JP2018013944A - モニタリングタグ - Google Patents
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Abstract
Description
このため、特許文献1の技術では、タグが大型化してしまい、配置位置に制限が生じるという問題があった。また、コンピュータチップの演算処理に要する電力が、省電力の観点から好ましくないという問題もあった。
本明細書において、「モニタリング」とは、品質管理の対象物について所定の変化状態の監視をすること、を意味する。
ICチップを有するRFIDタグと、前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設け、かつ、該刺激応答部位を特定の構成とすることにより、上記問題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
[1]モニタリング対象物の状態を監視するモニタリングタグであって、
ICチップを有するRFIDタグと、
前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、
前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設けており、該刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、該刺激応答部位が前記刺激応答性金属の変質促進機能を有するモニタリングタグ。
[2]前記刺激応答性金属が、亜鉛、アルミニウム、カドミニウム、鉄、錫、鉛、銅、ニッケル、銀、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載のモニタリングタグ。
[3]前記刺激応答性金属が鉄である、上記[1]又は[2]に記載のモニタリングタグ。
[4]前記変質促進機能が、前記刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有することによって発現する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のモニタリングタグ。
[5]前記変質促進機能が、前記刺激応答性金属が異種金属と接することに起因するガルバニック腐食によって発現する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のモニタリングタグ。
[6]前記刺激応答性金属が鉄であり、かつ、前記異種金属が、金、白金、イリジウム、パラジウム、銀、銅、ビスマス、アンチモン、鉛、錫、ニッケル、コバルト及びカドミウムからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[5]に記載のモニタリングタグ。
[7]前記RFIDタグと、前記送受信アンテナと、前記ループ回路を封止する封止材を有し、
前記封止材は、開口部を備え、
この開口部から、前記刺激応答部位を露出させた、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のモニタリングタグ。
[8]前記ループ回路が、タンパー検知用ループ回路である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のモニタリングタグ。
[9]モニタリング対象物の状態を監視するモニタリングタグであって、
ICチップを有するRFIDタグと、
前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、
前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設けており、該刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、
該刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有しているか、又は、
該刺激応答性金属が、該刺激応答性金属よりも貴な金属と接している、モニタリングタグ。
本明細書において、刺激応答部位とは、モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に晒された場合に、「応答する」機能、具体的には、回路を開裂させる物理的反応もしくは化学的反応、又は回路の抵抗を変化させる物理的反応もしくは化学的反応を生じさせて、ICチップへのメモリ情報を変化させる機能、すなわち、外部環境の変化を検知するセンサ機能を有する部位を意味する。
このような構造の本発明によれば、モニタリングに際し、従来のようなセンサ(pHセンサ、温度センサ等)が不要となるため、モニタリングタグを構成するRFIDタグ内に、センサ情報を演算処理して測定値とするコンピュータチップが不要となる他、センサをコンピュータチップに接続する端子も不要となり、省電力で、コンパクトかつ簡易な構造で、配置の自由度が高いモニタリングタグを実現することができる。
