JP2017530957A - Bace阻害剤としてのテトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
の化合物を提供するものである。
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶型2;
0.2度の回析角の公差で、18.6°、19.3°、及び26.7°からなる群から選択されるピークの1つ以上と組み合わせて、11.8°の回析角2−シータでのX線回析スペクトラムの実質的なピークにより特徴づけられる、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶型2;
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶型3;及び
0.2度の回析角の公差で、18.1°、27.0°、及び19.7°からなる群から選択されるピークの1つ以上と組み合わせて、15.7°の回析角2−シータでのX線回析スペクトラムの実質的なピークにより特徴づけられる、N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの結晶型3、
が、好ましい。
さらに、以下のスキームに記述されるある中間体は、1つ以上の窒素保護基を含有し得る。実施される特定の反応条件及び特定の変換様式に従い、各場合で様々な保護基が同じであっても、異なっていてもよい。保護及び脱保護の条件は当業者に公知であり、文献(たとえば、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”, Fourth Edition, by Peter G.M. Wuts and Theodora W. Greene, John Wiley and Sons, Inc. 2007を参照のこと)に開示されている。
2−ブロモ−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタン−1−オン
N−ブロモスクシンイミド(984g、5.53モル)を、1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタン−1−オン(1000g、4.6モル)とp−トルエンスルホン酸(1315g、7.64モル)のDCM(7L)溶液に、35℃で分割して添加する。混合物を攪拌し、40℃まで加熱する。混合物を24℃まで冷却し、7%NaHCO3(5L)を添加する。層を分離させ、有機層を10%Na2SO3(5L)と水(5L)で洗浄する。有機層を2〜3体積まで濃縮し、表題化合物を得て、さらなる精製を行うことなくそれを用いる。
5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール
2−ブロモ−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)エタン−1−オン(1363g、4.61モル)のトルエン(10L)溶液に、ジアリルアミン(537g、5.53モル)及びdipea(2381g、18.42モル)を加える。混合物を40℃で4時間攪拌し、単離されていない1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジアリルアミノ)エタン−1−オンを得る。N−(4−メトキシベンジル)ヒドロキシルアミン(847g、5.53モル)及びTi(OiPr)4(1965g、6.91モル)を、粗1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(ジアリルアミン)エタン−1−オンを含有する混合物に添加する。混合物を2時間、90℃で攪拌する。混合物を20℃まで冷却し、50%クエン酸一水和物(4L)及び飽和Na2CO3(4L)を加える。層を分離させ、水層を、MTBE(5L)を用いて抽出する。有機抽出物を、水(5L)を用いて洗浄し、珪藻土を通してろ過し、乾燥するまで濃縮する。EtOAc(10L)及びシュウ酸(580g)を残留物に加え、固形物をろ過し、1NのNaOH(13L)に加える。MTBE(5L)を加え、混合物を、珪藻土を通してろ過する。層を分離させ、有機層を2体積まで濃縮する。ヘプタン(3L)を加え、溶液を10℃まで冷却する。得られた固形物をろ過して表題化合物(1330g、64%)を得る。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 2.51-2.49(m, 3H), 3.09-3.04(m, 3H), 3.78-3.41(m, 6H), 4.01(m, 1H), 5.24-5.01(m, 2H), 5.89-5.85(m, 1H), 6.82-6.80(m, 2H), 7.51-7.13(m, 3H), 7.63-7.62(m, 1H), 7.65-7.64(m, 1H)。
5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール塩酸塩
トリフルオロ酢酸(4L、52.9モル)を、5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール(1990g、4.45モル)のDCM(12L)溶液に、35℃未満の温度が維持される速度で滴下して加える。添加が完了した後、混合物を33〜43℃まで加温し、6時間攪拌する。NaOH(20%、10L)を、35℃未満の温度が維持される速度で加える。層を分離させ、有機層を、水(6L)を用いて洗浄する。溶液を濃縮し、エタノール(16L)を加え、混合物を、珪藻土を通してろ過する。ろ過物を濃縮し、EtOAc(10L)を加える。4M HClのEtOAc溶液(8L)を加え、得られた固形物をろ過し、乾燥させ、表題化合物(1385g、85.6%)を得る。ESm/z327.1(M+1)。
(1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール
炭酸ナトリウムの飽和水溶液を、pHが>9に達するまで、5−アリル−6a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール塩酸塩(1400g、3.85モル)のDCM(7L)溶液に加える。層を分離させ、有機抽出物を1.5体積まで濃縮する。酢酸(1.38L)を加え、溶液を2Lまで濃縮する。酢酸(7L)及び亜鉛粉末(2.5kg、38.5モル)を加え、混合物を40〜50℃まで加熱し、3時間攪拌する。EtOAc(9.8L)を加え、混合物を、珪藻土を通してろ過する。ろ過ケークを、EtOAc(4L)を用いて洗浄する。ろ過物を分離させ、水(7L)を混合有機物に加える。pH≧9に達するまで水酸化アンモニウムを加える。層を分離させ、有機層を2Lまで濃縮する。エタノール(2.8L)を加え、溶液を2Lまで濃縮する。エタノール(19L)を加え、混合物を、珪藻土を通してろ過し、表題化合物のエタノール溶液を得、それをさらなる精製を行うことなく用いる。
[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタン酸塩
ジ−p−トルオイル−L−酒石酸一水和物(1.04kg、2.69モル)を、(1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール(1264g、3.85ミリモル)のエタノール(21L)溶液に加える。混合物を65〜75℃まで加熱し、3時間攪拌する。混合物を5〜10℃まで冷却し、[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタン酸塩(1.0g)の種晶を加え、混合物を3時間攪拌する。固形物をろ過し、ろ過ケークを冷たいエタノール(1.4L)を用いて洗浄する。ろ過ケークを乾燥させ、白色固形物として表題化合物を得る。第二の溶離異性体のキラル解析:カラム:IC Chiralpak、4.6mm*250mm*5μm;溶離剤:90%ヘキサン(0.3%ジエチルアミン):10%エタノール(0.3%ジエチルアミン);1.0mL/分の流速、UV270nmで、Rt=7.4分で鏡像異性的に富化された(99%ee)鏡像異性体が確認される(1050g、38%)。1H NMR(400 MHz, CD3OD) δ 2.40(s, 6H), 3.05-3.04(m, 1H), 3.57-3.31(m, 3H), 3.66-3.58(m, 4H), 3.75-3.74(m, 2H), 5.38-5.36(m, 1H), 5.50-5.46(m, 1H), 5.88(s, 2H), 5.97-5.91(m, 1H), 7.10-7.05(m, 1H), 7.29(d, J=8.0 Hz, 4H), 7.53-7.51(m, 1H), 7.80-7.78(m, 1H), 8.01(d, J=8.0 Hz, 4H)。
