JP2018000049A - 蛍光標識プローブ、核酸増幅反応用試薬、および核酸増幅反応方法 - Google Patents

蛍光標識プローブ、核酸増幅反応用試薬、および核酸増幅反応方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光を高感度で検出することができる蛍光標識プローブを提供する。
【解決手段】29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、前記オリゴヌクレオチドに結合されたレポーター色素と、前記オリゴヌクレオチドに結合されたクエンチャーと、を含み、前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記レポーター色素と前記クエンチャーとの間の塩基数は、30塩基以下である、蛍光標識プローブ。
【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光標識プローブ、核酸増幅反応用試薬、および核酸増幅反応方法に関する。
近年、遺伝子の利用技術の発展により、遺伝子診断や遺伝子治療など遺伝子を利用した医療が注目されている他、農畜産分野においても品種判別や品種改良に遺伝子を用いた手法が多く開発されている。遺伝子を利用するための技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法などの技術が広く普及している。今日では、PCR法は生体物質の情報解明において必要不可欠な技術となっている。
PCR法は、増幅の対象とする核酸(標的核酸)および試薬を含む溶液(反応液)に熱サイクルを施すことで、標的核酸を増幅させる手法である。熱サイクルは、2段階以上の温度を周期的に反応液に施す処理である。PCR法においては、2段階または3段階の熱サイクルを施す手法が一般的である。
例えば非特許文献1には、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定するリアルタイムPCR法において、蛍光標識プローブとして、約20塩基からなる塩基配列を有する加水分解プローブを用いることが記載されている。
Thermo Scientific,DyNAmo Flash Probe qPCR Kit,DyNAmo ColorFlash Probe qPCR Kit,#F−455L:<URL:https://tools.thermofisher.com/content/sfs/manuals/MAN0012908_DyNAmo_Flash_Probe_qPCR_F455L_UG.pdf>
しかしながら、非特許文献1に記載のプローブでは、塩基長が短い(塩基の数が少ない)ため、例えば、PCRの反応時間(変性反応のための時間や、アニーリング反応/伸長反応のための時間)を短縮させると(PCRを高速化させると)、核酸と十分にハイブリダイゼーションせず、反応液からの蛍光を高感度で検出することができない場合があった。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、蛍光を高感度で検出することができる蛍光標識プローブを提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、蛍光を高感度で検出することができる核酸増幅反応用試薬を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、蛍光を高感度で検出することができる核酸増幅反応方法を提供することにある。
本発明に係る蛍光標識プローブは、
29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、
前記オリゴヌクレオチドに結合されたレポーター色素と、
前記オリゴヌクレオチドに結合されたクエンチャーと、
を含み、
前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記レポーター色素と前記クエンチャーとの間の塩基数は、30塩基以下である。
このような蛍光標識プローブでは、蛍光を高感度で検出することができる(後述する「5. 実験例」参照)。
本発明に係る蛍光標識プローブにおいて、
前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記レポーター色素と前記クエンチャーとの間の塩基数は、20塩基以下であってもよい。
このような蛍光標識プローブでは、蛍光をより高感度で検出することができる。
本発明に係る蛍光標識プローブにおいて、
前記オリゴヌクレオチドは、29塩基以上40塩基以下の塩基配列を有していてもよい。
このような蛍光標識プローブでは、より確実に、鋳型核酸の所望の部分にハイブリダイゼーションすることができる。
本発明に係る蛍光標識プローブにおいて、
前記レポーター色素および前記クエンチャーの少なくとも一方は、前記オリゴヌクレオチドの末端には、結合されていなくてもよい。
このような蛍光標識プローブでは、オリゴヌクレオチドが塩基数の多い塩基配列を有していても、オリゴヌクレオチドにおいて、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数を少なくすることができる。
本発明に係る核酸増幅反応用試薬は、
本発明に係る蛍光標識プローブを含む。
このような核酸増幅反応用試薬では、本発明に係る蛍光標識プローブを含むため、蛍光を高感度で検出することができる。
本発明に係る核酸増幅反応方法は、
本発明に係る核酸増幅反応試薬と核酸とを含む反応液に、熱サイクルを付与する。
このような核酸増幅反応方法では、本発明に係る核酸増幅反応用試薬を用いるため、蛍光を高感度で検出することができる。
本発明に係る核酸増幅反応方法において、
前記熱サイクルにおいて、アニーリング反応および伸長反応のための加熱時間は、1秒以上10秒以下であってもよい。
このような核酸増幅反応方法では、PCRの反応時間の短縮化(PCRの高速化)を図ることができる。
