JP2018011729A - 気圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進することができる気圧制御装置を実現する。
【解決手段】人が存在する閉鎖空間の気圧の制御を開始するときの閉鎖空間50の外部気圧を取得し、閉鎖空間の気圧が、その取得した外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。これにより、慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置に関する。
近年、この種の気圧制御装置として、密閉型のカプセルやテントなどの閉鎖空間に酸素を注入し、かつ、気圧を上昇させるものが知られている。この場合、酸素濃度が概ね30%に、閉鎖空間内の気圧上昇が外部気圧の1.3倍程度にそれぞれ制御される。そして、そのように制御することにより、健康増進効果やリラックス効果があると言われている。
特開2007−202995号公報(第22段落、図1)
しかし、前述した健康増進やリラックス効果は、酸素を吸入することや、加圧により酸素が効率的に体内に取込まれることなどに起因すると言われているが、科学的な観点から考察すると、この程度の加圧では血液中に溶解する酸素濃度の上昇は全く期待できない。
すなわち、前述した効果についての科学的な根拠は全くないといってよく、慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進することはできないと考えられる。
そこで、この出願に係る発明は、気圧が人体に与える影響について科学的に検証し、慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進することができる気圧制御装置を実現することを目的とする。
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明では、人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置(60)であって、
前記閉鎖空間の気圧の制御を開始するときの前記閉鎖空間の外部気圧(P)を取得し、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が前記取得した外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御するという技術的手段を用いる。
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明では、人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置(60)であって、
前記閉鎖空間の外部気圧(P)をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が前記所定値の1.01〜1.03倍になるように制御するという技術的手段を用いる。
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明では、人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置(60)であって、
前記閉鎖空間の外部気圧(P)をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧の変動値が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記変動値が前記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御するという技術的手段を用いる。
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明では、人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置(60)であって、
前記閉鎖空間の予測される外部気圧(P)を取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御するという技術的手段を用いる。
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)の前記取得した外部気圧(P)に対する倍率を、前記1.01〜1.03倍の範囲内で所望の倍率に調節する倍率調節装置(62〜64)を備えるという技術的手段を用いる。
(請求項6に係る発明)
請求項6に係る発明では、請求項5に記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記倍率調節装置(62〜64)により調節された倍率に対応する気圧(Pt)に維持されている時間を調節する維持時間調節装置(67,68)を備えるという技術的手段を用いる。
(請求項7に係る発明)
請求項7に係る発明では、請求項5または請求項6に記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記取得した外部気圧(P)から、前記倍率調節装置(62〜64)により調節された倍率に対応する気圧(Pt)に到達するまで漸増するように自動制御するという技術的手段を用いる。
(請求項8に係る発明)
請求項8に係る発明では、請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記取得した外部気圧(P)から、前記倍率調節装置(62〜64)により調節された倍率に対応する気圧(Pt)に昇圧するまでの時間を調節する昇圧時間調節装置を備えるという技術的手段を用いる。
(請求項9に係る発明)
請求項9に係る発明では、請求項5ないし請求項8のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記倍率調節装置(62〜64)により調節された倍率に対応する気圧(Pt)から、前記取得した外部気圧(P)に到達するまで漸減するように自動制御するという技術的手段を用いる。
(請求項10に係る発明)
請求項10に係る発明では、請求項5ないし請求項9のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間の気圧(Pr)が、前記倍率調節装置(62〜64)により調節された倍率に対応する気圧(Pt)から、前記取得した外部気圧(P)に降圧するまでの時間を調節する降圧時間調節装置を備えるという技術的手段を用いる。
(請求項11に係る発明)
請求項11に係る発明では、請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間は、居住空間であるという技術的手段を用いる。
(請求項12に係る発明)
請求項12に係る発明では、請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間は、人が移動に用いる移動体内の空間であるという技術的手段を用いる。
(請求項13に係る発明)
請求項13に係る発明では、請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間は、特定の場所に設置された閉鎖空間であるという技術的手段を用いる。
(請求項14に係る発明)
請求項14に係る発明では、請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間は、移動により気圧が変動する閉鎖空間であるという技術的手段を用いる。
(請求項15に係る発明)
