JP2018004579A - 湿潤粒子の特性算出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 湿潤粒子の特性を適切に求めることができる湿潤粒子の特性算出方法を提供すること。
【解決手段】 湿潤粒子130を,評価装置2により成膜する。具体的には,評価装置2の,外周面同士が対向して設けられた第1ロール50および第2ロール60の隙間GCに,湿潤粒子130を通すことで加圧してシート状に成膜する。そして,その成膜に用いた湿潤粒子130の特性として,せん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,少なくとも1つを求める。
【選択図】図2
【解決手段】 湿潤粒子130を,評価装置2により成膜する。具体的には,評価装置2の,外周面同士が対向して設けられた第1ロール50および第2ロール60の隙間GCに,湿潤粒子130を通すことで加圧してシート状に成膜する。そして,その成膜に用いた湿潤粒子130の特性として,せん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,少なくとも1つを求める。
【選択図】図2
Description
本発明は,湿潤粒子の特性算出方法に関する。
リチウムイオン二次電池などの電池に用いられる電極板は,集電箔上に電極合剤層を形成することで製造される。また,電極合剤層の形成には,電極合剤層を形成する材料である活物質等の粉末に,溶媒を含ませてなる湿潤粒子が用いられることがある。具体的には,電極合剤層を,湿潤粒子をロール対の間隙に通すことにより加圧し,シート状に成膜する方法により形成するような場合である。そして,このように湿潤粒子をシート状に成膜する場合においては,使用する湿潤粒子の特性を適切に評価できることが好ましい。
粉体の特性評価に係る先行技術として,例えば,特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には,粉体であるトナーの評価に,円錐ロータを用いる方法が記載されている。具体的に,特許文献1では,粉体を予め加圧して圧密状態とし,その圧密状態の粉体に円錐ロータを回転させつつ押し込んでいる。そして,押し込んだ円錐ロータに発生するトルクや荷重を測定することで,粉体の評価を行っている。
しかしながら,上記の従来技術においては,粉体の評価を,予め圧密状態として行っている。つまり,上記の従来技術に係る方法により求められる特性は,圧密状態となった後の粉体の特性である。このため,シート状に成膜する際に用いる湿潤粒子の特性として,上記の従来技術に準じた方法により求められた特性を参照することは,適切であるとは限らない。圧密状態とされた後の湿潤粒子の特性は,シート状に成膜する際に用いる湿潤粒子の特性と,必ずしも同じであるとは限らないからである。よって,成膜に用いる湿潤粒子の特性を適切に求めるためには,上記の従来技術のように圧密状態等とすることなく,湿潤粒子の特性を求めることができる方法をとる必要があった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,湿潤粒子の特性を適切に求めることができる湿潤粒子の特性算出方法を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の湿潤粒子の特性算出方法は,粉末に溶媒を混合してなる湿潤粒子の特性を算出する湿潤粒子の特性算出方法であって,湿潤粒子を,外周面同士が対向して設けられた第1ロールおよび第2ロールの間隙に通すことで加圧してシート状に成膜し,その成膜に用いた湿潤粒子の特性として,それぞれ次の式で表されるせん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,
τ={(TA/DA)+(TB/DB)}/(Y・Z)
γ=|VB−VA|/X
η=τ/γ
TA:第1ロールの回転トルク[N・m]
TB:第2ロールの回転トルク[N・m]
DA:第1ロールの半径[m]
DB:第2ロールの半径[m]
VA:第1ロールの周速[m/sec]
VB:第2ロールの周速[m/sec]
X:間隙の大きさ[m]
