JP2018001431A - 補強集成材の製造方法及び補強集成材 - Google Patents
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Abstract
【課題】木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる補強集成材の製造方法及び補強集成材を提供する。【解決手段】互いが積層状態で接合された一対の木製材2の積層面2a間に、断面円形状の節付き棒状補強材4を付着する補強集成材の製造方法であって、一対の木製材2の各積層面2a間に形成された装着溝3同士の間に、節付き棒状補強材4を挟み込んだ状態で、一対の木製材2同士を、積層面2aに直交する方向に加圧して、一対の木製材2に節付き棒状補強材4を付着する付着工程を備え、装着溝3の内面は、付着工程前に、節付き棒状補強材4の中心軸線Oに直交する断面視で直線状を呈し、付着工程時に、節付き棒状補強材4の外周部により圧縮変形させられる直線部3aを備える。【選択図】図2
Description
本発明は、補強集成材の製造方法及び補強集成材に関する。
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材を付着する補強集成材の製造方法が知られている。
しかしながら前記従来の補強集成材の製造方法では、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができないといった問題があった。
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる補強集成材の製造方法及び補強集成材を提供することを目的としている。
前記課題を解決するために、本発明に係る補強集成材の製造方法は、互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材を付着する補強集成材の製造方法であって、前記一対の木製材の各積層面間に形成された装着溝同士の間に、前記節付き棒状補強材を挟み込んだ状態で、一対の前記木製材同士を、前記積層面に直交する方向に加圧して、一対の前記木製材に前記節付き棒状補強材を付着する付着工程を備え、前記装着溝の内面は、前記付着工程前に、前記節付き棒状補強材の中心軸線に直交する断面視で直線状を呈し、前記付着工程時に、前記節付き棒状補強材の外周部により圧縮変形させられる直線部を備えることを特徴とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る補強集成材は、互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材が付着された補強集成材であって、前記補強集成材の製造方法により製造されることを特徴とする。
これらの発明によれば、装着溝の内面が、付着工程前に、節付き棒状補強材の中心軸線に直交する断面視で直線状を呈し、付着工程時に節付き棒状補強材の外周部により圧縮変形させられる直線部を備えているので、付着工程時に、一対の木製材同士を加圧する過程において、節付き棒状補強材の外周部が、装着溝の内面における前記直線部にめり込んでいくこととなる。
このため、節付き棒状補強材の外周部が、例えば曲率を有する装着溝の内面にめり込む場合と比べて、節付き棒状補強材の外周部のうち、装着溝の内面にめり込む部分の周方向の長さを過度に長くしなくても、深くめり込ませることができる。これにより、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
このため、節付き棒状補強材の外周部が、例えば曲率を有する装着溝の内面にめり込む場合と比べて、節付き棒状補強材の外周部のうち、装着溝の内面にめり込む部分の周方向の長さを過度に長くしなくても、深くめり込ませることができる。これにより、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
ここで、前記装着溝の内面は、前記付着工程前に、複数の前記直線部と、前記中心軸線回りに互いに隣り合う前記直線部同士を接続する角部と、を備えていてもよい。
この場合には、付着工程時に、装着溝の内面の角部が、節付き棒状補強材の外周部と当接せず、両者間に空間が形成されるので、節付き棒状補強材が、装着溝の内面の直線部にめり込んだ際に、装着溝の内面が、当該空間を埋めるように変形する。このため、装着溝の内面の変形を促すことができ、装着溝の内面に対して、節付き棒状補強材の外周部をめり込みやすくすることができる。これにより、節付き棒状補強材の外周部の装着溝の内面へのめり込み深さを確保することができる。
