JP2017519824A - 抗菌及び防腐活性を有する緑膿菌培養液抽出物を含む組成物及びその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、抗菌及び防腐活性を有する緑膿菌培養液抽出物を含む組成物及びその用途に関する。
本発明のさらに他の目的は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含むにきびの予防または治療用組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、緑膿菌培養液抽出物の抗菌効果を引き起こせる有効成分を明らかにすることである。
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、及び特許請求の範囲によってより明確になる。
本発明の他の態様によれば、本発明は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む抗生組成物を提供する。
本発明の他の態様によれば、本発明は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含むにきびの予防または治療用組成物を提供する。
本発明の他の態様によれば、本発明は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物を提供する。
本明細書で、用語“緑膿菌培養液抽出物”は、緑膿菌を培養した培養液から抽出して得たものを意味する。
本発明の他の具現例によれば、本発明の組成物で、前記緑膿菌培養液抽出物の含量は、全体組成物を100重量部を基準にして0.01〜0.5重量部である。
本発明の特定の具現例によれば、本発明の組成物で、前記緑膿菌培養液抽出物の含量は、全体組成物を100重量部を基準にして0.02〜0.1重量部である。
本発明の一具現例によれば、本発明の組成物は、抗細菌活性及び/または抗真菌活性を有する。本発明の組成物は、多様な微生物、特に、細菌、真菌及び酵母に対して幅広い抗生活性を示す。
前記のように、幅広い抗生スペクトル及び抗酸化効果を有する本発明の防腐/抗生組成物は、化粧品だけではなく、食品、生活用品、農薬、医薬などで抗菌、殺菌、消毒、防腐などの目的を果たすために広範囲に使われる。
本明細書で、用語“化粧品学的有効量”は、前述した本発明の組成物の微生物に対する抗生効能を果たすのに十分な量を意味する。
本発明の剤型が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが用いられうる。
(i)本発明は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む防腐用及び抗生組成物を提供する。
(ii)本発明は、緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含むにきびの予防または治療用組成物を提供する。
(iii)本発明の緑膿菌培養液抽出物を含む組成物は、多様な菌に対して幅広い抗菌スペクトル及び高い抗酸化効果を示し、このような組成物は、化粧品のような化粧料組成物に適用が可能であり、それ以外にも、食品、医薬品、農薬及び生活用品などの多様な分野で抗菌、殺菌、防腐の目的として有用に利用可能である。
(iv)本発明の緑膿菌培養液抽出物の高い抗菌効果を引き起こす有効成分は、多様なラムノリピドのうちでも、特定の構造(Rha C10 C10、Rha Rha C10 C10)のラムノリピドであることを究明し、これを通じてラムノリピドの産業的適用に対する効率性を高めた。
1.生物界面活性剤の生産
実験に先立って、菌株(CJM01)が選発された。同定結果、緑膿菌であると明かになり、菌株をM9培地(CaCl2 0.015g/L、Na2HPO4 6g/L、KH2PO4 3g/L、NaCl 0.5g/L、NH4Cl 1g/L、MgSO4 0.0625g/L、グルコース20g/L)に接種して37℃で72時間培養した。培養後、培養液を遠心分離して細胞が完全に除去された培養液を得た。細胞が除去された培養液をHCLを用いてpH2に低めた後、一日間4℃で沈澱させた。沈澱後、再び遠心分離して上澄み液を除去し、沈殿物のみを得た。その沈殿物をエチルエーテルを用いて抽出した後、エチルエーテル層のみ分離して回転蒸発濃縮器で濃縮してエチルエーテルをいずれも蒸発させて得られた抽出物(biosurfactants crude)をR1と名付けた。
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された混合物状態の生物界面活性剤をR1と名付け、グラム陽性病原性菌(Staphylococcus aureus、Bacillus cereus)、グラム陰性病原性菌(Pseudomonas aeroginosa、Escherichia coli)に対してペーパーディスク拡散法を施行した。
