以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例の構成を示すブロック図である。図1に示す撮像装置は、例えばデジタルカメラ、カメラ機能付き携帯電話機、スマートフォンといった各種の携帯端末機器である。図1に示す撮像装置は、撮像部102と、表示部104と、仮記録部106と、記録部108と、操作部110と、制御部112とを有している。
撮像部102は、撮像光学系102aと、撮像素子102bと、駆動部102cとを有している。撮像光学系102aは、絞り及びレンズ等を有し、図示しない対象物からの光束を撮像素子102bに入射させる。撮像光学系102aは、合焦状態を調節するためのフォーカスレンズを含んでいる。撮像素子102bは、例えばCMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサを含み、対象物を撮像し、対象物に係る画像データを取得する。撮像素子102bは、撮影の対象物までの距離検出が可能なように位相差検出画素を含んでいてもよい。また、本実施形態における撮像素子102bは、撮像光学系102aに光軸と直交する平面内で移動可能に構成されていてもよい。駆動部102cは、制御部112による制御に従って、撮像光学系102aのフォーカスレンズをその光軸方向に駆動したり、撮像素子102bを駆動したりする。
表示部104は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、撮像部102で取得された画像データに基づく画像等の各種の画像を表示する。
仮記録部106は、RAM等の揮発性メモリであり、各種のデータを仮記録するための記録媒体である。仮記録部106には、例えば画像合成処理に用いられる画像データが仮記録される。
記録部108は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、各種のデータを記録するための記録媒体である。記録部108には、例えば撮影動作の結果として得られる画像ファイルが記録される。また、記録部108には、撮像装置の制御に用いられるプログラムが記録される。
操作部110は、ユーザが撮像装置の操作をするための操作部材である。操作部110は、電源スイッチ、レリーズボタン等を操作部材として有している。電源スイッチは、撮像装置の電源のオン/オフの指示を与えるための操作部材である。レリーズボタンは、撮影開始の指示を与えるための操作部材である。また、操作部110は、タッチパネル等の他の操作部材を有していてもよい。
制御部112は、CPU及びASIC等の制御回路であり、撮像装置の動作を統括的に制御する。制御部112は、撮像制御部1121としての機能と、表示制御部1122としての機能と、画像処理部1123としての機能と、シーン判別部1124としての機能と、動き検出部1125としての機能とを有している。ここで、制御部112の各機能は、単一のハードウェア又はソフトウェアによって実現されてもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアによって実現されてもよい。また、一部の機能は、制御部112と別個に設けられていてもよい。
撮像制御部1121は、撮像部102による対象物の撮像動作及び撮像部102からの画像データの読み出し動作を制御する。
表示制御部1122は、表示部104に各種の画像を表示するときの制御をする。
画像処理部1123は、画像データに対する各種の画像処理を行う。この画像処理は、ホワイトバランス処理、階調補正処理等を含む。また、この画像処理は、複数の画像データを合成する合成処理を含む。
シーン判別部1124は、画像データ及び画像データが撮像されるシーンの判別を行う。例えば、シーン判別部1124は、画像データの輝度、対象物に対する合焦状態等を判別する。また、シーン判別部1124は、画像データが撮像された際の撮像条件、例えば撮像感度を判別する。ここで挙げたものは一例にすぎない。シーン判別部1124は、画像データの色の判別等の各種の判別を行ってもよい。また、シーン判別部1124は、撮像距離等の各種の撮像条件の判別を行ってもよい。さらに、ここでは、シーン判別部114は、各種のセンサ類の情報を併用して判別を行ってもよい。また、自動で判定せずに手動で設定してもよい。さらには、これは「シーン判定」という言葉以外にも表現可能な技術で代用してもよい。例えば、明るさ判定、撮像判定、画像判定、距離判定、対象物判定と言い直してもよい。また、この結果で、画像処理や合成方法を変更するので、画処理判定、合成判定としてもよい。
動き検出部1125は、複数回の撮像の間の対象物の動きを検出する。動き検出部1125は、例えば動きベクトルを検出することによって、対象物の動きを検出する。
次に、本実施形態に係る撮像装置の撮影動作について説明する。本実施形態に係る撮像装置は、撮影モードとして静止画撮影モードと動画撮影モードとを有している。静止画撮影モードは、ユーザの撮影指示に従って静止画を撮影するための撮影モードである。動画撮影モードは、ユーザの撮影指示に従って動画を撮影するための撮影モードである。撮影モードの設定は、例えばユーザによる操作部110の操作によってなされる。