さらに、本発明のモニタリングタグは、刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、該刺激応答性金属が変質促進機能を有するため、モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に対して高感度であり、信頼性の高いモニタリングが可能となる。
(モニタリングタグ)
本明細書において「モニタリングタグ」とは、モニタリング用のタグを意味する。このモニタリングタグは、モニタリング対象物に埋設もしくは貼付して使用される。
図1に示すように、モニタリングタグ10は、基材100に、ICチップを有するRFIDタグ20と、送受信アンテナ30と、接続回路40と、ループ回路50を搭載したデバイスである。本実施形態のモニタリングタグ10は、電池を内蔵しないパッシブタイプのRFIDタグである。送受信アンテナ30は汎用のリーダ又はリーダライタ(以下、リーダライタ等と略称する)と共に用いて、近距離の無線通信により情報の送受信を行うものである。
この場合、RFIDタグ20の内蔵ICアンテナ24は、図3に示すように、ICチップ22の周りを螺旋状に巻くように配置されている。
リーダライタ等に内蔵された外部アンテナから発信された電波が、図2の送受信アンテナ30を介して内蔵ICアンテナ24に伝達され、これによりICチップ22に電力が誘導されることにより、リーダライタ等とICチップ22との間で、非接触による情報の送受信が行われる。
本実施形態のRFIDタグ20は、いずれも電池を内蔵しないパッシブタイプのRFIDタグである。
RFIDタグの形状は、ラベル型、カード型、コイン型、スティック型等の形状から、用途に応じて最適なものを選択することができる。RFIDタグの通信距離は、数mm〜数mの中から、用途に応じて最適なものを選択することができる。
ICチップには、簡単なマイクロコンピュータとEEPROM、RAM等が(図示せず)が搭載され、特定のID等を格納する媒体としてのメモリ機能を備えている。不正使用、改ざん、成りすまし等を防ぐための暗号化処理を行うためのプログラムを備えることもできる。
RFIDタグ20と、送受信アンテナ30と、接続回路40と、ループ回路50は、封止材70を用いて一括に封止されている。封止材としては特に制限されるものではなく、当該分野において用いられる通常の封止材を用いることができ、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等が挙げられる。
図1に示すモニタリングタグ10では、RFIDタグ20と送受信アンテナ30間を接続回路40で有線接続しているが、図4に示すRFIDタグ20のように、接続回路40を有さず、RFIDタグ20と送受信アンテナ30間を無線で電気的に磁気的あるいは磁気的に接続して電波の送受信を行わせることもできる。
このICチップ内のメモリ情報の変化を利用したモニタリングシステムとして、例えば、メモリの所定アドレスの「フラグ」がONからOFFとなったこと(後述の実施例においては、これを「フラグが立つ」ともいう)をリーダライタ等で読み取って、刺激応答部位60が反応したこと、すなわち、モニタリング対象物80が特定の刺激に晒されたことを検知するシステムを構築することができる。なお、逆に、「フラグ」がONからOFFとなることを読み取って検知することもできる。
そして、この刺激応答部位60が、モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答した場合に、ループ回路50を開裂させる物理的反応あるいは化学的反応、もしくはループ回路50の抵抗を変化させる物理的反応あるいは化学的反応を生じさせて、ICチップのメモリ情報を変化させる機能、すなわち、モニタリング対象物80が特定の刺激に晒されていることを検知するセンサ機能を有するすものとした。
本発明において、刺激応答性金属としては、例えば、検出対象とする刺激によって変質(腐食等)して断線したり、不導体となる金属を例示することができる。刺激応答性金属の詳細については後述する。
ループ回路50に刺激応答部位60を設けた本発明によれば、ループ回路50を自在に配線して刺激応答部位60を所望の位置に配置することができるため、送受信アンテナ30をモニタリング対象物80の表面に貼付もしくは表層付近に埋設してリーダライタ等との通信距離を維持しつつ、所望の箇所のモニタリングを高い精度で行うことができる。
このため、正確な判断のためには、例えば、複数のモニタリングタグ10を使用して、全てのモニタリングタグ10がリーダライタ等に対して応答しなくなった場合には、刺激応答部位60が刺激に応答したものと判断し、何れかのモニタリングタグ10のみがリーダライタ等に対して応答しなくなった場合には、そのモニタリングタグ10の故障と判断する、等の手段が必要となる。
これに対して、本発明によれば、刺激応答部位60が刺激に応答した状態でも、モニタリングタグ10とリーダライタ等との間の通信は行われるため、上記のような手段によらず、刺激応答部位が刺激に応答した状態と、モニタリングタグの故障とを区別することができる。