本実施形態に係る蛍光標識プローブを説明するための図。 本実施形態に係る蛍光標識プローブを説明するための図。 本実施形態に係る蛍光標識プローブを説明するための図。 本実施形態に係る蛍光標識プローブを説明するための図。 本実施形態に係る核酸増幅反応用カートリッジを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応用カートリッジを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応用カートリッジを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応用カートリッジを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置を模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置を模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置を模式的に示す分解斜視図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る核酸増幅反応装置の機能ブロック図。 本実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャート。 蛍光標識プローブの塩基配列を変えた場合のPCR結果を示すグラフ。 標準条件および高速条件におけるPCR結果を示すグラフ。 標準条件および高速条件における電気泳動評価の結果を示す写真。 蛍光標識プローブの塩基配列を変えた場合のPCR結果を示すグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 蛍光標識プローブ
まず、本実施形態に係る蛍光標識プローブについて説明する。図1は、本実施形態に係る蛍光標識プローブ1を説明するための図である。
蛍光標識プローブ1は、PCRにおいて、核酸の増幅量を定量するために用いられる。具体的には、蛍光標識プローブ1は、反応液からの蛍光をリアルタイムに測定するリアルタイムPCRに用いられる。蛍光標識プローブ1は、例えば、加水分解プローブである。蛍光標識プローブ1は、図1に示すように、オリゴヌクレオチド2と、レポーター色素4Rと、クエンチャー4Qと、を含む。
オリゴヌクレオチド2は、複数のヌクレオチドがホスホジエステル結合で重合したものである。オリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドは、dATP(Deoxyadenosine triphosphate)、dCTP(Deoxycytidine triphosphate)、dGTP(Deoxyguanosine triphosphate)、またはdTTP(Thymidine triphosphate)である。
オリゴヌクレオチド2は、標的核酸となる鋳型核酸と相補的塩基対を構成することができる塩基配列を有している。鋳型核酸は、DNA(Deoxyribo Nucleic
Acid)、またはRNA(Ribo Nucleic Acid)である。
オリゴヌクレオチド2は、29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有している。すなわち、オリゴヌクレオチド2を構成するヌクレオチドの数は、29以上50以下である。好ましくは、オリゴヌクレオチド2は、29塩基以上40塩基以下の塩基配列を有している。
レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2に結合している。レポーター色素4Rは、例えば、一本鎖DNAにハイブリダイゼーション(アニーリング)して二本鎖構造を形成していている間、レポーター色素4Rに近接しているクエンチャー4Qによって(クエンチング効果によって)、発光が抑制されている。しかし、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって蛍光標識プローブ1が加水分解されると、クエンチング効果が解消し、レポーター色素4Rは、発光する。この発光により、核酸の増幅量を定量することができる。
レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2を構成するヌクレオチドのうちdTTPに結合する。なお、レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2の5´末端および3´末端に限り、dATPにも結合することができる。図示の例では、レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2のうちレポーター結合ヌクレオチド2Rに結合し、クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2のうちクエンチャー結合ヌクレオチド2Qに結合している。
オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数は、30塩基以下である。すなわち、オリゴヌクレオチド2において、レポーター結合ヌクレオチド2Rとクエンチャー結合ヌクレオチド2Qとの間には、レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qが結合していない未結合ヌクレオチドが28個以下存在し、レポーター結合ヌクレオチド2Rと、クエンチャー結合ヌクレオチド2Qと、ヌクレオチド2R,2Q間の未結合ヌクレオチドと、の数の合計は、30である。好ましくは、オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数は、20塩基以下である。
なお、図示はしないが、オリゴヌクレオチド2において、レポーター結合ヌクレオチド2Rとクエンチャー結合ヌクレオチド2Qとは、隣り合っていてもよい。すなわち、レポーター結合ヌクレオチド2Rとクエンチャー結合ヌクレオチド2Qとの間の塩基数は、ゼロであってもよい。なお、1つのヌクレオチドに、レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qの両方を結合させてもよいが、このような結合は、蛍光強度の低下の要因になる可能性があるため、好ましくない。
レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qの少なくとも一方は、オリゴヌクレオチド2の末端には、結合されていない。図示の例では、レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2の5´末端のヌクレオチドに結合し、クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2の3´末端のヌクレオチドには結合していない。クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2において、5´末端のヌクレオチドおよび3´末端のヌクレオチド以外のヌクレオチドに結合している。この場合、オリゴヌクレオチド2の3´末端には、アミノ酸を結合させることが好ましい。これにより、3´末端からの伸長反応を抑制することができる。
