JP2017534076A - 重複する調波を有する多層光学フィルム - Google Patents

重複する調波を有する多層光学フィルム Download PDF

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Abstract

光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層の積層体を含む、多層光学フィルム。積層体は、垂直入射などの設計入射角において、1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらす。単一広帯域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が1次及び/又は3次反射帯域と実質的に重複する。この広い反射帯域は、可視光波長及び赤外線波長の少なくとも一部分をカバーし得る。多層光学フィルムはアンチグレア層であり得る、及び/又は吸収層であり得る、追加的な光学層を含み得る。多層光学フィルムはウィンドーフィルムとして使用するのに好適である。

Description

多層光学フィルムは、異なる光透過材料の多数の薄層を組み込むことができ、この層は、光学フィルムの反射及び透過特性の大部分が、層の境界面から反射する光の強め合う干渉及び弱め合う干渉により決定されるくらいに、十分に薄いため、ミクロ層と称される。多層光学フィルムは、個別のミクロ層によって示される複屈折の程度(存在する場合)、及び隣接したミクロ層の相対屈折率の差、また他の設計特性に基づいて、例えば、場合によっては反射偏光子として、また場合によってはミラーとして特徴付けられ得る、反射及び透過特性を有するように製造することができる。
ウィンドーフィルムは、赤外光、及び可視光の一部分を反射することができ、かつポリマーフィルムに染料を組み込ませたものか、金属化フィルムを使用してもよい。このようなフィルムは、熱を吸収し、不均一な熱膨張によりガラスにひびが入るまで、ガラス平面に過剰な蓄熱を生じることがある。加えて、金属化フィルムは、携帯電話の信号を不適切に遮断し得る。改善されたウィンドーフィルムが必要とされている。
本記載の態様において、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを含む、多層光学フィルムが提示される。パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらす。1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内にあり、2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内にあり、単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複している。多層光学フィルムは、ミクロ層のパケットに隣接する光学層を更に備える。光学層は、アンチグレア層、及び/又は吸収層である。
本記載の態様において、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを含む、多層光学フィルムが提示される。パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらす。1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内にあり、2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内にあり、単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複している。パケットは第1平面内に偏光された可視光において第1平均軸上反射率を有し、第1平面と直交する第2平面内に偏光された可視光において第2平均軸上反射率を有し、第2平均軸上反射率は、約5%より大きく、かつ第1軸上反射率未満である。
本記載の態様において、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを含む、多層光学フィルムが提示される。パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらす。1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内にあり、2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内にあり、単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複している。光学繰り返し単位は、ミクロ層のパケットの厚さにわたって単調に変化する固定屈折率f比を有する。
多層光学フィルムの代表的な光学繰り返し単位(ORU)の概略的斜視図である。 多層光学フィルムの一部分の概略的斜視図であり、この図はミクロ層のパケット又は積層体及び複数のORUを示している。 一群のORUを形成するミクロ層積層体の層厚さプロファイルの理想化した図である。 例えば図3のようなミクロ層積層体が、その積層体の設計詳細に応じて生成し得る、様々な調波反射帯域の理想化した概略図である。 ミクロ層積層体のf比の関数としての相対的反射能のグラフである。 ミクロ層積層体のf比の関数としての相対的フーリエ係数振幅のグラフである。 f比0.5を有するミクロ層積層体によってどの調波反射帯域(4次まで)が生成されているかを示す理想化した概略図である。 図6Aと同様であるが、ミクロ層積層体がf比1/3又は2/3を有する場合の理想化した概略図である。 複数のミクロ層からなる1つの積層体を有する、多層光学フィルムの概略斜視図である。 複数のミクロ層からなる1つの積層体を有し、かつ追加的な光学層を有する、多層光学フィルムの概略斜視図である。 ウィンドーフィルムの概略断面図である。 ウィンドーに取り付けられたウィンドーフィルムの概略全面図である。 2つの別個のミクロ層積層体を有する多層光学フィルム物品の概略斜視図である。 波長に対する反射率の理想化したグラフであり、所与のミクロ層積層体によるそれぞれ別個の調波反射帯域(特に、2次反射帯域を含む)が、f比0.25および、好適に調整された層厚さプロファイルを用いて、いかに重複するよう作製され得るかを示す。 図9Aと同様の理想化されたグラフであるが、重複する調波帯域が可視波長及び赤外波長の少なくとも一部分をカバーする単一の広い反射帯域を生成する様子を示している。 図9Aと同様の理想化したグラフであるが、積層体のf比が0.33に変更され、これにより2次反射帯域の反射率が1次反射帯域の反射率とは実質的に異なり、また3次反射帯域は生成されない。 図10Aと同様の理想化したグラフであるが、重複する調波帯域が可視波長及び赤外波長の少なくとも一部分をカバーする単一の広範な反射帯域を生成する様子を示している。 図9A及び10Aと同様の理想化したグラフであるが、積層体は、異なるORU厚さ勾配とf比0.59とを有し、これにより2次反射帯域は3次反射帯域と実質的に重複するが、1次反射帯域は実質的に重複しない。 図11Aと同様の理想化したグラフであるが、重複する2次及び3次反射帯域(これに加えて4次反射帯域)が可視波長及び赤外波長の少なくとも一部分をカバーする単一の広い反射帯域を生成する様子を示している。 図5Aと同様の、相対的反射能対f比のグラフであるが、ただし相対的反射能が調波反射帯域(1次及び2次反射帯域、又は1次、2次、及び3次反射帯域)の組み合わせを用いることによりどのように強化され得るかを示す追加の曲線が含まれている。 モデル化された第1ミクロ層積層体の層厚さプロファイルグラフであり、この第1積層体はf比0.25を有し、このグラフは、積層体内のORUの光学厚さを表わす1本の曲線と、様々な高次調波によるのが積層体の全体的な反射率のどの部分であるかを判定するのに使用できる関連曲線とを含む。 第1ミクロ層積層体の計算された又はモデル化されたスペクトル反射率のグラフであり、ある方法を使用することで、第1ミクロ層積層体により生成された1次、2次、及び3次反射帯域を分離してプロットし特定している。 調波の分離特定をしない場合の、第1ミクロ層積層体の計算された又はモデル化された全体的なスペクトル反射率のグラフである。 第1ミクロ層積層体のモデル化されたスペクトル反射率と、反射帯域が顕著な2次成分を有さずほぼ1次調波のみによって生成された第1比較ミクロ層積層体のモデル化されたスペクトル反射率とを比較したグラフである。 第1ミクロ層積層体のORU厚さプロファイルを、第1比較ミクロ層積層体のORU厚さプロファイルと比較した、層厚さプロファイルグラフである。 図12と実質的に同じであるが、ただし、第1ミクロ層積層体及び第1比較ミクロ層積層体の作用を表わす2つの点がプロットされている。 第2モデル化ミクロ層積層体の計算された又はモデル化されたスペクトル反射率のグラフであり、第2モデル化積層体は第1モデル化積層体と同様であるが、ただし、f比0.33を有し、我々の方法を使用することで、第2モデル化積層体により生成された1次及び2次反射帯域を分離してプロットし特定している。 調波の分離特定をしない場合の、第2モデル化積層体の計算された又はモデル化された全体的なスペクトル反射率のグラフである。 図16Bと同様のグラフであるが、ただし、f比が0.33から0.36へと変化したときに、第2モデル化積層体の計算された又はモデル化された全体的なスペクトル反射率がどのように変化するかを示している。 モデル化された第3ミクロ層積層体の層厚さプロファイルグラフであり、この第3モデル化積層体はf比0.59を有し、このグラフは、積層体内のORUの光学厚さを表わす1本の曲線と、様々な高次調波によるのが積層体の全体的な反射率のどの部分であるかを判定するのに使用できる関連曲線とを含む。 第3モデル化積層体の計算又はモデル化されたスペクトル反射率のグラフであり、われわれの方法を使用することで、第3ミクロ層積層体により生成された1次、2次、及び3次反射帯域を分離してプロットし特定している。 調波の分離特定をしない場合の、第3モデル化積層体の計算された又はモデル化された全体的なスペクトル反射率のグラフである。 2つのアポダイズされた光学パケット又はミクロ層積層体(本明細書で第2比較積層体と呼ばれるミクロ層積層体を含む)を有する光学フィルムの層厚さプロファイルグラフである。 図19の第2比較積層体及び他のミクロ層積層体の層厚さプロファイルから得られた透過スペクトルのグラフである。 第2比較積層体の、計算された又はモデル化された全体的なスペクトル反射率のグラフであり、われわれの方法を使用することで、第2比較積層体により生成された1次及び2次反射帯域を分離してプロットし特定している。 第4のモデル化した積層体のf比プロファイルグラフである。 偏光広帯域ウィンドーフィルムの、計算された又はモデル化されたスペクトル反射率のグラフである。 偏光広帯域ウィンドーフィルムの、遮蔽軸に沿って偏光した光の計算された又はモデル化されたスペクトル透過率のグラフである。 偏光広帯域ウィンドーフィルムの、計算された又はモデル化された合計スペクトル透過率のグラフである。 部分ミラー広帯域ウィンドーフィルムの、計算された又はモデル化されたスペクトル反射率のグラフである。 部分ミラー広帯域ウィンドーフィルムの、計算された又はモデル化されたスペクトル透過率のグラフである。
本明細書において提示される概略図は、必ずしも縮尺通りではない。しかしながら、グラフは別様の記載のない限り、正確な尺度であるものとする。図中用いられる同様の数字は、同様の要素を示す。
本明細書で使用されるとき、層、構成要素、又は要素は、互いに隣接していると記述されうる。層、構成要素又は要素は、直接的に接触することにより、1つ以上の他の構成要素を介して接続することにより、又は互いに隣り合った状態で保持される若しくは互いに付着し合うことにより、互いに隣接し得る。直接接触している層、構成要素、又は要素は、直接隣接していると記述されうる。
本出願の目的のため、可視波長範囲は380〜720nm、赤外波長範囲は720〜少なくとも2000nmの範囲と仮定する。更に、近紫外(近UV)の範囲は300〜380nmの範囲と仮定する。
本記載はとりわけ、多数光学フィルム及びフィルムの組み合わせなどの光学物品であって、少なくとも1つのミクロ層積層体、又はパケットが、設計入射角において、2次反射帯域及び1次反射帯域を含む多数の調波反射帯域をもたらし、2次反射帯域は1次反射帯域及び/又は3次反射帯域(存在する場合)と重複するか、又は実質的に重複し、可視波長及び赤外波長の少なくとも一部をカバーする単一の広域反射帯域をもたらす、光学物品について説明する。本開示において説明される、単一積層体の反射帯域間の関係、及び異なる積層体の反射帯域間の関係は、反射帯域が何であるか及びその特徴的な属性が何であるかについての明確かつ正確な定義、特に反射帯域の相対する境界又は縁部のスペクトル位置に依存する。そのような定義は、光学繰り返し単位(ORU)、多層積層体、及び調波反射の説明の後、本開示の目的のために下記に提供される。
本明細書において記載される多層光学フィルムは、可視領域及び赤外領域において広範に部分反射し、したがって、ウィンドーフィルム又はウィンドーフィルム内の構成要素として有用であり得る。このようなフィルムは、太陽光による過剰な加熱又は過剰なグレア(ぎらつき)を防ぐことができる。ウィンドーフィルムは、日光としてビルに入る熱の量を最小化し、ビルを冷房するために必要なエネルギー量を低減することができる。このウィンドーフィルムは、所望の量の紫外線及び/又は赤外線を反射する一方で、少なくとも一部の可視光を通過させ、ビルを冷房するのに必要なエネルギー量を低減し、かつ衣類、家具などへの損傷を最小限にする。いくつかの実施形態において、多層光学フィルムは吸収層を含み得る。入射光の大部分が、多層光学フィルムによって反射され得るため、層によりもたらされる吸収の度合いは、従来のウィンドーフィルムにおける吸収よりも遥かに小さいことがある。したがって、この多層光学フィルムは、従来のウィンドーフィルムに伴う発熱の問題を防ぐか、又は低減することができる。加えて、いくつかの実施形態において、多層光学フィルムは、金属化ウィンドーフィルムに伴う欠点(蓄熱の問題、及び携帯電話信号の劣化など)を呈さずに、いくつかの場合において所望され得る、光沢のある、金属的な外観をもたらすことができる。
場合によっては、開示の光学フィルム構成体は、広帯域部分反射体の帯域内の透過光及び反射光について、滑らかなスペクトルを提供し得る。そのような広帯域部分反射体は、帯域内リンギングを実質的になくし、帯域内の透過光及び反射光について滑らかなスペクトルを提供し得る。アポダイズされた勾配のある厚さプロファイルを有する広帯域部分反射体光学フィルムは、帯域内スペクトルリンギングを低減又は実質的に除去し、よって、望ましくない色を低減又は実質的に除去することが見出されている。スペクトルリンギングなどのスペクトル特性(いくつかの用途において望ましくない場合がある)を最小化するために勾配のある層厚さプロファイルを終結させるための、アポダイゼーション技術の使用は、2013年9月26日に公開された、米国特許公開第2013−0250405号、表題「Multilayer Stack Combinations With Interleaved Overlapping Harmonics for Wide Visible−Infrared Coverage」に、更に記載されており、これらは本明細書において参照により組み込まれる。
本明細書に示されかつ説明される図について、簡潔のために、多層光学フィルム体は、フィルム体の平面内に空間的な変動を有しないと想定する。したがって、所与のフィルム体の反射及び透過のスペクトル特性は、それらが測定されるフィルム上の位置又は場所(例えば、(x,y)座標)から独立していると想定する。ただし、一般に、開示のフィルム体のいずれも、既知のフィルム設計、加工、及び加工後技法に従って、フィルム体の面内に空間的な変動を有するよう作製してもよい。
図1を参照し、多層光学フィルムの例示的な光学繰り返しユニット(ORU)の概略的斜視図が示されている。図1は、多層光学フィルム100の2層のみを表わすが、フィルム100は、1または複数の連続的なパケット又は積層体をなすように構成された数十又は数百のこのような層(複数の層)を含み得る。フィルム100は、個別のミクロ層102、104を含み、ここで「ミクロ層」とは、十分に薄く、層の間の複数の境界面で反射する光が、強め合う又は弱め合う干渉を受け、多層光学フィルムに、所望の反射又は透過特性をもたらすような層を指すものとする。ミクロ層102、104は合わさることで、多層積層体の1つの光学繰り返し単位(ORU)を表すことができる。ORUは、積層体の厚みにわたりある繰り返しパターンで繰り返す、層の最小のセットである。隣接するミクロ層の境界面で一部の光が反射されるように、これらのミクロ層は異なる屈折率特性を有する。紫外、可視、又は近赤外波長で光を反射するように設計された光学フィルムの場合、各ミクロ層は、典型的に、約1マイクロメートル未満の光学厚さ(すなわち、物理的厚さに、該当する屈折率を乗じたもの)を有する。しかしながら、望ましい場合、フィルムの外側表面のスキン層、又は、フィルム内に配置されミクロ層のパケットを分離させる保護境界層(PBL)のようなより厚い層を含めることもできる。
複数のミクロ層のうちの1つ(例えば、図1の層102、又は以下の図2の「A」層)の主たるx、y及びz軸に沿った偏光に関する屈折率は、それぞれn1x、n1y及びn1zである。相互に垂直なx軸、y軸、及びz軸は、例えば、材料の誘電テンソルの主方向に対応し得る。多くの実施形態において、かつ議論の都合上、種々の材料の主方向は一致しているが、一般にはそうである必要はない。同じ軸に沿った、直接隣接するミクロ層(例えば、図1の層104、及び図2の「B」層)の反射率はそれぞれ、n2x、n2y、n2zである。これらの層の間の屈折率の差は、x方向に沿ったΔnx(=n1x−n2x)、y方向に沿ったΔny(=n1y−n2y)、及びz方向に沿ったΔnz(=n1z−n2z)である。これらの屈折率差の性質は、フィルム内(又は当該フィルムの所与の積層体内)のミクロ層の数及びこれらの厚さ分布と組み合わされて、フィルムの(又は所与のフィルム積層体の)反射特性及び透過特性を制御する。例えば、直接隣接するミクロ層が、1つの面内方向に沿って大きな反射率不整合(Δnx large)を有し、直交する面内方向に沿って小さな反射率不整合(Δny≒0)を有する場合には、フィルム又はパケットは、垂直入射光に対する反射偏光子として挙動し得る。反射偏光子は、波長がパケットの反射帯域内にある場合に1つの面内軸(「遮蔽軸」と称される)に沿って偏光された垂直入射光を強力に反射し、垂直な面内軸(「通過軸」と称される)に沿って偏光されたこのような光を強力に透過する光学体とみなされ得る。非対称反射体は、部分反射偏光子とも記述され得るが、低透過率軸に沿って偏光された垂直入射光の少なくとも一部分(例えば、少なくとも5%)を透過し、高透過率軸に沿って偏光された垂直入射光のより多くの部分を透過する(例えば、高透過率軸に沿って偏光された光の%透過率と、低透過率軸に沿って偏光された光の%透過率との差は少なくとも5%である)。
