JP2017525786A - ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む新規なポリシロキサン系汚損剥離コート - Google Patents

ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む新規なポリシロキサン系汚損剥離コート Download PDF

Info

Publication number
JP2017525786A
JP2017525786A JP2016573110A JP2016573110A JP2017525786A JP 2017525786 A JP2017525786 A JP 2017525786A JP 2016573110 A JP2016573110 A JP 2016573110A JP 2016573110 A JP2016573110 A JP 2016573110A JP 2017525786 A JP2017525786 A JP 2017525786A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxyalkylene
poly
coat
biocides
dry weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016573110A
Other languages
English (en)
Inventor
キム・フルクト・セレンセン
ステファン・メラー・オルセン
Original Assignee
ヘンペル エイ/エス
ヘンペル エイ/エス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ヘンペル エイ/エス, ヘンペル エイ/エス filed Critical ヘンペル エイ/エス
Publication of JP2017525786A publication Critical patent/JP2017525786A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/16Antifouling paints; Underwater paints
    • C09D5/1656Antifouling paints; Underwater paints characterised by the film-forming substance
    • C09D5/1662Synthetic film-forming substance
    • C09D5/1675Polyorganosiloxane-containing compositions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D183/00Coating compositions based on macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon, with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Coating compositions based on derivatives of such polymers
    • C09D183/04Polysiloxanes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/16Antifouling paints; Underwater paints
    • C09D5/1606Antifouling paints; Underwater paints characterised by the anti-fouling agent
    • C09D5/1612Non-macromolecular compounds
    • C09D5/1625Non-macromolecular compounds organic
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D7/00Features of coating compositions, not provided for in group C09D5/00; Processes for incorporating ingredients in coating compositions
    • C09D7/40Additives
    • C09D7/65Additives macromolecular
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/0008Organic ingredients according to more than one of the "one dot" groups of C08K5/01 - C08K5/59
    • C08K5/0058Biocides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/04Oxygen-containing compounds
    • C08K5/10Esters; Ether-esters
    • C08K5/101Esters; Ether-esters of monocarboxylic acids

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

本願は、コートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含むシリコーン系汚損剥離コートを開示し、ここに該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、例えばポリ(オキシアルキレン)−修飾ステロール、および1種以上の殺生物剤を含む。さらに、本願は、シリコーン系汚損剥離コートシステムを開示し、ここに1つ以上のコートは1つ以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、および1つ以上のコートは1つ以上の殺生物剤を含み、ここにコートシステムは1〜20g/cm2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜35g/cm2の1種以上の殺生物剤を含む。また、対応する海洋構造物およびシリコーン系汚損剥離コート組成物を開示する。

