JP2018011450A - 永久磁石埋込同期機 - Google Patents

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典禎 西山
Norisada Nishiyama
典禎 西山
長生 木戸
Osao Kido
長生 木戸
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Abstract

【課題】永久磁石埋込同期機において、トルクの向上と耐減磁性の向上との両立を図るための技術を提供する。【解決手段】本開示の永久磁石埋込同期機(100)のロータ(4)は、ロータコア(7)、複数の永久磁石(5)、及び、複数のフラックスバリア(13)を含む。ロータコア(7)は、ブリッジ(15)及び突起(16)を有する。シャフト(3)に垂直なロータ(4)の断面において、突起(16)の輪郭は、q軸に平行な一辺(18)と、永久磁石(5)に向かって延びる他の辺(20)とを有する。ブリッジ(15)に近い側を突起(16)の根元側、シャフト(3)の中心に近い側を突起(16)の先端側、断面においてq軸に直交する方向を幅方向(WD)と定義したとき、先端側における突起(16)の幅L2が根元側における突起(16)の幅L1よりも大きい。【選択図】図2

Description

本開示は、永久磁石埋込同期機に関する。
永久磁石埋込電動機は、家電製品、ハイブリッド自動車、電車などに広く使用されており、その需要は年々増大している。よく知られているように、永久磁石埋込電動機のロータは、ロータコア及びそのロータコアに埋め込まれた複数の永久磁石を有する。永久磁石によるマグネットトルクだけでなく、磁気抵抗の非対称性に起因するリラクタンストルクも利用できるため、永久磁石埋込電動機は高効率かつ高出力である。ロータの構造は、永久磁石埋込電動機の効率及び信頼性に直結するので非常に重要である。
図12は、特許文献1に記載された永久磁石埋込電動機のロータを部分的に示している。永久磁石埋込電動機のロータ105は、スリット125及びフラックスバリア123を有する。磁石挿入孔121の孔画定部には、延出部111bが含まれる。延出部111bは、永久磁石113の幅方向端面よりもさらに周方向外側に位置する部位において、ロータコア111における極間鉄心部111cに向けて張り出している。スリット125とコア外周面111aとの距離をLa、スリット125と永久磁石113の外周側面113aとの距離をLb、延出部111bと極間鉄心部111cとの最短距離をLc、永久磁石113の厚さをLdとしたとき、距離Lbは距離Laよりも大きく、最短距離Lcは厚さLdよりも小さい。
国際公開第2014/069438号
図12に示す従来技術では、ロータ105に過大な逆磁界が作用したとき、延出部111bの働きにより、永久磁石113の端部の減磁が抑制される。しかし、延出部111bは、永久磁石113に密着したロータコア111の一部であるから、定格トルクを発生させるレベルの電流が巻線に流れたときにおいても、延出部111bを通じて、隣接した磁極へ磁束がかなり漏れる。そのため、図12に示す構造には、有効磁束が減ってトルクが低下するという課題がある。
本開示は、永久磁石埋込同期機において、トルクの向上と耐減磁性の向上との両立を図るための技術を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
シャフトと、
前記シャフトに支持されたロータと、
を備え、
前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに埋め込まれた複数の永久磁石と、空間又は非磁性材料で形成された複数のフラックスバリアとを含み、
前記ロータコアには、前記ロータの周方向に沿って複数の磁石埋設孔が形成されており、それら複数の磁石埋設孔のそれぞれに前記永久磁石が配置されて前記ロータに複数の磁極が形成されており、
前記複数のフラックスバリアのそれぞれが前記複数の磁石埋設孔のそれぞれの端部に位置しており、
前記ロータコアは、前記シャフトの中心から見て前記フラックスバリアよりも半径方向の外側に位置しているブリッジと、前記フラックスバリアにおいて前記ブリッジから前記シャフトの前記中心に向かって突出している突起とを有し、
前記シャフトに垂直な前記ロータの断面において、前記突起の輪郭は、前記ロータの周方向において互いに隣り合う前記磁極と前記磁極との境界線をなすq軸に平行な一辺と、前記永久磁石に向かって延びる他の辺とを有し、
前記ブリッジに近い側を前記突起の根元側、前記シャフトの前記中心に近い側を前記突起の先端側、前記断面において前記q軸に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記先端側における前記突起の幅L2が前記根元側における前記突起の幅L1よりも大きい、永久磁石埋込同期機を提供する。
本開示の技術によれば、永久磁石埋込同期機において、トルクの向上と耐減磁性の向上との両立を図ることができる。
