JP2017526647A - Ang−(1−7)誘導体オリゴペプチド、ならびにそれを使用および作製するための方法 - Google Patents

Ang−(1−7)誘導体オリゴペプチド、ならびにそれを使用および作製するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、オリゴペプチド、特にAng−(1−7)誘導体、ならびにそれを使用および作製するための方法を提供する。特定の一実施形態では、本発明のオリゴペプチドは、天然Ang−(1−7)と比べてより高い血液脳関門透過および/またはより長いインビボ半減期を有し、それにより、例えば認知機能不全および/または障害の治療における本発明のオリゴペプチドの様々な臨床用途における使用を可能にする。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2014年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/027,219号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書中に援用される。
本発明は、例えばAng−(1−7)誘導体のようなオリゴペプチド、ならびにそれを使用および作製するための方法に関する。特定の一実施形態では、本発明のオリゴペプチドは、天然Ang−(1−7)と比べてより高い血液脳関門透過および/またはより長いインビボ半減期を有し、それにより、本発明の化合物を、認知機能不全および/または障害(cognitive dysfunction and/or impairment)を治療するための様々な臨床用途で使用することを可能にする。
認知機能不全または障害は、うっ血性心不全(「CHF」)および心臓外科手術後の一般的な神経合併症であり、退院時の患者の約50〜70%および外科手術後6ヶ月の患者の20〜40%に影響を及ぼす。CHFおよび術後性認知機能不全の発生は、入院期間の延長および生活の質の長期不良に関連する。いかなる理論にも拘束されないが、一般に、中枢神経系、特に脳における炎症性サイトカインの増加および/または反応性酸素種の増加に関連する任意の臨床状態が認知機能不全につながる可能性があると考えられる。
残念ながら現在、CHFにおける認知障害もしくは機能不全および術後患者、または脳における炎症サイトカインの増加および/もしくは反応性酸素種の増加に関連する任意の他の臨床状態に対する有効な薬理学的治療はない。
本発明者は、CHFが空間的記憶および物体認識能力の双方の有意な障害をもたらすことを示している。本発明者はまた、天然Ang−(1−7)の全身投与がCHFに誘発される空間的記憶および物体認識障害を減弱させることを発見している。さらに、Ang−(1−7)に対する受容体のMasが海馬において発現されることが知られている。さらに、他の研究者が、2つの異なるラットモデルを用いて、Ang−(1−7)が脳虚血に起因する反応性酸素種(「ROS」)媒介性障害に対して皮質を保護することを示している。このことは、CHFに誘発される認知障害に対するAng−(1−7)の神経保護能が血管内皮および神経細胞レベルの双方でのAng−(1−7)/Masシグナル伝達軸の中枢活性化によって媒介されることと関連している。
残念ながら、例えばAng−(1−7)のようなオリゴペプチドが、インビボで比較的容易に分解されること、および/またはAng−(1−7)が血液脳関門を容易に通過できないため従来的な投与に適しないことは、一般に周知である。
したがって、血液脳関門を比較的容易に通過できおよび/または天然Ang−(1−7)と比べて実質的により長いインビボ半減期を有するAng−(1−7)誘導体に対して需要がある。
本発明の一部の態様は、アンジオテンシン−(1−7)、すなわち「Ang−(1−7)」の誘導体であるオリゴペプチドを提供する。本発明のオリゴペプチドは、Ang−(1−7)と比べてより長いインビボ半減期および/または増加した血液脳関門透過性を有する。一部の実施形態では、本発明のオリゴペプチドは、7もしくは8つのアミノ酸を有する。
本発明の特定の一態様は、式:A−A−A−A−A−A−A−A(配列番号1)(式中、Aは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、バリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、イソロイシン、バリン、アラニン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、プロリン、グリシン、セリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;かつAは、存在してもまたは不在であってもよく、ここでAが存在する場合、Aはセリン、トレオニン、ヒドロキシプロリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され、但し、(i)A〜Aの少なくとも1つは任意選択的に単糖または二糖で置換されている;または(ii)Aが不在である場合、(a)A〜Aの少なくとも1つは単糖または二糖で置換されている、(b)Aはアミノ基で終結される、もしくは(c)それらの組合せである)のオリゴペプチド誘導体を提供する。
一部の実施形態では、糖は、グルコース、ガラクトース、キシロース、フコース、ラムノース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの組合せを含む。別の実施形態では、Aはセリンまたはその誘導体である。
さらに他の実施形態では、(i)Aはアミノ基で終結される;または(ii)Aが不在である場合、Aはアミノ基で終結される。これらの実施形態の中で、場合によっては、(i)Aはグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである;または(ii)Aが不在である場合、Aはグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである。さらに他の場合には、Aが不在である場合、Aはグルコースでグリコシル化されたセリンである。後者の場合の中で、場合によっては、Aはアミノ基で終結される。
さらに他の実施形態では、Aはアスパラギン酸であり;Aはアルギニンであり;Aはバリンであり;Aはチロシンであり;Aはイソロイシンであり;Aはヒスチジンであり;かつ(i)Aは不在であり、かつAはアミノ基で終結されるかもしくはAはグリコシル化セリンである、または(ii)Aはアミノ基で終結されたセリンである。これらの実施形態の中で、場合によっては、Aはグリコシル化セリンである。さらに他の場合には、Aは不在であり、かつAはアミノ基で終結されたグリコシル化セリンである。
本発明の別の態様は、8つ以下のアミノ酸、典型的には7もしくは8つのアミノ酸(例えばアミノ酸残基)を有するグリコシル化Ang−(1−7)誘導体を提供する。一部の実施形態では、グリコシル化Ang−(1−7)誘導体は、キシロース、フコース、ラムノース、グルコース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの組合せでグリコシル化される。さらに他の実施形態では、前記グリコシル化Ang−(1−7)誘導体のカルボキシル酸末端はアミノ基で置換される。
本発明の他の態様は、本発明のオリゴヌクレオチドを治療有効量で投与することによって、被験者における認知機能不全および/または障害を治療するための方法を提供する。一般に、本発明のオリゴペプチドは、Ang−(1−7)で治療可能な任意の臨床状態を治療するため、用いることができる。
本発明のオリゴペプチドのいくつかおよび天然Ang−(1−7)が培養下のヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を活性化することを示すグラフ。 天然Ang−(1−7)および本発明のオリゴペプチドPN−A3、PN−A4およびPN−A5についてのNO産生アッセイの結果を示すグラフ。 選択されたMas受容体拮抗薬A779が本発明のオリゴペプチドPN−A5によって誘発されるNO産生を遮断することを示すグラフ。 オリゴペプチドPN−A5によって誘発されるNO産生に対する選択されたMas受容体拮抗薬A779の効果の平均を示すグラフ。 心不全に誘発される物体認識記憶障害に対するオリゴペプチドPN−A5の効果を示すグラフ。 心不全に誘発される空間的記憶障害に対するオリゴペプチドPN−A5の効果を示すグラフ。 オリゴペプチドPN−A5がCIBPを急性的に減弱させることを示すグラフ。 フォンフレイフィラメントを用いた接触性アロディニア試験の結果を示すグラフ。
定義
用語「天然」は、部分的または完全なレトロ、インベルソまたはレトロ−インベルソ類似体を調製するための開始配列または参照として用いられるLアミノ酸の任意の配列を指す。したがって、用語「天然Ang−(1−7)」は、内因性Ang−(1−7)の場合と同じアミノ酸配列を有するオリゴペプチドを指す。用語「天然」の使用が天然起源であることを決して意味しないが、天然起源のAng−(1−7)を含み得ることは理解されるべきである。用語「天然」はあくまで、アミノ酸残基の任意の修飾を伴わない、Ang−(1−7)の場合と同じアミノ酸配列を有することを指す。したがって、用語「天然Ang−(1−7)」は、アミノ酸残基が同じでかつ修飾されない限り、合成Ang−(1−7)および天然起源Ang−(1−7)の双方を含む。
