JP2017532063A - タンパク質の単離 - Google Patents

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Abstract

内因性DNAKタンパク質またはDNAKタンパク質のホモログが認識可能なアミノ酸配列でタグ付けされることによる一般的な方法および細菌株が記載され、このタグを介してDNAKを効率的に除去することができ、そのようにしてDNAKを除去する簡素化された精製工程を用いて、組換えタンパク質精製を収率と純度の両方で大きく改善することができ、コスト、廃棄物蓄積および労力を削減し、単離された組換えタンパク質は研究および治療のその応用において大きな利益をもたらす。

Description

本発明は、組換えタンパク質の単離方法、すなわち単離手順中のDNAKの除去を含む方法に関する。
相当量の純粋なタンパク質の入手は、無数の生物学的研究において必須であり、タンパク質の生化学的特性決定に不可欠である。増殖の容易さ、よく特性決定された遺伝子、および遺伝子発現のための多数のツールにより、長い間、大腸菌(E.Coli)は、タンパク質過剰産生のために選択される生物とされてきた。
DNAKは広範囲の新たに合成されたポリペプチドと相互作用することによりシャペロンとして作用する豊富なタンパク質(大腸菌の全タンパク質の約1%)である。シャペロンタンパク質は、新たに発現されたタンパク質の適したフォールディングおよびオリゴマーへの集合を助け、したがって相互作用によるタンパク質凝集を防止する。他のタンパク質とのDNAK結合はDNAKがADPに結合するときに生じ、ATPに結合するとこれらのタンパク質を放出する。DNAKはまた、予め形成されたタンパク質凝集体を解離するために必要な因子であり、プロテアーゼ特異的チャネルを介した損傷タンパク質の分解に関与する。
タンパク質産生にとって重要である一方、DNAK汚染は、タンパク質精製において深刻な問題をもたらす。DNAKは、細菌宿主株に対して内因性でない多くのタンパク質に結合する可能性がある。さらに、DNAK汚染は、組換え融合タンパク質産生の分離を妨げ、フォールディング−再フォールディング実験分析の害となり、シャペロンが微量しか存在しない場合であってもラットおよびウサギにおいて強い抗原応答を引き起こす可能性があり、それによって抗体産生に影響を及ぼす。
いくつかの組換えタンパク質の単離方法は、DNAK汚染を排除するために大腸菌DNAK欠失株を利用するが、単離された組換えタンパク質の溶解性および品質を改善するためにDNAKが必要とされない場合にのみ利用する。それでもこれらの欠失株は、増殖の許容温度の範囲がより狭く、組換えタンパク質の全体的な収率ならびに株の安定性を低下させ得る複数の細胞の欠損を示す。
融合タンパク質産生を含む他の方法は、組換えタンパク質の推定上のDNAK結合部位を取り囲む適切なアミノ酸を決定し、DNAKに対する推定上の親和性を減少させるために配列を改変するソフトウェアに基づくアルゴリズムを利用する。樹脂に結合したこれらの融合タンパク質を精製すると、溶出前に、MgATP+可溶性変性大腸菌タンパク質を使用してタンパク質を洗浄する。しかしながら、そのような方法は、限定された数の場合にのみ効果的であり、一般に全ての融合タンパク質に対して効果的ではない。また、それらは、推定上のDNAK結合部位を本来的に含むそれらの単離された組換えタンパク質の汚染を排除しない。さらに、この手順の薬剤の試薬は高価であり、商業的または治療的使用には適していないものもある(例えば、グリセロール)。
別の方法は、ヌクレオチド結合状態のいずれかでDNAKに結合するコシャペロンタンパク質を用いる。コシャペロンタンパク質はN末端でヒスチジンタグが付加されており、この融合組換えタンパク質はニッケルアフィニティークロマトグラフィーによる一段階精製によって単離された。このコシャペロンを介してDNAKを除去する能力にもかかわらず、この方法はDNAKを完全に排除するものではなく、より高いレベルで標的組換えタンパク質を発現するために必要な細胞資源を減少させるさらなる組換えタンパク質の形質転換に依存する。
本発明は、組換えタンパク質精製中にDNAKを除去する方法である。この方法は、タグ付きDNAKを発現することができる組換えタンパク質産生のために一般に使用される細菌株の使用を必要とする。細菌株は、大腸菌であってよい。タンパク質タグは、DNAK遺伝子のゲノムコピーに組み込まれ、内因的にタグ付きDNAKを産生する株をもたらし得る。株は、内因性DNAKが欠失し、導入されたベクターからタグ付きDNAKが発現される変異株であり得る。タグは、DNAKまたはDNAKとしての同様の機能を有するDNAKのホモログに付加してよい。タグは、ヒスチジンタグ、mycタグまたは任意の同等のタグであってもよく、ここで、タグは、樹脂ベースの固相もしくは液相法、またはタンパク質の単離のためのタグの使用を用いる任意の他の精製技術と共に使用される場合、タグ付きタンパク質の除去に効果的である。