図1は、本開示の実施形態1にかかる永久磁石埋込同期機の断面図である。 図2は、図1に示す永久磁石埋込同期機のロータの部分拡大断面図である。 図3は、実施形態1にかかる永久磁石埋込同期機のロータにトルクを発生させたときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図4は、実施形態1にかかる永久磁石埋込同期機のロータに逆磁界が作用したときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図5は、トルクと電流との関係を示すグラフである。 図6は、本開示の実施形態2にかかる永久磁石埋込同期機のロータの部分拡大断面図である。 図7は、実施形態2にかかる永久磁石埋込同期機のロータにトルクを発生させたときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図8は、実施形態2にかかる永久磁石埋込同期機のロータに逆磁界を作用させたときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図9Aは、本開示の実施形態3にかかる永久磁石埋込同期機のロータの部分拡大断面図である。 図9Bは、図9Aに寸法線を付与した図である。 図10は、実施形態3にかかる永久磁石埋込同期機のロータにトルクを発生させたときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図11は、実施形態3にかかる永久磁石埋込同期機のロータに逆磁界を作用させたときのフラックスバリアの近傍の磁束線図である。 図12は、従来の永久磁石埋込型電動機のロータの部分拡大断面図である。
本開示の第1態様にかかる永久磁石埋込同期機は、
シャフトと、
前記シャフトに支持されたロータと、
を備え、
前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに埋め込まれた複数の永久磁石と、空間又は非磁性材料で形成された複数のフラックスバリアとを含み、
前記ロータコアには、前記ロータの周方向に沿って複数の磁石埋設孔が形成されており、それら複数の磁石埋設孔のそれぞれに前記永久磁石が配置されて前記ロータに複数の磁極が形成されており、
前記複数のフラックスバリアのそれぞれが前記複数の磁石埋設孔のそれぞれの端部に位置しており、
前記ロータコアは、前記シャフトの中心から見て前記フラックスバリアよりも半径方向の外側に位置しているブリッジと、前記フラックスバリアにおいて前記ブリッジから前記シャフトの前記中心に向かって突出している突起とを有し、
前記シャフトに垂直な前記ロータの断面において、前記突起の輪郭は、前記ロータの周方向において互いに隣り合う前記磁極と前記磁極との境界線をなすq軸に平行な一辺と、前記永久磁石に向かって延びる他の辺とを有し、
前記ブリッジに近い側を前記突起の根元側、前記シャフトの前記中心に近い側を前記突起の先端側、前記断面において前記q軸に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記先端側における前記突起の幅L2が前記根元側における前記突起の幅L1よりも大きい。
第1態様によれば、q軸の近傍かつロータの外周面の近傍に十分な体積を有する非磁性のフラックスバリアが設けられている。フラックスバリアの働きによって、ある磁極から隣接する磁極への漏れ磁束を減らすことができる。つまり、第1態様の同期機は高トルクを達成できる。また、過大な逆磁界がロータに作用したときには、ロータコアの内部に深く侵入した強磁束が突起を通じて磁極から隣接する磁極へと逃がされる。これにより、永久磁石に強い逆磁界が作用することを回避できる。つまり、第1態様の同期機は耐減磁性にも優れている。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様の永久磁石埋込同期機の前記突起の前記輪郭の前記一辺は、前記突起の前記輪郭の前記他の辺よりも前記q軸の近くにあり、前記フラックスバリアは、前記他の辺に隣接する第1部分を含み、前記突起の前記根元側における前記第1部分の幅L3は、前記突起の前記先端側における前記第1部分の最も狭い部分の寸法L5よりも大きい。このような構造は、トルクの向上に有利である。つまり、ロータの外周面の近くで十分な大きさの磁気抵抗を確保でき、ある磁極から隣接する磁極への漏れ磁束を効果的に減らすことができる。
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様の永久磁石埋込同期機の前記突起の前記輪郭の前記一辺は、前記突起の前記輪郭の前記他の辺よりも前記q軸の近くにあり、前記フラックスバリアは、前記他の辺に隣接する第1部分と、前記一辺に隣接する第2部分とを含み、前記突起の前記先端側における前記第2部分の幅L4と、前記突起の前記先端側における前記第1部分の最も狭い部分の寸法L5との和は、磁化方向に関する前記永久磁石の寸法L6よりも小さい。このような構成によれば、ロータに過大な逆磁界磁束が作用したとき、逆磁界磁束は、永久磁石に達する前に突起の先端部分を通じて隣接した磁極へ漏れやすい。つまり、永久磁石に作用する逆磁界を効果的に減らすことができる。
本開示の第4態様において、例えば、第1〜第3態様のいずれか1つの永久磁石埋込同期機の前記突起は、前記ブリッジに隣接している一定の幅の根元部分を有する。このような突起によれば、ロータの外周面の近くで十分な大きさの磁気抵抗を確保でき、ある磁極から隣接する磁極への漏れ磁束を効果的に減らすことができる。このことは、トルクの向上に有利である。
本開示の第5態様において、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つの永久磁石埋込同期機の前記複数のフラックスバリアは、それぞれ前記q軸に隣接する1対の前記フラックスバリアを含み、前記1対のフラックスバリアから選ばれる一方にのみ前記突起が設けられている。このような構成は、一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)にのみトルクを発生させる用途に適している。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