Description

本発明は、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤を含む新規なシリコーン系汚損剥離コートおよびコートシステムに関する。
従来、シリコーン配合物は、物理的手段に依存しており、これは主に、生物汚損の少ない表面を形成するための弾性率および表面張力の要因となる。従来のポリジメチルシロキサン(PDMS)コートは、時間と共に生物汚損に対抗することが困難となり、抵抗低減の利点が減少することが示されている。
したがって、従来のポリシロキサン系汚損剥離コート組成物の利点と、殺生物剤に基づく防汚コート組成物の利点とを組み合わせた、汚損剥離ポリシロキサン系コート組成物が必要である。
シリコーン系汚損剥離コートでは、有意に低い引き摺り抵抗性を示し、したがって船舶の燃費が悪い慣用的な防汚塗料と比べて利点が示されている。この差は、シリコーンコートに海洋性汚損物がない限り、特に明白である。これまでの多くの慣用的なシリコーンコートは、無汚損表面を短期間維持できるものであるにすぎない。
いくつかの殺生物剤含有防汚コートは、例えば静的条件下では、シリコーン系汚損剥離コートと比べて海洋性汚損物に対して大きな抵抗性を示す。しかしながら、かかるコートの表面特性は、表面に汚損物がない場合であってもシリコーンコートと比べて高い引き摺り抵抗性をもたらす。
本発明の背後にある論拠は、防汚塗料の殺生物剤成分をシリコーン系汚損剥離コートと組み合わせることにより、シリコーン系コートの無汚損期間を長くすることであった。これにより、引き摺り抵抗性が低く、慣用的なシリコーン系汚損剥離コートよりも長期間、汚損物のないままであるコートが得られる。
米国特許第6,313,193 B1は、特に、シラノール−末端化ポリジメチルシロキサン、ジメトキシルエトキシ−末端化ポリジメチルシロキサン、ポリジエトキシシロキサン、および塩化ベンザルコニウムを含む組成物を開示する。ポリジエトキシシロキサンがバインダネットワークの不可欠な部分となるように、ポリジエトキシシロキサンがポリジメチルシロキサンと反応する。
国際公開WO 2011/076856 A1は、ポリシロキサン系バインダシステム、0.01〜20乾燥重量%の1種以上の親水性−修飾ポリシロキサン、および1種以上の殺生物剤を含む汚れ抑制コート組成物を開示する。それは、ポリシロキサン系バインダシステムと親和性である親水性−修飾ポリシロキサンが殺生物剤の分解およびコートの表面への移動を促進するように作用すること、および高い親水性は高い侵出速度に起因して殺生物剤の早期の枯渇につながり得ることを開示している。
国際公開WO 2012/175459 A1は、 殺生物剤を含む第1の層および殺生物剤を含まないかまたは実質的に含まない続く層のコートシステムを開示している。層はポリオルガノシロキサンを含んでいてもよい。乾燥および硬化した場合の続くコート層(1種または複数種)組成物が一般的に疎水性または両親媒性の汚損剥離コートを形成し、好ましくは続く層(1種または複数種)の平衡水接触角が23℃にて30°よりも大きい場合に汚損剥離特性が一般的に改善されることを開示している。
国際公開WO 2013/000479 Aは、ポリシロキサン系バインダマトリクスおよび1種以上の殺生物剤を含み、バインダマトリクスはその一部分として親水性オリゴマ/ポリマー基を含んでいる硬化した塗料コートを開示している。
国際公開WO 2013/000477 Aは、コートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスおよび1種以上の酵素を含む硬化した汚れ抑制コートを開示している。コートはさらに1種以上の親水性−変性ポリシロキサン油を含んでいてもよいこと;およびバインダマトリクスはその一部分として親水性オリゴマ/ポリマー基を含んでいてもよいことを開示している。
国際公開WO 2013/024106およびUS 2014/155530は、エラストマーおよびステロール(1種または複数種)および/またはステロール誘導体を含む成分を含む汚れ抑制組成物を開示している。
国際公開WO 2014/117786は、殺生物剤および/または酵素のような有効構成物を中に含んでいる多層ポリシロキサン系汚れ抑制コートシステムを開示している。なお、ポリシロキサン系の層は、個別にその一部分として親水性オリゴマ/ポリマー基を含んでいてもよく、および/またはさらに1種以上の親水性−変性ポリシロキサン油を含んでいてもよい。
上記のニーズに鑑みて、本発明者らは、ここに、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤を含むポリシロキサン系バインダマトリクスを含む新しい汚損剥離コート(すなわち、硬化した塗料コート)を調製するための塗料組成物であって、該コートが優れた汚損剥離特性を有し、殺生物剤の放出を制御する塗料組成物を開発した。このように、シリコーン汚損剥離の利点を従来の防汚コートの利点と組み合わせると、かくして、比較的少ない量の殺生物剤の使用で汚損のない低摩擦表面が得られ得る。
本発明の第1の態様は、シリコーン系剥離コートに関する。請求項1ご参照。
本発明の第2の態様は、シリコーン系剥離コートシステムに関する。請求項10ご参照。
本発明の第3の態様は、海洋構造物に関する。請求項12ご参照。
本発明の第4の態様は、シリコーン系汚損剥離コート組成物に関する。請求項13ご参照。
発明の詳細な開示
発明の主態様−汚損剥離コート
本発明は、特に、コートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含むシリコーン系汚損剥離コートに関し、ここに該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤をさらに含む。
1つの実施形態において、コートは、1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の1種以上の殺生物剤を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%(% by solids volume)、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1〜13%、例えば2〜10%、特に3〜8実体積%の該1種以上の殺生物剤を含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
前記の実施形態を独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。
前記実施形態の各々の1つの特別な変形において、ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールはポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールである。
「汚損剥離」(ならびに「汚損抑制」)という表現は、水性環境または水性液体に晒される(例えば、槽内、管内等の)表面の、全ての種類の生物汚損(すなわち、表面における生物の付着)に関することを理解されたい。しかしながら、本明細書に定めたコートは、海洋生物汚損、すなわち、海洋環境、特に海水に表面が晒されることに関連して発生する生物汚損の回避または低減に特に関係すると考えられる。
汚損剥離コートは、前記コートの少なくとも40乾燥重量%を構成しているポリシロキサン系バインダマトリクスを含むものであり、該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表される。多くの場合、このコートは汚損剥離コートシステムの最外層を構成する。したがって、汚損剥離コートは、既に存在しているコート層上に、例えば防食コート層またはタイコート層上に調製してもよく、未処理の基材上に直接調製してもよいことを理解されたい。あるいは、該コートを基材上(例えば、タイコート上もしくはプライマー上、または単に未処理の基材上)に調製してもよく、続いてトップコートをオーバーコートしてもよい。
ポリシロキサン系バインダマトリクス
ポリシロキサン系バインダマトリクスは、反応性ポリシロキサンバインダ成分、例えば、機能性オルガノポリシロキサン(ポリジアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、またはそれらの組み合わせ等)、架橋剤、シリケート(例えば、ケイ酸エチル)等により構成されることは理解される。したがって、こうした成分間の反応は、一般的な三次元共有結合性の相互結合ネットワークの形態であるバインダマトリクスをもたらすと考えられる。したがって、ポリシロキサン系バインダマトリクスは架橋している。
硬化した塗料コートは、様々な方法、例えば、縮合反応によるシロキサン結合の形成または、例えばアミン/エポキシ、カルビノール/イソシアネート等、その反応基の使用による重合/架橋により形成し得る。縮合反応が好ましい。
ポリシロキサン系バインダマトリクスは、末端官能性および/またはペンダント官能性を有する、機能性オルガノポリシロキサンであるポリシロキサン系バインダから調製される。好ましいのは末端官能性である。官能性は、加水分解性基、例えばアルコキシ基、ケトキシム基にすること、あるいはシラノール基にすることができる。1分子当たり最小2個の反応基が好ましい。分子が反応基、例えばシラノール基を2個のみ含む場合、所望の架橋密度を得るためには、付加的な反応物、架橋剤を用いることが必要となる場合がある。架橋剤は、例えばメチルトリメトキシシラン等のアルコキシシランにすることができるが、後述するように、広範囲の有用なシランを利用できる。シランは、そのまま使用すること、またはシランの加水分解縮合生成物として用いることができる。縮合硬化が非常に好ましいが、オルガノポリシロキサンの官能性は、縮合硬化に限定されない。望ましい場合、例えばアミン/エポキシ等、他の種類の硬化を単独で、または縮合反応と組み合わせて利用することができる。このような場合、オルガノポリシロキサンは、エポキシまたはアミンの末端基およびペンダント加水分解性基、例えばアルコキシ官能性を備えるものを有することができる。
いくつかの実施形態において、ポリシロキサン系バインダシステムを含む汚損剥離コート組成物(すなわち、剥離コートを調製するための組成物)は、当業者に明白となるように、反応硬化性組成物または縮合硬化性組成物となり得る。その例には、シラノール反応性ポリジオルガノシロキサンと加水分解性基を有するシランとに基づく2成分縮合硬化性組成物、またはアルコキシもしくは他の加水分解反応性を有するポリジオルガノシロキサンに基づく1成分縮合硬化性組成物が挙げられる。他の例は、エポキシ官能性ポリシロキサンバインダと、アミン官能性ポリシロキサン硬化剤とに基づく反応硬化性組成物である。バインダまたは硬化剤(または両方)がアルコキシ基等の縮合硬化性基を含む場合には、反応硬化性組成物と縮合硬化性組成物との組み合わせも可能となる。
1つの実施形態において、バインダ相は、(i)バインダと(ii)架橋剤とを含み、バインダ(i)は、マトリクスの形成に関与するように加水分解性基または他の反応基を含むべきである。
バインダ(i)は、一般に、コート組成物の40〜90乾燥重量%(および同様にしてコートの乾燥重量%)を構成する。
架橋剤(ii)は、好ましくは、コート組成物の0〜10乾燥重量%(および同様にしてコートの乾燥重量%)を構成し、例えば、以下に示す一般式(2)で表される有機ケイ素化合物、その部分加水分解縮合生成物、またはこれら2つの混合物である。
Figure 2017525786
[式中、各々のRは、独立して、炭素数1〜6の非置換または置換型の一価炭化水素基または加水分解性基を表し、各々のXは、独立して、加水分解性基を表し、aは、0〜2、例えば0〜1の整数を表す]
高分子化学の技術において、「部分加水分解縮合生成物」という用語は、オリゴマーまたはポリマーを形成する縮合反応において、化合物をそれ自体と反応させたものを示すことは周知である。しかしながら、こうしたオリゴマーまたはポリマーは、架橋反応において用いられた反応性/加水分解性基を依然として保持する。
式(2)に示した化合物は、バインダ(I)の架橋剤として作用する。組成物は、バインダ(i)および架橋剤(ii)を混合することにより、1成分硬化性RTV(室温加硫型)として製剤することができる。バインダ(i)の末端Si基の反応性が易加水分解性基、例えばジメトキシまたはトリメトキシにより構成される場合、通常、膜を硬化させるために別個の架橋剤は必要ない。硬化メカニズムの基盤技術および架橋剤の例は、先行技術(US2004/006190)に記載されている。
1つの実施形態において、Rは、ポリ(オキシアルキレン)等の親水性基である。この場合、Si原子とポリ(オキシアルキレン)基との間にC2−5アルキルスペーサを有することが好ましい。したがって、オルガノポリシロキサンは、オキシアルキレンドメインを有し得る。
好適な架橋剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン;テトラプロポキシシラン;テトラ−n−ブトキシシラン;ビニルトリス(メチルエチルオキシミノ)シラン;ビニルトリス(アセトキシム)シラン;メチルトリス(メチルエチルオキシミノ)シラン;メチルトリス(アセトキシム)シラン;ビニルトリメトキシシラン;メチルトリメトキシシラン;ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン;テトラアセトキシシラン;メチルトリアセトキシシラン;エチルトリアセトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;ジ−t−ブトキシ−ジアセトキシシラン;メチルトリス(エチルラクテート)シラン、ビニルトリス(エチルラクテート)シラン、およびこれらの加水分解縮合生成物から選択されるものである。
より好適な架橋剤は、テトラエトキシシラン;ビニルトリス(メチルエチルオキシミノ)シラン;メチルトリス(メチルエチルオキシミノ)シラン;ビニルトリメトキシシラン;メチルトリス(メチルエチルオキシミノ)シラン;メチルトリス(エチルラクテート)シラン;ビニルトリス(エチルラクテート)シラン、およびこれらの加水分解縮合生成物である。
さらに好適な架橋剤は、テトラエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;メチルトリス(エチルラクテート)シラン;ビニルトリス(エチルラクテート)シラン、およびこれらの加水分解縮合生成物である。具体的な実施形態において、前記架橋剤は、テトラエトキシシランまたはその加水分解縮合生成物である。もう1つの具体的な実施形態において、前記架橋剤は、ビニルトリメトキシシランまたはその加水分解縮合生成物である。なおもう1つの具体的な実施形態において、前記架橋剤は、メチルトリス(エチルラクテート)シランまたはその加水分解縮合生成物である。なおもう1つの具体的な実施形態において、前記架橋剤は、ビニルトリス(エチルラクテート)シランまたはその加水分解縮合生成物である。1つのさらなる実施形態において、前記架橋剤は、加水分解縮合生成物である。もう1つの実施形態において、前記架橋剤は、加水分解縮合生成物ではない。
他の興味深い架橋剤は、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、およびこれらの加水分解縮合生成物から選択されるものである。
いくつかの興味深い実施形態において、ポリシロキサン系バインダは、ポリジメチルシロキサン系バインダを含む。
他の興味深い実施形態において、バインダは、フルオロ修飾物、例えば、シラノール末端化ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン)等のフルオロアルキル修飾ポリシロキサンバインダを含み得る。
ポリシロキサン系バインダマトリクスは、一般に、(可能な場合)コート組成物または硬化したコートの少なくとも40乾燥重量%、少なくとも50乾燥重量%、好ましくは少なくとも60乾燥重量%、例えば、少なくとも70重量%、特に50〜90乾燥重量%、または50〜98乾燥重量%、例えば、50〜96乾燥重量%、特に、60〜95乾燥重量%、または50〜95乾燥重量%、または60〜94乾燥重量%、または70〜96乾燥重量%、または70〜94乾燥重量%、または75〜93乾燥重量%、または75〜92乾燥重量%を構成する。
バインダは、他の構成要素、例えば、添加剤、顔料、フィラー等、ならびにポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール(1種または複数種)(下記参照)、いずれかの親水性−修飾ポリシロキサン油(1種または複数種)、および任意の殺生物剤(1種または複数種)(下記参照)を汚損剥離コート内に組み込む、架橋マトリクスの形態である。
いくつかの実施形態において、ポリシロキサン系バインダマトリクスはバインダマトリクス親水性オリゴマ/ポリマー基の一部分として含まれていてもよい(例えばWO 2013/000479(特に5〜16ページを参照されたい)、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)から選択されるポリ(オキシアルキレン)型の、例えば末端型および/またはペンダント型オリゴマ/ポリマー基、かかる基に関する説明は、WO 2013/000479の記載と同じである)。
「ポリシロキサン系バインダマトリクス」という用語は、バインダマトリクスが、ポリシロキサン部分から主としてなること(すなわち、バインダマトリクスの65重量%超、好ましくは70重量%超、例えば75重量%超がポリシロキサン部分により表される)を意味する。好ましくは、ポリシロキサン部分は、バインダマトリクス(すなわち、バインダ成分および任意の架橋剤)の65〜100重量%、例えば65〜99.9重量%、特に70〜100重量%、または70〜99重量%、または70〜98重量%、または75〜97重量%、または75〜99重量%、または80〜98重量%、または90〜97重量%を構成する。バインダマトリクスの残部は、例えば、存在する場合には、任意の親水性オリゴマ/ポリマー基および任意の(非ポリシロキサン型)架橋剤により構成し得る。いくつかの重要な実施形態において、ポリシロキサン系バインダマトリクスはポリシロキサン部分およびいずれかの非−ポリシロキサン型架橋剤の残基のみからなる。重要なことは、「ポリシロキサン系バインダマトリクス」なる語は、従来の意味で、すなわちバインダマトリクスがポリシロキサン部分の骨格構造を有する、と理解されるべきである。「ポリシロキサン」なる語は、ケイ素および酸素の原子が交互になり、かつ炭素元素を欠いている骨格を有するかかるポリマーを示すことが周知である(The New Encyclopedia Britannica in 30 volumes micropaedia volume IX. 1975 シリコーンに参照しながらポリシロキサンを定義している)。同様にして、ポリオルガノシロキサンなる語は、有機(すなわち炭素ベースの)置換基をケイ素原子上に有するポリシロキサン骨格を意味する意図がある。
ポリシロキサン部分と他の任意の部分との量を、それぞれ、特定の出発物質(または付加物)に対して計算する際に、これら2つを区別することは、通常、非常に簡単である。しかしながら、これら2つの間のリンカについての疑いを取り除くため、任意の親水性オリゴマ/ポリマー基(ここでは一例として言及する)には、それを介して該基がポリシロキサン部分に共有結合する、それ自体を含まないケイ素原子の手前までの全ての原子が含まれることを理解されたい。一例として、[ポリシロキサン−O]−Si(Me)2−CH2CH2CH2−[親水性オリゴマ/ポリマー基]という型の構造において、[ポリシロキサン−O]−Si(Me)2部分は、シリコーン部分に含まれ、CH2CH2CH2−[親水性オリゴマ/ポリマー基]は、親水性オリゴマ/ポリマー基に含まれる。