DNAKの存在は、細菌培養物の最適な複製のために重要であり、それにより、標的組換えタンパク質のより大きな発現および収率を可能にする。タンパク質タグをコードするヌクレオチド配列は、DNAKの機能に影響を及ぼさないDNAK配列の任意の領域に挿入してよく、したがって細菌増殖を損なわない。
タグ付きDNAK細菌株は、最初に標的組換えタンパク質のベクターで形質転換される。形質転換された細菌培養物を最適な増殖レベルまでインキュベートした後、細胞抽出物を標準的な単離手段によって収集してよい。次いで、細胞抽出物は、タグ付きDNAKに向けられたタグのリガンドを含む樹脂に適用してよい。クロマトグラフィーで使用する場合、DNAKおよび任意のDNAK結合タンパク質は樹脂に結合したままであり、溶出液は標的組換えタンパク質を含む。標的組換えタンパク質のさらなる単離を用いてよい。別の方法では、標的組換えタンパク質を最初に単離した後、タグ付きDNAKを除去してよい。他の方法は、タグ付きDNAK単離のその後のラウンドを含んでよい。
本発明の特性である新規な特徴は、それらの構造および操作方法の両方に関して、それらのさらなる目的および利点と共に、本発明の好ましい実施形態が例により図示されている添付図面に関連して考慮される以下の説明から理解されるであろう。しかしながら、図面は例示および説明のみを目的とし、それらは本発明の限定の定義として意図されるものではないことが明確に理解されるべきである。
DNAK除去の有効性を示す代表的なゲルの図である。 DNAK単離バンドの同定についてゲル中に示すように、バンド1上で使用される質量分析データの図である。 図2に示すバンド1のMASCOTデータの図である。 DNAK単離バンドの同定についてゲル中に示すように、バンド2上で使用される質量分析データの図である。 図4に示すバンド1のMASCOTデータの図である。 野生型BL21株の増殖曲線の図である。 BL21 DNAK STREP株の増殖曲線の図である。
(i)定義
以下の定義は、特に指示しない限り、本願の全ての態様および実施形態に適用する。
用語「DNAK」は、ファージラムダDNA複製の開始に必須の役割を果たす大腸菌タンパク質を指し、DnaJタンパク質を用いてATP依存的様式で作用して、ラムダOおよびPタンパク質をプレプライモソーム複合体から放出する。DnaKはまた、おそらくDnaAタンパク質との類似の相互作用によって、染色体DNA複製に関与する。また、タンパク質は高浸透圧ショックに対する応答に能動的に関係する。
用語「GrpE」は、DnaKおよびGrpEに関連して、ストレス変性タンパク質の凝集を防止することによって高浸透圧および熱ショックに対する応答に能動的に関係する大腸菌タンパク質を指す。それはDnaKのヌクレオチド交換因子であり、温度センサーとして機能し得る。フォールディングされていないタンパク質は、最初はDnaJに結合する;DnaJ結合タンパク質と相互作用すると、DnaKはその結合したATPを加水分解し、これにより安定な複合体を形成する。GrpEはDnaKからADPを放出する;DnaKへのATP結合は、基質タンパク質の放出を誘発し、したがって反応サイクルを完了する。DnaJ、DnaKおよびGrpE間のATP依存性相互作用のいくつかのラウンドは、十分に効率的なフォールディングのために必要である。
「プラスミド」は、独立して複製される環状二本鎖DNA断片を指すベクターである。プラスミドは、大腸菌oriCなどの複製開始点、限定されるものではないが、β−ラクタム、マクロライド、およびアミノグリコシド抗生物質に対する耐性を与える選択可能な抗生物質耐性遺伝子、発現制御下のプロモーター配列、ならびに制限部位を有する多重クローニング部位を含み得る。
プラスミドは、「発現プラスミド」であってよい。発現プラスミドは、クローニングされた遺伝子の発現を可能にする。発現プラスミドは、プラスミドの多重クローニング部位、リボソーム結合部位、開始コドン、終止コドン、および転写配列の終結にクローニングされた遺伝子の遺伝子発現の調節および誘導を可能にする誘導性プロモーター領域を含む。
用語「プロモーター配列」は、遺伝子の転写開始部位の上流または下流のいずれかのDNA領域である。本明細書で使用する場合、細菌プロモーターは、転写開始の上流の−35位置にTTGACAの必要なコンセンサス配列、および−10位置にプリブノーボックスTATAAT配列を含み、−35領域の上流にUPエレメントも含み得る。
「BL21−(DE3)」は、形質転換およびタンパク質発現について化学的にコンピテントな大腸菌株である。この株は、T7プロモーターの制御下でタンパク質を発現し得る。この株は、プロテアーゼLonおよびOmpTが欠損している。