請求項15に係る発明では、請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の気圧制御装置(60)において、前記閉鎖空間へ気体を供給する供給装置を備えており、前記供給装置から供給する気体の供給量を制御することにより、前記閉鎖空間の気圧を制御するという技術的手段を用いる。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(請求項1に係る発明の効果)
請求項1に係る発明の気圧制御装置は、人が存在する閉鎖空間の気圧の制御を開始するときの閉鎖空間の外部気圧を取得し、閉鎖空間の気圧が、その取得した外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項1に係る発明は、慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進するという効果を奏する。
(請求項2に係る発明の効果)
請求項2に係る発明の気圧制御装置は、人が存在する閉鎖空間の外部気圧をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧が、その所定値の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項2に係る発明は、外部気圧が所定値に到達したときに閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができる。
つまり、請求項2に係る発明は、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。
(請求項3に係る発明の効果)
請求項3に係る発明の気圧制御装置は、人が存在する閉鎖空間の外部気圧をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧の変動値が所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧が、変動値が上記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項3に係る発明は、外部気圧の変動値が所定値に到達したときに閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができる。
つまり、請求項3に係る発明は、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。
(請求項4に係る発明の効果)
請求項4に係る発明の気圧制御装置は、人が存在する閉鎖空間の予測される外部気圧を取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧が、その所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項4に係る発明は、予測される外部気圧が所定値に到達したときに閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができる。
つまり、請求項4に係る発明は、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。
(請求項5に係る発明の効果)
請求項5に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧の前記取得した外部気圧に対する倍率を、1.01〜1.03倍の範囲内で所望の倍率に調節する倍率調節装置を備える。
したがって、請求項5に係る発明は、気圧に対する個人差に応じて最適の気圧に制御することができるため、気圧に対する個人差に応じて健康の増進を行うことができる。
(請求項6に係る発明の効果)
請求項6に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧が、倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に維持されている時間を調節する維持時間調節装置を備える。
したがって、請求項6に係る発明は、調節された気圧に晒されている時間の長さが、効果の種類、効果の程度、あるいは、効果の個人差に対して影響を与える場合に、時間を調節することによって最大の効果を奏することができる。
(請求項7に係る発明の効果)
請求項7に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧が、取得した外部気圧から、倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に到達するまで漸増するように自動制御する。
したがって、請求項7に係る発明は、閉鎖空間の気圧が急激に上昇しないようにすることができるため、気圧の急激な上昇による人体への影響をなくすことができる。
(請求項8に係る発明の効果)
請求項8に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧が、取得した外部気圧から、倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に昇圧するまでの時間を調節する昇圧時間調節装置を備える。
したがって、請求項8に係る発明は、気圧の上昇に対して順応性が低い人に対して、最適な昇圧時間に調節することができるため、そのような人も当該気圧制御装置を利用して健康を増進することができる。
(請求項9に係る発明の効果)
請求項9に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧が、倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧から、前記取得した外部気圧に到達するまで漸減するように自動制御する。
したがって、請求項9に係る発明は、閉鎖空間の気圧が急激に下降しないようにすることができるため、気圧の急激な下降による人体への影響をなくすことができる。
(請求項10に係る発明の効果)
請求項10に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間の気圧が、倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧から、前記取得した気圧に降圧するまでの時間を調節する降圧時間調節装置を備える。
したがって、請求項10に係る発明は、気圧の下降に対して順応性が低い人に対して、最適な降圧時間に調節することができるため、そのような人も当該気圧制御装置を利用して健康を増進することができる。
(請求項11に係る発明の効果)
請求項11に係る発明の気圧制御装置は、居住空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項11に係る発明は、居住空間に居住する人の健康を増進することができる。
たとえば、家に住む人や職場で働く人の健康を増進することができる。
(請求項12に係る発明の効果)
請求項12に係る発明の気圧制御装置は、人が移動に用いる移動体内の空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項12に係る発明は、人が移動に用いる移動体内の空間に入っている人の健康を増進することができる。
たとえば、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、エレベーターなどの移動体内の空間に入っている人の健康を増進することができる。
(請求項13に係る発明の効果)
請求項13に係る発明の気圧制御装置は、特定の場所に設置された閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項13に係る発明は、特定の場所に設置された閉鎖空間に入っている人の健康を増進することができる。
