本開示の実施形態は、時分割復信モードにおけるMIMOチャネルの最大固有ベクトルを推定するための効率的なトレーニング手順を提供する。チャネル相互性を想定して、二つのアンテナ・アレイの間のピンポン伝送に依拠する逐次反復的手順を記述する。ここで、各反復工程において、デバイスは単に渡されたばかりの信号の共役を返す。ピンポン・ビームフォーミング(PPB: Ping-Pong Beamforming)は各通信末端における最適なビームフォーミング重み、たとえばチャネル行列の最大(左および右)固有ベクトルに収束する。PPBは二、三十回の反復工程を必要とし、受信機末端における加法性ノイズに対して堅牢である。PPBは、両方のアレイが非常に多数のアンテナを備えているときのトレーニング要件を著しく軽減し、よってそのような大規模アレイが期待されるミリメートル波通信において顕著な利点がある。PPBは、ユーザー当たり単一のストリームが送られるマルチユーザーMIMO通信セッティングに拡張される。各ユーザーのチャネルの固有ベクトルが追跡されるトレーニング手順が工夫される。我々は、通信リンクの両方の末端が大規模アンテナ・アレイに関わるときにチャネルの最大固有ベクトルから最適トランシーバーが構築できることを示す。
本発明についてこれからさらに詳細に説明する。本発明はさまざまな修正および代替形が可能であるが、個別的な実施形態が例として開示されている。しかしながら、本発明が開示される特定の形に限定されることは意図されていないことは理解しておくべきである。むしろ、本発明は、付属の請求項によって定義される本発明の精神および範囲内にはいるあらゆる修正、等価物および代替をカバーする。
さらに、例示的実施形態の理解に最も助けとなる仕方でさまざまな動作が複数の離散的な動作として記述されるが、記述の順序はそれらの動作が必ず順序依存であることを含意すると解釈されるべきではない。特に、それらの動作は呈示の順序で実行される必要はない。
「いくつかの実施形態では」という句が繰り返し使われる。この句は一般には同じ実施形態を指すものではないが、そうであることもありうる。用語「含む」「有する」「備える」は、文脈がそうでないことを示すのでない限り、同義である。
句「AまたはB」、「A/B」および「Aおよび/またはB」は(A)、(B)または(AおよびB)を意味する。
本稿での用法では、用語「回路」は、記載される動作を実行するよう構成された、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、論理回路、プロセッサ(共有、専用またはグループ)および/またはメモリ(共有、専用またはグループ)のようなハードウェア・コンポーネントを指す、またはかかるハードウェア・コンポーネントの一部である、またはかかるハードウェア・コンポーネントを含む。いくつかの実施形態では、回路は、記載される動作の少なくとも一部を提供するための一つまたは複数のソフトウェアまたはファームウェアを実行してもよい。いくつかの実施形態では、回路は一つまたは複数のソフトウェアまたはファームウェア・モジュールにおいて実装されてもよく、あるいは回路に関連する動作は一つまたは複数のソフトウェアまたはファームウェア・モジュールによって実装されてもよい。いくつかの実施形態では、回路は、記載される動作を実行するための、少なくとも部分的にはハードウェアで動作可能な、論理を含んでいてもよい。
大規模MIMO動作を時分割復信(TDD: time-division duplex)に制約することは、トレーニング要件を有意に軽減する。チャネル相互性、つまり下りリンクと上りリンクが同等であることが活用できるので、CSIは上りリンク・トレーニングに基づいて取得される。その恩恵は、トレーニング長がユーザー数に比例しうるということである。
たとえば30ないし60GHzの範囲のミリメートル波(mm波)周波数は、両方の末端において数百ものアンテナをもつ大規模アレイに関わる通信において使われうる。mm波周波数における大きな伝搬損失は主要な障害として識別されている。したがって、優先事項は、通信するデバイス間の非常に高いビームフォーミング利得である。このねらいは、整合する(matching)送信ビームフォーミングおよび受信ビームフォーミングを形成することによって達成されうる。トレーニング要件は厳しくなりうる。大規模MIMOシステムとは異なり、通信の両方の末端におけるアンテナ数は今では均衡されてもよく、すべてのチャネル係数を推定することは、大規模なアンテナ数に比例するトレーニング・シーケンス長を必要とすることがある。
実施形態は、障害(ノイズまたは干渉)のある環境において、単一ユーザーおよびマルチユーザーのコンテキストにおいて、通信プロトコルがピンポン・ビームフォーミング(PPB)をサポートすることが提案される具体的な通信枠組みに適合される。各反復工程においてビームフォーミング重みならびに適応変調および符号化を推定する種々のトレーニング・プロトコルが記述される。少数のアンテナをもつMIMO通信については、PPBの適用は、直接チャネル推定に続いて特異値分解を行なうよりも、チャネル固有ベクトルを見出すための合理的な、複雑さの低い代替のように見える。しかしながら、PPBは、mm波周波数において期待されるような両方の末端において大規模アレイに関わる通信に適用されるときにその真価を発揮する。第一に、トレーニング需要が劇的に低減できる。両方のデバイスがM個のアンテナをもつ場合、直接チャネル推定のための最小トレーニング長はMに等しいことがありうる。これは、各送信アンテナからのチャネルを分離するために必要とされる長さでありえ、一般には、加法性ノイズを抑制するためにM×Lに増大させられることがある。さらに、mm波通信において最大固有ベクトルを追跡できることは、明らかに、これまでそれほどの単純さでは達成されていない、非常に貴重な強みである。
PPBの各反復工程において、現在の送信重みとチャネルの連結が受信器において推定されてもよい。トレーニング期間は、順送信および逆送信に交互に割かれる(必ずしも後続でない)スロットに分割されてもよい。トレーニングは、単一ユーザーの場合におけるノイズまたは干渉抑制ならびにマルチユーザーの場合におけるユーザー分離に完全に割かれてもよい。たった二〜三十回の反復工程が収束のために十分であることがありうる。よって、直接チャネル推定に比べて、トレーニング要件はずっと緩和される。PPBは適正なトレーニング・プロトコルのコストを伴うことがある。これについて本稿で論じる。さらに、PPBは、mm波周波数において特に枢要な複雑さの低い実装になじみやすいことがありうる。ビームフォーミングはアナログ領域において実行されることができ、それによりRFチェーンの、特に電力増幅器およびアナログ‐デジタル変換器の数を減らすことができる。
本稿の第一部は、単一ユーザー・セットアップを記述する。これは、トレーニング・フェーズの間に推定された重みベクトルがデータ伝送のために使われる場合の、トレーニング手順およびデータ・モードにおけるパフォーマンスを詳述する。これは、受信器における加法性ノイズまたは干渉の存在においてPPBの挙動を解析する。mm波周波数では、リーチ延長(reach extension)のためにビームフォーミングが実行されるので、非常に低いSNRが目標とされうる。よって、トレーニング・シーケンスが非常に長いのでない限り、各反復工程におけるビームフォーミング重みの推定はノイズが多くなる可能性が高い。送信ビームフォーミング・ベクトルにおいてノイズが存在するので、ピンポン・プロセスを通じたノイズ増幅のリスクがある。PPBの非常に顕著な属性は、ノイズが逐次反復プロセスにおいて吸収されうるということである。PPBがランダム・ベクトルを最大固有ベクトルに変換するのと同じように、PPBはノイズ・ベクトルも最大固有ベクトルに変換できる。十分な数の反復工程後に、間欠的なノイズは消失する。一定して存在するノイズは、ビームフォーミング利得における損失を含意するが、重要な点は、それでもPPBが収束するということである。
次いで、本稿はPPBをマルチユーザー・セットアップに拡張する。単一ユーザーの場合、最大固有ベクトルがまず推定され、それに最大固有モードに基づくデータ送受信が続く。マルチユーザー場面では、原理的には、そのような最大固有モードに基づくトランシーバーはユーザー間干渉を残し、より進んだトランシーバーがユーザー間干渉を抑制できる。所望されるトランシーバーは、通信の両方の末端における大規模アレイでの最大固有ベクトルから構築されることができる。したがって、トレーニング手順は、直交トレーニング・シーケンスを使って各ユーザーについて固有ベクトルを追跡することに割かれてもよい。このように、実施形態は、収束、大きなノイズ・レベルに対する堅牢性および非常に低い計算上の複雑さというPPBトレーニングの好都合な属性から裨益し続けうる。
一般に、記載される実施形態は、チャネル推定がデータ・モードのためのトランシーバーを構築する基礎を与える通常のチャネル推定からシフトする。その代わりに、重みベクトルが推定されうる。伝送されるストリームと同数の重みベクトルが推定されうるので、大規模アレイが関わるときに多数のチャネル係数を推定する必要性がバイパスされる。重みベクトルは単一ユーザー・セットアップではデータ・モードにおいて直接使用され、マルチユーザー・セットアップでは一般にユーザー分離を保証するための単純な変換の主題である。
以下の記法を使う。上付きの添え字(・)(k)は反復工程番号kにおける量を表わし、一方下付添え字(・)A (・)BはデバイスAおよびBを指す。(・)*、(・)T、(・)Hは行列の共役、転置およびエルミート転置を表わす。||・||はベクトルのノルムである。 ̄付きのv〔便宜上 ̄vと書くこともある〕は規格化されたベクトルを表わす。
図1は、いくつかの実施形態に基づく、デバイスAおよびBのトランシーバー回路を示している。具体的には、図1は、デバイスAについての送信器構造を示しており、これはそれぞれのビームフォーマー108(1)および108(2)と結合された複数のアンテナ要素104(1)および104(2)を含む。これらのビームフォーマー108は、本稿で述べるような、それぞれのビームフォーミング重みベクトル ̄wAを与えられていてもよい。
図1は、デバイスBについての受信器構造をも示しており、これはそれぞれの組み合わせ器116(1)および116(2)ならびにビームフォーマー120(1)および120(2)と結合された複数のアンテナ要素112(1)および112(2)を含む。これらの組み合わせ器116は受信器におけるノイズ信号nBの加算を表わしていてもよく、ビームフォーマー120は、本稿で述べるような、それぞれのビームフォーミング重みベクトル ̄wBを与えられていてもよい。
図1には示していないが、デバイスAはデバイスBについて示したものと同様の受信器構造をも含んでいてもよく、デバイスBはデバイスAについて示したものと同様の送信器構造をも含んでいてもよい。
本システム・モデルは単一ユーザー・セットアップについて記述される。マルチユーザー・セットアップのためのシステム・モデルは後述する。
図1に示されるように、デバイスAは、N個のアンテナ要素のアレイを備えるデバイスBと通信するM個のアンテナ要素のアレイを備えている。本システムはTDDモードで動作し、よってチャネル相互性が成り立つ。AからBへの狭帯域チャネル行列としてHと表わすと、相互性のため、BからAへのチャネル行列はHTに等しいことが含意される。これらのデバイスはゆっくりと動いており、特に断わりのない限り、チャネル・コヒーレンス時間はアルゴリズムの収束時間より大きいと想定されうる。
