<第1実施形態>
以下、図1から図3を参照しながら本発明の第1実施形態に係る回転防止装置100について説明する。
回転防止装置100は、流体圧アクチュエータのロッドの先端に取り付けられた負荷部材の回転を防止するものである。回転防止装置100は、例えば、流体圧アクチュエータとしての水圧シリンダ10を用いた食品加工装置50等に適用され、水圧シリンダ10のロッド12の先端に取り付けられた負荷部材の回転を防止するものである。なお、以下では、流体として、水を例に説明するが、使用する流体は、その他の液体、あるいは空気や窒素などの気体であってもよい。
はじめに、食品加工装置50について説明する。
食品加工装置50は、図1に示すように、図示しない圧力源から供給される水圧で作動する水圧シリンダ10と、水圧シリンダ10のロッド12の先端に取り付けられた流体圧モータとしての水圧モータ20と、水圧モータ20の回転軸21に取り付けられ水圧モータ20によって回転駆動される回転体としての円板状のカッター30と、を備える。食品加工装置50では、水圧モータ20とカッター30とが負荷部材に相当する。
水圧シリンダ10は、シリンダチューブ11の基端部を図示しない筐体に固定することによって固定される。水圧シリンダ10は、シリンダチューブ11内に摺動自在に挿入されるロッド12と、ロッド12の基端側に取り付けられるピストン13を備える。シリンダチューブ11の内部は、ピストン13によってピストン側室14とロッド側室15とに区画される。ピストン側室14とロッド側室15に対して作動水が給排されることによって、水圧シリンダ10は伸縮する。ロッド12は、断面円形の棒状の部材によって形成され、ピストン13は円柱状の部材によって形成される。
水圧モータ20の回転軸21は、回転軸21がロッド12の軸に対して直交するように取り付けられる。図1では、水圧モータ20は、ロッド12の上下方向の移動に伴って、上下方向に移動する。
水圧モータ20に取り付けられたカッター30は、ワーク(食品)を切断するものである。カッター30は、水圧モータ20とともに図1における上下方向に移動する。
食品加工装置50では、上述のようにロッド12が断面円形の棒状に形成され、かつ、ピストン13は円柱状の部材によって形成されているため、水圧シリンダ10が駆動した際にロッド12がシリンダチューブ11に対して相対的に(図1の矢印Rに示す方向)に回転してしまうことがある。このようにロッド12が回転してしまうと、水圧モータ20及びカッター30もロッド12を中心として回転してしまう。回転防止装置100は、このような水圧モータ20及びカッター30の回転を防止するためのものである。以下に、回転防止装置100について説明する。
回転防止装置100は、カッター30に向かって水を噴出する第1ノズルとしてのノズル1a及び第2ノズルとしての1bと、ノズル1a、1bへ水を吐出するポンプ3と、ノズル1a、1bへの水の供給を制御する制御弁2と、ノズル1a、1bそれぞれの背圧を検出する圧力検出装置としての圧力センサ4a,4bと、圧力センサ4a,4bによって検出された背圧に基づいて制御弁2を制御するコントローラ40と、を備える。
ノズル1a,1bは、カッター30を挟んで対向する位置に、カッター30の側面に対して等しい間隔になるように設けられる。ノズル1a,1bは、好ましくは、ロッド12の軸に直交し、水圧モータ20の回転軸21の軸心を含む平面上で、カッター30の外縁近傍に取り付けられる。ノズル1a,1bは、図示しない移動装置によって水圧モータ20及びカッター30の移動に追従してロッド12の軸方向(図1における上下方向)に移動する。なお、水圧シリンダ10のロッド12の移動量が小さく、カッター30が移動してもノズル1a,1bから噴出された水をカッター30の側面に当てることができれば、移動装置を備えていなくてもよい。
ノズル1a,1bは、カッター30の側面を洗浄するための水を噴出する。ノズル1aは、カッター30を回転方向の一方側(図2におけるD方向)に向かって回転させるようにカッター30に向かって水を噴出し、ノズル1bは、カッター30を回転方向の他方側(図2におけるC方向)に向かって回転させるようにカッター30に向かって水を噴出する。具体的には、ノズル1aは、カッター30の一方側側面に対して垂直方向(図2におけるA方向)から水を噴出し、ノズル1bは、カッター30の他方側側面に対して垂直方向(図2におけるB方向)から水を噴出する。
制御弁2は、中立位置に弁体を保持するばね2cと、ばね2cの付勢力に抗して弁体を移動する付勢力を付与するソレノイド2a,2bと、を備える。制御弁2は、ソレノイド2a,2bに印加する電流に応じて弁体の位置を制御できる比例制御弁である。制御弁2は、中立位置では、ノズル1a,1bに対して同量の水を供給する。制御弁2は、ソレノイド2aに電流が印加されると、ノズル1aに供給する水の流量を増加させると共に、ノズル1bに供給する水の流量を減少させる。これに対して、制御弁2は、ソレノイド2bに電流が印加されると、ノズル1aに供給する水の流量を減少させると共に、ノズル1bに供給する水の流量を増加させる。