所望により、Z軸に沿った偏光に関する、直接隣接するミクロ層の間の屈折率の差(Δnz)もまた、斜めに入射する光のp偏光成分の所望の反射特性を達成するように調節することができる。斜めの入射角における、p偏光の軸上に近い反射率を維持するため、ミクロ層同士の間のz−屈折率の不整合Δnzは、最大面内屈折率差Δnxよりも実質的に小さく、すなわちΔnz≦0.5*Δnxとなるように、制御され得る。あるいは、Δnz≦0.25*Δnxである。ゼロ又はゼロに近い大きさのz−屈折率の不整合によって、ミクロ層の間の界面について、入射角の関数としてのp偏光に対する反射率を一定又はほぼ一定とすることができる。更に、z−屈折率の不整合Δnzは、面内屈折率差Δnxと比較して反対の極性を有するように、すなわち、Δnz<0であるように、制御することができる。この条件は、s偏光の場合と同様に、p偏光に対する反射率が、入射角の増加と共に増加する境界面をもたらす。Δnz>0である場合、p偏光の反射率は、入射角と共に低減する。上記の関係はまた、Δnz、Δnyを含む関係についても当然妥当し、これは例えば、釣り合った若しくは対称的な部分反射ミラーフィルム、又は透過軸が垂直入射において有意な反射率を有する部分偏光フィルムなど、2つの主要面内軸において有意な反射率及び透過率が所望される場合である。部分偏光フィルムはまた、本明細書において非対称反射体と称されることがある。
いくつかの実施形態において、ミクロ層のパケットは、第1平面内に偏光された可視光について第1平均軸上反射率、及び第1平面と垂直な第2平面内に偏光された可視光について第2平均軸上反射率を有する、非対称反射体である。第2平均軸上反射率は、約5%より大きく、又は約10%より大きく、又は約20%より大きく、かつ第1軸上反射率未満であり得る。第1軸上反射率は、約40%より大きくてもよく、又は約50%より大きくてもよい。第1平均軸上反射率及び第2平均軸上反射率の平均(すなわち、平均値)は、約40%〜約70%の範囲内であり得る。多層光学フィルムは、ミクロ層のパケットを含んでもよく、パケットと隣接する追加的な光学層を含んでもよい。追加的な光学層は、少なくとも1つの染料又は顔料を含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの染料又は顔料は、第1平面内において偏光した光を吸収するために、ダイクロイック又は偏光染料を含む。すなわち、ダイクロイック染料の遮蔽軸は、ミクロ層のパケットの低透過率軸と実質的に平行であり得る。多層光学フィルムが、ウィンドーフィルムとして使用されるとき、低透過率軸は水平軸であり得る。他所に記載されるように、低透過率軸が実質的に水平になるように多層光学フィルムを配置することにより、ウィンドーフィルム用途における様々な光学的な利益がもたらされる。
図2の概略側面図では、多数のORUが見えるように、多層フィルム110のより多くの内部層が示されている。フィルムは局部的なx−y−zデカルト座標と関連づけて図示されており、フィルムはx及びy軸と平行に延び、z軸はフィルム及びその構成層と垂直でありフィルムの厚さ軸と平行である。
図2において、ミクロ層は、「A」又は「B」としてラベリングされ、「A」層はある材料から構成され、「B」層は、異なる材料から構成され、これらの層は、図示されるように、光学繰り返し単位又はユニットセルORU1、ORU2、...ORU6を形成するように、交互に積層されている。多くの実施形態において、全体が高分子材料から構成される多層光学フィルムは、高反射率が所望される場合、6よりも遥かに多くの光学繰り返し単位を含む。多層光学フィルム110は、実質的により厚い層112を有するものとして示され、この層112は、外側スキン層、又は図に示されるミクロ層の積み重ね体を別のミクロ層の積み重ね体又はパケット(もしそれが存在する場合には)から分離し得る保護境界層(「PBL」、米国特許第6,783,349号(Neavinら)を参照)を表し得る。更に、所望により、2つ以上の別々の多層光学フィルムが、例えば1つ以上の厚い接着剤層で、あるいは圧力、熱、又は積層体若しくは複合フィルムを形成する他の方法を用いて、互いに積層され得る。
一般に、ミクロ層の境界は急激であってもよいし、緩やかであってもよい。後者の場合、屈折率は、厚さ方向に沿って1/2波長の距離内で、例えば高屈折率の領域から低屈折率の領域へと徐々に変化してよい。本明細書で記述されるミクロ層はそれぞれ、2つ以上の材料の混合物であり得る。例えば、各ミクロ層は材料A及びBの両方を異なる比率で含み、これによって、低屈折率から高屈折率までの空間的な変動をもたらしてもよい。「ミクロ層積層体」、「ミクロ層パケット」、及び同様の語が使用される場合、介在する光学的に厚い層又は領域がないORUの連続セットを形成するために、高屈折率から低屈折率へ、そしてまた高屈折率へと連続的に繰り返し変化する屈折率を有するフィルムの領域を含むことを意図する。ORUの光学厚さは、屈折率が徐々に変化するか急激に変化するかを問わず、1/2波長であると理解される。
いくつかの場合において、所与の積層体又はパケットのミクロ層は、1/4波積層体と対応する厚さ及び屈折率値を有することができる。すなわち、光学厚さが等しい2つの直接隣接するミクロ層をそれぞれ有するORUをなすように構成され、このORUは、波長λが光学繰り返し単位全体の光学厚さの二倍である、建設的干渉光で反射するのに有効である。構成体の「光学厚さ」は、物理的厚さに屈折率をかけた値を指す。各ORU内の2つの直接隣接するミクロ層が同等の光学厚さを有する1/4波積層体は、0.5又は50%の「f比」を有するものとされる。この点において「f比」とは、構成層「A」は、構成層「B」よりも高い屈折率を有するものとした場合の、光学繰り返し単位全体の光学厚さに対する構成層「A」の光学厚さの比率を指す。層「B」がより高い屈折率を有する場合、f比は、光学繰り返し単位全体の光学厚さに対する構成層「B」の光学厚さの比率である。
分散が顕著である場合、層の光学厚さを規定するにあたり、屈折率の波長依存性を考慮してもよい。ORUの光学厚さを決定するのに使用される屈折率は、ORUの全体的な光学厚さの2倍に等しい波長を使用して、自己整合的に決定されてもよい。このような光学厚さは、共鳴屈折率光学厚さと称されることがある。層の固定屈折率光学厚さ(無分散屈折率(dispersionless-index)光学厚さとも称されることがある)は、層の厚さに固定基準波長において決定された屈折率をかけたものとして定義することができる。固定波長は例えば、可視光領域の中央付近である550nmであってもよいし、それぞれが屈折率測定において一般的に使用されるレーザー光波長と対応する532nm若しくは633nmであってもよい。f比は、固定屈折率光学厚さを使用して定義される「固定屈折率f比」(これはまた、無分散屈折率f比とも称されることがある)であってもよく、又は共鳴屈折率光学厚さを使用して定義される「共鳴屈折率f比」であってもよい。多くの場合において、少なくとも1次近似では分散効果は無視することができ、固定屈折率光学厚さと共鳴屈折率光学厚さ、又は固定屈折率f比と共鳴屈折率f比を区別する必要はない。本明細書において使用するとき、固定又は共鳴波長に関して言及せずに使用される「光学厚さ」及び「f比」は、別様の記載がない限り、固定屈折率光学厚さ及び固定屈折率f比を指すものとする。本明細書において使用するとき、固定屈折率光学厚さ及び固定屈折率f比を決定するのに使用される波長は、別様に記載のない限り、633nmである。
50%のf比を使用することがしばしば望ましいとみなされる。これは、後述のように、ミクロ層積層体の1次反射帯域の能力を最大化するからである。ただし、これも後述されるように、50%のf比は、2次反射帯域を抑制又は除去する。これも、多くの用途において望ましいものとみなされるが、これは、所与のミクロ層において、積層体の2次反射帯域が同じ積層体の1次及び/又は3次反射帯域と重複してより広い連続的反射帯域をもたらすという、本明細書において記載される調波重複手法の目的にとっては望ましくない。
よって、他の場合において、光学繰り返し単位のミクロ層の光学厚さは互いに異なり、f比は50%より大きく又は50%未満であり得る。本出願の目的のために、f比が本明細書の教示に従って任意の好適な値であるミクロ層積層体を含む多層光学フィルムが想到され、特に、f比が50%以外の積層体に注目する。したがって、図2の実施形態において、「A」層は、「B」層よりも一般的に薄いものとして図示される。図示されているそれぞれの光学繰り返し単位(ORU 1、ORU 2など)は、構成層「A」及び「B」の光学厚さの合計と等しい光学厚さ(OT1、OT2など)を有し、各光学繰り返し単位は、その波長λがORUの全体的な光学厚さの2倍である光の1次反射を提供する。
例示的な実施形態において、ORUの光学厚さは、z軸又はフィルムの厚さ方向に沿った厚さ勾配に従って変化し、それにより、光学繰り返し単位の光学厚さは、積層体の一方の側(例えば上部)から積層体の他方の側(例えば下部)へと進むにつれて、増加するか、減少するか、又は他の何らかの関数関係に従う。このような厚さ勾配は、より広い反射帯域を提供し、これにより対象とする広い波長帯域および対象とする全ての角度にわたり、実質的にスペクトルの平坦な光透過性及び光反射をもたらすために、使用され得る。あるいは、開示されるミクロ層パケットが有する層の厚さ勾配は、対象とする波長範囲において著しく変化する反射及び透過スペクトルを提供するように、意図的に調整されてもよい。例えば、多層光学フィルム体が、赤色光よりも青色光を多く透過(若しくは反射)するか(逆もまた同様)、又は青色光及び赤色光よりも緑色光を多く透過(若しくは反射)することが望ましい場合がある。そのような所望のスペクトル不均一性によって、多層光学フィルム体は、色の着いた(不透明又は非中性の)外観を呈するが、そのような望まれた色は、スペクトル反射又は透過が波長の関数としての比較的緩やかな変化と関連付けられるが、望ましくない色は、それらパラメータのより速い変化と関連付けられるという点で、望まれた色は、望ましくないとみなされ得る色と、しばしば区別される。例えば、望まれた色と関連付けられる反射又は透過のスペクトル不均一性は、約100nm以上の特徴的期間で波長の関数として変動し得るが、望ましくない色と関連付けられる反射又は透過のスペクトル不均一性は、約50nm未満の特徴的期間で波長の関数として変動し得る。ただし、この数値は、層厚さプロファイルにおける局所的な乱れの度合いにある程度依存する。
また場合によっては、赤外スペクトルに比べ、可視スペクトルにわたって実質的に異なる反射率レベルを提供することが望ましい可能性がある。例えば、赤外波長の範囲にわたって高レベルの反射率(従って、低レベルの透過率)を提供し、可視スペクトルの一部又は全体にわたってこれより低いレベルの反射率(かつより高い透過率)を提供したい場合があり得る。場合によっては、2つの調波反射帯域の部分的スペクトル重複の結果として、及び/又は、2つの隣接する重複又は実質的に重複する調波反射帯域の反射率が異なる結果として、反射率と透過率の急激な段状変化が生じる可能性がある。そのようないくつかの実施形態を、更に下記に説明する。
共鳴可能な数の層により反射を達成するために、直接隣接するミクロ層は、x軸に沿って偏光された光に関して、例えば、少なくとも0.03の屈折率の差(Δnx)を呈することがある。2つの直交する偏光に関して高い反射率が所望される場合、直接隣接するミクロ層はまた、例えば、y軸に沿って偏光された光に関して、少なくとも0.03の屈折率の差(Δny)を呈し得る。いくつかの場合において、直接隣接するミクロ層は、ほぼ同じ大きさの2つの主要面内軸に沿った屈折率不整合(Δnx及びΔny)を有することがあり、この場合、フィルム又はパケットは、軸上ミラー又は部分ミラーとして挙動し得る。あるいは、透過軸偏光において、部分的に反射性となるように設計された反射性偏光子において、直接隣接するミクロ層は、x軸に沿って偏光された光において屈折率の大きな差(Δnx)、及びy軸に沿って偏光された光において、より小さいが依然として実質的である屈折率の差(Δny)を呈することがある。このような実施形態のバリエーションにおいて、直接隣接するミクロ層は、z軸にそって屈折率の整合、又は不整合を呈し(Δnz=0、又はΔnzが大)、不整合は、面内屈折率不整合(単数又は複数)と同じ、又は反対の極性又は符号であり得る。このようなΔnzの調整は、斜めに入射する光のp偏光成分の反射率が入射角の増加に伴って増加するか、減少するか又は同じままであるかということにおいて、重要な役割を担う。
反射率が入射角と共に増加する反射体と、所与の主軸に沿った反射率が入射角と共に減少する反射体とのいずれにおいても、必要な場合には、アポダイズ技法を用いて、色を抑えて製造することができる。これは、垂直入射に対する反射率が大きく、かつ、垂直入射を含む様々な角度において、透過する光により可視であるフィルムに対して、重要であり得る。
開示される多層光学フィルムの少なくとも1つのパケット内のミクロ層の少なくとも一部は、必要に応じて、複屈折、例えば、単軸的に複屈折又は2軸的に複屈折であってもよいが、いくつかの実施形態では、全て等方性であるミクロ層が使用されてもよい。いくつかの場合において、各ORUは、1つの複屈折性ミクロ層と、等方性であるか又はもう一方のミクロ層に比べて低い程度の複屈折性を有する第2ミクロ層とを含み得る。別の場合において、各ORUは、2つの複屈折性ミクロ層を含んでもよい。
開示の多層光学フィルムは、任意の好適な光透過性材料を用いて製造できるが、多くの場合、低吸収性ポリマー材料を使用することが有益である。このような材料により、可視波長及び赤外波長における、ミクロ層積層体の吸収率は、小さいか又は無視できる程度にすることができ、任意の所与の波長、及び任意の特定の入射角及び偏光状態における、積層体の反射率及び透過率の合計は、およそ1、すなわち、R+T≒1、又はR≒1−Tである。吸収層を含まない実施形態において、この関係はミクロ層積層体を含む多層光学フィルムにも当てはまる。多層光学フィルムが吸収層(単数又は複数)を含む実施形態において、多層光学フィルムの対応する関係は、R+T+A≒1であり、Aは吸収層(単数又は複数)の吸収率である。例示的な多層光学フィルムは、高分子材料から構成され、共押出、キャスト、及び配向プロセスを使用して作製され得る。米国特許第5,882,774号(Jonzaら)「Optical Film」、同第6,179,948号(Merrillら)「Optical Film and Process for Manufacture Thereof」、同第6,783,349号(Neavinら)「Apparatus for Making Multilayer Optical Films」、及び米国特許出願公開第US 2011/0272849号(Neavinら)「Feedblock for Manufacturing Multilayer Polymeric Films」を参照されたい。多層光学フィルムは、前述の参照文献のいずれかに記載されるポリマーの共押出によって形成され得る。様々な層のポリマーが、同様の流動学的特性、例えば融解粘度を有するように選択され得、それによりこれらのポリマーは、有意な流れの乱れを伴うことなく共押出しされ得る。押出条件は、連続的及び安定な方法で、送達ストリーム又は溶融ストリームとして、それぞれのポリマーを、適切に送達、溶融、混合、及びポンプ移送するように選択される。各溶融ストリームを形成及び維持するために使用される温度は、温度範囲の下限において凍結、結晶化、又は不適切に大きな圧力低下を避け、かつ範囲の上限において材料の劣化を避けるような、ある範囲内であるように選択されてもよい。
簡潔に述べると、製造方法は(a)最終的なフィルムで使用される第1及び第2ポリマーと対応する第1及び第2の樹脂流れを少なくとも提供する工程と、(B)(i)第1及び第2の流れチャネルを含む勾配プレートであって、第1チャネルは流れチャネルに沿って第1位置から第2位置へと断面積が変化する、勾配プレートと、(ii)第1の流れチャネルと流体連通する第1の複数の導管、及び第2の流れチャネルと流体連通する第2の複数の導管を有するフィーダチューブプレートであって、各導管はその個別のスロットダイへと供給し、各導管は第1端部及び第2端部を有し、導管の第1端部はフローチャネルと流体連通し、導管の第2端部はスロットダイと流体連通する、フィーダチューブプレートと、(iii)任意により、上記導管付近に配置された軸方向ロッドヒーターとを含むものなど、好適なフィードブロックを使用して、第1及び第2流れを複数の層に分割する工程と、(c)押出ダイに複合流れを通し、各層が隣接する層の主要表面とほぼ平行である多層ウェブを形成する工程と、(d)キャスティングホイール又はキャスティングドラムと称されることがある、多層ウェブをチルロール上にキャスティングして、キャスト多層フィルムを形成する工程とを含む場合がある。このキャストフィルムは、最終的なフィルムと同じ数の層を有してもよいが、キャストフィルムの層は典型的には、最終的なフィルムのものよりも遥かに厚い。更に、キャストフィルムの層は、典型的には全て等方性である。広い波長範囲にわたって反射率及び透過率の低周波変動が制御された多層光学フィルムは、軸棒加熱器の熱領域制御によって達成することができ、例えば、米国特許第6,783,349号(Neavinら)を参照されたい。
いくつかの場合において、製造器具は、最終的なフィルム内の層の数を増やすために、1つ以上の層増加器を利用してもよい。他の実施形態において、フィルムは、層増加器を使用せずに製造することができる。層増加器は、多数の光学層の生成を大幅に単純化するが、できあがった層パケットに対し、パケット毎に不均一な歪みを与えることがある。この理由のため、供給ブロック内で生成された層の層厚さプロファイルを調整する場合、各パケットごとに同じではない。即ち、スペクトルの乱れのない均一で滑らかなスペクトルを生成するために、全てのパケットを同時に最適化できるとは限らない。したがって、透過する色及び反射する色を低減するための最適なプロファイルを、増加器を使用して製造されたマルチパケットフィルムにより作製するのは困難であり得る。供給ブロック内で直接生成された単一パケット内の層の数が、十分な反射率をもたらさない場合は、2つ以上のそのようなフィルムが貼り付けられ、反射率を高めることができる。低色フィルムのための滑らかなスペクトル反射率及び透過率を提供するための、層厚さ制御の更なる説明は、PCT国際公開特許WO2008/144656号(Weberら)に提供されている。