なお、図2に示すように、レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2の5´末端のヌクレオチドには結合せず、クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2の3´末端のヌクレオチドに結合していてもよい。レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2において、5´末端のヌクレオチドおよび3´末端のヌクレオチド以外のヌクレオチドに結合している。この場合、オリゴヌクレオチド2の5´末端には、アミノ酸を結合させることが好ましい。これにより、5´末端からの伸長反応を抑制することができる。
また、図3に示すように、レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qの両方がオリゴヌクレオチド2の末端には、結合されていなくてもよい。レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qは、5´末端のヌクレオチドおよび3´末端のヌクレオチド以外のヌクレオチドに結合している。この場合、オリゴヌクレオチド2の5´末端および3´末端には、
アミノ酸を結合させることが好ましい。これにより、5´末端および3´末端からの伸長反応を抑制することができる。
レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qは、1つずつオリゴヌクレオチド2に結合されている。図示はしないが、クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2に複数結合されていてもよい。これにより、クエンチング効果(消光効果)を高めることができ、蛍光を高感度で検出することができる。また、レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2に複数結合されていてもよい。これにより、リアルタイムPCRにおいて蛍光を測定した場合に蛍光強度を大きくすることができ、蛍光を高感度で検出することができる。
レポーター色素4Rとしては、例えば、FAM、VIC、HEX、TET、FITC等を用いる。クエンチャー4Qとしては、例えば、BHQ1、BHQ2、TAMRA、DABCYL等を用いる。
蛍光標識プローブ1は、例えば、以下の特徴を有する。
蛍光標識プローブ1では、29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド2を含む。そのため、蛍光標識プローブ1では、オリゴヌクレオチド2が29塩基未満の塩基配列を有している場合に比べて、核酸と短時間でハイブリダイゼーションすることができる(後述する「5. 実験例」参照)。
さらに、蛍光標識プローブ1では、オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数は、30塩基以下である。そのため、蛍光標識プローブ1では、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数が30塩基より多い場合に比べて、クエンチング効果を高めることができる(後述する「5. 実験例」参照)。
以上により、蛍光標識プローブ1では、蛍光を高感度で検出することができる。蛍光標識プローブ1によって、例えば、迅速かつ高感度な検査(臨床診断)を行うことができる。
蛍光標識プローブ1では、オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数は、20塩基以下である。そのため、蛍光標識プローブ1では、蛍光をより高感度で検出することができる。
蛍光標識プローブ1では、オリゴヌクレオチド2は、29塩基以上40塩基以下の塩基配列を有する。そのため、蛍光標識プローブ1では、蛍光をより高感度で検出することができる。
蛍光標識プローブ1では、レポーター色素4Rおよびクエンチャー4Qの少なくとも一方は、オリゴヌクレオチド2の末端には、結合されていない。そのため、蛍光標識プローブ1では、オリゴヌクレオチド2が塩基数の多い塩基配列を有していても、オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数を少なくすることができる。例えば、オリゴヌクレオチド2が50塩基の塩基配列を有していても、オリゴヌクレオチド2において、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数を、30塩基以下にすることができる。
なお、レポーター色素4Rとクエンチャー4Qとの間の塩基数を、30塩基以下にすることができれば、図4に示すように、レポーター色素4Rは、オリゴヌクレオチド2の5´末端のヌクレオチドに結合し、クエンチャー4Qは、オリゴヌクレオチド2の3´末端
のヌクレオチドに結合していてもよい。
2. 核酸増幅反応用試薬
次に、本実施形態に係る核酸増幅反応用試薬について説明する。本実施形態に係る核酸増幅反応用試薬は、本発明に係る蛍光標識プローブを含む。本実施形態に係る核酸増幅反応用試薬は、例えば、核酸増幅反応用カートリッジに収容されている。図5は、本実施形態に係る核酸増幅反応用カートリッジ10を模式的に示す断面図である。
核酸増幅反応用カートリッジ10は、図5に示すように、容器12と、キャップ14と、を含む。
容器12は、図5に示すように、例えば、円筒状の側壁部12aと、半球状の底部12bと、を有している。容器12は、流路16を有する。流路16は、容器12によって形成されている。流路16は、円筒状の側壁部12aの中心軸(図示せず)に沿って延在している。キャップ14は、容器12の底部12bに対向する端部の開口を塞ぐ。キャップ14は、容器12に対して、着脱可能である。容器12およびキャップ14の材質は、例えば、ガラス、高分子、金属などである。
容器12の底部12bに、例えば、凍結乾燥された核酸増幅反応用試薬24が固定されている。このような核酸増幅反応用カートリッジ10に、図6に示すようにキャップ14を外してピペット8等を用いて鋳型核酸溶液22を導入すると、導入された鋳型核酸溶液22は、図7に示すように底部12bまで沈降し、核酸増幅反応用試薬24と接触する。核酸増幅反応用試薬24は、鋳型核酸溶液22の水分によって凍結乾燥が溶けて鋳型核酸溶液22に取り込まれ、図8に示すように反応液20となる。したがって、反応液20は、鋳型核酸および核酸増幅反応用試薬24を含むこととなり、核酸の増幅反応を進行させる場となる。
反応液20は、核酸増幅反応用カートリッジ10に収容され、流路16に配置される。反応液20は、液体30中に液滴の状態で保持される。図示の例では、反応液20の形状は、球状である。反応液20は、例えば、液体30よりも比重が大きい。反応液20は、核酸増幅反応用カートリッジ10の移動に伴い、流路16を、容器12に対して相対的に移動する。
