以下の考察および添付図面は、ニット構成要素およびニット構成要素の製造に関するさまざまなコンセプトを開示している。ニット構成要素は、さまざまな製品に利用できるが、そうしたニット構成要素を組み込んだ履物製品が、実施例として以下に開示されている。ニット構成要素は、履物に加えて、他の種類の衣料品(たとえば、シャツ、パンツ、ソックス、ジャケット、下着)、運動用具(たとえば、ゴルフバッグ、野球用およびフットボール用グローブ、サッカーボール規制構造体)、入れ物(たとえば、リュックサック、バッグ)ならびに家具の装飾用品(たとえば、椅子、カウチ、車両用座席)に用いてもよい。また、ニット構成要素は、ベッドカバーリング(たとえば、シーツ、毛布)、テーブルカバーリング、タオル、旗、テント、帆およびパラシュートに用いてもよい。ニット構成要素は、自動車および航空宇宙用途、フィルタ材料、医療用繊維製品(たとえば、包帯、綿棒、インプラント)、土木工事用繊維シート、作物保護用の農業用繊維シート、および熱や放射から保護または絶縁する工業用衣料品を含む産業用の技術的布地として用いてもよい。したがって、本願明細書に開示されているニット構成要素および他のコンセプトは、個人用および産業用の目的の両方のためのさまざまな製品に組み込むことができる。
一貫性を保つために、および便宜上、図示されている実施形態に対応して、この説明の全体で、方向を表す形容詞が用いられている。「長手方向」という用語は、この説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の長さまたは主軸が延びている方向を指す。場合により、長手方向は、製品の足先領域からかかと領域へ延びていてもよい。また、「横方向」という用語は、この説明およびクレームを通して用いられる場合、製品の幅または短軸が延びている方向を指す。換言すれば、横方向は、製品の内側側部と外側側部との間に延びていてもよい。さらに、「垂直な」という用語は、この説明およびクレームを通して用いられる場合、横方向および長手方向に概して直角な方向を指す。たとえば、製品が、地面の上に平らに置かれている場合、垂直方向は、地面から上方に延びていてもよい。それらの方向を表す形容詞のそれぞれを、アッパー、ニット構成要素およびそれらの部分、ならびに/またはソール構造を含む、製品の1つ以上の個別の構成要素に適用してもよいことは理解されるであろう。
履物の構成
図1および図15は、単純に製品100とも呼ぶ、履物製品100の例示的な実施形態を示す。さらに、図1に示す製品100の代替的な実施形態が、図10(製品1004として識別される)、図11(製品1108として識別される)、図12(製品1212として識別される)および図13(製品1306として識別される)に図示されている。いくつかの実施形態において、製品100は、ソール構造110およびアッパー120を含んでもよい。図1〜図14Aに示す製品100は、ランニングに適している大略的構成を有するように図示されているが、図15〜図31Aに示す製品100は、バスケットボールに適している大略的構成を有するように図示され、製品100に関連する概念もまた、たとえば、ベースボールシューズ、サッカーシューズ、サイクリングシューズ、フットボールシューズ、テニスシューズ、トレーニングシューズ、ウォーキングシューズおよびハイキングブーツを含む、他のさまざまな種類の運動用の履物に適用してもよい。また、その概念は、ドレスシューズ、ローファー、サンダルおよび作業用ブーツを含む、一般的には非運動用と考えられている種類の履物にも適用してもよい。したがって、製品100に関して開示されている概念は、幅広い種類の履物に適用してもよい。
参照のため、製品100は、図1〜図3および図15〜図17に図示されているように、3つの大略的領域、すなわち、足先領域10と、中足領域12と、かかと領域14とに分けることができる。足先領域10は、つま先と、中足骨と指骨とを接続している関節とに対応する製品100の部分を大略的に含んでいる。中足領域12は、足のアーチ区域に対応する製品100の部分を大略的に含んでいる。かかと領域14は、踵骨を含む、足の後部に大略的に対応している。
また、製品100は、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の各々を通って延び、および製品100の両側部に対応している外側側部16および内側側部18も含んでいる。より具体的には、外側側部16は、足の外側区域(すなわち、他方の足から遠ざかる方を向く面)に対応し、また、内側側部18は、足の内側区域(すなわち、他方の足の方を向く面)に対応している。足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに、外側側部16および内側側部18は、製品100の正確な区域を画定することを意図していない。むしろ、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに、外側側部16および内側側部18は、以下の考察で役に立つように、製品100の大略的区域を表すことが意図されている。製品100に加えて、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14、ならびに、外側側部16および内側側部18もまた、ソール構造110、アッパー120およびそれらの個々の要素に適用してもよい。
例示的な実施形態において、ソール構造110は、図6と図22とに大略的に図示されているように、アッパー120に固定され、および製品100が着用されたときに足と地面との間に延びている。いくつかの実施形態において、ソール構造110は、ミッドソール、アウトソール、ストローベルおよび/または中敷きまたはインソールを含む1つ以上の構成要素を含んでもよい。ソール構造110は、アッパー120の下面に固定されるアウトソール112および/またはソール構造110をアッパー120に固定するためのベース部を含んでもよい。アウトソール112は、トラクションを特定の面に付与するようにテクスチャード加工されている耐摩耗性ゴム材料から形成してもよい。ソール構造110のためのこの構成は、アッパー120とともに用いてもよいソール構造の実施例を示しているが、ソール構造110のためのさまざまな他の構成を用いてもよい。したがって、ソール構造110の形状構成またはアッパー120とともに用いられる任意のソール構造は変えてもよい。
他の実施形態では、ソール構造110は、ミッドソール、ストローベルおよび/または中敷きを含んでもよい。ミッドソールは、アッパーの下面に固定することができ、および場合により、ウォーキング、ランニングまたは他の歩行活動中に、足と地面との間で圧縮された場合に、地面の反力を弱める(すなわち、クッション性を与える)圧縮性ポリマー発泡体要素(たとえば、ポリウレタンまたはエチルビニルアセテート発泡体)から形成してもよい。別の実施例では、EVA等の材料の薄いシートから一般的に成るストローベルを、ミッドソールに取り付けてもよく、その後、アッパーは、多くの場合、中底の周縁で、ストローベル材料に縫い合わせられる。他の場合においては、ミッドソールは、力をさらに弱め、安定性を向上させ、または足の動きに影響を与える、プレート、モデレータ、流体充填チャンバ、ラスティング要素、または、モーションコントロール部材を組み込んでもよい。さらに他の場合においては、ミッドソールは、アッパー内に設けられ、および製品の快適性を高めるために、足の下面に拡がるように配置される流体充填チャンバから主に形成してもよい。
アッパー120は、足を受け入れてソール構造110に対して固定するための製品100内の空洞を画定している。その空洞は、足を収容するように形作られ、および足の外側側部に沿って、足の内側側部に沿って、足を覆って、かかとの周りに、および足の下に延びている。図1および図15に図示されているように、アッパー120は、外側面121と、反対側の内側面122とを含んでいる。外側面121は、製品100の着用者の足から離れて径方向外側を向いているが、内側面122は、内側を向いて、足を受け入れるための製品100内の空洞の主要部または比較的大きな部分を画定している。さらに、内側面122は、足または足を覆っているソックスに接触してもよい。空洞へのアクセスは、少なくともかかと領域14に設けられているスロート開口部140によって与えられる。より具体的には、足は、スロート開口部140を介してアッパー120に挿入することができ、また、足は、スロート開口部140を介してアッパー120から引き抜くことができる。図4および図15に図示されているように、甲回り区域150は、かかと領域14内のスロート開口部140から、足の甲回りに相当する区域を越えて、足先領域10に隣接する区域まで延びている。
図1および図3に図示されているように、締めひも154は、アッパー120に設けられた複数のループ158を通って延びていてもよい。ループ158は、着用者が、足のプロポーションに適応するようにアッパー120の寸法を変更することを可能にする。より具体的には、締めひも154は、着用者が、アッパー120を足の周りに締め付けることを可能にし、また、締めひも154は、着用者が、アッパー120を弛めて、空洞からの(すなわち、スロート開口部140を介した)足の出し入れを容易にすることを可能にする。図15および図16に図示されているように、締めひも154は、ループ158を追加的に通ってもよく、そのことはさらに、着用者が、アッパー120を足の周りに締め付けることを可能にする。くわえて、図22に図示されているように、ベロ152が、足先領域10におけるアッパー120の前方部から、かかと領域14においてスロート開口部140に隣接するアッパー120の上部まで、甲回り区域150を通って延びている。ベロ152は、製品100の快適性を高めるために、締めひも154の下に延びていてもよい。さらに、または、ループ158および/または締めひも開口部156の代わりに、製品100は、他の締めひも収容要素、たとえば、Dリング、フックまたはさまざまなループ型伸張性要素を含んでもよい。さらなる構成では、アッパー120は、追加的要素、たとえば、(a)安定性を高めるかかと領域14内のヒールカウンター、(b)耐摩耗性材料で形成されている足先領域10内のつま先ガード、および(c)ロゴ、商標、および注意書きや材料情報を記載した札、を含んでもよい。
履物アッパーは、たとえば、縫製または接着によって接合される多くの材料要素(たとえば、布地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革、合成皮革)から形成してもよい。図1および図15に例示的に図示されているように、アッパー120は、より詳細に以下で説明するニット構成要素130から形成してもよい。ニット構成要素130は、たとえば、平編みプロセスによって製造してもよい。ニット構成要素130は、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の各々を通って、外側側部16および内側側部18の両方に沿って、足先領域10の上に、およびかかと領域14の周りに延びていてもよい。例示的な実施形態において、ニット構成要素130は、外側面121および/または内側面122を含む、アッパー120の少なくとも一部を形成し、およびアッパーの実質的にすべてを形成してもよく、それによって、アッパー120内の空洞の部分を画定している。また、ニット構成要素130は、足の下に延びていてもよく、および/またはニット構成要素130は、ソール構造110の上面114に固定することができる。しかし、他の実施形態では、ストローベル式中敷きまたは薄いソール状体の材料が、ソール構造110への取り付けのために足の下に拡がっているアッパー120のベース部を形成するように、ニット構成要素130に固定されている。
