(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態における無線通信システム100の構成を示すブロック図である。無線通信システム100は、サーバ装置10、セルラ基地局装置20及び中継装置30を備える。中継装置30には、無線端末装置40が接続される。また、以下の説明では、中継装置30として、スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2及び自営無線基地局装置30−3を例に説明する。図1では、スマートフォン30−1には無線端末装置40−1〜40−3が接続され、無線LAN装置30−2には無線端末装置40−4〜40−5が接続され、自営無線基地局装置30−3には無線端末装置40−6〜40−9が接続されている。
サーバ装置10は、スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2及び自営無線基地局装置30−3のいずれかによって中継される無線端末装置40−1〜40−9が送信する情報を、セルラ基地局装置20−1、20−2、公衆網50−1、50−2を介して受信する。また、サーバ装置10は、無線端末装置40−1〜40−9の情報を中継するスマートフォン30−1、無線LAN装置30−2及び自営無線基地局装置30−3の中から、無線端末装置40−1〜40−9の中継先として適切な装置を選択する処理を行う。
セルラ基地局装置20は、例えば、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話網の通信方式により、スマートフォン30−1と、サーバ装置10とを接続する。公衆網50−1及び50−2は、網に接続する装置間を接続し、接続した装置間での情報の送受信を可能とする。
中継装置30は、無線端末装置40−1〜40−9が送信する情報を受信してサーバ装置10に中継する。
無線端末装置40−1〜40−9は、例えば、センサ端末、スマートフォン、カーナビゲーション装置、タグ等のM2M端末であり、各種の情報を測定し、測定した情報を低消費電力の狭帯域用無線通信方式、例えばBluetooth(登録商標)等により中継装置30に送信する。
なお、以下の説明では、中継装置30と記載する場合、スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2、自営無線基地局装置30−3のいずれかを示すものとし、無線端末装置40と示す場合、無線端末装置40−1〜40−9のいずれかを示すものとする。
中継装置30が、例えば、スマートフォン30−1の場合、無線端末装置40−1,40−2,40−3が送信する情報を受信して、携帯電話網の通信方式によりセルラ基地局装置20−1,20−2に送信する。セルラ基地局装置20−1は、スマートフォン30−1から受信した情報を公衆網50−1を通じてサーバ装置10に送信する。セルラ基地局装置20−2は、スマートフォン30−1から受信した情報をサーバ装置10に送信する。また、中継装置30が、無線LAN装置30−2や自営無線基地局装置30−3の場合、無線端末装置40−4〜40−9が送信する情報を受信し、受信した情報を公衆網50−2を通じてサーバ装置10に送信する。
図2は、第1実施形態における無線端末装置40の構成を示すブロック図である。無線端末装置40は、制御部401、電池402、電池残量測定部403、位置情報検出部404、通信部405、アンテナ406を備える。電池402は、制御部401を通じて無線端末装置40の各機能部に電力を供給する。電池残量測定部403は、電池402の残量値を測定して制御部401に出力する。位置情報検出部404は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機であり、無線端末装置40の位置情報を検出して制御部401に出力する。通信部405は、狭帯域用無線通信方式によりアンテナ406を介して中継装置30と情報の送受信を行う。制御部401は、無線端末装置40ごとに予め付与される無線端末装置ID(Identification)、収容先の中継装置30の中継装置ID等の情報を内部の記憶領域に記憶する。また、制御部401は、無線端末装置40がセンサ端末装置である場合、無線端末装置40が備える図示しないセンサに接続される。また、制御部401は、センサが測定した情報、電池残量値、位置情報、接続中の中継装置30の中継装置IDに無線端末装置IDを関連付けて通信部405を通じて中継装置30に送信する。
図3は、第1実施形態における中継装置30の構成を示すブロック図である。中継装置30は、制御部301、電池302、電池残量測定部303、第一通信部304、アンテナ305、品質測定部306、位置情報検出部307及び第二通信部308を備える。電池302は、制御部301を通じて中継装置30の各機能部に電力を供給する。電池残量測定部303は、電池302の残量値を測定して制御部301に出力する。第一通信部304は、狭帯域用無線通信方式によりアンテナ305を介して無線端末装置40と情報の送受信を行う。品質測定部306は、無線端末装置40が送信するパイロット信号を第一通信部304を通じて受信し、受信信号強度値を測定して制御部301に出力する。位置情報検出部307は、例えば、GPS受信機であり、中継装置30の位置情報を検出して制御部301に出力する。第二通信部308は、アンテナまたは有線ネットワークに接続され、例えば、携帯電話網または公衆網を通じてサーバ装置10との間で情報の送受信を行う。
制御部301は、中継装置30ごとに予め付与される中継装置IDや、収容している無線端末装置40の無線端末装置ID、収容している無線端末装置40の台数、収容能力を示すバッファ数等の情報を内部の記憶領域に記憶する。また、制御部301は、内部に記憶する情報や、無線端末装置40から受信した情報に中継装置IDを関連付けて第二通信部308を通じてサーバ装置10に送信する。また、制御部301は、サーバ装置10から品質測定部306を起動させる品質測定部起動指示信号を受信した場合、品質測定部306を起動する。
また、制御部301は、サーバ装置10からパイロット信号送信指示信号を受信した場合、第一通信部304を通じて該当する無線端末装置40へパイロット信号送信指示信号を送信する。また、制御部301は、サーバ装置10から無線端末装置40を収容する収容指示信号を受信した場合、第一通信部304を介して当該無線端末装置40に対して、送信タイミングや送信宛先等の制御信号を送信する制御プレーンのリンクの確立を行い、無線端末装置40がサーバ装置10との間で送受信する情報を中継する。
なお、図4で説明するように、中継装置30が、電池302によって電力が供給されるのではなく、外部の電源から電力の供給を受ける場合、中継装置30は、電池302と電池残量測定部303を備えない構成になる。
図4は、中継装置30が、それぞれ、スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2、自営無線基地局装置30−3である場合の構成を示すブロック図である。図3の中継装置30は、スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2、自営無線基地局装置30−3の構成のうち、実施形態の構成を説明するのに必要となる構成を示したものである。スマートフォン30−1、無線LAN装置30−2及び自営無線基地局装置30−3は、中継装置30の機能部と対応する機能部を備えており、対応する機能部には、「−1」、「−2」、「−3」等の枝番を付与して示している。例えば、中継装置30の制御部301に対応する機能部は、スマートフォン30−1では、制御部301−1であり、無線LAN装置30−2では、制御部301−2であり、自営無線基地局装置30−3では、制御部301−3である。
図4(a)に示すスマートフォン30−1では、図3に示す中継装置30の構成のうち、第一通信部304として狭帯域用無線送受信装置304−1が適用され、第二通信部308としてセルラ用無線送受信部308−1が適用される。セルラ用無線送受信部308−1は、セルラ用無線送受信部308−1に接続されるアンテナ309−1を介してセルラ基地局装置20−1又は20−2と情報の送受信を行う。
図4(b)に示す無線LAN装置30−2では、図3に示す中継装置30の構成のうち、電池302及び電池残量測定部303を備えず、第一通信部304として狭帯域用無線送受信装置304−2が適用され、第二通信部308として有線ネットワーク通信部308−2が適用され、無線LAN用送受信装置310−2及びアンテナ311−2を備える。有線ネットワーク通信部308−2は、公衆網50−2に接続される。無線LAN用送受信装置310−2は、アンテナ311−2を介して、無線端末装置40との間で無線LANによる通信を行う。
図4(c)に示す自営無線基地局装置30−3では、図3に示す中継装置30の構成のうち、電池302及び電池残量測定部303を備えず、第一通信部304として狭帯域用無線送受信装置304−3が適用され、第二通信部308として有線ネットワーク通信部308−3が適用される。有線ネットワーク通信部308−3は、公衆網50−2に接続される。
図5は、サーバ装置10の内部構成と、公衆網50−1、50−2及びセルラ基地局装置20−2との接続構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、無線端末装置情報記憶部101、中継装置情報記憶部102、品質情報記憶部103、中継装置選択部104、管理テーブル記憶部105、制御部106及び通信部107を備える。
無線端末装置情報記憶部101は、無線端末装置情報テーブルを記憶する。図6は、無線端末装置情報テーブルの具体例を示す図である。無線端末装置情報テーブルは、無線端末装置40に関する情報を表すレコード(以下「無線端末情報レコード」という。)を複数有する。無線端末情報レコードは、「無線端末装置ID」、「位置情報」、「電池残量値」及び「収容先中継装置ID」の項目を有している。
「無線端末装置ID」の項目には、無線端末装置40を識別するための識別情報が記録される。無線端末装置IDは、例えばMACアドレスである。「位置情報」の項目には、無線端末装置40の位置情報が記録される。位置情報は、例えば緯度、経度で表されてもよい。「電池残量値」の項目には、無線端末装置40の電池の残量を示す値が記録される。電池残量値は、例えば、百分率(%)の単位、すなわち完全に充電されている状態で100%を示す残量比の値として記録される。
「収容先中継装置ID」の項目には、無線端末装置40を収容している中継装置30を識別するための識別情報が記録される。収容先中継装置IDは、例えばMACアドレスである。なお、無線端末装置情報テーブルの各項目の情報は、無線端末装置40が中継装置30を介して送信する情報を通信部107を通じて制御部106が受信し、受信した制御部106によって記録される。
図5に戻って、サーバ装置10の説明を続ける。
中継装置情報記憶部102は、中継装置情報テーブルを記憶する。図7は、中継装置情報テーブルの具体例を示す図である。中継装置情報テーブルは、中継装置30に関する情報を表すレコード(以下「中継装置情報レコード」という。)を複数有する。中継装置情報レコードは、「中継装置ID」、「位置情報」、「収容中無線端末装置台数」、「電池残量値」、「収容能力(バッファ数)」、「収容台数の上限」及び「収容可能台数」の項目を有している。
