JP2017535766A - 流動ガス状媒質の割合の決定方法およびそれと共に使用するためのシステム - Google Patents

流動ガス状媒質の割合の決定方法およびそれと共に使用するためのシステム Download PDF

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Abstract

【解決手段】 本発明は、既知の複数N種の既知の成分を含む流動ガス状媒質の割合を決定するための方法およびシステムに関する。該方法は、流動ガス状媒質の少なくともN−1個のパラメータを決定するためのステップを含む。N−1個のパラメータは、質量流量、密度、粘度、および熱容量を含む量の群から選択される。少なくともN−1個の参照値が、決定したN−1個の量のそれぞれに関する既知のN種の成分ごとに提供される。供給されたガス状媒質の既知の成分のそれぞれの割合が、少なくともN個の等式を解くことによって決定される。N個の等式は、割合および参照値の関数として決定したパラメータそれぞれを記載するN−1個の等式に加えて、100%に等しいように割合の合計を設定する等式を含む。【選択図】図5

Description

本発明は流動ガス状媒質の割合の決定方法に関する。本発明は、さらに、当該方法を実施するためのシステムに関する。
流動ガスの組成の知識は、多くの技術分野で重要である。これは、例えば、医薬の製造または医療目的での望ましい気体の混合物の作成に当てはまる。
例えば、医療の輸液ポンプでは、特に新生児学の分野において、例えば新生児が薬および/または栄養素の正確な種類および正確な量の両方を受け取るべき場合には、媒質の流量および組成の両方を知ることが必須である。ここでの課題は、流量が非常に少なく、それによって、望ましい精度の測定を達成するのが困難となることである。
一方で、天然ガスの場合でも、例えばそのエネルギー含量を決定するためにその組成を知ることが同様に重要である。ウォッベ指数計測器またはガスクロマトグラフなどのガス燃料のエネルギー含量を決定するための従来の装置は、比較的かさばり、高価である。
様々な国由来の天然ガスの混合およびその結果として生じる周期的変動の結果、全国電力網における天然ガスの組成および品質は、実質的に変動すると予想される。品質管理および品質保証は、この点において主として重要である。これは、バイオガスを全国電力網に導入することも望ましい場合により関連がある。
迅速で、安価で、信頼できるガス状媒質の組成の決定方法が複数の技術分野において必要とされていることが上記から明らかである。したがって、本発明の目的は、特に品質保証および安全のために、流動ガス状媒質の割合(体積分率)を決定でき、該割合の決定が連続的に(リアルタイムで)行うことができる方法を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は請求項1に記載の方法を提供する。本発明に従う割合、特に体積分率の決定方法は、組成を決定する流動ガス状媒質を提供するステップを含む。流動ガス状媒質は、既知の複数N種の既知の成分から少なくとも実質的になる。本明細書で「成分」とは、例えば、水、水素、酸素、二酸化炭素、窒素、およびメタン、エタン、プロパン等のアルカンなど、いずれの場合でも純粋な、混ぜられていない流体を意味する。
該方法に従って、提供されたガス状媒質の少なくともN−1個のパラメータが決定される。一実施形態では、例えば、1つ以上の前記パラメータが、質量流量、密度、粘度、および熱容量を含む量の群から選択される。代替の量は、明らかに想到できる。パラメータは直接測定し得るか、あるいは他の測定値から導き得る。
N種の既知の成分ごとに、決定したN−1種の量のそれぞれに関する少なくともN−1個の参照値が提供される。言い換えれば、参照値がガス状媒質の既知の成分ごとに提供される。例えば、メタン、二酸化炭素および窒素の混合物の密度が決定されるか、または測定される場合、メタン、二酸化炭素および窒素のそれぞれの密度が参照値として提供される。例えば粘度などの補足パラメータが測定される場合、成分ごとに、決定した量についての参照値、この場合には粘度が提供される。
本発明に従う方法は、提供されたガス状媒質の既知の成分のそれぞれの割合を少なくともN個の等式を解くことによって決定するステップを含み、該等式は、
媒質の既知のパラメータのそれぞれの割合の関数として、およびガス状媒質の既知の成分のそれぞれの提供された参照値の関数として、決定したパラメータのそれぞれを記載する少なくともN−1個の等式と、