S.aureus、B.cereus、P.aeroginosaとE.coliとをそれぞれLB(Luria−Bertani)培地(トリプトン10g/L、NaCl 10g/L、酵母抽出物5g/L)に接種して37℃好気性条件で18時間液体培養した。培養後、それぞれの菌培養液200μlをLBアガープレートに塗抹した。微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出されたR1は、メタノールに2mg/mlの濃度で溶解し、対照区として使われたメチルパラベン(Methyl Paraben)、フェノキシエタノール(Phenoxy Ethanol)、ナチュロティックス(Naturotics)は、メタノールに10mg/mlの濃度で溶解した。溶解されたR1、メチルパラベン、フェノキシエタノール、ナチュロティックス溶液を、それぞれペーパーディスク(直径:6mm)上に20μlずつ付けた後、ペーパーディスクを十分に乾燥させた。その後、ペーパーディスクをS.aureus、B.cereus、P.aeroginosaとE.coliとが塗抹されたアガープレート上に載せた。それぞれのアガープレートは、37℃好気性条件で18時間培養された。18時間後、ペーパーディスク周辺に生成されたクリアゾーンを観察した。
メチルパラベンと比較してR1の保存剤としての可能性を確認するために、トナー剤型とローション剤型とでグラム陽性病原性菌(Staphylococcus aureus、Bacillus cereus)、グラム陰性病原性菌(Pseudomonas aeroginosa)、真菌類(Candida albicans)に対する殺菌力を測定する防腐力試験を施行した。防腐力試験は、米国化粧品協会、すなわち、CTFA(The cosmetics、Toiletry and Fragrance Association)の法を基準に施行され、その基準は、特定の物質がトナーとローション剤型とで7日以内に接種された菌数の99.9%を死滅させれば、保存剤としての可能性を有するということである。実験に先立って、トナーとローション剤型とが製作され、その組成は、表1及び表2のようである。
製作されたトナー剤型にメタノールに溶解させたR1を添加して、R1の最終濃度が0%、0.01%、0.05%、0.1%になるようにし、それぞれの容器にS.aureus、B.cereus培養液を接種した。また、トナー剤型にメタノールに溶解させたメチルパラベンを添加して、メチルパラベンの最終濃度が0%、0.1%、0.5%、1%になるようにし、それぞれの容器にS.aureus、B.cereus培養液を接種した。接種菌数は、106〜107cfu(colony forming unit)/mlになるようにした。菌が接種されたトナーを常温で保管しながら、菌接種直後、1日、3日、5日、7日後に、各トナーを希釈してLBアガープレートに200μl塗抹して細胞数を計算した後、初期接種菌数と比較して死滅の有無を把握した。対照区としてトナー剤型にメタノールのみを添加して菌培養液を接種した後、繰り返し実験した。
製作されたトナー剤型にメタノールに溶解させたR1とメチルパラベンとをそれぞれ添加して、最終濃度が0%、0.1%、0.5%、1%になるようにし、それぞれの容器にP.aeruginosa、C.albicans培養液を接種した。接種菌数は、106〜107cfu/mlになるようにした。菌が接種されたトナーを常温で保管しながら、菌接種直後、1日、3日、5日、7日後に、各トナーを希釈してP.aeruginosaが接種されたトナーは、LBアガープレートに、C.albicansが接種されたトナーは、YPDアガープレートに200μl塗抹して細胞数を計算した後、初期接種菌数と比較して死滅の有無を把握した。対照区としてトナー剤型にメタノールのみを添加して菌培養液を接種した後、繰り返し実験した。
*YPDアガー(ペプトン5g/L、酵母抽出物5g/L、デキストロース5g/L、アガー15g/L)
製作されたローション剤型にメタノールに溶解させたR1とメチルパラベンとをそれぞれ添加して、最終濃度が0%、0.5%になるようにし、それぞれの容器にS.aureus、B.cereus、P.aeruginosa、C.albicans培養液を接種した。接種菌数は、106〜107cfu/mlになるようにした。菌が接種されたローションを常温で保管しながら、菌接種直後、1日、3日、5日、7日後に、各ローションを希釈してS.aureus、B.cereus、P.aeruginosaが接種されたローションは、LBアガープレートに、C.albicansが接種されたローションは、YPDアガープレートに200μl塗抹して細胞数を計算した後、初期接種菌数と比較して死滅の有無を把握した。対照区としてローション剤型にメタノールのみを添加して菌培養液を接種した後、繰り返し実験した。
7−1.製品の種類、製品の分量及び剤型
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された生物界面活性剤R1を含有する天然化粧品を製造して、にきび関連トラブル症状(化膿性、粟、にきび傷跡、できものなど)を有している被験者に適用(5g/1人/2週)して改善効果を観察した。
本研究は、単一機関で、対照群、実験群の観察研究臨床試験でにきび関連トラブルを有した被験者に製品を塗った時、にきび関連トラブルの症状改善など有効性及び安全性を評価しようとした。
