JP2018001734A - 駆動波形生成装置、液体を吐出する装置、ヘッド駆動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出速度を同じにしたまま吐出量を変化できるようにする。
【解決手段】駆動波形PVは、液体を吐出する吐出パルスP2〜P4を含み、吐出パルスP4は膨張波形要素a2と、保持波形要素b2と、収縮波形要素c2と、保持波形要素d2と、膨張波形要素e2とを含み、吐出パルスP4の膨張波形要素a2による立下り電位Vaと収縮波形要素c2による立ち上がり電位Vhとの差を波高値V1とするとき、波高値V1を変化させないで、膨張波形要素e2による立下り電位Vaを電位Va1、Va2、Va3と変化させる。
【選択図】図8

Description

本発明は駆動波形生成装置、液体を吐出する装置、ヘッド駆動方法に関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドを駆動制御する場合、1駆動周期内で液体を吐出させる1又は複数の駆動信号(駆動パルス)を含む駆動波形を生成出力して液体吐出ヘッドの圧力発生手段に与えるものがある。
従来、記録媒体の種類を選択する記録媒体選択手段と、複数の画像濃度を選択する画像濃度選択手段とに基づいた信号に応じて、インク滴の吐出量が一定で、吐出速度の異なる複数の駆動電圧信号から適切な駆動電圧信号を選択する駆動電圧信号選択手段を有するインクジェット記録装置が知られている(特許文献1)。
特開平08−192512号公報
ところで、液体を付与する付与部材である印刷媒体などの種別(種類)によって、同じ液体量(吐出量)の液体を付与しても、形成されるドット径(ドットゲイン)が異なるという課題がある。
この場合、吐出速度を変化させてドット径を制御すると、吐出速度を速くしたときにはサテライトが増加し、吐出速度を遅くしたときには着弾位置精度が低下することになる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出速度を同じにしたまま吐出量を変化できるようにすることを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る駆動波形生成装置は、
液体吐出ヘッドから液体を吐出させる駆動波形を生成して出力する装置であって、
少なくとも、中間電位から立下がって前記液体吐出ヘッドの個別液室を膨張させる膨張波形要素と、前記膨張波形要素の立下り電位から立ち上がって前記膨張波形要素で膨張された前記個別液室を収縮させて液体を吐出させる収縮波形要素と、を含む駆動信号を生成する手段と、
前記駆動信号の前記収縮波形要素の波高値を変えないで、前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段と、を備えている
構成とした。
本発明によれば、吐出速度を同じにしたまま吐出量を変化できる。
本発明に係る液体を吐出する装置の一例を示す側面説明図である。 液体吐出ユニットの要部平面説明図である。 液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向の断面説明図である。 同じく液体吐出動作の説明に供する断面説明図である。 同装置の制御部の概要を示すブロック説明図である。 同制御部のヘッド駆動制御に係る部分の一例のブロック説明図である。 本発明の第1実施形態における駆動波形と非吐出駆動波形及び吐出駆動波形の一例の説明図である。 同駆動波形の詳細の説明に供する説明図である。 同駆動波形の吐出パルスの収縮波形要素の波高値を変えないで膨張波形要素の立下り電位を変化させた駆動波形の異なる例の説明に供する説明図である。 液体を吐出する装置における第1実施形態の各駆動波形の適用例の説明に供する媒体種別とドット径(ドットゲイン)の説明図である。 媒体種別の判別による駆動波形の生成の説明に供する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図1を参照して説明する。図1は同装置の概略説明図である。
この液体を吐出する装置は、フルライン型ヘッドを備える装置であり、装置本体1と乾燥時間を稼ぐ出口ユニット2とを並置している。
この装置においては、液体が付着するものである媒体10として連続紙を使用している。媒体10は、元巻きローラ11から巻き出され、搬送ローラ12〜18によって搬送されて、巻取りローラ21にて巻き取られる。なお、本発明を適用する装置はシート状媒体を使用するものでもよい。
この媒体10は、搬送ローラ13と搬送ローラ14との間で、搬送ガイド部材19上を液体吐出ユニット5に対向して搬送され、液体吐出ユニット5から吐出される液体によって画像が形成される。