単独データ・ストリームが、それぞれ長さMおよび長さNの規格化されたビームフォーミング重みベクトル ̄wAおよび ̄wBを使ってAとBの間で交換されうる。総送信電力PTはAおよびB両方において1に設定される。受信器において、分散σn 2をもつ、アンテナを横断して相関していない、独立同分布の(i.i.d.)ガウシアン・ノイズが加えられることがある。AまたはBが受信器として作用するときのノイズ・ベクトルはnAおよびnBと表わされてもよい。SNRは
として定義される。ここで、チャネルが諸アンテナにわたって静的であると想定すると、E|h|
2は個々の各リンクの平均エネルギーを表わす。本稿は典型的には低SNR範囲をターゲットとし、複数アンテナの役割は通信のために利用可能な実効SNRを高めることである。
チャネル行列Hの特異値分解(SVD: Singular Value Decomposition)
UiおよびViはそれぞれ行列UおよびVの列である。特異固有値λiはλ1≧λ2≧…≧λmin(M,N)と順序付けられる。Λはi番目の対角要素がλiに等しい対角行列である。呈示の明確のため、代替的に、最大固有値および関連付けられた固有ベクトルをλmax、UmaxおよびVmaxと表わす。
この節では、PPBの背後にある洞察を理解するために、ピンポン・ビームフォーミングのノイズのない場合を説明する。ノイズのない場合における交互最大化問題(alternating maximization problem)が、図2において反復工程のより正式な記述を与える前に呈示される。ノイズのない場合、単一のトレーニング・シンボルs=1が各伝送期間において送られてもよい。
いくつかの実施形態では、PPMは以下の仕方で交互最適化(alternating optimization)として使用されうる。
デバイスAにおける任意の規格化された重みベクトル
で始める。トレーニング・モードでは、Bにおける受信された信号は
であってもよい。この量は、重みベクトル ̄w
A (0)と伝搬チャネルを含む合成チャネルとして見ることができる。この合成チャネルに整合された最適な規格化された受信器は、
のノルムである。次いで、これはデバイスBからデバイスAへの送信のための重みベクトルとして適用されてもよい。
デバイスAでは、受信信号は
について最適な受信器でないことがありうるということである。
本稿での用法では、「最適」とは、特定の状況について所望されるパラメータを指しうる。そのパラメータがあらゆる状況について最適であることは要求されない。
先述したプロセスは、次の最適化の枠組みにおいて定式化し直すことができる。ここで、目標は
解は、HHHの最大固有ベクトルであり、チャネル行列が既知であれば直接計算されることができる。
提案されるアルゴリズムは、交互最適化を使って(2)を解くことに当たるピンポン伝送に進むことによって、チャネルの明示的な知識なしに最大固有ベクトルを見出す。初期化wA (0)から始めて、最適化
を解いて、解w
A (1)を与える。次いで、新たな最適化問題が
として形成されうる。このプロセスの反復はアルゴリズムの逐次反復に対応する。コスト関数は各反復工程において増大されてもよく、上に有界であってもよい。よって停留点に収束しうる。停留点はH
HHの固有ベクトルであってもよい。
初期重みベクトル ̄wA(0)が最大固有ベクトルVmaxと直交でない限り、反復工程はVmaxに沿って0でない成分を保持することが示せる。よって、アルゴリズムはグローバルな最適、たとえば最大固有ベクトルに収束する。上記の議論はデバイスAにおける逐次反復に焦点を当てている。同種の逐次反復はデバイスBにおいて行なわれてもよい。
PPB逐次反復は次のように説明されうる。ピンポン・ビームフォーミングの種々の反復工程におけるデバイスAおよびデバイスBにおける送信重みベクトルの表式は図2に記載されている。NA/Bは規格化因子である。
二つのパラレルな逐次反復セットがある。合成チャネルHHHに基づくデバイスAについての一つのセットと、合成チャネルH*HTに基づくデバイスBについての一つのセットである。各セットは別個の冪乗逐次反復(power iteration)アルゴリズムに対応し、一方はHHHの最大固有ベクトルを計算し、他方はH*HTの最大固有ベクトルを計算する。
アルゴリズムの収束性をよりよく把握するために、冪乗法アルゴリズムの収束の証明を下記で手短かに述べておく。ここでもまた、デバイスAにおける逐次反復に焦点を当てると、反復工程kでは、規格化されていない重みベクトルは
HHH=VΛVHなので、 ̄wA (0)を固有ベクトルViによって形成される直交基底に
λ
max kで割ると、λ
iが最大固有値λ
maxより厳密に小さいとすると、i>1について(λ/λ
max)
kが0に近づくので、
となる。収束の速さは、二番目に大きい特異値と最も大きい特異値との間の比によって決定されうる。たとえ最大固有値が1より大きな多重度をもっていたとしても、アルゴリズムはそれでも最も大きなビームフォーミング利得につながりうる。収束のための唯一の条件はα
1≠0でありうる。つまり、初期化は最大固有ベクトルに直交であってはならないということである。
PPBの実装についてこれからさまざまな実施形態に関して述べてもよいだろう。
PPBの一つの主要な利点は、効果的な実装になじみやすいということでありうる。図4は、いくつかの実施形態に基づく受信器400を示している。受信器400は、それぞれ対応するアナログ・ビームフォーミング・コンポーネント408(1)、408(2)、408(3)と結合された複数のアンテナ404(1)、404(2)、404(3)を含んでいてもよい。三つのアンテナおよびアナログ・ビームフォーミング・コンポーネントが示されているが、他の実施形態は他の数の要素を含んでいてもよい。アナログ・ビームフォーミング・コンポーネント408はそれぞれ、それぞれ可変利得増幅器416(1)、416(2)、416(3)と結合された可変位相シフト器412(1)、412(2)、412(3)を含んでいてもよい。アナログ・ビームフォーミング・コンポーネント408は、トレーニングの間に取得されたアナログ重みによって制御されてもよく、それぞれの信号をRFチェーン424の組み合わせ器420にフィードしてもよい。RFチェーン424はさらに、互いと図のように結合されたアナログ・プロセッサ428、アナログ‐デジタル変換器(ADC)432およびデジタル・プロセッサ436を含んでいてもよい。
図4を含む図面はある数の要素を示すことがあるが、他の実施形態は図示した要素数に制約されない。
図のように、ビームフォーミングはアナログ領域で実行されてもよく、唯一のRFチェーン424が必要とされるだけであってもよい。
上記の諸節で述べたトレーニング手順は、いくつかの実施形態によれば、図3に描かれるタップ遅延アナログ・フィルタ300を使って実装されることができる。タップ遅延アナログ・フィルタ300は、信号y(n)を受領する複数の遅延要素308(1)、308(2)、308(3)を有する遅延線304を含んでいてもよい。遅延線304は、組み合わせ器316(1)と結合された増幅器312(1)および312(2);組み合わせ器316(2)と結合された増幅器312(3)および312(4)で何回かタップされてもよい。
PPBの原理は逆方向性(retrodirective)アレイと同様でありうる。たとえば、共役演算はバンアッタ(van Atta)アレイに基づいて得ることができる。逆方向性アレイは受動的であり、その構造はデータ送信を許容するために向上させる必要がある。
いくつかの実施形態は、時分割復信システムにおいて、第一のデバイス、たとえばデバイスAと第二のデバイス、たとえばデバイスBとの間のデータの単一のストリームの送信および受信のために使用されるビームフォーミング重みベクトルを推定するための「ピンポン・ビーム・トレーニング」方法を含む。デバイスAおよびBの両方は複数のアンテナ要素を含む。デバイスAからデバイスBへのチャネル行列は(HA)として表わされる。デバイスBからデバイスAへのチャネル行列は(HB)として表わされる。本方法は、いくつかの実施形態に基づく、下記のような逐次反復的な動作を含む。このおよび他の方法は順序付けられたリストにいて記述されることがあるが、いくつかの実施形態は実行される動作の一部または全部を異なる順序で含んでいてもよい。
a)初期ステップは、重みが、ランダムに選ばれた値によってまたは本方法の前のインスタンス化によって与えられた重みを使って初期化されることを含んでいてもよい。選択された値は、通信システムの送信電力制約条件が満たされるようなものであるべきである。
b)反復工程(k)において、デバイスAからデバイスBにトレーニング・シーケンスを送信するために重みベクトル
c)デバイスBは、ビームフォーミング・ベクトル( ̄wA (k))とチャネル(HA)との積
を、トレーニング・ベースの方法を使って、トレーニング・シーケンスのシンボルを含む受信信号から推定してもよい。(H
A  ̄w
A (k))の推定はw
B (k)*と表わされる。ここで、(・)
*は共役演算である。チャネルがトレーニング・シーケンスを含む受信信号にわたって時間変化するとき、チャネルが時間不変であると想定して同じ手順に従ってもよい。この記述は、トレーニング・シーケンスを含む受信信号にわたって時間不変なチャネル(H
A)について与えられる。チャネル(H
A)が時間変化するときに同じ手順が実行されてもよい。
d)デバイスBは(wB (k)*)の複素共役を取って(wB (k))を得てもよい。
e)デバイスBは(wB (k))を規格化してもよい。それにより、(wB (k))の規格化されたバージョンが送信ビームフォーミング重みとして用いられるとき、通信システムの送信電力制約条件が満たされる。結果として得られる重みは
f)デバイスBからデバイスAにトレーニング・シーケンスを送信するために重みベクトル
g)デバイスAは、ビームフォーミング・ベクトル( ̄wB (k))とチャネル(HB)との積
を、トレーニング・ベースの方法を使って、トレーニング・シーケンスを含む受信信号から推定してもよい。(H
B  ̄w
B (k))の推定はw
A (k)*と表わされる。ここで、(・)
*は共役演算である。本記述は、トレーニング・シーケンスを含む受信信号にわたって時間不変なチャネル(H
B)について与えられる。チャネル(H
B)が時間変化するときに同じ手順が実行されてもよい。
h)デバイスAは(wA (k)*)の複素共役を取って(wA (k))を得てもよい。
i)デバイスAは(wA (k))を規格化してもよい。それにより、(wA (k))の規格化されたバージョンが送信ビームフォーミング重みとして用いられるとき、通信システムの送信電力制約条件が満たされる。結果として得られる重みは
と表わされる。ここで、動作b)〜i)はある基準が満たされるまで繰り返される。反復工程(k)およびデバイスAにおいて、一つの可能な収束基準は、(w
A (k))のノルムがあらかじめ定義された閾値より小さいというものであってもよい。反復工程(k)およびデバイスBにおいて、一つの可能な収束基準は、(w