たとえば、空港のラウンジ、鉄道の駅の待合室などの閉鎖空間に当該気圧制御装置を接続する。これにより、気圧低下によって慢性痛や気分障害を発症した人が、その閉鎖空間に入ることにより、症状を改善することができる。
(請求項14に係る発明の効果)
請求項14に係る発明の気圧制御装置は、移動により気圧が変動する閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御する。
したがって、請求項14に係る発明は、移動により気圧が変動する閉鎖空間に入っている人の健康を増進することができる。
特に、気圧の低下に起因する慢性痛や気分障害を患う者は、鉄道車両がトンネルに入ったとき、航空機が飛行しているとき、エレベーターが上昇しているときなど、気圧が低下する環境下において、慢性痛や気分障害を発症することが多い。
そこで、請求項14に係る発明を実施すれば、移動により気圧が変動する閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができるため、気圧の低下に起因する慢性痛や気分障害が発症しないようにすることができる。
(請求項15に係る発明の効果)
請求項15に係る発明の気圧制御装置は、閉鎖空間へ気体を供給する供給装置を備えており、その供給装置から供給する気体の供給量を制御することにより、閉鎖空間の気圧を制御する。
したがって、請求項15に係る発明は、供給装置から供給する気体の供給量を制御するという簡易な構成により、閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができるため、当該気圧制御装置の適用範囲を拡げることができる。
この発明の実施形態である気圧制御装置と気圧ルームの外観を示す斜視図である。 図1に示す気圧制御装置に設けられた操作パネルの平面図である。 図1に示す気圧制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。 図3に示す制御回路が実行する制御の流れを示すフローチャートである。 図4に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。 実験1における被験者のプロフィールを示す図表である。 実験1における高気圧暴露スケジュールを示す説明図である。 実験1における疼痛VASスコア、痛み度数および痛み指数の実験結果を示すグラフである。 実験1における不安および抑うつの実験結果を示すグラフである。 実験1におけるPOMSに対する効果の実験結果を示すグラフである。 実験1におけるα2脳波に対する効果の実験結果を示すグラフである。 実験1におけるLF/HFに対する効果(健常者)およびLF/HFに対する効果(慢性痛)の実験結果を示すグラフである。 実験1におけるLF/HFに対する効果(慢性痛・気分障害)およびLF/HFに対する効果(気分障害)の実験結果を示すグラフである。 実験1における安静臥床と高気圧暴露のLF/HFに対する効果の比較の実験結果を示すグラフである。 実験1における唾液アミラーゼ分泌量に対する効果の実験結果を示すグラフである。 実験2における被験者のプロフィールを示す図表である。 実験2における高気圧暴露スケジュールを示す説明図である。 実験2における疼痛VASスコアの変化の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるPAIN VISION痛み指数の変化の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるSF−MPQ疼痛尺度の変化の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるHADS(不安尺度)に対する効果の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるPOMSの精神尺度に対する高気圧暴露の効果の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるα2脳波に対する高気圧暴露の効果の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるLF/HFパワーに対する効果(慢性痛患者)の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるLF/HFパワーに対する高気圧暴露の抑制効果の実験結果を示すグラフである。 実験2における唾液アミラーゼ分泌量に対する高気圧暴露の効果の実験結果を示すグラフである。 SF−MPQ(簡略版マクギル疼痛質問票)の説明図である。 HADS質問票の説明図である。 POMS簡略版の説明図である。
〈第1実施形態〉
[気圧制御装置の概略構成]
最初に、この実施形態の気圧制御装置の概略構成について図1および図2を参照して説明する。図1は、この実施形態の気圧制御装置と気圧ルームの外観を示す斜視図である。図2は、図1に示す気圧制御装置に設けられた操作パネルの平面図である。
図1に示すように、この実施形態の気圧制御装置60は、閉鎖空間を形成する気圧ルーム50に接続されている。気圧ルーム50の内部に形成される閉鎖空間は、その閉鎖空間に入った人が座位または臥床などの姿勢をとることができる大きさに形成されている。気圧ルーム50の一端には、扉51がヒンジ52を介して開閉可能に取付けられている。
気圧制御装置60は、1本の加圧パイプ(図示省略)と、2本の減圧パイプ(図示省略)とによって気圧ルーム50内部の閉鎖空間と連結されている。気圧制御装置60は、閉鎖空間へ空気を供給するポンプ(図3において符号72で示す)を備える。気圧制御装置60は、加圧用パイプを介して閉鎖空間へ空気を供給し、閉鎖空間内の気圧を昇圧し、減圧パイプを介して閉鎖空間内の空気を吸引し、閉鎖空間内の気圧を減圧する。各減圧用パイプには、電磁弁(図3において符号73,74で示す)がそれぞれ設けられており、各電磁弁の開閉を制御することにより、閉鎖空間の気圧を制御する。また、気圧ルーム50の内部には、気圧ルーム内の気圧を測定する気圧センサ(図3において符号78で示す)が配置されており、測定した気圧を気圧制御装置60へ送信するように構成されている。
図2に示すように、気圧制御装置60の操作パネル61には、閉鎖空間内の気圧を調節するための3つの調節ボタン62〜64が設けられている。各調節ボタン62〜64は、プッシュオン式のプッシュボタンであり、調節ボタン62(GLAN)は、閉鎖空間の気圧を閉鎖空間外の外部気圧の1.03倍に設定するための調節ボタンであり、調節ボタン63(MILD)は、閉鎖空間の気圧を閉鎖空間外の外部気圧の1.02倍に設定するための調節ボタンであり、調節ボタン64(SOFT)は、閉鎖空間の気圧を閉鎖空間外の外部気圧の1.01倍に設定するための調節ボタンである。つまり、気圧ルーム50の閉鎖空間は、調節ボタン62〜64のいずれかを押圧操作することにより、外部気圧の1.01〜1.03倍の気圧の環境に維持される。
たとえば、気圧ルーム50内の閉鎖空間は、外部気圧が1013hPaであるときに、調節ボタン62を押圧操作すると、外部気圧よりも約30hPa高い1043hPa(=1013hPa×1.03)に昇圧され、調節ボタン63を押圧操作した場合は、外部気圧よりも約20hPa高い1033hPa(=1013hPa×1.02)に昇圧され、調節ボタン64を押圧操作した場合は、外部気圧よりも約10hPa高い1023hPa(=1013hPa×1.01)に昇圧される。
気圧に対する敏感さや順応性には、個人差があるため、気圧ルーム50に入る人は、自分に適合した気圧を選択することができる。
気圧ルーム50内の閉鎖空間の気圧が、調節ボタン62〜64によって調節された目標の気圧に到達するまでに要する時間は、調節された気圧によって異なるが、この実施形態では、加圧開始から1〜6分で目標の気圧に漸増して到達する。
