JP2018009133A - 樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品が得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一態様に係る樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線に関する。
絶縁電線において、導体を被覆する絶縁層には、優れた絶縁性、耐熱性、柔軟性、機械的強度等が求められている。従来、このような絶縁層の形成材料としては、塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含有する樹脂組成物が用いられている(特開2011−207973号公報参照)。
しかしながら、上記公報に記載の樹脂組成物は、可塑剤を比較的多量に含有しないと柔軟性が不十分となるが、この可塑剤の含有量が多くなると耐熱性が不十分となるという不都合を有する。つまり、従来の樹脂組成物にあっては、耐熱性及び柔軟性はトレードオフの関係にある。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品が得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品及び絶縁電線を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係る樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いる。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の一態様に係る絶縁電線は、線状の導体と、この導体の外周面側に積層され、当該樹脂組成物を用いた絶縁層とを備える。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品を得られる。また、本発明の樹脂成形品及び絶縁電線は、耐熱性及び柔軟性が共に優れる。
[本発明の実施形態の説明]
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
当該樹脂組成物は、可塑剤の25℃における比誘電率が上記範囲内であるため、この可塑剤を4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー中に均一分散させることができる。つまり、上記可塑剤の25℃における比誘電率が上記範囲内であるので、上記ポリマー及び上記可塑剤の比誘電率が同程度となることで上記可塑剤と上記ポリマーとの相溶性が高まり、上記可塑剤を上記ポリマー中に均等分散させることができる。また、当該樹脂組成物は、上記可塑剤が25℃で液体なので、室温においてこの可塑剤は固化していない。そのため、当該樹脂組成物は、この可塑剤を上記ポリマー中に分散させることで、当該樹脂組成物から得られる樹脂成形品の柔軟性を高め易い。そのため、当該樹脂組成物は、上記可塑剤を上記割合で含有することによって、得られる樹脂成形品が上記ポリマーに基づく高融点化を実現することができると共に、十分に柔軟性を有する。従って、当該樹脂組成物を用いて、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品及び絶縁電線が得られる。
上記ポリマーの融点としては、210℃以上240℃以下が好ましく、このポリマーの25℃における比誘電率としては、2.10以上2.25以下が好ましい。このように、上記ポリマーの融点及び比誘電率が上記範囲内であることによって、上記ポリマー及び可塑剤の相溶性を高めることで樹脂成形品の柔軟性をより高めることができる。
上記可塑剤の40℃における動粘度としては、10000mm2/s以下が好ましく、数平均分子量としては、100以上2500以下が好ましい。このように、上記可塑剤の40℃における動粘度及び数平均分子量が上記範囲内であることによって、上記可塑剤の取扱性を高め、上記ポリマーとの混合の容易化を促進することができる。
当該樹脂組成物の波長550nmにおける透過率としては、20%以上が好ましい。当該樹脂組成物の波長550nmにおける透過率が上記値以上である場合、上記ポリマー中における可塑剤の分散性が良好であるため、得られる樹脂成形品の柔軟性を効果的に高めることができる。
本発明の他の一態様に係る樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いる。当該樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いるので、耐熱性及び柔軟性が共に優れる。
本発明の他の一態様に係る絶縁電線は、線状の導体と、この導体の外周面側に積層され、当該樹脂組成物を用いた絶縁層とを備える。当該絶縁電線は、当該樹脂組成物を用いた絶縁層を備えるので、耐熱性及び柔軟性が共に優れる。
なお、本発明において、「ポリマー」とは、ホモポリマー及びコポリマーの両方を含む。「比誘電率」とは、JIS−C2138:2007に準拠して測定される値をいう。「融点」とは、JIS−K7121:2012に準拠して測定される値をいう。「動粘度」とは、JIS−K2283:2000に準拠して測定される値をいう。「数平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算の値をいう。「透過率」とは、JIS−K7375:2008に準拠して測定される全光線透過率をいう。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線について詳説する。
