JP2018003944A - 自動変速機 - Google Patents

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Hiroaki Mitsuharu
広明 三治
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Abstract

【課題】油圧のロスを抑制すると共に、クラッチの内径側の構成を簡易にしてクラッチの搭載性を向上させることができる自動変速機を提供する。【解決手段】連結部材42及びスリーブ45を摺動によって接断可能なクラッチスライダ50と、クラッチスライダ50に対して相対回転可能なクラッチドラム44と、クラッチスライダ50に対して相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である伝達部51と、伝達部51に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能な駆動部52と、を備え、伝達部51は、クラッチドラム44に対し、径方向に貫通して軸方向への移動を許容されると共に一体回転する。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される自動変速機に関する。
従来、例えば、車両に用いて好適な自動変速機においては、入力回転を減速した減速回転を出力する減速プラネタリギヤと、入力回転及び減速回転を選択的に入力して変速した出力回転を出力するプラネタリギヤユニットと、を備え、前進多速段及び後進段を達成するものが普及している。この種の自動変速機において、減速プラネタリギヤのリングギヤと、プラネタリギヤユニットのサンギヤとを接続するために、噛み合いクラッチを利用したものが開発されている(特許文献1参照)。この自動変速機では、噛み合いクラッチの周囲にドラム状の回転伝達部材が設けられているため、噛み合いクラッチのスライダの切り換えを行うために、外側からシフトフォークをそのまま適用することができず、回転軸側、即ち噛み合いクラッチの内径側から供給される油圧を駆動源として利用している。
特開2014−167309号公報
しかしながら、特許文献1に記載の自動変速機では、ドラム状の回転伝達部材の内周側に配置された噛み合いクラッチのスライダを切り換えるためにクラッチの内径側から供給される油圧を利用しているので、ドラム状の回転伝達部材の内径側に作動油室を設ける必要がある。このため、ドラム状の回転伝達部材の内径側に、作動油が回転軸から作動油室を経て排出するまでの油路を設けなければならず、複雑な油路の形成や多数のシールリングの設置を必要としてしまう。これにより、油圧のロスを招く虞があると共に、クラッチの内径側の構成の複雑化による自動変速機への搭載性の悪化を招く虞もあるという課題があった。
そこで、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチの内径側の構成を簡易にしてクラッチの搭載性を向上させることができる自動変速機を提供することを目的とする。
本開示に係る自動変速機は、同軸上に配置され、互いに相対回転自在な変速機構の第1の部材及び第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材と同軸上で軸方向に摺動可能に配置され、前記第1の部材及び前記第2の部材の一方に対して回転方向に噛み合うと共に他方に対して軸方向に離間する切断状態と、前記第1の部材及び前記第2の部材に同時に跨って回転方向に噛み合う接続状態とに、摺動によって切換可能な接断部と、前記第1の部材及び前記第2の部材と前記接断部とに対して同軸上で外周側に配置され、前記接断部に対して相対回転可能な筒状部と、前記接断部に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である伝達部と、前記筒状部の外周側に配置され、前記伝達部に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能な駆動部と、を備え、前記伝達部は、前記筒状部を径方向に貫通し、前記筒状部に対して軸方向への移動を許容されると共に前記筒状部と一体回転する。
本自動変速機によると、駆動部から接断部に軸方向の駆動力を伝達する伝達部が、駆動部及び接断部に対して相対回転可能であると共に、筒状部を径方向に貫通し、筒状部に対して軸方向への移動を許容されると共に筒状部と一体回転するように設けられている。このため、筒状部が回転することに伴って伝達部も回転しながらも、伝達部は駆動部から接断部に軸方向の駆動力を伝達することができる。これにより、筒状部の外部から機械的な外力によって接断部を移動させることができるので、接断部(クラッチ)の内径側から供給される油圧を利用して接断部を移動させる場合に比べて、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチの内径側の構成を簡易にしてクラッチの自動変速機への搭載性を向上させることができる。
第1の実施形態に係る自動変速機を示すスケルトン図。 第1の実施形態に係る自動変速機の係合表。 第1の実施形態に係る自動変速機の速度線図。 第1の実施形態に係る自動変速機の要部を示す縦断面図。 第1の実施形態に係る自動変速機のクラッチスライダ、伝達部、駆動部を示す横断面図。 第1の実施形態に係る自動変速機のクラッチスライダ及び伝達部の内周側部材を分解した状態を示す横断面図。 図6Aの縦断面図。 第1の実施形態に係る自動変速機のクラッチスライダ及び伝達部の内周側部材を組み立てた状態を示す横断面図。 図7Aの縦断面図。 第1の実施形態に係る自動変速機のクラッチスライダ及び伝達部を組み立てた状態を示す横断面図。 図8Aの縦断面図。 第2の実施形態に係る自動変速機の要部を示す縦断面図。
<第1の実施形態>
以下、自動変速機の第1の実施形態を、図1乃至図8Bに沿って説明する。
本実施形態に係る自動変速機3は、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両に搭載されて好適な自動変速機3であり、本明細書中では、内燃エンジン2が接続される側、つまりトルクコンバータ11側から見た自動変速機3を正面とする。このため、図4は側面側から見た側面断面図となる。また、軸方向において、トルクコンバータ11側を前方側とし、第2クラッチC2側を後方側としている。尚、本実施形態では、自動変速機3としてFFタイプの車両1に搭載されるものを適用しているが、例えばFR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプの車両に搭載されるものであってもよい。