所与の多層フィルム内のミクロ層の全ての光学厚さが同じであるように設計された場合、フィルムは狭帯域の波長にわたってのみ高い反射率を提供する。該帯域が可視光スペクトル内のどこかにある場合、そのようなフィルムは高度に着色されて見えることになり、色は角度の関数として変化する。ウィンドーフィルム、若しくはディスプレイ、又は照明用途の関連において、認識可能な程度の色がついているフィルムは避けられることが多い。しかしながら、いくつかの場合においては、システム内の他所における色のアンバランスを修正するために、所与の光学フィルムが少量の色を含むことは有利であり得る。例示的な多層光学フィルム体では、ミクロ層、又はより正確には、多くの実施形態(全てではない)において直接隣接するミクロ層の対と対応する光学繰り返し単位(ORU)を、様々な光学厚さを有するように調節することによって、例えば、全可視スペクトル、又は可視及び赤外(IR)波長の少なくとも一部分にわたり、広帯域の反射率及び透過率を付与される。典型的には、ミクロ層は、フィルムのz軸すなわち厚さ方向に沿って、フィルム又はパケットの一方の側における最も薄いORUからもう一方の側における最も厚いORUへと配列されており、最も薄いORUが反射帯域における最も短い波長を反射し、最も厚いORUが最も長い波長を反射する。
多層ウェブがチルロール上で冷却された後、これは延伸又は伸張されて、最終的な又はほぼ最終的な多層光学フィルムを生成し得る。延伸又は伸張は、所望の最終的な厚さになるように層を薄化すること、及び層の少なくとも一部が複屈折性となるように層を配向させ得ること、という2つの目標を達成する。方向付けること又は伸張は、クロスウェブ方向に沿って(例えばテンターを介して)、ダウンウェブ方向に沿って(例えばレングスオリエンタ(length orienter)を介して)、又はそれらの任意の組み合わせで、同時に又は逐次的に達成され得る。一方向にのみに沿って伸張される場合、伸張は「非拘束」(フィルムは伸張方向に直角な面内方向で寸法的に弛緩可能である)又は「拘束」(フィルムは伸張方向に直角な面内方向において拘束され、したがって寸法的に弛緩不能である)であり得る。2つの面内方向に沿って伸張されるとき、伸張は、対称であってもよく(すなわち、直交する面内方向に沿って等しく)、又は非対称であってもよい。あるいは、フィルムはバッチプロセスにおいて伸張されてもよい。いずれにせよ、連続的な又は同時の延伸低減、圧力又は歪みの平衡化、熱硬化、及び他の処理工程が、フィルムに適用されてもよい。
いくつかの場合において、ミクロ層と共に共押出しされる、スキン層又は保護境界層は、染料又は顔料を含み得る。染料が含まれる場合、染料は、等方性染料、又はダイクロイック染料であり得る。他の場合において、ミクロ層が形成された後に、染料又は顔料を含み得る追加的な層が、スキン層又は保護境界層に取り付けられるか又はコーティングされる。
真空蒸着による積層体の構成と共押出によるポリマー多層積層体の構成との間の少なくとも1つの違いは、層プロファイル分布の形状である。真空蒸着フィルムでは、望ましいスペクトルは積層体の各層の厚さを個別に調節することによって達成されるため、コンピュータで最適化された積層体の構成にぴったり一致する。この方法で、スペクトルリップルなどの問題はルーチン作業で最小化される。直接隣接する層の厚さは、10倍の規模で異なることがあり、厚さ値は約0.05λ〜1.0λの範囲であることが多い。共押出ポリマーフィルム積層体では、このような、個々の層のオンラインでの監視及び制御は、まだ当該技術で実用可能なオプションにはなっていない。その結果、スペクトル形状は主に、連続的かつ滑らかに変化する層厚さプロファイルの形状によって制御される。しかしながらそのようなプロファイルは、ポリマーフィルム積層体に限定されたものではない。
所与の光学積層体の調波反射帯域を重複させることによる単一の広域反射帯域の生成
可視及び赤外波長の両方に及ぶ広範なスペクトル範囲にわたり高い又は少なくとも実質的な反射率を必要とする、特にウィンドーフィルムなどの用途における多層光学フィルム積層体の特に有効な使用は、少なくとも1つの2次反射帯域を含む、光学物品における所与の多層積層体又はパケットの多数の調波反射帯域を重複させることによって、行うことができる。物品の機能作用において、1次反射だけでなく2次反射も利用することにより、また積層体を調整して、2次反射帯域が1次反射帯域及び/又は3次反射帯域と重複又は実質的に重複するようにし、これにより広げられ組み合わされた連続的反射帯域を生成することにより、効率を改善することができる。場合によっては、ミクロ層積層体が、単一の連続的反射帯域からスペクトル的に分離していて、その一部とはなっていないような、少なくとも1つの他の反射帯域を生成し得ることが、理解されよう。例えば、図11A及び11Bと共に後述されるように、2次、3次、及び4次反射帯域は、互いに重複して、単一の広げられた連続的反射帯域を形成するが、ミクロ層積層体は更に、そのような広げられた反射帯域から離れていてその一部とはなっていない1次反射帯域も生成し得る。
更に、顕著な2次反射を生成するために、所与の積層体の「A」及び「B」ミクロ層の相対的厚さを調整して、光学繰り返し単位のf比が0.5(50%)から有意に異なるようにし、この構成上の特徴は更に、フィルム製造者にも大きな利点をもたらし得る。特に、「A」ミクロ層の材料「A」が、「B」ミクロ層の材料「B」よりも高価な場合(又はその逆)、f比が0.5である積層体の構成よりも、積層体中の材料「A」の量を減らし、材料「B」の量を増やすよう(又はその逆)、f比を選択することができる。ORUの「より薄い」ミクロ層がより高価な材料となるように選択し、ORUの「より厚い」ミクロ層がより安価な材料となるように選択することによって、最終的なフィルム全体の原材料コストを大幅に低減することができる。例えば、光学品質ポリエチレンナフタレート(PEN)は、現在では、光学品質ポリエチレンテレフタレート(PET)よりも高価である。したがって、有意な2次反射を生成する、50%ではない、標的となるf比を達成するため、各光学繰り返し単位のPENミクロ層の厚さが低減される一方で、各繰り返し単位のPETミクロ層の厚さは増加することがあり、これによりフィルムの全体的な材料コストが低減する。
図3では、一群のORUを形成するミクロ層積層体の厚さプロファイルの理想化した図が示されている。この特定の積層体は、アポダイズされた部分を有していない。厚さプロファイルの個々の点は、1つのORUの光学厚さを表わす。このグラフでは40のORUを想定し、積層体の一方の側から他方の側まで順に配列されているが、別の実施形態において40より多い又は少ない数のORUが使用可能である。厚さプロファイルは、ORU 1での最小値OT1から、ORU 40での最大値OT40までの、厚さの勾配を呈している。この勾配は、厚さの勾配を有さない同様の積層体に比べて、積層体により生成される反射帯域のスペクトル幅を広げる効果を有する。単純化のために単純線形の厚さプロファイルが示されているが、より複雑なプロファイル(例えば曲線、曲がり、及び/又はアポダイズ部分などを採用したプロファイル)も採用することができる。
個々の層の厚さは示されていないため、ORUの厚さプロファイルは、積層体に使用されるf比について何の情報も表わさないことに注意されたい。換言すれば、所与のORU厚さプロファイル(図3のものを含む)は、ORUの光学厚さは不変のままで、f比を様々に調整することによって、多数の様々な方法で実施することができる。例えば、場合によっては、各ORUの「A」ミクロ層は「B」ミクロ層よりもかなり薄くてよく、また別の場合において、各ORUの「A」ミクロ層は「B」ミクロ層よりもかなり厚くてよく、更にまた別の場合において、「A」及び「B」ミクロ層は各ORUにおいてほぼ同じ厚さであってよい。
図4において、例えば図3のようなミクロ層積層体が、その積層体の構成の詳細に応じて生成し得る、様々な調波反射帯域の、理想化した概略図を示す。本出願の目的のために、この反射帯域は、反射率対波長のプロット上において反射率が増加している単一の閉じた領域を指し、その領域内において反射率は少なくとも30%の値を達成する。各調波次数の反射帯域は、2つの相対する垂直で直線的な帯域エッジを有し、帯域内の反射率は平坦又は均一であり、リップルやリンギングがないという、単純化又は理想化した状態で示されている。この長方形の反射帯域は現実のフィルムでは見られないが、理想化した長方形反射帯域は、より複雑な形状を有する実際の反射帯域を近似又は代表させるのに有用であり得る。図示のため、1次、2次、3次、4次、5次、及び6次反射帯域が全て同じグラフに示されているが、実際は、積層体に使用するf比に応じて、このうちいくつかは典型的には存在しないか、実質的に存在しないであろう。また、調波の反射率は、次数が増加するにつれて単調に減少するよう示されているが、いつもこのようになるわけではない。場合によっては、他の反射帯域よりも大きな反射率を有する反射帯域が、高い次数を有することがある。
この点に関して、図5Aを参照する。この図は、ミクロ層積層体のf比の関数としての相対的反射能のグラフである。ここで、ミクロ層積層体の「反射能」は、マイナスのLog(1−R)スペクトル(光学密度)の下の面積を、波長で割って正規化したものを指す。数値積分により、反射能スペクトルの各増加した領域を、局所波長によって割ることができる:(Log(1−R(λn)))×(λn+1−λn)/λn。(式中、パラメータ「R」は、積層体の反射率を指し、これは波長の関数である。R=1の値は、1.0、又は100%の反射率に対応し、R=0.5の値は、0.5又は50%の反射率に対応する、などとする。分散の効果は、図5A及び5Bを生成するにあたって無視する。図5Aの無分散プロットは、基本的な光学的性質を説明するために使用することができ、コンピュータモデリングにより、屈折率の分散により生じるスペクトルの詳細な変化をおさえることができる。積層体により生成される個々の調波帯域の反射能は、互いに重複していない場合、このようにして決定することができる。小さな屈折率の差で高屈折率層と低屈折率層を交互に重ねた積層体(例えばポリマー多層光学積層体に見られるようなもの)の反射能は屈折率の差の二乗に比例することを、光学的モデル化又は実験により示すことができる。この反射能におけるf比の効果は、以下のように、所与のm次調波帯域における有効屈折率差を使用して表現することができる:
Figure 2017534076

式中、Δnは実際の屈折率差、cは、積層体の非対称矩形波屈折率波形のフーリエ表現における、一連の中のm次のフーリエ係数である。所与の調波反射帯域の反射能(RP)は、この実効屈折率差の二乗に比例するものとして表わすことができる。
Figure 2017534076
非対称矩形波のm次それぞれのフーリエ係数は、次の式で表わされる。
Figure 2017534076
式中、fはf比である。これらの式から、反射能RPは、下記の単純な式に比例することがわかる。
Figure 2017534076
この関数を、1次反射帯域の最大反射能(これはf比が0.5のときに生じる)を1.0に設定することにより正規化した後、いくつかの調波次数について図5Aにプロットする。曲線は、最初の4つの調波次数それぞれについて、すなわち、1次反射(m=1)、2次反射(m=2)、3次反射(m=3)、及び4次反射(m=4)について、示されている。グラフから、f比が0.5(又は50%)で1次及び3次反射が最大化され、2次及び4次反射はゼロであることがわかる。一方、f比が1/3又は2/3(それぞれ約33%又は67%)の時、1次反射はかなりあるが最大値からは低減しており、2次及び4次反射はかなりあるが1次反射よりは少なく、3次反射はゼロである。望ましいf比を選択することによって、異なる調波次数の幅広いバラエティの相対的反射強度が得られる。所与のm次調波における相対反射能を、aと称することができる。
図5Bは図5Aに関連しており、図5Bではフーリエ係数cの相対的大きさをf比の関数としてプロットしている。図では、異なる調波次数mの曲線が示されている。
図6A及び6Bは、図4と同様の単一ミクロ層積層体の理想化したスペクトル反射率のグラフであるが、ただし図6A及び6Bでは、それぞれの反射スペクトルにおいて、どの調波次数が存在しどの調波次数が存在しないかについての分岐をもたらす特定のf比で積層体が作製されていると想定している。具体的には、図6Aでは積層体はf比0.5で作製されている。この場合、図5Aにより、図4の1次及び3次反射帯域は存在するが、図4の2次及び4次反射帯域は存在しない。図6Bではf比1/3又は2/3を想定し、これにより1次、2次、及び4次反射帯域は顕著であるが、3次反射帯域はない。
本明細書に記述される重複技法は、適切な設計パラメータを選択することにより、対象のミクロ層積層体のスペクトル反射率を好適に調節することに依存している。この設計パラメータは例えば、個々のミクロ層の材料及びそれぞれの屈折率と屈折率差、ミクロ層及びORUの数、光学繰り返し単位の層厚さプロファイル、並びに積層体のORUのf比である。いくつかの場合において、第2ミクロ層積層体は、対象の積層体と光学的に直列になるように配置されてもよく、これにより、対象の積層体を透過した光が、第2積層体に当たり、及び/又は第2積層体を透過した光が対象の積層体に当たる。そのような配置を組み込んだ多層光学フィルムが、図7及び図8に模式的に示されている。
図7A、物品710は、共押し出し、及び任意選択で一方向又は二方向における配向又は伸張により、形成される光学フィルムであり得る。物品710は、光学的に厚い層714aと、714bとの挟持された、複数のミクロ層からなる単一のパケットである、ミクロ層積層体712を有する。光学的に厚い層714a、714bは、保護境界層(PBL)及び/又はスキン層であり得る。積層体712はミクロ層を含むが、光学的に厚い層は含まない。ミクロ層は、複数の調波反射帯域(少なくとも2次反射帯域を含み、上述のようにこれら調波反射帯域が互いに重複又は実質的に重複する)を生成するよう調整された、屈折率及び層厚さプロファイルを備えたORUをなすように構成することができる。光学的に厚い層714a及び714bの一方又は両方は、光学層、すなわち、いくつかの光学的機能をもたらす層であり得る。光学層は、アンチグレア層、及び/又は吸収層であり得る。あるいは、図7Bに示されるように、追加的な層が、ミクロ層積層体712の隣に含まれてもよい。多層光学フィルム710bは、物品710、及び光学的に厚い層714bに直接隣接する光学層799を含む。光学層799は、アンチグレア層、又は吸収層であり得る。
光学層799は、フィルムからの望ましくないグレアを低減し、及び/又はフィルムの透過率を更に低減するために、ウィンドーフィルムに含まれてもよい。ミクロ層積層体712の反射特性を好適に選択することにより、多層光学フィルム710bは、ウィンドーフィルムとしての用途に好適と成り得る。ウィンドーフィルムとしての多層光学フィルム710bの用途は、図7C〜7Dに例示されている。図7Cは、接着剤層797を通じて、剥離ライナー795に取り外し可能に取り付けられた、ウィンドーフィルム710cを含む、ウィンドーフィルムアセンブリ790を示している。ウィンドーフィルム710cは多層光学フィルム710b及び接着剤層797を含む。図7Dに例示されるように、剥離ライナー797は除去されてもよく、ウィンドーフィルム710cは、窓793に取り付けられてもよい。ウィンドーフィルム710cは、ウィンドー793を被覆するか、又は実質的に被覆してもよく、又はウィンドー793の一部分のみを被覆してもよい。
接着剤層は、自己湿潤であり得、すなわち、接着剤層は、ウィンドーフィルムに圧力をほとんど、又は全く加えなくても、自重で下方に下がることによって、窓ガラスを自然に湿潤させてもよい。接着剤層は取り外し可能であり得る。すなわち、接着剤層は、再配置又は再加工のために窓ガラスに繰り返し取り付け及び取り外しできるように、取り外し可能な特性を有することができる。接着剤層は、90°剥離力が約30g/cm未満の初期剥離を呈し、室温で一週間経ったときにこれと異なる90°剥離力、これは約160g/cm未満、約80g/cm未満、又は約40g/cm未満であり得る、を有し得る。剥離力は、例えば、IMASS,Inc.(Accord,MA)の剥離試験機を使用して測定することができる。接着剤は、永続的に取り外し可能であることに加えて、コールドフローの制限、高温耐性の付与、および構造的一体性のための強い結合力を有することができる。
接着剤層は、米国特許出願公開第2007/0055019(A1)号(Sherman et al.)、及び同第2007/0054133号(A1)(Sherman et al.)に記載されるような、多官能性エチレン性不飽和シロキサンポリマー、及び1つ以上のビニルモノマーの、硬化した反応生成物を含み得る。
接着剤層は、適用されたときに追加的な圧力をほとんど用いずにアグレッシブな粘着を呈する感圧性接着剤層であってもよい。代表的な感圧接着剤は、ポリエステルセグメントを含むオリゴマー及び/又はモノマーから誘導されるポリマーを含み、ポリマーの35〜85重量%が、該セグメントを含む。このような接着剤は、米国特許出願公開第2007/0082969(A1)号(Malik et al.)に記載されている。
場合によっては、接着剤層はシリコーンを含有しない接着剤を含む。シリコーンは、Si−O及び/又はSi−C結合を有する化合物を含む。代表的な接着剤としては、PCT出願国際公開第2009/085662号(Sherman et al.)に記載される、硬化性非シリコーン尿素ベースオリゴマーから調製される、非シリコーン尿素ベース接着剤が挙げられる。好適な非シリコーン尿素系接着剤は、X−B−X反応性オリゴマー及びエチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。このX−B−X反応性オリゴマーは、エチレン性不飽和基としてXを含み、少なくとも1つの尿素基を有する非シリコーンセグメント化尿素系単位としてBを含む。
別の代表的な接着剤は、米国特許出願公開第2012/0100326号(Sherman et al.)に記載される、非シリコーンウレタンベース接着剤を含む。好適なウレタン系接着剤は、X−A−B−A−X反応性オリゴマー及びエチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。X−A−B−A−X反応性オリゴマーは、エチレン性不飽和基としてXを含み、数平均分子量が5,000グラム/モル以上の非シリコーン単位としてBを含み、ウレタン結合基としてAを含む。
剥離ライナー795は、接着剤層と接触するための、低接着表面を有してもよい。剥離ライナーは、クラフト紙などの紙、又はポリ(塩化ビニル)、ポリエステル、ポリオレフィン、酢酸セルロース、エチレンビニルアセテート、ポリウレタンなどのポリマーフィルムが挙げられる。剥離ライナー795は、シリコーン含有材料、又はフルオロカーボン含有材料などの、剥離剤の層でコーティングされてもよい。剥離ライナー795は、シリコーン含有材料でコーティングされたポリエチレンによりコーティングされた、紙又はポリマーフィルムであるか、又はこれを含んでもよい。代表的な剥離ライナーは、ポリエチレンテレフタレートフィルム上のシリコーン剥離コーティングを有し、商標名「T−30」及び「T−10」で、CPFilms Inc.(Fieldale,VA)から市販されているライナーを含む。