以下、本発明に係る樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線について詳説する。
[樹脂組成物]
当該樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)及び可塑剤を含む。上記可塑剤は、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下である。また、上記ポリマー100質量部に対する上記可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
当該樹脂組成物は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(以下、単に「ポリマー」ともいう)及び可塑剤を含む。上記可塑剤は、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下である。また、上記ポリマー100質量部に対する上記可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
当該樹脂組成物は、上記可塑剤の25℃における比誘電率が上記範囲内であるため、この可塑剤を4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー中に均一分散させることができる。つまり、上記可塑剤の25℃における比誘電率が上記範囲内であるので、上記ポリマー及び上記可塑剤の比誘電率が同程度となることで上記可塑剤と上記ポリマーとの相溶性が高まり、上記可塑剤を上記ポリマー中に均等分散させることができる。また、当該樹脂組成物は、上記可塑剤が25℃で液体なので、室温においてこの可塑剤は固化していない。そのため、当該樹脂組成物は、この可塑剤を上記ポリマー中に分散させることで、当該樹脂組成物から得られる樹脂成形品の柔軟性を高め易い。そのため、当該樹脂組成物は、上記可塑剤を上記割合で含有することによって、得られる樹脂成形品が上記ポリマーに基づく高融点化を実現することができると共に、十分な柔軟性を有する。従って、当該樹脂組成物を用いて、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成型品及び絶縁電線が得られる。さらに、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーは、ポリプロピレンよりも高い耐熱性を有するため、当該樹脂組成物は、樹脂成形品としたときの適用範囲を広げることができる。
また、当該樹脂組成物は、上記ポリマー及び上記可塑剤の相溶性が高いため、得られる樹脂成形品の透明性を高め易い。そのため、当該樹脂組成物によると、この樹脂成形品中における異物混入の有無の確認を容易に行うことができる。
<4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー>
上記ポリマーは、4−メチルペンテン−1単位を有するホモポリマー又はコポリマーである。上記コポリマーとしては、4−メチルペンテン−1とエチレン又は炭素原子数3〜8のα−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。エチレン又は炭素原子数3〜8のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン等が挙げられ、プロピレンが好ましい。上記ポリマーは、4−メチルペンテン−1とエチレン及び炭素原子数3〜8のα−オレフィンの1種とを含むコポリマーであってもよく、4−メチルペンテン−1とエチレン及び炭素原子数3〜8のα−オレフィンの2種以上とを含むコポリマーであってもよい。
上記ポリマーは、4−メチルペンテン−1単位を有するホモポリマー又はコポリマーである。上記コポリマーとしては、4−メチルペンテン−1とエチレン又は炭素原子数3〜8のα−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。エチレン又は炭素原子数3〜8のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン等が挙げられ、プロピレンが好ましい。上記ポリマーは、4−メチルペンテン−1とエチレン及び炭素原子数3〜8のα−オレフィンの1種とを含むコポリマーであってもよく、4−メチルペンテン−1とエチレン及び炭素原子数3〜8のα−オレフィンの2種以上とを含むコポリマーであってもよい。
上記ポリマーにおける4−メチルペンテン−1単位の含有割合の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。上記含有割合が上記下限に満たないと、耐熱性が不十分になるおそれがある。一方、上記ポリマーにおける4−メチルペンテン−1単位の含有割合の上限としては、100質量%である。
上記ポリマーは、当該樹脂組成物の主成分として含まれる。当該樹脂組成物における上記ポリマーの含有量の下限としては、60質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。一方、当該樹脂組成物における上記ポリマーの含有量の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。上記ポリマーの含有量が上記下限に満たないと、耐熱性が不十分となるおそれがある。逆に、上記ポリマーの含有量が上記上限を超えると、上記可塑剤の含有量が不十分となり、その結果柔軟性が不十分となるおそれがある。なお、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば50質量%以上含有される成分をいう。