用語「Ang−(1−7)誘導体」は、1つ以上のアミノ酸残基が修飾されるかまたは対応する天然Ang−(1−7)のアミノ酸残基と異なる場合のオリゴペプチドを指す。用語「Ang−(1−7)誘導体」はまた、下でより詳細に考察されるような8つのアミノ酸残基のオリゴペプチドを含む。
用語「レトロ修飾された」は、アミノ酸残基が、天然ペプチドがレトロ修飾されることに関連して天然ペプチドに対して逆方向に構築される場合のL−アミノ酸からなるペプチドを指す。用語「インベルソ修飾された」は、アミノ酸残基が、天然ペプチドがインベルソ修飾されることに関連して天然ペプチドと同じ方向に構築される場合のD−アミノ酸からなるペプチドを指す。用語「レトロ−インベルソ修飾された」は、アミノ酸残基が、天然ペプチドがレトロ−インベルソ修飾されることに関連して天然ペプチドに対して逆方向に構築される場合のD−アミノ酸からなるペプチドを指す。したがって、天然Ang−(1−7)(L−アミノ酸、N→C方向)は、Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−His−Pro、すなわちDRVYIHP(配列番号2)である。レトロ−インベルソAng−(1−7)(D−アミノ酸、C→N方向)は、DRVYIHP(配列番号3)である。レトロAng−(1−7)(L−アミノ酸、C→N方向)は、DRVYIHP(配列番号4)である。またインベルソAng−(1−7)(D−アミノ酸、N→C方向)は、DRVYIHP(配列番号5)である。インベルソ修飾およびレトロ−インベルソ修飾Ang−(1−7)誘導体との関連でのD−アミノ酸の使用は、オリゴペプチドにおけるD−アミノ酸の使用に対して限定することが意図されていない。下でより詳細に考察されるように、Ang−(1−7)誘導体中のすべてに満たないアミノ酸は、D−アミノ酸であってもよい。
用語「糖」は、実験式(CHO)(式中、nは、ペントースでは5、ヘキソースでは6である)のペントースおよびヘキソースを指す。糖は、単糖、二糖、オリゴ糖(例えば、3〜20、典型的には3〜10、また多くは3〜5のモノマー糖は互いに連結される)、または多糖(例えば、20を超えるモノマー糖単位)であり得る。より多くは、糖という用語は、単糖および/または二糖を指す。しかし、本発明の範囲が単糖または二糖に限定されないことは理解されるべきである。多くは、「糖(carbohydrate)」および「糖(saccharide)」は、本明細書中で交換可能に用いられる。
用語「オリゴペプチド」は、明細書および特許請求の範囲の全体を通じて用いられるとき、任意の長さのアミノ酸鎖、典型的には約15以下、多くは10以下、さらにより多くは8以下、また最も多くは7もしくは8のアミノ酸鎖を含むように理解されるべきである。
Ang−(1−7)のアミノ酸の1つ以上が「等価なアミノ酸」と置換され得る、例えば、L(ロイシン)がイソロイシンもしくは他の疎水性側鎖アミノ酸、例えばアラニン、バリン、メチオニンなどと置換され得る、また極性非荷電側鎖を有するアミノ酸が他の極性非荷電側鎖アミノ酸と置換され得ることは理解されるべきである。Ang−(1−7)が7つのアミノ酸を含む一方、一部の実施形態では、本発明のオリゴペプチドは8以下のアミノ酸を有する。
用語「誘導体」は、アミノ酸の任意の化学修飾、例えば側鎖上のアミノ基または官能基のアルキル化(例えばメチル化またはエチル化)、側鎖官能基の除去、官能基(例えばプロリンへの水酸基)の付加、(例えばグリコシル化を介する)単糖または二糖の結合などを指す。例示的なグリコシル化誘導体は、グルコース、ガラクトース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イオドース、タロース、フコース、ラムノースなど、ならびに二糖およびアミノ糖、例えばガラクトサミン、グルコサミン、シアル酸、N−アセチルグルコサミンなどでグリコシル化されたセリン上の水酸基を含む。アミノ酸誘導体はまた、修飾もしくは未修飾D−アミノ酸を含む。
Ang−(1−7)誘導体の任意の修飾(例えば糖修飾)を参照する用語「それらの組合せ」は、個別のアミノ酸の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、もしくは8つが糖の結合により修飾される場合のオリゴペプチドを指す。複数の糖修飾を有するAng−(1−7)誘導体においては、修飾する糖はすべての修飾アミノ酸に対して同じであってもよく、または幾つかの修飾アミノ酸は異なる糖の混合物を含んでもよい。
「治療有効量」は、疾患を治療するのに適切な間隔で十分な持続時間、哺乳動物に投与されるとき、疾患に対してかかる治療を有効にするのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、個体に固有の生理学的要素、例えば限定はされないが、年齢、体重や肥満度指数、単位用量、累積用量、頻度、持続時間、および選択される投与経路に応じて変化することになる。
本明細書で用いられるとき、用語「処理する」、「接触する」または「反応する」は、化学合成に関しては、2つ以上の試薬を、指定および/または所望される生成物を生成するための適切な条件下で添加または混合することを意味する。指定および/または所望される生成物を生成する反応が、最初に添加された2つの試薬の組合せに必ずしも直接的に起因しない場合がある、すなわち、最終的に指定および/または所望される生成物の形成につながる混合物中に生成される1つ以上の中間体が存在し得ることは理解されるべきである。
本明細書で用いられるとき、用語「治療する」および「治療」は、治療されている状態または疾患の任意の症状または生理学的、認知的、もしくは生化学的兆候の改善をもたらすことを指す。例えば、認知機能不全および/もしくは障害の治療は、(1)認知機能不全および/または障害を、認知機能不全および/もしくは障害を発生しているかまたはそれに罹りやすい場合があるが、認知機能不全および/もしくは障害の症状をいまだ経験または呈しない被験者において発生しないように、認知機能不全および/もしくは障害の臨床症状を発症させる、すなわち引き起こすことから予防すること;(2)認知機能不全および/もしくは障害を阻害すること、すなわち認知機能不全および/もしくは障害またはその臨床症状の発生を停止または低下させること;または(3)認知機能不全および/もしくは障害を軽減すること、すなわち認知機能不全および/もしくは障害またはその臨床症状の後退をもたらすこと、を指す場合がある。
数に関連する用語「約(approximately)」または「約(about)」は一般に、特に指定がないかまたはそうでなくても内容から明白である限り(かかる数が0%より小さいもしくは100%より大きい可能値である場合を除く)、その数のいずれかの方向に5%、10%、15%、もしくは20%(より大きいまたはより小さい)の範囲内に該当する数を含むと解釈される。
用語「被験者」または「患者」は、本発明の組成物が、例えば、実験、診断、および/または治療目的で投与され得る任意の生物を指す。典型的な被験者は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳類)を含む。
他に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されている意味を有する。
本発明のオリゴペプチド:本発明の一部の態様は、Ang−(1−7)の誘導体であるオリゴペプチドを提供する。上で考察したように、Ang−(1−7)の「誘導体」という用語は、Ang−(1−7)の任意の1つ以上のアミノ酸配列が(例えば、メチル化、官能基、例えばプロリンへのヒドロキシ基の存在を介して)修飾され、糖に結合され、対応するD−アミノ酸もしくは上で規定されるのと「等価なアミノ酸」と置換され、および/またはAng−(1−7)末端のアミノ基末端もしくはカルボキシル末端が修飾され、例えばカルボキシル酸末端がアミド、アミン、チオール、もしくはアルコール官能基に修飾され得る場合のオリゴペプチド、あるいは追加的なアミノ酸残基が天然Ang−(1−7)に対して存在する場合のオリゴペプチドを指す。用語「Ang−(1−7)誘導体」が天然Ang−(1−7)、すなわち修飾を全く伴わない内因性Ang−(1−7)のアミノ酸配列を含まないことは理解されるべきである。
一部の実施形態では、本発明のオリゴペプチドは、カルボキシル酸末端上にアミノ基を有し(すなわち、カルボキシル酸の−OH基が−NR(式中、RおよびRの各々は独立して水素またはC〜Cアルキルである)と置換され)、および/または(i)対応するD−アミノ酸と置換された、(ii)グリコシル化された、(iii)別のアミノ酸と置換された、(iv)もしくはそれらの組合せである1つ以上のアミノ酸残基を有する。