この場合には、付着工程時に、装着溝の内面の角部が、節付き棒状補強材の外周部と当接せず、両者間に空間が形成されるので、節付き棒状補強材が、装着溝の内面の直線部にめり込んだ際に、装着溝の内面が、当該空間を埋めるように変形する。このため、装着溝の内面の変形を促すことができ、装着溝の内面に対して、節付き棒状補強材の外周部をめり込みやすくすることができる。これにより、節付き棒状補強材の外周部の装着溝の内面へのめり込み深さを確保することができる。
また、前記付着工程の前に、前記装着溝同士の間に前記節付き棒状補強材を挟み込むセット工程をさらに有し、前記装着溝は、前記セット工程前において、前記一対の木製材同士を互いに積層させた際に、前記断面視において、前記積層面と直交する中心線を基準として対称となる正多角形状をなしていてもよい。
この場合には、節付き棒状補強材の外周部が、装着溝の内面に対して周方向に均等にめり込んでいくため、節付き棒状補強材を一対の木製材に周方向に均等に付着させることができる。
この場合には、節付き棒状補強材の外周部が、装着溝の内面に対して周方向に均等にめり込んでいくため、節付き棒状補強材を一対の木製材に周方向に均等に付着させることができる。
また、前記正多角形状は、正四角形状又は正六角形状であってもよい。
この場合には、装着溝が正四角形状又は正六角形状であるため、装着溝の形状を容易に加工でき、補強集成材の製造コストを抑えることができる。
この場合には、装着溝が正四角形状又は正六角形状であるため、装着溝の形状を容易に加工でき、補強集成材の製造コストを抑えることができる。
また、予め取得した前記木製材同士の加圧荷重と、前記一対の木製材に対する前記節付き棒状補強材の長手方向の付着強度と、の関係に基づき、所望する前記付着強度が得られる加圧荷重を求め、得られた加圧荷重により、付着工程時に一対の前記木製材同士を加圧してもよい。
この場合には、予め取得された木製材同士の加圧荷重と、木製材に対する節付き棒状補強材の付着強度と、の関係に基づいて、付着工程時の加圧荷重を決めるため、所望する付着強度を有する補強集成材を容易かつ精度よく形成することができる。
この場合には、予め取得された木製材同士の加圧荷重と、木製材に対する節付き棒状補強材の付着強度と、の関係に基づいて、付着工程時の加圧荷重を決めるため、所望する付着強度を有する補強集成材を容易かつ精度よく形成することができる。
また、本発明に係る補強集成材は、互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材が付着された補強集成材であって、前記節付き棒状補強材は、前記一対の木製材の各積層面に形成された装着溝内に配設され、前記装着溝の内面には、周方向に間隔をあけて、径方向に延びる条又は隙間が複数形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、装着溝の内面に、周方向に間隔をあけて、径方向に延びる条又は隙間が複数形成されているので、装着溝の内面に対して、節付き棒状補強材の外周部が、全周にわたって当接しておらず、前記外周部のうちの一部が装着溝の内面に当接している。
このため、この補強集成材の製造時において、木製材の積層面間に節付き棒状補強材を挟み込んで加圧する際に、前記外周部のうちの一部を装着溝の内面に強く圧接させ、深くめり込ませることができる。これにより、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
このため、この補強集成材の製造時において、木製材の積層面間に節付き棒状補強材を挟み込んで加圧する際に、前記外周部のうちの一部を装着溝の内面に強く圧接させ、深くめり込ませることができる。これにより、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
本願の請求項1、6、7に係る発明によれば、木製材に対する節付き棒状補強材の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
本願の請求項2に係る発明によれば、節付き棒状補強材の外周部の装着溝の内面へのめり込み深さを確保することができる。
本願の請求項3に係る発明によれば、節付き棒状補強材を一対の木製材に周方向に均等に付着させることができる。
本願の請求項4に係る発明によれば、補強集成材の製造コストを抑えることができる。