「中継装置ID」の項目には、中継装置30を識別するための識別情報が記録される。中継装置IDは、例えばMACアドレスである。「位置情報」の項目には、中継装置30の位置情報が記録される。「収容中無線端末台数」、「収容能力(バッファ数)」、「収容台数の上限」、「収容可能台数」の項目に記録される値は、相互に関連があり、各々の項目に中継装置30が中継可能な無線端末装置40の台数に関する情報が記録される。「収容中無線端末装置台数」の項目には、現時点で中継装置30が収容している無線端末装置40の台数が記録される。
「電池残量値」の項目には、中継装置30の電池の残量を示す値が記録される。電池残量値は、例えば、百分率(%)の単位、すなわち完全に充電されている状態で100%を示す残量比の値として記録される。なお、中継装置30が、外部からの電力の供給を受けて動作する電源駆動型である無線LAN装置30−2や自営無線基地局装置30−3の場合、「電池残量値」の項目には「−」が記録される。
「収容能力(バッファ数)」の項目には、中継装置30が無線端末装置40を中継する通信能力を示す情報、例えばバッファ数が記録される。「収容台数の上限」の項目には、中継装置30が、現時点で中継することができる無線端末装置40の台数が記録される。収容台数の上限値は、「収容能力(バッファ数)」の項目に記録される値と、「電池残量値」の項目に記録される値に基づいて算出される。「収容可能台数」の項目には、「収容台数の上限」の項目に記録される台数から、「収容中無線端末装置台数」の項目に記録される台数を減算した値が記録される。
例えば、図7の中継装置IDが「12」の例では、1台の無線端末装置40を収容するのにバッファ数が「5」必要であるとすると、収容能力のバッファ数が「100」であることから、100÷5=20台の無線端末装置40を収容することができる。図7に示す中継装置IDが「12」の例では、電池残量値が80%であるため、20台×80%=16台が、現時点の中継装置30の「収容能力の上限」の台数となる。なお、中継装置IDが「12」の例では、「収容中無線端末装置台数」が7であるため、「収容可能台数」の台数は、16−7=9となる。
「中継装置ID」、「位置情報」、「収容中無線端末装置台数」、「電池残量値」及び「収容能力」の項目は、中継装置30が送信する情報を通信部107を通じて制御部106が受信し、受信した制御部106によって記録される。「収容台数の上限」と「収容可能台数」は、制御部106が、「収容能力」と「電池残量値」と「収容中無線端末装置台数」の項目に記録されている値に基づいて演算を行い、演算を行った制御部106によって記録される。
図5に戻って、サーバ装置10の説明を続ける。
品質情報記憶部103は、品質情報テーブルを記憶する。図8は、品質情報テーブルの具体例を示す図である。品質情報テーブルは、「中継装置ID」、「受信信号強度値」の項目を有している。「中継装置ID」の項目には、中継装置30を識別するための識別情報が記録される。「受信信号強度値」の項目には、無線端末装置40が送信するパイロット信号の受信信号強度値が記録される。なお、受信信号強度値は、dBmの単位で示されている。
図5に戻って、サーバ装置10の説明を続ける。
中継装置選択部104は、中継装置30の電池残量値などに基づいて、無線端末装置40の情報を中継するのに適切な中継装置30を選択する。
管理テーブル記憶部105は、中継装置選択部104が、中継装置30を選択する処理を行う際に生成する各種の管理テーブルを記憶する。
制御部106は、上記した構成の他に、通信部107を介して中継装置30や無線端末装置40との間で情報の送受信を行う。
通信部107は、公衆網50−1、50−2及びセルラ基地局装置20−2に接続する。
次に、無線通信システム100の動作について説明する。無線端末装置40は、定期的に、位置情報検出部404が検出する位置情報と、電池残量測定部403が測定する電池残量値と、収容先の中継装置30の中継装置IDとに自らの無線端末装置IDを関連付けて無線端末装置更新情報として中継装置30を介してサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の制御部106は、通信部107を通じて無線端末装置40から無線端末装置更新情報を受信すると、受信した無線端末装置更新情報に含まれる情報を無線端末装置情報記憶部101の無線端末装置情報テーブルに記録する。
(第1実施形態の中継装置選択処理)
次に、図9から図12を参照しつつ第1実施形態のサーバ装置10による中継装置選択処理について説明する。図9は、無線通信システム100における全体的な処理の流れを示すシーケンス図であり、図10は、サーバ装置10によって行われる処理を示すフローチャートである。なお、図9では、中継装置30を3台(中継装置30x、30y、30z)として説明する。また、図9において、3台の中継装置30x、30y、30zは、無線端末装置40の通信到達距離範囲内に設置されているものとする。
図10のステップSb1〜Sb3は、中継装置30によって定期的に行われる処理である。サーバ装置10の管理しているエリア内に存在する中継装置30は、定期的に位置情報検出部307が検出する位置情報と、電池302を備えている中継装置30の場合、電池残量測定部303が測定する電池302の電池残量値と、収容中の無線端末装置40の台数と、収容能力を示すバッファ数とに中継装置IDを関連付けて中継装置更新情報としてサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、当該中継装置更新情報を受信する(図10のステップSb1)。
サーバ装置10の制御部106は、通信部107を通じて中継装置30から中継装置更新情報を受信すると、中継装置IDと、位置情報と、収容中の無線端末装置40の台数と、電池残量値と、収容能力の情報を読み出して、中継装置情報記憶部102の中継装置情報テーブルに記録(図10のステップSb2)。サーバ装置10の制御部106は、「収容能力」と「電池残量値」の項目に記録されている情報に基づいて、以下の式(1)に基づいて、収容台数の上限値を算出し、「収容台数の上限」の項目に記録する。
図7に示す例では、上述したように、無線端末装置40を1台収容するのに「5」バッファが必要になるという前提で、「収容能力」の項目の値、すなわちバッファ数を「5」で除算して、式(1)の「端末の収容可能台数」を算出し、更に「電力残量値」の項目の値を乗算して収容台数の上限値を算出している。また、制御部106は、「収容台数の上限」の項目に記録されている値から、「収容中無線端末台数」の項目に記録されている値を減算して、収容可能台数を算出し、算出した収容可能台数の値を「収容可能台数」の項目に記録する(図10のステップSb3)。
3台の中継装置30x,30y,30zは、無線端末装置40の通信到達距離範囲内に設置されている。中継装置30x、30y、30は、いずれか1台が一定時間、無線端末装置40からの接続要求信号の受信の待ち受けを行う。例えば、中継装置30xが一定時間、接続要求信号の受信の待ち受けを行うと、次の一定時間は、中継装置30yまたは中継装置30zのいずれか1つが、接続要求信号の受信の待ち受けを行う。図9では、中継装置30xが、接続要求信号の受信の待ち受けを行っている例を示している。
無線端末装置40の制御部401は、電源がONになると、通信部405を通じて自装置の無線端末装置IDを含む接続要求信号を送信する。無線端末装置40は、中継装置30x、30y、30の待ち受け状態を示す情報を予め備えていないため、接続要求信号はブロードキャストにより送信する(図9のステップSa1)。中継装置30xの制御部301は、第一通信部304を通じて接続要求信号を受信すると、接続要求信号に自装置の中継装置IDを含めて第二通信部308を通じてサーバ装置10に接続要求信号を送信する(図9のステップSa2)。
サーバ装置10の制御部106は、いずれかの中継装置30x、30y、30zが、無線端末装置40が送信した接続要求信号を受信しているか否かを判定する(図10のステップSb4)。制御部106が、接続要求信号を受信していないと判定した場合、図10のステップSb1以降の処理を行う。一方、制御部106が、接続要求信号を受信していると判定した場合、サーバ装置10の中継装置選択部104は、接続要求信号に含まれる中継装置IDに基づいて、接続要求信号の送信元の中継装置30xの位置情報を中継装置情報記憶部102の中継装置情報テーブルから読み出す。中継装置選択部104は、読み出した中継装置30xの位置から半径R以内の範囲に存在する中継装置30を中継装置情報テーブルから検出する。ここでは、中継装置30x,30y,30zを検出したとする。ここで、Rの値は、無線端末装置40が備える通信部405が通信可能な距離の値である。
中継装置選択部104は、中継装置情報テーブルから検出した中継装置30x、30y、30zの各々に対応する品質測定部306x、306y、306zを起動する品質測定部起動指示信号を、中継装置30x、30y、30zに送信する(図9のステップSa3、図10のステップSb5)。
中継装置30x、30y、30zの各々に対応する制御部301x、301y、301zは、第二通信部308x、308y、308zを通じて当該品質測定部指示信号を受信すると、品質測定部306x、306y、306zを起動する。
サーバ装置10は、接続要求信号を受信した中継装置30xを通じて無線端末装置40にパイロット信号を送信させるパイロット信号送信指示信号を送信する。中継装置30xの制御部301xは、サーバ装置10からパイロット信号送信指示信号を受信すると、第一通信部304xを通じて無線端末装置40に対してパイロット信号送信指示信号を送信する(図9のステップSa4)。無線端末装置40の制御部401は、パイロット信号送信指示信号を受信すると自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を生成して送信する(図9のステップSa5)。なお、パイロット信号の送信はブロードキャストによって行われる。
中継装置30x、30y、30zの各々に対応する品質測定部306x、306y、306zは、第一通信部304x、304y、304zが受信したパイロット信号の受信信号強度を測定する(図9のステップSa6)。中継装置30x、30y、30zの制御部301x、301y、301zの各々は、品質測定部306x、306y、306zの各々が測定した受信信号強度値に対して、受信したパイロット信号に含まれている無線端末装置IDと、各々の中継装置IDを関連付けて第二通信部308x、308y、308zを通じてサーバ装置10に送信する。中継装置選択部104は、中継装置30x、30y、30zの各々から無線端末装置IDと中継装置IDが関連付けられた受信信号強度値を受信し、品質情報記憶部103に品質情報テーブルを生成して中継装置IDと受信信号強度値とを記録する(図9のステップSa7、図10のステップSb6)。
品質情報テーブルを生成すると、中継装置選択部104は、品質情報テーブルに記憶されている中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104は、読み出した中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの項目に記憶されている情報のうち、「位置情報」、「収容中無線端末装置台数」、「電池残量値」、「収容台数の上限」、「収容可能台数」の項目に記録されている情報を読み出す。中継装置選択部104は、読み出した情報に基づいて、図11に示す接続候補管理テーブルを生成して、管理テーブル記憶部105に記録する(図9のステップSa8)。なお、図11に示す接続候補管理テーブルは、中継装置IDが、「10」、「14」、「15」の3台についての中継装置情報テーブルの情報に基づいて生成されている。