さらに他の実施形態では、本発明のオリゴペプチドはレトロ−インベルソAng−(1−7)である。さらに他の実施形態では、本発明のオリゴペプチドはレトロAng−(1−7)である。他の実施形態では、本発明のオリゴペプチドはインベルソAng−(1−7)である。
本発明の他の実施形態は、少なくとも1つ以上、典型的には1もしくは2つ、および多くは1つのみのアミノ酸が糖に結合したAng−(1−7)誘導体を含む。一般に、糖は、グリコシル化を介してアミノ酸に結合する。典型的には、糖は単糖および二糖である。本発明において使用可能な例示的な単糖および二糖として、限定はされないが、キシロース、フコース、ラムノース、グルコース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、およびそれらの組合せが挙げられる。
特定の一実施形態では、本発明のオリゴペプチドは、式:A−A−A−A−A−A−A−A(配列番号1)(式中、Aは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、バリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、イソロイシン、バリン、アラニン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;Aは、プロリン、グリシン、セリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;かつAは、存在してもまたは不在であってもよく、ここでAが存在する場合、Aはセリン、トレオニン、ヒドロキシプロリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され、但し、(i)A〜Aの少なくとも1つは任意選択的に単糖または二糖で置換される;または(ii)Aが不在である場合、(a)A〜Aの少なくとも1つは単糖または二糖で置換される、(b)Aはアミノ基で終結される、もしくは(c)それらの組合せである)のAng−(1−7)誘導体である。
一部の実施形態では、Aはオリゴペプチドのアミノ末端であり、かつA(またはAが不在である場合にはA)はカルボキシル末端である。さらに他の実施形態では、Aはカルボキシル末端であり、かつA(またはAが不在である場合にはA)はアミノ末端である。さらに他の実施形態では、カルボキシル末端のカルボキシル酸官能基は、アミド官能基、アミン官能基、ヒドロキシル官能基、またはチオール官能基として修飾される。アミドおよびアミン官能基は、アルキル化されないか、モノアルキル化またはジアルキル化され得る。
さらに他の実施形態では、糖は、グルコース、ガラクトース、キシロース、フコース、ラムノース、またはそれらの組合せを含む。場合によっては、糖は単糖である一方、他の場合には、糖は二糖である。
他の実施形態では、A〜Aの少なくとも1つは単糖で置換される。さらに他の実施形態では、A〜Aの少なくとも1つは二糖で置換される。本発明の範囲が、単糖および二糖の双方を有するオリゴペプチドも含むことは理解される必要がある。
本発明のオリゴペプチド中で使用可能な例示的な二糖として、限定はされないが、ラクトース、セロビオース、メリビオース、およびそれらの組合せが挙げられる。しかし、本発明の範囲が当業者に公知の任意の二糖で置換されたオリゴペプチドを含むことは理解される必要がある。
特定の一実施形態では、Aはセリンまたはその誘導体である。場合によっては、セリンのカルボキシル酸部分は、アミドまたはアミンとして修飾される。ある場合には、セリンは、アミノ基として終結される。さらに他の実施形態では、Aのセリン残基は、グルコースまたはラクトースでグリコシル化される。
さらに他の実施形態では、A〜Aの少なくとも1つ、典型的には少なくとも2つ、一般には少なくとも3つ、多くは少なくとも4つ、さらにより多くは少なくとも5つ、さらにより多くは少なくとも6つ、また最も多くはすべてがD−アミノ酸である。
特に、一部の具体的な実施形態では、前記オリゴペプチドは、レトロ修飾、インベルソ修飾、またはレトロ−インベルソ修飾がなされる。
本発明の別の態様は、8つ以下のアミノ酸、典型的には7もしくは8つのアミノ酸残基を有するオリゴペプチド、例えばAng−(1−7)誘導体を提供する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸は、それに炭水化物基を結合させている。多くの場合、炭水化物基は、グリコシル化を介してオリゴペプチドに結合される。糖は、アミノ酸の側鎖官能基またはアミド基のいずれかを介してオリゴペプチドに結合され得る。したがって、本発明の範囲は、限定はされないが、O−グリコシル化、N−グリコシル化、S−グリコシル化オリゴペプチドを含む。用語「X−グリコシル化」は、アミノ酸のヘテロ原子「X」を介してオリゴペプチドに結合した糖を有することを指す。例えば、側鎖官能基がヒドロキシルであるセリンにおいては、「O−グリコシル化」は、糖がセリンの側鎖官能基、すなわち水酸基に結合されることを意味する。同様に、ロイシンの「N−グリコシル化」は、ロイシンのアミノ側鎖官能基に結合した糖を有することを指す。典型的には、グリコシル化はアミノ酸の側鎖官能基上で生じる。
一部の実施形態では、Ang−(1−7)誘導体は、キシロース、フコース、ラムノース、グルコース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの組合せでグリコシル化される。
さらに他の実施形態では、前記グリコシル化Ang−(1−7)誘導体のカルボキシル酸末端はアミノ基で置換される。アミノ基で置換されているカルボキシル酸末端に関しては、それはカルボキシル酸の−OH基が−NH基と置換されることを意味する。したがって、実の末端官能基がアミドであり、すなわち官能基−COHを有するカルボキシル酸末端で終結しているオリゴペプチドを有するのでなく、カルボキシル酸末端はアミド基(すなわち−CONR’(式中、各R’は独立して水素もしくはC〜C12アルキルである))で終結する。さらに他の実施形態では、カルボキシル酸末端基は、ヒドロキシル基またはチオール基で終結する。一部の実施形態では、修飾されたカルボキシル酸末端基は、例えばグリコシル化を介して糖に結合するように用いられる。
本発明の目的の1つは、作用の有効性、インビボ安定化、および/または血液脳関門の透過性を増強するため、Ang−(1−7)誘導体を作製することであった。血液脳関門の改善された透過性は、本発明のAng−(1−7)誘導体の脳内侵入、ひいてはMas活性化、または固有の有効性を促進する。血液脳関門の透過性を改善する(すなわち増強する)ため、一部の実施形態では、Ang−(1−7)誘導体は少なくとも1つの単糖または二糖に結合される。
いかなる理論にも拘束されないが、グリコシル化された本発明のオリゴペプチドが、折り畳まれたAng−(1−7)糖ペプチド(すなわち本発明のグリコシル化オリゴペプチド)の固有の両親媒性および本発明のグリコシル化オリゴペプチドを血液脳関門を通じて送達するための「biousianアプローチ」を利用すると考えられている。場合によっては、本発明のオリゴペプチドによる血液脳関門の通過における増加量は、天然Ang−(1−7)と比べて、少なくとも6%、典型的には少なくとも10%、また多くは少なくとも15%である。他の場合には、本発明のオリゴペプチドは、少なくとも30分、典型的には少なくとも40分、また多くは少なくとも50分のインビボ半減期を有する。あるいは、天然Ang−(1−7)と比べて、本発明のオリゴペプチドは、インビボ半減期における少なくとも50倍、典型的には少なくとも75倍、また多くは少なくとも100倍の増加を示す。
他の実施形態では、本発明のオリゴペプチドは増強された血管効果を示す。いかなる理論にも拘束されないが、血液脳関門輸送が、脳毛細管の内皮の血液側での吸収性エンドサイトーシス過程、その後の脳側でのエキソサイトーシスを介して生じ、全体的な経細胞輸送に至ることが一般に理解されている。この過程が効率的であるように、オリゴペプチドがある程度の期間、膜に結合する必要があるばかりでなく、ある程度の期間、水性状態で存在できる必要がある(biousianの性質)とも考えられている。本発明者の1名による先行研究に基づくと、有効な薬物送達および血液脳関門輸送が、少なくとも2つの状態:(1)エンドサイトーシスを許容または促進する1つ以上の膜結合立体構造によって規定される状態;および(2)水可溶性によって規定される状態、または「膜ホッピング(membrane hopping)」やおそらくは血管効果を可能にするランダムコイル状態、を有するbiousian糖ペプチドを必要とすると考えられる。
一般に、グリコシル化の度合いは、個別のミクロ状態の構造に対して大した効果を有しない。したがって、グリコシル化の度合いを変更することにより、水性対膜結合状態の集団密度をオリゴペプチドの全体構造に有意に影響することなく調節することが可能になる。さらに、グリコシル化がまたペプチダーゼに対する安定性を促進し、それによりインビボでのAng−(1−7)誘導体の半減期が増加すると考えられる。