上記ポリマーの融点の下限としては、210℃が好ましく、220℃がより好ましい。一方、上記ポリマーの融点の上限としては、240℃が好ましく、235℃がより好ましい。上記融点が上記下限に満たないと、得られる樹脂成形品の耐熱性が不十分となるおそれがある。逆に、上記融点が上記上限を超えると、当該樹脂組成物の加熱による成形加工性が低下するおそれがある。
上記ポリマーの25℃における比誘電率の下限としては、2.10が好ましく、2.13がより好ましい。一方、上記ポリマーの25℃における比誘電率の上限としては、2.25が好ましく、2.20がより好ましい。上記比誘電率が上記下限に満たないと、上記可塑剤の25℃における比誘電率との差を十分に小さくし難くなるおそれがあり、その結果上記ポリマー及び可塑剤の相溶性を十分に高めることができないおそれがある。逆に、上記比誘電率が上記上限を超えると、当該樹脂組成物の低誘電率化を十分に促進できないおそれがある。
当該樹脂組成物は、上記ポリマーの融点及び25℃における比誘電率が共に上記範囲内であることが好ましい。当該樹脂組成物は、上記ポリマーの融点及び25℃における比誘電率が共に上記範囲内であることによって、上記ポリマー及び可塑剤の相溶性を高めることでこの樹脂成形品の柔軟性をより高めることができる。
上記ポリマーの引張弾性率の下限としては、800MPaが好ましく、850MPaがより好ましい。一方、上記ポリマーの引張弾性率の上限としては、2200MPaが好ましく、2000MPaがより好ましい。上記引張弾性率が上記下限に満たないと、上記可塑剤の含有量が多くなり過ぎて、得られる樹脂成形品の耐熱性が不十分となるおそれがある。逆に、上記引張弾性率が上記上限を超えると、得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれがある。なお、「引張弾性率」とは、JIS−K7127:1999に準拠して測定される値をいう。
<可塑剤>
上記可塑剤は、上述のように25℃で液体である。上記可塑剤としては、例えばパラフィン系、ナフテン系等の鉱油、GTL(Gas−to−Liquids)基油、ポリ−α−オレフィン等の炭化水素系合成油、ポリブテン等のポリα−オレフィン、直鎖アルキルベンゼンなどが挙げられる。中でも、上記可塑剤としては、得られる樹脂成形品の柔軟性をより高め易い点から芳香環を有しないものが好ましく、パラフィン系鉱油、芳香環を有しない炭化水素系合成油及びポリブテンが好ましい。
上記可塑剤は、上述のように25℃で液体である。上記可塑剤としては、例えばパラフィン系、ナフテン系等の鉱油、GTL(Gas−to−Liquids)基油、ポリ−α−オレフィン等の炭化水素系合成油、ポリブテン等のポリα−オレフィン、直鎖アルキルベンゼンなどが挙げられる。中でも、上記可塑剤としては、得られる樹脂成形品の柔軟性をより高め易い点から芳香環を有しないものが好ましく、パラフィン系鉱油、芳香環を有しない炭化水素系合成油及びポリブテンが好ましい。
上記可塑剤の25℃における比誘電率の下限としては、上述のように2.10であり、2.13が好ましい。一方、上記可塑剤の25℃における比誘電率の上限としては、上述のように2.40であり、2.25が好ましく、2.20がより好ましい。上記比誘電率が上記範囲外であると、上記ポリマーの25℃における比誘電率との差を十分に小さくし難くなるおそれがあり、これにより上記ポリマー及び可塑剤の分散不良に起因して、当該樹脂組成物から得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれやブリードアウトが促進されるおそれがある。
また、上記ポリマーの25℃における比誘電率と上記可塑剤の25℃における比誘電率との差の絶対値の上限としては、0.2が好ましく、0.1がより好ましく、0.05がさらに好ましい。また、上記差の絶対値としては、0.00が最も好ましい。上記差の絶対値が上記上限を超えると、上記ポリマー及び可塑剤の分散不良に起因して、当該樹脂組成物から得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれやブリードアウトが促進されるおそれがある。
また、上記ポリマーの25℃における比誘電率及び上記可塑剤の25℃における比誘電率は共に2.40以下であることが好ましく、2.25以下であることがより好ましい。このように、上記ポリマーの25℃における比誘電率及び上記可塑剤の25℃における比誘電率が共に上記上限以下であることによって、当該樹脂組成物の電気的特性を十分に高めることができる。
上記可塑剤の40℃における動粘度の上限としては、10000mm2/sが好ましく、2500mm2/sがより好ましく、500mm2/sがさらに好ましい。上記動粘度が上記上限を超えると、ブリードアウトが促進されるおそれがある。一方、上記動粘度の下限としては、特に限定されないが、例えば1mm2/sとすることができる。上記動粘度が上記下限に満たないと、当該樹脂組成物の混合過程や使用時に可塑剤の一部が揮発する可能性がある。
上記可塑剤の数平均分子量(Mn)の下限としては、100が好ましく、300がより好ましい。一方、上記可塑剤の数平均分子量(Mn)の上限としては、2500が好ましく、1000がより好ましい。上記数平均分子量(Mn)が上記下限に満たないと、上記可塑剤の上記ポリマー中での分散性が低下するおそれがある。逆に、上記平均分子量(Mn)が上記上限を超えると、上記可塑剤の取扱性が低下し、上記可塑剤を上記ポリマーと混合し難くなるおそれがある。
また、上記可塑剤の40℃における動粘度及び数平均分子量(Mn)は共に上記範囲内に含まれることが好ましい。当該樹脂組成物は、上記可塑剤の40℃における動粘度及び数平均分子量が共に上記範囲内であることによって、上記可塑剤の取扱性を高め、上記ポリマーとの混合の容易化を促進することができる。