2週間に5gの試験製品を使い、一日2回以上(朝、夕方、常時)2週間試験者が指定した皮膚病変部位にクリームまたはバーム形態の製品を塗布する。
選定基準に適した被験者及び提供した製品を2週間使った被験者を有効性評価対象者として選定し、0週、1週、2週目に進行中であるにきび個数の把握及びイメージ撮影などにきび関連トラブルの改善に対する肉眼的評価を施行し、被験者の主観的意見が入れられたアンケート調査を施行した。試験の結果、整理及び分析は、統計的推定によって分析された。
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された生物界面活性剤R1のようなP.aeruginosaに対して培養及び抽出方式を変更して得られたR2、R3、そして、ラムノリピド(生物界面活性剤の一種)を90%含有しているSIGMA−ALDRICHから購入したR90をNMR分析した。
緑膿菌培養液抽出物の防腐剤としての適用のために、抗酸化効果に対する実験を進行した。
DPPHラジカルは、紫色を帯びているが、これが抗酸化剤と反応すれば、黄色を帯びる。抗酸化能に優れた試料と反応するほど、DPPHラジカルの色の変化は鮮明になる。R1とアスコルビン酸(Ascorbic acid、AA)、メチルパラベン(MTP)をそれぞれ異なる濃度でメタノールに溶解させた。このように得られた試料(100μl)をそれぞれ0.006%の濃度でメタノールに溶解させたDPPHラジカル溶液100μlに混合して、総200μlを作った後、光が遮断された空間で30分間反応させた。反応が完了した後、各混合液に対して517nmで吸光度の値を測定して、各試料の抗酸化能を測定した。
緑膿菌培養液抽出物は、単一成分ではない多様な成分が混合された状態である。緑膿菌培養液抽出物に含まれた多様な成分のうち、抗菌効果を引き起こす有効成分が何なのかを探索し、その構造を明らかにする実験を進行した。
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された混合物状態のR11mgをメタノールに溶解させた後、sep−Pak vac1cc tc18カートリッジカラムに注入した。その後、カラムは、溶媒Aで洗浄され、展開溶媒である溶媒Bが注入された。溶媒Bの濃度をそれぞれ異ならせてカラムに注入した後、カラムを通過した分画をそれぞれ収集して、分画(fraction)1、分画2、分画3、分画4、分画5、分画6と名付けた。溶媒Bの濃度は、50%、55%、60%、65%、70%、75%にそれぞれ異ならせてカラムに注入され、溶媒Aと溶媒Bとの組成は、表11のようである。
得られた各分画は、乾燥させた後、メタノールに10mg/mlの濃度で溶解させた。メタノールに溶解された各分画の20μlをS.aureus培養液が塗抹されたアガープレート上に落とした後、18時間37℃で培養し、18時間後、アガープレート上に生成されたクリアゾーンを観察した。
分離された分画の構造分析のために行われたLC−MSは、ネガティブモードのイオン極性で1.8μm 2.1*100mmのSB−Aq RRHD(分析カラム)と2.1*5mm 1.8μmのZorbax SB−C8(ガードカラム)とを使って進められた。分離された分画をメタノールに溶解させてサンプルを準備した。サンプルの20μlを前記のカラムが装着されたHPLCに注入し、質量分析計まで連結して分析した。HPLCには、溶媒Aと溶媒Bとの混合液が展開溶媒として使われ、初期の溶媒Aと溶媒Bとの混合比率は50%であり、その後の順序は、次の通りである。100%溶媒B(19分)、100%溶媒B(20.5分)、50%溶媒B(21分)、50%溶媒B(25分)、HPLC流速:0.15ml/分。
スキャニング質量範囲は、75〜1000m/zに準備された。抗菌効果を引き起こす特定の成分に対しては、MS/MSを進行した。
1.抽出した生物界面活性剤の抗菌力試験
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された混合物状態の生物界面活性剤をR1と名付け、グラム陽性病原性菌(Staphylococcus aureus、Bacillus cereus)、グラム陰性病原性菌(Pseudomonas aeroginosa、Escherichia coli)に対して抗菌力テストを施行した。ペーパーディスク拡散法の結果、R1は、既存の化粧品保存剤として使われているメチルパラベン、フェノキシエタノール、ナチュロティックスよりも5倍少ない濃度で格段に大きなクリアゾーンを生成した(図1)。
防腐力試験の結果、トナー剤型で、R1は、接種したあらゆる菌に対して7日内に接種菌数の99.9%を死滅させ、特に、R1は、メチルパラベンよりも10倍少ない濃度である0.01%でグラム陽性病原性菌Staphylococcus aureus、Bacillus cereusに対して1日ぶりに接種菌数の99.9%を死滅させた。グラム陰性病原性菌(Pseudomonas aeroginosa)と真菌類(Candida albicans)に対しては、メチルパラベンと同じ濃度である0.5%で5日ぶりに接種菌数の99.9%を死滅させた(図2〜図3)。また、ローション剤型で接種したあらゆる菌に対して、R1は、メチルパラベンと同じ濃度である0.5%で7日内に接種された菌数の99.9%を死滅させた(表12)。このような結果は、R1の保存剤としての可能性を有するということを示す。