例示的な剥離ライナーは、構造化された剥離ライナーを含む。例示的な剥離ライナーには、ミクロ構造化剥離ライナーと呼ばれるもののいずれかが挙げられる。ミクロ構造化剥離ライナーは、接着層の表面にミクロ構造を付与するために使用される。ミクロ構造化された表面は、接着層と隣接した層との間の空気の放出を援助することができる。光学特性との干渉を防ぐために、ミクロ構造は時間が経つと消えることが好ましい場合がある。ミクロ構造は、一般的に、少なくとも2次元で微小である(すなわち、局所及び/又は断面が微小である)三次元構造体である。本明細書で用いるとき、「微小」は顕微鏡の助けなしに目視で解像するのが困難である寸法を指す。
本明細書において使用するとき、「アンチグレア」層とは、正反射光を低減し、少なくとも一部拡散反射された光を生成するための、層を指す。アンチグレア層は、反射防止層とは別個であり、例えば、弱め合う干渉により反射を低減させるための、交互の高屈折率層及び低屈折率層を含み得る。好適なアンチグレア層は、正反射光の代わりに拡散反射された光を生成し得る、マット表面を有する層を含む。マット表面は、例えば、米国特許第5,820,957号(Schroeder et al.)に記載されるように、表面を粗面化又は非平坦化することによって形成することができ、又は例えば、米国特許第6,778,240号(Nakamura et al.)に記載されるように層に粒子を付加することによって形成され得る。他の好適なアンチグレア層は、例えば、米国特許出願公開第2012/0064296 (Walker et al.)に記載されている。いくつかの場合において、アンチグレア層は、アンチグレア特性に加えて、反射防止特性をもたらすことができる。例えば、アンチグレア層はマット表面を含むことがあり、弱め合う干渉をもたらすために、交互の高屈折率層及び低屈折率層を含み得る。
好適な吸収層は、少なくとも1つの染料又は顔料を組み込んだポリマー層を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの染料又は顔料が、アンチグレア層に組み込まれる。いくつかの実施形態において、吸収層は、物品710などの多層光学フィルムの表面に染料をコーティングすることによって形成され得る。コーティングに使用されるか、又はポリマー層に組み込まれる染料(単数又は複数)は、等方性染料、ダイクロイック染料、又はこれらの組み合わせであり得る。典型的には、光学フィルムに入射する、可視光及び/又は赤外光(IR)、及び/又は紫外光(UV)を部分的に吸収するために、吸収層が使用される。いくつかの実施形態において、吸収層は、一部の波長領域のみにおいて吸収するように選択されてもよい(例えば、近赤外吸収顔料が使用され得る)。幾つかの実施形態において、吸収層は、入射光の1つの偏光のみを吸収してもよく、又はある偏光を、これに直交する偏光よりも強く吸収してもよい。
いくつかの実施形態において、吸収層は、少なくとも1つの染料又は顔料を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの染料又は顔料は、少なくとも1つの等方性染料及び/又は少なくとも1つのダイクロイック染料を含む。ダイクロイック染料は、ある偏光をこれに直交する偏光よりも強く吸収するために使用され得る。好適な吸収層は、PET又はPENなどのポリエステルとダイクロイック染料との混合物を押し出してフィルムを形成し、その後フィルムを伸張することによって、作製することができる。好適なダイクロイック染料は、赤色PD−104、黄色PD−335H、シアン318H、及び青色PD−325H、を含み、これらは全て、三井化学株式会社(日本、東京)から入手可能である。吸収層は、別個に押し出しされ、その後多層光学フィルムに取り付けられてもよいし、及び/又は吸収層は、多層光学フィルムが形成されるときに、ミクロ層の積層体と共に、共押し出しされてもよい。ダイクロイック染料を含む層を含む、多層光学フィルムが、例えば、PCT国際公開第2014/130283号(Haag et al.)に記載されている。
ダイクロイック又は偏光染料は、窓に入射する光の1つの偏光の遮断を増加させるために、ウィンドーフィルム内に使用されてもよい。ウィンドーフィルムの遮蔽軸は、ウィンドーフィルムがウィンドーに取り付けられるときに水平方向になるように選択されてもよい。水平な遮蔽軸は、例えば、湖畔又は海辺にある家、ビルなどにおいて、水からの太陽光のグレアを遮断するために有用であり得る。水平遮蔽軸はまた、窓付近の床、又は他の水平面から反射して入る光によるグレアを低減するのに有用であり得る。
いくつかの実施形態において、吸収層は、少なくとも1つのUV吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つのIR吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つの可視光吸収染料若しくは顔料、又はこれらの組み合わせが挙げられる、少なくとも1つの染料又は顔料を含む。場合によっては、単一の共押出光学フィルムの一部として、あるいは、別々に製造されてから互いに接着又は他の方法で合わせられたフィルムとして、パケット又はミクロ層積層体を他のミクロ層積層体と組み合わせることができる。例えば、図8において、物品810は2つの光学フィルム826a、826bから製造されてよく、これらは別々に共押出及び製造され、次に、光学的に厚い層814c(例えば光学的に透明な接着剤であるか又はこれを含み得る)と共にラミネートされるか、又は別の方法で接着される。光学的に厚い層814cはまた、吸収層であってもよい。例えば、1つ以上の染料又は顔料は、多層光学フィルム826a及び826bを取り付けるために使用される、元々透明な接着剤に含まれてもよい。フィルム826aは、第1ミクロ層積層体812aと、任意追加的に、PBLなどの光学的に厚い層814a、814bとを含む。フィルム826bは、第2ミクロ層積層体812bと、任意追加的に、PBLなどの光学的に厚い層814d、814eとを含む。フィルム826a及び826bはそれぞれ、ミクロ層の単一のパケットである。いくつかの実施形態において、任意の光学的に厚い層814a、814b、814d、814e、光学的に厚い層814c、及び任意の追加層の1つ以上は、アンチグレア及び/又は吸収層である。z方向で負方向に伝搬する、第1積層体812aを透過するいずれかの光は、1つ以上の吸収層により吸収されない限り、第2積層体812bに当たる。z方向で正方向に伝搬し、第2積層体812bを透過するいずれかの光は、1つ以上の吸収層によって吸収されない限り、第1積層体812aに当たる。第1及び第2積層体の反射特性はこのように、物品810において組み合わせられることができる。場合によっては、第1積層体812aは、本明細書で記述される調波帯域重複技法を採用し、一方第2積層体812bはこれを採用しなくてもよい。別の場合において、第1及び第2積層体812a、812bがそれぞれ、この重複技法を採用し得る。場合によっては、一方の積層体が、他方の積層体が反射をほとんど又は全く有さないスペクトル領域、例えば他の反射帯域の間の通過帯域、に1次又はより高次の反射帯域を提供するように、これら積層体を設計することができる。
ここで、重複した調波反射帯域をもたらし、拡張又は広くなった反射帯域を生じるよう設計された、多層積層体のいくつかの代表的な例について記述する。それぞれの場合について、2次反射帯域は、1次反射帯域及び/又は3次反射帯域(存在する場合)と重複するか、又は実質的に重複する。最初に、単純化したスペクトル反射率の図に関連したいくつかの代表的な場合について説明する。図9A〜11Bを参照されたい。その次に、それぞれの反射率特性が計算され又はモデル化されている、特定のORU厚さプロファイル及びf比を有する実施形態に関連したいくつかの代表的な場合について説明する。図13〜18Bを参照されたい。最後に、1次又は3次反射帯域のいずれとも実質的に重複しない2次反射帯域を有するミクロ層積層体の場合の比較例について説明する。図19〜21を参照されたい。
図9Aは、2次反射帯域が1次及び3次反射帯域の少なくとも一方に重複するよう作製され、単一の広くなった反射帯域を生成する場合を図示する。簡単に言えば、ミクロ層積層体は、たくさんの調波反射帯域をもたらすよう調整されている。積層体のORU厚さ勾配は、ある範囲の光学厚さをカバーし、これにより、1次、2次、及び3次反射帯域が図示のようになる。ここで、光は所与の偏光状態で、設計入射角(例えば垂直入射)であると仮定される。説明を簡単にするために、図中の反射帯域は全て、単純化又は理想化して、すなわち長方形で図示されている。ミクロ層積層体のf比は0.25である。図5Aにより、このf比は1次、2次、及び3次調波を生成し、1次の反射能は2次の反射能と同じであり、3次はこれより低いがゼロではない反射能を有する。この図において、一般化のため、縦の「反射率」軸には目盛は提供されていない。ただし、1次及び2次帯域がほぼ同じ反射率を有し、3次帯域が実質的に低減された反射率を有するという点において、異なる帯域の相対的高さは少なくとも概ね正確である。1次帯域は、左の帯域エッジ800nmから右の帯域エッジ1600nmまで延在する。2次帯域は、左の帯域エッジ400nmから右の帯域エッジ800nmまで延在する。3次帯域は、左の帯域エッジ266nmから右の帯域エッジ533nmまで延在する。3次を超える調波は、単純化のため図示されていない。したがって、2次反射帯域は、1次反射帯域及び3次反射帯域の両方と(スペクトル的に)重複する。2次帯域と1次帯域の重複は、2次帯域の右の帯域エッジが、1次帯域の左の帯域エッジに合致するとき、又は、2次帯域の右の帯域エッジが1次帯域内になるとき(すなわち、2次帯域の右の帯域エッジが1次帯域の左と右の帯域エッジの間にあるとき)に、確立される。同様に、2次帯域と3次帯域の重複は、2次帯域の左の帯域エッジが、3次帯域の右の帯域エッジに合致するとき、又は、2次帯域の左の帯域エッジが3次帯域内になるとき(すなわち、2次帯域の左の帯域エッジが3次帯域の左と右の帯域エッジの間にあるとき)に、確立される。
1次、2次、及び3次調波帯域の重複の結果、少なくともこれら3つの調波反射帯域を組み合わせた、単一の広い反射帯域が形成される。同じ偏光状態及び同じ設計入射角について、そのような単一の広い反射帯域が、図9Bに示されている。この帯域は、左の帯域エッジ約266nm(3次帯域の左の帯域エッジに対応)から右の帯域エッジ約1600nm(1次帯域の右の帯域エッジに対応)まで延在して示されている。この広い又は拡張された帯域は、赤外スペクトル全体と、可視スペクトルの大半にわたって、比較的一定の反射率をもたらす。ただし、スペクトル400nm近くの、青/紫側の端では、2次と3次の組み合わせにより、400〜533nmではやや高くなっており、また266〜400nmではかなり低くなっている。
本明細書を通して、所与の反射帯域の左の帯域エッジは、短波長帯域エッジとも呼ばれ、この波長はλと表わすことができる。同様に、所与の反射帯域の右の帯域エッジは、長波長帯域エッジとも呼ばれ、この波長はλと表わすことができる。本明細書では更に、例えば1次又は2次などの所与の帯域の調波次数を表わすために、追加の下付き文字が使用される。よって例えば、λS1stは1次反射帯域の左の帯域エッジの波長を指し、λL2ndは2次反射帯域の右の帯域エッジの波長を指す。
ある反射帯域と別の反射帯域とのスペクトル重複の領域において、反射率は、「コヒーレント」ではなく「インコヒーレント」な態様で組み合わせられる。例えば、一方の調波帯域が反射率R1を有し、もう一方の調波帯域が同じ波長で反射率R2を有する場合、その波長での積層体全体の反射率Rは、いわゆる「パイルオブプレート」式:
Figure 2017534076
によって与えられ、R1+R2の単純和にはならない。例えば、R1が60%、R2が30%の場合、合わせた反射率Rは約66%になり、90%ではない。
ここで、空気界面の影響に関して、明確にすべき点を説明する。光学フィルム又はフィルム体は、外側前面又は上主面と、外側背面又は下主面とを有する。これらの2つの外側表面はそれぞれ、典型的に、空気、真空、又は別の不活性ガスに曝されている。反射防止膜が提供されている場合を除き、光は、光学フィルムの内部構造又は組成にかかわらず、これら2つの外側表面で反射される。フィルム(又はその構成要素、例えばミクロ層積層体)の反射特性について検討するとき、外側表面反射の影響を反射率値に含めてもよいし、あるいは外側表面反射の影響を除外してもよい。外側表面反射の影響を含めた反射率値は「外部」反射率と呼ばれ、外側表面反射の影響を含めない反射率値は「内部」反射率と呼ばれる。換言すると、フィルム又は他の構成体の「内部反射」は、フィルムの前方又は後方(又は上部若しくは底部など)に、フィルムとは異なる屈折率の空気又はなんらかの他の媒体との接触による境界面が存在しないときに、フィルムが有する反射である。「内部透過率」及び「外部透過率」は同様に、ただし透過率について定義される。本明細書の目的のために、別途明示的に記載のない限り、「反射率」及び類似の語は外部反射率を指し、「透過率」及び類似の語は外部反射率を指す。よって例えば、R1及びR2に関して全体の反射率Rのための上記の「パイルオブプレート」式において、R1及びR2が内部反射率について与えられた場合、計算されるRも内部反射率を指す。あるいは、「パイルオブプレート」式は、R1が一方の外側界面での表面反射の影響を含み得、R2が反対側の外側界面での表面反射の影響を含み得るように解釈することができ、ここにおいてRは、フィルムの外側反射率、すなわち、フィルムの両方の外側表面での光反射の影響を含むフィルムの反射率を表わす。
図9Aの反射帯域の単純化により、上記の重複技法が容易に理解できるようになる。しかしながら、上記のように、実際のミクロ層の積層体により生じる実際の反射帯域は、理想的な矩形の形状を有さない。結果的に、所与の反射帯域が別の反射帯域と重複するかどうかという決定は、反射帯域の左側及び右側帯域縁部の正確な波長の値が容易に決定できないことにより、より複雑となる。この理由から、ミクロ層積層体により生成される所与の調波次数反射帯域について、左右の帯域エッジのスペクトル位置を確実に決定するための方法を下記に述べる。この方法は、その積層体について、測定された又はモデル化されたスペクトル反射率の解析と、測定された又はモデル化されたORU厚さプロファイルの解析の両方を含み、更に積層体のf比も解析の要素となる。
実際のミクロ層積層体により生成される実際の反射帯域が理想的な長方形を有していないということは、反射帯域重複の考え方に関しても派生的な影響を有する。特に、帯域エッジの位置を決定する本明細書の方法に厳密に従えば重複していない2つの反射帯域(例えば、本明細書の方法で決定された短い波長反射帯域の右の帯域エッジが、本明細書の方法で決定された長い波長反射帯域の左の帯域エッジから、わずか数nmだけ離れていて、それらの帯域が重複しているとはみなされない場合)であっても、それらが十分に近接して、単一の広い反射帯域として妥当に特徴付けられ得るスペクトル特性を生成する可能性がある。そのような状況を考慮して、本出願人らは用語「実質的な重複」(及び「実質的に重複している」などの関連表現)を使用して、(a)上記のように2つの反射帯域の間に実際の重複がある場合と、(b)隣接する反射帯域の2つの近くの帯域エッジの間に実際の重複はないが、一方の帯域エッジの波長(例えばλL2nd)と他方の帯域エッジの波長(例えばλS1st)との差が、いずれかの帯域エッジの波長の5%以下である場合との、両方を包含する。
図10Aは、2次反射帯域が1次及び3次反射帯域の少なくとも一方に重複するようにされ、単一の広くなった反射帯域を生成する別の場合を図示する。簡単に言えば、ミクロ層積層体は図9Aの積層体と実質的に同様に作製することができるが、ただし、積層体の全てのORUのf比が、0.25から0.33(すなわち1/3)へと変更されている。図5Aを参照して、改変されたf比は1次及び2次調波を生成するが、3次調波は生成しない。図5Aから更に、2次調波の反射能は、f比が1/3の場合、1次調波の反射能より顕著に小さくなることがわかる(図9Aにおいてほぼ等しいのとは異なる)。図9Aと同様に、図10Aに示されている反射帯域は、所与の偏光状態で、設計入射角(例えば垂直入射)の光に対する、積層体の反射率を表わす。また、一般化のため、図10Aの縦の「反射率」軸には目盛は提供されていない。ただし、2次帯域が1次帯域より顕著に低い反射率を有し、3次帯域が存在しないという点において、異なる帯域の相対的高さは概ね正確である。1次帯域は、左の帯域エッジ800nmから右の帯域エッジ1600nmまで延在する。2次帯域は、左の帯域エッジ400nmから右の帯域エッジ800nmまで延在する。3次帯域は存在せず、3次より上の調波は単純化のため図示されていない。したがってこの場合、2次反射帯域は、1次反射帯域と(スペクトル的に)重複する。
1次及び2次調波帯域の重複の結果、これら2つの調波反射帯域を組み合わせた、単一の広い反射帯域が形成される。単一の広い反射帯域が図10Bに示されており、これは、図10Aと同じ偏光状態及び同じ設計入射角を想定している。この帯域は、左の帯域エッジ約400nm(2次帯域の左の帯域エッジに対応)から右の帯域エッジ約1600nm(1次帯域の右の帯域エッジに対応)まで延在して示されている。この広い又は拡張された帯域は、赤外領域の大半にわたって比較的一定の反射率を提供し、また、可視スペクトルの大半にわたって比較的一定であるが顕著に低いレベルの反射率(実質的に異なる反射率)を提供する。すなわち、広い反射帯域が、反射率と透過率における段状変化を有している。そのような反射特性を備えた多層光学フィルムは、例えば、人間がフィルムを通して物を見ることができるように、可視光スペクトルの全て又は大半にわたって部分反射と部分透過が望ましく、赤外線スペクトルの大部分にわたってこれよりずっと高い反射率が望ましい場合において有用であり得る。
図11Aは、2次反射帯域が1次及び3次反射帯域の少なくとも一方に重複するよう作製され、単一の広くなった反射帯域を生成する更に別の場合を図示する。簡単に言えば、ミクロ層積層体は、たくさんの調波反射帯域を提供するよう調整されている。積層体のORU厚さ勾配は、ある範囲の光学厚さをカバーし、これにより、1次、2次、及び3次反射帯域(及び4次反射帯域)が図示のようになる。ここで、光は所与の偏光状態で、設計入射角(例えば垂直入射)であると仮定される。ミクロ層積層体のf比は0.59である。図5Aを参照して、このf比は1次、2次、3次、及び4次調波を生成し、2次の反射能は3次の反射能と同じであり、4次の反射能はこれよりわずかに高い反射能を有し、1次は最も高い反射能を有する。一般化のため、図11Aの縦の「反射率」軸には目盛は提供されていない。ただし、異なる帯域の相対的高さは概ね正確である。1次帯域は、1200nmの左の帯域エッジから1800nmの右の帯域エッジまで延びている。2次帯域は、600nmの左の帯域エッジから、900nmの右の帯域エッジまで延びている。3次バンドは400nmの左帯域エッジから、600nmの右帯域エッジまで延びている。4次帯域は、左の帯域エッジ300nmから右の帯域エッジ450nmまで延在する。4次を超える調波は、単純化のため図示されていない。したがって、この場合、2次反射帯域が、3次反射帯域と(スペクトル的に)重複するが、1次反射帯域とは重複せず、実質的にも重複しない。