B (k))のノルムがあらかじめ定義された閾値より小さいというものであってもよい。
HA=HB T=Hである相互性のチャネルについては、上記の方法は、デバイスAにおいては、チャネル行列(H)のエルミート転置にチャネル行列(H)をかけたもの(HH H)の最大固有ベクトルの適切な値に収束しうる。本方法は、デバイスBにおいては、チャネル行列(H)の共役にチャネル行列(H)の転置をかけたもの(H*HT)の適切な値に収束しうる。いくつかの実施形態では、上記の動作(d)は「デバイスBは(wB (k)*)の複素共役を取って(wB (k)*)の各要素をその位相で置き換え、(wB (k))を得てもよい。」で置き換えてもよく、動作(h)は「デバイスAは(wA (k)*)の複素共役を取って(wA (k)*)の各要素をその位相で置き換え、(wA (k))を得てもよい。」で置き換えてもよい。
PPBトレーニングおよびPPBデータ・モードに関係した実施形態についてこれから述べてもよいであろう。
伝送プロトコルは、以下の記述と整合していてもよい。
PPBをサポートするトレーニングおよびデータ伝送を編成する仕方については多くの可能性がある。図5は、いくつかの実施形態に基づく二つの異なるプロトコルを示している。プロトコル1では、一つの時間スロットがトレーニング期間ならびにそれに続く上りリンクおよび下りリンクデータ伝送を含んでいてもよい。各時間スロットのはじめにおいて、トレーニング期間が、順方向送信および逆方向送信に交互に割かれるスロットに分割されていてもよい。そのようなトレーニング期間は、接続初期化において適切でありうる。しかしながら、各伝送スロットにおいて繰り返される場合、そのような手順は非効率的となることがありうる。UL伝送とDL伝送の間に保護時間区間が生じるからである。プロトコル2は、トレーニング・シーケンスを含めて一つの時間スロットを一つの所与の伝送方向の専用にすることによって、この問題を回避している。現在のトレーニング・スロットは、初期化として、直前の時間スロットの間に取得された重みを使う。このプロトコルは、ゆっくり変化するチャネルに適合されうる。実際上は、採用されるプロトコルは、ユーザーの移動性、データ・トラフィックなどに依存する、各時間スロット内のトレーニング・サブスロットの数またはデータ・スロットの長さを含む、両方のモデルの間の妥協であってもよい。
プロトコル2が適用されるある実施形態では、一つの時間スロットは両方の伝送方向に専用にされてもよい。
本稿の残りでは、プロトコル2がさまざまな実施形態において使われ、PPBが収束する際のデータ・モードにおけるパフォーマンスを示す。しかしながら、実施形態はプロトコル2の使用に限定されない。
トレーニング方法がデータ通信に関連しているプロトコル、たとえばプロトコル2を使うある実施形態は次のように記述されうる。プロトコルは、複数の時間スロットを含んでいてもよく、各時間スロットは逐次、トレーニング期間およびデータ・モードを含む。トレーニング期間は、記載されたように、あるいは前の時間スロットの間に得られた重みベクトルを使って、初期化されてもよい。トレーニング期間がデバイスAからデバイスBへの送信によって始まる場合、初期化は、最後に更新された重みベクトル( ̄wA (k))によって与えられてもよい。ここで、(k)は直前の時間スロットの間の記述されたトレーニング方法の最後の反復工程番号である。トレーニング期間がデバイスBからデバイスAへの送信によって始まる場合、初期化は、最後に更新された重みベクトル( ̄wB (k))によって与えられてもよい。
トレーニング期間の間にトレーニング手順が実行されてもよく、続いてトレーニング期間の間の最後の伝送と同じ方向にデータ伝送が実行されてもよい。
PPBトレーニングは次のように実行されてもよい。
デバイスBにおいて逆方向に同様の仕方でトレーニングが実行されてもよい。反復工程インデックスkは落とされてもよく、デバイスAおよびBにおいて適用される重みはそれぞれ一般的に ̄wAおよび ̄wBと表わされてもよい。
ある実施形態では、ノイズを抑制するために、デバイスBは長さLのトレーニング・シーケンスs(n)、s=[s(1) s(2) … s(L)]Tを送ってsHs=Lを検証する。時刻nにおける送信されたベクトル信号は
である。L個のトレーニング・シンボルの伝送に対応して、デバイスAはM×L行列
にグループ化されたL個のベクトル信号を受信する。ここで、N
A tsはL個の加法的ノイズ・ベクトルをグループ化する。
規格化されていない重みベクトルwAは、
wAの各要素についての誤差の分散はσn 2/Lである。トレーニング・シーケンスの長さに依存して、特に非常に低いSNR範囲が目標とされる場合、残留ノイズがアルゴリズムの収束に影響をもつことがありうる。
いくつかの実施形態では、下記の等価な簡略化されたモデルが使われてもよい。1に等しい単一のトレーニング・シンボルが送られることが想定されてもよい。
いくつかの実施形態では、上記の動作(c)におけるデバイスBにおけるビームフォーミング・ベクトル( ̄w
A (k))とチャネル(H
A)の積または上記の動作(g)におけるデバイスAにおけるビームフォーミング・ベクトル( ̄w
B (k))とチャネル(H
B)の積を推定するためのトレーニング手順は、図3のアナログ線形フィルタ300を使って実装される。ここで、アナログ・フィルタの係数はトレーニング・シーケンス中のシンボルの値に基づく。フィルタは
と記述される。ここで、z
-dは、d個の時間サンプルによる遅延演算を表わす。トレーニング・シーケンスはシンボルのシーケンス(s(1),s(2),…,s(L−1),s(L))である。ここで、Lは、送信デバイスから送られるトレーニング・シーケンス長である。フィルタの入力は、トレーニング・シーケンスのシンボルを含むL個の受信された信号である。反復工程kにおいて、受信デバイスにおいて、トレーニング・シーケンスからのシンボルを含むL個の受信されたベクトル信号は{y(i), i=1,2,…,L−1,L}である。反復工程kにおいて、送信ビームフォーミング・ベクトルおよび送信器から受信器へのチャネルの推定が、フィルタのL番目の出力である。
PPBデータ・モードおよびパフォーマンス・メトリックについてこれから記述してもよいであろう。
PPBデータ・モードでは、デバイスBは、トレーニング・シーケンスの間に推定された重みベクトル ̄wBを使ってデータ・シンボルxを送ってもよい。E|x|2=1と想定してもよい。デバイスAにおける受信される信号は
である。式(8)のようにトレーニング・シーケンスの間に推定される規格化された整合されたフィルタ
のようにして送信されたシンボルを復元するために適用されてもよい。
ノイズ項 ̄wA T nA dの分散が一定でσn 2に等しいままなので、メトリックは信号部分の分散
チャネルの相互性を使って、変調およびレベル符号化がデバイスBにおいて次のように予測されることができる。受信器AにおけるSNRは
として使って予測されうる。ノイズ分散は完璧に推定されると想定されてもよい。一般に、このSNR予測は実際のSNRを過小評価することがありうる。
次に、メトリックは、Mが漸近的に大きくてビームフォーミング重み推定におけるノイズの効果を孤立させるときに調べられてもよい。
単純な例解として、デバイスAが多数のアンテナを有し、デバイスBが一つの単一のアンテナを有する場合を考える。よって、 ̄wB=1であり、Hは行ベクトルである。大数の法則によれば、H*HH/MはE|h|2に近づく(E|h|2は個々の各チャネルの平均エネルギーを表わす)。こうして、次式が得られる。
チャネル・ベクトルHがわかっているとき、単一アンテナ受信によるビームフォーミング利得はMである。我々の場合、ビームフォーミング利得は劣化することがあり、M/(1+σ
n 2/E|h|
2)に等しいことがある。リンク当たりの平均SNR E|h|
2/σ
ts 2が0dBであるとき、ノイズ転送(noise forwarding)に起因する劣化は3dBである。高SNRでは、ビームフォーミング利得は最大利得に近づく。この劣化は、各送信スロットの間に十分に長いトレーニング・シーケンスが送られる場合には、σ
n tsが0に近づくので、抑制されることができる。
加法的ノイズまたは干渉信号が受信器において存在するとき、それが重みベクトルに埋め込まれることがありうる。各反復工程において新たなノイズが加えられると、リスクは、決定すべきビームフォーミング重みを圧倒するノイズ増幅である。ノイズの効果は、逐次反復プロセスによってそれが実際にどのくらい吸収されるかを示すために解析されてもよい。
各反復工程においてノイズが加えられると、逐次反復プロセスはきわめて込み入ったものになる。プロセスの根底にある構造を同定し、ノイズ寄与を孤立させることが助けになる。この観点で、逐次反復プロセスはいくつかの実施形態に従って図6のように分解される。
各行はデバイスAにおけるビームフォーミング重みの構造を記述している。簡単にするため、重みは規格化されない。反復工程kにおいて、全重み因子 ̄wA (k)はノイズのない項wA (k)とノイズ項として分解される。
・wA (k):ノイズなしに起こるので、規格化されていないプロセス。
・j番目のノイズ・プロセスは反復工程jにおいて始まり、
上記の記述は、ノイズ・プロセスがノイズのないプロセスwAと同じ種類の逐次反復プロセスに従うことをはっきりと示している。各ノイズ・プロセスは、それ自身として、HHHの最大固有ベクトルに収束する。反復工程kにおいて、j番目のプロセス
はk−j回の反復工程を実行している。その収束状態は基本プロセスw
Aほど進んでいない。たとえば、k番目の反復工程において、k番目のノイズ・プロセスはちょうど開始されるところである。反復工程kにおいて収束し終わっているノイズ・プロセスはビームフォーミング・ベクトルの推定誤差に寄与しない。反復工程kにおいて収束し終わっていないノイズ・プロセスは該推定誤差に寄与する。反復工程kにおいて開始されるノイズ・プロセスが最も寄与するものでありうる。ノイズ・プロセスの観察は、低いSNRでのトレーニング手順を示唆する。ここで、トレーニング長は反復工程が増すほど増す。よって、収束点近くでは、ノイズの、より強い平均が得られる。
基本プロセスwAの収束後の解の一般的な表式は次のようなものでありうる。
ここで、0<β<1であり、VはU
maxに直交する0平均のノイズ項を含む。二つの攪乱因子がある:バイアスおよびノイズである。
シミュレーションを通じて、全体的なプロセスが平均的に収束することが観察される。ここで、平均はノイズに対して取られる。
いくつかの実施形態では、ピンポン・ビーム・トレーニングはマルチユーザーMIMOセットアップにおいて確立されてもよい。ここで、デバイスAが基地局であり、前記少なくとも一つの第二のデバイス、たとえばデバイスBが少なくとも一のユーザーである。
一つの基地局が同時に複数のユーザーにサービスするマルチユーザーMIMOセットアップが考えられる。データの一つの単一のストリームが所与のユーザーに送られるまたは所与のユーザーのところで受信される。焦点は引き続き、基地局およびユーザー・デバイスの両方が、mm波通信を目標として、非常に多数のアンテナを備えるシナリオである。
大きなMIMOチャネルの最大固有ベクトルを追跡できることが望まれ、これはPPBのマルチユーザー・セットアップへの拡張において保存される特徴である。単一ユーザーの場合と同様に、トレーニング・モードおよびデータ・モードが次のように区別されうる。