図1〜図3および図15に図示されているような1つの非限定的実施例において、ニット構成要素130は、多くのニット構成要素から形成してもよい。図15〜図17に示す例示的な実施形態において、ニット構成要素130は、本体部124とかかと部126とを含んでもよい。本体部124は、ニット布地材料から形成してもよく、およびアッパー120の足先領域10から中足領域12を通って、長手方向に製品100に沿って延び、および着用者の足の甲回りに対応するアッパー120のバンプ部の上に延びていてもよい。例示的な実施形態において、本体部124の少なくとも一部は、中足領域12からかかと領域14に向かって後方にさらに延びていてもよい。また、本体部124は、アッパー120の足先領域10の周りで、外側側部16と内側側部18との間で連続的に延びていてもよい。この構成の場合、ニット構成要素130の本体部124は、着用者の足を実質的に覆うように構成してもよい。
いくつかの実施形態においては、図15〜図18に大略的に図示されているように、かかと部126は、ニット布地材料から形成してもよく、およびかかと領域14において、ソール構造110からスロート開口部140の上部に向かって垂直方向に製品100に沿って延びていてもよい。例示的な実施形態において、かかと部126はさらに、製品100の長手方向に沿って、アッパー120の中足領域12内に少なくとも部分的に延びていてもよい。さらに、かかと部126は、アッパー120のかかと領域14の周りで、外側側部16と内側側部18との間で連続的に延びていてもよい。この構成の場合、ニット構成要素130のかかと部126は、着用者の足首の少なくとも一部を覆うカフとして構成してもよい。より詳細に以下で説明するように、ニット構成要素130を形成するために、本体部124およびかかと部126は一緒に、対応する縁部に沿って接合してもよい。たとえば、本体部124の縁部127は、かかと部126の縁部128に沿って、かかと部126に接続してもよい。いくつかの実施形態において、縁部127および縁部128は、かかと領域14において、甲回り区域150から製品100の後部に向かって、略対角方向に延びていてもよい。あるいは、本体部124およびかかと部126は、別々に形成した後に接合しなくてもよく、むしろ、本体部124およびかかと部126は、単一の一体ニット構成要素130として形成してもよい。
図1〜図14Aに図示されているように、図15〜図31に図示されているアッパー120は、着用者の足を覆っているだけではなく、上方にも延び、および足首の一部も覆っている。参照のため、アッパー120は、2つの大略的領域、すなわち、図15〜図18に図示されているように、足領域20と足首領域30とに分かれているように記載されている。足領域20は、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の各々を通って延び、および足に対応するアッパー120の部分を大略的に取り囲んでいる。製品100の多くの構成においては、足領域20は、着用者の外くるぶしおよび内くるぶし(すなわち、足首の各側部の骨突出部位)の下にあることが意図されているアッパー120の部分に対応している。足首領域30は、主にかかと領域14内に位置しており、および足首に対応するアッパー120の部分を大略的に取り囲んでいる。足首領域30は、外くるぶしおよび内くるぶしを覆ってその上に延びていることが意図されているアッパー120の部分に対応していてもよい。
図15〜図31の実施形態において、ニット構成要素130の本体部124は、大部分が実質的にアッパー120の足領域20と結合され、また、かかと部126は、足領域20の少なくとも一部と、足首領域30のかなりの部分とに結合されている。図18を見て分かるように、かかと部126は、ソール構造110に隣接するアッパー120の下方区域から、スロート開口部140の周りに延びているアッパー120の上縁部まで延びている。
上述したように、かかと部126は、スロート開口部140を介してアッパー120内に設けられた場合に、着用者の足首を包囲して実質的に取り囲むことにより、製品100の着用者の足首のための支持を提供するように、前方周縁部が甲回り区域150の両側に沿って延びているC字状を有するカフを形成していてもよい。かかと部126は、図15に図示されているように、ベロ152を収容するために、甲回り区域150において、製品100の前部に沿って開いたままの状態で、製品100の後部において、かかと領域14の周りで、外側側部16から内側側部18までスロート開口部140の周りに連続的に延びているカフを形成する上縁部を含む。例示的な実施形態において、ベロ152は、かかと部126の両側の前方周縁部間に嵌っていてもよい。
アッパー120は、異なる特性を備えた別個の区域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アッパー120の一部は、多繊維ヤーンを含んでもよく、および/または単繊維ストランドを含んでもよい。単繊維ストランドは、単繊維ストランドを形成するように押し出されるプラスチックまたはポリマー材料から形成してもよい。一般に、単繊維ストランドは、軽量にすることができ、および高い引張強度を有してもよく、すなわち、単繊維ストランドは、大量のまたは高い耐伸張性をアッパー120に与えるために、引張破壊または破損の前に、大きな応力を持続させることができる。例示的な実施形態において、単繊維ストランドを含むアッパー120の部分は、1つ以上の単繊維区域に設けてもよい。「単繊維ストランド」という用語は、実質的に全体がニット単繊維ストランドから形成されているアッパー120の部分を参照するために用いられている。
アッパー120のさまざまな部分は、単繊維群も含んでいてもよい。単繊維群という用語は、単繊維区域から成る群の大略的領域を指すのに用いられている。換言すれば、単繊維群は、複数の単繊維区域を備えている可能性がある。1つの実施形態においては、図4、図16および図17に図示されているように、内側単繊維群160は、アッパー120の内側側部18に配置され、また、外側単繊維群164は、アッパー120の外側側部16に配置されている。内側単繊維群160および外側単繊維群164は、大略的に中足領域12に配設してもよい。いくつかの実施形態においては、図19および図21に図示されているように、足先単繊維群162は、アッパー120の足先領域10内の甲回り区域150の前方に設けられている。また、いくつかの実施形態において、かかと領域14は、図18〜図20に図示されているように、単繊維群166を含んでいてもよい。
単繊維群は、特定の方向に配列されている単繊維区域を備えていてもよい。たとえば、外側単繊維群164を参照すると、単繊維区域のうちのいくつかは、同様の対角方向に向けられている。同様に、かかと単繊維群166は、大部分が水平方向に向けられている単繊維区域を含んでいてもよい。単繊維群は、同じように設置されている単繊維区域を含んでもよいが、他の実施形態では、単繊維群は、さまざまな方向に向けられた単繊維区域を含んでもよい。
前述したように、ニット構成要素130は、ニット布地を形成するために、さまざまなコースおよびウェールを画定する複数のインターメッシュループを形成するように(たとえば、編み機を用いて)操作される少なくとも1つのヤーンから形成される。アッパー120のニット構成要素130は、ワンピース要素としてもよく、または、言い換えれば、アッパー120は、単一の一体構成要素、または、ニット布地から成るピースで形成してもよい。あるいは、アッパー120は、上述したように、本体部124およびかかと部126を含む1つ以上のニット構成要素部分を含んでもよい。1つの実施例において、図19〜図22を参照すると、ニット構成要素130の本体部124およびかかと部126はそれぞれ、個別におよび製品100の残りの部分とは独立して描かれている。本体部124および/またはかかと部126を含む、ニット構成要素130の個々の構成要素部分は、それぞれ、一体ニット構造で形成されている。ニット構成要素130には、縫い目が存在する可能性があるが、ニット構成要素部分の大部分(たとえば、本体部124およびかかと部126)は、実質的に縫い目のない構造を有している。
ニット構成要素(たとえば、本体部124および/またはかかと部126および/またはニット構成要素130)は、本願明細書において用いる場合、編みプロセスを介してワンピース要素として形成される場合、「一体ニット構造」で形成されるものと定義される。すなわち、編みプロセスは、大幅な追加的製造工程またはプロセスを要することなく、ニット構成要素のさまざまな形状構成および構造を実質的に形成する。一体ニット構造は、ヤーンから成る1つ以上のコースを含む構造もしくは要素、または、その構造もしくは要素が、少なくとも1つのコースを共通して(すなわち、共通ヤーンを共有して)含むように、および/またはその構造もしくは要素の各々の間で実質的に連続しているコースを含むように接合される他のニット材料を有するニット構成要素もしくは部分を形成するのに用いてもよい。この構成の場合、一体ニット構造のワンピース要素が形成される。
ニット構成要素130を形成しているそれぞれのニット構成要素部分は、編みプロセスの後に、互いに接合してもよいが(たとえば、本体部124の縁部127と、かかと部126の縁部128とは、一緒に接合されている)、各個別のニット構成要素部分は、ワンピースニット要素として形成されているため、依然として、一体ニット構造で形成された状態のままである。図15に図示されているように、ニット構成要素130は、アッパー120の外側面121および反対側の内側面122の部分を形成している本体部124を含む。ニット構成要素130はさらに、アッパー120の外側面121および反対側の内側面122の部分を同様に形成するかかと部126を含む。また、本体部124およびかかと部126は、アッパー120の外側面121および反対側の内側面122の実質的に大部分を形成するように、一緒に接合してもよい。また、ニット構成要素部分は、他の要素(たとえば、締めひも、ロゴ、商標、注意書きや材料情報を記載した札、構造要素)が、編みプロセスの後に追加された場合、依然として、一体ニット構造で形成された状態のままである。
ニット構成要素130の1つ以上の構成要素部分とともに、および/またはそれらの構成要素部分に用いてもよいインレイストランドまたは伸張性要素を含む構成を含む、ニット構成要素のさまざまな構成の実施例は、Duaの特許文献1、Duaらの特許文献2、Duaらの特許文献3、およびDuaの特許文献4に開示されており、これらの各々の開示は、参照によってその全体が本願明細書に組み込まれる。
ニット構成要素の構成およびその製造
ニット構成要素130および/またはニット構成要素部分を形成する編みプロセスは手で実行してもよいが、ニット構成要素130全体、本体部124および/またはかかと部126を含む、複数のニット構成要素130および/またはニット構成要素部分の商業的製造は、一般に、編み機によって実行されるであろう。図5に示すように、ニット構成要素130は、組み立てられた場合に、3次元構造から成る形状をとる可能性がある2次元構造として大部分を形成することができる。1つの実施例においては、図5に示すように、ニット構成要素130が、大略的に2次元構造である場合、内側単繊維群160の単繊維区域は横方向に延びており、また、外側単繊維群164の単繊維区域は、大部分が横方向に延びている。その結果、図6に図示されているように、単繊維区域は、アッパー120が3次元構造に形成される場合、大略的に垂直方向に延びている。
一般的に、編みは、1つのヤーンまたは複数のヤーンから成るインターメッシュループから成るコースおよびウェールを形成することを含む。生産時、編み機は、1つ以上のヤーンを、ニット構成要素130またはニット構成要素部分、たとえば、本体部124およびかかと部126の構成に機械的に操作するようにプログラムすることができる。すなわち、ニット構成要素130は、本体部124およびかかと部126の形および形状構成を有するワンピース布地要素を形成するように、1つ以上のヤーンを機械的に操作することによって形成してもよい。したがって、ニット構成要素130は、編み機を利用して、一体ニット構造で形成してもよい。