少なくとも実質的に100%に等しくなるように既知の成分のそれぞれの割合の合計を設定する少なくとも1個の等式と、を含む。
上記方法によって、比較的簡単かつ迅速に流動ガスの組成を決定することが可能となる。本発明に従って等式を解くことで、実質的に即時に組成が決定される。これによって、特に流動ガス状媒質の連続したモニタリング(リアルタイムで)が可能となる。このようにして、本発明の目的が達成される。
該方法の好都合な実施形態は、従属請求項2〜12に記載されている。これらの実施形態の利点を以下で説明する。
一実施形態では、該方法は、流動ガス状媒質を実質的に連続的に提供するステップと、少なくともN−1個のパラメータを実質的に連続的に決定するステップと、を含む。したがって、該方法は、流動ガス状媒質の割合を実質的にリアルタイムで決定するために、実質的に連続的に実施できる。パラメータを決定するステップおよび成分の割合を決定するステップは、少なくとも1回繰り返され、それ故に、連続的に流動するガス状媒質の組成が時間における2つの時点で既知である。これによって、経時的に組成を見ることが可能となり、それ故にガスの品質をモニターできる。これによって、特に医療用途での安全面が増す。
本発明に従う方法は、N−1個のパラメータを決定し、N個の等式を解くことにより非常に迅速な結果をもたらす。測定の結果が約3分後に利用可能となる、例えばガスクロマトグラフィーなどの代替の既知の方法と比較して、本発明に従う方法は、0〜60秒、特に0〜15秒、より具体的に0〜5秒のオーダーという非常に迅速な結果が可能となる。さらに、本発明に従って、予処理(例えばガスクロマトグラフィーなどでの成分の分離および/またはキャリアガスの添加)が必要ではないガスが提供できる。該方法で達成可能なこのような予処理がないことおよび速度によって、該方法が連続的にまたは半連続的に使用可能となる。これは、ガスのモニタリングが必要であるかまたは望ましい場合に特に好都合である。
一実施形態では、等式は、続いて解かれる行列方程式で記載される。そのような行列方程式を解く効率的で、迅速で、信頼できる方法は最小二乗法であり、それ自体は既知である。処理装置は、好ましくは成分の割合を得るように行列方程式を解くために使用される。
一実施形態では、ガス状媒質中の望ましくない成分がモニターされる。したがって、例えば、ガス状媒質中の酸素または水素の存在が検出され得る。その場合、たとえ前述した成分の初期の割合がゼロに等しくても、ガス状媒質は関連の成分を含有すると規定される。したがって、本発明に従う方法は、既知の成分の1種がガス中に存在していないが、この既知の成分が将来存在し得る場合にも明らかに関係する。言い換えれば、既知の成分の割合はゼロに等しくてもよい。
本発明に従う方法は、4種を超える成分が存在するものにも原理上は適用可能であるが、3種または4種の既知の成分を実質的に含む流動ガス状媒質の割合を決定するのに特に適している。上記の「3種または4種の既知の成分を実質的に含む」は、前記3種または4種の成分の割合の合計が100%に実質的に等しいことを示すことが意図されている。さらなる既知または未知の成分がガス中に存在し、該更なる成分が合計割合のほんの一部分のみ占めることが考えられる。そのような成分は、例えば5%未満、好ましくは2%未満、特に1%未満存在してもよい。そのような場合、該方法は、等式においてこの更なる成分を無視するステップを含む。
特に天然ガスまたは類似のガスの場合、既知の成分の1種がCH、C8、および/またはCOであることが考えられる。既知の成分の1種がOまたはHであることがさらに考えられる。しかしながら、既知の成分を含む他の組成も可能である。
一実施形態では、本発明に従う方法は、2個のパラメータ、特にガス状媒質の密度および熱容量を決定するステップを含む。2個のパラメータの決定が、3種の既知の成分を有するガス状媒質の割合を決定するのに適している。
2個のパラメータは、熱流量センサーおよびコリオリ式の流量センサーからのシグナルを用いて決定し得る。
該方法の一実施形態では、さらに、流動ガス状媒質の発熱量の尺度が、そのようにして決定された割合から得られる。
さらなる実施形態では、ガス状媒質のウォッベ指数WIが下記の通り発熱量から決定される:
Figure 2017535766
式中、H(J/m)は、ガス混合物および空気を含む媒質の所与の容積の完全燃焼によって生じた熱エネルギーの量であり、G(−)は、ガス混合物および空気の質量密度の比率である。媒質の組成は、例えば上記等式に従ってウォッベ指数を正確に決定できるような高い精度で本発明に従うシステムによって決定される。