鋳型核酸溶液22は、鋳型核酸を含む溶液である。鋳型核酸溶液22を容器12内に導入するときは、キャップ14は、容器12から取り外され、鋳型核酸溶液22の導入後に再び容器12に取り付けられる。
鋳型核酸溶液22は、例えば、次のようにして得られる。すなわち、綿棒などの採取具によって、ヒト・細菌などの生物由来の細胞あるいはウイルスなどの検体が採取され、既知の抽出手法を用いて検体から鋳型核酸が抽出される。その後、既知の精製手法を用いて、所定濃度となるように鋳型核酸溶液が精製される。なお、鋳型核酸溶液22における溶液は、例えば、水(蒸留水、滅菌水)や、Tris−EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)溶液(TE)である。
核酸増幅反応用試薬24は、核酸増幅反応用カートリッジ10に収容され、例えば、容器12の底部12bに凍結乾燥(フリーズドライ)されている。核酸増幅反応用試薬24は、核酸の(標的核酸の)増幅反応に使用される試薬である。核酸増幅反応用試薬24は、本発明に係る蛍光標識プローブ、プライマー、ポリメラーゼ、およびdNTPを含む。
蛍光標識プローブとしては、例えば、上記の蛍光標識プローブ1を用いる。反応液20
に含まれる蛍光標識プローブの濃度は、例えば、0.5μM以上50μM以下であり、好ましくは3μM以上50μM以下である。
プライマーは、鋳型核酸にアニールするよう設計されている。核酸増幅反応用試薬24は、二本鎖構造の鋳型核酸(二本鎖DNA)が変性した後に、一方の一本鎖構造の鋳型核酸(一本鎖DNA)にアニーリングするフォワードプライマー(Forward Primer)と、他方の一本鎖DNAにアニーリングするリバースプライマー(Reverse Primer)と、を含む。反応液20に含まれるフォワードプライマーおよびリバースプライマーの濃度は、それぞれ、例えば、0.4μM以上3.2μM以下であり、好ましくは0.8μM以上3.2μM以下である。反応液20に含まれるフォワードプライマーの濃度とリバースプライマーの濃度とは、例えば、同じである。
ポリメラーゼとしては、特に限定されないが、DNA(Deoxyribonucleic Acid)ポリメラーゼが挙げられる。DNAポリメラーゼは、一本鎖構造の鋳型核酸(一本鎖DNA)にアニーリングしたプライマーの末端に、鋳型核酸の塩基と相補的なヌクレオチドを重合する。DNAポリメラーゼとしては、耐熱性の酵素やPCR用酵素が好ましく、例えば、Taqポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、あるいはそれらの改良型など、非常に多数の市販品があるが、ホットスタートを行えるDNAポリメラーゼが好ましい。反応液20に含まれるポリメラーゼの量は、例えば、0.5U以上4U以下であり、好ましくは1U以上4U以下である。
dNTPは、4種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphate)の混合物を表す。すなわち、dNTPは、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPの混合物を表す。DNAポリメラーゼは、アニーリングしたプライマーの末端に、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをつなぎ合わせて、新たなDNAを形成する。反応液20に含まれるdNTPの濃度は、例えば、0.125mM以上1mM以下であり、好ましくは0.25mM以上1mM以下である。
なお、反応液20は、さらに、水や緩衝液を含んでいてもよい。緩衝液に用いられる塩としては、例えば、トリス、ヘペス、ピペス、リン酸などの塩が挙げられる。
また、鋳型核酸としてRNAを用いる場合、反応液20は、さらに、逆転写酵素を含んでいてもよい。逆転写酵素としては、例えば、アビアンミエロブラストウイルス(Avian Myeloblast Virus)、ラスアソシエーテッドウイルス2型(Ras
Associated Virus2型)、マウスモロニーミュリーンリューケミアウイルス(Mouse Molony Murine Leukemia Virus)、ヒト免疫不全ウイルス1型(Human Immunodefficiency Virus1型)由来の逆転写酵素を用いる。
液体30は、核酸増幅反応用カートリッジ10に収容され、流路16に配置されている。図示の例では、流路16は、反応液20および液体30で充填されている(満たされている)。液体30は、反応液20とは混和しない、すなわち混ざり合わない液体である。液体30は、さらに鋳型核酸溶液22および核酸増幅反応用試薬24とも混和しない。液体30は、反応液20とは比重が異なる。具体的には、液体30は、反応液20よりも比重が小さい。そのため、反応液20は、重力の作用によって、重力の作用する方向に移動する。液体30は、例えば、ジメチルシリコーンオイル、パラフィンオイルなどである。
なお、上記では、凍結乾燥された核酸増幅反応用試薬24が容器12の底部12bに固定されおり、鋳型核酸溶液22を容器12内に導入して、鋳型核酸溶液22が核酸増幅反応用試薬24と接触することにより反応液20が形成される例について説明した。しかし
ながら、鋳型核酸と核酸増幅反応用試薬24とを含む溶液を、容器12外で調製し、該溶液を、液体30によって充填された容器12内に導入されることで、容器12内に反応液20が配置されてもよい。
核酸増幅反応用試薬24は、本発明に係る蛍光標識プローブを含む。そのため、核酸増幅反応用試薬24は、蛍光を高感度で検出することができる。
3. 核酸増幅反応装置
次に、本実施形態に係る核酸増幅反応装置について、図面を参照しながら説明する。図9および図10は、本実施形態に係る核酸増幅反応装置100を模式的に示す斜視図であり、図9は、蓋体60を開いた状態を示し、図10は、蓋体60を閉じた状態を示している。図11は、本実施形態に係る核酸増幅反応装置100の本体部50を模式的に示す分解斜視図である。図12および図13は、本実施形態に係る核酸増幅反応装置100を模式的に示す図10のA−A線断面図である。図14は、本実施形態に係る核酸増幅反応装置100の機能ブロック図である。
なお、便宜上、図9では、核酸増幅反応用カートリッジ10を簡略化して図示している。また、図9および図10では、蛍光測定器80の図示を省略している。また、図12および図13においては、矢印gの方向は、重力の作用する方向(重力作用方向)を示し、矢印Rの方向は、加熱部52,53の回転方向を示している。図12では、加熱部52,53の配置が第1配置である状態を示し、図13では、加熱部52,53の配置が第2配置である状態を示している。なお、図14では、加熱部52,53以外の本体部50、および蓋体60の図示を省略している。