本明細書において、「断面」は、シャフト及びロータに共通の回転軸Oに垂直な断面を意味する。「永久磁石埋込同期機」は、永久磁石を有するロータとコイルを有するステータとを備えた電気機械の総称である。本明細書において、「同期機」の用語は、電動機、発電機、及び、電動機と発電機とを組み合わせた電気機械の全てを含む用語として使用される。したがって、「永久磁石埋込同期機」の用語は、「電動機」及び「発電機」の一方に限定されない。
(実施形態1)
図1に示すように、永久磁石埋込同期機100(以下、単に「同期機100」ともいう)は、ステータ2、シャフト3及びロータ4を備えている。ステータ2は、環状のヨーク10及び複数のティース11を備えている。各ティース11には、巻線(図示省略)が巻き付けられている。ロータ4は、ロータコア7及び複数の永久磁石5を備えている。ロータ4は、円筒状のエアギャップ9を介してステータ2と対向している。言い換えれば、ロータ4は、ステータ2によって包囲されている。エアギャップ9は、いわゆる不等ギャップであってもよい。ロータ4は、シャフト3によって回転可能に支持されている。本実施形態において、同期機100は、6極9ティースのインナーロータ型である。ただし、極数及びティース数は特に限定されない。巻線方式も特に限定されず、各ティース11に巻線が巻き付けられていてもよく(集中巻)、複数のティース11を跨いで巻線が巻き付けられていてもよい(分布巻)。
ロータ4において、ロータコア7は、典型的には、複数の円形状の電磁鋼板を積み重ねることによって形成されている。したがって、ロータコア7は円柱の形状を有する。エアギャップ9が不等ギャップとなるようにロータコア7の形状が定められていてもよい。ロータコア7に複数の永久磁石5が埋め込まれている。詳細には、ロータコア7には、ロータ4の周方向(シャフト3の周方向)に沿って複数の磁石埋設孔6が形成されている。磁石埋設孔6は、シャフト3及びロータ4の回転軸Oに平行な方向に延びている。それら複数の磁石埋設孔6のそれぞれに永久磁石5が配置されている。これにより、ロータ4に複数の磁極4aが形成されている。シャフト3に垂直なロータ4の断面において、磁極4aは、扇状の形状を有する。永久磁石5は、フェライト磁石、アルニコ磁石、コバルト磁石又はネオジム磁石であり、典型的には、ネオジム磁石である。永久磁石5は、平面視で矩形かつ板状の形状を有する。言い換えれば、永久磁石5は、直方体の形状を有する板状の永久磁石である。永久磁石5の互いに向かい合う面は平行である。永久磁石5の厚さ方向において互いに向かい合う面がそれぞれ最も広い面であり、永久磁石5の主面である。永久磁石5の角部は、例えば、0.2R〜0.5R(単位:mm)の範囲にて面取りされていてもよい。
本実施形態において、永久磁石5の磁化方向は、厚さ方向に平行である。言い換えれば、永久磁石5によって形成されるd軸方向(磁束の方向)が厚さ方向に平行である。永久磁石5による磁極4aの中心軸をd軸と定義することができる。本実施形態において、ロータ4の周方向において互いに隣り合う1対の永久磁石5のN極(及びS極)の向きは互いに反対向きである。一方の永久磁石5のN極が回転軸Oから遠くS極が回転軸Oに近い。他方の永久磁石5のN極が回転軸Oに近くS極が回転軸Oから遠い。d軸と電気的及び磁気的に直交する軸がq軸であるから、ロータ4の周方向において互いに隣り合う1対の永久磁石5の間を通り、回転軸Oから半径方向の外側に向かう方向がq軸方向である。また、q軸は、ロータ4の周方向において互いに隣り合う磁極4aと磁極4aとの境界線をなす。
図2に示すように、ロータ4は、さらに、複数のフラックスバリア13(磁束障壁)を有する。フラックスバリア13は、磁束を通さない部分であり、ロータ4の内部での磁束の回り込みを防ぎ、エアギャップ9を介してステータ2と鎖交する磁束を増やす役割を果たす。本実施形態において、フラックスバリア13は空間によって形成されている。複数のフラックスバリア13のそれぞれが複数の磁石埋設孔6のそれぞれの端部に位置している。つまり、磁石埋設孔6とフラックスバリア13とが連続した1つの孔によって形成されている。より詳細には、磁石埋設孔6と2つのフラックスバリア13とが連続した1つの孔(貫通孔)によって形成されている。ただし、フラックスバリア13が樹脂、セラミック、非磁性金属などの非磁性材料によって形成されていてもよい。
図2に示すように、ロータコア7は、複数のブリッジ15及び複数の突起16を有する。各ブリッジ15は、シャフト3の中心(回転軸O)から見てフラックスバリア13よりも半径方向の外側に位置している部分である。詳細には、ブリッジ15は、フラックスバリア13とロータ4の外周面4pとの間に設けられた部分である。ロータ4の半径方向に関するブリッジ15の幅は十分に狭い。本実施形態では、ロータ4の半径方向に関するブリッジ15の寸法は、ロータ4の周方向にわたって一定である。突起16は、フラックスバリア13においてブリッジ15からシャフト3の中心に向かって突出している部分である。本実施形態では、1つのフラックスバリア13に対して、1つの突起16が設けられている。
ロータコア7は、さらに、複数の連結部22を有する。各連結部22は、q軸と平行な方向に延びている。また、連結部22は、ロータ4の周方向において互いに隣り合う1対のフラックスバリア13を隔てており、かつ、1対のブリッジ15とロータコア7の内側部分とを連結している。1対のブリッジ15と連結部22とによってT字状の部分がロータコア7に形成されている。本実施形態において、連結部22の幅L7も一定である。