中継装置選択部104は、生成した接続候補管理テーブルの「収容可能台数」の項目の値の合計値Mを算出する。中継装置選択部104は、接続要求信号を送信した無線端末装置40が複数存在する場合、無線端末装置40ごとに接続候補管理テーブルを生成して管理テーブル記憶部105に記憶させ、各々の無線端末装置40について「収容可能台数」の項目の値の合計値Mを算出する(図10のステップSb7)。
中継装置選択部104は、合計値Mが最小の無線端末装置40を選択する(図10のステップSb8)。中継装置選択部104は、品質情報テーブルから中継装置IDごとの受信信号強度値を読み出し、読み出した受信信号強度値と、予め定められる受信信号強度閾値Uとを比較し、受信信号強度値が、受信信号強度閾値U以上の場合、α=1とし、受信信号強度値が、受信信号強度閾値Uよりも小さい場合、式(2)によりαを算出する。
中継装置選択部104は、算出したαと、接続候補管理テーブルの「電池残量値」と、「収容中無線端末装置台数」と、「収容台数の上限」の項目に記憶されている値を読み出し、以下の式(3)にしたがって評価点を算出する。
なお、式(3)において、電源駆動の中継装置30については(電池残量値)に1を代入する。中継装置選択部104は、中継装置IDごとに評価点を算出し、中継装置IDに対応付けて、品質情報テーブルに記憶されている受信信号強度値と、算出した評価点とを接続候補管理テーブルに加えて、図12に示す接続候補管理テーブルを生成して管理テーブル記憶部105に記録する(ステップSb9)。中継装置選択部104は、接続候補管理テーブルの「評価点」が最大の中継装置30を、収容先の中継装置30として選択する(図9のステップSa9、図10のステップSb10)。
中継装置選択部104は、選択した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する。また、中継装置選択部104は、選択した中継装置30の情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている他の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルに含まれる「収容中無線端末装置台数」と「収容可能台数」の項目について、「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する(図10のステップSb11)。
中継装置選択部104は、ステップSb7において合計値Mを算出した全ての無線端末装置40について中継装置30が全て選択されているか否かを判定する(ステップSb12)。全ての無線端末装置40について中継装置30が選択した場合(ステップSb12−YES)、図10の処理が終了する。
一方、全ての無線端末装置40について中継装置30が選択できていない場合(ステップSb12−NO)、ステップSb8に戻り、「収容可能台数」の合計値Mが、既に処理を行った無線端末装置40を除いた中で、最小の無線端末装置40からステップSb9以降の処理を繰り返す。
図9のステップSa9において、中継装置選択部104が、中継装置30を選択すると、制御部106は、選択した中継装置30に対して当該無線端末装置40の無線端末装置IDを含む収容指示信号を送信する(図9のステップSa10)。なお、図9では、中継装置選択部104が、中継装置30yを選択した例を示している。中継装置30yの制御部301yは、収容指示信号に含まれる無線端末装置IDを読み出して、当該無線端末装置IDに対応する無線端末装置40に対して制御信号の送信を行う制御プレーンを構築してリンク確立を行う(図9のステップSa11)。
上記の第1実施形態において、サーバ装置10は、中継装置30ごとに、中継装置30の電池残量値と、中継装置30が中継可能な無線端末装置40の台数に関する情報とを中継装置情報記憶部102に記憶させる。無線端末装置40が送受信する情報を中継する候補となる中継装置30が測定する無線端末装置の受信信号強度値と、中継装置情報記憶部102に記憶されている中継装置30に対応する電池残量値と、中継装置が中継可能な無線端末装置40の台数に関する情報とに基づいて、無線端末装置40が送受信する情報を中継する中継装置30を選択する。
これにより、中継装置30の電池切れによる通信断の発生を抑止しつつ、複数台の中継装置30から無線端末装置40にとって適切な中継装置30を選択することが可能となる。
また、上記の第1実施形態の構成により、サーバ装置10によって収容先を選択することで無線端末装置40の消費電力量を低減することができるとともに、中継装置30における負荷も低減することができる。また、無線端末装置40の収容先となる中継装置30の選択を行う際に、電池残量の多い中継装置30がより選択されるような重み付けをした評価式を適用しており、そのため、中継装置30の電池の消費を平均化し、電池切れを抑圧する効果を奏する。特に、電池駆動である事が多く低消費電力での運用が求められるM2M端末装置に対して効果を奏する。
また、上記の第1実施形態の構成により、図10のステップSb7及びSb8の処理を行うことにより、収容先の中継装置30の選択肢の少ない無線端末装置40から順に中継装置30の選択を行うことが可能となる。
また、図10のステップSb9の処理による評価点を算出することで、受信信号強度値が低い中継装置30は、受信信号強度値が高い中継装置30が無線端末装置40の収容先の候補として存在しない場合、または、収容先の候補となる中継装置30の収容可能台数が上限に達している場合に、収容先の候補として選択されるような運用が可能となる。
また、図10のステップSb9の処理による評価点を算出することで、収容無線端末装置台数が多い中継装置30が優先的に選択され、収容中の無線端末装置40がない中継装置30は選択される可能性が低くなる。そのため、中継装置30として使用される中継装置30の台数をできるだけ少なくすることが可能となる。これにより、より少ない中継装置30で運用を行うことで、中継装置30同士の干渉を低減することが可能となる。
また、上記の第1実施形態の構成に加えて、定期的に、中継装置30の電池残量を判定し、電池残量が閾値を下回る際には、無線端末装置40の収容先を他の中継装置30に切り替えることで、更に、中継装置30の電池切れによる通信断を回避することもできる。
なお、上記の第1実施形態において、図10に示す処理のうち、ステップSb1〜Sb3の処理は、中継装置30が定期的に、サーバ装置10に電池残量等の情報を送信するようにしているが、サーバ装置10の要求に応じて中継装置30が、当該情報を送信するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる処理を行うサーバ装置10a及び中継装置30aについて説明する。
図13は、第2実施形態におけるサーバ装置10aの内部構成と、公衆網50−1、50−2及びセルラ基地局装置20−2との接続構成を示すブロック図である。サーバ装置10aは、中継装置選択部104及び管理テーブル記憶部105に代えて中継装置選択部104a及び管理テーブル記憶部105aを備え、回線容量測定部108を新たに備える点でサーバ装置10と構成が異なる。サーバ装置10aのその他の構成については、サーバ装置10と同様である。そのため、サーバ装置10a全体の説明は省略し、中継装置選択部104a、管理テーブル記憶部105a及び回線容量測定部108についてのみ説明する。
管理テーブル記憶部105aは、接続候補管理テーブル及び回線容量管理テーブルを記憶する。図14は、回線容量管理テーブルの具体例を示す図である。回線容量管理テーブルは、「中継装置ID」、「バックホール回線」、「回線容量」及び「優先度」の項目を有する。「中継装置ID」の項目には、中継装置30を識別するための識別情報が記録される。「バックホール回線」には、サーバ装置10aと中継装置30aとの間の回線の種別を示す回線種別情報が記録される。「回線容量」には、サーバ装置10aによって測定されたサーバ装置10aと中継装置30aの間の回線容量値が記録される。「優先度」の項目には、無線端末装置40の収容先となる中継装置30aの優先順位を示す情報が記録される。
ここで、回線種別情報について説明する。例えば、第1実施形態の図1に示す例で説明すると、スマートフォン30−1については、セルラ基地局装置20−1又は20−2を介してサーバ装置10に接続している。この接続区間には、無線通信の区間が含まれており、当該無線通信の方式が例えば、LTEである場合、回線種別情報は、「LTE」となる。これに対して、無線LAN装置30−2や自営無線基地局装置30−3は、サーバ装置10とは全て有線通信で接続されているため、回線種別情報が「有線」となる。
図13に戻って、サーバ装置10aの説明を続ける。
回線容量測定部108は、通信部107を通じてパイロット信号を中継装置30aに送信する。また、回線容量測定部108は、パイロット信号に対する中継装置30aからの応答信号を受信するまでの時間を計測してサーバ装置10aと中継装置30aとの間の回線速度の値、すなわち回線容量値を算出する。また、回線容量測定部108は、パイロット信号に対する中継装置30aからの応答信号に含まれる中継装置IDと、中継装置30aの第二通信部308に接続されるバックホール回線の回線種別情報とを読み出す。
また、回線容量測定部108は、読み出した中継装置IDと、回線種別情報と、算出した回線容量値とを回線容量管理テーブルの「中継装置ID」、「バックホール回線」、「回線容量」の項目に記録し、記録した時点での回線容量値の大きい順に、「優先度」の項目に優先順位を記録する。
中継装置選択部104aは、2台以上の中継装置30aが収容先の候補として選択した場合、回線容量管理テーブルの「優先度」の項目に書き込まれている優先順位を示す情報にしたがって収容先の中継装置30aを選択する。
図14は、第2実施形態における中継装置30aの構成を示すブロック図である。中継装置30aは、制御部301に代えて制御部301aを備える点で中継装置30と構成が異なる。中継装置30aのその他の構成については、中継装置30と同様である。そのため、中継装置30a全体の説明は省略し、制御部301aについてのみ説明する。制御部301aは、内部の記憶領域に、第二通信部308が接続しているバックホール回線の回線種別情報を記憶する。また、制御部301aは、第二通信部308を通じてサーバ装置10aからパイロット信号を受信すると、第二通信部308が接続しているバックホール回線の回線種別情報と、自装置の中継装置IDとを含む応答信号を生成し、第二通信部308を通じてサーバ装置10aに送信する。
(第2実施形態の中継装置選択処理)
次に、図16を参照しつつ、第2実施形態によるサーバ装置10aによる中継装置選択処理について説明する。サーバ装置10aは、第1実施形態のステップSb1〜Sb7の処理を行う(ステップSc1)。サーバ装置10aの中継装置選択部104aは、合計値Mが最小の無線端末装置40を選択する(ステップSc2)。中継装置選択部104aは、品質情報テーブルから中継装置IDごとの受信信号強度値を読み出し、第1実施形態のステップSb9の処理により、読み出した受信信号強度値と、接続候補管理テーブルとに基づいて、各中継装置30aの評価点を算出し、受信信号強度値と評価点とを含む接続候補管理テーブルを生成する(ステップSc3)。