また、駆動連結とは、互いの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、それら回転要素が一体的に回転するように連結された状態、あるいはそれら回転要素がクラッチ等を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いる。また、本実施形態では、変速機構31は前進8速段としているが、これには限られず、例えば前進3〜7速段等を達成する有段変速機であってもよく、あるいは、有段変速機付きの無段変速機などであってもよい。
本実施形態の自動変速機3を備える車両1の概略構成について、図1に沿って説明する。車両1は、内燃エンジン2と、自動変速機3と、不図示の車輪と、油圧制御装置5と、ECU(制御装置)6とを備えている。内燃エンジン2は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であり、自動変速機3に連結されている。
自動変速機3は、入力軸30と、発進装置10と、変速機構31と、不図示のカウンタシャフト部及びディファレンシャル部と、これらを収容するケース32とを備えている。自動変速機3の入力軸30は、内燃エンジン2の回転軸20に駆動連結されている。
発進装置10は、トルクコンバータ11と、それをロックアップし得るロックアップクラッチ12とを備えている。トルクコンバータ11は、自動変速機3の入力軸30に接続されたポンプインペラ11aと、作動流体である油を介してポンプインペラ11aの回転が伝達されるタービンランナ11bと、それらの間に配置されると共にワンウェイクラッチ11dにより一方向に回転が規制されたステータ11cとを有している。タービンランナ11bは、入力軸30と同軸の変速機構31の入力軸34に接続されている。ロックアップクラッチ12は、係合によりフロントカバー12aと変速機構31の入力軸34とを直接係合し、トルクコンバータ11をロックアップした状態にする。
変速機構31には、トルクコンバータ11を介して内燃エンジン2からの回転が伝達される入力軸34aが備えられており、入力軸34aの同軸上の後方側に接続された中心軸34bが備えられている。即ち、本自動変速機3においては、入力軸34aと中心軸34bとによって広義としての入力軸34が構成されている。変速機構31は、入力軸34上において、複数の回転要素を有する減速用のプラネタリギヤ(第1のプラネタリギヤ)DPと、複数の回転要素を有する変速用のプラネタリギヤユニット(第2のプラネタリギヤ)PUと、が備えられている。また、変速機構31は、第1〜第4のクラッチC1〜C4と、第1及び第2のブレーキB1,B2とを備えている。これらの複数の係合要素は、ロックアップクラッチ12から後述するカウンタギヤ35までの動力伝達経路上に設けられ、油圧の給排により係脱し、同時係合する組み合わせにより複数の変速段を選択的に形成可能である。尚、本実施形態では、変速機構31は減速用のプラネタリギヤDPと、変速用のプラネタリギヤユニットPUとを有しているが、これには限られず、例えば、1つのプラネタリギヤのみを有する変速機構であってもよい。
プラネタリギヤDPは、入力回転を減速した減速回転を出力する減速用のプラネタリギヤであり、第1のサンギヤS1、第1のキャリヤCR1、及び第1のリングギヤR1を備えており、第1のキャリヤCR1に、第1のサンギヤS1に噛合するピニオンP2及び第1のリングギヤR1に噛合するピニオンP1を互いに噛合する形で有している所謂ダブルピニオンプラネタリギヤである。即ち、プラネタリギヤDPの複数の回転要素の1つは、後述する連結部材42に一体回転するよう連結される第1のリングギヤR1である。
一方、プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素を有し、入力回転及び減速回転を選択的に入力して変速した出力回転を出力する変速用のプラネタリギヤユニットであり、4つの回転要素として第2のサンギヤS2、第3のサンギヤS3、第2のキャリヤCR2、第2のリングギヤR2を有し、第2のキャリヤCR2に、第2のサンギヤS2及び第2のリングギヤR2に噛合するロングピニオンP3と、第3のサンギヤS3に噛合するショートピニオンP4とを互いに噛合する形で有している所謂ラビニヨ型プラネタリギヤである。即ち、プラネタリギヤユニットPUの複数の回転要素の1つは、後述するスリーブ45に一体回転するよう連結される第3のサンギヤS3である。
プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1は、ケース32に対して回転が固定されている。また、第1のキャリヤCR1は、入力軸34に接続されて、入力軸34の回転と同回転(以下、入力回転という)になっていると共に、第4のクラッチC4に接続されている。更に、第1のリングギヤR1は、固定された第1のサンギヤS1と入力回転する第1のキャリヤCR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3に接続されている。
プラネタリギヤユニットPUの第2のサンギヤS2は、第1のブレーキB1に接続されてケース32に対して固定自在となっていると共に、第4のクラッチC4及び第3のクラッチC3に接続されて、第4のクラッチC4を介して第1のキャリヤCR1の入力回転が、第3のクラッチC3を介して第1のリングギヤR1の減速回転が、それぞれ入力自在となっている。また、第3のサンギヤS3は、第1のクラッチC1に接続されており、第1のリングギヤR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、第2のキャリヤCR2は、入力軸34の回転が入力される第2のクラッチC2に接続されて、第2のクラッチC2を介して入力回転が入力自在となっており、また、第2のキャリヤCR2は、第2のブレーキB2及びワンウェイクラッチ(OWC)F1に接続されて、第2のブレーキB2又はワンウェイクラッチF1を介して回転が固定自在となっている。そして、第2のリングギヤR2は、ケース32に固定されたセンタサポート部材36(図4参照)に対して回転自在に支持されたカウンタギヤ35に接続されている。カウンタギヤ35は、いずれも不図示のカウンタシャフト部からディファレンシャル部を介して車輪に駆動連結されている。