本明細書では、ロータ4の断面においてq軸に直交する方向を幅方向WDと定義する。そして、特に断らない限り、幅方向WDに関する各部の寸法を「幅」と定義する。
図2に示すように、ロータ4の断面において、突起16の輪郭は、q軸に平行な一辺18と、永久磁石5に向かって延びる他の辺20とを含む。「平行」の語句は、完全に平行であることを必ずしも意味しない。例えば、q軸に対する一辺18の傾斜角度が3度以下であるとき、一辺18がq軸に平行であるとみなすことができる。このことは、突起16以外の要素にも当てはまる。他の辺20は、詳細には、ロータ4の外周面4pに近い側における永久磁石5の角部に向かって延びている。本実施形態において、他の辺20はq軸に対して傾いた線分であるが、曲線であってもよい。ブリッジ15に近い側を突起16の根元側と定義し、シャフト3の中心(回転軸O)に近い側を突起16の先端側と定義する。先端側における突起16の幅L2は、根元側における突起16の幅L1よりも大きい。詳細には、突起16の幅は、ブリッジ15からシャフト3の中心に向かって連続的に拡大している。言い換えれば、突起16の幅は、q軸に平行な方向において連続的に拡大している。突起16の幅は、q軸に平行な方向において段階的に拡大していてもよい。幅L1に対する幅L2の比率(L2/L1)は、例えば、1.2〜3の範囲にある。
本実施形態の構造によれば、q軸の近傍かつロータ4の外周面4pの近傍に十分な体積(図2の断面では面積)を有する非磁性のフラックスバリア13(空隙)が設けられている。フラックスバリア13の働きによって、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束を減らすことができる。つまり、本実施形態の同期機100は高トルクを達成できる。また、過大な逆磁界がロータ4に作用したときには、ロータコア7の内部に深く侵入した強磁束が突起16を通じて磁極4aから隣接する磁極4aへと逃がされる。これにより、永久磁石5に強い逆磁界が作用することを回避できる。つまり、本実施形態の同期機100は耐減磁性にも優れている。
ロータ4の構造をさらに詳しく説明する。
図2に示すように、突起16の輪郭の一辺18は、突起16の輪郭の他の辺20よりもq軸の近くにある。フラックスバリア13は、他の辺20に隣接する第1部分13aと、一辺18に隣接する第2部分13bとを含む。言い換えれば、突起16は、ロータ4の半径方向に延び、フラックスバリア13の第1部分13aと第2部分13bとを形成している。突起16の根元側における第1部分13aの幅L3(空隙長さL3)は、突起16の先端側における第1部分13aの最も狭い部分の幅L5(空隙長さL5)よりも大きい。ロータ4の断面において、第1部分13aの最も狭い部分の幅L5は、突起16の輪郭の他の辺20と、他の辺20に向かい合う第1部分13aの内周面23との距離(最短距離)で表される。本実施形態では、第1部分13aの幅は、ブリッジ15から遠ざかるにつれて減少している。このような構造は、トルクの向上に有利である。つまり、ロータ4の外周面4pの近くで十分な大きさの磁気抵抗を確保でき、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束を効果的に減らすことができる。幅L5に対する幅L3の比率(L3/L5)は、例えば、4〜6の範囲にある。
ロータ4の周方向において互いに隣り合う1対の磁極4aにおける1対のフラックスバリア13は、q軸に関して対称な形状を有する。1対の突起16もq軸に関して対称な形状を有する。1つの連結部22に隣接する1対のフラックスバリア13を含む構造に着目したとき、2つのブリッジ15に隣接する位置(ブリッジ15の内周面)において、磁性材料で構成された部分は、2つの突起16及び連結部22である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、一方の突起16の幅L1と他方の突起16の幅L1と連結部22の幅L7との和で表される。ブリッジ15に隣接する位置において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア13である。詳細には、非磁性の部分は、2つの第1部分13aと2つの第2部分13bである。非磁性の部分の幅は、第1部分13aの幅L3と第2部分13bの幅L4との和の2倍で表される。本実施形態では、非磁性の部分の幅(合計幅:2×(L3+L4))が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:2×L1+L7)よりも大きい。突起16の根元側において、磁性材料で構成された部分の幅に対する非磁性の部分の幅の比率は、例えば、2〜3の範囲にある。
一方、突起16の先端側(永久磁石5の端部の近傍)において、磁性材料で構成された部分は、2つの突起16及び連結部22である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、一方の突起16の幅L2と他方の突起16の幅L2と連結部22の幅L7との和で表される。突起16の先端側において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア13である。詳細には、非磁性の部分は、2つの第1部分13aと2つの第2部分13bである。非磁性の部分の幅は、第2部分13bの幅L4と第1部分13aの最も狭い部分の幅L5との和の2倍で表される。本実施形態では、非磁性の部分の幅(合計幅:2×(L4+L5))が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:2×L2+L7)よりも小さい。つまり、非磁性の部分の幅と磁性材料で構成された部分の幅との大小関係は、突起16の根元側と突起16の先端側とで逆である。突起16の先端側において、非磁性の部分の幅に対する磁性材料で構成された部分の幅の比率は、例えば、2〜3の範囲にある。