このように構成された回転防止装置100の動作について説明する。
ポンプ3から吐出された水は、制御弁2を通じてノズル1a、1bにそれぞれ供給され、ノズル1a,1bに供給された水は、それぞれカッター30の側面に向かって噴出される。これにより、カッター30には、ノズル1a、1bから噴出された水の圧力に応じた力が、図1及び図2の矢印A,Bに示す方向に作用する。以下では、ノズル1aから噴出された水の圧力に応じた力を「ノズル1aの押圧力」といい、ノズル1bから噴出された水の圧力に応じた力を「ノズル1bの押圧力」という。
コントローラ40から制御弁2にソレノイド2a,2bに電流が印加されていない状態、つまり、中立状態では、ノズル1a,1bには同量の水が供給されるため、ノズル1a、1bの押圧力は等しい。このため、カッター30はその位置に保持される。
この状態で、水圧シリンダ10が作動したときに、ロッド12を回転させる力、つまり、水圧モータ20及びカッター30を回転させる力が働くことがある。例えば、水圧モータ20及びカッター30に水圧モータ20及びカッター30を図2のC方向に回転させる力が働いた場合について説明する。
カッター30が図2のC方向に回転すると、カッター30とノズル1aの間隔が狭くなり、カッター30とノズル1bの間隔が広くなる。これにより、ノズル1aの背圧が上昇し、ノズル1bの背圧が低下する。ノズル1a,1bの背圧は圧力センサ4a,4bによってそれぞれ検出され、コントローラ40に送信される。
コントローラ40は、圧力センサ4a,4bによって検出されたそれぞれの背圧の差ΔP(以下では、「差圧ΔP」という。)を演算する。コントローラ40は、図3に示すように、差圧ΔPに応じた電流Iを制御弁2のソレノイド2a及びソレノイド2bのいずれかに印加する。図3における横軸は差圧ΔPであり、縦軸はソレノイド2aまたはソレノイド2bに印加する電流Iである。なお、横軸の正側は、ノズル1aの背圧がノズル1bの背圧よりも高い領域を示し、横軸の負側は、ノズル1bの背圧がノズル1aの背圧よりも高い領域を示している。また、縦軸の正側は、ソレノイド2aに印加される電流値を示し、縦軸の負側は、ソレノイド2bに印加される電流値を示している。
カッター30がC方向への回転が大きくなると、その分、カッター30とノズル1aの間隔が狭くなるとともに、カッター30とノズル1bの間隔が広くなる。これにより、ノズル1aの背圧がさらに上昇し、ノズル1bのさらに背圧が低下するため、差圧ΔPも大きくなる。したがって、図3に示すように、コントローラ40は、ソレノイド2aに印加する電流を増加させる。これにより、制御弁2からノズル1aに供給される水の流量が増加すると共に、制御弁2からノズル1bに供給される水の流量が減少する。よって、ノズル1aによるD方向(C方向とは逆方向)への押圧力が大きくなると共に、ノズル1bによるC方向への押圧力が小さくなるので、カッター30はD方向へ回転する。
このようにしてカッター30がC方向へ回転すると、カッター30とノズル1aの間隔が広くなるとともに、カッター30とノズル1bの間隔が狭くなるため、差圧ΔPが小さくなる。このため、コントローラ40からソレノイド2aに印加される電流Iも小さくなる。そして、カッター30が所定の位置である中立位置に戻ると、カッター30とノズル1aの間隔とカッター30とノズル1bの間隔が等しくなるため、ノズル1a,1bの背圧は等しくなり、差圧ΔPも0になる。これにより、コントローラ40からソレノイド2aに電流が印加されなくなり、制御弁2は、ばね2cの付勢力によって中立位置に復帰する。
なお、カッター30がD方向に回転した場合であっても、同様にカッター30を中立位置に戻すことができる。
このように、回転防止装置100は、ロッド12を中心としてカッター30を回転させる力が働いた場合でも、圧力センサ4a,4bで検出された背圧の差に基づいてノズル1a,1bから噴出される水の流量を制御弁2によって制御することにより、カッター30を中立位置に保持することができる。つまり、回転防止装置100は、圧力センサ4a,4bで検出された背圧の差に基づいてノズル1a,1bから噴出される水の流量を制御することにより、カッター30の回転を防止することができる。
回転防止装置100では、ロッド12の移動によってカッター30が移動しても、ノズル1a,1bが移動装置によってカッター30と同じ速度で同じ方向に追従するように移動する。これにより、ノズル1a,1bから噴出された水をカッター30に確実に当てることができる。
ノズル1a、1bからカッター30に向けて水を噴出させていたが、これに限らず、ノズル1a、1bから水圧モータ20の本体部や回転軸21の側面などに向けて水を噴出することで、回転を防止する構成としてもよい。