本願の請求項5に係る発明によれば、所望する付着強度を有する補強集成材を容易かつ精度よく形成することができる。
以下、図1から図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る補強集成材の製造方法及び補強集成材について説明する。
本実施形態に係る補強集成材の製造方法は、互いが積層状態で接合された一対の木製材2の積層面2a間に、断面円形状の節付き棒状補強材4を付着する補強集成材1の製造方法であって、一対の木製材2の各積層面2a間に形成された装着溝3同士の間に、節付き棒状補強材4を挟み込むセット工程と、一対の木製材2同士を、積層面2aに直交する方向に加圧して、一対の木製材2に節付き棒状補強材4を付着する付着工程と、を備えている。
本実施形態に係る補強集成材の製造方法は、互いが積層状態で接合された一対の木製材2の積層面2a間に、断面円形状の節付き棒状補強材4を付着する補強集成材1の製造方法であって、一対の木製材2の各積層面2a間に形成された装着溝3同士の間に、節付き棒状補強材4を挟み込むセット工程と、一対の木製材2同士を、積層面2aに直交する方向に加圧して、一対の木製材2に節付き棒状補強材4を付着する付着工程と、を備えている。
セット工程では、図1に示すように、一対の木製材2が、積層面2aを互いに対向させて配置される。木製材2は長尺の木製構造用板材であり、一対の木製材2の間には、節付き棒状補強材4が配設される。以下、節付き棒状補強材4の中心軸線Oに沿う方向を長手方向とする。また、中心軸線Oに直交する断面視において、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、径方向のうち、積層面2a同士が対向する方向を対向方向という。
木製材2の積層面2aには、外方に向けて開口する装着溝3が形成されている。また、木製材2において、それぞれの装着溝3は、互いに対向する位置に形成されている。
図1に示すように、節付き棒状補強材4は、断面円形状の鋼製の棒材であり、図示の例では、木製材2と長手方向において同等の寸法となっている。なお、節付き棒状補強材4としては、木製材2よりも長手方向に短くてもよい。
図1に示すように、節付き棒状補強材4は、断面円形状の鋼製の棒材であり、図示の例では、木製材2と長手方向において同等の寸法となっている。なお、節付き棒状補強材4としては、木製材2よりも長手方向に短くてもよい。
また本実施形態では、節付き棒状補強材4として、拡径された節部が長手方向に沿って間欠的に形成された異形鉄筋が採用されているが、節付き棒状補強材4は異形鉄筋でなくてもよい。すなわち、節付き棒状補強材4は鋼製でなくてもよい。また、節付き棒状補強材4の断面形状としては、真円に限らず、例えば楕円や長円等の円形状であってもよい。
そしてセット工程では、図2に示すように、装着溝3内に節付き棒状補強材4が装着された状態で、一対の木製材2同士を互いに対向方向に近接させて配置する。ここで、装着溝3は、節付き棒状補強材4の径方向のうちのいずれか一方向において、節付き棒状補強材4よりも半径が小さくなっているため、セット工程後の状態においては、一対の木製材2の積層面2a同士は、当接することなく、隙間δ1をあけて対向している。この際、隙間δ1間に接着剤が介在するように、予め積層面2aに接着剤を塗布しておいてもよい。
付着工程では、図2に示す状態から、一対の木製材2を互いに積層面2aと直交する対向方向に加圧する。すると、図3に示すように、隙間δ1を無くすように積層面2a同士が当接する。この際、節付き棒状補強材4の外周部は、装着溝3の内面に押圧されることにより、装着溝3の内面にめり込むこととなる。これにより、装着溝3の内面は節付き棒状補強材4の外周部により圧縮変形させられ、節付き棒状補強材4の外周部の形状に沿った形状となる。
そして本実施形態では、装着溝3の内面は、付着工程前に、節付き棒状補強材4の中心軸線Oに直交する断面視で直線状を呈し、付着工程時に節付き棒状補強材4の外周部により圧縮変形させられる直線部3aを備えている。すなわち、セット工程前に節付き棒状補強材4を介在させずに、積層面2a同士を当接させて積層した状態で、前記断面視において、装着溝3の内面のうち、一対の木製材2の各装着溝3がなす内面形状の重心位置から最も近くに位置する部分が直線状に形成されている。ここで、前記重心位置は中心軸線Oと一致している。