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された生物界面活性剤R1を含有する天然化粧品を製造して、にきび関連トラブル症状を有している被験者に適用した結果、R1を含有していない製品よりもR1を含有した製品を使った被験者からにきび関連トラブルの改善率が格段に増加し、あらゆる被験者から皮膚異常反応(かゆみ、ひりつき、赤い班点、腫れ上がり、腫れもの、痛みなど)は観察されていない。
一般的観測
あらゆるサンプルは、4種の主要成分(2つの類型のジラムノリピドと2つの類型のモノラムノリピド)で構成された類似しているラムノリピドセットを含んでいた。各サンプル内でジラムノリピドのA分画の含有率は、いずれも異なった(サンプル90の場合、35%まで含有しており、サンプル2と3は、65%以上を含有する)(表17)。また、サンプル0、1、2、3は、抗菌活性に影響を与えると予想される芳香族成分を含有していた。
サンプル1に対する1D 1H−NMRスペクトルでラムノリピドに該当する部分は、図7から見られる。信号強度(integrals)は、スペクトルの下から見られる。あらゆる信号強度は、0.82ppmでのメチルピークによって標準化され、そのピークは、6つの陽性子(proton)に該当する(2メチルグループ)。したがって、単一陽性子ピークは、ほぼ100ユニット程度の信号強度を有すると見られる。例えば、1.4〜1.5ppmと2.4〜2.6ppmとで表われる2つのグループのピークは、〜400程度の信号強度を示し、それぞれC2H2/C5H2及びC7H2/C10H2グループで表われる4つの陽性子信号と一致する。モノ及びジラムノリピドの質量比は、脂質とラムノースグループから得た信号の強度を比較することで測定されうる。
サンプル内のジラムノリピドの存在は、2D 1H−13C−HSQC実験によって確認された。β−L−Rhap(1’’→2’)−β−L−Rhap結合の形成は、酸素を通じて連結されているジラムノースのC2’とC1’原子の強いNMR信号移動を起こした(図6の構造)。HSQCスペクトルのC1’/1”H及びC2’/2”H区域は、図9から見られる。102ppmで表われるクロスピーク(13Cスケール、赤色ボックス)は、ジラムノリピドでのH1”/C1”の相関係数と一致する。一方、95〜96ppmで表われるクロスピークは、モノラムノリピドのH1’/C1’の相関係数と一致する(図6の構造)。〜79ppmで表われる2つのクロスピーク(図9の青色ボックス)は、ジラムノリピド部分の2つのC2’原子と一致する。
サンプル内の他のラムノリピドの相対的な密度と数とを測定するために、2D NMRスペクトラ(HSQC、TOCSY、COSY−DQF)を用いてスピンシステムを分離し、これらは、ラムノリピド分子のラムノース環構造、脂肪酸しっぽ構造と一致した。また、ラムノース部分(システム1〜6)の6つの知られていないシステムと脂肪酸しっぽの8つのシステム(システム7〜14)とを証明することができた。そのシステムは、ラムノース部分のタイプであらかじめ割り当てられ(ジラムノースの最初の(‘)または二番目の(“)単一リング構造)ヒドロキシル脂肪酸の位置(直接に、または間接にラムノースと連結される、図6)は、知られた化学的移動(パート3、2D−NMR分析、図9の例示)に基づいている。システム1と2は、ジラムノースの二番目のラムノースリング構造に割り当てられ、システム3と4は、ジラムノースの最初のラムノース環構造に割り当てられた。システム5と6は、モノラムノリピド内のラムノース環構造と一致する。それらの最小成分9と10だけではなく、システム7と8は、脂質内の二番目の脂肪酸に割り当てられた(ラムノース部分に直接に連結されない)。結果的に、システム11〜14は、最初の脂肪酸鎖に割り当てられ、直接にラムノース部分に連結された。
ラムノリピド分子の構造的な部分のためのスピンシステムの割り当て後に、それらをラムノリピド内に連結させる幾つかの可能な方法を行った。ラムノース環構造に存在する陽性子と脂肪酸の陽性子との表面を通じる双極子−双極子相互作用を感知するために、2D NMR ROESY実験を用いた。予想したように、ラムノースシステム3〜6のH1陽性子と脂肪酸システム11〜14のH1陽性子とのクロスピークが感知された(図10)。この実験は、ラムノース最初の環構造あるいは単一構造に割り当てられたスピンシステムを脂肪酸に割り当てられたスピンシステムと連結することを可能にする。
1D 1H−NMRスペクトラの予備分析は、サンプル内のラムノースの相対的な密度を明確に示す(図11)。脂肪酸システムでも、同じ結果が観察された。I〜IV分子の相対的な密度を信号強度を用いて推定したが、信号強度は、H1/H1”とH2/H2”ラムノース陽性子、H1とH4脂肪酸陽性子に割り当てられたよく分離された信号を得るために、1D 1HNMRスペクトラで測定された。分析の要約は、表16に提示された。
