けられ、ロータ(円筒形状支持軸)32dの軸方向のダム部12a側に楕円ロータ32が形成されている。この楕円ロータ32の軸方向長さL1は、連結入り口の軸方向幅及びベントクリーナ50の真空引孔(ベントゾーン)28cの軸方向幅と略同程度の長さである。
このように略同程度の幅に形成されていることで、ダム部12aのスリット12pから押し出された材料は、楕円ロータ32により、第2スクリュ21側の連結口28aに流れ込ませ、例えベントアップがあっても略同程度の幅を有する押し戻し部材51bの下降で強制的に押し戻し、また、広く確保された真空引孔(ベントゾーン)40aよって十分に脱気することができる。
これにより、楕円ロータ32が回転すると、ゴムは、長径部分の楕円の円弧(短い方の半径から長い方の半径)に沿って連結口28aに順次運ばれる。
このように連結することで、第1スクリュ11の駆動源である油圧モータ15により駆動され一体的に回転されるため楕円ロータ32の専用の駆動原を設ける必要がない。
この軸受43により、材料と加熱筒13との摩擦による楕円ロータ32の回転軸線方向のスラスト荷重の緩和と、ダム部12aの径が第1スクリュ11の径よりも大きくダム部12aの径が第1スクリュ11の径よりも大きくダム部12aの傾斜部分に圧力が発生することによる第1スクリュ11とダム部12aの回転軸線の移動(図面では左側に移動)を抑え、安定したスクリュ回転を提供することができる。
なお、ベントクリーナ51による減圧や油圧シリンダ51cによる押し戻し部材51bの上下作動する周期等は、図示しない制御部によって制御されており任意に設定することができる。本実施形態では、一秒間に上下1往復のピストン動作をしている。
この蓋部28dをユニット筒部28から取りはずすことで、楕円ロータ32又はダム部12aを交換することができる。
10 ベント装置
11 ベントスクリュ(第1スクリュ)
11a フライト
11b 回転軸端部
12 脱気ユニット
12a ダム部
12b ユニット筒部
12c ダム配設領域
12d 脱気領域
12e 真空引孔
12f 連結口
12g 先端面部
12h ダム部固定ボルト
12i 貫通孔
12j テーパ状
12k 逆円錐状部
12l 円筒形状部
12m 第一の隙間
12n 第二の隙間
12p スリット
12q 挿入孔
13 第一加熱筒(ベント装置の加熱筒)
13a 材料供給口
13b 筒本体
13c ジャケット
15 油圧モータ
15a 回転軸
16 連結部
17 脱気ユニット蓋部
20 射出装置
21 射出スクリュ(第2スクリュ)
21a フライト
23 第二加熱筒
23a 第二ジャケット
23b 被連結口孔
23c 第二材料供給口
23d 第二材料供給口蓋部
24 被連結部
25 油圧モータ
25a 回転軸
26 リティナ
27 射出ブロック
28、40 ユニット筒部
28d 蓋部
30 ゴム材料
31 フィードスクリュ(第3スクリュ)
31a 送りフライト
31b 戻りフライト
32 楕円ロータ
43 軸受
40a 真空引孔(ベントゾーン)
41 パッキン(密封装置)
42 滑り軸受
50、51 ベントクリーナ
50a、51a 真空引き通路
50b、51b 押し戻し部材
50c、51c 油圧シリンダ
Claims (9)
- 材料供給口を備えた加熱筒と、
前記加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、
前記加熱筒の下流側で、当該加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を脱気する真空装置と、を含む脱気ユニットと、
前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、からなり、
前記ダム部は、前記第1スクリュの先端にて着脱可能に備えられていることを特徴とするベント装置。 - 前記脱気ユニットは、開閉可能で、かつ前記ダム部を出し入れ可能な蓋部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のベント装置。
- 材料供給口を備えた第一加熱筒と、
前記第一加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、
前記第一加熱筒の下流側で、当該第一加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を脱気する真空装置と、を含む脱気ユニットと、
前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、で構成されたベント装置と、
前記ベント装置の連結部を着脱可能に連結する被連結部を含んで構成された第二加熱筒と、前記第1スクリュと交差し、前記第二加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記被連結部から供給された脱気後の材料を下流側へと送り出す第2スクリュと、で構成された射出装置と、
にて構成されており、
前記ダム部は、前記第1スクリュの先端にて着脱可能に備えられていることを特徴とするベント式射出成形機。 - 前記射出装置には、その上流側に、開閉可能な第二の材料供給口が備えられていることを特徴とする請求項3に記載のベント式射出成形機。
- 前記第1スクリュの他端側は、同軸で、前記脱気ユニット側若しくは前記脱気ユニットの外側で軸支されていることを特徴とする請求項4に記載のベント式射出成形機。
- 材料供給口を備えた加熱筒と、
前記加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、
前記加熱筒の下流側で、当該加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を、真空引孔を介して外部へと脱気する真空装置と、前記脱気領域から真空引孔内へと上昇してきた材料を前記脱気領域へと押し返すベントクリーナと、を含む脱気ユニットと、
前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、からなり、
前記ダム部が、前記第1スクリュの先端にて着脱可能に備えられており、
前記ダム部を挟んで、前記ダム部の先端側には、前記第1スクリュと同軸状に連結されるとともに、前記ダム部の先端面で回転可能に備えられ、前記射出装置へと前記脱気ユニットにて脱気された材料を強制的に送り出す第3スクリュが備えられていることを特徴とするベント装置。 - 前記ダム部には、ダム部の外周面からダム部の中心方向に向けて所定深さをもって凹設され、材料を所定形状に送り出すスリットが設けられており、
前記第3スクリュには、前記スリットの凹面よりも突出し、前記スリットを介して送り出されてきた材料を送る螺旋状の送りフライトと、前記射出装置へと送り出す位置から螺旋方向が逆方向に形成されている戻りフライトが形成されていることを特徴とする請求項6に記載のベント装置。 - 材料供給口を備えた第一加熱筒と、
前記第一加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記材料供給口から供給された材料を混練して下流側へと送り出す第1スクリュと、
前記第一加熱筒の下流側で、当該第一加熱筒と連通状に備えられるユニット筒部と、前記ユニット筒部内に備えられ、前記第1スクリュによって送り出されてきた材料を所定形状に押し出し可能なダム部と、前記ユニット筒部内で前記ダム部の下流側に位置する脱気領域にて、前記ダム部によって所定形状に押し出されてきた材料を、真空引孔を介して外部へと脱気する真空装置と、前記脱気領域から真空引孔内へと上昇してきた材料を前記脱気領域へと押し返すベントクリーナと、を含む脱気ユニットと、
前記脱気ユニットにて脱気された材料を、射出装置へと送る通路として機能する連結部と、で構成されたベント装置と、
前記ベント装置の連結部を着脱可能に連結する被連結部を含んで構成された第二加熱筒と、前記第1スクリュと交差し、前記第二加熱筒内にて回転可能に備えられ、前記被連結部から供給された脱気後の材料を下流側へと送り出す第2スクリュと、で構成された射出装置と、
にて構成されており、
前記ダム部を挟んで、前記ダム部の先端側には、前記第1スクリュと同軸状に連結されるとともに、前記ダム部の先端面で回転可能に備えられ、前記第2スクリュ側へと前記脱気ユニットにて脱気された材料を強制的に送り出す第3スクリュが備えられていることを特徴とするベント式射出成形機。 - 前記第3スクリュの他端側は、同軸で、前記脱気ユニット側若しくは前記脱気ユニットの外側で軸支されていることを特徴とする請求項8に記載のベント式射出成形機。
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