また本実施形態では、装着溝3の内面は、付着工程前に、複数の直線部3aと、中心軸線O回りに互いに隣り合う直線部3a同士を接続する角部3bと、を備えている。すなわち、付着工程前に節付き棒状補強材4を介在させて、積層面2a同士を当接させて積層した状態で、前記断面視において、装着溝3のうち、一対の木製材2の各装着溝3がなす内面形状の重心位置から最も遠くに位置する部分には、空間Sが形成されている。
また本実施形態では、装着溝3は、セット工程前において、節付き棒状補強材4を介在させずに、一対の木製材2同士を互いに積層させた際に、前記断面視において、積層面2aと直交する中心線Lを基準として対称となる正多角形状をなしている。図示の例では、各装着溝3の内面は、前記断面視で中心線L上に1つの頂点が位置する三角形状をなしており、残りの2つの頂点は、積層面2a上に位置している。そしてこのように形成された装着溝3は、節付き棒状補強材4を介在させずに一対の木製材2同士を互いに積層させた際に、正四角形状をなす。このため、装着溝3の形状を容易に加工でき、補強集成材1の製造コストを抑えることができる。なお、装着溝3は、節付き棒状補強材4を介在させずに一対の木製材2同士を互いに積層させた際に、正六角形状をなしていてもよい。
また、装着溝3の内面は、木製材2のセット工程後の状態において、節付き棒状補強材4の外周部と4箇所で当接している。
また、装着溝3の内面は、木製材2のセット工程後の状態において、節付き棒状補強材4の外周部と4箇所で当接している。
また本実施形態では、予め取得した木製材2同士の加圧荷重と、一対の木製材2に対する節付き棒状補強材4の長手方向の付着強度と、の関係に基づき、所望する付着強度が得られる加圧荷重を求め、得られた加圧荷重により、付着工程時に一対の木製材2同士を加圧している。すなわち、予め一定数量の補強集成材1を、付着工程時の木製材2同士の加圧荷重を管理して製造し、それらの付着強度としての付着応力度をそれぞれ評価する。これにより、図4に示すような木製材2同士の加圧荷重と、木製材2に対する節付き棒状補強材4の付着応力度(付着強度)と、の関係を示すグラフを作成する。そして、このグラフを参照し、目標性能としての付着応力度を超える加圧荷重を求めている。
ここで、付着応力度とは、積層状態に接合された一対の木製材2の積層面2a間から、節付き棒状補強材4を長手方向に引き抜く際の力を、積層面2a間に配設されていた節付き棒状補強材4の表面積で除した値である。また、節付き棒状補強材4の表面積として、拡径部である節部の周長と、積層面2a間に位置する節付き棒状補強材4の長手方向の全長と、の積を近似的に採用することができる。
図示の例では、例えば目標性能としての付着応力度を1.8N/mm2とすると、圧着時の荷重として25kN以上という値が求められる。
図示の例では、例えば目標性能としての付着応力度を1.8N/mm2とすると、圧着時の荷重として25kN以上という値が求められる。
ここで、図4に示したグラフに対して、節付き棒状補強材4を介在させずに一対の木製材2同士を互いに積層させた際の装着溝3の形状が、四角孔(正四角形状)及び六角孔(正六角形状)であり、かつ付着応力度が目標性能である1.8N/mm2以上となったサンプルのみを抜粋したグラフを図5に示す。
このグラフによると、付着応力度が目標性能以上の領域においては、加圧荷重が大きくなると、六角孔よりも四角孔であるほうが、付着応力度が大きくなることが確認できた。これは、四角孔の方が六角孔に比べて辺の数が少なく、節付き棒状補強材4の外周部の一部が、装着溝3の内面により強く圧接することにより、より深くめり込むことが影響している。
このグラフによると、付着応力度が目標性能以上の領域においては、加圧荷重が大きくなると、六角孔よりも四角孔であるほうが、付着応力度が大きくなることが確認できた。これは、四角孔の方が六角孔に比べて辺の数が少なく、節付き棒状補強材4の外周部の一部が、装着溝3の内面により強く圧接することにより、より深くめり込むことが影響している。
そして、本実施形態に係る補強集成材の製造方法により製造された補強集成材1は、互いが積層状態で接合された一対の木製材2の積層面2a間に、断面円形状の節付き棒状補強材4が付着された補強集成材であって、節付き棒状補強材4は、一対の木製材2の各積層面2aに形成された装着溝3内に配設され、装着溝3の内面には、周方向に間隔をあけて、径方向に延びる隙間Sが複数形成されている。
図示の例では、隙間Sは、周方向に等間隔をあけて4つ形成されている。なお、隙間Sは図示の例に限られず、周方向の寸法が小さい条(すじ)状に形成されていてもよい。