上の表1は、本発明の代表的なオリゴペプチドの一部を示す。特に、これらのオリゴペプチドはAng−(1−7)誘導体であると考えることができる。表1中の「n−x」(式中、xは整数である)はオリゴヌクレオチド識別子を表す。例えば、PN−A1はオリゴペプチド番号1を意味し、PN−A2はオリゴペプチド番号2を意味し、PN−A6−PN−A11はオリゴペプチド番号6〜11を意味するなどである。したがって、用語「A−x」は、あくまで同定を目的として用いられる。表1に示されるように、オリゴペプチドの一部は、天然Ang−(1−7)ペプチドに結合された糖を有する。これらのペプチドは、糖ペプチドと称されることがある。
試験によると、糖ペプチドの天然受容体への固有の結合が受ける影響が最小限であることが示されている。したがって、グリコシル化Ang−(1−7)誘導体は、天然Ang−(1−7)ペプチドの場合と類似したMas結合を最低限維持する。さらに、糖ペプチドの水性の性質を促進することは、Ang−(1−7)誘導体での血管効果をさらに増強し得る。最適な血液脳関門輸送のためのグリコシル化の度合い(例えば、表1:非グリコシル化Ser°、グリコシル化Serまたはラクトシル化Ser**)は、インビボマウスモデルを用い、これらからの最良の結合化合物を用いて判定される。二糖β−ラクトース以外に、より強固な二糖β−セロビオースが、これらの最初のいくつかの構造を用いて試験される。Ang−(1−7)のアミノ酸配列および有望な修飾方法に基づき、自動化ペプチド合成およびコンビナトリアル合成を含む周知のオリゴペプチド合成を用いて迅速に作製される有望なAng−(1−7)の誘導体が少なくとも約200存在する。
本発明の他の態様は、本発明のオリゴペプチドを用いて患者における認知機能不全および/または障害を治療するための方法を提供する。典型的には、本発明の方法は、かかる治療を必要とする患者に本発明のオリゴペプチドを治療有効量で投与するステップを含む。Ang−(1−7)を用いて治療可能であることが公知であるかまたは治療可能であるように思われる任意の臨床状態を治療するために、本発明のオリゴペプチドを使用できることが理解されるべきである。しかしながら、明確性および簡潔性を目的として、患者において認知機能不全および/または障害を治療することに関連して、ここで本発明を説明する。
うっ血性心不全(CHF)患者で発症する認知機能不全は、注意力低下、記憶喪失、精神運動遅滞、および実行機能低下を含み、それらのすべては、複雑な服薬計画に従う、食事制限を遵守する、またセルフケアを決意するといった患者の能力を損なう。CHFを有する患者における認知障害に寄与すると考えられる機序は、脳血流の変化、変化した脳血管自己調節および微小塞栓症を含む。1つの試験では、重症心不全を有する患者において、脳血流が単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)で測定され、30%低下することが見出された。CHFにおける脳灌流低下の原因は、低心拍出量、低血圧および変化した脳血管反応性に起因している。場合によっては、CHFで見られる認知障害は、心臓移植またはCHFの最適な管理を介した脳血流の改善のいずれかに従って改善される。しかし、CHFを有する多数の患者においては、管理が最適であることは稀であり、認知障害が持続する。興味深いことに、長期のフォローアップ試験によると、認識的に正常なCHF患者が同年齢の非CHF対照と比べて認知症またはアルツハイマー病の有意により高いリスクを有することが示されており、これはCHFおよび心血管疾患が患者を認知障害および認知症にさらに罹患させることを示唆している。
CHFの間、循環する神経化学的環境における十分に特徴づけられた変化および炎症性因子の増加もまた脳内で認められる。CHFに誘発される炎症性サイトカインおよびROSにおける変化に関する試験の大部分は、認知ではなく、交感神経流出調節に関与する脳領域に特化している。CHFは、交感神経緊張を高め、異常な心臓および交感神経反射機能を引き起こす。ラットでは、虚血誘導性CHFは、視床下部の室傍核(PVN)において炎症促進性サイトカインおよびアンジオテンシンII1型受容体(AT1)を有意に増加させる。さらに、CHFウサギでは、交感神経流出の増加が、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)模倣物テンポールのICV注射により、おそらくはROSの阻害により遮断される。このモデルにおけるCHFは、NADPHオキシダーゼサブユニットの発現増加および延髄吻側腹外側部(RVLM)におけるROSの生成およびNOの上昇に関連する。
学習および記憶におけるROSの役割は広範に試験されている。NOX2およびNOX4を含むNAD(P)Hオキシダーゼサブユニットのすべては、マウス海馬および鼻周囲皮質のニューロンの細胞体および樹状突起の内部に局在化されており、シナプス部位で共存している。これらは、学習および記憶における脳の主要な領域である。脳では、NAD(P)Hオキシダーゼの作用を介したスーパーオキシドの生成は、神経毒性、加齢性認知症、脳卒中および神経変性疾患に関与することが知られており、海馬、視床、小脳および扁桃体を含む脳全体にわたり同定されている。若年では、健常動物のROSおよびNAD(P)Hオキシダーゼは、正常な学習および海馬長期増強(LTP)にとって必要であることが示されている。Mas欠損マウスにおける最近の試験では、Ang−(1−7)およびMasが正常な物体認識処理にとって必須であり、海馬におけるMasの遮断が物体認識を損なわせることが示されている。さらに、Ang−(1−7)はCA1細胞におけるLTPを促進し、この効果はMasの拮抗作用により遮断される。老年動物またはCHF動物では、ROSの上昇はLTPおよび記憶障害に関連している。
この10年にわたり、レニンアンジオテンシン系(RAS)が異なる受容体で作用する2つの関連ペプチドの生理学的均衡をもたらす2つの別々の酵素経路を含むことは理解されるようになっている。十分に記述されたACE−AngII−AT1受容体系は、ACE2−Ang−(1−7)−Mas系によって、生理学的に対抗され、バランスが保たれていると考えられる。機能的に、RASのこれら2つの別々の酵素経路は、脳、微小血管系および末梢組織においてROSの生成と一酸化窒素(NO)のバランスをとることに関与すると考えられる。AT1受容体活性化の増強は、NAD(P)HオキシダーゼおよびROSの生成を増加させることが知られており、それらは双方とも、CHFおよび高血圧において認められる交感神経活性の異常な増強に寄与することが知られている。AT1受容体に誘導されるROS形成のこの増加は、ROS形成のACE2−Ang−(1−7)−Mas阻害によって対抗されると考えられる。Ang−(1−7)(その大部分はAngIIのACE2切断から生成される)は、脳内でMas活性化を介して、おそらくはAT2受容体を通じて、ROSの生成を低下させ、NOSを増加させる。
脳内では、Mas受容体は、ニューロン、ミクログリアおよび血管内皮細胞上で発現されることが知られている。さらに、「神経血管単位」を構成するこれら主要成分の3つすべて(ニューロン、ミクログリアおよび内皮細胞)は、神経原性高血圧およびCHFに誘発される脳炎症およびROSの生成の増加における中心的プレーヤーである。CHFおよび高血圧の双方は、「神経血管単位」内部でROSの生成を促進する循環サイトカインを増加させる。このフィードフォワードカスケードの最終結果は、神経細胞機能不全および認知障害である。認知障害を治療するのに理想的な治療候補であれば、血液脳関門の両側、脳血管内皮および神経細胞で作用することで、このカスケードを中断するように設計されることになる。Mas受容体で作用するAng−(1−7)は、内皮細胞および神経細胞の双方で効果を有することが知られている。しかし、認知機能不全および/または障害を治療するために天然Ang−(1−7)を用いることは、天然Ang−(1−7)が酵素分解を受けやすいことから好適でない。さらに、天然Ang−(1−7)は、治療薬として好適となるには血液脳関門を通過しにくい。
いかなる理論にも拘束されないが、認知機能不全および/または障害の治療に本発明のオリゴペプチドを用いる利点の1つが、本発明のオリゴペプチドが内皮「相互作用」および脳透過性を増強していることであると考えられる。本発明のオリゴペプチドが内皮細胞および神経細胞の双方で作用することで、特に神経血管性のROSの生成を阻害し、脳炎症カスケードを緩和すると考えられる。
したがって、本発明のオリゴペプチドは、(1)術前および/または術後認知症に関連するか、または(2)うっ血性心不全、心血管疾患、または高血圧を有する患者で認められる、認知障害および/または機能不全を治療するため、用いることができる。より一般的には、本発明のオリゴペプチドは、認知機能不全および/または障害が中枢神経系、特に脳における炎症性サイトカインの増加および/または反応性酸素種(「ROS」)の増加に臨床的に関連する被験者における認知機能不全および/または障害を治療するのに有用である。本明細書で用いられるとき、用語「臨床的に関連する」は、寛解されるとき、認知機能不全および/または障害の低下、予防、治療または反転をもたらす認知機能不全および/または障害の根本的原因または基礎原因(限定はされないが記憶喪失など)を指す。認知機能不全および/または障害を引き起こし得る炎症性サイトカインの増加および/または反応性酸素種の増加に関連する例示的な臨床状態として、限定はされないが、循環不全(circulatory compromise)、心血管疾患、高血圧、低血圧、うっ血性心不全、脳卒中、塞栓症、手術(例えば、術後回復状態)、認知症、アルツハイマー病、疾患関連認知障害、外傷関連認知障害、加齢性認知症、術後性せん妄、ならびに/または前記被験者の中枢神経系内の炎症性サイトカインの増加および/もしくは反応性酸素種の増加、またはそれらの組合せが挙げられる。