該方法が、流動ガス状媒質の質量流量を、その決定した割合を基準として制御するステップを含むことがさらに考えられる。ここで、制御は、例えば望ましくない成分の検出により、質量流量を完全にゼロに減少させるステップを含むことが可能である。該方法が、決定した割合の1個または数個が予め設定した標準値より高いか、または低い場合に警告シグナルを出すステップを含むことがさらに考えられる。
一態様に従って、本発明は、請求項13に記載の該方法が実行できるシステムを提供する。本発明に従うシステムは、特に連続的に、組成を決定する必要がある流動ガス状媒質を供給するための入口と、それを排出するための出口とを有する流管を含む。センサー手段が、供給したガス状媒質の少なくともN−1個のパラメータを決定するために設けられている。前記センサー手段は、好ましくは流管に連結されるか、またはその一部を形成する。システムは、センサー手段に連結されている処理装置をさらに含み、該処理装置は、それに保存された少なくともN−1個の参照値を有し、少なくともN個の等式を解くことによって、供給したガス状媒質の既知の成分のそれぞれの割合を決定するように設計されている。
したがって、本発明に従うシステムは、N種の既知の成分の混合物であるガス状媒質の組成を決定するように設計されている。処理装置は、媒質中のN種の成分の割合の関数として、少なくともN−1個のパラメータと関連したそれぞれの量を記載するN個の等式を含有する。
最初に、処理装置は、100%に等しいか、100%に少なくとも実質的に等しい媒質の成分の割合の合計を記載する等式を含有する。さらに、処理装置は、成分の割合の関数としてセンサー手段によって決定される少なくともN−1個の量についてのN−1個の等式を含有する。したがって、例えば、密度および粘度が、処理装置において等式の形態で成分の線形関数として両方とも保存され得る。
処理装置中にこのように存在するN個の未知数においてN個の等式がある。処理装置は、成分のそれぞれの割合を得るようにこれらの等式を解くために設計されている。同じ数の未知数を有する多くの等式を解く方法自体は既知である。
システムの好都合な実施形態は、従属請求項14〜20に記載されている。これらの実施形態および他の実施形態の利点を以下に説明する。
一実施形態では、センサー手段および処理装置は、N−1個のパラメータおよび割合を、繰り返し、特に連続的に決定するように設計されている。すなわち、供給したガスのパラメータおよび割合を実質的に連続的に/半連続的に/断続的に決定できる。
システムは、例えば、0〜60秒、特に0〜15秒、より詳細には0〜5秒の時間間隔で繰り返し割合を決定するように設計され得る。これによって、システムは、例えばガスクロマトグラフィーなどの現在既知のシステムより何倍も速くなる。一実施形態では、処理装置は、参照値が保存される参照表またはデータベースを備える。そのような参照表およびデータベースは一般に既知であり、既知の流体の密度、粘度および比熱容量などの特性およびパラメータについての値を含む。処理装置は、これらのデータと媒質について決定されるパラメータと比較することができる。その後、処理装置は、パラメータについての保存された等式を用いて既知の成分の割合を決定できる。比較するか、適合させるか、または補間するように処理装置を設計することが考えられる。これは、等式を解くのを簡略化し、速める。
一実施形態でのセンサー手段は、密度センサー、コリオリ式の流量センサー、熱流量センサーおよび/または圧力センサーの少なくとも1つを含む。圧力センサーは、例えば差圧センサーであり得、コリオリ式の流量センサーは、同時に圧力センサーを一実施形態において形成し得る。処理装置は、この場合、粘度、比熱容量および熱伝導率の1個または数個を、上述したセンサーによって測定したパラメータから計算するか、またはモデル化することによってさらに決定するように好ましくは構成される。センサーはシグナルを処理装置へ送る。この点において、シグナル処理手段を、例えばノイズ低減、シグナル補正、または積分および/または変換などの数学的操作を通じてシグナルを処理するために設けることが可能である。
比較的安価で、小さく、効率的である特別な実施形態では、センサー手段は、密度センサー、コリオリ式の流量センサー、熱流量センサー、および圧力センサーのそれぞれを含む。そのようなセンサーは、例えば、Avenisens、Bronkhorst Cori−Tech M13、Bronkhorst EL−flowおよびBronkhorst EL−pressの名称で市販されている。センサーの他のブランドおよび/またはタイプは明らかに想到できる。