トレーニング・モードでは、各ユーザー・チャネルの最大固有値の並列追跡が実行されてもよい。これは、ユーザー当たり一つの直交トレーニング・シーケンスによって可能にされてもよい。
データ・モードでは、基地局およびユーザー・デバイスにおける送信および受信ビームフォーミングは、デバイスにおけるユーザー間干渉を考慮に入れるために、最大固有ベクトルの推定に基づいて設定される。
採用される時間スロットは図5に示されるプロトコル2に対応する。
上記の議論は、いくつかの実施形態において記述されるマルチユーザーの場合に拡張されうる。デバイスAは基地局を指してもよく、Bpは種々のユーザーを指してもよい。ここで、pはユーザー・インデックスである。ユーザーの数Pは基地局におけるアンテナの数よりずっと少ないことを想定する。Hpは基地局からユーザーpへのチャネルである。逆方向チャネルはHp Tである。チャネルの係数はi.i.d.であると想定されてもよい。ρ=PTE|h|2/σn 2は各ユーザーについて同じであると想定されてもよい。ここで、PTは全送信電力、E|h|2はそれぞれの単一チャネルの分散、σn 2はそれぞれの受信アンテナにおけるノイズの分散である。Mは基地局におけるアンテナの数であり、簡単にするため、すべてのユーザーはNと記される同数のアンテナを有していてもよい。
トレーニング・フェーズの間に推定された重みおよびデータ・モードにおいて適用される重みは異なっていてもよい。これらの重みの間の区別は次のように記されてもよい。
トレーニング・モードでは、
は基地局において推定されたユーザーpに対応するビームフォーミング・ベクトルであり、
はユーザーpにおいて推定されたユーザーpに対応するビームフォーミング・ベクトルであり、
データ・モードでは、
は信号をユーザーpに送信するまたはユーザーpから受信するために基地局において適用されるビームフォーミング・ベクトルであり、
は信号をAPに送信するまたはAPから受信するためにユーザーpにおいて適用されるビームフォーミング・ベクトルである。
反復工程インデックスkは所与の反復工程を指すときは落とされてもよい。
基地局における送信電力は1に制限されてもよく、均等な電力割り当て、よって
が想定されてもよい。ユーザーにおいては、送信電力は1/P、つまり
に制限されてもよい。これにより、下りリンクおよび上りリンクにおける全送信電力は同じである。これは、ULとDLの間のパフォーマンスにおける双対性を提供しうる。同じ規格化は
トレーニング・モードでは、固有ベクトルの追跡は次のように実行されてもよい。
ビームフォーミング・ベクトル
を推定するために、ユーザー当たり一つの直交シーケンスが用いられてもよい。これは
下りリンク(DL)では、時刻nにおける送信されたベクトル信号は
である。ユーザーpのところでは、L個のベクトル受信信号はN×L行列
にグループ化されてもよい。これにs
* pを乗算してユーザーpからの寄与を孤立させ、ノイズを抑制する。規格化されていないビームフォーミング・ベクトル
上りリンク(UL)では、時刻nにおいてユーザーpは
を送信し、よって基地局における受信される信号の行列は
である。DLと同様に、トレーニング・シーケンス直交性のおかげでユーザー寄与が分離されうる。その結果、w
Apについて次の表式が得られる。
ノイズのない場合、十分な数のピンポン伝送後、PBBは基地局におけるV
max p、ユーザーpにおけるU
max p*に収束する。
本開示の第二の側面は、時分割復信システムにおいて、一つの第一のデバイス、たとえばデバイスAといくつかのデバイス、たとえばデバイスBpとの間のデータのいくつかのストリームの送信および受信のために使用されるビームフォーミング重みベクトルを推定するための方法を含む。データの一つのストリームはデバイスAと一つの所与のデバイスBpとの間で伝送されてもよい。すべてのデバイス(AおよびBp)は複数のアンテナ要素を有していてもよい。デバイスAからデバイスBpへのチャネル行列はHApとして表わされる。デバイスBpからデバイスAへのチャネル行列はHBpとして表わされる。本方法は、いくつかの実施形態に基づく、下記のような逐次反復的な動作を含む。
a)デバイスAと所与のデバイスBpとの間の通信において使用されるビームフォーミング重みベクトルを推定するために一つのトレーニング・シーケンス(sp)が割り当てられてもよい。一つの可能な設計では、すべてのトレーニング・シーケンス({sp, p=1,…,P})が互いに直交であってもよく、ここでPはユーザー数である。
b)重みベクトルが、ランダムに選ばれた値によって、または本方法の前のインスタンス化によって与えられた重みを使って、初期化されてもよい。選択された値は、通信システムの送信電力制約条件が満たされるようなものであるべきである。
c)反復工程(k)において、デバイス(A)からデバイス(Bp)にトレーニング・シーケンス(sp)を送信するために重みベクトル
d)デバイスBpは、ビームフォーミング・ベクトル( ̄wAp (k))とチャネル(HAp)との積
を、トレーニング・ベースの推定方法を使って、トレーニング・シーケンスのシンボルを含む受信信号から推定してもよい。(H
Ap  ̄w
Ap (k))の推定はw
Bp (k)*と表わされる。ここで、(・)
*は共役演算である。この記述は、トレーニング・シーケンスを含む受信信号にわたって時間不変なチャネル(H
Ap)について与えられる。チャネル(H
Ap)が時間変化するときに同じ手順が実行されてもよい。
e)あるインスタンス化では、デバイスBpは、ビームフォーミング・ベクトル( ̄wAq (k))とチャネル(HAq)との積すべて
を、トレーニング・ベースの推定方法を使って、トレーニング・シーケンスのシンボルを含む受信信号から推定してもよい。
f)デバイスBpは(wBp (k)*)の複素共役を取って(wBp (k))を得てもよい。
g)デバイスBpは(wBp (k))を規格化してもよい。それにより、(wBp (k))の規格化されたバージョンが送信ビームフォーミング重みベクトルとして用いられるとき、通信システムの送信電力制約条件が満たされる。結果として得られる重みは
h)デバイスBpからデバイスAにトレーニング・シーケンスを送信するために重みベクトル
i)デバイスAは、ビームフォーミング・ベクトル( ̄wBp (k))とチャネル(HBp)との連結すべて、
すべてを、トレーニング推定ベースの方法を使って、トレーニング・シーケンスのシンボルを含む受信信号から推定してもよい。(H
Bp  ̄w
Bp (k))の推定はw
Ap (k)*と表わされる。ここで、(・)
*は共役演算である。本記述は、トレーニング・シーケンスを含む受信信号にわたって時間不変なチャネル(H
Bp)について与えられる。チャネル(H
Bp)が時間変化するときに同じ手順が実行されてもよい。
j)デバイスAはすべての({wAp (k)*, p=1,…,P})の複素共役を取って({wAp (k), p=1,…,P})を得てもよい。
k)デバイスAはすべての(wAp (k))、p=1,…,Pを規格化してもよい。それにより、すべての(wAp (k))、p=1,…,Pの規格化されたバージョンが送信ビームフォーミング重みベクトルとして用いられるとき、通信システムの送信電力制約条件が満たされる。結果として得られる重みベクトルは
ここで、動作a)〜i)はある収束基準が満たされるまで繰り返されてもよい。反復工程(k)およびデバイスAにおいて、一つの可能な収束基準は、すべての(wAp (k))のノルムがあらかじめ定義された閾値より小さいというものであってもよい。反復工程kおよびデバイスBにおいて、一つの可能な収束基準は、(wBp (k))のノルムがあらかじめ定義された閾値より小さいというものであってもよい。
HAp=HBp T=Hpである相互性のチャネルについては、上記の方法は、デバイスAにおいては、チャネル行列(Hp)のエルミート転置にチャネル行列(Hp)をかけたもの(Hp HHp)の最大固有ベクトルの適切な値に収束しうる。本方法は、デバイスBにおいては、チャネル行列(Hp)の共役にチャネル行列(Hp)の転置をかけたもの(Hp *Hp T)の適切な値に収束しうる。
ある実施形態では、上述したプロトコルが適用される。
第二の側面の諸実施形態では、すべてのユーザーに割り当てられたトレーニング・シーケンスが相互に直交する場合における、デバイスBにおけるビームフォーミング・ベクトル ̄wAp (k)とチャネルHApの積またはデバイスAにおけるビームフォーミング・ベクトル ̄wBp (k)とチャネルHBpの積を推定するためのトレーニング手順は、図3に描かれたアナログ線形フィルタを使って実装されてもよい。アナログ・フィルタの係数はトレーニング・シーケンスsp中のシンボルの値に基づいていてもよい。フィルタは
と記述されてもよい。ここで、z
-dは、d個の時間サンプルによる遅延演算を表わす。トレーニング・シーケンスはシンボルのシーケンス(s
p(1),s
p(2),…,s
p(L−1),s
p(L))である。ここで、Lは、デバイスAとデバイスB
pの間の通信に割り当てられるトレーニング・シーケンス長である。フィルタの入力は、トレーニング・シーケンスのシンボルを含むL個の受信された信号である。反復工程kにおいて、受信デバイスにおいて、トレーニング・シーケンスからのシンボルを含むL個の受信されたベクトル信号は{y(i), i=1,2,…,L−1,L}である。反復工程kにおいて、送信ビームフォーミング・ベクトルおよび送信器から受信器へのチャネルの推定が、フィルタのL番目の出力である。
第二の側面の諸実施形態において、トレーニング・フェーズの間に推定された重みが、以下のオプションのいずれかとしてデータ・フェーズにおいて用いられてもよい。ここで、 ̄wAおよび ̄wBはトレーニング・フェーズの間に得られた重みを表わす。
第一のオプションにおいて、デバイスAが送信器であり、デバイスBpが受信器であるときは、
〔 ̄w
Ap〕がデバイスB
pにデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルであり、すべての送信アンテナからの送信信号をベクトルとして書いたものは
となる。ここで、x
pはデバイスAからデバイスB
pに送られたシンボルであり、 ̄w
Apx
pはベクトル ̄w
Apとx
pの積である。ビームフォーミング・ベクトル
が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pに意図されているデータを復元する。すなわち、Y=[y(1)…y(N
p)]
Tとして、デバイスB
pのN
p個のアンテナにおけるN
p個の受信された信号からの信号を含むベクトルを表わすと、シンボルx
pのデコードは
第一のオプションにおいて、デバイスBpが送信器であり、デバイスAが受信器であるときは、
〔 ̄w
Bp〕がデバイスB
pからデバイスAにデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルであり、すべての送信アンテナからの送信信号をベクトルとして書いたものは
となる。ここで、x
pはデバイスB
pからデバイスAに送られるシンボルであり、 ̄w
Bpx
pはベクトル ̄w
Bpとx