2次及び3次調波帯域の重複(並びに3次及び4次帯域の重複)の結果、少なくともこれら2つの調波反射帯域を組み合わせた、単一の広い反射帯域が形成される。単一の広い反射帯域が図11Bに示されており、これは、図11Aと同じ偏光状態及び同じ設計入射角を想定している。この帯域は、左の帯域エッジ約300nm(4次帯域の左の帯域エッジに対応)から右の帯域エッジ約900nm(2次帯域の右の帯域エッジに対応)まで延在して示されている。広い又は拡張された帯域は、赤外線領域の一部分と可視光スペクトルの大半にわたって比較的一定の反射率を提供するが、ただし、450nm以下のスペクトルの青/紫側では、4次帯域の存在により増加している。この実施形態では、2次帯域が1次帯域に重複していない、又は実質的にも重複していないことから、これら2つの帯域の間に通過帯域が形成され、このミクロ層積層体は、広い又は拡張された帯域とは別の、赤外線スペクトルの一部分に1次反射帯域を提供する。
ウィンドーフィルムとして使用するのに好適な多層光学フィルムは、図11A及び11Bの多層積層体を使用して作製することができる。いくつかの場合において、2次反射帯域及び3次反射帯域の組み合わせと1次反射帯域との間に生じる通過帯域を遮断するために、近赤外を吸収する、少なくとも1つの染料又は顔料を含む、追加的な光学層が含められる。近赤外線を吸収する成分(例えば、約700nm〜約1400nmの波長)は当該技術分野において既知である。有用な近赤外線吸収染料及び顔料は、例えば、LuminoChem Ltd.(Budapest,Hungary)から利用可能である。他の有用な近赤外線吸収染料又は顔料は、フタロシアニン、及びナフタロシアニン、並びに金属錯体染料を含む。好適なナフタロシアニン顔料は、米国特許第8,337,610号(Bhatt et al.)に記載されている。いくつかの実施形態において、広域反射帯域(2次及び3次反射帯域から形成される)と1次反射帯域との間に生じる通過帯域を完全にカバーするために、近赤外線吸収染料又は顔料の組み合わせが使用されてもよい。他の好適な赤外線吸収顔料は、アンチモンスズ酸化物(ATO)、及びインジウムスズ酸化物(ITO)を含む。
いくつかの実施形態において、ウィンドーフィルムとして使用するのに好適な多層光学フィルムは、近赤外線反射染料又は顔料を含むミクロ層及び光学層の積層体を含むことができる。このような層は、ミクロ層積層体の、窓に面するように構成された側に、隣接するように位置付けられてもよい。好適な近赤外線染料又は顔料は、「Near−infrared reflective properties of perylene derivatives」,Kaur et al.,Dyes and Pigments,Vol.92,Issue 3,2012,1108−1113に記載される、ペリレン誘導体を含む。
いくつかの実施形態において、ウィンドーフィルムは、広範な反射帯域(2次及び3次反射帯域から形成される)と1次反射帯域との間に形成される通過帯域を生成する、ミクロ層の第1パケットを含み、かつ更にミクロ層の第2パケットを含む。第2パケットは、第1パケットの通過帯域の波長を有する光を反射するように選択された、単一の反射帯域をもたらし得る。
ここまで、図9A−B(f比0.25)、図10A−B(f比0.33)、及び図11A−B(f比0.59)に関連していくつかの単純化された実施形態を説明してきたように、2次反射帯域を1次及び/又は3次反射帯域(及び所望により更に高次の重複反射帯域)と合わせて単一の広い反射帯域にすることにより、ミクロ層積層体の効率を改善することができる。図9Bにおける広域反射帯域は、重複する1次、2次、及び3次反射帯域を含む。図10Bの広域反射帯域は、重複する1次及び2次反射帯域を含み、図11Bの広域反射帯域は重複する2次、3次、及び4次反射帯域を含む。調波次数の特定の組み合わせにより生じる効率が、図12のグラフに示されている。この図は、図5Aと同様、反射能をf比の関数としてプロットしているが、1次(m=1)、2次(m=2)、及び3次(m=3)の曲線のみが含まれている。しかしながら、図12には更に、2つの追加の曲線も含まれており、この1つは、1次及び2次の相対的反射能の合計であり(「1次+2次」)、もう1つは、1次、2次、及び3次の相対的反射能の合計である(「1次+2次+3次」)。効率に関して、これら2つの合計曲線は、特定のf比値範囲にわたって、1次反射帯域単独で提供される最大反射能に比べ、より大きい反射能を提供していることに注意されたい。例えば、f比が0.25〜0.75の範囲にわたって、「1次+2次」曲線は、1次反射帯域単独で提供される最大反射能に比べ、等しい反射能を提供するか(f比値が0.25、0.5、及び0.75の時)、又はより大きい反射能を提供する(f比が0.25〜0.5の間、及び0.5〜0.75の間の時)。更に、f比が約0.175〜0.825の範囲にわたって、「1次+2次+3次」曲線は、1次曲線単独で提供される最大反射能に比べ、等しい反射能を提供するか(終点において)、又はより大きい反射能を提供する。より一般的に言えば、所与のミクロ層積層体の合計の有用な反射能は、積層体の望ましい対象波長範囲において反射する調波次数全ての合計であり、これにより単一の広い反射帯域を形成し、この合計は、1次反射帯域単独で提供される最大反射能よりも大きくなり得る(f=0.5の場合)。少なくとも1次及び/又は3次反射の組み合わせに、2次反射の反射能を繋ぐことにより、この重複調波帯域技法を利用した物品が、所与の数のミクロ層と、ミクロ層間の所与の屈折率差について、改善された屈折率効率を提供し得る。
調波帯域重複技法を用いることにより、図12からわかる効率の改善可能性に加えて、場合によっては他の利点も実現され得る。そのような他の利点には、材料コストの低減、反射率の鋭い段状変化を提供する能力、及び製造しやすさが挙げられ得る。
材料コスト低減に関して、ミクロ層積層体のf比は、2次調波帯域を励起させるために、50%以外の値になるよう調整される。f比をこのように選択することにより、積層体中の各ORUが、f比50%の1/4波長積層体に比べ、より少ない「A」材料とより多い「B」材料(又はその逆)から作製される。この状況は、「A」及び「B」材料(例えば異なる透明ポリマー)がかなり異なるコストを有する場合に活用することができる。特に、f比を戦略的に選択して、ミクロ層積層体中のより高価な材料の量を最小限におさえながら、依然として望ましい反射率及び帯域幅を達成することができる。
反射率の段状変化に関して、ポリマー多層光学フィルムの設計者及びメーカーは、反射率の段状変化を伴う連続的な反射帯域を提供するという問題に直面する。このような問題は、単一のミクロ層積層体の1次反射のみを利用している場合は解決が難しくなり得る。なぜなら、そのような解決策は典型的に、ORU厚さプロファイルの勾配に鋭い変化を必要とし得るからである。本明細書は、積層体が重複調波を有するように調整することによって、そのような段状変化が単一のミクロ層積層体でいかにして提供できるかを説明している。これらの重複調波は、ORU厚さプロファイルの勾配に鋭い変化を提供する必要なしに、単一の連続的反射帯域に、急激な段階状の遷移の、実質的に異なる反射率レベルを提供するよう制御することができる。例えば上述の図9A−B、図10A−B、及び図11A−B、並びに下記の図16A−Cを参照されたい。場合によっては、反射率の段状変化は、実質的に異なる反射率又は反射能を有する重複調波反射帯域を用いることが役に立つ。
製造の容易さに関して、ポリマー多層光学フィルムの設計者及びメーカーは、非常に広い連続的反射帯域を提供するという問題に直面する。このような問題は、単一のミクロ層積層体の1次反射のみを利用している場合は解決が難しくなり得る。なぜなら、そのような解決策は、ミクロ層積層体にわたって、過剰なほど大きな厚さ範囲を必要とし得るからである。例えば、1次反射のみを利用して、400〜1600nmの光を反射するよう設計したミクロ層積層体では、最も厚いORUが、最も薄いORUの4倍の厚さを有するようなORU厚さプロファイルが必要となる。しかしながら、例えば図10A又は9Aに示すように、1次及び2次反射の両方を組み合わせて、同じ連続的な広い反射帯域を作製した場合、より穏やかに低減するORU厚さプロファイルを使用することができ、この場合、最も厚いORUは、最も薄いORUの厚さの2倍だけである。この点に関しては、後述の図15A−Cも参照されたい。
製造の容易さに関するもう1つの検討事項には、短波長(例えば、400nm近く及びこれ以下の可視光スペクトルの青/紫色部分)又は近UV波長領域内の波長で光を反射するのに十分な薄さのミクロ層を作製するという問題が挙げられる。溶融ポリマー材料の交互の層を共押出することにより作製された多層光学フィルムの場合、溶融状態のポリマーの流動不安定性の問題が顕著になり得る。流動不安定性により、押し出された層はますます薄くなり得るためである。例えば、望ましいポリマー「A」及び「B」材料の粘弾性が十分に一致しない場合、「層破断」が起こり得る。本明細書に記述される重複調波を用いた技法は、そのような問題を緩和するのに役立ち得る。なぜなら、2次又は3次などのより高次の調波を使用して、短波長(例えば、可視光の青/紫色及び/又は近UV波長領域)で望ましい反射率を提供することにより、溶融ポリマー層は、1次反射帯域の場合に必要になる厚さよりも、遥かに厚くすることができる(2次の場合は2倍の厚さ、3次の場合は3倍の厚さ、など)。
図5A〜5Bからわかるように、約0.33又は0.67のf比を有するミクロ層のパケットを使用すると、比較的強い1次反射帯域、より弱い2次反射帯域、及びほぼゼロの3次反射強度が生じる。このようなf比を有する光学フィルムは、より弱い可視光反射帯域と重複する、広域赤外線反射帯域をもたらす。このようなフィルムは、ウィンドーフィルムとして使用される。
ある材料が他の材料よりも大きな屈折率分散を有する場合、屈折率の分散は、波長と関連して、多層積層体の反射能を変更する。典型的には、より高い屈折率の材料は、より低い屈折率の材料よりも、大きな分散を有する。これにより、より長い波長と比べて、より短い波長では、直接隣接する層の間に、より大きな屈折率差を生じ、したがって、より短い波長においてより大きな反射能を生じ、赤色よりも青色でより高い反射率を生じる。
本記載の一態様は、ミクロ層積層体の設計において、積層体の厚さ方向を通じた(固定屈折率)f比の勾配を使用して、可視光スペクトルの反射スペクトルを平坦にすることができる、ということである。「層密度/波長アプローチ」と称され得る、従来的なアプローチは、スペクトルのより長い波長部分に対して、波長単位ごとに使用される層の数と比較して、スペクトルのより短い波長部分に対して、より少ない層を使用する、というものであった。およそ400nm〜800nmで反射する2次帯域を有する積層体が想到される。次に1次帯域は、分散を無視し、およそ800nm〜1600nmの帯域で反射する。積層体を通じてf比が一定である層密度/波長アプローチでは、400nm付近の2次調波帯域の反射率を下げると、800nm付近の1次待機の反射率も同時に下がる。本開示において、別の利益をもたらす、別のアプローチが提示される。
図5Aの反射能曲線を見ると、1次及び2次曲線は、0.33及び0.67のf比値付近で、正負が逆の傾きを有する。0.33又は0.67のf比値付近の、f比を有する光学積層体を使用し、積層体の厚さ方向を通じたf比の勾配を組み込むことにより、これらの、正負が逆の傾きを使用して、400nm付近の青色波長における、2次積層体の反射率を低減させ、一方で同時に、800nm付近の、1次レスポンスにおける同じ層の反射率を増加させることができる。f比勾配は、2次調波のために、可視領域において、平坦で、無色のスペクトルをもたらすように設計することができる。これは同時に、800nm付近における、ウィンドーフィルムのIR遮断の増加をもたらし得る。
このf比勾配の変化形態もまた使用することができる。例えば、より大きな値の、f比勾配を使用することができる。f比勾配を調節することにより、400nm付近の2次帯域により低い反射率が付与される場合に、800nm付近の1次積層体の、更により大きな反射率をもたらすことができる。これは、場合によって望ましいことがある、反射する際に赤く見えるウィンドーフィルムをもたらし得る。
いくつかの実施形態において、固定屈折率f比は、ミクロ層のパケットの厚さにわたって単調に変化する。いくつかの実施形態において、固定屈折率f比は、約0.3〜約0.4の範囲内で変化するか、又は約0.6〜約0.7の範囲内で変化する。いくつかの実施形態において、光学繰り返し単位の固定屈折率光学厚さは、ミクロ層のパケットの厚さにわたって単調に変化し、固定屈折率f比は約0.3〜0.4の範囲内で、最も薄い光学繰り返し単位から最も厚い光学繰り返し単位へと単調に低減するか、又は固定屈折率f比は約0.6〜約0.7の範囲内で、最も薄い光学繰り返し単位から最も厚い光学繰り返し単位へと単調に増加するかのいずれかである。
いくつかの実施形態において、ウィンドーフィルムとして使用するのに好適な多層光学フィルムは、光学繰り返し単位をなすように構成された、ミクロ層のパケット(すなわち、単一ミクロ層積層体)を含む。パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意により3次反射帯域をもたらす。1次反射帯域は少なくとも部分的に、約720nm〜約2000nmの範囲内の波長に設定され、2次反射帯域は少なくとも部分的に、約380nm〜約720nmの範囲内の波長に設定され、2次反射帯域は、1次及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複して、単一の広域反射帯域を形成する。1比反射帯域は、約760〜約840nmの範囲内に第1帯域エッジがあってもよく、及び/又は約1560nm〜約1640nmの範囲内に第2帯域エッジがあってもよい。2次反射帯域は、約380nm〜約420nmの範囲内に第1帯域エッジがあってもよく、及び/又は約780nm〜約820nmの範囲内に第2帯域エッジがあってもよい。
ウィンドーフィルムは、可視光透過率(VLT)、及び/又は総太陽エネルギーカット率(TSER)で特徴付けることができる。VLTは、垂直入射でウィンドーフィルムに入る太陽可視光エネルギーが、これを通過する割合である。TSERは、垂直入射でウィンドーフィルムに入る太陽エネルギーが、カットされる(反射される又は吸収される)割合である。VLT及びTSERは、ISO9050−2003規格に従って判定され得る。
いくつかの実施形態において、多層光学フィルムは約10%より大きく、又は約20%より大きく、かつ約80%未満、又は約90%未満のVLTを有する。いくつかの実施形態において、多層光学フィルムは、約10%より大きく、又は約25%より大きく、又は約40%より大きく、又は約50%より大きく、かつ約80%未満、又は約90%未満のTSERを有する。
モデル化された実施例
ここで、本出願人らが光学設計ソフトウェアを使用して設計及びモデル化した特定の具体的な多層光学フィルム実施形態について検討し、本明細書に記述される重複調波の概念をより現実的に示していく。
簡単に言うと、第1モデル化ミクロ層積層体は、上述の図9Aと同様に、1次、2次、及び3次反射帯域の重複をもたらすよう調整された。この第1モデル化積層体は、276の個別ミクロ層が138のORUをなすように構成され、勾配のあるORU厚さプロファイルで、f比は0.25を使用した。図13、14A、及び14Bは、第1モデル化積層体に関するものである。第1モデル化積層体を含むウィンドーフィルムはまた、ウィンドーフィルムからの望ましくないグレア又は反射を低減するために、アンチグレア及び/又は吸収層を含み得る。図15A、15B、及び15Cは、第1モデル化積層体を第1比較ミクロ層積層体と比較したもので、第1比較ミクロ層積層体の該当する反射帯域は2次の成分を有さず、ほぼ1次調波のみによって生成されている。第2モデル化ミクロ層積層体は、上述の図10Aと同様に、1次及び2次反射帯域の重複をもたらすよう調整された。この第2モデル化積層体は、第1モデル化積層体と同じ数のミクロ層及びORUを使用し、また同じ等級のORU厚さプロファイルを使用したが、f比は0.33に変更された。図13、16A、及び16Bは、第2モデル化積層体に関するものである。図16Cは、第2モデル化積層体の修正に関するものであり、ここにおいてf比は0.33から0.36へと変更され、1次と2次の反射帯域の間により大きい反射率差をもたらし、これによって、広くなった反射帯域全体の反射スペクトルにおいてより大きな段状変化をもたらしている。第2モデル化積層体、又は改質した第2モデル化積層体を含む、ウィンドーフィルムが提供されてもよい。ウィンドーフィルムは、吸収層及び/又はアンチグレア層であり得る、追加的な光学層を含み得る。第3モデル化ミクロ層積層体は、上述の図11Aと同様に、2次、3次、及び4次反射帯域の重複を提供するよう調整された。この第3モデル化積層体は、第1及び第2モデル化積層体と同じ数のミクロ層及びORUを使用したが、異なる勾配のあるORU厚さプロファイルを使用した。更に、f比が0.59に変更された。図17、18A、及び18Bは、第3モデル化積層体に関するものである。第3モデル化積層体を含むウィンドーフィルムはまた、ウィンドーフィルムからの望ましくなグレア、又は反射を低減するために、アンチグレア及び/又は吸収層を含み得る。近赤外線を吸収するために、吸収層が含まれてもよい。近赤外線において反射性である層が含まれてもよい。このような層は、ウィンドーフィルムの、窓に面するように構成された面上に配置されてもよい。図19〜21は、2次反射帯域は、積層体の1次又は3次反射帯域のいずれとも重複しない、又は実質的に重複しない、第2比較ミクロ層と関連している。最後に、図22〜25は、第4モデル化積層体及び吸収層を有するウィンドーフィルムに関し、図26〜27は、第5モデル化積層体及び吸収層を有するウィンドーフィルムに関する。
これらのモデル化された実施例に関連して、本明細書で検討される重複調波特性を実現しているかどうかを判定するために、所与のミクロ層積層体を解析する目的で本出願人らが開発した方法についても検討する。第1の方法は、調波解析方法と呼ばれ、これにより積層体のスペクトル反射率のどの部分がどの調波次数によるものであるか、また、どのスペクトル反射率が、積層体のそれぞれ該当する調波次数に関するものであるかを判定することができる。この方法では、積層体のそれぞれ該当する調波反射帯域を分離することが可能になり、例えば、積層体の1次反射帯域と、積層体の2次反射帯域と、及びその他も、別々に計算しプロットすることができる。第2の方法は、帯域幅解析方法と呼ばれ、これにより、任意の所与の反射帯域の、左右の帯域エッジの波長値を、秩序立った、再現性のある方法で決定することができる。この第2の方法によって、上述のように、2つの所与の反射帯域が重複しているか又は実質的に重複しているかを、再現性をもって、曖昧さなしに決定することが可能になる。
調波解析方法