用語「形質転換」は、化学的または電気的手段を介する膜透過性を用いる方法によって、細菌に外因性遺伝物質を導入するプロセスを指す。形質転換の実施には、大腸菌などのコンピテント細菌細胞のアリコートにプラスミドなどの遺伝物質を添加し、混合物を氷上でインキュベートすることを伴う。次いで、細菌細胞をエレクトロポレーションするか、または42℃で約1分間置いた後、氷上でインキュベートするために戻す。次いで、コロニーが目に見えるようになるまで、細菌細胞を寒天プレート上で一晩増殖させる。寒天プレートは、コロニー選択のための抗生物質または栄養条件を含んでよい。
用語「トランスフェクション」は、意図的に核酸を細胞に導入するプロセスを指す。この用語は、多くの場合、真核細胞における非ウイルス性の方法に使用される。他の方法および細胞型を指してもよいが、他の用語が好ましい:「形質転換」は、より多くの場合、植物細胞を含む非動物真核細胞である細菌における非ウイルス性のDNA転移を記載するために使用される。動物細胞では、形質転換はこれらの細胞における癌状態(発癌)の進行を指すためにも使用されるため、トランスフェクションが好ましい用語である。「形質導入」は、多くの場合、ウイルス媒介性のDNA転移を記載するために使用される。Nature Methods 2, 875-883 (2005)。
用語「相同配列」は、対応する参照配列と少なくとも70%〜99%相同であるアミノ酸またはヌクレオチド配列を指す。90%同一である配列は、参照配列中の10アミノ酸あたり1つ以下の異なるアミノ酸を有する。2つ以上の配列間の相同性の百分率は、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math2:482c、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:433、またはPearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Sci. 85:2444の相同性アルゴリズムを使用して同定され得る。配列アラインメントの方法は、当業者には知られている。NCBIハンドブック(2002)に記載されているようなBLAST、またはSievers et. al. Mol. Sys. Bio. 7:539 (2011)に記載されているようなClustalOmegaなどの、上述または別の配列比較アルゴリズムを用いるコンピュータベースプログラムを使用してよい。
「相同組換え」は、2つの類似または同一のDNA分子間でヌクレオチド配列が交換される遺伝子組換えの一種を指す。これは、二本鎖切断として公知のDNAの両方の鎖に生じる有害な切断を正確に修復するために、細胞によって最も広く使用されている。相同組換えは、異なる生物および細胞型の間で大きく異なるが、大部分の形態は同様の基本的な工程を伴う。二本鎖切断が生じた後、切断の5’末端周辺のDNA切片は、切除と呼ばれるプロセスで切断される。これに続く鎖侵入工程では、切断されたDNA分子の突出3’末端が、切断されていない類似または同一のDNA分子に「侵入」する。鎖侵入後、さらなる一連の事象は、以下で論じる2つの主要経路(モデル参照)のいずれかに続いてよい;DSBR(二本鎖切断修復)経路またはSDSA(合成依存性鎖アニーリング)経路。相同組換えは、ウイルスと同様に、生命の3つのドメイン全てにわたって保存されており、これはほぼ普遍的な生物学的メカニズムであることが示唆される。Alberts, B et al (2002).「Chapter 5: DNA Replication, Repair, and Recombination」。
「組換え」DNAまたはタンパク質は、複数の供給源から遺伝物質を集め、その他生物学的生物に見られない配列を作製するために、遺伝子組換え(分子クローニングなど)の実験室的方法によって形成されたDNA分子を指すために使用され、または、組換えDNAにコードされるタンパク質を指すために使用される。組換えDNAは、キメラDNAと呼ばれることもある。
「制限エンドヌクレアーゼ」は、制限部位として公知の特異的認識ヌクレオチド配列でまたはその近くでDNAを切断する酵素を指す。Roberts RJ (November 1976).「Restriction endonucleases」。CRC Crit. Rev. Biochem. 4 (2): 123-64。
用語「増幅」は、遺伝子配列の大量複製の動作を指す。遺伝子配列の増幅は、目的の遺伝子配列のフランキング末端にハイブリダイズするプライマーを使用するPCRによって実施してよい。遺伝子配列の増幅は、プラスミドで細菌を形質転換することによって、または目的の組換え遺伝子配列を保有するウイルスで宿主細胞をトランスフェクトすることによってインビボで実施してもよい。
用語「タンパク質発現」は、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞または動物細胞などの宿主細胞内でのタンパク質の産生を指す。発現プラスミドなどのプロモーターの制御下にある組換えタンパク質のコード配列を保有するベクターを宿主細胞に挿入する。次いで、組換え遺伝子の発現を制御するプロモーターが誘導され、組換え遺伝子によってコードされたタンパク質が宿主細胞内で産生される。