((3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール
1N HCl(500mL、500ミリモル)を、[(3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル]アンモニウム;(2S,3S)−4−ヒドロキシ−2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]−4−オキソ−ブタン酸塩(100g、139.4ミリモル)の0℃のEtOAc(500mL)溶液に加える。混合物を1時間攪拌する。水層を分離させ、1N NaOHを用いてpH8に調節する。水層を、EtOAc(350mL×2)を用いて抽出する。有機層をひとつにまとめ、水(500mL)で洗浄し、濃縮させ、表題化合物を得る(40g、87%)。第二の溶離異性体のキラル解析:カラム:IC Chiralpak、4.6mm*250mm*5μm;溶離剤:90%ヘキサン(0.3%ジエチルアミン):10%エタノール(0.3%ジエチルアミン);1.0mL/分の流速、UV270nmで、Rt=7.4分で鏡像異性的に富化された(99.7%ee)鏡像異性体が確認される。1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ 2.78-2.70(m, 5H), 3.16-3.00(m, 3H), 3.87-3.75(m, 1H), 3.90-3.84(m, 1H), 5.24-5.11(m, 2H), 5.91-5.87(m, 1H), 6.95-6.91(m, 1H), 7.35-7.32(m, 1H), 7.67- 7.65 (m, 1H)。
N−(((3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル)カルバモチオイル)ベンズアミド
((3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル)メタノール(30g、91.1ミリモル)の0℃のTHF(400mL)溶液に、イソチオシアン酸ベンゾイル(15.0g、91.9ミリモル)を加える。溶液を25℃まで加温し、1時間攪拌して、表題化合物のTHF溶液を得て、それをさらなる精製を行うことなく使用する。
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド、二塩酸塩
トリフェニルホスフィン(36.8g、140.3ミリモル)を、N−(((3S,4R)−1−アリル−3−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−3−イル)カルバモチオイル)ベンズアミド(91.1ミリモル)のTHF(400mL)溶液に加える。アゾジカルボン酸ジ−t−ブチル(31.6g、137.2ミリモル)のTHF(100mL)溶液を加える。混合物を2時間、20〜30℃で攪拌する。混合物を濃縮し、MTBE(400mL)を加える。溶液を、珪藻土を通してろ過し、ケークを、MTBE(130mL)を用いて洗浄する。ろ過物を1つにまとめ、
1N HClのEtOAc(200mL)溶液を加える。混合物を2時間攪拌し、次いで、500mLまで濃縮する。MTBE(320mL)を加え、溶液をろ過し、ヘプタン(130mL)を用いて洗浄する。固形物をEtOAc(650mL)中でスラリー化させ、2時間、50〜60℃で攪拌する。熱いスラリーをろ過し、固形物を、EtOAc(130mL)とヘプタン(130mL)を用いて洗浄する。固形物をEtOAc(650mL)中で再度スラリー化させ、2時間、50〜60℃で攪拌する。熱いスラリーをろ過し、EtOAc(130mL)とヘプタン(130mL)を用いて洗浄する。固形物を乾燥させ、ジ−HCl塩として表題化合物を得る(40g、80%、99.5%ee)。第一の溶離異性体のキラル解析:カラム:IC Chiralpak、4.6mm*250mm*5μm;溶離剤:85%ヘキサン(0.1%ジエチルアミン):15%イソプロピルアルコール(0.1%ジエチルアミン);1.0mL/分の流速、UV282で、Rt=12.5分で鏡像異性的に富化された(99.5%ee)鏡像異性体が確認される。
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)フェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
15%炭酸ナトリウム(440mL)を、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド二塩酸塩(495g、717.88ミリモル)のEtOAc(3L)と水(784mL)の溶液に加える。混合物を1〜2時間攪拌する。層を分離させ、有機層を、シリカゲル(40g)を通してろ過し、EtOAc(600mL)を用いて洗浄する。ろ過物を濃縮し、乾燥させ、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミドを得る。トリフルオロアセトアミド(136.7g、1.21モル)、NaI(182.5g、1.22モル)、4A分子篩(342g)、及びK2CO3(170.9g、1.24モル)を、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(341g、494.54ミリモル)のDMSO(525mL)と1,4−ジオキサン(1.025L)の溶液に加える。トランス−N,N’−ジメチルシクロヘキサン(81.6g、573.66ミリモル)及びヨウ化銅(27.3g、143.34ミリモル)のDMSO(500mL)溶液を反応混合物に加える。混合物を5分間攪拌する。混合物を100℃まで加温し、8時間攪拌し、24℃まで冷却する。水(5.9L)及びDCM(5.9l)を加え、混合物をろ過し、層を分離させる。有機層を水(5.9L)で洗浄し、DCM溶液中で表題化合物を得て、それをさらなる精製を行うことなく使用する。
N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド、塩酸塩
水酸化ナトリウム(28.7g)及び水(2.7L)を、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロ−5−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)フェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(250g、494.4ミリモル)のDCM溶液に加え、混合物を68時間、24℃で攪拌する。pH1〜3を得るために、1N HCl(3.5L)を加える。層を分離させ、水層をDCM(680mL)で洗浄する。DCM(4L)を水層に加え、次いで、21%水酸化アンモニウムを加え、pH8〜10とする。層を分離させ、有機抽出物を1つにまとめ、シリカゲル(170g)を通してろ過し、DCM(1.4L)で洗浄する。溶媒を濃縮して乾燥させ、EtOAc(4L)で希釈する。1N HClのEtOAc(700mL)溶液を、25℃未満の温度で加え、混合物を1時間攪拌する。混合物を約7〜8体積まで濃縮し、EtOAc(2.8L)を加える。得られた沈殿物をろ過し、EtOAc(400mL)で洗浄する。固形物を乾燥させ、表題化合物を得る(246g、52%)。
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−アリル−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
無水酢酸(23.5g、0.23モル)を、N−((4aR,7aS)−6−アリル−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド塩酸塩(100g、0.153モル)及びトリエチルアミン(54.3g、0.535モル)のDCM(800mL)溶液に加える。1時間、20〜25℃で攪拌した後、飽和NaHCO3(700mL)と水(600mL)を加える。層を分離させ、表題化合物を得て、それをさらに精製することなく、DCM溶液として用いる。
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