また、突起16の先端側におけるフラックスバリア13の第2部分13bの幅L4と、突起16の先端側におけるフラックスバリア13の第1部分13aの最も狭い部分の幅L5との和は、磁化方向(磁化容易軸方向)に関する永久磁石5の厚さL6よりも小さい。このような構成によれば、ロータ4に過大な逆磁界磁束が作用したとき、逆磁界磁束は、永久磁石5に達する前に突起16の先端部分を通じて隣接した磁極4aへ漏れやすい。永久磁石5に作用する逆磁界を効果的に減らすことができるので、本実施形態の同期機100は耐減磁性に優れている。厚さL6に対する幅L4と幅L5との和の比率((L4+L5)/L6)は、例えば、0.3〜0.5の範囲にある。
次に、コンピュータシミュレーションの結果に基づき、フラックスバリア13及び突起16の作用を詳細に説明する。
図3は、磁界解析によって作成された磁束線図であり、反半時計回り方向にトルクを発生させたときの状態を表している。本実施形態において、ブリッジ15に隣接した位置におけるフラックスバリア13の第1部分13aの幅L3は、突起16の先端側におけるフラックスバリア13の第1部分13aの幅L5よりも十分に大きい。そのため、フラックスバリア13の磁気抵抗は、ロータ4の外周面4pの近傍で十分に高い。その結果、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束(破線矢印)が十分に低減される。突起16の先端側においても、第1部分13a及び第2部分13bを含むフラックスバリア13によって適度な大きさの磁気抵抗が確保されている。そのため、2つの突起16を通ってある磁極4aから隣接する磁極4aに磁束が漏れることを抑制できる。図3に示す通り、トルク発生時の漏れ磁束は少なく、磁束が効果的にトルクを発生させている。
図4は、ロータに逆磁界を作用させたときの磁束線図である。一般に、ロータの永久磁石に過大な減磁界が作用する状態とは、ロータのN極に対してN極となるステータの巻線への通電による磁界が作用し、ロータのS極に対してS極となるステータの巻線への通電による磁界が作用する状態を意味する。この場合、ステータの巻線への通電により、N極となるティースから、ロータを介して、S極となる隣のティースに大きな磁束が流れる。このとき、ロータのN極とS極との境界近傍に過大な逆磁界が作用し、永久磁石の端部で局所的な減磁が発生しやすい。過大な逆磁界は、ロータの表面の近傍だけでなく、ロータの内部まで深く侵入する。
図4は、本実施形態のロータに過大な逆磁界を作用させた状態を示している。過大な逆磁界により、ブリッジ15が磁気飽和し、さらにロータコア7の内部まで磁束が侵入している。しかし、突起16の幅が先端側で広く、突起16の先端側において、磁気抵抗が比較的低い。フラックスバリア13の第2部分13bの幅L4と、突起16の先端側における第1部分13aの最も狭い部分の幅L5との和は、磁化方向に関する永久磁石5の厚さL6よりも小さい。そのため、ロータ4に作用した過大な逆磁界磁束が永久磁石5に達する前に突起16の先端部分及び連結部22を通じて、ある磁極4aから隣接する磁極4aへと漏れる(破線矢印)。その結果、永久磁石5に作用する逆磁界が低減され、永久磁石5の減磁も防止される。
図5は、磁界解析の結果から算出された定格電流と定格トルクとの関係を示したグラフである。まず、コンピュータシミュレーションによって、本実施形態のロータ4から突起16を取り除くことによって得られるロータを用いた同期機(参照例)に逆磁界を作用させ、顕著な減磁が発生しない電流値(減磁限界電流)を特定した。そして、減磁限界電流の所定割合(例えば、1/3)を定格電流に設定し、その定格電流を巻線に流したときに発生するトルクを定格トルクとして算出した。参照例の同期機の定格電流及び定格トルクをそれぞれ100%の電流及びトルクと定義した。図5の点Pは、参照例の同期機のデータである。
次に、図12に示す従来技術のロータを用いた同期機について、同じシミュレーションを実施し、定格電流及び定格トルクをそれぞれ算出し、参照例の同期機のデータ(点P)に対する割合を算出した。図5の点Qは、従来技術の同期機のデータである。従来技術の同期機の耐減磁性は、参照例の同期機よりも優れていた。従来技術の同期機では、減磁を避けつつ、参照例の同期機の定格電流の118%の電流を流すことが可能であった。トルクも115%に向上した。
次に、本実施形態の同期機100について、定格電流及び定格トルクをそれぞれ算出し、参照例の同期機のデータ(点P)に対する割合を算出した。図5の点Xは、本実施形態の同期機のデータである。本実施形態の同期機の耐減磁性は、参照例及び従来技術の同期機よりも優れていた。本実施形態の同期機では、減磁を避けつつ、参照例の同期機の定格電流の124%の電流を流すことが可能であった。トルクも122%に向上した。
(実施形態2)
図6に示すように、実施形態2にかかるロータ14(詳細には、ロータコア17)は、実施形態1にかかるロータ4の突起16とは異なる形状の突起26を有する。ロータ14のその他の構成は、実施形態1のロータ4と共通であり、その説明を省略することがある。比率などの例も実施形態1の値が援用されうる。