用語「タンパク質コード配列」は、ポリペプチドをコードする遺伝子の一部を指す。コード配列は、ATG翻訳開始コドンと、TAG、TAA、またはTGA翻訳終止コドンの位置との間に位置する。真核生物遺伝子に典型的なものとして、コード配列は、転写されてポリペプチドに翻訳される遺伝子配列である遺伝子の「エクソン」を含んでよく、転写されるがポリペプチドに翻訳されない遺伝子配列である遺伝子の「イントロン」を除外してよい。
用語「タンパク質精製」は、タンパク質を精製するプロセスを指し、目的のタンパク質を満足できるレベルの純度で分離および単離するために使用される任意の技術を用いてよい。タンパク質精製は、サイズ、電荷、結合親和性、および生物学的活性などのタンパク質の様々な性質を利用する。液体カラムクロマトグラフィーは、発現されたタンパク質を含む細胞溶解物が、目的のタンパク質に対して特定の結合親和性を有する「樹脂」上を通過するタンパク質精製において、一般に使用される。樹脂は、イオン交換、疎水性相互作用、サイズ排除、逆相、または親和性タグクロマトグラフィーを介してタンパク質の精製を支持する化学的性質を有する化合物またはポリマーである。タンパク質はまた、目的のタンパク質試料を含むポリアクリルアミドゲルの切除片由来のタンパク質のエレクトロポレーションなどの非クロマトグラフィー技術によって精製してもよい。
用語「MALDI」は、化合物ならびにポリペプチドおよびタンパク質などの生体分子をそれらの分子量を決定することによって分析するために使用される質量分析技術であるマトリックス支援レーザー脱離イオン化を指す。トリプシンなどのプロテアーゼによる酵素消化によって、MALDIのためにタンパク質試料を最初に調製する。次いで、試料をマトリックスに化学的に結合させ、次いで、質量分析計に導入する。パルスレーザービームは試料を標的にし、その結果、固相から気相へのポリペプチドの脱着およびイオン化が起こる。気化イオンは検出器に向かって電界中で加速する。次いで、ペプチド断片を、それらの質量電荷比に基づいて、ペプチドマスフィンガープリンティングまたはタンデム質量分析によって同定する。ペプチド質量は分子量ピークの一覧表として表示され、次いで、元々のタンパク質試料の統計学的同定が可能となるSwissprotなどの公知のペプチド質量のデータベースと比較される。
本明細書で使用する場合、用語「MASCOT」は、質量分析タンパク質データの同定および特性決定に使用される検索エンジンであるMASCOT(Matrix Sciences)と呼ばれるアルゴリズムを指す。確率的なスコアリング(probalistic scoring)は、一致したタンパク質のどれが偶然に生じる可能性が最も低いかに依存しており、したがって最も有意な一致と共に返される。85以上のタンパク質スコア(p<0.05に相当)が有意であると考えられる。
「タンパク質タグ」は、タグの特性および親和性に基づくタンパク質精製、同定、または活性を助ける組換えタンパク質に、新たな特性を提供する組換えタンパク質内のアミノ酸配列を指す。タンパク質タグは、ビオチンタグなどの新規な酵素特性を組換えタンパク質に提供し得、またはタグは、緑色蛍光タンパク質もしくは赤色蛍光タンパク質をコードする蛍光タグなどを用いたタンパク質同定手段を提供し得る。タンパク質タグは、タンパク質のN末端またはC末端に付加され得る。タンパク質精製に使用される一般的なタンパク質タグは、ニッケルまたはコバルトなどの金属イオンをキレート化したタンパク質精製マトリックスにタンパク質が結合することを可能にする、一連の約6個のヒスチジンアミノ酸残基が付加されるポリHisタグである。タンパク質精製に一般に使用される他のタグとしては、Strepタグ、キチン結合タンパク質、マルトース結合タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、およびFLAGタグが挙げられる。「エピトープタグ」などのタグはまた、タンパク質が抗体に対する親和性を有するようにすることができる。一般的な抗体エピトープタグとしては、V5タグ、Mycタグ、およびHA10タグが挙げられる。
用語「融合タンパク質」または「融合したタンパク質」は、単一の遺伝子によってコードされるタンパク質を指し、単一の遺伝子は、少なくとも2つ以上の別個のタンパク質を元々コードするコード配列で構成される。融合タンパク質は、2つ以上の別個のタンパク質の機能的ドメインを保持し得る。融合タンパク質のコード配列の一部は、エピトープタグをコードし得る。抗体様タンパク質に関して本明細書に記載されているように、融合タンパク質はまた、その用途に基づいて変化する機能的役割を有する様々なタンパク質をコードする配列を含み得る。
「ポリペプチド」