油圧制御装置5は、例えばバルブボディにより構成されており、オイルポンプから供給された油圧からライン圧等を生成し、ECU6からの制御信号に基づいて各第1〜第4のクラッチC1〜C4と、第1及び第2のブレーキB1,B2と、ロックアップクラッチ12とをそれぞれ制御する係合圧としての油圧を給排可能になっている。
ECU6は、例えば、CPU61と、処理プログラムを記憶するROM62と、データを一時的に記憶するRAM63と、入出力ポート(I/F)64とを備えている。ECU6は、油圧制御装置5を電気的に制御することにより自動変速機3を制御可能である。ECU6には、例えば、車速を検出するためのセンサや、不図示のアクセルペダルの踏込量を検出するためのセンサが連結されている。ECU6は、例えば、車速やアクセルペダルの踏込量等に応じて、自動変速機3の変速段を設定し、その変速段を形成するために、例えば、各第1〜第4のクラッチC1〜C4と、第1及び第2のブレーキB1,B2とを係脱するための制御信号を出力する。
以上のように構成された変速機構31は、カウンタギヤ35からの出力について、図1のスケルトン図に示す各第1のクラッチC1〜第4のクラッチC4、第1のブレーキB1及び第2のブレーキB2が、図2の係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、図3に示す速度線図のような回転数比で、前進1速段(1st)〜前進8速段(8th)、及び後進1速段(Rev1)〜後進2速段(Rev2)が達成される。
次に、本実施形態に係る自動変速機3のプラネタリギヤDP及びプラネタリギヤユニットPUについて、図4に沿って説明する。ケース32(図1参照)の内側には、ケース32に固定されたセンタサポート部材36が設けられており、センタサポート部材36の前方にはプラネタリギヤDPが配置され、後方にはプラネタリギヤユニットPU(図1参照)が配置されている。
プラネタリギヤDPは、入力軸34a上に、第1のキャリヤCR1と、第1のリングギヤR1と、第1のサンギヤS1とが配置されて構成されている。第1のサンギヤS1は、入力軸34に対して回転自在に支持されると共に、後方にはベアリングb1を介して入力軸34のフランジ部34cにより支持されている。
第1のキャリヤCR1は、後方側の側板40と前方側の不図示の側板とを有しており、この両キャリヤプレートによって第1のピニオンシャフトPS1及び不図示の第2のピニオンシャフトを支持している。また、各ピニオンシャフトPS1が、それぞれピニオンP1,P2(図1参照)を回転自在に支持しており、第1のピニオンP1は外周側においてリングギヤR1と噛合すると共にピニオンP2と噛合し、第2のピニオンP2は内周側において第1のサンギヤS1と噛合している。更に、側板40は、内周端部において入力軸34aに一体的に固定されている。これにより、第1のキャリヤCR1は、入力軸34aに対して支持されていると共に、入力軸34aと一体回転するように構成されている。
第1のリングギヤR1は、外周側にハブ部41が一体的に形成されており、後方側部分において、連結部材(第1の部材)42の外周部に固着されている。連結部材42は、略円板形状で外周部がハブ部41の後端部に固着されるフランジ部42aと、フランジ部42aの内周側に連続され後方に延在する円筒形状のスリーブ部42bと、を備えている。フランジ部42aは、前側がベアリングb2を介して第1のキャリヤCR1の側板40に回転自在に支持されている。
また、スリーブ部42bの内周側は、ブッシュb3、後述するスリーブ45、ベアリングb4を介して入力軸34aにより回転自在に支持されている。これにより、第1のリングギヤR1は、連結部材42及びスリーブ45を介して入力軸34によって回転自在に支持されている。スリーブ部42bの外周部には、軸方向に沿ったスプライン42sが形成されている。
また、第1のリングギヤR1の外周側には、第3のクラッチC3と第2のサンギヤS2とを連結するクラッチドラム(筒状部)44が設けられている。クラッチドラム44は、前方から連続して、ドラム部44aと、フランジ部44bと、スリーブ部44cとを有している。ドラム部44aは、プラネタリギヤDPの外周側に配置され、プラネタリギヤDPを収容している。フランジ部44bは、大径のドラム部44aと小径のスリーブ部44cとを連結すると共に、ドラム部44aと連結部材42とスリーブ45との間に収容空間Sを形成している。スリーブ部44cは、後端部を第2のサンギヤS2に対してスプライン係合により連結されている。即ち、クラッチドラム44は、連結部材42のスリーブ部42bとスリーブ45のフランジ部45cと後述するクラッチスライダ50とに対して同軸上で外周側に配置され、クラッチスライダ50に対して相対回転可能に設けられている。
中心軸34bの外周側には、中心軸34bを中心として、プラネタリギヤユニットPUが配置されている(図1参照)。中心軸34bの直ぐ外周側には、スリーブ状に形成された第3のサンギヤS3が、ブッシュb5により中心軸34bに対して相対回転自在に配置されている。第3のサンギヤS3に前方には、スリーブ(第2の部材)45が配置されている。スリーブ45は、後方に延在した後スリーブ部45aと、前方に延在した前スリーブ部45bと、前後方向の中央部近傍で外周側に突出したフランジ部45cと、を有している。後スリーブ部45aは、内周側において第3のサンギヤS3の前部に対してスプライン係合されると共に、後端部は第2のサンギヤS2の前端部に対してベアリングb6により軸方向に位置決め規制されている。前スリーブ部45bは、ベアリングb4を介して入力軸34aにより回転自在に支持されている。
フランジ部45cの外周部には、連結部材42のスリーブ部42bのスプライン42sと同径で軸方向に沿って連続するスプライン45sが形成されている。フランジ部45cの前端部と連結部材42のスリーブ部42bの後端部との間には、ベアリングb7が介在されており、連結部材42とスリーブ45とを相対回転可能に支持している。即ち、連結部材42とスリーブ45とは、同軸上に配置され、互いに相対回転自在な変速機構31の部材である。