上述のように、この調波解析方法により、所与のミクロ層積層体のスペクトル反射率のどの部分がどの調波次数によるものであるか、また、積層体のそれぞれ該当する調波次数に関するスペクトル反射率がどのようなものであるかを判定することができる。この方法を実行するために、ORU厚さプロファイル、積層体のf比、及びミクロ層の実際の屈折率は、既知である、測定できる、又は他の方法で決定できると想定する。
多層ポリマー反射体は典型的に、数多くの1/4波長厚さのミクロ層で作製される。より具体的に、これらは、1/2波の厚い光学繰り返し単位(ORU)を形成する高屈折率及び低屈折率(n及びn)ポリマー材料の多くの繰り返し対で作製されている。ポリマー積層体中の交互のミクロ層は典型的に、一般的な無機蒸着誘電性積層体に比べ、比較的小さい屈折率差を有し、よって、ポリマー積層体は典型的に、比較的高い屈折率を得るために、より多くのミクロ層を必要とする。必要とされる多数の繰り返しミクロ層によって、高屈折率層と低屈折率層との繰り返しが、屈折率の波形(「屈折率波形」)によって表わされる。これは、屈折率波形のフーリエ表現を用いて評価することができる。急激な境界を有する1/4波長厚さ層のミクロ層積層体が、屈折率矩形波を形成する。このような積層体のf比が、0.5以外の値に設定されると、層は非対称屈折率矩形波と称される波形を形成する。本出願人らは、適宜成形された繰り返し屈折率波形が、ORUの高屈折率材料及び低屈折率材料の「有効屈折率」を用いることにより、1/4波長層の単純矩形波で表わすことができることを見出した。上述のように、ORUは、フィルム内の距離の関数として連続的に変化する屈折率を伴って形成することができる。
このフーリエ解析は、ミクロ層の間に急激な境界を有さない系に有効である。必要なのはフーリエ係数のみであり、これは、様々な調波周波数を表わす個々の正弦波の合計として、屈折率波形を表わすために使用され、その屈折率振幅は、フーリエ係数cによって決定される。これらの個別の調波帯域は、依然として、矩形波の層プロファイルを使用して計算することができるが、修正(有効)屈折率が用いられる。出願人らは更に、反射帯域を広げるため、ORUの積層体が厚さ方向に勾配を持つときに、フーリエ評価が依然として有効であることを見出した。
実際のミクロ層厚さ及び屈折率値を使用する多層積層体の計算により、屈折率スペクトルが得られ、これは一般に、各調波次数から未知の寄与を受けた、複数の重複する調波帯域の複合物又は組み合わせであり得る。元のミクロ層積層体の反射率に対する、対象の任意の個々の調波次数のレスポンス又は寄与をシミュレーションするために、本出願人らは、有効屈折率の様々なセットを使用できることを見出した。これは、対象の調波次数に固有であり、既知の積層体f比と、実際の屈折率差及び、対象の調波次数に固有である様々な有効ORU数に基づくものである。このフーリエ表現は、複雑な繰り返し屈折率波形と、各調波次数の反射帯域を解析するのに、特に有用である。
下記の実施例は、非対称(すなわち各ORUの一方のミクロ層が1/4波長厚さより薄く、各ORUのもう一方のミクロ層が1/4波長より厚い)のミクロ層積層体を含む。換言すれば、下記の実施例は、f比が0.5ではないミクロ層積層体を含む。そのような非対称積層体は、本明細書において「非対称矩形波積層体」と呼ばれる。非対称積層体は、f比が0.5である対称積層体(高屈折率材料と低屈折率材料の両方が1/4波長厚さである)とは対照的であり得る。上述のように、f比は、本明細書において時に「f」と略され、f=d*n/(d*n+d*n)で与えられる。式中、dは所与のミクロ層の物理的厚さである。非対称矩形波積層体の反射率、特に、対象の任意の単一調波次数の反射率は、元の非対称矩形波積層体の、1/4波長ミクロ層(この有効屈折率は、対象の調波次数のフーリエ係数から計算される)の「有効積層体」を使用することによってモデル化することができる。対象の所与の調波次数について、有効積層体内のORUの数は、元の積層体のORU数の整数倍であり、ここにおいて整数倍とは「m」、すなわち、対象の調波次数の次数自体である。このように、元のミクロ層積層体がN個のORUを有する場合、m次調波次数の反射率を計算するのに使用する有効積層体は、m*N個のORUを有する。このようにして、所与のミクロ層積層体の様々な調波反射帯域が、対象の各調波次数に関連する各有効積層体の個々の反射率計算を行うことによって、別々に特定され得る。
フーリエ解析のための有効積層体の有効屈折率差は、元の積層体のピーク間屈折率差と、積層体屈折率プロファイル(すなわち積層体波形)のフーリエ係数cとを掛け合わせることによって得られる。フーリエ係数cは図5Aに関連して上記で説明されており、その中で、次のように計算できることが示されている。
Figure 2017534076
式中、mは調波次数、fは元の積層体のf比である。上述の図5Bには、(正規化された)c値がプロットされており、図中、c値にπ/4をかけることにより正規化された。この情報をもとに、任意の非対称矩形波積層体の任意の次数の反射帯域を、次の式で得られる有効屈折率差Δneffを有する対称「有効積層体」(このf比は0.5である)として、表わすことができる。
Figure 2017534076
式中、n及びnは、ミクロ層の高屈折率材料及び低屈折率材料の実際の層屈折率、cは、元の積層体のf比で計算した対象の調波次数のフーリエ係数である。図5Bにおいてプロットされるフーリエ係数は、積層体内の、直接隣接するミクロ層の間で、急峻な遷移を呈する。遷移が急峻ではなく、漸進的である場合、正確なフーリエ係数は、図5Bにプロットされるものからある程度乖離することになる。そのような場合、実際の屈折率波形を決定すべきであり、フーリエ係数は、周期的関数のフーリエ級数表現に関する既知の方法を使用して計算することができる。例えば、CRC Standard Mathematical Tables、第18版、p.458を参照されたい。上記の式を用いてΔneffを決定した後、有効積層体のミクロ層に使用される有効屈折率は、その平均屈折率が元の積層体の平均屈折率と同じでなければならないとの要請から、容易に決定できる。
元のミクロ層積層体がN個のORU(2N個のミクロ層)を有する場合、対象の所与の調波次数mの反射帯域は、次数mの有効積層体と、任意の標準多層積層体コンピュータソフトウェアプログラムとを用いて計算することができ、ここにおいて有効積層体に使用する屈折率は、Δneffの式に関連して上述した通りである。有効積層体は、m*N個の光学繰り返し単位を有する。有効積層体内のORUの光学厚さは、層プロファイル内のORUのm倍で、元の積層体のORUの厚さの1/m倍である。よって、対象の所与の調波次数mの反射率の計算を実行する際、有効積層体は、元の積層体内の各ORUを、ORUのそれぞれが元の積層体の対応するORUの厚さの1/m倍であるm個のORUで置換することによって得られる。実施例を以下に記載する。
帯域幅解析方法
ORUの共振波長は、入射光波の建設的干渉をもたらす層厚さと屈折率の組み合わせとなる波長であり、これによりORUが、入射光に対して部分的に反射性になる。m次反射調波についての、光学繰り返し単位(ORU)の共振波長は:
Figure 2017534076
であり、式中、mは反射調波次数、d及びdはそれぞれ、高屈折率材料(材料A)の層厚さと、低屈折率材料(材料B)の層厚さ、n及びnは、材料A及び材料Bの屈折率である。
(d+d)は、ORUの光学厚さであり、上の式を検討すると、1次反射調波はORUの光学厚さの2倍で生じ、2次反射調波はOURの光学厚さで生じ、3次反射調波はORUの光学厚さの2/3で生じ、以下同様になっている。
分散効果が無視できない場合、m次反射調波の共鳴波長を決定するために使用される屈折率は、共鳴波長において、自己整合的に決定され得る。換言すると、
Figure 2017534076
である。
ORUのもう1つの光学的特性が、固有帯域幅と呼ばれるものである。固有帯域幅(IBW)は、反射をもたらす建設的干渉に関する、(層積層体内の)隣接するORUの中のコヒーレンス強度の尺度である。ORUは、共振波長だけでなく、ORUの固有帯域幅により決定される共振波長のいずれの側(長波長側及び低波長側)でも、反射率に寄与する。m次反射調波の固有帯域幅は次の式で得られる。
Figure 2017534076
式中、N=n/nであり、aは、図5Aに示すように、m次調波の相対的反射能係数である。よって例えば、2次反射調波で、f比0.25、相対的反射能係数aは、0.5の値を有する。
IBWが所与の反射調波次数mと所与のORUのf比について評価されるとき、そのORUの共振波長をかけて、部分的帯域幅Δλを得ることができる。この部分的帯域幅Δλ=IBW*λ0,mは、ORU、及び同様の特性の他のORUが、反射を生成するようにコヒーレントに協働する、波長の範囲の尺度である。実際、多数の同一のORUからなるミクロ層積層体(これにより、共通共振波長での反射率は非常に大きく、1又は100%に近い)は、共振波長のいずれかの側にΔλ/2延在する反射帯域を有する。
ミクロ層積層体内で実質的に薄い層から厚い層への単調な勾配を有して隣接する多数のORUが、互いに重複する部分的帯域幅Δλを有する場合、コヒーレント反射が生成される。実際、任意の所与のORUと、それに伴う共振波長について、隣接するORUの部分的帯域幅Δλを解析することができ、これにより、所与のORUの共振波長に部分的帯域幅が重複している隣接ORUの数を決定することができる。所与のORUの共振波長に重なる部分的帯域幅を備えたこれらの隣接するORUそれぞれが、所与のORUと共にコヒーレントに作用して、所与のORUの共振波長で反射率を生成する。
この第1原理の論理は、ORU(既知の屈折率値を有する)のモデル化又は測定されたミクロ層積層体が、各ORUの共振波長λ0,mと部分的帯域幅Δλに関して解析され得る方法を示唆している。各ORU共鳴波長に関し、部分帯域幅が所与の共鳴波長と重複する、隣接するORUの数を数えることができる。この数は、コヒーレント隣接数(CNC)と呼ばれ、所与の共振波長での反射率レベルを決定するのに使用できる。反射率レベルを定量的に決定するには、反射率を、反射率にコヒーレントに寄与するORUの数、及びORU層材料の屈折率値と関連付ける標準式を採用する。
Figure 2017534076
この反射率標準式は、同一のORUのミクロ層積層体については最も正確であり、同時に、勾配のある光学厚さプロファイルを備えたミクロ層積層体についての優れた反射率近似を提供する。この方法によって、ミクロ層積層体内の各共振波長での(各ORUに関連する)反射率は、コヒーレント隣接数(CNC)の値を決定することによって計算できる。
この方法により、当業者は、測定されたミクロ層積層体厚さ分布を、層材料の既知の屈折率値と共に使用して、任意の次数の反射帯域の波長範囲をマッピングし、更に、所与の反射帯域の短波長開始箇所と、同じ反射帯域の長波長終了箇所とを定量的に定義することができる。
加えて、上述の解析を実行することにより、当業者は、測定された反射スペクトルが顕著な反射帯域重複による高反射率の単一の波長領域を示し、個々の反射帯域調波は解読できない場合において、所与のミクロ層積層体に由来する、様々な次数の、複数の反射帯域の波長範囲を個別に決定することができる。
本願の目的のため、本出願人らは、ミクロ層積層体の所与の(m次)調波反射帯域の始まりを、最短の共鳴波長λS,m(ここにおいてCNCは、関連する反射帯域ピーク反射率の25%を超えるR値を提供する)として定義することを選択する。同様に、反射帯域の終了を示す波長を、最長の共鳴波長λL,m(ここにおいてCNCは、関連する反射帯域ピーク反射率の25%を超えるR値を提供する)として定義する。この方法を使用して、所与の反射帯域の、短波長帯域エッジの波長λと、長波長帯域エッジの波長λとを、再現性をもって決定することができる。
帯域幅解析方法の更なる詳細と説明は、前述の米国特許出願第13/844,664号に見出すことができる。
第1モデル化積層体
第1モデル化積層体を有する多層光学フィルムが設計されモデル化された。この積層体は、N個の低屈折率ミクロ層とN個の高屈折率ミクロ層とを交互に配置して使用し、N個のORUを形成した。ここにおいてNは138であった。各ORUは、低屈折率ミクロ層(材料「B」)のうち1つと、高屈折率ミクロ層(材料「A」)のうち1つから構成された。低屈折率ミクロ層の屈折率nは1.494であり、高屈折率ミクロ層の屈折率nは1.65であった。これらの屈折率は、ポリマー干渉フィルターに一般的に使用される材料の代表的なものである。波長に伴う分散は使用せず、これにより、高次の帯域の帯域エッジ波長は、名目上、それぞれの1次帯域エッジ波長の単純整数分割であり、かつ、各帯域内の反射率は、名目上、小さなスペクトル発振以外、一定であった。(実際の材料では、波長に伴う屈折率の変化が、高次の反射帯域の波長位置を若干シフトさせ、反射率も、長波長よりも低波長側で高くなる傾向がある。)第1モデル化積層体と、それに関連する「有効積層体」(個々の高次の反射帯域を計算するのに使用された)は更に、積層体の両側に、厚さ10マイクロメートル、屈折率1.65の「スキン層」を1つずつ有すると想定された。この構成は、押出ポリマー多層積層体で一般的なものである。各スキン層の外側主面に、空気界面が想定された。
ORUは、f比0.25を有するよう設計された。
ORUは更に、勾配のある厚さプロファイルを呈した。厚さプロファイルは、単純な冪乗則によって定義され、これにより比較的平坦な反射スペクトルを得た(すなわち、1次反射帯域と、存在するそれより高次の各後段の帯域についても同様に、波長に対して実質的に一定の反射率を有していた)。特に、ORUの高屈折率ミクロ層の物理的厚さdと低屈折率ミクロ層の物理的厚さdが、次の式によって決定された。
Figure 2017534076
及び
Figure 2017534076
式中、nは1〜Nの範囲であり、fは0.25であり、gは勾配を画定するよう選択された定数であった。この第1モデル化積層体の場合、gは1.00527となるよう選択された。更に、この積層体設計のために開始波長としてλが選択された。第1モデル化積層体についてλは825nmが選択された。これらの式とパラメータにより、図13の曲線1310により示される、第1モデル化積層体のORU厚さプロファイルが得られた。
第1モデル化積層体により生成された個々の1次、2次、及び3次反射帯域が、上述の調波解析方法を用いて計算された。これら個々の調波それぞれについて、「有効積層体」が画定され、これにより、その調波次数の反射スペクトルを計算することが可能になった。1次調波の場合、有効積層体はN個のORU(すなわち138)を有し、ORU厚さプロファイルは図13の曲線1310により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.70711を使用して、有効屈折率を計算した。2次調波の場合、有効積層体は2N個のORU(すなわち276)を有し、ORU厚さプロファイルは図13の曲線1312により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.5を使用して、有効屈折率を計算した。3次調波の場合、有効積層体は3N個のORU(すなわち414)を有し、ORU厚さプロファイルは図13の曲線1314により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.235702を使用して、有効屈折率を計算した。これらの有効積層体に対して計算を実施し、図14Aに示す1次、2次、及び3次のスペクトル反射率曲線を得た。
次に上述の帯域幅解析方法を使用して、図14Aに示す1次、2次、及び3次反射帯域のそれぞれについて、短波長帯域エッジの波長λ、及び長波長帯域エッジの波長λを決定した。グラフでは3本の線分が重ね合わせられている。これらの線分はそれぞれ、帯域幅解析方法によって決定された、関連する調波反射帯域の位置を表わす。各線分は、関連する反射帯域の線形表示である。この線分は、「線分表示」の略で「LSR」とラベル付けられ、帯域幅解析方法によって決定された終点により画定されている。よって、各線分LSRは、「S」とラベル付けされた短波長終点(この波長値λはその反射帯域の左の帯域エッジの波長である)と、「L」とラベル付けされた長波長終点(この波長値λはその反射帯域の右の帯域エッジの波長である)とを有する。線分LSRを反射スペクトルに重ね合わせることにより、1次、2次、及び3次反射帯域が波長軸のどこに位置するかが容易かつ正確にわかる。この図から、この第1モデル化積層体について、2次反射帯域が1次反射帯域と3次反射帯域の両方に重複していることがわかる。これら調波反射帯域の重複は、図14Bに見られるように、単一の広くなった反射帯域を生成する。図14Bは、調波次数同士の区別を試みない従来型の光学モデル化計算を用いた第1モデル化積層体の計算した反射率をプロットしている。すなわち、これは波長の関数として、積層体の全体の反射率を単に計算しただけである。図14Aと14Bとを比較することによって、図14Bの単一の広い反射帯域が、重複する1次、2次、及び3次反射帯域を含むことがわかる。
第1モデル化積層体に関する関連パラメータを、下記の表にまとめる。
Figure 2017534076
図14Bの反射スペクトルは、波長の関数として積層体の全体の反射率を単純な方法で計算する、従来型の光学モデル化ソフトウェアを用いて得た。別の方法として、そのような反射スペクトルは、例えば図14Aに示されるように、個々の調波反射率を光学的に合わせることにより得ることができる。任意の所与の波長で、様々な高次の帯域の付加的な性質は、「パイルオブプレート」反射体の規則に従うことが示されている。ただし、外側の空気界面で生じ得る反射には注意を払う必要がある。この第1モデル化フィルムにおいて、2次調波の合計反射率は、450nm近くで約0.63(又は63%)であり、3次帯域は約0.33(又は33%)である。図14Bのモデル化反射率は、約440〜450nmで、平均反射率約0.676を呈している。図14Bのモデル化光学フィルムは2つの空気界面を有し、一方、別々に計算された2次及び3次調波次数は、組み合わせて合計4つのフィルム/空気界面を有する。これらの2つの空気界面を数学的に除去する必要があり、その上で、上述の「パイルオブプレート」式を使用して、2つの有効積層体の反射率を計算する。これにより、両方の次数の反射率を生成する単一のミクロ層積層体の反射率と比べることができる。余計な空気界面を数学的に除去するには、1つの空気/ポリマー界面の反射率(屈折率1.65)は、「air」としてラベル付けされ、最初に以下の式で計算された。
Figure 2017534076
次に、有効な3次フィルム積層体の内部反射率Rintが、以下の式によって計算された。
Figure 2017534076
式中、Rintはフィルム積層体の内部反射率(上述)を指し、「air」は空気/ポリマー界面の算出された反射率を指し、「TTotal」は空気中の積層体の算出された合計反射率を指す。3次帯域のRintは0.267と算出された。パイルオブプレート式の2つの値R1及びR2は0.267及び0.63となり、これらにより、450nm近くで2次と3次帯域の予測合計反射率R=0.674を得た。これは、図14Bのスペクトル反射率曲線の450nm近くの平均値0.676に近い。