上記ポリマー100質量部に対する上記可塑剤の含有量の下限としては、上述のように5質量部であり、10質量部がより好ましい。一方、上記ポリマー100質量部に対する上記可塑剤の含有量の上限としては、上述のように40質量部であり、30質量部がより好ましい。上記含有量が上記下限に満たないと、得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれがある。逆に、上記含有量が上記上限を超えると、得られる樹脂成形品の耐熱性が不十分となるおそれがある。また、上記含有量が上記上限を超えると、ブリードアウトを生じるおそれもある。
<その他の成分>
当該樹脂組成物は、耐熱性及び常温における十分な柔軟性を得る点からは、上記ポリマー以外の合成樹脂を含まない方が好ましい。但し、当該樹脂組成物は、耐熱性及び柔軟性を維持できる範囲内で上記ポリマー以外のその他の合成樹脂を含有することも可能である。このような合成樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、又はそれらの酸変性体等が挙げられる。
当該樹脂組成物は、耐熱性及び常温における十分な柔軟性を得る点からは、上記ポリマー以外の合成樹脂を含まない方が好ましい。但し、当該樹脂組成物は、耐熱性及び柔軟性を維持できる範囲内で上記ポリマー以外のその他の合成樹脂を含有することも可能である。このような合成樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、又はそれらの酸変性体等が挙げられる。
当該樹脂組成物が上記ポリマー以外のその他の合成樹脂を含む場合、上記ポリマー100質量部に対する上記合成樹脂の含有量の下限としては、1質量部が好ましく、2質量部がより好ましい。一方、上記合成樹脂の含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましい。上記合成樹脂の含有量が上記下限に満たないと、上記合成樹脂を含有することによる効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記合成樹脂の含有量が上記上限を超えると、上記合成樹脂に対する上記ポリマーの含有量が不十分となり、当該樹脂組成物の融点を十分に高く保つことができなくなるおそれがある。
なお、当該樹脂組成物は、難燃剤、難燃助剤、顔料、酸化防止剤、滑剤、加工安定剤、発泡剤、補強剤、染料等の添加物を含有してもよい。
当該樹脂組成物の波長550nmにおける透過率の下限としては、20%が好ましく、30%がより好ましく、40%がさらに好ましい。上記透過率が上記下限に満たないと、上記ポリマー中における上記可塑剤の分散性が不十分であり、得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれがある。一方、上記透過率の上限としては、特に限定されるものではなく、例えば90%とすることができる。
当該樹脂組成物の融点の下限としては、190℃が好ましく、200℃がより好ましく、210℃がさらに好ましい。一方、当該樹脂組成物の融点の上限としては、240℃が好ましく、230℃がより好ましい。上記融点が上記下限に満たないと、得られる樹脂成形品の耐熱性が不十分となるおそれがある。逆に、上記融点が上記上限を超えると、当該樹脂組成物の加熱による成形加工性が低下するおそれがある。
当該樹脂組成物の25℃における引張弾性率の下限としては、50MPaが好ましく、100MPaがより好ましい。一方、当該樹脂組成物の25℃における引張弾性率の上限としては、700MPaが好ましく、500MPaがより好ましく、400MPaがさらに好ましい。上記引張弾性率が上記下限に満たないと、上記可塑剤の含有量が多くなり過ぎて、得られる樹脂成形品の耐熱性を十分に高めることができないおそれがある。逆に、上記引張弾性率が上記上限を超えると、得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となるおそれがある。
当該樹脂組成物の引張伸び率の下限としては、30%が好ましく、100%がより好ましく、200%がさらに好ましい。一方、当該樹脂組成物の引張伸び率の上限としては、700%が好ましく、500%がより好ましい。上記引張伸び率が上記下限に満たないと、得られる樹脂成形品の柔軟性が不十分となり、この樹脂成形品が非常に脆くなるおそれがある。逆に、上記引張伸び率が上記上限を超えると、得られる樹脂成形品の強度が不十分となるおそれがある。なお、「引張伸び率」とは、JIS−K7127:1999に準拠して測定される値をいう。
[樹脂成形品]
本発明の他の一態様に係る樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いる。当該樹脂成形品は、例えば公知の射出成形法、押出成形法等によって得られる。当該樹脂成形品は、当該樹脂組成物のみを用いたものであってもよく、例えば当該樹脂組成物を用いた層と他の層との積層体であってもよい。当該樹脂成形品における当該樹脂組成物を用いた層(当該樹脂成形品が上記他の層を有しない場合は当該樹脂成形品全体)は、上記ポリマー及び可塑剤を含み上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
本発明の他の一態様に係る樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いる。当該樹脂成形品は、例えば公知の射出成形法、押出成形法等によって得られる。当該樹脂成形品は、当該樹脂組成物のみを用いたものであってもよく、例えば当該樹脂組成物を用いた層と他の層との積層体であってもよい。当該樹脂成形品における当該樹脂組成物を用いた層(当該樹脂成形品が上記他の層を有しない場合は当該樹脂成形品全体)は、上記ポリマー及び可塑剤を含み上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