センサー手段が少なくとも熱流量センサーとコリオリ式の流量センサーとを含む実際の実施形態では、処理装置は、熱流量センサーとコリオリ式の流量センサーとの両方から来るシグナルを基準として媒質の比熱容量を決定するように設計されている。本出願人のオランダ国特許出願第2012126号(参照によって本願に含まれるものとする)には、コリオリ式の流量センサーからのシグナルに対してプロットされた熱流量センサーのシグナルの勾配からどのように媒質の比熱容量を決定できるかが記載されており、同様に、Loetters,J.C.ら,Integrated multi−parameter flow measurement system,2014 IEEE 27th International Conferenece on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS)[DOI:10.1109/MEMSYS.2014.6765806]にも記載されている。
センサー手段が少なくともコリオリ式の流量センサーと圧力センサーとを含む一実施形態では、処理装置は、コリオリ式の流量センサーと圧力センサーとの両方からのシグナルを基準として媒質の粘度を決定するように設計されている。引用したオランダ国特許出願第2012126号には、圧力センサーからのシグナルに対してプロットされたコリオリ式流量センサーからのシグナルの勾配からどのように媒質の粘度が決定できるかが記載されている。これは、Loetters,J.C.ら,Integrated multi−parameter flow measurement system,2014 IEEE 27th International Conferenece on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS)[DOI:10.1109/MEMSYS.2014.6765806]にも記載されている。
センサー手段が少なくとも圧力センサーおよび熱流量センサーを含む一実施形態では、圧力センサーが、熱流量センサーにわたる差圧を決定するように配置されている。
成分の割合を決定するための等式の使用のいくつかの例を以下に記載する。
例1
第1の例では、3種の成分を有する媒質の決定のために3つの割合(体積分率)がφで示され、下記等式(式中N=3)が与えられる:
Figure 2017535766
該方法に従って、N−1=2個のパラメータが測定されるか、または得られる。媒質のこれらの少なくとも2個のパラメータは、例えば、媒質の密度ρおよび粘度ηであり得る。媒質の密度および粘度は、既知の成分の割合と、関連の既知の成分の密度および粘度の関数である。
ρおよびηで表される各成分の密度および粘度について、それぞれ、下記の依存性を得た:
Figure 2017535766
これらの依存性は、行列方程式として書き得る:
Figure 2017535766
各成分の密度ρおよび粘度ηは、一実施形態では処理装置内に、例えば参照表にて保存され、媒質の密度ρおよび粘度ηが測定される。
割合φのみ未知であることから、これによって、3個の未知数における3個の等式のセットがもたらされる。このセットは、例えば逆行列を求めることによって、割合φの値を決定するように解くことができる。密度と比熱容量、または粘度と比熱容量などの上記のもの以外のパラメータの代替の組み合わせが容易に考えられる。さらに、少なくとも2個のパラメータの群が熱伝導率を含むことも可能である。
例2
4種の既知の成分を有する媒質の組成を決定するために、一実施形態は、追加の成分を決定することを含む。該方法に従って、媒質の3個のパラメータが決定される。ここでは、媒質は4種の成分の混合物であり、媒質の3個のパラメータは成分の割合に依存する。
この例では、媒質の比熱容量cがさらに決定される。cpiで示される成分のそれぞれの比熱容量について、下記行列方程式が得られる:
Figure 2017535766
この等式は、4個の未知数、すなわち割合φについての値を得るように解くことができ、それによって、4種の成分の混合物の組成が決定される。
上述した原理に続いて、熱伝導率などの成分の割合に依存する更なるパラメータを決定することによって5種の成分を有する媒質の組成を決定することが可能である。この原理は、N種の成分を有する媒質に拡張し得、その場合、N−1個のパラメータが決定される。また、割合を、上記の等式を解く以外の方法によって、例えばパラメータの適合または補間によって決定することも考えられる。
