JP2017528517A - 多汗症を治療するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、デクスメカミラミン、及び多汗症の治療における、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミンの使用に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年8月22日出願の米国仮特許出願第62/040,477号に対する優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、エキソ-S-メカミラミン及び医学的処置におけるエキソ-S-メカミラミンの使用に関する。
多汗症は、体温の調節に必要な量を上回る発汗又は発汗作用の異常な亢進により特徴付けられる状態である。多汗症は、心理学的、感情的、及び社会的観点から受ける顕著な生活の質の負荷と関連する。そのため、多汗症は、「サイレントハンディキャップ」と呼ばれている。多汗症は、人が過剰かつ予想外に発汗する医学的状態である。多汗症の者は、温度が冷涼であっても、又はその者らが休息状態にあっても発汗する可能性がある。推定によれば、世界人口の少なくとも3%、すなわち少なくとも約2億1100万人が多汗症(過剰発汗、過剰発汗作用、又は発汗過多症としても知られている)を患っている。
多汗症は、全身性であるか又は身体の特定の部分に局在性であるかのいずれかであり得る。手、足、腋窩、及び鼠径部が、比較的高濃度の汗腺に起因して発汗作用のとりわけ最も活性な領域である。過剰発汗が局在する(例えば、掌、足底、顔面、脇の下、頭皮)場合、原発性又は限局性の多汗症と呼ばれる。全身性又は続発性の多汗症は、通常身体全体と関係し、基礎状態に起因する。
また多汗症は、その発現に応じて、先天的であるか又は後天的であるかに分類することも可能である。限局性の多汗症は、青年期又はそれよりも早期においてさえも開始することが判明しており、常染色体優性の遺伝形質として遺伝するものと思われる。原発性又は限局性の多汗症は、生涯の任意の時点で開始し得る続発性の多汗症とは区別されなければならない。後者の形態は、甲状腺又は脳下垂体の障害、真性糖尿病、腫瘍、痛風、閉経、特定の薬物、又は水銀中毒に起因し得る。
多汗症は、掌蹠(主に手又は足の症候性の発汗)、味覚、全身性、及び限局性の多汗症に区分することも可能である。
あるいは、多汗症は、影響を受ける皮膚の量及びその考え得る原因に従って分類することが可能である。このアプローチでは、100cm2(16平方インチ)を上回る部位での過剰発汗(最大で身体全体に及ぶ全身性の発汗)は、小さい部位のみに影響を及ぼす発汗とは区別される。
原発性限局性多汗症は、別の医学的状態により引き起こされたものではなく、薬物治療の副作用でもない過剰発汗を意味する。過剰発汗は、医学的状態である。この種の発汗は、身体の極めて特別な部位(限局性部位として記載される)に生じ、身体の左側と右側の両側が同様に罹患するという点で比較的「対称的」であり得る。上記のように、最も一般的な限局部位は、手、足、脇の下、及び頭部又は顔面である。原発性限局性多汗症、特に手及び足の多汗症は、小児期又は青年期に多くの場合発症する。興味深いことに、原発性限局性多汗症を有する者は、少なくとも週1回の過剰発汗のエピソードを有するが、睡眠中には過剰発汗を通常経験しない。原発性限局性多汗症は、遺伝性であり得、同一家族の多くのメンバーが、この状態を患う可能性がある。
原発性限局性多汗症と関連した症状として、下記事項のうち1つ以上、特に2つ以上が挙げられる:(i)汗は両側で比較的対称的に発する、つまり対象は身体の両側で同量の汗をかく、(ii)過剰の汗が日常活動を損なう、(iii)1週間に少なくとも1つのエピソード、(iv)過剰の汗の発現が、25歳よりも早期である、(v)陽性の家族歴、すなわち対象の家族のその他のメンバーも類似した発汗問題を患う、及び(vi)睡眠時には過剰発汗がない。一部の皮膚科専門医は、過剰発汗を呈する者の90パーセント超は、原発性多汗症と診断されると考える。
その他の主要な種類の多汗症は、続発性全身性多汗症と呼ばれる。この種の過剰発汗は、別の医学的状態により引き起こされる、又は薬物治療の副作用である。原発性限局性多汗症とは異なり、続発性多汗症を有する者は、全身的部位として記載される、より大きな部位又は身体のその他の部位で、発汗を経験する。2種類の多汗症間の別の重要な差異は、続発性全身性多汗症を有する者は、睡眠中にその発汗の症状を多くの場合経験する可能性があることである。続発性多汗症では、過剰発汗は成人期に通常開始するが、原発性の多汗症は小児期又は青年期に開始する。続発性の過剰発汗について治療候補を探索する場合、あるとすれば、どの基礎医学的状態又は薬物治療が、問題の根本原因であり得るか最初に判断するステップと多くの場合関係する。第2の多汗症を引き起こす状態として、先端肥大症、不安状態、癌、カルチノイド症候群、特定の薬物治療及び依存性物質(substances of abuse)、グルコース制御障害(Glucose control disorder)、心臓疾患、甲状腺機能亢進症、肺疾患、閉経、パーキンソン病、クローム親和細胞腫、脊髄傷害、脳卒中、及び結核、又はその他の感染症が挙げられる。
多汗症の主要症状は、湿り気である。発汗の目視可能な兆候は、医師の訪問時に指摘され得る。下記を含む試験も、過剰発汗を診断するのに利用可能であり、(i)ヨード-デンプン試験:ヨウ素溶液が汗ばんだ部位に適用され、乾燥後、デンプンが当該部位に噴霧され、過剰の汗が存在するすべての場所でヨード-デンプンが混ざり合って暗青色に変化する、及び(ii)ペーパー試験:特別なペーパーが、汗を吸収するように患部に配置され、次に秤量され、重いほど、多くの汗が蓄積している。