まず、静止画撮影モードの処理について説明する。図2は、撮像装置の静止画撮影モードにおける動作を示すフローチャートである。図2の処理は、例えば撮像装置の撮影モードが静止画撮影モードに切り替えられたときに開始される。
ステップS1において、制御部112は、静止画撮影モードがシーン判別モードであるか否かを判定する。本実施形態において、静止画撮影モードは、通常モードとシーン判別モードとを有している。通常モードは、HDR合成処理、深度合成処理、ノイズ低減(NR)合成処理といった複数回の撮像によって得られた複数の画像データの画像合成処理を伴う適用処理を行わないモードである。シーン判別モードは、複数回の撮像によって得られた複数の画像データの画像合成処理を伴う適用処理を行うモードである。本実施形態におけるシーン判別モードでは、シーンの判別結果に応じて、HDR合成処理、深度合成処理、ノイズ低減(NR)処理といった適用処理のなかから適宜に適用処理が選択される。静止画撮影モードを通常モードとするか又はシーン判別モードとするかの設定は、例えばユーザの操作部110の操作によって行われる。ステップS1において、静止画撮影モードがシーン判別モードでない、すなわち通常モードであると判定されたときには、処理はステップS2に移行する。ステップS1において、静止画撮影モードがシーン判別モードであると判定されたときには、処理はステップS7に移行する。シーン判定は、後述のように、画像を合成処理するかどうかを決めたりもするので、ステップS1は、シーン判定モードか、という書き方以外に、合成許可するか、というような表現の分岐でもよい。また、かならず、合成許可する仕様もあり、この分岐なく、必ずステップS7に分岐してもよい。
通常モードの処理であるステップS2において、制御部112は、静止画撮影要求があるか否かを判定する。静止画撮影要求は、例えばユーザによるレリーズボタンの操作又はタッチレリーズ操作によってなされる。ステップS2において、静止画撮影要求があると判定されたときには、処理はステップS3に移行する。ステップS2において、静止画撮影要求がないと判定されたときには、処理はステップS4に移行する。
ステップS3において、制御部112は、静止画撮影を開始する。例えば、制御部112は、撮像光学系102aの絞りの設定及び撮像素子102bの露出時間等を対象物の輝度に応じて設定する。そして、制御部112は、撮像部102の撮像動作を行わせる。制御部112は、撮像動作で得られた画像データに対して必要な画像処理を施して静止画ファイルを作成する。そして、制御部112は、作成した静止画ファイルを記録部108に記録する。このような静止画撮影動作の後、処理はステップS4に移行する。
ステップS4において、制御部112は、表示用撮像制御を行う。例えば、制御部112は、スルー画表示用の絞りの設定及び露出時間の設定で撮像部102の撮像動作を行わせる。
ステップS5において、制御部112は、ステップS4の表示用撮像制御の結果として得られた画像データに基づく画像を表示部104に表示させる。これにより、スルー画表示が行われる。
ステップS6において、制御部112は、静止画撮影モードの動作を終了するか否かを判定する。例えば、撮影モードが動画撮影モードに切り替えられたり、撮像装置の電源がオフされたりしたときには、静止画撮影モードの動作を終了すると判定される。ステップS6において、静止画撮影モードの動作を終了すると判定されたときには、図2の処理は終了する。ステップS6において、静止画撮影モードの動作を終了しないと判定されたときには、処理はステップS1に戻る。
シーン判別モードの処理であるステップS7において、制御部112は、シーン判別処理を行う。以下、シーン判別処理について説明する。図3は、シーン判別処理について示すフローチャートである。これは「シーン判定」という言葉以外にも表現可能な技術で代用してもよい。例えば、明るさ判定、撮像判定、画像判定、距離判定、対象物判定と言い直してもよい。また、「判定」とあっても、自動で判定せずにユーザが手動で設定してもよい。
ステップS21において、制御部112は、撮像部102を介して得られる画像データにおいて、低レベルの画素と飽和レベルの画素との全画素に対する割合が所定値以上(例えば10%)であるか、すなわち画像データにおける明暗差が大きいか否かを判定する。1画素のデータが256階調で表されるとすると、低レベルの画素は、例えば16階調以下のデータを有する画素であり、飽和レベルの画素は、例えば246階調以上のデータを有する画素である。ステップS21において、低レベルの画素と飽和レベルの画素との割合が所定値以上であると判定されたとき、処理はステップS22に移行する。ステップS21において、低レベルの画素と飽和レベルの画素との割合が所定値以上でないと判定されたとき、処理はステップS23に移行する。