触媒
汚損剥離コートを形成するために用いるコート組成物は、さらに、架橋を促進するために縮合触媒を含み得る。好適な触媒の例には、有機カルボン酸の有機金属塩および金属塩、例えばジラウリン酸ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ジオクタン酸ジブチル錫、2−エチルヘキサン酸ジブチル錫、ジラウリン酸ジオクチル錫、二酢酸ジオクチル錫、ジオクタン酸ジオクチル錫、2−エチルヘキサン酸ジオクチル錫、ジネオデカン酸ジオクチル錫、ナフテン酸錫、酪酸錫、オレイン酸錫、カプリル酸錫、2−エチルヘキサン酸、ビスマス、オクタン酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉄、2−エチルオクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、およびナフテン酸チタンと、チタン酸エステルおよびジルコン酸エステル、例としてチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラキス(2−エチルヘキシル)、チタン酸トリエタノールアミン、チタン酸テトラ(イソプロペノキシ)、チタンテトラブタノレート、チタンテトラプロパノレート、チタンテトライソプロパノレート、ジルコニウムテトラプロパノレート、ジルコニウムテトラブタノレートと、キレート化チタン酸塩、例としてジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタネートとが含まれる。他の触媒には、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、および1,4−エチレンピペラジン等の三級アミンが含まれる。他の例には、グアニジン系触媒が含まれる。縮合触媒の他の例は、WO 2008/132196およびUS 2004/006190に記載されている。
触媒は、単独で用いても、2種以上の触媒を組み合わせて用いてもよい。1つの実施形態において、前記触媒(1種または複数種)は、錫およびチタン酸化物(1種または複数種)(チタネート(1種または複数種))よりなる群から選択される。1つの具体的な実施形態において、前記触媒は、錫系である。1つの実施形態においては、錫が欠如した触媒が含まれる。もう1つの実施形態において、前記触媒は、1種以上のチタン酸化物(1種または複数種)(チタネート(1種または複数種))を含む。使用すべき触媒の量は、触媒および架橋剤(1種または複数種)の反応性と、所望の乾燥時間とに応じて決まる。好ましい実施形態において、触媒濃度は、バインダ(i)と架橋剤(ii)とを合わせた総量の0.01〜10重量%、例えば0.01〜3.0重量%、または5.0〜10重量%、または0.1〜4.0重量%、または1.0〜6.0重量%である。
いくつかの実施形態において、触媒は含まれない。
溶媒、添加剤、顔料、およびフィラー
汚損剥離コートを形成するために用いられるコート組成物は、さらに、溶媒および添加剤を含み得る。
溶媒の例には、ホワイトスピリット、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、およびナフサ溶媒等の脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素と、酢酸メトキシプロピル、酢酸n−ブチル、および酢酸2−エトキシエチル等のエステルと、オクタメチルトリシロキサンと、それらの混合物とが含まれる。あるいは、溶媒系は、水を含んでもよく、あるいは水系(溶媒系において水が50%超)にしてもよい。
1つの実施形態において、溶媒は、ホワイトスピリット、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、およびナフサ溶媒等の脂肪族、脂環式および芳香族の炭化水素と、酢酸メトキシプロピル、酢酸n−ブチル、および酢酸2−エトキシエチル等のエステルと、オクタメチルトリシロキサンと、それらの混合物とから選択され、好ましくは、沸点が110℃以上の溶媒である。
溶媒は、含まれる場合、一般にコート組成物の5〜50体積%を構成する。最終的なコートがいずれの溶媒も実質的に含まないことは理解される。かかる構成物はコートを乾燥させる/硬化させる間に蒸発しているからである。
添加剤の例は、次の通りである。
(i)非反応性流体、例としてオルガノポリシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、石油、およびそれらの組み合わせ、
(ii)界面活性剤、例としてリノール酸のエトキシル化モノエタノールアミド等の不飽和脂肪酸のエトキシル化モノエタノールアミド、ドデシル硫酸ナトリウム、および大豆レシチン、
(iii)湿潤剤および分散剤、例としてM. AshおよびI. Ash,「Handbook of Paint and Coating Raw Materials, Vol. 1」, 1996, Gower Publ. Ltd., Great Britain, pp 821〜823および849〜851に記載のもの、
(iv)増粘剤および沈降防止剤(例えば、チキソトロープ剤)、例としてコロイドシリカ、水和ケイ酸アルミニウム(ベントナイト)、アルミニウムトリステアレート、アルミニウムモノステアレート、キサンタンガム、クリソタイル、焼成シリカ、水素添加ヒマシ油、有機変性粘土、ポリアミドワックス、およびポリエチレンワックス、
(v)染料、例として1,4−ビス(ブチルアミノ)アントラキノンおよび他のアントラキノン誘導体、トルイジン染料等、および
(vi)抗酸化剤、例としてビス(tert−ブチル)ハイドロキノン、2,6−ビス(tert−ブチル)フェノール、レゾルシノール、4−tert−ブチルカテコール、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等。
任意の添加剤は、一般に、(場合によっては)コート組成物または硬化したコートの0〜30乾燥重量%、例えば0〜15乾燥重量%を構成する。
好ましくは、コート組成物は、(場合によっては)1種以上の増粘剤および/または沈降防止剤(例えば、チキソトロープ剤)を、好ましくは、コート組成物または硬化したコートの0.2〜10乾燥重量%、0.5〜5乾燥重量%のような、例えば0.6〜4乾燥重量%の量で含む。
さらに、汚損剥離コートを形成するのに用いるコート組成物は、顔料およびフィラーを含み得る。
顔料およびフィラーは、本発明に関連して、接着性との関係が僅かであり、共にコート組成物に添加し得る成分と見做されるものである。「顔料」は、通常、最終的な塗料コートを不透明および非透光性にすることを特徴とし、「フィラー」は、通常、塗料を非透光性にしないため、コートの下の任意の材料を隠すことに有意に寄与しないこと特徴とする。
顔料の例は、様々な等級の二酸化チタン、赤色酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、グラファイト、黄色酸化鉄、赤色モリブデート、黄色モリブデート、硫化亜鉛、酸化アンチモン、ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、キナクリドン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、黒色酸化鉄、インダンスロンブルー、コバルトアルミニウムオキシド、カルバゾールジオキサジン、酸化クロム、イソインドリンオレンジ、ビス−アセト酢酸−o−トリジオール、ベンズイミダゾロン、キナフタロンイエロー、イソインドリンイエロー、テトラクロロイソインドリノン、キノフタロンイエローである。
フィラーの例は、カルサイト等の炭酸カルシウム、ドロマイト、タルク、マイカ、長石、硫酸バリウム、カオリン、霞石、シリカ、パーライト、酸化マグネシウム、および石英粉末等である。フィラー(および顔料)は、ナノチューブまたは繊維の形態で添加してもよく、したがって、コート組成物は、上述したフィラーの例とは別に、繊維、例えば、出典を明記することにより本明細書の一部としたWO 00/77102に全般的および具体的に記載されるもの含み得る。
任意の顔料および/またはフィラーは、一般に、(場合によっては)コート組成物または硬化したコートの0〜60乾燥重量%、例えば0〜50乾燥重量%、好ましくは5〜45乾燥重量%、例えば5〜40乾燥重量%、または5〜35乾燥重量%、または0.5〜25乾燥重量%、または1〜20乾燥重量%を構成する。任意の顔料および/またはフィラーの濃度を考慮すると、こうした構成要素は、一般に、(場合によっては)実体積としてコート組成物または硬化したコートの0.2〜20%、例として0.5〜15%を構成する。
コート組成物の(例えば、スプレ、ブラシ、またはローラ塗布手法による)容易な塗布を促進する目的で、コート組成物は、一般に、25〜25,000mPa・s、例えば150〜15,000mPa・sの範囲、特に200〜4,000mPa・sの範囲の粘度を有する。
いくつかの実施形態において、汚損剥離コートは、WO 2011/076856に開示されている型の1以上の親水性−変性ポリシロキサン油を含むものであり得る(特に4〜10頁を参照されたい)。特に好ましいものは、WO 2011/076856に開示されている式(A)、(B)または(C)のもののようなポリ(オキシアルキレン)−変性ポリシロキサンである。
ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール
アルコールのヒドロキシル基のポリ(オキシアルキレン)での官能化が殺生物剤、特に亜鉛ピリチオン、銅ピリチオンおよびジネブのような有機殺生物剤と組合せて汚損剥離コートにおいて非常に有用である化合物を提供することが判明した。このことは、さらに下記および実施例のセクションにおいて説明する。
コートは、一般式(I):
(POA−O−)X−R−(−O−FA)Y (I)
[式中、
各POAはポリ(オキシアルキレン)基を表し、
各FAはC8−30脂肪アシル基を表し、
RはアルコールR(OH)X+Yの有機残基を表し、該有機残基は2〜50個の炭素原子を有し、および
Xは1〜5であり、Yは0〜10であり、X+Yは1〜12である]
を有する1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
上記の式(I)中、POA−O−に関連する−O−は、ポリ(オキシアルキレン)およびアルコールの有機残基を共有結合するエーテル酸素を表す。脂肪アシル基FAは、−O−FAの−O−と一緒になってエステル結合(−O−C(=O)−)を形成する長鎖アシル基である。
有機残基は、典型的に、炭化水素起源のみのもの、すなわち直鎖型、分岐鎖型、環式、不飽和および/または芳香族基からなるが、但し、環構造の一部分または環構造に直接結合しているかのいずれかの1〜5個のエーテル結合(−C−O−C−)を含むことができる。いくつかの実施形態において、有機残基は純粋に炭化水素起源である。
1つの実施形態において、アルコールR(OH)X+Yの有機残基Rは、2〜50個の炭素原子、例えば3〜50個の炭素原子を有し、直鎖型、分岐鎖型および/または不飽和の基のみを有する。
もう1つの実施形態において、アルコールR(OH)X+Yの有機残基Rは、2〜50個の炭素原子、例えば3〜50個の炭素原子を有し、置換型フェノール、ソルビタンまたはステロールから選択される。
有機残基Rは、例えば前記した実施形態において、典型的に2〜50個の炭素原子、例えば3〜50個の炭素原子、または6〜50個の炭素原子、例えば8〜45個の炭素原子、例えば9〜40個の炭素原子、または10〜35個の炭素原子を有する。
X+Yが1である実施形態においては、有機残基典型的に6〜50個の炭素原子を有する。
典型的に、ポリ(オキシアルキレン)基、POAは、各々R1O−[R2−O]n−R3−基を表し、ここにR1は水素、C1−4−アルキル−C(=O)−およびC1−4−アルキルから選択され、各々のR2およびR3はエチル−1,2−エンおよびプロピル−1,2−エンから選択され、nは1〜150の整数である。
ポリ(オキシアルキレン)基POAは、典型的にポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンおよびポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)から選択されるポリ(オキシアルキレン)基である。
いくつかの興味深い実施形態において、nは4〜150、例えば5〜100、例えば6〜75、特に6〜30の範囲である。
1つの実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)はポリオキシエチレンおよびポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)から選択され、好ましくはポリ(オキシアルキレン)、例えば100〜20,000g/mol、例えば200〜20,000g/mol、特に300〜5,000g/molの数平均分子量を有するものである。
その1つの変形において、ポリ(オキシアルキレン)はポリオキシエチレン類から選択される。その例示的な例は、PEG−30およびPEG−75である。
そのもう1つの変形において、ポリ(オキシアルキレン)はポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)から選択される。その例示的な例は、PEG−5/PPG−5およびPEG−10/PPG−3.5である。
脂肪アシル基を生じる脂肪酸FAは、アルコールR(OH)X+Yの部分エステル化の際に、C8−30脂肪酸、例えばC10−24脂肪酸である。いくつかの変形において、脂肪酸は1種以上の不飽和結合を含んでいてもよい。脂肪酸の例は、ステアリン酸、ラウリン酸およびオレイン酸である。
式(I)(POA−O−)X−R−(−O−FA)Yにおいて、Xは1〜5であり、Yは0〜10であり、X+Yは1〜12である。いくつかの実施形態において、Xは1〜5であり、Yは0である。他の実施形態において、Xは1であり、Yは1〜10である。いまだ他の実施形態において、Xは1〜3であり、Yは1〜5である。
いくつかの実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールは0〜60℃、例えば0〜45℃、特に0〜30℃の融点を有する。
さらなる実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールは20〜55mN/m、例えば25〜50mN/m、例えば25〜45mN/m、または30〜50mN/m、好ましくは30〜45mN/mの水中の臨界ミセル濃度を超える領域での表面張力を有する。表面張力は実施例セクションに記載するように測定する。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
もう1つの実施形態において、コートは1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
いまだもう1つの実施形態において、コート(または対応するコートシステム)は1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
1つの特定の実施形態において、コートは、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含み、それは1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールを含むかまたはそれからなる。
ステロールは一般構造(II):
Figure 2017525786
[式中、(A−環中の)3−位はヒドロキシ官能基であり、ここに(コレステロールと同様に)17−位は典型的に分岐鎖型脂肪族鎖(鎖C20〜C27が最も典型的な構成として提供される)を有する]を有するテルペン由来化合物である。4−位、14−位などのような他の位も置換基(典型的にメチル基)を有することができる。構造がエチレン性不飽和二重結合、例えばコレステロール中のような炭素5と炭素6との間の、またはラノステロール中のような炭素8と炭素9との間の、を含んでいてもよい。また、ステロールは3−位のヒドロキシ基以外の1種以上のヒドロキシ基を有していてもよい。
いくつかの実施形態において、ステロールはアルコールR−OHを表し、したがってX+Yは1である。
3−位のヒドロキシ基は官能化、例えばポリ(オキシアルキレン)によるようなエーテル修飾に利用してポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールを提供することができる。
ポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールは、ステロールアルコールとアルキレンオキシドとを反応させ、それによってアルコールによって開始される開環重合によるポリアルキレンオキシドの重合によって生成することができる。かかるステロールの典型的な供給源は、CrodaによるAqualose、BASFによるGenerolおよびLipo chemicalsによるLipolanである。ステロールの3−ヒドロキシ基のポリ(オキシアルキレン)による官能基化は、殺生物剤、特に亜鉛ピリチオン、銅ピリチオンおよびジネブのような有機殺生物剤と組合せて汚損剥離に特に有用である化合物を提供することが見出された。
本明細書において「ポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール」は、3−位でポリ(オキシアルキレン)でエーテル−官能基化されている(すなわち、3−位の−OHがPOA−O−で置き換わる)一般式(II)のステロールから主としてなる生成物と理解されるべきである。
本明細書において、「から主としてなる「とは、少なくとも75固形分重量%(% by solid weight)の「ポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール「が3−位でポリ(オキシアルキレン)でエーテル−官能基化されている一般式(II)のステロールからなることを意味する。好ましくは、少なくとも80%、例えば少なくとも85、または少なくとも90固形分重量%の「ポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール「がかかるステロールからなる。一般式(II)のエーテル官能基化ステロールの100%含量未満は、「ステロール「の多くの流通している量が少量の不純物を含むことに起因する。
もう1つの特定の実施形態において、アルコールR(OH)X+Yは、フェノールから選択される。
フェノールは、一般構造(III):
Figure 2017525786
[式中、1−位はヒドロキシ官能基であり、2、3、4、5または6−位の水素は直鎖型、分岐鎖型、環式、不飽和および/または芳香族基で置換されていてもよく、それは前記でさらに特定した式−O−FAの脂肪アシル基をさらに有していてもよい]の化合物である。1つの興味深い変形において、フェニルは、特に2−、4−および6−位において、例えばスチリル、ノニルおよび/またはブチル基で置換されている。したがって、これらの後者の場合、アルコールは、トリスチリルフェノール、ノニルフェノールおよびトリブチルフェノールから選択することができる。
1-位のヒドロキシ基は、ポリ(オキシアルキレン)による前記にさらに特定した官能基化に利用してポリ(オキシアルキレン)−修飾フェノールを提供することができる。
いまだもう1つの特定の実施形態において、アルコールR(OH)X+Yはソルビタンである。ソルビタンは一般構造(IV):
Figure 2017525786