当該樹脂成形品は、当該樹脂組成物を用いるので、耐熱性及び柔軟性が共に優れる。
[絶縁電線]
本発明の他の一態様に係る絶縁電線は、図1に示すように、線状の導体1と、この導体1の外周面側に積層され、当該樹脂組成物を用いた絶縁層2とを備える。当該絶縁電線は、導体1及び絶縁層2から構成されている。
本発明の他の一態様に係る絶縁電線は、図1に示すように、線状の導体1と、この導体1の外周面側に積層され、当該樹脂組成物を用いた絶縁層2とを備える。当該絶縁電線は、導体1及び絶縁層2から構成されている。
当該絶縁電線は、当該樹脂組成物を用いた絶縁層2を備えるので、耐熱性及び柔軟性が共に優れる。
(導体)
導体1は、例えば断面が円形状の丸線とされるが、断面が方形状の角線や、複数の素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。
導体1は、例えば断面が円形状の丸線とされるが、断面が方形状の角線や、複数の素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。
導体1の材質としては、導電率が高くかつ機械的強度が大きい金属が好ましい。このような金属としては、例えば銅、銅合金、アルミニウム、ニッケル、銀、軟鉄、鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。導体1は、これらの金属を線状に形成した材料や、このような線状の材料にさらに別の金属を被覆した多層構造のもの、例えばニッケル被覆銅線、銀被覆銅線、銅被覆アルミ線、銅被覆鋼線等を用いることができる。
導体1の平均断面積(軸と垂直な断面の平均断面積)としては、当該絶縁電線の用途等に応じて適宜設定可能であり、例えば0.01mm2以上500mm2以下とすることができる。なお、「導体の平均断面積」とは、導体の軸と垂直な任意の10個の断面における断面積の平均値をいう。
(絶縁層)
絶縁層2は、上記ポリマー及び可塑剤を含み上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
絶縁層2は、上記ポリマー及び可塑剤を含み上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である。
絶縁層2の平均厚さとしては、当該絶縁電線の用途等に応じて適宜設定可能であり、例えば50μm以上10mm以下とすることができる。
当該絶縁電線は、例えば導体1の外周面に絶縁層2を押出成形することによって製造することができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、当該絶縁電線は、導体の外周面側に当該樹脂組成物を用いた絶縁層に加え、他の絶縁層が積層されていてもよい。また、当該絶縁電線は、当該樹脂組成物を用いた絶縁層が内部に気孔を有していてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例]
[No.1]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(三井化学株式会社製の「TPX MX002」)及び可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのパラフィン系鉱油を含む樹脂組成物を調製した。なお、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量は20質量部とした。
[No.1]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(三井化学株式会社製の「TPX MX002」)及び可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのパラフィン系鉱油を含む樹脂組成物を調製した。なお、上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量は20質量部とした。
[No.2]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーとして三井化学株式会社製の「TPX DX845」を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーとして三井化学株式会社製の「TPX DX845」を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.3]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を5質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を5質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.4]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を40質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を40質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.5]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの炭化水素系合成油(液状ポリオレフィン系合成油)を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの炭化水素系合成油(液状ポリオレフィン系合成油)を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.6]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.7]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.8]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのポリブテンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.9]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのナフテン系鉱油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのナフテン系鉱油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.10]
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの直鎖アルキルベンゼンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、数平均分子量、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの直鎖アルキルベンゼンを用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.11]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーとして、三井化学株式会社製の「TPX DX845」を用い、可塑剤として、No.5と同様の炭化水素系合成油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーとして、三井化学株式会社製の「TPX DX845」を用い、可塑剤として、No.5と同様の炭化水素系合成油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.12]
可塑剤として、No.6と同様のポリブテンを用いた以外はNo.11と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、No.6と同様のポリブテンを用いた以外はNo.11と同様にして樹脂組成物を調製した。
[比較例]
[No.13]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(三井化学株式会社製の「TPX MX002」)のみからなる樹脂組成物を調製した。
[No.13]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー(三井化学株式会社製の「TPX MX002」)のみからなる樹脂組成物を調製した。
[No.14]
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのシリコーン油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのシリコーン油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.15]
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのシリコーン油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りのシリコーン油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.16]
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの植物油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
可塑剤として、40℃動粘度及び比誘電率が表1の通りの植物油を用いた以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.17]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を3質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を3質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
[No.18]
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を45質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量を45質量部とした以外はNo.1と同様にして樹脂組成物を調製した。
No.1〜No.18の成分及び物性を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2における各物性は以下の方法によって測定又は評価した。なお、表2における樹脂組成物の物性はコンパウンドの物性を意味する。
<融点>
融点[℃]は、JIS−K7121:2012に準拠してパーキンエルマー社製の「DSC8500」を用いて測定した。
融点[℃]は、JIS−K7121:2012に準拠してパーキンエルマー社製の「DSC8500」を用いて測定した。
<比誘電率>
比誘電率は、JIS−C2138:2007に準拠して、空洞共振器法誘電率測定装置を用いて、周波数1GHz、温度25℃、相対湿度50%の条件で測定した。