プラネタリギヤユニットPUの第2のリングギヤR2の前方には(図1参照)、カウンタギヤ35が連結されている。カウンタギヤ35は、不図示のカウンタドリブンギヤに噛合している。カウンタギヤ35は、内周面に嵌合されたベアリングb8を介して、センタサポート部材36に回転自在に支持されている。
次に、第1のクラッチC1及び第1のクラッチC1を切り換えるための構成について、詳細に説明する。プラネタリギヤDPの第1のリングギヤR1とプラネタリギヤユニットPUの第3のサンギヤS3との間には、第1のクラッチC1が配置されている。本実施形態では、第1のクラッチC1は、噛み合い式の歯車クラッチとしているが、ドッグクラッチ等、他の噛み合いクラッチや、シンクロメッシュ機構を採用してもよい。
第1のクラッチC1は、連結部材42のスリーブ部42bと、スリーブ45のフランジ部45cと同軸上で、軸方向に摺動可能に配置されたクラッチスライダ(接断部)50により形成されている。図6A及び図6Bに示すように、クラッチスライダ50は、内周側に設けられた円筒形状のスライダ部50aと、スライダ部50aから外周側に延びた略円板形状の支持部50bと、支持部50bの外周側に全周に亘って形成された周溝部50cとを有している。スライダ部50aの内周面には、スプライン50sが形成されている。このため、図4に示すように、クラッチスライダ50は、連結部材42のスリーブ部42bのスプライン42sに対してスプライン50sが回転方向に噛み合うと共にスリーブ45のフランジ部45cのスプライン45sに対して軸方向に離間する切断状態(図4中、実線で示す)と、スプライン50sが各スプライン42s,45sに同時に跨って回転方向に噛み合う接続状態(図4中、破線で示す)とに、摺動によって切換可能である。尚、クラッチスライダ50の外周部は、径方向にクラッチドラム44の内周面に対向している。そして、クラッチドラム44のクラッチスライダ50が径方向に対向する部分の一部には、貫通孔(貫通部)44dが形成されている。
尚、本実施形態では、クラッチドラム44のプラネタリギヤDPより大径のドラム部44aの収容空間Sにクラッチスライダ50及び伝達部51が収容されているため、クラッチスライダ50の全体として大径になっているが、これには限られない。例えば、クラッチドラム44の外形がプラネタリギヤDPの後端部に沿って縮径してスリーブ部44cの前端部がプラネタリギヤDPの近傍まで達する形状であるようにした場合は、クラッチスライダ50や後述する伝達部51等を小径にして形成することができる。
クラッチスライダ50を切り換えるための構成として、自動変速機3は、伝達部51と駆動部52とを備えている。伝達部51は、略円環形状で、クラッチスライダ50の外周側に配置されている。伝達部51の一部は、クラッチドラム44の貫通孔44dを通過して設けられ、伝達部51はクラッチドラム44の内外を連通してクラッチドラム44に交差するように設けられている。貫通孔44dは、周方向に略120度ごと、3箇所に形成され、それぞれ軸方向に沿って伸びた形状とされている。
伝達部51は、内周側部材(分割部)53と外周側部材(一体化部)54とを組み合わせて形成されている。図6A及び図6Bに示すように、内周側部材53は、周方向に分割して設けられると共に、クラッチドラム44の貫通孔44dに外周側から挿入される挿入部53aを有している。本実施形態では、内周側部材53は、3つの部材から成り、周方向に略120度ごとに分割されている。挿入部53aは、各内周側部材53の中央部から中心側に突出して設けられており、それぞれ貫通孔44dに外側から差し込まれている。即ち、挿入部53aは、クラッチドラム44を径方向に貫通し、クラッチドラム44に対して軸方向への移動を許容されると共に、クラッチドラム44の回転時には貫通孔44dの周方向の縁部に当接して、伝達部51がクラッチドラム44と一体回転する。尚、挿入部53aと貫通孔44dの周方向の縁部とが当接する際の衝撃を緩和するために、縁部に例えば樹脂製の保護材(クッション材)を設けるようにしてもよい。
図4に示すように、各挿入部53aの内周端部は、クラッチスライダ50の周溝部50cの中に挿入されている。これにより、伝達部51は、クラッチスライダ50に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である。また、各挿入部53aの内周端部の前後面には、ブッシュ55が取り付けられている。ブッシュ55は、クラッチスライダ50に対して低摩擦性を有する材質により形成されている。これにより、ブッシュ55は、クラッチスライダ50の周溝部50cの内面に接触し、伝達部51とクラッチスライダ50とが軸方向に移動しながら相対回転する時の摺動抵抗を低減している。
図8A及び図8Bに示すように、外周側部材54は、円環形状で、クラッチドラム44の外周側において、3つの内周側部材53に嵌合することで、3つの内周側部材53を一体化している。具体的には、内周側部材53の外周部と外周側部材54の内周部とはスプライン係合しており、係合した状態でストッパ56により固定されている。外周側部材54の外周部には、周溝部54aが全周に亘って設けられている。尚、本実施形態では、内周側部材53の外周部と外周側部材54の内周部とはスプライン係合しているが、これには限られず、例えば、1箇所のみキー及びキー溝の組み合わせで固定してもよい。また、外周側部材54は、内周側部材53の外周側に嵌合して一体化することには限られず、例えば、軸方向からねじ止めなどにより一体化するようにしてもよい。更には、内周側部材53は円環形状には限られず、内周側部材53を個別に連結するように分割されていてもよい。
図4及び図5に示すように、駆動部52は、クラッチドラム44の外周側に配置され、ECU6(図1参照)によって制御される不図示のモータを駆動源として、軸方向に移動可能に設けられている。駆動部52は、略半円弧形状の係合部52aと、係合部52aの中央部から外周側に突出した支持部52bとを有している。支持部52bは、不図示の駆動機構を介して不図示のモータにより軸方向に移動される。