核酸増幅反応装置100は、図9〜図14に示すように、本体部50と、蓋体60と、移動機構70と、蛍光測定器80と、処理部90と、操作部92と、表示部94と、記憶部96と、を含む。核酸増幅反応装置100は、さらに、核酸増幅反応用カートリッジ10を含んでもよい。核酸増幅反応装置100は、例えば、昇降式PCR装置である。
本体部50は、図11に示すように、例えば、装着部51と、第1加熱部52と、第2加熱部53と、スペーサー54と、底板55と、フランジ56と、固定板57と、を有している。
装着部51は、核酸増幅反応用カートリッジ10を装着可能な構造を有している。具体的には、装着部51は、図9に示すように、核酸増幅反応用カートリッジ10を差し込んで(挿入して)装着する構造を有している。図11に示す例では、装着部51は、第1加熱部52の第1ヒートブロック52b、スペーサー54、および第2加熱部53の第2ヒートブロック53bを貫通する貫通孔である。装着部51の数は、複数であってもよく、図示の例の例では、20個である。
第1加熱部52は、核酸増幅反応用カートリッジ10が装着部51に装着された場合に、図12および図13に示すように、流路16の第1領域16aを第1温度に加熱する。図示の例では、第1加熱部52は、第2加熱部53よりも蓋体60側に位置している。
第1加熱部52は、例えば、熱を発生させる機構と、発生した熱を核酸増幅反応用カートリッジ10に伝える部材と、を有している。図11に示す例では、第1加熱部52は、第1ヒーター52aと、第1ヒートブロック52bと、を有している。第1ヒーター52aは、例えば、カートリッジヒーターであり、導線58によって図示しない外部電源に接続されている。第1ヒーター52aは、第1ヒートブロック52bに設けられた穴に挿入されており、第1ヒーター52aが発熱することで第1ヒートブロック52bが加熱され
る。第1ヒートブロック52bは、第1ヒーター52aから発生した熱を核酸増幅反応用カートリッジ10に伝える部材である。第1ヒートブロック52bは、例えば、アルミニウム製のブロックである。流路16の第1領域16aは、第1ヒートブロック52bによって囲まれる領域である。
第2加熱部53は、核酸増幅反応用カートリッジ10が装着部51に装着された場合に、流路16の第2領域16bを、第1温度とは異なる第2温度に加熱する。第2加熱部53は、第2ヒーター53aと、第2ヒートブロック53bと、を有している。第2加熱部53は、加熱する核酸増幅反応用カートリッジ10の領域および加熱する温度が第1加熱部52と異なる以外は、第1加熱部52と同様の構造および機能を有している。流路16の第2領域16bは、第2ヒートブロック53bによって囲まれる領域である。
第1加熱部52および第2加熱部53の温度は、図示しない温度センサー(例えば熱電対)および処理部90によって制御される。処理部90は、例えば、第1加熱部52を第1温度に、第2加熱部53を第2温度に制御することで、核酸増幅反応用カートリッジ10の第1領域16aを第1温度に、第2領域16bを第2温度に加熱することができる。
スペーサー54は、第1加熱部52と第2加熱部53との間に設けられている。スペーサー54は、第1加熱部52と第2加熱部53との間を断熱する機能を有している。
底板55は、核酸増幅反応用カートリッジ10を保持する部材である。底板55は、核酸増幅反応用カートリッジ10の高さ方向の位置を決定する。すなわち、核酸増幅反応用カートリッジ10を底板55に接触する位置まで差し込むことで、加熱部52,53に対して核酸増幅反応用カートリッジ10を所定の位置に保持することができる。底板55には、蛍光測定器80からの励起光、および反応液20の蛍光を通すための貫通孔55aが設けられている。
フランジ56および固定板57は、加熱部52,53およびスペーサー54を固定するための部材である。図示の例では、2枚の固定板57がフランジ56に嵌め合わされており、加熱部52,53、スペーサー54、および底板55は、固定板57に固定されている。
蓋体60は、装着部51を覆っている。図9に示す例では、固定板57には磁石部62が設けられ、蓋体60は、磁石部62によって本体部50に固定されることができる。なお、スペーサー54、底板55、フランジ56、固定板57、および蓋体60の材質は、例えば、断熱材である。
移動機構70は、処理部90からの入力信号に基づいて、本体部50を回転させる機構である。これにより、移動機構70は、加熱部52,53を第1配置(図12参照)と第2配置(図13参照)とに切換えることができる。その結果、移動機構70は、反応液20に、核酸を増幅するための熱サイクルを付与するように、反応液20を移動させることができる。第1配置では、第1加熱部52が第2加熱部53よりも、重力作用方向において下方に位置している。第2配置では、第2加熱部53が第1加熱部52よりも、重力作用方向において下方に位置している。移動機構70は、例えば、図示しないモーターおよび駆動軸を有している。駆動軸は、本体部50のフランジ56に接続されている。駆動軸は、核酸増幅反応用カートリッジ10の長手方向に対して垂直に設けられており、モーターを動作させると駆動軸を回転の軸として本体部50が回転する。
蛍光測定器80は、核酸増幅反応用カートリッジ10に収容される反応液20の蛍光強度(蛍光輝度)を測定する測定器である。蛍光測定器80は、図13に示すように第2配
置において、核酸増幅反応用カートリッジ10の底部12bに対して、所定距離を隔てて対向して配置されている。蛍光測定器80は、処理部90からの入力信号に基づいて、反応液20に含まれる蛍光標識プローブの蛍光色素に対応する励起光Lを反応液20に照射し、反応液20で発光する蛍光強度を測定する。なお、蛍光測定器80は、1つの蛍光色素に対応する蛍光強度を測定してもよいし、複数の蛍光色素に対応する蛍光強度を測定してもよい。
処理部90は、図14に示すように、例えば記憶部96に記憶されているプログラムに従って、移動機構70や蛍光測定器80を制御するための処理を行う。処理部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサー等により実現される。
操作部92は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、操作信号を処理部90に送る処理を行う。操作部92は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイク等により実現される。