の化合物であり、一般式R(OH)4のアルコールに対応する。ソルビタンは、4個の−OH基のうちの1個以上の−OH基を未修飾のまま残してポリ(オキシアルキレン)修飾に利用し、3個までの部分エステル化によって修飾されていてもよい。式(I)(POA−O−)X−R−(−O−FA)Yのいくつかの実施形態において、Xは1〜3であり、Yは1〜3であり、X+Yは4であり、例えばXは1〜2であり、Yは2〜3であり、X+Yは4である。
特定の実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)−変性ソルビタンはソルビタントリオレエートをベースとしており、ポリ(オキシアルキレン)によって前記にさらに特定した官能基化に利用し得る1個の−OH基のみを残してポリ(オキシアルキレン)−変性ソルビタントリオレエート(すなわち、Xは1でありYは3である)を提供することができる。
いまだもう1つの特定の実施形態において、アルコールはC6−30飽和型直鎖または分岐鎖アルコール、例えば飽和直鎖型第一級アルコールおよび飽和分岐鎖第二級または第三級アルコールから選択される。ヒドロキシ基は、官能基化、例えばポリ(オキシアルキレン)によるようなエーテル−修飾に利用して、ポリ(オキシアルキレン)−変性C6−30アルコール、例えば直鎖型第一級アルコールおよびポリ(オキシアルキレン)−変性分岐鎖第二級および/または第三級アルコールを提供することができる。いくつかの実施形態において、かかるアルコールは8〜30個の炭素原子、例えば10〜24個の炭素原子を有する。
前記したアルコールの具体的な実施例は、C8−30アルキルアルコール、例えばC10−15飽和直鎖第一級アルコール、分岐鎖型C13アルコール、およびオレイルアルコールである。
上記の実施形態を独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。したがって、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールは、上記に特定した異なる型または同型の中のいくつかの変形によって表すことができる。
殺生物剤
コートが、1種以上の殺生物剤を含み得ることを理解されたい。
本発明に関連して、「殺生物剤」という用語は、化学的または生物学的手段により、任意の有害生物を駆除する、阻止する、無害にする、その作用を防止する、または他の抑制効果を発揮する活性物質を意味するものとなる。
殺生物剤の例示的な例は、メタロ−ジチオカルバメート、例えばビス(ジメチルジチオカルバマト)亜鉛、エチレン−ビス(ジチオカルバマト)亜鉛、エチレン−ビス(ジチオカルバマト)マンガン、ジメチルジチオカルバメート亜鉛、およびこれらの錯体と、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−銅、アクリル酸銅、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−亜鉛、フェニル−(ビスピリジル)−ビスマスジクロリドと、金属殺生物剤、例えば酸化銅(I)、亜酸化銅、金属銅、銅金属合金、例えば銅青銅等の銅−ニッケル合金と、金属塩、例えばチオシアン酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、メタホウ酸バリウム、塩化銅、塩化銀、硝酸銀、および硫化銅と、複素環式窒素化合物、例えば3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−((トリクロロメチル)−チオ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、ピリジン−トリフェニルボラン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)−ピリジン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミン−s−トリアジン、およびキノリン誘導体と、複素環式硫黄化合物、例えば2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3(2H)−イソチアゾリン(Sea-Nine(登録商標)−211N)、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、および2−(チオシアナトメチルチオ)−ベンゾチアゾールと、尿素誘導体、例えばN−(1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)−N,N’ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、およびN−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチルウレア、N,N−ジメチルクロロフェニルウレアと、カルボン酸、スルホン酸、およびスルフェン酸のアミドまたはイミド、例えば2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、1,1−ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルホニル)−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)−メタンスルフェンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロ−プロピオンアミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、およびN−メチロールホルムアミドと、カルボン酸の塩またはエステル、例えば2−((3−ヨード−2−プロピニル)オキシ)−エタノールフェニルカルバメート、およびN,N−ジデシル−N−メチル−ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートと、アミン、例えばデヒドロアビエチルアミンおよびココジメチルアミンと、置換メタン、例えばジ(2−ヒドロキシ−エトキシ)メタン、5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、およびメチレン−ビスチオシアネートと、置換ベンゼン、例えば2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−ベンゼンジカルボニトリル、1,1−ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)−スルホニル)−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェンアミド、および1−((ジヨードメチル)スルホニル)−4−メチル−ベンゼンと、テトラアルキルホスホニウムハロゲニド、例えばトリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウムクロリドと、グアニジン誘導体、例えばn−ドデシルグアニジンヒドロクロリドと、ジスルフィド、例えばビス−(ジメチルチオカルバモイル)−ジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドと、イミダゾール含有化合物、例えばメデトミジンと、2−(p−クロロフェニル)−3−シアノ−4−ブロモ−5−トリフルオロメチルピロールと、ビス(N−シクロヘキシル−ジアゼニウムジオキシ)銅、チアベンダゾール、N−トリハロメチルチオフタルイミド、トリハロメチルチオスルファミド、カプサイシン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、1,4−ジチアアントラキノン−2,3−ジカルボニトリル(ジチアノン)と、フラノン、例えば3−ブチル−5−(ジブロモメチリデン)−2(5H)−フラノンと、大環状ラクトン、例えばアベルメクチンと、それらの混合物とから選択されるものである。
現時点では、殺生物剤(存在する場合)は、錫を含まないことが好ましい。
現在好適な殺生物剤は、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)、チオシアン酸銅(スルホシアン酸第一銅)、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(ジウロン)、N2−tert−ブチル−N4−シクロプロピル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(シブトリン)、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、(2−(p−クロロフェニル)−3−シアノ−4−ブロモ−5−トリフルオロメチルピロール、トラロピリル)、N2−tert−ブチル−N4−シクロプロピル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(シブトリン)、(RS)−4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−3H−イミダゾール(メデトミジン)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT、Sea−Nine(登録商標)211N)、ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルホニル)−フルオロ−N−(p−トリル)メタンスルフェンアミド(トリルフルアニド)、2−(チオシアノメチルチオ)−1,3−ベンゾチアゾール((2−ベンゾチアゾリルチオ)メチルチオシアネート、TCMTB)、トリフェニルボランピリジン(TPBP)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン、亜鉛ピリチオン)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−T−4)銅(銅ピリジンチオン、銅ピリチオン)、亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N,N’−ジチオカルバメート、ジネブ)、酸化銅(I)、金属銅、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(ジウロン)、およびジヨードメチル−p−トリルスルホン、アミカル48から成る群から選択される。好ましくは少なくとも1種類の殺生物剤が上記リストから選択される。
特に好適な実施形態において、殺生物剤は、粘液および藻類等の軟質汚損に対して効果的な殺生物剤から選択されるのが好ましい。こうした殺生物剤の例は、N2−tert−ブチル−N4−シクロプロピル−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(シブトリン)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT、Sea-Nine(登録商標)211N)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン、亜鉛ピリチオン)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−T−4)銅(銅ピリジンチオン、銅ピリチオン、銅オマジン)、および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート、ジネブ)、酸化銅(I)、金属銅、チオシアン酸銅(スルホシアン酸第一銅)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−T−4)銅(銅ピリジンチオン、銅ピリチオン、銅オマジン)である。
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の殺生物剤は有機殺生物剤である。さらに特に好適な実施形態において、1種以上の殺生物剤は、有機殺生物剤であり、例えば亜鉛ピリチオンまたは銅ピリチオン等のピリチオン錯体である。有機殺生物剤は、全体または一部が有機体由来のものである。
1つの重要な実施形態において、1種以上の殺生物剤は、ビス(1-ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン;亜鉛ピリチオン)、ビス(1-ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン;銅ピリチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート;ジネブ)のうちの少なくとも1つを含む。
米国特許第7,377,968号において詳述されるように、例えば、高い水溶性またはマトリクス組成物との不混和性の高さのため、殺生物剤が急速に膜から枯渇するような場合は、殺生物剤の用量を制御して膜内での実効寿命を延ばす手段として、1種以上の殺生物剤(1種または複数種)をカプセル化した形態で添加することが有利となり得る。カプセル化した殺生物剤は、遊離状態の殺生物剤が防汚コートとしての使用にとって有害となる形でポリシロキサンマトリクスの特性(例えば、機械的完全性、乾燥時間等)を変化させる場合にも添加することができる。
1つの実施形態において、殺生物剤は、カプセル化した4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(Sea−Nine CR2)である。
殺生物剤は、25℃の水中で0〜20mg/L、例えば0.00001〜20mg/Lの溶解度を有することが好ましい。
1つの実施形態において、コートは4〜16乾燥重量%のような2〜20乾燥重量%の、特に5〜13乾燥重量%の該1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、コートは2〜10実体積%のような1〜13実体積%の、特に3〜8実体積%の該1種以上の殺生物剤を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コートは3〜30g/m2のような2〜35g/m2の、特に4〜25g/m2の該1種以上の殺生物剤を含む。
前記の実施形態が独立したまたは組み合わせた観点であり得ることは理解される。
本発明の主態様の具体的実施形態
1つの実施形態において、汚損剥離コートは、
バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを、40〜98乾燥重量%、例えば60〜95乾燥重量%、
0.1〜20乾燥重量%、例えば1〜10乾燥重量%の1種以上の添加剤、
0〜25乾燥重量%、例えば0.1〜15乾燥重量%の1種以上の顔料およびフィラー、
1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、
2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、汚損剥離コートは、
バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分により表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを40〜98実体積%、例えば60〜95実体積%、
0.1〜20実体積%、例えば0.1〜15実体積%の1種以上の添加剤、
1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%の1種以上の顔料およびフィラー、
1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、および
1〜13実体積%、例えば2〜10実体積%、特に3〜8実体積%の1種以上の殺生物剤を含む。
上記した実施形態の変形において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
いまだもう1つの実施形態において、汚損剥離コートは:
1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール、および2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
その1つの変形において、汚損剥離コートは:
バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分によって表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを40〜98乾燥重量%、例えば60〜95乾燥重量%、
0.1〜20乾燥重量%、例えば1〜10乾燥重量%の1種以上の添加剤、
0〜25乾燥重量%、例えば0.1〜15乾燥重量%の1種以上の顔料およびフィラー、
1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、および
2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
そのもう1つの変形において、汚損剥離コートは:
バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分によって表されるポリシロキサン系バインダマトリクスを40〜98実体積%、例えば60〜95実体積%、
0.1〜20実体積%、例えば0.1〜15実体積%の1種以上の添加剤、
1〜10乾燥重量%、例えば2〜8実体積%の1種以上の顔料およびフィラー、
1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、および
2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
上記した実施形態および変形の1つの特に興味深い変形において、ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールはポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールである。
コート組成物の調製
汚損剥離コートは、対応するコート組成物から調製される。
かかるコート組成物は、塗料作製の分野で一般的に使用されている任意の適当な手法によって調製し得る。したがって、種々の構成成分は、ミキサー、高速分散機、ボールミル、パールミル、グラインダー、3軸ロールミルなどを用いて一緒に混合し得る。コート組成物は典型的には、使用直前に合わせて充分に混合するべき2成分系または3成分系として調製され、輸送される。本発明による塗料は、バッグフィルター、パトロン(patron)フィルター、ワイヤーギャップ(wire gap)フィルター、ウェッジワイヤーフィルター、メタルエッジフィルター、EGLM turnocleanフィルター(例えば、Cuno)、DELTAストレイン(strain)フィルター(例えば、Cuno)およびJenag Strainerフィルター(例えば、Jenag)を用いて、または振動濾過によって濾過してもよい。好適な調製方法の一例を実施例に記載する。
本発明の方法に用いるコート組成物は、典型的に、例えば、1以上の反応性ポリシロキサンバインダを含む1の予備混合物と、1以上の架橋剤を含む1の予備混合物の2の予備混合物など、2以上の成分を混合することにより調製される。コート組成物に言及している場合、これは、塗布する準備ができた混合済みのコート組成物であることを理解されたい。さらに、コート組成物の乾燥重量に対する%として記載する量はすべて、塗布する準備ができた混合済みの塗料組成物の乾燥重量%、すなわち、溶媒(あれば)を除いた重量であると理解されたい。
本発明の第1の別の態様−コートシステム
また、本発明は、バインダマトリクスの少なくとも40乾燥重量%、65重量%超がポリシロキサン部分によって表されるポリシロキサン系バインダマトリクスの1種以上のコートを含むシリコーン系汚損剥離コートシステムに関し、ここに1種以上のコートはさらに前記にさらに特定した1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールのような1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含み、1種以上のコートはさらに1種以上の殺生物剤を含み、ここにコートシステムは1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
1つの実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの合計量および1種以上の殺生物剤の合計量の間の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
汚損剥離コートシステムは、1種以上のコート、例えば少なくとも硬化した第1のコートおよび硬化した第2のコートを含む。最初に、第1のコートおよび続くコート(但し、マトリクスは必ずしも同一でなくてもよい)に存在するポリシロキサン系バインダマトリクスは、「ポリシロキサン系バインダマトリクス」、「触媒」、「溶媒、添加剤、顔料およびフィラー」、「ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール」(適用する場合)、「殺生物剤」(適用する場合)、および「具体的実施形態」の前記セクションに記載したとおりである。
第1のコートおよびいずれかの続くコートが同一の型(すなわち、ポリシロキサン系)のものであっても第1のコートおよび続くコートが同一でないことは理解される。特に、第1のコートおよび続くコートがi)殺生物剤の含量および/または型、ii)ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール(1種または複数種)の含量および/または型のうちの少なくとも1つに関して異なることが好ましい。
本発明のこの態様の1つの変形において、コートシステムが1種のコート、特に「発明の主態様」で上記したもの、のみを含むことは理解される。
本発明のこの態様のもう1つの変形において、汚損剥離コートシステムは少なくとも硬化した第1のコートおよび硬化した第2のコートを含み、
a)該第1のコートは該第1のコートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、該第1のコートはさらに1種以上の殺生物剤を含み;および
b)該第2のコートは第2のコートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、該第2のコートはさらに1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
好ましくは、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