前記刺激応答性金属としては、具体的には、亜鉛、アルミニウム、カドミニウム、鉄、錫、鉛、銅、ニッケル、銀、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、亜鉛、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル及びチタンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アルミニウム、鉄及び銅からなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、鉄であることが特に好ましい。
さらに本発明では、前記刺激応答部位は、前記刺激応答性金属の変質促進機能、例えば腐食促進機能を有する。
該変質促進機能(腐食促進機能)としては、前記刺激応答性金属の変質(例えば腐食)を促進する限り特に制限されないが、例えば、(1)刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有することによって発現するもの、(2)刺激応答性金属が異種金属と接することに起因するガルバニック腐食によって発現するもの等が好ましく挙げられる。これらについて以下に詳述する。
炭素、硫黄及びリンはいずれも、金属、特に鉄を変質させる効果を有する。
刺激応答性金属が炭素を含有することによって変質促進機能(腐食促進機能)が発現する場合としては、具体的には、刺激応答性金属が炭素鋼、鋳鉄である場合等が挙げられる。炭素含有量は、変質促進機能(腐食促進機能)を発現させる観点から、好ましくは0.02〜7質量%、より好ましくは0.1〜2.1質量%、さらに好ましくは0.5〜2.06質量%である。炭素含有量は、JIS G 1211−3(2011年)に記載の燃焼−赤外吸収法によって測定することができる。なお、炭素鋼は、一般的に、炭素含有量が0.02〜2.06質量%程度である。また、鋳鉄は、一般的に、炭素含有量が2.06超〜6.67質量%程度であり、強度が低下する傾向にあるため、刺激応答性金属は炭素鋼であることがより好ましい。
刺激応答性金属が硫黄を含有することによって変質促進機能(腐食促進機能)が発現する場合としては、具体的には、刺激応答性金属が、硫黄を含有する鋼である場合等が挙げられる。硫黄含有量は、変質促進機能(腐食促進機能)を発現させる観点から、好ましくは0.0001〜0.05質量%であり、0.001〜0.01質量%であってもよく、0.001〜0.008質量%であってもよい。硫黄含有量は、JIS G 1215−4(2010年)に記載の高周波燃焼−赤外吸光法によって測定することができる。
刺激応答性金属がリンを含有することによって変質促進機能(腐食促進機能)が発現する場合としては、具体的には、刺激応答性金属が、リンを含有する鋼である場合等が挙げられる。リン含有量は、変質促進機能(腐食促進機能)を発現させる観点から、好ましくは0.001〜0.05質量%であり、0.01〜0.05質量%であってもよい。リン含有量は、JIS G 1214(1998年)に記載のモリブドバナドりん酸抽出吸光光度法によって測定することができる。
刺激応答性金属は、炭素、硫黄及びリンの全てを含有することがより好ましいが、金属、特に鉄の変質を促進させる効果は炭素が最も大きいため、炭素含有量が上記範囲であれば、硫黄含有量及びリン含有量は上記範囲に満たなかったとしても、十分に変質促進効果を有する。
ガルバニック腐食とは、水等の電解液中で電位の異なる2つの金属が接すると、両者の間に電池を形成し、電位の卑な金属がアノード(陽極)となって腐食が助長され、このアノード側で助長される腐食現象をガルバニック腐食といい、一般的には「異種金属接触腐食」と称されることもある。より具体的には、金属Aが、それよりも貴な異種金属Bと電解質水溶液中で接触することにより、金属Aの腐食が進行する現象のことをいう。
本発明においては、ガルバニック腐食の発現のし易さの観点から、刺激応答性金属が鉄であり、かつ、前記異種金属が、金、白金、イリジウム、パラジウム、銀、銅、ビスマス、アンチモン、鉛、錫、ニッケル、コバルト及びカドミウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。同様の観点から、刺激応答性金属が鉄であり、かつ、前記異種金属が、金、白金、パラジウム、銀、銅からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、金であることがさらに好ましい。
このように、ガルバニック腐食によって変質促進機能(腐食促進機能)を発現する場合、刺激応答性金属が変質することによって断線したり、不導体となることが重要であり、かつ、「前記異種金属のみで導通しないこと」が重要である。この観点から、前記異種金属の配置としては、刺激応答性金属の一部にのみ接触するように配置されていることが好ましく、その限りにおいて、異種金属と刺激応答性金属は接しているだけでもよいし、異種金属が刺激応答性金属の一部を被覆していてもよい。また、棒状、円盤状、層状、格子状等の種々の形状の異種金属を刺激応答性金属へ接触させる態様であってもよい。
なお、ガルバニック腐食によって変質促進機能(腐食促進機能)を発現させるためには、刺激応答性金属と異種金属が接する部位が基材及び封止材に埋もれておらず、刺激応答性金属及び異種金属のいずれかがイオン化し得る環境下にあることが重要である。