現在の治療法として、以下の方法が挙げられる。
発汗抑制剤。過剰発汗は、汗管を塞ぐ強い抗発汗剤により制御可能である。10%〜20%の塩化アルミニウム六水和物を含有する製品は、脇の下の発汗に対する最良の治療である。患者によっては、患部に毎晩適用される、より高用量の塩化アルミニウムを含有する製品が処方される場合もある。発汗抑制剤は、皮膚刺激の原因となるおそれがあり、また大用量の塩化アルミニウムは、衣服を損傷するおそれがある。
イオン導入法。この手法は、電気を使用して汗腺を一時的に休止させる。この手法は、手及び足の発汗に対して最も有効である。手又は足を水に漬け、次にこれに弱い電流を通す。患者が軽いピリピリした感覚を感じるまで、電気を徐々に増加させる。当該療法は、約10〜20分間継続し、いくつかのセッションを必要とする。副作用として、まれではあるが、皮膚のひび割れ、及び水疱が挙げられる。
ボトックス。A型ボツリヌス毒素(ボトックス)が、重度の脇の下の発汗を治療するのに使用される。ボツリヌス毒素が脇の下内に注射され、発汗を刺激する神経を一時的に遮断する。副作用として、注射部位疼痛及びインフルエンザ様の症状が挙げられる。掌の発汗で使用されるボトックスは、軽度であるが一時的な衰弱及び激しい疼痛を引き起こすおそれがある。
胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS):重度の症例では、交感神経遮断術と呼ばれる低侵襲外科手技が、その他の治療が奏功しない場合に推奨され得る。当該手技は、身体に対して過剰に発汗するように伝えるシグナルを消失させる。掌が正常な場合よりもかなり多量に発汗する患者に通常実施される。当該手技は、顔面の極度の発汗を治療するのにも使用可能である。ETSは、過剰の腋窩発汗を有する患者に対しても奏功しない。
手術:これは、腋窩内の汗腺を除去する手術である。使用される方法として、レーザー法、掻爬術(スクレーピング)、切除(切断)、又は脂肪吸引法が挙げられる。これらの手技は、局所麻酔を使用して実施される。
経口投薬を含め、異なる安全性、代謝性、忍容性、及び有効性プロファイルを有する代替的オプションが、多汗症を有効に治療するのに必要とされる。
メカミラミン(N,2,3,3-テトラメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-アミン塩酸塩)が、臨床的に顕著な降圧作用を有する神経節遮断薬としてMerck & Co., Inc.社により開発され特徴付けられた(Stoneら、Chemistry and structure-activity relationships of mecamylamine and derivatives、J. Med. Pharm. Chem.、第5巻(4):665〜690頁、1962年)。メカミラミンは、商品名Inversine(登録商標)として販売されている。好ましい命名法に応じて、メカミラミンに対する化学名は、N,2,3,3-テトラメチルノルボルナン-2-アミンとすることもできる。メカミラミンは、エナンチオマーのラセミ混合物として存在し、米国特許第5,986,142号に記載されている方法及びプロセスにより取得可能であり、メカミラミン製造方法に関する同号の教示を参照により本明細書に組み込む。
高血圧症治療についての経口での有効性、迅速発現、長期作用時間、及び胃腸管からのほぼ完全な吸収を含むメカミラミンの特有の特徴により、当該薬物は当時存在した神経節遮断薬に対するより望ましい代替物となった。高血圧を治療するのに使用されるInversine(登録商標)(メカミラミン塩酸塩)の平均総日用量は25mgであり、3回に分割された用量で通常投与された。ヒトにおけるメカミラミンの安全性/忍容性プロファイルは、抗高血圧剤として臨床使用された数十年間で確立された。市販薬物に最も一般的な有害反応として、便秘、起立性めまい、尿閉、及びかすみ目が挙げられる。
参照により本明細書に組み込む米国特許第7,101,916号は、薬学的に許容される担体と併用して、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、治療有効量のエキソ-S-メカミラミン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供し、この医薬組成物は、エキソ-S-メカミラミンを実質的に含まない、エキソ-R-メカミラミンを含む実質的に類似した医薬組成物よりも高い全体的な治療指数により特徴付けられる。そこで開示された医学的状態として、禁煙を支援する、禁煙と関連した体重増加、高血圧症、高血圧性クリーゼ、ヘルペスI及びII型、トゥーレット症候群及びその他の振戦、癌(例えば、小細胞肺癌等)、アテローム形成プロファイル、神経精神障害(例えば、双極性障害、鬱病、不安障害、パニック障害、精神分裂病、発作性疾患、パーキンソン病、及び注意欠陥多動障害等)、慢性疲労症候群、クローン病、自律神経異常反射、並びに痙攣発生的腸障害(spasmogenic intestinal disorder)を治療する物質(ニコチン、コカイン、アルコール、アンフェタミン、鎮静剤、その他の精神刺激薬、及びそれらの組合せを含む)に対する嗜癖(substance addiction)が挙げられるが、これらに限定されない。多汗症は、米国特許第7,101,916号に記載又は開示されていない。本特許は、エキソ-S-メカミラミンは、経静脈的に、筋肉内に、経皮的に、髄腔内に、経口により、又はボーラス注射により投与され得ることを開示する。識別された疾患を治療するエキソ-S-メカミラミンの用量は、剤形に応じて約0.5mg〜約1000mgの範囲で記載されており、またエキソ-S-メカミラミンは、1日当たり1〜4回投与され得る。例として、薬物耐性トゥーレット症候群を有する成人の場合、1日当たり約2.5mgの用量、及び軽度ADHDを有する小児の場合、1日当たり1mg以下が挙げられる。