この変形(ならびに1以上のコートを含む他の変形)内において、第1の硬化したコートならびに第2の硬化したコートは基材上に、第2のコートが第1のコートの上面に調製されるに調製されることを理解されたい。また、第1のコートを、既に存在しているコート層上に、例えば、防食コート層またはタイコート層または経年防汚もしくは汚損剥離コートなどの上に調製してもよく、未処理の基材上に直接調製してもよいことを理解されたい(さらに以下の「コート組成物の塗布」のセクションを参照されたい)。さらに、第2のコートは好ましくは最外層であるが、原則的には第2のコートにさらなるコート層(例えば、トップコート)をオーバーコートしてもよい。
続いて、第1のコートの具体的な特長を以下のセクション「・・・第1のコート」に説明し、一方、第2のコートの具体的な特長を、さらに以下のセクション「・・・第2のコート」にさらに説明する。
第1のコートに殺生物剤(1種または複数種)をおよび続くコート(1種または複数種)にポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール(1種または複数種)を含めることは、第2のコートがポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含まないシステムと比較して該汚損剥離システムの生物汚損に対する耐性を改善すると考えられる。特定の理論に拘束されるものではないが、最外コート層中のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールは最外層を介する拡散の間に殺生物剤(1種または複数種)を運動させると考えられる。
第1のコートおよびいずれかの続くコートをどのようにして調製するかのさらなる実施形態を、さらに以下のセクション「コートシステムの適用」および「海洋構造物」に概要を示す。
コートシステムの第1のコート
コートシステムの第1のコートは、(i)第1のコートがその内部に1種以上の殺生物剤(そのセクションの詳述による)を含むこと、および(ii)第1のコートが−必須の構成物として−ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール(1種または複数種)を含んでいないこと以外は、本質的に、セクション「本発明の主態様−汚損剥離コート」でシリコーン系汚損剥離コートについて上記したとおりである。その他の点では、第1のコートは、必要な変更を加えて、上記のものである。
1つの実施形態において、第1のコートは:
40〜98乾燥重量%、例えば60〜95乾燥重量%のポリシロキサン系バインダマトリクス(ここで、該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表される)、
0.1〜25乾燥重量%、例えば1〜15乾燥重量%の1種以上の殺生物剤、
0.1〜15乾燥重量%、例えば1〜10乾燥重量%の1種以上の添加剤、および
0〜20乾燥重量%、例えば1〜10乾燥重量%の1種以上の顔料およびフィラーを含む。
上記のものの1つの変形において、第1のコートは、特に上記にさらに明記した型および量のポリ(アルキレン)−変性アルコール(1種または複数種)をさらに含む。
コートシステムの第2のコート
コートシステムの第2のコートは、(i)第2のコートが−必須の構成物として−殺生物剤(1種または複数種)を含んでいないことを除いて、本質的に、セクション「本発明の主態様−汚損剥離コート」でシリコーン系汚損剥離コートについて上記のとおりである。その他、第2のコートは必要な変更を加えて上記のとおりである。
1つの実施形態において、第2のコートは:
40〜98乾燥重量%、例えば60〜95乾燥重量%の、バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分により表されるポリシロキサン系バインダマトリクス、
0.1〜20乾燥重量%、例えば1〜10乾燥重量%の1種以上の添加剤、
0〜25乾燥重量%、例えば0.1〜15乾燥重量%の1種以上の顔料およびフィラー、および
0.5〜20乾燥重量%、例えば1〜15乾燥重量%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む。
この実施形態内において、硬化した第2のコートは、硬化した第2のコートの1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の量の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含むことが好ましい。
上記実施形態のいくつかの変形において、第2のコートは、1種以上の殺生物剤、特に「殺生物剤」のセクションで上記にさらに特定した型および量の殺生物剤をさらに含む。
本発明の第2の別の態様
本発明の別の実施形態は、コートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含むシリコーン系汚損剥離コートに関し、ここに該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、該コートは1種以上のポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物および1種以上の殺生物剤をさらに含み、ここに該ポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物は20〜55mN/m、例えば25〜50mN/m、30〜50mN/mまたは35〜50mN/m、好ましくは30〜45mN/mの水中の臨界ミセル濃度を超える領域での表面張力を有する。表面張力は、実施例のセクションに記載するように決定する。
ポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物は、25〜99%、例えば30〜95%または35〜90%、特に40〜85%のポリ(オキシアルキレン)の含量を有する。この重量含量は、実施例のセクションに記載するように決定する。
1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの必須の存在を除き、すなわちポリシロキサン系バインダマトリクス、親水性修飾、顔料、フィラー、添加剤、触媒、溶媒、殺生物剤ほかに関する記載および優先性、ならびに「海洋構造物」、「コート組成物」および「使用」なる項目で記載した態様の上記したすべての記載は、この第2の別の実施形態にもあてはまることは理解されたい。但し、「ポリ(オキシアルキレン)−変性疎水性炭素系化合物」は、以下に別段規定する場合を除き、「ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール」の代わりとすべきである。また、本発明の第2の別の態様は、したがって本発明の第1の別の態様と組合せてもよい。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性疎水性炭素系化合物および2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物および1〜13実体積%、例えば2〜10実体積%、特に3〜8実体積%の1種以上の殺生物剤を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コートは、1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物および2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物および1種以上の殺生物剤の間の重量比は5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記実施形態は独立してまたは組合せて見てもよいことは理解される。
シリコン系汚損剥離コートの主な特徴は、20〜55mN/m、例えば25〜50mN/mまたは30〜50mN/m、好ましくは30〜45mN/mの水中の臨界ミセル濃度を超える領域での表面張力を有するポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物のものである。表面張力は実施例のセクションに記載するように決定する。
ポリ(オキシアルキレン)−修飾は、実質的に「ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール」の項目で上記したものである。
「疎水性炭素系化合物」なる語に関しては、炭素の骨格/バックボーンを有する疎水性化合物を実質的に意味することを意図する。したがって、例えばポリシロキサン骨格/バックボーンを有する疎水性化合物は前記した表現によって包含されることを意図しない。
かかる「疎水性炭素系化合物」はむしろ構造において多様化してもよく、その例はステロール、脂肪酸、直鎖型および分岐鎖型アルコール、修飾型のフェニルおよびフェノールのような芳香族、アビエチン酸およびその誘導体のようなロジン、アントラセンのようなポリ芳香族炭化水素ほかである。
1つの重要な実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物は、「ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール」の項目で上記したポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールから選択される。
特定の理論に拘束されるものではないが、コート中のポリ(オキシアルキレン)−修飾疎水性炭素系化合物(1種または複数種)は、非常に親水性になるように表面が変化し、それによって最外層における殺生物剤濃度を増大する。
本発明の第3の別の態様
本発明の別の実施形態は汚損剥離コート、特にシリコーン系汚損剥離コートに関し、それはコートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含み、ここに該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、該コートは1種以上のラノリン油および1種以上の殺生物剤をさらに含む。
1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの必須の存在を除き、すなわちポリシロキサン系バインダマトリクス、親水性修飾、顔料、フィラー、添加剤、触媒、溶媒、殺生物剤ほか関する記載および優先性、ならびに「海洋構造物」、「コート組成物」および「使用」なる項目で記載した態様の上記したすべての記載は、第3の別の実施形態にもあてはまるが、以下に別段指摘する場合を除いて「ラノリン油」が「ポリ(オキシアルキレン)−修飾アルコール」に代わることは理解されたい。また、本発明の第3の別の態様は、したがって、本発明の第1の別の態様と組合せてもよい。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の1種以上のラノリン油および2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の1種以上のラノリン油および1〜13実体積%、例えば2〜10実体積%、特に3〜8実体積%の1種以上の殺生物剤を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コートは、1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の1種以上のラノリン油および2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の1種以上の殺生物剤を含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のラノリン油および1種以上の殺生物剤の間の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記の実施形態を独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。
本明細書において、「ラノリン油」なる語は前記でさらに規定した一般構造(II)のステロールから主としてなる生成物と理解され、式中、3−位は遊離ヒドロキシ基を有し、あるいは3−位は式W:
R*−C(=O)−O− (W)
[式中、R*はC12−30−アルキル、C12−30−アルケニルおよびC12−30−アルカジエニルから選択される]の基を有する(すなわち、3−位の−OHが−Wに代わっている)。
本明細書において、「〜から主としてなる」なる語句は、「ラノリン油」の少なくとも75重量%が一般構造(II)のステロールからなることを意味し、式中、3−位は−OHまたはR*−C(=O)−O−(前記定義に同じ)のいずれかである。好ましくは、少なくとも80固形分重量%、例えば少なくとも85固形分重量%、または少なくとも90固形分重量%の「ラノリン油」はかかるステロールからなる。
ラノリン油は分別結晶によって調製することができる。ラノリンを分別結晶によって修飾すると、低分子量の成分は液体形態で収集される。高分子量の成分は固形物を形成し;これはラノリンワックスとして集合的に知られている。液体画分の平均分子量は、分別結晶法に用いられる溶媒に依存する。例えば、抽出にイソプロパノールを用いる場合、平均分子量はほぼ360である。
液体とはASTM(1996)D4359〜90:物質が液体または固体であるかを判定する標準的な試験法(ASTM試験法に規定するように試験を38℃ではなく15℃で行うことを除いて)、によって定義される液体材料を意味する。成分が1種以上のステロール(1種または複数種)および/またはそのエステル(1種または複数種)を含むかを試験するために、試験中の成分を15℃にて堅く密閉した缶に保持する。蓋を外して缶を逆さにする。缶からの物質の流動を観察して、それが固体であるか液体であるかを判定することができる。合計で50mm流動するかまたは3分以内未満に流動する物質は固体と考える。その他は液体と考える。
ラノリン油は市販されている。例えば、Fluilan(Croda)、Argowax(Croda)、EWALAN FL−50(H. Erhard Wagner GmbH)、Lanogene (Lubrizol)。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の該1種以上のラノリン油を含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のラノリン油を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コート(または対応するコートシステム)は、1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の該1種以上のラノリン油を含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のラノリン油および1種以上の殺生物剤の重量比は5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記の実施形態を独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。
さらなる実施形態(前記したものと一緒に適用することができる)において、少なくとも1種の殺生物剤は有機殺生物剤であり、好ましくは1種以上の殺生物剤は、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン;亜鉛ピリチオン)、ビス(1-ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン;銅ピリチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート;ジネブ)の少なくとも1つを含む。
この別の態様の範囲内で、外表面の少なくとも一部分上に前記に定義したコート組成物から調製した最外コーティングを含む海洋構造物も提供する。特に、最外コートを有する外表面の少なくとも一部分は、該構造の水没した部分である。
いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、コート中のラノリン油は表面を変化させ、最外層中の殺生物剤濃度を増大させると考えられる。
発明の第4の別の態様
本発明のさらに別の実施形態は、汚損剥離コート、特にコートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含むシリコーン系汚損剥離コートに関し、該バインダマトリクスの65重量%超はポリシロキサン部分によって表され、該コートはさらに1種以上のアシル化ラノリンおよび1種以上の殺生物剤を含む。
1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの必須の存在を除き、すなわちポリシロキサン系バインダマトリクス、親水性修飾、顔料、フィラー、添加剤、触媒、溶媒、殺生物剤ほかに関する記載および優先性、ならびに「海洋構造物」、「コート組成物」および「使用」なる項目で記載した態様の上記したすべての記載は、この第4の別の実施形態にもあてはまることは理解されたい。但し、「アシル化ラノリン」が別段指摘する場合を除いて「ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール」に代わる。また、したがって、本発明のこの第4の別の態様は、本発明の第5の別の態様と組合せてもよい。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の該1種以上のアシル化ラノリンおよび2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の該1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のアシル化ラノリンおよび1〜13実体積%、例えば2〜10実体積%、特に3〜8実体積%の該1種以上の殺生物剤を含む。
いまだもう1つの実施形態において、コートは、1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の該1種以上のアシル化ラノリンおよび2〜35g/m2、例えば3〜30g/m2、特に4〜25g/m2の該1種以上の殺生物剤を含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のアシル化ラノリンおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比は5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記の実施形態は独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。
本明細書において、「アシル化ラノリン」なる語は、前記にさらに規定した、3−位が式Z:
R**−C(=O)−O− (Z)
[式中、R**はC1−11−アルキル、C1−11−アルケニル、またはC1−15アリールから選択される]
の基(すなわち、3−位の−OHが−Zによって置き換わっている)を有する一般構造(II)のステロールから主としてなる生成物と理解される。
「R**」の好ましい意味は、例えばメチルおよびエチルであるC1−4アルキルである。
本明細書において、「から主としてなる」とは、「アシル化ラノリン」の少なくとも75重量%が3−位に基(Z)を有する一般構造(II)のステロールからなることを意味する。好ましくは、少なくとも80固形分重量%、例えば少なくとも85固形分重量%、または少なくとも90固形分重量%の「アシル化ラノリン」がかかるステロールからなる。
ステロールおよび/またはステロール誘導体、例えばラノリンを含む組成物は、アシル化して防汚組成物に使用するための成分を調製することができる。組成物は、それとアシル化剤(酸または酸塩化物/無水物)とを混合することによって直接(一段階反応で)アシル化するか、または最初に加水分解し、ついで、形成したその後のアルコールをアシル化剤でアシル化することができる(二段階反応)。両方の反応において、組成物に存在する遊離ヒドロキシル基(例えばステロール上のヒドロキシル基)は、部分的または完全にアシルエステル基に変換される。また、存在するエステル基(例えば長鎖脂肪酸のステロールエステル、それはラノリンに豊富に存在する)は、アシル化剤の同じアシル基に部分的または完全に変換される。例えば、ラノリンを塩化アセチルまたはアセチル無水物(acetyl anhydride)でアセチル化する場合、遊離ステロールおよび大部分の長鎖脂肪ステロールエステルはアセチル化ステロールエステルになる。
アセチル化ラノリンは市販のものであってもよい、例えば:アセチル化ラノリン Standard(NK Chemicals)、Acylan(Croda)、Modulan(Lubrizol)、YOFCO AC−25(Nipon Fine Chemical Co.)、RolanACE(Rolex Lanolin Products Limited)およびアセチル化ラノリン(Wujiang Xinyi Chemical Co.)。
1つの実施形態において、コートは、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の1種以上のアシル化ラノリンを含む。
もう1つの実施形態において、コートは、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のアシル化ラノリンを含む。
いまだもう1つの実施形態において、コート(または対応するコートシステム)は1〜20g/m2、例えば2〜18g/m2、特に3〜16g/m2の該1種以上のアシル化ラノリンを含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のアシル化ラノリンおよび1種以上の殺生物剤の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記の実施形態は独立してまたは組合せて見ることができることは理解される。
さらなる実施形態において(前記したものと適用することができる)、少なくとも1種の殺生物剤は有機殺生物剤であり、好ましくは1種以上の殺生物剤は、ビス(1-ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンオン;亜鉛ピリチオン)、ビス(1-ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン;銅ピリチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート;ジネブ)のうちの少なくとも1種を含む。
この別の態様の中において、外側表面の少なくとも一部分に、前記したコート組成物から調製した最外コートを含む海洋構造物も提供する。特に、最外コートを有する外側表面の少なくとも一部分は該構造の水没した部分である。