中継装置選択部104aは、評価点が最も高い中継装置30aが一台であるか否かを判定する(ステップSc4)。中継装置選択部104aは、評価点が最も高い中継装置30aが一台でないと判定した場合、接続候補管理テーブルから、最も高い評価点を有する複数の中継装置30aの各々に対応する中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104aは、読み出した複数の中継装置IDを回線容量測定部108に出力する。回線容量測定部108は、中継装置選択部104aが出力する複数の中継装置IDに対応する中継装置30aにパイロット信号を送信する。各々の中継装置30aは、サーバ装置10aからパイロット信号を受信すると、第二通信部308が接続しているバックホール回線の回線種別情報と、自装置の中継装置IDとを含む応答信号を生成し、第二通信部308を通じてサーバ装置10aに送信する。
サーバ装置10aの回線容量測定部108は、パイロット信号を送信してから、各々の中継装置30aから受信したパイロット信号の応答信号を受信するまでの時間から、各々の中継装置30aとの間の回線速度の値、すなわち回線容量値を算出する。回線容量測定部108は、応答信号に含まれる中継装置ID、回線種別情報、算出した回線容量値に基づいて回線容量管理テーブルを生成し、管理テーブル記憶部105に書き込んで記憶させる。回線容量測定部108は、回線容量管理テーブルの「回線容量」の項目を参照して、回線容量値が大きい順に優先順位を定めて、対応する「優先度」の項目に優先順位を記録する(ステップSc6)。
中継装置選択部104aは、回線容量管理テーブルを参照し、「優先度」の優先順位が「1」となっている中継装置IDに対応する中継装置30aを無線端末装置40の収容先の中継装置30aとして選択する(ステップSc7)。
一方、ステップSc4において、中継装置選択部104aが、評価点が最も高い中継装置30aが一台であると判定した場合、中継装置選択部104は、接続候補管理テーブルの「評価点」が最大の中継装置30aを、収容先の中継装置30aとして選択する(ステップSc5)。
中継装置選択部104aは、選択した中継装置30aに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する。また、中継装置選択部104aは、選択した中継装置30aの情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている他の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルに含まれる「収容中無線端末装置台数」と「収容可能台数」の項目について、「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する(ステップSc8)。
中継装置選択部104aは、ステップSc1において合計値Mを算出した全ての無線端末装置40について中継装置30が全て選択されているか否かを判定する(ステップSc9)。全ての無線端末装置40について中継装置30aが選択できていない場合、ステップSc2に戻り、「収容可能台数」の合計値Mが、既に処理を行った無線端末装置40を除いた中で最小の無線端末装置40からステップSc3以降の処理を繰り返す。
上記の第2実施形態の構成において、サーバ装置10aは、中継装置30aとの間の回線容量を測定する回線容量測定部108を備える。無線端末装置40が送受信する情報を中継する候補となる中継装置30aが測定する無線端末装置40の受信信号強度値と、中継装置情報記憶部102に記憶されている中継装置30aに対応する電池残量値と、中継装置が中継可能な無線端末装置40の台数に関する情報とに基づいて、無線端末装置40が送受信する情報を中継する中継装置30aを選択する際に、複数の中継装置30aを選択した場合、回線容量測定部108が測定する回線容量が大きい中継装置30aを選択する。
これにより、サーバ装置10aまでの回線容量が大きい中継装置30aが選択されることで、無線端末装置40は、より速く制御信号を受信することができ、また、より速く情報の送受信を行うことが可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる処理を行うサーバ装置10bについて説明する。図17は、第3実施形態におけるサーバ装置10bの内部構成と、公衆網50−1、50−2及びセルラ基地局装置20−2との接続構成を示すブロック図である。サーバ装置10bは、無線端末装置情報記憶部101、中継装置選択部104及び管理テーブル記憶部105に代えて無線端末装置情報記憶部101b、中継装置選択部104b及び管理テーブル記憶部105bを備え、タイムスロット管理テーブル生成部109を新たに備える点でサーバ装置10と構成が異なる。サーバ装置10bのその他の構成については、サーバ装置10と同様である。そのため、サーバ装置10b全体の説明は省略し、無線端末装置情報記憶部101b、中継装置選択部104b、管理テーブル記憶部105b及びタイムスロット管理テーブル生成部109についてのみ説明する。
タイムスロット管理テーブル生成部109は、全ての無線端末装置40を対象として、無線端末装置40ごとに後述するタイムスロット管理テーブルを生成する。また、タイムスロット管理テーブル生成部109は、生成したタイムスロット管理テーブルの各々に対応する無線端末装置40の無線端末装置IDを関連付けて管理テーブル記憶部105に書き込んで記憶させる。中継装置選択部104bは、タイムスロット管理テーブルに基づいて、無線端末装置40において切り替えが発生するか否かを判定し、中継装置30が切り替わると判定した場合、切り替え先の候補となる中継装置30に、無線端末装置40を収容させる。
無線端末装置情報記憶部101bは、無線端末装置情報テーブル及び切り替えフラグテーブルを記憶する。図18は、切り替えフラグテーブルの具体例を示す図である。切り替えフラグテーブルは、「無線端末装置ID」と、「切り替えフラグ」の項目を有する。「無線端末装置ID」の項目には、無線端末装置40を識別するための識別情報が記録される。「切り替えフラグ」の項目には、無線端末装置40が切り替えを行うと判定した場合「1」が記録される。なお、「切り替えフラグ」の初期値は「0」である。
図17に戻って、サーバ装置10bの説明を続ける。
管理テーブル記憶部105bは、接続候補管理テーブル及びタイムスロット管理テーブルを記憶する。図19は、タイムスロット管理テーブルの具体例を示す図である。タイムスロット管理テーブルは、「無線端末装置ID」、「タイムスロット」、「収容先中継装置ID」、「収容先中継装置位置情報」及び「受信信号強度値」の項目を有する。ここで、タイムスロット管理テーブル生成部109によるタイムスロット管理テーブルの生成処理について説明する。
中継装置30は、タイムスロットごとに、タイムスロットの番号と、収容している無線端末装置40の無線端末装置IDと、自装置の位置情報検出部307により検出した位置情報と、品質測定部306がタイムスロットごとに測定する収容中の無線端末装置40の受信信号強度値とに自装置の中継装置IDを関連付けてタイムスロット更新情報としてサーバ装置10bに送信する。なお、受信信号強度値の測定は、中継装置30の制御部301が、パイロット信号送信指示信号を無線端末装置40に送信する。当該パイロット信号送信指示信号を受信した無線端末装置40は、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信し、当該パイロット信号を受信した中継装置30の品質測定部306が受信信号強度値の測定を行うことによって行われる。
タイムスロット管理テーブル生成部109は、タイムスロット更新情報に含まれる無線端末装置IDを読み出し、読み出した無線端末装置IDごとにタイムスロット管理テーブルを生成する。すなわち、タイムスロット管理テーブル生成部109は、読み出した無線端末装置IDについてのタイムスロット管理テーブルが存在しない場合、テーブルを1つ生成して「無線端末装置ID」の項目に読み出した無線端末装置IDを記録する。
タイムスロット管理テーブル生成部109は、タイムスロット更新情報に含まれる残りの情報、すなわちタイムスロット番号、中継装置30の中継装置ID、中継装置30の位置情報、受信信号強度値を読み出し、読み出した各々を生成したタイムスロット管理テーブルの「タイムスロット」、「収容先中継装置ID」、「収容先中継装置位置情報」、「受信信号強度値」の項目に書き込む。一方、読み出した無線端末装置IDに対応するタイムスロット管理テーブルが既に存在する場合、タイムスロット管理テーブル生成部109は、当該タイムスロット管理テーブルに対して、タイムスロット更新情報に含まれるタイムスロット番号、中継装置30の中継装置ID、中継装置30の位置情報、受信信号強度値を追加して記録する。
(第3実施形態の中継装置選択処理)
次に、図20から図23を参照しつつ、第3実施形態のサーバ装置10bによる中継装置選択処理について説明する。中継装置選択部104bは、管理テーブル記憶部105bに記憶されている無線端末装置40ごとのタイムスロット管理テーブルを順に選択し、ステップSd1〜ステップSd7の処理を繰り返し行う(ループLd1)。
中継装置選択部104bは、選択したタイムスロット管理テーブルの「収容先中継装置ID」の項目を参照し、過去N個のタイムスロットにおける収容先の中継装置IDを読み出す(ステップSd1)。中継装置選択部104bは、過去N回における収容先の中継装置IDが全て同じか否かを判定する(ステップSd2)。
中継装置選択部104bは、過去N回における収容先の中継装置IDが全て同じでないと判定した場合(ステップSd2−NO)、収容先の中継装置IDが変わった前後、すなわち当該無線端末装置40が切り替えを行った前後に対応する「収容先中継装置位置情報」の項目から位置情報を読み出す。中継装置選択部104bは、読み出した2つの位置情報から2点間の距離を算出し、算出した距離が予め定められる閾値T以上であるか否かを判定する(ステップSd3)。
中継装置選択部104bは、2点間の距離、すなわち切り替え前後の収容先の中継装置30の距離が閾値T以上であると判定した場合(ステップSd3−YES)、ハンドオーバ(以下「HO」ともいう)が発生する可能性があるとして、切り替えフラグテーブルの当該無線端末装置40の無線端末装置IDに対応する「切り替えフラグ」の項目に「1」を記録し、切り替えフラグを設定する(ステップSd4)。
一方、ステップSd2において、中継装置選択部104bは、過去N回における収容先の中継装置IDが全て同じであると判定した場合(ステップSd2−YES)、または、ステップSd3において、切り替え前後の収容先の中継装置30の距離が閾値T以上でないと判定した場合(ステップSd3−NO)、当該中継装置IDに基づいて、中継装置情報テーブルの「電池残量値」の項目を参照する。中継装置選択部104bは、「電池残量値」の項目に「−」が記憶されているか否かに基づいて、当該中継装置IDに対応する中継装置30が、移動端末装置であるか否かを判定する(ステップSd5)。