Y:間隙のうちの湿潤粒子が通過する範囲の,第1ロールの軸方向における長さ[m]
Z:第1ロールおよび第2ロールにより湿潤粒子に加圧力がかかる範囲の,第1ロールおよび第2ロールの対向位置での湿潤粒子の移動方向における長さ[m]
少なくとも1つを求めることを特徴とする湿潤粒子の特性算出方法である。
τ={(TA/DA)+(TB/DB)}/(Y・Z)
γ=|VB−VA|/X
η=τ/γ
TA:第1ロールの回転トルク[N・m]
TB:第2ロールの回転トルク[N・m]
DA:第1ロールの半径[m]
DB:第2ロールの半径[m]
VA:第1ロールの周速[m/sec]
VB:第2ロールの周速[m/sec]
X:間隙の大きさ[m]
Y:間隙のうちの湿潤粒子が通過する範囲の,第1ロールの軸方向における長さ[m]
Z:第1ロールおよび第2ロールにより湿潤粒子に加圧力がかかる範囲の,第1ロールおよび第2ロールの対向位置での湿潤粒子の移動方向における長さ[m]
少なくとも1つを求めることを特徴とする湿潤粒子の特性算出方法である。
本発明に係る湿潤粒子の特性算出方法では,湿潤粒子を,予め圧密状態等とすることなく,粉末の状態からロール対によってシート状に成膜する。そして,その成膜に用いる際の湿潤粒子の特性である,せん断応力τ,せん断速度γ,粘性係数ηのうち,少なくとも1つを求める。これにより,ロール対の加圧によってシート状に成膜する際に用いられる湿潤粒子の特性を適切に求めることができる。
本発明によれば,湿潤粒子の特性を適切に求めることができる湿潤粒子の特性算出方法が提供されている。
以下,本発明を具体化した最良の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず,本形態の湿潤粒子の特性算出方法に係る湿潤粒子を用いて電極板を製造する方法について説明する。ここで製造される電極板は,例えば,リチウムイオン二次電池などの二次電池に使用される正極板や負極板である。
図1に,電極板製造装置1を示す。電極板製造装置1は,図1に示すように,第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30を有している。図1において,上下方向が鉛直方向であり,重力は下向きに作用している。電極板製造装置1は,湿潤粒子130により,集電箔110の第1面111上に電極合剤層120を形成することで,電極板100を製造することのできる装置である。
湿潤粒子130には,電極合剤層120を形成するための成分である活物質,結着材等が含まれている。また,湿潤粒子130には,活物質等の固形成分に加え,溶媒成分が含まれている。本形態の湿潤粒子130は,活物質等の固形成分の粉末を溶媒成分とともに撹拌することで製造された,造粒粒子の粉末である。例えば,リチウムイオン二次電池の負極板を製造する場合には,活物質として黒鉛を,結着材としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を,溶媒として水を,それぞれ用いることができる。また,例えば,リチウムイオン二次電池の負極板を製造する場合には,集電箔110として銅箔を用いることができる。
本形態の電極板製造装置1において,第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30はいずれも,軸方向を水平にした状態で配置されている。第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30は,例えば,金属などの材質よりなるものである。また,第1ロール10および第2ロール20は,それぞれの外周面11,21が第1対向位置Aにおいて互いに対向した状態で,平行に配置されている。また,第3ロール30は,外周面31が第2ロール20の外周面21と第2対向位置Bにおいて対向した状態で,第2ロール20と平行に配置されている。
第1ロール10および第2ロール20は,軸間距離が一定の距離となるように保持されている。そして,第1対向位置Aにおける第1ロール10の外周面11と第2ロール20の外周面21との間には,隙間GAが設けられている。また,第3ロール30は,第2ロール20との軸間距離が一定の距離となるように保持されている。そして,第2対向位置Bにおける第2ロール20の外周面21と第3ロール30の外周面31との間には,隙間GBが設けられている。