特定の理論に拘泥されるものではないが、コート中のアシル化ラノリンは表面を変化させ、最外層中の殺生物剤の濃度を増大すると考えられる。
コート組成物の塗布
本発明のコート組成物は、一般に、基材の表面の少なくとも一部に塗布される。
「塗布」という用語は、塗料産業における通常の意味で用いられる。したがって、「塗布」は、例えば、ブラシ、ローラ、吹き付け、浸し塗り等、任意の従来の手段を用いて実施される。コート組成物を「塗布」する商業的に最も興味深い方法は、吹き付けである。したがって、コート組成物は、好ましくは吹き付け可能である。吹き付けは、当業者に既知である従来の吹き付け装置を用いて達成される。コートは、一般に、50〜600μm、例として50〜500μm、例えば75〜400μm、または100〜300μmの乾燥膜厚で塗布される。
さらに、コート組成物は、ASTM D 4400−99による垂れ抵抗性に関して(すなわち、垂れることなく垂直な表面に適切な膜厚で塗布される能力に関して)、少なくとも70μmまで、例えば少なくとも200μmまで、例えば少なくとも300μmまで、好ましくは少なくとも400μmまで、および特に少なくとも600μmまでの湿潤膜厚に対する垂れ抵抗性を示すことが好ましい。
「基材の表面の少なくとも一部」という用語は、コート組成物を表面の任意の一部に塗布し得ることを示す。多くの用途において、コート組成物は、少なくとも、表面(例えば、船の胴体)が海水等の水に接触し得る基材(例えば、船舶)の一部に塗布される。
「基材」という用語は、コート組成物が塗布される固体材料を意味するものである。基材は、一般に、スチール、鉄、アルミニウム等の金属またはガラス繊維強化ポリエステルを含む。最も興味深い実施形態において、基材は、金属基材、特に、スチール基材である。他の実施形態において、基材は、ガラス繊維強化ポリエステル基材である。一部の実施形態において、基材は、海洋構造物の最外表面の少なくとも一部である。
「表面」という用語は、通常の意味で用いられ、物体の外側境界を示す。こうした表面の特定の例には、海洋構造物、例えば船舶(限定では無いが、全ての種類のボート、ヨット、モーターボート、発動機艇、遠洋航行船、タグボート、タンカ、コンテナ船および他の貨物船、潜水艦、および艦艇を含む)、パイプ、沿岸および沖合の機械、建築物、および全ての種類の物体、例えば桟橋、杭、橋梁下部構造、水力設備および構造物、水中油井構造物、網および他の養殖設備、並びにブイ等の表面が挙げられる。
基材の表面は、「未処理の」表面(例えば、スチール表面)であってよい。しかしながら、基材は、一般に、防食コートおよび/またはタイコートで被覆され、基材の表面はこのようなコートにより構成される。存在する場合、(防食および/またはタイ)コートは、一般に、100〜600μm、例として150〜450μm、例えば200〜400μmの合計乾燥膜厚で塗布される。あるいは、基材は、コート、例えば、摩耗した汚損除去コートまたは類似するものを有してもよい。
重要な1つの実施形態において、基材は、防食コート、例として防食エポキシ系コート、例えば硬化したエポキシ系コート、またはショッププライマ、例えば、ジンクリッチショッププライマにより被覆された金属基材(例えば、スチール基材)である。他の関連する実施態様において、基材は、エポキシプライマコートで被覆されたガラス繊維強化ポリエステル基材である。
本発明の主態様のコートは、典型的には最外コート(別名トップコート)として適用される、すなわち、該コートは環境に、例えば水中環境に晒される。しかしながら、択一的に、コート中の浸出性成分の浸出速度の改善された(an improve)制御を得るため、本発明の主態様のコートを積層システムとして適用してもよいことを理解されたく、該積層システムの場合、本発明の主態様に記載のコートは1種以上の他のコート組成物の1つ以上の層(1種類もしくは複数種)で被覆される。
そのため、本発明はまた、基材の表面上に汚損剥離コートシステムを構築する方法であって:
a)プライマー組成物の1つ以上の層を前記基材の表面上に適用し、それによりプライマー処理基材を形成する工程、
b)タイコート組成物の1つ以上の層を前記プライマー処理基材の表面上に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより硬化タイコートを形成する工程、および
c)組成物の1つ以上の層を前記硬化タイコートの表面上に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより本明細書において上記に定義した硬化汚損剥離コート(主態様)を形成する工程
の一連の工程を含む方法に関する。
上記の方法のいくつかの変形において、硬化した汚損剥離コートをさらにトップコートで、例えば、PDMS系トップコートで被覆してもよい。
そのため、本発明はまた、(第1の別の態様による)基材の表面上に汚損剥離コートシステムを構築する方法であって:
a)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を前記基材の表面上に、例えば、場合に応じて未処理の基材上または1つ以上のコートを既に担持している基材上のいずれかに適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより、第1の択一的態様について本明細書において上記に定義した第1の硬化したコートを形成する工程、および
b)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を前記第1の硬化したコートの表面に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより、第1の別の態様について本明細書において上記に定義した第2の硬化したコートを形成する工程
の一連の工程を含む方法に関する。
また、本発明は、(第1の択一的態様による)基材の表面上に汚損剥離コートシステムを構築する方法であって:
a)プライマー組成物の1つ以上の層を前記基材の表面上に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それによりプライマー処理基材を形成する工程、
b)任意選択で、タイコート組成物の1つ以上の層を前記プライマー処理基材の表面上に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより硬化したタイコートを形成する工程;
c)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を場合に応じて前記プライマー処理基材の表面上または前記タイコートの表面上に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより、第1の別の態様について本明細書において上記に定義した第1の硬化したコートを形成する工程、および
d)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を前記第1の硬化したコートの表面に適用し、前記層(1種類もしくは複数種)を硬化させ、それにより、第1の別の態様について本明細書において上記に定義した第2の硬化したコートを形成する工程
の一連の工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は、古い防汚コートシステムの表面上に汚損剥離コートシステムを構築する方法であって:
a)シーラー/リンク−コート組成物の1つ以上の層を、前記基材の表面上に適用し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それによりシールした基材を形成し、
b)所望により、タイコート組成物の1つ以上の層を前記シールした基材の表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それにより硬化したタイコートを形成し、
c)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を、場合に応じて前記プライマー処理した基材の表面または前記タイコートの表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それにより第1の別の態様について前記に適用した第1の硬化したコートを形成し、および
d)ポリシロキサン系コート組成物の1種以上の層を前記硬化した第1のコートの表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それにより第1の別の態様について上記に定義した第2の硬化したコートを形成すること
の一連の工程を含む方法に関する。
本発明は、さらに、古い汚損剥離コートシステムの表面に汚損剥離コートシステムを構築する方法であって、
a)所望により、タイコート組成物の1種以上の層を前記古い汚損剥離コートシステムの表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それにより硬化したタイコートを形成し、
b)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を、場合に応じて前記プライマー処理した基材の表面または前記タイコートの表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それによって第1の別の態様について前記に規定した第1の硬化したコートを形成し、ついで
c)ポリシロキサン系コート組成物の1つ以上の層を、前記第1の硬化したコートの表面に塗布し、前記層(1種または複数種)を硬化させ、それによって第1の別の態様について前記に規定した第2の硬化したコートを形成する
一連の工程を含む。
海洋構造物
本発明は、また、外表面の少なくとも一部分に、前記に規定したような最外汚損剥離コートシステム(または(単一の)コート)を含む海洋構造物を提供する。特に、最外コートを有する外表面の少なくとも一部分は、前記構造物の水中部分である。
コート組成物、基材表面上にコートを構築する方法、およびコートの特性は、上述した内容に従う。
1つの実施形態において、海洋構造物の汚損抑制コートシステムは、防食層、タイコート、および本明細書に記載の汚損剥離システムからなるものにし得る。
別の実施形態において、汚損剥離組成物は、使用済みの汚損剥離システムの最上部、例えば、使用済みのポリシロキサン系汚損剥離コートの最上部に塗布する。
上述した海洋構造物の1つの特定の実施形態において、防食層は、100〜600μm、例として150〜450μm、例えば200〜400μmのの合計乾燥膜厚を有し;タイコートは、50〜500μm、例として50〜400μm、例えば75〜350μm、または75〜300μm、または75〜250μmの合計乾燥膜厚を有し;汚損剥離コートは、20〜500μm、例として20〜400μm、例えば50〜300μmの合計乾燥膜厚を有する。
海洋構造物のさらなる実施形態は、前記構造物の最外表面の少なくとも一部分が、
1〜4層、例えば2〜4層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が150〜400μmであるエポキシ系コートの防食層;
1〜2層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が20〜400μmであるタイコート;および
1〜2層の塗布により構築される、合計乾燥膜厚が20〜400μmである(主態様による)汚損剥離コートを含む汚損剥離コートシステムにより被覆されたものとなる。
海洋構造物のさらなる実施態様は、前記構造物の最外表面の少なくとも一部分が、
1〜4層、例えば2〜4層の塗布によって構築された、合計乾燥膜厚が150〜400μmのエポキシ系コートの防食層;
1〜2層の塗布によって構築される、全乾燥膜厚が20〜400μmのタイコート;
1〜2層の塗布によって構築される、全乾燥膜厚が20〜400μmの汚損剥離コートの第1のコート(第1の別の態様);
1〜2層の塗布によって構築される、全乾燥膜厚が20〜400μmの汚損剥離コートの第2のコート(第1の他の態様);
を含む汚損剥離コートシステムで被覆されている。
上記海洋構造物のもう1つの実施形態において、汚損剥離コートは、タイコートを用いることなく防食層に直接的に塗布する。
コート組成物
本発明は、バインダシステムの65重量%超がポリシロキサン部分によって表される少なくとも40乾燥重量%のポリシロキサン系バインダシステムを含むシリコーン系汚損剥離コート組成物も提供し、該コート組成物は1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤をさらに含む。
1つの実施形態において、該コート組成物は、1〜10乾燥重量%、例えば2〜8乾燥重量%、特に3〜7乾燥重量%の1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜20乾燥重量%、例えば4〜16乾燥重量%、特に5〜13乾燥重量%の1種以上の殺生物剤を含む。
もう1つの実施形態において、該コート組成物は、1〜10実体積%、例えば2〜8実体積%、特に3〜7実体積%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールと1〜13実体積%、例えば2〜10実体積%、特に3〜8実体積%の該1種以上の殺生物剤とを含む。
なおもう1つの実施形態において、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比は、5:1〜1:10、例えば3:1〜1:5、特に2:1〜1:3の範囲である。
上記実施形態の各々の1つの特定の変形において、ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールはポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールである。
コート組成物およびその構成物は、「発明の主態様」なるタイトルおよび関連するサブタイトルの段落で詳細に記載している。
使用
本発明のさらなる態様は、ポリシロキサン系コート組成物の防汚特性を改善するための、1種以上のポリシロキサン成分、1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコール、例えば1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール、および1種以上の殺生物剤の組合せの使用に関する。
一般的な注意事項
本明細書および特許請求の範囲では、ポリシロキサン等に言及するが、本明細書に定めたコート組成物は、個別の成分を1種類、2種類、またはそれ以上含み得ることを理解されたい。こうした実施形態において、それぞれの成分の総量は、個別の成分について上述した量に対応するべきである。
化合物(1種または複数種)、ポリシロキサン(1種または複数種)、剤(1種または複数種)等の表現における「(1種または複数種)」は、個別の成分が1種類、2種類、またはそれ以上存在し得ることを示す。
一方、「1つ(one)」という表現が用いられる場合、それぞれの成分は、1種類(1つ)のみ存在する。
表現「乾燥重量%」は、場合に応じてコートまたはコート組成物の乾燥重量に対するそれぞれの成分のパーセンテージを意味していると理解されたい。ほぼ実際的には(したがって、特に記載のない限り)、硬化したコートに言及している場合の「乾燥重量%」は、コート組成物の「乾燥重量%」と同一である。
実施例
粘度
特許請求の範囲とともに本出願書類との関連において、粘度は25℃においてISO 2555:1989にしたがって測定したものである。
水中の臨界ミセル濃度を超える領域での表面張力
気液界面の表面張力は、Marcel Dekker, 2002により「Encyclopedia of Surface and Colloid Science」に記載された「ペンダント・ドロップ法」によって測定することができる。
試料は、50mL PEボトル中で混合した、脱イオン水中の5重量%の化合物として調製した。5重量%では、濃度が臨界ミセル濃度を超える領域であることを確認した。試料は攪拌台で一晩攪拌させておき、飽和および/または混合させた。「ペンダント・ドロップ法」による測定は、ソフトウェアSCA202 V 4.5.8を用いたDataPhysics OCA−15 pus, Dynamic Contact Angleを用いて行った。ニードルは、Disposable needle SNP−D 165/137とし、ドロップ体積は15マイクロリットルとした。
表面張力を計算した写真は、シリンジから液滴を押し出して5秒後に撮影する。
結果:
Figure 2017525786
*供給企業データシートから
ポリ(オキシアルキレン)−変性疎水性炭素系化合物中の重量含量ポリ(オキシアルキレン)
ポリ(オキシアルキレン)−変性疎水性−炭素系化合物中の重量含量ポリ(オキシアルキレン)は、平均分子構造の重量パーセントによって決定する。
例として;Dow Chemical CompanyからのTergitol NP−9はエトキシ化ノニルフェノールである。9モルのエチレンオキシドを添加し、それは396g/molの分子量を有する。9個のエチレンオキシド単位を有するノニルフェノールは、617g/molの分子量を有し、重量含量を64%とする。
モデル塗料の調製法
パート(i):バインダ、溶媒、顔料、殺生物剤(適用する場合)および添加剤を、インペラ・ディスク(例えば、1Lの缶中の70mm径インペラ・ディスクで2000rpmにて15分間)を備えたDiaf溶解槽で混合する。
パート(ii): ケイ酸エチル、溶媒、触媒、および2,4−ペンタンジオンを、インペラ・ディスク(例えば、1Lの缶中の70mm径インペラ・ディスクで500rpmにて2分間)を備えたDiaf溶解槽で混合する。
塗布する前に、パート(i)およびパート(ii)を、実施例に提供する組成物によるいずれかのポリ(オキシアルキレン)−変性ステロールと一緒に混合し、その後、混合物を攪拌して均一物を得る。
試験方法
筏試験
パネルの調製
一面をサンドブラスト処理してコートの接着を容易にしたアクリル系パネル(150x200mm)を、エアレス・スプレー塗りによって塗布した100μmの乾燥膜厚(DFT)のタイ・コート(HEMPASIL 27310)でコートする。室温にて16〜30時間乾燥させた後に、400μmのクリアランスのドクターブレードによってトップコート塗料組成物を塗布する。パネルは、筏上で浸漬する前に少なくとも72時間乾燥させる。
試験
パネルはシンガポールで試験する。
シンガポールにおける試験部分:この試験の部分において、パネルは29〜31℃の範囲の温度で、29〜31/1000部の範囲の塩度を有する海水に浸漬する。.
パネルは4〜12週毎に調べ、各々の汚損型;動物,藻類および軟泥についての以下のスケールに従って評価する:
Figure 2017525786
実施例
以下のモデル塗料は、防汚性能を試験するために調製することができる。モデル塗料表中のすべての成分は、別段指摘しない限り重量においてである。最終ポリシロキサンマトリクスの計算において、すべての加水分解性基は完全に加水分解され、ポリシロキサンバインダとの縮合反応を介してマトリクスに反応していると想定する。したがって、ケイ酸エチルはその重量の41%で最終ポリシロキサンマトリクスの計算に寄与する。バインダマトリクスのポリシロキサン含量を計算する場合、構成物は出発物質として計算に含めるが、ケイ酸エチルについては上記の補正を行う。領域上の化合物含量の計算は、150μmの乾燥膜厚のトップコートを想定している。
材料
Figure 2017525786
コート組成物
表1
Figure 2017525786
予想されるように、すべての実施例は、殺生物剤(1種または複数種)を含まない参照例と比較して殺生物剤(1種または複数種)の添加によって改善された防汚を示している。また、実施例1.1および1.2から見てとれるように、コートがポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール(「PEG−30ラノリン」および「PEG−75ラノリン」)形態のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む場合に防汚性が大きく改善されている。また、コートが「アセチル化ラノリン」または「ラノリン油」を含む場合に(小さい程度であるが)改善が認められた。
表2
Figure 2017525786
表2(続き)
Figure 2017525786
表2は、アルコール(「1-ドデカノール」)またはポリ(オキシアルキレン)部分(「PEG−8」および「PEG−17」)のみを添加した場合の効果と比較した、アルキルエーテルエトキシレート(「PEG−7直鎖型C12−15アルコール」、「PEG−7分岐鎖型C13アルコール」、「PEG−10オレイルアルコール」)または修飾ソルビタン(「ソルビタントリオレエート」)の形態のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの効果を示す:実施例2.1、2.2、2.3および2.4はすべて殺生物剤を含まない参照例(参照例2.1、2.2、2.3および2.4)と比較して改善された防汚性を示している。さらに、アルコールのみを添加する場合(参照例2.5)には、殺生物剤を添加した場合のような改善された効果は得られなかった。同じことは、ポリ(オキシアルキレン)部分のみを添加する場合(参照例2.6および2.7)にもあてはまる。参照例2.8および2.9はポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールまたはその構成のいずれかを完全に欠いており、殺生物剤を単独で添加することによっては効果がないことがこれらの試験から見てとれる。
表3
Figure 2017525786
表3(続き)
Figure 2017525786
表3は、ポリ(オキシアルキレン)部分(「PEG−8」および「PEG−17」)だけを添加した場合の効果の欠如と比較した、ポリ(オキシアルキレン)−変性フェノール(「PEG−14トリスチリルフェノール」、「PEG−8トリブチルフェノール」、「PEG−13トリスチリルフェノール」)またはポリ(オキシアルキレン)−変性ステロール(「PEG−20ラノリン」)形態のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールの効果を示す:実施例3.1、3.2および3.3は、すべて殺生物剤を含まない参照例と比較して改善された防汚を示している(参照例3.1、3.2および3.3)。さらに、ポリ(オキシアルキレン)部分のみを添加した場合(参照例3.5および3.6)には、殺生物剤を添加した場合にような改善された効果は得られなかった。参照例3.11および3.12は、ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールまたはその構成のいずれかを完全に欠き、殺生物剤を単独を添加することによっては効果がないことがこれらの試験から見てとれる。