表示部94は、処理部90によって生成された画像を表示する。表示部94は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode
Ray Tube)等により実現される。
記憶部96は、処理部90が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部96は、処理部90の作業領域として用いられ、処理部90が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部96は、例えば、RAM(Random Access Memory)等によって実現される。
4. 核酸増幅反応方法
次に、本実施形態に係る核酸増幅反応方法について、図面を参照しながら説明する。図15は、本実施形態に係る核酸増幅反応方法を説明するためのフローチャートである。以下では、一例として、核酸増幅反応装置100を用いて、本発明に係る核酸増幅反応用試薬と標的核酸とを含む反応液20において、核酸を増幅させる方法について説明する。
まず、核酸増幅反応用カートリッジ10を、核酸増幅反応装置100の装着部51に装着する(ステップS2)。具体的には、液体30が充填された容器12に反応液20を導入した後、核酸増幅反応用カートリッジ10を装着部51に装着する。例えば、装着部51に核酸増幅反応用カートリッジ10を装着したら、蓋体60によって装着部51を覆う。
ここで、加熱部52,53の配置は、図12に示すように、第1配置である。第1配置においては、重力作用方向における流路16の最下部に第1領域16aが位置する。そのため、液体30よりも比重の大きい反応液20は、第1領域16aに位置する。
次に、処理部90は、操作部92から熱サイクル処理を開始する旨の信号を受けると、加熱部52,53を制御して、核酸増幅反応用カートリッジ10の第1領域16aおよび第2領域16bを加熱させ、流路16に温度勾配を形成する処理を行う(ステップS4)。具体的には、処理部90の処理によって、第1加熱部52は、第1領域16aを第1温度に加熱し、第2加熱部53は、第2領域16bを第1温度よりも低い第2温度に加熱する。これにより、流路16の第1領域16aと第2領域16bとの間には、第1温度と第2温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成される。ここでは、加熱部52,53は、第1領域16aから第2領域16bに向けて温度が低くなる温度勾配を形成する温度
勾配形成部である。
第1温度は、2本鎖DNAの解離(変性反応)に適した温度であり、例えば、95℃以上110℃以下である。第2温度は、アニーリング反応および伸長反応に適した温度であり、例えば、50℃以上75℃以下である。加熱部52,53の配置は、第1配置であるので、核酸増幅反応用カートリッジ10を加熱すると、反応液20は、第1温度に加熱される。
次に、処理部90は、第1加熱部52が第1温度に到達して第1の時間(第1の期間)が経過したら、移動機構70を制御して、加熱部52,53の配置を、第1配置から第2配置へ切換える処理を行う(ステップS6)。処理部90は、タイマーを内蔵していてもよい。第1の時間は、変性反応のための加熱時間であり、例えば、1秒以上10秒以下である。具体的には、処理部90は、移動機構70を制御して本体部50を180°回転させる。これにより、加熱部52,53の配置が第1の配置から第2の配置へ切換えられる。
第2の配置は、図13に示すように、第2領域16bを重力作用方向において流路16の最下部に位置させる配置である。第2配置では、第1領域16aと第2領域16bとの重力作用方向における位置関係が第1配置とは逆になる。そのため、反応液20は、重力の作用によって第1領域16aから第2領域16bへと移動する。処理部90は、加熱部52,53の配置を第2配置とした後に移動機構70の動作を第2の時間(第2の期間)停止させる。これにより、加熱部52,53の配置は、第2の時間、第2配置に保持される。第2の時間は、アニーリング反応および伸長反応のための加熱時間であり、1秒以上10秒以下である。
次に、処理部90は、第1配置から第2配置へ切換えた回数(サイクル数)が、予め記憶部96に記憶されている所定の回数に達したか否か判定する処理を行う(ステップS8)。処理部90は、第1配置から第2配置への切換えを行うたびに、サイクル数を記憶部96に記憶させ、該サイクル数と、予め記憶部96に記憶されている所定の回数と、を比較する。
処理部90は、ステップS8においてサイクル数が所定の回数に達したと判定した場合(図15において「Yes」の場合)、処理を終了する。
一方、処理部90は、ステップS8においてサイクル数が所定の回数に達していないと判定した場合(図15において「No」の場合)、ステップS10に移行する。ステップS10では、処理部90は、移動機構70を制御して、加熱部52,53の配置を、第2配置から第1配置へ切換える処理を行う。処理部90は、加熱部52,53の配置を第1配置とした後に移動機構70の動作を、第1の時間停止させる。
そして、処理部90は、再び、ステップS6へ移行し、加熱部52,53の配置を第1配置から第2配置へ切換える。
以上のように、処理部90は、サイクル数が所定の回数となるまで、第1配置と第2配置との位置を入れ替えながら加熱部52,53を(本体部50を)回転させることにより、反応液20を流路16において往復運動させる。これにより、核酸増幅反応装置100は、反応液20に、核酸を増幅するための熱サイクルを付与することができる。
処理部90は、さらに、上記の熱サイクル処理と同時期に増幅解析処理を行う。これにより、核酸増幅反応装置100では、リアルタイムPCRを行うことができる。具体的に
は、処理部90は、加熱部52,53の配置を第2配置に保持するごとに蛍光測定器80に対して測定指示を与えるための信号を入力する。そして、処理部90は、蛍光測定器80の測定結果として蛍光測定器80から蛍光強度を取得し、該蛍光強度を記憶部96に記憶する。
さらに、処理部90は、操作部92から入力される信号に基づいて、繰り返すべきサイクル数として設定される回数分の蛍光強度を記憶部96から読み出し、該蛍光強度に基づいてサイクル数に対する蛍光強度の推移を示す増幅曲線を生成してもよい。処理部90は、該増幅曲線に基づいて核酸の増幅効率に対する良否を判定し、判定結果や増幅曲線を表示部94に表示させてもよい。
なお、上記では、ステップS8において、処理部90は、サイクル数が所定の回数に達したか否かを判定したが、処理部90は、取得した蛍光強度が、予め記憶部96に記憶された所定値に達しか否かを判定してもよい。そして、処理部90は、取得した蛍光強度が所定値に到達したと判定した場合は、処理を終了し、取得した蛍光強度が所定値に到達していないと判定した場合は、ステップS10に移行してもよい。