精製されたエキソ-S-メカミラミン及びエキソ-R-メカミラミンは、米国特許第7,101,916号、及びその中で引用された参考文献で議論されている方法に従って取得可能であり、精製されたメカミラミンエナンチオマーの製造に関するそれらの教示について参照により本明細書にやはり組み込む。エキソ-S-メカミラミンは、デクスメカミラミン、S-メカミラミン、TC-5214、又は(S)-N,2,3,3-テトラメチルノルボルナン-2-アミンと呼ばれる場合もあり、またその薬学的に許容される塩も含む。
デクスメカミラミンは、α3ニコチン受容体サブタイプ(例えばα3β2及びα3β4)の、使用依存性の強力な阻害剤である。そのような受容体は、尿管上皮内に発現し、膀胱の平滑筋収縮を制御する(Beckelら、Expression of functional nicotinic acetylcholine receptors in rat urinary bladder epithelial cells、Am. J. Physiol. Renal Physiol.、第290巻:F103〜110頁、2006年)。臨床試験が、過活動性膀胱(OAB)の治療のためのデクスメカミラミン(TC-5214)の安全性、忍容性、及び有効性を評価するために実施された。当該試験には、3週間又は5週間スクリーニング期間、その後2週間のフォローアップ期間を伴う12週間の治療期間が設けられ、治療期間中に、患者は、2:1:1:1 (プラセボ、低用量、中用量、高用量)の比でランダム化され、3用量のデクスメカミラミン又はプラセボのうちのいずれか1つ、を1日2回投与された。過活動性膀胱を有する対象、合計768名を、試験の二重盲検治療期間にランダム化した。2014年7月28日に、Targacept社は、過活動性膀胱(OAB)の治療薬としてのTC-5214の第2b相臨床トライアルから得られたトップライン結果を発表した。トライアルでは、高用量のTC-5214は共主要評価項目(co-primary endpoint)について様々な結果を示し、12週間の治療後、24時間当たりの排尿頻度について統計的に有意な低下(p=0.033)、及び尿失禁のエピソードについて、統計的有意性にはいたらない改善(p=0.379)をもたらした。これらの結果により、Targacept社は、OABにおけるTC-5214の更なる開発を中止した。このトライアルでは、TC-5214は、一般的に安全であり、良好に忍容されると考えられた。高用量群において、プラセボ補正後、15.1%の便秘率、及び5.9%の尿路感染症率が認められた。国際公開第2013/142162 A1号として公表されたPCT出願番号PCT/US第2013/030640号も参照。
しかし、デクスメカミラミンは、多汗症と関連するモデル又は試験においてこれまでに試験されていない。
症状緩和について特に重点が置かれ、改善した副作用及び忍容性プロファイルを有する多汗症の有効な治療に対するニーズがなおも存在したままである。
本発明の一態様は、多汗症を有する対象に、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、治療有効量のデクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミンの投与が、多汗症を有する対象のベースラインと比較して、発汗作用を低減するのに十分である、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミンの投与が、少なくとも1つの場所において患者の発汗に1以上のHDSS変化で影響を及ぼすのに十分である、多汗症を治療する方法を含む。好ましくは、デクスメカミラミンの投与は、少なくとも2つの場所において患者の発汗にそれぞれにおいて0.5以上のHDSS変化で影響を及ぼすのに十分である。場所は、腋窩、掌蹠、顔面/頭皮、及び全身から選択され得る。
本発明の一態様は、デクスメカミラミンの投与が、多汗症を有する対象に顕著な副作用をもたらさずに有効性を提供する、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、多汗症を有する対象に、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩を、約0.1mg〜約2.0mgの量で1日1回経口投与することを含む、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約0.1mgの量で1日1回経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約0.2mgの量で1日1回経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5mgの量で1日1回経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約1.0mgの量で1日1回経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約2.0mgの量で1日1回経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、錠剤の形態で経口投与される、多汗症を治療する方法を含む。