Claims (15)

  1. シリコーン系汚損剥離コートの少なくとも40乾燥重量%を構成するポリシロキサン系バインダマトリクスを含むシリコーン系汚損剥離コートであって、該バインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分によって表され、該コートはさらに1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤を含み、該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールは、一般式(I):
    (POA−O−)X−R−(−O−FA)Y (I)
    [式中、
    各々のPOAはポリ(オキシアルキレン)基を表し、
    各々のFAはC8−30脂肪アシル基を表し、
    RはアルコールR(OH)X+Yの有機残基を表し、該有機残基は2〜50個の炭素原子を有し、および
    Xは1〜5であり、Yは0〜10であり、X+Yは1〜12である]
    を有する、シリコーン系汚損剥離コート。
  2. 該コートが1〜20g/m2の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜35g/m2の該1種以上の殺生物剤を含む、請求項1記載の汚損剥離コート。
  3. 1〜10乾燥重量%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜20乾燥重量%の該1種以上の殺生物剤を含む、請求項1または2に記載の汚損剥離コート。
  4. 1〜10実体積%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1〜13実体積%の該1種以上の殺生物剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  5. 1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比が5:1〜1:10の範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  6. 有機残基Rが2〜50個の炭素原子を有し、直鎖型、分岐鎖型および/または不飽和の基のみを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  7. 有機残基Rが2〜50個の炭素原子を有し、置換型フェノール、ソルビタンまたはステロールから選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  8. ポリ(オキシアルキレン)基POAが、各々、R1O−[R2−O]n−R3−基[式中、R1は水素、C1-4−アルキル−C(=O)−およびC1-4−アルキルから選択され;各々のR2およびR3はエチル−1,2−エンおよびプロピル−1,2−エンから選択され;およびnは1〜150の整数である]を表す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  9. 1種以上の殺生物剤が、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート)のうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の汚損剥離コート。
  10. 少なくとも40乾燥重量%を構成し、およびバインダマトリクスの65重量%超がポリシロキサン部分によって表されるポリシロキサン系バインダマトリクスの1つ以上のコートを含むシリコーン系汚損剥離コートシステムであって、1種以上のコートが請求項1〜9のいずれか1に規定する一般式(I):(POA−O−)X−R−(−O−FA)Yの1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤をさらに含み、ここにコートシステムが1〜20g/m2の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜35g/m2の該1種以上の殺生物剤を含む、シリコーン系汚損剥離コートシステム。
  11. 1種以上の殺生物剤がビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート)のうちの少なくとも1つを含む、請求項10記載の汚損剥離コート。
  12. (i)請求項1〜9のいずれか1項に記載の汚損剥離コート、または(ii)請求項10または11に記載の汚損剥離システム、を外側表面の少なくとも一部分に含む海洋構造物。
  13. 少なくとも40乾燥重量%のポリシロキサン系バインダシステムを含むシリコーン系汚損剥離コート組成物であって、ここにバインダシステムの65重量%超がポリシロキサン部分によって表され、該コート組成物がさらに請求項1〜9のいずれか1項に規定する一般式(I):(POA−O−)X−R−(−O−FA)Yの1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤を含む、シリコーン系汚損剥離コート組成物。
  14. 1〜10乾燥重量%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび2〜20乾燥重量%の該1種以上の殺生物剤を含み;および/または1〜10実体積%の該1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1〜13実体積%の該1種以上の殺生物剤を含み;および/または1種以上のポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールおよび1種以上の殺生物剤の間の重量比が5:1〜1:10の範囲である、請求項13記載のコート組成物。
  15. 1種以上の殺生物剤が、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)亜鉛(亜鉛ピリジンチオン)、ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオナート−O,S)−(T−4)銅(銅ピリジンチオン)および亜鉛エチレン−1,2−ビス−ジチオカルバメート(亜鉛−エチレン−N−N’−ジチオカルバメート)のうちの少なくとも1つを含む、請求項13または14に記載のコート組成物。
JP2016573110A 2014-07-11 2015-07-10 ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む新規なポリシロキサン系汚損剥離コート Pending JP2017525786A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP14176681.6 2014-07-11
EP14176681 2014-07-11
PCT/DK2015/050217 WO2016004961A1 (en) 2014-07-11 2015-07-10 Novel polysiloxane-based fouling-release coats comprising poly(oxyalkylene)-modified alcohols