ステップS22において、制御部112は、HDR合成処理を適用処理として実施することを決定する。その後、処理はステップS23に移行する。HDR合成処理は、露出量を異ならせた複数回の撮像によって得られた画像データを合成することによって画像データのダイナミックレンジを拡大する処理である。このようなHDR合成処理は、明暗差の大きいシーン、すなわち広いダイナミックレンジを必要とするシーンにおいて有効である。
ステップS23において、制御部112は、撮像素子102bに設定されている撮像感度が一定値(例えばISO8000)以上であるか否かを判定する。撮像感度の設定は、例えばユーザによる操作部110の操作によってなされる。ステップS23において、撮像素子102bに設定されている撮像感度が一定値以上であると判定されたときには、処理はステップS24に移行する。ステップS23において、撮像素子102bに設定されている撮像感度が一定値以上でないと判定されたときには、処理はステップS25に移行する。
ステップS24において、制御部112は、NR合成処理を適用処理として実施することを決定する。その後、処理はステップS25に移行する。NR合成処理は、複数回の撮像によって得られた画像データを平均化合成することによって画像データのノイズを低減する処理である。このようなNR合成処理は、ノイズの大きいシーンにおいて有効である。例えば、撮像感度が大きくなると、ノイズが大きくなるのでNR合成処理が有効である。実際には、対象物の輝度が低輝度でなければ、ノイズの影響はそれほど大きくならないので、ステップS23においては、対象物の輝度が所定値以下、かつ、撮像感度が所定値以上のときにステップS24において、NR合成処理を実施することが決定されてもよい。
ステップS25において、制御部112は、対象物が焦点深度外であるか否か、すなわち対象物が非合焦状態であるか否かを判定する。対象物は、例えば人物の顔である。例えば、過焦点深度をH、焦点距離をf、絞り値をN、許容錯乱円径をcとしたとき、対象物に対するデフォーカス量がH=f2/Nc以上であるときには、対象物は焦点深度外であると判定される。ステップS25において、対象物が焦点深度外であると判定されたときには、処理はステップS26に移行する。対象物が焦点深度外でないと判定されたときには、図3の処理は終了する。
ステップS26において、制御部112は、深度合成処理を適用処理として実施することを決定する。その後、図3の処理は終了する。深度合成処理は、撮像光学系102aの焦点位置を異ならせた複数回の撮像によって得られた画像データを合成することによって画像データの合焦状態を改善する処理である。深度合成処理は、対象物の一部にしか合焦していないようなシーンにおいて有効である。
このように、図3のようなフローチャートの結果で、画像処理や合成方法を変更するので、これを「シーン判定」とせず、画処理判定、合成判定と書いてもよい。ユーザが手動で設定する場合は、合成切り替え処理と表現してもよい。合成処理選択ステップと表現してもよい。合成方法が一種類しかない場合もあり、この場合は切り替えではないので、シーン判定ステップは省略が可能である。
ここで、図2の説明に戻る。シーン判別処理の後のステップS8において、制御部112は、画像合成実施判定処理を行う。以下、画像合成実施判定処理について説明する。図4は、画像合成実施判定処理について示すフローチャートである。ステップS31において、制御部112は、スルー画表示のための撮像によって得られる複数フレームの画像データから各対象物の動きベクトルを算出する。
ステップS32において、制御部112は、最大の動きベクトルの大きさが一定値(例えば画像データ上の5ピクセル程度)以下であるか否か、すなわち撮像装置及び対象物の双方が止まっていると見なせる状態であるか否かを判定する。ステップS32において、最大の動きベクトルの大きさが一定値以下であると判定されたときには、処理はステップS33に移行する。ステップS32において、最大の動きベクトルの大きさが一定値以下でないと判定されたときには、図4の処理は終了する。
ステップS33において、制御部112は、画像合成処理を実施することを決定する。その後、図4の処理は終了する。すなわち、本実施形態においては、対象物が止まっていると見なせる状態において画像合成処理が実施される。これにより、高い画質で画像合成処理が実施され得る。
ここで、図2の説明に戻る。画像合成実施判定処理の後のステップS9において、制御部112は、画像合成実施判定処理の結果から、画像合成処理を実施するか否かを判定する。ステップS9において、画像合成処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS10に移行する。ステップS9において、画像合成処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS17に移行する。