トリフェニルホスフィン(4.0g、0.015モル)及び1,3−ジメチルバルビツール酸(15.2g、0.097モル)を、N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−アリル−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(0.153モル)のDCM溶液に加える。酢酸パラジウム(1.7g、7.7ミリモル)を加え、混合物を1時間、20〜30℃で攪拌する。25%水酸化アンモニウムを加え、層を分離させる。有機層をHOAc(500mLの水中、3.0等量)で洗浄し、pHを、25%水酸化アンモニウムを用いて8〜9に調節する。水層を、DCM(2x500mL)を用いて抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、3〜4体積に濃縮する。MTBE(1L)を加え、混合物をろ過する。混合物を濃縮し、ヘプタン(1L)を加える。得られた固形物をろ過し、回収し、乾燥させて、表題化合物を得る(48g、76%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.15 (s, 3H), 2.87-2.83(m, 1H), 3.43-3.23(m, 5H), 3.70-3.67(m, 1H), 7.12-7.07 (m, 1H), 7.28-7.27 (m, 1H), 7.52-7.41(m, 4H), 7.79(m, 1H), 8.18-8.16(m, 2H)。ES m/z 413.1 (M+1)。
N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド
2−クロロ−5−フルオロピリミジン(28.9g、218ミリモル)及び炭酸カリウム(33.46g、242.1ミリモル)を、N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(50g、121.22ミリモル)のDMF(100mL)溶液に加える。混合物を8時間、80〜85℃まで加熱する。混合物を24℃まで冷却し、ろ過し、DMF(100mL)で洗浄する。固形物を水中(2L)でスラリー化させ、ろ過し、表題化合物を得る(68.5g、98%)。LC−MS:m/z=509.2(M+1)+、1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δppm 1.22 (t, J = 7.28 Hz, 2 H) 1.92 - 2.07 (m, 6 H) 2.89 - 3.20 (m, 2 H) 3.36 - 3.44 (m, 1 H) 3.67 (t, J=9.54 Hz, 1 H) 3.84 (br. s., 1 H) 4.16 (br. s., 2 H) 7.23 (br. s., 2 H) 7.35 - 7.61 (m, 8 H) 7.77 (br. s., 2 H) 7.85 - 8.18 (m, 4 H) 8.48 (s, 4 H) 10.15 (br. s., 1 H) 10.46 - 10.59 (m, 1 H)。
(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
水酸化リチウム(8.6g、204.9ミリモル)を、N−((4aR,7aS)−7a−(5−アセトアミド−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,6,7,7a−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル)ベンズアミド(80g、157.3ミリモル)のメタノール(400mL)溶液に加える。混合物を4時間、60〜70℃に加熱する。濃縮HCl(132g)を加え、混合物を18時間、55℃で攪拌する。混合物を30℃まで冷却し、濃縮してメタノールを除去する。水を加え、水層をDCM(3x)で抽出し、920gの水溶液として表題化合物を得て、全質量の5.6%の表題化合物を、さらなる精製を行うことなく用いる。
N−アリル−N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバミン酸ベンジル
N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバミン酸ベンジル(50g、208.9ミリモル)のトルエン(180mL)溶液を、窒素雰囲気下、固形水酸化カリウム(51.6g、919.69ミリモル)で処置する。10分後、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(0.8g、3.1ミリモル)を加える。さらに10分後、臭化アリル(33g、272.8ミリモル)のトルエン(50mL)溶液を、10分かけて滴下して加える。得られた混合物を50℃で48時間攪拌する。混合物を室温まで冷却し、水でクエンチする。有機層を分離させ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、乾燥するまで濃縮し、表題化合物を得る(44g、75%)。ES/MS(m/e):280(M+H)。
N−アリル−N−(2−オキソエチル)カルバミン酸ベンジル
N−アリル−N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバミン酸ベンジル(30g、107ミリモル)のギ酸(36.8mL、860ミリモル)及び水(4.84mL)の溶液を、室温で一晩攪拌する。混合物を濃縮し、ヘキサン/EtOAc(1:2)及び水で希釈する。有機層を分離させ、ブライン溶液でpH=6まで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を蒸発させ、表題化合物を得る(25g、99%)。ES/MS(m/e):234(M+H)。
N−アリル−N−[2−ヒドロキシイミノエチル]カルバミン酸ベンジル
N−アリル−N−(2−オキソエチル)カルバミン酸ベンジル(25g、107ミリモル)のアセトニトリル(150mL)溶液を、ヒドロキシラミン塩酸塩(9.68g、139ミリモル)、及び酢酸ナトリウム三水和物(16g、117.9ミリモル)の水溶液(75mL)を用いて処置する。混合物を一晩、室温で攪拌する。アセトニトリルを蒸発させ、水溶液を、EtOAcを用いて抽出する。有機層を分離させ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で濃縮し、表題化合物(24g、90%)を得る。ES/MS(m/e):249(M+H)。
3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソキサゾール−5−カルボン酸ベンジル
N−アリル−N−[2−ヒドロキシイミノエチル]カルバミン酸ベンジル(24g、96.6ミリモル)のDCM(338mL)溶液を、5%w/w次亜塩素酸ナトリウム水溶液(106.08ミリモル、143.06mL)を用いて、10分かけ滴下して処置する。得られた混合物を室温で一晩攪拌する。反応を、重亜硫酸ナトリウム(7g)の40%水溶液を用いてクエンチする。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中、5%EtOAcで溶出するシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(18g、75%)。ES/MS(m/e):247(M+H)。
6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール−5−カルボン酸ベンジル
n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(25.4mL、40.6ミリモル)を、−78℃の4−ブロモ−1−フルオロ−2−ヨードベンゼン(12.22g、40.6ミリモル)のTHF(60mL)溶液に滴下して加え、黄色溶液を得て、それを15分間、−78℃で攪拌する。
1−(ベンゾイルカルバモチオイル)−6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソキサゾール−5−カルボン酸ベンジル
イソチオシアン酸ベンゾイル(2.87mL、21.28ミリモル)を、6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール−5−カルボン酸ベンジル(5.977g、14.2ミリモル)のTHF(95mL)溶液に滴下して加え、一晩、窒素雰囲気下で攪拌する。溶媒を真空下で除去する。粗生成物を、ヘキサン勾配中、30分の5%〜100%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(6.05g、73%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)584/586(M+H)。
3−(ベンゾイルカルバモチオイルアミノ)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル
1−(ベンゾイルカルバモチオイル)−6a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロピロロ[3,4−c]イソキサゾール−5−カルボン酸ベンジル(6.05g、10.4ミリモル)と亜鉛(粉末、10ミクロン未満)(6.77g、103.5ミリモル)の混合物を
、室温、窒素雰囲気下で一晩、酢酸(52mL)中で攪拌する。反応物を、EtOAcを用いて希釈し、珪藻土を通してろ過する。溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc、水、及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液を用いて希釈する。混合物を、EtOAc(3x)を用いて抽出し、混合有機層を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空下で除去する。粗生成物を、ヘキサン勾配中、30分の5%〜100%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(5.222g、86%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)586/588(M+H)。
2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸ベンジル
1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.87g、17.7ミリモル)を、3−(ベンゾイルカルバモチオイルアミノ)−3−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボン酸ベンジル(5.198g、8.86ミリモル)のTHF(52mL)溶液に加える。混合物を室温で1.5時間攪拌し、次いで、反応物を、窒素雰囲気下で一晩、還流で加熱する。反応物を冷却し、水で希釈し、EtOAc(3x)を用いて抽出する。有機層を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空下で除去する。粗生成物を、ヘキサン勾配中、30分の5%〜100%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(2.93g、58%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br).568/570(M+H)。
N−[7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
ヨードトリメチルシラン(2.21mL、15.46ミリモル)を、室温の2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸ベンジル(2.93g、5.15ミリモル)のアセトニトリル(44mL)溶液に滴下して加える。反応物を2時間、室温で攪拌し、溶媒を真空下で除去する。粗生成物を、3:1のDCM:メタノール、次いで2:1のDCM:7Nアンモニアのメタノール溶液を用いて、SCXカラムで精製し、表題化合物を得る(2.098g、94%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)434/436(M+H)。
2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸tert−ブチル
ジ−t−ブチルジカルボネート(1.16g、5.31ミリモル)及びトリエチルアミン(1.01mL、7.25ミリモル)を、N−[7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(2.098g、4.83ミリモル)のDCM(48mL)溶液に加える。反応物を窒素雰囲気下で1時間、室温で攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗生成物を、ヘキサン勾配中、30分の5%〜100%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(2.556g、99%)。ES/MS(m/e):(79Br/81Br)534/536(M+H)。
7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸tert−ブチル
2−ベンズアミド−7a−(5−ブロモ−2−フルオロ−フェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸tert−ブチル(2.556g、4.8ミリモル)とトランス−N,N’−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン(150mg、1.1ミリモル)のエタノール(50mL)溶液を、アジ化ナトリウム(933mg、14.3ミリモル)で処置する。L−アスコルビン酸ナトリウム塩の水溶液(0.66M、3.2mL、2.1ミリモル)及び水(1mL)を加え、フラスコの蓋を窒素で洗浄する。混合物を、硫酸銅(II)五水和物の水溶液(0.33M、3.2mL、1.1ミリモル)で処置し、前もって加熱しておいたホットプレート上で混合物をただちに80℃で1.5時間、窒素雰囲気下で加熱する。均一な混合物を加熱で得る。反応物を冷却し、氷水で希釈し、混合物をEtOAc(3x)で抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空下で除去して粗アジ化産物を得る。粗アジ化産物を、冷エタノール(150mL)中で、10%パラジウム炭素(1g)と混合し、混合物を、真空/窒素を用いて洗浄し、次いで、真空/水素を用いて洗浄する。混合物を、室温で30psiの水素下、5時間攪拌する。反応物をベントし、珪藻土を通してろ過し、ろ過ケークをDCMでリンスする。溶媒を真空下でろ過物から除去し、粗生成物を、DCM中、50%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(2.014g、89%)。ES/MS(m/e):471(M+H)。
N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
トリフルオロ酢酸(10mL)を、7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−2−ベンズアミド−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−6−カルボン酸tert−ブチル(2.013g、4.28ミリモル)のDCM(30mL)溶液に加え、混合物を4時間、窒素雰囲気下、室温で攪拌する。溶媒を真空下で除去し、粗生成物を、3:1のDCM:メタノール、次いで2:1のDCM:7Nアンモニアのメタノール溶液を用いて、SCXカラムで精製し、表題化合物を得る(1.555g、98%)。ES/MS(m/e):371(M+H)。
N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
N−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(705mg、1.90ミリモル)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(1.01g、7.61ミリモル)、及びDIPEA(1.66mL、9.52ミリモル)の溶液を、1,4−ジオキサン(20mL)中で加熱し、窒素雰囲気下で4時間、還流する。反応物を冷却し、水で希釈し、EtOAc(3×)を用いて抽出する。有機層を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空下で除去し、粗生成物を得る。粗生成物を、ヘキサン勾配中、25分の5%〜100%EtOAcを用いてシリカゲル上で精製し、表題化合物を得る(590mg、66%)。ES/MS(m/e):467(M+H)。
N−[(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド、(異性体1)
ラセミ化合物のN−[7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(1.694g、3.63ミリモル)を、キラルHPLC(カラム:Chiralcel OJ、8x35cm;溶離剤:90%メタノール(0.2%ジメチルエチルアミン)及び10%アセトニトリル;流速400mL/分、UV 280nm)により精製する。第一の溶離異性体(カラム:Chiralcel OJ−H 0.46x15cm;溶離剤:10:90アセトニトリル:メタノール(0.2%ジメチルエチルアミンを含む);流速0.6mL/分、UV 280nm)の解析により、Rt=6.70分で鏡像異性的に富化された(99%ee)鏡像異性体が確認される(723mg、43%)。ES/MS(m/e):467(M+H)。