ニット構成要素130および/またはそれぞれの本体部124およびかかと部126は、さまざまな異なる編みプロセスによって、および、ニット構成要素130、および/または本体部124およびかかと部126を含むニット構成要素部分を形成する能力を有するさまざまな異なる編み機を用いて、上述したさまざまな形状構成を有するように形成してもよい。一般に、横編みは、複数のコースおよびウェールを形成することを含む。実施例として、コースは、本体部124およびかかと部126の各々を略横方向に横切って延びているニット材料のインターメッシュループから成る列である。すなわち、コースは、本体部124の幅に沿って、およびかかと部126の幅に沿って延びていてもよい。ウェールは、コースに直角に延び、および本体部124およびかかと部126の各々の長さに大略的に沿って延びているループから成る縦の並びである。
1つの実施形態において、平編みプロセスは、ニット構成要素130、および/または本体部124およびかかと部126を含むニット構成要素部分を形成するのに用いてもよい。他の実施形態では、丸編み(すなわち、丸編み機の利用)は、ニット構成要素130、および/または本体部124およびかかと部126を含むニット構成要素部分を形成するのに用いてもよい。一般的なまたは従来の編みプロセスは、ニット構成要素130、および/または本体部124およびかかと部126を含むニット構成要素部分を形成するのに用いてもよいが、用いてもよい編みプロセスの具体的な例は、限定するものではないが、たとえば、平編みまたは丸編み、広筒丸編み、狭筒丸編み、狭筒丸編みジャガード、シングルニット丸編みジャガード、ダブルニット丸編みジャガードおよびワープニットジャガードを含む、縦編みまたは横編みを含む。
ニット構成要素130は、本体部124および/またはかかと部126を含む別々のニット構成要素部分の各々に共通の特性を付与するシングルタイプのヤーンから形成してもよい。しかし、ニット構成要素130の特性を変えるために、異なるヤーンを、ニット構成要素130の異なる構成要素部分に用いてもよい。すなわち、本体部124および/またはかかと部126、ならびに本体部124および/またはかかと部126の異なる局部的区域は、それぞれの部分124,126間で、または、ニット構成要素130の単一の部分の局所的区域の間で特性を変えるために、異なるヤーンから形成してもよい。さらに、ニット構成要素130は、単繊維ストランドから形成された単繊維区域も備えて、それによって、ニット構成要素130の他の区域と比較して異なる特性を単繊維区域内に付与してもよい。
いくつかの実施形態において、単繊維区域は、単一の単繊維ストランドを用いて形成してもよい。他の実施形態では、単繊維区域は、単繊維ストランドおよび融着熱可塑性ヤーンを用いて形成してもよい。融着熱可塑性ヤーンおよび単繊維ストランドは、平板方向にすることができる。熱可塑性ヤーンは、単繊維区域または単繊維区域の部分を安定化または強化することができる。さらに、ニット構成要素130の1つの部分は、特性の第1のセットを付与する第1のタイプのヤーンまたはヤーンの組合せから形成してもよく、また、ニット構成要素130の別の部分は、特性の第2のセットを付与する第2のタイプのヤーンまたはヤーンの組合せから形成してもよい。特性は、ニット構成要素130の異なる部分に対して特定のヤーンを選択することにより、ニット構成要素130の全域で変えてもよい。ヤーンの選択によって変えることのできる特性の例は、色、パターン、光沢、伸張性、復元性、ロフト性、手触り、吸湿性、生物分解性、耐摩耗性、耐久性および熱伝導性を含む。たとえば、ヤーンが平板状になっているか、または、同じ区域内で異なるコースを形成する場合、両ヤーンからの特性を活かすために、2つ以上のヤーンを組合せて用いてもよいことも留意されるべきである。
特定の種類のヤーンが、ニット構成要素130に、または、本体部124および/またはかかと部126に付与するであろう特性は、ヤーン内のさまざまな繊維およびファイバを構成する材料に部分的に依存する。たとえば、綿は、柔らかい手触り、自然な美しさおよび生分解性をもたらす。エラステインおよび伸縮性ポリエステルは、それぞれ、かなりの伸縮性および復元性を備え、伸縮性ポリエステルはさらに、リサイクル性も備えている。レーヨンは光沢に優れ、吸湿性を備えている。また、ウールは、断熱性および生分解性に加えて、高い吸湿性も備えている。ナイロンは、耐久性があり、耐摩耗性であり、および比較的高い強度を有している。ポリエステルは、比較的高い耐久性も備えている疎水性材料である。熱可塑性材料を組み込むヤーンは、ニット構成要素130の部分または区域が、熱の印加によって融着されるかまたは安定化されることも可能にする。
ヤーンを形成する材料に加えて、ニット構成要素130の部分または区域のために選択されたヤーンの他の態様は、特性に影響を与える可能性がある。たとえば、本体部124および/またはかかと部126を含むニット構成要素130を形成するヤーンは、単繊維ストランドまたは多繊維ヤーンであってもよい。また、ヤーンは、それぞれ異なる材料で形成されている別々の繊維を含んでもよい。また、ヤーンは、繊維が、鞘芯構造、または、異なる材料で形成された2つの半体を有している複合ヤーン等の2つ以上の異なる材料でそれぞれ形成されている繊維を含んでもよい。異なる程度の撚りおよび捲縮、ならびに異なるデニールもまた、ニット構成要素130およびその個々の部分の特性に影響を与える可能性がある。したがって、ヤーンを形成する材料、およびヤーンの他の態様はともに、さまざまな特性をニット構成要素130に、および/または本体部124および/またはかかと部126を含むニット構成要素の特定の部分に付与するように選択してもよい。
ニット構成要素130の部分は、単繊維ストランドから形成してもよいが、ニット構成要素130の他の部分は、多繊維ヤーンから形成してもよく、それにより、多繊維ヤーンは、単繊維ストランドの部分とは異なる特性を有する可能性がある。1つの実施例において、多繊維ヤーンは、ニット構成要素130の部分を形成するのに用いてもよく、多繊維ヤーンは、単繊維ストランドよりも高い耐摩耗性を与える。さらに、ニット構成要素130のいくつかの区域は、異なるストランドまたはヤーンから形成してもよく、ニット構成要素130は、依然として、一体ニット構造から成っていてもよい。たとえば、単繊維ヤーンで形成されたニット構成要素130の区域は、多繊維ヤーンで形成されたニット構成要素の区域に隣接して編んでもよく、それにより、一体ニット構造から成るアッパー120を形成している。
前述したように、単繊維区域は、単繊維ストランドで形成されたニット構成要素130の部分を指す。1つの実施例において、単繊維区域は、多繊維ヤーンを含んでいなくてもよい。図7〜図9A、図14および図14A、および図23〜図31Aに図示されているように、単繊維区域は、ニット構成要素130の多繊維区域に隣接していてもよく、および/またはそれらの多繊維区域と境を接していてもよい。
いくつかの実施形態において、単繊維区域は、ニット構成要素130内に形成されたトンネルまたはチャネルに隣接していてもよい。それらのトンネルまたはチャネルは、本願明細書においては、図7および図27に大略的に図示されており、図8、図9、図14、および図27、図28および図30にさらに詳細に図示されている「ウェルト」と呼ばれる場合もある。図7のウェルト170は、図7Aに拡大図で図示されており、そこではウェルト700として識別されている。ウェルト700は、図8Aに断面図でさらに詳細に図示されており、図9Aに図示され、および、より詳細に以下に記載されている図9のウェルト700を編むためのループ略図が添付されている。同様に、図27の製品100に関連して図示されているウェルト170は、図27Aに拡大断面図で図示され、そこでは、ウェルト1400として識別されている。図27のウェルト1400を編むためのループ略図は、図28Aに図示されており、以下にさらに詳細に記載されている。図14に図示されている製品1306として識別される、製品100の代替的な実施形態において、ウェルト170は、図14Aに拡大断面図で図示されており、ウェルト1301および1303として識別されている。
一般に、ウェルト170は、2つ以上の、同一の広がりを有して重なっているニット層、たとえば、内側層および外側層とともに構成されたニット構成要素130の区域とすることができる。ニット層は、ニット材料、たとえば、スレッド、ヤーンまたはストランドから形成されているニット構成要素130の部分であってもよい。2つ以上のニット層は、ニット構成要素130内にウェルトを形成するように、一体ニット構造で形成してもよい。ウェルト170を形成しているニット層の側部または縁部は、他の層に固定してもよいが、中央区域は、各ニット層を形成しているニット材料から成る2つの層の間に中空またはトンネルを形成するように、大略的には固定されていない。いくつかの実施形態において、ウェルト170の中央の非固定区域は、別の要素(たとえば、伸張性要素)を、ニット材料から成る2つの層の間に配設できるように、および別の要素が、ウェルト170の2つのニット層の間の中空またはチャネルを通って延びるように構成してもよい。例示的な実施形態において、ウェルト170を形成しているニット層の各々は、ニット構成要素130の外側面121および内側面122の一方と結合してもよい。たとえば、1つの実施形態において、ウェルト170は、図27Aに大略的に図示されているように、内側面122と結合された内側層と、内側面122から径方向外側に位置している外側面121と結合された外側層とを含んでもよい。
いくつかの実施形態において、ウェルト170は、多繊維ヤーンから形成してもよい。ウェルト170は、ウェルトによって形成されたトンネルを通って延びているインレイストランドまたは伸張性要素を含んでもよい。メッシュニット構造、モックメッシュニット構造、および本実施形態に用いられるこのようなニット構造を編むための添付のルーピングの略図を有する他の適当なニット構造は、参照によって、その全体が本願明細書に組み込まれる、Huffaらの特許文献5に開示されている。
ウェルト170は、製品100のアッパー120の全体に設けてもよい。1つの実施例において、ウェルト170は、単繊維区域に隣接して設けてもよい。図8に図示されているような製品100の1つの実施形態において、ウェルト170は、内側層または部分802と、外側層または部分800とを備えてもよい。図27に示す製品100の別の実施形態においては、内側層または部分172と、外側層または部分173とを備えてもよい。内側部分172,802は、ユーザの足に隣接して設けてもよく、一方、外側部分173,800は、ユーザの足から離れて径方向外側に延びていてもよい。外側部分173,800は、外側部分173,800と、内側部分172,802との間に、固定されていない開口部またはチャネルを形成するように、内側部分172,802の縁部に沿って、内側部分172,802に接続してもよい。
図27Aに例示的に図示されているように、単繊維区域は、ニット構成要素130の内側面122に向かって設けてもよい。すなわち、単繊維区域は、ユーザの足に向かって平面上に設けてもよい。いくつかの実施形態において、単繊維区域は、ウェルト170の内側部分172(または、図8Aの内側部分802)と位置合わせしてもよい。すなわち、単繊維区域は、内側部分172,802がそれに沿って形成される面と同様に位置合わせされる平面に沿って延びていてもよい。したがって、単繊維区域は、ウェルト170の外側部分173(または、図8Aの外側部分800)から後退させてもよい。いくつかの実施形態において、このような構成は、内側部分の径方向外側に設けてもよい外側部分173,800と単繊維区域とが、単繊維区域が接触される前に接触する可能性を高めるために利用してもよい。このようにして、単繊維区域を摩耗から保護してもよい。