本発明の一態様は、ヒトの過活動性膀胱を治療する方法を含む。
本発明の範囲は、多汗症を治療するための方法、使用、使用される化合物、及び化合物、並びに多汗症を治療する薬剤を製造するための化合物の使用を含む。
本発明の範囲は、特許請求の範囲の書式によらず、そのような発明を含むように意図されている。
本発明の範囲は、本明細書に記載されている態様、実施形態、及び選好物のあらゆる組合せを含む。
原発性多汗症は、交感神経のコリン作用の増大と関連していることを説明する図である。 発火頻度(firing frequency)が増加するとともに、TC-5214効力の指標が増加することを示す図である。 多汗症の病因の概要を示す図である。 図4AはTC-5214の作用部位を説明する図である。交感神経支配(神経節前及び神経節後)を説明する図である。図4BはTC-5214の作用部位を説明する図である。汗腺の作用部位を示す図である。 原発性多汗症と続発性多汗症の間の差異を説明する図である(交感神経及び血管運動神経の寄与)。 過活動性膀胱の患者母集団における副交感神経及び交感神経の過活動を説明する図である。これにより、過活動性膀胱試験で認められた結果は、多汗症で用いられる仮説の裏付けとなることを示す。 膀胱に対する交感神経と副交感神経の神経支配、及び汗腺に対する交感神経のみの神経支配の寄与に基づき、過活動性膀胱及び多汗症における理論的結論を説明する図である。やはりこれによって、過活動性膀胱試験で認められた結果は、多汗症で用いられる仮説の裏付けとなることを示す。 国際多汗症学会に由来する多汗症重症度評価スケール(HDSS)を示す図であり、公表文献であるA Comprehensive Approach to the Recognition, Diagnosis, and Severity-Based Treatment of Focal Hyperhidrosis: Recommendations of the Canadian Hyperhidrosis Advisory Committee、Dermatologic Surgery、2007年8月、908〜923頁を参照し、多汗症の診断及び症状に関して参照により本明細書に組み込む。 多汗症患者ケアにおける標準的アプローチに対する経口デクスメカミラミンによる全身的アプローチの利益を示す要約表である。
デクスメカミラミンは、選択的ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)チャンネルモジュレーターである。膀胱に対する効果と関連した正確な分子標的はなおも調査中であるが、デクスメカミラミンは、ヒトα4β2、α3β2、及びα3β4ニコチン受容体と機能的に相互作用し、またデクスメカミラミンはα3含有ニコチン受容体と相互作用することがすでに知られており、そのような相互作用から、OAB治療における有益性を証明する可能性があることが示唆される。デクスメカミラミンを用いた非臨床試験が、OABの治療の候補となり得るか評価するために実施され、またOAB治療のためのデクスメカミラミンを使用した臨床試験が提案されている。
デクスメカミラミンは、ほぼ完全に不変のまま尿中に排泄されるので、デクスメカミラミンは、尿中では血漿と比較して、より高い濃度に達することが今日判明している。曝露差(exposure differential)により、全身性の副作用を制限しつつ、膀胱収縮頻度に影響を及ぼす尿管上皮内の局所的ニコチン受容体を標的とする能力がデクスメカミラミンにもたらされる。したがって、デクスメカミラミンが、膀胱尿路上皮内のnAChRsに対するその作用を通じてOABを治療する能力について、更なる調査を惹起する。
より最近では、デクスメカミラミンは、大規模な国際的第3相鬱病プログラムにおいて大鬱病性障害(MDD)の治療における補助的療法として評価された。デクスメカミラミンは、鬱病の治療で有効性を実証することはできなかったが、当該化合物は、評価された最高用量のである4mg、1日2回(BID)の用量を含め、その用量まで良好に忍容されることが証明された。2400名を超える対象が、二重盲検又は非盲検試験においてデクスメカミラミンを投与された。
デクスメカミラミンを用いた安全性試験は、OABでは実施されていない。大鬱病性障害(MDD)における、デクスメカミラミンを使用した第2相及び第3相臨床試験が実施され、完了した。デクスメカミラミンは、一般的に安全であり、またこれらの試験において十分に忍容された。要するに、MDDにおける、用量2mg、BID(1日2回)(OAB試験において試験された最高用量)での用量固定式の第3相試験では、プラセボ群と比較してデクスメカミラミン群において2%を超えてより一般的に報告された、治療時に発生した最高頻度の有害事象は、便秘(デクスメカミラミンの15.2%に対してプラセボの3.8%)、及び口内乾燥(デクスメカミラミンの7.0%に対して、プラセボ1.3%)であった。バイタルサインの測定値、血液又は尿の検査室測定値、ECG伝導間隔、又は自殺傾向のいずれについても、注目すべき差異は認められなかった。用量固定式のこの試験では、2mg、BID未満の用量について報告された治療時に発生した有害事象は、プラセボと類似している。