pの積である。ビームフォーミング・ベクトル
が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pから送られたデータを復元する。すなわち、Y=[y(1)…y(M)]
Tとして、デバイスAのM個のアンテナにおけるM個の受信された信号からの信号を含むベクトルを表わすと、シンボルx
pのデコードは
第二のオプションにおいて、デバイスAが送信器であり、デバイスBpが受信器であるときは、第一のオプションにおいて述べたように、
〔 ̄w
Ap〕がデバイスB
pにデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルである。請求項0に記載されるように、ビームフォーミング・ベクトル
が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pに意図されているデータを復元する。
から構築される零強制ビームフォーミング・ベクトルであり、
第二のオプションにおいて、デバイスBpが送信器であり、デバイスAが受信器であるときは、請求項0に記載されるように、
〔 ̄w
Bp〕がデバイスB
pからデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルである。請求項0に記載されるように、ビームフォーミング・ベクトル
が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pから送られたデータを復元する。
から構築される零強制ビームフォーミング・ベクトルであり、
第二のオプションにおいて記載された手順はデバイスBpにおけるすべての
第三のオプションにおいて、デバイスAが送信器であり、デバイスBpが受信器であるときは、請求項0に記載されるように、
〔 ̄v
Ap〕がデバイスB
pにデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルである。 ̄v
Apは集合
から構築される零強制ビームフォーミング・ベクトルであり、
を検証する。第一のオプションにおいて述べたように、ビームフォーミング・ベクトル
〔 ̄v
Bp〕が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pに意図されているデータを復元する。 ̄v
Bpは集合
から構築される零強制ビームフォーミング・ベクトルであり、
第三のオプションにおいて、デバイスBpが送信器であり、デバイスAが受信器であるときは、請求項0に記載されるように、
〔 ̄v
Bp〕がデバイスB
pからデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルである。 ̄v
Bpは請求項0に記載されるようにデバイスB
pからデータを送信するために使われるビームフォーミング・ベクトルである。請求項0に記載されるように、ビームフォーミング・ベクトル
〔 ̄v
Ap〕が受信信号ベクトルに適用されてデバイスB
pから送られたデータを復元する。 ̄v
Apは集合
から構築される零強制ビームフォーミング・ベクトルであり、
第三のオプションにおいて記載された手順は、追加的なトレーニング・シーケンスを使う、すべての
第四のオプションは、第二および第三のオプションと同様のトランシーバーを含んでいてもよい。ここで、零強制設計に従うビームフォーミング重みベクトルは代わりに最小平均平方誤差設計に従う。
いくつかの実施形態は、チャネルの知識をもつトランシーバー構造を含んでいてもよい。
データ・モードにおいて送信および受信ビームフォーマーのための設計を正当化するために、チャネル行列が既知であると想定して、三つのトランシーバー構造のパフォーマンスが評価されるべきである。前記第一のトランシーバー構造は、最大固有モード伝送に基づくものであってもよい。これは、整合フィルタリング(MF: matched filtering)と称されてもよい。前記第二のトランシーバー構造は、送信器における零強制(ZF: zero-forcing)フィルタリングに基づくものであってもよい。前記第三のトランシーバー構造は、受信器における零強制フィルタリングに基づくものであってもよい。チャネル行列が既知なので、Umax pおよびVmax pと表わされるHpの左および右の最大固有ベクトルも既知である。
トランシーバー構造のそれぞれは、種々の実施形態において実装できる。
まず、たとえば第一のトランシーバー構造による、DL方向での最大固有モード伝送を考える。送信フィルタVmax p/√Pがデータをユーザーpに搬送するために基地局において用いられてもよく、受信フィルタUmax p*がユーザーpにおいてデータを復元するために用いられてもよい。これらのフィルタは、単一ユーザー事例において最適なものであろう。本節で論じられる結果は、UL方向でも同様である。送信される信号は
であり、ここで、x
qはユーザーpに送られたシンボルである。E|x
q|
2=1であり、異なるユーザーへのシンボルは無相関であるとする。関心のある信号およびユーザー間干渉を孤立させると、ユーザーpにおける受信信号は
となる。U
max pHによる受信整合フィルタリング後、次式が得られる。
漸近的なアンテナ数MおよびNを考える。ここで、MおよびNは同じオーダーである。λ
max pはO(√M+√N)としてスケールする。中央極限定理を頼ると、V
max pHV
max qはO(1/√M)としてスケールし、よってλ
max pV
max pHV
max qはO(1)としてスケールする。
ある第一の観察は、ユーザー間干渉およびノイズ項は信号部分よりずっと小さいということである。Nが小さいとき、干渉項は、高SNRにおけるものを除いて、ノイズ項に対して無視できるようになる。パフォーマンスはノイズによって制限される。結果として得られるユーザーpについての後処理SNRは次のようになる。
このSNRはO(√M+√N)としてスケールする。高SNR ρでは、パフォーマンスは明らかにユーザー間干渉によって制限される。本研究において最も関心のあるSNR範囲である低SNR ρでは、ユーザー間干渉はノイズ分散と同じオーダーである。ユーザー間干渉の存在は数dBのSNRの劣化を引き起こしうる。したがって、次節で提示するように、ユーザー間干渉を抑制することができるよう、より洗練されたトランシーバー構造を実装することが望ましい。
次に、たとえば第二のトランシーバー構造による、DL方向での零強制フィルタリング伝送を考える。基地局ではZFフィルタリングが適用され、一方、受信側ユーザーでは整合フィルタリングが適用されるDLについての解を調べると、次のようになる。
ここで、V
max pは、列が集合{V
max q, q≠p}、たとえばV
max pを除いたすべての最大固有ベクトルの集合を張るM×(P−1)行列である。
は行列Xの列に直交する空間への正射影である。ユーザー間干渉は消去され、整合フィルタリング後のユーザーpにおける受信信号は次のようになる。
ユーザーpについての後処理SNRは次のようになる。
基地局におけるアンテナ数が漸近的に大きくなるとき、ユーザー毎に最大SNRが得られるという意味で、この構造が望まれることがありうる。この構造はZF1と称されうる。
ZF2と記される代替的なトランシーバー構造、たとえば第三のトランシーバー構造では、フィルタの役割が入れ替えられる:送信器において整合フィルタが適用され、ユーザーにおいてZFが適用される。
ここで、R
pはチャネル行列H
pの階数である。単純化するために、M=NおよびR
p=Mと想定する。
はO(1)としてスケールする。よって、式(27)における分子はO(1)のオーダーであり、一方、分子はO(M)のオーダーである。よって、後処理SNRは
に近づき、この構造も望まれることがありうる。Mのみが漸近的に大きくなり、Nは小さい場合は、式(27)の括弧内の分数はO(1)のオーダーになることを注意しておく。ZF2はもはや望まれないことがありうるが、ZF1は望ましいままである。
UL方向では、ユーザーpにおいてそのデータを送信するためにUmax q*が適用される。一方、APではZF受信器が適用される。所望される受信器はVmax qであってもよく、所望される後処理SNRにつながる。
データ・モードにおけるパフォーマンスは次のように評価されうる。
単一ユーザー事例の場合と同様に、データ・モードでのパフォーマンスは、図5の第二の時間スロット・モデルを想定して評価されうる。三つのトランシーバー構造MF、ZF1およびZF2は、wApおよびwBpの現在の値に基づいて試験されうる。ZF1については、PPBが収束していない間は、ユーザーにおける受信整合フィルタは最適ではなく、よってZF受信器が用いられる。DL方向では、ユーザーは送信零強制フィルタとチャネルの連結を受け取る。この量は推定される必要がある。よって、追加的なトレーニング・シーケンスが必要であることがある。これは、ZF1の主要な欠点である。ZF1およびZF2に比べたMFの利点は、トレーニング・フェーズの間に取得されたフィルタがデータ・モードにおいて直接使用できるということである。一方、ZF1およびZF2は零強制フィルタの計算を使う。表1において、上りリンクおよび下りリンクにおいて適用される重みベクトルをまとめてある。
後処理SNRの表式は、ユーザーpにおけるZF1およびZF2について、DLにおけるZFフィルタリング後に与えられる。DLでの受信は同じように扱える。トレーニング・フェーズの間、
はユーザーpのデータを復元するために使われるZF受信器である。ここで、
を張る列をもつN×(P−1)行列である。受信信号は
はすべての送信ビームフォーミング重みから作られるM×P行列である。後処理されたデータは
である。これから、後処理SNRは次のように表わせる。
単一ユーザー事例の場合と同様に、適応変調および符号化レベルが、相互性原理に基づいて、使われる所与の送信器において決定されうる。
決定方向モード(decision direction modes)についてこれからいくつかの実施形態に関して論じてもよいだろう。
ノイズをさらに平均してならすことによってトレーニングによって得られる重みベクトルの推定を改善することが望まれる。この手順の主たる価値はその極端な単純さである。
単一ユーザー事例について、受信器Aにおける動作を考える(Bが受信器であるときも同じ手順が実行される)。インデックスnはデータ・ブロック内での時間インデックスを示す。
データ・モードの間、時刻nにおける受信された信号は次のようになる。
Hは時間不変である。 ̄w
Bは、トレーニングおよびデバイスBにおいて実行された決定指向推定(decision directed estimation)後のデバイスBにおけるビームフォーミング重みの推定値である。x
B(n)はデバイスBからの送信されたシンボルであり、n
A d(n)は受信されたノイズである。
時刻n−1に取得される
の推定としてw
A(n−1)と表わす。受信器Aにおけるトレーニング期間後に(図5参照)、第一の推定値w
A tsが得られる。w
Aはw
A tsによって初期化される。
データ・デコードのために、整合フィルタが次のように実行される。
次いで、x
B(n)がデコードされ、y
A dがx
Bで除算される。
wAの新たな推定値が次のように形成される。