「クロマトグラフィー」は、混合物を分離するための一連の実験室的技術の総称である。混合物は、移動相と呼ばれる流体中に溶解されて、固定相と呼ばれる別の物質を保持する構造を通してそれを移動させる。固定相は、「樹脂」と称されることがある。混合物の様々な成分は異なる速度で移動し、それらを分離させる。分離は、移動相と固定相との間の差次的な分配に基づく。化合物の分配係数のわずかな差異が、固定相上での差次的な保持をもたらし、それによって分離を変化させる。
クロマトグラフィーは分取または分析的であってよい。分取クロマトグラフィーの目的は、より高度な使用のために混合物の成分を分離することである(したがって、精製の形態である)。分析クロマトグラフィーは、通常、より少量の物質を用いて行われ、混合物中の分析物の相対的な割合を測定するためのものである。2つは互いに排他的ではない。
サイズ排除クロマトグラフィーまたはカラム(SEC)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)またはゲル濾過クロマトグラフィーとしても公知であり、分子のサイズによって(またはより正確には分子の流体力学的直径または流体力学的体積によって)分子を分離する。より小さい分子は培地の細孔に入ることができ、したがって、分子は捕捉され、移動相の流れから除去される。細孔内の平均滞留時間は、検体分子の有効サイズに依存する。しかしながら、パッキングの平均細孔サイズよりも大きい分子は除外されることから、本質的に保持されず、そのような種は最初に溶出される。一般にこれは、低分解能クロマトグラフィー技術であり、したがって多くの場合、精製の仕上げとなる「最終精製」工程のために確保される。特にこれは天然溶液条件下で行うことができるため、精製されたタンパク質の三次構造および四次構造を決定するためにも有用である。
「アフィニティークロマトグラフィー」は、抗原と抗体、酵素と基質、または受容体とリガンドとの間などの非常に特異的な相互作用に基づいて生化学的混合物を分離する方法である。用語「カラム」は、結合した樹脂の一種の説明と組み合わせて代わりに使用してよい。
分子クローニングにおいて、「ベクター」は、外来遺伝物質を他の細胞に人工的に運ぶための媒体として使用されるDNA分子であり、複製および/または発現されることが可能である。外来DNAを含むベクターは、組換えDNAと呼ばれる。ベクターの4つの主なタイプは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、および人工染色体である。全ての設計されたベクターに共通するのは、複製開始点、マルチクローニングサイト、および選択可能マーカーである。
用語、フリッパーゼ認識標的「FRT」は、相同組換えを部分的に担うフリッパーゼと呼ばれる酵素によって認識されるDNA配列を指す。34bp最小FRT部位配列は、フリッパーゼ(Flp)が8bpスペーサーに隣接する13bpである5’−GAAGTTCCTATTC−3’アームの両方に結合するための配列「5’GAAGTTCCTATTCtctagaaaGtATAGGAACTTC3’」、すなわち逆方向の部位特異的組換え(クロスオーバー領域)を有する。FRT媒介性切断は、上鎖上の非対称8bpコア領域(5’tctagaaa3’)の直前で、さらに下鎖上のこの配列の後方で生じる。いくつかのバリアントFRT部位が存在するが、通常、組換えは2つの同一のFRT間でのみ生じることが可能でありながら、一般に、非同一(「異種特異的」)FRTの間では生じない。Zhu XD, Sadowski PD (1995). XD, Sadowski PD (1995)。「多くの利用可能な構築物は、上流要素から同じ方向に1塩基対離れた追加のアーム配列(5’−GAAGTTCCTATTCC−3’)を含む:「5’GAAGTTCCTATTCcGAAGTTCCTATTCtctagaaaGtATAGGAACTTC3’」」。このセグメントは、切除のためには不要であるが、リコンビナーゼ媒介性のカセット交換を含む組込みには必須である。
「FLPリコンビナーゼによる切断依存性ライゲーション」。Journal of Biological Chemistry 270 (39): 23044-54 Schlake T, Bode J (1994)。「定義された染色体座位での発現カセットの交換のための変異FLP認識標的(FRT)部位の使用」。Biochemistry 33 (43): 12746-12751。
(ii)本願のポリペプチド配列および薬剤
精密な改変は、Link et al., 1997の方法を使用して大腸菌のゲノムで行われた。組込みは、pKOプラスミド、pMH9およびpTOF24に基づく。(Merlin et al. 2002)。これらのプラスミドは、以下の特徴:クロラムフェニコール耐性遺伝子、30℃で機能性であるが37〜42℃では機能性でない温度感受性OR1、および増殖培地中でスクロースの存在に感受性のある細胞をもたらすsacB遺伝子を有する。pKOプラスミドに挿入されたDNAKの配列の代表的な実施形態は、配列番号1である。