本発明のオリゴペプチドは、所望される生理学的効果を得るため、患者に投与され得る。患者は、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物、また最も好ましくはヒトである。オリゴペプチドは、選択される投与経路、すなわち経口的または非経口的経路に適した種々の形態で投与され得る。これに関連した非経口投与は、以下の経路:静脈内;筋肉内;皮下;眼内;滑液包内;経上皮(経皮的、眼、舌下および頬側を含む);局所(眼、皮膚、眼球、直腸およびガス注入やエアロゾルを介した経鼻吸入を含む);腹腔内;ならびに直腸全身性経路による投与を含む。
活性オリゴペプチドは、例えば不活性希釈剤または吸収可能な可食担体とともに経口投与され得、あるいはそれはハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル内に封入され得、またはそれは錠剤に圧縮され得る。経口治療投与においては、活性オリゴペプチドは、賦形剤とともに組み込み、摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤、ウェーハなどの形態で用いてもよい。かかる組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性オリゴペプチドを含有し得る。組成物および製剤の百分率は、当然ながら変動し得、便宜的にユニット重量の約1〜約10%の間であり得る。かかる治療的に有用な組成物中の活性オリゴペプチドの量は、好適な用量が得られる程度である。本発明に従う好ましい組成物または製剤は、経口単位剤形が約1〜約1000mgの活性オリゴペプチドを含有するように調製される。
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などはまた、以下、すなわち、ガムトラガカント、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および添加可能なスクロース、ラクトースまたはサッカリンなどの甘味料、またはペパーミント、ウィンターグリーンの油、もしくはサクランボ香味料などの調味料を含有し得る。単位剤形がカプセル剤である場合、それは上記タイプの材料に加えて液体担体を含有し得る。様々な他の材料は、コーティング剤として、またはそれ以外では用量単位の物理的形態を修飾するため、存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、セラック、糖またはその両方でコーティングされ得る。シロップまたはエリキシル剤は、活性オリゴペプチド、甘味料としてスクロース、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、色素およびサクランボもしくはオレンジ香料などの調味料を含有し得る。当然ながら、任意の単位剤形(dosage unit form)を調製するのに用いられる任意の材料は、使用量において薬学的に純粋であり、実質的に非毒性である必要がある。さらに、活性オリゴペプチドは、徐放性製剤および調合物(formulation)に組み込まれ得る。
活性オリゴペプチドはまた、非経口投与され得る。活性オリゴペプチドの溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製され得る。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、ならびに油中で調製され得る。微生物の成長を阻止するため、これらの製剤は、貯蔵および使用に関する通常の条件下で保存料を含有する。
注射用途に適した医薬剤形は、滅菌水溶液または分散液、ならびに滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。いずれの場合も、その剤形は、滅菌されている必要があり、また容易に注射できる(easy syringability)程度に流動性である必要がある。それは、製造および貯蔵の条件下で安定であり得、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む分散媒の溶媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には要求される粒径の維持により、また界面活性剤の使用により、維持され得る。微生物の作用の阻止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖類または塩化ナトリウムを含むことは好ましいであろう。吸収を遅延させる薬剤、例えばステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの注射用組成物の延長された吸収。
滅菌注射溶液は、活性オリゴペプチドを、必要に応じて上で列挙された様々な他の成分を有する適切な溶媒に必要量組み込み、次いで濾過滅菌することにより調製される。一般に、分散液は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒および上で列挙された成分由来の必要な他の成分を含有する滅菌媒体に組み込むことにより調製される。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分に加えて任意の追加的な所望される成分(その予め滅菌濾過した溶液から)の粉末を生成する真空乾燥および凍結乾燥技術である。
本発明の治療オリゴペプチドは、上述のとおり、単独でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて哺乳動物に投与することができ、その割合は、オリゴペプチドの溶解度および化学的性質、選択される投与経路、ならびに標準的薬務により決定される。
医師は、予防または治療にとって最適となる本治療薬の用量を決定し、その用量は、投与形態および選択される特定のオリゴペプチドによって異なり、また治療下の特定の患者によって異なることになる。医師は一般に、少用量で、至適効果がその環境下で得られるまで少しずつ増加させることにより治療を開始することを望むであろう。治療用量は一般に、約0.1〜約1000mg/日、また好ましくは約10〜約100mg/日、または約0.1〜約50mg/kg体重/日、また好ましくは約0.1〜約20mg/kg体重/日であり得、また幾つかの異なる単位用量で投与され得る。経口投与においては、約2倍〜約4倍のオーダーでの用量増加が必要であり得る。
本発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴は、限定することが意図されない、以下のそれらの実施例での試験の際に当業者に明白になるであろう。本実施例では、法定の実施化(constructively reduced to practice)である手順は現在時制で記述され、また実験室で実施された手順は過去時制で示される。
Ang−(1−7)誘導体のハイスループットスクリーニング(HTS):HTSのため、2つの別個の細胞株、一次CA1海馬ニューロンおよびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、における一酸化窒素(NO)産生の敏感でかつ直接的測定手段を利用する。一次CA1細胞の使用は、中枢性作用の試験では自明である。さらに、CHFの進行および認知障害の誘発に対する内皮機能障害の寄与は臨床的に理解されている。Ang−(1−7)シグナル伝達軸が内皮機能不全に対する治療標的として有望であり続けるという新たな概念は、機序としてのCHFに誘発される内皮機能不全の反転が除外され得ないことを強く示している。HUVECは、ヒト臍帯静脈から単離し、一次培養後に凍結保存する。HUVECは、これらの細胞が内皮細胞機能の試験用のインビトロ系モデルであり、Mas依存性NO産生を直接的に測定するのに使用可能であることから、一次スクリーニング用の第2の系統として含められる。
細胞培養:一次海馬CA1神経細胞を単離するため、全脳を新生児子ラット(1〜2日齢)から摘出し、皮質を切り取った。海馬を単離し、CA1領域を切除し、緩衝液中に置いた。消化緩衝液中で穏やかに破壊した後、細胞を計数し、培地に置き、ポリ−d−リジンでコーティングした96ウェルフォーマット内に蒔いた。プレーティング時、細胞は約50%の密度であり、アッセイを開始する前、70〜80%の密度になるまで培養しておいた。市販のHUVEC(Life Technologies/Thermo Fisher)を解凍し、ゼラチンでコーティングした96ウェルフォーマット内に蒔いた(5000〜10,000細胞/ウェル)。HUVEC細胞は、アッセイを開始する前、一晩培養しておいた。