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド、(異性体1)
N−[(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロ−フェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド、異性体1(0.361g、0.77ミリモル)は、DCM(4mL)とDMF(0.5mL)の混合物中に溶解される。5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(240mg、1.55ミリモル)、HOBT(210mg、1.55ミリモル)及びEDCI(300mg、1.55ミリモル)を混合物に加え、混合物を、一晩、室温で攪拌する。反応溶液を直接、12gのシリカゲルローディングカラム上に加え、40gのシリカゲルカラムを用いて精製し、0〜100%EtOAc/ヘキサン勾配で溶出する。生成物をEtOAc(200mL)に溶解し、1N NaOH(2×50mL)、及びブライン(1×50mL)で洗浄する。シリカゲル精製を上述のように繰り返し、表題化合物を得る(350mg、74%)。ES/MS(m/e):603(M+H)。
5−アリル−6a−(2−フルオロフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール
フローケミストリー反応工程:343mlのシームレスのステンレススチール管型反応装置(O.D=1/8インチ)を、GCオーブンの内側に置き、20分間、20mL/分で、トルエンを用いてフラッシュする。窒素の背圧(720psig)を適用し、GCの温度を210℃に設定する。温度が210℃に達した後、2−(ジアリルアミノ)−1−(2−フルオロフェニル)エタノンオキシム(480.51g、1.74モル)のトルエン(5.81L)溶液を、連続モードで作動している高圧シリンジポンプの対を用いて、22.866mL/分で、反応装置にポンプで通し、15分の滞留時間を得る。すべてのストック溶液が消費された後、反応装置を、30分間、22.866mL/分でトルエンを用いてフラッシュする。GCオーブンの温度を25℃に設定し、完了溶液を回収し、真空下で濃縮する。溶媒を蒸発させ、残留物を塩化メチレン(2.5L)及び水(5L)に溶解する。塩酸を用いてpHを1に調節し、水層を分離させ、水酸化ナトリウムを用いて中和し、pHを10に調節する。水層を、MTBE(3x2.5L)を用いて抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで蒸着させ、粗表題化合物を得て(248g、47%)、さらなる精製を行うことなく使用する。ES/MS(m/e):249(M+1)。
1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
亜鉛末(590g、9モル)を、5−アリル−6a−(2−フルオロフェニル)−3,3a,4,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]イソキサゾール(3559g、1.29モル)の、メタノール(2.85L)及び塩化アンモニウム飽和水溶液(3.56L)の混合溶液に添加し、混合物を16時間、70℃で加熱する。反応物を60℃まで冷却し、THF(2.85L)で希釈し、珪藻土上で熱したままろ過する。有機溶媒を除去するためにろ過物を蒸着させ、水性混合物をクエン酸10%w/w水溶液(4L)及びEtOAc(3.5L)を用いて希釈する。有機層を分離させ、水層をEtOAc(2x2L)で洗浄する。水層を水酸化ナトリウム50%w/wで中和し、pHを10に調節し、次いでEtOAc(2×1.5L)を用いて抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで蒸着させ、粗表題化合物を得る(299g、92%)。ES/MS(m/e):251(M+1)
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタン二酸
ジ−p−トルオイル−L−酒石酸(348.6g、884ミリモル)の1−メトキシ−2−プロパノール(1.13L)溶液を、従前に40℃まで加熱しておいた[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(225.9g、902ミリモル)の1−メトキシ−2−プロパノール(1.13L)溶液に加える。反応物を、22℃まで冷却し、18時間攪拌する。白色固形物をろ過により集め、1−メトキシ−2−プロパノール(600ml)を用いて洗浄する。回収した固形物を乾燥させ、表題化合物を得る(183.01g、31.8%)。ES/MS(m/e):251(M+1)。
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール;2,3−ビス[(4−メチルベンゾイル)オキシ]ブタン二酸(211g、331ミリモル)を水(2.1L)及びEtOAc(2.3L)に溶解する。塩酸35%w/wを加えてpHを1に調節する。水層を分離させ、水酸化ナトリウム50%w/wを用いてpHを10に調節し、EtOAc(2×)で抽出する。水層のpHを、NaOH水溶液を用いて10に調節し、pH=10に水溶液のpHを維持したままMTBE(3×)を用いて抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで濃縮し、粗表題化合物を得る(73g、88%、94.8%ee)。生成物をキラルクロマトグラフィーにより解析する:Column AS−H、溶離剤10%イソプロピルアルコール、2%イソプロピルアミン;流速3mL/分、UVは220;35℃、100バールの圧力で、第二の溶離異性体として表題化合物を得る、Rf=2.26分。ES/MS(m/e):251(M+1)。
N−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
[(3R,4S)−1−アリル−4−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]メタノール(129.7g、414ミリモル)のTHF(2,3L)溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却する。5℃未満の温度に維持しながらイソチオシアン酸ベンゾイル(61.5mL、456ミリモル)を加える。反応物を3時間かけて室温まで加温し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(87.4g、538.9ミリモル)を加え、反応物を22℃で1時間攪拌し、次いで、70℃で16時間加熱する。反応混合物を22℃まで冷却し、溶媒を蒸発させる。残留物をEtOAc(1L)と水(1L)の中で分割させる。有機層を分離させ、水層をEtOAc(2×400mL)で抽出する。有機層を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで蒸着させ、粗表題化合物を得る。粗生成物を、EtOAc/DCM 0〜40%DCMの勾配を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、残留溶媒を含有する淡黄色固形物として表題化合物を得る(170g、99%)。ES/MS(m/e):396(M+1)。
N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