大腸菌ゲノムと相同性のある800bp領域を、pKOプラスミドのPstIおよびSalIの制限エンドヌクレアーゼ部位にクローニングする。800bp領域は、クロスオーバーPCRを使用して構築してよい。800bpDNAは、タグをコードするヌクレオチド配列などの追加の改変を含む。任意のそのような改変は、タグをコードするヌクレオチド配列の位置の両側に隣接する400bpの相同性を有する。改変には、特有の制限部位を追加することも含んでよい。
代表的な実施形態では、タグ付きDNAK遺伝子を増幅するために使用され得るプライマーは、配列番号2および3に示される。他のプライマーおよびタグの位置および相同組換えの部位を使用して、タグ付きDNAK遺伝子を増幅してもよいことは、当業者には理解される。
タグで修飾された増幅されたDNAK配列を、発現ベクター内に存在する2つのFRTカセットの間に挿入した。
本出願では、タグ付きDNAK遺伝子配列の一実施形態は、配列番号9に示すようなDNA組換えを介してC末端の終末に付加されたアミノ酸Strepタグ配列(Trp−Ser−His−Pro−Gln−Phe−Glu−Lys)を含んでよい。タグをN末端領域に付加することもできる。別の実施形態では、Flagタグ、HisタグまたはMycタグなどのような他のタグを使用してもよい。
代表的な実施形態では、組換えプラスミドは、30℃でクロラムフェニコール選択を用いて受容細胞に形質転換された。受容細胞は、BL21(DE3)株などであってよい。次いで、DNAK株を大腸菌染色体と相同的に組み換えた。
DNAKのホモログを含む他の細胞は、この代表的な実施形態に基づく認識可能なタグを含むホモログで遺伝的に修飾され得ることは、当業者に周知である。認識可能なタグをコードするヌクレオチド配列を有するプライマーを用いてDNAKホモログを増幅するために、プライマーを構築してよい。
コロニーをLB寒天プレート上でクロラムフェニコールと共に42℃で一晩増殖させ、コロニーをサイズに基づいて選択した。次いで、成功した相同組換えを示した選択されたコロニーを、37℃で5%W/Vスクロースを含むLB寒天上で増殖のために交差選択した。次いで、交差選択されたコロニーを、5%スクロースを含むLB寒天上、ならびに5%スクロースおよび5%クロラムフェニコールを含むLB寒天上で、同時に「パッチテスト」した。クロラムフェニコール感受性コロニーをPCRによりスクリーニングし、配列決定した。
修飾DNAKまたは天然に生じるDNAKのホモログを、相同組換えされたタグ付きDNAKコード遺伝子を含む株から単離して、付加されたタグを使用してタンパク質配列を確認した。タグを標的とするクロマトグラフィーまたは同等の方法を使用して、得られたタンパク質を単離してよい。
本実施形態では、修飾株の細菌溶解物BL21−DNAK−strepをStrep−tactin樹脂カラムに適用してよい。次いで、図2に示すように、溶出画分をSDS−タンパク質ゲル上で泳動してよい。Strepタグが付加されたDNAKは、その推定分子量72.4kDaに相当する分子量で示されている。さらなる低分子量バンドもまた観察され、その後の分析は、タンパク質の同一性が、DNAKの一般に関連したコシャペロンタンパク質であるGrpEであったことを明らかにした。以下のデータを参照されたい。(Sugimoto et al, Prot. Exp. And Pur., 60 31-36 (2008))。
次いで、バンドをゲルから抽出し、配列決定のために調製してよい。Strepタグが付加されたDNAKは、部分的に消化され、得られた断片をMALDIマスフィンガープリント分析の目的のために単離してよい。本発明では、修飾タンパク質に部分的なトリプシン消化を施した。次いで、消化された断片をMicromass MALDI microMX質量分析計に通した。図2は、図2の修飾DNAK分子のバンド1のゲルに対応する質量分析データを示す。次いで、図3に示すように、質量分析計データを、最も高いタンパク質スコアである412を有するDNAK遺伝子産物(大腸菌O157:H7str.EDL9331)と一致させたMASCOTアルゴリズムを使用して、データを分析した。
図4のSDS−PAGEからのバンド2はまた、MALDI下でも分析され、grpE遺伝子産物(大腸菌O157:H7str.EDL933)に対して185のMASCOTタンパク質スコアを有した。修飾DNAKがGrpEと結合して共に溶出されることが可能なように、GrpEとStrepタグが付加されたDNAKとの共溶出は、その構造的および機能的確認を保持していることを示す。
MASCOT結果に基づいて、部分的なタンパク質配列を図5に示す。