メカミラミン及びその立体異性体に関する追加の前臨床試験では、デクスメカミラミンは、メカミラミン及びそのR-異性体よりも優れた安全性プロファイルを提供することが実証されたが(米国特許第7,101,916号を参照)、OAB治療のために、又はOAB適用について安全性及び有効性プロファイルを評価するためにデクスメカミラミンを使用した前臨床験又は臨床試験は、これまでに公表されていない。本明細書に記載するラットモデルでの前臨床in vivo試験は、ヒトのOAB治療のための、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミンの使用の、安全性及び有効性を、好ましい副作用プロファイルと共に裏付ける。要するに、ヒト患者において、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、比較的低い全身投与量のデクスメカミラミンを投与すると、安全で有効なOAB治療を実現することは意外である。
別途記載しない限り、本明細書で使用する場合、下記の用語及び語句は、下記の意味を有することが意図される。特定の用語又は語句について具体的に定義されていないという事実は、不明瞭又は明確性の欠落と関連付けるべきではなく、むしろ本明細書では、用語はそれらの通常の意味で使用されている。商品名が本明細書で使用される場合、出願者は、商品名の製品及び商品名の製品の医薬品有効成分(複数可)を独立に含むことを意図する。
本明細書で参照する場合、「エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン」は、デクスメカミラミンを95重量%以上、及びエキソ-R-メカミラミンを5重量%以下の量で含む。より好ましくは、「エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン」は、98重量%以上のデクスメカミラミン、及び2重量%以下のエキソ-R-メカミラミンを含む。より好ましくは、「エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン」は、99重量%以上のデクスメカミラミン、及び1重量%以下のエキソ-R-メカミラミン含む。なおいっそうより好ましくは、「エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン」は、99.5重量%以上のエキソ-S-メカミラミン、及び0.5重量%以下のエキソ-R-メカミラミンを含む。最も好ましくは、「エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン」は、99.7重量%以上のエキソ-s-メカミラミン、及び0.3重量%以下のエキソ-R-メカミラミンを含む。
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、処方物のその他成分と適合性を有し、また医薬組成物の服用者に対して有害とならない担体(複数可)、希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、又は本発明の化合物の塩の形態を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、場合により1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と併用される本発明の化合物を意味する。医薬組成物は、これが製造及び商品化目的に好適となるように、好ましくは環境条件に対してある程度の安定性を示す。
本明細書で使用する場合、「有効量」、「治療有効量」、及び「有効用量」は、所望の薬理学的又は治療上の効果を引き起こすのに十分な、したがって多汗症の有効な治療を実現する本発明の化合物の量を意味する。
多汗症の治療は、障害の発現又は進行、並びに障害と関連した症状の発現又は進行の遅延又は予防によって明白となり得る。多汗症の治療は、症状の減少又は除去、障害の進行の反転、並びに患者の福祉に対する任意のその他の寄与によっても明白となり得る。
特定の実施形態では、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミンを投与すれば、多汗症の1つ以上の症状を除去、改善、低減、緩和、又は治療することができる。
2つの手段が、一次又は二次評価項目として使用される:HDSS (多汗症重症度評価スケール、図8;4〜1のスコア)、及び重量法(ペーパーが汗を吸収し、秤量される)。多くの場合、これらの手段は、組み合わせて、また連結して使用される。最終的に、図8のHDSSスコアリングのレビューで指摘されるような患者の主観的意見が重視される。発汗阻害の程度が重要であるが、また一方では、重要な因子として、罹患した場所の数がある。
図9に示すように、多汗症を有する患者の現在の標準ケアは、1つの場所のみ(例えば、腋窩)の発汗に影響を及ぼし、主要な副作用を有し(例えば、抗ムスカリン薬の適応外使用の場合、口内乾燥)、及び1つの場所の発汗を低減する治療のすべてではないにしても、そのほとんどが、その他の領域において代償性の増加を誘発する。これは、1つの領域を全面的に乾燥させ、またいくつかのその他の問題を有する交感神経切除等の手術にも当てはまる。
0.1〜2mgの経口投与量で、デクスメカミラミンを1日1回使用すれば、2つ以上の場所でHDSSに顕著な変化をもたらすと考えられており、したがって全身的な原発性多汗症の治療を支援する。有効性の指標に関しては、1つの特定の場所において1以上のHDSSの変化を有する有効性が必要とされる。2つ以上の場所が影響を受ける場合には、0.5の変化が臨床的意味を有する。
TC-5214を使用すれば、TC-5214の全身アベイラビリティを実現すると考えられている(例えば、注射する必要があり、そのため腋窩領域のみを標的とするBotox(登録商標)治療とは異なる)。