ここで、0≦α≦1はトレーニング長および反復工程番号nに依存する。チャネルが時間変化するときは、適応推定手順が実行されることができる。たとえば、αは忘却因子として選ばれることができる。
マルチユーザー事例を記述するために、提示の明確のため、2ユーザーの場合を考える。
第一のデバイスAを考える。データ・モードの間、時刻nにおける受信信号は次のようになる。
Hは時間不変である。 ̄w
Biは、トレーニングおよびデバイスB
iにおいて実行された決定指向推定(decision directed estimation)後のデバイスB
iにおけるビームフォーミング重みの推定値である。x
Bi(n)はデバイスB
iからの送信されたシンボルであり、n
A d(n)は受信されたノイズである。
時刻n−1に取得される
の推定としてw
Ai(n−1)と表わす。受信器Aにおけるトレーニング期間後に(図5参照)、第一の推定値w
Ai tsが得られる。w
Aiはw
Ai tsによって初期化される。
xB1(n)およびxB2(n)のデータ・デコード後、yA d(n)からwA2(n−1)xB2(n)が減算される。
次いで、w
Aiの新たな推定値が次のように形成される。
0≦α
A1≦1である。w
A2について同様の手順が実行されうる。
下りリンクにおいて、同じ手順が実行されてもよい。デバイスB1はH1wA2の推定に依拠してもよい。該推定は、利用可能なトレーニングおよびxA2(n)のデコードを使ってできる。アルゴリズムが収束すると、H1wA2xA2(n)は一般には小さくなり、よってxA2(n)のデコードは困難になることがある。そのような場合、上記で実行された減算は行なわれなくてもよく、wA1の更新は次のように行なわれる。
ここで、いくつかの実施形態に基づいて、時間拡散チャネル(time-spreading channels)について、PPBを記載してもよいだろう。
チャネル拡散(channel spread)を減らし、次いで行列チャネル(matricial channel)を等化することが、固有モードに基づく前処理および後処理のために望ましいことがある。
デバイスAからデバイスBへの、次の多項式として書かれる因果的チャネルを想定する。
ここで、H
iはN×M行列であり、Iはチャネルの長さである。
まず各Hiの最大固有ベクトルを追跡するためのトレーニング手順を、次いで等化を記述する。提示の簡単のため、I=2と想定する。
トレーニング手順は次のように記述されうる。
動作0.1は、デバイスAからデバイスBへの初期送信を含んでいてもよい。
デバイスAはI個のベクトルのシーケンス、すなわち0に等しい(送信なし)I−1個のベクトルが先行するベクトル
を送ってもよい。デバイスBにおける受信信号は次のように書ける。
L個のそのようなシーケンスが送られる。各シーケンスは、sと表わされる長さLのトレーニング・シーケンスからの一つのシンボルを埋め込み、受信信号の連結は次のようになる。
遅延0および遅延1における信号はs
Tを乗算されて、w
B0 (0)*およびw
B1 (0)*と記される
動作0.2は、デバイスBからデバイスAへの初期送信を含んでいてもよい。
各チャネル係数の固有ベクトルを個々に追跡するためにsiと表わされるI個の直交するトレーニング・シーケンスをもつことで、デバイスBはI個のベクトルのベクトル・シーケンス、すなわち0に等しい(送信なし)I−1個のベクトルが先行するベクトル
デバイスBは、それぞれ異なるトレーニング・シンボルを含むL個のそのようなシーケンスを送信してもよい。デバイスAにおける対応する受信信号は次のように書ける。
遅延0および遅延1における信号はs
0 Tおよびs
1 Tを乗算されて、w
A0 (1)*およびw
A1 (1)*と記される
動作k+1は、デバイスAからデバイスBへの送信を含んでいてもよい。
デバイスAがwA0 (k)およびwA1 (k)を推定したとする。デバイスAはI個のベクトルのベクトル・シーケンス、すなわち0に等しい(送信なし)I−1個のベクトルが先行するベクトル
を送ってもよい。デバイスAは、それぞれ異なるトレーニング・シンボルを含むL個のそのようなシーケンスを送信してもよい。デバイスBにおける対応する受信信号は次のように書ける。
遅延0および遅延1における信号はs
0 Tおよびs
1 Tを乗算されて、w
B0 (k)*およびw
B1 (k)*と記される
データ・モードにおける収束時に、ビームフォーミング・ベクトルはwAi、wBi、i=0,…,2と記されてもよく、送信器または受信器におけるHiの最大固有値の推定pfはλiと記されてもよい。
一つの前処理および後処理は次のようなものである。
シンボル間干渉は抑制され、結果として得られるチャネルは全体的なエネルギーを保存する。
単数ユーザー事例についての擬似盲目的PPBでは、トレーニングが最初の往復の間にのみ使用されるPPBの実装が望ましいことがありうる。
盲目的送信に起因する曖昧さ(ここでは位相の曖昧さ)を解くためにトレーニングでの一つの初期伝送が必要であることがある。データ・デコード・パフォーマンスを改善するためにさらなる伝送が必要とされることがありうる。
重みベクトルの推定は、先述した決定指向モード(decision directed mode)を使って改善されうる。
数値的な結果についてここでさまざまな実施形態に関して評価してもよいだろう。
リッチな散乱環境を想定すると、各チャネル係数は、中心化した単位分散のガウシアン・ランダム変数(円対称複素)としてモデル化されてもよく、諸アンテナを横断して無相関であってもよい。リンク毎の平均SNRは、送信電力PTが1に設定されていることを想起すると、ρ=PTE|h|2/σn 2として定義される。−5dB、0dB、5dB、10dBの低ないし中程度の範囲のSNR ρおよび特に断わりのない限りは両末端におけるM=N=200の大規模アレイを考える。示されるメトリックは、チャネルおよびノイズ両方のモンテカルロ実行にわたる平均の結果である。トレーニング・シーケンスの長さは4に等しく設定される。
単一ユーザー・パフォーマンスについてまず考えてもよいだろう。
図7では、示されているメトリックは、いくつかの実施形態に基づく、反復工程番号に対するビームフォーミング利得である。図7は、次の場合:(a)λmax 2(「最適」とラベル付けされる)に等しく、送信器および受信器の両方においてチャネルが既知であるときに達成される最大ビームフォーミング利得;(b)ノイズのない場合;および(c)ノイズの多い場合について、
におけるパフォーマンスをプロットしている(反復工程整数値に対して)。
たとえノイズの多い場合であっても、平均の意味で過程は収束する。収束は、数十回の反復工程後に到達される。選択された上記パラメータについては、十回の反復工程が合理的なパフォーマンスのために十分でありうる。最大ビームフォーミング利得λmax 2が4Mに近づくことを注意しておく。それらのシミュレーションでは、チャネルは送信器および受信器両方においてガウシアンであり、無相関である。相関したチャネルについては、ビームフォーミング利得はより大きく(エネルギーが最大の諸特異値に集中するので)、収束速度がより速くなるものと期待される。
これらの例は、チャネルが時間変化するときのPPBの挙動を示している。チャネルはブロック・フェーディングである(block fading):ある時間スロット(一つのトレーニング期間およびデータ伝送を含む)の間は一定のままであり、関連技術において示されるクラークのモデル(Clarke's model)に従って時間スロットから時間スロットへと変化する。加法的ノイズはない(BF重みは各反復工程において完璧に推定される)。よって、チャネル時間変動の効果のみが取り入れられる。時刻nにおけるアンテナiからアンテナjへの各チャネル係数は次のように書かれる。
ここで、N
sは散乱体の数であり、20に等しい。f
dは最大ドップラー偏移であり、α
qおよびφ
qはq番目の散乱体からの波のそれぞれ到達角度および初期位相である。α
qおよびφ
qはいずれも区間[−π,π)においてi.i.d.であり、f
d=(v/c)f
cであり、vはUEの速度であり、cは光速であり、f
cは搬送波周波数である。f
cは60GHzに設定され、トレーニング間の時間はt
s=0.01msである。
図8では、いくつかの実施形態に基づき、1sの時間スパンにわたって一つの所与のチャネル実現について1m/sの速度について、ビームフォーミング利得が時間の関数としてプロットされている。PPBの追跡能力を評価するために、λmax 2の瞬時値もプロットしている。PPBからの非常に良好な追跡が観察される。
追跡の背後にある機構をさらに解析するために、図9は、いくつかの実施形態に基づき、速度が増すにつれての、多くのチャネル実現にわたって平均されたビームフォーミング利得を示している。過程は平均で収束するが、速度が増すにつれて損失も増す。さらに、速度が増すにつれて定常状態により速く到達する。時間不変なチャネルでは、PPBは、チャネルの現在状態についての情報を含む過去のサンプルのメモリの上に構築される。チャネルが時間変化するとき、利用可能な情報の量は減り、時間不変なチャネルの定常状態に到達するのに十分ではない。
マルチユーザー・パフォーマンスについてこれから評価する。
本節全体において、ユーザー数をP=2に制約する。図10では、いくつかの実施形態に基づき、0dBのSNR ρについて、先の諸部分において記載されたように、マルチユーザーMF解がZF2と比較される。重み推定は完璧であることが想定される。よって、MFとZF2との間のパフォーマンスの相違のみが測定される。後処理SNRが示されている。ここで、MFにおける残留ユーザー間干渉はノイズとして扱われる。先に予測したように、ZF2に比べたMFの劣化が観察される。次は、ZF1およびZF2のみに焦点を当てる。
ZF1およびZF2はSNR ρの種々の値について比較され、ビームフォーミング重みについての推定誤差の異なるレベルを与える。ノイズ・レベルとは独立なパフォーマンス・メトリックをもつために、積SNRp ZF1/2 σn 2が示される。図11では、いくつかの実施形態に基づき、MおよびNの両方が大きいときのパフォーマンスが示されている。推定誤差なしのまたはρ=10dBにおけるZF1およびZF2を比較すると、ユーザーにおけるパフォーマンスはZF2についてのほうがわずかに悪い。しかしながら、より小さなSNRについては、パフォーマンスの強い劣化がZF1についてはユーザー側で見られる。一方、ZF2はノイズの存在に対してより堅牢なように見える。その理由は、基地局における前処理がZF1についてはZFフィルタに関わり、これはZF2において実行されるMFよりも推定誤差に敏感だからである。
図11では、いくつかの実施形態に基づき、Mは大きいがNは小さいときのパフォーマンスが示されている。予測されたように、高SNRでは、ZF1のパフォーマンスはユーザー側においてZF2より良好である。しかしながら、より低いSNRでは、ZF2はノイズに対してより堅牢なままである。
最後に、両方の末端におけるアンテナが少数の場合についてのパフォーマンスが、いくつかの実施形態に基づき、図13に示されている。最適ではないが、トランシーバーは受け入れ可能な利得を示し、実際上使用できる。ULとDLの完璧トレーニング・パフォーマンスの間で、ZF2については大きなギャップが観察される。