細胞活性化:Roche Applied Scienceによって開発されたxCELLigenceシステムのReal−Time Cell Analyzer(RTCA)では、細胞のGタンパク質受容体活性化を含む細胞事象の動的、リアルタイム、標識フリーの非浸潤性分析を行うため、マイクロエレクトロニクスバイオセンサー技術を用いる。本発明のオリゴペプチドおよび天然Ang−(1−7)が培養下でヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を活性化する効力および相対的能力を測定するため、RTCA分析を利用した。細胞インピーダンス(CI)の線形増加に基づく均一な細胞結合性に従い、HUVECをAng−(1−7)および本発明のオリゴペプチドで処理した。図1におけるCIの経時的な各トレースは、化合物添加時、CIに正規化された4ウェルの平均を表す。図1は、PN−A3、PN−A4、PN−A5および天然Ang−(1−7)の相対効力を測定するため、xCELLigence RTCAを用いて得られたデータからの結果を示す。PN−A3、PN−A4およびPN−A5の100nMの投与ならびにPN−A3およびPN−A5の10nMの投与により、天然Ang−(1−7)を超えるCIの有意な(約2倍の)増加が得られたが、これは本発明のオリゴペプチドが細胞活性化において天然Ang−(1−7)よりも大きな効力を有することを示した。
NO産生アッセイ:本発明のオリゴペプチドの作用機序についてのスクリーニングとして、本発明の3つのオリゴペプチド(PN−A3、PN−A4およびPN−A5)のNO産生を高める能力を特徴づけ、天然Ang−(1−7)と比べた。ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)培養プレートは、リアルタイムでのNO産生を測定するため、ジアミノフルオレセイン−FMジアセテート(DAF−FM、1μM)を含有する蛍光反応緩衝液(0.2Mリン酸塩緩衝液、pH7、1mM EDTA、0.1%グルコース)を受け取った。時間分解(10分)蛍光強度を、485nmでの励起および535nmでの放射を伴うBioTek Synergy 2マイクロプレートリーダーを用いて検出した。DAF−FMは、生細胞におけるNOの選択的検出のための感受性蛍光定量的誘導体である。
図2は、天然Ang−(1−7)および本発明の3つのオリゴペプチドへの5分間曝露後の相対ピーク蛍光強度を示す。蛍光を制御するため、値を正規化した。想定通り、天然Ang−(1−7)は、対照レベルを超えるNOの有意な上昇を誘発した。より重要なことには、図2に示すように、本発明のオリゴペプチド(すなわちPN−A3、PN−A4およびPN−A5)もまた、対照レベルを超えるNOの有意な上昇を誘発し、PN−A5は天然Ang−(1−7)で見られる場合よりもNO産生を有意に増強した(=p<0.05)。これらの結果は、本発明のオリゴペプチドがNO産生を天然Ang−(1−7)の場合と比べて同程度にまたはより大きく増加させることを示す。
図3Aは、天然Ang−(1−7)によるNO産生を遮断し、本発明のオリゴペプチド、すなわちPN−A5により誘発されるNO産生もまた遮断することで知られる、選択したMas受容体拮抗薬A779(C39601211)の能力を図示する。これらの試験では、リアルタイムでのNO産生を測定するため、HUVEC細胞をDAF−FM(1μM)とともにインキュベートした。細胞は、PN−A5単独(1.0mM、n=10)、PN−A5+A779(n=6)のいずれかで処理した。測定値は、Olympus 550共焦点顕微鏡を用いて得られ、Image Jを用いて分析した。画像は10秒ごとに得られた。これらの結果は、オリゴペプチドPN−A5の作用がMas受容体の活性化に起因することを示す。
図3bは、天然Ang−(1−7)によるNO産生を遮断し、本発明のオリゴペプチド、すなわちPN−A5により誘発されるNO産生もまた遮断することで知られる、選択したMas受容体拮抗薬A779の効果の平均を示す。これらの試験では、リアルタイムでのNO産生を測定するため、HUVEC細胞をDAF−FM(1μM)とともにインキュベートした。細胞は、PN−A5単独(1.0mM、n=10)、PN−A5+A779(n=6)、またはNOドナーS−ニトロソ−N−アセチルペニシラミン(SNAP)のいずれかで処理した。蛍光測定値は、Olympus 550共焦点顕微鏡を用いて得られ、Image Jを用いて分析した。画像は10秒ごとに得られた。PN−A5によってもたらされるNO応答はA779によって完全に遮断され、これはNOを増加させるPN−A5の能力がMas受容体に対するPN−A5の作用に起因することを示した。
心不全(HF)に誘発される認知障害に対するAng−(1−7)誘導体の効果:合計33匹の雄C57Bl/6J成体マウス(Harlan、8〜10週齢)を用いた。マウスは、シャム(n=12)またはうっ血性心不全(CHF)群(n=21)のいずれかに無作為に割り当てた。実験群は、以下のシャム+生理食塩水、CHF+生理食塩水、CHF+PN−A5として説明する。手術前のすべてのマウスを秤量し、麻酔した。CHFマウスにおいては、左冠状動脈(LCA)の結紮によりMIを誘発した。麻酔下(空気とOの混合物中、2.5%のイソフルラン)、左第4肋間腔で開胸術を実施し、心筋梗塞(MI)を誘発するため、LCAを永久結紮した。LCAの閉塞を、結紮下流における左室前壁の脱色、わずかな色変化を認めることにより確認した。シャムマウスは、LCAを結紮すること以外では同じ手技を受けた。
MI手術から8週後、CHFマウスを、28日間毎日のAng−(1−7)誘導体PN−A5の皮下注射(1mg/kg/日)または生理食塩水のいずれかで処置した。21日後、動物は、下記のような標準のNOR試験を用いて物体認識について試験した。処置の約25日後、動物は、下記のような標準のモリス水迷路課題を用いて空間的記憶について試験した。
新規な物体認識(NOR):装置は、隔離した観察室内部のテーブル上に設置した一様に照射されるプレキシグラスボックス(12cm×12cm×12cm)から成った。装置のすべての壁を黒色プラスチックで覆い、床は物体の慣化(familiarization)および試験段階の間で物体の位置が変化しないことを保証するために用いるグリッドにより灰色にした。マウスの行動および物体の探索をデジタルカメラで記録した。カメラからのデジタル画像を隣接部屋内のコンピュータに提供した。マウスが試験の物体と相互作用しながら費やす時間を追跡するため、2つのデジタルストップウォッチを用いた。すべてのデータを分析のためにエクセルファイルにダウンロードした。3通りの明らかに異なる物体のセットを試験に用いた。
新規物体認識課題は、馴化段階、慣化段階、および試験段階という3つの段階を含んだ。馴化段階においては、1日目および2日目、1日当たり10分間、マウスを空箱に馴化される観察室に送った。3日目、各マウスは、2つの同一物体を用いる「慣化」試験と、所定の遅延期間経過後に、一方の物体が慣化段階におけるものと同一であり、かつ他方が新規である「試験」試験を受けた。物体が2回存在する必要がないように、互いの3通りのコピーですべての刺激を利用できた。物体は、形状、色、および大きさが様々であるガラス製、プラスチック製または木製であった。したがって、異なる物体のセットは、テクスチャ的かつ視覚的に特有であった。各々のマウスを、各段階で同様に、物体に対向する壁の中央に面するように箱内に置いた。嗅覚的キューの存在を排除するため、箱全体および物体を、各試験後およびマウス間で常に、70%エタノールで徹底洗浄した。慣化段階中、マウスを、2つの同一の物体を4分間探索することを可能にし、次に彼らのホームケージに戻した。2時間遅れで「試験段階」を開始させた。マウスを同じ箱に再び置いて、そこで慣化段階で提示した2つの同一の物体の一方を新規なものに変更し、マウスを、これらの物体をさらに4分間探索することを可能にした。マウスの「探索行動」は、動物がその鼻を物体の方へ約2cm以下の距離で向けることと定義した。任意の他の行動、例えば物体に対して静止する、または物体上に後ろ足で立つことは、探索と見なさなかった。探索は、マウスの手術群(CHF対シャム)に対して盲検された観察者によりスコア化された。最後に、試験段階での物体の位置や、新規または馴染み(familiar)として用いられる物体は、2つのマウス群の間で均衡させた。
識別比は、試験段階中の新規物体を探索するのに費やされる時間−馴染み物体を探索するのに費やされる時間を全探索時間で除することから算出した。識別比(DRatio)=(t新規−t馴染み)/(t新規+t馴染み)。データは、「試験段階」の最初の2分から分析した。正のスコアは新規物体で費やされたさらなる時間を示し、負のスコアは馴染み物体で費やされたさらなる時間を示し、またゼロスコアはプリファレンスがないことを示す。すべてのNORデータは、被験者間で一元配置分散分析を用いて検定した(ANOVA)。個々の群間差は、事後チューキーHSD検定を用いて検定した。異なる試料サイズの群間比較では、等価な分散は、改良されたLeveneの検定を用いて検定した。すべての統計学的検定およびP値は、Daniel’s XLtoolboxを伴うMSエクセルを用いて算出し、αは0.05レベルに設定した。エラーバーはSEMを表す。