内因性タンパク質の細菌株を研究することに関して、本発明は細菌の生存能力および増殖を犠牲にしない。代表的な修飾株では、次いで、得られた修飾株の増殖をモニターしてよい。代表的な実施形態では、修飾株BL21−DNAK Strep株および野生型BL21(DE3)株をLB培地に別々に播種し、中期対数増殖期と一致する630分(10.5時間)にわたって増殖を観察した。中期対数増殖期は、組換えタンパク質を細菌中で発現させる場合の増殖期に最適である。図6および7を参照されたい。増殖曲線は、この期間にわたる細菌増殖に実質的な差はなかったことを示した。
図1に示すように、DNAKの機能性が依然としてGrpEと機能的に相互作用可能であるとすれば、タンパク質レベルの発現はタグ付きDNAKの存在による影響を受けないままである。DNAK除去はまた、DNAKを除去するために使用された以前の方法よりもはるかに優れている。代表的な実施形態では、30kDaおよび36kDaモノマータンパク質を最終的に発現する組換えタンパク質ベクターで形質転換させたBL21−DNAK株を、中期対数期まで増殖させた。図1Aに示すように、細胞溶解物を単離し、サイズ排除カラム(SEC)に適用した。天然組換えタンパク質の流体力学的分子量範囲に対応する画分にて見出された組換えタンパク質を回収し、SDS−PAGE上でレーン1の最も早い回収画分で泳動した。DNAKバンドは約72kDaで観察された。
レーン2〜8のSEC画分をプールし、重力流Streptactin樹脂カラムに適用した。図2Bは、2.5mMのD−デスチオビオチン(D−Desthiobtion)によって溶出された入力試料(レーン1)および溶出画分(レーン2〜5)のレーンのアリコートを示す。タグ付きDNAKタンパク質は、30kDaまたは36kDa組換えタンパク質の検出可能な存在なしに目に見えて残る唯一のタンパク質であった。
図1Cは、SECに再適用された図1Bに使用されるStrep−tactin樹脂カラムからのプールされたフロー画分を示す。汚染しているタグ付きDNAKは、組換えタンパク質の最小損失で有意に除去された。図1Dは、タグ付きDNAKと組み合わせた微量の結合タンパク質が依然として存在することを示す。
(iii)使用
本発明は、細菌の生存能力、最適なタンパク質産生レベル、ならびに発現された組換えタンパク質の適したフォールディングおよび形成に影響を与えることなく、別の標的化単離タンパク質のDNAK汚染を減少させる問題に対する非常に重要な解決法を提供する。本発明はまた、商業応用または治療応用に使用される組換え試料に対して、高価な、または禁止されている試薬の使用を必要としない。
認識可能なタグは、細菌増殖と同様に、DNAKの機能を著しく損なわないDNAK配列の任意の領域に挿入してよい。しかしながら、DNAK機能を部分的に損なうタグは、DNAKに対する弱い親和性を有する組換えタンパク質に使用してよい。タグは、タンパク質タグであってよく、限定されるものではないが、Strepタグ、Mycタグ、Hisタグ、またはFlagタグであってよい。選択性および単離性を高めるために、複数のタグをDNAKに付加してよい。
タグはまた、認識可能なリボ核酸タグであってもよく、これによりDNAKの発現は、タグを認識して翻訳を阻害する因子によってRNAレベルで停止され得る。そのようなタグは、細菌の様々な増殖期の間にDNAK産生を阻害する別の手段を提供し得る。
本発明の代表的な実施形態の1つはBL21株を利用するが、任意の細菌株およびその染色体DNAK遺伝子は、本発明において提供されるように修飾されてよい。
本発明は、酵母などの真核細胞または哺乳動物細胞もしくは細胞株に存在するDNAKホモログまたは他のシャペロンタンパク質を置換するために使用してよい。そのような適用は、翻訳後修飾を必要とする組換えタンパク質発現の商業応用を改善し得る。
本発明では、タグ付きDNAK細菌株は、標的組換えタンパク質のベクターで形質転換されてよい。形質転換された細菌培養物を最適な増殖レベルまでインキュベートした後、当業者公知の標準的な単離手段によって、細胞抽出物を収集してよい。次いで、細胞溶解物を、タグ付きDNAKタンパク質のタグを標的とする単離方法に適用してよい。そのような方法には、クロマトグラフィーまたはチューブもしくは同等の固体支持体に結合した樹脂などの固相支持体単離が含まれる。代替では、液相分離を用いてよい。液相分離の一例は、DNAKに結合したタグによって結合され得るリガンドに結合した磁気ビーズを含んでよい。
別の方法では、標的組換えタンパク質を最初に単離した後、タグ付きDNAKを除去してよい。他の方法は、タグ付きDNAK単離のその後のラウンドを含んでよい。
この細菌株の使用はまた、高価な精製手順のコストを節約する。組換えタンパク質発現および単離は、研究および商業産業において最も広く使用されている方法の1つである。ATPおよびグリセロールなどの試薬は排除することができる。さらに、内因性(endogeneous)DNAKタグ株を有することにより、プラスミドを用いて細菌株をDNAK欠失株に形質転換する必要性が減少し、これにより実験結果の一貫性が大きく向上し、コストおよび時間の削減をもたらす。