ステップS10において、制御部112は、撮像フレームレートを判定する。撮像フレームレートは、例えば静止画像の記録モードに応じて設定される。すなわち、多少の応答性を犠牲にしても高画質(高画素数)が要求される記録モードのときには、制御部112は、撮像フレームレートを低く(例えば60fps程度に)設定する。一方、応答性が優先される記録モードのときには、制御部112は、撮像フレームレートを高く(例えば240fps程度に)設定する。なお、記録モードは、例えばユーザによる操作部110の操作によって設定される。
ステップS11において、制御部112は、フレーム数判定処理を行う。以下、フレーム数判定処理について説明する。図5は、フレーム数判定処理について示すフローチャートである。ステップS41において、制御部112は、HDR合成処理を実施するか否かを判定する。ステップS41において、HDR合成処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS42に移行する。ステップS41において、HDR合成処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS43に移行する。
ステップS42において、制御部112は、HDR合成処理用のフレームを設定する。その後、処理はステップS43に移行する。HDR合成処理には、露出量の異なる少なくとも2枚の画像データが必要である。したがって、制御部112は、HDR合成処理用のフレームとして例えば2フレームを追加する。勿論、HDR合成処理用のフレーム数を3フレーム以上としてもよい。
ステップS43において、制御部112は、NR合成処理を実施するか否かを判定する。ステップS43において、NR合成処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS44に移行する。ステップS43において、NR合成処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS45に移行する。
ステップS44において、制御部112は、NR合成処理用のフレームを設定する。その後、処理はステップS45に移行する。NR合成処理用のフレーム数は、例えば撮像感度に応じて設定される。例えば、撮像感度がISO16000以下のときには、制御部112は、NR合成処理用のフレームとして1フレームを追加する。また、撮像感度がISO16000よりも大きく、ISO32000以下のときには、制御部112は、NR合成処理用のフレームとして2フレームを追加する。また、撮像感度がISO32000よりも大きく、ISO64000以下のときには、制御部112は、NR合成処理用のフレームとして4フレームを追加する。一般に、NR合成処理においてnフレームの画像データを合成することにより、ノイズ量は、ルートn分の一に低減される。なお、NR合成処理用のフレーム数の算出手法は、ここで説明したものに限るものではない。
ステップS45において、制御部112は、深度合成処理を実施するか否かを判定する。ステップS45において、深度合成処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS46に移行する。ステップS45において、深度合成処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS47に移行する。
ステップS46において、制御部112は、深度合成処理用のフレームを設定する。その後、処理はステップS47に移行する。例えば、制御部112は、フォーカスレンズの駆動時間を算出する。フォーカスレンズの駆動時間は、(深度合成に必要なフォーカスレンズの駆動量)/(単位時間当たりのフォーカスレンズの駆動量)によって算出される。フォーカスレンズの駆動時間の算出後、制御部112は、深度合成処理用として追加するフレームの数を算出する。追加するフレームの数は、例えば、(フォーカスレンズの駆動時間)/(1撮像フレーム分の時間)によって算出される。なお、深度合成処理用のフレーム数の算出手法は、ここで説明したものに限るものではない。
ステップS47において、制御部112は、総フレーム数を算出する。その後、図5の処理は終了する。総フレーム数は、基本的には、(HDR合成処理用のフレーム数)+(NR合成処理用のフレーム数)+(深度合成処理用のフレーム数)によって算出される。ただし、HDR合成処理用のフレームと、NR合成処理用のフレームと、深度合成処理用のフレームとで重複させることができるフレームが存在している場合には、その分だけ総フレーム数は削減され得る。また、総フレーム数には、上限が設けられていてもよい。例えば、スルー画表示において合成処理が行われることを想定した場合、表示部104の表示フレームレートよりも短い時間で合成処理が完了する必要がある。この場合、総フレーム数は、表示部104の表示フレームレートによって制限される。
