JP2017529859A - 乳癌発症リスクを評価する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価する方法及びシステムに関する。具体的には、本開示は、臨床リスク評価と遺伝リスク評価を統合してリスク分析を改良することに関し、該遺伝リスク評価は、本明細書で開示する一塩基多形(SNPs)の少なくとも(72)、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にあるSNPsをスクリーニングすることを含む。【選択図】なし

Description

本開示は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価する方法及びシステムに関する。具体的には、本開示は、臨床リスク評価と遺伝リスク評価を統合して、リスク分析を改良することに関する。
推定では、米国の女性のおよそ8人に1人が生涯のうちに乳癌を発症する。2013年の予測によると、23万人を超える女性が浸潤性乳癌と診断され約4万人が乳癌で死亡する、とされる(ACS Breast Cancer Facts & Figures 2013−14)。したがって、どの女性が癌を発症するのかを予測し、予防策を講じることには大きな意義がある。
多くの研究が、年齢、家族の病歴、出産関連歴、及び良性乳房疾患といった表現型リスク因子に焦点を当てている。これらのリスク因子の様々な組合せを集約したものが、通常よく使用される2種のリスク予測アルゴリズム、Gailモデル(一般の集団向き)(乳癌リスク評価ツールBCRAT(Breast Cancer Risk Assessment Tool)としても知られている)とTyrer−Cuzickモデル(乳癌患者が多い家系の女性向き)である。
乳癌も、他の一般的な癌と同様に、家族的集積性(familial clustering)を示している。多数の疫学研究で、乳癌患者の第一度近親者の罹患率はおよそ2倍であることが実証されている。家族研究、特に双子研究では、この集積性の原因は少なからず遺伝的なものである、と報告されている。
乳癌感受性遺伝子がすでにいくつか特定されており、なかでも重要なのがBRCA1とBRCA2である。これらの遺伝子の変異は、乳癌の高リスク(70歳までに、それぞれ約65%と45%)をもたらす。乳癌患者の一連の集団ベースの変異スクリーニングによると、これらの遺伝子の変異で説明できる乳癌の家族性リスクは約15%だけである。その他の既知の乳癌感受性遺伝子(TP53、PTEN、ATM、CHEK2)の家族性リスクへの寄与は微小である(病因となる変異は稀であり、及び/または微小なリスクしか与えないため)。したがって、既知の乳癌感受性遺伝子全体でも、家族性リスクの原因としてはせいぜい20%と推定されている。
リスクのある遺伝的バリエーションは、稀な(BRCA1やBRCA2などの)高浸透性変異、またはより低いリスクをもたらすバリアントに起因し得る。高浸透性変異は乳癌の家族性リスクの残分の主要な要因ではないことを示す有力な証拠がいくつかある。第1に、複数の症例のある家族の変異スクリーニングで、乳癌率が非常に高い家系の(たとえば親族に乳癌患者が4人以上いるような)症例の大部分がBRCA1またはBRCA2の変異を保有していることが見出されている。第2に、過去9年にわたる徹底した調査にもかかわらず、遺伝連鎖の研究ではとくに新たな連鎖座位は特定されていない。第3に、乳癌家系の大規模な分離分析では、BRCA1及びBRCA2の調節後、さらなる主要な優性の乳癌感受性アレルの証拠は見つかっていない。
BRCA1及びBRCA2の変異に関する生殖細胞系列の遺伝子検査は、今や遺伝子治療では常用されており、乳癌やその他の癌のリスクが有意に高い人の特定を可能にしている。しかし、そのような変異は一般集団においては比較的稀で、米国では全乳癌症例のおよそ10%しか占めていない(そのおよそ半分はBRCA1/2変異によるもの)。孤発性乳癌の残りの80%及び原因となる変異が不明の家族性癌は、一般集団に共通のその他の遺伝/臨床マーカーにより特定しなくてはならない。
乳癌発症リスクの評価用に最初に市販された、低浸透性の多形の検出に依存する検査は、WO2010/139006で説明されているBREVAGen検査であった。この検査は、7または10の一塩基多形の検出に依存している。しかし、特に非白人女性のための一層優れた乳癌リスク評価検査が必要とされている。
発明者らは、ヒト女性対象が乳癌表現型を発症するリスクの評価に有用なSNP’sをゲノム内で特定した。驚くべきことに、これらのSNP’sの一部は、複数の民族的背景間でも有益である。これらの知見は、ヒト女性対象が乳癌表現型を発症するリスクを評価する方法で、本開示のSNP’sを使用できるということを示している。具体的には、これらの結果は、そのような方法が民族的な遺伝子型バリエーションも考慮したうえで好適なロバスト性をもち得ることを示している。
したがって、一態様では、本開示は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価する方法に関し、該方法は、
女性対象の臨床リスク評価を実施すること、
女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することを含み、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、女性対象の遺伝リスク評価を実施すること、及び
該臨床リスク評価を該遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めることを含む。
当業者であれば、統合された臨床リスク評価と遺伝リスク評価は、対象が乳癌を発症する総合的なリスクを特定することを理解しよう。したがって、本発明の方法は、総合リスクを評価するものである。
一実施形態では、本開示の方法は、ヒト女性対象が乳癌を発症する絶対リスクを決定する。
別の実施形態では、本開示の方法は、ヒト女性対象が乳癌を発症する相対リスクを決定する。
女性は、白人、黒人、アウストラロイド、またはモンゴロイドなどのあらゆる人種であり得る。一実施形態では、女性は閉経している。
一実施形態では、女性は白人である。さらなる一実施形態では、方法は、表9に示す少なくとも72の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
さらなる一実施形態では、方法は、表9に示す少なくとも77の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
別の実施形態では、女性は黒人である。さらなる一実施形態では、女性はアフリカ系アメリカ人である。さらなる一実施形態では、方法は、表10に示す少なくとも74の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
さらなる一実施形態では、方法は、表10に示す少なくとも78の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
別の実施形態では、女性はヒスパニックである。さらなる一実施形態では、本開示の方法は、表11に示す少なくとも78の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
さらなる一実施形態では、方法は、表11に示す少なくとも82の一塩基多形かまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含む。
一実施形態では、臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合することは、リスク評価同士を掛けてリスクスコアを提供することを含む。
一実施形態では、臨床リスク評価の実施では、Gailモデル、Clausモデル、Clausテーブル、BOADICEA、Jonkerモデル、Claus Extended Formula、Tyrer−Cuzickモデル、BRCAPRO、及びマンチェスター・スコアリング・システムからなる群より選択されるモデルを用いる。
さらなる一実施形態では、臨床リスク評価の実施には、女性から、乳癌の病歴、腺管癌または小葉癌、年齢、初潮年齢、第一子出産年齢、乳癌の家族歴、過去の乳房生検の結果、乳腺濃度、及び人種/民族のうちの1つ以上について情報を得ることが含まれる。
一実施形態では、臨床リスク評価は、Gailモデルを用いて得られる。一実施形態では、Gailモデルを使用する場合、対象は35歳以上である。
一実施形態では、Gailモデルは、Gail生涯リスクスコアを提供する。
一実施形態では、Gailモデルは、Gail5年リスクスコアを提供する。
代替の一実施形態では、臨床リスク評価は、Tyrer−Cuzickモデルを用いて得られる。
一実施形態では、Tyrer−Cuzickモデルを使用する場合、対象は20歳以上である。
一実施形態では、本開示の方法は、少なくとも73、74、75、76、77、78、79、80、81、82の乳癌関連の一塩基多形を検出することを含んでおり、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である。
一実施形態では、女性は乳房生検を受けたことがある。
一実施形態では、女性は乳癌、小葉癌または腺管癌に罹ったことがない。
一実施形態では、臨床リスク評価の結果は、その女性はより頻繁にスクリーニングを受けるべき、及び/または予防的抗乳癌治療剤を受けるべき、ということを示す。
さらなる一実施形態では、対象に乳癌を発症するリスクがあると決定される場合、その対象は、エストロゲン阻害治療剤に対して非反応性ではなく反応性である可能性が高い。
一実施形態では、乳癌は、エストロゲン受容性陽性またはエストロゲン受容体陰性である。
一実施形態では、連鎖不平衡にある一塩基多形は、0.9よりも高い連鎖不平衡を有している。
別の実施形態では、連鎖不平衡にある一塩基多形の連鎖不平衡は1である。
一実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は0.01よりも高い。
さらなる一実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は、0.05よりも高い。
さらに別の実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は、0.1よりも高い。
別の実施形態では、臨床リスク評価により決定される5年リスクは、約1.5%〜約2%である。
別の態様では、本開示は、72以上の核酸を増幅するための少なくとも72セットのプライマーを含むキットに関し、該72以上の核酸は一塩基多形を含んでおり、ここで該プライマーセットのうち少なくとも67は、表7から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸を増幅し、該プライマーセットの残りは、表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸を増幅する。
別の態様では、本開示は、72以上の核酸にハイブリダイズする少なくとも72セットのプローブを含む遺伝子アレイに関し、該72以上の核酸は一塩基多形を含んでおり、ここで該プローブのうち少なくとも67は、表7から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸にハイブリダイズし、該プローブの残りは、表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸にハイブリダイズする。
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象の定期的な乳癌診断検査の必要性を決定する方法に関し、該方法は、開示の方法を用いて該対象の乳癌発症リスクを評価することを含む。
スクリーニングは、乳癌の生涯リスクがおよそ20〜25%である女性に勧められている(Saslow et al., 2007)。したがって、一実施形態では、約20%の生涯リスクよりも高いリスクスコアは、その対象がスクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィープログラムに登録すべきであることを示す。
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象の乳癌をスクリーニングする方法に関し、該方法は、開示の方法を用いて該対象の乳癌発症リスクを評価すること、及び乳癌を発症するリスクがあると評価された場合は該対象の乳癌について定期的にスクリーニングすることを含む。たとえば、乳癌のスクリーニングは、その対象をスクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィープログラムに登録させることを含み得る。
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象に予防的抗乳癌治療剤が必要かどうかを決定する方法に関し、該方法は、開示の方法を用いて該対象の乳癌発症リスクを評価することを含む。
薬理学的介入は、約1.66%の5年リスクよりも高いリスクスコアを有する女性に勧められている(Visvanathan et al., 2009)。したがって、一実施形態では、約1.66%の5年リスクよりも高いリスクスコアは、その対象に化学的予防剤を勧めるべきであることを示している。たとえば、対象にエストロゲン受容体治療剤を勧めることができる。様々な例示的エストロゲン受容体治療剤については後述する。