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
本発明に従うシステムを示す図である。 本発明に従う複数のセンサーを有するシステムを示す図である。 COおよびNの関数としてバイオガスのウォッベ指数の依存性を示す図である。 粘度ηの関数としてウォッベ指数WIを示すグラフである。 本発明に従うシステムによって実施される測定の結果を示す図である。 本発明に従うシステムによって実施される測定の結果を示す図である. 本発明に従うシステムによって実施される測定の結果を示す図である. 本発明に従うシステムによって実施される測定の結果を示す図である.
図1は、既知の複数N種の既知の成分を少なくとも実質的に含む流動ガス状媒質の割合を決定できる本発明に従うシステム100を図示する。システム100は、割合を決定する媒質のための流管2を含む。システムは、流管2に連結されるか、またはその一部を形成するセンサー手段30を含む。センサー手段30は、媒質の少なくともN−1個のパラメータを決定するように設計されている。前記パラメータは、図1中、それぞれ記号ρ、ηおよびcで示される密度、粘度、および比熱容量を含む群より選択される。システムは、センサー手段30に連結され、測定したおよび/または決定したパラメータを基準として成分のそれぞれの割合を決定するように設計されている処理装置40をさらに備える。示した実施形態での処理装置40は、既知の成分の測定したおよび/または決定したパラメータについての参照値が保存されている、図1に概略的に示す参照表60またはデータベース60を備える。
システム100の操作を以下に説明する。既知の成分を有するガス状媒質が流管2に通される。直接測定を実施するか、またはセンサー手段30からのシグナルを基準として関連のパラメータが決定されるかのいずれかにおいて、センサー手段30が少なくともN−1個のパラメータを決定するために使用される。代替として、パラメータを決定する場合に、シグナルを処理装置40へ直接送ることが可能である。図1の処理装置40は、例えば媒質2の少なくとも2個のパラメータを参照表60からのデータと比較することによって、媒質2の組成を決定するために参照表60からのデータを使用するように設計されている。また、参照表60は、好ましくは、少なくとも2個のパラメータと、成分のそれぞれの割合φとの間の依存性についての情報を、例えば式または関数の形態で含む。
図1の処理装置40は、一方では媒質の少なくとも2個のパラメータに、他方では成分の割合および参照表60からの関連したデータに存在する、上記の等式(1)、(2)、(3)および(4)などの等式を含む。すなわち、媒質の少なくともN−1個のパラメータ、例えばρ、ηおよび/またはcのそれぞれが、それぞれの成分の割合φおよび参照表60中の関連したデータの関数である。図1の処理装置40は、N−1個のパラメータについてのこの等式のセットを解くことができる。
一実施形態では、処理装置は、リアルタイムで、すなわち実質的に即時に成分の割合を決定するように設計されている。これを達成するために、等式のセットが、処理装置40によってそれらを簡単かつ迅速に解くために、(3)または(4)などの行列方程式の形態で配置され得る。
一実施形態では、処理装置40は、媒質の発熱量も決定するように設計されている。特に、媒質のウォッベ指数WIを決定することが可能である。上述した等式を用いて、参照表60からのデータと組み合わせて、媒質の割合からウォッベ指数を計算できる。
図2は、流管2に設けられるか、または隣接しているセンサー5、6、7、および8を含むセンサー手段30を有する本発明に従うシステム100を図示する。該センサー手段30は、特に、熱流量センサー5と、コリオリ式の流量センサー6と、密度センサー7と、圧力センサー8とを含む。
図2のセンサー手段30は、センサー処理装置10を含む。後者は、媒質の比熱容量cと、質量流量mと、密度ρと、粘度ηとを含む複数のパラメータが、センサー5、6、7、8のシグナルを基準として決定できるいくつかの計算モデル15、16、17、18を備える。上記で引用した本出願人のオランダ国特許出願第2012126号には、上述したセンサー5、6、7および8を用いて、複数のパラメータをどのように決定できるかがさらに詳細に説明されており、Loetters,J.C.ら,Integrated multi−parameter flow measurement system,2014 IEEE 27th International Conferenece on Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)[DOI:10.1109/MEMSYS.2014.6765806]にも説明されている。簡略して、以下に説明する。