また、上記では、第2温度をアニーリング反応および伸長反応のための温度としたが、第2温度を、アニーリング反応および伸長反応のいずれか一方の反応のための温度とし、第2の時間を、アニーリング反応および伸長反応のいずれか一方の反応のための加熱時間としてもよい。この場合、図示はしないが、核酸増幅反応装置100は、流路16の第3領域(第1領域および第2領域と異なる領域)を、第3温度(第1温度および第2温度と異なる温度)に加熱する第3加熱部を有している。第3温度は、アニーリング反応および伸長反応の他方の反応のための温度であり、第3の時間は、アニーリング反応および伸長反応の他方の反応のための加熱時間である。ただし、PCRの高速化のためには、第2温度を、アニーリング反応および伸長反応のための温度とすることが好ましい。
本実施形態に係る核酸増幅反応方法では、本発明に係る核酸増幅反応用試薬(例えば核酸増幅反応用試薬24)と標的核酸(鋳型核酸)とを含む反応液20に熱サイクルを付与する。そのため、本実施形態に係る核酸増幅反応方法では、反応液20からの蛍光を高感度で検出することができる。
本実施形態に係る核酸増幅反応方法では、本発明に係る核酸増幅反応用試薬を用いるので、第2の時間(アニーリング反応および伸長反応のための時間)が1秒以上10秒以下という高速条件においても(PCRを高速化させても)、核酸と蛍光標識プローブとが十分にハイブリダイゼーションすることができ、反応液からの蛍光を高感度で検出することができる。したがって、本実施形態に係る核酸増幅反応方法では、高速条件のPCRにおいて、特に有効であるといえる。
さらに、本実施形態に係る核酸増幅反応方法では、第2の時間を10秒以下とすることで、PCRの反応時間の短縮化を図ることができる。また、第2の時間を1秒以上とすることで、核酸増幅反応装置や核酸増幅反応用カートリッジの設計が容易となり、設計の自由度を高めることができる。第2の時間を1秒未満とすると、核酸増幅反応装置や核酸増幅反応用カートリッジの設計が困難となる場合がある。
5. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
5.1. 試料の調製
鋳型核酸として、溶連菌ゲノムDNAを用いた。この鋳型核酸を、核酸増幅反応用試薬に添加して下記の混合試薬溶液を調製した。なお、下記における各試薬の液量(体積)は、混合試薬10μLに対する値である。すなわち、例えば、ポリメラーゼは、混合試薬絵容器10μL中に0.4μL含まれている。
<混合試薬溶液の組成>
PlatinumTaqポリメラーゼ 0.4μL
dNTP(10mM) 0.5μL
バッファー 2.0μL
溶連菌検出用フォワードプライマー(20μM) 0.8μL
溶連菌検出用リバースプライマー(20μM) 0.8μL
溶連菌検出用蛍光標識プローブ(10μM) 0.6μL
溶連菌DNA(テンプレートDNA) 1.0μL
水 up to 10μL
なお、上記の混合試薬溶液において、ポリメラーゼは、Life Technologies社製を用いた。dNTPは、Roche社製を用いた。フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、Sigma Aldrich社製の「S−Pyo2」を用いた。蛍光標識プローブは、Sigma Aldrich社製のTaqMan(登録商標)プローブを用いた。水は、Roche社製を用いた。
バッファー(緩衝液)の組成は、下記のとおりである。
MgCl2:25mM
Tris−HCl(PH9.0):250mM
KCl:125mM
フォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列は、下記表1のとおりである。
蛍光標識プローブとしては、塩基配列が異なるものを5種類用意した。すなわち、蛍光標識プローブの塩基配列が異なる混合試薬溶液を、5種理用意した。下記表2は、蛍光標識プローブの配列を示す表である。
なお、表2において、「塩基数」とは、オリゴヌクレオチドの塩基数(ヌクレオチドの数)であり、「色素間塩基数」とは、レポーター色素(FAM)とクエンチャー(BHQ1)との間の塩基数である。実施例2の蛍光標識プローブでは、オリゴヌクレオチドの3´末端にクエンチャーは結合されておらず、オリゴヌクレオチドの3´末端にはアミノ基
が結合されている。
5.2. PCR結果
上記混合試薬溶液の各々から反応液として、1.6μLを抽出し、シリコーンオイルが充填されている核酸増幅反応用カートリッジに注入した。そして、第1温度(変性反応のための温度)を105℃、第1の時間(変性反応のための期間)を4秒、第2温度(アニーリング反応および伸長反応のための温度)を56℃、第2の時間(アニーリング反応および伸長反応のための期間)を6秒として、各反応液に対して、核酸増幅反応装置100のような昇降式PCR装置を用いてPCRを行った。なお、PCRは、105℃で10秒間加熱させてホットスタートさせた。
図16は、各混合試薬溶液から得た反応液のPCR結果を示すグラフである。図16において、横軸は、熱サイクルのサイクル数を示し、縦軸は、蛍光測定器で測定した蛍光強度を示している。図16に示すように、実施例1,2および比較例3の混合試薬溶液においては、2回ずつPCRを行った。
図16に示すように、実施例1と比較例1,2とを比べると、熱サイクルを50回付与した場合において、実施例1は、比較例1,2に比べて蛍光強度が大きかった。
ここで、図17は、鋳型核酸をアデノウィルスとしたPCRの結果を示すグラフである。図17におけるPCRでは、20塩基の塩基配列を有するアデノウィルス用の蛍光標識プローブを用いた。図17におけるPCRでは、第1の時間(変性反応のための時間)を5秒、第2の時間(アニーリング反応および伸長反応のための時間)を20秒とした標準条件と、第1の時間を4秒、第2の時間を6秒とした高速条件と、の2種類の条件において、リアルタイムPCRを行った。図17に示すように、高速条件および標準条件で4回ずつPCRを行った。
図18は、図17におけるPCRにおいて、高速条件の熱サイクルを50回付与した反応液と、標準条件の熱サイクルを50回付与した反応液と、の電気泳動の結果である。
図17に示すように、高速条件では、標準条件に比べて、蛍光強度が低下した。一方、図18に示すように、高速条件と標準条件とにおいて、電気泳動評価における差異は確認できなかった。このことから、高速条件の蛍光強度が標準条件の蛍光強度よりも低いことは、核酸が増幅されていないのではなく、核酸と蛍光標識プローブとが十分にハイブリダイゼーションできていないことが要因であると考えられる。