比誘電率は、JIS−C2138:2007に準拠して、空洞共振器法誘電率測定装置を用いて、周波数1GHz、温度25℃、相対湿度50%の条件で測定した。
<引張弾性率及び引張伸び率>
引張弾性率[MPa]及び引張伸び率[%]は、短辺5mm、長辺100mm、厚さ1mmの平面視矩形状の試験片を作成し、JIS−K7127:1999に準拠して、島津製作所社製の「オートグラフAG−X」を用い、25℃において測定した。
引張弾性率[MPa]及び引張伸び率[%]は、短辺5mm、長辺100mm、厚さ1mmの平面視矩形状の試験片を作成し、JIS−K7127:1999に準拠して、島津製作所社製の「オートグラフAG−X」を用い、25℃において測定した。
<数平均分子量>
可塑剤の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算の値により測定した。なお、No.14〜No.16の可塑剤の数平均分子量については、樹脂組成物が所望の品質を有しなかったため測定していない。
可塑剤の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算の値により測定した。なお、No.14〜No.16の可塑剤の数平均分子量については、樹脂組成物が所望の品質を有しなかったため測定していない。
<40℃動粘度>
可塑剤の40℃動粘度[mm2/s]は、JIS−K2283:2000に準拠して測定した。
可塑剤の40℃動粘度[mm2/s]は、JIS−K2283:2000に準拠して測定した。
<−15℃低温脆化>
樹脂組成物の−15℃低温脆化は、短辺5mm、長辺50mm、厚さ1mmの平面視矩形状の試験片を作成し、東洋精機社製の低温脆化試験器を用い、以下の基準で評価した。
A:試験片が破断しない。
B:試験片が破断する。
樹脂組成物の−15℃低温脆化は、短辺5mm、長辺50mm、厚さ1mmの平面視矩形状の試験片を作成し、東洋精機社製の低温脆化試験器を用い、以下の基準で評価した。
A:試験片が破断しない。
B:試験片が破断する。
<透過率>
JIS−K7375:2008に準拠して、波長500nmにおける樹脂組成物の透過率[%]を島津製作所社製の「UV2450」を用いて測定した。
JIS−K7375:2008に準拠して、波長500nmにおける樹脂組成物の透過率[%]を島津製作所社製の「UV2450」を用いて測定した。
<重量減少率>
樹脂組成物を用いて短辺25mm、長辺50mm、厚さ1mmに成形した平面視矩形状の試験片の初期の重量、及び30日間室温で保管した後の重量を測定し、両者の重量比から樹脂組成物の重量の減少率[%]を算出した。
樹脂組成物を用いて短辺25mm、長辺50mm、厚さ1mmに成形した平面視矩形状の試験片の初期の重量、及び30日間室温で保管した後の重量を測定し、両者の重量比から樹脂組成物の重量の減少率[%]を算出した。
<評価結果>
表1及び表2に示すように、No.1〜No.12は可塑剤(25℃で液体)の25℃における比誘電率が2.13以上2.19以下であり、かつ4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下であるため、樹脂組成物の融点が195℃以上と高く、かつ引張弾性率が670MPa以下、引張伸び率が80%以上となっている。そのため、No.1〜No.12の樹脂組成物は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する樹脂成形品を形成可能である。また、No.1〜No.12は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーの比誘電率と可塑剤の比誘電率との差の絶対値が0.07以下と小さいことから、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が高く、このため樹脂組成物の透過率が22%以上と高くなっている。その結果、No.1〜No.12の樹脂組成物は、引張弾性率が十分に低く抑えられており優れた柔軟性向上効果が奏されると共に、樹脂成形品中における異物混入の有無の確認が容易である。誘電率は分子構造の極性に起因するため、誘電率の近いポリマー及び可塑剤は極性が近く分散性に優れており、これによりNo.1〜No.12の樹脂組成物は種々の特性が発現したと考えられる。また、No.1〜No.12は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が高いことに加え、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーに対する可塑剤の含有量が上記範囲であるため、ブリードアウトの発生が抑制されており、これにより樹脂組成物の重量減少率が低く抑えれている。さらに、No.1〜No.12は、低温においても柔軟性が十分に高められることから−15℃の低温下でも脆化を抑制することができている。