本実施形態において、突起26は、根元部分26a及び先端部分26bを有する。根元部分26aは、一定の幅L1を有し、ブリッジ15に隣接している。先端部分26bは、根元部分26aよりも広い幅L2を有しており、根元部分26aの先端側に位置している。幅L2は、先端部分26bの最も幅広の位置における幅である。先端部分26bは、永久磁石5の側面に向かい合っている。ロータ14の断面において、突起26の輪郭は、q軸に平行な1対の辺31及び32と、永久磁石5に向かって延びる他の辺33とを含む。q軸に平行な1対の辺31及び32によって根元部分26aが形成されている。他の辺33は、多角形の形状を有する先端部分26bを形成している。先端部分26bの幅はq軸に平行な方向において変化していてもよいし、一定であってもよい。このような突起26によれば、ロータ14の外周面4pの近くで十分な大きさの磁気抵抗を確保でき、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束を効果的に減らすことができる。このことは、トルクの向上に有利である。
ブリッジ15に隣接する位置(ブリッジ15の内周面)において、磁性材料で構成された部分は、2つの突起26及び連結部22である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、一方の突起26の幅L1と他方の突起26の幅L1と連結部22の幅L7との和で表される。ブリッジ15に隣接する位置において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア13である。詳細には、非磁性の部分は、2つの第1部分13aと2つの第2部分13bである。非磁性の部分の幅は、第1部分13aの幅L3と第2部分13bの幅L4の合計の2倍で表される。実施形態1と同様に、本実施形態においても、非磁性の部分の幅(合計幅:2×(L3+L4))が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:2×L1+L7)よりも大きい。
一方、突起26の先端側において、磁性材料で構成された部分は、2つの突起26及び連結部22である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、一方の突起26の幅L2と他方の突起26の幅L2と連結部22の幅L7との和で表される。突起26の先端側において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア13である。詳細には、非磁性の部分は、2つの第1部分13aと2つの第2部分13bである。非磁性の部分の幅は、第2部分13bの幅L4と第1部分13aの最も狭い部分の幅L5との和の2倍で表される。本実施形態においても、非磁性の部分の幅(合計幅:2×(L4+L5))が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:2×L2+L7)よりも小さい。つまり、非磁性の部分の幅と磁性材料で構成された部分の幅との大小関係は、突起26の根元側と突起26の先端側とで逆である。
図7は、磁界解析によって作成された磁束線図であり、反半時計回り方向にトルクを発生させたときの状態を表している。ブリッジ15に隣接した位置におけるフラックスバリア13の第1部分13aの幅L3は、突起26の先端側におけるフラックスバリア13の第1部分13aの幅L5よりも十分に大きい。そのため、フラックスバリア13の磁気抵抗は、ロータ14の外周面4pの近傍で十分に高い。その結果、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束(破線矢印)が十分に低減される。突起26の先端側においても、第1部分13a及び第2部分13bを含むフラックスバリア13によって適度な大きさの磁気抵抗が確保されている。そのため、2つの突起26を通ってある磁極4aから隣接する磁極4aに磁束が漏れることを抑制できる。図7に示す通り、トルク発生時の漏れ磁束は少なく、磁束が効果的にトルクを発生させている。
図8は、ロータに逆磁界を作用させたときの磁束線図である。過大な逆磁界により、ブリッジ15が磁気飽和し、さらにロータコア17の内部まで磁束が侵入している。しかし、突起26の幅が先端側で広く、突起26の先端側において、磁気抵抗が比較的低い。フラックスバリア13の第2部分13bの幅L4と、突起26の先端側における第1部分13aの最も狭い部分の幅L5との和は、磁化方向に関する永久磁石5の厚さL6よりも小さい。そのため、ロータ14に作用した過大な逆磁界磁束が永久磁石5に達する前に突起26の先端部分26a及び連結部22を通じて、ある磁極4aから隣接する磁極4aへと漏れる(破線矢印)。その結果、永久磁石5に作用する逆磁界が低減され、永久磁石5の減磁も防止される。
図5に示すように、本実施形態のロータ14を用いた同期機について、実施形態1で説明したシミュレーションによって定格電流及び定格トルクをそれぞれ算出し、参照例の同期機のデータ(点P)に対する割合を算出した。図5の点Yは、本実施形態の同期機のデータである。本実施形態の同期機の耐減磁性は、参照例、従来技術及び実施形態1の同期機よりも優れていた。本実施形態の同期機では、減磁を避けつつ、参照例の同期機の定格電流の128%の電流を流すことが可能であった。トルクも127%に向上した。
(実施形態3)