また、操作パネル61には、制御の開始および停止を行うためのスタート/ストップボタン65と、緊急時に制御の停止を行うための緊急ストップボタン66とが設けられている。スタート/ストップボタン65は、押圧操作毎にスタートおよびストップが切替わる構成である。また、操作パネル61には、気圧制御を行っている時間、つまり使用時間を設定するための時間増加ボタン67と、時間減少ボタン68とが設けられている。時間増加ボタン67を押圧操作すると、使用時間が10分単位で増加し、減少ボタン68を押圧操作すると、使用時間が10分単位で減少する。設定した時間は、残り時間として、残り時間表示部70に表示される。この実施形態では、設定可能な時間は、30〜90分であり、時間増加ボタン67を3秒間長押しすると、7時間に設定することができる。また、操作パネル61には、稼働中であることを点灯によって表示する稼働中ランプ69が設けられている。
[気圧制御装置の電気的構成]
次に、気圧制御装置60の主な電気的構成について、それをブロックで示す図3を参照して説明する。
気圧制御装置60は、気圧ルーム50の外部気圧(大気圧)を測定する気圧センサ71と、空気を加圧パイプを介して気圧ルーム50へ供給するポンプ72と、各減圧パイプに設けられた電磁弁73,74と、表示パネル61と、インターホン75と、制御回路76と、電源77とを備える。制御回路76は、ポンプ72の駆動回路と、各電磁弁73,74の駆動回路と、気圧の制御などの各種制御を行うマイクロコンピュータとを備える。制御回路76は、ポンプ72を制御し、気圧ルーム50の気圧を、調節ボタン62〜64により調節された目標の気圧まで漸増しながら昇圧する制御と、時間増加ボタン67および時間減少ボタン68により設定された使用時間の間、目標の気圧を維持する制御とを行う。また、制御回路76は、上記使用時間が経過したときに、電磁弁73,74を制御し、気圧ルーム50の気圧が目標の気圧から外部気圧まで漸減しながら降圧する制御を行う。
また、気圧制御装置60には、気圧ルーム50の内部に設けられた気圧センサ78と、気圧ルーム50の内部に設けられたインターホン79とが電気的に接続されている。
制御回路76は、気圧ルーム50の内部の気圧が目標の気圧となるように、ポンプ72を駆動し、各電磁弁73,74の開閉を制御する。
[気圧制御装置の制御の流れ]
次に、制御回路76が実行する制御の流れについて、それを示す図4および図5のフローチャートを参照して説明する。
制御回路76は、自身が稼働中か否かを判定し(ステップ(以下、Sと略す)1)、稼働中ではないと判定した場合は(S1:No)、スタート/ストップボタン65が押圧操作され、制御開始が指示されたか否かを判定する(S2)。ここで、制御開始が指示されたと判定した場合は(S2:Yes)、気圧センサ71(図3)から大気圧(気圧ルーム50の外部気圧)Pを取得する(S3)。続いて、調節ボタン62が押圧操作され、SOFTが選択されているか否かを判定し(S4)、選択されていると判定した場合は(S4:Yes)、先のS3において取得した大気圧P×1.01を、閉鎖空間の気圧の目標値(以下、目標気圧と称する)Ptに設定する(S5)。
また、S4においてSOFTが選択されていないと判定した場合は(S4:No)、調節ボタン63が押圧操作され、MILDが選択されているか否かを判定し(S6)、選択されていると判定した場合は(S6:Yes)、先のS3において取得した大気圧P×1.02を、閉鎖空間の気圧の目標値(以下、目標気圧と称する)Ptに設定する(S7)。また、S6においてMILDが選択されていないと判定した場合は(S6:No)、調節ボタン64が押圧操作され、GLANが選択されているか否かを判定し(S8)、選択されていると判定した場合は(S8:Yes)、先のS3において取得した大気圧P×1.03を、閉鎖空間の気圧の目標値(以下、目標気圧と称する)Ptに設定する(S9)。
続いて、稼働時間Taをセットし(S10)、ポンプ72(図3)を駆動して気圧ルーム50内へ空気を供給し、加圧を開始する(S11)。続いて、気圧ルーム50の内部に設けられた気圧センサ78(図3)から室内気圧Prを取得し(S12)、その室内気圧Prが目標気圧Ptに到達したか否かを判定する(図5のS13)。ここで、到達していないと判定した場合は(S13:No)、スタート/ストップボタン65または緊急ストップボタン66が押圧操作され、制御停止が指示されたか否かを判定する(S14)。ここで、指示されていないと判定した場合は(S14:No)、加圧を継続する(図4のS11)。
そして、室内気圧Prが目標気圧Ptに到達したと判定した場合は(図5のS13:Yes)、ポンプ72の駆動を停止して空気の供給を停止し、加圧を停止する(S15)。続いて、先のS10(図4)において設定した稼働時間Taが0になったか否か、つまりタイムアップしたか否かを判定し(S16)、タイムアップしていないと判定した場合は(S16:No)、スタート/ストップボタン65または緊急ストップボタン66が押圧操作され、制御停止が指示されたか否かを判定する(S17)。ここで、指示されていないと判定した場合は(S17:No)、室内気圧Prが目標気圧Ptに到達したか否かを判定する(S13)。
そして、タイムアップしたと判定した場合(S16:Yes)は、あるいは、制御停止の指示があったと判定した場合は(S14:Yes、S17:Yes)、ポンプ72を停止して空気の供給を停止するとともに、各減圧用パイプに設けられている電磁弁73,74(図3)を開放して気圧ルーム50内の減圧を開始する(S18)。続いて、室内気圧Prが大気圧Pに到達したか否かを判定し(S19)、到達したと判定した場合は(S19:Yes)、減圧を終了し(S20)、制御の終了を報知する(S21)。この制御の終了は、LEDなどを点灯または点滅させることによって報知したり、音を出力することによって報知したりすることができ、それらの報知を行うための装置は、気圧制御装置60または気圧ルーム50の内部、あるいは、それらの両方に設けることができる。
この実施形態では、気圧ルーム50は鋼板により直方体形状に形成されており、扉51はアクリルにより板状に形成されている。また、気圧ルーム50の内寸は、幅740mm、全長1750mm、高さ1050mmである。材料および各寸法は変更可能である。
[実験1]
次に、この出願の発明者らが行った実験について図を参照して説明する。
この出願の発明者らは、大気圧よりも高い気圧が、人に及ぼす効果を測定する実験を行った。
1.被験者
この実験の被験者は計26名である。その内訳は、健常成人10名、慢性痛のみの者5名、気分障害のみの者5名、両者を同時に持つ者6名である(図6)。慢性痛被験者は、疼痛VASスコア2以上、Pain Visionの痛み度数が20以上、マクギル指数が0.1以上であった。また、気分障害は、HADSの不安尺度、抑うつ尺度のいずれかが7以上のものである。
2.高気圧暴露
2−1.装置
タイムワールド製O2カプセルを改造し、加圧制御性能を高めたものを用いた。カプセル内の気圧値を測定できるようにした。
2−2.暴露条件
その時点の大気圧から30hPaの加圧を行った。加圧速度は約10hPa/分。本実験では、高気圧暴露の効果に限定したため、酸素の付加は行わなかった。被験者は各種の質問票に回答し、カプセル内で安静臥床後、血圧、唾液アミラーゼ測定を行い、10分間の心電図・脳波の基準値測定後、カプセル内を3分かけて大気圧+30hPaの高気圧環境にした。27分高気圧に維持し、30秒で大気圧まで復圧した。暴露後の安静期を9分30秒とした(図7)。実験終了後、質問票、血圧、唾液アミラーゼ測定を行った。被験者には、できるだけ睡眠をとらないように指示した。
3.測定項目
3−1.疼痛尺度
(VASスケール)
被験者に、患部の痛みの強さを0〜10段階で自己評価してもらった。0は全く痛みがない、10は想像できる最大の痛みとした。