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象の乳癌を予防する方法に関し、該方法は、開示の方法を用いて該対象の乳癌発症リスクを評価すること、及び乳癌を発症するリスクがあると評価された場合は該対象に抗乳癌治療剤を投与することを含む。
一実施形態では、該治療剤はエストロゲンを阻害する。
さらなる一態様では、本開示は、乳癌のリスクがあるヒト女性対象の乳癌を予防するために使用される抗乳癌治療剤に関し、該対象は、本開示の方法により、乳癌を発症するリスクがあると評価される。
別の態様では、本開示は、候補治療剤の臨床試験のためにヒト女性対象群を層別化する方法に関し、該方法は、対象が乳癌を発症する個別のリスクを開示の方法により評価すること、及び評価結果を用いて該治療剤に対し反応性がより高そうな対象を選別することを含む。
別の態様では、本発明は、ヒト女性対象が乳癌表現型を発症するリスクを評価するためのキットまたはシステムを準備するためのプローブまたは少なくとも72セットのプライマーの使用を提供し、該方法は、
女性対象の臨床リスク評価を実施すること、
女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することを含み、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、女性対象の遺伝リスク評価を実施すること、及び
該臨床リスク評価を該遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めることを含む。
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価するコンピューター実装方法に関し、該方法は、プロセッサー及びメモリーを含む電算システムで実行でき、
女性対象の臨床リスクデータ及び遺伝リスクデータを受信することであって、該遺伝リスクデータは、該女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することで得られたものであり、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、データを受信すること、
該データを処理して該臨床リスクデータを該遺伝リスクデータと統合し、それによってヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めること、及び
ヒト女性対象の乳癌発症リスクを出力することを含む。
一実施形態では、女性対象の臨床リスクデータ及び遺伝リスクデータは、該電算システムに接続されたユーザー・インターフェースから受信される。
別の実施形態では、女性対象の臨床リスクデータ及び遺伝リスクデータは、無線通信ネットワークを通じて遠隔デバイスから受信される。
別の実施形態では、出力することは、電算システムに接続されたユーザー・インターフェースに情報を出力することを含む。
別の実施形態では、出力することは、無線通信ネットワークを通じて遠隔デバイスに情報を送信することを含む。
別の実施形態では、本開示は、開示の方法を実施するように構成されたシステムに関する。
別の実施形態では、本開示は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価するシステムに関し、該システムは、
女性対象の臨床リスク評価を実施するためのシステム命令、
本開示により女性対象の遺伝リスク評価を実施するためのシステム命令、及び
該臨床リスク評価を該遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めるためのシステム命令を含む。
方法、キット及びシステムの少なくともいくつかの要素を併用できることが、明白になろう。たとえば、乳癌易罹患性と多形の相関関係を特定するシステムを用いて本明細書の方法を実施できる。キットを用いて本明細書の方法を実施できる。したがって、説明されているシステム、方法及びキットの要素は、本明細書の別のシステム、方法及びキットにも適用できる。
本明細書全体を通して、「comprise(含む)」という語、または「comprises」や「comprising」といった変化形は、記載の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を包含するものであり、他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群を排除するものではない。
次に、以下の非限定的実施例により、添付図面を参照しながら、本発明を説明する。
患者の統合生涯リスクの図である。 患者の統合5年リスクの図である。
一般的な手法及び定義
特に断らない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、(たとえば、細胞培養、乳癌解析、分子遺伝学、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学の分野の)当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。
特に断らない限り、本開示で使用する分子学的及び免疫学的手法は、当業者には周知の標準的な手順である。そのような手法は、J. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning, John Wiley and Sons (1984), J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989), T.A. Brown (編), Essential Molecular Biology: A Practical Approach, Volumes 1 and 2, IRL Press (1991), D.M. Glover and B.D. Hames (編), DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes 1−4, IRL Press (1995 and 1996)、及びF.M. Ausubel et al. (編), Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley−Interscience (1988、現在までの改訂もすべて含む), Ed Harlow and David Lane (編) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour Laboratory, (1988)、及びJ.E. Coligan et al. (編) Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons(現在までの改訂もすべて含む)など参考資料内の文献で説明されている。
本開示は、特定の実施形態(当然ながら変化し得る)に限定されないことを理解されたい。また、本明細書内の術語は、特定の実施形態を説明するだけであり、限定する意図はないことも理解されたい。本明細書及び添付の請求項で使用される用語の単数形や単数形の「a」「an」「the」といった冠詞は、たとえば、文脈として明白に複数が排除されるのでなければ、随意で複数形も包含する。したがって、たとえば、「a probe」に言及する場合、随意で、複数のプローブ分子も含む。同様に、文脈によっては、「a nucleic acid」という用語を使用する際は、随意で、その核酸分子の多数のコピーを事実上含む。
本明細書では、特に断らない限り、「about(約)」という用語は、記載値の±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%を指す。
本明細書では、「breast cancer(乳癌)」という用語は、女性対象で発症し得る任意のタイプの乳癌を包含する。たとえば、乳癌は、ルミナルA(ER+及び/またはPR+、HER2−、低Ki67)、ルミナルB(ER+及び/またはPR+、HER2+(または高Ki67のHER2−)、トリプルネガティブ/基底様(ER−、PR−、HER2−)またはHER2タイプ(ER−、PR−、HER2+)などと特徴づけられることがある。別の例では、乳癌は、アルキル化剤、白金剤、タキサン、ビンカ剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣機能抑制剤、エンドクリン/ホルモン剤、ビスホスホナート治療剤または標的化生体治療剤などの治療剤(単数または複数)に耐性があり得る。本明細書では、「乳癌」は、個人が乳癌を発症する素因を呈する表現型も包含する。乳癌の素因を呈する表現型は、たとえば、所与の環境的条件(食事、身体活動状況、地理的所在等)下では、相応する一般集団のメンバーよりも、その表現型をもっている人のほうがより乳癌を発症しやすいことを示し得る。
本明細書では、「biological sample(生体試料)」は、ヒト患者のまたはヒト患者由来の、核酸、特にはDNAを含む、任意の試料、たとえば、患者の体液(血液、唾液、尿等)、生検、組織、及び/または排泄物を指す。したがって、組織生検、便、痰、唾液、血液、リンパなど、基本的には適当な核酸を含むどの対象組織でも、容易にSNPsのスクリーニングができる。一実施形態では、生体試料は、頬の細胞試料である。これらの試料は、典型的には、標準的な医療検査学的方法により、患者のインフォームド・コンセント後に採取される。試料は、患者から採取したままか、または少なくとも部分的に処理(精製)して少なくとも一部の非核酸物質を除去したものであり得る。
「polymorphism(多形)」は、可変的な座位である。つまり、ある集団内で、ある多形のヌクレオチド配列は2種以上のバージョンまたはアレルを有する。多形の一例が「single nucleotide polymorphism(一塩基多形)」であり、これはゲノム内の1つのヌクレオチド位置の多形である(この特定位置のヌクレオチドは、個体間または集団間で異なる)。
本明細書では、「SNP」または「single nucleotide polymorphism(一塩基多形)」という用語は、個体間の遺伝的バリエーション、たとえば、生物のDNAにおける可変的な1つの窒素塩基位置を指す。本明細書では、「SNPs」はSNPの複数形である。当然ながら、本明細書でDNAに言及する場合は、そのアンプリコンやRNA転写物等のDNA誘導体も含み得る。
「allele(アレル)」という用語は、特定の座位で生じるかもしくはコードされている2つ以上の異なるヌクレオチド配列、またはそのような座位によりコードされている2つ以上の異なるポリペプチド配列のうちの1つを指す。たとえば、第1のアレルは1本の染色体上に生じ得、第2のアレルは、たとえばヘテロ接合個体の異なる染色体で生じるように、またはある集団の異なるホモ接合個体またはヘテロ接合個体間で生じるように、第2の相同染色体上に生じる。アレルがある形質と連関しており、かつ、該アレルの存在が、該アレルを有する個体にその形質もしくは形質の形態が現れるという指標となる場合に、該アレルと該形質とは「positively(正の)」相関関係にある。アレルがある形質と連関しており、かつ、該アレルの存在が、該アレルを有する個体にその形質もしくは形質の形態が現れないという指標となる場合に、該アレルと該形質とは「negatively(負の)」相関関係にある。
マーカー多形またはアレルは、特定の表現型(乳癌易罹患性等)と統計学的に連関(正または負)し得る場合に、その表現型と「correlated(相関)」または「associated(関連)」している。多形またはアレルが統計学的に連関しているかどうかを決定する方法は、当業者には既知である。すなわち、特定の多形は、対照集団(たとえば乳癌ではない人の群)よりも症例集団(たとえば乳癌患者群)のほうにより一般的に生じる。この相関は、事実上の因果関係と推定されることが多いが、必ずしもそうである必要はなく、相関/関連が生じるには、表現型の原因となる形質の座位との遺伝的連関(関連)だけで十分である。
「linkage disequilibrium連鎖不平衡」(LD)という語句は、2つの近接した多形遺伝子型の統計学的な相関関係を説明するのに用いられる。典型的には、LDは、配偶子間のHardy−Weinberg平衡(統計学的独立)を想定して、あるランダム配偶子の2つの座位のアレル間の相関関係を指す。LDは、Lewontinの関連パラメータ(D’)またはPearsonの相関係数(r)のいずれかで定量化される(Devlin and Risch, 1995)。LD値が1である2つの座位は、完全LDといわれる。その反対に、LD値がゼロである2つの座位は、連鎖平衡にある、といわれる。連鎖不平衡は、期待値最大化アルゴリズム(EM)を用いたハプロタイプ頻度の推定に続いて計算される(Slatkin and Excoffier, 1996)。本開示において選択される近接する遺伝子型/座位のLD値は、0.1よりも高く、好ましくは0.2よりも高く、より好ましくは0.5よりも高く、さらに好ましくは0.6よりも高く、さらに好ましくは0.7よりも高く、好ましくは0.8よりも高く、さらに好ましくは0.9よりも高く、理想的には約1.0である。