モニタリング対象物の状態を監視するモニタリングタグであって、
ICチップを有するRFIDタグと、
前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、
前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設けており、該刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、
該刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有しているか、又は、
該刺激応答性金属が、該刺激応答性金属よりも貴な金属と接している、モニタリングタグが好ましい。
刺激応答性金属が該刺激応答性金属よりも貴な金属と接している態様の場合、前記(2)にて説明したガルバニック腐食によって変質促進機能(腐食促進機能)を発現する場合と同様、刺激応答性金属が変質することによって断線したり、不導体となることが重要であり、かつ、「刺激応答性金属よりも貴な金属(異種金属)のみで導通しないこと」が重要である。この観点から、異種金属の配置としては、刺激応答性金属の一部にのみ接触するように配置されていることが好ましく、その限りにおいて、異種金属と刺激応答性金属は接しているだけでもよいし、異種金属が刺激応答性金属の一部を被覆していてもよい。また、棒状、円盤状、層状、格子状等の種々の形状の異種金属を刺激応答性金属へ接触させる態様であってもよい。
なお、該刺激応答性金属が、該刺激応答性金属よりも貴な金属と接していることによって変質促進機能(腐食促進機能)を発現させるためには、刺激応答性金属と異種金属が接する部位が基材及び封止材に埋もれておらず、刺激応答性金属及び異種金属のいずれかがイオン化し得る環境下にあることが重要である。
(モニタリングタグを用いたモニタリング方法)
モニタリングタグ10を、モニタリング対象物80(例えば、鉄筋コンクリート構造物)の表面に貼付、もしくは、リーダライタ等との通信距離の観点から許容される範囲内で、モニタリング対象物の表層付近に埋設する。
具体的には、例えば、刺激応答部位を、水素イオン指数(pH)に応答するものとしておくことで、その鉄筋コンクリート構造物における中性化進行を、非破壊で短時間に検知することができ、刺激応答部位を、鉄筋コンクリート構造物の劣化因子である塩素イオン濃度に応答するものとしておくことで、その鉄筋コンクリート構造物における塩害の進行を、非破壊で短時間に検知することができる。
参考例1では、図1に示すモニタリングタグ10(ループ回路50に刺激応答性金属を組み込んで形成した「刺激応答部位60」を有するモニタリングタグ10)を製造した。以下に製造工程を説明する。
絶縁フィルム(厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート)の表面に、接着剤を用いて硬質アルミニウム箔(厚さ20μm)を張り合わせた長尺の基材100を用意した。次に、前記アルミニウム箔面にグラビア印刷でエッチングレジストを形成した後、塩化第二鉄水溶液にてエッチングを行い、表面にICチップとの接続回路40を有する送受信アンテナ30を形成した。該アンテナの幅を1.5mm、長さを60mm、アンテナピッチを4.8mmとした。ここで、アンテナピッチとは、長尺の基材上に配置したアンテナの長尺方向のピッチをいう。
次に、前記ICチップの外部端子となるバンプを、前記送受信アンテナ30とループ回路50の所定の位置にフリップチップ構造にて位置合わせし、超音波を印加して接合した。
次いで、厚み10μm、幅1mm、長さ1.5cmの純鉄箔(刺激応答性金属、炭素含有量0.003質量%、硫黄含有量:0.03質量%、リン含有量0.03質量%)を接合し、刺激応答部位60を設けた。
最後に、前記純鉄箔の一部(幅1mm、長さ1cm)を露出させる開口部90を形成した上で、該純鉄箔の一部が露出した状態を保ちながら、アクリル樹脂付きポリエチレンテレフタレートによって80℃でラミネートし、空隙を埋め、カバーすることにより、モニタリングタグ10を作製した。
この「フラグ」は、刺激応答部位60が反応して、ループ回路50が開裂した場合、もしくは、ループ回路50の抵抗が変化した場合に、ONからOFFとなって、モニタリング対象物80が特定の刺激に晒されたことを示すものである。以下、「フラグ」がONからOFFとなることを、「フラグが立つ」という。
また、塩化物イオン濃度が高濃度となるほど、早くフラグが立つこと、すなわち、刺激応答部が早く腐食して断線することが確認された。
実施例1では、参考例1において、純鉄箔(刺激応答性金属)を炭素鋼(炭素含有量:1.28質量%、硫黄含有量:0.002質量%、リン含有量0.012質量%)としたこと以外は同様にしてモニタリングタグ10を製造した。
このモニタリングタグ10を、コンクリートの表面から1cm深さ位置に埋め込み、硬化させて試験体bを作製し、この試験体bを前記表1の浸漬液(A−2)に浸漬した。浸漬液(A−2)は、コンクリート中に含まれる細孔溶液の組成に相当するアルカリ水溶液であり、JIS A 1193(2005年)に従って調製した。