また、図4に示すように、カッター30の位置を検出する位置検出装置としての変位計60a、60bを設け、変位計60a、60bによって検出されたカッター30の変位量に基づいて制御弁2を制御してもよい。この場合には、差圧ΔPに加えて、カッター30の変位量によっても制御を行うことができるため、制御の精度が向上する。なお、変位計60a、60bは、レーザー変位計などを採用することができる。また、変位計に限らず、カッター30の位置や変位を検出できるものであればどのようなものであってもよい。
また、変位計60a、60bによって水圧モータ20の位置を検出してもよい。さらに、圧力センサ4a,4bを設けずに、変位計60a、60bによって検出された変位量のみに基づいて制御弁2を制御してもよい。
以上の第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
回転防止装置100は、ノズル1a,1bから噴出される水の流量を制御することによって、ロッド12を中心としてカッター30を回転させる力が発生しても、カッター30の位置を保持することができる。これにより、水圧シリンダ10のロッド12の先端に取り付けられた水圧モータ20及びカッター30の回転を防止できる。
また、ノズル1a,1bがカッター30を挟んで設けられることにより、カッター30の回転を防止しつつ、カッター30の両側面を洗浄することができる。
さらに、水圧モータ20及びカッター30の移動に追従してノズル1a,1bを移動させる移動装置を備えることによって、ノズル1a,1bからカッター30に向かって確実に水を噴出することができる。これにより、確実にカッター30及び水圧モータ20の回転を防止できる。
<第2実施形態>
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る回転防止装置200について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の回転防止装置100と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、一対のノズル1a,1bは、カッター30を挟んで対向する位置に設けられているのに対し、第2実施形態では、一対のノズル61a,61bが、カッター30の同一側面側に設けられる点で、上記第1実施形態と相違する。以下に、具体的に説明する。
図5に示すように、回転防止装置200は、カッター30に向かって水を噴出する少なくとも第1ノズルとしてのノズル61a及び第2ノズルとしての61bを備える。ノズル61a,61bは、カッター30の同一側面側であって水圧モータ20の回転軸21を挟んで対称となる位置に設けられる。ノズル61a,61bは、カッター30の側面に対して等しい間隔になるように設けられる。ノズル61a,61bは、好ましくは、ロッド12の軸に対して直交し水圧モータ20の回転軸21の軸心を含む平面上で、かつ、カッター30の外縁近傍に設けられる。ノズル61a,61bは、図示しない移動装置によってカッター30の移動に追従してロッド12の軸方向(図1における上下方向)に移動する。
ノズル61aは、カッター30を回転方向の一方側(図5におけるD方向)に向かって回転させるようにカッター30に向かって水を噴出し、ノズル61bは、カッター30を回転方向の他方側(図5におけるC方向)に向かって回転させるようにカッター30に向かって水を噴出する。具体的には、ノズル61aは、カッター30の側面に対して垂直方向(図5におけるE方向)から水を噴出し、ノズル61bは、カッター30の側面に対して垂直方向(図5におけるF方向)から水を噴出する。
ノズル61a,61bに供給する水の流量は、第1実施形態と同様に、制御弁2によって制御される。制御弁2は、圧力センサ4a,4aによって検出されたノズル61a,61bそれぞれの背圧に基づいて、ノズル61a,61bに供給する水の流量を制御する。
このように構成された回転防止装置200は、回転防止装置100と同様に機能するので、説明を省略する。
以上のように構成された第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
回転防止装置200では、ノズル61a,61bは、カッター30の同一側面側であって水圧モータ20の回転軸21を挟んで対称となる位置に設けられる。これにより、ロッド12を中心としてカッター30を回転させる力が発生しても、カッター30の位置を保持することができる。したがって、水圧シリンダ10のロッド12の先端に取り付けられた水圧モータ20及びカッター30の回転を防止できる。また、ノズル61a,61bに係る構成をカッター30の一側面側に集約できるので、装置をコンパクト化することができる。