熱流量センサー5の出力シグナルが、ガス混合物の流量および熱容量の尺度である。熱流量センサー5にわたる圧力低下が、詳細には差圧センサー8である圧力センサー8によって測定される。コリオリ式の流量センサー6の出力シグナルは、質量流量を提供し、密度が密度計7から得られる。
密度を考慮して、コリオリ式の流量センサー6および圧力センサー8の出力シグナルを比較することによって、粘度を計算できる。
熱流量センサー5およびコリオリ式の流量センサー6の出力シグナルを比較することで、ガス状媒質の熱容量を計算できるようになる。
このようにして得られた1つ以上パラメータ20が、処理装置40に保存された等式45に送られる。成分の割合φ、好ましくはウォッベ指数WIも、等式45のセットを解いて決定できる。
処理装置40は、例えば、等式(3)および(4)を参照して説明したような行列方程式45を作成するように設計されている。処理装置は、センサー1のアセンブリによって決定され、パラメータ出力20を介して処理装置40に送られる値を用いて、媒質のパラメータの値についてのベクトルを完成する。割合φを除いて、成分の量は、処理装置40によって参照表60から得られ、等式45に入力される。続いて、処理装置40は、等式45のセットを解き、その結果、媒質の成分の割合が決定される。
引用したオランダ国特許出願第2012126号に従う流量測定システムが、本発明に従うシステムを形成するように、本発明に従う処理装置に連結されることが考えられる。一実施形態では、センサーシグナル処理装置10は処理装置40と一体である。
図3は、COおよびNの割合へのガスのウォッベ指数の依存性を示す。そのようなガスは、例えば、ガス配管網に供給される天然ガスであり得る。図3は、ガスの窒素および二酸化炭素の含有量へのウォッベ指数の依存性を示す。ガス混合物の組成におけるそのような強い変動を考慮すると、その組成の正確かつ迅速な決定が望ましい。
図4は、横軸の粘度の関数として縦軸にウォッベ指数WIを示すグラフである。COが混合物中の唯一の不活性ガスである場合、粘度とウォッベ指数との間の強い相関があることが見られた。しかしながら、Nも存在する場合、粘度がより高いために、相関があまり強くならない。これは、実際のウォッベ指数が位置している比較的幅広い範囲をもたらす。ウォッベ指数が位置し得るこの範囲は、図4中の指数の下限および指数の上限で示される。
本発明に従う方法およびシステムによって、ガス混合物の密度を考慮することでCOとNとを区別することが可能となり、それ故に、ウォッベ指数の実際の値が位置し得る範囲を、補正した指数下限と補正した指数上限との間に位置するように狭くすることができる。本発明に従って、媒質の複数のパラメータが決定され、組成およびウォッベ指数が、それを基準として決定される点で、ウォッベ指数の決定がより正確となる。
図5〜8は、本発明に従うシステムによる測定の結果をさらに示す。メタン、プロパン、二酸化炭素および窒素が約500ml/min程度の量で、1.5bar(絶対圧力)程度の圧力でシステムに添加される。密度センサー、圧力センサー、熱センサーおよびコリオリ式の流量センサーの出力シグナルが、測定中に記録され、本発明に従う方法によって処理される。
図5は、CH、COおよびNを有するガス混合物の組成の決定を示す。既知の量をシステムに供給した。図5では、添加した割合の既知の値(いわゆる適用した割合)、すなわち、適用したCHの割合CH(a)、適用したCOの割合CO(a)および適用したNの割合N(a)が時間tに対してプロットされている。適用した割合「(a)」は、例えば流量計を用いて設定され、適用した割合CH(a)、CO(a)、およびN(a)の四角の波形で見ることができるように、段階的に時間で変動する。本発明に従うシステムによって測定した値は「(m)」で示されている。測定したCHの割合CH(m)、測定したCOの割合CO(m)、および測定したNの割合N(m)が、図5中、時間tに対してプロットされている。図5から明らかであるように、本発明に従うシステムによって決定される割合CH(m)、CO(m)、およびN(m)の値が、適用した、すなわち実際の割合CH(a)、CO(a)、およびN(a)にリアルタイムで続く。測定した割合CH(m)、CO(m)およびN(m)の値は、適用した値CH(a)、CO(a)およびN(a)の5%以内に位置する。したがって、本発明に従うシステムは迅速なだけではなく正確でもある。