試験体bを浸漬液(A−2)に浸漬し、ハンディリーダライタAT880(Atid社製)を用いて、ICチップのメモリ情報の読み取りを毎日行い、メモリの所定アドレスの「フラグ」が立つまでの日数を調査した。また、比較対象として、参考例1で得た試験体aについても同様の調査を実施した。その結果を下記表3に示す。
実施例2では、参考例1において、純鉄箔(刺激応答性金属)の左端部(図5参照)に厚み0.1μm、幅1mm、長さ0.5cmの金を蒸着したこと以外は同様にしてモニタリングタグ10を製造した。
このモニタリングタグ10を、コンクリートの表面から1cm深さ位置に埋め込み、硬化させて試験体cを作製し、この試験体cを前記表1の浸漬液(A−2)に浸漬した。浸漬液(A−2)は、実施例1と同様にして調製した。
試験体cを浸漬液(A−2)に浸漬し、ハンディリーダライタAT880(Atid社製)を用いて、ICチップのメモリ情報の読み取りを毎日行い、メモリの所定アドレスの「フラグ」が立つまでの日数を調査した。その結果を下記表3に示す。
実施例3では、参考例1において、純鉄箔(刺激応答性金属)を横断する様に(図6参照)、厚み0.1μm、幅1mm、長さ0.5cmの金を2本蒸着したこと以外は同様にしてモニタリングタグ10を製造した。
このモニタリングタグ10を、コンクリートの表面から1cm深さ位置に埋め込み、硬化させて試験体dを作製し、この試験体dを前記表1の浸漬液(A−2)に浸漬した。浸漬液(A−2)は、実施例1と同様にして調製した。
試験体dを浸漬液(A−2)に浸漬し、ハンディリーダライタAT880(Atid社製)を用いて、ICチップのメモリ情報の読み取りを毎日行い、メモリの所定アドレスの「フラグ」が立つまでの日数を調査した。その結果を下記表3に示す。
20 RFIDタグ
22 ICチップ
24 内蔵ICアンテナ
26 内蔵回路
28 基材
30 送受信アンテナ
40 接続回路
50 ループ回路
60 刺激応答部位
61 異種金属
70 封止材
80 モニタリング対象物
90 開口部
100 基材
Claims (9)
- モニタリング対象物の状態を監視するモニタリングタグであって、
ICチップを有するRFIDタグと、
前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、
前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設けており、該刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、該刺激応答部位が前記刺激応答性金属の変質促進機能を有するモニタリングタグ。 - 前記刺激応答性金属が、亜鉛、アルミニウム、カドミニウム、鉄、錫、鉛、銅、ニッケル、銀、チタン及びジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のモニタリングタグ。
- 前記刺激応答性金属が鉄である、請求項1又は2に記載のモニタリングタグ。
- 前記変質促進機能が、前記刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有することによって発現する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモニタリングタグ。
- 前記変質促進機能が、前記刺激応答性金属が異種金属と接することに起因するガルバニック腐食によって発現する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のモニタリングタグ。
- 前記刺激応答性金属が鉄であり、かつ、前記異種金属が、金、白金、イリジウム、パラジウム、銀、銅、ビスマス、アンチモン、鉛、錫、ニッケル、コバルト及びカドミウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項5に記載のモニタリングタグ。
- 前記RFIDタグと、前記送受信アンテナと、前記ループ回路を封止する封止材を有し、
前記封止材は、開口部を備え、
この開口部から、前記刺激応答部位を露出させた、請求項1〜6のいずれか1項に記載のモニタリングタグ。 - 前記ループ回路が、タンパー検知用ループ回路である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のモニタリングタグ。
- モニタリング対象物の状態を監視するモニタリングタグであって、
ICチップを有するRFIDタグと、
前記モニタリング対象物の外部に位置する外部アンテナとの間で電波を送受信する送受信アンテナと、
前記ICチップに接続されたループ回路を備え、
このループ回路に、前記モニタリング対象物の特性に影響を及ぼす特定の刺激に応答して前記ICチップのメモリ情報を変化させる刺激応答部位を設けており、該刺激応答部位の少なくとも一部が刺激応答性金属からなり、かつ、
該刺激応答性金属が、炭素、硫黄及びリンからなる群から選択される少なくとも1種を含有しているか、又は、
該刺激応答性金属が、該刺激応答性金属よりも貴な金属と接している、モニタリングタグ。
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