係合部52aの内周端部は、伝達部51の周溝部54aの中に挿入されている。これにより、駆動部52は、伝達部51に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能であり、軸方向に移動することにより伝達部51に軸方向へ押圧する駆動力を付与する。また、各係合部52aの内周端部の前後面には、ブッシュ57が取り付けられている。ブッシュ57は、外周側部材54に対して低摩擦性を有する材質により形成されている。これにより、ブッシュ57は、伝達部51の周溝部54aの内面に接触し、駆動部52と伝達部51とが軸方向に移動しながら相対回転する時の摺動抵抗を低減している。
次に、上述した本実施形態の自動変速機3において第1のクラッチC1及び第1のクラッチC1を切り換えるための機構を組み立てる手順について説明する。まず、図4に示すように、ケース32(図1参照)内に、中心軸34b、第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2を組み付け、その後、センタサポート部材36を組み付ける。そして、クラッチドラム44に対してクラッチスライダ50、伝達部51、ストッパ56を組み立てておき、このクラッチドラム44を組み付ける。更に、スリーブ45を組み付け、プラネタリギヤDPを組み付ける。続いて、クラッチスライダ50を、例えば前側(あるいは後側)に位置させて、図6A及び図6Bに示すように、クラッチドラム44の各貫通孔44dに、外周側から内周側部材53の挿入部53aを挿入する。更に、図7A及び図7Bに示すように、各挿入部53aの内周端部をクラッチスライダ50の周溝部50cの中に挿入し、各内周側部材53の周方向端面を当接させて全体で略円環形状にして支持する。
ここで、図8A及び図8Bに示すように、各内周側部材53の外周部に対して外周側部材54を組み付けて一体化する。この時、各内周側部材53の外周部のスプラインに対して、外周側部材54の内周部のスプラインを係合すると共に、外周側部材54の内周部のスプラインに各内周側部材53の外周部のスプラインの抜け止めを図るストッパ56を取り付けて、内周側部材53及び外周側部材54を伝達部51として一体化する。更に、図4及び図5に示すように、駆動部52の係合部52aの内周端部を、伝達部51の周溝部54aの中に挿入して係合することで、第1のクラッチC1を切り換えるための機構を組み立てることができる。
次に、上述した本実施形態の自動変速機3において第1のクラッチC1を切り換える際の動作について、図4及び図5を用いて説明する。例えば、自動変速機3の変速段が前進6速段にある場合は、クラッチスライダ50のスプライン50sは連結部材42のスプライン42sのみに係合し、スリーブ45との係合は切断されている(図4中、実線で示す)。この時、クラッチドラム44は、カウンタギヤ35と同じ回転速度で回転しており、クラッチドラム44の貫通孔44dの周方向の縁部が伝達部51の挿入部53aに周方向から当接して、伝達部51を回転させる。伝達部51は、内周側はクラッチスライダ50の周溝部50cに係合すると共に、外周側は駆動部52の係合部52aに係合しており、いずれの係合も相対回転可能、かつ軸方向には一体移動する。このため、伝達部51は、伝達部51と相対回転するクラッチスライダ50及び回転しない駆動部52の間に係合したまま、クラッチドラム44と共に回転する。また、クラッチスライダ50及び駆動部52と伝達部51との間にはブッシュ55,57が介在されているので、クラッチスライダ50及び駆動部52と伝達部51との回転抵抗の増加を抑制している。
そして、自動変速機3の変速段が前進6速段から前進5速段に切り換わると、駆動部52が後方に移動して、伝達部51を後方に押圧する。この時、クラッチドラム44は回転し続けているので、伝達部51は回転しながら後方に移動する。尚、軸方向への移動の際に、各ブッシュ55,57は対向する周溝部50c,54aの側面を押圧するが、低摩擦の材質であるため回転抵抗の増加を抑制している。伝達部51が後方に移動することで、クラッチスライダ50も後方に移動し、クラッチスライダ50のスプライン50sが連結部材42のスプライン42s及びスリーブ45のスプライン45sに跨って係合し、第1のクラッチC1が連結部材42とスリーブ45とを接続する(図4中、破線で示す)。
尚、自動変速機3の変速段が前進5速段から前進6速段に切り換わると、駆動部52がクラッチスライダ50を前方に移動させるが、上述したクラッチスライダ50を後方に移動させる場合の移動方向を逆にしただけであるので、詳細な説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態の自動変速機3によると、駆動部52からクラッチスライダ50に軸方向の駆動力を伝達する伝達部51が、駆動部52及びクラッチスライダ50に対して相対回転可能であると共に、クラッチドラム44を径方向に貫通し、クラッチドラム44に対して軸方向への移動を許容されると共にクラッチドラム44と一体回転するように設けられている。このため、クラッチドラム44が回転することに伴って伝達部51も回転しながらも、伝達部51は駆動部52からクラッチスライダ50に軸方向へ押圧する駆動力を伝達することができる。
これにより、クラッチドラム44の外部から、例えばモータを駆動源とする機械的な外力によってクラッチスライダ50を移動させることができる。あるいは、駆動部52を油圧により移動させる場合でも、シールリングや油路を削減することができる。したがって、クラッチスライダ50の内径側から供給される油圧を利用してクラッチスライダ50を移動させる場合に比べて、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチスライダ50の内径側の構成を簡易にして第1のクラッチC1の自動変速機3への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、伝達部51の内周側部材53は、周方向に120度ごとに3分割して設けられると共に、クラッチドラム44の貫通孔44dに外周側から挿入される挿入部53aを有しているので、クラッチスライダ50に対して周方向に均等に係合することができ、駆動部52からの軸方向の駆動力をクラッチスライダ50に伝達する際に傾斜してしまうことを防止できる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、伝達部51の外周側部材54は円環状であり、内周側部材53に外周側から嵌合することで一体化するので、内周側部材53が外周側に外れてしまうことを防止して強固に一体化することができる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、変速機構31は、複数の回転要素を有する減速用のプラネタリギヤDPを備え、その複数の回転要素の1つは、連結部材42に一体回転するよう連結されている。