2−メルカプト−安息香酸(122g、793ミリモル)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(4.15g、7.21ミリモル)、及び1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(3.14g、7.21ミリモル)を、N−[(4aR,7aS)−6−アリル−7a−(2−フルオロフェニル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(178.21g、360ミリモル)の無水2−メチルテトラヒドロフラン(1.96L)溶液に、窒素雰囲気下で加える。溶液を真空/窒素サイクルを3回行って脱ガスし、次いで15分間、窒素を反応物に通気する。反応物に窒素を通気しながら、反応混合物を40℃まで加熱する。反応物が40℃に達したとき、通気を止め、反応混合物を窒素雰囲気下で3時間、40℃で攪拌する。反応物を22℃まで冷却し、水(2L)で希釈する。HCl(5M)溶液を加えてpHを1に調節する。水層を分離させ、追加のEtOAc(2×800mL)で洗浄する。水層のpHを、水酸化ナトリウム50%w/wを用いて10に調節し、次いでEtOAc(10L)を用いて抽出する。水層を追加のEtOAc(2×750mL)を用いて洗浄する。有機抽出物を1つにまとめ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、乾燥するまで蒸着させ、淡黄色固形物として粗表題化合物を得る(124.7g、97%)。ES/MS(m/e):356(M+1)。
N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド
N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−4a,5,6,7−テトラヒドロ−4H−ピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(124.7g、256ミリモル)、DIPEA(67mL)、5−フルオロ−2−クロロピリミジン(29.3ml、307ミリモル)のN−メチルピロリドン(997mL)溶液を16時間、100℃に加熱する。反応物を22℃に冷却し、15℃未満の温度を維持しながら、10℃の冷水(10L)へと注ぐ。淡いクリーム状の固形物をろ過により回収し、追加の水で洗浄する。湿性固形物をEtOAc(2L)中に溶解し、分離漏斗に移す。塩化ナトリウム水溶液5%w/w(1L)を加え、有機層を分離させ、硫酸ナトリウム上で脱水し、ろ過し、ろ過物を減圧下で濃縮させる。生成物を、0〜40%のEtOAc/イソヘキサンの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の固形物として表題化合物を得る(116g、70%)。ES/MS(m/e):452(M+1)。
(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
水酸化リチウム(9.26g、386ミリモル)を、N−[(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−イル]ベンズアミド(158.6g、351.6ミリモル)の混合物に、メタノール(1.6L)中で加える。混合物を4時間、70℃に加熱し、次いで22℃に冷却する。反応混合物を真空下で蒸着させ、黄色残留物を得る。残留物を水(1L)及びEtOAc(750mL)中で分割させる。HCl(5M水溶液)を加えてpHを1に調節する。水層を分離させ、有機層をEtOAc(2×200mL)で洗浄する。水層のpHを水酸化ナトリウム50%w/w水溶液を用いてpH=10に調節し、EtOAc(3×1L)を用いて抽出する。有機抽出物を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮し、淡黄色固形物として粗表題化合物を得る(133.3g、99%、12%残留EtOAcを含有する)。ES/MS(m/e):348(M+1)。
(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン
硫酸(33.4ml、626.6ミリモル)を、(4aR,7aS)−7a−(2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(45.8g、125,3ミリモル)のトリフルオロ酢酸(626mL)溶液に加える。混合物を0℃に冷却し、20分間攪拌する。発煙硝酸(6.2mL、144.1ミリモル)を加え、反応混合物を22℃に加温し、3時間攪拌する。反応混合物を蒸着させ、MTBE(250mL)を加え、2回蒸着させる。残留物を真空下で恒量まで乾燥させ、次いで水(147mL)及びエタノール(885mL)に溶解させ、15分間、窒素を通気させながら脱ガスする。溶液を耐圧反応装置へと移し、10%Pd/C 糊状 87L(6.6g、6.27ミリモル)を加える。混合物を追加のエタノール(700mL)を用いて希釈し、16時間、80psiで水素を用いて与圧する。反応混合物をろ過し、次いで10%Pd/C 糊状 87L(6.6g、6.27ミリモル)の第二のキャタリストチャージを加え、混合物を80psiに与圧し、耐圧反応装置中で3日間攪拌する。反応混合物を窒素で洗浄し、珪藻土上でろ過する。ろ過物を蒸着させ、残留物を水(200mL)とEtOAc(200mL)の間で分割させる。水層を分離させ、5℃に冷却し、水酸化アンモニウム15%w/wを用いて中和する。水層を、EtOAc(3×150mL)を用いて抽出する。有機層を1つにまとめ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で蒸着させ、淡褐色固形物として表題化合物を得る(47.7g、99%、残留EtOAcを含有する)。ES/MS(m/e):363(M+1)。
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩
N−[3−[(4aR,7aS)−2−ベンズアミド−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド、異性体1(0.350g、0.58ミリモル)をTHF(2mL)に溶解し、次いで、メタノール(4mL)及びエタノール(4mL)を加える。O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(495mg、5.81ミリモル)及びピリジン(470μL、5.81ミリモル)を混合物に加え、反応物を50℃に加温し、一晩攪拌する。シリカゲル(約10g)を反応物に加え、混合物を濃縮する。シリカゲル上で乾燥させた試料を空のカートリッジ上にロードし、DCM中、7Nアンモニアメタノールの0〜10%勾配を用いて溶出し精製する。生成物を、3:1のDCM:メタノール、次いで2:1のDCM:7Nアンモニアのメタノール溶液を用いたSCXカラム上で2回目の精製を行う。生成物を、DCM中、7Nアンモニアメタノールの0%〜10%の勾配を用いてシリカゲル上で最後に精製し、表題化合物の遊離塩基を得る。この物質をDCM(5mL)に溶解し、1M塩化水素のジエチルエーテル溶液(0.20mL、660μモル)を加える。溶媒を真空下で除去し、表題化合物を得る(71mg、23%)。ES/MS(m/e):498(M+H)。
結晶質固形物のXRDパターンは、35kV及び50mAで操作する、CuKa線λ=1.54060Åを備えたBruker D4 Endeavor粉末X線回析装置及びVantec検出器で得る。試料は、工程サイズが2θの0.009°、及びスキャン速度が0.5秒/工程で、2θで4〜40°の間で、ならびに0.6mmの発散(divergence)、5.28の固定アンチスキャッター(anti−scatter)、及び9.5mmの検出スリットで、スキャンされる。乾燥粉末は石英の試料容器上にパックされ、ガラススライドを用いて滑面を得る。結晶形の回析パターンは大気温度及び相対湿度で集められる。結晶学の分野において、任意の所与の結晶形に関し、回析ピークの相対強度は、たとえば結晶形態及び傾向などの因子に起因する優先される方向性によって変化しうることが良く知られている。優先される方向性の効果が存在する場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特徴的なピーク位置は変化しない。たとえば、The United States Pharmacopeia #23, National Formulary #18, pages 1843-1844, 1995を参照のこと。さらに、結晶学分野において、任意の所与の結晶形に関し、角度のピーク位置は若干変化し得ることが良く知られている。たとえば、ピーク位置は、試料が分析される温度もしくは湿度、試料の移動、または内部標準の有無によって変わり得る。本発明の場合、指定された結晶形の明確な特定を阻害することなく、2θで±0.2のピーク位置の変動性により、これらの潜在的な変化が考慮されている。結晶形の確認は、特徴的なピーク(°2θの単位)、典型的にはより突出したピークの任意の固有の組み合わせに基づき行われ得る。大気温度及び相対湿度で集められた結晶形回析パターンは、8.853及び26.774度2シータでのNIST675標準ピークに基づき調節される。