ここで、図2の説明に戻る。フレーム数判定処理の後のステップS12において、制御部112は、合成用撮像制御を実行する。その後、処理はステップS13に移行する。以下、図6を参照して合成用撮像制御の一例を説明する。合成用撮像制御では、撮像毎に1つ以上の撮像条件を変更しながら撮像が行われる。ここでの撮像条件は、HDR合成をするために必要な露出量と、深度合成をするために必要なフォーカスレンズ位置である。なお、図6の四角形は、合成用撮像制御の際の各撮像のタイミングを示している。図6の「露出」は、各撮像のタイミングにおける露出の変更量を示している。−1は、適正露出に対して1段分のアンダー露出であることを示し、+1は、適正露出に対して1段分のオーバー露出であることを示している。図6の「HDR合成」は、各撮像において得られた画像データをHDR合成処理に使用するか否かを示す。丸印が付されているときには、対応する撮像で得られた画像データがHDR合成処理に使用される。図6の「NR合成1」及び「NR合成2」は、各撮像において得られた画像データをNR合成処理に使用するか否かを示す。なお、「NR合成1」は、+1段の露出量の画像データ同士の合成によるNR合成処理であることを示す。「NR合成2」は、−1段の露出量の画像データ同士の合成によるNR合成処理であることを示す。丸印が付されているときには、対応する撮像で得られた画像データがNR合成処理に使用される。「深度合成」は、各撮像において得られた画像データを深度合成処理に使用するか否かを示す。丸印が付されているときには、対応する撮像で得られた画像データが深度合成処理に使用される。「フォーカスレンズ位置」は、各撮像におけるフォーカスレンズの位置を示す。
図6の例では、HDR合成処理には2フレームが使用され、NR合成処理には3フレームが使用され、深度合成処理には3フレームが使用される。しかしながら、一部のフレームおいて得られる画像データは、HDR合成処理、NR合成処理、深度合成処理のうちの複数の処理に使用される。このため、総フレーム数は、6フレームでよい。
図6に示す1フレーム目において、制御部112は、1段分だけアンダー露出となるように撮像部102を設定する。そして、制御部112は、撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、1フレーム目の画像データを仮記録部106に仮記録する。
2フレーム目において、制御部112は、1フレーム目と同じ条件で撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、2フレーム目の画像データを1フレーム目の画像データとは別個に仮記録部106に仮記録する。
3フレーム目においても、制御部112は、1フレーム目と同じ条件で撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、3フレーム目の画像データを1フレーム目及び2フレーム目の画像データとは別個に仮記録部106に仮記録する。
4フレーム目において、制御部112は、1段分だけオーバー露出となるように撮像部102を設定する。また、制御部112は、フォーカスレンズの駆動を開始させる。そして、制御部112は、撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、4フレーム目の画像データを1フレーム目−3フレーム目の画像データとは別個に仮記録部106に仮記録する。
5フレーム目において、制御部112は、4フレーム目と同じ条件(ただし、フォーカスレンズは移動中である)で撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、5フレーム目の画像データを1フレーム目−4フレーム目の画像データとは別個に仮記録部106に仮記録する。
6フレーム目においても、制御部112は、4フレーム目と同じ条件で撮像部102による撮像を行う。撮像の後、制御部112は、6フレーム目の画像データを1フレーム目−5フレーム目の画像データとは別個に仮記録部106に仮記録する。
ここで、図2の説明に戻る。合成用撮像制御の後のステップS13において、制御部112は、合成処理を行う。その後、処理はステップS14に移行する。以下、合成処理を説明する。
図6に示すように、制御部112は、1フレーム目の画像データと4フレーム目の画像データとを用いてHDR合成処理を行う。HDR合成処理に際し、制御部112は、例えば4フレーム目の画像データの白飛び領域を、この白飛び領域と対応する1フレーム目の画像データで置き換える。これにより、広ダイナミックレンジの画像データが生成される。
また、図6に示すように、制御部112は、1フレーム目、2フレーム目及び3フレーム目の画像データを用いてNR合成処理を行うとともに、4フレーム目、5フレーム目及び6フレーム目の画像データを用いてNR合成処理を行う。NR合成処理に際し、制御部112は、1フレーム目、2フレーム目及び3フレーム目の画像データを加算平均するとともに、4フレーム目、5フレーム目及び6フレーム目の画像データを加算平均する。これにより、ノイズ低減された明画像及び暗画像が生成される。