第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30は電極板100を製造する際にはそれぞれ回転するものである。図1には,第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30の回転方向をそれぞれ矢印により示している。つまり,図1において,第1ロール10および第3ロール30の回転方向は時計回りであり,第2ロール20の回転方向は反時計回りである。
また,第1ロール10および第2ロール20の回転方向は,第1対向位置Aにおける外周面11,21の移動方向がともに,同じとなる向きである。具体的には,第1ロール10および第2ロール20の回転方向は,第1対向位置Aにおける外周面11,21の移動方向がともに,鉛直方向の下向きとなる向きである。また,第3ロール30の回転方向は,第2対向位置Bにおける外周面31の移動方向が,第2ロール20の外周面21の移動方向と同じとなる向きである。また,第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30は,この順で,回転の周速が速いものである。
第1対向位置Aの上方には,仕切り部40が設けられている。仕切り部40は,第1ロール10および第2ロール20の第1対向位置Aへ湿潤粒子130を供給するための囲いである。そして,仕切り部40の内側には,湿潤粒子130が,圧密状態等とされることなく,ゆるみ状態で溜まっている。湿潤粒子130は,第1ロール10および第2ロール20の回転により,仕切り部40の内側から第1対向位置Aへと供給される。
また,第3ロール30の外周面31には,図1に示すように,集電箔110が巻き掛けられている。集電箔110は,第2面112側を第3ロール30の外周面31に向けた状態で,第3ロール30の第2対向位置Bに巻き掛けられている。このため,集電箔110は,第3ロール30の回転により搬送される。
また,集電箔110の第1面111は,第2対向位置Bにおいて,第2ロール20の外周面21に対向している。なお,第3ロール30は,前述したように,第2ロール20よりも速い周速で回転するものである。このため,第2対向位置Bにおける集電箔110の第1面111の移動速度は,第2対向位置Bにおける第2ロール20の外周面21の移動速度よりも速いものである。
また,集電箔110は,図1における第3ロール30の右下から電極板製造装置1内に供給され,第2対向位置Bを通過後,第3ロール30の右上に向けて排出されるように搬送されている。集電箔110は,電極板製造装置1に供給されてくるときには,その第1面111に,まだ何も形成されていない状態である。そして,電極板製造装置1は,第2対向位置Bにおいて集電箔110の第1面111に電極合剤層120を形成することにより,電極板100を製造することのできるものである。
そして,上記の電極板製造装置1を用いて電極板100を製造する際には,仕切り部40の内部に供給された湿潤粒子130は,その下方のものより順に,第1ロール10および第2ロール20の回転によって第1対向位置Aへと送られる。
第1対向位置Aに到達した湿潤粒子130は,第1ロール10および第2ロール20の回転によって隙間GAを通過しつつ,その隙間GAの通過時に第1ロール10の外周面11と第2ロール20の外周面21との間で加圧される。この加圧により,湿潤粒子130は圧延されつつ,湿潤粒子130中の各粒子同士が結着材の作用によって結着される。これにより,第1対向位置Aを通過した湿潤粒子130はシート状に成形され,成膜シート131とされる。
また,成膜シート131は,第1ロール10の外周面11および第2ロール20の外周面21のうち,第1対向位置Aにおける移動速度が速い方の面に付着する。そして,前述したように,電極板製造装置1においては,第2ロール20の方が,第1ロール10よりも周速の速いものである。つまり,第1対向位置Aで形成された成膜シート131は,第1対向位置Aの通過後,第2ロール20の外周面21に付着する。第2ロール20の外周面21に付着した成膜シート131は,第2ロール20の回転によって搬送され,第2対向位置Bへと到達する。