なお、図6に示すように、カッター30の他方の側面側にも、水圧モータ20の回転軸21を挟んで対称となる位置に一対のノズル61c,61dを設けてもよい。さらに好ましくは、ノズル61aとノズル61c、及びノズル61bとノズル61dがそれぞれカッター30を挟んで対向する位置に設けられる。この場合には、ノズル61c,61dに供給する水の流量は、ノズル61a,61bと同様に制御弁62によって制御される。制御弁62は、制御弁2と同様に、圧力センサ4c,4dによって検出されたノズル61c、61dそれぞれの背圧に基づいて、ソレノイド62a,62bに印加する電流を制御することによって、ノズル61c,61dに供給する水の流量を制御する。なお、制御弁62は、制御弁2と同じ構成ものであるので、説明を省略する。この変形例では、ノズル61a,61dが第1ノズルに相当し、ノズル61b,61cが第2ノズルに相当する。
さらに、図7に示すように、制御弁62を設けずに、ノズル61c,61dから常に同じ流量の水をカッター30に向けて噴出するように構成してもよい。
これらの構成によれば、ノズル61a,61bからカッター30の回転を防止する押圧力に加えて、ノズル61c,61dからカッター30の回転を防止する押圧力をカッター30に付与することができるので、カッター30の位置を保持する押圧力を大きくすることができる。したがって、カッター30の回転をより防止できる。さらに、カッター30の両側面にノズルを設けることで、カッター30の両側面を洗浄することができる。
<第3実施形態>
図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る回転防止装置300について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態の回転防止装置100と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
第1実施形態では、一対のノズル1a,1bは、カッター30を挟んで対向する位置に設けられているのに対し、第2実施形態では、一対のノズル161a,161bが水圧モータ20に設けられる点で、上記第1実施形態と相違する。以下に、具体的に説明する。
図8に示すように、回転防止装置300は、水圧モータ20の外周面に設けられ水を噴出する少なくとも一対の第1ノズルとしてのノズル161a及び第2ノズルとしての161bと、水圧モータ20の位置を検出する位置検出装置としての変位計160と、を備える。
ノズル161a,161bは、ロッド12から離間した位置に水圧モータ20の本体部を挟んで対向するように設けられる。ノズル161a,161bそれぞれは、水圧モータ20の本体部の外周面から垂直方向に水を噴出するように設けられる。ノズル161aは、水圧モータ20を回転方向の一方側(図8におけるG方向)に向かって回転させるように水を噴出し、ノズル161bは、水圧モータ20を回転方向の他方側(図8におけるH方向)に向かって回転させるように水を噴出する。具体的には、ノズル161aは、水圧モータ20の外周面から垂直方向(図5におけるG方向)に水を噴出し、ノズル161bは、水圧モータ20の外周面から垂直方向(図5におけるH方向)に水を噴出する。
このように構成された回転防止装置300では、ノズル161aから水が図8におけるG方向に噴出されると、水圧モータ20にノズル161aから水を噴出したことによる反力がH方向に作用する。水圧モータ20に対してF方向に作用した反力は、ロッド12を中心として水圧モータ20をC方向に回転させる力として働く。反対に、ノズル161bから水が図8におけるH方向に噴出されると、水圧モータ20にノズル161bから水を噴出したことによる反力がE方向に作用する。水圧モータ20に対してE方向に作用した反力は、ロッド12を中心として水圧モータ20をD方向に回転させる力として働く。
変位計160は、水圧モータ20がロッド12を中心として基準位置に対するC方向またはD方向への変位量(回転量)を検出する。変位計160によって検出された変位量は、コントローラ40に送信される。
ノズル161a,161bに供給する水の流量は、制御弁2によって制御される。制御弁2は、変位計160によって検出された水圧モータ20の変位(位置)に基づいて、ノズル161a,161bに供給する水の流量を制御する。
このように構成された回転防止装置300の動作について説明する。
ポンプ3から吐出された水は、制御弁2を通じてノズル161a、161bにそれぞれ供給され、ノズル161a,161bに供給された水は、水圧モータ20の外周面から鉛直方向に噴出される。これにより、水圧モータ20には、ノズル161a、161bから水が噴出されたことによる反力が、図8の矢印H,Gに示す方向に作用する。以下では、ノズル161aから水が噴出されたことによる反力を「ノズル161aの反力」といい、ノズル161bから水が噴出されたことによる反力を「ノズル161bの反力」という。