結論として、ZF1はMおよびNの両方が大きい主たる場合については最良のトランシーバーであると思われる。これは推定誤差に対して最も堅牢なトランシーバーでもある。Mは大きいがNは小さいときは、推定誤差レベルが低いときはZF2のほうが良好な性能を発揮する。
両方の末端において大規模アンテナ・アレイに関わる通信では、すべてのチャネル係数の推定は、特にユーザー毎の単一のデータ・ストリームが送られるとき、非常に非効率的な手順である。よりすぐれたオプションは、本稿に記載されるように、データを搬送する重みベクトルを推定することである。本稿は、チャネル相互性を仮定して、ピンポン・ビームフォーミングの原理を、単一ユーザーおよびマルチユーザー・セットアップにおいてMIMOチャネルの最大固有ベクトルを推定するための効率的な方法として示している。PPBは、デバイスが非常に多数のアンテナを備えるときに、mm波周波数における多大な恩恵を明らかにする。トレーニング要求は、直接チャネル推定に比べて有意に低減され、その適応的な性質のため、PPBは無線チャネルの変動に追随するのに好適である。さらに、PPBは、アナログ・フロントエンドの数を最小にすることによってコストおよび電力消費を軽減できる。通信の両方の末端が非常に多数のアンテナに関わるとき、PPBはマルチユーザー・セッティングに適用されて、所望されるトランシーバーがチャネルの最大固有ベクトルから構築されてもよい。
このように、示されたように、本開示の実施形態は、時分割復信モードにおけるMIMOチャネルの最大固有ベクトルを推定する効率的なトレーニング手順に関する。チャネル相互性を仮定して、二つのアンテナ・アレイの間のピンポン伝送に依拠する逐次反復的手順を記述する。ここで、各反復工程において、デバイスは単に渡されたばかりの信号の共役を返す。ピンポン・ビームフォーミング(PPB: Ping-Pong Beamforming)は各通信末端における最適なビームフォーミング重み、たとえばチャネル行列の最大(左および右)固有ベクトルに収束する。PPBは数十回の反復工程を必要とすることがあり、受信機末端における加法性ノイズに対して堅牢でありうる。PPBは、両方のアレイが非常に多数のアンテナを備えているときのトレーニング要件を著しく軽減し、よってそのような大規模アレイが期待されるミリメートル波通信において、顕著な利点がある。PPBは、ユーザー当たり単一のストリームが送られるマルチユーザーMIMO通信セッティングに拡張されうる。各ユーザーのチャネルの固有ベクトルが追跡されるトレーニング手順が工夫される。通信リンクの両方の末端が大規模アンテナ・アレイに関わるときにチャネルの最大固有ベクトルから最適トランシーバーが構築できる。
図14は、いくつかの実施形態に基づくデバイス1400を示している。デバイス1400は上記で論じたデバイスAまたはデバイスBでありうる。
デバイス1400は、制御回路1408と結合されたトランシーバー回路1404を含んでいてもよい。
トランシーバー回路1404は、適切なネットワーキング通信プロトコルを使ってさまざまなインターフェースを通じて他のネットワーク・エンティティと通信するよう構成されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、トランシーバー回路1404は、大きなアンテナ・アレイを使って、たとえばmm波信号の電波インターフェースを通じて通信するよう構成されていてもよい。トランシーバー回路1404は、図1、図3および図4に関して上記したものと同様のコンポーネントを含んでいてもよい。
トランシーバー回路1404は、別のデバイスから電波インターフェースを通じて受信された情報/信号を提供し、該情報/信号をさらなる、より高位層の処理のために、制御回路1408に提供してもよい。トランシーバー回路1404は、制御回路1408から、電波インターフェースを通じて送信されるべき情報を受信し、該信号を送信してもよい。
制御回路1408は、適切な重みベクトルを決定するよう構成され、決定された重みベクトルを使ってトレーニング信号(およびデータ)の送信および受信においてトランシーバー回路を制御することによって、PPBプロセスを駆動してもよい。たとえば、図4を参照するに、制御回路1408は、たとえばトレーニングの間に取得されたアナログ重みを可変位相シフト器412または可変利得増幅器416に提供することによって(あるいは増幅器重みを組み合わせ器120に、重みベクトルを図1のビームフォーマー120に提供することによって、トランシーバー回路のアナログ・コンポーネントを制御してもよい。もう一つの例として、制御回路1408は、適切な重みベクトルを図1に示したビームフォーミング要素108に提供することによって信号の送信を制御してもよい。
本稿に記載された実施形態は、いかなる好適に構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを使うシステムに実装されてもよい。図15は、ある実施形態について、コンピューティング装置1500の例示的なコンポーネントを示している。これは上記のようなデバイスAまたはBまたはその一部をなしてもよい。
コンピューティング装置1500は、一つまたは複数の記憶媒体1508と結合された一つまたは複数のプロセッサ1504を含んでいてもよい。プロセッサ1504は一つまたは複数の単一コアまたはマルチコア・プロセッサを含んでいてもよい。プロセッサは、たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、メモリ・コントローラ(集積されたまたは離散的)などを含め、汎用プロセッサおよび専用プロセッサのいかなる組み合わせを含んでいてもよい。
記憶媒体1508は、データまたは命令(まとめて「論理1512」)を、プロセッサ1504によって実行される動作のために、ロードし、記憶するために使われてもよい。記憶媒体1508は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリのいかなる組み合わせを含んでいてもよい。記憶媒体1508は、埋め込まれたソフトウェア命令(たとえばファームウェア)を有する読み出し専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(たとえばダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM))、キャッシュ、バッファなどを含むがそれに限定されないメモリ/記憶のさまざまなレベルのいかなる組み合わせを含んでいてもよい。記憶媒体1508は、さまざまなプロセッサの間で共有されてもよく、あるいは特定のプロセッサに専用であってもよい。
いくつかの実施形態では、プロセッサ1504の一つまたは複数は一つまたは複数の記憶媒体1508および可能性としては他の回路と、単一チップ、単一チップセットにおいて組み合わされてもよく、あるいはいくつかの実施形態では同じ回路基板上に配置されてもよい。
コンピューティング装置1500は、制御回路1408に関してまたはトランシーバー回路1404に関して上記した動作の一つまたは複数を実行してもよい。
本稿で与えられたいかなる範囲またはデバイス値も、当業者に明白であろうように、求められる効果を失うことなく、拡張または変更されうる。
上記の恩恵および利点が一つの実施形態に関することもあり、あるいはいくつかの実施形態に関することもあることは理解されるであろう。さらに、「ある」アイテムへの言及がそれらのアイテムの一つまたは複数を指すことは理解されるであろう。
好ましい実施形態の上記の記述は単に例として与えられているのであって、当業者によってさまざまな修正がなされてもよいことは理解されるであろう。上記の明細、例およびデータは、本発明の例示的実施形態の構造および使用についての完備な記述を提供する。本発明のさまざまな実施形態はある程度の具体性をもって、あるいは一つまたは複数の個別的な実施形態を参照して上記で記述しているが、当業者は本発明の精神または範囲から外れることなく開示される実施形態に数多くの変更をなすことができる。
いくつかの限定しない例を下記に与えておく。
実施例1は、実行されたときに第一のデバイスに: 第一の重みベクトルを使って第一のトレーニング信号を第二のデバイスに送る段階と; 前記第二のデバイスから、第二の重みベクトルを使って送られた第二のトレーニング信号を受信する段階と; 前記第二のトレーニング信号に基づいて、前記第二の重みベクトルと第二のチャネルの積である第一のインデックス付けされた信号を推定する段階と; 前記推定の複素共役に基づいて第三の重みベクトルを決定する段階と; 前記第三の重みベクトルを規格化する段階とを実行させる命令を有する一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例2は、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、前記命令が、実行されたときに、前記第一のデバイスに: 前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの追加的な反復工程を、収束基準が満たされていると判定されるまで実行させるものである、実施例1記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例3は、前記収束基準が、第四の重みベクトルのノルムの、所定の閾値との比較に基づく、実施例2記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例4は、前記第一の重みベクトルがランダムに選ばれた値または前記第一の反復工程に先行する前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第二の反復工程によって決定された値である、実施例2記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例5は、前記命令が、実行されたときに、前記第一のデバイスにさらに: 前記推定の複素共役を取る段階を実行させる、実施例1ないし4のうちいずれか一項記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例6は、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、前記命令が、実行されたときに、前記第一のデバイスに: 前記第二のデバイスとメッセージを交換するための第一の伝送プロトコルを使って前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行させるものであり、前記第一の伝送プロトコルは複数の時間スロットを含み、個々の時間スロットは一つの伝送方向専用であり、トレーニング期間に続いてデータ期間を有する、実施例1ないし5のうちいずれか一項記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例7は、前記命令が、実行されたときに、前記第一のデバイスにさらに: 第一の時間スロットにおいて前記第一の重みベクトルを取得するよう初期化手順を実行する段階と; 前記第一の時間スロットに続く第二の時間スロットにおいて前記第一のトレーニング信号を送る段階とを実行させるものである、実施例6記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例8は、前記命令が、実行されたときに、前記第一のデバイスにさらに: 第一の重みベクトル部分および第一のノイズ部分を含むトレーニング信号行列を受信する段階と; 前記行列に基づいて、規格化された整合フィルタを推定する段階と; 推定された規格化された整合フィルタに基づいてノイズ抑制を実行する段階とを実行させるものである、実施例1ないし7のうちいずれか一項記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例9は、前記第一のデバイスが基地局であり、前記第二のデバイスがユーザー・デバイスであり、前記命令が、実行されたときに、前記基地局に: マルチユーザーの複数入力複数出力(MIMO)プロセスにおいて、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階を含むピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行させるものである、実施例1ないし8のうちいずれか一項記載の一つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。