ここで、液体吐出ユニット5には、例えば、媒体搬送方向上流側から、4色分のフルライン型ヘッドユニット51D、51C、51M、51Y(以下、色の区別しないときは「ヘッドユニット51」という。)が配置されている。各ヘッドユニット51は、それぞれ、搬送される付与部材である媒体10に対してブラックD,シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出して付与する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
ヘッドユニット51は、例えば、図2に示すように、複数の液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)100をベース部材52上に千鳥状に並べてヘッドアレイとしたものを使用しているが、これに限らない。また、ヘッドユニット51は、液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体供給するヘッドタンクとで構成しているが、これに限るものではなく、液体吐出ヘッド単独の構成でもよい。
次に、ヘッドユニットを構成する1つの液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)の断面説明図、図4は同じくノズル配列方向(液室短手方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板101と、流路板102と、振動板部材103とを接合している。そして、振動板部材103を変位させる圧電アクチュエータ111と、共通流路部材としてフレーム部材120とを備えている。
これにより、液滴を吐出する複数のノズル104に通じる個別液室(圧力室、加圧室などとも称される。)106、個別液室106に液体を供給する流体抵抗部を兼ねた液体供給路107と、液体供給路107に通じる液導入部108とを形成している。隣り合う個別液室106はノズル配列方向で隔壁106Aによって隔てられている。
そして、フレーム部材120の共通流路としての共通液室110から振動板部材103に形成したフィルタ部109を通じて、液導入部108、液体供給路107を経て複数の個別液室106に液体を供給する。
圧電アクチュエータ111は、振動板部材103の個別液室106の壁面を形成する変形可能な振動領域130を挟んで、個別液室106とは反対側に配置されている。
この圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に接合した複数の積層型圧電部材112を有している。圧電部材112にはハーフカットダイシングによって溝加工して、駆動波形を与える柱状の圧電素子(圧電柱)112Aと、支柱112Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
そして、圧電素子112Aを振動板部材103の振動領域130に形成した島状の凸部103aに接合している。また、支柱112Bを振動板部材103の凸部103bに接合している。
この圧電部材112は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられ、圧電素子112Aの外部電極に駆動波形を与えるための可撓性を有するフレキシブル配線基板としてのFPC115が接続されている。
フレーム部材120には、ヘッドタンクや液体カートリッジから液体が供給される共通液室110が形成されている。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子112Aに印加する電圧を中間電位Veから下げることによって圧電素子112Aが収縮し、振動板部材103の振動領域130が下降して個別液室106の容積が膨張することで、個別液室106内に液体が流入する。
その後、圧電素子112Aに印加する電圧を上げて圧電素子112Aを積層方向に伸長させ、振動板部材103の振動領域130をノズル104方向に変形させて個別液室106の容積を収縮させる。これにより、個別液室106内の液体が加圧され、ノズル104から液体が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子112Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材103の振動領域130が初期位置に復元し、個別液室106が膨張して負圧が発生するので、共通液室110から液体供給路107を通じて個別液室106内に液体が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