このため、減速用のプラネタリギヤDPを第1のクラッチC1により接断する際に、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチスライダ50の内径側の構成を簡易にして第1のクラッチC1の自動変速機3への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、変速機構31は、複数の回転要素を有する変速用のプラネタリギヤユニットPUを備え、その複数の回転要素の1つは、スリーブ45に一体回転するよう連結されている。このため、変速用のプラネタリギヤユニットPUを第1のクラッチC1により接断する際に、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチスライダ50の内径側の構成を簡易にして第1のクラッチC1の自動変速機3への搭載性を向上させることができる。
尚、上述した本実施形態においては、クラッチスライダ50を移動させる駆動源としてモータを適用した場合について説明したが、これには限られず、例えば、駆動源として油圧装置を適用してもよい。この場合も、クラッチスライダ50の内径側から供給される油圧を利用してクラッチスライダ50を移動させる場合に比べて、シールリングや油路を削減することができるので、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチスライダ50の内径側の構成を簡易にして第1のクラッチC1の自動変速機3への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態においては、伝達部51の内周側部材53を3分割した場合について説明したが、これには限られず、例えば、2分割、あるいは4分割以上であってもよい。いずれの場合も、クラッチスライダ50に対して周方向に均等に係合することができ、駆動部52からの軸方向の駆動力をクラッチスライダ50に伝達する際に傾斜してしまうことを防止できる。
尚、本実施形態は、以下の構成を少なくとも備える。本実施形態の自動変速機(3)では、同軸上に配置され、互いに相対回転自在な変速機構(31)の第1の部材(42)及び第2の部材(45)と、前記第1の部材(42)及び前記第2の部材(45)と同軸上で軸方向に摺動可能に配置され、前記第1の部材(42)及び前記第2の部材(45)の一方に対して回転方向に噛み合うと共に他方に対して軸方向に離間する切断状態と、前記第1の部材(42)及び前記第2の部材(45)に同時に跨って回転方向に噛み合う接続状態とに、摺動によって切換可能な接断部(50,C1)と、前記第1の部材(42)及び前記第2の部材(45)と前記接断部(50,C1)とに対して同軸上で外周側に配置され、前記接断部(50,C1)に対して相対回転可能な筒状部(44)と、前記接断部(50,C1)に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である伝達部(51,61)と、前記筒状部(44)の外周側に配置され、前記伝達部(51,61)に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能な駆動部(52)と、を備え、前記伝達部(51,61)は、前記筒状部(44)を径方向に貫通し、前記筒状部(44)に対して軸方向への移動を許容されると共に前記筒状部(44)と一体回転する。この構成によれば、駆動部(52)から接断部(50,C1)に軸方向の駆動力を伝達する伝達部(51,61)が、駆動部(52)及び接断部(50,C1)に対して相対回転可能であると共に、筒状部(44)を径方向に貫通し、筒状部(44)に対して軸方向への移動を許容されると共に筒状部(44)と一体回転するように設けられている。このため、筒状部(44)が回転することに伴って伝達部(51,61)も回転しながらも、伝達部(51,61)は駆動部(52)から接断部(50,C1)に軸方向の駆動力を伝達することができる。これにより、筒状部(44)の外部から機械的な外力によって接断部(50,C1)を移動させることができるので、接断部(50,C1)の内径側から供給される油圧を利用して接断部(50,C1)を移動させる場合に比べて、油圧のロスを抑制すると共に、クラッチの内径側の構成を簡易にしてクラッチの自動変速機(3)への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記伝達部(51)は、周方向に分割して設けられると共に、前記筒状部(44)の貫通部(44d)に外周側から挿入される挿入部(53a)を有する分割部(53)と、前記分割部(53)を一体化する一体化部(54)と、を有する。この構成によれば、分割部(53)は、接断部(50,C1)に対して周方向に均等に係合することができ、駆動部(52)からの軸方向の駆動力を接断部(50,C1)に伝達する際に傾斜してしまうことを防止できる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記一体化部(54)は円環状であり、前記分割部(53)に嵌合することで一体化する。この構成によれば、分割部(53)が外周側に外れてしまうことを防止して強固に一体化することができる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記変速機構(31)は、複数の回転要素を有する第1のプラネタリギヤ(DP)を備え、前記第1のプラネタリギヤ(DP)の前記複数の回転要素の1つは、前記第1の部材(42)に一体回転するよう連結される。この構成によれば、第1のプラネタリギヤ(DP)を接断部(50,C1)により接断する際に、油圧のロスを抑制すると共に、接断部(50,C1)の内径側の構成を簡易にして接断部(50,C1)の自動変速機(3)への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記変速機構(31)は、複数の回転要素を有する第2のプラネタリギヤ(PU)を備え、前記第2のプラネタリギヤ(PU)の前記複数の回転要素の1つは、前記第2の部材(45)に一体回転するよう連結される。