図6は、図5のガス混合物のウォッベ指数の決定を示す。ガス混合物の組成がその密度であるように既知であることから、ウォッベ指数を計算できる。ガス混合物の適用したウォッベ指数はWI(a)で示される。図6から明らかなように、時間内でウォッベ指数が段階的に変動する。したがって、本発明に従うシステムは、ガス混合物のウォッベ指数を決定し、その関連の値はWI(m)で示される。図6は、決定したウォッベ指数の曲線が、適用した、すなわち実際のウォッベ指数WI(a)の曲線に続くことを示す。ウォッベ指数の適用した値における変更に実質的に即時に続いて決定したウォッベ指数WI(m)が適合される。偏差が、図6のより低い部分においてプロットされる。決定した値WI(m)が適用した値WI(a)に関して5%の偏差範囲内に位置する。したがって、本発明に従うシステムは、ウォッベ指数値WI(a)の瞬時および正確な決定のために設計されている。
図7は、CHと、Cと、Nとを含むガス混合物の組成の決定を示す。本発明に従うシステムによって測定した割合の値CH(m)、C(m)およびN(m)に加えて、割合の適用した、すなわち実際の値CH(a)、C(a)およびN(a)が、横軸でプロットされている時間tに対して縦軸でプロットされている。さらに、測定した値CH(m)、C(m)およびN(m)は、実際の値CH(a)、C(a)およびN(a)に迅速かつ正確に続く。測定した値「(m)」と適用した値「(a)」との偏差は5%未満である。
図8は、CHと、Cと、Nとを含むガス混合物のウォッベ指数の更なる決定を示す。この測定は、図6の測定に対応するが、図8において、適用したウォッベ指数WI(a)が図6でのものより平坦な波形である点で異なる。さらに、決定した値WI(m)は、適用した値WI(a)に対して5%の偏差内に位置する。
好ましいとされる数個の可能な実施形態を参照して本発明を上記で説明したことは当業者に明らかである。しかしながら、本発明は決してこれらの実施形態に限定されるものではない。多くの改変が本発明の範囲内で可能である。適用される保護は、添付の特許請求の範囲によって定められる。

Claims (20)

  1. 既知の複数N種の既知の成分から少なくとも実質的になる流動ガス状媒質の割合の決定方法であって、
    組成を決定する流動ガス状媒質を提供するステップと、
    提供されたガス状媒質の少なくともN−1個のパラメータを決定するステップと、
    N種の既知の成分ごとに、決定したN−1個の量のそれぞれについての少なくともN−1個の参照値を提供するステップと、
    提供されたガス状媒質の既知の成分のそれぞれの割合を少なくともN個の等式を解くことによって決定するステップと、を含み、前記等式は、
    媒質の既知のパラメータのそれぞれの割合の関数として、およびガス状媒質の既知の成分それぞれについての提供された参照値の関数として、決定したパラメータのそれぞれを記載する少なくともN−1個の等式と、
    少なくとも実質的に100%に等しくなるように既知の成分のそれぞれの割合の合計を設定する少なくとも1個の等式と、を含むことを特徴とする流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  2. 流動ガス状媒質を実質的に連続的に提供するステップと、少なくともN−1個のパラメータを実質的に連続的に決定するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  3. 既知の複数N種の既知の成分が少なくとも3種に等しく、特に少なくとも4種に等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  4. いずれの予処理もなしで流動ガス状媒質を直接供給するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  5. パラメータを決定するステップと、成分の割合を決定するステップを少なくとも1回繰り返すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  6. 