次に、この装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。なお、図5は同制御部のブロック説明図である。
この制御部は、この装置全体の制御を司るCPU511、ROM512、RAM513、I/Oななどを含むマイクロコンピュータと、画像メモリと、通信インタフェースなどで構成した主制御部(システムコントローラ)501を備えている。
主制御部501は、外部の情報処理装置(ホスト側)などから転送される画像データ及び各種コマンド情報に基づいて媒体に画像を形成するために、印刷制御部502に印刷用データを送出する。
印刷制御部502は、主制御部501から受領した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ503に出力する。
また、印刷制御部502は、内部ROMに格納されている共通駆動波形のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部を含み、1又は複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形をヘッドドライバ503に対して出力する。
ヘッドドライバ503は、シリアルに入力される1つのヘッドユニット51に相当する画像データに基づいて印刷制御部502から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して圧力発生手段としての圧電素子112Aに対して与えて液体を吐出させる。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
また、主制御部501は、モータドライバ504を介して、元巻きローラ11、搬送ローラ12〜18、巻取りローラ21などの各ローラ類510を駆動制御する。
また、主制御部501には各種センサからなるセンサ群506からの検出信号が入力され、また、操作部507との間で各種情報の入出力及び表示情報のやり取りを行う。
次に、ヘッド駆動制御に係る部分の一例について図6のブロック説明図を参照して説明する。
印刷制御部502は、本発明に係る駆動波形生成装置としての駆動波形生成部701を含んでいる。また、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号、駆動波形を構成する駆動パルスを選択する選択信号(滴制御信号)1〜4を出力するデータ転送部702を含んでいる。
ここで、駆動波形生成部701からは、1印刷周期(1駆動周期)内に、液体を吐出させる1又は複数の駆動パルス(駆動信号)が時系列で配置された駆動波形PVが生成出力される。
なお、選択信号1〜4は、ヘッドドライバ503のスイッチ手段であるアナログスイッチASの開閉を滴毎に指示する信号である。駆動波形PVの印刷周期(駆動周期)に合わせて選択すべき駆動パルス(又は波形要素で)Hレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ503は、シフトレジスタ711と、ラッチ回路712と、デコーダ713と、レベルシフタ714と、アナログスイッチアレイ715とを備えている。
シフトレジスタ711は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力する。ラッチ回路712は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチする。
デコーダ713は、階調データと選択信号をデコードして結果を出力する。レベルシフタ714は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASが動作可能なレベルへとレベル変換する。
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)される。
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、圧電素子112Aの個別電極に接続され、駆動波形生成部701からの駆動波形PVが入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と選択信号をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチASがオンにする。これにより、駆動波形PVを構成する所要の駆動信号である駆動パルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)、圧電素子112Aの個別電極に与えられる。