結晶形1のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド(201mg、403.20μモル)を、4mLの酢酸ブチルと混合し、120℃の攪拌プレート(stirplate)上で攪拌する。固形物は約5分後に溶解し、透明無色の溶液となる。次いで試料を室温まで冷却し、白色固形物が溶液から分離して沈殿する。次いで試料を室温で10分間、スラリー化させ、白色固形物の厚いスラリーが形成される。白色固形物を真空ろ過により単離し、5分間、エアースチーム下で乾燥させる。得られた白色固形物のケークを、60℃の真空オーブン中で風袋計量したバイアル中に週末にかけて置き表題化合物を得る(110mg)。結晶形1のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドは室温、及び約15%未満の相対湿度で安定な結晶形である。
結晶形2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド(水和物)
塩化オキサリル(888μL、10.2ミリモル)を、5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(1.6g、10.2ミリモル)のアセトニトリル(53mL)及びDMF(848μL)の溶液に加える。15分後、新たに調製した溶液を、あらかじめ50℃に加熱した、(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(2.65g、7.3ミリモル)の、水(53mL)及びエタノール(53mL)の混合溶液に加える。反応混合物を1時間、50℃で攪拌し、22℃に冷却し、次いでこの温度で一晩攪拌する。有機溶媒を真空下で蒸発させ、水性混合物を水酸化ナトリウム50%w/w水溶液で処置してpH=10に調節する。淡いクリーム状の固形物を単離し、追加の水で洗浄する。固形物をイソプロピルアルコール(2x)で希釈し、溶媒を蒸発させる。粗物質を、アンモニア処理したメタノール(2N)/塩化メチレンの勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。所望される生成物を含有する分画を1つにまとめ、溶媒を蒸発させ、オフホワイトの固形物として表題化合物を得る(1.9g,52%)。ES/MS(m/e):499(M+1)。
アセトニトリル(500mL)をDMF(19.2mL、248.9ミリモル)に加える。塩化オキサリル(39.3g、309.63ミリモル)、次いで5−メトキシピラジン−2−カルボン酸(46.0g、298.4ミリモル)を、DMF/アセトニトリル溶液に加える。分離フラスコにおいて、(4aR,7aS)−7a−(5−アミノ−2−フルオロフェニル)−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−2−アミン(56.8g、156.75ミリモル)の水溶液をアセトニトリル(500mL)に加え、水酸化アンモニウム(95mL)を用いてpHを9に調節する。次いで、この混合物を50〜55℃に加熱する。塩化オキサリル溶液を滴下して加え、混合物を3時間攪拌する。水酸化アンモニウムを用いてpHを8〜9に調節する。得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥させて表題化合物を得る(123g)。固形物を1.5時間、アセトン(250mL)中でスラリー化させ、ろ過する。湿性ケークをアセトンで洗浄し、表題化合物を得る(110g、HPLCにより90.5%の純度)。THF(1L)及び活性炭(9g)を当該固形物に加え、混合物を一晩加熱して還流する。混合物を、珪藻土を通してろ過し、THF(150mL)で洗浄する。有機溶液を10体積まで濃縮し、60℃に加熱する。水(430mL)を加え、混合物を8時間、60℃で攪拌する。混合物を室温に冷却し、10時間攪拌する。得られた固形物をろ過し、THF/水(7:6)で洗浄し、乾燥させ、表題化合物を得る(69g、88%)。LC−MS:m/z=499(M+1)、純度:98.3%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 2.99 - 3.07 (m, 2 H) 3.07 - 3.14 (m, 1 H) 3.58 - 3.67 (m, 1 H) 3.68 - 3.76 (m, 1 H) 3.76 - 3.84 (m, 1 H) 4.02 (s, 3 H) 4.07 (d, J=10.92 Hz, 1 H) 6.08 (s, 2 H) 7.19 (dd, J=11.98, 8.72 Hz, 1 H) 7.78 - 7.89 (m, 2 H) 8.41 (s, 1 H) 8.44 (s, 2 H) 8.88 (s, 1 H) 10.60 (s, 1 H)。
N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドをTHF中、約23℃、約71mg/mL溶媒の濃度でスラリー化する。約60℃〜約63℃で溶解が発生するまで攪拌しながらスラリーを加熱する。約95:5のTHF:水溶媒の比率を得るまで熱い溶液に水を加える。結晶形2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドの種晶を加える(約3重量%ロード)。得られた薄いスラリーを約20分間、約60℃〜約63℃に維持し、次いで、約2〜約4時間をかけて、約5.3〜約5.5体積の水を加え、約69:31のTHF:水溶媒の比率を得る。次いでスラリーを約30分間、約60℃〜約63℃に維持し、次いで約1時間をかけて約23℃に冷却し、次いで約8〜12時間、攪拌する。次いでスラリーをろ過し、THF:水(35:65)を用いて軽くリンスし、低真空下、約40℃で約8〜12時間、乾燥させ、水和された所望の結晶形2 N−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドを得る。
表1:実施例1bの結晶形2の粉末X線回析ピーク
結晶形3のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミド
表2:実施例1cの結晶形3の粉末X線回析ピーク
in vitroの酵素分析及び細胞分析に関し、被験化合物をDMSO中で調製し、10mMのストック溶液を作成する。in vitroの酵素分析及び全細胞分析を行う前に、10mM〜0.05nMの範囲の最終化合物濃度での10点希釈曲線を作成するために、96ウェルの丸底プレート中でストック溶液はDMSO中で連続希釈される。
ヒトBACE1の発現
ヒトBACE1(アクセッション番号:AF190725)は、全脳cDNAからRT−PCRによりクローニングされる。アミノ酸配列番号1〜460に対応するヌクレオチド配列を、ヒトIgG1(Fc)ポリペプチドをコードするcDNAへと挿入する(Vasser, et al., Science, 286, 735-741 (1999))。このBACE1(1〜460)とヒトFcの融合タンパク質を、huBACE1:Fcと名付け、pJB02ベクター中に構築させる。ヒトBACE1(1〜460):Fc(huBACE1:Fc)を、HEK293細胞中で一過性発現させる。各構築物の250μgのcDNAをFugene6と混合し、1リットルのHEK293細胞に添加する。トランスフェクションの4日後、馴化培地を精製のために回収する。
huBACE1:Fcは、プロテインAクロマトグラフィーにより精製される。酵素は、小さなアリコート中、−80℃で保存される。
被験化合物の連続希釈は上述のように調製される。KH2PO4緩衝液中で化合物はさらに20x希釈される。各希釈の10μLを、反応混合液(25μLの50mMKH2PO4、pH4.6、1mM TRITON(登録商標)X−100、1mg/mL ウシ血清アルブミン、及び15μMのFRET基質)を含有する、対応するタンパク質低結合黒色プレートのA列〜H列の各ウェルに加える(Yang, et. al., J. Neurochemistry, 91(6) 1249-59 (2004)を参照のこと)。内容物を10分間、プレート振とう器上で良く混合する。KH2PO4緩衝液中の200pM ヒトBACE(1〜460):Fc(Vasser, et al., Science, 286, 735-741 (1999)を参照のこと)の15μLを、基質と被験化合物を含有するプレートに加え、反応を開始させる。0時点での混合物のRFUを、プレート振とう器上で軽く混合した後、励起波長355nm、及び発光波長460nmで記録する。反応プレートをアルミニウムホイルで覆い、16〜24時間、室温で、加湿された暗いオーブン内で維持される。インキュベーション終了時のRFUを、0時点で用いられたものと同じ励起及び発光の設定で記録する。0時点と、インキュベーション終了時のRFUの差は、化合物処置を行った下でのBACE1活性を表す。RFUの差は、阻害剤濃度に対してプロットされ、曲線は、4パラメーターロジスティック方程式に適合され、EC50値及びIC50値を得る(Sinha, et al., Nature, 402, 537-540 (2000)を参照のこと)。