中継装置選択部104bは、当該中継装置IDに対応する中継装置30が、移動端末装置でないと判定した場合、次のタイムスロットにおけるハンドオーバは発生しないと判定し、次のタイムスロット管理テーブルを選択してステップSd1以降の処理を行う。一方、中継装置選択部104bは、当該中継装置IDに対応する中継装置30が、移動端末装置であると判定した場合、以下の式(4)に基づいて、過去4回(N、N−1、N−2、N−3)のタイムスロットの受信信号強度値の差の平均値である^X(ただし、式(4)中で^Xの「^」の記号は、Xの上に記載)を算出する。中継装置選択部104bは、N回目の受信信号強度値から受信信号強度値の差の平均値^Xを減算して、次のタイムスロットであるN+1回目の受信信号強度値の予測値を算出する(ステップSd6)。
中継装置選択部104bは、算出したN+1回目の受信信号強度の予測値が、予め定められる受信信号強度閾値V以下であるか否かを判定する(ステップSd7)。中継装置選択部104bは、算出したN+1回目の受信信号強度の予測値が、受信信号強度閾値V以下でないと判定した場合(ステップSd7−NO)、次のタイムスロット管理テーブルを選択してステップSd1以降の処理を行う。
一方、中継装置選択部104bは、算出したN+1回目の受信信号強度の予測値が、受信信号強度閾値V以下であると判定した場合(ステップSd7−YES)、ハンドオーバが発生する可能性があるとして、切り替えフラグテーブルの当該無線端末装置40の無線端末装置IDに対応する「切り替えフラグ」の項目に「1」を書き込んで切り替えフラグを設定する(ステップSd4)。
中継装置選択部104bは、全てのタイムスロット管理テーブルについての繰り返し処理(ループLd1)が終了すると、切り替えフラグテーブルを参照して、「切り替えフラグ」の項目が「1」になっている無線端末装置40の全てに対して、図21に示すステップSd8以降の処理を行う。以下に示す、ステップSd8以降の処理では、「切り替えフラグ」の項目が「1」となっているいずれか1つの無線端末装置40を対象として説明し、以下、当該無線端末装置40を切り替え対象の無線端末装置40ともいう。
中継装置選択部104bは、切り替え対象の無線端末装置40の位置情報を、当該無線端末装置40の無線端末装置IDに基づいて、無線端末装置情報テーブルの「位置情報」の項目から読み出す。中継装置選択部104bは、切り替え対象の無線端末装置40に対応するタイムスロット管理テーブルの「収容先中継装置位置情報」の項目に記憶されているタイムスロットごとの位置情報に基づいて、タイムスロットごとのX方向とY方向における位置の差の平均値を算出する。
中継装置選択部104bは、図23に示すように、切り替え対象の無線端末装置40の位置情報を基準として、算出したタイムスロットごとのX方向とY方向における平均値を加算していき、次のタイムスロットに当該無線端末装置40が移動していると予測される移動予測位置を算出する。中継装置選択部104bは、中継装置情報テーブルの「位置情報」を参照して、算出した移動予測位置から半径Rの範囲に存在する中継装置30を収容先となる可能性のある中継装置30として検出する(ステップSd8)。中継装置選択部104bは、検出した中継装置30の中で、切り替え対象の無線端末装置40に最も近い順に中継装置30を選択し、ステップSd9以降の処理を繰り返す(ループLd2)。
中継装置選択部104bは、選択した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容可能台数」の項目に記憶されている収容可能台数値が1以上であるか否かを判定する(ステップSd9)。中継装置選択部104bは、中継装置情報テーブルの「収容可能台数」の項目に記憶されている収容可能台数値が1以上であると判定した場合(ステップSd9−YES)、繰り返しの処理を抜けて図22に示すステップSd18の処理に進む。
一方、中継装置選択部104bは、収容可能台数値が1以上でないと判定した場合(ステップSd9−NO)、すなわち収容可能台数が0である場合、検出した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容台数の上限」の項目に記憶されている収容台数の上限値を読み出す。中継装置選択部104bは、読み出した収容台数の上限値が、0であるか否かを判定する。なお、収容台数の上限値が0であるということは、当該中継装置30は、電池残量がないということである(ステップSd10)。中継装置選択部104bは、読み出した収容台数の上限値が、0でないと判定した場合(ステップSd10−NO)、図22に示すステップSd13の処理に進む。
中継装置選択部104bは、読み出した収容台数の上限値が、0であると判定した場合(ステップSd10−YES)、次に切り替え対象の無線端末装置40に近い中継装置30を選択してステップSd9以降の処理を繰り返し行う。中継装置選択部104bは、検出した中継装置30の全てについて繰り返し処理(ループLd2)が終了すると、処理を終了する。
図22に進み、中継装置選択部104bは、ステップSd10において、収容台数の上限値が0でないと判定した場合、当該収容台数の上限値が0でない中継装置30の中継装置IDに基づいて、無線端末装置情報テーブルの「電池残量値」、「収容先中継装置ID」の項目を参照する。中継装置選択部104bは、当該収容台数の上限値が0でない中継装置30に収容されている無線端末装置40の中で最も電池残量の多い無線端末装置40を検出する。
中継装置選択部104bは、無線端末装置情報テーブルの「位置情報」の項目から、検出した最も電池残量の多い無線端末装置40の位置情報を読み出す。中継装置選択部104bは、収容先となる可能性のある中継装置30、すなわち収容台数の上限値が0でない中継装置30を除いた上で、当該位置情報が示す位置から半径Rの範囲に存在する中継装置30を検出する(ステップSd13)。
中継装置選択部104bは、検出した中継装置30の品質測定部306を起動する品質測定部起動指示信号を検出した中継装置30に送信する。検出した中継装置30が複数台の場合、中継装置選択部104bは、各々の品質測定部306を起動させるために、各々の中継装置30に品質測定部起動指示信号を送信する(ステップSd14)。
中継装置選択部104bは、検出した最も電池残量の多い無線端末装置40に対して、当該無線端末装置40を収容している中継装置30を通じて、パイロット信号を送信させるパイロット信号送信指示信号を送信する。当該無線端末装置40は、パイロット信号送信指示信号を受信すると、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。これにより、中継装置30は、当該無線端末装置40からパイロット信号を受信すると、品質測定部306によってパイロット信号の受信信号強度を測定する。中継装置30は、測定した受信信号強度値と、パイロット信号に含まれる無線端末装置IDとに対して自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10bに送信する。サーバ装置10bの中継装置選択部104bは、中継装置30から中継装置IDに関連付けられた受信信号強度値及び無線端末装置IDを受信する(ステップSd15)。
中継装置選択部104bは、受信した受信信号強度値に関連付けられている中継装置IDに一致するレコードを中継装置情報テーブルから読み出す。中継装置選択部104bは、読み出した中継装置情報テーブルのレコードに基づいて、接続候補管理テーブルを生成し、生成した接続候補管理テーブルを管理テーブル記憶部105に書き込む。中継装置選択部104bは、第1実施形態のステップSb9において説明した処理により、受信した受信信号強度値と、接続候補管理テーブルとに基づいて、評価点を算出し、受信信号強度値と評価点とを含む接続候補管理テーブルを生成する(ステップSd16)。
中継装置選択部104bは、接続候補管理テーブルの「評価点」の項目に記憶されている値に基づいて、評価点が最も高い中継装置30を最も電池残量の多い無線端末装置40の収容先として選択する。選択した際に、中継装置選択部104bは、最も電池残量の多い無線端末装置40を収容中の中継装置30の中継装置IDを無線端末装置情報テーブルの「収容先中継装置ID」の項目から読み出して内部の記憶領域に記憶させておく。
中継装置選択部104bが、中継装置30を選択すると、制御部106は、選択した中継装置30に対して、最も電池残量の多い無線端末装置40の無線端末装置IDを含む収容指示信号を送信する。中継装置30の制御部301は、収容指示信号に含まれる無線端末装置IDを読み出して、当該無線端末装置IDに対応する無線端末装置40に対して制御信号の送信を行う制御プレーンを構築してリンク確立を行う。
中継装置選択部104bは、選択した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する。また、中継装置選択部104bは、当該中継装置30の中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている他の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、「収容中無線端末装置台数」の項目の値に1を加算し、「収容可能台数」の項目の値から1を減算する。
中継装置選択部104bは、最も電池残量の多い無線端末装置40を収容していた中継装置30の中継装置IDを内部の記憶領域から読み出し、読み出した中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値から1を減算し、「収容可能台数」に1を加算する。また、中継装置選択部104cは、当該中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105bに記憶されている他の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、「収容中無線端末装置台数」の項目の値から1を減算し、「収容可能台数」の項目の値に1を加算する(ステップSd17)。
次に、中継装置選択部104bは、ステップSd9において収容可能台数が1台以上と判定した中継装置30、またはステップSd10において収容台数の上限が0でないと判定した中継装置30を、切り替え対象の無線端末装置40の収容先の候補、すなわち接続候補となる中継装置30とする。中継装置選択部104bは、無線端末装置40の収容先の中継装置30と、切り替え対象の無線端末装置40の接続候補となる中継装置30に対して、品質測定部起動指示信号を送信する。中継装置選択部104bは、切り替え対象の無線端末装置40に対して、当該無線端末装置40の収容先の中継装置30を通じてパイロット信号を送信させるパイロット信号送信指示信号を送信する。
切り替え対象の無線端末装置40は、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。収容先の中継装置30と、接続候補となる中継装置30は、当該無線端末装置40からパイロット信号を受信すると、品質測定部306によってパイロット信号の受信信号強度を測定する。収容先の中継装置30と、接続候補となる中継装置30は、測定した受信信号強度値と、パイロット信号に含まれる無線端末装置IDとに対して自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10bに送信する。サーバ装置10bの中継装置選択部104bは、収容先の中継装置30及び接続候補となる中継装置30から中継装置IDに関連付けられた受信信号強度値を受信する(ステップSd18)。