次に、本発明の第1実施形態における駆動波形と非吐出駆動波形及び吐出駆動波形について図7を参照して説明する。図7は同駆動波形の説明図である。なお、以下で説明する駆動波形は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
この駆動波形PVは、4つの駆動パルス(駆動信号)P1〜P4を時系列で含んでいる。駆動パルスP1は、液体を吐出させない程度にメニスカスを振動させる微駆動パルス(非吐出パルス)である。駆動パルスP2〜P4は、液体を吐出させる吐出パルスである。
吐出/非吐出を駆動するときには、駆動パルスP1は非吐出パルスP1と称し、駆動パルスP2〜P4は吐出パルスP2〜P4と称する。
そして、選択信号1〜4によって所要の駆動パルスP1〜P4を選択する。これにより、液体吐出ヘッドの圧電素子112Aに印加される波形として、非吐出パルスP1で非吐出駆動波形を、吐出パルスP4で小滴用吐出駆動波形を、吐出パルスP3、P4で中滴用吐出駆動波形を、吐出パルスP2〜P4で大滴用吐出駆動波形を形成することができる。
つまり、本実施形態では、複数の駆動信号を生成出力し、複数の駆動信号の1又は2以上の駆動信号を選択することで、小滴、中滴及び大滴という大きさの異なる液滴を形成することができる。そして、駆動波形PVの吐出パルスP4は、いずれの大きさの液滴を形成する場合にも共通して選択される駆動信号(吐出パルス)となる。
次に、本実施形態における駆動波形PVの波形要素の詳細について図8を参照して説明する。図8は同説明に供する説明図である。
まず、駆動波形PVは、上述したように、非吐出パルスP1、吐出パルスP2〜P4の4つの駆動パルスで構成されている。
ここで、吐出パルスP2、P3は、膨張波形要素(引き込み波形要素)a1と、保持波形要素b1と、収縮波形要素(押し込み波形要素)c1とを含む。
膨張波形要素a1は、中間電位Vmから所定の電位まで立下がって個別液室106を膨張させる。保持波形要素b1は、膨張波形要素a1による立下り電位を一定時間保持する。収縮波形要素c1は、保持波形要素b1で保持された電位からの中間電位Vmまで立ち上がって個別液室106を収縮させて液体を吐出させる。
なお、ここでは、吐出パルスP2、P3が同じ波形である例で説明しているが、異なってもよい。
吐出パルスP4は、膨張波形要素(引き込み波形要素)a2と、保持波形要素b2と、収縮波形要素(押し込み波形要素)c2と、保持波形要素d2と、膨張波形要素e2とを含む。
膨張波形要素a2は、中間電位Vmから所定の電位Vaまで立下がって個別液室106を膨張させる。保持波形要素b2は、膨張波形要素a1による立下り電位Vaを一定時間保持する。収縮波形要素c2は、保持波形要素b2で保持された電位Vaから中間電位Vmより高い電位Vhまで立ち上がって個別液室106を収縮させて液体を吐出させる。保持波形要素d2は、収縮波形要素c2により立ち上がり電位Vhを一定時間保持する。膨張波形要素e2は、電位Vhから中間電位Vmまで立下がって個別液室106を初期状態まで膨張させる。
この駆動波形PVにおいて、吐出パルスP4の膨張波形要素a2による立下り電位Vaと収縮波形要素c2による立ち上がり電位Vhとの差を波高値V1とする。
次に、第1実施形態における駆動波形の吐出パルスの収縮波形要素の波高値を変えないで膨張波形要素の立下り電位を変化させた駆動波形について図9も参照して説明する。図9は同説明に供する異なる駆動波形の説明図である。
基本駆動波形PV0は、図9(a)に示すように、吐出パルスP4の立下がり電位Vaを電位Va1とし、波高値V1が得られる収縮波形要素c2の立ち上がり電位Vhを電位Vh1としている。
また、第1駆動波形PV1は、図9(b)に示すように、駆動波形PVの最終段の駆動パルスであり、各滴サイズの滴形成に共通に選択される吐出パルスP4について、波高値V1を変化させないで、膨張波形要素a2による立下り電位Vaを高く変化させたものである。
つまり、第1駆動波形PV1は、吐出パルスP4の波高値V1を変化させないで、膨張波形要素a2による立下り電位Vaを電位Va2(Va2>Va1)としている。膨張波形要素a2による立下り電位Vaを高くすることで、膨張波形要素a2による引き込み量が少なくなる。このとき、波高値V1を変化させないので、収縮波形要素c2による立ち上がり電位Vhは電位Vh2(Vh2>Vh1)となり、初期位置を越えて押し込む押し込み量が多くなる。なお、初期位置とは、中間電位Vmを与えているときの振動領域130の位置である。
これにより、第1駆動波形PV1の吐出パルスP4で吐出される液体量(吐出量)は、基本駆動波形PV0の吐出パルスP4で吐出される量よりも多くなる。
第2駆動波形PV2は、図9(c)に示すように、駆動波形PVの最終段の駆動パルスであり、各滴サイズの滴形成に共通に選択される吐出パルスP4について、波高値V1を変化させないで、膨張波形要素a2による立下り電位Vaを低く変化させたものである。