また、節付き棒状補強材4の外周部のうち、拡径された節部のみが装着溝3の内面にめり込んでおり、拡径されていない部分は装着溝3の内面に当接していない。なお、拡径されていない部分が装着溝3の内面に当接していてもよい。
また、節付き棒状補強材4の外周部のうち、拡径された節部のみが装着溝3の内面にめり込んでおり、拡径されていない部分は装着溝3の内面に当接していない。なお、拡径されていない部分が装着溝3の内面に当接していてもよい。
以上説明したように、本実施形態における補強集成材の製造方法、及びこれにより製造された補強集成材1によれば、装着溝3の内面が、付着工程前に、前記断面視で直線状を呈し、付着工程時に節付き棒状補強材4の外周部により圧縮変形させられる直線部3aを備えているので、付着工程時に、一対の木製材2同士を加圧する過程において、節付き棒状補強材4の外周部が、装着溝3の内面における直線部3aにめり込んでいくこととなる。
このため、節付き棒状補強材4の外周部が、例えば曲率を有する装着溝3の内面にめり込む場合と比べて、節付き棒状補強材4の外周部のうち、装着溝3の内面にめり込む部分の周方向の長さを過度に長くしなくても、深くめり込ませることができる。これにより、木製材2に対する節付き棒状補強材4の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
また、装着溝3の内面が、付着工程前に、複数の直線部3aと、中心軸線O回りに互いに隣り合う直線部3a同士を接続する角部3bと、を備えているので、付着工程時に、装着溝3の内面の角部3bが、節付き棒状補強材4の外周部と当接せず、両者間に空間Sが形成される。このため、節付き棒状補強材4が、装着溝3の内面の直線部3aにめり込んだ際に、装着溝3の内面が、空間Sを埋めるように変形することで、装着溝3の内面の変形を促すことができ、装着溝3の内面に対して、節付き棒状補強材4の外周部をめり込みやすくすることができる。これにより、節付き棒状補強材4の外周部の装着溝3の内面へのめり込み深さを確保することができる。
また、装着溝3が、セット工程前において、一対の木製材2同士を互いに積層させた際に、前記断面視において、積層面2aと直交する中心線Lを基準として対称となる正多角形状をなしているので、節付き棒状補強材4の外周部が、装着溝3の内面に対して周方向に均等にめり込んでいく。これにより、節付き棒状補強材4を一対の木製材2に周方向に均等に付着させることができる。
また、予め取得した木製材2同士の加圧荷重と、木製材2に対する節付き棒状補強材4の付着強度と、の関係に基づき、所望する付着強度が得られる加圧荷重を求め、得られた加圧荷重により、付着工程時に一対の木製材2同士を加圧しているので、所望する付着強度を有する補強集成材1を容易かつ精度よく形成することができる。
また、このように製造された補強集成材1によれば、装着溝3の内面に、周方向に間隔をあけて、径方向に延びる隙間Sが複数形成されているので、装着溝3の内面に対して、節付き棒状補強材4の外周部が、全周にわたって当接しておらず、節付き棒状補強材4の外周部のうちの一部4aが装着溝3の内面に当接している。
このため、この補強集成材1の製造時において、木製材2の積層面2a間に節付き棒状補強材4を挟み込んで加圧する際に、節付き棒状補強材4の外周部のうちの一部4aを装着溝3の内面に強く圧接させ、深くめり込ませることができる。これにより、木製材2に対する節付き棒状補強材4の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
このため、この補強集成材1の製造時において、木製材2の積層面2a間に節付き棒状補強材4を挟み込んで加圧する際に、節付き棒状補強材4の外周部のうちの一部4aを装着溝3の内面に強く圧接させ、深くめり込ませることができる。これにより、木製材2に対する節付き棒状補強材4の長手方向の付着強度を十分に確保することができる。
次に、図6及び図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6及び図7に示すように、本実施形態における補強集成材の製造方法では、一対の木製材12に形成された装着溝13が、セット工程前に節付き棒状補強材4を介在させずに、積層面2a同士を当接させて積層した状態で、2つの角部が積層面2a上に位置する正六角形状をなすように形成されている。そして、図6に示すように、節付き棒状補強材4の外周部は、セット工程後において、装着溝13の内面に6箇所で当接している。