図9A及び図9Bに示すように、実施形態3にかかるロータ24(詳細には、ロータコア27)は、q軸に関して非対称な構造を有する。具体的に、ロータコア27には複数のフラックスバリア43及び44が形成されている。複数のフラックスバリア43及び44には、1つのq軸に隣接する1対のフラックスバリア43及び44が含まれる。これら1対のフラックスバリア43及び44から選ばれる一方のフラックスバリア43にのみ突起26が設けられている。このようなロータ24を備えた同期機は、一方向(図9Aでは反時計回り方向)にのみトルクを発生させる用途に適している。フラックスバリア43は、q軸を基準として、時計回り側に位置している。フラックスバリア44は、q軸を基準として、反時計回り側に位置している。言い換えれば、フラックスバリア43は、永久磁石5のd軸を基準として、反時計回り側における磁石埋設孔6の端部に位置している。フラックスバリア44は、永久磁石5のd軸を基準として、時計回り側における磁石埋設孔6の端部に位置している。ロータコア27は、クランク状の連結部42を有している。連結部42は、1対のブリッジ15とロータコア27の内側部分とを連結している部分である。突起26に代えて、実施形態1で説明した突起16が設けられていてもよい。ロータ24のその他の構成は、実施形態1のロータ4又は実施形態2のロータ14と共通であり、その説明を省略することがある。比率などの例も実施形態1又は実施形態2の値が援用されうる。図9Bは、図9Aに寸法線を付与した図である。
本実施形態では、磁石埋設孔6の一方の端部(反時計回り側の端部)に突起26が設けられたフラックスバリア43(第1のフラックスバリア)が位置し、磁石埋設孔6の他方の端部(時計回り側の端部)に突起26が設けられていないフラックスバリア44(第2のフラックスバリア)が位置している。q軸を介して、フラックスバリア43がフラックスバリア44に向かい合っている。突起26は、ブリッジ15からシャフト3の中心に向かって突出している。フラックスバリア43は、第1部分43a及び第2部分43bを含む。突起26の構造は、実施形態2で説明したとおりである。本実施形態のロータ24は、一方向に磁束を流しやすい構造を有するため、方向性を持たないロータに比べて、高トルクを発揮できる。また、突起26が設けられていないフラックスバリア44の形状が比較的シンプルである。そのため、各フラックスバリアに突起が設けられている場合と比べて、本実施形態のロータ24は、精度よく生産しやすい。
連結部42は、q軸と平行な方向に延びる2つの第1部分42aと、幅方向WD又はロータ24の周方向に延びる第2部分42bとを有する。2つの第1部分42aの間に第2部分42bが位置している。連結部42は、フラックスバリア43とフラックスバリア44とを隔てており、かつ、1対のブリッジ15とロータコア27の内側部分とを連結している。連結部42の2つの第1部分42aは、それぞれ、幅L7及び幅L9を有する。2つの第1部分42aの幅は、互いに一致していてもよいし、異なっていてもよい。連結部42の第2部分42bの幅L8は、第1部分42aの幅L7又はL9よりも大きい。
ブリッジ15に隣接する位置(突起26の根元側)において、磁性材料で構成された部分は、突起26及び連結部42である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、突起26の根元部分26aの幅L1と連結部42の第1部分42aの幅L9との和で表される。ブリッジ15に隣接する位置において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア43及び44である。非磁性の部分の幅は、フラックスバリア44の幅L3と、フラックスバリア43の第1部分43aの幅L31と、フラックスバリア43の第2部分43bの幅L41との和で表される。他の実施形態と同様に、本実施形態においても、非磁性の部分の幅(合計幅:L3+L31+L41)が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:L1+L9)よりも大きい。
一方、突起26の先端側において、磁性材料で構成された部分は、突起26及び連結部42である。したがって、磁性材料で構成された部分の幅は、突起26の幅L2と、連結部42の第2部分42bの幅L8との和で表される。突起26の先端側において、非磁性の部分は、2つのフラックスバリア43及び44である。詳細には、非磁性の部分は、フラックスバリア43の第1部分43aの幅L51(空隙長さL51)と、フラックスバリア43の第2部分43bの幅L42(空隙長さL42)と、フラックスバリア44の幅L52(空隙長さL52)との和で表される。幅L51は、突起26とフラックスバリア43の第1部分43aの内周面52との距離に等しい。幅L42は、突起26と連結部42の第2部分42bとの距離に等しい。幅L52は、フラックスバリア44の内周面53と連結部42の第2部分42bとの距離に等しい。本実施形態においても、非磁性の部分の幅(合計幅:L51+L42+L52)が磁性材料で構成された部分の幅(合計幅:L2+L8)よりも小さい。つまり、非磁性の部分の幅と磁性材料で構成された部分の幅との大小関係は、突起26の根元側と突起26の先端側とで逆である。
また、フラックスバリア43は、突起26に向かい合う内周面52を有する。フラックスバリア44は、連結部42に向かい合う内周面53を有する。q軸からフラックスバリア43の内周面52までの最大距離D1は、q軸からフラックスバリア44の内周面53までの最大距離D2よりも小さい。
図10は、磁界解析によって作成された磁束線図であり、反半時計回り方向にトルクを発生させたときの状態を表している。ブリッジ15に隣接した位置における非磁性の部分(空隙)の幅(合計幅)は、突起26の先端側における非磁性の部分(空隙)の幅(合計幅)よりも十分に大きい。そのため、フラックスバリア43及び44の磁気抵抗は、ロータ24の外周面4pの近傍で十分に高い。その結果、ある磁極4aから隣接する磁極4aへの漏れ磁束(破線矢印)が十分に低減される。突起26の先端側においても、非磁性の部分(空隙)によって適度な大きさの磁気抵抗が確保されている。そのため、突起26を通ってある磁極4aから隣接する磁極4aに磁束が漏れることを抑制できる。図7に示す通り、トルク発生時の漏れ磁束は少なく、磁束が効果的にトルクを発生させている。