モリス水迷路課題:空間的学習の試験および記憶/視覚試験:用いた装置は、非毒性で白色のCrayolaペンキを加えた不透明体製の25℃の水を含む直径が約1.5メートルの大型の円形プールであった。逃避プラットフォームは水面下にちょうど隠れていた。視覚的な高コンストラストのキューを試験室の壁面に置いた。課題の進行を記録するため、隣接部屋内のコンピュータに接続されたデジタルカメラをタンクの上に吊るした。MIまたはシャム手術後4および8週目のMIに先立つ空間的試験において、プラットフォームをプール内の異なる場所に位置づけた。
モリス水迷路課題の空間バージョンの間、すべての動物に対して、4日連続にわたり6回の訓練試験を毎日施した。これらの試験中、逃避プラットフォームは水面下に隠れていた。マウスはタンク周囲付近の7つの異なる開始位置から放たれ、次のマウスを試験する前に各動物に対して2つの連続試験を実施した。2つの連続試験時に同じ位置から放たれるマウスがないように、放出位置の順序は各マウスに対して偽無作為化した。水泳課題に対する行動は、市販のソフトウェアアプリケーション(ANY−maze,Wood Dale,IL)で分析した。異なる放出位置および遊泳速度における差異が逃避プラットフォームに到達するための待ち時間において可変性をもたらすことから、異なる放出位置を通じたマウス行動の比較可能性を保証するため、補正された合計経路長さ(CIPL)を算出した。CIPL値は、動物の遊泳速度により補正された逃避プラットフォームからの経時的な累積距離の尺度であり、また累積的探索エラーに等しい。したがって、放出位置とは無関係に、マウスの大半が逃避プラットフォームに向けて泳ぐ場合、CIPL値は低いことになる。それに対し、マウスがプラットフォームから離れる方向への水泳に費やす時間が増えると、CIPL値は高くなる。
オリゴペプチドPN−A5での処置の約21日後、CHFマウスは、物体認識記憶の改善を示した。図4は、新規物体認識試験(NOR)による測定としてのオリゴペプチドPN−A5での3週間の処置の物体認識記憶に対する効果を図示する。オリゴペプチドPN−A5処置でのCHFマウス(n=11)の平均能力は、生理食塩水でのシャムマウス(n=6)と類似しており(CHF−Ang−(1−7)誘導体PN−A5のM=+0.38、SE.11対シャム−生理食塩水のM=+0.52,SE.06)、生理食塩水で処置したCHFマウス(n=10)と比べて有意により大きかった(M=−.05,SE.09,=p=0.009)。これらの結果は、オリゴペプチドPN−A5がCHFを有するマウスにおける物体認識記憶障害を減弱させ、ひいては救出するように作用することを示す。
オリゴペプチドPN−A5での処置の約25日後、CHFマウスは、空間的記憶の改善を示した。図5は、CHF+オリゴペプチドPN−A5マウス(n=11)、CHF−生理食塩水で処置したマウス(n=10)およびシャム+生理食塩水マウス(n=6)の平均CIPLを示す。CHF+オリゴペプチドPN−A5マウスは、モリス水泳課題の3日目、CHF−生理食塩水マウスと比べて空間的記憶における有意な改善を示した。生理食塩水で処置したCHFマウスは、CHF−オリゴペプチドPN−A5で処置したマウスと比べて有意により高いCIPLスコアを有した(CHF−生理食塩水のM=32.5,SE=2.1対CHF−オリゴペプチドPN−A5のM=23.5,SE2.2,=p=0.003)。これらの結果は、オリゴペプチドPN−A5が空間的記憶を改善することを示す。
一酸化窒素による骨痛に対するオリゴペプチドPN−A5の効果:雌BALB/cfC3Hマウス(Harlan,IN,USA)は、試験開始前に15〜20gであった(n=5の動物/処置群)。罹患率の臨床徴候を監視し、含有パラメータ(例えば、麻痺、1週間以内での>20%の急速な重量減少)を満たしていないマウスを試験から除外した。
マウスは、ケタミン:キシラジン(80mg:12mg/kg、10ml/kgの注射容量;Sigma−Aldrich)で麻酔した。関節切開術を実施した。右遠位大腿部の顆状突起を露出させ、マウス大腿部の脊髄内空間内部に、5μLのOpti−MEM中、4×10個の66.1細胞または対照動物における細胞を有しない5μLのOpti−MEMの注射を意図して空間を設けるため、穴を開けた。注射は、プラスチック管を介して10μLのハミルトンシリンジ(CI31,Plastics One)に装填された注射カニューレを用いて行った。注射器の適切な配置を、Faxitron X線イメージングの使用により確認した。穴は骨セメントで密封した。
自発性疼痛(肢振り(flinching)および肢上げ(guarding))、および接触性アロディニアを、7日目、薬剤の単回用量を盲検式に投与してから0、15、30、60、90および120分後に測定した。乳癌に誘発される過敏症は、薬剤投与の2時間後、ベースラインレベルに回復した。肢振りおよび肢上げが、安静状態の間、2分間の持続時間で認められた。肢振りは、歩行または運動を伴わないときの右後足の上げおよび素早い屈曲によって特徴づけられた。肢振り(Flinches)は5チャンネルカウンターで記録した。肢上げは、右後肢の胴体下の完全に縮められた位置への肢上げ(lifting)によって特徴づけられた。2分間の持続時間にわたる肢上げに費やされる時間を記録した。
接触性アロディニアの評価は、処置群に盲検された実験者の場合、Chaplanのup−down法を用いる一連の較正されたフォンフレイフィラメントによる探索に応答する腫瘍接種の部位に同側の足の離脱閾値を測定することからなった。50%の足の離脱閾値は、ディクソンのノンパラメトリック法により決定した。
7日目、マウスは、生理食塩水または800μg/kgの全用量に対する0.8μg/μL(200μL)のいずれかの腹腔内(i.p.)注射を受けた。PN−A5のインビボ有効性を、合計2時間かけて測定した。
群内でのデータをノンパラメトリックな一元配置分散分析により分析した。差異は、P≦0.05の場合に有意であると考えられた。すべてのデータをGraphPad Prism 6にプロットした。
図6は、癌誘発性骨痛(CIBP)に対するオリゴペプチドPN−A5の効果に関する結果を示す。マウスの遠位大腿骨に移植された癌は、7日後の自発性肢振りの数(図6A)および肢上げに費やされる時間(図6B)における有意な増加を誘発した。PN−A5(800μg/kg、腹腔内)のボーラス投与により、持続時間が約1時間の自発性疼痛を癌が誘発することが有意に反転した(肢振り:60分;肢上げ:30分;p<0.001)。同様に、癌誘発性の触覚過敏症が、注射30分後に有意に減弱した(p<0.01)。すべての測定値において、ピーク効果の時間は15〜30分であった。行動は注射90分後の術後値まで回復した。シャム対照動物に接種した接種培地は、時間経過の中での任意の時点で術前ベースラインと統計学的に異ならなかった。
本発明の前述の考察は、図示および説明の目的のために提示されている。前述は、本発明を本明細書に開示される1つもしくは複数の形態に限定されることを意図しない。本発明の説明は、1つ以上の実施形態ならびにある特定の変形および修飾の説明を含んでいるが、他の変形および修飾は、例えば、本開示の理解後の当業者の技能および知識内であってもよいことから、本発明の範囲内に含まれる。主張されるものに対する代替え、互換可能な、および/または等価の構造、機能、範囲、またはステップを含む許容される程度まで、かかる代替え、互換可能な、および/または等価の構造、機能、範囲、またはステップが本明細書に開示されるか否かに関わらず、かつ任意の特許可能な主題を公的に放棄することを意図することなく、代替えの実施形態を含む権利を得ることが意図される。本明細書中に引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照により援用される。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
下記式のオリゴペプチド誘導体:
−A−A−A−A−A−A−A (配列番号1)
式中、
は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、バリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、イソロイシン、バリン、アラニン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
は、プロリン、グリシン、セリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;かつ
は、存在してもまたは不在であってもよく、Aが存在する場合、Aはセリン、トレオニン、ヒドロキシプロリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され、但し、Aが不在である場合、