このような構成を採用することで、装着溝13の内面に対して節付き棒状補強材4の外周部が当接する箇所を増やすことができる。このため、装着溝13の内面に節付き棒状補強材4の外周部が当接することによる面圧を抑えることができ、図7に示す付着工程後に得られた補強集成材11において、木材の強度のバラつきにより、木製材12に割れが発生するのを抑えることができる。
このような構成を採用することで、装着溝13の内面に対して節付き棒状補強材4の外周部が当接する箇所を増やすことができる。このため、装着溝13の内面に節付き棒状補強材4の外周部が当接することによる面圧を抑えることができ、図7に示す付着工程後に得られた補強集成材11において、木材の強度のバラつきにより、木製材12に割れが発生するのを抑えることができる。
次に、以上説明した作用効果の検証試験について説明する。
この検証試験では、比較例である補強集成材、第1実施形態に係る補強集成材1、及び第2実施形態に係る補強集成材11を評価サンプルとして、それぞれの装着溝の深さを変化させた際の付着応力度の値の変化を評価した。付着応力度は、補強集成材の長手方向が上下方向と一致するように固定した状態で、節付き棒状補強材を上方に向けて引き抜いた際の力を計測し、算出した。
なお、比較例の補強集成材として、セット工程前に節付き棒状補強材を介在させずに、積層面同士を当接させて積層した状態で、装着溝が円形状をなすものを採用した。それぞれの補強集成材において、節付き棒状補強材の径は16mmとし、装着溝の対向方向の深さの2倍を孔径とした。また、評価数はそれぞれの条件においてN=3とした。
なお、比較例の補強集成材として、セット工程前に節付き棒状補強材を介在させずに、積層面同士を当接させて積層した状態で、装着溝が円形状をなすものを採用した。それぞれの補強集成材において、節付き棒状補強材の径は16mmとし、装着溝の対向方向の深さの2倍を孔径とした。また、評価数はそれぞれの条件においてN=3とした。
その結果、比較例である補強集成材においては、孔径15mmにおいて付着応力度の平均値が最も大きく、補強集成材1においては、孔径16.8mmにおいて付着応力度の平均値が最も大きく、補強集成材11においては、孔径16mmにおいて付着応力度の平均値が最も大きいことが確認された。なお、木材の強度のバラつきを考慮し、今回の検証試験では平均値を用いて比較している。
これらの各評価サンプルにおいて、付着応力度の平均値が最大を示した孔径での値のみを抜粋したグラフを図8に示す。これによると、比較例である補強集成材において、付着応力度の平均値が2.4N/mm2であり、補強集成材1において、付着応力度の平均値が3.3N/mm2であり、補強集成材11において、付着応力度の平均値が3N/mm2であることが確認された。
すなわち、セット工程前に節付き棒状補強材を介在させずに、積層面同士を当接させて積層した状態での装着溝が、正方形状をなす補強集成材1において、最も付着応力度が大きく、円形状をなす比較例である補強集成材において、最も付着応力度が小さいことが確認された。これにより、第1実施形態及び第2実施形態に係る補強集成材1、11では、比較例である補強集成材よりも付着応力度が大きく、本発明の効果が確認された。
すなわち、セット工程前に節付き棒状補強材を介在させずに、積層面同士を当接させて積層した状態での装着溝が、正方形状をなす補強集成材1において、最も付着応力度が大きく、円形状をなす比較例である補強集成材において、最も付着応力度が小さいことが確認された。これにより、第1実施形態及び第2実施形態に係る補強集成材1、11では、比較例である補強集成材よりも付着応力度が大きく、本発明の効果が確認された。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、装着溝3、13の内面は、付着工程前に、複数の直線部3aと、中心軸線O回りに互いに隣り合う直線部3a同士を接続する角部3bと、を備える構成を示したが、このような態様に限られない。装着溝の内面は、複数の直線部を備えていなくてもよいし、角部を介して互いにつながっていなくてもよい。
また、上記実施形態においては、装着溝3、13は、セット工程前において一対の木製材同士を互いに積層させた際に、前記断面視において、積層面2aと直交する中心線Lを基準として対称となる正多角形状をなす構成を示したが、このような態様に限られない。装着溝は、前記断面視において、積層面上に角部が位置する正多角形状でなくてもよく、例えば、互いに対向する積層面を基準として非対称な形状や、前記断面視において、曲線と直線とにより形成された形状等であってもよい。