本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsを当業者が容易に特定できる別の方法は、2つの座位のLODスコアを決定することである。LODとは「logarithm of the odds(尤度対数)」の略であり、2つの遺伝子が、または1つの遺伝子と1つの疾患遺伝子とが、1本の染色体上で互いに近接しているかどうか、つまり共に遺伝する可能性があるかどうかの統計学的推定である。一般に、LODスコアが約2〜3かそれよりも高い場合、その2つの遺伝子は染色体上で互いに近接している、とみなされる。本開示のSNPsと連鎖不平衡にある様々なSNPsを表1〜4に示す。発明者らは、本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsの多くのLODスコアが約2〜50であることを見出した。したがって、一実施形態では、本開示において選択される近接する遺伝子型/座位のLOD値の選択は、少なくとも2よりも高く、少なくとも3よりも高く、少なくとも4よりも高く、少なくとも5よりも高く、少なくとも6よりも高く、少なくとも7よりも高く、少なくとも8よりも高く、少なくとも9よりも高く、少なくとも10よりも高く、少なくとも20よりも高く少なくとも30よりも高く、少なくとも40よりも高く、少なくとも50よりも高い。
別の実施形態では、本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsは、約20センチモルガン(cM)以下または未満の特定の遺伝子組換え距離を有し得る。たとえば、15cM以下、10cM以下、9cM以下、8cM以下、7cM以下、6cM以下、5cM以下、4cM以下、3cM以下、2cM以下、1cM以下、0.75cM以下、0.5cM以下、0.25cM以下、または0.1cM以下。たとえば、1つの染色体セグメント内の2つの連鎖した座位は、減数分裂の間、約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、約15%、約14%、約13%、約12%、約11%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、約0.75%、約0.5%、約0.25%、または約0.1%以下または未満の頻度で、互いに組換えが生じ得る。
別の実施形態では、本開示のSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsは、互いから少なくとも100kb(座位の組換え率にもよるが、ヒトでは約0.1cMと相関)、少なくとも50kb、少なくとも20kb以内にある。
たとえば、特定のSNPの代用マーカーを特定する手法として、目的のSNPの周囲のSNPsは連鎖不平衡にあるため疾患易罹患性に関する情報を提供できる、とみなす簡単な方法がある。したがって、本明細書で説明するように、代用マーカーは、HAPMAPなどの公に利用可能なデータベースから、科学界で好適な代用マーカー候補として選択されている、一定の基準を満たすSNPsを検索することによって、特定できる(たとえば表1〜4の凡例を参照のこと)。
「allele frequency(アレル頻度)」は、個体、系統または系統集団内で、ある座位にあるアレルが存在する頻度(割合または比率)を指す。たとえば、アレル「A」に関して、遺伝子型「AA」「Aa」または「aa」の二倍体個体は、それぞれ1.0、0.5、または0.0のアレル頻度を有している。ある系統または集団(たとえば症例集団または対照集団)内でのアレル頻度は、その系統または集団の個体標本のアレル頻度を平均化すれば推定できる。同様に、系統集団内のアレル頻度は、その集団を構成している系統のアレル頻度を平均化することで計算できる。
一実施形態では、「allele frequency(アレル頻度)」という用語は、マイナーアレル頻度(MAF)の定義に使用される。MAFは、所与の集団でもっとも珍しいアレルが生じる頻度を指す。
ある個体が所与の座位に1種類のアレルしかもっていない場合、その個体は「ホモ接合」である(たとえば、二倍体個体は、2本の相同染色体それぞれのある座位に、同じアレルのコピーを有している)。所与の座位に2種類以上のアレルが存在する場合、個体は「ヘテロ接合」である(たとえば、2種類のアレルのコピーを1つずつ有している二倍体個体)。「homogeneity(均一性)」という用語は、ある群のメンバーが1つ以上の特定の座位に同じ遺伝子型を有することを指す。これに対して「heterogeneity(不均一性)」という用語は、ある群内の個体が1つ以上の特定の座位に異なる遺伝子型を有することを指すのに使用される。
「locus(座位)」は、染色体上の位置(position)又は領域である。たとえば、ある多形座位は、ある多形核酸、形質決定因子、遺伝子またはマーカーが存在する位置又は領域である。さらなる一例では、「gene locus(遺伝子座位)」は、種ゲノム内の特定の染色体上の部位(location)(領域)であり、特定の遺伝子が見られ得る。
「marker(マーカー)」「molecular marker(分子マーカー)」または「marker nucleic acid(マーカー核酸)」は、座位または連鎖座位を特定する際の基準点として用いられるヌクレオチド配列またはそのコード化産物(たとえば、たんぱく質)を指す。マーカーは、ゲノムヌクレオチド配列または発現したヌクレオチド配列(たとえば、RNA、nRNA、mRNA、cDNAなど)、またはコード化ポリペプチドに由来し得る。この用語はまた、マーカー配列を増幅できるプローブまたはプライマー対として用いられる核酸などの、マーカー配列に対して相補的なまたはマーカー配列の両側の核酸配列も指す。「marker probe(マーカープローブ)」は、マーカー座位の存在を特定するのに用いられ得る核酸配列または分子であり、たとえば、あるマーカー座位の配列に対して相補的な核酸プローブである。核酸は、たとえばワトソンとクリックの塩基対ルールによると、溶液中で特異的にハイブリダイズする場合に「complementary(相補的)」である。「marker locus(マーカー座位)」は、第2の連鎖座位の存在、たとえば、表現型形質の集団バリエーションをコードするかまたはそれに寄与している連鎖または相関する座位の存在を追跡するのに用いられ得る座位である。たとえば、マーカー座位は、マーカー座位と遺伝的または物理的に連鎖しているQTLなどの座位でのアレルの分離を観察するのに用いられ得る。したがって、「marker allele(マーカーアレル)」あるいは「allele of a marker locus(マーカー座位のアレル)」は、あるマーカー座位に関して多形である集団において該マーカー座位に見られる複数の多形ヌクレオチド配列のうちの1つである。特定される各マーカーは、関連の表現型に寄与するたとえばQTLなどの遺伝因子に対して物理的かつ遺伝的に近接している(したがって物理的及び/または遺伝的連鎖がある)と考えられる。集団のメンバー間の遺伝的多形に対応するマーカーは、当業界で確立されている諸方法により検出できる。これらの方法としては、たとえば、PCRベースの配列特異的増幅法、制限断片長多形(RFLP)の検出、アイソザイムマーカーの検出、アレル特異的ハイブリダイゼーション(ASH)の検出、一塩基伸長の検出、ゲノムの増幅された可変配列の検出、自家持続配列複製の検出、単純反復配列(SSRs)の検出、一塩基多形(SNPs)の検出、または増幅断片長多形(AFLPs)の検出が挙げられる。
核酸増幅の文脈における「amplifying(増幅すること)」という用語は、選択された核酸(またはその転写体)の追加コピーが生産される任意のプロセスである。典型的な増幅法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの様々なポリメラーゼを用いる複製法、リガーゼ連鎖反応(LCR)などのリガーゼ媒介法、及びRNAポリメラーゼを用いる(たとえば転写による)増幅法が挙げられる。
「amplicon(アンプリコン)」は、増幅された核酸であり、たとえば、任意の利用可能な増幅法(たとえば、PCR、LCR、転写など)により鋳型核酸を増幅して生産された核酸である。
「gene(遺伝子)」は、1つ以上の発現分子、たとえばRNA、またはポリペプチドを一緒にコード化している、ゲノム内の1つ以上のヌクレオチド配列である。遺伝子は、RNAへと転写されるコード化配列を含み得、RNAは次いでポリペプチド配列へと翻訳され得、該遺伝子の複製または発現を介助する関連の構造的または調節配列を含み得る。
「genotype(遺伝子型)」は、1つ以上の遺伝子座位における個体(または個体群)の遺伝的構成である。遺伝子型は、個体の1つ以上の既知の座位のアレル(複数可)により、典型的には、両親から受け継いだアレルの集合により、定められる。
「haplotype(ハプロタイプ)」は、1本のDNA鎖上の複数の遺伝子座位における個体の遺伝子型である。典型的には、ハプロタイプにより説明される遺伝子座位は、物理的及び遺伝的に連鎖しており、すなわち同じ染色体ストランド上に存在する。
マーカー、プローブ、またはプライマーの「set(セット)」は、一般的な目的、たとえば特定の遺伝子型(たとえば、乳癌発症リスク)をもつ人の特定に用いられる、マーカー、プローブ、プライマーの集合または群、あるいはそれらから得られるデータを指す。マーカー、プローブ、もしくはプライマーに対応する、またはそれらを用いて得られるデータは、電子媒体に記憶されることが多い。あるセットの各メンバーは特定の目的に関して有用性があるが、セットならびに全部ではなく一部のマーカーを含む各サブセットから選択される個々のマーカーも、特定の目的を達成するのに有用である。
上述した多形や遺伝子、及び対応するマーカープローブ、アンプリコンまたはプライマーは、物理的な核酸として、または核酸の配列情報を含むシステム命令として、本明細書の任意のシステムで具現化され得る。たとえば、システムは、本明細書で説明する遺伝子または多形に対応する(あるいはその一部分を増幅する)プライマーまたはアンプリコンを含み得る。上述の方法と同様に、マーカープローブまたはプライマーのセットは、随意で、複数の該遺伝子または遺伝子座位の複数の多形を検出する。したがって、たとえば、マーカープローブまたはプライマーのセットは、これらの多形または遺伝子それぞれの、あるいは本明細書で説明する任意の他の多形、遺伝子または座位それぞれの、少なくとも1つの多形を検出する。そのようなプローブまたはプライマーはどれでも、任意のそのような多形または遺伝子、またはその相補的核酸、またはその転写産物(たとえば、ゲノム配列から、たとえば転写またはスプライシングによって生産されるnRNAまたはmRNA)のヌクレオチド配列を含み得る。
本明細書では、「receiver operating characteristic curves(受信者操作特性曲線)」は、二分類システムで区切り閾値を変化させながら(1−特異性)に対する感受性をプロットしたグラフを指す。ROCは、偽陽性の割合(FPR=偽陽性率)に対する真陽性の割合(TPR=真陽性率)をプロットすることでも同等に表すことができる。基準を変えながら2つの操作特性(TPRとFPR)を比較するので、相対操作特性曲線としても知られている。ROC分析は、コストコンテキストまたはクラス分布から独立して(かつそれらを特定する前に)、最善であろうモデルを選択し、次善のモデルを破棄するツールを提供する。本開示の文脈で使用する方法は、当業者には明らかになろう。
本明細書では、「combining the clinical risk assessment with the genetic risk assessment to obtain the risk(臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合してリスクを求めること)」という用語は、これらの2つの評価の結果に依存する任意の好適な数学的分析を指す。たとえば、臨床リスク評価と遺伝リスク評価の各結果を足してもよいし、より好ましくは掛けてもよい。
本明細書では、「routinely screening for breast cancer(乳癌の定期的スクリーニング)」及び「more frequent screening(より頻繁なスクリーニング)」という用語は、相対的な用語であり、乳癌発症リスクが特定されていない対象に勧められるスクリーニング頻度との比較に基づく。
民族的遺伝子型バリエーション
異なる集団間に遺伝子型のバリエーションが存在することは、当業者であれば知っている。この現象は、ヒト遺伝的バリエーションと呼ばれている。ヒト遺伝的バリエーションは、民族的背景が異なる集団間に認められることが多い。そのようなバリエーションは、めったに一致せず、環境及び生活スタイル要因の種々の組合せにより左右されがちである。遺伝的バリエーションの結果、民族的背景が異なる集団などの様々な集団間でも有益なSNPsなどの遺伝マーカーの集団を特定することは困難なことが多い。
驚くべきことに、発明者らは、乳癌発症リスクの評価に関し少なくとも3種の民族的背景間でも有益な、共通する一部のSNPsを特定した。
したがって、本開示の方法は、様々な民族的背景のヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価するのに用いることができる、ということになる。たとえば、女性は、形質人類学に基づきコーカソイド(白人)、アウストラロイド、モンゴロイド及びネグロイド(黒人)に分類され得る。