任意の1つ以上の単繊維区域の幅は、単繊維区域が摩耗する可能性を低減することができる。単繊維区域は、比較的狭くてもよく、たとえば、約1〜4コースの幅があってもよい。他の実施形態では、単繊維区域は、より幅広であってもよい。あるいは、ウェルト170は、単繊維区域と略同じ幅であってもよく、または、ウェルト170は、単繊維区域よりも幅広であっても、もしくは狭くてもよい。ウェルト170と単繊維区域とが略同じ幅である場合、ウェルト170によって囲まれているニット構成要素130の面積の約50%以上は、単純な単繊維構造を備えている可能性がある。すなわち、ニット構成要素130の表面積の約半分または半分以上は、単繊維区域から成っていてもよい。このことは、製品100が、ニット構成要素130の大きな区域にわたって、透けて見える性質または半透明性を有することを可能にしている。しかし、他の実施形態では、ウェルト170によって囲まれているニット構成要素130の面積の50%未満は、単純な単繊維構造を備えていてもよい。ニット構成要素130の大きな区域は、単繊維区域を含んでもよいが、それらの単繊維区域は、比較的狭くてもよく、およびウェルト170の外側部分173,800から後退していてもよく、したがって、単繊維区域は、摩耗から保護することができる。
単繊維区域と、ウェルト170を含む多繊維区域との間隔は変えてもよく、さらに、単繊維区域は、可変幅から成っていてもよい。たとえば、前述したように、いくつかの単繊維区域は、約1〜4コースの幅になっていてもよく、他の単繊維区域は、4〜8コース以上の幅に成っていてもよい。同様に、ウェルトを含む、単繊維区域に隣接しているいくつかの多繊維区域は、約1〜4コースの幅になっていてもよいが、他のウェルトは、約4〜8コース以上の幅になっていてもよい。さらに、ウェルトを含む個々の多繊維区域の幅は、ニット構成要素130の全域で変えてもよい。ウェルト170を含む多繊維区域の異なる幅と、単繊維区域の異なる幅との組合せは、図1、図10〜図13および図15の製品100のいくつかの非限定的実施例に図示されているように、単繊維区域の可変間隔を備えてもよい。大略的に単繊維区域に隣接して、および/または単繊維区域の間に設けられている、ウェルト170を含む多繊維区域の場合、ウェルト170を含む多繊維区域のサイズおよび形状が、単繊維区域のサイズおよび間隔および方向性に影響を与える可能性がある。
ウェルトの高さは、単繊維区域にさらに保護を与える可能性がある。図8Aのウェルト700の1つの実施例の高さ812および(図27Aの)ウェルト1400の別の実施例の高さ1412は、それぞれのウェルト1400,700の外側部分173,800と、単繊維区域の外側面121(図27Aを参照)との間の距離として定義することができる。換言すれば、高さ812および高さ1412は、それぞれのウェルトの外側部分が、そのウェルトの内側面から離れて径方向外側に延びている距離である。ウェルト170は、外側部分173,800に追加的なコースを、および内側部分172,802により少ないコースを有していてもよい。それぞれの外側部分173,800およびそれぞれの内側部分172,802は、図8Aおよび図27Aに図示されているように縁部で互いに取り付けられているため、外側部分173,800は、突出部またはバンプを形成してもよい。この突出部またはバンプは、図8Aの内側部分172,802および単繊維区域703および705、および図27Aの単繊維区域1408,1410から離れて径方向外側に延びていてもよい。さらに、より大きなバンプまたは突出部は、それぞれの単繊維区域を摩耗から保護することができる。より大きなバンプまたは突出部は、外側部分173,800により多くのコースを、および内側部分172,802により少ないコースを含むことによって形成することができる。ウェルト170のより大きな高さは、それぞれの狭い単繊維区域とともに、物体と単繊維区域との間の衝突をウェルトによって吸収できるため、その衝突の可能性を制限することができる。
いくつかの実施形態において、ウェルト170は、インレイストランドまたは伸張性要素を含んでもよい。伸張性要素は、図15に図示されているように、締めひも154を受け入れるように構成されたループ158として用いてもよい。さらに、ループ158は、締めひも154とともに、製品100のフィット性および手触りの調節を補助することができる。いくつかの実施形態において、伸張性要素は、ウェルト170に対して支持を与え、そのことも同様に、隣接する単繊維区域を支持することができる。さらに、伸張性要素は、アッパー120の部分の上に延びるための締めひも154からの張力を可能にするため、伸張性要素は、ループ158として用いた場合に、より大きな支持を可能にする。
いくつかの実施形態において、単繊維区域は、半透明材料から形成してもよく、および/または光が単繊維区域を透過できるように、実質的に透明にしてもよい。さらに、単繊維区域は、ニット構成要素130を通して見える製品100の内部空洞を可能にする。また、単繊維区域は着色を含んでもよく、または、特定の色相を付けてもよい。たとえば、単繊維区域は、黒色または灰色、または他の任意の色で色合いを付けてもよい。さらに別の実施形態において、単繊維区域は、光が、単繊維区域の外側面121から内側面122に透過しないように、濃い不透明色であってもよい。単繊維区域の透過性は、それぞれの単繊維区域を形成するのに用いられる単繊維ストランドの透過性または透過性の不足によって影響を受ける可能性がある。
1つの実施例において、1つ以上の単繊維区域の透過性は、単繊維ストランドの直径によって影響を受ける可能性がある。いくつかの実施形態において、単一の単繊維ストランドは、約0.08mm〜約0.125mmの範囲の直径を有する可能性があるが、単一の単繊維ストランドは、より小さなまたはより大きな直径を有してもよい。より大きな直径の単繊維ストランドは、単繊維ストランドを通る光の通過を抑制することができる。さらに、さまざまな編み目密度を、単繊維区域の形成に利用してもよい。比較的高い密度の編み目構成は、製品100の外側面121から、ニット構成要素130によって形成された内部空洞まで透過する光を抑制することができる。
単繊維群内の1つ以上の単繊維区域は、特定の方向に方向付けることができる。たとえば、単繊維区域は、おおむね垂直方向に方向付けてもよい。すなわち、単繊維区域は、ソール構造110から甲回り区域150に向かって延びていてもよい。あるいは、単繊維区域は、斜めに延びていてもよい。すなわち、単繊維区域は、単繊維区域がそのまま垂直に延びないように方向付けてもよい。垂直なおよび/または斜めの単繊維区域は、図6、図15および図19に例示的、大略的に図示されている。さらに、他の実施形態では、単繊維区域は、長手方向に延びていてもよい。たとえば、かかと単繊維群166の単繊維区域は、実質的に長手方向に延びているように、図25および図26に図示されている。上述したさまざまな実施例のそれぞれの単繊維区域は互いに平行であってもよく、または、互いに直角に方向付けてもよく、および/または互いに無関係に方向付けてもよい。
いくつかの実施形態において、単繊維区域は、さまざまな形状から成っていてもよい。図5、図7および図15〜図17および図19を参照すると、外側単繊維群164および/または内側単繊維群160の単繊維区域は、実質的に台形形状、矩形形状および/または細長い矩形形状を有していてもよい。たとえば、図23Aの単繊維区域は、細長く、および大略的に矩形形状であってもよい。図示されているように、単繊維区域181の形状は、かかと領域14に近接して位置する端部のウェルト184によって、および足先領域20に近接して位置する端部のウェルト185によって画定してもよい。また、単繊維区域181の形状は、甲回り縁取り線部186によってさらに画定してもよい。甲回り縁取り部186は、甲回り区域150を取り囲むアッパー120の区域であってもよい。いくつかの実施形態において、甲回り縁取り線部186は、締めひも開口部156および/またはループ158を含んでもよい。単繊維区域181の形状はさらに、ソール縁取り線部187によって画定してもよい。ソール縁取り線部187は、ソール構造110に隣接して設けてもよい。さらに、ソール縁取り線部187の部分は、美しさまたは他の目的のために、ソール構造110によって覆ってもよい。ソール縁取り線部187は、ユーザの足の下に延びていてもよく、およびソール構造110の中央部に取り付けてもよい。そのため、単繊維区域181の形状は、図23に図示されているように、ウェルト184、ウェルト185、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部110によって画定されている。そのため、ウェルト184、ウェルト185、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部187の形状および方向性が変わる場合、単繊維区域181の形状も変化する可能性がある。単繊維区域181は、ウェルト184、ウェルト185、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部187によって取り囲まれたまたは縁取られた空間を占有してもよいことを認識すべきである。
別の実施例において、図7Aに示す単繊維区域705は、細長い台形形状であってもよく、および甲回り区域150の近傍に、(隣接する単繊維区域の、角度の付いた端部704のような)角度のある端部、または終端点を有していてもよい。図示されているように、単繊維区域705の形状は、少なくとも一方の側部において、ウェルト700によって画定してもよい。さらに、単繊維区域705の形状は、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部187によって画定してもよい。そのため、単繊維区域705の形状は、図7に図示されているように、少なくとも部分的に、ウェルト702、ウェルト700、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部187によって画定されている。そのため、ウェルト702、ウェルト700、甲回り縁取り線部186およびソール縁取り線部187の形状および方向性が変わると、単繊維区域705の形状も変わる可能性がある。したがって、図10〜図13に大略的に図示されているように形作られた三角形、図15〜図18および図23に図示されているように形作られた矩形および/または細長い矩形を含む、多くの異なる形状の単繊維区域が可能である。あるいは、他の単繊維区域は、楕円形、円形、サメの歯形状、および/または図19および図23〜図26に大略的に図示されているようなおよび本願明細書においてさらに詳細に説明するような不規則な形状の単繊維区域であってもよい。
いくつかの実施形態において、単繊維区域を取り囲むウェルトは、それらのウェルトを通って少なくとも部分的に延びている伸張性要素を含んでもよい。たとえば、図7および図8に図示されているように、ウェルト700は、その中を通って延びている伸張性要素804および/または806を含む。別の実施例においては、図27に図示されているように、ウェルト1400は、その中を通って延びている伸張性要素1402を含んでいる。いくつかのウェルトは、その少なくとも一部を通って延びている伸張性要素を有しているが、他の多繊維区域またはウェルトは、たとえば、図7のウェルト702および/または図23に図示されているウェルト188のように、その中を通って延びている伸張性要素を含んでいなくてもよい。さらに、伸張性要素は、特定のウェルトに複数回、出入りしてもよい。すなわち、伸張性要素は、ウェルトのさまざまな部分に沿って露出させてもよい。
前述したように、単繊維区域は、楕円形または三角形またはサメの歯形状、たとえば、単繊維区域182であってもよい。図23Aに図示されているように、単繊維区域182は、ウェルト185およびウェルト188によって境界されている。単繊維区域182は、内側単繊維群160の縁部に配設してもよい。すなわち、単繊維区域182は、群内の他の単繊維区域の形状を遮断または拡大しなくてもよい。他の実施形態では、単繊維区域182の境界は、細長い単繊維区域189のいくつかの境界を共有してもよい。図23Aに図示されているように、単繊維区域182は、ソール縁取り線部187の近傍に設けられている。さらに、単繊維区域182は、単繊維区域189に隣接して設けられている。したがって、単繊維区域182の縁取り線は、単繊維区域189とともに境界190を共有してもよい。このような場合、単繊維区域189の長さは、ソール縁取り線部187とは対照的に、単繊維区域182の境界に影響を受ける。