また,第2対向位置Bには,集電箔110が通されている。このため,第2ロール20の回転により第2対向位置Bへと到達した成膜シート131は,集電箔110とともに,第2対向位置Bの隙間GBを通過する。その隙間GBの通過の際に,集電箔110および成膜シート131は,その厚み方向に第2ロール20および第3ロール30によって加圧される。
第2対向位置Bにおいても,加圧された成膜シート131は,第2ロール20の外周面21および集電箔110の第1面111のうち,第2対向位置Bにおける移動速度が速い方に付着する。そして,前述したように,電極板製造装置1における第3ロール30は,第2対向位置Bにおける集電箔110の第1面111の移動速度が,第2ロール20の周速よりも速くなる周速で回転している。このため,第2対向位置Bを通過した成膜シート131は,第2ロール20の外周面21上から集電箔110の第1面111上に転写される。
よって,図1に示すように,第2対向位置Bを通過後の集電箔110の第1面111には,電極合剤層120が形成されている。そして,電極板製造装置1では,第1ロール10,第2ロール20,第3ロール30を連続して回転させることにより,電極板100の製造が連続して行われる。従って,集電箔110の搬送方向における長さの長い電極板100が製造される。なお,集電箔110の第2面112にも電極合剤層120を形成する場合には,上記の第1面111に電極合剤層120を形成する場合と同様の方法をとることができる。
ここで,上記のような方法により電極板を製造する場合,湿潤粒子の特性を正確に評価できることが好ましい。湿潤粒子の特性は,集電箔上に形成される電極合剤層の品質に影響するからである。また,電極合剤層の品質に影響する湿潤粒子の特性は,本形態においては,湿潤粒子のせん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,少なくとも1つである。
そして,本形態では,湿潤粒子の特性を正確に求めるため,図2および図3に示す評価装置2を用いる。図2は評価装置2の正面図であり,図3は評価装置2の平面図である。図2に示すように,評価装置2は,対向して設けられた第1ロール50,第2ロール60よりなるロール対を有している。なお,評価装置2は,上記の電極板製造装置1の第1対向位置Aの付近の構成を模したものである。このため,評価装置2の第1ロール50および第2ロール60はそれぞれ,電極板製造装置1の第1ロール10および第2ロール20に相当する構成である。
具体的に,第1ロール50および第2ロール60は,それぞれの外周面51,61が対向位置Cにおいて互いに対向した状態で,平行に配置されている。図2には,第1ロール50の半径DA[m]と,第2ロール60の半径DB[m]とを示している。そして,対向位置Cにおける第1ロール50の外周面51と第2ロール60の外周面61との間には,隙間GCが設けられている。図3には,隙間GCの大きさX[m]を示している。
また,第1ロール50,第2ロール60の図2における回転方向はそれぞれ,時計回り,反時計回りである。つまり,第1ロール50および第2ロール60の回転方向は,対向位置Cにおける外周面51,61の移動方向がともに,鉛直方向の下向きとなる向きである。
また,図2には,第1ロール50の周速VA[m/sec]と,第2ロール60の周速VB[m/sec]とを示している。評価装置2において,第1ロール50の周速VA[m/sec]と,第2ロール60の周速VB[m/sec]とはそれぞれ,任意に変更することができる。ただし,第2ロール60の周速VBは,第1ロール50の周速VAよりも速いものである。
また,図2に示すように,対向位置Cの上方には,仕切り部70が設けられている。仕切り部70は,第1ロール50および第2ロール60の対向位置Cへ湿潤粒子130を供給するための囲いである。そして,仕切り部70の内側には,湿潤粒子130が,圧密状態等とされることなく,ゆるみ状態で溜まっている。湿潤粒子130は,第1ロール50および第2ロール60の回転により,仕切り部70の内側から対向位置Cへと供給される。図3には,第1ロール50の軸方向における仕切り部70の内側の長さY[m]を示している。長さYは,隙間GCのうちの湿潤粒子130が通過する範囲の,第1ロール50の軸方向における長さでもある。