一実施形態では、ヒト女性対象は、白人、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アジア系、インド系、またはラテン系であり得る。好ましい実施形態では、ヒト女性対象は白人、アフリカ系アメリカ人、またはヒスパニックである。
一実施形態では、ヒト女性対象は白人であり、表9から選択される少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。あるいは、表9から選択される少なくとも77の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。
別の実施形態では、ヒト女性対象は黒人であり得、表10から選択される少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。あるいは、表10から選択される少なくとも78の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。
別の実施形態では、ヒト女性対象はアフリカ系アメリカ人であり得、表10から選択される少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。あるいは、表10から選択される少なくとも78の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。
さらなる一実施形態では、ヒト女性対象はヒスパニックであり得、表11から選択される少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82の一塩基多形の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。あるいは、表11から選択される少なくとも82の一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。
これまでに異なる民族起源同士の融合があったことは周知であるが、当業者が本発明を実施する能力に事実上影響はない。
家系的に直接的であれ間接的であれヨーロッパ系起源が優勢であり、肌の色が白い女性は、本開示の文脈では白人とみなす。白人は、たとえば、少なくとも75%の白人祖先をもち得る(たとえば、限定ではないが、祖父母の少なくとも3人が白人である女性)。
家系的に直接的であれ間接的であれ中央または南アフリカ系起源が優勢である女性は、本開示の文脈では黒人とみなす。黒人は、たとえば、少なくとも75%の黒人祖先をもち得る。黒人の家系が優勢であり、肌の色が黒いアメリカ人女性は、本開示の文脈ではアフリカ系アメリカ人とみなす。アフリカ系アメリカ人は、たとえば、少なくとも75%の黒人祖先をもち得る。同様の理論が、たとえば他の国(たとえば英国、カナダまたはオランダ)に在住する黒人祖先をもつ女性にも適用される。
家系的に直接的であれ間接的であれ、スペインまたは中央もしくは南アメリカなどのスペイン語圏の国を優勢的に起源とする女性は、本開示の文脈ではヒスパニックとみなす。ヒスパニックは、たとえば、少なくとも75%のヒスパニック祖先をもち得る。
発明者らは、対象自身が自らをどの人種/系統と考えているかに基づき、本発明を容易に実施できることを見出している。したがって、一実施形態では、ヒト女性対象の民族は自己申告である。一例として、女性対象に「あなたはどの民族グループに属していますか」という質問に答えてもらい、自身の民族を特定してもらうことができる。
別の例では、女性対象の民族は、その対象から然るべき了承を得た後に、医療カルテから、または医師の意見や観察から、引き出される。
当然ながら、特に優勢的な家系がない場合でも、たとえば白人50%黒人50%である場合でも、本発明は、表7の共通の多形に焦点を当てることで実施可能である。
臨床リスク評価
本開示では、任意の好適な臨床リスク評価手順を用いることができる。好ましくは、臨床リスク評価には、1つ以上の座位で女性の遺伝子型を特定することは含まれない。
一実施形態では、臨床リスク評価手順には、女性から、乳癌の病歴、腺管癌もしくは小葉癌、年齢、初潮年齢などの月経歴、第一子出産年齢、乳癌もしくは他の癌の家族歴とその親族の診断時の年齢、過去の乳房生検の結果、経口避妊薬の使用、肥満度指数、アルコール摂取歴、喫煙歴、運動歴、食事、及び人種/民族のうちの1つ以上に関する情報を得ることが含まれる。
一実施形態では、臨床リスク評価は、少なくとも第一度近親者らの年齢、過去の乳房生検の回数、及び既知の病歴を考慮に入れる。
一実施形態では、臨床リスク評価手順は、ヒト女性対象が今後5年の間に乳癌を発症するリスク(すなわち5年リスク)の推定を提供する。
一実施形態では、臨床リスク評価により決定される5年リスクは約1%〜約3%である。
別の実施形態では、臨床リスク評価により決定される5年リスクは約1.5%〜約2%である。
一実施形態では、臨床リスク評価手順は、ヒト女性対象が90歳までに乳癌を発症するリスク(すなわち生涯リスク)の推定を提供する。
一実施形態では、臨床リスク評価により決定される生涯リスクは約15%〜約30%である。
別の実施形態では、臨床リスク評価により決定される5年リスクは約20%〜約25%である。
臨床リスク評価手順の例としては、限定ではないが、Gailモデル(BCRAT)(Gail et al., 1989, 1999 and 2007; Costantino et al., 1999; Rockhill et al., 2001)、Clausモデル(Claus et al., 1994 and 1998)、Clausテーブル、BOADICEA(Antoniou et al., 2002 and 2004)、BRCAPRO(Parmigiani et al., 2007)、Jonkerモデル(Jonker et al., 2003)、Claus Extended Formula(van Asperen et al., 2004)、Tyrer−Cuzickモデル(Tyrer et al., 2004)、マンチェスター・スコアリング・システム(Evans et al., 2004)などが挙げられる。
一例では、臨床リスク評価手順は、Gailモデルである。そのような手順は、ヒト女性対象の5年リスクまたは生涯リスクの推定に用いられ得る。Gailモデルは統計学的モデルであり、NCIのDivision of Cancer Epidemiology and GeneticsのBiostatistics BranchのSenior InvestigatorであったMitchell Gail博士にちなんで名づけられた、乳癌リスク評価ツールの基礎となるものである。このモデルは、女性本人の病歴(過去の乳房生検の回数、及びこれまでの乳房生検検体に異型肥厚化があったかどうか)、本人の出産関連歴(初潮年齢及び第一子出産年齢)、及び本人の第一度近親者(母親、姉妹、娘)の乳癌歴を用いて、特定の期間内に女性本人に浸潤性乳癌が発症するリスクを推定する。35〜74歳の女性28万人を対象にNCIとアメリカがん協会が共同で実施した乳癌スクリーニング研究であるBreast Cancer Detection Demonstration Project(BCDDP)、及びNCIのSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)プログラムの各データがこのモデルの開発に使用された。アフリカ系アメリカ人女性に関する推定は、Women’s Contraceptive and Reproductive Experiences(CARE)研究及びSEERの各データに基づいた。CAREの参加者として、浸潤性乳癌の女性1,607名、浸潤性乳癌ではない女性1,637名が含まれた。
Gailモデルは白人女性の大規模な集団で試験され、乳癌リスクの正確な推定を提供することが見出されている。換言すると、このモデルは白人女性については「実証済み」である。このモデルはアフリカ系アメリカ人女性のWomen’s Health Initiativeのデータでも試験され、性能は良好だったが、過去に生検の経験のあるアフリカ系アメリカ人女性のリスクは過小評価する可能性がある。このモデルはまた、ヒスパニック女性、アジア系アメリカ人女性、及び先住民族系アメリカ人女性でも実証済みである。
別の例では、臨床リスク評価手順はTyrer−Cuzickモデルである。Tyrer−Cuzickモデルには、遺伝的要因と非遺伝的要因の両方が含まれる(Tyrer et al., 2004)。しかし、Tyrer−Cuzickモデルは、本開示で概説する遺伝リスク評価とは別とみなされる。Tyrer−Cuzickは、三世代の家系を用いて、個人がBRCA1/BRCA2変異または仮低浸透性遺伝子のいずれかを保有する可能性を推定する。それに加えて、このモデルには、出産歴、肥満度指数、身長、及び初潮年齢、更年期、HRTの使用、ならびに第一子出産などの個人的リスク因子も含まれる。
別の例では、臨床リスク評価手順は、BOADICEAモデルである。BOADICEAモデルは、分離分析を用いて設計され、易罹患性は、BRCA1及びBRCA2の変異、ならびに個別には乳癌リスクにあまり影響のない複数の遺伝子の乗算的効果を反映する多遺伝子成分により、説明される(Antoniou et al., 2002 and 2004)。このアルゴリズムにより、BRCA1/BRCA2変異の可能性の予測、及び乳癌家系の人の癌リスクの推定が可能になる。
別の例では、臨床リスク評価手順は、BRCAPROモデルである。BRCAPROモデルは、公開されているBRCA1及びBRCA2の変異頻度を組み込んだBayesianモデルである。変異保有者の癌浸透度、患者の第一度及び第二度近親者らの癌の状態(罹患、非罹患、未定)及び年齢(Parmigiani et al., 1998)。このアルゴリズムにより、BRCA1/BRCA2変異の可能性の予測、及び乳癌家系の人の癌リスクの推定が可能になる。
別の例では、臨床リスク評価手順は、Clausモデルである。Clausモデルは、乳癌を発症する遺伝性リスクの評価を提供する。このモデルは、Cancer and Steroid Hormone Studyのデータをもとに開発された。このモデルには当初は乳癌の家族歴に関するデータしか含まれなかったが(Claus et al., 1991)、その後の改訂で卵巣癌の家族歴に関するデータも含まれるようになった(Claus et al., 1993)。実際には、生涯リスクの評価は、通常、いわゆるClausテーブルから引き出される(Claus et al., 1994)。このモデルはさらに改正されて、両側性疾患、卵巣癌、及び3人以上の罹患親族に関する情報も組み込まれ、「Claus Extended Model」と命名された(van Asperen et al., 2004)。
遺伝リスク評価
一態様では、本開示の方法は、遺伝リスク評価を実施することにより、女性対象の乳癌発症リスクを評価することに関する。別の態様では、これらの方法は、臨床リスク評価も組み込んで、乳癌を発症する統合リスクを提供する。
遺伝リスク評価は、対象の遺伝子型を72以上の座位で乳癌関連の一塩基多形に関して分析することにより実施される。当業者であれば理解しようが、乳癌発症リスクを高める各SNPは、1.0よりも高い、より好ましくは1.02よりも高い乳癌関連オッズ比を有する。そのようなSNPsの例としては、限定ではないが、表6〜11に記載のもの、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形が挙げられる。
当業者であれば理解しようが、乳癌を発症するリスクを減じる各SNPは、1.0未満の乳癌関連オッズ比を有する。一実施形態では、オッズ比は0.98未満である。
一実施形態では、本開示の方法を実施する場合、少なくとも67の一塩基多形が表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である。別の実施形態では、本開示の方法を実施する場合、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70の一塩基多形が表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である。
本明細書で具体的に記載されているSNPsと連鎖不平衡にあるSNPsを特定することは、当業者にとっては容易である。そのようなSNPsの例としては、rs2981582と強い連鎖不平衡にあるrs1219648及びrs2420946(その他の可能な例を表1に記載)、SNP rs3803662と強い連鎖不平衡にあるrs12443621及びrs8051542(その他の可能な例を表2に記載)、及びSNP rs4415084と強い連鎖不平衡にあるrs10941679(その他の可能な例を表3に記載)が挙げられる。それに加えて、rs13387042と連鎖不平衡にあるSNPsの例を表4に記載する。表6に挙げたその他のSNPsのそのような連鎖多形は、当業者であればHAPMAPデータベースを用いて極めて容易に特定できる。
一実施形態では、表6に示す一塩基多形のうち少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88が、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。さらなる実施形態では、表7に示す少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70が、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形が評価される。