境界190は、ウェルト170と同様の方法で構成してもよい。すなわち、境界190は、外側部分および内側部分を含む多繊維区域であってもよい。したがって、境界190は、単繊維区域189および/または単繊維区域182の面を越えて突出するかまたは延びていてもよい。あるいは、境界190は、ウェルト170とは異なる方法で構成してもよい。たとえば、境界190は、単繊維区域189および単繊維区域182がそれに沿って構成されている同じ略平面に沿って形成してもよい。
図15〜図17に図示されているように、単繊維区域は、ニット構成要素130上に多様に配設してもよく、製品100の足先領域10に配設されることを含む。そこに図示されているように、単繊維区域は、単繊維区域の形状が、多繊維ヤーンの縁取り線によって画定されていてもよい多繊維部分によって取り囲まれていてもよい。単繊維区域の間および単繊維区域を取り囲んでいる多繊維区域は、上述したウェルトと同様に構成してもよい。すなわち、多繊維区域は、内側層または部分および外側層または部分を含んでもよく、外側層は、単繊維区域を越えて径方向外側に延びている。他の実施例では、多繊維区域を、単繊維区域と同じ平面に沿って構成してもよい。
図24および図24Aに図示されているように、足先領域10の足先単繊維群162は、複数の単繊維区域200を含む。例示的な実施形態において、単繊維区域200の各々は、一方の端部の先端に向かって狭くなっている幅広の底辺を含む略三角形状を有していてもよい。具体的には、1つの単繊維区域202を参照すると、外見が三角形になっている。また、単繊維区域200は、同様に方向付けられていてもよい。たとえば、単繊維区域202の底辺204は、横方向に沿って方向付けられていてもよい。さらに、底辺204は、かかと領域14に対向して配設してもよい。いくつかの実施形態において、単繊維区域202の先端206は、底辺204に対向して方向付けてもよい。したがって、単繊維区域202は、大略的に三角形でもよく、およびサメの歯の形状に似ていてもよい。さまざまな他の単繊維区域200は、同様に形作ってもよい。しかし、単繊維区域200の他の幾何学的または非幾何学的形状を用いてもよい。単繊維区域200は、強度および安定性が足先領域10に付与されるように配列してもよい。中足領域12の内側単繊維群160(図23を参照)と比較して、足先領域10の足先単繊維群162は、単繊維ストランドのより小さな区域を含んでいる。
いくつかの実施形態において、多繊維ヤーンは、その形状を維持するとともに耐摩耗性も与えるために、製品100を支持するのに役に立つ可能性がある。たとえば、足先領域10には、場合により、ニット構成要素130に対する摩耗や力の増加に関するより大きな可能性が生じる可能性があるため、より大きな割合の多繊維ヤーンを含んでもよい。たとえば、ユーザは、横方向に動くか、または「カッティング」する可能性があり、そのことは、製品の足先領域10に足を押し付けることになる可能性がある。さらに、ユーザは、製品100の他の領域と比較して、足先領域10において、より大きな障害物または物体に遭遇する可能性がある。
さらに、単繊維区域の位置、方向性、デザインおよび/または形状は、製品100全体での力分布に役に立つ可能性がある。たとえば、図24Aを参照すると、単繊維区域200の三角形またはサメの歯のデザインは、多くの異なる角度で、足先領域10を介して力が配分されることを可能にする。単繊維区域200のオフセット性は、多繊維ヤーンが、単繊維区域200の間に方向付けられることを可能にする。多繊維ヤーンの方向付けは、複数の異なる角度に沿って、多繊維ヤーンを介して力を伝達できるようにしている。多繊維ヤーンの区域の特定のデザインは、多繊維ヤーンの異なるチャネルを介して任意の力が分けられるかまたは分散されることを可能にしている。たとえば、横方向の力は、多繊維ヤーンを介して間接的に分散させることができる。すなわち、単純に横方向の力は、横方向および長手方向の成分に分散させて、それによって、足先領域10の任意の1つの方向に沿った応力を低減することができる。他の実施形態では、サメの歯形状の単繊維区域200は、異なる形状の単繊維区域と結合してもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、サメの歯形状の単繊維区域200は、上述したように、楕円形状の単繊維区域、または、矩形または細長い単繊維区域とともに用いてもよい。単繊維区域200のサメの歯のデザインは、足先領域10に強度を与える可能性があり、また、製品100のデザインにも加えてもよい。
図25および図26を参照すると、製品100のかかと部126の1つの実施例が図示されている。かかと単繊維群166は、かかと部126の外側側部16と内側側部18との間に設けられている細長い単繊維区域300を含む。図示されているように、細長い単繊維区域300は、背部302に向かって延びている。背部302は、外側側部16と内側側部18との間の中央位置に配置してもよく、または、背部302は、背部302が、外側側部16または内側側部18のいずれかに近接するようにオフセットさせてもよい。背部302は、かかと部126の外側側部16と内側側部18との間のバリアまたは分離区域として作用してもよい。図25Aが示すように、楕円形状の単繊維区域304は、背部302の長さに沿って設けてもよい。したがって、楕円形状の単繊維区域304は、細長い単繊維区域300に隣接して設けてもよい。他の実施形態では、楕円形状の単繊維区域304は、かかと部126内の異なる位置に設けてもよい。たとえば、楕円形状の単繊維区域304は、カラー306に隣接して設けてもよい。
楕円形状の単繊維区域304および細長い単繊維区域300の方向性およびレイアウトは、製品100の伸張抑止または制限に役に立つ可能性がある。たとえば、かかと部126は、図26の引張力を受けるように図示されている。かかと部126が伸張されると、背部302は、その力のかなりの部分を吸収することができる。すなわち、力は、背部302に沿って通るように向けられる可能性があり、それによって、単繊維区域が受ける力の量が最少化される。図示されているように、力は、背部302に沿って、および楕円形状の単繊維区域304を包囲するかまたは取り囲む多繊維区域308に沿って方向付けてもよい。力が伝わる多繊維区域または経路を形成することにより、隣接する単繊維区域が受ける応力や他の力が、それによって減少される可能性がある。さらに、このデザインは、かかと部126の大きな区域が単繊維構造になることを可能にするとともに、耐久性があり、スタイリッシュであり、および耐伸張性のかかと部126を実現できる。
図26に図示されているように、単繊維区域300は、水平または横方向に方向付けてもよい。他の実施形態では、単繊維区域300は、垂直方向に方向付けてもよく、または、他の方向に方向付けてもよい。単繊維区域300の間に配置されたおよび/または単繊維区域300を取り囲んでいる多繊維区域308は、上述したように、ウェルト170(図27を参照)と同様に構成してもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、多繊維区域308は、内側層または部分および外側層または部分を含んでもよい。多繊維区域308の内側部分および外側部分は、(ユーザの足に近い平面内の内側部分と、ユーザの足から径方向外側に位置する平面内の外側部分とを備える)異なる平面内に位置していてもよく、および多繊維区域308の内側部分と外側部分との間にスペースがあってもよい。あるいは、多繊維区域308の内側部分および外側部分は、それらの間にスペースがほとんどないかまたは全くないように、少なくとも部分的に一緒に固定および/または付着させてもよい。別の実施例において、多繊維区域308は、単繊維区域300および単繊維区域304と同様の構造から成っていてもよい。すなわち、多繊維区域308は、単繊維区域300と同じ平面内に設けてもよい。たとえば、多繊維区域308は、外側部分を含んでいなくてもよく、外側部分がないことは、単繊維区域と、多繊維ヤーンで形成された隣接する区域との間の同じ平面内に、均一な連続面をもたらす可能性がある。
多繊維区域308は、伸張性要素804および伸張性要素806が、図8Aのそれぞれのウェルト820,822を通って延びているのと同じように、または、伸張性要素1402が、図27Aに示すウェルト1400を通って延びているのと同じように、多繊維区域308を通って延びている伸張性要素を含んでいてもよい。あるいは、多繊維区域308は、中空であってもよく、または、その中を通って延びている伸張性要素が充填されていなくてもよい。
図8および図27を参照すると、ウェルト700およびウェルト170は、それぞれ図8Aおよび図27Aにおいて、断面図でウェルト700およびウェルト1400として図示されている。上述したように、ウェルト700,1400は、ニット材料から成る2つの重なっているおよび少なくとも部分的に同一の広がりを持つ層によって形成された大略的に中空の構造である。ウェルト700,1400を形成しているニット材料から成る1つの層の側部または縁部は、他の層に固定してもよいが、中央区域は、別の要素が、ニット材料から成る2つの層の間に位置していてもよく、およびウェルトを通って延びていてもよいように、大略的に固定されていない。図8Aが示すように、ウェルト700は、2つの隣接するウェルト820および822を含んでもよい。重なっているかまたは少なくとも部分的に同一の広がりを持つ層を有する履物アッパー用のニット構成要素の別の実施例は、参照によって本願明細書に組み込まれる、Duaらの特許文献3に見出すことができる。
上述したように、ウェルトは、そこを通って延びている伸張性要素を含んでもよい。たとえば、伸張性要素804および806は、それぞれウェルト820および822を通って延び、伸張性要素1402は、ウェルト1400を通って延びている。いくつかの実施形態において、伸張性要素は、1つのウェルトと別のウェルトとの間に延びていてもよい。たとえば、ウェルト700を参照すると、伸張性要素804は、ウェルト820を通り、伸張性要素806は、ウェルト822を通っている。伸張性要素804および806は、単一の連続ピースであってもよいが、伸張性要素の各区画は、参照を容易にするために、別々の区域または部分(それぞれ、区画804および区画806)として名付けられている。伸張性要素区画804および伸張性要素区画806は、ループ158を形成するように接続してもよい。より具体的には、伸張性要素区画804は、ウェルト820を通って、およびウェルトの上端から外側に延びてループ158を形成した後、ウェルト822を通って下方に戻って延びている。ループ158は露出されているが、伸張性要素区画804および806の残部は、少なくとも部分的にウェルト700によって包囲されていてもよく、ウェルト700は、大略的に、外側部分800、外側部分801および内側部分802によって画定されている。個々のウェルト820は、外側部分801、中間部分830および内側部分802によって画定されてもよく、個々のウェルト822は、外側部分800、中間部分830および内側部分802によって画定されてもよい。他の実施形態では、伸張性要素は、単一のウェルトの長さに沿って二度、延びていてもよい。たとえば、伸張性要素区画804は、ウェルト700の上端から外側に延びて、アッパー120の外側にループ158を形成し、伸張性要素区画806が、ウェルト700を通って戻って延びている。
さらなる実施例では、伸張性要素は、1つのウェルトから別のウェルトへ延びていてもよい。より具体的には、図27に図示されているように、ウェルト1400を通って上方へ延びてループを形成した後、第2のウェルト1404の上端に戻って下方に延びていてもよい。伸張性要素1402は、第2のウェルト1404を通って延びて、下方端部を通って第2のウェルト1404から出ていてもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素1402は、同じウェルトを複数回、出入りしてもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素1402は、他のウェルトに向かっておよび他のウェルトを通って延びていてもよい。他の実施形態では、別々のストランドまたは伸張性要素が、追加的なウェルトを通って延びていてもよい。