また、図6に示すように、制御部112は、4フレーム目、5フレーム目及び6フレーム目の画像データを用いて深度合成処理を行う。深度合成処理に際し、制御部112は、6フレーム目の画像データにおける低コントラストの領域を、この領域と対応している4フレーム目又は5フレーム目における高コントラストの領域の画像データで置き換える合成処理を行う。このようにして、各領域に合焦している画像データが生成される。
前述の例では、HDR合成処理、NR合成処理、深度合成処理が個別に行われ、4フレームの画像データが生成される。さらに、HDR合成処理、NR合成処理、深度合成処理の結果として得られた4フレームの画像データを合成してもよい。この場合、制御部112は、ノイズ低減された明画像と暗画像を用いてさらにNR合成処理を行う。すなわち、制御部112は、ノイズ低減された明画像と暗画像を加算平均によって合成する。その後、制御部112は、NR合成処理後の画像データにおける黒潰れ又は白飛びしている領域にHDR合成処理で得られた画像データを合成するとともに、NR合成処理後の画像データにおける低コントラストに深度合成処理で得られた画像データを合成する。
ここで、図2の説明に戻る。合成処理の後のステップS14において、制御部112は、合成処理の結果として得られた画像データに基づく画像を表示部104に表示させる。ステップS14において、制御部112は、HDR合成処理、NR合成処理、深度合成処理の結果として得られた4フレームの画像データに基づく画像を並べて表示させてもよいし、これらの4フレームの画像データを再合成して得られた画像データに基づく画像をスルー画として表示させてもよい。
ステップS15において、制御部112は、静止画撮影要求があるか否かを判定する。静止画撮影要求は、ステップS2と同様に、例えばユーザによるレリーズボタンの操作又はタッチレリーズ操作によってなされる。ステップS15において、静止画撮影要求があると判定されたときには、処理はステップS16に移行する。ステップS15において、静止画撮影要求がないと判定されたときには、処理はステップS6に移行する。
ステップS16において、制御部112は、静止画撮影を開始する。このときの静止画撮影おける撮像部102の撮像動作は、ステップS12の合成用撮像制御のときと同じ設定で行われる。そして、制御部112は、撮像動作の結果として得られた画像データをステップS13と同様にして合成した後で、さらに必要な画像処理を施して静止画ファイルを作成する。そして、制御部112は、作成した静止画ファイルを記録部108に記録する。このような静止画撮影動作の後、処理はステップS6に移行する。
画像合成処理を実施しないと判定された後のステップS17において、制御部112は、表示用撮像制御を行う。ステップS18において、制御部112は、ステップS17の表示用撮像制御の結果として得られた画像データに基づく画像を表示部104に表示させる。ステップS17及びステップS18の処理は、ステップS4及びステップS5の処理と同様である。
ステップS19において、制御部112は、シーン判別モードの設定が仕上がり優先設定になっているか否かを判定する。シーン判別モードの設定は、例えばユーザによる操作部110の操作によって設定される。ステップS19において、シーン判別モードの設定が仕上がり優先設定になっていないと判定されたときには、処理はステップS15に移行する。ステップS19において、シーン判別モードの設定が仕上がり優先設定になっていると判定されたときには、処理はステップS6に移行する。すなわち、画像合成処理を実施しないと判定され、シーン判別モードの設定が仕上がり優先設定になっていると判定されたときには、静止画撮影要求の有無の判定が行われない。したがって、ユーザが静止画撮影要求をしたとしてもその要求は無効になる。このため、仕上がり優先モードでは画像合成処理が実施されるまで撮影が行われないことになる。
次に、動画撮影モードの処理について説明する。図7は、撮像装置の動画撮影モードにおける動作を示すフローチャートである。図7の処理は、例えば撮像装置の撮影モードが動画撮影モードに切り替えられ、動画記録の開始が指示されたときに開始される。なお、図7において、図2と類似している処理については説明を適宜省略する。
ステップS51において、制御部112は、動画撮影モードがシーン判別モードであるか否かを判定する。静止画撮影モードと同様、動画撮影モードも、通常モードとシーン判別モードとを有している。動画撮影モードを通常モードとするか又はシーン判別モードとするかの設定は、例えばユーザの操作部110の操作によって行われる。ステップS51において、動画撮影モードがシーン判別モードでない、すなわち通常モードであると判定されたときには、処理はステップS52に移行する。ステップS51において、動画撮影モードがシーン判別モードであると判定されたときには、処理はステップS56に移行する。
通常モードの処理であるステップS52において、制御部112は、撮像制御を行う。例えば、制御部112は、動画撮影用の絞りの設定及び露出時間の設定で撮像部102の撮像動作を行わせる。
ステップS53において、制御部112は、ステップS52の撮像制御の結果として得られた画像データに基づく画像を表示部104に表示させる。これにより、スルー画表示が行われる。