また、上記実施形態においては、予め取得した木製材2、12同士の加圧荷重と、木製材2、12に対する節付き棒状補強材4の付着強度と、の関係に基づき、所望する付着強度が得られる加圧荷重を求め、得られた加圧荷重により、付着工程時に一対の木製材同士を加圧する構成を示したが、このような態様に限られない。付着工程における加圧荷重は、任意に設定することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、11 補強集成材
2、12 木製材
2a 積層面
3、13 装着溝
3a 直線部
3b 角部
4 節付き棒状補強材
2、12 木製材
2a 積層面
3、13 装着溝
3a 直線部
3b 角部
4 節付き棒状補強材
Claims (7)
- 互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材を付着する補強集成材の製造方法であって、
前記一対の木製材の各積層面間に形成された装着溝同士の間に、前記節付き棒状補強材を挟み込んだ状態で、一対の前記木製材同士を、前記積層面に直交する方向に加圧して、一対の前記木製材に前記節付き棒状補強材を付着する付着工程を備え、
前記装着溝の内面は、前記付着工程前に、前記節付き棒状補強材の中心軸線に直交する断面視で直線状を呈し、前記付着工程時に、前記節付き棒状補強材の外周部により圧縮変形させられる直線部を備えることを特徴とする補強集成材の製造方法。 - 前記装着溝の内面は、前記付着工程前に、複数の前記直線部と、前記中心軸線回りに互いに隣り合う前記直線部同士を接続する角部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の補強集成材の製造方法。
- 前記付着工程の前に、前記装着溝同士の間に前記節付き棒状補強材を挟み込むセット工程をさらに有し、
前記装着溝は、前記セット工程前において、前記一対の木製材同士を互いに積層させた際に、前記断面視において、前記積層面と直交する中心線を基準として対称となる正多角形状をなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の補強集成材の製造方法。 - 前記正多角形状は、正四角形状又は正六角形状であることを特徴とする請求項3に記載の補強集成材の製造方法。
- 予め取得した前記木製材同士の加圧荷重と、前記一対の木製材に対する前記節付き棒状補強材の長手方向の付着強度と、の関係に基づき、所望する前記付着強度が得られる加圧荷重を求め、得られた加圧荷重により、前記付着工程時に一対の前記木製材同士を加圧することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の補強集成材の製造方法。
- 互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材が付着された補強集成材であって、
請求項1から5のいずれか1項に記載の補強集成材の製造方法により製造されることを特徴とする補強集成材。 - 互いが積層状態で接合された一対の木製材の積層面間に、断面円形状の節付き棒状補強材が付着された補強集成材であって、
前記節付き棒状補強材は、前記一対の木製材の各積層面に形成された装着溝内に配設され、
前記装着溝の内面には、周方向に間隔をあけて、径方向に延びる条又は隙間が複数形成されていることを特徴とする補強集成材。
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JP2016126922A JP2018001431A (ja) | 2016-06-27 | 2016-06-27 | 補強集成材の製造方法及び補強集成材 |
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KR102254015B1 (ko) * | 2020-01-07 | 2021-05-20 | 정동현 | 내외장 빔과 결합된 목재 집성구조재 |
WO2022231029A1 (ko) * | 2021-04-29 | 2022-11-03 | 정동현 | 내외장 빔과 결합된 목재 집성재 |
-
2016
- 2016-06-27 JP JP2016126922A patent/JP2018001431A/ja active Pending
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