図15A、15B、及び15Cにおいて、第1モデル化積層体を第1比較ミクロ層積層体と比較し、この該当する反射帯域は2次の成分を有さず、ほぼ1次調波のみによって生成されている。図15Aは、波長の関数として、モデル化した反射率をプロットしている。曲線1510は、図14Bの反射率曲線と同じであり、第1モデル化積層体の全体の反射率を表わす。曲線1512は、第1比較ミクロ層積層体の反射率である。第1比較積層体は、同じN個のORU(138)と、「A」及び「B」ミクロ層に同じ高屈折率及び低屈折率(それぞれ1.65及び1.494)を使用した。ただし、第1比較積層体ではf比0.5を使用し、これは2次反射を生じない。両方の積層体設計は比較的小さいが等しい3次反射帯域を生成し、これは別個にプロットされてはいないが、この追加の反射率は、約400nm〜550nmの波長で観察することができる。この3次の寄与は、2つの積層体設計で等しいため、以下の解析ではこれを無視することにする。
また、第1比較積層体のORU厚さプロファイルは、第1比較積層体の反射スペクトルを、第1モデル化積層体の反射スペクトルに実質的に合致させるために、第1モデル化積層体のORU厚さプロファイルに対して変化させる必要がある。光学厚さプロファイルが図15Bにプロットされている。
この図において、曲線1520は、第1モデル化積層体のORU厚さプロファイルであり、図13の曲線1310と同じである。曲線1522は、第1比較積層体のORU厚さプロファイルである。この図から、2つのことが明らかである。第1に、第1モデル化積層体(曲線1520)は、第1比較積層体(曲線1522)に比べ、ORU厚さプロファイルがより穏やかに低減していることがわかる。実際、最も厚いORUと最も薄いORUとの比は、第1比較積層体では4であるが、第1モデル化積層体ではわずか2である。第2に、第1モデル化積層体は、第1比較積層体よりも概ね厚いORU(及びミクロ層)を使用している。例えば、第1比較積層体の最も薄いORUは厚さ200nmであり、第1モデル化積層体の最も薄いORUは厚さ400nmである。より厚い層と、より穏やかに低減するプロファイルによって、第1モデル化積層体は、上述のように、第1比較積層体よりも製造が容易になり得る。
図15Cは図12と同じであるが、ただし、第1ミクロ層積層体(点P1)及び第1比較ミクロ層積層体(点P2)の作用を表わす2つの点がグラフにプロットされている。第1比較積層体は1次反射帯域のみを利用し(「1次」)、f比が0.5で作用し、ここで点P2は相対的反射能が1.0である。一方、第1モデル化積層体はf比が0.25で作用し、この1次反射の相対的反射能は実質的に消える。しかし、第1モデル化積層体は1次及び2次両方の反射帯域を利用しているため(「1次+2次」)、それに伴う点P2も、相対的反射能が1.0である。
第1モデル化積層体と第1比較積層体の比較に関する関連パラメータ(「広帯域1」)を下記の表にまとめる。
Figure 2017534076
第2モデル化積層体
第2モデル化積層体を有する別の多層光学フィルムが設計されモデル化された。この積層体は、N個の低屈折率ミクロ層とN個の高屈折率ミクロ層とを交互に配置して使用し、N個のORUを形成した。ここにおいてNは138であった。各ORUは、低屈折率ミクロ層(材料「B」)のうち1つと、高屈折率ミクロ層(材料「A」)のうち1つから構成された。低屈折率ミクロ層の屈折率nは1.494であり、高屈折率ミクロ層の屈折率nは1.65であった。波長に伴う分散は使用しなかった。第2モデル化積層体と、それに関連する「有効積層体」(個々の高次の反射帯域を計算するのに使用された)は更に、積層体の両側に(多層光学フィルムの一部として)、厚さ10マイクロメートル、屈折率1.65の「スキン層」を1つずつ有すると想定された。各スキン層の外側主面に、空気界面が想定された。
ORUは、f比0.33を有するよう設計された。図5Aからわかるように、このf比は、3次調波反射を実質的に生じない。
ORUは、第1モデル化積層体と同じ勾配のある厚さプロファイルを呈した。よって、第2モデル化積層体のORU厚さプロファイルも、図13の曲線1310で示される。
第2モデル化積層体により生成された個々の1次及び2次反射帯域が、上述の調波解析方法を用いて計算された。これら個々の調波それぞれについて、「有効積層体」が画定され、これにより、その調波次数の反射スペクトルを計算することが可能になった。1次調波の場合、有効積層体はN個のORU(すなわち138)を有し、ORU厚さプロファイルは図13の曲線1310により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.860742を使用して、有効屈折率を計算した。2次調波の場合、有効積層体は2N個のORU(すなわち276)を有し、ORU厚さプロファイルは図13の曲線1312により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.438153を使用して、有効屈折率を計算した。これらの有効積層体に対して計算を実施し、図16Aに示す1次及び2次のスペクトル反射率曲線を得た。
次に上述の帯域幅解析方法を使用して、図16Aに示す1次及び2次反射帯域のそれぞれについて、短波長帯域エッジの波長λ、及び長波長帯域エッジの波長λを決定した。グラフでは2本の線分が重ね合わせられている。これらの線分はそれぞれ、帯域幅解析方法によって決定された、関連する調波反射帯域の位置を表わす。各線分は関連する反射帯域の線形表示であり、「LSR」とラベル付けされ、短波長終点が「S」、長波長終点が「L」とラベル付けされている。線分LSRを反射スペクトルに重ね合わせることにより、1次及び2次反射帯域が波長軸のどこに位置するかが正確にわかる。この図から、この第2モデル化積層体について、2次反射帯域が1次反射帯域に重複している(しかしと3次反射帯域には重複していない)ことがわかる。これら調波反射帯域の重複は、図16Bに見られるように、単一の広くなった反射帯域を生成する。図16Bは、調波次数同士の区別を試みない従来型の光学モデル化計算を用いた第2モデル化積層体の計算された反射率をプロットしている。すなわち、これは波長の関数として、積層体の全体の反射率を単に計算しただけである。図16Aと16Bとを比較することによって、図16Bの単一の広い反射帯域が、重複する1次及び2次反射帯域を含むことがわかる。また、1次及び2次の反射帯域の異なるレベルの反射率により、第2モデル化積層体の全体の反射スペクトルは、反射率における急激な段状変化を有している。これは、滑らかに変化するORU厚さプロファイル(図13の曲線1310)が積層体に使用されているにもかかわらず、そのようになっている。
第2モデル化積層体に関する関連パラメータを、下記の表にまとめる。
Figure 2017534076
図16Cに関連し、0.33でなく、0.36のf比を有するように修正された場合に、第2モデル化積層体がどのように機能するかを調べる。曲線1610は第2モデル化積層体の反射率スペクトルであり、すなわち、図16Bに示される反射率スペクトルと同じである。曲線1612は、改変した積層体について計算した反射率スペクトルである。単一の広い反射帯域がここでも生成され、反射率の急激な段状変化を伴っている。曲線1612の段状変化は、曲線1610よりも大きい。これは、900〜1600nm範囲内の平均反射率がより高く、450〜800nm範囲内の平均反射率がより低いためである。f比を0.33から0.36に増加させたことで、弱い3次レスポンスが生じ、これは、約400〜550nmの波長で、スペクトル1612に検出され得る。
第3モデル化積層体
第3モデル化積層体を有する別の多層光学フィルムが設計されモデル化された。この積層体は、N個の低屈折率ミクロ層とN個の高屈折率ミクロ層とを交互に配置して使用し、N個のORUを形成した。ここにおいてNは138であった。各ORUは、低屈折率ミクロ層(材料「B」)のうち1つと、高屈折率ミクロ層(材料「A」)のうち1つから構成された。低屈折率ミクロ層の屈折率nは1.494であり、高屈折率ミクロ層の屈折率nは1.65であった。波長に伴う分散は使用しなかった。第3モデル化積層体と、それに関連する「有効積層体」(個々の高次の反射帯域を計算するのに使用された)は更に、積層体の両側に(多層光学フィルムの一部として)、厚さ10マイクロメートル、屈折率1.65の「スキン層」を1つずつ有すると想定された。各スキン層の外側主面に、空気界面が想定された。
ORUは、f比0.59を有するよう設計された。図5Aからわかるように、このf比は、顕著な1次、2次、3次、及び4次調波反射を生じ、2次及び3調波の反射能は実質的に互いに等しい。
ORUは、勾配定数gが1.003であることによって特徴付けられる勾配のある厚さプロファイルを呈した。更に、開始波長λは1215nmが選択された。上述の勾配厚さ式にこれらのパラメータを使用して、図17の曲線1710により示される、第3モデル化積層体のORU厚さプロファイルが得られた。
第3モデル化積層体により生成された個々の1次、2次、及び3次反射帯域が、上述の調波解析方法を用いて計算された。これら個々の調波それぞれについて、「有効積層体」が画定され、これにより、その調波次数の反射スペクトルを計算することが可能になった。1次調波の場合、有効積層体はN個のORU(すなわち138)を有し、ORU厚さプロファイルは図17の曲線1710により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.9603を使用して、有効屈折率を計算した。2次調波の場合、有効積層体は2N個のORU(すなわち276)を有し、ORU厚さプロファイルは図17の曲線1712により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.267913を使用して、有効屈折率を計算した。3次調波の場合、有効積層体は3N個のORU(すなわち414)を有し、ORU厚さプロファイルは図17の曲線1714により与えられ、f比は0.5を想定し、フーリエ係数cに0.220437を使用して、有効屈折率を計算した。これらの有効積層体に対して計算を実施し、図18Aに示す1次、2次、及び3次のスペクトル反射率曲線を得た。
次に上述の帯域幅解析方法を使用して、図18Aに示す1次、2次、及び3次反射帯域のそれぞれについて、短波長帯域エッジの波長λ、及び長波長帯域エッジの波長λを決定した。グラフでは3本の線分が重ね合わせられている。これらの線分はそれぞれ、帯域幅解析方法によって決定された、関連する調波反射帯域の位置を表わす。各線分は関連する反射帯域の線形表示であり、「LSR」とラベル付けされ、短波長終点が「S」、長波長終点が「L」とラベル付けされている。線分LSRを反射スペクトルに重ね合わせることにより、1次、2次、及び3次反射帯域が波長軸のどこに位置するかが正確にわかる。このことから、この第3モデル化積層体について、2次反射帯域は1次反射帯域に重複しておらず、3次反射帯域にも重複していないが、3次反射帯域に非常に近いことがわかる。実際、2次帯域の短波長終点Sは626nmにあり、3次帯域の長波長終点Lは597nmにあり、これらの2つの波長の差(29nm)は626nmの5%未満である。よって、第3モデル化積層体の2次及び3次反射帯域は、実質的に重複している。これらの調波反射帯域の実質的な重複(並びに、図示されてはいないが、3次及び4次反射帯域の重複)は、図18Bに見られるように、単一の広くなった反射帯域1810を生成する。図18Bは、調波次数同士の区別を試みない従来型の光学モデル化計算を用いた第3モデル化積層体の計算した反射率をプロットしている。すなわち、これは波長の関数として、積層体の全体の反射率を単に計算しただけである。図18Aと18Bとを比較することによって、図18Bの単一の広い反射帯域1810が、重複する2次及び3次反射帯域を含むことがわかる。急激な段状変化も帯域1810に見られ、これは、3次及び4次の反射帯域の重複によるものである。この急激な段状変化は、滑らかに変化するORU厚さプロファイル(図17の曲線1710)が積層体に使用されているにもかかわらず、反射帯域に存在する。
第3モデル化積層体に関する関連パラメータを、下記の表にまとめる。
Figure 2017534076
第2比較ミクロ層積層体
ここで、上記の米国特許公開第2013−0250405号において、実施例1と称される配向された多層光学フィルムを検討する。この光学フィルムは、2つのアポダイズされたミクロ層積層体を含み、これらは第13/844,664号出願において「パケット1」及び「パケット2」と呼ばれ、光学的に厚いポリマー層で分離されている。本明細書の目的のため、パケット2は本明細書において、第2比較ミクロ層積層体、又は単に第2比較積層体と呼ばれる。2つの積層体はそれぞれ、低屈折率及び高屈折率ポリマーを交互に配置した275の層を含み、この高屈折率材料は両積層体とも90/10 coPEN(屈折率1.795)であり、低屈折率材料はパケット1については55/45 coPEN(等方性、屈折率1.605)、パケット2についてはNEOSTAR FN007コポリエステル(屈折率1.505)である。多層光学フィルムの層厚さ値は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定され、パケット1及び2の層厚さプロファイル19a及び19bは図19に示されている。
図20は、フィルムの遮蔽軸に沿って、配向された多層光学フィルムの測定透過スペクトルをプロットしている。曲線20aはパケット1の遮蔽軸スペクトルを表わし、曲線20bはパケット2の遮蔽軸スペクトルを表わす。
この実施例の延伸ポリマーについて測定された屈折率を、またパケットのORUを画定する測定された層厚さを採用し、光学モデル「スペクトルフィッティング」作業を実施することにより、各パケット内のORUについてf比を変えて、測定されたスペクトルに対する最も良いフィットが見出された。加えて、モデル化スペクトルが測定されたスペクトルに最も合致するように、パケット2の全体的厚さに対する小さな調整が行われた(5%薄くした)。この作業において、パケット1の測定スペクトルは、f比を0.64に仮定したときに最もよく合致し、パケット2の測定スペクトルは、f比を0.62に仮定したときに最もよく合致することが見出された。
この解析により、パケット2(すなわち、第2比較積層体)の関連する特性のモデルが得られ、これから、上述のように、全体の反射率と固有調波反射率を計算することができる。図21の曲線2110は、調波次数同士の区別を試みない従来型の光学モデル化計算を用いた第2比較積層体の計算した反射率をプロットしている。すなわち、これは波長の関数として、積層体の全体の反射率を単に計算しただけである。モデル化パケット2により生成された個々の1次及び2次反射帯域が、上述の調波解析方法を用いて計算された。これら個々の調波それぞれについて、「有効積層体」が画定され、これにより、その調波次数の反射スペクトルを計算することが可能になった。これらの有効積層体に対して計算を行い、1次スペクトル反射率曲線(図21で曲線2112としてプロット)と、2次スペクトル反射率曲線(図21で曲線2114としてプロット)とを得た。次に上述の帯域幅解析方法を使用して、図21に示す1次及び2次反射帯域のそれぞれについて、短波長帯域エッジの波長λ、及び長波長帯域エッジの波長λを決定した。グラフには2本の線分が重ねられており、これらの線分はそれぞれ、帯域幅解析方法によって決定された、関連する調波反射帯域の位置を表わす。各線分は関連する反射帯域の線形表示であり、「LSR」とラベル付けされ、短波長終点が「S」、長波長終点が「L」とラベル付けされている。線分LSRを反射スペクトルに重ね合わせることにより、1次及び2次反射帯域が波長軸のどこに位置するかが正確にわかる。この図から、この第2比較積層体について、2次反射帯域が1次反射帯域に重複していないことがわかる。更に、1次及び2次反射帯域の直近の帯域エッジは、互いに5%の範囲内にはない。よって、2次反射帯域は、1次反射帯域に実質的にも重複していない。
第4モデル化積層体
第4モデル化積層体を有する、部分偏光した(非対称反射体)広帯域ウィンドーフィルムが設計及びモデル化された。多層光学フィルムは、PET及びポリメチルメタクリレートのコポリマー(coPMMA)にかかる既知の屈折率を使用して設計された反射フィルムであった。PETは、標準的なフィルムテンタにより、すなわち、一軸的に強制された配向を使用し、下方への伸張又は弛緩なしで配向されるものとする。633nmにおける、PETのX−Y−Z屈折率は、この場合において、1.69/1.58/1.50とされた。等方性coPMMA層の屈折率は、633nmで1.494とされた。約0.33又は約0.67のf比が使用される場合、3次反射強度はほぼゼロであり、1次反射帯域は、比較的強く、2次帯域は、1次帯域よりも弱くなる。この実施例において、やや強い1次(IR)反射帯域、及びやや弱い2次(可視)反射帯域をもたらすように、約0.36のf比が選択された。これは、図5Aの反射能は光学密度の対数目盛から決定されていることに留意すれば、図5Aから理解され得るように、スペクトルの青色部分において、非常に弱い3次反射を生じた。
coPMMAと比較して、PETの高屈折率分散は、所与の波長に合わせた同じ数の層において、赤色よりも青色でより高い反射率を生じる。材料における屈折率分散を修正し、可視における平坦なスペクトルをもたらすために、図22に示されるように、(固定屈折率)f比の勾配が、積層体設計において利用された。可視、特に400〜500nmにおける反射スペクトルは、スペクトルの青色端部においてより少ない層を適用することによって、平坦にすることができるが、IRにおける1次反射率は、スペクトルの800〜1000nmで低下する(これらの波長は同じ層によって反射されるため)。しかしながら、図5Aからわかるように、青色(2次調波)をカバーする層のf比が増加すると、2次反射率が低下し、一方で同時に、800〜1000nmの範囲内のIR光(1次調波帯域)における、これらの同じ層の反射率は増加する。したがって、平坦なスペクトルは、最も短い波長から最も長い波長までの、積層体内のf比の連続的な勾配を使用して達成することができる。
システムのために、代わりに約0.67のf比が選択される場合、f比勾配は、図22に示されるものと反対方向にむかうべきであり、すなわち、1から図22にプロットされる値を引いたものになる。
フィルム積層体設計は、275の層のPET及びcoPMMAを使用し、外側ミクロ層はcoPMMAであり、PET PBL、及びスキン層が外側表面上になるようにした。一表面において、スキン層モデルは、スペクトルの可視部分を吸収する、偏光染料(ダイクロイック染料)を含んだ。透明スキン側に入射する光(反射曲線2313)、及び染料入りスキン側に入射する光(反射曲線2311)に関し、モデル化反射率対波長が図23にプロットされる。これらの曲線は、垂直入射における光の全ての偏光に関する、合計反射率である。染料側の反射率は20%未満であり、これは染料側から窓を見たときに、十分なグレアの低減をもたらす。可視光スペクトルをカバーするために、4つの染料によるモデル化スペクトルが使用された。染料は、全て三井化学(日本、東京)から入手可能な、赤色PD−104、黄色PD−335H、シアンPD−318、及び青色PD−325Hであった。様々な染料の濃度及び割合は、可視光スペクトルにわって、所望の度合いの吸収率を生じるように調節された。生じる濃度は0.38重量%の赤色PD−104、0.23重量%の黄色PD−335H、0.28重量%シアンPD−318H、及び0.63重量%青色PD−325Hであり、濃度はPETに対する重量%である。