さらなる実施形態では、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88の一塩基多形が評価され、ここで表7に示す少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70が、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形が評価され、残りのSNPsはすべて表6から選択されるか、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である。
一実施形態では、本開示の方法は、表6に示すSNPsの全部、またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を評価することを包含する。
表6と表7に記載のSNPsには重複があるが、SNPsを選択して評価する際に、同じSNPを二度選択することはないことを理解されたい。表6のSNPsを表7と表8とに分けたのは便宜的な理由からである。表7は、白人、アフリカ系アメリカ人及びヒスパニックの集団に共通のSNPsのリストである。表8は、白人、アフリカ系アメリカ人及びヒスパニックの集団に共通しないSNPsのリストである。
さらなる一実施形態では、72〜88、73〜87、74〜86、75〜85、76〜87、75〜86、76〜85、77〜84、78〜83、79〜82、80〜81の一塩基多形が評価され、ここで少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70の表7に示されるSNPsまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形が評価され、残りのSNPsはすべて表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である。
一実施形態では、評価されるSNPsの数は、純再分類指数(NRI)を用いて計算されるリスク予測の純再分類改善度に基づく(Pencina et al., 2008)。
一実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は0.01よりも高い。
さらなる一実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は0.05よりも高い。
さらに別の実施形態では、本開示の方法の純再分類改善度は0.1よりも高い。
複合的SNP相対リスク「SNPリスク」の計算
個人の複合的SNP相対リスクスコア(「SNPリスク」)は、評価される各SNPの遺伝子型相対リスクの積として定められ得る。その場合、対数加法リスクモデル(log−additive risk model)を用いて、希少疾患モデルでの相対リスク値1、OR、及びORを有する1つのSNPについて3つの遺伝子型AA、AB、及びBBを定めることができ、ここでORは、既に報告されている低リスクアレルAに対する高リスクアレルBの疾患オッズ比である。アレルBが頻度(p)を有する場合、これらの遺伝子型の集団内頻度は、Hardy-Weinberg平衡を想定して、(1−p)、2p(1−p)、及びpとなる。次に、各SNPの遺伝子型の相対リスク値を、これらの頻度に基づき集団内平均相対リスクが1となるように、調整することができる。具体的には、次の調整前の集団内平均相対リスクが与えられたとすると、
(μ)=(1−p)+2p(1−p)OR+pOR
調整後のリスク値1/μ、OR/μ、及びOR/μが遺伝子型AA、AB、及びBBに用いられる。欠けている遺伝子型には相対リスク1が割り当てられる。
非SNP多形にも同様の計算を実施できる。
統合臨床評価×遺伝リスクスコア
臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合してヒト女性対象の乳癌発症「リスク」を求める場合、次の式を用いることができる。
[リスク(すなわち臨床評価×SNPリスク)]=[臨床評価リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
この例は、多形がSNPsである場合のものだが、同様の手順を非SNP多形にも用いることができる。
式中「臨床評価」は臨床評価により提供されたリスクスコアであり、SNP〜SNP72は個々のSNPsの相対リスクスコアであり、上述したように集団内平均が1になるように、それぞれ調整されている。SNPリスクスコアは集団内平均リスクが1となるように「centred(中心化)」されているので、SNPs同士が独立していると想定するならば、統合スコアの全遺伝子型の集団内平均リスクは、その背後の「臨床評価」のリスク推定値と一致している。
一実施形態では、ヒト女性対象の乳癌発症リスクは次式により計算される。
[臨床評価5年リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
別の実施形態では、ヒト女性対象の乳癌発症リスクは次式により計算される。
[臨床評価リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
別の実施形態では、ヒト女性対象の乳癌発症リスクは次式により計算される。
[臨床評価生涯リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
一実施形態では、「臨床評価」は、Gailモデルを用いて実施されて、Gailリスクスコアを提供する。この実施形態では、リスク(すなわち統合5年Gail×SNPリスク)スコアは次式により得られる。
[リスク(すなわちGail5年リスク×SNPリスク)]=[Gail5年リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
一実施形態では、リスク[Gail5年リスク×SNPリスク]は、対象のリスクを減じるためにエストロゲン受容体治療剤を対象に勧めるべきかどうかを決定するのに用いられる。この実施形態では、リスクの閾値レベルは好ましくは(5年リスクのGAIL指数>1.66%)である。
別の実施形態では、リスクスコアは、次式による統合Gail生涯リスク×SNPリスクにより決定される。
[リスク(すなわちGail生涯リスク×SNPリスク)]=[Gail生涯リスク]×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP×SNP7,×SNP8.・・・×SNP72など
さらなる一実施形態では、リスク[Gail生涯リスク×SNPリスク]は、対象がスクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィープログラムに登録すべきかどうかを決定するのに用いられる。この実施形態では、閾値レベルは好ましくは約(20%の生涯リスク)よりも高い。
一実施形態では、本開示の方法は、臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めることを含む。
ヒト女性対象の乳癌発症「リスク」は、必要に応じて相対リスク(またはリスク比)または絶対リスクとして提供できるものとする。
一実施形態では、臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象が乳癌を発症する「relative risk(相対リスク)」を求める。特定の特徴(または曝露)のある人の発症率を、該特徴のない人の発症率で割った相対リスク(またはリスク比)は、その特定の曝露がリスクを高めるか減じるかを示す。相対リスクは疾患関連の特徴を特定するには有用であるが、リスク頻度(発症率)は消去されるためスクリーニングを行うかどうかの決定にはそれだけでは特に有用ではない。
別の実施形態では、臨床リスク評価を遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象が乳癌を発症する「absolute risk(絶対リスク)」を求める。絶対リスクは、特定の期間内(たとえば5、10、15、20年以上)にヒト女性対象が乳癌を発症する数値的確率である。絶対リスクは、様々なリスク要因を単独で考慮しない範囲で、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを反映している。
治療剤
本開示の方法を実施した後、対象は治療剤(treatment)を処方または投与され得る。
当業者であれば、乳癌は、不均一な疾患であって予後も様々であることを理解しよう(Sorlie et al., 2001)。たとえば、当業界では、乳癌は、エストロゲン受容体陽性またはエストロゲン受容体陰性であり得ると論じられている。
一実施形態では、本開示の方法は、特定のタイプまたはサブタイプの乳癌発症リスクを評価することに限定されないものとする。たとえば、本開示の方法は、エストロゲン受容体陽性またはエストロゲン受容体陰性の乳癌発症リスクの評価に用いることができるものとする。
別の実施形態では、本開示の方法は、エストロゲン受容体陽性の乳癌発症リスクの評価に用いられる。
別の実施形態では、本開示の方法は、エストロゲン受容体陰性の乳癌発症リスクの評価に用いられる。
別の実施形態では、本開示の方法は、転移性乳癌の発症リスクの評価に用いられる。
一例では、エストロゲンを阻害する治療剤(therapy)が対象に処方または投与される。
別の例では、化学的予防剤が対象に処方または投与される。
現在、乳癌の化学的予防には主として次の2種の薬物が使用されている。
(1)エストロゲン分子が関連の細胞受容体に結合するのを妨害する、選択的エストロゲン受容体調整剤(SERMs)。この種の薬物としては、たとえばタモキシフェンやラロキシフェンが挙げられる。
(2)アロマターゼ酵素によるアンドロゲンからエストロゲンへの変換を阻害する、すなわちエストロゲンの産生を減じるアロマターゼ阻害剤。この種の薬物としては、たとえばエキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール、ボロゾール、ホルメスタン、ファドロゾールが挙げられる。
一例では、SERMまたはアロマターゼ阻害剤が対象に処方または投与される。
一例では、タモキシフェン、ラロキシフェン、エキセメスタン、レトロゾール、アナストロゾール、ボロゾール、ホルメスタンまたはファドロゾールが対象に処方または投与される。
一実施形態では、本開示の方法は、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価し、その乳癌発症リスクに適した治療剤を投与するのに用いられる。たとえば、本開示の方法を実施して乳癌の高リスクが示された場合、強度の化学的予防剤治療計画が立てられ得る。これに対して、本開示の方法を実施して乳癌の中程度のリスクが示された場合、さほど強度ではない化学的予防剤治療計画が立てられ得る。あるいは、本開示の方法を実施して乳癌の低リスクが示された場合、化学的予防剤治療計画を立てる必要はない。本開示の方法は、対象の乳癌発生リスクにしたがって治療計画を修正できるように、ある期間にわたって実施できるものとする。
マーカー検出ストラテジー
本開示では、マーカー(たとえばマーカー座位)を増幅するための増幅プライマー、及びそのようなマーカーを検出するための、または複数のマーカーアレルに関して試料の遺伝子型を特定するための好適なプローブを用いることができる。たとえば、長域(long−range)PCR用のプライマーの選択がUS10/042,406及びUS10/236,480で説明されており、短域(short−range)PCR用のプライマーの選択についてはUS10/341,832に案内が記載されている。また、プライマー設計に利用できる「Oligo」などの公に入手可能なプログラムもある。当業者であればこのような利用可能な選択されているプライマー及び設計ソフトウェア、公に入手可能なヒトゲノム配列及び多形位置を使って、SNPsを増幅するためのプライマーを作製して本開示を実施することができる。さらに、SNPを含む核酸(たとえば、SNPを含むアンプリコン)の検出に用いられる具体的なプローブは様々であり得ることを理解されたい。たとえば、本開示に関しては、マーカーアンプリコンの検出対象領域を特定できるプローブであればどれでも用いることができる。さらに、当然ながら、検出プローブの構成も様々であり得る。したがって、本開示は本明細書で示す配列には限定されない。
実際、増幅はマーカー検出の要件ではないことが理解されよう。たとえば、単にゲノムDNA試料をサザンブロットに供して、非増幅ゲノムDNAを直接検出することもできる。
典型的には、分子マーカーは、限定ではないが、アレル特異的ハイブリダイゼーション(ASH)、一塩基伸長の検出、アレイハイブリダイゼーション(随意でASHも含む)、またはその他の一塩基多形(SNPs)の検出法、増幅断片長多形(AFLP)の検出法、増幅可変配列の検出法、ランダム増幅多形DNA(RAPD)の検出法、制限断片長多形(RFLP)の検出法、自家持続配列複製の検出法、単純配列反復(SSR)の検出法、及び一本鎖高次構造多形(SSCP)の検出法などの、当業界で利用可能な任意の確立された方法により検出される。