(SF−MPQ(簡略版マクギル疼痛質問票))
簡易版マクギル疼痛質問票(図27)を用いて被験者に回答してもらった。
(痛み度)
ニプロ製知覚・痛覚定量分析装置Pain Vision PS-2100を用いて、疼痛レベルを測定した。この装置の測定原理は以下の通りである。被験者が持つ痛みの強さを、痛みを伴わない電気刺激による感覚の大きさと比較し、痛みに対応する感覚の大きさを刺激電流値として定量化する。すなわち、皮膚に痛みを発生させないパルス状電流波を与え、刺激量を漸増させながら痛みと刺激感覚の大きさを比較する。痛みの大きさに相当する感覚を与えた電流値を痛み対応電流と定義する。一方、被験者の電気刺激に対する閾値(増大する電気刺激を最初に感じた値)を最小感知電流と定義する。このようにして得られた痛み対応電流値と最小感知電流値により、痛みの大きさを表す指標を次のように定義する。
痛み度=100×(痛み対応電流−最小感知電流)/最小感知電流
3−2.精神症状(気分)尺度
(VASスケール)
被験者に、気分を5段階(気持ちがいい〜気分が悪い)で自己評価してもらった。
(HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale))
HADS質問票(図28)を用いて、被験者に自記してもらった。不安7項目、抑うつ7項目それぞれの点数を合計した。
(POMS(Profile of Mood States)簡略版)
健常被験者の気分尺度は、POMS簡略版(図29)を用いて測定した。各質問項目について0〜4段階で自己評価してもらった。あらかじめ決められた6つの尺度(緊張・不安、抑うつ、敵意・怒り、活気、疲労、混乱)について合計点を求めた。
(簡易脳波測定)
FUTEK製α波測定器FM-717を用いて、簡易脳波測定をした。α2脳波の出現量(電圧量/秒)を算出し、リラックスの程度の尺度とした。
3−3.自律神経指標
(心拍変動周波数パワースペクトル解析)
心臓の自律神経緊張の指標として、心拍変動周波数を求め、中間周波数成分(LF:0.04−0.15Hz)と高周波成分(0.15−0.4Hz)の比(LF/HF)を交感神経活動の指標とした。心電図は、ダイヤメディカルシステム製テレメータ送受信機または日本光電製多チャンネルテレメーターシステムWEB-1000を用いて記録し、GMS製心拍揺らぎ解析システムMem Calc/Tarawaを用いてLF/HF値をリアルタイムで算出した。
(唾液アミラーゼ分泌量)
ニプロ製唾液アミラーゼモニターCM-2.1を用いて、唾液中のアミラーゼ量を測定した。
4.実験結果
4−1.疼痛尺度
実験結果を図8に示す。個々の被験者で測定した疼痛VASスコア、Pain Visionの痛み度数、SF−MPQの痛み尺度の3指標の暴露前後の値を線で結んだ。ほとんどの被験者において、この3指標は暴露後に減少した。疼痛VASスコアの平均値±標準誤差は暴露前後でそれぞれ3.9±0.5と2.0±0.3であり、統計学的に有意な差であった(t検定、P<0.001)。また、痛み度数の平均値±標準誤差は、暴露前後でそれぞれ238.5±107.5と99.7±40.5であり、統計学的に有意な差であった(t検定、P<0.05)。SF−MPQの痛み尺度についても有意な低下を示した。すなわち、平均値±標準誤差は、暴露前後でそれぞれ0.9±0.2と0.22±0.07であり、統計学的に有意な差であった(t検定、P<0.01)。
4−2.精神症状(気分)尺度
HADSに対する高気圧暴露の効果を図9に示す。この図で明らかなように、高気圧暴露は不安尺度、抑うつ尺度ともに抑制効果を持つ。不安尺度の平均値±標準誤差は、暴露前後でそれぞれ9.5±0.9と5.6±1.1であり、統計学的に有意な差であった(t検定、P<0.05)。また、抑うつ尺度についても平均値±標準誤差は、暴露前後でそれぞれ8.9±1.1と6.8±1.1であり、統計学的に有意な差であった(t検定、P<0.05)。
健常被験者に行ったPOMSに対する高気圧暴露の効果を図10に示す。高気圧暴露は、緊張・不安尺度と抑うつ尺度を明らかに抑制した。両尺度とも統計学的に有意な低下であった(t検定、P<0.05)。他の尺度については高気圧暴露前後に明らかな変化は見られなかった。
図11にα2脳波の出現量に対する高気圧暴露の効果を示した。慢性痛+気分障害群で高気圧暴露後に増加傾向がみられた(統計学的な有意差はない)。他の群では明らかな効果はなかった。
4−3.自律神経指標
心拍変動周波数パワースペクトル解析を行い、暴露中のLF/HFの変化を解析した(図12,図13)。図12(a)左のグラフは、健常被験者に高気圧暴露したときのLF/HFの経過である(9例の平均)。この図にみられるように高気圧環境に維持している間は低値で安定した。この傾向は、パワーの平均値(右グラフ)でも確認できた(統計学的な有意差はみられない)。
慢性痛群(図12(b))、慢性痛+気分障害群(図13(c))についても健常群と同様に、高気圧環境に維持することによってLF/HF値が低値安定する効果が得られた。気分障害群においては、この効果は弱いことも分かった(図13(d))。
図14は、各群の被験者1名ずつに高気圧暴露を受けずにカプセル内に安静臥床してもらい、LF/HF値の経過を解析したものである。比較のため同一被験者に高気圧暴露を与えたときのLF/HF値も示している。このグラフから明らかなように、どの被験者においても安静臥床のみでは高気圧暴露で観察されるような明瞭なLF/HF値の低下は見られない。特に、慢性痛被験者と気分障害被験者のLF/HF値は安静臥床によってかえって増加している。この結果から、高気圧暴露は、LF/HFの低下、すなわち交感神経緊張を抑制する効果があるものと考えられる。
高気圧暴露による唾液アミラーゼ量の変化を図15に示す。最右のグラフにあるように健常者の分泌量は暴露前値が低値を示し、高気圧暴露によっても明らかな変化はみられなかった。他の群においては暴露前から高値を示す例があった。また、高気圧暴露が明らかに抑制効果を示したものもみられた。慢性痛+気分障害群で高気圧暴露後に値が大きく増加した1例が存在したが、この被験者は一定姿勢で臥床していること自体が苦痛だったと感想を述べた。
5.考察
今回の実験で以下の点が明らかとなった。
(1)大気圧+30hPaの高気圧暴露は、健常者のストレスを抑制し、気分を改善し、交感神経緊張を抑制する効果があった。
(2)慢性痛、気分障害を示す被験者においては、疼痛レベルの低下、気分障害の改善、交感神経緊張の抑制効果が見られた。一部の被験者においてはストレスレベルを低下させる効果があることもα2脳波と唾液アミラーゼ分泌量測定によって明らかとなった。
以上の結果により、大気圧+30hPaへの暴露が、健常者ならびに慢性痛/気分障害を患う被験者に対して有効な「健康増進効果」があることを強く示唆した。
6.結論
大気圧+30hPaの高気圧暴露を30分負荷し、健常者のストレスレベル、交感神経緊張、気分に与える影響を解析した。また、慢性痛あるいは気分障害をもつ被験者については、それぞれの症状に対する効果も同時に調べた。健常者のストレスレベルは低下し、交感神経の緊張レベルも低下した。また、慢性痛症状、気分障害の程度も低下した。
以上より、大気圧+30hPaの高気圧暴露は一定の健康増進効果を持つことが明らかとなった。
[実験2]
次に、この出願の発明者らが前述した実験1の後に行った実験について図を参照して説明する。
前述の実験1では、大気圧+30hPaが人に及ぼす効果を測定する実験を行ったが、今回の実験では、高気圧の程度を大気圧+10hPaに下げ、室内や乗用車等で容易に実装できる範囲とし、慢性痛の低減効果に焦点をあてて実験を行った。
1.被験者
被験者は、慢性痛患者のうち天気変化に敏感な者4名と、慢性痛をもつ一般成人6名である。被験者の性別、年齢、慢性痛部位は、図16の通りである。
2.高気圧暴露
2−1.装置