(a)A〜Aの少なくとも1つは単糖または二糖で置換されている、
(b)Aはアミノ基で終結される、あるいは
(c)それらの組合せである。
実施形態2
〜Aの少なくとも1つが単糖または二糖で置換されている、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態3
前記単糖または二糖の少なくとも1つが、グルコース、ガラクトース、キシロース、フコース、ラムノース、ラクトース、セロビオース、メリビオースを含む、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態4
がセリンまたはその誘導体である、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態5
(i)Aがアミノ基で終結される;または(ii)Aが不在であり、かつAがアミノ基で終結される、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態6
(i)Aがグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである;または(ii)Aが不在であり、かつAがグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである、実施形態5に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態7
が不在であり、かつAがグルコースでグリコシル化されている、実施形態6に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態8
がアスパラギン酸であり;Aがアルギニンであり;Aがバリンであり;Aがチロシンであり;Aがイソロイシンであり;Aがヒスチジンであり;および(i)Aが不在であり、かつAがアミノ基で終結されるかまたはグリコシル化セリンである、あるいは(ii)Aがアミノ基で終結されたセリンである、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態9
がグリコシル化セリンである、実施形態8に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態10
が不在であり、かつAがアミノ基で終結されたグリコシル化セリンである、実施形態8に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態11
配列番号1;配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる群より選択される、実施形態1に記載のオリゴペプチド誘導体。
実施形態12
7もしくは8つのアミノ酸を有するグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
実施形態13
キシロース、フコース、ラムノース、グルコース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの組合せでグリコシル化されている、実施形態12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
実施形態14
前記グリコシル化Ang−(1−7)誘導体のカルボキシル酸末端がアミノ基で置換されている、実施形態12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
実施形態15
患者において認知障害を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の実施形態1に記載のオリゴペプチドを投与するステップを含む、方法。
実施形態16
患者において認知障害を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の実施形態12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体を投与するステップを含む、方法。

Claims (16)

  1. 下記式のオリゴペプチド誘導体:
    −A−A−A−A−A−A−A (配列番号1)
    式中、
    は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、バリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、イソロイシン、バリン、アラニン、ロイシン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、ヒスチジン、アルギニン、リジン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;
    は、プロリン、グリシン、セリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され;かつ
    は、存在してもまたは不在であってもよく、Aが存在する場合、Aはセリン、トレオニン、ヒドロキシプロリン、およびそれらの誘導体からなる群より選択され、但し、Aが不在である場合、
    (a)A〜Aの少なくとも1つは単糖または二糖で置換されている、
    (b)Aはアミノ基で終結される、あるいは
    (c)それらの組合せである。
  2. 〜Aの少なくとも1つが単糖または二糖で置換されている、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  3. 前記単糖または二糖の少なくとも1つが、グルコース、ガラクトース、キシロース、フコース、ラムノース、ラクトース、セロビオース、メリビオースを含む、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  4. がセリンまたはその誘導体である、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  5. (i)Aがアミノ基で終結される;または(ii)Aが不在であり、かつAがアミノ基で終結される、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  6. (i)Aがグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである;または(ii)Aが不在であり、かつAがグルコースもしくはラクトースでグリコシル化されたセリンである、請求項5に記載のオリゴペプチド誘導体。
  7. が不在であり、かつAがグルコースでグリコシル化されている、請求項6に記載のオリゴペプチド誘導体。
  8. がアスパラギン酸であり;Aがアルギニンであり;Aがバリンであり;Aがチロシンであり;Aがイソロイシンであり;Aがヒスチジンであり;および(i)Aが不在であり、かつAがアミノ基で終結されるかまたはグリコシル化セリンである、あるいは(ii)Aがアミノ基で終結されたセリンである、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  9. がグリコシル化セリンである、請求項8に記載のオリゴペプチド誘導体。
  10. が不在であり、かつAがアミノ基で終結されたグリコシル化セリンである、請求項8に記載のオリゴペプチド誘導体。
  11. 配列番号1;配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12および配列番号13からなる群より選択される、請求項1に記載のオリゴペプチド誘導体。
  12. 7もしくは8つのアミノ酸を有するグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
  13. キシロース、フコース、ラムノース、グルコース、ラクトース、セロビオース、メリビオース、またはそれらの組合せでグリコシル化されている、請求項12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
  14. 前記グリコシル化Ang−(1−7)誘導体のカルボキシル酸末端がアミノ基で置換されている、請求項12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体。
  15. 患者において認知障害を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1に記載のオリゴペプチドを投与するステップを含む、方法。
  16. 患者において認知障害を治療するための方法であって、かかる治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項12に記載のグリコシル化Ang−(1−7)誘導体を投与するステップを含む、方法。
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