しかしながら、図16に示すように、塩基配列29塩基以上の塩基配列を有する実施例1の蛍光標識プローブを用いると、高速条件であっても、熱サイクルを50回した場合の蛍光強度は、30以上と大きかった。図16におけるPCRの第1の時間および第2の時間は、それぞれ、図17における高速条件PCRの第1の時間および第2の時間と同じである。図16に示すように、オリゴヌクレオチドの塩基配列が20塩基、25塩基、29塩基、40塩基と数が多いほど、蛍光強度が大きくなっていることから、塩基配列の数が多いほど、蛍光標識プローブは、核酸と短時間でハイブリダイゼーションすることができることがわかった。
ただし、オリゴヌクレオチドの塩基配列が50塩基を超えると、蛍光標識プローブは、が鋳型核酸の意図せぬ部分にハイブリダイゼーションする場合がある。したがって、オリゴヌクレオチドの塩基配列が50塩基以下、好ましくは40塩基以下とすることにより、蛍光標識プローブを、鋳型核酸の所望の部分にハイブリダイゼーションさせることができる。
さらに、図16に示すように、実施例2と比較例3とを比べると、熱サイクルを50回付与した場合において、実施例2では、比較例3に比べて蛍光強度が大きかった。さらに、比較例3では、実施例2に比べて、PCRの増幅曲線に「がたつき」が確認された。
ここで、図19は、図16に示すPCR増幅曲線を補正する前のPCR増幅曲線を示すグラフである。すなわち、図16に示すPCR増幅曲線は、図19に示すPCR増幅曲線において、ベースライン(バックグラウンド)の値を差し引いて補正したものである。ベースラインは、標的核酸が増幅していない状態における蛍光強度(例えば熱サイクルを1回だけ付与した場合の蛍光強度)のことである。
図19に示すように、実施例2では、比較例3に比べて、ベースラインが低かった。これは、実施例2では、比較例3に比べて、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数が少ないので、高いクエンチング効果を有しているためである。クエンチング効果が低いと、比較例3のように、ベースラインが高くなり、さらに、「がたつき」が発生すると考えられる。
図16に示すように、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数が40塩基である比較例3では、「がたつき」は確認されるが、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数が29塩基である実施例1では、「がたつき」は確認されない。したがって、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数を30塩基、より好ましくは29塩基とすることにより、蛍光標識プローブは、高いクエンチング効果を有することがわかった。
以上の実験例により、29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドにおいて、レポーター色素とクエンチャーとの間の塩基数が30塩基以下である蛍光標識プローブは、核酸と短時間でハイブリダイゼーションすることができ、高いクエンチング効果を有することがわかった。したがって、このような蛍光標識プローブでは、高速条件のPCRにおいても、反応液の蛍光を高感度で検出することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…蛍光標識プローブ、2…オリゴヌクレオチド、2Q…クエンチャー結合ヌクレオチド、2R…レポーター結合ヌクレオチド、4Q…クエンチャー、4R…レポーター色素、8…ピペット、10…核酸増幅反応用カートリッジ、12…容器、12a…側壁部、12b…底部、14…キャップ、16…流路、16a…第1領域、16b…第2領域、20…反応液、22…鋳型核酸溶液、24…核酸増幅反応用試薬、30…液体、50…本体部、51…装着部、52…第1加熱部、52a…第1ヒーター、52b…第1ヒートブロック、53…第2加熱部、53a…第2ヒーター、53b…第2ヒートブロック、54…スペーサー、55…底板、55a…貫通孔、56…フランジ、57…固定板、58…導線、60…蓋体、62…磁石部、70…移動機構、80…蛍光測定器、90…処理部、92…操作部、94…表示部、96…記憶部、100…核酸増幅反応装置
配列番号1は、Hemolytic streptococcusのフォワードプライ
マーの配列である。
配列番号2は、Hemolytic streptococcusのリバースプライマーの配列である。
配列番号3は、Hemolytic streptococcusの蛍光標識プローブの配列である。
配列番号4は、Hemolytic streptococcusの蛍光標識プローブの配列である。
配列番号5は、Hemolytic streptococcusの蛍光標識プローブの配列である。
配列番号6は、Hemolytic streptococcusの蛍光標識プローブの配列である。

Claims (7)

  1. 29塩基以上50塩基以下の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、
    前記オリゴヌクレオチドに結合されたレポーター色素と、
    前記オリゴヌクレオチドに結合されたクエンチャーと、
    を含み、
    前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記レポーター色素と前記クエンチャーとの間の塩基数は、30塩基以下である、蛍光標識プローブ。
  2. 請求項1において、
    前記オリゴヌクレオチドにおいて、前記レポーター色素と前記クエンチャーとの間の塩基数は、20塩基以下である、蛍光標識プローブ。
  3. 請求項1または2において、
    前記オリゴヌクレオチドは、29塩基以上40塩基以下の塩基配列を有する、蛍光標識プローブ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記レポーター色素および前記クエンチャーの少なくとも一方は、前記オリゴヌクレオチドの末端には、結合されていない、蛍光標識プローブ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光標識プローブを含む、核酸増幅反応用試薬。
  6. 請求項5に記載の核酸増幅反応用試薬と核酸とを含む反応液に、熱サイクルを付与する、核酸増幅反応方法。
  7. 請求項6において、
    前記熱サイクルにおいて、アニーリング反応および伸長反応のための加熱時間は、1秒以上10秒以下である、核酸増幅反応方法。
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