タイムワールド社製「O2カプセル」を改造し、加圧制御性能を向上させたものを実験に用いた。また、カプセル内の気圧値をオンラインで測定記録できるようにした。
2−2.暴露プロトコル
それぞれの被験者に対し、高気圧暴露ありの施行を一回、高気圧暴露無しの施行を一回の計二回行った。暴露ありの施行を先に行ったケースが6例、暴露無しの施行を先に行ったケースが3例、他の一例については両施行を二日に分けて行った。
被験者は、各種の質問票に回答した後、カプセル内で安静臥床し、疼痛VASスコア、PAIN VISION、血圧、唾液アミラーゼの測定を行った。10分間の心電図・脳波の基準値測定後、約3分かけてその時点の大気圧から+10hPaの高気圧環境にした。そして、30分間高気圧に維持し、約1分で大気圧まで復圧した。暴露後の安静期を10分とした(図17)。暴露終了後に再度、疼痛VASスコア、PAIN VISION、血圧、唾液アミラーゼの測定を行い、その後、質問票に回答してもらった。実験中、被験者には、カプセル内の眼前モニターで移動指標を2分間視認させ、コントローラー動作(両手の回内外運動)で指標を追跡するタスク作業を繰り返し行わせた(計5回)。暴露無しのプロトコルでは、気圧を変化させずに、暴露ありのプロトコルと同じタイムスケジュールで各パラメータの測定を行った。
3.測定項目
3−1.疼痛尺度
(疼痛VASスコア)
被験者に、患部の痛みの強さを0〜10段階で自己評価してもらった。0は全く痛みがない、10は想像できる最大の痛みとした。
(痛み度数)
NIPRO製知覚・痛覚定量分析装置PAIN VISION PS-2100を用いて、疼痛レベルを測定した。この装置の測定原理は以下の通りである。被験者が持つ痛みの強さを、痛みを伴わない電気刺激による感覚の大きさと比較し、痛みに対応する感覚の大きさを刺激電流値として定量化する。すなわち、皮膚に痛みを発生させないパルス状電流波を与え、刺激量を漸増させながら痛みと刺激感覚の大きさを比較する。痛みの大きさに相当する感覚を与えた電流値を痛み対応電流と定義する。一方、被験者の電気刺激に対する閾値(増大する電気刺激を最初に感じた値)を最小感知電流と定義する。このようにして得られた痛み対応電流値と最小感知電流値により、痛みの大きさを表す指標を次の式を用いて算出した。
〈痛み度=100×(痛み対応電流−最小感知電流)/最小感知電流〉
(SF−MPQ(簡略版マクギル疼痛質問票))
SF−MPQ質問票(図27)を用いて、被験者に自記してもらった。その点数を合計し、16項目の合計点を16で除した値を疼痛尺度とした。
3−2.精神症状(気分)尺度
(HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale))
HADS質問票(図28)を用いて、被験者に自記してもらった。不安尺度(左側7項目)、うつ尺度(右側7項目)それぞれの点数(質問回答文右側の数字)を合計した。尺度の合計点がそれぞれ7以上の場合を「気分障害」と判断した。
(POMS(Profile of Mood States)簡略版)
健常被験者の気分尺度は、POMS簡略版(図29)を用いて、被験者に各質問項目について0〜4の5段階で自記してもらった。あらかじめ決められた6つの精神尺度(緊張・不安、抑うつ、敵意・怒り、活気、疲労、混乱)についてそれぞれ合計点を求め評価した。
(簡易脳波測定)
FUTEK製α波測定器FM-717を用いて、簡易脳波測定を行った。前頭葉部位におけるα2脳波の出現量(電圧量/秒)を算出し、精神性リラックスの程度の尺度とした。
3−3.自律神経指標
(心拍変動周波数パワースペクトル解析)
心臓の自律神経緊張の指標として、心拍変動周波数を求め、中間周波数成分(LF:0.04−0.15Hz)と高周波成分(0.15−0.4Hz)の比(LF/HF)を交感神経活動の指標とした。心電波形は、日本光電製多チャンネルテレメータシステムWEB-1000を用いて記録し、GMS製心拍揺らぎ解析システムMem Calc/Tarawaを用いてLF/HF値をリアルタイムで算出した。
(唾液アミラーゼ分泌量)
NIPRO製唾液アミラーゼモニターCM-2.1を用いて、精神的ストレス度の指標として唾液中のアミラーゼ量を測定し比較した。
4.実験結果
4−1.疼痛尺度
(疼痛VASスコア)
試験直前の疼痛VASスコアの範囲は、2〜5だった。個々の被験者の疼痛VASスコアの変化を図18に示す。高気圧暴露を行わなかった対照施行に比べ、高気圧暴露施行において暴露後の疼痛VASスコアが低下している例が多く、その傾向は、平均値の変化でも明らかだった。疼痛VASスコアの平均値±標準誤差は、高気圧暴露前後でそれぞれ3.2±0.3と2.5±0.3であり、統計学的に有意な変化であった(paired t検定、P<0.05)。
(PAIN VISION)
暴露前の痛み度数は、1.6〜627.3であり、個人差が大きかった。暴露前後の痛み度数の変化を図19に示す。高気圧暴露施行では、直後の痛み度数が低下している例が多く、特に痛み度数が高い被験者でその傾向が明らかだった。痛み度数の平均値±標準誤差は、高気圧暴露前後でそれぞれ190.9±70.5と100.7±28.0であり、統計学的に有意な変化であった(paired t検定、P<0.05)。
(SF−MPQ疼痛尺度)
SF−MPQの疼痛尺度についても高気圧暴露によって明らかな改善が見られた(図20)。すなわち、高気圧暴露前後の疼痛尺度の平均値±標準誤差は、それぞれ0.27±0.06と0.18±0.05であり、統計学的に有意な低下であった(paired t検定、P<0.05)。一方、高気圧暴露しない対照施行(左グラフ)では明らかな変化は見られなかった(1回目:0.32±0.08、2回目:0.34±0.10)。
4−2.精神症状(気分)尺度
(HADS)
暴露前に気分障害ありと区分された被験者は4名であった(図16)。HADS(不安尺度)に対する高気圧暴露の効果を図21に示す。右図に示すとおり、不安尺度の平均値±標準誤差は、暴露前後でそれぞれ5.8±1.4と4.2±1.3であり、統計学的に有意な差であった(paired t検定、P<0.05)。一方、高気圧暴露を行わない対照施行の不安尺度は、1回目が4.9±1.3、2回目が4.2±1.4であり、統計学的に有意差はなかった。うつ尺度については、高気圧暴露を行っても有意な変化はみられなかった(データ記載省略)。以上より、高気圧暴露は不安尺度に対してのみ抑制効果を持つことが分かった。
(PMOS簡略版)
図22にPMOSの精神尺度に対する高気圧暴露の効果を示した。高気圧暴露なし(左図)と高気圧暴露あり(右図)のデータを比べると分かるように、高気圧暴露は緊張・不安尺度と抑うつ尺度を抑制する効果があり、両尺度とも統計学的に有意な低下であった(paired t検定、P<0.05)。一方、他の精神尺度については個々人の変化にばらつきが多く、高気圧暴露前後に明らかな変化は見られなかった。
(α2脳波の出現量)
図23にα2脳波の出現量に対する高気圧暴露の効果を示した。この両図で明らかなように、高気圧暴露を行っても、出現量に明らかな変化は見られなかった。
4−3.自律神経指標
(LF/HFパワー)
図24に一例(被験者SK)の結果を示す。高気圧暴露を行わなかった対照施行(上図)では、パワー量が増加した。一方、高気圧暴露施行(下図)では、高気圧に維持すると徐々に低値に安定した。以上より、高気圧環境は、この被験者の交感神経系の緊張を抑制したと考えられる。
図25に被験者10名に高気圧暴露したときのLF/HFパワー平均値の変化を示す。高気圧暴露を行わなかった対照施行(左図)では、時間が経過するにつれて、LF/HFパワーが増加した。一方、高気圧暴露施行では、LF/HFパワーの変化はほとんど見られなかった。以上の結果から、50分間の臥床中にタスク作業を行うとストレス反応として徐々に交感神経の緊張が生じることがわかった。一方、高気圧暴露施行では、この変化が消失していることから、高気圧暴露は交感神経緊張を抑制する(すなわちリラックス効果を持つ)ことが分かった。