コントローラ40から制御弁2にソレノイド2a,2bに電流が印加されていない状態、つまり、中立状態では、ノズル161a,161bには同量の水が供給されるため、ノズル161a、161bの反力は等しい。このため、水圧モータ20はその位置に保持される。
この状態で、水圧シリンダ10が作動したときに、ロッド12を回転させる力、つまり、水圧モータ20を回転させる力が働くことがある。例えば、水圧モータ20に水圧モータ20を所定の位置である中立位置から図8のC方向に回転させる力が働いた場合について説明する。
水圧モータ20が図8のC方向に回転すると、水圧モータ20のC方向(H方向)への変位が変位計160によって検出される。変位計160によって検出された水圧モータ20の変位は、コントローラ40に送信される。
コントローラ40は、変位計160によって検出された変位に応じた電流Iを制御弁2のソレノイド2a及びソレノイド2bのいずれかに印加する。水圧モータ20のC方向への回転(H方向への変位)が大きくなると、その分、ソレノイド2bに印加する電流を増加させる。これにより、制御弁2からノズル161bに供給される水の流量が増加すると共に、制御弁2からノズル161aに供給される水の流量が減少する。よって、ノズル161bによるD方向(G方向)への反力が大きくなると共に、ノズル161aによるC方向(H方向)への反力が小さくなるので、水圧モータ20はD方向へ回転する。
このようにして水圧モータ20がD方向へ回転すると、水圧モータ20のC方向(H方向)への変位が小さくなる。このため、コントローラ40からソレノイド2bに印加される電流Iも小さくなる。そして、水圧モータ20が中立位置に戻ると、コントローラ40からソレノイド2bに電流が印加されなくなる。
なお、水圧モータ20がD方向に回転した場合であっても、同様に中立位置に戻すことができる。
以上のように構成された第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
回転防止装置300では、変位計160によって検出された水圧モータ20の変位に基づいてノズル161a,161bから噴出される水の流量を制御することで、ロッド12を回転させる力が発生しても、水圧モータ20の位置を保持することができる。これにより、水圧シリンダ10のロッド12の先端に取り付けられたカッター30及び水圧モータ20の回転を防止できる。
また、回転防止装置300では、ノズル161a、161bは水圧モータ20に設けられる。これにより、ノズル161a、161bは、水圧モータ20とともに移動するので、ノズル161a、161bを移動させる移動装置を設ける必要がない。したがって、構造を簡単なものにすることができる。
なお、回転防止装置300では、ノズル161a、161bの背圧を検出する圧力センサを設け、変位計160によって検出された変位と圧力センサによって検出された背圧とによって制御弁2を制御してもよい。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
回転防止装置100,200,300は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)を回転方向の一方側に向かって回転させるように負荷部材(水圧モータ20、カッター30)に向かって、または、負荷部材(水圧モータ20)から流体を噴出する第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)と、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)を回転方向の他方側に向かって回転させるように負荷部材(水圧モータ20、カッター30)に向かって、または、負荷部材(水圧モータ20)から流体を噴出する第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)と、第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)への流体の供給を制御する制御弁2,62と、を備え、制御弁2,62は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)のロッド12の軸回りの回転を防止するように第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)から噴出される流体の流量を制御することを特徴とする。
この構成によれば、第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)から噴出される流体(水)の流量を制御することで、ロッド12を回転させる力が発生しても、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)の位置を保持することができる。これにより、流体圧アクチュエータ(水圧シリンダ10)のロッド12の先端に取り付けられた負荷部材(水圧モータ20、カッター30)の回転を防止できる。