上述したように、ウェルトは、天然または合成繊維撚糸多繊維ヤーンで構成してもよい。たとえば、図8Aに示すウェルト820は、多繊維ストランド810から成っているが、図27Aに示すウェルト1400は、多繊維ストランド1406から成っている。図8Aに大略的に図示されている1つの実施例において、ウェルト700は、たとえば、隣接する単繊維区域703および705を形成するのに用いられている単繊維ストランド808を含む単繊維ストランドから成る空洞であってもよい。同様に、ウェルト1400は、隣接する単繊維区域1408および1410と、他のいずれかの単繊維区域とを形成するのに用いられている単繊維ストランドを含む単繊維ストランドから成る空洞であってもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素は、隣接する単繊維区域を構成するのに用いられる単繊維ストランドに接触することなく、ウェルトを通って延びていてもよい。具体的には、伸張性要素806は、単繊維区域703に接触することなく、ウェルト822を通って延びていてもよい。同様に、伸張性要素804は、単繊維区域705に接触することなく、ウェルト820を通って延びていてもよい。伸張性要素1402は、単繊維区域1408および1410を構成するのに用いられる単繊維ストランドに接触することなく、ウェルト1400を通って延びていてもよい。すなわち、いくつかの実施形態において、限定するものではないが、例示的な伸張性要素804,806および1402を含む伸張性要素は、隣接する単繊維区域から分離するかまたはその他の形で隔離してもよい。
図8Aに例示的に図示されているように、伸張性要素部分806は、ウェルト822の内側部分802、中間部分830および外側部分800に接触し、ウェルト822は、実線の正弦曲線で示されている多繊維ヤーン810で全部が構成され、伸張性要素部分804は、内側部分802、中間部分830および外側部分801に接触し、ウェルト820も、多繊維ヤーン810で全部が構成されている。単繊維ストランド808は、点線の正弦曲線で示され、およびウェルト820および822の内側部分802、中間部分830および/または外側部分800,801には存在していない。
同様に、図27Aに例示的に図示されているように、伸張性要素1402は、ウェルト1400の内側部分172および外側部分173に接触し、ウェルト1400は、実線の正弦曲線で示されている多繊維ヤーン1406で全部が構成されている。さらに、点線の正弦曲線で示されている単繊維ストランド1408は、ウェルト1400の内側部分172または外側部分173には存在していない。したがって、伸張性要素804,806および/または1402は、それぞれのウェルト820,822,1400に隣接する単繊維区域を構成するのに用いられる単繊維ストランドに接触しなくてもよい。そのため、伸張性要素804,806および/または1402が締め付けられるか、または動かされると、それらの伸張性要素は、多繊維ヤーン810,1406のみに接触して、それによって、単繊維ストランドが受ける可能性のある摩耗量を低減することができる。
図9Aおよび図28Aを参照すると、それぞれ図9および図28に図示されている製品100のニット構成要素130の部分を描いた例示的なルーピングの略図900および1500が図示されている。ルーピングの略図900および1500は、単繊維区域705およびウェルト700(図8を参照)および単繊維区域1410およびウェルト1400(図27を参照)の部分を形成するための編み機、たとえば、横編み機によって実行される編み方および動きの順序を示す。図9Aおよび図28Aに図示されているように、間隔の空いたドットは、編み機の針を表し、また、図示されているステップは、編み機の前床および後床の各々の針の間のヤーンまたはストランドの動きの方向を表している。
前床に設けられた針は、「前針」と呼んでもよく、後床に設けられた針は、「後針」と呼んでもよい。また、「パス」という用語は、ストランドまたはヤーンが、針床の針と接触するように、および/または針によって操作されるように針床を横切って動く編み機のフィーダーの動作を指すのに用いられる。「コース」という用語は、ヤーンまたはストランドが、別のヤーンまたはストランドと互いにループを形成した後のヤーンまたはストランドを指す。針床を横切るパスは、インターループストランドまたはヤーンから成るコースと関連付けてもよい。あるいは、複数のパス、たとえば、2パスは、ニット材料から成る1つのコースを形成するのに用いてもよい。コンビネーションフィーダーを備えた編み機を利用して製品を製造する方法は、参照によってその開示の全体が本願明細書に組み込まれる、既に引用した、Huffaらの特許文献5に開示されている。
図9Aに図示されているように、単繊維ストランド808は、単繊維区域705の部分を編むのに用いてもよい。ルーピングの略図は、ストランドの特定のレイアウトまたは方向性を意図しておらず、例示的な略図である。図示されているように、第1のパスは、編み機の前床および後床の交互針上に単繊維要素902を形成する。すなわち、第1のパスは、前針および後針の各々に1つずつある2つのコースの部分を形成することができる。また、単繊維要素904は、単一のパスの間に、前床および後床の交互針上、ならびに前針および後針の各々に1つずつある2つのコースの同様の部分にも形成される。さらに、単繊維要素906および単繊維要素908が、同様の方法で形成される。図示されているように、それらの要素の単繊維コースの各々は、前針床および後針床の各ループの間で針位置をスキップする。その構成は、単繊維区域の強度および安定性の向上を可能にする。また、各単繊維コースは、隣接するコースと互いにループを形成しなくてもよい。たとえば、単繊維要素902の前針床上のループは、単繊維要素904の対応する位置における開針と位置が合っている。しかし、前針床上の単繊維要素902のループは、前床上の単繊維要素906のコースと接触する可能性がある。単繊維要素908および単繊維要素904のコース間の同様の接触が生じる可能性がある。さらに、同様の接触は、後針上に設けられたループ間で生じる可能性がある。多繊維要素910は、1つのパスで2つのコースを形成する後針および前針上の多繊維ヤーン810を用いて編まれる。単繊維要素とは対照的に、多繊維要素910のコースは、前床または後床上の針をスキップしない。したがって、多繊維要素910の前針床部分は、単繊維要素908および単繊維要素906の前床針部と接触してループを形成する。同様に、多繊維要素910の後針床部分は、単繊維要素908および単繊維要素906の後床針部と接触してループを形成する。いくつかの実施形態において、多繊維要素910の後針部は、ウェルト700の内側部分802の起点と考えてもよい。多繊維要素910の前床針部は、ウェルト700の外側部分801の起点と考えてもよい。多繊維要素912は、後針床上に形成されて、単一のパスの間に、単一のコースを形成して、多繊維要素910の後針部とループを形成する。
いくつかの実施形態においては、複数の多繊維コースを、多繊維要素912の形成後に、後針床上に形成してもよい。フィーダーによる後針床上での追加的なパスは、ウェルト700の内側部分802の形状およびサイズを調節するために、同様の追加的なコースを形成するように実行してもよい。たとえば、多繊維要素912後の後針床上に4つの追加的なコースを含む実施形態は、図8Aに示す内側部分802よりも大きな内側部分を生成してもよい。
いくつかの実施形態において、伸張性要素部分804は、部分的に完成されたウェルト700内に配置してもよい。伸張性要素部分804は、後床と前床との間に挿入してもよい。いくつかの実施形態において、多繊維要素914は、前床および後床上の針と接触する多繊維ヤーンを用いて、フィーダーの1つのパスの間に形成してもよい。多繊維要素914および多繊維要素916は、上記の単繊維要素に関して説明したように、交互針をスキップしてもよい。単繊維要素と同様に、多繊維要素914および多繊維要素916は、前針床および後針床上の対応するループに接触してもよい。たとえば、多繊維要素914および多繊維要素916の後針床部分は、多繊維要素912に接触してもよい。いくつかの実施形態において、多繊維要素914および多繊維要素916の前床部分は、中間部分830の一部と見なしてもよい。いくつかの実施形態において、第2の伸張性要素806の部分は、前床と後床との間に挿入してもよい。
いくつかの実施形態において、伸張性要素部分804は、多繊維要素912に接触してもよく、また、伸張性要素部分806は、多繊維要素916に接触してもよい。いくつかの実施形態において、フィーダーは、前床上で多繊維コース918を編むための追加的なパスを実行してもよい。追加的なコースは、多繊維コース918と接触してループを形成する前床上に形成してもよい。多繊維コース918の後に前床上に形成されるコースの数を増やすことにより、外側部分800のサイズを増加させてもよい。さらに、多繊維要素910の後に前床上に形成されるコースの数を増やすことにより、外側部分801のサイズを増加させてもよい。
同様に、図28Aに図示されているように、単繊維ストランド1408は、単繊維区域1410の部分を編むのに用いてもよい。図28Aのルーピングの略図は、ストランドの特定のレイアウトまたは方向性を意味するものではなく、例示的な略図である。図示されているように、フィーダーの第1のパスは、編み機の後床上の単繊維ストランド1408を用いて、単繊維コース1502のニットを形成してもよい。図示されているように、単繊維コース1502は、後針床上のすべての針とは接触しない。むしろ、単繊維コース1502は、後針床上の1つおきの針と接触する。いくつかの実施形態において、このような構成は、各針と接触する平ジャージー編みを利用する単繊維区域と比較して、単繊維区域の強度を向上させることができる。さらに、フィーダーの第2のパスは、後床上で単繊維ストランド1408を用いて編まれる単繊維コース1504を形成する。また、単繊維コース1504は、後針床上の1つおきの針と接触するニットステッチも利用してもよい。例示的な実施形態において、単繊維コース1502および単繊維コース1504の各々は、1つおきの交互針と接触してもよい。したがって、単繊維コース1502および単繊維コース1504は、互いにループを形成しなくてもよい。むしろ、単繊維コース1502は、既に形成されている他のコースと接触してもよい。いくつかの実施形態において、単繊維ストランド1408は、編み機の後針上で編むために用いてもよい。後針上で編むことにより、形成されるそのニット構造は、製品100の内側面122に向かって延びることができる。さらに、後針上で編まれるニット構成要素130の部分は、大略的に、前針上で編まれるニット構成要素の部分から離れて延びることができる。
フィーダーの第3のパスは、後針床上の多繊維コース1506および前針床上の多繊維コース1508の両方を形成するのに用いてもよい。そのため、2つのコースを、フィーダーの1つのパスから形成してもよい。多繊維コース1506は、後針上の多繊維ヤーン1406を用いて編まれ、また、多繊維コース1508は、前針上の多繊維ヤーン1406を用いて編まれる。いくつかの実施形態において、多繊維コース1508は、ウェルト1400の外側部分173の起点と考えてもよい。図示されているように、多繊維コース1506および多繊維コース1508は、同じ多繊維ヤーン1406を用いて形成されるが、互いにループは形成されず、むしろ、各々が、異なるセットの針床上で形成される。多繊維コース1506は、後針床上に形成されるため、多繊維コース1506は、単繊維コース1504と接触してループを形成してもよい。多繊維コース1506は、ウェルト1400の起点と考えてもよい。フィーダーの第5のパスは、多繊維コース1506とループを形成する、後針床上の多繊維コース1512を形成してもよい。