中継装置選択部104bは、接続候補となる中継装置30の受信信号強度値が、収容先の中継装置30から受信した受信信号強度値を超えているか否かを判定する(ステップSd19)。中継装置選択部104bは、接続候補となる中継装置30の受信信号強度値が、収容先の中継装置30から受信した受信信号強度値を超えていないと判定した場合(ステップSd19−NO)、処理を終了する。
一方、中継装置選択部104bは、接続候補となる中継装置30の受信信号強度値が、収容先の中継装置30から受信した受信信号強度値を超えていると判定した場合(ステップSd19−YES)、制御部106は、接続候補の中継装置30に対して切り替え対象の無線端末装置40の無線端末装置IDを含む収容指示信号を送信する。中継装置30の制御部301は、収容指示信号に含まれる無線端末装置IDを読み出して、当該無線端末装置IDに対応する切り替え対象の無線端末装置40に対して制御信号の送信を行う制御プレーンを構築してリンク確立を行う(ステップSd20)。中継装置選択部104bは、選択した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算する(ステップSd21)。
上記の第3実施形態において、サーバ装置10bは、タイムスロットごとの無線端末装置40の収容先の中継装置に関する情報や受信信号強度値を記憶するタイムスロット管理テーブルを生成するタイムスロット管理テーブル生成部109を備える。タイムスロット管理テーブルに基づいて、無線端末装置40の切り替えが発生するか否かを判定する。切り替えが発生すると判定した場合、切り替え先の候補となる中継装置30が他の無線端末装置40を収容しているために切り替えを行うことができない場合、切り替え先の候補となる中継装置30が収容している他の無線端末装置40に対して、他の無線端末装置40の収容先の候補となる中継装置30が測定する他の無線端末装置40の受信信号強度値と、当該中継装置30に対応する電池残量値と、当該中継装置が中継可能な無線端末装置の台数に関する情報とに基づいて、当該他の無線端末装置40の収容先となる中継装置30を選択して当該他の無線端末装置40を収容させる。そして、切り替え対象の無線端末装置40を切り替え先の候補となる中継装置30に切り替えさせる。
これにより、無線端末装置40の中継装置30の切り替えのタイミングを予測して、切り替え先の候補となる中継装置30の収容無線端末台数が上限に達している場合には、当該中継装置30が収容している他の無線端末装置40の切り替えを行い、無線端末装置40の切り替え先となる中継装置30が無線端末装置40を収容できる状態にすることができる。それにより、移動している無線端末装置40に対しても、接続可能な中継装置30を提供することが可能となる。
また、上記の第3実施形態では、最も電池残量の多い他の無線端末装置40の収容先の中継装置30を切り替えることで、電池残量の少ない他の無線端末装置40を切り替えないようにしている。そのため、当該他の無線端末装置40が電力を消費して停止してしまうことを防ぐことができる。
なお、上記の第3実施形態において、ステップSd13の処理において、最も電池残量の多い他の無線端末装置40を選択するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、無線端末装置40ごとの中継装置30の切り替え回数を記録しておき、切り替え回数が、予め定められる所定の回数以下の無線端末装置40であって、その中で最も電池残量の多いものを選択するようにしてよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図24は、第4実施形態におけるサーバ装置10cの内部構成と、公衆網50−1、50−2及びセルラ基地局装置20−2との接続構成を示すブロック図である。サーバ装置10cは、無線端末装置情報記憶部101及び中継装置選択部104に代えて無線端末装置情報記憶部101c及び中継装置選択部104cを備え、品質監視部110を新たに備える点でサーバ装置10と構成が異なる。サーバ装置10cのその他の構成については、サーバ装置10と同様である。そのため、サーバ装置10c全体の説明は省略し、無線端末装置情報記憶部101c、中継装置選択部104c及び品質監視部110についてのみ説明する。
無線端末装置情報記憶部101cは、無線端末装置情報テーブル及び受信信号強度値テーブルを記憶する。図25は、受信信号強度値テーブルの具体例を示す図である。受信信号強度値テーブルは、「無線端末装置ID」及び「受信信号強度値」の項目を有する。「無線端末装置ID」の項目には、無線端末装置40を識別するための識別情報が記録される。「受信信号強度値」の項目には、無線端末装置40を収容している中継装置30の品質測定部306が、無線端末装置40が送信するパイロット信号を受信して測定した受信信号強度値が記録される。
具体的には、中継装置30の制御部301が、定期的に、収容している無線端末装置40にパイロット信号送信指示信号を送信し、当該パイロット信号送信指示信号に基づいて無線端末装置40が自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。中継装置30は、当該パイロット信号を受信して品質測定部306が受信信号強度値を測定する。中継装置30の制御部301は、測定した受信信号強度値と、パイロット信号に含まれる無線端末装置IDとに自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10cに送信する。サーバ装置10cの制御部106は、受信した情報に含まれる無線端末装置IDと、受信信号強度値とを受信信号強度値テーブルの「無線端末装置ID」と「受信信号強度値」の項目に記録する。既に同一の無線端末装置IDについてのレコードが存在する場合、「受信信号強度値」の項目を受信した受信信号強度値に上書きする。
品質監視部110は、定期的に更新される受信信号強度値テーブルの「受信信号強度値」の項目を参照し、当該項目に記憶されている受信信号強度値が、予め定められる受信信号強度閾値W未満であるか否かを判定する。また、品質監視部110は、受信信号強度値が、受信信号強度閾値W未満である場合、当該受信信号強度値に対応する無線端末装置40を切り替える対象として判定し、当該無線端末装置40の無線端末装置IDを含む切替指示信号を中継装置選択部104cに出力する。以下、品質監視部110によって、切り替える対象として判定された無線端末装置40を、切り替え対象の無線端末装置40ともいう。中継装置選択部104cは、切り替え対象の無線端末装置40の収容先の中継装置30を切り替える処理を行う。
(第4実施形態の中継装置選択処理)
次に、図26から図28を参照しつつ、第4実施形態のサーバ装置10cによる中継装置選択処理について説明する。サーバ装置10cの中継装置選択部104cは、品質監視部110から無線端末装置IDを含む切替指示信号を受信すると、無線端末装置情報テーブルを参照して、切替指示信号に含まれる無線端末装置IDに対応するレコードの「収容先中継装置ID」の項目から、中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104cは、中継装置情報テーブルを参照して、読み出した中継装置IDに対応するレコードの「位置情報」を読み出す。
中継装置選択部104cは、読み出した位置情報、すなわち切り替え対象の無線端末装置40を収容中の中継装置30の位置を中心に半径Rの範囲に存在する中継装置30を、中継装置情報テーブルを参照して検出する。中継装置選択部104cは、検出した中継装置30に対して、当該中継装置30の品質測定部306を起動する品質測定部起動指示信号を送信する。検出した中継装置30が複数台の場合、中継装置選択部104cは、各々の品質測定部306を起動させるために、各々の中継装置30に品質測定部起動指示信号を送信する(ステップSe1)。
中継装置選択部104cは、切り替え対象の無線端末装置40に対して、当該無線端末装置40を収容している中継装置30を通じて、パイロット信号を送信させるパイロット信号送信指示信号を送信する。切り替え対象の無線端末装置40は、パイロット信号送信指示信号を受信すると、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。中継装置30は、切り替え対象の無線端末装置40からパイロット信号を受信すると、品質測定部306によってパイロット信号の受信信号強度を測定する。
中継装置30は、測定した受信信号強度値と、パイロット信号に含まれる無線端末装置IDと、その際に電池残量測定部303が測定した電池残量値とに対して自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10cに送信する。サーバ装置10cの中継装置選択部104cは、中継装置30から中継装置IDに関連付けられた受信信号強度値及び電池残量値を受信する(ステップSe2)。
中継装置選択部104cは、受信した受信信号強度値及び電池残量値に関連付けられている中継装置IDに一致するレコードを中継装置情報テーブルから検出する。中継装置選択部104cは、検出したレコードの電池残量値を、受信した電池残量値に書き換えて、書き換えた電池残量値に基づいて、収容台数の上限値と、収容可能台数値とを算出する。中継装置選択部104cは、検出したレコードの「収容台数の上限」と「収容可能台数」の項目のそれぞれを、算出した収容台数の上限値と収容可能台数値に書き換えて、当該レコードを読み出す。中継装置選択部104cは、読み出した中継装置情報テーブルのレコードに基づいて、接続候補管理テーブルを生成し、生成した接続候補管理テーブルを管理テーブル記憶部105に書き込む(ステップSe3)。中継装置選択部104cは、生成した接続候補管理テーブルの「収容可能台数」の項目を参照し、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在するか否かを判定する(ステップSe4)。
中継装置選択部104cは、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在すると判定した場合(ステップSe4−YES)、受信した受信信号強度値の中から、収容可能台数値が1以上の中継装置30に対応する受信信号強度値を選択する。中継装置選択部104cは、第1実施形態のステップSb9において説明した処理により、選択した受信信号強度値と、接続候補管理テーブルとに基づいて評価点を算出し、受信信号強度値と評価点とを含む接続候補管理テーブルを生成する。中継装置選択部104cは、接続候補管理テーブルの「評価点」の項目に基づいて、評価点が最も高い中継装置30を選択する(ステップSe5)。
中継装置選択部104cが、中継装置30を選択すると、制御部106は、選択した中継装置30に対して当該無線端末装置40の無線端末装置IDを含む収容指示信号を送信する。中継装置30の制御部301は、収容指示信号に含まれる無線端末装置IDを読み出して、当該無線端末装置IDに対応する無線端末装置40に対して制御信号の送信を行う制御プレーンを構築してリンク確立を行う(ステップSe6)。中継装置選択部104cは、選択した中継装置30に対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の値に1を加算し、「収容可能台数」から1を減算して処理を終了する(ステップSe7)。