つまり、第2駆動波形PV2は、吐出パルスP4の波高値V1を変化させないで、膨張波形要素a2による立下り電位Vaを電位Va3(Va3<Va1)としている。膨張波形要素a2による立下り電位Vaを低くすることで、膨張波形要素a2による引き込み量が多くなる。このとき、波高値V1を変化させないので、収縮波形要素c2による立ち上がり電位Vhは電位Vh3(Vh3<Vh1)となり、初期位置を越えて押し込む押し込み量が少なくなる。
これにより、第2駆動波形PV2の吐出パルスP4で吐出される液体量(吐出量)は、基本駆動波形PV0の吐出パルスP4で吐出される量よりも少なくなる。
このような第1駆動波形PV1、第2駆動波形PV2は、例えば基本駆動波形PV0の駆動波形データを読み出して吐出パルスP4についてのみ駆動波形データを補正した後D/A変換して生成することができる。
この構成では、駆動信号の収縮波形要素の波高値を変えないで、膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段は、吐出パルスP4の部分の駆動波形データを補正する手段で構成される。
また、予め、基本駆動波形PV0、第1駆動波形PV1及び第2駆動波形PV2の少なくとも2つの駆動波形データを作成保持しておき、いずれかの駆動波形データを読み出してD/A変換して生成することができる。
この構成では、駆動信号の収縮波形要素の波高値を変えないで、膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段は、基本駆動波形PV0、第1駆動波形PV1及び第2駆動波形PV2のいずれかの駆動波形データを選択する手段で構成される。
本実施形態では、2以上の大きさの滴の形成に使用する駆動パルス(駆動信号)の立下り電位Vaを変化させているので、2以上の大きさの滴について吐出量を調整することができる。上記実施形態のように、大滴、中滴、小滴を形成可能とし、小滴の形成に使用する駆動パルスを中滴、大滴の形成にも使用する構成とすることで、大滴、中滴、小滴のいずれの吐出量も調整できる。
また、2以上の大きさの滴の形成に使用する駆動パルスは、液体の吐出に係る駆動パルス(駆動信号)のうちの最後段の駆動パルスとすることで、最後段の駆動パルスには制振波形要素を含ませることができるので、吐出安定性を確保しやすくなる。
次に、液体を吐出する装置における第1実施形態の各駆動波形の適用例について図10を参照して説明する。図10は同説明に供する付与部材の種類(媒体種別という。)とドット径の説明図である。
基本駆動波形PV0は、基準の付与部材(印刷媒体)について、図10(a)に示すように、所望のドットゲイン(ドット径)が得られる液体量(これを「基準吐出量」という。)となる液滴を吐出する駆動波形である。
ここで、基準吐出量で吐出したときに目標ドット径に対して実際のドット径が小さくなる印刷媒体を使用する場合には、図10(b)に示すようにサテライトが視認されるようになったり、あるいは、印刷媒体上でスジが視認されやすくなる。
そこで、基本駆動波形PV0の全体に対して一律の倍率で電圧値補正を行うことでドット径を大きくしようとすると、サテライトが長くなったり、着弾位置精度が変化したり、吐出安定性の余裕度がなくなる。
これに対し、上述した第1駆動波形PV1のように、吐出パルスP4のみ波高値V1を変化させないで膨張波形要素a2の立下り電位Va2を基準駆動波形PV0の膨張波形要素a2の立下り電位Va1より高くして、引き込み量を少なくする。これにより、初期位置を越える押し込み量が多くなって吐出量が基準吐出量よりも多くなる。
このとき、波高値が変化していないので、吐出速度は大きく変化しないことから、サテライトや着弾位置精度の低下を抑制したまま吐出量を変化させることができる。
このように、部分的に吐出パルスの立下り電位を変化させて吐出量を変化させる構成は、特に、異なる種類のコート層を有する印刷媒体毎に少量の滴量(吐出量)変化を行う場合に有効である。
また、大きな異なる液滴の形成に共通して選択される吐出パルスについて立下り電位を変化させる構成とすることで、小滴、中滴、大滴のいずれについても吐出量を変化させることができる。
駆動波形は、波形構成が定まった場合、1つの吐出パルスの電圧値を少々変更しても吐出安定性への影響は軽微なため、本実施形態により、吐出特性(吐出速度、吐出安定性、サテライト長)をほとんど変えることなく、吐出量の調整ができるので、付与部材の種類によらず、所望のドット径のドットを形成することができる。
一方、基準吐出量で吐出したときに、図10(c)に示すように、目標ドット径に対して実際のドット径が大きくなる印刷媒体を使用する場合には、第2駆動波形PV2を使用することで、実際のドット径を目標ドット径に近づけることができる。