また,図2には,加圧長Zを示している。加圧長Zは,第1ロール50および第2ロール60により湿潤粒子130に加圧力がかけられる範囲の,対向位置Cにおける湿潤粒子130の移動方向における長さである。対向位置Cにおける湿潤粒子130の移動方向は,すなわち,対向位置Cにおける第1ロール50の外周面51の接線方向,および,対向位置Cにおける第2ロール60の外周面61の接線方向と同じ方向である。そして,湿潤粒子130は,加圧力がかけられる加圧長Zの範囲を通過することで,ゆるみ状態である粒子の状態から,粒子同士が付着し合ったシート状へと成膜される。
また,図3に示すように,評価装置2は,第1ロール50に設けられた第1トルク計55と,第2ロール60に設けられた第2トルク計65とを有している。第1トルク計55は,第1ロール50の回転トルクTA[N・m]を計測することができるものである。第2トルク計65は,第2ロール60の回転トルクTB[N・m]を計測することができるものである。
また,本形態の評価装置2は,第1ロール50と第2ロール60との軸間距離を調整することができるように構成されている。つまり,評価装置2においては,対向位置Cの隙間GCの大きさXを任意に調整することもできる。なお,隙間GCの大きさXは,対向位置Cに湿潤粒子130が通過していない非成膜時と,対向位置Cに湿潤粒子130が通過している成膜中とでは,異なる値となる。対向位置Cにて湿潤粒子130を加圧した第1ロール50および第2ロール60は,その加圧に係る反力を,互いに遠ざかる向きに受けるからである。また,評価装置2は,隙間GCの大きさXの実測値を測定できるセンサーを有している。
そして,このような構成の評価装置2を用いて湿潤粒子130を成膜し,次の式(1)により,成膜に用いた湿潤粒子130の特性の1つであるせん断応力τ[N/m2]を求めることができる。
τ={(TA/DA)+(TB/DB)}/(Y・Z) (1)
TA:第1ロール50の回転トルク[N・m]
TB:第2ロール60の回転トルク[N・m]
DA:第1ロール50の半径[m]
DB:第2ロール60の半径[m]
Y:隙間GCのうちの湿潤粒子130が通過する範囲の,第1ロール50の軸方向における長さ[m]
Z:第1ロール50および第2ロール60により湿潤粒子130に加圧力がかかる範囲の,対向位置Cでの湿潤粒子130の移動方向における長さ[m]
τ={(TA/DA)+(TB/DB)}/(Y・Z) (1)
TA:第1ロール50の回転トルク[N・m]
TB:第2ロール60の回転トルク[N・m]
DA:第1ロール50の半径[m]
DB:第2ロール60の半径[m]
Y:隙間GCのうちの湿潤粒子130が通過する範囲の,第1ロール50の軸方向における長さ[m]
Z:第1ロール50および第2ロール60により湿潤粒子130に加圧力がかかる範囲の,対向位置Cでの湿潤粒子130の移動方向における長さ[m]
また,評価装置2を用いて湿潤粒子130を成膜し,次の式(2)により,成膜に用いた湿潤粒子130の特性の1つであるせん断速度γ[sec−1]を求めることができる。なお,式(2)における隙間GCの大きさXは,湿潤粒子130の成膜中における実測値である。
γ=|VB−VA|/X (2)
VA:第1ロール50の周速[m/sec]
VB:第2ロール60の周速[m/sec]
X:隙間GCの大きさ[m]
γ=|VB−VA|/X (2)
VA:第1ロール50の周速[m/sec]
VB:第2ロール60の周速[m/sec]
X:隙間GCの大きさ[m]
また,上記の式(1)で求まるせん断応力τ[N/m2]と,上記の式(2)で求まるせん断速度γ[sec−1]とにより表される次の式(3)により,成膜に用いた湿潤粒子130の特性の1つである粘性係数η[Pa・sec]を求めることができる。
η=τ/γ (3)
η=τ/γ (3)
そして,本形態では,湿潤粒子130の特性であるせん断応力τ,せん断速度γ,粘性係数ηをいずれも,実際の電極板100の製造に用いる電極板製造装置1のうち,湿潤粒子130を成膜する第1対向位置Aの周辺の構成を模した評価装置2を用いて求めている。さらに,評価装置2により成膜を行うのは,電極板100の電極合剤層120の形成に使用される湿潤粒子130そのものであり,圧密状態等にはされていない。このため,本形態では,せん断応力τ,せん断速度γ,粘性係数ηをいずれも,電極板100の製造時に使用する湿潤粒子130の特性として,適切に求めることができる。