(唾液アミラーゼ分泌量)
高気圧暴露による唾液アミラーゼ量の変化を図26に示す。暴露前に高値を示した被験者2名(慢性痛患者SA、SK)では、高気圧暴露後に明らかにアミラーゼ値が低下したが、全体としては統計学的に有意な変化ではなかった。
5.考察
今回の実験で以下の点が明らかとなった。
(1)大気圧+10hPaの高気圧暴露は、慢性痛を軽減し、気分障害を改善し、精神的ストレスによる不安・緊張あるいは抑うつを抑制する効果を示した。また、心拍間隔変動周波数解析の結果から、高気圧暴露には交感神経系の緊張を抑制する効果もあることが分かった。
(2)α2脳波と唾液アミラーゼ分泌量測定により、一部の被験者においてはストレスレベルを低下させる効果があることも明らかとなった。
また、今回の実験では、カプセル内でタスク作業をさせて覚醒レベルを高め、実際の室内作業環境に近い環境を模擬したが、LF/HFパワーの解析結果から、この作業が被験者のストレスレベルを上げることが明らかとなり、高気圧暴露は、このストレス反応を抑制する効果を持つことも明らかとなった。これらのことから、+10hPaの高気圧暴露でも慢性痛、気分障害に対して十分に改善効果があるが、タスク作業のストレスが「大気圧+10hPaの高気圧暴露」の効果をマスクした可能性は否定できない。
6.結論
室内あるいは自動車等を想定した環境条件における健康増進効果を検証するため、大気圧+10hPaの高気圧暴露を30分間負荷し、慢性痛を持つ被験者のストレスレベル、交感神経緊張、気分に与える影響を解析した。被験者のストレスレベルは低下し、交感神経の緊張レベルも低下した。また、慢性痛症状、気分障害の程度も低下した。
以上より、実験1における大気圧+30hPaと比較すると効果の程度は低いが、大気圧+10hPaの高気圧環境は、慢性痛抑制効果のみならず、一定の健康増進効果を持つことが明らかとなった。
[第1実施形態による効果]
(1)第1実施形態の気圧制御装置60を実施すれば、気圧ルーム50の気圧の制御を開始するときの気圧ルーム50の外部気圧Pを取得し、気圧ルーム50の室内気圧Prが、その取得した外部気圧Pの1.01〜1.03倍になるように制御することにより、慢性痛や気分障害を患う者ならびに健常者の健康を増進することができる。
(2)また、第1実施形態の気圧制御装置60を実施すれば、気圧ルーム50の室内気圧Prの外部気圧Pに対する倍率を、1.01〜1.03倍の範囲内で所望の倍率に調節することができるため、気圧に対する個人差に応じて最適の気圧に制御することができるので、気圧に対する個人差に応じて健康の増進を行うことができる。
(3)さらに、第1実施形態の気圧制御装置60を実施すれば、気圧ルーム50の室内気圧Prが、調節ボタン62〜64により調節された倍率に対応する気圧に維持されている時間を調節する時間増加ボタン67と時間減少ボタン68とを備えるため、調節された室内気圧に晒されている時間の長さが、効果の種類、効果の程度、あるいは、効果の個人差に対して影響を与える場合に、時間を調節することによって最大の効果を奏することができる。
(4)さらに、第1実施形態の気圧制御装置60を実施すれば、気圧ルーム50の室内気圧Prが、外部気圧Pから、調節ボタン62〜64により調節された倍率に対応する気圧に到達するまで漸増するように自動制御することができるため、気圧ルーム50の室内気圧Prが急激に上昇しないようにすることができるので、気圧の急激な上昇による人体への影響をなくすことができる。
(5)さらに、第1実施形態の気圧制御装置60を実施すれば、気圧ルーム50の室内気圧Prが、調節ボタン62〜64により調節された倍率に対応する気圧が外部気圧Pに到達するまで漸減するように自動制御することができるため、気圧ルーム50の室内気圧Prが急激に下降しないようにすることができるので、気圧の急激な下降による人体への影響をなくすことができる。
(6)さらに、ポンプ72(図3)から供給する空気の供給量を制御するという簡易な構成により、閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができるため、気圧制御装置60の適用範囲を拡げることができる。
(7)従来は必須であった、強力な加圧装置、気密性の高い筐体、複雑な換気システム、および酸素注入ユニットの設計・製造が不要となるため、コストを削減することができ、かつ、製品開発の自由度が格段に広がり、顧客ニーズに沿った機能の最適化や、審美性の高いデザインの実現により、製品に競争力を付与することができる。
〈他の実施形態1〉
閉鎖空間の外部気圧Pをリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧Pが所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧Prが上記所定値の1.01〜1.03倍になるように気圧制御装置60を構成することもできる。
この気圧制御装置60を実施すれば、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。なお、この気圧制御装置60が請求項2に係る発明に対応する。
〈他の実施形態2〉
閉鎖空間の外部気圧Pをリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧の変動値が所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧Prが、上記変動値が前記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように気圧制御装置60を構成することもできる。
この気圧制御装置60を実施すれば、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。なお、この気圧制御装置60が請求項3に係る発明に対応する。
〈他の実施形態3〉
閉鎖空間の予測される外部気圧Pを取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、閉鎖空間の気圧Prが、上記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように気圧制御装置60を構成することもできる。たとえば、インターネットなどの通信回線を介して気象予報情報を取得し、その取得した気象予報情報に含まれる気圧予想値を、予測される外部気圧Pとして用いることができる。
この気圧制御装置60を実施すれば、閉鎖空間の気圧を制御しても、所望の効果を得ることができないと予測される外部気圧のときに、閉鎖空間の気圧の制御を行わないようにすることができる。なお、この気圧制御装置60が請求項4に係る発明に対応する。
〈他の実施形態4〉
閉鎖空間の気圧Prが、取得した外部気圧Pから、調節ボタン62〜64により調節された倍率に対応する気圧Ptに昇圧するまでの時間を調節する昇圧時間調節装置を備えるように気圧制御装置60を構成することもできる。
この気圧制御装置60を実施すれば、気圧の上昇に対して順応性が低い人に対して、最適な昇圧時間に調節することができるため、そのような人も当該気圧制御装置60を利用して健康を増進することができる。なお、この気圧制御装置60が請求項8に係る発明に対応する。
〈他の実施形態5〉
閉鎖空間の気圧Prが、調節ボタン62〜64により調節された倍率に対応する気圧Ptから、取得した外部気圧Pに降圧するまでの時間を調節する降圧時間調節装置を備えるように気圧制御装置60を構成することもできる。
この気圧制御装置60を実施すれば、気圧の下降に対して順応性が低い人に対して、最適な降圧時間に調節することができるため、そのような人も当該気圧制御装置を利用して健康を増進することができる。なお、この気圧制御装置60が請求項10に係る発明に対応する。