多汗症の有効用量は、要因、例えば患者の状態、障害の症状の重症度、及び医薬組成物投与方式等に応じて変化し得る。有効用量で投与されるには、化合物は、約0.1mg〜約4mg、特定の実施形態では約0.1mg〜2mg、特定の実施形態では約0.2mg〜約2mgの低い量で投与され得る。したがって、有効用量は、単回投与、又は24時間にわたり投与され得る1回以上の投与量として投与され得る量に該当する。本発明の特定の実施形態では、有効用量は、1日1回、経口による遊離塩基当量として約0.25mg、0.5mg、約1mg、又は約2mgである。
特定の実施形態では、1つ以上の有効性成分含量(dosage strength)は、非機能的フィルムコート用に、任意選択的なOpadry(登録商標)03B 150008 Redを、錠剤1個当たり5.4mg含み得る。
本発明は、本明細書に記載の化合物の塩又は溶媒和物を含み、これにはその組合せ、例えば塩の溶媒和物等も含まれる。化合物は、溶媒和した状態、例えば水和物、並びに非溶媒和の形態で存在し得、本発明はそのような形態のすべてを包含する。一般的に、但し絶対的にではなく、本発明の塩は、薬学的に許容される塩である。用語「薬学的に許容される塩」に包含される塩は、本発明の化合物の無毒性の塩を指す。適する薬学的に許容される塩の例として、無機の酸付加塩、例えば塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩等;有機の酸付加塩、例えば酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びアスコルビン酸塩等;酸性アミノ酸の塩、例えばアスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩等;アルカリ金属の塩、例えばナトリウム塩、及びカリウム塩等;アルカリ土類金属の塩、例えばマグネシウム塩、及びカルシウム塩等;アンモニウム塩;有機の塩基性塩、例えばトリメチルアミンの塩、トリエチルアミンの塩、ピリジンの塩、ピコリンの塩、ジシクロヘキシルアミンの塩、及びN,N'-ジベンジルエチレンジアミンの塩等;並びに塩基性アミノ酸の塩、例えばリジンの塩やアルギニンの塩等が挙げられる。塩は、場合によっては、水和物又はエタノール溶媒和物であり得る。特定の実施形態では、S-メカミラミン塩酸塩が優先的な塩の形態である。
バルク作用化学薬品の形態である本発明の化合物を投与することも可能であるが、医薬組成物又は処方物の形態である化合物を投与するのが好ましい。したがって、本発明の一態様は、デクスメカミラミン及び/又はその薬学的に許容される塩、並びに1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を含む。本発明の別の態様は、デクスメカミラミン及び/又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と共に混合するステップを含む、医薬組成物の調製方法を提供する。
本発明の化合物の投与方式は変化し得る。本発明の化合物は、好ましくは経口投与される。経口投与に好ましい医薬組成物として、錠剤、カプセル、カプレット、シロップ、溶液、及び懸濁液が挙げられる。
経口医薬組成物の一実施形態は、約0.6mgのS-メカミラミン塩酸塩、約6.1mgの微結晶セルロース(グレードI)、約102.5mgの微結晶セルロース(グレードII)、約6.0mgのヒドロキシプロピルセルロース、約3.6mgのクロスカルメロースナトリウム、約0.6mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び約0.6mgのマグネシウムを含む。
医薬組成物の一実施形態は、約1.2mgのS-メカミラミン塩酸塩、約12.2mgの微結晶セルロース(グレードI)、約95.8mgの微結晶セルロース(グレードII)、約6.0mgのヒドロキシプロピルセルロース、約3.6mgのクロスカルメロースナトリウム、約0.6mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び約0.6mgのマグネシウムを含む。
医薬組成物の一実施形態は、約2.4mgのS-メカミラミン塩酸塩、約24.4mgの微結晶セルロース(グレードI)、約82.4mgの微結晶セルロース(グレードII)、約6.0mgのヒドロキシプロピルセルロース、約3.6mgのクロスカルメロースナトリウム、約0.6mgのコロイド状二酸化ケイ素、及び約0.6mgのマグネシウムを含む。
製造に関する一実施形態は、当技術分野において公知なように、賦形剤を混合及び篩分けするステップを含む。
医薬組成物は、注射により、すなわち経静脈的に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、動脈内に、髄腔内に、及び脳室内に投与され得る。静脈内投与が好ましい注射方法である。注射用として適する担体は、当業者に周知されており、5%デキストロース溶液、生理食塩水、及びリン酸緩衝化された生理食塩水が挙げられる。
処方物は、その他の手段、例えば直腸投与法を用いて投与することも可能である。直腸投与に有用な処方物、例えば坐剤等は、当業者に周知されている。化合物は、例えばエアゾールの形態で吸入により、ローションの形態等で局所的に、経皮的パッチ等を使用して(例えば、Novartis社及びAlza Corporation社から市販されている技術を使用して)経皮的に、粉末注射により、又は頬側、舌下、若しくは鼻腔内の吸収により投与することも可能である。
医薬組成物は、単位剤形で、又は複数若しくはサブユニット投与形式で処方化され得る。医薬組成物は、患者、又は温血動物等の対象、例えばマウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、若しくはサル等の哺乳動物に投与され得るが、有利には、ヒトに投与される。更に、医薬組成物が投与される1日のうちの時刻(例えば、朝方、夕方、就寝前)、及び1日当たりの回数(例えば、1日1回、1日2回)は変化し得る。