ステップS54において、制御部112は、動画記録を行う。例えば、制御部112は、ステップS52の撮像制御の結果として得られた画像データに対して必要な画像処理を施した後で動画ファイルを作成する。そして、制御部112は、作成した動画ファイルを記録部108に記録する。既に動画ファイルが作成済みであるときには、制御部112は、画像処理された画像データを作成した動画ファイルに追記する。このような動画記録の後、処理はステップS55に移行する。
ステップS55において、制御部112は、動画記録を終了するか否かを判定する。例えば、ユーザの操作部110の操作によって動画記録の終了が指示されたり、撮影モードが静止画撮影モードに切り替えられたり、撮像装置の電源がオフされたりしたときには、動画記録を終了すると判定される。ステップS55において、動画記録を終了すると判定されたときには、図7の処理は終了する。ステップS55において、動画記録を終了しないと判定されたときには、処理はステップS51に戻る。
シーン判別モードの処理であるステップS56において、制御部112は、シーン判別処理を行う。シーン判別処理の後、処理はステップS57に移行する。動画撮影モードのときのシーン判別処理は、基本的には静止画撮影モードのときのシーン判別処理と同じでよい。ただし、シーン判別処理において用いられた各種の閾値は、静止画撮影モードと動画撮影モードとで異なっていてもよい。また、動画撮影モードのときのシーン判別処理においては、静止画撮影モードのときのシーン判別処理の全ての判定が行われなくてもよい。例えば、ステップS25の処理(深度合成処理の実施の判定処理)は省略されてもよい。
ステップS57において、制御部112は、画像合成実施判定処理を行う。画像合成実施判定処理の後、処理はステップS58に移行する。動画撮影モードのときの画像合成実施判定処理は、基本的には静止画撮影モードのときの画像合成実施判定処理と同じでよい。
ステップS58において、制御部112は、画像合成実施判定処理の結果から、画像合成処理を実施するか否かを判定する。ステップS58において、画像合成処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS59に移行する。ステップS58において、画像合成処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS52に移行する。
ステップS59において、制御部112は、撮像フレームレートを判定する。撮像フレームレートは、例えば動画像のフレームレートに応じて設定される。動画像の撮像フレームレートも、静止画像と同様に画質も考慮して設定されてよい。
ステップS60において、制御部112は、フレーム数判定処理を行う。フレーム数判定処理の後、処理はステップS61に移行する。動画撮影モードのときのフレーム数判定処理は、基本的には静止画撮影モードのときのフレーム数判定処理と同じでよい。
ステップS61において、制御部112は、合成用撮像制御を実行する。その後、処理はステップS62に移行する。動画撮影モードのときの合成用撮像制御も、静止画撮影モードのときと同様に図6で示したようにして行われてよい。しかしながら、合成用撮像制御は、以下の図8で示すように行われてもよい。
図8を参照して合成用撮像制御の変形例を説明する。ここで、図8の四角形は、合成用撮像制御の際の各撮像のタイミングを示している。図8の「露出」は、各撮像のタイミングにおける露出の変更量を示している。−1は、適正露出に対して1段分のアンダー露出であることを示し、+1は、適正露出に対して1段分のオーバー露出であることを示している。図8の「フォーカスレンズ位置」は、各撮像におけるフォーカスレンズの位置を示す。図8の「NR」は、NR合成処理されるフレーム数を示す。
図6の例では、露出量は−1段から+1段に不連続的に変化する。これに対し、図8の例では、露出量は、−1段から+1段の間で略連続的に変化する。例えば図8において、1フレーム目の撮像では、露出量は−1段分だけアンダーに設定される。一方、2フレーム目の撮像では露出量は、0段(適正露出)に設定される。そして、3フレーム目の撮像で露出量は+1段だけオーバーに設定される。このようにして露出量を連続的に変更することで、フレーム間での露出の急激な変動が抑えられる。したがって、動画記録される際又はスルー画表示される際の画像の違和感を低減することが可能である。
また、図6の例では、6フレームの撮像の後でNR合成処理が行われる。一方、図8の例では、NR合成処理は撮像制御と並行して行われる。この場合、制御部112は、各フレームの撮像が行われる毎に、撮像によって得られた画像データを合成していく。具体的には、制御部112は、2フレーム目の画像データを仮記録部106に仮記録した後、2フレーム目の画像データと1フレーム目の画像データとを合成する。また、制御部112は、3フレーム目の画像データを仮記録部106に仮記録した後、3フレーム目の画像データと2フレーム目に得られた合成画像データとを合成する。さらに、制御部112は、4フレーム目の画像データを仮記録部106に仮記録した後、4フレーム目の画像データと3フレーム目に得られた合成画像データとを合成する。以後も同様である。NR合成処理は、その他の処理に比べて動画記録される又はスルー画表示される画像に与える影響が小さい。したがって、NR合成処理は撮像制御と並行して行うことが可能である。なお、図6において、図8のようにNR合成処理と撮像制御とが並行して行われるようにしてもよい。