次に,実施例について説明する。まず,実施例1では,上記で説明した評価装置により湿潤粒子を成膜することで,湿潤粒子の溶媒量による,湿潤粒子の粘性係数への影響について調査した。具体的に,実施例1では,含まれる溶媒量が異なる複数種の湿潤粒子についてそれぞれ,せん断速度が一定になるように評価装置のロール対の周速を調整しつつ成膜を行った。そして,その成膜時における粘性係数を,溶媒量の異なる各湿潤粒子ごとに求めた。図4に,実施例1の調査結果を示している。図4に示すように,湿潤粒子の粘性係数は,湿潤粒子に含まれる溶媒量が多くなるほど,低くなる傾向にあることがわかる。すなわち,実施例1により,湿潤粒子の溶媒量による,湿潤粒子の粘性係数への影響の傾向や程度を把握することができる。
また,実施例2では,湿潤粒子に用いる活物質の吸油量による,湿潤粒子の粘性係数への影響について調査した。具体的に,実施例2では,吸油量の異なる活物質を用いて形成した複数種の湿潤粒子についてそれぞれ,せん断速度が一定になるように評価装置のロール対の周速を調整しつつ成膜を行った。そして,その成膜時における粘性係数を,吸油量の異なる活物質を用いた各湿潤粒子ごとに求めた。図5に,実施例2の調査結果を示している。図5に示すように,湿潤粒子の粘性係数は,湿潤粒子に使用した活物質の吸油量が多いほど,高くなる傾向にあることがわかる。すなわち,実施例2により,湿潤粒子に用いる活物質の吸油量による,湿潤粒子の粘性係数への影響の傾向や程度を把握することができる。
また,実施例3では,湿潤粒子の溶媒量およびせん断速度による,湿潤粒子の粘性係数への影響について調査した。具体的に,実施例3では,湿潤粒子の溶媒量およびせん断速度を変化させつつ評価装置による成膜を行った。そして,その成膜時における粘性係数を,湿潤粒子の溶媒量およびせん断速度ごとに求めた。図6に実施例3の調査結果を示している。図6に示すように,湿潤粒子の粘性係数は,湿潤粒子における溶媒量が一定であっても,成膜時のせん断速度が速いほど,低くなる傾向にあることがわかる。また,湿潤粒子の粘性係数は,成膜時のせん断速度が一定であっても,湿潤粒子における溶媒量が多いほど,低くなる傾向にあることがわかる。そして,図6から,湿潤粒子の溶媒量およびせん断速度による,湿潤粒子の粘性係数への影響の傾向や程度を把握することができる。また,実施例3より,溶媒量が少ない湿潤粒子ほど粘性係数が高くなっていることから,溶媒量が少ない湿潤粒子を用いたときほど,成膜時における加工抵抗が高くなることがわかる。すなわち,実施例3により,湿潤粒子の成膜時における加工抵抗に関する指標を取得することができる。
また,実施例に示すように,評価装置を用いた成膜を行い,せん断応力τ,せん断速度γ,粘性係数ηのうちの少なくとも1つの特性を求めることで,湿潤粒子における溶媒量等,成膜に影響を与える因子を,電極板を製造せずとも把握することができる。また,成膜に影響を与える因子による影響の傾向や程度を,電極板を製造せずとも把握することができる。
また,図7には,上記で説明した電極板製造装置を用い,湿潤粒子の粘性係数による,電極合剤層の密度への影響について調査した結果を示している。具体的には,粘性係数の異なる複数種の湿潤粒子についてそれぞれ,せん断速度が一定になるように第1対向位置に係るロール対の周速を調整しつつ成膜した。さらに,成膜により形成された成膜シートを第2対向位置において集電箔に転写し,電極板を作製した。そして,図7には,作成した電極板の電極合剤層の密度を,粘性係数の異なる各湿潤粒子ごとに求めた結果を示している。図7に示すように,電極合剤層の密度は,湿潤粒子の粘性係数が高いほど,高くなる傾向にあることがわかる。すなわち,電極板製造装置を用いた本調査により,湿潤粒子の粘性係数による,電極合剤層の密度への影響の傾向や程度を把握することができることがわかる。すなわち,湿潤粒子の特性の一つである粘性係数は,その湿潤粒子を用いて形成される電極合剤層の品質である密度と相関があることがわかる。