[実施例]
[実施例1]
原発性多汗症と関連した症状の改善のためのTC-5214 (0.1〜2mg、1日1回)。
多汗症は、汗腺が過活動となる医学的状態であり、また原発性多汗症(標的とする適応)は、別の医学的状態又は薬物治療により引き起こされた(続発性多汗症)のではない過剰発汗を意味する。TC-5214は、原発性発汗と関連した汗腺を神経支配する交感神経のコリン作動性線維の過活動を阻害し得る。有効性は、TC-5124を、約0.1〜約2mgで1日1回経口投与すると認められ得る。
TC-5214は、いくつかの理由から、原発性多汗症に対する対症療法候補に挙げられ、その理由として(1)原発性多汗症は、交感神経のコリン作用の増大と関連している(汗腺に対する唯一のインプット)、(2)TC-5214の効力は、発火頻度が高まるにつれて増加する、(3)原発性多汗症は、あるとすれば軽微な血管運動神経の変化を有する、(4)交感神経作用は、原発性多汗症では夜間に低下し(続発性多汗症では、増悪した場合当てはまらない)、またTC-5214の使用依存性の阻害も、夜間に低下する、(5)汗腺におけるムスカリン反応の低下は、アセチルコリン放出量の減少を引き起こすはずである(すなわち、交感神経阻害)、及び(6)ニコチン受容体の阻害は汗腺上に存在する、すなわち局所的阻害であることが挙げられる。1日1回、低用量投与(0.1〜2mg)が、原発性多汗症の治療について試験される。
図1に示すように、1つの仮説から、汗腺及び汗腺上の標的受容体を神経支配する交感神経のコリン作動性線維の過活動は、低用量で阻害され得る(1日当たり約0.1〜2mg)ことが導かれる。これは、TC-5214の効力は、その遅いオフレート動力学(off-rate kinetics)により頻度の増加と共に増加するという事実に一部には起因すると考えられている。頻度の増加と共に左側に10倍シフトすることを示す図2を参照。したがって、交感神経作用は原発性多汗症では夜間に低下するので、有効用量範囲は0.1〜1mgの間と考えられており、最高用量は2mg、1日1回である。
低周波数(low frequency)(黒色/丸印の1Hz)及び高周波数(high frequencies)(赤色/三角印の10Hz)における、交感神経作用の阻害に関する用量-反応性は、図2に示す通りである。TC-5214の効力は、左側(赤色/三角印の曲線)にシフトし、これにより交感神経の過活動に起因する発汗を低減するが、副交感神経の阻害、及び尿閉や便秘を含む関連する副作用を誘発するには低過ぎるままである。
図3に示す通り、多汗症はいくつかの病因を有する。原発性多汗症の場合、TC-5214は、神経支配の過活動を強力に阻害する可能性があり、これにより交感神経のコリン作動性線維に影響を及ぼし、血管運動神経の効果は寄与しない。原発性多汗症は、TC-5214(0.1〜2mg)の1日1回投与に良く反応する。
図4A及び4Bに示す通り、汗腺は全身に発現する。自律神経系のその他の標的とは対照的に、汗腺は、交感神経の「コリン作動性」線維(すなわち、神経節前及び神経節後末端部の両方からアセチルコリンを放出する)を通じてのみ神経支配を受ける。ニコチン受容体(α3β4)は、AChを放出する際の線維の急速な活性化を通じてこの経路において中心的役割を演じ、神経節後AChは汗腺を標的とする(ニコチンα3β4及びムスカリン受容体M3及びM4)。
TC-5214は、原発性多汗症において、交感神経線維の過活動を強力に阻害し、また放出されるアセチルコリン(後シナプスのムスカリン成分)も減少させ、汗腺上に発現した神経節ニコチン受容体(α3β4)を阻害する治療効果が認められるかを調べるために試験される。
ヒトにTC-5214を1日1回(0.1〜2mg)投与すれば、血管運動神経変化には影響を及ぼさずに(図5内の赤色のヒストグラム。効果の大きさを上向きの紫色矢印で示す)、汗腺に対する過活動性のTC-5214-感受性交感神経による神経支配を阻害する可能性があり(図5内の青色のヒストグラム。効果の大きさを黒色矢印で示す)、これにより発汗の低下を引き起こす。
濃度が高まれば血管運動神経変化を増加させることも仮説として成り立ち、続発性多汗症ではすでに乱れていたが、続発性多汗症(例えば、閉経、SSRI、及びその他の続発性の原因)に対して効果を有さない、又はこれを更に悪化させる可能性がある。TC-5214は、原発性多汗症を低用量(0.1〜2mg、1日1回)で改善させると考えられている。
[実施例2]
原発性多汗症及び過活動性膀胱の比較
本明細書でこれまでに記載したように、過活動性膀胱(OAB)の治療のための、デクスメカミラミン(TC-5214)の安全性、忍容性、及び有効性を評価する臨床試験が実施された。当該試験には、3週間又は5週間スクリーニング期間、その後2週間のフォローアップ期間を伴う12週間の治療期間が設けられ、治療期間中に、患者は、2:1:1:1 (プラセボ、低用量、中用量、高用量)の比でランダム化され、3用量のデクスメカミラミン又はプラセボのうちのいずれか1つを1日2回投与された。過活動性膀胱を有する対象、合計768名を、試験の二重盲検治療期間にランダム化した。トライアルでは、高用量のTC-5214は共主要評価項目について様々な結果を示し、12週間の治療後、24時間当たりの排尿頻度について統計的に有意な低下(p=0.033)、及び尿失禁のエピソードについて、統計的有意性にはいたらない改善(p=0.379)をもたらした。これらの結果により、Targacept社は、OABにおけるTC-5214の更なる開発を中止した。このトライアルでは、TC-5214は、一般的に安全であり、良好に忍容されると考えられた。高用量群において、プラセボ補正後、15.1%の便秘率、及び5.9%の尿路感染症率が認められた。国際公開第2013/142162 A1号として公表されたPCT出願番号PCT/US第2013/030640号も参照。