いくつかの実施形態においては、複数の多繊維コースを、多繊維コース1510の形成後に、前針床上に形成してもよい。ウェルト1400の外側部分173の形状およびサイズを調節するために、前針床上の追加的なコースを形成してもよい。たとえば、多繊維コース1510の後に、前針床上に4つの追加的なコースを含む実施形態は、図27Aに示す外側部分173よりも大きな外側部分を形成してもよい。
図28Aに図示されているように、伸張性要素1402は、部分的に完成したウェルト1400内に配置してもよい。伸張性要素1402は、後床と前床との間に挿入してもよい。1つの実施例において、伸張性要素1402は、セパレートフィーダーで挿入してもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素1402は、多繊維コース1508および多繊維コース1510に接触してもよい。いくつかの実施形態においては、追加的なコース、たとえば、多繊維コース1512を、後床上に形成してもよい。いくつかの実施形態においては、多繊維コース1512と接触してループを形成するコースを形成するために、フィーダーの追加的なパスを、多繊維ヤーン1406を備えた後床上で実行してもよい。多繊維コース1512の後に後床上に形成されるコースの数を増やすことにより、ウェルト1400の内側部分172のサイズを増加させてもよい。
いくつかの実施形態において、前床上に残っているコース(たとえば、図9Aの場合、多繊維コース918、および図28Aの場合、多繊維コース1510)は、好適な数のコースが後床および前床上に形成された後、後床に移送してもよい。このような動作の後、前床上の最後のコースが、後床上に形成されたコースと接触してループを形成してもよい。この動作は、ウェルト700およびウェルト1400等のウェルトの形成を完了させることができる。そのため、ウェルト700は、伸張性要素部分804および伸張性要素部分806のかなりの部分を取り囲むかまたは包囲することができ、また、ウェルト1400は、伸張性要素1402のかなりの部分を取り囲むかまたは包囲することができる。
次に、図29Bを参照すると、図29および図29Aに示す製品100のかかと部126の部分のルーピングの略図が図示されている。いくつかの実施形態において、単繊維区域1602からの単繊維ストランドは、縫い目縁取り線部1600内まで延びていなくてもよく、それらは、存在感があまりなくてもよい。縫い目縁取り線部1600は、組み立てられたときに、製品100の本体部124に隣接して設けられるかかと部126の区域であってもよい。縫い目縁取り線部1600は、かかと部126の縁部128に隣接していてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、縫い目縁取り線部1600は、かかと部126が本体部124に組み付けられた場合に(図15および図19)、縁部127に隣接してもよい。
図29Aの拡大された区域1604を参照すると、単繊維区域1602が、縫い目縁取り線部1600とともに図示されている。図示されているように、単繊維区域1602の部分は、実質的に縫い目縁取り線1606の左側に位置している。縫い目縁取り線1606は、ある区域の正確な境界であることを意図しておらず、むしろ、縫い目縁取り線1606は、単繊維区域1602と縫い目縁取り線部1600との間の大略的な境界を示すのに用いられている。拡大した区域1604に図示されているように、単繊維区域1602は、縫い目縁取り線部1600内に延びておらず、いくつかの実施形態においては、単繊維ストランドは、縫い目縁取り線部1600内に延びていてもよい。すなわち、図29Aには見えていないが、単繊維ストランド1610,1612,1614,1616のいくつかのループは、以下で詳細に説明するように、縫い目縁取り線部1600の部分に存在している可能性がある。
また、本体部124の縁部127は、単繊維ストランドをほとんど含んでいなくてもよく、または、単繊維ストランドが全くなくてもよい。したがって、かかと部126と本体部124との間の縫い目区域(図15および図19を参照)の大部分には、単繊維ストランドがなくてもよい。そのため、かかと部126と本体部124とが縫製されるか、または一緒に接合される際、単繊維ストランドには、縫製または接合部がなくてもよい。したがって、単繊維ストランドに伝わる応力または力を低減することができる。
図29Bのルーピングの略図1608を参照すると、単繊維ストランド1408から形成された単繊維コースは、図28Aのルーピングの略図1500に関して説明したのと同様の方法で、針床内の1つおきの針をスキップしてもよい。第1のパスは、単繊維区域1602の縫い目縁取り線1606を越えて延びていてもよい単繊維コース1610を形成するのに用いてもよい。ルーピングの略図1608に関して説明したように、各コースは、単一のパスから形成してもよい。図示されているように、単繊維コース1610は、縫い目縁取り線1606を越えて形成される2つのループを含んでもよい。他の実施形態では、単繊維コース1610は、より多くの数のループを縫い目縁取り線部1600内に、または、より少ない数のループを縫い目縁取り線部1600内に延ばしてもよい。いくつかの実施形態において、単繊維コース1610は、かかと部126の縁部128まで延びていてもよいが、例示的な実施形態においては、かかと部126の縁部128まで延びている単繊維ストランドはなくてもよい。図示されているように、単繊維コース1612は、単一のループを、縫い目縁取り線1606を越えて延ばしてもよい。単繊維コース1614は、縫い目縁取り線1606を越えて延びていてもよい。いくつかの実施形態において、単繊維コース1614は、単繊維コース1614と単繊維コース1616との間にタックステッチを形成してもよい。
図29Bに図示されているように、単繊維コース1610は、単繊維コース1612と接触してループを形成してもよく、単繊維コース1612は、単繊維コース1614と接触してループを形成してもよく、および単繊維コース1614は、単繊維コース1616と接触してループを形成してもよい。すなわち、それらの単繊維コースは、互いに接触して、図29および図29Aの拡大図に示すような単繊維区域1602を形成してもよい。図示されているように、タックステッチは、フィーダーの次のパスの間に、単繊維コース1614から単繊維コース1616に移行するのに用いられる。
かかと部126の縁部128全体でのコースの不足により、追加的なコースを導入して、縁部を形成するかまたはかかと部126を完成させてもよい。多繊維ヤーン1406によって前針床上に形成された多繊維コース1618および多繊維コース1620を導入して、単繊維コースと接触させてもよい。この意味では、多繊維コースは、かかと部126の、まとまりのある連続的な縁部を形成してもよい。単繊維コースを伴う多繊維ヤーン1406の配置は、かかと部126の縁部が多繊維ヤーンを含むことを可能にするとともに、単繊維ストランドを縁部から取り除くことを可能にする。したがって、本体部124の縁部128と結合、接合または一緒に縫い付ける場合、その接続部ヤーンは、単繊維ストランドと接触しなくてもよい。接合機構を介して単繊維ストランドに及ぼされる応力または他の力を回避するために、接合機構から単繊維ストランドを分離することが有利である可能性がある。
単繊維ストランドは、より大きな応力または力を受ける可能性がある製品100の他の区域においても、制限してもよい。たとえば、甲回り縁取り線部186は、かかと縁部128と同様の方法で構成してもよい。甲回り縁取り線部186は、締めひも154を含んでもよい締めひも開口部156を含んでもよいため、甲回り縁取り線部186は、いくつかの区域において、さらなる応力または力を受ける可能性がある。したがって、単繊維ストランドをさらなる応力にさらすことを避けるためまたは制限するために、甲回り縁取り線部186は、上述したのと同様の方法で、単繊維ストランドをほとんど含まなくてもよく、または全く含まなくてもよい。
図30Aを参照すると、図30のかかと部126に設けられたウェルト1700の断面図が図示されている。ウェルト1700は、単繊維区域1706と単繊維区域1708との間に配設されている。図示されている実施形態において、ウェルト1700は、大部分が多繊維ヤーンで構成されているのに対して、単繊維区域は、大部分が単繊維ストランドで構成されている。ウェルト1700は、伸張性要素を包囲してもよいが、図30Aに図示されているように、ウェルト1700は、図27Aのウェルト1400とは対照的に、そこを通って延びている伸張性要素を含んでいない。ウェルト1700は、伸張性要素を含んでいないが、ウェルト1700は、やはり、図30Aに図示されているようなかかと部126の外側面121に沿って、突出部またはバンプを形成していてもよい。上述したように、多繊維ヤーンの外側面121におけるバンプまたは突出部は、単繊維区域を接触や摩耗から保護することができる。たとえば、ウェルト1700の外側部分1702は、ウェルト1700の内側部分1704から径方向外側に延びていてもよい。外側部分1702および内側部分1704は、空洞またはトンネル状構造を形成してもよい。
いくつかの実施形態において、内側部分1704および外側部分1702の形態は、外側部分1702の形状を保持するのに役に立つ可能性がある。たとえば、内側部分1704は、外側部分1702よりも短いかまたは小さい全長から成っていてもよく、内側部分1704および外側部分1702の縁部または端部は、互いに相対的に固定された関係で接合または保持されていてもよい。この形態および構成により、外側部分1702は、内側部分1704から外側に延びていてもよい。さらに、外側部分1702が押圧された場合、または、外側部分1702に力が加えられた場合、外側部分1702は、その力に耐えることができ、かつ、力が解放されたときには形状を大きく戻すことができる。同様に、製品100の他の部分全体に設けられた他の多繊維区域および/またはウェルトは、単繊維区域にダメージを与える可能性がある外部の力から単繊維区域をさらに保護するために、アッパー120全体で用いてもよい。
図31Aを参照すると、ウェルトを通って延びている伸張性要素を含んでいない図31のウェルト1700の実施形態を描いたルーピングの略図1800が図示されている。図示されているように、単繊維コース1802および単繊維コース1804は、後針床の1つおきの針を用いる構成で、後針床上の単繊維ストランド1408を用いて編まれる。例示的な実施形態において、単繊維コース1802および単繊維コース1804の各々は、1つおきの針と交互に接触してもよい。単繊維コース1802は、単一のパスから形成してもよく、また、単繊維コース1804は、別のパスの間に形成してもよい。また、単繊維コース1804も、単繊維ストランドを用いて編まれる。したがって、単繊維コース1802および単繊維コース1804は、互いにループを形成しなくてもよい。むしろ、単繊維コース1802は、既に形成されている他のパスと接触してもよい。
複数の多繊維コースを、単一のパスの間に形成してもよい。たとえば、多繊維コース1806および多繊維コース1808はともに、フィーダーの同じ単一のパスの間に形成される。多繊維コース1806は、後針上の多繊維ヤーン1406を用いて編まれ、また、多繊維コース1808は、前針上の多繊維ヤーン1406を用いて編まれる。多繊維コース1806は、ウェルト1700の内側部分1704(図30Aを参照)の起点と考えてもよい。図示されているように、多繊維コース1806および多繊維コース1808は、同じ多繊維ヤーン1406を用いて形成されるが、互いにループを形成しておらず、むしろ、それぞれが、異なるセットの針床上に形成されている。多繊維コース1806は、後針床上に形成されているため、多繊維コース1806は、単繊維コース1804と接触してループを形成してもよい。そのため、多繊維コース1806は、単繊維コース1804が多繊維コースとループを形成するように、単繊維ストランドを取り除いてもよい。