表1及び表2に示すように、No.1〜No.12は可塑剤(25℃で液体)の25℃における比誘電率が2.13以上2.19以下であり、かつ4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下であるため、樹脂組成物の融点が195℃以上と高く、かつ引張弾性率が670MPa以下、引張伸び率が80%以上となっている。そのため、No.1〜No.12の樹脂組成物は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する樹脂成形品を形成可能である。また、No.1〜No.12は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーの比誘電率と可塑剤の比誘電率との差の絶対値が0.07以下と小さいことから、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が高く、このため樹脂組成物の透過率が22%以上と高くなっている。その結果、No.1〜No.12の樹脂組成物は、引張弾性率が十分に低く抑えられており優れた柔軟性向上効果が奏されると共に、樹脂成形品中における異物混入の有無の確認が容易である。誘電率は分子構造の極性に起因するため、誘電率の近いポリマー及び可塑剤は極性が近く分散性に優れており、これによりNo.1〜No.12の樹脂組成物は種々の特性が発現したと考えられる。また、No.1〜No.12は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が高いことに加え、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーに対する可塑剤の含有量が上記範囲であるため、ブリードアウトの発生が抑制されており、これにより樹脂組成物の重量減少率が低く抑えれている。さらに、No.1〜No.12は、低温においても柔軟性が十分に高められることから−15℃の低温下でも脆化を抑制することができている。
これに対し、No.13は、可塑剤を含んでいないため、引張弾性率が高く樹脂成型品の柔軟性を十分に高めることができない。No.14〜No.16は、可塑剤の比誘電率が高いため、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が低く、樹脂組成物の透過率が低くなっている。その結果、No.14〜No.16の樹脂組成物は、樹脂成形品の柔軟性を十分に高めることができないと共に、樹脂成形品中における異物混入の有無の確認が困難である。また、No.14〜No.16は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤の相溶性が低いため、ブリードアウトに起因する重量減少率が高くなっている。No.17は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーに対する可塑剤の含有量が少ないため、樹脂組成物の引張弾性率が高くなり過ぎて柔軟性を十分に高めることができない。さらに、No.18は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーに対する可塑剤の含有量が多いため、樹脂組成物の融点が低く、耐熱性を十分に高めることができない。また、No.18は、4−メチルペンテン−1単位を有するポリマーに対する可塑剤の含有量が多いため、ブリードアウトに起因する重量減少率が高くなっている。
以上説明したように、本発明に係る樹脂組成物は、耐熱性及び柔軟性が共に優れる樹脂成形品を形成するのに適している。
1 導体
2 絶縁層
2 絶縁層
Claims (6)
- 4−メチルペンテン−1単位を有するポリマー及び可塑剤を含み、
上記可塑剤が、25℃で液体、かつ25℃における比誘電率が2.10以上2.40以下であり、
上記ポリマー100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上40質量部以下である樹脂組成物。 - 上記ポリマーの融点が210℃以上240℃以下であり、このポリマーの25℃における比誘電率が2.10以上2.25以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記可塑剤の40℃における動粘度が10000mm2/s以下であり、数平均分子量が100以上2500以下である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 波長550nmにおける透過率が20%以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いた樹脂成形品。
- 線状の導体と、この導体の外周面側に積層され、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いた絶縁層とを備える絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016140777A JP2018009133A (ja) | 2016-07-15 | 2016-07-15 | 樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線 |
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JP2016140777A Pending JP2018009133A (ja) | 2016-07-15 | 2016-07-15 | 樹脂組成物、樹脂成形品及び絶縁電線 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022270581A1 (ja) * | 2021-06-25 | 2022-12-29 | 三井化学株式会社 | 組成物、および成形体 |
-
2016
- 2016-07-15 JP JP2016140777A patent/JP2018009133A/ja active Pending
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WO2022270581A1 (ja) * | 2021-06-25 | 2022-12-29 | 三井化学株式会社 | 組成物、および成形体 |
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