〈他の実施形態6〉
居住空間の気圧の制御に気圧制御装置60を用いることもできる。この気圧制御装置60を実施すれば、居住空間に居住する人の健康を増進することができる。たとえば、家に住む人や職場で働く人の健康を増進することができる。なお、この気圧制御装置60が請求項11に係る発明に対応する。
〈他の実施形態7〉
人が移動に用いる移動体内の空間の気圧制御に気圧制御装置60を用いることもできる。この気圧制御装置60を実施すれば、人が移動に用いる移動体内の空間に入っている人の健康を増進することができる。たとえば、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、エレベーターなどの移動体内の空間に入っている人の健康を増進することができる。なお、この気圧制御装置60が請求項12に係る発明に対応する。
〈他の実施形態8〉
特定の場所に設置された閉鎖空間の気圧制御に気圧制御装置60を用いることもできる。この気圧制御装置60を実施すれば、特定の場所に設置された閉鎖空間に入っている人の健康を増進することができる。たとえば、空港のラウンジ、鉄道の駅の待合室などの閉鎖空間に当該気圧制御装置を接続する。これにより、気圧低下によって慢性痛や気分障害を発症した人が、その閉鎖空間に入ることにより、症状を改善することができる。なお、この気圧制御装置60が請求項13に係る発明に対応する。
〈他の実施形態9〉
移動により気圧が変動する閉鎖空間の気圧制御に気圧制御装置60を用いることもできる。この気圧制御装置60を実施すれば、移動により気圧が変動する閉鎖空間に入っている人の健康を増進することができる。
特に、気圧の低下に起因する慢性痛や気分障害を患う者は、鉄道車両がトンネルに入ったとき、航空機が飛行しているとき、エレベーターが上昇しているときなど、気圧が低下する環境下において、慢性痛や気分障害を発症することが多い。
そこで、気圧制御装置60を実施すれば、移動により気圧が変動する閉鎖空間の気圧を外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することができるため、気圧の低下に起因する慢性痛や気分障害が発症しないようにすることができる。なお、この気圧制御装置60が請求項14に係る発明に対応する。
〈他の実施形態10〉
閉鎖空間の気圧Prの外部気圧Pに対する倍率を、公知の可変調整器などを使って0.01単位あるいは0.01未満の単位で調節するように構成することもできる。
50・・気圧ルーム(閉鎖空間)、51・・扉、60・・気圧制御装置、
61・・操作パネル、62〜64調節ボタン(倍率調節装置)、
67・・時間増加ボタン(維持時間調節装置)、
68・・時間減少ボタン(維持時間調節装置)。

Claims (15)

  1. 人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置であって、
    前記閉鎖空間の気圧の制御を開始するときの前記閉鎖空間の外部気圧を取得し、前記閉鎖空間の気圧が前記取得した外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することを特徴とする気圧制御装置。
  2. 人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置であって、
    前記閉鎖空間の外部気圧をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧が前記所定値の1.01〜1.03倍になるように制御することを特徴とする気圧制御装置。
  3. 人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置であって、
    前記閉鎖空間の外部気圧をリアルタイムで取得し、その取得した外部気圧の変動値が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧が、前記変動値が前記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することを特徴とする気圧制御装置。
  4. 人が存在する閉鎖空間の気圧を制御する気圧制御装置であって、
    前記閉鎖空間の予測される外部気圧を取得し、その取得した外部気圧が所定値に到達したときに、前記閉鎖空間の気圧が、前記所定値に到達したときの外部気圧の1.01〜1.03倍になるように制御することを特徴とする気圧制御装置。
  5. 前記閉鎖空間の気圧の前記取得した外部気圧に対する倍率を、前記1.01〜1.03倍の範囲内で所望の倍率に調節する倍率調節装置を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  6. 前記閉鎖空間の気圧が、前記倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に維持されている時間を調節する維持時間調節装置を備えることを特徴とする請求項5に記載の気圧制御装置。
  7. 前記閉鎖空間の気圧が、前記取得した外部気圧から、前記倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に到達するまで漸増するように自動制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の気圧制御装置。
  8. 前記閉鎖空間の気圧が、前記取得した外部気圧から、前記倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧に昇圧するまでの時間を調節する昇圧時間調節装置を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  9. 前記閉鎖空間の気圧が、前記倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧から、前記取得した外部気圧に到達するまで漸減するように自動制御することを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  10. 前記閉鎖空間の気圧が、前記倍率調節装置により調節された倍率に対応する気圧から、前記取得した外部気圧に降圧するまでの時間を調節する降圧時間調節装置を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項9のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  11. 前記閉鎖空間は、居住空間であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  12. 前記閉鎖空間は、人が移動に用いる移動体内の空間であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  13. 前記閉鎖空間は、特定の場所に設置された閉鎖空間であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  14. 前記閉鎖空間は、移動により気圧が変動する閉鎖空間であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
  15. 前記閉鎖空間へ気体を供給する供給装置を備えており、
    前記供給装置から供給する気体の供給量を制御することにより、前記閉鎖空間の気圧を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の気圧制御装置。
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