垂直入射における、ブロック状態(block state)の光の透過率が、1つのスキン層に染料が使用される場合(透過率曲線2411)、されない場合(透過率曲線2413)について、図24にプロットされている。偏光染料が使用される場合、ブロック状態の透過率は約12%であり、これは8:1のグレア減少を生じた。この比率を高めるため、より多い染料添加量、又はより多数のミクロ層を使用してもよい。遮断される偏光は、s偏光であり、非垂直角で入射する光は、より高いグレア低減値を有する。
このIR/可視反射フィルムの合計透過率は、1つのスキン層に染料が含まれない場合(透過率曲線2513)及び含まれる場合(透過率曲線2511)に関し、図25にプロットされている。
第5モデル化積層体
第5モデル化積層体を有する、部分ミラー広帯域ウィンドーフィルムが、設計及びモデル化された。第5モデル化積層体は、第4モデル化積層体と同様であり、多層積層体を二軸方向で配向することによってより高い反射率が達成された。二軸配向を想定すると、PETにおけるX−Y−Zの屈折率=1.65/1.65/1.49が典型的である。図26において決定される反射スペクトルは、垂直入射におけるあらゆる偏光方向に関するものである。反射率曲線2611は、フィルムの染料側に入射する光の反射率を示し、反射率曲線2613は、フィルムの透明側に入射する光の反射率を示す。反射率は、IR帯域において約75%であり、一方でこの積層体の偏光バージョンでは約62%であった。この二軸ウィンドーフィルムの染料のある側の反射率は、第4モデル化積層体の偏光バージョンにおけるよりもわずかに高いが、合計透過率は、部分ミラーフィルムにおいてより低かった。この部分ミラーフィルムの合計透過率曲線は、染料のある側に入射する光と(透過率曲線2711)、透明側に入射する光(透過率曲線2713)に関して、図27にプロットされている。
第4モデル化積層体と、第5モデル化積層体とを比較すると、偏光フィルムでは、同じ材料及び厚さの部分ミラーフィルムよりも、染料側のより低い反射率が可能であるが、部分ミラーフィルムでは、より高い太陽光反射率が可能である。偏光バージョンの遮蔽軸反射率は、偏光染料を使用した、通過軸偏光の最低吸収率により、吸収することができる。部分ミラーと共に吸収層を使用することは、合計透過率が低下するために、この場合それほど効率的ではない。
部分ミラーに対して、偏光子の場合と同じ染料スペクトルが使用され、部分ミラーの場合、染料による吸収はx軸方向及びy軸方向の両方において等しいものとした。モデル化染料の添加量は、所望の透過率及び反射率値を生じるように調節された。
特に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する、数量、特性の測定値などを表わす全ての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本願の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではないが、各数値パラメータは、少なくとも記載される有効桁数を考慮し、一般的な四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広義の範囲を示す数値的範囲及びパラメータは近似的な値ではあるが、任意の数値が本明細書に述べられる具体例に記載される限りにおいて、これらは妥当な程度に可能な範囲で正確に記載されるものである。しかしながら、いかなる数値も、試験又は測定の限界に伴う誤差を含み得る。
本明細書で使用される場合、「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、並びにその他の方向及び配向などの任意の方向は、本明細書において、図を参照する便宜のために使用され、実際のデバイス、物品、又はシステム若しくはその使用を制限しない。本明細書に記載される装置、物品、及びシステムは、様々な方向及び向きで使用されてもよい。
当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な改変及び変更を行い得ることは明らかであり、本発明は本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されないことを理解すべきである。読者は、開示する一つの実施形態の特徴を、特に断りのない限りはその他の全ての開示する実施形態にもまた適用し得ると考えるべきである。また、本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、それらが上述の開示に矛盾しない範囲において、参照によって全てが組み込まれることが理解されるべきである。
本明細書は、数多くの実施形態を開示し、これには以下が挙げられるが、これらに限定されない。
項目1は、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを備える、多層光学フィルムであって、
パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
1次反射帯域は少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
多層光学フィルムは、ミクロ層のパケットと隣接する光学層を更に備え、光学層はアンチグレア層及び/又は吸収層である、多層光学フィルム。
項目2は、光学層とミクロ層のパケットとの間に、保護境界層及びスキン層の1つ以上を更に備える、項目1に記載の多層光学フィルム。
項目3は、1次反射帯域は、760〜840nmの範囲内に第1帯域エッジがあり、かつ1560〜1640nmの範囲内に第2帯域エッジがある、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目4は、2次反射帯域は、380〜420nmの範囲内に1次帯域エッジがあり、かつ780〜820nmの範囲内に第2帯域エッジがある、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目5は、光学層は吸収層であり、吸収層は少なくとも1つの染料又は顔料を含む、項目1に記載の多層光学フィルム。
項目6は、少なくとも1つの染料又は顔料が少なくとも1つのダイクロイック染料を含む、項目5に記載の多層光学フィルムである。
項目7は、少なくとも1つの染料若しくは顔料が、少なくとも1つのUV吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つのIR吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つの可視光吸収染料若しくは顔料、又はこれらの組み合わせを含む、項目5に記載の多層光学フィルムである。
項目8積層体は、低透過率軸を有する非対称の反射体であり、部分吸収層は、低透過率軸と実質的に平行な遮蔽軸を有する部分吸収偏光子である、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目9は、2次反射帯域が、1次反射帯域と実質的に重複する、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目10は、積層体が3次反射帯域をもたらし、光学層は部分吸収層であり、部分吸収層は近赤外線吸収成分を含む、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目11は、多層光学フィルムは、10%〜90%の範囲内の可視光透過率(VLT)を有し、総太陽エネルギーカット率(TSER)は、10%〜90%の範囲内である、項目1に記載の多層光学フィルムである。
項目12は、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを含む、多層光学フィルムである。
パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
1次反射帯域は少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
パケットは、第1面内で偏光された可視光における第1平均軸上反射率と、第1平面と直交する第2平面内で偏光された可視光における第2平均軸上反射率とを有し、第2平均軸上反射率は、約5%より大きく、かつ第1軸上反射率未満である、多層光学フィルムである。
項目13は、第1平均軸上反射率が約10%より大きく、項目12に記載の多層光学フィルムである。
項目14は、第1平均軸上反射率、及び第2平均軸上反射率の平均は、約40%〜約70%の範囲内である、項目12に記載の多層光学フィルムである。
項目15は、ミクロ層のパケットと隣接する光学層を更に備え、光学層は少なくとも1つの染料又は顔料を含む、項目12に記載の多層光学フィルムである。
項目16は、少なくとも1つの染料若しくは顔料が、少なくとも1つのUV吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つのIR吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つの可視光吸収染料若しくは顔料、又はこれらの組み合わせを含む、項目15に記載の多層光学フィルムである。
項目17は、2次反射帯域が、1次反射帯域と実質的に重複する、項目14に記載の多層光学フィルムである。
項目18は、光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを含む、多層光学フィルムであって、
パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
1次反射帯域は少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
単一の広域反射帯域を形成するように、2次反射帯域が、1次反射帯域及び3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
光学繰り返し単位は、ミクロ層のパケットの厚さにわたって、単調に変化する、固定屈折率f比を有する、多層光学フィルムである。
項目19は、光学繰り返し単位の固定屈折率f比は、約0.3〜約0.4の範囲内で変動するか、又は約0.6〜約0.7の範囲内で変動する、項目18に記載の多層光学フィルムである。
項目20は、光学繰り返し単位の固定屈折率光学厚さが、ミクロ層のパケットの厚さにわたって単調に変化しており、固定屈折率f比が約0.3〜約0.4の範囲内であり、かつ最も薄い光学繰り返し単位から最も厚い光学繰り返し単位へと単調に減少するか、又は固定屈折率f比が約0.6〜約0.7の範囲内であり、かつ最も薄い光学繰り返し単位から最も厚い光学繰り返し単位へと単調に増加するかのいずれかである、項目19に記載の多層光学フィルム。
項目21は、多層光学フィルムがミクロ層のパケットに隣接する光学層を更に備え、光学層は少なくとも1つの染料又は顔料を含む、項目18に記載のシステムである。
項目22は、少なくとも1つの染料若しくは顔料が、少なくとも1つのUV吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つのIR吸収染料若しくは顔料、少なくとも1つの可視光吸収染料若しくは顔料、又はこれらの組み合わせを含む、項目21に記載の多層光学フィルムである。
項目23は、パケットが非対称な反射体である、項目18に記載の多層光学フィルムである。
項目24は、
光学繰り返し単位をなすように構成された、ミクロ層のパケットを備える、多層光学フィルムを備え、
パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
1次反射帯域は少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
2次反射帯域は少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
単一の広い反射帯域を形成するように、2次反射帯域は、1次及び3次反射帯域の少なくとも一方に実質的に重複する、ウィンドーフィルムである。
項目25は、
多層光学フィルムと隣接する接着剤層と、
多層光学フィルムとは反対側で接着剤層と直接隣接する剥離ライナーとを更に含む、項目24に記載のウィンドーフィルム。
項目26は、
項目1〜23のいずれか1つに記載の多層光学フィルムと、
多層光学フィルムと隣接する接着剤層と、
多層光学フィルムとは反対側で接着剤層と直接隣接する剥離ライナーとを含む、ウィンドーフィルムである。
項目27は、窓、及び項目24のウィンドーフィルムを備えるシステムであって、ウィンドーフィルムの主要表面が窓に取り付けられている、システムである。
項目28は、
窓と、
項目1〜23のいずれか1つに記載の多層光学フィルムとを備えるシステムであって、
多層光学フィルムの主要表面がウィンドーに取り付けられている、システムである。

Claims (15)

  1. 光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを備える多層光学フィルムであって、
    前記パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
    前記1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
    前記2次反射帯域は、少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
    単一の広域反射帯域を形成するように、前記2次反射帯域は、前記1次反射帯域及び前記3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
    前記多層光学フィルムは、前記ミクロ層のパケットと隣接する光学層を更に備え、前記光学層は、アンチグレア層又は吸収層である、多層光学フィルム。
  2. 前記1次反射帯域は、760〜840nmの範囲内に第1帯域エッジがあり、かつ1560〜1640nmの範囲内に第2帯域エッジがある、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  3. 前記2次反射帯域は、380〜420nmの範囲内に第1帯域エッジがあり、かつ780〜820nmの範囲内に第2帯域エッジがある、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  4. 前記光学層は吸収層であり、前記吸収層は、少なくとも1つの染料又は顔料を含む、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  5. 前記少なくとも1つの染料又は顔料は、少なくとも1つのダイクロイック染料を含む、請求項4に記載の多層光学フィルム。
  6. 前記積層体は低透過率軸を有する非対称反射体であり、前記部分吸収層は、前記低透過率軸と実質的に平行な遮蔽軸を有する部分吸収偏光子である、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  7. 前記2次反射帯域は、前記1次反射帯域と実質的に重複する、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  8. 前記積層体は3次反射帯域をもたらし、前記光学層は吸収層であり、前記吸収層は、近赤外線吸収成分を有する、請求項1に記載の多層光学フィルム。
  9. 光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを備える多層光学フィルムであって、
    前記パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
    前記1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
    前記2次反射帯域は、少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
    単一の広域反射帯域を形成するように、前記2次反射帯域は、前記1次反射帯域及び前記3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
    前記パケットは、第1面内で偏光された可視光における第1平均軸上反射率と、前記第1平面と直交する第2平面内で偏光された可視光における第2平均軸上反射率とを有し、前記第2平均軸上反射率は、約5%より大きく、かつ前記第1軸上反射率未満である、多層光学フィルム。
  10. 前記第1平均軸上反射率は、約10%より大きい、請求項9に記載の多層光学フィルム。
  11. 前記第1平均軸上反射率、及び前記第2平均軸上反射率の平均は、約40%〜約70%の範囲内である、請求項9に記載の多層光学フィルム。
  12. 前記ミクロ層のパケットと隣接する光学層を更に備え、前記光学層は、少なくとも1つの染料又は顔料を含む、請求項9に記載の多層光学フィルム。
  13. 前記2次反射帯域は、前記1次反射帯域と実質的に重複する、請求項9に記載の多層光学フィルム。
  14. 光学繰り返し単位をなすように構成されたミクロ層のパケットを備える多層光学フィルムであって、
    前記パケットは、設計入射角において、単一の1次反射帯域、2次反射帯域、及び任意選択により3次反射帯域をもたらし、
    前記1次反射帯域は、少なくとも部分的に、720〜2000nmの波長範囲内に設定され、
    前記2次反射帯域は、少なくとも部分的に、380〜720nmの波長範囲内に設定され、
    単一の広域反射帯域を形成するように、前記2次反射帯域は、前記1次反射帯域及び前記3次反射帯域の少なくとも一方と実質的に重複し、
    前記光学繰り返し単位は、前記ミクロ層のパケットの厚さにわたって、単調に変化する、固定屈折率f比を有する、多層光学フィルム。
  15. 前記光学繰り返し単位の固定屈折率光学厚さは、前記ミクロ層のパケットの前記厚さにわたって単調に変化しており、前記固定屈折率f比は、約0.3〜約0.4の範囲内であり、かつ最も薄い光学繰り返し単位から最も厚い光学繰り返し単位へと単調に減少するか、又は前記固定屈折率f比は、約0.6〜0.7の範囲内であり、かつ前記最も薄い光学繰り返し単位から前記最も厚い光学繰り返しへと単調に増加するかのいずれかである、請求項14に記載の多層光学フィルム。
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