一方、ステップSe4において、中継装置選択部104cが、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在しないと判定した場合(ステップSe4−NO)、図27に示す処理に進む。中継装置選択部104cは、中継装置30から受信した受信信号強度値が、予め定められる受信信号強度閾値X以上の中継装置30を選択する。中継装置選択部104cは、選択した中継装置30に収容されている無線端末装置40を検出するために、選択した中継装置30に対応する中継装置IDに基づいて、当該中継装置IDに一致する中継装置IDが、「収容先中継装置ID」の項目に記憶されている無線端末装置情報テーブルのレコードを検出する。中継装置選択部104cは、検出したレコードの中で、「電池残量値」の値が大きい、すなわち電池残量の多い順に無線端末装置40をL台選択する(ステップSe8)。
中継装置選択部104cは、選択したL台の無線端末装置40の各々に対応する無線端末装置IDに基づいて、無線端末装置情報テーブルを参照して、無線端末装置40の各々の位置情報を検出する。中継装置選択部104cは、無線端末装置40の各々について、検出した位置情報の位置を中心に半径Rの範囲に存在する中継装置30を中継装置情報テーブルの「位置情報」の項目に記憶されている中継装置30の位置情報を参照して検出する。
中継装置選択部104cは、検出した中継装置30に対して品質測定部306を起動させる品質測定部起動指示信号を送信する。当該品質測定部起動指示信号を受信した中継装置30の制御部301は、品質測定部306を起動する。検出した中継装置30が複数台の場合、中継装置選択部104cは、各々の品質測定部306を起動させるために、各々の中継装置30に品質測定部起動指示信号を送信する(ステップSe9)。
中継装置選択部104cは、選択したL台の無線端末装置40の収容先の中継装置30を通じて、当該L台の無線端末装置40にパイロット信号を送信させるパイロット信号送信指示信号を送信する。無線端末装置40は、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。品質測定部306を起動している中継装置30は、パイロット信号を受信すると、品質測定部306によってパイロット信号の受信信号強度を測定し、測定した受信信号強度値と、パイロット信号の送信元の無線端末装置40の無線端末装置IDとに自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10cに送信する。サーバ装置10cの中継装置選択部104cは、中継装置IDが関連付けられた受信信号強度値及び無線端末装置IDを受信する(ステップSe10)。
中継装置選択部104cは、受信した受信信号強度値に関連付けられた中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容可能台数」の項目に記憶されている収容可能台数値を読み出す。中継装置選択部104cは、受信した受信信号強度値と、読み出した収容可能台数値とに基づいて、受信した受信信号強度値が、予め定められる受信信号強度閾値Y以上で、かつ、収容可能台数が1台以上の中継装置30を検出する。
中継装置選択部104cは、検出した中継装置30の中で、切り替え対象の無線端末装置40を収容している中継装置30から最も遠い位置に存在する中継装置30を、中継装置情報テーブルの「位置情報」の項目を参照して検出する。中継装置選択部104cは、選択した中継装置30、すなわち切り替え対象の無線端末装置40を収容している中継装置30から最も遠い位置に存在する中継装置30の中継装置IDと、当該中継装置30がパイロット信号の測定を行った無線端末装置40の無線端末装置IDとを制御部106に出力する。
中継装置選択部104cは、制御部106に出力した無線端末装置IDに対応する無線端末装置40を収容中の中継装置30の中継装置IDを無線端末装置情報テーブルの「収容先中継装置ID」の項目から読み出して内部の記憶領域に記憶させておく。制御部106は、当該無線端末装置IDを含む収容指示信号を当該中継装置IDに対応する中継装置30に送信する。収容指示信号を受信した中継装置30は、収容指示信号に含まれている無線端末装置IDに対応する無線端末装置40を収容する(ステップSe11)。
中継装置選択部104cは、収容指示信号の送信先の中継装置30の中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値に1を加算し、「収容可能台数」の項目の値から1を減算する。中継装置選択部104cは、収容指示信号の送信先の中継装置30の中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている切り替え対象の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値に1を加算し、「収容可能台数」の項目の値から1を減算する。
中継装置選択部104cは、内部の記憶領域から、収容指示信号によって新たな中継装置30に収容された無線端末装置40を収容していた中継装置30の中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104cは、読み出した中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値から1を減算し、「収容可能台数」の項目の値に1を加算する。また、中継装置選択部104cは、当該中継装置30の中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている切り替え対象の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値から1を減算し、「収容可能台数」の項目の値に1を加算する。中継装置選択部104cは、更新した接続候補管理テーブルの「受信信号強度値」の項目を参照し、受信信号強度値が、受信信号強度閾値X以上のレコードを検出する(ステップSe12)。
中継装置選択部104cは、検出したレコードの「収容可能台数」の項目の収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在するか否かを判定する(ステップSe13)。中継装置選択部104cは、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在すると判定した場合(ステップSe13−YES)、接続候補管理テーブルのレコードうち、受信信号強度値が、受信信号強度閾値X以上でかつ、収容可能台数値が1以上のレコードについてステップSe5〜Se7の処理を行う。
一方、ステップSe13において、中継装置選択部104cが、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在しないと判定した場合(ステップSe13−NO)、図28の処理に進む。ステップSe13において、中継装置選択部104cが、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在しないと判定する場合とは、例えば、ステップSe11の処理により、受信信号強度閾値Y以上で、かつ、収容可能台数が1台以上の中継装置30が検出されなかった場合や、切り替え対象の無線端末装置40の切り替え先の候補となる中継装置30の「収容可能台数」が1台以上とはなったが、切り替え対象の無線端末装置40が制御信号を受信するリンクを確立する前に、他の無線端末装置40に割り込まれて先に制御信号を受信するリンクを確立されてしまった場合などが想定される。
中継装置選択部104cは、切替指示信号に含まれる無線端末装置IDに対応するレコードの「収容先中継装置ID」の項目から、中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104cは、中継装置情報テーブルを参照して、読み出した中継装置IDに対応するレコードの「位置情報」を読み出す。中継装置選択部104cは、読み出した位置情報、すなわち切り替え対象の無線端末装置40を収容中の中継装置30の位置を中心に半径2Rの範囲に存在する中継装置30を、中継装置情報テーブルを参照して検出する。中継装置選択部104cは、検出した中継装置30に対して、当該中継装置30の品質測定部306を起動する品質測定部起動指示信号を送信する。検出した中継装置30が複数台の場合、中継装置選択部104cは、各々の品質測定部306を起動させるために、各々の中継装置30に品質測定部起動指示信号を送信する(ステップSe14)。
中継装置選択部104cは、半径2Rの範囲内に存在する中継装置30が収容している無線端末装置40のレコードを、無線端末装置情報テーブルの「収容先中継装置ID」の項目を参照して検出する。中継装置選択部104cは、検出したレコードの「電池残量値」の項目に記憶されている電池残量値を読み出す(ステップSe15)。
中継装置選択部104cは、品質監視部110によって切り替える対象として判定された無線端末装置40を収容中の中継装置30の位置情報に基づいて、半径2Rの範囲に存在する中継装置30の中で、当該位置情報が示す位置から最も遠い位置に存在する中継装置30から順にステップSe16〜Se18の処理を繰り返し行う(ループLe1)。
中継装置選択部104cは、電池残量値を取得した無線端末装置40の中から、電池残量値が大きい順、すなわち電池残量が多い順にL台を選択する(ステップSe16)。中継装置選択部104cは、選択したL台の無線端末装置40の各々を収容している中継装置30を無線端末装置情報テーブルを参照して検出し、検出した中継装置30に対して、パイロット信号送信指示信号を送信させる要求信号を送信する。当該要求信号を受信した中継装置30は、パイロット信号送信指示信号を、選択されたL台の無線端末装置40に送信する。L台の無線端末装置40は、パイロット信号送信指示信号を受信すると、自装置の無線端末装置IDを含むパイロット信号を送信する。
ステップSe14において品質測定部306を起動している中継装置30は、パイロット信号を受信すると品質測定部306によって受信信号強度値を測定し、測定した受信信号強度値と、パイロット信号に含まれる無線端末装置IDとに自装置の中継装置IDを関連付けてサーバ装置10cに送信する。サーバ装置10cの中継装置選択部104cは、中継装置IDが関連付けられた受信信号強度値及び無線端末装置IDを受信する(ステップSe17)。
中継装置選択部104cは、受信信号強度値に関連付けられた中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルのレコードの「収容可能台数」の項目の収容可能台数値を読み出す。中継装置選択部104cは、受信した受信信号強度値が、予め定められる受信信号強度閾値Z以上で、かつ読み出した収容可能台数値が、1以上の中継装置30が存在するか否かを判定する。中継装置選択部104cは、該当する中継装置30が存在する場合、当該中継装置30の中継装置IDと、L台の無線端末装置40の中の当該中継装置30がパイロット信号の測定を行った無線端末装置40の無線端末装置IDとを制御部106に出力する。中継装置選択部104cは、制御部106に出力した無線端末装置IDに対応する無線端末装置40を収容中の中継装置30の中継装置IDを無線端末装置情報テーブルの「収容先中継装置ID」の項目から読み出して内部の記憶領域に記憶させておく。制御部106は、当該無線端末装置IDを含む収容指示信号を当該中継装置IDに対応する中継装置30に送信する。収容指示信号を受信した中継装置30は、収容指示信号に含まれている無線端末装置IDに対応する無線端末装置40を収容する。