また、確認的全細胞分析を、PDAPPトランスジェニック胎児マウスから作製された初代神経細胞培養中で行う。初代皮質神経細胞は、胎児16日目のPDAPP胎芽から調製され、96ウェルプレート中で培養される(10%FBSを添加したDMEM/F12(1:1)中、15x104細胞/ウェル)。in vitroで2日後、培養培地を、B27サプリメント及び2μM(最終)のAra−C(Sigma社、C1768)を含有する血清フリーのDMEM/F12(1:1)と置き換える。in vitroで5日目、神経細胞を37℃で24時間、所望される濃度の阻害剤(DMSO希釈されている)の存在下/非存在下でインキュベートする。インキュベーション終了時、馴化培地を、たとえばAベータペプチドの分析により、ベータ−セクレターゼ活性の兆候に関して分析する。総Aベータペプチド(Aベータ 1−x)を、捕捉抗体としてモノクローナル抗体266を、及び報告抗体としてビオチニル化3D6を用いたサンドイッチELISAにより計測する。あるいは、Aベータ1〜40ペプチド及びAベータ1〜42ペプチドを、Aベータ1〜40に対する捕捉抗体としてモノクローナル抗体2G3を、Aベータ1〜42に対する捕捉抗体としてモノクローナル抗体21F12を用いたサンドイッチELISAにより計測する。Aベータ1〜40及びAベータ1〜42の両方のELISAとも、報告抗体としてビオチニル化3D6を使用する。化合物処置後の馴化培地中に放出されたAベータの濃度は、かかる条件下でのBACE1活性に相当する。10点阻害曲線をプロットし、及び4パラメーターロジスティック方程式に適合することにより、Aベータ低減効果に関するEC50値及びIC50値が得られる。実施例1の化合物は原則的に上述のように検証され、Aベータ低減効果に関し以下の活性を示す。
表3
平均±SEM;SEM=平均の標準誤差。
マウス、モルモット、イヌ、及びサルをはじめとする数種類の動物モデルを用いて、化合物処置後のベータ−セクレターゼ活性のin vivoでの阻害に関しスクリーニングを行ってもよい。本発明に用いられる動物は、野生型動物であっても、トランスジェニック動物であっても、または遺伝子ノックアウト動物であってもよい。たとえば、PDAPPマウスモデルは、Games et al., Nature 373, 523-527 (1995)に記載されるように作製され、他の非トランスジェニック動物または遺伝子ノックアウト動物は、阻害化合物の存在下での、Aベータ及びsAPPベータ産生のin vivo阻害の解析に有用である。一般的に、2〜12か月齢のPDAPPマウス、遺伝子ノックアウトマウス、または非トランスジェニック動物に、たとえばトウモロコシ油、シクロデキストラン、リン酸緩衝液、PHARMASOLVE(登録商標)、または他の適切なビヒクルなどのビヒクル内に製剤化された化合物が投与される。化合物投与の1〜24時間後、動物は殺処分され、脳ならびに脳脊髄液及び血漿が、Aベータ、C99、及びsAPP断片の解析のために回収される(May, et al., Journal of Neuroscience, 31, 16507-16516 (2011)を参照のこと)。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
結晶質である、以下の式:
の化合物。
[2]
結晶形2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[1]に記載の結晶質化合物。
[3]
0.2度の回析角に対する公差で、18.6°、19.3°、及び26.7°からなる群から選択されるピークのうち1つ以上と組み合わせて、11.8°の回析角2シータでのX線回析スペクトラムにおける実質的なピークにより特徴づけられる、[1]または[2]のいずれかに記載の結晶質化合物。
[4]
結晶形1のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[1]に記載の結晶質化合物。
[5]
結晶形3のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、[1]に記載の結晶質化合物。
[6]
0.2度の回析角に対する公差で、18.1°、27.0°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうち1つ以上と組み合わせて、15.7°の回析角2シータでのX線回析スペクトラムにおける実質的なピークにより特徴づけられる、[1]または[5]に記載の結晶質化合物。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物の有効量を、かかる治療を必要としている患者に投与することを含む、患者において、アルツハイマー病を治療する方法。
[8]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物の有効量を、かかる治療を必要としている患者に投与することを含む、患者において、軽度認知障害がアルツハイマー病へと進行することを予防する方法。
[9]
療法における使用のための、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[10]
アルツハイマー病の治療における使用のための、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[11]
軽度認知障害からアルツハイマー病への進行の予防における使用のための、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[12]
1つ以上の薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と、[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物を含有する、医薬組成物。
Claims (12)
- 結晶質である、以下の式:
の化合物。 - 結晶形2のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶質化合物。
- 0.2度の回析角に対する公差で、18.6°、19.3°、及び26.7°からなる群から選択されるピークのうち1つ以上と組み合わせて、11.8°の回析角2シータでのX線回析スペクトラムにおける実質的なピークにより特徴づけられる、請求項1または2のいずれかに記載の結晶質化合物。
- 結晶形1のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶質化合物。
- 結晶形3のN−[3−[(4aR,7aS)−2−アミノ−6−(5−フルオロピリミジン−2−イル)−4,4a,5,7−テトラヒドロピロロ[3,4−d][1,3]チアジン−7a−イル]−4−フルオロ−フェニル]−5−メトキシ−ピラジン−2−カルボキサミドである、請求項1に記載の結晶質化合物。
- 0.2度の回析角に対する公差で、18.1°、27.0°、及び19.7°からなる群から選択されるピークのうち1つ以上と組み合わせて、15.7°の回析角2シータでのX線回析スペクトラムにおける実質的なピークにより特徴づけられる、請求項1または5に記載の結晶質化合物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を、かかる治療を必要としている患者に投与することを含む、患者において、アルツハイマー病を治療する方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を、かかる治療を必要としている患者に投与することを含む、患者において、軽度認知障害がアルツハイマー病へと進行することを予防する方法。
- 療法における使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
- アルツハイマー病の治療における使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
- 軽度認知障害からアルツハイマー病への進行の予防における使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
- 1つ以上の薬学的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を含有する、医薬組成物。
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