割合の2回の連続決定の間の時間間隔が0〜60秒、特に0〜15秒、より詳細には0〜5秒の範囲内にあることを特徴とする請求項5に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  7. パラメータの少なくとも1個が、質量流量、密度、粘度および熱容量を含む量の群から選択されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  8. ガス状媒質の密度および熱容量が、熱流量センサーおよびコリオリ式の流量センサーからのシグナルを用いて決定されることを特徴とする請求項7に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  9. 等式を最小二乗法で解くことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  10. 流動ガス状媒質の発熱量の尺度が、決定された割合からさらに得られることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  11. ガス状媒質のウォッベ指数が発熱量からさらに得られることを特徴とする請求項10に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  12. 流動ガス状媒質の質量流量を、その決定した割合に応じて制御するステップを含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の流動ガス状媒質の割合の決定方法。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法のためのシステムであって、
    特に連続的に、組成を決定する流動ガス状媒質を供給するための入口と、それを排出するための出口とを有する流管と、
    供給したガス状媒質の少なくともN−1個のパラメータを決定するためのセンサー手段と、
    センサー手段に連結され、少なくともN−1個の参照値が保存され、少なくともN個の等式を解くことによって、供給したガス状媒質の既知の成分のそれぞれの割合を決定するように設計されている処理装置と、
    を含むことを特徴とするシステム。
  14. 前記センサー手段および前記処理装置が、繰り返し、特に連続的に、前記N−1個のパラメータおよび前記割合を決定するように設計されていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  15. 前記システムが、0〜60秒、特に0〜15秒、より詳細には0〜5秒の範囲にある時間間隔で、前記割合を繰り返し決定するように設計されている請求項14に記載のシステム.
  16. 前記センサー手段が、密度センサー、コリオリ式の流量センサー、熱流量センサーおよび/または圧力センサーの少なくとも1つ、特にそれらのそれぞれを含むことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載のシステム。
  17. 前記センサー手段が、少なくとも熱流量センサーとコリオリ式の流量センサーとを含み、前記処理装置が、前記熱流量センサーおよび前記コリオリ式の流量センサーの両方からのシグナルを基準として媒質の比熱容量を決定するように設計されていることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のシステム。
  18. 前記センサー手段が、少なくともコリオリ式の流量センサーと圧力センサーとを含み、前記処理装置が、前記コリオリ式の流量センサーおよび前記圧力センサーの両方からのシグナルを基準として媒質の粘度を決定するように設計されていることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1項に記載のシステム。
  19. 前記センサー手段が、少なくとも圧力センサーと熱流量センサーとを含み、前記処理装置が、前記熱流量センサーにわたる差圧を決定するように設計されていることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1項に記載のシステム。
  20. 前記処理装置に連結され、前記決定した割合の1つが標準の値から外れる場合にシグナルを提供するためのシグナル伝達手段をさらに含む請求項13乃至19のいずれか1項に記載のシステム。
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