この構成によれば、第2のプラネタリギヤ(PU)を接断部(50,C1)により接断する際に、油圧のロスを抑制すると共に、接断部(50,C1)の内径側の構成を簡易にして接断部(50,C1)の自動変速機(3)への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記第1のプラネタリギヤ(DP)は、入力回転を減速した減速回転を出力する減速用のプラネタリギヤ(DP)であり、前記第1のプラネタリギヤ(DP)の前記複数の回転要素の1つは、リングギヤ(R1)であり、前記第2のプラネタリギヤ(PU)は、4つの回転要素を有し、前記入力回転及び前記減速回転を選択的に入力して変速した出力回転を出力する変速用のプラネタリギヤユニット(PU)であり、前記第2のプラネタリギヤ(PU)の前記複数の回転要素の1つは、サンギヤ(S3)である。この構成によれば、減速用のプラネタリギヤのリングギヤ(R1)と、変速用のプラネタリギヤユニットのサンギヤ(S3)とを、接断部(50,C1)により接断できるようになる。これにより、例えば、減速用のプラネタリギヤ(DP)及び変速用のプラネタリギヤユニット(PU)を利用した多段変速の自動変速機(3)において、油圧のロスを抑制すると共に、接断部(50,C1)の内径側の構成を簡易にして接断部(50,C1)の自動変速機(3)への搭載性を向上させることができる。
<第2の実施形態>
次に、自動変速機の第2の実施形態を、図9に沿って説明する。
本実施形態では、クラッチドラム44の前端部から後部に向けて櫛歯状の溝部44eが形成され、この溝部44eに伝達部61が前方から挿入されて組み付けられる点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
本実施形態では、クラッチドラム(筒状部)44は、軸方向に沿って設けられ、軸方向の前端部に開口する溝部44eを有している。また、伝達部61は、周方向に120度ごとの3箇所に設けられた挿入部61aと、周方向の全周に亘って形成された周溝部61bとを有し、溝部44eに軸方向に挿入されている。挿入部61aは、溝部44eを径方向に貫通し、クラッチドラム44に対して軸方向への移動を許容されると共に、クラッチドラム44の回転時には溝部44eの周方向の縁部に当接して、伝達部61がクラッチドラム44と一体回転する。尚、クラッチドラム44の前端部には、溝部44eを形成したことによる強度の低下を補強するために、キャップなどの補強部材を設けるようにしてもよい。
挿入部61aの内周端部の前後面には、第1の実施形態と同様にブッシュ65が取り付けられている。周溝部61bには、駆動部52の係合部52aの内周端部が挿入されている。これにより、駆動部52は、伝達部61に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能であり、軸方向に移動することにより伝達部61に軸方向への駆動力を付与する。
第1のクラッチ(接断部)C1は、クラッチスライダ60と、規制板(規制部)66とを有している。クラッチスライダ60は、内周側に設けられた円筒形状のスライダ部60aと、スライダ部60aから外周側に延びた略円板形状の支持部60bと、支持部60bの外周側に全周に亘って形成された周溝部60cと、周溝部60cの後端部を形成する外縁部60dとを有している。スライダ部60aの内周面には、スプライン60sが形成されている。このため、クラッチスライダ60は、連結部材42のスリーブ部42bのスプライン42sに対してスプライン60sが回転方向に噛み合うと共にスリーブ45のフランジ部45cのスプライン45sに対して軸方向に離間する切断状態(図9中、実線で示す)と、スプライン60sが各スプライン42s,45sに同時に跨って回転方向に噛み合う接続状態(図9中、破線で示す)とに、摺動によって切換可能である。外縁部60dは、伝達部61の挿入部61aの内縁部よりも大径で、伝達部61の後方、即ち溝部44eの前端部の不図示の開口とは軸方向の反対側に配置されている。
規制板66は、クラッチスライダ60の前側にボルト67によりねじ止め固定され、外縁部60dに一体化されている。規制板66は、伝達部61の挿入部61aの内縁部よりも大径で開口の側に配置され、外縁部60dとの間で伝達部61の挿入部61aの内縁部を軸方向に挟んでいる。即ち、周溝部60cは、外縁部60dと規制板66とを軸方向の両側面として形成されている。周溝部60cには、伝達部61の挿入部61aの内縁部がブッシュ65と共に挿入されている。これにより、伝達部61は、第1のクラッチC1に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である。
次に、上述した本実施形態の自動変速機3において第1のクラッチC1及び第1のクラッチC1を切り換えるための機構を組み立てる手順について説明する。まず、ケース32(図1参照)内に、中心軸34b、第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2を組み付け、その後、センタサポート部材36を組み付ける。そして、クラッチドラム44とスリーブ45を組み付ける。また、クラッチスライダ60に伝達部61を組み付けて、規制板66をボルト67でねじ止めして組み立てる。この組み立てたクラッチスライダ60、伝達部61、規制板66、ボルト67を組み付け、その後にプラネタリギヤDPを組み付ける。これにより、第1のクラッチC1を切り換えるための機構を組み立てることができる。
尚、上述した本実施形態の自動変速機3において第1のクラッチC1を切り換える際の動作については、第1の実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態の自動変速機3によっても、第1の実施形態と同様に、駆動部52から第1のクラッチC1に軸方向の駆動力を伝達する伝達部61が、駆動部52及び第1のクラッチC1に対して相対回転可能であると共に、クラッチドラム44を径方向に貫通し、クラッチドラム44に対して軸方向への移動を許容されると共にクラッチドラム44と一体回転するように設けられている。このため、クラッチドラム44が回転することに伴って伝達部61も回転しながらも、伝達部61は駆動部52から第1のクラッチC1に軸方向の駆動力を伝達することができる。