乳癌関連のSNPsを含む核酸を増幅するのに有用なオリゴヌクレオチドプライマーの例を表5に記載する。当業者であれば理解しようが、これらのオリゴヌクレオチドがハイブリダイズするゲノム領域の配列を用いてプライマーを設計でき、それらは5’及び/または3’末端がより長く、おそらくは(短縮バージョンでも増幅に用いることができるのならば)5’及び/または3’がより短く、1つまたは少数のヌクレオチド差がある(けれども増幅には使用可能である)か、または記載のものとは配列類似性をもたないが、準備された特定のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする場所近くのゲノム配列に基づき設計されており、なおも増幅には使用可能である。
いくつかの実施形態では、本開示のプライマーは、放射標識されているか、または任意の好適な手段(たとえば、非放射性蛍光タグを用いる)で標識されて、増幅反応後、何ら追加の標識ステップや可視化ステップを加えなくても、サイズが異なるアンプリコンをすぐに可視化できる。いくつかの実施形態では、プライマーは標識されていないが、アンプリコンはサイズ分解後、たとえばアガロースまたはアクリルアミドゲル電気泳動後に、可視化される。いくつかの実施形態では、サイズ分解後のPCRアンプリコンの臭化エチジウム染色により、異なるサイズのアンプリコンが可視化できる。
本開示のプライマーは、特定のサイズのアンプリコンの生産に限定されるものではない。たとえば、本明細書のマーカー座位及びアレルを増幅するのに用いられるプライマーは、関連座位の全領域またはサブ領域の増幅に限定されない。プライマーは、検出用に任意の好適な長さのアンプリコンを生成できる。いくつかの実施形態では、マーカー増幅により、少なくとも20ヌクレオチド長の、あるいは少なくとも50ヌクレオチド長の、あるいは少なくとも100ヌクレオチド長の、あるいは少なくとも200ヌクレオチド長のアンプリコンを生産する。本明細書で説明する様々な技術を用いてあらゆるサイズのアンプリコンを検出できる。塩基組成やサイズの違いは、電気泳動などの一般的な方法により検出できる。
遺伝マーカーを検出するいくつかの手法は、プローブ核酸の遺伝マーカーに対応する核酸(たとえば、ゲノムDNAを鋳型として生産された増幅核酸)へのハイブリダイゼーションを利用する。ハイブリダイゼーションのフォーマットとしては、限定ではないが、溶液相、固相、混合相が挙げられ、またはインサイツのハイブリダイゼーションアッセイがアレルの検出に有用である。核酸ハイブリダイゼーションについての詳細な説明が、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes Elsevier, New YorkならびにSambrook et al.(前掲)に記載されている。
本開示においては、一般に「TaqMan(商標)」プローブと呼ばれる、二重標識された蛍光発生オリゴヌクレオチドプローブを用いてのPCR検出も実施できる。これらのプローブは、2種の異なる蛍光色素で標識された短い(たとえば20〜25塩基の)オリゴデオキシヌクレオチドで構成されている。各プローブの5’末端にはレポーター色素が、各プローブの3’末端にはクエンチング色素が見られる。オリゴヌクレオチドプローブ配列は、PCRアンプリコンに存在する内部標的配列と相補的である。プローブが無傷のとき、2種のフルオロフォア間でエネルギー移動が生じ、レポーターの発光はFRETによりクエンチャーによって停止されている。PCRの伸長相の間、プローブは反応に用いられるポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により切断され、それによってオリゴヌクレオチドクエンチャーからレポーターが解放されて、レポーターの発光強度が高まる。したがって、TaqMan(商標)プローブは、標識とクエンチャーとを有するオリゴヌクレオチドであり、増幅に用いられるポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ作用によって、標識が増幅中に解放される。こうして合成中に増幅をリアルタイムで測定できる。様々なTaqMan(商標)試薬が、たとえばApplied Biosystems社(Division Headquartersの所在地はカリフォルニア州フォスターシティ)や、様々な専門メーカー、たとえばBiosearch Technologies社から市販されている(たとえば、ブラックホールクエンチャープローブ)。二重標識プローブ法に関するさらなる詳細はたとえばWO92/02638に記載されている。
他の類似の方法としては、たとえば米国特許第6,174,670号で説明されている「LightCycler(登録商標)」フォーマットを用いる、たとえば2つの隣接ハイブリダイズ化プローブ間の蛍光共鳴エネルギー移動が挙げられる。
アレイによる検出は、Affymetrix社(カリフォルニア州サンタクララ)または他のメーカーから市販されているアレイを用いて実施できる。核酸アレイの操作に関する文献としては、Sapolsky et al. (1999); Lockhart (1998); Fodor (1997a); Fodor (1997b)及びChee et al. (1996)が挙げられる。アレイによる検出は元来高収率な性質をもつため、試料中の本開示のマーカーを特定する好ましい方法である。
分析対象の核酸試料は、単離され、増幅され、典型的にはビオチン及び/または蛍光レポーター基で標識される。標識された核酸試料は次に、流体工学的ステーション及びハイブリダイゼーションオーブンを用いて、アレイといっしょにインキュベートされる。アレイは検出方法に合わせて、洗浄、または染色もしくは対比染色され得る。ハイブリダイゼーション、洗浄及び染色が終わると、アレイはスキャナーに挿入されて、ハイブリダイゼーションのパターンが検出される。ハイブリダイゼーションデータは、この時点でプローブアレイに結合している標識された核酸に既に組み込まれている蛍光レポーター基の発光によって、収集される。標識された核酸ともっとも明確に適合するプローブは、ミスマッチを有するプローブよりも強い信号を生成する。アレイ上の各プローブの配列と位置はわかっているので、相補性によって、プローブアレイに供された核酸試料の同一性が特定できる。
マーカーと表現型の相関関係の証明
このような相関関係の証明を実施することは、アレルと表現型、またはアレルの組合せと表現型の組合せの関係を特定できるどの方法ででも可能である。たとえば、本明細書で説明する遺伝子または座位のアレルは、1つ以上の乳癌表現型と相関し得る。もっとも典型的には、これらの方法には、多形のアレルと表現型の相関関係を収容するルックアップテーブルを参照することが含まれる。テーブルには、複数のアレル−表現型の関係のデータが含まれ得、たとえば、主成分分析、ヒューリスティックアルゴリズムなどの統計学的ツールを用いて複数のアレル−表現型の関係の加算的または他の高次の効果を考慮に入れることができる。
マーカーと表現型の相関関係を証明することは、随意で、相関関係を証明する1つ以上の統計学的検定を実施することを含む。多くの統計学的検定が知られており、その大半はコンピューターで実行され容易に分析できる。表現型形質と生体マーカーの関連/相関を決定する様々な統計学的方法が知られており、それらを本開示に用いることができる。Hartl(1981) A Primer of Population Genetics Washington University, Saint Louis Sinauer Associates, Inc. Sunderland, Mass. ISBN: 0−087893−271−2。様々な適切な統計学的モデルが、Lynch and Walsh (1998) Genetics and Analysis of Quantitative Traits, Sinauer Associates, Inc. Sunderland Mass. ISBN 0−87893−481−2で説明されている。これらのモデルにより、たとえば、遺伝子型と表現型の値の相関関係が証明でき、ある座位がある表現型に及ぼす影響を特徴づけ、環境と遺伝子型の環境を解明し、遺伝子の優性性や浸透性を決定し、母方の及び他の後成的影響を決定し、(主成分分析つまり「PCA」により)分析で主成分を決定する、などが可能である。これらの図書に引用されている参考文献は、マーカーと表現型の相関関係を証明する統計学的モデルについてさらに詳述している。
相関関係を決定する標準的な統計学的方法に加えて、遺伝的アルゴリズムを使用するなど、パターン認識やトレーニングによって相関関係を決定する方法も、マーカーと表現型の相関関係の決定に用いることができる。このことは、複数のアレルと複数の表現型の高次の相関関係を特定するのに特に有用である。例示すると、各種ニューラルネットワークアプローチを遺伝的アルゴリズムタイプのプログラミングと合わせて、構造−機能データスペースモデルをヒューリスティックに開発し、遺伝情報と表現型結果の相関関係を決定することができる。
いずれの場合も、標準的なプログラミング法により、または統計学的分析を実行する様々な「既製の」ソフトウェアパッケージのいずれかを用いることによって、基本的にはどの統計学的検定でもコンピューター実装モデルに用いることができ、ソフトウェアパッケージとしては、たとえば、上述したもの、及び、たとえばパターン認識用ソフトウェアを提供する(たとえば、Partek Pro 2000 Pattern Recognition Softwareを提供する)たとえばPartek社(ミズーリ州セントピーターズ www.partek.com)の市販品が挙げられる。
関連研究に関するさらなる詳細が、US10/106,097、US10/042,819、US10/286,417、US10/768,788、US10/447,685、US10/970,761、及び米国特許第7,127,355号に記載されている。
上述の相関関係の証明を実施するためのシステムも、本開示の要素である。典型的には、システムは、アレルの存在または不存在(直接の検出でも、たとえば発現レベルによる検出でも)と予測される表現型の相関関係を証明するシステム命令を含むことになる。
随意で、システム命令は、検出されたアレルのあらゆる情報に関連する診断情報、たとえば、関連のアレルを有する対象が特定の表現型を有しているという診断を受け付けるソフトウェアも含み得る。このソフトウェアは事実上ヒューリスティックであり得、そのような入力された関連情報を用いてルックアップテーブルの精度及び/またはシステムによるルックアップテーブルの解釈を改良する。そのような様々なアプローチ、たとえばニューラルネットワーク、Markovモデリングその他の統計学的分析は、上述したとおりである。
多形プロファイリング
本開示は、本開示で概説するSNPs(表6)またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にあるSNPsにおける、個人の多形プロファイルを決定する方法を提供する。
多形プロファイルは、個人の様々な多形部位を占める多形形態(polymorphic forms)を構成する。二倍体のゲノムでは、通常、同一であるかまたは互いに異なる2つの多形形態が各多形部位を占めている。したがって、XとYという部位の多形プロファイルは、X形態(x1,x1)とY形態(y1,y2)で表すことができ、ここでx1,x1はX部位を占めるx1アレルの2つのコピーを表し、y1,y2はY部位を占めるヘテロ接合アレルを表している。
個人の多形プロファイルは、各部位に生じる乳癌の耐性または感受性に関する多形形態との比較によって、スコア付けされ得る。比較は、少なくとも、たとえば、1、2、5、10、25、50、または全部の多形部位、及び随意で、それらと連鎖不平衡にあるその他について、実施され得る。多形部位は他の多形部位と併せて分析され得る。
多形プロファイリングは、たとえば、所与の個人の乳癌の治療または予防に影響を及ぼす薬剤を選択するのに有用である。多形プロファイルが類似している人同士は、薬剤に対する反応が類似しやすい。
多形プロファイリングはまた、乳癌または関連の状態を治療する能力を試験している薬剤の臨床試験において、被験者を層別化するのにも有用である。そのような臨床試験は、類似または同一の多形プロファイル、たとえば個人が乳癌を発症する高いリスクを有していることを示す多形プロファイルを有する治療または対照集団に実施される(EP99965095.5を参照のこと)。遺伝的に一致する集団を用いることで、遺伝的要因による治療結果のばらつきを排除または低減でき、候補薬物の効果をより正確に評価することにつながる。
多形プロファイリングはまた、乳癌の素因のない人を臨床試験から除外するのにも有用である。そのような人を臨床試験に含めると、統計学的に有意な結果を得るのに必要な集団のサイズが大きくなる。乳癌の素因のない人は、上述したようにして、多形プロファイルにおける耐性及び感受性アレルの数を決定することにより特定できる。たとえば、対象の遺伝子型を、乳癌に関連のある本開示の10の遺伝子の10の部位で決定する場合、全部で20のアレルを決定することになる。これらの50%以上、あるいは60%または75%以上が耐性遺伝子である場合、その人は乳癌を発症し難いので、試験から除外され得る。
他の実施形態では、臨床試験の被験者を層別化することは、多形プロファイリングと他の層別化方法、たとえば、限定ではないが、家族の病歴、リスクモデル(たとえば、Gailスコア、Clausモデル)、臨床的表現型(たとえば、異型病変、乳腺濃度)、及び特定の候補バイオマーカーを組み合わせて用いることにより、達成され得る。