また、回転防止装置100,200,300は、第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)それぞれの背圧を検出する圧力検出装置(圧力センサ4a,4b、4c,4d)をさらに備え、制御弁2,62は、圧力検出装置(圧力センサ4a,4b、4c,4d)で検出された背圧に基づいて第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)から噴出される流体(水)の流量を制御することを特徴とする。
この構成によれば、圧力検出装置(圧力センサ4a,4b、4c,4d)で検出された第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)の背圧に基づいて制御弁2,62を制御できるので、精度良く回転を防止できる。
また、回転防止装置100,200,300は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)の位置を検出する位置検出装置(変位計60a,60b)をさらに備え、制御弁2,62は、位置検出装置(変位計60a,60b)で検出された負荷部材(水圧モータ20、カッター30)の位置に基づいて第1ノズル(ノズル1a,61a,161a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,161b,61c)から噴出される流体の流量を制御することを特徴とする。
この構成によれば、位置検出装置(変位計60a,60b)で検出された負荷部材(水圧モータ20、カッター30)の位置に基づいて制御弁2,62を制御できるので、精度良く回転を防止できる。
回転防止装置100,200は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)のロッド12の軸方向の移動に追従して第1ノズル(ノズル1a,61a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,61c)を移動させる移動装置をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、第1ノズル(ノズル1a,61a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,61c)が移動装置によって負荷部材(水圧モータ20、カッター30)に追従するように移動するので、第1ノズル(ノズル1a,61a,61d)及び第2ノズル(ノズル1b,61b,61c)から噴出された流体(水)を負荷部材(水圧モータ20、カッター30)に確実に当てることができる。
回転防止装置100は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)は、ロッド12の先端に取り付けられた流体圧モータ(水圧モータ20)と、流体圧モータ(水圧モータ20)の回転軸21に取り付けられた円板状の回転体(カッター30)と、を有し、第1ノズル(ノズル1a)及び第2ノズル(ノズル1b)は、回転体(カッター30)を挟んで対向する位置に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、回転体(カッター30)の両面に流体(水)が噴出されるので、回転体(カッター30)の表面を洗浄できる。
回転防止装置200は、負荷部材(水圧モータ20、カッター30)は、ロッド12の先端に取り付けられた流体圧モータ(水圧モータ20)と、流体圧モータ(水圧モータ20)の回転軸21に取り付けられる円板状の回転体(カッター30)と、を有し、第1ノズル(ノズル61a)及び第2ノズル(ノズル61b)は、回転体(カッター30)の同一側面側であって回転軸21を挟んで対称となる位置に設けられることを特徴とする。
この構成によれば、第1ノズル(ノズル61a)及び第2ノズル(ノズル61b)に係る構成を回転体(カッター30)の一側面側に集約できるので、装置をコンパクト化することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記実施形態では、負荷部材として水圧モータ20やカッター30を例に説明したが、ロッド12の先端に取り付けられるものであれば、どのようなものであってもよい。
また、ノズル1a,1b,61a,61b,61c,61d,161a,161bに供給される水の流量を個別の制御弁で制御するように構成してもよい。
さらに、回転防止装置100、200では、圧力センサ4a,4b,4c,4dによって検出された背圧に基づいて、制御弁2を制御していたが、これに代えて、回転防止装置300の如く、変位センサによって検出されたカッター30の変位のみに基づいて制御弁2を制御してもよい。