OABを有する患者についてスペクトル密度分析を行うと、OABでは交感神経線維及び副交感神経線維の両方の発火頻度においてマーカーの増加を示すが、これら2つの系は、膀胱制御において拮抗的であり、弛緩及び収縮をそれぞれ引き起こす。図6を参照。説明の通り、交感神経線維の過活動(OABでは望ましくない)を阻害すると、有害効果をもたらすが、交感神経阻害に必要とされる濃度よりもわずかに高濃度で副交感神経線維の過活動を阻害すれば、求心性シグナル伝達の阻害を引き起こす。
正味の効果は、副交感神経阻害が開始して、交感神経阻害の悪影響が埋め合わされるときの用量においてのみ明白となる。したがって、原発性多汗症では、より高感度な系のみが、拮抗系により相殺されずに作動可能である(すなわち、発汗を低下させる副交感神経シグナル伝達が存在しない)。
図7に示す通り、OABと多汗症を比較する1つの理論的な結論より、OABで有効であっても、多汗症における改善の可能性も支持されるとは言えない、すなわち交感神経及び副交感神経の神経支配は膀胱に対して生じ、交感神経の神経支配は汗腺に対してのみ生ずる。換言すれば、交感神経による神経支配は、弛緩に対する寄与は弱く、また膀胱の収縮に対して強く寄与する副交感神経系よりもTC-5214に対してわずかに感受性が高い。OABの場合、効果には、2つの拮抗する過活動性の経路の制御が介在する、すなわち副交感神経経路よりもTC-5214に対して感受性が高いが、それほど強力ではない交感神経経路。低用量のTC-5214は、相殺効果を有するはずであり、副交感神経経路の過活動を漸増的に阻害すると弛緩側にバランスが傾くが、副作用のなかでも特に便秘及び尿路感染症について犠牲を払う。しかし、原発性多汗症の場合、過活動性の経路、すなわちTC-5214に対して感受性が高い交感神経経路が1つ存在する。
[実施例3]
観察された特定の薬理学的反応は、特定の塩形態を含む、選択された特定の活性化合物、又は医薬担体の有無、並びに処方物の種類及び採用された投与法に従い、これらに応じて変化し得、結果におけるそのような予想される変化又は差異は、本発明の実践によって検討される。
本発明の特別な実施形態が、本明細書で説明され、また詳細に記載されているが、本発明はそれらに限定されない。上記した詳細な説明は、本発明の例示として提供されるのであって、本発明に対する何らかの制限となるものと解釈すべきでない。修正形態は当業者にとって明白であり、本発明の精神から逸脱しないすべての修正形態は、添付の特許請求の範囲に含まれるように意図されている。

Claims (12)

  1. 多汗症を有する対象に、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まない、治療有効量のデクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、多汗症を治療する方法。
  2. 多汗症を有する対象に、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩を、約0.1mg〜約2.0mgの量で1日1回経口投与することを含む、多汗症を治療する方法。
  3. デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約0.2mgの量で1日1回経口投与される、請求項2に記載の方法。
  4. デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約0.5mgの量で1日1回経口投与される、請求項2に記載の方法。
  5. デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約1.0mgの量で1日1回経口投与される、請求項2に記載の方法。
  6. デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、約2.0mgの量で1日1回経口投与される、請求項2に記載の方法。
  7. デクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩が、錠剤の形態で経口投与される、請求項2に記載の方法。
  8. 多汗症を治療する方法であって、多汗症を有する対象に、エキソ-R-メカミラミンを実質的に含まないデクスメカミラミン又はその薬学的に許容される塩を、約0.1mg〜約2.0mgの量で1日1回経口投与することを含み、デクスメカミラミンの投与が、少なくとも1つの場所において患者の発汗に1以上の多汗症重症度評価スケール変化で影響を及ぼすのに十分である方法。
  9. デクスメカミラミンの投与が、少なくとも2つの場所において患者の発汗にそれぞれの場所において0.5以上のHDSS変化で影響を及ぼすのに十分である、請求項8に記載の方法。
  10. 場所が、腋窩、掌蹠、顔面/頭皮、又は全身から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 多汗症が原発性多汗症である、請求項1から10に記載の方法。
  12. 対象がヒトである、請求項1〜11に記載の方法。
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