コンピューター実装方法
本開示の方法は、コンピューター実装方法など、システムにより実行され得るものとする。たとえば、システムは、メモリーに接続されている1つのまたは一緒に動作し得る複数のプロセッサー(便宜上「プロセッサー」と呼ぶ)を含むコンピューターシステムであり得る。メモリーは、ハードドライブ、ソリッドステートディスクまたはCD−ROMなどの非一過性コンピューター読み取り可能媒体であり得る。ソフトウェア、すなわち実行可能な諸命令またはプログラムコード(コードモジュールにグループ化したプログラムコードなど)は、メモリーに記憶され得、プロセッサーにより実行されると、コンピューターシステムに諸機能を実行させることができる。諸機能とはたとえば、ヒト女性対象の乳癌発症リスクをユーザーが決定するのを支援するタスクを実行すべきと決定すること;女性対象が乳癌を発症する臨床リスク及び遺伝リスクを示すデータを受信することであって、該遺伝リスクは、女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することで得られたものであり、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、データを受信すること;該データを処理して該臨床リスクデータを該遺伝リスクデータと統合し、それによってヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めること;ヒト女性対象の乳癌発症リスクを出力すること、が挙げられる。
たとえば、メモリーは、プロセッサーにより実行されると、システムに、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を決定させ、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、または、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を示すデータを受信させ、ここで該一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり;該データを処理して該臨床リスクを該遺伝リスクデータと統合し、それによってヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めさせ;ヒト女性対象の乳癌発症リスクを報告させる、プログラムコードを含み得る。
別の実施形態では、システムは、ユーザー・インターフェースに接続されて、ユーザーからの情報を受信し、及び/または情報を出力もしくは表示することができる。たとえば、ユーザー・インターフェースは、グラフィックなユーザー・インターフェース、音声ユーザー・インターフェースまたはタッチスクリーンを含み得る。
一実施形態では、プログラムコードは、システムに「SNPリスク」を決定させることもある。
一実施形態では、プログラムコードは、システムに統合臨床評価×遺伝リスク(たとえばSNPリスク)を決定させることもある。
一実施形態では、システムは、無線通信ネットワークなどの通信ネットワークを通じて少なくとも1つの遠隔デバイスまたはサーバーと通信する構成であり得る。たとえば、システムは、通信ネットワークを通じて少なくとも1つの遠隔デバイスまたはサーバーから情報を受信し、通信ネットワークを通じて同じまたは別のデバイスまたはサーバーに情報を送信する構成であり得る。他の実施形態では、システムは、直接的なユーザーとの対話から隔絶され得る。
別の実施形態では、本開示の方法を実施してヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価することで、女性対象が乳癌を発症する臨床リスク及び遺伝リスクに基づき診断または予後のルールを作ることができる。たとえば、診断または予後のルールは、対照、標準または閾値レベルのリスクに対して相対的な統合臨床評価×SNPリスクスコアに基づき得る。
一実施形態では、リスク閾値レベルは、アメリカがん協会(ACS)のスクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィーのガイドラインで勧められるレベルである。この例では、閾値レベルは好ましくは約(20%の生涯リスク)よりも高い。
別の実施形態では、リスク閾値レベルは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が推す、対象のリスクを減じるためにエストロゲン受容体治療剤を勧めるレベルである。この実施形態では、リスク閾値レベルは好ましくは(5年リスクのGAIL指数>1.66%)である。
別の実施形態では、診断または予後のルールは、統計学的及び機械学習アルゴリズムの適用に基づく。そのようなアルゴリズムは、(既知の疾患状態を有する)トレーニングデータ内に見られるSNPs集団と疾患状態の関係を用いて、次に未知のリスクを有する対象におけるヒト女性対象の乳癌発症リスクを決定するのに用いられる関係を推定する。ヒト女性対象の乳癌発症リスクを提供するアルゴリズムが用いられる。このアルゴリズムは、多変量または一変量分析関数を実行する。
キット及び製品
一実施形態では、本発明は、72以上の核酸を増幅するための少なくとも72セットのプライマーを含むキットを提供し、該72以上の核酸は、表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む。
一実施形態では、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70セットのプライマーが、表7から選択される一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸を増幅する。
本発明のキットに適したプライマーの例を表5に記載する。
しかし、当業者であれば理解しようが、SNPが特定されると、そのSNPを増幅するプライマーはルーチン的に設計され得る。目的のSNPsを増幅する好適なプライマーを提案できる様々なソフトウェアプログラムが無料で入手可能である。
また、当業者であれば知っていようが、PCRプライマー対の各PCRプライマーは、ヒトDNAの目的の領域を特異的に増幅するように設計され得る。本開示の文脈では、目的の領域は、遺伝子型を特定される一塩基バリエーション(たとえば一塩基多形、SNP)を含む。PCRプライマー対の各PCRプライマーは、DNA配列バリエーションの対向する部位の特定の一塩基バリエーションに隣接して配置され得る。さらに、PCRプライマーは、そのPCR結合部位ではあらゆる既知のDNA配列バリエーション及び反復DNA配列を避けるように設計され得る。
キットはさらに、増幅反応の実施に必要なバッファー、ヌクレオチド及び/またはポリメラーゼなどの他の試薬、ならびに核酸を試料から抽出するための試薬を含み得る。
アレイによる検出は元来高収率な性質をもつため、試料中の本開示のSNPsを評価する好ましい方法である。
文献では様々なプローブアレイが説明されており、乳癌と相関があり得るSNPsを検出するために、本開示の文脈で用いることができる。たとえば、本開示の一実施形態では、DNAプローブアレイチップを用いる。DNAプローブのセットによる試料DNAの認識は、DNAハイブリダイゼーションを通じて起こる。DNA試料がDNAプローブのアレイとハイブリダイズすると、試料は試料DNA配列と相補的なプローブに結合する。ある個人の試料DNAがどのプローブにより強力にハイブリダイズするかを評価することによって、既知の核酸配列がその試料中に存在するかどうかを決定することができ、そうすることで核酸中に見出されるマーカーが存在するかどうかを決定することができる。
一実施形態では、本発明は、72以上の核酸にハイブリダイズする少なくとも72セットのプローブを含む遺伝子アレイを提供し、該72以上の核酸は表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含んでいる。
一実施形態では、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70セットのプローブが、表7から選択される一塩基多形またはそれらと連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸にハイブリダイズする。
実施例1 乳癌リスクを示すSNPs
乳癌リスクを示すSNPsを表6に示す。全部で88のSNPsが特定されている。77のSNPsが白人に有益であり、78のSNPsがアフリカ系アメリカ人に有益であり、82がヒスパニックに有益である。70のSNPsが白人、アフリカ系アメリカ人及びヒスパニックに有益である(水平縞模様で示す;表7も参照のこと)。残りの18のSNP(表8参照)は白人(濃い格子模様で示す;表9も参照)、アフリカ系アメリカ人(斜め下向き縞模様で示す;表10も参照)及び/またはヒスパニック(薄い格子模様で示す;表11も参照)のいずれかに有益である。
実施例2 リスク閾値
乳癌リスク評価は、リスクが高く標的化スクリーニングまたは予防策の恩恵を受け得る女性の特定を可能にするので重要である(De la Cruz, 2014; Advani and Morena−Aspitia, 2014)。遺伝的因子及び環境的因子の両方が、乳癌の多因子易罹患性に関与していると考えられている(Lichtenstein et al., 2000; Mahoney et al., 2008)。リスクを最適に評価するために、両方の構成要素が併せて考慮される。現在、乳癌リスクは、しばしば「Gailモデル」と呼ばれる米国国立癌研究所(NCI)の乳癌リスク評価ツール(BCRAT)を用いて評価されることが多い(Gail et al., 1989; Costantino et al., 1999; Rockhill et al., 2001)。BCRATには、個人の病歴に関連するいくつかのリスク因子が組み込まれているほか、一部家族の病歴情報も組み込まれている。
現在のモデルは、発注側医師から提供される情報を用いてGailスコアを計算し、結果を患者の乳癌共通遺伝マーカーと統合して、患者の乳癌リスクの統合された生涯評価(図1に示す例)及び5年評価(図2に示す例)を生成する。患者は、検査結果の意味を説明する適切な遺伝的または臨床的カウンセリングを受けることを勧められる。アメリカがん協会(ACS)のガイドラインでは、高リスクの女性(20%の生涯リスク)に、スクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィーを勧めている。米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、高リスクの女性(5年リスクのGAIL指数>1.66%)に、リスクを減じるためにエストロゲン受容体治療剤を勧めてもよいと提案している。
現在の検査は、頬細胞試料の遺伝情報を評価することによって、女性の乳癌発症リスクに関する追加の重要な情報を提供する。検査はSNPsを検出する。これらの個々の遺伝子部位の少なくとも70が分析(遺伝子型を特定)され、その各々は個人の乳癌発症確率を変更することが再現性よく示されている。検査ではパネルの全SNPsの情報を統合するが、それは科学的実証研究によりSNPリスクを統合する単純乗算モデルが支持されているからである(Mealiffe et al., 2010)。
実施例3 SNPリスクスコアと乳癌リスクモデルの統合
よく利用されている乳癌リスク予測モデルとしては、乳癌及び卵巣癌の家系データに基づくBOADICEA(Antonio et al., 2008 and 2009)及びBRCAPRO(Chen et al., 2004; Mazzola et al., 2014; Parmigianin et al., 1998)、確立された乳癌リスク因子及び乳癌の第一度近親者の数で表される家族の病歴に基づくGailモデル(BCRAT)(Costatino et al., 1999; Gail et al., 1989)、及び家族性及び本人の乳癌リスク因子に関する情報を統合するTyrer−Cuzickモデル(IBIS)(Tyrer et al., 2004)が挙げられる。個人レベルでは、これらのリスク予測モデルはすべて、女性が自分の状況に特別に合わせたスクリーニングまたは予防に関して意思決定するための臨床的に有用な情報を提供できるように、良好な判別確度がなくてはならない。
発明者らは、白人コホートにおけるGailモデル、Tyrer−Cuzickモデル、BOADICEAモデル及びBRCAPROモデルの判別確度を改良するために、77SNPパネルの能力を試験した。
各リスク予測モデルについて、浸潤性乳癌の5年臨床リスクを計算した。BCRATでのリスク予測は、同モデルの設計により、35歳以上の女性に限られた。SNPリスクスコアは、対数ORスケールで加法リスクの独立性を想定してアレル当たりのオッズ比(OR)及びリスクアレル頻度(p)の公開されている推定値を用いて計算した。各SNPで、調整前の集団内平均リスクを、3つの遺伝子型について1/μ、OR/μ及びOR2/μとして計算した。次に77のSNPsそれぞれの調整後リスク値を掛けることによってSNPリスクスコアを計算した(Dite et al., 2013)。各リスク予測モデルについて、SNPリスクスコアにそのモデルで予測した5年リスクを掛けることによって、統合リスクスコアを計算した。判別度を受信者操作特性曲線下面積(AUC)を計算することで測定した。