また、図8の例では、露出量の変更が完了した後でフォーカスレンズの駆動を開始させるようにしている。このような制御では、フォーカスレンズの駆動中には露出量が変わらない。したがって、撮像条件の変更による動画記録される又はスルー画表示される画像に与える影響を小さくすることができる。さらに、図8の例では、露出量の変更が開始されてから変更が完了するまでのフレーム数は2フレームであり、フォーカスレンズの駆動が開始されてから駆動が完了するまでのフレーム数は3フレームである。このようにしてフレーム毎のフォーカスレンズの駆動量を小さくすることでも、動画記録される又はスルー画表示される画像に与える影響を小さくすることができる。
ここで、図8においては露出量を−1段から+1段まで変更している。逆に、露出量を+1段から−1段まで変更するようにしてもよい。これは、図6の場合も同様である。なお、この場合であっても、撮像条件の変更順は、NR合成処理の枚数、露出量、フォーカスレンズ位置の順であることが望ましい。この順序にすることで、動画記録される又はスルー画表示される画像に与える影響を最も小さくできる。
ここで、図7の説明に戻る。合成用撮像制御の後のステップS62において、制御部112は、合成処理を行う。その後、処理はステップS63に移行する。動画撮影モードのときの合成処理も、静止画撮影モードのときと同様にして行われてよい。
ステップS63において、制御部112は、合成処理の結果として得られた画像データに基づく画像を表示部104に表示させる。その後、処理はステップS54に移行する。この表示も静止画撮影モードのときの合成処理の結果の表示と同様に行われてよい。
以上説明したように本実施形態においては、複数回の撮像を伴う合成処理は、対象物が止まっているとみなせるときに行われる。これによって合成が適切に行われるので、合成画像の画質は向上する。
また、本実施形態では、静止画撮影モードのシーン判別モードにおいて仕上がり優先の設定がなされているときには、対象物が止まっていると見なせる状態でない、すなわち合成処理が行われていないとユーザが静止画撮影要求をしたとしても静止画像が記録されない。このように仕上がり優先の設定では画像の仕上がりがユーザの指示よりも優先される。このことによっても画質の向上を図ることが可能である。
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。例えば、前述した実施形態では、HDR合成処理、NR合成処理、深度合成処理の3つが合成処理として例示されている。しかしながら、合成処理は、これらの3つの処理に限るものではない。すなわち、本実施形態の技術は、複数回の撮像動作を伴う各種の合成処理に対して適用され得る。
また、前述の実施形態では、合成用撮像制御の開始前だけ対象物が止まっているか否かの判定が行われる。実際には、合成用撮像制御の間にも対象物は動き得るので、合成用撮像制御の間にも対象物が止まっているか否かの判定が行われるようにしてもよい。この場合、対象物が止まっているとみなせないときには同じ条件での撮像をやり直すなどしてもよい。
また、前述の実施形態では、撮像装置は、デジタルカメラ等の画像の記録を目的とした撮像装置を例に挙げている。これに対し、本実施形態の技術は、各種の撮像装置に適用されるものであり、画像の記録を行わない撮像装置に対しても適用され得る。この点で、例えば内視鏡装置、顕微鏡装置、監視装置といった撮像装置に対しても本実施形態の技術は適用され得る。例えば、画質の向上によって視認性の向上も期待される。このため、画像を確認することが多いこれらの撮像装置に対しても本実施形態の技術は有用である。特に、観察対象物が様々な反射率や遠近関係を有するような場合の近接撮影や顕微鏡観察時に、ピントの差異、露出の差異、拡大の有無など状況に応じて、画像合成を行っての表示は差異や効果が出やすくなるので、本願の発明は効果を奏する状況が多い。
また、前述の各動作フローチャートの説明において、便宜上「まず」、「次に」等を用いて動作を説明しているが、この順で動作を実施することが必須であることを意味するものではない。
また、上述した実施形態による各処理は、コンピュータである制御部112に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記録媒体に格納して配布することができる。そして、制御部112は、この外部記憶装置の記録媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。