中継装置選択部104cは、収容指示信号の送信先の中継装置30の中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値に1を加算し、「収容可能台数」の項目の値から1を減算する。中継装置選択部104cは、収容指示信号の送信先の中継装置30の中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている切り替え対象の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値に1を加算し、「収容可能台数」の項目の値から1を減算する。
中継装置選択部104cは、内部の記憶領域から、収容指示信号によって新たな中継装置30に収容された無線端末装置40を収容していた中継装置30の中継装置IDを読み出す。中継装置選択部104cは、読み出した中継装置IDに対応する中継装置情報テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値から1を減算し、「収容可能台数」の項目の値に1を加算する。また、中継装置選択部104cは、当該中継装置30の中継装置IDに対応する情報が、管理テーブル記憶部105に記憶されている切り替え対象の無線端末装置40に対応する接続候補管理テーブルに含まれている場合、接続候補管理テーブルの「収容中無線端末装置台数」の項目の値から1を減算し、「収容可能台数」の項目の値に1を加算する(ステップSe18)。
中継装置選択部104cは、ループLe1の処理を行った後、更新した接続候補管理テーブルの「受信信号強度値」の項目を参照し、受信信号強度値が、受信信号強度閾値X以上のレコードを検出してリストを生成する(ステップSe19).中継装置選択部104cは、生成したリストの「収容可能台数」の項目の収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在するか否かを判定する(ステップSe20)。中継装置選択部104cは、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在すると判定した場合(ステップSe20−YES)、接続候補管理テーブルのレコードうち、受信信号強度値が、受信信号強度閾値X以上でかつ、収容可能台数値が1以上のレコードについてステップSe5〜Se7の処理を行う。一方、中継装置選択部104cは、収容可能台数値が1以上の中継装置30が存在しないと判定した場合(ステップSe20−NO)、Lの値を増加させる。すなわち、ステップSe16において選択する無線端末装置40の数を増加させてループLe1以降の処理を繰り返し行う(ステップSe21)。
上記の第4実施形態において、サーバ装置10cは、無線端末装置40の受信信号強度値が受信信号強度閾値W未満であるか否かを定期的に判定する品質監視部110を備える。無線端末装置40の受信信号強度値が、受信信号強度閾値W未満であると品質監視部110によって判定された場合、当該無線端末装置40を切り替え対象の無線端末装置40とし、切り替え対象の無線端末装置40に対して収容先の候補となる中継装置30を検出した際に、当該中継装置30が他の無線端末装置40の情報を中継しているために切り替えを行うことができない場合、切り替え対象の無線端末装置40を収容する中継装置30から最も遠い位置に存在する他の中継装置30に対して、当該他の中継装置30が収容可能な他の無線端末装置40を検出させて、他の無線端末装置40の収容先を切り替えさせる。
これにより、受信信号強度値に劣化が見られた無線端末装置40の収容先を受信信号強度値が高い中継装置30に切り替えることができ、収容先の候補となる中継装置30の収容可能台数が上限に達している場合、切り替え対象の無線端末装置40を収容する中継装置30から最も遠い位置に存在する他の中継装置30に対して、当該他の中継装置30が収容可能な他の無線端末装置40を検出させて、他の無線端末装置40の収容先を切り替えさせることで、収容先の候補となる中継装置30が無線端末装置40を収容できる状態にすることができる。そのため、受信信号強度値の劣化が見られた無線端末装置40を、適切な受信信号強度値の中継装置30に収容させることが可能となる。
また、更に、切り替え対象の無線端末装置40の切り替え先の候補となる中継装置30が収容していた他の無線端末装置40を他の中継装置30に切り替えさせることができなかった場合等には、対象とする中継装置30の範囲を広げて、切り替え対象の無線端末装置40の切り替え先の候補となる中継装置30から最も遠い位置に存在する中継装置30から順に、当該中継装置30が収容することができる他の無線端末装置40であって他の中継装置30に収容されている他の無線端末装置40を切り替えて収容していく。
これにより、他の無線端末装置40の収容先が、切り替え対象の無線端末装置40から遠ざかることになり、切り替え対象の無線端末装置40の切り替え先の候補となる中継装置30の収容可能台数を増加させることができ、切り替え対象の無線端末装置40を当該中継装置30に切り替えさせることが可能となる。
また、上記の第4実施形態では、電池残量の多い他の無線端末装置40から、優先的に収容先の中継装置30を切り替えていくことで、できるだけ多くの無線端末装置40の動作時間を長くすることができる。
なお、上記の第4実施形態において、図27に示すステップSe1において、切り替え対象の無線端末装置40を収容中の中継装置30の位置を中心に半径Rの範囲に存在する中継装置30を検出するようにしているが、検出する中継装置30に、切り替え対象の無線端末装置40を収容中の中継装置30を含めても、含めないようにしてもよい。
また、上記の第4実施形態において、図28に示すステップSe11では、切り替え対象の無線端末装置40を収容している中継装置から最も遠い位置にある中継装置30を選択し、また、図29に示す繰り返し処理(ループLe1)においても、切り替え対象の無線端末装置40を収容している中継装置から最も遠い位置にある中継装置30から順に処理を行うようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、最も遠い位置にある中継装置30ではなく、予め定められる距離以上離れた中継装置30であって、かつ収容可能台数が、予め定められる台数以上のものの中で最も遠い位置にある中継装置30を選択するようにしてもよい。
なお、上記の第1から第4実施形態において、中継装置30、30aと無線端末装置40との間の通信品質を示す値として、受信信号強度値を用いるようにしているが、本発明の構成は当該実施の形態の構成に限られない。通信品質を示す値として、受信信号強度値以外の通信速度値などを適用するようにしてもよい。
また、上記の第1から第4実施形態において、収容能力を示すものとして、中継装置30、30aのバッファ数を用いるようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られず、中継装置30、30aの中継の能力を示す他のリソース、例えば、第一通信部304の回線容量等を用いるようにしてもよい。
また、上記の第1から第4の実施形態において、Rは、無線端末装置40が備える通信部405が通信可能な距離の値としているが、過去の通信記録から、Rの値を学習させて更新するようにしてもよい。
また、第4の実施形態において、ステップSe14において、半径2Rに存在する中継装置30を検出するようにしているが、当該距離は、2Rより大きい距離であってもよい。
また、第1、第2実施形態では、中継装置30、30aの位置を基準とした半径Rとしており、第3実施形態では、無線端末装置40の位置を基準とした半径Rとして、第4実施形態では、ある処理では、中継装置30の位置を基準とし、別の処理では、無線端末装置40の位置を基準とした半径Rとしている。ここで、第3実施形態では、無線端末装置40の位置が自明であることを前提として無線端末装置40の位置を基準としている。この点について、中継装置選択部104bは、無線端末装置40の位置が自明である場合には無線端末装置40の位置を基準とした半径Rの範囲内で探索を行い、無線端末装置40の位置が自明ではない場合には中継装置30の位置を基準とした半径Rの範囲内で探索を行うように構成されてもよい。
また、上記の第1から第4の実施形態において、受信信号強度値を判定するのに適用される受信信号強度閾値として受信信号強度閾値U、V、W、X、Y、Zを対応する処理において適用するようにしているが、これらの値は、全て異なっていてもよいし、いくつかが同一の値であってもよいし、全てが同一の値であってもよい。
また、上記の第1から第4の実施形態において、中継装置30、30aの品質測定部306を起動させて、無線端末装置40が送信するパイロット信号の受信信号強度値を測定させるようにしているが、測定の後、自律的に品質測定部306が停止するようにしてもよいし、サーバ装置10、10a、10b及び10cから品質測定部306を停止させる指示信号を送信して停止させるようにしてもよい。
また、第3及び第4実施形態の構成において、評価点による中継装置の選択処理において、複数の候補となる中継装置を検出した場合、第2実施形態の構成を適用するようにしてもよい。
また、第3実施形態の構成において、切り替えフラグが「1」にされた切り替え対象の無線端末装置40を切り替えさせる際に、図21の繰り返し処理(ループLd2)において選択されたいずれか1つの中継装置30を対象として、図23に示す処理を適用している。それにより、選択された中継装置30との受信信号強度値が、接続中の中継装置30との受信信号強度値よりも大きくなった場合に、選択された中継装置30への切り替えを行うようにしているが、本発明の実施の形態は、当該構成に限られない。
ステップSd8において検出した中継装置30の全てを対象として、全ての中継装置30の収容可能台数が0でない場合、検出した中継装置30の全てを対象として、第1実施形態のステップSb5〜Sb11の処理を適用し、評価点によって、中継装置30を選択するようにしてもよい。なお、全ての中継装置30の収容可能台数が0であって、かつ収容台数の上限の全てが0でない場合、図22に示す処理を行った後に、検出した中継装置30の全てを対象として、第1実施形態のステップSb5〜Sb11の処理を適用することになる。
また、上記の第1から第4実施形態において、閾値等との比較において、以上、以下、超過、未満の判定手法は、一例であり、例えば、2つの値において「以上」の判定をしている場合を、「超過」の判定に置き換えてもよいし、「以下」の判定をしている場合を、「未満」の判定に置き換えるようにしてもよく、また、その逆の置き換えをしてもよい。
上述した実施形態におけるサーバ装置10、10a、10b、10cをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。