多繊維コース1808は、ウェルト1700の外側部分1702(図30Aを参照)の起点と考えてもよい。多繊維コース1810は、前針床上の多繊維ヤーン1406を用いて編まれて、多繊維コース1808とループを形成している。いくつかの実施形態においては、多繊維パス1810の後に、複数の多繊維コースを前針床上に形成してもよい。ウェルト1700の外側部分1702の形状およびサイズを調節するために、前針床上の追加的なコースを形成してもよい。たとえば、多繊維コース1810の後に、前針床上に4つの追加的なコースを含む実施形態は、図30Aの外側部分1702よりも大きい外側部分を形成してもよい。
いくつかの実施形態において、追加的な多繊維コース1812は、後床上の多繊維ヤーン1406を用いて編んでもよい。追加的なコースは、多繊維コース1812と接触してループを形成する後床上に形成してもよい。多繊維コース1812の後の後床上に形成されるコースの数を増やすことにより、内側部分1704のサイズを増加させてもよい。後床上に残っているコースは、好適な数のコースが後床および前床上に形成された後に、前床に移してもよい。このような動作の後、後床上の最後のコースが、前床上のコースと接触してループを形成してもよい。この動作は、図30〜図31Aのウェルト1700等のウェルトの形成を完了させることができる。そのため、ウェルト1700は、大部分を多繊維ヤーンで構成することができ、それによって、単繊維ストランドが、摩耗または他の力を受ける可能性を減少させる。
さらなるニット構成要素の構成
次に、図10〜図14Aを参照すると、単繊維区域を組み込んだ製品のさまざまな追加的実施形態が図示されている。特に図10を参照すると、製品1004の実施形態が、比較的大きな単繊維区域とともに示されている。この実施形態では、単繊維区域1000および単繊維区域1002は、図1に図示されている製品100の実施形態と比較して、製品1004の外側側部16の表面積に対して比較的大きくなっている。多繊維区域1006は、単繊維区域1000および単繊維区域1002を取り囲んでいてもよい。いくつかの実施形態において、多繊維区域1006は、1つ以上のウェルト、たとえば、上述したように、ウェルト1008を含んでいてもよい。伸張性要素1010が、ウェルト1008の少なくとも一部を通って延びていてもよい。
1つの実施例において、単繊維区域1000,1002に隣接する多繊維区域1006は、多繊維区域1006が配設されている平面に同様に位置合わせしてもよい。たとえば、ウェルト1008と単繊維区域1002との間の多繊維区域は、単繊維区域1002の同様に位置合わせされた平面に沿って延びていてもよい。あるいは、製品1004の単繊維区域1000,1002の他の部分は、異なる平面に沿って延びている多繊維区域1006の部分に隣接していてもよい。
図11を参照すると、三角形状から成る複数のおよび比較的小さな単繊維区域を含む、製品1108の実施形態が図示されている。製品1108の単繊維区域は、図1に示す実施形態に関して説明したのと同様の方法で大部分を形成してもよい。図11に示す実施形態では、単繊維区域1104および単繊維区域1102は、ウェルト1106に隣接して配設してもよい。ウェルト1106は、前述のウェルト構成に関して説明したように、多繊維ヤーン1100から形成してもよい。
多繊維ヤーン1100は、製品1108の単繊維区域を取り囲むか、またはその単繊維区域と境を接してもよく、あるいは、製品1108の単繊維区域は、ウェルトと境を接してもよく、または、多繊維区域とウェルトとの組合せと境を接してもよい。限定するものではないが、単繊維区域1102および1104を含む製品1108の単繊維区域は、単繊維区域と同様に位置合わせされた平面に沿って方向付けられている多繊維ヤーン1100と境を接してもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、単繊維区域と、隣接する多繊維区域との間に、比較的一様な移行があってもよい。たとえば、多繊維区域および単繊維区域が大略的に同じ平面内に配設されている場合に、多繊維区域によって形成されたバンプまたは突出部がなくてもよい。
図12を参照すると、複数の単繊維区域1200,1202,1204および1206を含む製品1212の実施形態が図示されている。この実施形態では、各単繊維区域は、ウェルトに部分的に境界されていてもよく、および伸張性要素が、ウェルト内に少なくとも部分的に包囲されていてもよい。単繊維区域1200、単繊維区域1202、単繊維区域1204および単繊維区域1206の形状は、それぞれ、ウェルト、およびそのウェルトを通って延びている伸張性要素によって部分的に画定されていてもよい。1つの非限定的実施例において、単繊維区域1202は、ウェルト1208およびウェルト1210によって少なくとも部分的に画定されている。それらのウェルトの各々は、前述の実施形態で説明したように、そこを通って延びている伸張性要素を含んでもよい。いくつかの実施形態において、伸張性要素1214は、各ウェルトの間に延びている連続ストランドであってもよい。他の実施形態では、複数の伸張性要素が、各ウェルト内で用いられていてもよい。さらに追加的な実施形態では、いくつかのウェルトは、伸張性要素を含んでいなくてもよい。図12に図示されているように、単繊維区域1200,1202,1204および1206の幅広の部分は、甲回り縁取り線部186に隣接して配設されている。図10および図11に示す実施形態等の他の実施形態では、単繊維区域の幅広の部分または底辺は、ソール縁取り線部187に隣接して配設してもよい。
図13および図14を参照すると、製品100のさらに別の代替的実施形態が図示され、製品1306として識別されている。前述の実施形態と同様に、符号1300,1302,1304等の単繊維区域は、ウェルトによって少なくとも部分的に画定されている。この特定の実施形態においては、単繊維区域も大略的に三角形状である。単繊維区域1300,1302,1304は、製品1306上にさまざまに配置してもよい。具体的には、単繊維区域1300は、三角形の底辺が、製品1306のソール構造110に隣接して配設されるように延びている。逆に、単繊維区域1302は、三角形の底辺が、甲回り縁取り線部186に隣接して配設されるように方向付けられている。さらに、単繊維区域1304および単繊維区域1300は、大部分が同様に方向付けられ、三角形の底辺は、ソール構造110に隣接して方向付けられている。したがって、この実施形態の隣接する単繊維区域の側部は、大略的に互いに位置が揃っている。
いくつかの実施形態において、伸張性要素1308は、単繊維区域間の仕切として機能してもよい。たとえば、図示されている実施形態では、伸張性要素1308は、大部分が互い違いにV字形状になっている。単繊維区域1300は、伸張性要素1308の逆さまのV字形状部分によって部分的に囲まれている。すなわち、単繊維区域1300の底辺部は、ソール構造110に隣接して配設されている。対照的に、単繊維区域1302は、伸張性要素1308の直立したV字形状部分によって部分的に囲まれている。したがって、単繊維区域1302は、単繊維区域1300が方向付けられている方向とは反対の方向に方向付けられている。
また、伸張性要素1308は、単繊維区域を複数の区画に分けている。いくつかの実施形態において、それらの区画は、同様の方法で方向付けてもよい。たとえば、伸張性要素1308の上に配設されている(すなわち、甲回り縁取り線部186に向かって配設されている)すべての単繊維区域は、同様の方法で方向付けられている。同様に、伸張性要素1308の下に配設されている(すなわち、ソール構造110に向かって配設されている)単繊維区域は、互いに同様の方法で方向付けられている。製品1306は、同様の形状に形作られた単繊維区域を示しているが、異なる方法で方向付けられた伸張性要素とともに、さまざまな形状に形作られた単繊維区域を用いてもよいことを正しく認識すべきである。
いくつかの実施形態において、伸張性要素1308のレイアウトおよび経路は、製品1306の大部分が単繊維区域を含むことを可能にしている。たとえば、単繊維区域1304は、足先領域10に向かってウェルト1303に隣接している。さらに、単繊維区域1302は、かかと領域14に向かってウェルト1303に隣接している。単繊維区域1304および単繊維区域1302は、反対方向に方向付けられているが、両方とも単一のウェルトに隣接していてもよい。この方向付けおよびレイアウトは、伸張性要素1308がもたらす可能性がある完全性および構造支持性を維持しながら、製品1306のより多くの区域が単繊維区域によって取り囲まれることを可能にする。
単繊維区域を分けるウェルトは、伸張性要素を含んでもよい。たとえば、図13が示すように、ウェルト1301およびウェルト1303は、伸張性要素1308を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ウェルト1301およびウェルト1303を通って延びている伸張性要素は、同じ伸張性要素、たとえば、伸張性要素1308であってもよい。そのため、この実施形態では、伸張性要素1308は、各単繊維区域を取り囲んでいる各ウェルトを通って延びていてもよい。また、各単繊維区域は、少なくとも部分的にウェルトに隣接している。
図14および図14Aを参照すると、製品1306の実施形態の一部の断面図が図示されている。そこに図示されているように、ウェルト1301およびウェルト1303は、複数の単繊維区域に隣接して設けられている。上述したように、ウェルトは、ニット材料から成る2つの重なっているおよび少なくとも部分的に同一の広がりを持つ層によって形成された大略的に中空な構造である。ウェルトを形成しているニット材料から成る1つの層の側部または縁部は、他の層に固定されていてもよいが、中央区域は、ウェルトを通るニット材料から成る2つの層の間に、別の要素を配設できるように、または、別の要素が延びていてもよいように、トンネル状の構造を形成するために、大略的に固定されていない。いくつかの実施形態において、伸張性要素1308の部分1408は、ウェルト1301を通って延びている。伸張性要素部分1408は、ウェルト1301を通って延びていてもよく、および隣接するウェルト1303に入ってもよい。便宜上、ウェルト1303に入る伸張性要素1308の部分は、伸張性要素部分1410と呼んでもよい。伸張性要素1308は、履物製品内に配設されている他のウェルト内に延びていてもよいが、他のウェルトは、上述したように、中空のままでもよく、および伸張性要素が全く無くてもよい。
図14Aに図示されているように、ウェルト1301は、外側部分400および内側部分402を含んでもよい。同様に、ウェルト1303は、外側部分404および内側部分406を含んでもよい。前述の実施形態に関して説明したように、ウェルト1301およびウェルト1303の部分は、実質的に全体が多繊維ヤーン810で構成されていてもよい。また、単繊維区域は、実質的に全体が単繊維ストランド808で構成されていてもよい。しかし、前述した他の実施形態に関して説明したように、伸張性要素部分408および伸張性要素部分410は、大部分が多繊維ヤーン810に接触していてもよい。すなわち、伸張性要素部分408および伸張性要素部分410は、単繊維区域1300および1304を形成するのに用いられている単繊維ストランド808から実質的に分離されていてもよい。したがって、伸張性要素部分408および伸張性要素部分410がウェルト1301および1303内で平行移動するかまたは動く際に、伸張性要素部分408および伸張性要素部分410は、単繊維ストランド808に接触することなく、多繊維ヤーン810に接触する可能性があり、それによって、単繊維ストランドの摩耗および損耗が低減される。
さまざまな実施形態について説明してきたが、その説明は、限定的であるというよりも、例示的であることが意図されており、また、当業者には、実施形態の範囲内にある、より多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。したがって、それらの実施形態は、添付クレームおよびそれらの等価物の観点を除いて限定すべきではない。また、さまざまな変更および変形を、添付クレームの範囲内で行うことができる。