図11は、ロータに逆磁界を作用させたときの磁束線図である。過大な逆磁界により、ブリッジ15が磁気飽和し、さらにロータコア27の内部まで磁束が侵入している。しかし、突起26の幅が先端側で広く、突起26の先端側において、磁気抵抗が比較的低い。突起26の先端側において、非磁性の部分の幅(幅L51と幅L42との和)は、磁化方向に関する永久磁石5の厚さL6よりも小さい。フラックスバリア44の幅L52も永久磁石5の厚さL6よりも小さい。そのため、ロータ24に作用した過大な逆磁界磁束は、永久磁石5に達する前に突起26の先端部分26b及び連結部42を通じて、ある磁極4aから隣接する磁極4aへと漏れる(破線矢印)。その結果、永久磁石5に作用する逆磁界が低減され、永久磁石5の減磁も防止される。
図5に示すように、本実施形態のロータ24を用いた同期機について、実施形態1で説明したシミュレーションによって定格電流及び定格トルクをそれぞれ算出し、参照例の同期機のデータ(点P)に対する割合を算出した。図5の点Zは、本実施形態の同期機のデータである。本実施形態の同期機の耐減磁性は、参照例、従来技術、実施形態1及び実施形態2の同期機よりも優れていた。本実施形態の同期機では、減磁を避けつつ、参照例の同期機の定格電流の129%の電流を流すことが可能であった。トルクも129%に向上した。
本開示にかかる永久磁石埋込同期機は、耐減磁性に優れているとともに、高いトルクを発生しうる。本開示にかかる永久磁石埋込同期機は、電動機、発電機などの電気機械に有用である。
3 シャフト
4,24 ロータ
4a 磁極
5 永久磁石
6 磁石埋設孔
7,17,27 ロータコア
13,43,44 フラックスバリア
13a,43a 第1部分
13b,43b 第2部分
15 ブリッジ
16,26 突起
26a 根元部分
26b 先端部分
18,31 一辺
20,33 他の辺
100 永久磁石埋込同期機
WD 幅方向

Claims (5)

  1. シャフトと、
    前記シャフトに支持されたロータと、
    を備え、
    前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに埋め込まれた複数の永久磁石と、空間又は非磁性材料で形成された複数のフラックスバリアとを含み、
    前記ロータコアには、前記ロータの周方向に沿って複数の磁石埋設孔が形成されており、それら複数の磁石埋設孔のそれぞれに前記永久磁石が配置されて前記ロータに複数の磁極が形成されており、
    前記複数のフラックスバリアのそれぞれが前記複数の磁石埋設孔のそれぞれの端部に位置しており、
    前記ロータコアは、前記シャフトの中心から見て前記フラックスバリアよりも半径方向の外側に位置しているブリッジと、前記フラックスバリアにおいて前記ブリッジから前記シャフトの前記中心に向かって突出している突起とを有し、
    前記シャフトに垂直な前記ロータの断面において、前記突起の輪郭は、前記ロータの周方向において互いに隣り合う前記磁極と前記磁極との境界線をなすq軸に平行な一辺と、前記永久磁石に向かって延びる他の辺とを有し、
    前記ブリッジに近い側を前記突起の根元側、前記シャフトの前記中心に近い側を前記突起の先端側、前記断面において前記q軸に直交する方向を幅方向と定義したとき、前記先端側における前記突起の幅L2が前記根元側における前記突起の幅L1よりも大きい、永久磁石埋込同期機。
  2. 前記突起の前記輪郭の前記一辺は、前記突起の前記輪郭の前記他の辺よりも前記q軸の近くにあり、
    前記フラックスバリアは、前記他の辺に隣接する第1部分を含み、
    前記突起の前記根元側における前記第1部分の幅L3は、前記突起の前記先端側における前記第1部分の最も狭い部分の寸法L5よりも大きい、請求項1に記載の永久磁石埋込同期機。
  3. 前記突起の前記輪郭の前記一辺は、前記突起の前記輪郭の前記他の辺よりも前記q軸の近くにあり、
    前記フラックスバリアは、前記他の辺に隣接する第1部分と、前記一辺に隣接する第2部分とを含み、
    前記突起の前記先端側における前記第2部分の幅L4と、前記突起の前記先端側における前記第1部分の最も狭い部分の寸法L5との和は、磁化方向に関する前記永久磁石の寸法L6よりも小さい、請求項1又は2に記載の永久磁石埋込同期機。
  4. 前記突起は、前記ブリッジに隣接している一定の幅の根元部分を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の永久磁石埋込同期機。
  5. 前記複数のフラックスバリアは、それぞれ前記q軸に隣接する1対の前記フラックスバリアを含み、
    前記1対のフラックスバリアから選ばれる一方にのみ前記突起が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の永久磁石埋込同期機。
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CN110350693A (zh) * 2019-08-02 2019-10-18 珠海格力电器股份有限公司 转子组件和永磁电机

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