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017525786A true JP2017525786A (ja) 2017-09-07

Family

ID=51167749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016573110A Pending JP2017525786A (ja) 2014-07-11 2015-07-10 ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む新規なポリシロキサン系汚損剥離コート

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20170130064A1 (ja)
EP (1) EP3167016A4 (ja)
JP (1) JP2017525786A (ja)
KR (1) KR102591554B1 (ja)
CN (1) CN106661352B (ja)
SG (1) SG11201610507XA (ja)
WO (1) WO2016004961A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021525646A (ja) * 2018-06-04 2021-09-27 ヘンペル エイ/エス ファウリングリリースコーティングシステムを確立するための方法

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017220097A1 (en) * 2016-06-22 2017-12-28 Hempel A/S Controlled release antifouling coating composition via biocide interaction
JP6909591B2 (ja) * 2017-03-01 2021-07-28 三洋化成工業株式会社 有用物質の生産方法
EP3489311A1 (en) 2017-11-24 2019-05-29 Jotun A/S Antifouling composition
EP3489310A1 (en) 2017-11-24 2019-05-29 Jotun A/S Antifouling composition
CN111712549A (zh) * 2017-12-14 2020-09-25 汉伯公司 通过生物杀灭剂相互作用控释的防污涂料组合物
US12050293B2 (en) 2018-12-19 2024-07-30 Pgs Geophysical As Medetomidine compositions having improved anti-fouling characteristics
EP3828240A1 (en) 2019-11-29 2021-06-02 Jotun A/S Fouling release coating
EP4448662A1 (en) 2021-12-15 2024-10-23 Jotun A/S Fouling release coating composition
WO2024115765A1 (en) 2022-12-02 2024-06-06 Jotun A/S Process

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01249707A (ja) * 1988-02-15 1989-10-05 Internatl Paint Plc 海洋汚染の抑制
JPH11158418A (ja) * 1997-11-26 1999-06-15 Sunstar Eng Inc タイル目地の防カビ処理方法
JP2005263975A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Tokyo Fine Chem Kk 防汚塗料組成物
JP2006193731A (ja) * 2004-12-17 2006-07-27 Chugoku Marine Paints Ltd 水性防汚組成物、防汚被膜、および該被膜で被覆された漁網
JP2012254979A (ja) * 2011-06-07 2012-12-27 Rohm & Haas Co 安定な殺生物剤組成物
WO2013000479A1 (en) * 2011-06-30 2013-01-03 Hempel A/S Fouling control coating compositions
WO2013024106A1 (en) * 2011-08-18 2013-02-21 Akzo Nobel Coatings International B.V. Fouling-resistant composition comprising sterols and/or derivatives thereof
JP2013515122A (ja) * 2009-12-22 2013-05-02 ヘンペル エイ/エス 新規な付着抑制塗料組成物
WO2014084324A1 (ja) * 2012-11-30 2014-06-05 中国塗料株式会社 水中での気体潤滑機能を利用する摩擦抵抗低減船舶に用いられる塗料組成物、該組成物から形成される塗膜、該塗膜で被覆された船舶、該船舶の製造方法、前記摩擦抵抗低減の効果を予測する方法、前記摩擦抵抗低減効果の予測に用いられる装置および前記摩擦抵抗低減船舶に用いられる摩擦抵抗低減システム

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3634285A (en) * 1969-03-24 1972-01-11 Stauffer Wacker Silicone Corp Silicone release emulsion
EP0888251A1 (en) * 1996-09-27 1999-01-07 Calgon Corporation Compositions and methods for reducing deposit formation on surfaces
US6039965A (en) * 1996-09-27 2000-03-21 Calgon Corporation Surfanctants for reducing bacterial adhesion onto surfaces
US6476095B2 (en) * 2000-06-02 2002-11-05 Microphase Coatings, Inc. Antifouling coating composition
ATE420556T1 (de) * 2001-11-08 2009-01-15 Janssen Pharmaceutica Nv Synergistische bewuchsverhindernde mittel, welche 4-bromo-2-(4-chlorophenyl)-5-(trifluoromethyl)- h-pyrrole-3-carbonitril enthalten
AU2012271948B2 (en) * 2011-06-21 2015-10-15 Akzo Nobel Coatings International B.V. Biocidal foul release coating systems
EP2899240B1 (en) * 2011-06-30 2020-01-08 Hempel A/S Novel polysiloxane-based fouling release coatings including biocide(s)
SG11201507776SA (en) * 2013-03-20 2015-10-29 Hempel As Novel polysiloxane-based fouling control coating systems

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01249707A (ja) * 1988-02-15 1989-10-05 Internatl Paint Plc 海洋汚染の抑制
JPH11158418A (ja) * 1997-11-26 1999-06-15 Sunstar Eng Inc タイル目地の防カビ処理方法
JP2005263975A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Tokyo Fine Chem Kk 防汚塗料組成物
JP2006193731A (ja) * 2004-12-17 2006-07-27 Chugoku Marine Paints Ltd 水性防汚組成物、防汚被膜、および該被膜で被覆された漁網
JP2013515122A (ja) * 2009-12-22 2013-05-02 ヘンペル エイ/エス 新規な付着抑制塗料組成物
JP2012254979A (ja) * 2011-06-07 2012-12-27 Rohm & Haas Co 安定な殺生物剤組成物
WO2013000479A1 (en) * 2011-06-30 2013-01-03 Hempel A/S Fouling control coating compositions
WO2013024106A1 (en) * 2011-08-18 2013-02-21 Akzo Nobel Coatings International B.V. Fouling-resistant composition comprising sterols and/or derivatives thereof
WO2014084324A1 (ja) * 2012-11-30 2014-06-05 中国塗料株式会社 水中での気体潤滑機能を利用する摩擦抵抗低減船舶に用いられる塗料組成物、該組成物から形成される塗膜、該塗膜で被覆された船舶、該船舶の製造方法、前記摩擦抵抗低減の効果を予測する方法、前記摩擦抵抗低減効果の予測に用いられる装置および前記摩擦抵抗低減船舶に用いられる摩擦抵抗低減システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021525646A (ja) * 2018-06-04 2021-09-27 ヘンペル エイ/エス ファウリングリリースコーティングシステムを確立するための方法
JP7381503B2 (ja) 2018-06-04 2023-11-15 ヘンペル エイ/エス ファウリングリリースコーティングシステムを確立するための方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3167016A4 (en) 2018-03-14
WO2016004961A1 (en) 2016-01-14
EP3167016A1 (en) 2017-05-17
KR102591554B1 (ko) 2023-10-20
KR20170031098A (ko) 2017-03-20
US20170130064A1 (en) 2017-05-11
SG11201610507XA (en) 2017-01-27
CN106661352B (zh) 2021-03-30
CN106661352A (zh) 2017-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11787953B2 (en) Polysiloxane-based fouling control coating systems
JP6283060B2 (ja) 新規な付着抑制塗料組成物
JP2017525786A (ja) ポリ(オキシアルキレン)−変性アルコールを含む新規なポリシロキサン系汚損剥離コート
EP2726561B1 (en) Fouling control coating compositions
JP6203379B2 (ja) 新規なポリシロキサン系汚損剥離コート
AU2012278334A1 (en) Fouling control coating compositions
EP2899240A1 (en) Novel polysiloxane-based fouling release coatings including biocide(s)
JP2024028694A (ja) ファウリングリリースコーティングシステムを確立するための方法
NZ618053B2 (en) Fouling control coating compositions

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190320

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190603

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190925

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200303