緑膿菌培養液抽出物R1の抗酸化効果を調査するために、DPPH消去活性試験を進行した結果、R1は、0.5%以上の濃度で抗酸化効果を有する代表成分であるアスコルビン酸(AA)のようなレベルの抗酸化効果を示した。一方、メチルパラベン(MTP)は、R1と比較した時、同じ濃度で著しく低い抗酸化効果を示した。このような結果に基づいて、抗酸化効果を有する緑膿菌培養液抽出物R1は、防腐剤としての適用が可能であると考えられる(図12)。
微生物(P.aeruginosa)培養液から抽出された混合物状態のR1を分離して、分画1、分画2、分画3、分画4、分画5、分画6を得た。得られた各試料に対してS.aureusに対する抗菌活性を試験した結果、分画1、分画2、分画3は、R1と相応する抗菌活性を示し、分画4、分画5は、R1よりも比較的弱い抗菌活性を示し、分画6は、抗菌活性を示していない(図13)。あらゆる試料に対してLC分析を進行し、その結果、抗菌活性を示した分画1、分画2、分画3で高く存在しながら、分画4、分画5では、徐々に減少した共通した2つのピークを発見し、ピーク1、ピーク2と名付けた(図14)。抗菌活性試験と連結させて見る時、ピーク1、ピーク2の存否が抗菌活性を決定つけると判断され、ピーク1、ピーク2のMS及びMS/MS試験進行結果、ピーク1は、650の分子量、Rha−Rha−C10−C10の構造を有するジラムノリピド(Di−rhamnolipid)で分析され、ピーク2は、504の分子量、Rha−C10−C10の構造を有するモノラムノリピド(Mono−rhamnolipid)で分析された(図15A〜図15D)。R1には、多様な構造を有するラムノリピドが存在し(図16、表18)、その中でも、Rha−Rha−C10−C10、Rha−C10−C10の構造を有するラムノリピドが、抗菌活性を有する有効性分であることを確認した。また、シグマアルドリッチコリアから購入したP.aeruginosa培養液から抽出したラムノリピド(R90、R95)のS.aureusに対する抗菌活性は、R1と比較した時、著しく低かった(図17)。
Claims (17)
- 緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む防腐用組成物。
- 緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む抗生(antibiotic)組成物。
- 緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含むにきびの予防または治療用組成物。
- 緑膿菌培養液抽出物を有効成分として含む抗酸化用組成物。
- 前記緑膿菌培養液抽出物は、緑膿菌培養液に塩酸溶液を添加して沈澱させた後、前記沈殿物にエチルエーテルを添加して収得したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか一項に記載の組成物。
- 前記緑膿菌培養液抽出物は、ラムノリピドを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか一項に記載の組成物。
- 前記ラムノリピドは、次の化学式1で表されるジラムノリピドまたは化学式2で表されるモノラムノリピドであることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
- 前記組成物は、組成物総100重量部に対して0.005〜1.0重量部の緑膿菌培養液抽出物を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか一項に記載の組成物。
- 前記組成物は、スタフィロコッカス属、バチルス属、シュードモナス属、カンジダ属、プロピオニバクテリウム属、ストレプトコッカス属、プロテウス属、コリネバクテリウム属、エンテロコッカス属、クレブシエラ属、及び大腸菌で構成された群から選択される1つ以上の微生物に対して抗菌活性を示すことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか一項に記載の組成物。
- 前記組成物は、化粧料組成物であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物は、食品組成物であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
- 前記組成物は、皮膚外用剤組成物であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
- 前記皮膚外用剤組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤−含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、及びスプレーのうちから選択される何れか1つの剤型に剤形化されたことを特徴とする請求項12に記載の組成物。
- 緑膿菌培養液抽出物を対象(subject)に適用する段階を含む防腐方法。
- 緑膿菌培養液抽出物を対象に適用する段階を含む抗生方法。
- 緑膿菌培養液抽出物を対象に適用する段階を含むにきびの予防または治療方法。
- 緑膿菌培養液抽出物を対象に適用する段階を含む抗酸化方法。
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