これにより、クラッチドラム44の外部から、例えばモータを駆動源とする機械的な外力によって第1のクラッチC1を移動させることができる。あるいは、駆動部52を油圧により移動させる場合でも、シールリングや油路を削減することができる。したがって、第1のクラッチC1の内径側から供給される油圧を利用して第1のクラッチC1を移動させる場合に比べて、油圧のロスを抑制すると共に、第1のクラッチC1の内径側の構成を簡易にして第1のクラッチC1の自動変速機3への搭載性を向上させることができる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、伝達部61は溝部44eに軸方向に挿入されるので、分割された伝達部をクラッチドラム44の外周側から組み付ける場合に比べて、伝達部61の組み付け作業を簡易化することができる。
また、本実施形態の自動変速機3によると、伝達部61の挿入部61aは、周方向に120度ごとに3分割して設けられるので、第1のクラッチC1に対して周方向に均等に係合することができ、駆動部52からの軸方向の駆動力を第1のクラッチC1に伝達する際に傾斜してしまうことを防止できる。
尚、本実施形態は、以下の構成を少なくとも備える。本実施形態の自動変速機(3)では、前記筒状部(44)は、軸方向に沿って設けられ、軸方向端部に開口する溝部(44e)を有し、前記伝達部(61)は、前記溝部(44e)に軸方向に挿入される。この構成によれば、分割された伝達部を筒状部(44)の外周側から組み付ける場合に比べて、伝達部(61)の組み付け作業を簡易化することができる。また、伝達部(61)を周方向に分割する必要がないので、伝達部(61)の剛性を高めることができ、部材の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の自動変速機(3)では、前記接断部(50,C1)は、前記伝達部(61)の内縁部よりも大径で前記溝部(44e)の開口とは軸方向の反対側に配置された外縁部(60d)と、前記伝達部(61)の内縁部よりも大径で前記開口の側に配置され、前記外縁部(60d)との間で前記伝達部(61)の内縁部を軸方向に挟むと共に、前記外縁部(60d)に一体化される規制部(66)と、を有する。この構成によれば、簡易な構成で伝達部(61)の内縁部を軸方向に挟む周溝部を形成することができる。
3 自動変速機
31 変速機構
42 連結部材(第1の部材)
44 クラッチドラム(筒状部)
44d 貫通孔(貫通部)
44e 溝部
45 スリーブ(第2の部材)
50 クラッチスライダ(接断部)
51 伝達部
52 駆動部
53 内周側部材(分割部)
53a 挿入部
54 外周側部材(一体化部)
60 クラッチスライダ(接断部)
60d 外縁部
61 伝達部
66 規制板(規制部)
C1 第1のクラッチ(接断部)
DP 減速用のプラネタリギヤ(第1のプラネタリギヤ)
PU 変速用のプラネタリギヤユニット(第2のプラネタリギヤ)
R1 第1のリングギヤ(リングギヤ)
S3 第3のサンギヤ(サンギヤ)

Claims (8)

  1. 同軸上に配置され、互いに相対回転自在な変速機構の第1の部材及び第2の部材と、
    前記第1の部材及び前記第2の部材と同軸上で軸方向に摺動可能に配置され、前記第1の部材及び前記第2の部材の一方に対して回転方向に噛み合うと共に他方に対して軸方向に離間する切断状態と、前記第1の部材及び前記第2の部材に同時に跨って回転方向に噛み合う接続状態とに、摺動によって切換可能な接断部と、
    前記第1の部材及び前記第2の部材と前記接断部とに対して同軸上で外周側に配置され、前記接断部に対して相対回転可能な筒状部と、
    前記接断部に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能である伝達部と、
    前記筒状部の外周側に配置され、前記伝達部に対して、相対回転可能であると共に軸方向に一体移動可能な駆動部と、を備え、
    前記伝達部は、前記筒状部を径方向に貫通し、前記筒状部に対して軸方向への移動を許容されると共に前記筒状部と一体回転する自動変速機。
  2. 前記伝達部は、周方向に分割して設けられると共に、前記筒状部の貫通部に外周側から挿入される挿入部を有する分割部と、前記分割部を一体化する一体化部と、を有する請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記一体化部は円環状であり、前記分割部に嵌合することで一体化する請求項2に記載の自動変速機。
  4. 前記筒状部は、軸方向に沿って設けられ、軸方向端部に開口する溝部を有し、
    前記伝達部は、前記溝部に軸方向に挿入される請求項1に記載の自動変速機。
  5. 前記接断部は、前記伝達部の内縁部よりも大径で前記溝部の開口とは軸方向の反対側に配置された外縁部と、前記伝達部の内縁部よりも大径で前記開口の側に配置され、前記外縁部との間で前記伝達部の内縁部を軸方向に挟むと共に、前記外縁部に一体化される規制部と、を有する請求項4に記載の自動変速機。
  6. 前記変速機構は、複数の回転要素を有する第1のプラネタリギヤを備え、
    前記第1のプラネタリギヤの前記複数の回転要素の1つは、前記第1の部材に一体回転するよう連結される請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動変速機。
  7. 前記変速機構は、複数の回転要素を有する第2のプラネタリギヤを備え、
    前記第2のプラネタリギヤの前記複数の回転要素の1つは、前記第2の部材に一体回転するよう連結される請求項6に記載の自動変速機。
  8. 前記第1のプラネタリギヤは、入力回転を減速した減速回転を出力する減速用のプラネタリギヤであり、
    前記第1のプラネタリギヤの前記複数の回転要素の1つは、リングギヤであり、
    前記第2のプラネタリギヤは、4つの回転要素を有し、前記入力回転及び前記減速回転を選択的に入力して変速した出力回転を出力する変速用のプラネタリギヤユニットであり、
    前記第2のプラネタリギヤの前記複数の回転要素の1つは、サンギヤである請求項7に記載の自動変速機。
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