次に、媒体種別の判別による駆動波形の生成について図11を参照して説明する。図11は同説明に供する説明図である。
まず、記録解像度を選択し、媒体種別(大分類)を判別する。媒体種別(大分類)がコート紙であるときには、コート紙用基本駆動波形を選択し、媒体種別(大分類)がコート紙でないときには、普通紙用基本駆動波形を選択する。
次いで、媒体種別(小分類)を判別する。媒体種別(小分類)がドットゲイン大小に応じて、ドットゲイン情報(例えば補正テーブル又はスキャン情報)を参考にして、吐出パルスの立下り電位を補正して(変化させて)駆動波形を生成出力する。
なお、スキャン情報は、実際の媒体上でのドットを光学センサなどで読み取り、画像処理を行って実際のドット径を算出して得られたドット径情報である。
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
5 液体吐出ユニット
10 媒体
51 ヘッドユニット
100 液体吐出ヘッド(ヘッド)
106 個別液室
500 制御部
502 印刷制御部
503 ヘッドドライバ
701 駆動波形生成部
702 データ転送部

Claims (8)

  1. 液体吐出ヘッドから液体を吐出させる駆動波形を生成して出力する装置であって、
    少なくとも、中間電位から立下がって前記液体吐出ヘッドの個別液室を膨張させる膨張波形要素と、前記膨張波形要素の立下り電位から立ち上がって前記膨張波形要素で膨張された前記個別液室を収縮させて液体を吐出させる収縮波形要素と、を含む駆動信号を生成する手段と、
    前記駆動信号の前記収縮波形要素の波高値を変えないで、前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段と、を備えている
    ことを特徴とする駆動波形生成装置。
  2. 1駆動周期内において、時系列で、複数の前記駆動信号を含む駆動波形を生成し、
    複数の前記駆動信号は、1又は2以上の前記駆動信号が選択されることで異なる大きさの液滴を形成する駆動信号であり、
    複数の前記駆動信号の内の少なくとも1つの前記駆動信号について、前記収縮波形要素の波高値を変えないで、前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の駆動波形生成装置。
  3. 前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる前記駆動信号は、前記液体の吐出に係る駆動信号のうち時系列で最終段の前記駆動信号である
    ことを特徴とする請求項2に記載の駆動波形生成装置。
  4. 前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる前記駆動信号は、2以上の異なる大きさの液滴を形成するときに共通して選択される前記駆動信号である
    ことを特徴とする請求項2に記載の駆動波形生成装置。
  5. 液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の駆動波形生成装置と、を備えている
    ことを特徴とする液体を吐出する装置。
  6. 前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段は、前記液体が付与される付与部材の種別に応じて、前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
  7. 前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる手段は、予め前記付与部材の種別と前記膨張波形要素の立下り電位とを関連つけたテーブルを備えている
    ことを特徴とする請求項6に記載の液体を吐出する装置。
  8. 液体吐出ヘッドから液体を吐出させる駆動信号を生成出力し、前記駆動信号を前記液体吐出ヘッドに与えて液体を吐出させるヘッド駆動方法であって、
    少なくとも、中間電位から立下がって前記液体吐出ヘッドの個別液室を膨張させる膨張波形要素と、前記膨張波形要素の立下り電位から立ち上がって前記膨張波形要素で膨張された前記個別液室を収縮させて液体を吐出させる収縮波形要素と、を含む駆動信号を生成し、
    前記駆動信号の前記収縮波形要素の波高値を変えないで、前記膨張波形要素の立下り電位を変化させる
    ことを特徴とするヘッド駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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