DNAKタグプラスミドの必要性を排除することにより、細菌増殖の間に組換えタンパク質プラスミドまたはDNAKタグプラスミドが失われる機会も減少する。
DNAKタグ細菌株を使用して、組換えタンパク質以外のDNAKまたはDNAK結合タンパク質から生じる免疫応答の機会が排除または低減される治療的使用のための組換えタンパク質を産生してよい。さらに、本発明の株の使用は、単離された組換えタンパク質の医薬調製物中に存在する場合に、毒性効果を有し得る試薬の使用の必要性を減少させる。
DNAKに結合することが公知の特定のタンパク質が、その特定のタンパク質が発現されDNAKタグ株から単離される際に単離され得る場合、タグ付きDNAKを使用してもよい。これは、診断および研究応用の両方に有用であり得る。
タグ付きDNAKアミノ酸配列はまた、プロテアーゼ感受性認識部位で修飾することができ、任意の微量のDNAKをさらに減少させるために、そのような認識部位をタグ付きDNAKと共に用いてよい。
本明細書は本発明の特定の実施形態を説明しているが、当業者は、本発明の概念を逸脱することなく本発明の変化形を考案することができる。









Claims (20)

  1. a)DNAKタンパク質の少なくとも一部をコードするヌクレオチドおよび認識可能なタグをコードするヌクレオチド配列を含む、遺伝的に改変された遺伝子配列
    を含む細菌であって、
    b)該遺伝子配列は天然に存在しない、細菌。
  2. 認識可能なタグをコードする前記ヌクレオチド配列が、DNAKのN末端またはC末端をコードするヌクレオチドの近くまたは内部の前記遺伝子配列上に位置する、請求項1に記載の細菌。
  3. 認識可能なタグがタンパク質タグであってよい、請求項1に記載の細菌。
  4. DNAKのヌクレオチド配列と認識可能なタグをコードするヌクレオチド配列との間にリンカー配列が挿入される、請求項1に記載の細菌。
  5. DNAKの天然に生じる遺伝子配列が欠失した、請求項1に記載の細菌。
  6. DNAKの天然に生じる遺伝子配列が修飾されており、該修飾が、DNAKの天然に生じる遺伝子配列の発現を実質的に停止させた、請求項1に記載の細菌。
  7. 前記遺伝子配列が、細菌の染色体DNAと、認識可能なタグおよびDNAKの遺伝子配列の少なくともいくつかの部分をコードするヌクレオチド配列を含む核酸との相同組換えによって作製された、請求項1に記載の細菌。
  8. 請求項7に記載の相同組換えであって、組換えの特異的部位が、DNAKの天然に生じる遺伝子配列の少なくとも一部の置換を可能にし、認識可能なタグを導入するものである、相同組換え。
  9. 請求項7に記載の核酸であって、プラスミドDNAの一部である、核酸。
  10. a)DNAKまたはDNAKホモログおよび認識可能なタグを含む内因性タンパク質を発現するように染色体が遺伝的に修飾されている細胞に、タンパク質をコードする核酸をトランスフェクトすること、
    b)核酸によりコードされるタンパク質を発現させること、
    c)細胞溶解物を抽出すること、および
    d)認識可能なタグに結合する方法により内因性タンパク質を除去することによって細胞溶解物を精製すること
    を含む、タンパク質の単離方法。
  11. 前記細胞が細菌細胞である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記認識可能なタグがタンパク質タグである、請求項10に記載の方法。
  13. 精製工程が固相支持体または液相支持体単離手順を利用する、請求項10に記載の方法。
  14. 精製工程が少なくとも1回繰り返され得る、請求項10に記載の方法。
  15. 細胞溶解物中の他の汚染物質を標的とする他の精製工程が用いられる、請求項10に記載の方法。
  16. 内因性タンパク質の精製工程が、内因性タンパク質と関連し得る別のタンパク質も単離する、請求項10に記載の方法。
  17. a)DNAKまたはDNAKホモログおよびタンパク質タグを含む内因性タンパク質を発現するように染色体が遺伝的に修飾されている細菌細胞に、タンパク質をコードする核酸を形質転換すること、
    b)核酸によりコードされるタンパク質を発現させること、
    c)細胞溶解物を抽出すること、および
    d)タンパク質タグに結合する方法により内因性タンパク質を除去することによって細胞溶解物を精製すること
    を含む、タンパク質の単離方法。
  18. タンパク質タグが、N末端またはC末端の近くに位置する、請求項17に記載の方法。
  19. 精製工程が固相支持体または液相支持体単離手順を利用する、請求項17に記載の方法。
  20. 内因性タンパク質の精製工程が、当該内因性タンパク質と関連し得る別のタンパク質も単離する、請求項17に記載の方法。
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