表12は、4種のリスク予測モデルそれぞれについて、リスクスコア単独よりも統合リスクスコアのほうが判別度が高かったことを示している。
実施例4 リスク計算
この例は仮説であり、発明者らは、女性の民族以外の全因子が一定していると想定している。この例では、3名の女性(白人1名、アフリカ系アメリカ人1名、及びヒスパニック1名)が、年齢は45歳、初潮は12歳、第一子出産は26歳、乳癌の第一度近親者なし、陽性の乳房生検なし、という特徴を有した。
表13は、3名の女性の遺伝子型を概説し、表14は、リスク計算の詳細を記載している。
遺伝子型リスクと臨床リスク(Gailスコア)を掛け合わせると、遺伝子型リスクの影響が明らかになる。上記の例では、白人の5年リスクは5.175%に上昇したので、化学的予防剤タモキシフェンを勧められることにもなる。この女性の生涯リスクも60.95%に上昇したので、年1回のMRIスクリーニングを受けるよう勧められることにもなる。
アフリカ系アメリカ人の遺伝子型リスクスコアは1に近似しており、リスクは変わらず平均に近似している(5年リスク=0.985、生涯リスク=10.14%)。
ヒスパニック女性の遺伝子型リスクは0.67(すなわちこの遺伝子型は防御的)であり、次の5年リスクは0.40%まで減少し、生涯リスクは5.03%まで減少している。
当業者であれば、概説したように、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、具体的な実施形態でも示したような多くの変化形態及び/または変更形態が本発明に加えられ得ることを理解しよう。したがって、本明細書の諸実施形態は、すべての点において、限定的ではなく例示的なものである。
本明細書で論じた、及び/または参照したすべての出版物は、その内容を参照により本明細書に援用する。
本明細書に含まれるあらゆる文書、行為、物質、デバイス、記事などに関する記述は、本発明に文脈を提供するものに過ぎない。それらの一部または全部が本願の各請求項の優先日よりも前に存在したからといって、先行技術ベースの一部をなすとか、本発明の分野における共通の一般知識であったということを認めるものではない。
本願は、2014年9月30日出願のAU2014903898の優先権を主張するものであり、その開示内容を本明細書に参照として援用する。
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Claims (39)

  1. ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価する方法であって、
    前記女性対象の臨床リスク評価を実施すること、
    前記女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することを含み、ここで前記一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、前記女性対象の遺伝リスク評価を実施すること、及び
    前記臨床リスク評価を前記遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めることを含んでいる、前記方法。
  2. 前記女性は白人である、請求項1に記載の方法。
  3. 表9に示す少なくとも72の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項2に記載の方法。
  4. 表9に示す少なくとも77の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項2に記載の方法。
  5. 前記女性は黒人である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記女性はアフリカ系アメリカ人である、請求項5に記載の方法。
  7. 表10に示す少なくとも74の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項5または6に記載の方法。
  8. 表10に示す少なくとも78の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項5または6に記載の方法。
  9. 前記女性はヒスパニックである、請求項1に記載の方法。
  10. 表11に示す少なくとも78の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項9に記載の方法。
  11. 表11に示す少なくとも82の一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を検出することを含んでいる、請求項9に記載の方法。
  12. 前記臨床リスク評価を前記遺伝リスク評価と統合することは、前記リスク評価同士を掛けてリスクスコアを提供することを含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記臨床リスク評価を実施することでは、Gailモデル、Clausモデル、Clausテーブル、BOADICEA、Jonkerモデル、Claus Extended Formula、Tyrer−Cuzickモデル、BRCAPRO、及びマンチェスター・スコアリング・システムからなる群より選択されるモデルが使用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記臨床リスク評価を実施することには、前記女性から、乳癌の病歴、腺管癌または小葉癌、年齢、初潮年齢、第一子出産年齢、乳癌の家族歴、過去の乳房生検の結果、乳腺濃度、及び人種/民族のうちの1つ以上についての情報を得ることが含まれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記臨床リスク評価は、前記Gailモデルを用いて得られる、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記Gailモデルは、Gail生涯リスクスコアを提供する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記Gailモデルは、Gail5年リスクスコアを提供する、請求項15に記載の方法。
  18. 前記臨床リスク評価は、前記Tyrer−Cuzickモデルを用いて得られる、請求項13または14に記載の方法。
  19. 前記臨床リスク評価は、前記BOADICEAモデルを用いて得られる、請求項13または14に記載の方法。
  20. 前記臨床リスク評価は、前記BRCAPROモデルを用いて得られる、請求項13または14に記載の方法。
  21. 前記女性は乳房生検を受けたことがある、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記臨床リスク評価の結果は、前記女性がより頻繁なスクリーニング及び/または予防的抗乳癌治療剤を受けるべきであることを示す、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記対象に乳癌発症リスクがあると決定される場合、前記対象は、エストロゲン阻害治療剤に対して非反応性ではなく反応性である可能性が高い、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記乳癌は、エストロゲン受容性陽性またはエストロゲン受容体陰性である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記連鎖不平衡にある一塩基多形は、0.9よりも高い連鎖不平衡を有している、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記連鎖不平衡にある一塩基多形の連鎖不平衡は1である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  27. 72以上の核酸を増幅するための少なくとも72セットのプライマーを含むキットであって、前記72以上の核酸は一塩基多形を含んでおり、ここで前記プライマーセットのうち少なくとも67は、表7から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸を増幅し、前記プライマーセットの残りは、表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸を増幅する、前記キット。
  28. 72以上の核酸にハイブリダイズする少なくとも72セットのプローブを含む遺伝子アレイであって、前記72以上の核酸は一塩基多形を含んでおり、ここで前記プローブのうち少なくとも67は、表7から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸にハイブリダイズし、前記プローブの残りは、表6から選択される一塩基多形またはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形を含む核酸にハイブリダイズする、前記遺伝子アレイ。
  29. ヒト女性対象の定期的な乳癌診断検査の必要性を決定する方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を用いて前記対象の乳癌発症リスクを評価することを含んでいる、前記方法。
  30. 約20%の生涯リスクよりも高いリスクスコアは、前記対象がスクリーニング乳房MRIC及びマンモグラフィープログラムに登録すべきであることを示す、請求項29に記載の方法。
  31. ヒト女性対象の乳癌をスクリーニングする方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を用いて前記対象の乳癌発症リスクを評価すること、及び乳癌を発症するリスクがあると評価された場合は前記対象の乳癌について定期的にスクリーニングすることを含んでいる、前記方法。
  32. ヒト女性対象に予防的抗乳癌治療剤が必要かどうかを決定する方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を用いて前記対象の乳癌発症リスクを評価することを含んでいる、前記方法。
  33. 約1.66%の5年リスクよりも高いリスクスコアは、前記対象にエストロゲン受容体治療剤を勧めるべきであることを示している、請求項32に記載の方法。
  34. ヒト女性対象の乳癌を予防する方法であって、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法を用いて前記対象の乳癌発症リスクを評価すること、及び乳癌を発症するリスクがあると評価された場合は前記対象に抗乳癌治療剤を投与することを含んでいる、前記方法。
  35. 前記治療剤はエストロゲンを阻害する、請求項34に記載の方法。
  36. 乳癌のリスクがあるヒト女性対象の乳癌を予防するために使用される抗乳癌治療剤であって、前記対象は、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法により、乳癌を発症するリスクがあると評価される、前記抗乳癌治療剤。
  37. 候補治療剤の臨床試験のためにヒト女性対象群を層別化する方法であって、前記対象が乳癌を発症する個別のリスクを請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法により評価すること、及び前記評価の結果を用いて前記治療剤に対し反応性がより高そうな前記対象を選別することを含んでいる、方法。
  38. ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価するコンピューター実装方法であって、プロセッサー及びメモリーを含む電算システムで実行でき、
    前記女性対象の臨床リスクデータ及び遺伝リスクデータを受信することであって、前記遺伝リスクデータは、前記女性対象由来の生体試料中、少なくとも72の乳癌関連の一塩基多形を検出することで得られたものであり、ここで前記一塩基多形のうち少なくとも67は表7から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形であり、残りの一塩基多形は表6から選択されるかまたはそれらの1つ以上と連鎖不平衡にある一塩基多形である、前記データを受信すること、
    前記データを処理して前記臨床リスクデータを前記遺伝リスクデータと統合し、それによってヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めること、及び
    ヒト女性対象の乳癌発症リスクを出力することを含んでいる、前記コンピューター実装方法。
  39. ヒト女性対象の乳癌発症リスクを評価するシステムであって、
    前記女性対象の臨床リスク評価を実施するためのシステム命令、
    請求項1〜26のいずれか1項により前記女性対象の遺伝リスク評価を実施するためのシステム命令、及び
    前記臨床リスク評価を前記遺伝リスク評価と統合して、ヒト女性対象の乳癌発症リスクを求めるためのシステム命令を含んでいる、前記システム。
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