そして,湿潤粒子の粘性係数は,特に,成膜によって形成される電極合剤層の品質に影響する。このため,粘性係数を求めることにより,電極板を製造せずに,湿潤粒子の段階で,その湿潤粒子によって形成される電極合剤層の評価を行うことも可能である。
なお,加圧長Xについては,実際の長さを測定することが困難な値である。このため,上記の実施例においては,加圧長Xの値として,予め定めた設定値を用いている。この加圧長Xの設定値は,例えば,上記の評価装置および湿潤粒子のモデルを用いたシミュレーションによって求めることができる。
また,粉体の特性を求める方法としては,パウダーレオメーターが存在する。この装置は,容器内に収容した粉体を,回転翼の回転によって撹拌しつつ,その回転する回転翼の回転トルク等を測定することで,粉体の特性を求めることができるものである。しかし,湿潤粒子は,回転翼によって撹拌された場合,練りが生じ,元の粒子の状態ではなくなってしまう(例えば,団子状)。つまり,パウダーレオメーターによっては,元々の粒子の状態の湿潤粒子についての特性を評価することが困難である。
また,粉体の特性を求める方法としては,その他にも,粉体層せん断力測定装置が挙げられる。この装置は,予め圧密状態のペレット状にした粉体について,せん断応力をかけつつ変位を測定し,破壊が生じるときの応力等を測定するものである。しかし,予め圧密状態にしているため,圧密状態とする前の湿潤粒子の特性が適切に評価できるわけではない。また,圧密状態のペレット状にした粉体の破壊によって粉体の特性を測定するものであるため,成膜に係る指標(例えば,展延性等)の評価には用いることができない。そして,これらパウダーレオメーターや粉体層せん断力測定装置に対して,本形態の方法では,成膜に用いられる際の湿潤粒子の特性を,適切に求めることができる。
以上詳細に説明したように,本実施の形態では,湿潤粒子130を,評価装置2により成膜する。具体的には,評価装置2の,外周面同士が対向して設けられた第1ロール50および第2ロール60の隙間GCに,湿潤粒子130を通すことで加圧してシート状に成膜する。そして,その成膜に用いた湿潤粒子130の特性として,それぞれ上記の式(1),(2),(3)で表されるせん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,少なくとも1つを求める。求まるせん断応力τ,せん断速度γ,粘性係数ηはいずれも,加圧によってシート状に成膜する際に用いられる湿潤粒子130の特性である。よって,湿潤粒子の特性を適切に求めることができる湿潤粒子の特性算出方法が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
2 評価装置
50 第1ロール
60 第2ロール
70 仕切り部
130 湿潤粒子
50 第1ロール
60 第2ロール
70 仕切り部
130 湿潤粒子
Claims (1)
- 粉末に溶媒を混合してなる湿潤粒子の特性を算出する湿潤粒子の特性算出方法において,
前記湿潤粒子を,外周面同士が対向して設けられた第1ロールおよび第2ロールの間隙に通すことで加圧してシート状に成膜し,
その成膜に用いた前記湿潤粒子の特性として,それぞれ次の式で表されるせん断応力τ[N/m2],せん断速度γ[sec−1],粘性係数η[Pa・sec]のうち,
τ={(TA/DA)+(TB/DB)}/(Y・Z)
γ=|VB−VA|/X
η=τ/γ
TA:前記第1ロールの回転トルク[N・m]
TB:前記第2ロールの回転トルク[N・m]
DA:前記第1ロールの半径[m]
DB:前記第2ロールの半径[m]
VA:前記第1ロールの周速[m/sec]
VB:前記第2ロールの周速[m/sec]
X:前記間隙の大きさ[m]
Y:前記間隙のうちの前記湿潤粒子が通過する範囲の,前記第1ロールの軸方向における長さ[m]
Z:前記第1ロールおよび前記第2ロールにより前記湿潤粒子に加圧力がかかる範囲の,前記第1ロールおよび前記第2ロールの対向位置での前記湿潤粒子の移動方向における長さ[m]
少なくとも1つを求めることを特徴とする湿潤粒子の特性算出方法。
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