実施例10は、トランシーバー回路と; 前記トランシーバー回路に結合された制御回路とを有する装置であって、前記制御回路は、 デバイスから、第一の重みベクトルを使って送信された第一のトレーニング信号を受信する段階と; 前記第一のトレーニング信号に基づいて、前記第一の重みベクトルと第一のチャネルの積である第一のインデックス付けされた信号を推定する段階と; 前記推定の複素共役に基づいて第二の重みベクトルを決定する段階と; 前記第二の重みベクトルを規格化する段階とを実行するものである、装置を含む。
実施例11は、当該装置が基地局であり、前記制御回路は、第二の重みベクトルを使って第二のトレーニング信号を、前記トランシーバー回路を介して前記デバイスに送信するものであり、前記第二のトレーニング信号は、前記第一のトレーニング信号の受信前に前記デバイスに送信される、実施例10記載の装置を含む。
実施例12は、前記受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、前記制御回路はさらに: 前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの追加的な反復工程を、収束基準が満たされていると判定されるまで実行するものである、実施例10記載の装置を含む。
実施例13は、前記収束基準が、第三の重みベクトルのノルムの、所定の閾値との比較に基づく、実施例12記載の装置を含む。
実施例14は、前記制御回路が: 前記推定の複素共役を取る、実施例10ないし13のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例15は、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、前記制御回路は: 前記デバイスとメッセージを交換するための第一の伝送プロトコルを使って前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行するものであり、前記第一の伝送プロトコルは複数の時間スロットを含み、個々の時間スロットは一つの伝送方向専用であり、トレーニング期間に続いてデータ期間を有する、実施例10ないし14のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例16は、前記制御回路は: 第一の時間スロットにおいて前記第一の重みベクトルを取得するよう初期化手順を実行する段階と; 前記第一の時間スロットに続く第二の時間スロットにおいて前記第一のトレーニング信号を送る段階とを実行する、実施例15記載の装置を含む。
実施例17は、前記制御回路は: 前記規格化された第二の重みベクトルを使って、データ・シンボルを前記トランシーバー回路を介して送信する段階と; 前記デバイスからデータ信号を前記トランシーバー回路を介して受信する段階と; 前記データ・シンボルを復元するよう前記データ信号に、規格化された第三の重みベクトルを適用する段階とを実行する、
実施例10ないし16のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例18は、前記トランシーバー回路が整合フィルタリングを実行する、実施例10ないし17のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例19は、前記トランシーバー回路が前記第一および第二の重みベクトルに基づいて零強制フィルタリングを実行する、実施例10ないし17のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例20は、前記トランシーバー回路が送信器において前記零強制フィルタリングを実行する、実施例19記載の装置を含む。
実施例21は、前記トランシーバー回路が受信器において前記零強制フィルタリングを実行する、実施例19記載の装置を含む。
実施例22は、前記トランシーバー回路が複数のアンテナを有し、ミリメートル波通信を提供する、実施例10ないし21のうちいずれか一項記載の装置を含む。
実施例23は、第一のデバイスの動作方法であって: 第一の重みベクトルを使って第一のトレーニング信号を第二のデバイスに送る段階と; 前記第二のデバイスから、第二の重みベクトルを使って送られた第二のトレーニング信号を受信する段階と; 前記第二のトレーニング信号に基づいて、前記第二の重みベクトルと第二のチャネルの積である第一のインデックス付けされた信号を推定する段階と; 前記推定の複素共役に基づいて第三の重みベクトルを決定する段階と; 前記第三の重みベクトルを規格化する段階とを含む、方法を含む。
実施例24は、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、当該方法がさらに: 前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの追加的な反復工程を、収束基準が満たされていると判定されるまで実行することを含む、実施例23記載の方法を含む。
実施例25は、前記収束基準が、第四の重みベクトルのノルムの、所定の閾値との比較に基づく、実施例24記載の方法を含む。
実施例26は、前記第一の重みベクトルがランダムに選ばれた値または前記第一の反復工程に先行する前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第二の反復工程によって決定された値である、実施例24記載の方法を含む。
実施例27は: 前記推定の複素共役を取る段階をさらに含む、実施例23記載の方法を含む。
実施例28は、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、当該方法がさらに: 前記第二のデバイスとメッセージを交換するための第一の伝送プロトコルを使って前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行することを含み、前記第一の伝送プロトコルは複数の時間スロットを含み、個々の時間スロットは一つの伝送方向専用であり、トレーニング期間に続いてデータ期間を有する、実施例23記載の方法を含む。
実施例29は、前記命令がさらに: 第一の時間スロットにおいて前記第一の重みベクトルを取得するよう初期化手順を実行する段階と; 前記第一の時間スロットに続く第二の時間スロットにおいて前記第一のトレーニング信号を送る段階と含む、実施例28記載の方法を含む。
実施例30は、第一の重みベクトル部分および第一のノイズ部分を含むトレーニング信号行列を受領する段階と; 前記行列に基づいて、規格化された整合フィルタを推定する段階と; 推定された規格化された整合フィルタに基づいてノイズ抑制を実行する段階とをさらに含む、実施例23記載の方法を含む。
実施例31は、前記第一のデバイスが基地局であり、前記第二のデバイスがユーザー・デバイスであり、当該方法がさらに: マルチユーザーの複数入力複数出力(MIMO)プロセスにおいて、前記送る段階、受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階を含むピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行することを含む、実施例23ないし30のうちいずれか一項記載の方法を含む。
実施例32は、装置の動作方法であって:デバイスから、第一の重みベクトルを使って送信された第一のトレーニング信号を受信する段階と; 前記第一のトレーニング信号に基づいて、前記第一の重みベクトルと第一のチャネルの積である第一のインデックス付けされた信号を推定する段階と; 前記推定の複素共役に基づいて第二の重みベクトルを決定する段階と; 前記第二の重みベクトルを規格化する段階とを含む、方法を含む。
実施例33は、当該装置が基地局であり、当該方法がさらに、第二の重みベクトルを使って第二のトレーニング信号を送信する段階を含み、前記第二のトレーニング信号は、前記第一のトレーニング信号の受信前に前記デバイスに送信される、実施例32記載の方法を含む。
実施例34は、前記受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、当該方法がさらに: 前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの追加的な反復工程を、収束基準が満たされていると判定されるまで実行することを含む、実施例32記載の方法を含む。
実施例35は、前記収束基準が、第三の重みベクトルのノルムの、所定の閾値との比較に基づく、実施例34記載の方法を含む。
実施例36は、前記推定の複素共役を取ることを含む、実施例32ないし35のうちいずれか一項記載の方法を含む。
実施例37は、前記受信する段階、推定する段階、決定する段階および規格化する段階が、ピンポン・ビームフォーミング・プロセスの第一の反復工程をなし、当該方法がさらに: 前記デバイスとメッセージを交換するための第一の伝送プロトコルを使って前記ピンポン・ビームフォーミング・プロセスを実行することを含み、前記第一の伝送プロトコルは複数の時間スロットを含み、個々の時間スロットは一つの伝送方向専用であり、トレーニング期間に続いてデータ期間を有する、実施例32ないし36のうちいずれか一項記載の方法を含む。
実施例38は、第一の時間スロットにおいて前記第一の重みベクトルを取得するよう初期化手順を実行する段階と; 前記第一の時間スロットに続く第二の時間スロットにおいて前記第一のトレーニング信号を送る段階とをさらに含む、実施例37記載の方法を含む。
実施例39は、前記規格化された第二の重みベクトルを使って、データ・シンボルを送信する段階と; 前記デバイスからデータ信号を受信する段階と; 前記データ・シンボルを復元するよう前記データ信号に、規格化された第三の重みベクトルを適用する段階とをさらに含む、実施例32ないし38のうちいずれか一項記載の方法を含む。
実施例40は、実施例23ないし39のうちいずれか一項記載の方法を実行する手段を有する装置を含む。